撮像装置及びその制御方法
【課題】位相差方式の焦点検出を行うと共に良好な顔検出を行う撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、撮影レンズ311の焦点調節状態を位相差方式で検出する焦点検出部41と、被写体からの光を光電変換して画像データを生成する撮像素子14と、被写体からの光を焦点検出部に導く第1光路と撮像素子14に導く第2光路とを切り替える光路切替部と、画像データから被写体の顔を検出する顔検出部58と、焦点検出部の検出結果に基づいて撮影レンズ311を移動して焦点調節を行うと共に光路切替部が第2光路を設定するように光路切替部を制御し、その後に、顔検出部58に被写体の顔を検出させるシステム制御回路50と、を有する。
【解決手段】撮像装置は、撮影レンズ311の焦点調節状態を位相差方式で検出する焦点検出部41と、被写体からの光を光電変換して画像データを生成する撮像素子14と、被写体からの光を焦点検出部に導く第1光路と撮像素子14に導く第2光路とを切り替える光路切替部と、画像データから被写体の顔を検出する顔検出部58と、焦点検出部の検出結果に基づいて撮影レンズ311を移動して焦点調節を行うと共に光路切替部が第2光路を設定するように光路切替部を制御し、その後に、顔検出部58に被写体の顔を検出させるシステム制御回路50と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点調節機能を有する撮像装置とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から画像データから画像認識により検出された顔に焦点を合わせる焦点調節機能を搭載したカメラが知られている。しかし、撮像素子が大きく撮影レンズも比較的明るいレンズで構成されるカメラの場合には、被写界深度が浅いため、画像認識に用いる画像データがボケた状態になり、顔を検出する際の検出精度が低かった。そこで、特許文献1には、フォーカスレンズを移動させてパンフォーカス処理を行ってから画像認識処理を行うことによって被写体の顔の位置を検出し、その位置に焦点調節する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−10898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のパンフォーカス処理だけでは、至近端から無限遠までの合焦可能な範囲において一度の駆動で顔検出できない場合があった。
【0005】
本発明は、良好な顔検出を行う撮像装置及びその制御方法を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての撮像装置は、撮影レンズの焦点調節状態を位相差方式で検出する焦点検出手段と、被写体からの光を光電変換して画像データを生成する撮像手段と、前記被写体からの光を前記焦点検出手段に導く第1光路と前記撮像手段に導く第2光路とを切り替える光路切替手段と、前記画像データから前記被写体の顔を検出する顔検出手段と、前記焦点検出手段の検出結果に基づいて前記撮影レンズを移動して焦点調節を行うと共に前記光路切替手段が前記第2光路を設定するように前記光路切替手段を制御した後に、前記顔検出手段に前記被写体の顔を検出させるよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明の他の側面としての撮像装置の制御方法は、撮影レンズの焦点調節状態を位相差方式で検出する焦点検出手段と、被写体からの光を光電変換して画像データを生成する撮像手段と、前記被写体からの光を前記焦点検出手段に導く第1光路と前記撮像手段に導く第2光路とを切り替える光路切替手段とを有する撮像装置の制御方法であって、前記画像データから前記被写体の顔を検出する顔検出ステップと、前記焦点検出手段の検出結果に基づいて前記撮影レンズを移動して焦点調節を行うと共に前記光路切替手段が前記第2光路を設定するように前記光路切替手段を制御した後に、前記顔検出ステップにて前記被写体の顔を検出させるよう制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、位相差方式の焦点検出を行うと共に良好な顔検出を行う撮像装置とその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】撮像装置のミラーダウン状態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す撮像装置のミラーアップ状態を示すブロック図である。
【図3】図1に示す撮像装置の動作を説明するためのフローチャートである(実施例1)。
【図4】図1に示す撮像装置の動作を説明するためのフローチャートである(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1と図2は、レンズ交換型の撮像装置の構成を示すブロック図であり、両図は被写体からの光が導かれる光路において異なっている。図1は、被写体からの光が第1光路を通って位相差方式の焦点検出部41と光学ファインダーに導かれた状態を示している(ミラーダウン)。図2は、被写体からの光が第2光路を通って撮像素子14に導かれた状態を示している(ミラーアップ)。第1光路と第2光路は切換可能である。
【0010】
撮像装置は、カメラ本体100とカメラ本体100に交換可能に装着されるレンズユニット300を有する。
【0011】
カメラ本体100は、被写体の画像を撮影、処理、記録その他の処理を行う。これらの処理は、位相差検出方式の焦点検出処理、撮像素子14により得られた画像データから人(被写体)の顔を検出する顔検出処理、撮像した画像データを逐次表示するライブビュー表示処理を含む。
【0012】
12は撮像素子14への露光量を制御するためのシャッターである。撮像素子14は被写体からの光を光電変換して画像データを生成する。16は撮像素子14のアナログ信号出力をデジタル信号(画像データ)に変換するA/D変換器である。18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
【0013】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からの画像データあるいはメモリ制御回路22からの画像データに対して画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路20は、画像データを用いて演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50はシャッター制御部36、コントラスト検出方式の焦点検出処理、AE(自動露出)処理及びEF(フラッシュプリ発光)処理の制御を行う。
【0014】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16のデータが、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、あるいはA/D変換器16のデータが直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24あるいはメモリ30に書き込まれる。
【0015】
28は液晶モニター等からなるカメラの背面に配置された画像表示部(背面モニター)であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介して画像表示部28に表示される。画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、背面モニターにて電子ファインダー機能を実現することができる。画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることができる。画像データを画像表示部28に逐次表示することをライブビュー表示といい、電子ファインダーに表示される画像をライブビュー画像という。
【0016】
メモリ30は撮影した静止画像や動画像を記憶することができ、システム制御回路50の作業領域としても使用することができる。圧縮・伸長回路32は画像データを圧縮伸長する。
【0017】
34はクイックリターンミラー130とAF(オートフォーカス)用サブミラー140を図1に示すミラーダウン位置と後述する図2に示すミラーアップ位置に移動させるためのモータと駆動回路からなるミラー制御部である。ミラー制御部34、クイックリターンミラー130及びAF用サブミラー140は光路切替部を構成する。光路切替部は、被写体からの光を位相差方式の焦点検出部41と光学ファインダーに導く第1光路(図1)と撮像素子14に導く第2光路(図2)との間で光路を切り替える。光路切替部が第1光路を設定するように又は第2光路を設定するように、光路切替部はシステム制御回路50によって制御可能である。
【0018】
シャッター制御部36は測光部46からの測光情報に基づいて、絞り312を制御する絞り制御部344と連携しながらシャッター12の開閉を制御する。
【0019】
38はレンズマウント106内において、カメラ本体100をレンズユニット300と接続するためのインターフェースであり、122はカメラ本体100をレンズユニット300と電気的に接続するコネクタである。
【0020】
位相差方式の焦点検出部41は、位相差方式の焦点検出を行う処理回路42、AFセンサー141及びメモリ142を有する。
【0021】
光路切替部が第1光路を設定すると、撮影レンズ311に入射した光は、絞り312、レンズマウント306及び106とクイックリターンミラー130を透過した後、AF用サブミラー140で反射(偏向)されてAFセンサー141に入射する。クイックリターンミラー130の表面はコーティングが施されており、被写体からの光を反射して後述の光学ファインダーに導く。
【0022】
位相差方式の焦点検出は、一対の再結像光学系によって得られる一対の光学像のずれ量(位相差)から撮影光学系の焦点状態を検出する方式である。処理回路42は、AFセンサー141の被写体像(光学像)の合焦状態を演算して複数の焦点検出視野に対する焦点検出を行って焦点調節信号を出力する。
【0023】
メモリ142は検出された検出結果を記憶する焦点記憶部を構成する。
【0024】
なお、カメラ本体100は、画像処理回路20にて得られた画像データのコントラスト成分によりコントラスト方式の焦点検出を行う不図示のコントラスト焦点検出部を備えている。コントラスト方式の焦点検出は、撮影レンズ311の(不図示のフォーカスレンズ)を移動してコントラストがピークとなるフォーカスレンズの位置を検出する方式(山登り方式)を利用する。
【0025】
測光部46は自動露出(AE)処理を行うと共にフラッシュ48と連携してEF(フラッシュプリ発光)処理機能も有する。
【0026】
システム制御回路(制御部、プロセッサ)50はカメラ本体100の全体を制御し、不図示のタイマーを内蔵している。52はシステム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。
【0027】
システム制御回路50は、位相差方式の焦点検出部41の検出結果に基づいて撮影レンズ311(のフォーカスレンズ)を移動して焦点調節を行う。また、ミラー制御部34が第2光路を設定するようにミラー制御部34を制御し、その後で、顔検出部58に被写体の顔を検出させる。このように、位相差方式で被写体にピントが合った状態で、システム制御回路50は図2の状態に光路を切り替えて被写体からの光が撮像素子14に導かれるようにし、撮像素子14が生成した画像データから人の顔を検出する顔検出を可能にしている。また、顔検出時には被写体の顔にピントが合っているので顔検出精度が向上する。
【0028】
54はシステム制御回路50でのプログラムの実行に応じて動作状態やメッセージを表示する液晶表示装置、スピーカー等の表示部である。表示部54の一部の機能は光学ファインダー内に設置されている。表示部54は、撮影枚数や撮影条件に関する情報の他、光学ファインダー内に、システム制御回路50が出力する合焦信号に基づく合焦表示を行うことができる。
【0029】
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリである。
【0030】
顔検出部58は、画像処理回路20からの画像データあるいはメモリ制御回路22からの画像データから被写体の顔を検出し、被写体の画像データを用いる限り、検出方式は特に限定されない。カメラ本体100は顔検出部58で検出した顔にピントが合うようにコントラスト方式により焦点調節を行う機能も有する。この方式は撮像素子14の画像データから人(被写体)の顔を検出してその顔に焦点調節を行うために撮像素子14の画像データが必要である。即ち、デジタル一眼レフでは、被写体からの光を位相差方式の焦点検出部41に光を導いているときには画像データが得られないために顔検出ができない。
【0031】
60はモードダイアルスイッチ(モード設定部)であり、電源オフ、オート撮影モード、マニュアル撮影モード、パノラマ撮影モード、マクロ撮影モード、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード等の各機能モードを設定することができる。モードダイアルスイッチ60は、例えば、ライブビューモード、静止画撮影モード、連写モードなどを設定することができる。
【0032】
62はシャッタースイッチ(SW1)で、不図示のシャッターボタンが半押しされるとONとなり、AF処理を含む動作開始を指示する。64はシャッタースイッチ(SW2)で、不図示のシャッターボタンが全押しされるとONとなり、撮影に関する一連の処理の動作開始を指示する。撮影に関する処理は、露光処理、現像処理及び記録処理を含む。シャッタースイッチ62、64は、焦点調節動作を起動する焦点調節起動部として機能する。
【0033】
66は画像表示ON/OFFスイッチで、画像表示部28のON/OFFを設定する。68はクイックレビューON/OFFスイッチで、撮影直後に撮影した画像データを自動再生するクイックレビュー機能を設定する。70は各種ボタンやタッチパネル等からなる操作部である。
【0034】
80は電源制御部、82及び84はコネクタであり、86は電源部、90及び94は記録媒体とのインターフェース(コネクタ)である。98はコネクタ92又は96に記録媒体を検知する記録媒体着脱検知部、110は通信部である。112は通信部110によりカメラ本体100を他の機器と接続するコネクタあるいは無線通信の場合はアンテナである。
【0035】
コネクタ122は、カメラ本体100とレンズユニット300との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合うと共に、各種電圧の電流を供給する機能も備えている。
【0036】
クイックリターンミラー130で反射された被写体からの光はペンタプリズム132で像反転して接眼レンズ133にて撮影者が被写体を観察する光学ファインダーを構成する。
【0037】
200及び210は記録媒体であり、記録部202、212、カメラ本体100とのインターフェース204、214、カメラ本体100と接続を行うコネクタ206、216を備えている。
【0038】
レンズユニット300において、311は撮影レンズであり、被写体の焦点調節を行う一又は複数のフォーカスレンズを含む。フォーカスレンズは光軸方向に移動可能に構成されている。312は絞りである。
【0039】
322はレンズユニット300をカメラ本体100と電気的に接続するコネクタである。338はレンズユニット300をカメラ本体100のコネクタ122と接続するためのインターフェースである。340は撮影レンズ311のズーム制御部、342は撮影レンズ311の焦点制御部である。346はレンズユニット300全体を制御するレンズシステム制御回路である。
【0040】
図2に示す状態では光学ファインダーには光が導かれず、撮影者は画像表示部28で被写体のライブビュー画像を観察することができる。このような状態では、撮像素子14からの画像データを画像処理回路20が演算して得られた演算結果に基づき、コントラスト方式の焦点調節制御を行うことができる。また、顔検出部58を用いて被写体の顔検出を行うことが可能である。
【実施例1】
【0041】
以下、図3を参照して、図1及び図2に示す撮像装置の動作について説明する。図3において、「S」はステップの略である。従来、ライブビュー画像を観察する時や動画撮影時に、撮像装置は上述したように被写界深度が浅いために被写体の顔を誤検出するという課題があった。そこで、本実施例では、ライブビューモードにおける位相差方式の焦点検出に基づく焦点調節により顔検出部58による顔検出の精度を高めている。なお、本実施例はライブビューモードだけでなく動画撮影モードにも適用可能である。
【0042】
まず、図1に示す状態で撮影者がライブビュー表示を行おうとする場合、撮影者は、モードダイアルスイッチ60でライブビューモードを設定し、光学ファインダーを介して好みの構図で不図示のシャッターボタンを半押しする。この結果、シャッタースイッチ62がON(起動)になり(S101)、ライブビューモードへの移行が開始する。
【0043】
次に、AFセンサー141の被写体像に対して処理回路42が位相差方式の焦点検出を行う(S102)。焦点検出部41の検出結果はメモリ142に記憶される(S103)。
【0044】
次に、システム制御回路50は、主被写体と思われる焦点検出視野を判定(取得)する(S104)。その後、システム制御回路50は、ミラー制御部34を制御してクイックリターンミラー130とAF用サブミラー140を図2に示すように移動する(ミラーアップ)。また、これと共に、システム制御回路50は、焦点検出結果に基づいて焦点制御部342を制御して撮影レンズ311(のフォーカスレンズ)を移動して焦点調節を行う(S105)。
【0045】
ライブビューモードに移行した後は、撮影者は画像表示部28で被写体像をリアルタイムで観察することができるが、焦点検出部41には光が導かれないので、以降はコントラスト方式の焦点検出に基づく焦点調節を行う。
【0046】
顔検出部58は、画像処理回路20からの画像データあるいはメモリ制御回路22からの画像データに対して顔検出を行い(S106)、その顔に焦点調節を行うことができる。このように、ライブビューモードを設定後にシャッタースイッチ62が焦点調節動作を起動すると、システム制御回路50はライブビューモードへの移行を開始すると共に焦点調節を行い、その後に、顔検出部58に被写体の顔を検出させる。本実施例では、位相差方式で被写体にピントを合わせてから顔検出を行っている。予め主被写体と思われる視野にピントが合っているので、被写界深度が浅い撮像装置であっても顔の誤検出や検出不能が少なくなり、顔検出精度を向上することができる。
【0047】
ライブビューモードで被写体を観察しているときに、撮影者が構図を変更したり、撮影対象を変更したりした場合には大きくピントがズレてしまう場合がある。この場合に、コントラスト方式の焦点調節でピントを合わせることも可能であるが、時間がかかる。そこで、撮影者は再度シャッターボタンを半押ししてシャッタースイッチ62をONにする(S108)。
【0048】
撮影者がシャッターボタンを全押ししてシステム制御回路50がシャッタースイッチ64をONになったと判断すると(S109のY)、静止画撮影を行う(S111)。撮影が終了すると、システム制御回路50は、クイックリターンミラー130を図1に示すように移動し(ミラーダウン)(S112)し、処理を終了する(S113)。
【0049】
一方、システム制御回路50は、不図示のタイマーを使用してS108後に所定時間シャッタースイッチ62がONされないと判断すると(S109のN)、ミラー制御部34を制御する。この結果、クイックリターンミラー130とAF用サブミラー140は図1に示すように移動し(ミラーダウン)(S110)、その後、フローはS102に戻る。これにより、位相差方式で被写体にピントを合わせてから顔検出を行うことができる。
【0050】
このように、顔検出部58が被写体の顔を検出した後でシャッタースイッチ62が再度焦点調節動作を起動して撮影がなされなかった場合には、システム制御回路50は、ミラー制御部34が図1に示す第1光路を設定するようにミラー制御部34を制御する。そして、焦点検出部41による検出、その検出結果を利用した焦点調節及び顔検出部58による顔検出を繰り返す。これにより、一旦図2に示す状態に移行した後でも図1に示す状態に戻すことによって位相差方式で被写体にピントを合わせてから顔検出を行うことができる。
【0051】
なお、システム制御回路50は、S107後に、所定時間シャッタースイッチ62がONにならなかったと判断した場合(S108のN)又はモードダイアルスイッチ60が操作されてライブビューモードが終了されたと判断すると処理を終了する(S113)。
【実施例2】
【0052】
以下、図4を参照して、図1及び図2に示す撮像装置の別の動作について説明する。図4において、「S」はステップの略である。
【0053】
位相差方式の焦点検出はコントラスト方式の焦点検出よりも高速で短時間の焦点調節が可能である。しかし、撮像装置では、被写体からの光を焦点検出部41に導く第1光路と撮像素子14に導く第2光路が分かれている。このため、被写体からの光を焦点検出部41に導くと(撮像素子14には被写体からの光が届かないので)画像データが得られずに顔検出ができない。本実施例は、位相差方式の焦点検出で得られた焦点検出視野に顔検出の検出位置が適合した状態で静止画撮影を行うことを可能にしている。
【0054】
まず、図1に示す状態で撮影者が静止画撮影を行おうとする場合、撮影者は、光学ファインダーを介して好みの構図で不図示のシャッターボタンを半押しする。この結果、シャッタースイッチ62がON(起動)し(S121)、撮影準備を開始する。
【0055】
次に、AFセンサー141の被写体像に対して処理回路42が位相差方式の焦点検出を行う(S122)。焦点検出部41の検出結果はメモリ142に記憶される(S123)。
【0056】
次に、システム制御回路50は、主被写体と思われる焦点検出視野を判定(取得)する(S124)。その後、システム制御回路50は、ミラー制御部34を制御してクイックリターンミラー130とAF用サブミラー140を図2に示すように移動する(ミラーアップ)。また、これと共に、システム制御回路50は、焦点検出結果に基づいて焦点制御部342を制御して撮影レンズ311(のフォーカスレンズ)を移動して焦点調節を行う(S125)。
【0057】
次に、顔検出部58は、画像処理回路20からの画像データあるいはメモリ制御回路22からの画像データに対して顔検出を行う(S126)。
【0058】
次に、システム制御回路50は、顔検出部58が検出した顔の位置にS124で取得した焦点検出視野が適合しているかどうかを判断する(S127)。適合しているかどうかは、焦点検出視野の位置が検出された顔位置の許容範囲内にあるかどうか(又は設定された焦点検出視野の範囲内に顔位置があるかどうかで判断する。
【0059】
システム制御回路50は、適合していると判断すると(S127のY)、合焦信号を出力する(S128)。一方、システム制御回路50は、適合していないと判断すると(S127のN)、適合する焦点検出視野の情報をメモリ142から取得してその位置に焦点制御部342を制御して焦点調節を行い(S129)、その後、合焦信号を出力する(S128)。
【0060】
撮影者は、合焦信号を表示部54で確認した後に、シャッターボタンを全押ししてシャッタースイッチ64をONにすることができる。本実施例では、位相差方式の焦点検出で検出された焦点検出視野と顔検出で検出された顔位置とが一致したことを示す合焦信号が出力された状態で撮影者は静止画撮影を行うことができる。このため、撮影者は被写体をその焦点調節状態が良好な状態で撮影することができる。
【0061】
システム制御回路50は、シャッタースイッチ64がONになったと判断すると(S130のY)、静止画撮影を行い(S131)、システム制御回路50はミラー制御部34を制御する。この結果、クイックリターンミラー130とAF用サブミラー140は図1に示す状態に移動する(ミラーダウン)(S130)。一方、システム制御回路50は、内蔵タイマーを使用して所定期間シャッタースイッチ64がOFFのままであると判断すると(S130のY)、処理を終了する(S134)。
【0062】
システム制御回路50は、S132の後で、モードダイアルスイッチ60を介して連写モードが設定されていると判断すると(S133)、連写が終了したかどうかを判断し(S135)、終了していなければ(S135のN)フローはS122に戻る。システム制御回路50は、連写モードが設定されていないと判断した場合(S133のN)や連写が終了したと判断した場合(S135のY)、処理を終了する(S134)。これにより、位相差方式で焦点調節された被写体を連写の各撮影時に撮影される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
撮像装置は、被写体の撮像に適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
14 撮像素子
28 画像表示部
34 ミラー制御部
41 焦点検出部
42 処理回路
50 システム制御回路(制御部、プロセッサ)
58 顔検出部
60 モードダイアルスイッチ(モード設定部)
62、64 シャッタースイッチ(焦点調節起動部)
130 クイックリターンミラー
140 AF用サブミラー
142 メモリ
311 撮影レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点調節機能を有する撮像装置とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から画像データから画像認識により検出された顔に焦点を合わせる焦点調節機能を搭載したカメラが知られている。しかし、撮像素子が大きく撮影レンズも比較的明るいレンズで構成されるカメラの場合には、被写界深度が浅いため、画像認識に用いる画像データがボケた状態になり、顔を検出する際の検出精度が低かった。そこで、特許文献1には、フォーカスレンズを移動させてパンフォーカス処理を行ってから画像認識処理を行うことによって被写体の顔の位置を検出し、その位置に焦点調節する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−10898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のパンフォーカス処理だけでは、至近端から無限遠までの合焦可能な範囲において一度の駆動で顔検出できない場合があった。
【0005】
本発明は、良好な顔検出を行う撮像装置及びその制御方法を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての撮像装置は、撮影レンズの焦点調節状態を位相差方式で検出する焦点検出手段と、被写体からの光を光電変換して画像データを生成する撮像手段と、前記被写体からの光を前記焦点検出手段に導く第1光路と前記撮像手段に導く第2光路とを切り替える光路切替手段と、前記画像データから前記被写体の顔を検出する顔検出手段と、前記焦点検出手段の検出結果に基づいて前記撮影レンズを移動して焦点調節を行うと共に前記光路切替手段が前記第2光路を設定するように前記光路切替手段を制御した後に、前記顔検出手段に前記被写体の顔を検出させるよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明の他の側面としての撮像装置の制御方法は、撮影レンズの焦点調節状態を位相差方式で検出する焦点検出手段と、被写体からの光を光電変換して画像データを生成する撮像手段と、前記被写体からの光を前記焦点検出手段に導く第1光路と前記撮像手段に導く第2光路とを切り替える光路切替手段とを有する撮像装置の制御方法であって、前記画像データから前記被写体の顔を検出する顔検出ステップと、前記焦点検出手段の検出結果に基づいて前記撮影レンズを移動して焦点調節を行うと共に前記光路切替手段が前記第2光路を設定するように前記光路切替手段を制御した後に、前記顔検出ステップにて前記被写体の顔を検出させるよう制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、位相差方式の焦点検出を行うと共に良好な顔検出を行う撮像装置とその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】撮像装置のミラーダウン状態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す撮像装置のミラーアップ状態を示すブロック図である。
【図3】図1に示す撮像装置の動作を説明するためのフローチャートである(実施例1)。
【図4】図1に示す撮像装置の動作を説明するためのフローチャートである(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1と図2は、レンズ交換型の撮像装置の構成を示すブロック図であり、両図は被写体からの光が導かれる光路において異なっている。図1は、被写体からの光が第1光路を通って位相差方式の焦点検出部41と光学ファインダーに導かれた状態を示している(ミラーダウン)。図2は、被写体からの光が第2光路を通って撮像素子14に導かれた状態を示している(ミラーアップ)。第1光路と第2光路は切換可能である。
【0010】
撮像装置は、カメラ本体100とカメラ本体100に交換可能に装着されるレンズユニット300を有する。
【0011】
カメラ本体100は、被写体の画像を撮影、処理、記録その他の処理を行う。これらの処理は、位相差検出方式の焦点検出処理、撮像素子14により得られた画像データから人(被写体)の顔を検出する顔検出処理、撮像した画像データを逐次表示するライブビュー表示処理を含む。
【0012】
12は撮像素子14への露光量を制御するためのシャッターである。撮像素子14は被写体からの光を光電変換して画像データを生成する。16は撮像素子14のアナログ信号出力をデジタル信号(画像データ)に変換するA/D変換器である。18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
【0013】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からの画像データあるいはメモリ制御回路22からの画像データに対して画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路20は、画像データを用いて演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50はシャッター制御部36、コントラスト検出方式の焦点検出処理、AE(自動露出)処理及びEF(フラッシュプリ発光)処理の制御を行う。
【0014】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16のデータが、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、あるいはA/D変換器16のデータが直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24あるいはメモリ30に書き込まれる。
【0015】
28は液晶モニター等からなるカメラの背面に配置された画像表示部(背面モニター)であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介して画像表示部28に表示される。画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、背面モニターにて電子ファインダー機能を実現することができる。画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることができる。画像データを画像表示部28に逐次表示することをライブビュー表示といい、電子ファインダーに表示される画像をライブビュー画像という。
【0016】
メモリ30は撮影した静止画像や動画像を記憶することができ、システム制御回路50の作業領域としても使用することができる。圧縮・伸長回路32は画像データを圧縮伸長する。
【0017】
34はクイックリターンミラー130とAF(オートフォーカス)用サブミラー140を図1に示すミラーダウン位置と後述する図2に示すミラーアップ位置に移動させるためのモータと駆動回路からなるミラー制御部である。ミラー制御部34、クイックリターンミラー130及びAF用サブミラー140は光路切替部を構成する。光路切替部は、被写体からの光を位相差方式の焦点検出部41と光学ファインダーに導く第1光路(図1)と撮像素子14に導く第2光路(図2)との間で光路を切り替える。光路切替部が第1光路を設定するように又は第2光路を設定するように、光路切替部はシステム制御回路50によって制御可能である。
【0018】
シャッター制御部36は測光部46からの測光情報に基づいて、絞り312を制御する絞り制御部344と連携しながらシャッター12の開閉を制御する。
【0019】
38はレンズマウント106内において、カメラ本体100をレンズユニット300と接続するためのインターフェースであり、122はカメラ本体100をレンズユニット300と電気的に接続するコネクタである。
【0020】
位相差方式の焦点検出部41は、位相差方式の焦点検出を行う処理回路42、AFセンサー141及びメモリ142を有する。
【0021】
光路切替部が第1光路を設定すると、撮影レンズ311に入射した光は、絞り312、レンズマウント306及び106とクイックリターンミラー130を透過した後、AF用サブミラー140で反射(偏向)されてAFセンサー141に入射する。クイックリターンミラー130の表面はコーティングが施されており、被写体からの光を反射して後述の光学ファインダーに導く。
【0022】
位相差方式の焦点検出は、一対の再結像光学系によって得られる一対の光学像のずれ量(位相差)から撮影光学系の焦点状態を検出する方式である。処理回路42は、AFセンサー141の被写体像(光学像)の合焦状態を演算して複数の焦点検出視野に対する焦点検出を行って焦点調節信号を出力する。
【0023】
メモリ142は検出された検出結果を記憶する焦点記憶部を構成する。
【0024】
なお、カメラ本体100は、画像処理回路20にて得られた画像データのコントラスト成分によりコントラスト方式の焦点検出を行う不図示のコントラスト焦点検出部を備えている。コントラスト方式の焦点検出は、撮影レンズ311の(不図示のフォーカスレンズ)を移動してコントラストがピークとなるフォーカスレンズの位置を検出する方式(山登り方式)を利用する。
【0025】
測光部46は自動露出(AE)処理を行うと共にフラッシュ48と連携してEF(フラッシュプリ発光)処理機能も有する。
【0026】
システム制御回路(制御部、プロセッサ)50はカメラ本体100の全体を制御し、不図示のタイマーを内蔵している。52はシステム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。
【0027】
システム制御回路50は、位相差方式の焦点検出部41の検出結果に基づいて撮影レンズ311(のフォーカスレンズ)を移動して焦点調節を行う。また、ミラー制御部34が第2光路を設定するようにミラー制御部34を制御し、その後で、顔検出部58に被写体の顔を検出させる。このように、位相差方式で被写体にピントが合った状態で、システム制御回路50は図2の状態に光路を切り替えて被写体からの光が撮像素子14に導かれるようにし、撮像素子14が生成した画像データから人の顔を検出する顔検出を可能にしている。また、顔検出時には被写体の顔にピントが合っているので顔検出精度が向上する。
【0028】
54はシステム制御回路50でのプログラムの実行に応じて動作状態やメッセージを表示する液晶表示装置、スピーカー等の表示部である。表示部54の一部の機能は光学ファインダー内に設置されている。表示部54は、撮影枚数や撮影条件に関する情報の他、光学ファインダー内に、システム制御回路50が出力する合焦信号に基づく合焦表示を行うことができる。
【0029】
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリである。
【0030】
顔検出部58は、画像処理回路20からの画像データあるいはメモリ制御回路22からの画像データから被写体の顔を検出し、被写体の画像データを用いる限り、検出方式は特に限定されない。カメラ本体100は顔検出部58で検出した顔にピントが合うようにコントラスト方式により焦点調節を行う機能も有する。この方式は撮像素子14の画像データから人(被写体)の顔を検出してその顔に焦点調節を行うために撮像素子14の画像データが必要である。即ち、デジタル一眼レフでは、被写体からの光を位相差方式の焦点検出部41に光を導いているときには画像データが得られないために顔検出ができない。
【0031】
60はモードダイアルスイッチ(モード設定部)であり、電源オフ、オート撮影モード、マニュアル撮影モード、パノラマ撮影モード、マクロ撮影モード、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード等の各機能モードを設定することができる。モードダイアルスイッチ60は、例えば、ライブビューモード、静止画撮影モード、連写モードなどを設定することができる。
【0032】
62はシャッタースイッチ(SW1)で、不図示のシャッターボタンが半押しされるとONとなり、AF処理を含む動作開始を指示する。64はシャッタースイッチ(SW2)で、不図示のシャッターボタンが全押しされるとONとなり、撮影に関する一連の処理の動作開始を指示する。撮影に関する処理は、露光処理、現像処理及び記録処理を含む。シャッタースイッチ62、64は、焦点調節動作を起動する焦点調節起動部として機能する。
【0033】
66は画像表示ON/OFFスイッチで、画像表示部28のON/OFFを設定する。68はクイックレビューON/OFFスイッチで、撮影直後に撮影した画像データを自動再生するクイックレビュー機能を設定する。70は各種ボタンやタッチパネル等からなる操作部である。
【0034】
80は電源制御部、82及び84はコネクタであり、86は電源部、90及び94は記録媒体とのインターフェース(コネクタ)である。98はコネクタ92又は96に記録媒体を検知する記録媒体着脱検知部、110は通信部である。112は通信部110によりカメラ本体100を他の機器と接続するコネクタあるいは無線通信の場合はアンテナである。
【0035】
コネクタ122は、カメラ本体100とレンズユニット300との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合うと共に、各種電圧の電流を供給する機能も備えている。
【0036】
クイックリターンミラー130で反射された被写体からの光はペンタプリズム132で像反転して接眼レンズ133にて撮影者が被写体を観察する光学ファインダーを構成する。
【0037】
200及び210は記録媒体であり、記録部202、212、カメラ本体100とのインターフェース204、214、カメラ本体100と接続を行うコネクタ206、216を備えている。
【0038】
レンズユニット300において、311は撮影レンズであり、被写体の焦点調節を行う一又は複数のフォーカスレンズを含む。フォーカスレンズは光軸方向に移動可能に構成されている。312は絞りである。
【0039】
322はレンズユニット300をカメラ本体100と電気的に接続するコネクタである。338はレンズユニット300をカメラ本体100のコネクタ122と接続するためのインターフェースである。340は撮影レンズ311のズーム制御部、342は撮影レンズ311の焦点制御部である。346はレンズユニット300全体を制御するレンズシステム制御回路である。
【0040】
図2に示す状態では光学ファインダーには光が導かれず、撮影者は画像表示部28で被写体のライブビュー画像を観察することができる。このような状態では、撮像素子14からの画像データを画像処理回路20が演算して得られた演算結果に基づき、コントラスト方式の焦点調節制御を行うことができる。また、顔検出部58を用いて被写体の顔検出を行うことが可能である。
【実施例1】
【0041】
以下、図3を参照して、図1及び図2に示す撮像装置の動作について説明する。図3において、「S」はステップの略である。従来、ライブビュー画像を観察する時や動画撮影時に、撮像装置は上述したように被写界深度が浅いために被写体の顔を誤検出するという課題があった。そこで、本実施例では、ライブビューモードにおける位相差方式の焦点検出に基づく焦点調節により顔検出部58による顔検出の精度を高めている。なお、本実施例はライブビューモードだけでなく動画撮影モードにも適用可能である。
【0042】
まず、図1に示す状態で撮影者がライブビュー表示を行おうとする場合、撮影者は、モードダイアルスイッチ60でライブビューモードを設定し、光学ファインダーを介して好みの構図で不図示のシャッターボタンを半押しする。この結果、シャッタースイッチ62がON(起動)になり(S101)、ライブビューモードへの移行が開始する。
【0043】
次に、AFセンサー141の被写体像に対して処理回路42が位相差方式の焦点検出を行う(S102)。焦点検出部41の検出結果はメモリ142に記憶される(S103)。
【0044】
次に、システム制御回路50は、主被写体と思われる焦点検出視野を判定(取得)する(S104)。その後、システム制御回路50は、ミラー制御部34を制御してクイックリターンミラー130とAF用サブミラー140を図2に示すように移動する(ミラーアップ)。また、これと共に、システム制御回路50は、焦点検出結果に基づいて焦点制御部342を制御して撮影レンズ311(のフォーカスレンズ)を移動して焦点調節を行う(S105)。
【0045】
ライブビューモードに移行した後は、撮影者は画像表示部28で被写体像をリアルタイムで観察することができるが、焦点検出部41には光が導かれないので、以降はコントラスト方式の焦点検出に基づく焦点調節を行う。
【0046】
顔検出部58は、画像処理回路20からの画像データあるいはメモリ制御回路22からの画像データに対して顔検出を行い(S106)、その顔に焦点調節を行うことができる。このように、ライブビューモードを設定後にシャッタースイッチ62が焦点調節動作を起動すると、システム制御回路50はライブビューモードへの移行を開始すると共に焦点調節を行い、その後に、顔検出部58に被写体の顔を検出させる。本実施例では、位相差方式で被写体にピントを合わせてから顔検出を行っている。予め主被写体と思われる視野にピントが合っているので、被写界深度が浅い撮像装置であっても顔の誤検出や検出不能が少なくなり、顔検出精度を向上することができる。
【0047】
ライブビューモードで被写体を観察しているときに、撮影者が構図を変更したり、撮影対象を変更したりした場合には大きくピントがズレてしまう場合がある。この場合に、コントラスト方式の焦点調節でピントを合わせることも可能であるが、時間がかかる。そこで、撮影者は再度シャッターボタンを半押ししてシャッタースイッチ62をONにする(S108)。
【0048】
撮影者がシャッターボタンを全押ししてシステム制御回路50がシャッタースイッチ64をONになったと判断すると(S109のY)、静止画撮影を行う(S111)。撮影が終了すると、システム制御回路50は、クイックリターンミラー130を図1に示すように移動し(ミラーダウン)(S112)し、処理を終了する(S113)。
【0049】
一方、システム制御回路50は、不図示のタイマーを使用してS108後に所定時間シャッタースイッチ62がONされないと判断すると(S109のN)、ミラー制御部34を制御する。この結果、クイックリターンミラー130とAF用サブミラー140は図1に示すように移動し(ミラーダウン)(S110)、その後、フローはS102に戻る。これにより、位相差方式で被写体にピントを合わせてから顔検出を行うことができる。
【0050】
このように、顔検出部58が被写体の顔を検出した後でシャッタースイッチ62が再度焦点調節動作を起動して撮影がなされなかった場合には、システム制御回路50は、ミラー制御部34が図1に示す第1光路を設定するようにミラー制御部34を制御する。そして、焦点検出部41による検出、その検出結果を利用した焦点調節及び顔検出部58による顔検出を繰り返す。これにより、一旦図2に示す状態に移行した後でも図1に示す状態に戻すことによって位相差方式で被写体にピントを合わせてから顔検出を行うことができる。
【0051】
なお、システム制御回路50は、S107後に、所定時間シャッタースイッチ62がONにならなかったと判断した場合(S108のN)又はモードダイアルスイッチ60が操作されてライブビューモードが終了されたと判断すると処理を終了する(S113)。
【実施例2】
【0052】
以下、図4を参照して、図1及び図2に示す撮像装置の別の動作について説明する。図4において、「S」はステップの略である。
【0053】
位相差方式の焦点検出はコントラスト方式の焦点検出よりも高速で短時間の焦点調節が可能である。しかし、撮像装置では、被写体からの光を焦点検出部41に導く第1光路と撮像素子14に導く第2光路が分かれている。このため、被写体からの光を焦点検出部41に導くと(撮像素子14には被写体からの光が届かないので)画像データが得られずに顔検出ができない。本実施例は、位相差方式の焦点検出で得られた焦点検出視野に顔検出の検出位置が適合した状態で静止画撮影を行うことを可能にしている。
【0054】
まず、図1に示す状態で撮影者が静止画撮影を行おうとする場合、撮影者は、光学ファインダーを介して好みの構図で不図示のシャッターボタンを半押しする。この結果、シャッタースイッチ62がON(起動)し(S121)、撮影準備を開始する。
【0055】
次に、AFセンサー141の被写体像に対して処理回路42が位相差方式の焦点検出を行う(S122)。焦点検出部41の検出結果はメモリ142に記憶される(S123)。
【0056】
次に、システム制御回路50は、主被写体と思われる焦点検出視野を判定(取得)する(S124)。その後、システム制御回路50は、ミラー制御部34を制御してクイックリターンミラー130とAF用サブミラー140を図2に示すように移動する(ミラーアップ)。また、これと共に、システム制御回路50は、焦点検出結果に基づいて焦点制御部342を制御して撮影レンズ311(のフォーカスレンズ)を移動して焦点調節を行う(S125)。
【0057】
次に、顔検出部58は、画像処理回路20からの画像データあるいはメモリ制御回路22からの画像データに対して顔検出を行う(S126)。
【0058】
次に、システム制御回路50は、顔検出部58が検出した顔の位置にS124で取得した焦点検出視野が適合しているかどうかを判断する(S127)。適合しているかどうかは、焦点検出視野の位置が検出された顔位置の許容範囲内にあるかどうか(又は設定された焦点検出視野の範囲内に顔位置があるかどうかで判断する。
【0059】
システム制御回路50は、適合していると判断すると(S127のY)、合焦信号を出力する(S128)。一方、システム制御回路50は、適合していないと判断すると(S127のN)、適合する焦点検出視野の情報をメモリ142から取得してその位置に焦点制御部342を制御して焦点調節を行い(S129)、その後、合焦信号を出力する(S128)。
【0060】
撮影者は、合焦信号を表示部54で確認した後に、シャッターボタンを全押ししてシャッタースイッチ64をONにすることができる。本実施例では、位相差方式の焦点検出で検出された焦点検出視野と顔検出で検出された顔位置とが一致したことを示す合焦信号が出力された状態で撮影者は静止画撮影を行うことができる。このため、撮影者は被写体をその焦点調節状態が良好な状態で撮影することができる。
【0061】
システム制御回路50は、シャッタースイッチ64がONになったと判断すると(S130のY)、静止画撮影を行い(S131)、システム制御回路50はミラー制御部34を制御する。この結果、クイックリターンミラー130とAF用サブミラー140は図1に示す状態に移動する(ミラーダウン)(S130)。一方、システム制御回路50は、内蔵タイマーを使用して所定期間シャッタースイッチ64がOFFのままであると判断すると(S130のY)、処理を終了する(S134)。
【0062】
システム制御回路50は、S132の後で、モードダイアルスイッチ60を介して連写モードが設定されていると判断すると(S133)、連写が終了したかどうかを判断し(S135)、終了していなければ(S135のN)フローはS122に戻る。システム制御回路50は、連写モードが設定されていないと判断した場合(S133のN)や連写が終了したと判断した場合(S135のY)、処理を終了する(S134)。これにより、位相差方式で焦点調節された被写体を連写の各撮影時に撮影される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
撮像装置は、被写体の撮像に適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
14 撮像素子
28 画像表示部
34 ミラー制御部
41 焦点検出部
42 処理回路
50 システム制御回路(制御部、プロセッサ)
58 顔検出部
60 モードダイアルスイッチ(モード設定部)
62、64 シャッタースイッチ(焦点調節起動部)
130 クイックリターンミラー
140 AF用サブミラー
142 メモリ
311 撮影レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズの焦点調節状態を位相差方式で検出する焦点検出手段と、
被写体からの光を光電変換して画像データを生成する撮像手段と、
前記被写体からの光を前記焦点検出手段に導く第1光路と前記撮像手段に導く第2光路とを切り替える光路切替手段と、
前記画像データから前記被写体の顔を検出する顔検出手段と、
前記焦点検出手段の検出結果に基づいて前記撮影レンズを移動して焦点調節を行うと共に前記光路切替手段が前記第2光路を設定するように前記光路切替手段を制御した後に、前記顔検出手段に前記被写体の顔を検出させるよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
画像を表示する画像表示手段と、
前記画像データを前記画像表示手段に逐次表示するライブビューモードを設定するモード設定手段と、
焦点調節動作を起動する焦点調節起動手段と、
を更に有し、
前記モード設定手段がライブビューモードを設定した後で前記焦点調節起動手段が前記焦点調節動作を起動すると、前記制御手段は前記ライブビューモードへの移行を開始すると共に焦点調節を行った後に、前記顔検出手段に前記被写体の顔を検出させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記顔検出手段が前記被写体の顔を検出した後で前記焦点調節起動手段が再度焦点調節動作を起動して撮影がなされなかった場合には、前記制御手段は、前記光路切替手段が前記第1光路を設定するように前記光路切替手段を制御してから前記焦点検出手段による検出、焦点調節及び前記顔検出手段による顔検出を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記焦点検出手段の検出結果を記憶するメモリと、
焦点調節動作を起動する焦点調節起動手段と、
静止画撮影モードを設定するモード設定手段と、
を更に有し、
前記モード設定手段が静止画撮影モードを設定した後で前記焦点調節起動手段が前記焦点調節動作を起動すると、前記制御手段は主被写体の焦点検出視野の情報を取得して焦点調節を行い、その後、顔検出手段が検出した顔の位置に前記焦点検出視野が適合しているかどうかを判断し、適合していれば合焦信号を出力し、適合していなければ前記メモリから適合する焦点検出視野の情報を取得して焦点調節を行った後で前記合焦信号を出力し、前記制御手段が前記合焦信号を出力した後で静止画撮影が行われることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
静止画を連写する連写モードを設定するモード設定手段を更に有し、
前記連写モードにおいて静止画が撮影された場合、前記制御手段は、前記光路切替手段が前記第1光路を設定するように前記光路切替手段を制御してから前記焦点検出手段による検出、焦点調節及び前記顔検出手段による顔検出を繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮影レンズの焦点調節状態を位相差方式で検出する焦点検出手段と、被写体からの光を光電変換して画像データを生成する撮像手段と、前記被写体からの光を前記焦点検出手段に導く第1光路と前記撮像手段に導く第2光路とを切り替える光路切替手段とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記画像データから前記被写体の顔を検出する顔検出ステップと、
前記焦点検出手段の検出結果に基づいて前記撮影レンズを移動して焦点調節を行うと共に前記光路切替手段が前記第2光路を設定するように前記光路切替手段を制御した後に、前記顔検出ステップにて前記被写体の顔を検出させるよう制御する制御ステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項1】
撮影レンズの焦点調節状態を位相差方式で検出する焦点検出手段と、
被写体からの光を光電変換して画像データを生成する撮像手段と、
前記被写体からの光を前記焦点検出手段に導く第1光路と前記撮像手段に導く第2光路とを切り替える光路切替手段と、
前記画像データから前記被写体の顔を検出する顔検出手段と、
前記焦点検出手段の検出結果に基づいて前記撮影レンズを移動して焦点調節を行うと共に前記光路切替手段が前記第2光路を設定するように前記光路切替手段を制御した後に、前記顔検出手段に前記被写体の顔を検出させるよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
画像を表示する画像表示手段と、
前記画像データを前記画像表示手段に逐次表示するライブビューモードを設定するモード設定手段と、
焦点調節動作を起動する焦点調節起動手段と、
を更に有し、
前記モード設定手段がライブビューモードを設定した後で前記焦点調節起動手段が前記焦点調節動作を起動すると、前記制御手段は前記ライブビューモードへの移行を開始すると共に焦点調節を行った後に、前記顔検出手段に前記被写体の顔を検出させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記顔検出手段が前記被写体の顔を検出した後で前記焦点調節起動手段が再度焦点調節動作を起動して撮影がなされなかった場合には、前記制御手段は、前記光路切替手段が前記第1光路を設定するように前記光路切替手段を制御してから前記焦点検出手段による検出、焦点調節及び前記顔検出手段による顔検出を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記焦点検出手段の検出結果を記憶するメモリと、
焦点調節動作を起動する焦点調節起動手段と、
静止画撮影モードを設定するモード設定手段と、
を更に有し、
前記モード設定手段が静止画撮影モードを設定した後で前記焦点調節起動手段が前記焦点調節動作を起動すると、前記制御手段は主被写体の焦点検出視野の情報を取得して焦点調節を行い、その後、顔検出手段が検出した顔の位置に前記焦点検出視野が適合しているかどうかを判断し、適合していれば合焦信号を出力し、適合していなければ前記メモリから適合する焦点検出視野の情報を取得して焦点調節を行った後で前記合焦信号を出力し、前記制御手段が前記合焦信号を出力した後で静止画撮影が行われることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
静止画を連写する連写モードを設定するモード設定手段を更に有し、
前記連写モードにおいて静止画が撮影された場合、前記制御手段は、前記光路切替手段が前記第1光路を設定するように前記光路切替手段を制御してから前記焦点検出手段による検出、焦点調節及び前記顔検出手段による顔検出を繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮影レンズの焦点調節状態を位相差方式で検出する焦点検出手段と、被写体からの光を光電変換して画像データを生成する撮像手段と、前記被写体からの光を前記焦点検出手段に導く第1光路と前記撮像手段に導く第2光路とを切り替える光路切替手段とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記画像データから前記被写体の顔を検出する顔検出ステップと、
前記焦点検出手段の検出結果に基づいて前記撮影レンズを移動して焦点調節を行うと共に前記光路切替手段が前記第2光路を設定するように前記光路切替手段を制御した後に、前記顔検出ステップにて前記被写体の顔を検出させるよう制御する制御ステップとを有することを特徴とする制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2011−64987(P2011−64987A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216309(P2009−216309)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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