説明

撮像装置及びその制御方法

【課題】固体撮像素子に生じる変動レベル傷のデータ収集を継続的に行うことによって高品質な画像を得る撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置では、撮像素子314が被写体の光学像を電気信号に変換し、メモリ部326が撮像素子314の欠陥画素データを保持し、システム制御回路324が備えるCPUがメモリ部326に記憶された欠陥画素の欠陥画素データに基づいて欠陥画素を補正し、また、撮像素子314による撮影画像を処理する情報を生成するための基準画像を撮影し、基準画像を用いて欠陥画素である変動レベル傷を検出し、欠陥画素に対する画素データの補正処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子を用いて静止画像や動画像を撮像する撮像装置に関し、特に、固体撮像素子の特性に起因する欠陥画素の検出及び補正を行う撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体撮像素子を利用した撮像装置では、撮像装置を出荷する前に固体撮像素子に起因する欠陥画素を検出して撮像装置内に欠陥画素データとして記憶し、撮影時には欠陥画素データを用いて欠陥画素を周辺画素データで補正している。また、撮像装置を出荷した後に固体撮像素子に発生する欠陥画素に対しては、使用者に欠陥画素の検出を行わせる場合がある。
【0003】
欠陥画素には、暗電流に起因する白い点傷、画素毎の感度差に起因する感度傷、内部構造に起因して発生し、撮影毎にレベル変動し発生周期がランダムな変動レベル傷がある。また、一般的に宇宙線等の影響により発生し、撮像装置の出荷後に発生する宇宙線傷等の欠陥画素もある。
【0004】
このうち、白い点傷を検出するためには遮光して撮影する必要がある。例えば、シャッタを用いて固体撮像素子を光学的に遮光した撮影画像で検出を行い、欠陥画素判別閾値をゲイン量や温度情報に基づいて変えることで検出精度を向上させる検出方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3014895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の白い点傷の検出方法とは異なり、変動レベル傷を検出するためには、固体撮像素子に均一輝度面を露光させ、複数回の撮影を行って検出頻度を上げる必要がある。しかし、製造工程の限られた時間内で全ての変動レベル傷を検出することは困難である。また、出荷後の使用者環境における変動レベル傷の検出条件を、製造工程の環境で揃えることは困難である。
【0007】
本発明は、固体撮像素子に生じる変動レベル傷のデータ収集を継続的に行うことによって高品質な画像を得る撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る撮像装置は、被写体の光学像を電気信号に変換して出力する撮像手段と、前記撮像手段の欠陥画素データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記欠陥画素データに基づいて前記欠陥画素の位置に対応する画像データを補正する補正手段と、前記撮像手段による撮影画像を処理する情報を生成するための基準画像を前記撮像手段を露光した状態で撮影し、前記基準画像を用いて前記欠陥画素を検出する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮影画像が均一輝度面である場合に固体撮像素子に生じる変動レベル傷を検出する頻度を多くして、発生周期が区々な欠陥画素の検出を継続的に行い、欠陥画素に対する画素データの補正に用いるため、より高品質な画像を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る変動レベル傷の検出処理のフローチャートである。
【図2】変動レベル傷を検出するための基準画像の撮影画面の例である。
【図3】本発明の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図1のステップS107で生成される基準画像の概念図である。
【図5】基準画像の画面均一判定処理(図1のS109)のフローチャートである。
【図6】変動レベル傷検出処理(図1のS111)のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<撮像装置のシステム構成>
図3は、本発明の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。撮像装置300は、変倍レンズ310と、焦点調節レンズ311と、後段への光束を遮断するメカニカルシャッタ312と、後段への光束を調節する絞りとNDフィルタ313と、撮像素子314とを有する。撮像素子314は、被写体の光学像を電気信号に変換して出力する。タイミング発生器315は、撮像素子314の駆動とサンプリングに必要なタイミングパルスを発生する。また、タイミング発生器315のタイミングパルスに基づいて、CDS素子316が、撮像素子314の出力の二重相関サンプリングを行う。CDS素子316からの出力は、A/D変換器317によって量子化される。
【0013】
撮像装置300は、撮像出力となるA/D変換器317の出力を受けて画像処理を行う画像処理部318を備えている。画像処理部318は、前処理回路、輝度積分回路、信号処理回路、縮小回路、ラスタブロック変換回路及び圧縮回路を含む。前処理回路は、入力画像をライン単位で輝度積分回路と信号処理回路とに分配する。また、前処理回路は、撮像素子314の欠陥画素データを入力し、対応する画素を固定値にマーキングし或いは前置補間して簡易補正を行う。前処理回路は更にその後段回路において、マーキングされた画素データを保持して後段に出力する機能を併せ持ち、各処理に適した補正処理を行う。
【0014】
輝度積分回路は、RGB信号から輝度成分を混合生成し、入力画像を複数領域に分割して領域毎に輝度成分を生成する。また、輝度積分回路は、RGB信号から色空間座標に変換するための演算処理を行い、撮影画面内に設定された領域内の全画素について色毎に白抽出積分を行う。得られた白抽出積分データは、ホワイトバランスを取るための各色に掛ける白係数を求めるために使用される。
【0015】
信号処理回路は、A/D変換器317の出力データに色キャリア除去、アパーチャー補正、ガンマ補正処理等を行って輝度信号を生成すると同時に、先の白係数等を用いてホワイトバランスを取る。また、信号処理回路は、色補間、マトリックス変換、ガンマ処理、ゲイン調整(撮像素子314からの出力の増幅)等を施して色差信号を生成し、メモリ部326にYUV形式の画像データを保存する。
【0016】
縮小回路は、信号処理回路からの出力を受けて、入力される画素データの切り出し、間引き及び線形補間処理等を行い、水平/垂直の両方向で画素データの縮小処理を施す。ラスタブロック変換回路は、縮小回路で変倍されたラスタスキャン画像データをブロックスキャン画像データに変換する。こうした一連の画像処理には、メモリ部326がバッファメモリとして用いられて実現され、バッファメモリでブロックスキャンデータに変換した画像データは、圧縮回路にてブロック単位で圧縮される。
【0017】
上述した各種制御は、制御手段として、CPUとそのインターフェイス回路、DMAC(Direct・Momory・Access・Controller)、バスアービター等で構成されるシステム制御回路324によって統括されている。CPUが実行するプログラム及び撮像素子314の欠陥画素データは、欠陥画素記憶手段としてのフラッシュメモリ325に記憶されている。なお、撮像素子314の欠陥画素データは、撮像装置300の起動時にメモリ部326に展開され、DMACを経由して画像処理部318に入力される。
【0018】
撮像装置300は、メカニカルシャッタ312及び絞り313を制御する露出制御部319と、変倍レンズ310及び焦点調節レンズ311を光軸上に沿って移動させ、被写界像を撮像素子314上に結像させるレンズ制御部320とを有する。また、撮像装置300は、ユーザが表示画像の切り替えを行うための表示切替スイッチ321と、ホワイトバランスを設定する画面に切り替え、ホワイトバランスモードを設定するWB切替スイッチ322とを有する。撮像装置300におけるモード等の選択設定は、十字スイッチ323の操作により行われる。十字スイッチ323は、表示切替スイッチ321の操作による表示切替には、ライブ画像と共に撮像装置の設定状態を示す情報表示するか否かを選択するスイッチとしても使用される。
【0019】
撮像装置300は、電源となる電池342、撮像装置300に電池342を保持させる電池BOX340、画像を記憶する記憶媒体332、記憶媒体332への書き込み禁止を検出するスイッチ333、記憶媒体332の着脱を検出するスイッチ329を有する。撮像装置300と電池342とは、切片370,341で係合、接続される。撮像装置300と記憶媒体332とは切片328,331で係合、接続され、記憶媒体332とシステム制御回路324とはI/F部327を介してデータの受け渡しを行う。
【0020】
撮像装置300では、再生回路350が、画像処理部318で生成されてメモリ部326に記憶された画像データを表示用画像に変換してモニタ(表示装置)351に転送する。再生回路350は、YUV形式の画像データを輝度成分信号Yと変調色差成分Cとに分離し、D/A変換によりアナログ化されたY信号にLPFを施すと共に、D/A変換後のアナログC信号にBPFを施して変調色差成分の周波数成分のみを抽出する。再生回路350は、こうして生成された信号成分とサブキャリア周波数に基づいて、Y信号とRGB信号に変換生成してモニタ351に出力する。こうして、撮像素子314からの画像データが逐次処理されることによってEVFが実現される。
【0021】
<基準画像の撮影と変動レベル傷検出>
図1は変動レベル傷の検出処理のフローチャートであり、図2は変動レベル傷を検出するための基準画像の撮影画面の例である。先ず、システム制御回路324のCPUは、使用者によりWB切替スイッチ(SW)322が押下されたかを判定する(ステップS101)。CPUは、WB切替スイッチ322が押下されるまで待機し(S101:NO)、WB切替スイッチ322が押下されると(S101:YES)、処理をステップS102に進める。ステップS102では、CPUは、図2(A)に示すように、EVFと共にホワイトバランスモードを設定するGUIをモニタ351の画面に表示する。
【0022】
続いて、CPUは、十字スイッチ323で基準画像取り込みモードの選択が行われたかを判定する(ステップS103)。CPUは、基準画像取り込みモードが選択されるまで待機する(S103:NO)。基準画像取り込みモードが選択されると(S103:YES)、CPUは、図2(B)に示すように、撮影された画像の画面全体に、取り込む画像範囲を示す。また、CPUは、表示切替スイッチ321で基準画像を画面全体で取り込むガイダンス(「白データ取り込み」)を表示する(ステップS104)。
【0023】
次に、CPUは、表示切替スイッチ321が押下されたかを判定し(ステップS105)。表示切替スイッチ321が押下されるまで待機する(S105:NO)。図2(B)に示す画面で表示切替スイッチ321が押下されると(S105:YES)、CPUは、基準画像撮影用の露出制御を行い(ステップS106)、複数枚の撮影と以下の処理により基準画像を生成する(ステップS107)。テップS106の基準画像撮影用の露出制御の詳細は後述する。
【0024】
ステップS107の基準画像の生成では、最初に、CPUは、撮像素子314の出力データに対して、工場調整時に検出された欠陥画素の座標に相当する画素を固定値に設定してマーキングを行い、一旦、メモリ部326に記憶する。続いて、CPUは、撮影画像の画像データに対して欠陥画素のマーキングを行うと共に、先にメモリ部326に記憶した撮影画像の画像データを読み出して、欠陥画素としてマーキングされた画素を除いた画素について同一座標で画素値の比較を行う。比較の結果、画素値の最大値を選択し、その最大値を示す画素のマーキングを行い、再度、メモリ部326に画像データを記憶する。撮影毎にこのような処理を行って、1枚の基準画像を生成する。
【0025】
なお、画像処理部318は、マーキングされた欠陥画素を補正した上で、各種の画像処理を行う。図4は、ステップS107で生成される基準画像の概念図であり、マーキングされた欠陥画素及び最大値として選択された画素がマーキングされている。
【0026】
ステップS107の後、CPUは、生成した基準画像からホワイトバランスの基準となる白係数を算出し(ステップS108)、基準画像のそれぞれについて画面均一であるかを判定する(ステップS109)。CPUは、基準画像が画面均一であると判定した場合(S109:YES)、変動レベル傷検出を行い(ステップS111)、その後、処理を終了させる。CPUは、基準画像が画面均一でないと判定した場合(S109:NO)、処理を終了させる。ステップS111の変動レベル傷検出の詳細は後述する。
【0027】
[基準画像撮影のための露出制御]
ここでは、ステップS106の処理、すなわち、基準画像撮影時の露出制御ついて詳細に説明する。ホワイトバランスの基準画像を撮影するときには、鑑賞画質は重要ではないため、欠陥画素の検出に適した露出条件で撮影を行う。欠陥画素を検出するための基準画像撮影では、CPUは、絞りとNDフィルタ313で撮像素子314に入射する光量を絞り込み、ゲイン量を所定値に設定した上で、蓄積時間が長くなるようにメカニカルシャッタ312を制御する。
【0028】
それ以外の制御に関しては、通常の露出制御と大きくは変わらない。例えば、上述の通り、絞りとNDフィルタ313を最大絞りに設定し、ゲインを所定値に設定した状態で、撮像素子314を露光させる。こうして得られる撮像出力は画像処理部318の輝度積分回路で積分され、輝度情報から被写界輝度が測光され、被写体輝度に応じて蓄積時間が決定される。
【0029】
なお、撮像素子314の特性に応じて、欠陥画素を検出する際の蓄積時間とゲイン量を制限し、基準画像を撮影する際の露出条件が一定範囲内に納まらない場合には、基準画像による欠陥画素検出を行わないようにしてもよい。
【0030】
[基準画像の画面均一判定]
ここでは、ステップS109の判定手法、すなわち、基準画像の画面均一判定処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。先ず、画像処理部318の輝度積分回路は、ステップS107において欠陥画素のマーキングを施した画像データに対して、前置補間で補正処理を行いながら画面を複数枠に分割して積分し、枠毎の輝度の積分値を算出する(ステップS501)。
【0031】
続いて、CPUは、積分枠のうちの1つを対象枠としてその積分値を抽出し(ステップS502)、更に対象枠の周辺枠の積分値を抽出し(ステップS503)、各枠の積分値が所定範囲に納まっているかを判定する(ステップS504)。各枠の積分値が所定範囲に納まっていない場合(S504:NO)、判定手段として機能するCPUは、均一面でないと判断し(ステップS505)、処理を終了させる。
【0032】
一方、CPUは、各枠の積分値が所定範囲に納まっている場合(S:504:YES)、対象枠内から対象画素を抽出する(ステップS506)。ステップS506で抽出される対象画素は、対象枠に対応する基準画像のマーキングされた欠陥画素を除く画素である。CPUは、抽出した対象画素の周辺の同色画素を抽出し(ステップS507)、対象画素とこれに隣接する同色画素(本実施形態では対象画素の上下左右の同色画素)の画素値が所定範囲内に納まっているかを判定する(ステップS508)。
【0033】
対象画素と上下左右の同色画素の画素値が所定範囲内に納まっていない場合(S508:NO)、CPUは、均一面でないと判断し(ステップS505)、その後、処理を終了させる。対象画素と上下左右の同色画素の画素値が所定範囲内に納まっている場合(S508:YES)、CPUは、対象枠内の全ての画素についてステップS506〜S508の処理が終了したかを判定する(ステップS509)。CPUは、対象枠内の全ての画素について処理が終了していない場合(S509:NO)、処理をステップS506に戻し、対象枠内の全ての画素について処理が終了すると(S509:YES)、処理をステップS510へ進める。
【0034】
ステップS510では、CPUは、積分枠の全て(全ての対象枠)についてステップS506〜S509の処理が終了したかを判定する。積分枠の全てについて処理が終了していない場合(S510:NO)、CPUは、処理をステップS502に戻す。すなわち、積分枠のうち、ステップS502〜S509の処理がなされていない積分枠を対象枠として、ステップS502〜S509の処理を行う。ステップS510の判断が「YES」となる場合には、全ての積分枠の全ての画素についてステップS504,508の判断が「YES」となるので、CPUは、基準画像が均一面と判断して(ステップS511)、その後、処理を終了させる。
【0035】
[変動レベル傷検出]
ここでは、ステップS111の変動レベル傷の検出処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。最初に、CPUは、撮像素子314の周辺に配置したサーミスタの出力をA/D変換して温度を測定し、温度に応じた閾値(T値)を算出する(ステップS601)。CPUは、黒レベル(OB)がT値未満かを判定し(ステップS602)、黒レベル(OB)がT値以上の場合(S602:NO)、処理を終了させる。黒レベル(OB)がT値未満の場合(S602:YES)、CPUは、対象画素の周辺の同色の9画素を抽出し、画素レベル値で並び替え、中心の2画素(4番目と5番目)の平均値であるK値(メディアンフィルタK値)を演算する(ステップS603)。なお、画素レベル値は、各画素に対してRGB毎に256段階の値で付与されている。
【0036】
続いて、CPUは、K値がT値よりも大きいかを判定する(ステップS604)。K値がT値以下の場合(S604:NO)、CPUは処理を終了させる。K値がT値よりも大きい場合(S604:YES)、CPUは、対象画素がステップS107にて最大値マーキングされた画素であるかを判定する(ステップS605)。
【0037】
最大値マーキングされた画素ではない場合(S605:NO)、CPUは、処理を後述するステップS610へ進め、一方、最大値マーキングされた画素である場合(S605:YES)、対象画素の画素レベル値がK値以上かを判定する(ステップS606)。対象画素の画素レベル値がK値以上の場合、CPUは、“H=1−〔(K−OB)/(対象画素−OB)〕”にしたがってH値を求める(ステップS607)。対象画素の画素レベル値がK値未満の場合、CPUは、“H=1−〔(対象画素−OB)/(K−OB)〕”にしたがってH値を求める(ステップS608)。
【0038】
CPUは、ステップS607,S608で求めたH値を、座標データと共に新たに検出された欠陥画素の欠陥画素データとして登録する(ステップS609)。そして、CPUは、上述したステップS601〜S609の処理を全ての画素について検査したかを判定する(ステップS610)。全ての画素について検査が終了していない場合(S610:NO)、CPUは処理をステップS601に戻す。全ての画素について検査が終了した場合(S610:YES)、CPUは、最終的な欠陥画素データをフラッシュメモリ325に記憶し(ステップS611)、その後、処理を終了させる。
【0039】
最終的な欠陥画素データをフラッシュメモリ325に記憶するときに、新しい領域に記憶すると共に、工場調整時に記憶した欠陥画素データとマージしてメモリ部326に記憶して、以後に行われる欠陥画素に対する補正処理に使用する。なお、変動レベル傷検出処理で検出された変動レベル傷は、フラッシュメモリ325に記憶された前回までに検出された変動レベル傷データとマージして記憶される。勿論、変動レベル傷検出処理において、前回までの変動レベル傷データとマージしながら変動レベル傷データを生成し記憶してもよい。更に、変動レベル傷の補正個数を限定し(つまり、フラッシュメモリ325に記憶する容量を制限し)、マージする際に容量制限内の上位から優先して記憶するように構成することも可能である。工場調整時の欠陥画素データとマージする際には、変動レベル傷を優先して採用することが望ましい。
【0040】
以上、本実施形態によれば、工場調整時に検出した欠陥画素に加え、工場調整時に検出できなかった変動レベル傷のような欠陥画素を固体撮像素子に均一面を露光させて得られる画像で検出する。こうして、工場からの出荷後も継続的に取得した欠陥画素に対して、工場調整時に検出された欠陥画素と同様に補正することによって、より優れた画質を得るための画像処理が可能となる。また、変動レベル傷のデータを工場調整時の欠陥画素データと独立して記憶させることにより、工場調整時の欠陥画素データを保護することができる。更に、フラッシュメモリ325に記憶するデータ量を極小化し、データ書き込み速度を最小化することもできる。
【0041】
<他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0042】
例えば、変動レベル傷の検出方法は固体撮像素子の性質によって異なるため、本実施形態で説明した方法とは異なる方法で変動レベル傷の検出を行う場合がある。しかしながら、そのような場合でも、上記実施形態で説明した方法をその主旨を逸脱しない範囲で適用可能な場合、その変動レベル傷の検出方法は本発明に含まれる。
【0043】
本発明は以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介して撮像装置に供給し、撮像装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0044】
314 撮像素子
318 画像処理部
321 表示切替スイッチ
322 WB切替スイッチ
323 十字スイッチ
324 システム制御回路
325 フラッシュメモリ
326 メモリ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光学像を電気信号に変換して出力する撮像手段と、
前記撮像手段の欠陥画素データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記欠陥画素データに基づいて前記欠陥画素の位置に対応する画像データを補正する補正手段と、
前記撮像手段による撮影画像を処理する情報を生成するための基準画像を前記撮像手段を露光した状態で撮影し、前記基準画像を用いて前記欠陥画素を検出する制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記基準画像の画面が均一面か否かを判定する判定手段を備え、
前記制御手段は、前記判定手段により前記基準画像の画面が均一であると判定された場合に当該基準画像に基づいて前記欠陥画素の検出を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像手段による撮影画像を複数の領域に分割し、分割された領域毎の輝度の積分値を抽出する積分手段を備え、
前記判定手段は、隣接する前記領域の積分値が所定範囲内にあるか否かに基づいて前記基準画像の画面が均一面か否かを判定することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記積分値が所定範囲内にあると判定された領域に相当する前記基準画像の各画素の画素値が隣接する同色画素の画素値と所定範囲内にあるか否かに基づいて前記基準画像の画面が均一面か否かを判定することを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記基準画像は、前記撮像手段により撮影された画像データに対して前記記憶手段にあらかじめ記憶された前記欠陥画素の座標がマーキングされ、且つ、前記欠陥画素を除いた画素について同一座標で画素値を比較して該画素値の最大値を示す画素がマーキングされた複数枚の画像から生成された画像であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記記憶手段にあらかじめ記憶された前記欠陥画素及び前記最大値としてマーキングされた画素を除く画素について欠陥画素の検出を行うことを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像手段に入射する光量を調節する絞り手段と、
前記撮像手段へ入射する光を遮断するシャッタ手段と、
前記撮像手段の出力を増幅するゲイン手段とを備え、
前記制御手段は、前記基準画像の撮影では、前記絞り手段で前記撮像手段に入射する光量を絞り込み、前記ゲイン手段により所定値にゲイン量を設定した上で、蓄積時間が長くなるように前記シャッタ手段を制御することを特徴とすることを請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
被写体の光学像を電気信号に変換して出力する撮像手段と、前記撮像手段の欠陥画素の欠陥画素データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記欠陥画素データに基づいて前記欠陥画素の位置に対応する画像データを補正する補正手段とを備えた撮像装置の制御方法であって、
制御手段が、前記撮像手段による撮影画像を処理する情報を生成するための基準画像を前記撮像手段を露光した状態で撮影する基準画像撮影ステップと、
前記制御手段が、前記基準画像を用いて前記欠陥画素を検出する検出ステップと、備えることを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−115547(P2013−115547A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258769(P2011−258769)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】