説明

撮像装置及びプログラム

【課題】1つの光学系で視差のある2つの被写体像を3次元画像として撮影する場合に、装置の姿勢が横撮りか縦撮りかに関わらず3次元撮影を適切に実行できるようにする。
【解決手段】向き検出部10は、直方体のカメラが重力方向に対して縦長状態となる縦向き姿勢で撮影を行うか、横長状態となる横向き姿勢で撮影を行うかを検出する。制御部1は、3次元画像の撮影時に向き検出部10による検出結果に応じて縦向き姿勢での3次元撮影に切り替えたり、横向き姿勢での3次元撮影に切り替えたりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズから絞り部を通して撮像素子に結像される被写体像を撮影する撮像装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、左右の目の視差を利用した視差バリア方式によって画像を3D(3次元)表示させる技術としては、互いに少しずらした右目用の画像と左目用の画像をそれぞれ用意して、それら2つの画像を同時に表示させる際に、右目用の画像は右目で見えて左目では見えないようにし、左目用の画像は左目で見えて右目では見えないようにするために光の経路を遮断する視差バリアを適切な位置に配置することによって画像を立体的に見せるようにした技術が知られている。
【0003】
一方、上述のような2眼式の3D画像(視差のある2つの被写体像)を撮影することができる3Dカメラ装置(撮像装置)の開発が進んでいる。すなわち、3次元画像用の視差のある2つの画像(右目用の画像と左目用の画像)を取得する方式として、光学レンズと撮像素子の間に挿入されていてその光軸の両側に離間してそれぞれ配置された2つの絞り(左目画像用の絞り、右目画像用の絞り)を用意し、時分割シャッタを使用してそれぞれの絞りを通して撮像素子に結像された2つの被写体像を取り込む方式が提案されている。そして、従来では、例えば、2次元撮影と3次元撮影とを切り替え可能とするために2次元撮影用の絞りと3次元撮影用の絞りとを切り替えるようにした技術(内視鏡装置)が提案されている(特許文献1参照)。また、2つの絞りを使用した3次元撮影用のカメラの応用技術(眼科撮影装置)が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−248807号公報
【特許文献1】特開2009−165613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように2つの絞りを使用して視差のある2つの被写体像を3次元画像として撮影可能な技術にあっては、1つの光学系で視差のある2つの被写体像を取得できるというメリットはあるものの、視差方向の関係上、撮影時のカメラの姿勢が通常の横撮り(カメラを横に構えて撮影)する場合のみに限定されてしまい、一般的なカメラのような縦撮り(カメラを縦に構えて撮影)することができないという問題点があった。
【0006】
本発明の課題は、1つの光学系で視差のある2つの被写体像を3次元画像として撮影する場合に、装置の姿勢が横撮りか縦撮りかに関わらず3次元撮影を適切に実行できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、
光学レンズから絞り部を通して撮像素子に結像される被写体像を撮影する撮像装置であって、
当該撮像装置が重力方向に対して縦向きの場合に3次元撮影を行うための第1の3次元撮影手段と、
当該撮像装置が重力方向に対して横向きの場合に3次元撮影を行うための第2の3次元撮影手段と、
当該撮像装置の重力方向に対する向きを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された当該撮像装置の重力方向に対する向きに応じて、前記第1の3次元撮影手段或いは前記第2の3次元撮影手段に切り替えることにより3次元撮影を制御する撮影制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に従属する発明として、
前記絞り部は、前記光学レンズと前記撮像素子の間に挿入されていてその光軸の両側に離間してそれぞれ形成されている2つの孔を有し、
前記第1の3次元撮影手段及び第2の3次元撮影手段は、前記2つの孔を順次択一的に開放しながらその孔を通して前記撮像素子にそれぞれ結像された2つの被写体像を、視差を持った2つの被写体像として取得する構成であり、かつ、前記第1の3次元撮影手段と第2の3次元撮影手段とは、前記光軸を通る直線上に前記2つの孔が並んでいる状態での並びの向きが略90°それぞれ異なる、
ようにしたことを特徴とする、請求項2記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項2に従属する発明として、
前記2つの孔を有する絞り部を略90°回転駆動させることによりその絞り部を前記第1の3次元撮影手段用とするか前記第2の3次元撮影手段用とするかに切り替える切り替え手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする、請求項3記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1〜請求項3のいずれかに従属する発明として、
2次元撮影を行うための2次元撮影手段と、
2次元撮影用の絞り部と3次元撮影用の絞り部を切り替えることにより2次元撮影と3次元撮影のいずれかを選択する選択手段と、
を更に備え、
前記撮影制御手段は、前記選択手段により2次元撮影が選択された場合に、前記2次元撮影手段による2次元撮影の制御を行い、3次元撮影が選択された場合に、前記第1の3次元撮影手段或いは第2の3次元撮影手段による3次元撮影の制御を行う、
ようにしたことを特徴とする、請求項4記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1〜請求項4のいずれかに従属する発明として、
前記検出手段は、当該撮像装置が重力方向に対して縦向きの場合に、更に当該撮像装置が上下反転の関係にある正立状態か倒立状態かを検出し、
前記撮影制御手段は、前記検出手段により検出された正立状態か倒立状態かに応じて、前記第2の3次元撮影手段における3次元撮影を制御する、
ようにしたことを特徴とする、請求項5記載の発明であってもよい。
【0012】
また、上述した課題を解決するために請求項6記載の発明は、
コンピュータに対して、
光学レンズから絞り部を通して撮像素子に結像される被写体像を撮影する撮像装置が重力方向に対して縦向きの場合に3次元撮影を行うための機能と、
当該撮像装置が重力方向に対して横向きの場合に3次元撮影を行うための機能と、
当該撮像装置の重力方向に対する向きを検出する機能と、
前記検出された当該撮像装置の重力方向に対する向きに応じて、前記縦向きの3次元撮影或いは前記横向の3次元撮影機能に切り替えることにより3次元撮影を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム、であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1つの光学系で視差のある2つの被写体像を3次元画像として撮影する場合に、装置の姿勢が横撮りか縦撮りかに関わらず3次元撮影を適切に実行することができ、利便性に富んだものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】撮像装置として適用したデジタルカメラの基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】絞り部8を説明するための図。
【図3】(1)は、3次元撮影用の絞り部82を説明するための図、(2)は、デジタルカメラを重力方向に対して横向きの姿勢にした状態で3次元撮影を行う場合を説明するための図。
【図4】(1)〜(3)は、デジタルカメラの重力方向に対する向きと3次元撮影用の絞り部82との関係を示した図。
【図5】デジタルカメラを重力方向に対して縦向き姿勢にした状態で3次元撮影を行う場合を説明するための図。
【図6】デジタルカメラの全体動作のうち、シャッタ操作に応じて実行開始される本実施形態の特徴的な動作を示したフローチャート。
【図7】図6の動作に続くフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図7を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、撮像装置として適用したデジタルカメラの基本的な構成要素を示したブロック図である。
デジタルカメラ(撮像装置)は、静止画像のほかに動画像の撮影も可能なコンパクトカメラであり、このデジタルカメラ(以下、カメラと略称する)の全体(筺体全体)は、直方体を成している。そして、このカメラは、2次元撮影を行う撮影モードと3次元撮影を行う撮影モードとを切り替え可能なもので、制御部1を中核として動作する。ここで、本実施形態の3次元撮影は、左右の目の視差を利用して画像を3D撮影することを示している。制御部1は、電源部(二次電池)2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこのカメラの全体動作を制御するもので、この制御部1には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。
【0016】
記憶部3は、例えば、ROM、フラッシュメモリなどを有する構成で、後述する図6及び図7に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているプログラム記憶部M1と、撮像済み画像を保存する画像記憶部M2のほか、このカメラが動作するために必要となる各種の情報を一時的に記憶するワーク領域を有する構成となっている。なお、記憶部3は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しないが、通信機能を介してネットワークに接続された状態においては所定の外部サーバ側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0017】
表示部4は、例えば、高精細液晶ディスプレイを使用し、画像を高精細に表示するもので、撮像された画像(スルー画像:ライブビュー画像)を表示するファインダ画面(モニタ画面)として機能したり、保存済み画像を表示する再生画面として機能したりする。この表示部4の表面には、3D表示用の視差バリアを生成するための液晶の層が設けられている。操作部5は、図示省略したが、シャッタ操作、露出やシャッタスピードなどの撮影条件の設定操作、撮影済み画像の再生を指示する再生操作などを行う押しボタン式の各種のキーを備えたもので、制御部1は、この操作部5からの入力操作信号に応じた処理として、例えば、撮影処理、撮影条件の設定、再生処理、データ入力処理などを行う。
【0018】
撮像部6は、被写体を高精細に撮影可能なカメラ部を構成するもので、光学レンズ7、絞り部8、撮像素子9を有し、光学レンズ7から絞り部8を通して撮像素子9に結像される被写体像を撮影する。そして、撮像部6は、2次元画像の撮影と3次元画像の撮影を切り替え可能となっており、絞り部8は、光学レンズ7と結像面である撮像素子9の間に配置され、後述する2次元撮影用の絞りと3次元撮影用の絞りを有している。撮像素子9は、CCDやCMOSなどのエリアイメージセンサであり、例えば、全体が矩形(長方形)で、その有効画素数は、横6mm×縦4mm又は横24mm×縦16mmとなっている。
【0019】
この撮像部6には、光学レンズ7、絞り部8、撮像素子9のほか、図示省略したが、光学系駆動部、照明用のストロボ、アナログ処理回路、信号処理回路などが備えられている。この撮像部6と制御部1は、オートフォーカス処理(AF処理)、ズーム処理、露出調整処理(AE処理)を実行したり、撮像部6からの画像データに対して各種の画像処理としてホワイトバランス調整・色補間処理を実行したり、画像処理として収差補正処理を行ったり、画像をJPEG形式などの画像形式に圧縮する圧縮処理を実行したり、この圧縮データを伸長復元する復元処理などを実行したりする。
【0020】
向き検出部10は、カメラ(撮像装置)の重力方向に対する向きを検出するもので、例えば、3軸タイプの加速度センサ(3軸方向振動センサ)によって構成され、この加速度センサによって検出された互いに直交する3軸方向(X・Y・Z方向)の加速度成分に基づいて制御部1は、カメラの重力方向に対する向きとして、カメラの長手方向が重力方向に対して平行する上下方向(縦方向)となる縦長状態の縦向き姿勢で撮影を行う(縦撮り状態)であるのか、カメラの長手方向が重力方向に対して直交する左右方向(横方向)となる横長状態の横向き姿勢で撮影を行う(横撮り状態)であるのかを検出するようにしている。
【0021】
更に、向き検出部10は、縦向き姿勢であれば、カメラを上下に反転した関係にある縦向き正立の状態で撮影を行うのか、縦向き倒立の状態で撮影を行うのかを検出するようにしている。なお、この正立状態、倒立状態については後述するものとする。制御部1は、3次元画像の撮影時に向き検出部10により検出された向きが縦向き姿勢か横向き姿勢かに応じて縦向き姿勢での3次元撮影(縦撮り)に切り替えたり、横向き姿勢での3次元撮影(横撮り)に切り替えたりするほか、縦向き姿勢の場合には、更に縦向き正立状態であるか縦向き倒立状態であるかに応じて、縦向き正立状態での3次元撮影(縦撮り正立)に切り替えたり、縦向き倒立状態での3次元撮影(縦撮り倒立)に切り替えたりするようにしている。
【0022】
図2は、絞り部8を説明するための図である。
絞り部8は、2次元撮影用の絞り部81と3次元撮影用の絞り部82を有している。この2次元撮影用の絞り部81は、図示のように、円形の光学的遮蔽板(図中、黒塗り部分)に1つの開口部(孔)81aを有する構成であるのに対し、3次元撮影用の絞り部82は、図示のように、円形の光学的遮蔽板(図中、黒塗り部分)の中心を境にして配置した2つの開口部として第1の孔82aと第2の孔82bを有する構成となっている。この第1の孔82aと第2の孔82bは、光学レンズ7と撮像素子9との光軸(絞り部82の中心位置)を境としてその両側に所定間隔をあけて(離間して)配置されたもので、この光軸を通る直線上においてその光軸を中心とする対称の位置にそれぞれ配置されている。
【0023】
そして、3次元撮影用の絞り部82において第1の孔82aと第2の孔82bの大きさは、それぞれ同一サイズとなっており、この第1の孔82a、第2の孔82bが並んでいる状態で3次元撮影用の絞り部82を90°回転させると、その並びの向きは、略90°それぞれ異なるようになる。すなわち、図中、左側に位置している3次元撮影用の絞り部82は、カメラを横向きにした姿勢で3次元撮影を行う横撮りの場合であり、右側に位置している3次元撮影用の絞り部82は、カメラを縦向きにした姿勢で3次元撮影を行う縦撮りの場合を示している。ここで、カメラが横向き姿勢から縦向き姿勢に変更されると、3次元撮影用の絞り部82は90°回転された状態となり、第1の孔82a、第2の孔82bが並んでいる向きは、略90°それぞれ異なるようになる。
【0024】
図3は、カメラを重力方向に対して横向き姿勢にした状態において3次元撮影を行う場合を説明するための図で、撮像素子9側から3次元撮影用の絞り部82を見た図である。
この場合、図3(1)に示すように、3次元撮影用の絞り部82における第1の孔82a、第2の孔82bが横方向に並んでいる横並び状態において、第1の孔82aが左目用の絞りとなり、第2の孔82bが右目用の絞りとなる。この3次元撮影用の絞り部82を用いた3次元撮影は、その第1の孔82aと第2の孔82bを順次択一的に開放させながら行うようにしている。なお、図3において、第1の孔82a、第2の孔82bを白抜き又は塗り潰し(グレー)で表しているが、白抜き領域は、開状態にある孔の部分を示し、塗り潰し領域は閉状態にある孔の部分を示している。
【0025】
図3(2)は、カメラが横向き姿勢において、第1の孔82aと第2の孔82bを順次択一的に開放させながらその孔(絞り)を通して撮像素子9にそれぞれ結像された2つの被写体像を、視差を持った3次元画像(左目用画像と右目用画像)として取得する場合を説明するための図である。ここで、図中、左側は左目用画像を撮影する場合を示し、右側は右目用画像を撮影する場合を示している。この場合、横並びの状態にある第1の孔82a、第2の孔82bのうち、図中、左側に位置している第1の孔82aは、左目画像用の絞りとなり、右側に位置している第2の孔82bは、右目画像用の絞りとなる。ここで、左目用画像を撮影する場合に、第1の孔82a(左目画像用の絞り)は開状態となり、第2の孔82b(右目画像用の絞り)は閉状態となる。また、右目用画像を撮影する場合に、第1の孔82a(左目画像用の絞り)は閉状態となり、第2の孔82b(右目画像用の絞り)は開状態となる。このように本実施形態では3次元撮影を行う際に、左目画像、右目用画像の順で撮影を行うようにしている。
【0026】
図4(1)〜(3)は、カメラの重力方向に対する向きと3次元撮影用の絞り部82との関係を示した図である。
図4(1)に示すように縦撮り姿勢用の絞り82を横撮り姿勢で見たものとすると、縦向き撮影には、図4(2)に示すように縦向き正立状態で撮影を行う場合と、図4(3)に示すように縦向き倒立状態で撮影を行う場合とに分かれる。すなわち、図4(2)は、図4(1)の状態でカメラを半時計回りに90°回転させた状態、つまり、縦向き正立状態で撮影を行う場合(縦撮り正立)を示している。
【0027】
この縦向き正立の状態(縦撮り正立)において、図4(2)に示すように左側(シャッタボタンST側)には、第2の孔82bが位置し、その反対側の右側には第1の孔82aが位置することにより、第2の孔82bは、右目画像用の絞りとなり、第1の孔82aは、左目画像用の絞りとなる。また、図4(3)は、図4(1)の状態でカメラを時計回りに90°回転させた状態、つまり、縦向き倒立状状態で撮影を行う場合(縦撮り倒立)を示している。この場合、図4(3)に示すように右側(シャッタボタンST側)には、第2の孔82bが位置し、その反対側の左側には第1の孔82aが位置することにより、第2の孔82bは、左目画像用の絞りとなり、第1の孔82aは、右目画像用の絞りとなる。
【0028】
図5は、カメラを重力方向に対して縦向き姿勢にした状態において3次元撮影(縦撮り正立)を行う場合を説明するための図である。
図4(2)に示したような縦向き正立の状態において、図4(2)は、光学レンズ7側から3次元撮影用の絞り部82を見た図であるのに対して、図5は、撮像素子9側から3次元撮影用の絞り部82を見た図であるために、図4(2)と図5において第1の孔82aと第2の孔82bとの左右関係は、それぞれ逆の関係となっている。
【0029】
ここで、図5は、図4(2)に示したような縦向き正立の状態において、3次元撮影用の絞り部82における第1の孔82aと第2の孔82bとを順次択一的に開放させながら3次元撮影を行う場合(縦撮り正立)を示した図である。図中、左側は、左目用画像を撮影する場合で、第1の孔82a(左目画像用の絞り)は開状態となり、第2の孔82b(右目画像用の絞り)は閉状態となる。また、図中、右側は、右目用画像を撮影する場合で、第1の孔82a(左目画像用の絞り)は閉状態となり、第2の孔82b(右目画像用の絞り)は開状態となる。
また、図4(3)に示したような縦向き倒立の状態においては、図5における第1の孔82aと第2の孔82bの位置関係は左右逆となり、第2の孔82bが左目画像用の絞りとなり、第1の孔82aが右目画像用の絞りとなる。
【0030】
次に、本実施形態におけるカメラの動作概念を図6及び図7に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードに従った動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0031】
図6及び図7は、カメラの全体動作のうち、本実施形態の特徴的な動作を示したフローチャートで、シャッタ操作に応じて実行開始される。この図6及び図7のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
先ず、制御部1は、シャッタボタンSTが半押しされると、現在設定されている撮影モードは2次元撮影を行う撮影モードであるか、3次元撮影を行う撮影モードであるかを調べる(図6のステップS1)。
【0032】
いま、2次元撮影を行う撮影モードに設定されている場合には(ステップS1)、2次元撮影用の絞り部81を選択した後(ステップS2)、シャッタボタンSTの全押し操作待ち状態となる(ステップS3)。いま、シャッタボタンSTが全押し操作されると(ステップS3でYES)、撮像部6から設定撮影条件下で撮像された画像を取得してホワイトバランス調整などを行い(ステップS4)、所定の圧縮処理によって圧縮して、画像記憶部M2に記憶保存させる保存処理を行った後(ステップS5)、このフローから抜ける。
【0033】
また、3次元撮影を行う撮影モードに設定されている場合には(ステップS1)、向き検出部10の検出結果を参照し、カメラの姿勢は縦向き姿勢であるか横向き姿勢であるかを調べる(ステップS6)。いま、横向き姿勢であれば、3次元撮影用の絞り部82を横撮り用の絞りに切り替える(ステップS7)。この場合、図3に示すように、第1の孔82a、第2の孔82bのうち、第1の孔82aは、左側に位置して左目画像用の絞りとなり、第2の孔82bは、右側に位置して右目画像用の絞りとなる。この状態において、その絞りを初期状態にする(ステップS8)。すなわち、図3(2)の左側に示すように、第1の孔(左目画像用の絞り)82aを開状態にすると共に、第2の孔(右目画像用の絞り)82bを閉状態にする。その後、図7のフローに移り、シャッタボタンSTの全押し操作待ち状態となる(ステップS13)。
【0034】
いま、シャッタボタンSTが全押し操作されると(ステップS13でYES)、撮像部6から設定撮影条件下で撮像された左目用画像を取得してホワイトバランス調整などを行った後(ステップS14)、3次元撮影用の絞り部82の状態を切り替える(ステップS15)。すなわち、図3(2)の右側に示すように、第1の孔(左目画像用の絞り)82aを閉状態にすると共に、第2の孔(右目画像用の絞り)82bを開状態にする。そして、撮像部6から設定撮影条件下で撮像された右目用画像を取得してホワイトバランス調整などを行った後(ステップS16)、取得した左目用画像及び右目用画像を所定の圧縮処理によって圧縮し、3次元画像形式で画像記憶部M2に記憶保存させる保存処理を行う(ステップS17)。その後、このフローから抜ける。
【0035】
一方、向き検出部10の検出結果が縦向き姿勢であれば(図6のステップS6)、図7のフローに移り、横撮り用に設定されている3次元撮影用の絞り部82を略90°回転させることにより横撮り用から縦撮り用の絞り部に切り替える(ステップS9)。この場合、図4(2)に示すように、第1の孔82a、第2の孔82bのうち、第1の孔82aは、右側に位置して左目画像用の絞りになり、第2の孔82bは、左側に位置して右目画像用の絞りになる。この状態において、向き検出部10の検出結果を参照し、縦向き正立の状態であるかを調べ(ステップS10)、縦向き正立の状態であれば(ステップS10でYES)、3次元撮影用の絞り部82を初期状態にする(ステップS11)。
【0036】
すなわち、図5(2)の左側に示すように、第1の孔(左目画像用の絞り)82aを開状態にすると共に、第2の孔(右目画像用の絞り)82bを閉状態にする。この状態において、シャッタボタンSTが全押し操作されると(ステップS13でYES)、撮像部6から設定撮影条件下で撮像された左目用画像を取得してホワイトバランス調整などを行った後(ステップS14)、3次元撮影用の絞り部82の状態を切り替える(ステップS15)。すなわち、図5(2)の右側に示すように、第1の孔(左目画像用の絞り)82aを閉状態にすると共に、第2の孔(右目画像用の絞り)82bを開状態にする。そして、撮像部6から設定撮影条件下で撮像された右目用画像を取得してホワイトバランス調整などを行った後(ステップS16)、取得した右目用画像及び左目用画像を所定の圧縮処理によって圧縮し、3次元画像形式で画像記憶部M2に記憶保存させる保存処理を行う(ステップS17)。その後、このフローから抜ける。
【0037】
また、向き検出部10の検出結果が縦向き倒立状態であれば(ステップS10でNO)、図4(3)に示すように、第1の孔82a、第2の孔82bのうち、第1の孔82aは、右目画像用の絞りになり、第2の孔82bは、左目画像用の絞りになる。この状態において、3次元撮影用の絞り部82を初期状態にする(ステップS12)。すなわち、第2の孔(左目画像用の絞り)82bを開状態にすると共に、第1の孔(右目画像用の絞り)82aを閉状態にする。
【0038】
その後、シャッタボタンSTが全押し操作されると(ステップS13でYES)、撮像部6から設定撮影条件下で撮像された左目用画像を取得してホワイトバランス調整などを行った後(ステップS14)、3次元撮影用の絞り部82の状態を切り替える(ステップS15)。すなわち、第2の孔(左目画像用の絞り)82bを閉状態にすると共に、第1の孔(右目画像用の絞り)82aを開状態にする。そして、撮像部6から設定撮影条件下で撮像された右目用画像を取得してホワイトバランス調整などを行った後(ステップS16)、取得した左目用画像及び右目用画像を所定の圧縮処理によって圧縮し、3次元画像形式で画像記憶部M2に記憶保存させる保存処理を行う(ステップS17)。その後、このフローから抜ける。
【0039】
以上のように、本実施形態において制御部1は、3次元画像の撮影時に向き検出部10による検出結果に応じて縦向き姿勢での3次元撮影に切り替えたり、横向き姿勢での3次元撮影に切り替えたりするようにしたので、1つの光学系で視差のある2つの被写体像を3次元画像として撮影する場合に、装置の姿勢が横撮りか縦撮りかに関わらず3次元撮影を適切に実行することができ、利便性に富んだものとなる。
【0040】
3次元撮影用の絞り部82は、光学レンズ7と撮像素子9との光軸の両側に離間して第1の孔82aと第2の孔82bを有し、この第1の孔82a、第2の孔82bを順次択一的に開放しながらその孔を通して撮像素子9にそれぞれ結像された2つの被写体像を、視差を持った2つの被写体像として取得する構成であり、かつ第1の孔82aと第2の孔82bが並んでいる状態において横撮り用の絞りと縦撮り用の絞りとでは、その並びの向きが略90°それぞれ異なるようになるようにしたので、横撮り用の絞りと縦撮り用の絞りが相違するだけで3次元画像を容易に得ることができる。
【0041】
2つの孔(第1の孔82aと第2の孔82b)を有する3次元撮影用の絞り部82を略90°回転駆動させることによりその絞り部を横撮り用の絞りとするか縦撮り用の絞りとするかを切り替えるようにしたので、3次元撮影用の絞り部82を横撮り用の絞りと縦撮り用の絞りに兼用することができ、小型化とともに横撮り縦撮りを容易に切り替えることができる。
【0042】
2次元撮影用の絞り部81と3次元撮影用の絞り部82を切り替えることにより2次元撮影と3次元撮影のいずれかを選択するようにしたので、2次元撮影及び3次元撮影のいずれを容易に行うことができる。
【0043】
カメラが重力方向に対して縦向きの場合に、カメラが上下反転の関係にある縦向き正立の状態か縦向き倒立の状態かに応じて、3次元の縦撮りを制御するようにしたので、縦向き正立か縦向き倒立かに関わらず3次元撮影を適切に実行することができる。
【0044】
なお、上述した実施形態においては、3次元撮影用の絞り部82を横撮り用の絞りと縦撮り用の絞りに兼用するようにしたが、2次元撮影用の絞り部81のほかに、3次元撮影用として横撮り用の絞り部と縦撮り用の絞り部とを別々に設けるようにしてもよい。この場合、3つの絞り部を選択しながら2次元撮影、3次元撮影(縦撮り、横撮り)を行うようにすればよい。
【0045】
また、上述した実施形態においては、絞り部8を円形の光学遮蔽板に開口部(孔)を持つ構成としたが、開口部(孔)の代わりに液晶等のデバイスを使用して点灯/非点灯により光学レンズ7からの光の遮蔽を行ってもよい。
【0046】
また、上述した実施形態においては、撮像装置としてコンパクトカメラに適用した場合を示したが、カメラ機能付きの携帯電話機・PDA・音楽プレイヤーなどであってもよく、また、内視鏡装置、眼科撮影装置などに適用するようにしてもよい。
【0047】
その他、上述した実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 制御部
3 記憶部
4 表示部
5 操作部
6 撮像部
7 光学レンズ
8 絞り部
9 撮像素子
10 向き検出部
81 2次元撮影用の絞り部
82 3次元撮影用の絞り部
82a 第1の孔
82b 第2の孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズから絞り部を通して撮像素子に結像される被写体像を撮影する撮像装置であって、
当該撮像装置が重力方向に対して縦向きの場合に3次元撮影を行うための第1の3次元撮影手段と、
当該撮像装置が重力方向に対して横向きの場合に3次元撮影を行うための第2の3次元撮影手段と、
当該撮像装置の重力方向に対する向きを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された当該撮像装置の重力方向に対する向きに応じて、前記第1の3次元撮影手段或いは前記第2の3次元撮影手段に切り替えることにより3次元撮影を制御する撮影制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記絞り部は、前記光学レンズと前記撮像素子の間に挿入されていてその光軸の両側に離間してそれぞれ形成されている2つの孔を有し、
前記第1の3次元撮影手段及び第2の3次元撮影手段は、前記2つの孔を順次択一的に開放しながらその孔を通して前記撮像素子にそれぞれ結像された2つの被写体像を、視差を持った2つの被写体像として取得する構成であり、かつ、前記第1の3次元撮影手段と第2の3次元撮影手段とは、前記光軸を通る直線上に前記2つの孔が並んでいる状態での並びの向きが略90°それぞれ異なる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記2つの孔を有する絞り部を略90°回転駆動させることによりその絞り部を前記第1の3次元撮影手段用とするか前記第2の3次元撮影手段用とするかに切り替える切り替え手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
2次元撮影を行うための2次元撮影手段と、
2次元撮影用の絞り部と3次元撮影用の絞り部を切り替えることにより2次元撮影と3次元撮影のいずれかを選択する選択手段と、
を更に備え、
前記撮影制御手段は、前記選択手段により2次元撮影が選択された場合に、前記2次元撮影手段による2次元撮影の制御を行い、3次元撮影が選択された場合に、前記第1の3次元撮影手段或いは第2の3次元撮影手段による3次元撮影の制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記検出手段は、当該撮像装置が重力方向に対して縦向きの場合に、更に当該撮像装置が上下反転の関係にある正立状態か倒立状態かを検出し、
前記撮影制御手段は、前記検出手段により検出された正立状態か倒立状態かに応じて、前記第2の3次元撮影手段における3次元撮影を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
コンピュータに対して、
光学レンズから絞り部を通して撮像素子に結像される被写体像を撮影する撮像装置が重力方向に対して縦向きの場合に3次元撮影を行うための機能と、
当該撮像装置が重力方向に対して横向きの場合に3次元撮影を行うための機能と、
当該撮像装置の重力方向に対する向きを検出する機能と、
前記検出された当該撮像装置の重力方向に対する向きに応じて、前記縦向きの3次元撮影或いは前記横向きの3次元撮影に切り替えることにより3次元撮影を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−128251(P2012−128251A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280603(P2010−280603)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】