説明

撮像装置及び制御方法

【課題】周辺画質の低下を意識することなく電子ズーム範囲の設定を可能とし、適正な画質の電子ズーム画像を得ることを可能とした撮像装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】デジタルカメラは、撮影レンズ300が交換可能なカメラ本体200にEVFモニタ118、マイコン123を備える。マイコン123は、カメラ本体200に撮影レンズ300が装着されると、撮影レンズ300から光学特性データ(軸上色収差、倍率色収差、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差、周辺光量低下)を取得する。マイコン123は、光学特性データから撮影レンズ300の周辺画質性能の優劣を判断し、装着された撮影レンズ300が周辺画質性能の劣っている撮影レンズである場合は、電子ズーム範囲の移動可能範囲をEVFモニタ118の画面中央方向に縮小する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影レンズの交換が可能な撮像装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影レンズがカメラ本体に着脱可能で、カメラ本体の表示部の画面に表示した撮影対象を拡大して撮影するための電子ズーム範囲を変更可能な電子ズーム機能を有するデジタルカメラがある。従来のデジタルカメラでは、電子ズームが可能な範囲は、交換した撮影レンズの光学性能(周辺画質性能)やデジタルカメラの画像処理設定に関わらず一定であった。
【0003】
上記電子ズーム機能を有するデジタルカメラに関する技術としては以下の文献が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1では、カメラ本体に装着される撮影レンズの焦点距離に応じて電子ズームを行うかどうかの可否の設定に制限をかける技術が開示されている。また、特許文献2では、電子ズームのズーム範囲を指定して画像を拡大する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−021788号公報
【特許文献2】特開平06−078198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2に開示された技術では、電子ズーム機能を有するデジタルカメラにおいて周辺画質性能が劣る撮影レンズ(交換レンズ)を使用した場合、次のような問題がある。電子ズーム範囲を描写力に劣る画面周囲に設定することが可能となり、その設定のまま電子ズーム拡大を行った場合に解像度が低い画像になってしまうという問題がある。
【0006】
例えば図8に示す被写体に対して、図9で示すような周辺画素の光量落ちが発生する撮影レンズを使用したデジタルカメラにおいて被写体画像を表示部の画面に表示した場合を考える。図9の画面の右下方に四角枠900で示す電子ズーム範囲で電子ズーム拡大を行うと、図10で示すように全体的に光量が不足した画像になってしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、周辺画質の低下を意識することなく電子ズーム範囲の設定を可能とし、適正な画質の電子ズーム画像を得ることを可能とした撮像装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、撮影レンズの交換が可能に構成され、撮影画像を表示する表示手段を備えると共に前記表示手段の画面に設定した電子ズーム範囲を拡大して画像を撮影することが可能な電子ズーム機能を有する撮像装置であって、前記撮影レンズの光学性能を取得する取得手段と、前記表示手段の画面に設定された前記電子ズーム範囲を前記取得手段により取得した前記撮影レンズの光学性能に基づき変更する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子ズーム範囲を撮影レンズから取得した光学性能に基づき変更するので、周辺画質の低下を意識することなく電子ズーム範囲の設定が可能となり、適正な画質の電子ズーム画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】デジタルカメラ本体、撮影レンズ、ストロボ装置の光学配置を示す概略図である。
【図3】電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態のデジタルカメラの液晶表示部の画面において四角枠で示した範囲から画面中央方向に電子ズーム範囲の移動範囲制限をかける例を示す図である。
【図8】従来例に係るデジタルカメラの撮影対象の被写体を示す図である。
【図9】デジタルカメラの表示部の画面における電子ズーム範囲を示す図である。
【図10】図8の電子ズーム範囲で電子ズーム拡大を行った画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラの構成を示すブロック図である。図2は、デジタルカメラ本体、撮影レンズ、ストロボ装置の光学配置を示す概略図である。
【0013】
図1、図2において、デジタルカメラは、カメラ本体200、撮影レンズ300、ストロボ装置400を備えており、撮影レンズ300の交換が可能な一眼レフデジタルカメラとして構成されている。デジタルカメラは、静止画撮影モード/動画撮影モード(撮影形態)のいずれかに設定する撮影モード設定機能、EVF(電子ビューファインダ)モニタの画面に設定した電子ズーム範囲を拡大して画像を撮影することが可能な電子ズーム機能等を備えている。尚、図1に示す撮影レンズ300は概略であり、図2に撮影レンズ300の詳細を図示している。また、図1と図2の共通する構成要素には同じ符号を付記する。
【0014】
まず、カメラ本体200の構成について説明する。カメラ本体200は、図1に示すように、主ミラー106、フォーカルプレーンシャッタ110、撮像素子112、映像信号処理回路116、EVFモニタ118、マイクロコンピュータ123、操作部材124等を備えている。更に、カメラ本体200は、図2に示すように、ピント板202、接眼レンズ204、結像レンズ205、測光センサ206等を備えている。
【0015】
主ミラー106は、撮影レンズ300から入射した光束をファインダ側と撮像素子側とに切り替える。主ミラー106は、ファインダ観察状態ではファインダへ光束を導くよう反射させるように撮影光路内に斜設され、撮影状態では撮像素子112へ光束を導くように上方に跳ね上がり撮影光路外に退避する。また、主ミラー106は、その中央部が光の一部を透過できるようにハーフミラーとなっており、光束の一部を焦点検出光学系に入射するように透過させる。サブミラー107は、主ミラー106から透過してきた光束を反射させ、焦点検出回路109内に配置された焦点検出センサに導く。
【0016】
ペンタプリズム108は、ピント板202、アイピースレンズ(不図示)等と共にファインダ光学系を構成し、ファインダ光学系の光路を変更する。ピント板202は、撮影レンズ300の予定結像面に配置される。接眼レンズ204は、使用者が接眼レンズ後方にある窓からピント板202を介して撮影画面を観察する際に用いる。測光センサ206は、ファインダ観察画面内の被写体輝度を測定する。結像レンズ205は、ペンタプリズム108内の反射光路を介してピント板202と測光センサ206とを共役に関係付けている。
【0017】
焦点検出回路109は、位相差検出方式により撮影レンズ300の焦点調節状態を検出し、その検出結果を撮影レンズ300の焦点調節機構を制御するマイクロコンピュータ(以後マイコン)123に送出する。また、主ミラー106の中央部を透過しサブミラー107で反射された光束は、焦点検出回路109内の光電変換を行うためのセンサに至る。フォーカス演算に用いるデフォーカス量は、前記センサの出力の演算により求められる。マイコン123は、演算結果を評価して撮影レンズ300内のAF駆動部305に指示し、フォーカスレンズを駆動させる。
【0018】
シャッタ駆動回路111は、フォーカルプレーンシャッタ110を駆動する。フォーカルプレーンシャッタ110の開口時間は、マイコン123により制御される。撮像素子112は、CCDセンサ(またはCMOSセンサ)として構成されており、撮影レンズ300により結像された被写体の光学像を電気信号に変換する。クランプ回路113は、撮像素子112から出力される映像信号にクランプ処理を行う。AGC回路114は、クランプ回路113の出力信号に自動利得制御を行う。クランプ回路113とAGC回路114は、A/D変換器115でA/D変換を行う前の基本的なアナログ信号処理を行い、マイコン123は、クランプレベルとAGC基準レベルの変更を行う。
【0019】
A/D変換器115は、AGC回路114から出力されるアナログ信号をデジタル信号(画像データ)に変換する。映像信号処理回路116は、ゲートアレイ等のロジックデバイスから構成され、デジタル化された画像データにフィルタ処理、色変換処理、ガンマ処理を行うと共に、JPEG等の圧縮処理を行い、メモリコントローラ119に出力する。また、映像信号処理回路116は、撮像素子112から出力される映像信号(画像データ)や、メモリコントローラ119から逆に入力される画像データを、EVF駆動回路117を通してEVF(電子ビューファインダ)モニタ118に出力する。EVFモニタ118に表示する画像の切り替えはマイコン123の指示により行われる。
【0020】
また、映像信号処理回路116は、必要に応じて撮像素子112から出力される映像信号に関わる露出情報やホワイトバランス情報をマイコン123に出力する。マイコン123は、それらの情報を基にホワイトバランスやゲイン調整の指示を行う。連続撮影の場合は、一旦、バッファメモリ122に撮影した画像データを未処理のまま格納し、メモリコントローラ119を通して未処理の画像データを読み出し、映像信号処理回路116にて画像処理や圧縮処理を行うことで連続撮影を行う。連像撮影枚数は、バッファメモリ122の大きさに左右される。
【0021】
EVF駆動回路117は、EVFモニタ118を駆動する。EVFモニタ118は、撮影画像を表示する。尚、撮影画像は後述の外部液晶表示部128に表示してもよい。メモリコントローラ119は、映像信号処理回路116から入力された未処理のデジタル画像データをバッファメモリ122に格納し、処理済みのデジタル画像データをメモリ120に格納する。また、メモリコントローラ119は、逆にバッファメモリ122やメモリ120から画像データを映像信号処理回路部116に出力する。メモリ120は、カメラ本体200に着脱可能としてもよい。メモリコントローラ119は、コンピュータ等と接続可能な外部インタフェース121を介してメモリ120に記憶されている画像を出力可能である。
【0022】
マイコン123(取得手段、制御手段)は、デジタルカメラ各部の制御を司るものであり、プログラムに基づき図3乃至図6の各フローチャートに示す処理を実行する。操作部材124には、入力スイッチ1(以後スイッチSW1)125と入力スイッチ2(以後スイッチSW2)126が接続されている。更に、操作部材124には、電子ズーム拡大率変更ボタン、周辺画質の画像補正処理設定変更ボタン、動画撮影設定ボタン、ISO設定ボタン、画像サイズ設定ボタン、画質設定ボタン、情報表示ボタン(以上不図示)等が接続されている。操作部材124は、スイッチSW1、スイッチSW2、前記各種ボタンの操作状態をマイコン123に伝え、マイコン123は、検知した操作状態に応じてカメラ各部を制御する。
【0023】
スイッチSW1とスイッチSW2は、レリーズボタン(不図示)の操作でオン/オフする。スイッチSW1のみオンの状態は、レリーズボタン半押し状態である。デジタルカメラでは、この状態でオートフォーカス動作や測光動作が行われる。スイッチSW1とスイッチSW2が共にオンの状態は、レリーズボタン全押し状態であり、画像を記録するためのレリーズボタンオン状態である。デジタルカメラでは、この状態で撮影が行われる。また、スイッチSW1、スイッチSW2をオンし続けている間は、連続撮影動作が行われる。
【0024】
電子ズーム拡大率変更ボタン(変更手段)は、電子ズームの拡大率を変更(拡大/縮小)する際に操作する。電子ズームの拡大率を大きくする変更(拡大)の場合は、マイコン123の制御により電子ズーム範囲の移動可能範囲が周辺領域方向に拡張される。電子ズームの拡大率を小さくする変更(縮小)の場合は、マイコン123の制御により電子ズーム範囲の移動可能範囲が画面中央方向に縮小される。
【0025】
周辺画質の画像補正処理設定変更ボタン(変更手段)は、撮影画像の周辺画質を補正するための画像補正処理設定を変更する際に操作する。周辺画質の画像補正処理設定が有効である場合は、マイコン123の制御により電子ズーム範囲の移動可能範囲が周辺領域方向に拡張される。
【0026】
動画撮影設定ボタン(設定手段)は、デジタルカメラを動画撮影モードに設定する際に操作する。動画撮影モードの設定が有効である場合は、マイコン123の制御により電子ズーム範囲の移動可能範囲が周辺領域方向に拡張される。
【0027】
尚、本実施の形態では、上記各機能に1対1で対応したボタン(電子ズーム拡大率変更ボタン、周辺画質の画像補正処理設定変更ボタン、動画撮影設定ボタン、電子ズーム範囲設定ボタン)を個別に設ける構成としているが、これに限定されるものではない。例えば画像サイズ設定ボタンに電子ズーム拡大率変更を指示する機能/電子ズーム範囲設定を指示する機能を持たせる、画質設定ボタンに周辺画質の画像補正処理設定変更を指示する機能を持たせる、等の様々な形態が考えられる。
【0028】
液晶駆動回路127は、マイコン123の表示内容命令に従って、外部液晶表示部128とファインダ内液晶表示部129を駆動する。外部液晶表示部128とファインダ内液晶表示部129は、各種情報を表示する。ファインダ内液晶表示部129には、液晶駆動回路127により駆動されるLED等のバックライト(不図示)が装備されている。マイコン123は、撮影前に設定されているISO感度、画像サイズ、画質に応じた画像サイズの予測値データを基に、メモリコントローラ119を介してメモリの容量を確認した上で撮影可能残数を演算する。また、必要に応じて撮影可能残数を外部液晶表示部128、ファインダ内液晶表示部129にも表示する。
【0029】
不揮発性メモリ(EEPROM)130は、デジタルカメラに電源が投入されていない状態でもデータを保存することができる。電源部131は、各ICや駆動系に必要な電源を供給する。
【0030】
次に、撮影レンズ300の構成について説明する。撮影レンズ300は、カメラ本体200に着脱可能(交換可能)に構成されている。撮影レンズ300は、図1、図2に示すように、1群レンズ301、2群レンズ302、3群レンズ303、絞り304、AF駆動部305、ズーム駆動部306、絞り駆動部307を備えている。1群レンズ301は、光軸上を前後に移動することで撮影画面のピント位置を調整するフォーカスレンズである。2群レンズ302は、光軸上を前後に移動することで撮影レンズ300の焦点距離を変更し、撮影画面の変倍を行う変倍レンズである。3群レンズ303は固定レンズである。
【0031】
AF駆動部305は、DCモータ(またはステッピングモータ)から構成されており、マイコン123の制御に基づき、1群レンズ301を光軸方向の前後に移動させることで、ピントを合わせる。ズーム駆動部306は、DCモータ(またはステッピングモータ)から構成されており、マイコン123の制御に基づき、2群レンズ302を光軸方向の前後に移動させることで、撮影レンズ300の焦点距離を変化させる。絞り駆動部307は、DCモータ(またはステッピングモータ)から構成されており、マイコン123の制御に基づき、絞り304の開口径を変化させるように光学的な絞り値を変化させる。
【0032】
レンズマウント接点群308は、カメラ本体200と撮影レンズ300との通信インタフェースとなる。カメラ本体200に対するレンズマウント接点群308を介した撮影レンズ300の装着は、マイコン123により検知される。
【0033】
次に、ストロボ装置400の構成について説明する。ストロボ装置400は、カメラ本体200に着脱可能であり、カメラ本体200のマイコン123から出力される制御信号に従って発光制御を行う。ストロボ装置400は、キセノン管401、フレネルレンズ402、反射板403、ストロボ接点群404を備えている。キセノン管401は、電流エネルギーを発光エネルギーに変換する。フレネルレンズ402と反射板403は、それぞれ発光エネルギーを効率良く被写体に向けて集光する役目を有する。ストロボ接点群404は、カメラ本体200とストロボ装置400との通信インタフェースとなるホットシューに設置されている。
【0034】
次に、本実施の形態のデジタルカメラにおける電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける制御について図3を参照しながら説明する。
【0035】
図3は、本実施の形態の電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける処理を示すフローチャートである。
【0036】
図3において、使用者が撮影レンズ300をレンズマウント接点群308を介してカメラ本体200に装着すると、カメラ本体200のマイコン123は、撮影レンズ300の装着を検知する(ステップS301)。次に、マイコン123は、レンズマウント接点群308を通信インタフェースとしてカメラ本体200と撮影レンズ300の間でシリアル通信によるデータ通信を行い、撮影レンズ300から光学特性データを取得する(ステップS302)。撮影レンズ300の光学性能を示す光学特性データには、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差、周辺光量低下がある。
【0037】
次に、マイコン123は、取得した光学特性データから撮影レンズ300の周辺画質性能の優劣(画像の周辺画素に光量落ちが発生するか否か)を判断する(ステップS303)。カメラ本体200に装着された撮影レンズ300が周辺画質性能が劣っている撮影レンズであると判断した場合は、マイコン123は、電子ズーム範囲の移動可能範囲をEVFモニタ118の画面中央方向に縮小し、(ステップS304)本処理を終了する。ここで、具体例を挙げると、図7の四角枠700で示す範囲よりEVFモニタ118の画面中央方向にしか電子ズーム範囲を設定できないように制限をかける。他方、カメラ本体200に装着された撮影レンズ300が周辺画質性能が劣っていないと判断した場合は、本処理を終了する。
【0038】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、カメラ本体200に撮影レンズ300が装着されると、撮影レンズ300から光学特性データを取得する。更に、光学特性データから撮影レンズ300の周辺画質性能の優劣を判断し、周辺画質性能が劣っている撮影レンズである場合は、電子ズーム範囲の移動可能範囲をEVFモニタ118の画面中央方向に縮小する。これにより、使用者は撮影レンズの光学性能と周辺画質の低下を意識することなく電子ズーム範囲の設定が可能となると共に、適正な画質の電子ズーム画像を得ることが可能となる。
【0039】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、図4で説明する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1、図2)の対応するものと同一なので説明を省略する。
【0040】
次に、本実施の形態のデジタルカメラにおける電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける制御について図4を参照しながら説明する。
【0041】
図4は、本実施の形態の電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける処理を示すフローチャートである。
【0042】
図4において、使用者が電子ズーム拡大率変更ボタンを操作すると、カメラ本体200のマイコン123は、電子ズームの拡大率の変更操作が行われたことを検知する(ステップS401)。次に、マイコン123は、電子ズームの拡大率の変更が拡大であるか縮小であるかを判断する(ステップS402)。電子ズームの拡大率を大きくする変更である場合は、マイコン123は、電子ズーム範囲の移動可能範囲をEVFモニタ118の周辺領域方向に拡張し(ステップS403)、本処理を終了する。他方、電子ズームの拡大率を小さくする変更である場合は、マイコン123は、電子ズーム範囲の移動可能範囲をEVFモニタ118の画面中央方向に縮小し(ステップS404)、本処理を終了する。
【0043】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、使用者は周辺画質の低下を意識することなく電子ズーム範囲の設定が可能となると共に、適正な画質の電子ズーム画像を得ることが可能となる。
【0044】
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、図5で説明する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1、図2)の対応するものと同一なので説明を省略する。
【0045】
次に、本実施の形態のデジタルカメラにおける電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける制御について図5を参照しながら説明する。
【0046】
図5は、本実施の形態の電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける処理を示すフローチャートである。
【0047】
図5において、使用者が周辺画質の画像補正処理設定変更ボタンを操作すると、カメラ本体200のマイコン123は、EVFモニタ118に表示された撮影対象画像の周辺画質の画像補正処理設定の変更操作が行われたことを検知する(ステップS501)。次に、マイコン123は、周辺画質の画像補正処理設定が有効であるか無効であるかを判断する(ステップS502)。周辺画質の画像補正処理設定が有効である場合は、マイコン123は、電子ズーム範囲の移動可能範囲を周辺領域方向に拡張し(ステップS503)、本処理を終了する。他方、周辺画質の画像補正処理設定が無効である場合は、本処理を終了する。
【0048】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、使用者は周辺画質の低下を意識することなく電子ズーム範囲の設定が可能となると共に、適正な画質の電子ズーム画像を得ることが可能となる。
【0049】
〔第4の実施の形態〕
本発明の第4の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、図6で説明する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1、図2)の対応するものと同一なので説明を省略する。
【0050】
次に、本実施の形態のデジタルカメラにおける電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける制御について図6を参照しながら説明する。
【0051】
図6は、本実施の形態の電子ズーム範囲の移動可能範囲に制限をかける処理を示すフローチャートである。
【0052】
図6において、使用者が動画撮影設定ボタンを操作すると、カメラ本体200のマイコン123は、動画撮影設定の変更操作(動画撮影モードの設定)が行われたことを検知する(ステップS601)。次に、マイコン123は、動画撮影モードの設定が有効であるか無効であるかを判断する(ステップS602)。動画撮影モードの設定が有効である場合は、マイコン123は、電子ズーム範囲の移動可能範囲をEVFモニタ118の周辺領域方向に拡張し(ステップS603)、本処理を終了する。他方、動画撮影モードの設定が無効である場合は、本処理を終了する。
【0053】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、使用者は周辺画質の低下を意識することなく電子ズーム範囲の設定が可能となると共に、適正な画質の電子ズーム画像を得ることが可能となる。
【0054】
〔他の実施の形態〕
第1乃至第4の実施の形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
118 EVFモニタ
123 マイクロコンピュータ
124 操作部材
200 カメラ本体
300 撮影レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズの交換が可能に構成され、撮影画像を表示する表示手段を備えると共に前記表示手段の画面に設定した電子ズーム範囲を拡大して画像を撮影することが可能な電子ズーム機能を有する撮像装置であって、
前記撮影レンズの光学性能を取得する取得手段と、
前記表示手段の画面に設定された前記電子ズーム範囲を前記取得手段により取得した前記撮影レンズの光学性能に基づき変更する制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮影レンズの光学性能は、軸上色収差、倍率色収差、球面収差のいずれかを含み、
前記制御手段は、前記撮影レンズの光学性能に基づき前記撮影レンズが周辺画質の劣る撮影レンズであると判断した場合は、前記電子ズーム範囲の移動可能範囲を縮小することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
撮影画像を表示する表示手段を備えると共に前記表示手段の画面に設定した電子ズーム範囲を拡大して画像を撮影することが可能な電子ズーム機能を有する撮像装置であって、
電子ズームの拡大率を変更する変更手段と、
前記表示手段の画面に設定された前記電子ズーム範囲を前記変更手段により変更された前記電子ズームの拡大率に基づき変更する制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記電子ズームの拡大率を大きくする変更の場合は前記電子ズーム範囲の移動可能範囲を拡張し、前記電子ズームの拡大率を小さくする変更の場合は前記電子ズーム範囲の移動可能範囲を縮小することを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
撮影画像を表示する表示手段を備えると共に前記表示手段の画面に設定した電子ズーム範囲を拡大して画像を撮影することが可能な電子ズーム機能を有する撮像装置であって、
撮影対象画像の周辺画質を補正するための画像補正処理設定を変更する変更手段と、
前記表示手段の画面に設定された前記電子ズーム範囲を前記変更手段により変更された前記画像補正処理設定に基づき変更する制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記画像補正処理設定が有効である場合は、前記電子ズーム範囲の移動可能範囲を拡張することを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
撮影画像を表示する表示手段を備えると共に前記表示手段の画面に設定した電子ズーム範囲を拡大して画像を撮影することが可能な電子ズーム機能を有する撮像装置であって、
画像を撮影する際の撮影形態を設定する設定手段と、
前記表示手段の画面に設定された前記電子ズーム範囲を前記設定手段により設定された撮影形態に基づき変更する制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記撮影形態として動画撮影を設定することが可能であり、
前記制御手段は、前記撮影形態として前記動画撮影が設定された場合は、前記電子ズーム範囲の移動可能範囲を拡張することを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
撮影レンズの交換が可能に構成され、撮影画像を表示する表示手段を備えると共に前記表示手段の画面に設定した電子ズーム範囲を拡大して画像を撮影することが可能な電子ズーム機能を有する撮像装置の制御方法であって、
前記撮影レンズの光学性能を取得する取得工程と、
前記表示手段の画面に設定された前記電子ズーム範囲を前記取得工程により取得した前記撮影レンズの光学性能に基づき変更する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
撮影画像を表示する表示手段を備えると共に前記表示手段の画面に設定した電子ズーム範囲を拡大して画像を撮影することが可能な電子ズーム機能を有する撮像装置の制御方法であって、
電子ズームの拡大率を変更する変更工程と、
前記表示手段の画面に設定された前記電子ズーム範囲を前記変更工程により変更された前記電子ズームの拡大率に基づき変更する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
撮影画像を表示する表示手段を備えると共に前記表示手段の画面に設定した電子ズーム範囲を拡大して画像を撮影することが可能な電子ズーム機能を有する撮像装置の制御方法であって、
撮影対象画像の周辺画質を補正するための画像補正処理設定を変更する変更工程と、
前記表示手段の画面に設定された前記電子ズーム範囲を前記変更工程により変更された前記画像補正処理設定に基づき変更する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
撮影画像を表示する表示手段を備えると共に前記表示手段の画面に設定した電子ズーム範囲を拡大して画像を撮影することが可能な電子ズーム機能を有する撮像装置の制御方法であって、
撮影形態を設定する設定工程と、
前記表示手段の画面に設定された前記電子ズーム範囲を前記設定工程により設定された撮影形態に基づき変更する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−135193(P2011−135193A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290965(P2009−290965)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】