説明

撮像装置及び画像表示システム

【課題】画像データの取込みに手間と時間をかけずに所望の画像を表示させること。
【解決手段】デジタルカメラ2の撮像部31は、フォトフレーム1を含む被写体を撮影し、液晶モニタ37はその被写体画像を表示し、制御演算部40は、被写体画像中のフォトフレーム1の液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータを算出し、その位置のデータに基づいてフラッシュメモリ35に記憶されている撮影画像を図形変換し、被写体画像中の液晶ディスプレイ17の表示画面部分に図形変換された撮影画像を嵌め込み、WiFi通信部39は、図形変換された撮影画像の原画像をWiFi通信部19を介してフォトフレーム1へ送信し、液晶ディスプレイ17はその原画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイに画像を表示する画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮影した写真をプリントして観賞する代わりに、近年、デジタルカメラで撮影した画像データを読み込んで画像を表示するフォトフレーム(デジタルフォトフレーム)が普及しつつある。フォトフレームは、多くの場合、ユーザーの利便性や美的感覚を満足させる場所、例えば部屋の壁に掛けられたり机などの家具の上に置かれる。そして、フォトフレームに表示する画像もその設置場所の雰囲気に適したものが選ばれる。
【0003】
そのような画像を選ぶ場合、先ず、フォトフレームに画像データを取り込んで画像を表示し、その画像が気に入らなければ次の画像を表示する必要がある。例えば、室内に飾った時に調和のとれた額縁を選択できる装置、すなわち、外部のデータサーバ装置から送信された額縁と絵画の画像を合成することにより、あたかも室内に額縁付き絵画を設置したのと同じ環境をシミュレーションで可視化できる装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−271822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置では、予め登録しておいた額縁と絵画の画像を外部のデータサーバ装置から受信しなければならず、画像データの取込みに手間と時間がかかるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明による撮像装置は、画像を表示画面上に表示する画像表示装置を含む被写体を撮影して被写体画像を作成する撮像手段と、前記被写体画像を表示画面上に表示するモニタと、画像データを記憶する画像記憶手段と、前記モニタの表示画面上に表示された前記被写体画像中の所定の部分画像の位置のデータを算出する演算手段と、前記所定の部分画像の位置のデータに基づいて前記画像記憶手段に記憶されている所定の画像を図形変換し、前記モニタの表示画面上の前記所定の部分画像に前記図形変換された所定の画像を嵌め込む画像処理手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2の発明による画像表示システムは、画像を表示画面に表示するディスプレイと、画像を受信する第1の通信手段とを有する画像表示装置と、被写体を撮影して画像を作成する撮像手段と、複数の画像を記憶する画像記憶手段と、画像を表示画面に表示するモニタと、前記モニタの表示画面上に表示される所定の画像の位置を算出する演算手段と、画像を処理して処理後の画像を前記モニタの表示画面に表示させる画像処理手段と、画像を送信する第2の通信手段とを有する撮像装置とを備え、前記ディスプレイは、その表示画面上に所定パターンのマーク画像を表示し、前記撮像手段は、前記マーク画像が表示された前記画像表示装置を含む被写体を撮影し、前記モニタは、その表示画面上に前記撮影された被写体画像を表示し、前記演算手段は、前記モニタの表示画面に表示された前記被写体画像中のディスプレイの表示画面部分の位置のデータを算出し、前記画像処理手段は、前記位置のデータに基づいて前記画像記憶手段に記憶されている所定の画像を図形変換し、前記モニタの表示画面上の前記ディスプレイの表示画面部分に前記図形変換された所定の画像を嵌め込み、前記第2の通信手段は、前記所定の画像を前記第1の通信手段を介して前記画像表示装置へ送信し、前記ディスプレイは、その表示画面上に前記第1の通信手段により受信した前記所定の画像を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像表示システムによれば、撮像装置がもっている画像データを用いているので、画像データの取込みに手間と時間はかからない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像表示システム100の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像表示システム100の動作手順を示すフローチャートである。
【図3】デジタルカメラ2とフォトフレーム1との位置関係、及び、デジタルカメラ2の表示画面内容を模式的に示す図であり、図2のフローチャートのステップS11に対応する。
【図4】デジタルカメラ2とフォトフレーム1との位置関係、及び、デジタルカメラ2の表示画面内容を模式的に示す図であり、図2のフローチャートのステップS15に対応する。
【図5】デジタルカメラ2とフォトフレーム1との位置関係、及び、デジタルカメラ2の表示画面内容を模式的に示す図であり、図2のフローチャートのステップS19に対応する。
【図6】第2の実施の形態に係る画像表示システム100の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態による画像表示システムについて、図面を参照しながら説明する。
−第1の実施の形態−
図1に示されるように、画像表示システム100は、フォトフレーム1とデジタルカメラ2とを備え、両者間は通信で接続される。フォトフレーム1は、デジタル写真立てとも呼ばれるように、例えば、液晶ディスプレイにデジタル画像を表示して部屋の壁に掛けたり、机などの家具の上に置かれる。デジタルカメラ2は、デジタル画像を撮影する機器であり、通常、撮影者が持ち歩いて撮影するものである。
【0010】
フォトフレーム1は、USBコントローラ11と、カードコントローラ12と、I/Fドライバ13と、操作スイッチ14と、フラッシュメモリ15と、LCDドライバ16と、液晶ディスプレイ17と、WiFiドライバ18と、WiFi通信部19と、制御部20と、電源コントローラ21と、バッテリ22とを備える。USBコントローラ11、カードコントローラ12、I/Fドライバ13、フラッシュメモリ15、LCDドライバ16、WiFiドライバ18、WiFi通信部19及び電源コントローラ21は、制御部20と接続されている。なお、WiFiとは、Wireless Fidelity Allianceによって、無線LAN機器間の相互接続性を認証されたことを表わす名称である。
【0011】
デジタルカメラ2は、撮像部31と、カードコントローラ32と、I/Fドライバ33と、操作スイッチ34と、フラッシュメモリ35と、LCDドライバ36と、液晶モニタ37と、WiFiドライバ38と、WiFi通信部39と、制御演算部40と、電源コントローラ41と、バッテリ42とを備える。撮像部31、カードコントローラ32、I/Fドライバ33、フラッシュメモリ35、LCDドライバ36、WiFiドライバ38及び電源コントローラ41は、制御演算部40と接続されている。また、WiFi通信部19とWiFi通信部39との間では双方向の通信が可能である。そのために、無線LANのルーターのように、デジタルカメラ2にはフォトフレーム1が事前に登録されている。
【0012】
フォトフレーム1の構成部品について説明する。USBコントローラ11は、USBコネクタ11aを介してPCやデジタルカメラなどの外部機器24に接続され、画像データなどの情報の入出力をコントロールする。カードコントローラ12は、カードスロット12aを介してSDカードやCFカードなどのメモリーカード25との画像データなどの情報の入出力をコントロールする。I/Fドライバ13は、操作スイッチ14からの操作入力をコントロールする。操作スイッチ14は、電源投入のON/OFFを行う電源ボタン、メニューや画像を液晶ディスプレイ17に順次表示させて選択を行う選択/決定ボタンなどを含む。フラッシュメモリ15は、デジタルカメラ2、外部機器24、メモリーカード25から入力された画像データを記憶する。LCDドライバ16は、液晶ディスプレイ17の表示態様をコントロールする。WiFiドライバ18は、WiFi通信部19の送受信動作をコントロールする。電源コントローラ21は、バッテリ22、AC電源23からの電圧、電流などをコントロールする。制御部20は、これらのコントローラやドライバを制御する。
【0013】
次に、デジタルカメラ2の構成部品について説明する。撮像部31は、ズームレンズやフォーカスレンズを含む撮影レンズと撮像素子とを有し、撮影レンズにより被写体像を撮像素子上に結像し、撮像素子によりその光像が光電変換されて生成される画像信号を出力する。カードコントローラ32は、カードスロット32aを介してSDカードやCFカードなどのメモリーカード26との画像データなどの情報の入出力をコントロールする。I/Fドライバ33は、操作スイッチ34からの操作に応じた信号入力をコントロールする。
【0014】
操作スイッチ34は、電源投入のON/OFFを行う電源ボタン、撮影動作の指令を行うレリーズボタン、メニューや画像を順次表示させて選択を行う選択/決定ボタンなどを含む。レリーズボタンの半押し状態では、撮影の準備としてAF動作やAE動作が行われ、液晶モニタ37には被写体のライブビュー画像(スルー画像)が表示される。また、レリーズボタンの全押し状態では、被写体の静止画像や動画像の本撮影が行われ、これらの被写体画像データは一連の画像処理が施された後にフラッシュメモリ35、或いはメモリーカード26にて記憶される。
【0015】
フラッシュメモリ35は、フォトフレーム1やメモリーカード26から入力された画像データ(静止画像データ、動画像データ)も記憶する。LCDドライバ36は、液晶モニタ37の表示態様をコントロールする。WiFiドライバ38は、WiFi通信部39の送受信動作をコントロールする。電源コントローラ41は、バッテリ42からの電圧、電流などをコントロールする。
【0016】
制御演算部40は、これらのコントローラやドライバを制御すると共に、以下の機能を有する。すなわち、制御演算部40は、撮像部31により撮影された被写体画像中の所定の部分画像を検出する検出機能、所定の部分画像の位置と大きさ、つまり液晶モニタ37の表示画面上の位置座標である位置のデータを算出する演算機能、及びその位置のデータに基づいて画像を図形変換し、変換された画像の嵌め込み処理などを行う画像処理機能を備えている。
【0017】
以上のように構成された画像表示システム100の動作について説明する。
この第1の実施の形態においては、デジタルカメラ2は、フォトフレーム1を含む被写体をライブビュー画像として撮影し、このライブビュー画像中の液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータを算出し、その表示画面部分に所定の静止画像を嵌め込み合成する。
【0018】
先ず、ユーザーがフォトフレーム1及びデジタルカメラ2の電源を投入して起動すると、フォトフレーム1の液晶ディスプレイ17には、前回の電源OFF時に表示されていた画像が表示される。
【0019】
図2のフローチャートを参照すると、ステップS11において、ユーザーは、デジタルカメラ2の選択/決定ボタンによりメニュー画面から「フォトフレーム操作モード」を選択する。この様子は、図3に示されるように、デジタルカメラ2の液晶モニタ37に、「フォトフレーム操作モード」の文字37aがフォトフレーム像1Aを含む被写体画像に重畳表示される。このデジタルカメラ2は、机の上に載っているフォトフレーム1に向けられており、フォトフレーム1の液晶ディスプレイ17には、前回の電源OFF時の画像17aが表示されている。
【0020】
ステップS12において、デジタルカメラ2は、フォトフレーム1が近傍に存在することを無線通信によって確認し、フォトフレーム1との間で相互通信の為の認証を行う。ステップS13において、デジタルカメラ2は、WiFi通信部39からWiFi通信部19への通信により、フォトフレーム1を「画像操作モード」に設定するための指示信号をフォトフレーム1に送信する。
【0021】
ステップS14において、フォトフレーム1は、上記の指示信号の受信に応じて「画像操作モード」に設定され、現在表示されている画像に代えて、予め定められたマーク画像を液晶ディスプレイ17の矩形の表示画面に表示する。このマーク画像は、一般の被写体と区別できる形状(パターン)や色を有していればよく、例えば原色の幾何学的なパターンが望ましい。また、デジタルカメラ2は、このマーク画像と液晶ディスプレイ17の矩形の表示画面との間で、大きさ、形状、位置に関する対応情報を有している。すなわち、マーク画像の位置座標と液晶ディスプレイ17の表示画面の位置座標とは対応付けられている。従って、必ずしもマーク画像が液晶ディスプレイ17の表示画面一杯に表示されていなくても使用できる。また、マーク画像のパターンに、液晶ディスプレイ17の表示画面のサイズ情報を表わす二次元コードを付加しておいてもよい。
【0022】
ステップS15において、ユーザーは、マーク画像を表示しているフォトフレーム1に対してデジタルカメラ2を正面から又は斜めの任意の角度から向けてレリーズボタンの半押しを行うと、撮像部31は、被写体をライブビュー画像として撮影する。この様子は、図4に示されるように、デジタルカメラ2の液晶モニタ37に、マーク画像17bを表示しているフォトフレーム1を含む被写体画像がライブビュー画像として表示されている。ライブビュー画像の撮影中は、フォトフレーム1が常に撮影画角内に入っていることが必要である。デジタルカメラ2とフォトフレーム1の相対位置が変われば、液晶モニタ37に表示されているフォトフレーム像1Aやマーク画像37bの大きさ、形状、位置も変化する。
【0023】
ステップS16において、デジタルカメラ2の制御演算部40は、この被写体画像中のマーク画像を公知のパターンマッチングによる画像認識方法を用いて検出する。
ステップS17において、制御演算部40は、ライブビュー画像として表示されているマーク画像の大きさ、形状及び表示位置に基づいて、液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータ、すなわち、大きさ、形状及び表示位置とを算出する。この算出動作は、ライブビュー画像について所定の時間間隔で行われる。
【0024】
ステップS18において、制御演算部40は、フラッシュメモリ35に記憶されている撮影画像データ(静止画像データ、動画像データ)を読み出し、読み出された撮影画像データを液晶ディスプレイ17の表示画面部分の大きさ、形状及び表示位置に対応するように図形変換する。図形変換には、平行線が平行線に変換されるアフィン変換や、平行線の平行性が保証されない射影変換などがある。
【0025】
ステップS19において、制御演算部40は、液晶モニタ37に表示されているライブビュー画像中の液晶ディスプレイ17の表示画面部分に、それまで表示されていたマーク画像に代えて、図形変換された撮影画像データに基づいた画像を合成して表示する、すなわち図形変換された撮影画像を嵌め込む。
この様子は、図5に示されるように、デジタルカメラ2の液晶モニタ37に、液晶ディスプレイ17の表示画面部分に嵌め込まれた画像37cを表示しているフォトフレーム1を含む被写体画像がライブビュー画像として表示されている。このとき、液晶ディスプレイ17には、依然としてマーク画像17bが表示されている。
【0026】
嵌め込み画像を含んだライブビュー画像は、その嵌め込み画像の原画像、すなわち図形変換前の撮影画像が表示されているフォトフレーム1を撮影した映像と見かけ上は同一である。従って、ユーザーは、このライブビュー画像を観察することにより、図形変換前の撮影画像が表示されているフォトフレーム1が設置されている場所の雰囲気をリアルタイムで観察することができる。
【0027】
ステップS20において、ユーザーは、現在表示されている嵌め込み画像の原画像を液晶ディスプレイ17に表示するか否かを決定する。ステップS21において、操作スイッチの選択/決定ボタンの操作により現在の嵌め込み画像の選択を決定した場合は、ステップS22において、現在の嵌め込み画像の原画像データ、つまり図形変換前の撮影画像データをWiFi通信部39からWiFi通信部19へ送信する。ステップS23において、WiFi通信部19により受信された図形変換前の撮影画像データは、フォトフレーム1の液晶ディスプレイ17に表示される。
【0028】
他方、ステップS20において、ユーザーが現在表示されている嵌め込み画像を選択しなかった場合は、ステップS24において、操作スイッチの選択/決定ボタンの操作によりフラッシュメモリ35に記憶されている撮影画像データの中から2番目の撮影画像データを読み出す。
【0029】
ステップS17では、液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータの算出を所定の時間間隔で実行しているので、2番目の撮影画像データが読み出された時点で、その撮影画像データに対して、ステップS18の図形変換を行い、ステップS19の画像嵌め込みを行い、ステップS20の画像選択を行う。そして、ステップS20において、2番目の嵌め込み画像の選択を決定した場合は、ステップS21〜S23の動作を行う。なお、ステップS20において、2番目の嵌め込み画像も選択しなかった場合は、3番目の撮影画像データに対して同様の動作を実行する。この動作は、嵌め込み画像も選択するまで繰り返される。
【0030】
上述の第1の実施の形態は以下の効果を奏するものである。
(1)デジタルカメラ2のフラッシュメモリ35に記憶されている撮影画像データを用いて図形変換、嵌め込み合成を行い、選択された撮影画像データのみをフォトフレーム1へ送信するので、フォトフレーム1への画像データの取込みに手間と時間がかからない。
(2)デジタルカメラ2のフラッシュメモリ35に記憶されている撮影画像データを図形変換して嵌め込み画像を作成し、これをライブビュー画像として観察することにより臨場感が得られるので、選択された撮影画像とフォトフレーム1との関係、フォトフレーム1の周辺とのマッチングを仮想的現実として把握しやすい。
【0031】
−第2の実施の形態−
上述の第1の実施の形態では、フォトフレーム1を含む被写体をライブビュー画像として撮影し、このライブビュー画像中の液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータを常時算出するものであったが、第2の実施の形態では、フォトフレーム1を含む被写体を静止画像として撮影し、この静止画像中の液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータを算出する点で異なる。従って、本実施の形態では、主としてこれらの相違点を説明する。なお、第2の実施の形態の画像表示システムも、図1に示した画像表示システム100と同一構成である。
【0032】
図6のフローチャートを図2のフローチャートと対比すると、図6のフローチャートのステップS31〜34の動作は、図2のフローチャートのステップS11〜14の動作のそれぞれと同様である。
ステップS35において、ユーザーは、マーク画像を表示しているフォトフレーム1に対してデジタルカメラ2を正面から又は斜めの任意の角度から向けてレリーズボタンの全押しを行うと、撮像部31は被写体を静止画像として撮影する。
【0033】
ステップS36において、この静止画像データはフラッシュメモリ35に記憶される。
ステップS37において、フラッシュメモリ35に記憶された静止画像データに基づく静止画像が液晶モニタ37に再生表示される。
ステップS38において、デジタルカメラ2の制御演算部40は、この静止画像中のマーク画像を検出する。
ステップS39において、制御演算部40は、静止画像中のマーク画像の大きさ、形状及び表示位置に基づいて、液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータ、すなわち、大きさ、形状及び表示位置を算出する。
【0034】
ステップS40において、制御演算部40は、液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータを算出した後に、算出終了信号をWiFi通信部39からWiFi通信部19へ送信する。フォトフレーム1の制御部20は、算出終了信号を受信すると、マーク画像に代えて前回の電源OFF時に表示されていた画像を液晶ディスプレイ17に表示させる。このように元の画像を再表示することによって、ステップS41以降の処理中に、操作しているユーザー以外の液晶ディスプレイ17の鑑賞者はマーク画像を見続けることから開放されると共に、フォトフレーム1が存在することによる静的な佇まいと美観を損ねることがない。
【0035】
ステップS41以降の動作は、第1の実施の形態の動作と同様である。すなわち、ステップS41〜47の動作は、図2のフローチャートのステップS18〜24の動作のそれぞれと同様である。但し、図2のステップS19に対応するステップS42(図形変換された撮影画像を嵌め込むステップ)においては、液晶ディスプレイ17には元の画像17aが表示されているという相違点がある。つまり、図5に示される液晶ディスプレイ17には、マーク画像ではなく元の画像17aが表示される。
【0036】
上述の第2の実施の形態は以下の効果を奏するものである。
(1)デジタルカメラ2のフラッシュメモリ35に記憶されている撮影画像データを用いて図形変換、嵌め込み合成を行い、選択された撮影画像データのみをフォトフレーム1へ送信するので、フォトフレーム1への画像データの取込みに手間と時間がかからない。
(2)フォトフレーム1を含む被写体を静止画像として撮影し、この静止画像中の液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータを算出するので、ユーザーは常にフォトフレーム1へ向けてデジタルカメラ2を構える必要がなく、操作面での利便性が高い。
(3)フォトフレーム1を含む被写体を静止画像として撮影し、1枚の静止画像中の液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータを算出するだけなので、デジタルカメラ2の制御演算部40の演算処理の負荷は、ライブビュー画像を用いる場合よりも軽減され、処理能力の劣る安価な機種でも本発明に採用できる。
【0037】
以下、上記の実施の形態の変形例について説明する。
(変形例1)
第2の実施の形態は、フラッシュメモリ35に記憶された静止画像データを読み出してその静止画像を液晶モニタ37に再生表示させるものであったが、本画像を用いずにサムネイル画像を用いて、そのサムネイル画像中の液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータを算出してもよい。サムネイル画像は本画像よりもデータ容量が小さいので、算出処理時間を短縮できる。
【0038】
(変形例2)
第2の実施の形態は、フラッシュメモリ35に記憶されている撮影画像データを読み出してその撮影画像データを図形変換するものであったが、本画像を用いずにサムネイル画像を用いて、そのサムネイル画像に対して図形変換してもよい。サムネイル画像は本画像よりもデータ容量が小さいので、算出処理時間を短縮できる。
【0039】
(変形例3)
第2の実施の形態は、制御演算部40がマーク画像を使用して静止画像中の液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータを算出するものであったが、マーク画像を用いずにその位置のデータを算出することもできる。すなわち、液晶モニタ37をタッチパネルタイプとし、ユーザーは、マーク画像を含まない静止画像を再生表示させ、液晶ディスプレイ17の表示画面部分の四隅をそれぞれタッチして、液晶モニタ37画面上の位置座標を制御演算部40に入力する。制御演算部40は、この四隅の位置座標値に基づき、液晶モニタ37画面に対する液晶ディスプレイ17の表示画面部分の大きさ、形状及び表示位置を算出する。
【0040】
(変形例4)
第1及び第2の実施の形態は、フォトフレーム1側がマーク画像データを記憶しており、デジタルカメラ2からの指示信号の受信に応じてマーク画像を液晶ディスプレイ17に表示するものであったが、デジタルカメラ2側がマーク画像データを記憶しており、指示信号の送信と同時にマーク画像データも送信し、フォトフレーム1は、それまで表示されている画像に代えて受信したマーク画像データによるマーク画像を液晶ディスプレイ17に表示してもよい。この利点は、デジタルカメラ2がマーク画像データをフォトフレーム1へ送信するので、既存のフォトフレームでも本発明を適用できることである。
【0041】
(変形例5)
第1及び第2の実施の形態は、デジタルカメラ2側だけが撮影画像データを記憶しているものであったが、フォトフレーム1とデジタルカメラ2の双方が同一の撮影画像データを記憶している場合にも本発明を適用できる。すなわち、デジタルカメラ2の撮影画像データを用いて図形変換、嵌め込み合成を行って撮影画像データを選択した場合に、デジタルカメラ2は、その選択された撮影画像データそのものを送信せず、選択された撮影画像データを特定する情報、例えばファイル名やファイル番号のみをフォトフレーム1へ送信し、フォトフレーム1は、その情報に基づいて自身が記憶している撮影画像データを再生表示する。この利点は、通信データ量が少ないことである。
【0042】
(変形例6)
第1及び第2の実施の形態は、デジタルカメラ2側だけが撮影画像データを記憶しているものであったが、これとは反対に、フォトフレーム1側だけが撮影画像データを記憶している場合にも本発明を適用できる。すなわち、デジタルカメラ2は、液晶ディスプレイ17の表示画面部分の位置のデータを算出した後に、フォトフレーム1へ撮影画像データを送信するように指令を出し、受信した撮影画像データを図形変換し、嵌め込み合成する。送信させる撮影画像データは、サムネイル画像データだけでもよい。
【0043】
上述の実施の形態では、デジタルカメラ2とフォトフレーム1とを備え、デジタルカメラ2とフォトフレーム1との間で画像データなどの通信を行う画像表示システム100について説明した。ここでは、デジタルカメラ2は画像表示システム100の専用の機器であるが、上述した機能を有するデジタルカメラ単体も本発明に含まれる。すなわち、撮影した被写体画像中の所定の部分画像の位置のデータを算出し、その位置のデータに基づいて画像記憶手段に記憶されている所定の画像を図形変換し、モニタの表示画面上の所定の部分画像に図形変換された所定の画像を嵌め込む機能や通信機能を有するデジタルカメラも本発明に含まれる。汎用のデジタルカメラにこれらの機能を実現するためのアプリケーションを導入することでも同様の効果が得られる。
なお、デジタルカメラ2の代りに携帯電話機を画像表示システム100に適用してもよい。
本発明は、その特徴を損なわない限り、以上説明した実施の形態に何ら限定されない。
【符号の説明】
【0044】
1:フォトフレーム 2:デジタルカメラ
14:操作スイッチ 15:フラッシュメモリ
17:液晶ディスプレイ 19:WiFi通信部
20:制御部 31:撮像部
34:操作スイッチ 35:フラッシュメモリ
37:液晶モニタ 39:WiFi通信部
40:制御演算部 100:画像表示システム
17b:マーク画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示画面上に表示する画像表示装置を含む被写体を撮影して被写体画像を作成する撮像手段と、
前記被写体画像を表示画面上に表示するモニタと、
画像データを記憶する画像記憶手段と、
前記モニタの表示画面上に表示された前記被写体画像中の所定の部分画像の位置のデータを算出する演算手段と、
前記所定の部分画像の位置のデータに基づいて前記画像記憶手段に記憶されている所定の画像を図形変換し、前記モニタの表示画面上の前記所定の部分画像に前記図形変換された所定の画像を嵌め込む画像処理手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
画像を表示画面に表示するディスプレイと、画像を受信する第1の通信手段とを有する画像表示装置と、
被写体を撮影して画像を作成する撮像手段と、複数の画像を記憶する画像記憶手段と、画像を表示画面に表示するモニタと、前記モニタの表示画面上に表示される所定の画像の位置を算出する演算手段と、画像を処理して処理後の画像を前記モニタの表示画面に表示させる画像処理手段と、画像を送信する第2の通信手段とを有する撮像装置とを備え、
前記ディスプレイは、その表示画面上に所定パターンのマーク画像を表示し、
前記撮像手段は、前記マーク画像が表示された前記画像表示装置を含む被写体を撮影し、
前記モニタは、その表示画面上に前記撮影された被写体画像を表示し、
前記演算手段は、前記モニタの表示画面に表示された前記被写体画像中のディスプレイの表示画面部分の位置のデータを算出し、
前記画像処理手段は、前記位置のデータに基づいて前記画像記憶手段に記憶されている所定の画像を図形変換し、前記モニタの表示画面上の前記ディスプレイの表示画面部分に前記図形変換された所定の画像を嵌め込み、
前記第2の通信手段は、前記所定の画像を前記第1の通信手段を介して前記画像表示装置へ送信し、
前記ディスプレイは、その表示画面上に前記第1の通信手段により受信した前記所定の画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示システムにおいて、
前記撮像手段は、前記マーク画像が表示された前記画像表示装置を含む被写体をライブビュー画像として撮影し、
前記モニタは、その表示画面上に前記撮影されたライブビュー画像を表示し、
前記演算手段は、前記モニタの表示画面に表示された前記ライブビュー画像中のディスプレイの表示画面部分の位置のデータを算出することを特徴とする画像表示システム。
【請求項4】
請求項2に記載の画像表示システムにおいて、
前記撮像手段は、前記マーク画像が表示された前記画像表示装置を含む被写体を静止画像として撮影し、
前記画像記憶手段は、前記撮影された静止画像を記憶し、
前記モニタは、その表示画面上に前記画像記憶手段に記憶された静止画像を再生表示し、
前記演算手段は、前記モニタの表示画面に再生表示された前記静止画像中のディスプレイの表示画面部分の位置のデータを算出することを特徴とする画像表示システム。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像表示システムにおいて、
前記撮像装置は、前記ディスプレイの表示画面上のマーク画像を検出する検出手段を更に有し、
前記演算手段は、前記検出手段によるマーク画像の検出結果に基づいて、前記モニタの表示画面上に表示されたディスプレイの表示画面部分の位置のデータを算出することを特徴とする画像表示システム。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像表示システムにおいて、
前記画像処理手段は、前記画像記憶手段に記憶されている複数の画像を順次図形変換して前記モニタの表示画面上の前記ディスプレイの表示画面部分に順次嵌め込み、
前記撮像装置は、前記モニタの表示画面上に順次表示される前記図形変換された複数の画像から所定の画像を選択する選択手段を更に有し、
前記第2の通信手段は、前記選択手段により選択された前記図形変換された画像に対応する所定の画像を前記第1の通信手段を介して前記画像表示装置へ送信することを特徴とする画像表示システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−186518(P2012−186518A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46187(P2011−46187)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】