説明

撮像装置

【課題】圧電素子を用いた加振装置の異常の検出を、簡素な構成で容易に行えるようにする。
【解決手段】被写体像を光電変換する撮像素子と、撮像素子の前方に配置された光学部材4と、光学部材の両端にそれぞれ配置された第1及び第2の圧電素子5,6と、第1及び第2の圧電素子をそれぞれ独立して加振駆動する第1及び第2の駆動回路9,10と、第1及び第2の圧電素子にそれぞれ隣接して配置され前記光学部材の振動を検出する第1及び第2の検出用圧電素子7,8を備える検出部11,12と、第1の圧電素子を加振振動して光学部材を振動させると共に第2の検出用圧電素子を用いて光学部材の振動を検出する、もしくは、第2の圧電素子を加振振動して光学部材を振動させると共に第1の検出用圧電素子を用いて光学部材の振動を検出するように、第1及び第2の駆動回路と検出部とを制御する第1の制御部130とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラなどの撮像装置において、撮像素子の前方に配置された光学素子の表面に付着した異物を除去する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやビデオカメラに代表される電子撮像装置(以下カメラと称する)は、即時性やパーソナルコンピュータとの親和性の高さから急速に普及している。これらのカメラは被写体像を撮像素子で光電変換して画像データを得るもので、一般的な最小構成としては、撮像素子と撮影光学系と撮像素子の前面に配置されるローパスフィルタ等の光学素子とからなる。
【0003】
上記カメラにおいて例えば光学素子に塵埃等の異物が付着すると異物自身が画像に写りこんで画像の品質を低下させてしまう。そのため、光学素子を振動させて付着した異物の除去を図る技術が各種提案されており、近年実用化もされ始めている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−333391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように光学素子を振動させて付着した異物の除去を行う場合、光学素子を振動させる装置として、一般的に圧電素子を用いた加振装置が用いられる。例えば、この圧電素子を用いた加振装置が何らかの原因で故障した場合、光学素子に与える振動が大きくなってしまい、光学素子が破壊されてしまう可能性がある。
【0005】
そして、光学素子が破壊されてしまった場合、それを検出するためには撮影動作を行って画像を確認する必要があり、ユーザーに無用な手間を掛けさせることになると言う問題があった。
【0006】
したがって、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧電素子を用いた加振装置の異常の検出を、簡素な構成で容易に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる撮像装置は、被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、前記光学部材の両端にそれぞれ配置された第1及び第2の圧電素子と、前記第1及び第2の圧電素子をそれぞれ独立して加振駆動する第1及び第2の駆動手段と、前記第1及び第2の圧電素子にそれぞれ隣接して配置され前記光学部材の振動を検出する第1及び第2の検出用圧電素子を備える検出手段と、前記第1の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第2の検出用圧電素子を用いて前記光学部材の振動を検出する、もしくは、前記第2の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第1の検出用圧電素子を用いて前記光学部材の振動を検出するように、前記第1及び第2の駆動手段と前記検出手段とを制御する第1の制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係わる撮像装置は、被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、前記光学部材の両端にそれぞれ配置された第1及び第2の圧電素子と、前記第1及び第2の圧電素子をそれぞれ独立して加振駆動する第1及び第2の駆動手段と、前記第1の圧電素子と前記第1の駆動手段の間に接続され、前記第1の圧電素子が振動することによって該第1の圧電素子から出力される出力信号を検出する第1の検出手段と、前記第2の圧電素子と前記第2の駆動手段の間に接続され、前記第2の圧電素子が振動することによって該第2の圧電素子から出力される出力信号を検出する第2の検出手段と、前記第1の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第2の検出手段を用いて前記第2の圧電素子から出力される前記出力信号を検出する、もしくは、前記第2の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第1の検出手段を用いて前記第1の圧電素子から出力される前記出力信号を検出する第1の制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧電素子を用いた加振装置の異常の検出を、簡素な構成で容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係わる、圧電素子を用いた加振装置を搭載した一眼レフデジタルカメラについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係わる一眼レフデジタルカメラのブロック図である。
【0012】
図1において、1は被写体像を結像させるための交換可能な撮影レンズユニット、111は撮影レンズユニット1中に備えられ、撮像素子2に入射する光量を調節するための絞り、2は被写体像を光電変換するための撮像素子である。撮像素子2の前面には、ローパスフィルタやカバーフィルタといった防塵フィルタとしても機能する光学部材4が近接して配置されており、この光学部材4の表面に異物が付着する。付着した異物は、影となって撮像素子2上の被写体像に写り込む。光学部材4の左右(図1では便宜上上下位置で示している)には、この光学部材4を振動させて付着した異物を除去する圧電素子5,6が配置されている。圧電素子5,6には、この圧電素子5,6をそれぞれ独立して加振駆動するための圧電素子駆動部122が接続されている。
【0013】
132は撮像素子2から出力されるアナログ画像信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ、140はA/Dコンバータから出力されるデジタル画像信号を処理する画像処理装置である。また、133は撮影レンズユニット1のレンズ位置や絞りの開度を制御するレンズ系制御部、121はAF(オートフォーカス)センサ、AE(自動露出)センサなどの各種センサである。さらに、130はデジタルカメラ全体の動作を制御するカメラ制御部、150はシャッタボタン、ディスプレイ、撮影モード選択ダイヤルなどとのI/O、134は撮影画像や種々の情報を記憶するメモリである。
【0014】
ユーザーの操作はI/O150を介して取得され、ユーザの動作によって電源ON/OFF、撮影動作などが行われる。撮影動作が指示された場合、各種センサ121や撮像素子2から得られる情報に基づいてカメラ制御部130は適切な撮影条件を決定し、レンズ系制御部133を介して適切なレンズ位置などを設定する。露光後に撮像素子2の出力信号をA/Dコンバータ132を介してデジタル化したのち、画像処理装置140で適切な画像処理を施してメモリ134に保存する。また必要な場合には、I/O150を介して図示しないディスプレイに画像を表示する。
【0015】
画像処理装置140は、ホワイトバランス調整、RGB現像、圧縮符号化等の処理を行う。
【0016】
図2は、第1の実施形態の一眼レフデジタルカメラの外観を示す図である。具体的には、図2はカメラ前面側より見た斜視図であって、撮影レンズユニットを外した状態を示している。
【0017】
図2において、100はカメラ本体であり、撮影時に使用者がカメラを安定して握り易いように前方に突出したグリップ部100aが設けられている。202はマウント部であり、着脱可能な撮影レンズユニット1(図1参照)をカメラ本体に固定させる。マウント接点221は、カメラ本体100と撮影レンズユニット1との間で制御信号、状態信号、データ信号などをやり取りすると共に、撮影レンズユニット側に電力を供給する機能を有する。また、マウント接点221は電気通信のみならず、光通信、音声通信などを可能なように構成してもよい。
【0018】
204は撮影レンズユニット1を取り外す際に押し込むレンズロック解除釦である。205はカメラ筐体内に配置されたミラーボックスで、撮影レンズを通過した撮影光束はここへ導かれる。ミラーボックス205の内部には、クイックリターンミラー206が配設されている。クイックリターンミラー206は、撮影光束をペンタプリズム(不図示)の方向へ導くために撮影光軸に対して45°の角度に保持される状態と、撮像素子2(図1を参照)の方向へ導くために撮影光束から退避した位置に保持される状態とを取り得る。
【0019】
カメラ上部のグリップ側には、撮影開始の起動スイッチとしてのシャッタボタン207と、撮影時の動作モードに応じてシャッタスピードやレンズ絞り値を設定するためのメイン操作ダイヤル208と、撮影系の動作モード設定ボタン210が配置されている。これら操作部材の操作結果の一部は、LCD表示パネル209に表示される。図1に示したI/O150は、主としてこれらの操作部材、表示パネル等とのI/Oである。
【0020】
シャッタボタン207は、第1ストローク(半押し)でスイッチSW1がONし、第2ストローク(全押し)でスイッチSW2がONする構成となっている。
【0021】
また、動作モード設定ボタン210は、シャッタボタン207の1回の押込みで連写になるか1コマのみの撮影となるかの設定や、セルフ撮影モードの設定などを行うものであり、LCD表示パネル209にその設定状況が表示されるようになっている。
【0022】
カメラ上部中央には、カメラ本体に対してポップアップするストロボユニット211とフラッシュ取付け用のシュー溝212とフラッシュ接点213が配置されており、カメラ上部右寄りには撮影モード設定ダイヤル214が配置されている。なお、撮影モード設定ダイヤル214は、光学部材4を圧電素子5,6により振動させて光学部材4の表面に付着した塵埃等の異物を除去する動作の起動操作部を兼ねている。
【0023】
グリップ側とは反対側の側面には、開閉可能な外部端子蓋215が設けられており、この外部端子蓋215を開けた内部には、外部インタフェースとしてビデオ信号出力用ジャック216とUSB出力用コネクタ217が納められている。
【0024】
図3は、図1に示した撮像素子の近傍を上面から見た拡大図である。
【0025】
図3において、1は撮影レンズ、2は撮影レンズ1から入射した光を光電変換するための撮像素子、3は撮像素子2をカメラに装着するための撮像素子パッケージである。また、4は撮像素子パッケージ3の前方に配置され、撮像素子パッケージ3の表面および撮像素子2に塵埃等の異物が付着することを防止するための防塵フィルタとしても機能する光学部材である。なお、光学部材4は、具体的には光学ローパスフィルタ、赤外線カットフィルタなどである。さらに、5,6は光学部材4を加振振動させるための駆動用の圧電素子(第1の圧電素子と第2の圧電素子)、21,22は光学部材4を撮像素子パッケージ3に密閉した状態で保持するための保持部材である。保持部材21,22の詳しい構成については、後に図19を参照して説明する。
【0026】
図4は、図3の光学部材4の部分を、撮像素子2側から見た状態、および圧電素子の周辺回路(図1の圧電素子駆動部122の内部回路)を示す図である。
【0027】
図4において、圧電素子(駆動用圧電素子)5,6は光学部材4を挟んで光学部材4の左右両端に貼り付けられている。7,8は圧電素子5,6に隣接してそれぞれ配置され、光学部材4の振動の状態を検出するための検出用圧電素子(第1の検出用圧電素子と第2の検出用圧電素子)である。
【0028】
9は圧電素子5を駆動するための駆動回路(第1の駆動手段)、10は圧電素子6を駆動するための駆動回路(第2の駆動手段)である。11は検出用圧電素子7からの信号を検出するための検出回路、12は検出用圧電素子8からの信号を検出するための検出回路である。
【0029】
光学部材4の両端に貼り付けられた圧電素子5および6を所定の周波数で振動させることにより、光学部材4上に定在波を発生させて振動させ、光学部材4の表面に付着した塵埃等の異物を振り落とす構成となっている。そして、光学部材4に発生した振幅の状態を、検出用圧電素子7,8で検出する。
【0030】
図5は、圧電素子5,6及び検出用圧電素子7,8を制御する制御回路の構成を示すブロック図であり、4、5、6、7、8、9、10、11、12は図4で説明した通りである。
【0031】
130は、図1に示したようにデジタルカメラ全体の動作の制御と共に圧電素子5,6の振動制御も行うカメラ制御部、14はカメラ制御部130により制御され、圧電素子5,6を駆動するための高周波信号を出力するための発振回路である。発振回路14は、カメラ制御部130からの制御値に従って、発振周波数を変化させて加振信号を出力する。15は、圧電素子5,6を駆動する電力を供給する電源回路であり、駆動回路9,10に接続されている。
【0032】
ここで、図4及び図5に示す駆動制御回路全体の動作について説明する。
【0033】
カメラ制御部130は、発振回路14に対して圧電素子5,6を駆動するのに必要な周波数を指示する制御信号を出力し、発振回路14は指示された周波数の信号を出力し、駆動回路9,10に入力する。この駆動回路9,10は電源回路15から供給される電力を、Hブリッジ回路により、カメラ制御部130及び発振回路14から入力される信号に従って出力する機能を持っている。
【0034】
また、カメラ制御部130は、駆動回路9,10に対して圧電素子の駆動を許可するか禁止するかを指示する駆動許可/禁止信号を出すことにより、駆動回路9,10の出力の有無を個別に制御できるようになっている。
【0035】
駆動回路9,10の出力がカメラ制御部130により許可されると、カメラ制御部130により指定された周波数の駆動信号が、圧電素子5,6に印加されて光学部材4を振動させ、光学部材4上に定在波を発生させる。なお、カメラ制御部130は発振回路14へ送る信号を変化させることで、発振回路14の発振周波数を変化させ、圧電素子に印加する信号の周波数を変えることができる。このように周波数を変化させることで、光学部材4上に発生する定在波の腹や節の数を変化させることができるとともに、もっとも振幅の大きい定在波を発生させることができる。
【0036】
光学部材4に定在波が発生すると、検出用圧電素子7,8が振動し信号を発生する。検出用圧電素子7に発生した信号は、検出回路11によりカメラ制御部130が検出できる信号に変換され、カメラ制御部130のA/D変換入力に入力される。同様に検出用圧電素子8に発生した信号は、検出回路12によりカメラ制御部130が検出できる信号に変換され、カメラ制御部130のA/D変換入力に入力される。
【0037】
これにより、カメラ制御部130は、駆動周波数を変化させながら、光学部材4に発生した定在波の振幅状態をモニタすることができる。
【0038】
図6は、カメラ制御部130の光学部材4の振動制御に関する動作を示すフローチャートである。図6では、カメラ制御部130は、光学部材4から異物を落とすための動作、あるいは駆動回路および光学部材4を含む異物除去系のテストを行うための動作をステップS101から開始する。
【0039】
ステップS101では、発振回路14に対して発振周波数の指示を行うことで、圧電素子5,6を駆動する周波数の初期設定を行い、ステップS102へ進む。
【0040】
ステップS102では、今回の駆動が、テスト駆動か、異物除去のための駆動かを判断し、テスト駆動であればステップS112へ進み、異物除去のための駆動であればステップS103へ進む。
【0041】
ステップS103では、異物除去のための駆動動作(第3の制御)を行うので、光学部材4の振動を最大限に大きくする必要がある。そのため、光学部材4の左右両端に貼られた圧電素子5,6の双方の駆動を行うために、駆動回路9,10の双方に駆動許可の信号を出して、圧電素子5,6の駆動を開始させ、ステップS104へ進む。
【0042】
ステップS104では、光学部材4の振動を検出して振動の状態をモニタするために、検出回路11,12からの信号をカメラ制御部130に内蔵されたA/Dコンバータでデジタル信号に変換し、その信号をモニタする。そして、ステップS105へ進む。
【0043】
ステップS105では、検出回路11からの出力信号と検出回路12からの出力信号が、それぞれ基準値以上になっているかどうかを判断し、両信号とも基準値以上になっていれば正常と判断して、ステップS106へ進む。一方、どちらか一つでも、基準値未満になっていれば、出力信号が異常であると判断し、ステップS110へ進む。
【0044】
ステップS106では、設定した周波数での駆動を開始してから所定時間経過したかどうかを判断する。そして、所定時間経過していればステップS107に進み、所定時間経過していなければステップS104へ戻り、同じ周波数での駆動を継続するとともに、振動状態の検出を継続する。
【0045】
ステップS107では、発振回路14に対して周波数の変更を指示し、圧電素子5,6を駆動する周波数を変更してステップS108へ進む。ここで周波数を変更する際には、前回設定した周波数からわずかに低い周波数へ変更する。
【0046】
ステップS108では、ステップS107で設定した周波数が、所定の周波数変更範囲を超えたか否かを判断する。そして、所定の周波数変更範囲内での周波数の変更を終了していればステップS109へ進み、終了していなければステップS104へ戻る。
【0047】
ステップS109では、駆動回路9,10を駆動禁止にして異物除去のための駆動を終了する。
【0048】
一方、ステップS110では、ステップS105で検出回路11,12のいずれか、または両方の出力が異常であるので、駆動回路9,10を駆動禁止状態にしてステップS111へ進む。
【0049】
ステップS111では、ここまでに検出された異常状態を記録するとともに、異常である表示を不図示の表示装置に表示して、ステップS109へ進み駆動を終了する。
【0050】
ここで検出された異常は、異物除去のために光学部材4の両端の圧電素子を駆動している場合の異常であり、駆動回路、検出回路、圧電素子、検出用圧電素子等の異常が想定される。
【0051】
次に、ステップS112は、テストのための駆動を行うステップであり、光学部材4の両端に貼られた圧電素子のうち、片方の圧電素子を駆動する。そして、両端の検出用圧電素子を用いて振動状態の検出を行い、異常がないか判定を行う。このため、駆動回路9を駆動許可に設定し、駆動回路10を駆動禁止にして、圧電素子5のみを駆動し、ステップS113へ進む。
【0052】
ステップS113では、光学部材4の振動を検出して振動の状態をモニタするために、検出回路11,12からの信号をカメラ制御部130に内蔵されたA/Dコンバータでデジタル信号に変換し、その信号をモニタする。そして、ステップS114へ進む。
【0053】
ステップS114では、検出回路11の出力が基準値以上であるかどうかを判断し、基準値以上であれば正常と判断しステップS115へ進む。また、基準値未満であれば出力信号が異常であると判断しステップS122へ進む。
【0054】
ステップS115では、検出回路12の出力が基準値以上であるかどうかを判断し、基準値以上であれば正常と判断しステップS116へ進む。また、基準値未満であれば出力信号が異常であると判断しステップS120へ進む。
【0055】
ステップS116では、ステップS112で駆動した圧電素子とは反対側の圧電素子を駆動するために、駆動回路10を駆動許可に設定し、駆動回路9を駆動禁止に設定する。そして、圧電素子6のみを駆動し、ステップS117へ進む。
【0056】
ステップS117では、光学部材4の振動を検出して振動の状態をモニタするために、検出回路11,12からの信号をカメラ制御部130に内蔵されたA/Dコンバータでデジタル信号に変換し、その信号をモニタする。そして、ステップS118へ進む。
【0057】
ステップS118では、検出回路12の出力が基準値以上であるかどうかを判断し、基準値以上であれば正常と判断しステップS119へ進む。また、基準値未満であれば出力信号が異常であると判断しステップS122へ進む。
【0058】
ステップS119では、検出回路11の出力が基準値以上であるかどうかを判断し、基準値以上であれば正常と判断しステップS109へ進み駆動を終了する。また、基準値未満であれば出力信号が異常であると判断しステップS120へ進む。
【0059】
ステップS120では、実際に駆動を行った圧電素子と同じ側に取り付けられた検出用圧電素子の出力は正常で、光学部材4の反対側に取り付けられた検出用圧電素子の出力が異常となっているため、光学部材4の異常と判断する(第1の制御)。そして、ステップS121へ進む。
【0060】
ステップS121では、ステップS120で光学部材4の異常と判断されたため、光学部材4が割れている可能性もあり、正しい画像を撮影できない可能性がある。このため、その後の撮影動作を禁止する処理を行い、異常状態であることを不図示のメモリなどに記録する。また、不図示の外部表示装置に撮影光学系に異常があり、撮影できないことを表示して、ステップS109へ進み、テスト駆動を終了する。
【0061】
次に、ステップS122では、実際に駆動を行った圧電素子と同じ側に取り付けられた検出用圧電素子の出力が異常となっているため、圧電素子そのものが振動をしていない可能性が高いと考えられる(第2の制御)。このため、異物除去動作は正常に行うことができないが、ステップS120に進んだ場合と異なり、撮影光学系には問題ないと考えられるため、撮影を行うことは可能と判断される。なお、この異物除去駆動系が異常状態であることは不図示のメモリなどに記録される。このとき、異物除去のための駆動は禁止される。また、不図示の外部表示装置に撮影は可能であるが、異物除去動作はできないことを表示して、ステップS109へ進み、テスト駆動を終了する。
【0062】
次に、図10を用いて、ステップS105における具体的な検出信号について説明する。
【0063】
図10において、横軸1201は駆動周波数を示し、縦軸1202は検出回路11,12の出力電圧を示し、1203は検出回路11,12の出力電圧の駆動周波数に対する変化を示している。1203は、駆動周波数の変化に伴い、検出回路11,12の出力電圧がどのように変化するかを示しており、光学部材4の振動の状態により、波形が変化する。
【0064】
1204は、ステップS105における、判定基準値のレベルを示しており、この判定レベル以上であれば、検出回路11や検出回路12の出力が正常であると判断し、この判定レベル以下であれば、異常と判断する。
【0065】
図11は、駆動回路9,10に異常があった場合を示しており、検出回路11,12の出力電圧が、1205に示すように判定レベル1204よりも低いレベルとなった状態を示している。
【0066】
また、ステップS118は、駆動回路10の異常を判断するステップであるが、検出回路12の出力電圧により、ステップS105の場合(図10、図11)と同様に異常検出を行うことができる。
【0067】
次に、ステップS119における具体的な検出信号について説明する。
【0068】
図12において、1206は、駆動回路10のみを動作させて、圧電素子6のみを駆動し、検出用圧電素子7および検出回路11により、光学部材4の振動状況を検出する際の、検出回路11からの検出信号を示している。この信号は、光学部材4の振動状態を示す信号であるため、ステップS118における信号よりも、出力レベルが小さくなる場合が多い。このため、1207で示される判定レベルは、ステップS118における判定レベルよりも、低い値となっている。
【0069】
図13において、1208は、異常な信号の一例であり、何らかの要因で光学部材4の振動が所定の振幅よりも小さい場合を示している。この場合、検出回路11の検出信号も低い値となり、異常を検出する。また、光学部材4が破損している場合などには、検出信号はほぼ「0」となり、異常を検出することができる。
【0070】
このように、駆動回路の異常検出には、駆動用圧電素子近傍に配置された検出用圧電素子により振動を検出する。また、光学素子を含む振動の異常検出には、駆動用圧電素子と光学素子を挟んで対向した位置に配置された検出用圧電素子により、振動を検出して異常を判断する。
【0071】
以上説明したように、上記の第1の実施形態では、光学部材の両端に配置された圧電素子の近傍に、検出用圧電素子を設け、片側の圧電素子を駆動して、光学部材を経由した反対側の検出用圧電素子により振動を検出する。これにより、光学部材の振動状況を検出することができ、光学部材及び圧電素子駆動系の異常を検出することが可能となる。
【0072】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態においては、デジタルカメラの構成は、図1及び図2に示した第1の実施形態の構成と同一であるので説明を省略する。また、撮像素子の近傍を上面から見た構成は、図3に示した第1の実施形態と同一であるので、この説明も省略する。
【0073】
図7は、第2の実施形態における、図3の光学部材4の部分を撮像素子2側から見た状態、および圧電素子の周辺回路(図1における圧電素子駆動部122の内部回路)を示す図である。なお、図7において、第1の実施形態を示す図4と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0074】
図7において、圧電素子5,6は光学部材4の左右両端に貼り付けられている。
【0075】
9は圧電素子5を駆動するための駆動回路、10は圧電素子6を駆動するための駆動回路である。111は圧電素子5の駆動信号に接続され、圧電素子駆動時は駆動信号を、非駆動時は圧電素子5からの信号を検出する検出回路(第1の検出手段)である。112は圧電素子6の駆動信号に接続され、圧電素子駆動時は駆動信号を、非駆動時は圧電素子6からの信号を検出する検出回路(第2の検出手段)である。
【0076】
光学部材4の両端に貼り付けられた圧電素子5および6を所定の周波数で振動させることにより、光学部材4上に定在波を発生させて振動させ、光学部材4の表面に付着した塵埃等の異物を振り落とす構成となっている。そして、検出回路111,112は、圧電素子駆動中は駆動信号をモニタし、非駆動中は光学部材4の振動状態を検出する。
【0077】
図8は、圧電素子5,6を制御する制御回路の構成を示すブロック図であり、第1の実施形態を示す図5と同じ構成要素には、同一の符号を付している。
【0078】
130は、図1に示したようにデジタルカメラ全体の動作の制御と共に圧電素子5,6の振動制御も行うカメラ制御部、14はカメラ制御部130により制御され、圧電素子5,6を駆動するための高周波信号を出力するための発振回路である。発振回路14は、カメラ制御部130からの制御値に従って、発振周波数を変化させて加振信号を出力する。15は、圧電素子5,6を駆動する電力を供給する電源回路であり、駆動回路9,10に接続されている。
【0079】
ここで、図7及び図8に示す駆動制御回路全体の動作について説明する。
【0080】
カメラ制御部130は、発振回路14に対して圧電素子5,6を駆動するのに必要な周波数を指示する制御信号を出力し、発振回路14は指示された周波数の信号を出力し、駆動回路9,10に入力する。この駆動回路9,10は電源回路15から供給される電力を、Hブリッジ回路により、カメラ制御部130及び発振回路14から入力される信号に従って出力する機能を持っている。
【0081】
また、カメラ制御部130は、駆動回路9,10に対して圧電素子の駆動を許可するか禁止するかを指示する駆動許可/禁止信号を出すことにより、駆動回路9,10の出力の有無を個別に制御できるようになっている。
【0082】
駆動回路9,10の出力がカメラ制御部130により許可されると、カメラ制御部130により指定された周波数の駆動信号が、圧電素子5,6に印加されて光学部材4を振動させ、光学部材4上に定在波を発生させる。なお、カメラ制御部130は発振回路14へ送る信号を変化させることで、発振回路14の発振周波数を変化させ、圧電素子に印加する信号の周波数を変えることができる。このように周波数を変化させることで、光学部材4上に発生する定在波の腹や節の数を変化させることができるとともに、もっとも振幅の大きい定在波を発生させることができる。
【0083】
圧電素子5,6が駆動されると、圧電素子5,6の駆動信号を検出回路111,112で検出し、その検出信号をカメラ制御部130のA/Dコンバータでデジタル信号に変換し、信号の状態を検出する。また、光学部材4の両端に貼り付けられた圧電素子のうち、片側の圧電素子の駆動を行い、反対側の圧電素子を非駆動にすることにより、片側の圧電素子の駆動により発生した光学部材4の定在波を、反対側の圧電素子で検出する。
【0084】
たとえば、圧電素子5を駆動した場合、圧電素子6に発生した信号は、検出回路112によりカメラ制御部130が検出できる信号に変換され、カメラ制御部130のA/D変換入力に入力される。
【0085】
これにより、カメラ制御部130は、駆動回路9,10の状態をモニタできるとともに、駆動周波数を変化させながら光学部材4に発生した定在波の振幅状態をモニタすることができる。
【0086】
図9は、カメラ制御部130の光学部材4の振動制御に関する動作を示すフローチャートである。図9では、カメラ制御部130は、光学部材4から異物を落とすための動作、あるいは駆動回路および光学部材4を含む異物除去系のテストを行うための動作をステップS201から開始する。
【0087】
ステップS201では、発振回路14に対して発振周波数の指示を行うことで、圧電素子5,6を駆動する周波数の初期設定を行い、ステップS202へ進む。
【0088】
ステップS202では、今回の駆動が、テスト駆動か、異物除去のための駆動かを判断し、テスト駆動であればステップS212へ進み、異物除去のための駆動であればステップS203へ進む。
【0089】
ステップS203では、異物除去のための駆動動作を行うので、光学部材4の振動を最大限に大きくする必要がある。そのため、光学部材4の左右両端に貼られた圧電素子5,6の双方の駆動を行うために、駆動回路9,10の双方に駆動許可の信号を出して、圧電素子5,6の駆動を開始させ、ステップS204へ進む。
【0090】
ステップS204では、駆動回路9,10の駆動信号(光学部材4の振動の状態)をモニタするために、検出回路111,112からの信号をカメラ制御部130に内蔵されたA/Dコンバータでデジタル信号に変換し、その信号をモニタする。そして、ステップS205へ進む。
【0091】
ステップS205では、検出回路111からの出力信号と検出回路112からの出力信号が、それぞれ基準値以上になっているかどうかを判断し、両信号とも基準値以上になっていれば正常と判断して、ステップS206へ進む。一方、どちらか一つでも、基準値未満になっていれば、駆動信号が異常であると判断し、ステップS210へ進む。
【0092】
ステップS206では、設定した周波数での駆動を開始してから所定時間経過したかどうかを判断する。そして、所定時間経過していればステップS207に進み、所定時間経過していなければステップS204へ戻り、同じ周波数での駆動を継続するとともに、駆動信号の検出を継続する。
【0093】
ステップS207では、発振回路14に対して周波数の変更を指示し、圧電素子5,6を駆動する周波数を変更してステップS208へ進む。ここで周波数を変更する際には、前回設定した周波数からわずかに低い周波数へ変更する。
【0094】
ステップS208では、ステップS207で設定した周波数が、所定の周波数変更範囲を超えたか否かを判断する。そして、所定の周波数変更範囲内での周波数の変更を終了していればステップS209へ進み、終了していなければステップS204へ戻る。
【0095】
ステップS209では、駆動回路9,10を駆動禁止にして異物除去のための駆動を終了する。
【0096】
一方、ステップS210では、ステップS205で検出回路111,112のいずれか、または両方の出力が異常であるので、駆動回路9,10を駆動禁止状態にしてステップS211へ進む。
【0097】
ステップS211では、ここまでに検出された異常状態を記録するとともに、異常である表示を不図示の表示装置に表示して、ステップS209へ進み駆動を終了する。
【0098】
ここで検出された異常は、異物除去のために光学部材4の両端の圧電素子を駆動している場合の異常であり、駆動回路、検出回路、圧電素子等の異常が想定される。
【0099】
次に、ステップS212は、テストのための駆動を行うステップであり、光学部材4の両端に貼られた圧電素子のうち、片方の圧電素子を駆動する。そして、駆動している側とは反対側の圧電素子を用いて振動状態の検出を行い、異常がないか判定を行う。このため、駆動回路9を駆動許可に設定し、駆動回路10を駆動禁止にして、圧電素子5のみを駆動し、ステップS213へ進む。
【0100】
ステップS213では、圧電素子5を駆動する信号をモニタすると共に、光学部材4の振動を圧電素子6で検出して振動の状態をモニタするために、検出回路111,112からの信号をカメラ制御部130に入力する。カメラ制御部130では、内蔵されたA/Dコンバータで入力された信号をデジタル信号に変換し、その信号をモニタする。そして、ステップS214へ進む。
【0101】
ステップS214では、検出回路111の出力が基準値以上であるかどうかを判断し、基準値以上であれば正常と判断しステップS215へ進む。また、基準値未満であれば出力信号が異常であると判断しステップS222へ進む。
【0102】
ステップS215では、検出回路112の出力が基準値以上であるかどうかを判断し、基準値以上であれば正常と判断しステップS216へ進む。また、基準値未満であれば出力信号が異常であると判断しステップS220へ進む。
【0103】
ステップS216では、ステップS212で駆動した圧電素子とは反対側の圧電素子を駆動するために、駆動回路10を駆動許可に設定し、駆動回路9を駆動禁止に設定する。そして、圧電素子6のみを駆動し、ステップS217へ進む。
【0104】
ステップS217では、圧電素子6を駆動する信号をモニタすると共に、光学部材4の振動を圧電素子5で検出して振動の状態をモニタするために、検出回路111,112からの信号をカメラ制御部130に入力する。カメラ制御部130では、内蔵されたA/Dコンバータで入力された信号をデジタル信号に変換し、その信号をモニタする。そして、ステップS218へ進む。
【0105】
ステップS218では、検出回路112の出力が基準値以上であるかどうかを判断し、基準値以上であれば正常と判断しステップS219へ進む。また、基準値未満であれば出力信号が異常であると判断しステップS222へ進む。
【0106】
ステップS219では、検出回路111の出力が基準値以上であるかどうかを判断し、基準値以上であれば正常と判断しステップS209へ進み駆動を終了する。また、基準値未満であれば出力信号が異常であると判断しステップS220へ進む。
【0107】
ステップS220では、実際に駆動を行った圧電素子への駆動信号は正常で、光学部材4の反対側に取り付けられた圧電素子の出力が異常となっているため、光学部材4の異常と判断する。そして、ステップS221へ進む。
【0108】
ステップS221では、ステップS220で光学部材4の異常と判断されたため、光学部材4が割れている可能性もあり、正しい画像を撮影できない可能性がある。このため、その後の撮影動作を禁止する処理を行い、異常状態であることを不図示のメモリなどに記録する。また、不図示の外部表示装置に撮影光学系に異常があり、撮影できないことを表示して、ステップS209へ進み、テスト駆動を終了する。
【0109】
次に、ステップS222では、実際に駆動を行った圧電素子への駆動信号が異常となっているため、駆動回路、検出回路、圧電素子等の異常が想定される。このため、異物除去動作は正常に行うことができないが、ステップS220に進んだ場合と異なり、撮影光学系には問題ないと考えられるため、撮影を行うことは可能と判断される。なお、この異物除去駆動系が異常状態であることは不図示のメモリなどに記録される。このとき、異物除去のための駆動は禁止される。また、不図示の外部表示装置に撮影は可能であるが、異物除去動作はできないことを表示して、ステップS209へ進み、テスト駆動を終了する。
【0110】
次に、図14を用いて、ステップ205における具体的な検出信号について説明する。
【0111】
図14において、横軸1301は駆動周波数を示し、縦軸1302は検出回路111,112の出力電圧を示し、1303は検出回路111,112の出力電圧の駆動周波数に対する変化を示している。1303は、駆動周波数の変化に伴い、検出回路111,112の出力電圧がどのように変化するかを示している。ここでは、駆動回路9および10から駆動信号が出力されている場合には、検出回路111,112は駆動回路9および10の出力信号を検出するため、駆動周波数にかかわらず、一定の出力を出すこととなる。
【0112】
1304は、ステップS205における、判定基準値のレベルを示しており、この判定レベル以上であれば、検出回路111,112の出力が正常であると判断し、この判定レベル以下であれば、異常と判断する。
【0113】
図15は、駆動回路9や駆動回路10に異常があった場合を示しており、検出回路111,112の出力電圧が、1305に示すように判定レベル1304よりも低いレベルとなった状態を示している。
【0114】
また、ステップS218は、駆動回路10の異常を判断するステップであるが、検出回路112の出力電圧により、ステップS205の場合(図14、図15)と同様に異常検出を行うことができる。
【0115】
次に、ステップS219における具体的な検出信号について説明する。
【0116】
図16において、1306は、駆動回路10のみを動作させて、圧電素子6のみを駆動し、圧電素子5および検出回路111により、光学部材4の振動状況を検出する際の、検出回路111からの検出信号を示している。この信号は、光学部材4の振動状態を示す信号であるため、ステップS218における信号よりも、出力レベルが小さくなる場合が多い。このため、1307で示される判定レベルは、ステップS218における判定レベルよりも、低い値となっている。
【0117】
図17において、1308は、異常な信号の一例であり、何らかの要因で光学部材4の振動が所定の振幅よりも小さい場合を示している。この場合、検出回路111の検出信号も低い値となり、異常を検出する。また、光学部材4が破損している場合などには、検出信号はほぼ「0」となり、異常を検出することができる。
【0118】
このように、駆動信号の異常検出には、駆動信号を検出し、光学素子を含む振動の異常検出には、駆動用圧電素子と光学素子を挟んで対向した位置に配置された、非駆動状態の圧電素子により、振動を検出して判断する。
【0119】
以上説明したように、上記の第2の実施形態では、振動検出用圧電素子の代わりに、駆動用圧電素子を用いる。つまり、二つの圧電素子のうち片側の圧電素子を駆動するとともに、駆動していない側の圧電素子を検出用に用いることで、検出用圧電素子を設けなくとも、光学素子の振動状態を検出することが可能となる。
【0120】
(振動ユニットの構成)
以下、図18乃至図20を参照して、撮像ユニット400について説明する。図18は、撮像ユニット400の周辺構造について説明するためのカメラ内部の概略構成を示す分解斜視図である。カメラ本体の骨格となる本体シャーシ300の被写体側には、被写体側から順にミラーボックス205、シャッタユニット32が配設される。また、本体シャーシ300の撮影者側には、撮像ユニット400が配設される。撮像ユニット400は、撮影レンズユニットが取り付けられる基準となるマウント部202の取付面に撮像素子2の撮像面が所定の距離を空けて、且つ平行になるように調整されて固定される。
【0121】
図19は、撮像ユニット400の構成を示す分解斜視図である。撮像ユニット400は、大きく分けて、振動ユニット470と、弾性部材450と、撮像素子ユニット500とにより構成される。詳細は後述するが、振動ユニット470は弾性部材450を挟み込むかたちで撮像素子ユニット500に固定される。
【0122】
まず、図19、図20を参照して、撮像素子ユニット500について説明する。撮像素子ユニット500において、510は固定部材であり、撮像素子2を保持するとともに、振動ユニット470の付勢部材460が固定される。520は撮像系の電気回路が実装された回路基板であり、固定部材510の撮影者側に配設される。530は導電性を有する金属等によって形成されたシールドケースである。540は撮像素子2の光電変換面の有効領域に対応した開口が形成された遮光部材であり、固定部材510の被写体側に配設される。550は光学ローパスフィルタ410を保持する光学ローパスフィルタ保持部材である。
【0123】
固定部材510は、振動ユニット470の付勢部材460と位置決めするための位置決めピン部510aと、回路基板520及びシールドケース530をビスで固定するためのビス穴510bと、振動ユニット470の付勢部材460(固定部460b)をビスで固定するためのビス穴510cとを有する。
【0124】
図20は、図18のA−A線に沿う断面図である。遮光部材540の被写体側の面は光学ローパスフィルタ410と当接し、撮影者側の面は撮像素子2のカバーガラス2aと当接する。遮光部材540の被写体側及び撮影者側には両面テープが固着されており、光学ローパスフィルタ410は遮光部材540の両面テープにより撮像素子2のカバーガラス2aに固定、保持される。これにより、光学ローパスフィルタ410と撮像素子2のカバーガラス2aとの間は遮光部材540によって封止され、塵埃等の異物の侵入を防ぐ密閉空間が形成される。なお、圧電素子5は、図示するように、光学部材(赤外カットフィルタ)4の撮像素子2側に固着される。
【0125】
回路基板520には、ビス用の逃げ穴520aが設けられる。シールドケース530には、ビス用の逃げ穴530aが設けられる。回路基板520とシールドケース530は、ビス用の逃げ穴520aとビス用の逃げ穴530a、ビス穴510bを用いて、固定部材510にビスで係止される。シールドケース530は、電気回路を静電気等から保護するため回路上の接地電位に接続される。
【0126】
光学ローパスフィルタ保持部材550は、遮光部材540の両面テープにより撮像素子2のカバーガラス2aに固着される。光学ローパスフィルタ410は光学ローパスフィルタ保持部材550の開口箇所にて位置決めされ、遮光部材540に両面テープで固定、保持される。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる一眼レフデジタルカメラのブロック図である。
【図2】第1の実施形態の一眼レフデジタルカメラの外観を示す図である。
【図3】図1に示した撮像素子の近傍を上面から見た拡大図である。
【図4】図3の光学部材の部分を、撮像素子側から見た状態、および圧電素子の周辺回路を示す図である。
【図5】圧電素子及び検出用圧電素子を制御する制御回路の構成を示すブロック図である。
【図6】カメラ制御部の光学部材の振動制御に関する動作を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態における、図3の光学部材の部分を撮像素子側から見た状態、および圧電素子の周辺回路を示す図である。
【図8】圧電素子を制御する制御回路の構成を示すブロック図である。
【図9】カメラ制御部の光学部材の振動制御に関する動作を示すフローチャートである。
【図10】検出回路の出力電圧の駆動周波数に対する変化を示す図である。
【図11】駆動回路に異常があった場合の検出回路の出力を示す図である。
【図12】片側の駆動回路を動作させて、反対側の検出用圧電素子および検出回路により、光学部材の振動状況を検出する際の検出信号を示す図である。
【図13】異常な信号の一例を示す図である。
【図14】検出回路の出力電圧の駆動周波数に対する変化を示す図である。
【図15】駆動回路に異常があった場合の検出回路の出力を示す図である。
【図16】片側の駆動回路を動作させて、反対側の圧電素子および検出回路より、光学部材の振動状況を検出する際の検出信号を示す図である。
【図17】異常な信号の一例を示す図である。
【図18】撮像ユニットの周辺構造について説明するためのカメラ内部の概略構成を示す分解斜視図である。
【図19】撮像ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図20】図18のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0128】
1 撮影レンズユニット
2 撮像素子
4 光学部材
5,6 圧電素子
7,8 検出用圧電素子
9,10 駆動回路
11,12 検出回路
14 発振回路
15 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、
前記光学部材の両端にそれぞれ配置された第1及び第2の圧電素子と、
前記第1及び第2の圧電素子をそれぞれ独立して加振駆動する第1及び第2の駆動手段と、
前記第1及び第2の圧電素子にそれぞれ隣接して配置され前記光学部材の振動を検出する第1及び第2の検出用圧電素子を備える検出手段と、
前記第1の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第2の検出用圧電素子を用いて前記光学部材の振動を検出する、もしくは、前記第2の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第1の検出用圧電素子を用いて前記光学部材の振動を検出するように、前記第1及び第2の駆動手段と前記検出手段とを制御する第1の制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第1の検出用圧電素子を用いて前記光学部材の振動を検出する、もしくは、前記第2の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第2の検出用圧電素子を用いて前記光学部材の振動を検出するように、前記第1及び第2の駆動手段と前記検出手段とを制御する第2の制御手段をさらに備え、
前記第1の制御手段によって異常が検出された場合と、前記第2の制御手段によって異常が検出された場合で、前記撮像装置の動作を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の制御手段によって異常が検出された場合には撮影動作を禁止し、前記第1の制御手段によっては異常が検出されずに前記第2の制御手段によって異常が検出された場合には撮影動作を禁止することなく、異物除去のための前記第1および第2の圧電素子の加振を禁止することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光学部材に付着した異物を除去する場合に、前記第1及び前記第2の圧電素子の双方を加振駆動するように、前記第1及び第2の駆動手段を制御する第3の制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、
前記光学部材の両端にそれぞれ配置された第1及び第2の圧電素子と、
前記第1及び第2の圧電素子をそれぞれ独立して加振駆動する第1及び第2の駆動手段と、
前記第1の圧電素子と前記第1の駆動手段の間に接続され、前記第1の圧電素子が振動することによって該第1の圧電素子から出力される出力信号を検出する第1の検出手段と、
前記第2の圧電素子と前記第2の駆動手段の間に接続され、前記第2の圧電素子が振動することによって該第2の圧電素子から出力される出力信号を検出する第2の検出手段と、
前記第1の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第2の検出手段を用いて前記第2の圧電素子から出力される前記出力信号を検出する、もしくは、前記第2の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第1の検出手段を用いて前記第1の圧電素子から出力される前記出力信号を検出する第1の制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記第1の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第1の検出手段を用いて前記第1の圧電素子から出力される前記出力信号を検出する、もしくは、前記第2の圧電素子を加振振動して前記光学部材を振動させると共に前記第2の検出手段を用いて前記第2の圧電素子から出力される前記出力信号を検出するように、前記第1及び第2の駆動手段と前記第1及び第2の検出手段とを制御する第2の制御手段をさらに備え、
前記第1の制御手段によって異常が検出された場合と、前記第2の制御手段によって異常が検出された場合で、前記撮像装置の動作を異ならせることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の制御手段によって異常が検出された場合には撮影動作を禁止し、前記第1の制御手段によっては異常が検出されずに前記第2の制御手段によって異常が検出された場合には撮影動作を禁止することなく、異物除去のための前記第1及び第2の圧電素子の加振を禁止することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記光学部材に付着した異物を除去する場合に、前記第1及び前記第2の圧電素子の双方を加振駆動するように、前記第1及び第2の駆動手段を制御する第3の制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−236706(P2008−236706A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142330(P2007−142330)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】