説明

撮像装置

【課題】秒単位で正確な時刻設定をすることができる撮像装置を得る。
【解決手段】時刻設定モードで、スルー画像で撮像し、時計と認識できるとその時計を第1の画像データとしてメモリに記憶する。次に、撮影した時計が秒針を備えた三針時計の場合、第1の画像データを撮影してから1秒以上経過後に、第2の画像データを撮影し、第1の画像データと、第2の画像データとを比較し、移動している針から秒針を判定する。秒針が判定できることにより、分針と区別でき、秒単位で正確な時刻情報を取得することができ、時刻を補正することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻設定機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置では、時計を内蔵しており、撮影画像を画像データに変換してメモリに記録する際に、撮影情報の一つとして、撮影したときの年月日や時刻などを日時情報として記録するように構成されている。このような撮像装置においては、予め時刻を設定しておく必要がある。また、撮像装置が、テレビやラジオ等の内容を録画や録音できるようになった場合には、タイマ設定のために、秒単位までの正確な時刻設定が必要となる。
【0003】
正確な時刻設定の方法として、特許文献1には、電波時計が内蔵されている外部機器に接続することで秒単位まで正確に時刻設定する技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1では、電波時計を利用することにより正確な時刻設定ができるが、電波時計の時刻を設定するための標準電波を受信できない場所、例えば建物の中等があることや、海外では現地時刻に設定できない場合等がある。
【0005】
そこで、特許文献2には、正確な時刻が設定されている時計を撮像装置で撮影することにより、撮影した時計の時刻情報を取得し、取得した時刻情報で撮像装置内の時刻を設定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−202979公報
【特許文献2】特開2000−75394公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2では、撮影した時刻を秒単位で認識せず、撮影した時刻を設定しており、秒単位で正確な時刻設定をすることができなかった。仮に、秒単位で時刻を設定すべく三針時計を撮影したとしても、秒針と分針との間には、時針と分針との間のような大きな差異がなく、判別が困難である。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、撮像機能を用いて、自動的に秒単位で正確な時刻設定をすることができる撮像装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被写体を撮像することにより当該被写体の画像データを取得する撮像手段と、前記撮像手段により取得された前記画像データの内の予め定められた領域内をパターンマッチングして三針時計と認識する三針時計認識手段と、前記三針時計認識手段により三針時計と認識するまでの時間を含み、少なくとも1秒以上経過後に少なくとも前記領域を含む画像を再撮像するように制御する撮像制御手段と、時間差をもって撮像された2種の画像データに基づき、三針をそれぞれ時針、分針、秒針として特定する針種特定手段と、前記針種特定手段で取得した前記画像データに基づいて、時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、を有している。
【0009】
本発明によれば、時計を撮像する時間を1秒以上ずらすことにより、秒針がある時計では、秒針が移動している2種の画像データを得ることができる。この2種の画像データより、秒針と分針とを区別することができ、秒単位の正確な時刻情報を取得することができる。
【0010】
また、上記発明において、被写体を撮像することにより当該被写体の画像データを取得する撮像手段と、三針時計の三針を特定することを前提として、前記撮像手段による撮像を実行する場合に、前記撮像手段の感度に基づいて、長時間露光撮影又は多重露光撮影のいずれかを選択して撮影するように前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、前記撮像制御手段の制御によって撮影された画像データに基づき、三針を時針、分針、秒針として特定する針種特定手段と、前記針種特定手段で取得した前記画像データに基づいて、時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、を有している。
【0011】
秒針を判定するために、感度に基づいて、長時間露光撮影又は多重露光撮影を選択する。長時間露光で撮影すると、秒針の移動が扇形状の軌跡として撮像される。また、多重露光撮影すると、シャッター制御された回数と同数の秒針が撮像される。これらの撮像された画像データから秒針を判定することができ、正確な時刻情報を取得することができる。
【0012】
また、上記発明において、前記時刻情報取得手段に基づいて、現在設定されている時刻を補正する補正手段を更に有することを特徴としている。
【0013】
秒単位の正確な時刻情報を取得することができるため、その時刻を用いて、現在設定されている時刻を補正することができる。
【0014】
さらに、上記発明において、前記撮像制御手段は、前記針種特定手段により針種が特定されるまで、前記領域の撮像を繰り返すことを特徴としている。
【0015】
時刻情報を取得するために、2種の画像データが時、分の区切りに撮像された場合には、1秒経過後に時針や分針が移動することがある。そのため、2種の画像データを比べて2本以上の針が移動している場合は、再度、1秒以上の間隔をおいて時計の撮像を繰り返して、三針を特定することができる。これにより、正確な時刻情報を取得することができる。
【0016】
また、上記発明において、前記針種特定手段は、2本以上の針の回転軸が同軸上に有ることを特定対象条件として三針を特定することを特徴としている。
【0017】
パターンマッチングで時計と認識するだけでなく、2本以上の針の回転軸が同軸上にある場合には、その回転軸を有している針によって時刻情報を取得する。これにより、文字盤上に、日付情報や曜日情報が表示されている時計でも、時刻情報を正確に取得することができる。
【0018】
また、上記発明において、前記針種特定手段は、同軸上の回転軸から徐々に半径が拡大された同心円上と針との交差の有無により、最も短い長さの時針を検出することを特徴としている。
【0019】
同軸上の回転軸からの半径を拡大しながら同心円上に時針を検出することにより、時針と、分針、秒針とを区別することができ、時刻情報を正確に取得することができる。
【0020】
さらに、上記発明において、前記補正手段による時刻の補正後に、前記針種特定手段で適用した画像データを削除することを特徴としている。
【0021】
時刻を補正した後に、時刻情報を取得するために撮像した画像データを削除することにより、不要なデータをメモリに残さず、メモリ容量を有効に利用することができる。
【0022】
また、上記発明において、前記補正手段は、時刻のずれの履歴に基づいて補正時にさらに時刻を調整することを特徴としている。
【0023】
時計固有の時刻のずれを算出し、時刻を補正するときにそのずれを調整することで、補正後は、時刻がずれることなく、正確な時刻を表示することができる。
【0024】
また、上記発明において、前記撮像手段が撮像している前記被写体を表示する表示部を更に有し、前記表示部に前記被写体である時計を撮影するために、少なくとも、前記表示部内の所定の点を中心とする回転角方向の指標を表示することを特徴としている。
【0025】
時計を撮像するときに、撮像装置の表示部に時計を撮影するための指標を表示することにより、撮像がしやすくなる。また、文字盤に数字が表示されていない時計を撮影しても、指標を基に時刻情報を正確に取得することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した如く本発明では、撮像機能を用いて、自動的に秒単位で正確な時刻設定をすることができる撮像装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
図1には、第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10の外観上の構成を示している。
【0028】
図1(A)は、デジタルカメラ10の正面図を示している。
【0029】
デジタルカメラ10の正面には、ファインダ12、レンズ14、ストロボ16が備えられている。
【0030】
ファインダ12は、撮影する被写体の構図を決定するために用いられる。
【0031】
レンズ14は、複数枚のレンズを有し、図示しないレンズ駆動機構により、焦点距離の変更(変倍)が可能なズームレンズとして構成され、被写体像を結像させる。
【0032】
ストロボ16は、撮影時に必要に応じて被写体に照射する光を発光する。
【0033】
図1(B)に、デジタルカメラ10の背面図を示す。
【0034】
デジタルカメラ10の背面には、前述のファインダ12の接眼部、液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)18、モード切替スイッチ20、十字カーソルボタン22、強制発光スイッチ24、が備えられている。
【0035】
LCD18は、撮影によって得られたデジタル画像データに基づいた画像や各種メニュー画面、メッセージ等を表示する。
【0036】
モード切替スイッチ20は、撮影を行うモードである撮影モード及び、撮影によって得られたデジタル画像データに基づいた画像をLCD18に表示(再生)するモードである再生モードの何れかのモードに設定するために操作される。
【0037】
十字カーソルボタン22は、LCD18の表示領域における上下左右の4方向の移動方向を示す4つの矢印キー及び当該4つの矢印キーの中央部に位置された決定キーの合計5つのキーを含んで構成される。
【0038】
強制発光スイッチ24は、以後の撮影時にストロボ16を強制的に発光させるモードである強制発光モードを設定する際に操作される。
【0039】
図1(C)に、デジタルカメラ10の上面図を示す。
【0040】
デジタルカメラ10の上面には、電源スイッチ26、レリーズボタン(所謂シャッターボタン)28、が備えられている。レリーズボタン28は、撮影を実行する際にユーザによって押圧操作される。
【0041】
第1の実施の形態に係るレリーズボタン28は、中間位置まで押下される状態(以下、「半押し状態」という。)と、当該中間位置を超えた最終押下位置まで押下される状態(以下、「全押し状態」という。)と、の2段階の押圧操作が検出可能に構成されている。そして、第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10では、レリーズボタン28を半押し状態にすることによりAE(Automatic Exposure、自動露出)機能が働いて露出状態(シャッタースピード、絞りの状態)が設定された後、AF(Automatic Focus、自動合焦)機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態にすると露光され被写体の撮影が行なわれる。なお、撮影者は、AE機能及びAF機能を用いずに、手動で、露出及び焦点を調整することもできる。
【0042】
次に、図2には、第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10の電気系の構成を示している。
【0043】
デジタルカメラ10には、撮像デバイスとしてCCD(Charge Coupled Device)32が設けられており、このCCD32に被写体を結像させるレンズ14等を含んで形成される光学ユニット30を備えている。
【0044】
CCD32は、二次元配列された図示しない多数の光電変換素子を備えており、光学ユニット30を介してCCD32に結像される被写体像に応じて、個々の光電変換素子に蓄積された電荷に応じた電気信号を出力する。
【0045】
また、デジタルカメラ10では、このCCD32から出力される電気信号に基づいて、被写体像のデジタル画像データが生成される。
【0046】
さらに、デジタルカメラ10には、信号処理部(白バランスγ処理)34、A/Dコンバータ(A/D)36、バッファメモリ38及びタイミングジェネレータ(TG)40が設けられている。このTG40は、CCD32に設けられている図示しない垂直・水平ドライバが所定タイミングで駆動することにより、CCD32から各画素毎の電気信号を出力させると共に、信号処理部34及びA/D36の動作タイミングを制御する。
【0047】
これにより、CCD32から出力される電気信号は、信号処理部34で、相関二重サンプリング処理が施されることによりノイズ除去が図られると共に、CCD32におけるR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の感度調整、光源種に応じたデジタルゲインをかけることによるホワイトバランス調整、ガンマ処理及びシャープネス処理が施された後、各画素毎のR、G、Bの各色の信号として、A/D36に入力される。
【0048】
そして、A/D36は、各画素毎のR、G、Bの各色の信号をデジタル信号に変換して出力する。これにより、被写体像に応じたデジタル画像データがバッファメモリ38に記憶される。
【0049】
また、デジタルカメラ10には、測光、焦点距離を調整する測光・測距CPU42が設けられている。測光・測距CPU42は、CCD32によって撮影された被写体像(バッファメモリ38に記憶されたデジタル画像データ)に基づいて設定される露光時間、絞り値等に応じて、図示しないドライバを介して光学ユニット30に含まれるシャッター及び絞りを駆動させる図示しないシャッタ・アイリスモータドライバを制御する。
【0050】
なお、測光・測距CPU42には、充電・発光制御部44を介してストロボ46が接続されており、CCD32に結像される被写体像を撮影するときのストロボ46の発光も制御している。
【0051】
さらに、デジタルカメラ10には、メインCPU48、YC処理部50及び各種パラメータやプログラムを記憶しているEEPROM52が設けられて、これらがバッファメモリ38及び測光・測距CPU42と共にバス54に接続している。各制御デバイスは、電源74から電源が供給され、動作可能となっている。
【0052】
さらに、図1に示すように、モード切替スイッチ20、十字カーソルボタン22、及び強制発光スイッチ24、電源スイッチ26(同図では、「操作部56」と総称。)はメインCPU48に接続されており、メインCPU48は、これらの操作部56に対する操作状態を常時把握できる。
【0053】
メインCPU48は、LEDドライバ70に接続している。LEDドライバ70は、メインCPU48からの指示に応じて補助光装置72を点消灯させる。
【0054】
YC処理部50は、バッファメモリ38に記憶されたデジタル画像データを読み出して、このデジタル画像データに対して所定の画像処理を施す。このとき、YC処理部50では、デジタル画像データに対してYC信号処理を施すことにより、輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cbを生成し(以下、「YC信号」という。)、このYC信号を、図示しないVRAM(Video RAM)に記憶する。
【0055】
信号変換部58は、YC処理部50で生成されたYC信号等を、LCD18での画像表示用のRGB信号に変換する。これにより、ドライバ60を介してLCD18には、デジタル画像データに応じた画像や各種の情報が表示される。
【0056】
デジタルカメラ10には、圧縮・伸張部64が設けられており、バス54、インタフェース(I/F)66に接続している。圧縮・伸張部64は、I/F66を介して可搬式の記憶メディアであるメモリカード68が記憶手段として装着されるようになっている。
【0057】
なお、撮像に関するレンズ14等を含む光学ユニット30、CCD32、信号処理部34、A/D36、バッファメモリ38、TG40、測光・測距CPU42、充電・発光制御部44、ストロボ46、YC処理50を撮像部80とする。
【0058】
第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10には、時刻を設定するための時刻設定モードが予め用意されている。
【0059】
図3は、第1の実施の形態に係る時刻設定撮影モードが選択されたときのメインCPU48での動作を示す機能ブロック図である。
【0060】
撮像部80は、バス54とインタフェース(I/F)82とを介して、画像解析部84に接続している。撮像部80は、被写体を撮像し、撮像した画像データを画像解析部84へ送出する。
【0061】
画像解析部84は、時計認識部86と内部メモリ98とに接続している。画像解析部84は、撮像部80から送出される画像データを解析し、解析した結果を時計認識部86へ送出する。また、解析した画像データを内部メモリ98に記憶する。
【0062】
時計認識部86は、撮像制御部88と時間差撮影指示部90とに接続している。時計認識部86は、画像解析部84から送出される解析結果から時計を認識すると撮像制御部88へは1回目の撮像(第1の画像データ)を指示する信号を送出し、時間差撮影指示部90へは時間差で2回目の撮影(第2の画像データ)を指示する信号を送出する。
【0063】
時間差撮影指示部90は、タイマ91と撮像制御部88とに接続している。時間差撮影指示部90は、時計認識部86からの撮影を指示する信号を受信すると、タイマ91で1秒以上経過するのを計って、撮像制御部88へ撮像を指示する信号を送出する。
【0064】
撮像制御部88は、I/F82に接続している。撮像制御部88は、I/F82を介して、撮像部80へ撮像を指示する信号を送出する。
【0065】
針種特定部92は、内部メモリ98と時刻取得部94とに接続している。針種特定部92は、内部メモリ98に記憶されている第1の画像データと第2の画像データとを基に、時針、分針、秒針を特定し、針種特定データを時刻取得部94へ送出する。
【0066】
時刻取得部94は、補正実行部96に接続している。時刻取得部94は、針種特定部92から送出される針種特定データを基に時刻を取得し、取得した時刻データを補正実行部96へ送出する。
【0067】
補正実行部96は、時刻取得部94で取得された時刻データを基に設定されている時刻を補正する。
【0068】
以下に第1の実施の形態の作用を説明する。
【0069】
図4は、時刻設定モードが選択され、時計を撮影することで時刻を設定する処理の流れを示したフローチャートである。
【0070】
ステップ100では、撮像部80が被写体をスルー画像で撮像する。撮影したスルー画像を画像解析部84で解析し、時計認識部86でパターンマッチングして時計か否かを判定する。時計を認識できない否定判定の場合は、ステップ100を繰り返し、時計を認識できた肯定判定の場合は、ステップ102へ移行する。
【0071】
ステップ102では、撮像者にLCD18に時刻を設定するためデジタルカメラ10を静止するように表示し、デジタルカメラ10が静止したか否かを判定する。デジタルカメラ10が静止していないと否定判定された場合は、ステップ100へ移行し、再度、被写体をスルー画像で撮像する。デジタルカメラ10が静止したと肯定判定された場合は、ステップ104へ移行する。
【0072】
ステップ104では、撮像部80によって時計を自動撮影(第1の画像データ)し、ステップ106へ移行する。
【0073】
ステップ106では、撮影した画像データを内部メモリ98に記憶し、ステップ108へ移行する。
【0074】
ステップ108では、撮影した時計から、3本の針(時針、分針、秒針)のある三針時計か否かを時計認識部86で判定する。三針時計でないと否定判定されると、ステップ116へ移行する。三針時計であると肯定判定されると、ステップ110へ移行する。
【0075】
ステップ110では、秒針を判定するためにタイマ91を用いて1秒以上経過後の時計を、撮像制御部88が撮像部80を制御して撮影(第2の画像データ)し、ステップ112へ移行する。
【0076】
ステップ112では、撮影した画像データを内部メモリ98に記憶し、ステップ114へ移行する。
【0077】
ステップ114では、針種特定部92で秒針以外の2本以上の針(時針、分針)も動いたか否かが判定される。時、分の区切りで撮像した場合、例え1秒後の撮影でも秒針以外の針も動くことがある(x時y分59秒の次は、x時y+1分00秒)。2本以上の針が動き、秒針以外の針も動いたと肯定判定されると、ステップ110へ移動し、再度、撮像部80が1秒以上経過後の時計を撮影(第2の画像データ)する。2本以上の針が動いていない、つまり、秒針のみが動いたと否定判定されると、ステップ116へ移行する。
【0078】
ステップ116では、時刻情報取得部90で画像データから時刻情報を取得できるか判定する。時刻情報が取得できないと否定判定されると、ステップ100へ移行する。時刻情報が取得できると肯定判定されると、ステップ118へ移行する。
【0079】
ステップ118では、取得した時刻情報で正しいかLCD18に表示し、撮影者に確認する。撮影者が表示した時刻を正しくないと否定判定すると、ステップ100へ移行し、再度、時計を撮影して時刻の確認を行う。撮影者が表示した時刻を正しいと肯定判定すると、ステップ120へ移行する。
【0080】
ステップ120では、LCD18に午前、または午後を選択できる画面を表示して撮影者に設定させ、ステップ122へ移行する。
【0081】
ステップ122では、ステップ118で確認した時刻情報と、ステップ120で設定された午前又は午後の情報とを基に、三針時計の場合はステップ110で第2の画像を撮影してからステップ120までの時間、三針時計以外の時計の場合はステップ104で第1の画像データを撮影してからステップ120までの時間を加算して時刻を補正し、ステップ124へ移行する。
【0082】
ステップ124では、時刻設定のために内部メモリ98に記憶した画像データ(第1の画像データ、第2の画像データ)を破棄し、このルーチンは終了する。
【0083】
第1の実施の形態では、時計の第1の画像データと、1秒以上経過後に撮影した第2の画像データとを比較することにより、秒針を判定することができる。また、時、分の区切りで、秒針だけでなく時針や分針も移動するような場合は、再度、1秒以上経過後に時計を撮影し、比較することで時間を正確に認識して設定することができる。
【0084】
(第2の実施の形態)
以下に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同一構成部分について、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
【0085】
第2の実施の形態の特徴は、第1の実施の形態で、三針時計と判定されると所定時間経過後に再度時計を撮像して秒針を判定したのに対し、感度に基づいて、長時間露光又は、多重露光で時計を撮影することにより秒針を判定していることである。
【0086】
図5は、時刻設定モードが選択され、感度に基づいて長時間露光、又は多重露光で時計を撮影することで時刻を設定する処理の流れを示したフローチャートである。
【0087】
ステップ200では、スルー画像から、3本の針(時針、分針、秒針)のある三針時計か否かを時計認識部86が判定する。三針時計でないと否定判定されると、ステップ206へ移行し、三針時計と肯定判定されると、ステップ202へ移行する。
【0088】
ステップ202では、1秒以上の長時間露光で撮影するための適正な露出を算出するために測光し、ステップ204へ移行する。
【0089】
ステップ204では、ステップ202で測光した結果、感度が所定以上であるか否かを判定する。感度が所定以上であると肯定判定されるとステップ208へ移行し、所定以上ではないと否定判定されるとステップ210へ移行する。
【0090】
ステップ206では、三針時計ではないと判定された時計を撮像部80が撮像し、ステップ212へ移行する。
【0091】
ステップ208では、1秒以上の長時間露光で時計を撮影したときに、露出がオーバーしないように、撮像制御部88メカニカルシャッターを制御して多重露光で1秒以上撮影をする。メカニカルシャッターを制御して多重露光撮影をすることにより、メカニカルシャッターが操作された回数と同数の同一の長さの針が撮像部80によって撮影される。これにより、秒針を判定することができる。多重露光で撮影し、ステップ212へ移行する。
【0092】
ステップ210では、撮像制御部88が撮像部80を制御して1秒以上の長時間露光で時計を撮影する。長時間露光で時計を撮影すると、1本の針が扇形状に記録され、秒針と判定することができる。1秒以上の長時間露光で時計を撮影し、ステップ212へ移行する。
【0093】
ステップ212では、撮影した画像データを内部メモリ98へ記憶する。
【0094】
第2の実施の形態では、1秒以上の長時間露光で撮影することで、秒針の軌跡を撮影することができ、秒針を判定することができる。また、長時間露光で撮影すると露出オーバーしてしまう場合には、メカニカルシャッターを制御して撮影する。メカニカルシャッターを制御した回数と同数だけ秒針が撮影され、秒針を判定することができる。
【0095】
なお、第2の実施の形態では、長時間露光での撮影、又は多重露光での撮影のため、適宜、手振れ補正を行う。
【0096】
(第3の実施の形態)
以下に本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、この第3の実施の形態において、前記第1の実施の形態、前記第2の実施の形態と同一構成部分について、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
【0097】
第3の実施の形態の特徴は、図6のように、文字盤上に時刻以外の日付や曜日の表示がある場合でも時計と認識することができることである。
【0098】
図7は、時刻以外の表示がある時計を撮影した場合の時刻を設定する処理の流れを示したフローチャートである。
【0099】
ステップ300では、時計認識部82が、2本以上の針の回転軸が同軸上に有るか否かを判定する。2本以上の針が、同軸上に回転軸がある場合、その針が時刻を表わしている針と判定する。肯定判定されるとステップ106へ移行し、否定判定されるとステップ302へ移行する。
【0100】
ステップ302では、2本以上の針の回転軸が同軸上にないと判定されたため、再度時計を撮影するか否かをLCD18に表示し、撮像者に確認する。再撮影すると肯定判定されるとステップ100へ移行する。再撮影しないと否定判定されるとステップ304へ移行する。
【0101】
ステップ304では、撮像者に手動で時刻設定するための手動時刻設定画面をLCD18に表示しこのルーチンは終了する。このルーチン終了後、手動時刻設定を実行し、時刻の設定を行う。
【0102】
時刻以外の針がある時計の場合、針だけで時間を認識することができない。そこで、第3の実施の形態では、2本以上の針が、同軸上に回転軸があるか否かを判定することにより、時刻を表示する針を判定し、時刻を正確に判定することができる。
【0103】
(第4の実施の形態)
以下に本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、この第4の実施の形態において、前記第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同一構成部分について、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
【0104】
第4の実施の形態の特徴は、時針と分針とを正確に判定することである。前記第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、撮影した時計の画像データをパターンマッチングすることにより、時刻情報を取得していた。第4の実施の形態では、図8に示すように、2本以上の針の回転軸が同軸上にあることを検出し、その回転軸を中心に同心円上に徐々に半径を拡大しながら針との交差を検出し、最も短い長さの時針を検出している。
【0105】
図9は、正確に時針を検出するための処理の流れを示すフローチャートである。
【0106】
ステップ400では、時計認識部82が、2本以上の針の回転軸が同軸上に有るか否かを判定する。2本以上の針が、同軸上に回転軸がある場合、その針が時刻を表わしている針と判定する。肯定判定されるとステップ402へ移行し、否定判定されるとステップ116へ移行する。
【0107】
ステップ402では、回転軸を中心として、時計認識部86が徐々に半径を拡大しながら同心円上と針との交差の有無を検出して、時針を検出し、ステップ116へ移行する。
【0108】
第4の実施の形態では、2本以上の針の同軸上の回転軸を中心に、半径を拡大しながら時針を検出する。これにより、時刻情報を正確に取得することができる。
【0109】
(第5の実施の形態)
以下に本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、この第5の実施の形態において、前記第1の実施の形態〜第4の実施の形態と同一構成部分について、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
【0110】
第5の実施の形態の特徴は、撮像装置に内蔵されている時計の時刻のずれを算出し、撮像装置に内蔵されている時計に調整することである。時計は水晶発振器固有の周波数の影響により、時計固有で時間の遅れや進みが発生する。この時計固有のずれを算出し、時刻補正を行った後にずれを調整することにより、時刻設定を行った後で時間が進んだり、遅れたりすることを防ぐことができる。
【0111】
図10は、ずれを算出し、時計に調整するための処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、時刻設定後(第1の実施の形態のステップ122の後)に実行される。
【0112】
ステップ500では、時刻のずれを調整するか否かを判定する。ずれを調整しないと否定判定の場合はこのルーチンは終了する。ずれを補正すると肯定判定の場合はステップ502へ移行する。
【0113】
ステップ502では、前回時刻設定を行った設定日時情報が有るか否かを判定する。前回の設定日時情報がない否定判定の場合は、このルーチンは終了する。前回の設定日時情報が有る肯定判定の場合は、ステップ504へ移行する。
【0114】
ステップ504では、今回時刻設定を行った設定日時と、前回時刻設定を行った設定日時との差から、時刻設定後の経過時間を算出し、ステップ506へ移行する。
【0115】
ステップ506では、時刻設定前の時間と、時刻設定後の時間の差から今回の時刻補正での補正量を算出し、ステップ508へ移行する。
【0116】
ステップ508では、ステップ506で算出した補正量と、ステップ504で算出した時刻設定を行った経過時間とから、秒単位でのずれを算出し、ステップ510へ移行する。
【0117】
ステップ510では、補正実行部96が秒単位のずれをデジタルカメラ10に内蔵されている時計に調整し、このルーチンは終了する。
【0118】
第5の実施の形態では、前回時刻合わせを実行してから、今回設定した時刻から、撮像装置に内蔵されている時計固有の時刻のずれを算出することができる。この算出したずれを基に、撮像装置に内蔵されている時計固有のずれを調整することができる。
【0119】
(第6の実施の形態)
以下に本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、この第6の実施の形態において、前記第1の実施の形態〜第5の実施の形態と同一構成部分について、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
【0120】
第6の実施の形態の特徴は、時刻設定をする場合に、図11に示すような時計を撮影するための指標を表示することで、撮影を容易にして、時刻を正確に設定することである。
【0121】
この図11に示すような指標は、時刻設定モードを選択した場合に表示するほか、時刻設定モードを選択していなくても、デジタルカメラを購入直後などの時刻設定を行っていない場合に表示することで、時刻設定を促すこともできる。
【0122】
図12は、時刻設定を促す処理の流れを示したフローチャートである。このフローチャートは、第1の実施の形態の時刻設定モードの処理の前に実行される。
【0123】
ステップ600では、被写体をスルー画像で撮影し、ステップ602へ移行する。
【0124】
ステップ602では、画角の所定範囲以上に時計が表示されているか否かを判定する。所定範囲以上に時計が表示されているか判定することにより、故意に時計を撮影しようとしているか否かが判定できる。所定範囲以上に時計が表示されていないと否定判定された場合は、このステップ604へ移行する。所定範囲以上に時計が表示されていると肯定判定された場合は、ステップ606へ移行する。
【0125】
ステップ604では、通常の撮影モードでの撮影処理を実行する。
【0126】
ステップ606では、時計合わせのための指標を表示し、ステップ608に移行する。
【0127】
ステップ608では、時計設定モードのルーチンに移行し、このルーチンは終了する。
【0128】
第6の実施の形態では、LCD18に時計を撮像するための指標を表示することにより、撮影者が時計を撮影しやすくなる。また、文字盤に数字が表示されていない時計を指標に合わせて撮影することで、時刻を正確に認識することができる。また、一度時刻補正を行うと、時計を故意に撮像しようとしても、予め定められた所定時間は時刻補正を行う時刻設定モードに移行しない等の設定を行ってもよい。
【0129】
なお、上記第1〜第6の実施の形態は、各々実施するだけでなく、組み合わせて実施することも可能である。
【0130】
また、時刻設定の開始から終了までは、メッセージの表示や音等で撮像者に適宜知らせるようにして時刻設定を実行するようにする。
【0131】
さらに、秒単位の正確な時刻を設定するために、秒針のある三針時計を用いて時刻を認識し、時刻設定を行ったがこれに限るものではない。秒針のない時計であったとしても、時計を長時間撮影することにより、時針、分針の動きから、時、分の区切りを検出することで正確な時刻情報を取得することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】第1の実施の形態に係る(A)はデジタルカメラの正面、(B)はデジタルカメラの背面、(C)はデジタルカメラの上面、を示す概観図である。
【図2】第1の実施の形態に係るデジタルカメラの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る機能ブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係る時刻設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係る時刻設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第3の実施の形態に係る文字盤上に時刻以外の日付や曜日の表示がある時計を示す概略図である。
【図7】第3の実施の形態に係る時刻設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第4の実施の形態に係る時針を検出する処理を示す概略図である。
【図9】第4の実施の形態に係る時刻設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第5の実施の形態に係る時刻のずれ量を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】時計を撮影するための指標を示す概略図である。
【図12】時刻設定を促す処理の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0133】
10 デジタルカメラ
18 LCD(表示部)
80 撮像部(撮像手段)
86 時計認識部(三針時計認識手段)
88 撮像制御部(撮像制御手段)
90 時間差撮影指示部(撮像制御手段)
91 タイマ(撮像制御手段)
92 秒針判定部(秒針判定手段)
94 時刻取得部(時刻情報取得手段)
96 補正実行部(補正手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像することにより当該被写体の画像データを取得する撮像手段と、
前記撮像手段により取得された前記画像データの内の予め定められた領域内をパターンマッチングして三針時計と認識する三針時計認識手段と、
前記三針時計認識手段により三針時計と認識するまでの時間を含み、少なくとも1秒以上経過後に少なくとも前記領域を含む画像を再撮像するように制御する撮像制御手段と、
時間差をもって撮像された2種の画像データに基づき、三針をそれぞれ時針、分針、秒針として特定する針種特定手段と、
前記針種特定手段で取得した前記画像データに基づいて、時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
を有する撮像装置。
【請求項2】
被写体を撮像することにより当該被写体の画像データを取得する撮像手段と、
三針時計の三針を特定することを前提として、前記撮像手段による撮像を実行する場合に、前記撮像手段の感度に基づいて、長時間露光撮影又は多重露光撮影のいずれかを選択して撮影するように前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記撮像制御手段の制御によって撮影された画像データに基づき、三針を時針、分針、秒針として特定する針種特定手段と、
前記針種特定手段で取得した前記画像データに基づいて、時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
を有する撮像装置。
【請求項3】
前記時刻情報取得手段に基づいて、現在設定されている時刻を補正する補正手段を更に有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像制御手段は、前記針種特定手段により針種が特定されるまで、前記領域の撮像を繰り返すことを特徴とする前記請求項1〜請求項3の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項5】
前記針種特定手段は、2本以上の針の回転軸が同軸上に有ることを特定対象条件として三針を特定することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項6】
前記針種特定手段は、同軸上の回転軸から徐々に半径が拡大された同心円上と針との交差の有無により、最も短い長さの時針を検出することを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記補正手段による時刻の補正後に、前記針種特定手段で適用した画像データを削除することを特徴とする請求項3〜請求項6の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項8】
前記補正手段は、時刻のずれの履歴に基づいて補正時にさらに時刻を調整することを特徴とする請求項3〜請求項7の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像手段が撮像している前記被写体を表示する表示部を更に有し、前記表示部に前記被写体である時計を撮影するために、少なくとも、前記表示部内の所定の点を中心とする回転角方向の指標を表示することを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−245126(P2008−245126A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85607(P2007−85607)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】