説明

撮像装置

【課題】 撮像時に被写体に対して照射される補助光の光量が不足することを防ぐことが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】 第1の光源28から射出される光を用いて投影する投影部56と、被写体に対して補助光を照射する第2の光源36と、被写体光を撮像する撮像素子46を備える撮像部48と、前記撮像部における撮像時の撮影条件に応じて、前記第1の光源の発光又は非発光及び前記第2の光源の発光又は非発光を示す発光モードを選択する発光モード選択部26とを備え、前記発光モード選択部により選択された前記発光モードに基づいて前記被写体を照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタユニットを備える撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタユニットを備える撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この撮像装置においては、撮像時に露出用の光が不足する場合の補助光であるフラッシュに用いる光源をプロジェクタ投影用の光源としても利用することで、装置の小型化と携帯性の向上を図っている。
【特許文献1】特開2005−250392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、撮像時においてフラッシュ用に設けられた光源のみからの発光では露出用の光の光量が足りない場合があった。
【0004】
本発明の目的は、撮像時に被写体に対して照射される補助光の光量が不足することを防ぐことが可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の撮像装置は、第1の光源から射出される光を用いて投影する投影部と、被写体に対して補助光を照射する第2の光源と、被写体光を撮像する撮像素子を備える撮像部と、前記撮像部における撮像時の撮影条件に応じて、前記第1の光源の発光又は非発光及び前記第2の光源の発光又は非発光を示す発光モードを選択する発光モード選択部とを備え、前記発光モード選択部により選択された前記発光モードに基づいて前記被写体を照明することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の撮像装置によれば、撮像時に照射される補助光の光量が不足することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態に係るカメラについて説明する。図1は、第1の実施の形態に係るカメラの前面を示す斜視図である。カメラ2は、プロジェクタを備えるデジタルカメラである。カメラ2は筐体4を備え、筐体4の前面には、被写体光を入射させる撮影窓8、画像を投影するプロジェクタ投影窓10、被写体を照射する補助光を射出するフラッシュ窓12、赤外光等により被写体との距離を測定する測距部14が設けられている。また、筐体4の上面には、電源スイッチ16、半押しにより合焦指示を行い、全押しによりレリーズ動作を指示するレリーズボタン18、カメラ撮影を行う撮影モードとプロジェクタ投影を行うプロジェクタモードとを切り換える切換ボタン20が設けられている。
【0008】
図2は、第1の実施の形態に係るカメラの背面を示す図である。筐体4の背面には、撮影モード、発光モードの選択画面及び撮像画像等を表示するLCD表示部22、撮像する被写体の画像の拡大または縮小及びプロジェクタにより投影される画像のフォーカス調整を行うためのズームボタン24、LCD表示部22に表示された撮影モード、発光モード等を選択するマルチセレクタ26が設けられている。
【0009】
図3は、第1の実施の形態に係るカメラ内部に収納された各ユニットの配置を概略的に示す正面図である。カメラ2の内部の略中央には、投影画像を投影するための投影光学系と光源であるLED(発光ダイオード)28とを有するプロジェクタユニット30が配置されている。また、プロジェクタユニット30の図3における右側には、被写体を撮像するための撮像素子を有する鏡筒ユニット32が、プロジェクタユニット30の左側には、プロジェクタユニット30及び鏡筒ユニット32に電力を供給するバッテリを収容する電池室34が設けられている。また、プロジェクタユニット30の上方には撮像時に露出用の光が不足した場合に補助光として光を被写体に対して照射するフラッシュ36が設けられている。
【0010】
図4は、第1の実施の形態に係るカメラのシステム構成を示すブロック図である。カメラ2はCPU38を備え、CPU38には、測距部14、フラッシュ36、操作部40、LCD表示部22の表示制御を行う表示制御部42、撮影レンズ等を備える撮影光学系44を介した被写体光を撮像して撮像信号(蓄積電荷としてのアナログ信号)を生成するCCD或いはCMOS等により構成される撮像素子46を備える撮像部48、撮像素子46から出力された撮像信号を図示しないA/D変換部においてA/D変換することにより生成された画像データを記憶する画像記憶部50、撮像素子46から出力される撮像信号に基づく画像データに、ホワイトバランス調整、輪郭補償、ガンマ補正等の画像処理を行う撮像画像処理部52、撮像画像や投影画像、種々のデータを記憶するメモリカード54、画像記憶部50やメモリカード54に記憶された画像や種々のデータを投影する投影部56、電池室34に収容されたバッテリ57が接続されている。
【0011】
ここで、操作部40は、電源スイッチ16、レリーズボタン18、切換ボタン20、ズームボタン24、マルチセレクタ26等を含む。投影部56は、光源であるLED28の点灯及び消灯を行う電源制御部58、投影する画像を表示するLCOS60の表示制御を行う投影制御部62を備え、LCOS60に表示された画像はLED28から射出された光により読み出され投影レンズ等を備える投影光学系64により投影される。
【0012】
次に、図5に示すフローチャートを参照して第1の実施の形態に係るカメラの撮像時の発光制御について説明する。発光モードの選択においては、撮像前に予め被写体との距離、撮像時の環境の明るさ等の撮影条件に基づいて、ユーザがマルチセレクタ26によりフラッシュ36を用いた補助光の発光を行うか否かの選択を行う(ステップS1)。フラッシュ36を発光させない場合には、被写体との距離、撮像時の環境の明るさ等に基づいて、ユーザがマルチセレクタ26により投影部56の光源であるLED28を用いて補助光の発光を行うか否かの選択を行う(ステップS2)。LED28を非発光とする場合には(ステップS2:No)、フラッシュ36、LED28を共に非発光とする発光モード(MODE0)に設定する(ステップS3)。そして、レリーズボタン18の全押しによるレリーズ指示が行われると発光モード(MODE0)に基づいて、フラッシュ36及びLED28を発光させることなく撮像素子46により被写体光の撮像を行う(ステップS8)。LED28を発光させる場合には(ステップS2:Yes)、CPU38はフラッシュ36を非発光とし、LED28を発光させる発光モード(MODE1)に設定する(ステップS4)。そして、レリーズボタン18の全押しによるレリーズ指示が行われると発光モード(MODE1)に基づいて、LED28を発光させフラッシュ36を発光させることなく撮像素子46により被写体光の撮像を行う(ステップS8)。
【0013】
一方、フラッシュ36を発光させる場合には(ステップS1:Yes)、被写体との距離、撮像時の環境の明るさ等に基づいて、ユーザがマルチセレクタ26により投影部56に備えられた光源であるLED28を用いて補助光の発光を行うか否かの選択を行う(ステップS5)。LED28を非発光とする場合には(ステップS5:No)、CPU38はフラッシュ36を発光させ、LED28を非発光とする発光モード(MODE2)に設定する(ステップS6)。そして、レリーズボタン18の全押しによるレリーズ指示が行われると発光モード(MODE2)に基づいて、フラッシュ36を発光させLED28を発光させることなく撮像素子46により被写体光の撮像を行う(ステップS8)。LED28を発光させる場合には(ステップS5:Yes)、CPU38はフラッシュ36、LED28を共に発光させる発光モード(MODE3)に設定する(ステップS7)。そして、レリーズボタン18の全押しによるレリーズ指示が行われると発光モード(MODE3)に基づいて、フラッシュ36及びLED28を発光させ撮像素子46により被写体光の撮像を行う(ステップS8)。
【0014】
本実施の形態に係るカメラによれば、撮像時に補助光を照射する際に露出用の光の光量が不足することを防止することができる。
【0015】
なお、上述の実施の形態においては、フラッシュ36を発光させるか否か、LED28を発光させるか否かをそれぞれユーザが選択する構成としたが、MODE0〜3のうち、何れの発光モードを用いるかをユーザがマルチセレクタ26により選択し、CPU38は選択に応じた発光モードに設定する構成としてもよい。
【0016】
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態に係るカメラについて説明する。図6は、第2の実施の形態に係るカメラの撮像時の発光制御処理を示すフローチャートである。本実施の形態において、フラッシュ36はLED(発光ダイオード)により構成され、投影部56に備えられた光源であるLED28から射出される光の光量の方がフラッシュ36から射出される光の光量よりも多い場合を例に説明する。撮影モードにおいてレリーズボタン18が半押しされると、測距部14により被写体との距離Lを測定する(ステップS11)。そして、CPU38は距離Lが所定の距離L1以上であるか否かを判定する(ステップS12)。被写体との距離Lが所定の距離L1より短い場合には、CPU38は距離Lが所定の距離L2以上であるか否か判定する(ステップS13)。ここで、L2は、L2<L1を満たす値である。距離Lが所定の距離L2より短い場合には(ステップS13:No)、CPU38はフラッシュ36、LED28を共に非発光とする発光モード(MODE0)に設定する(ステップS14)。そして、レリーズボタン18の全押しによるレリーズ指示が行われると発光モード(MODE0)に基づいて、フラッシュ36及びLED28を発光させることなく撮像素子46により被写体光の撮像を行う(ステップS19)。
【0017】
被写体との距離Lが所定の距離L2以上であると判定した場合には(ステップS13:Yes)、CPU38はフラッシュ36を発光させ、LED28を非発光とする発光モード(MODE2)に設定する(ステップS15)。そして、レリーズボタン18の全押しによるレリーズ指示が行われると発光モード(MODE2)に基づいて、フラッシュ36を発光させLED28を発光させることなく撮像素子46により被写体光の撮像を行う(ステップS19)。
【0018】
一方、被写体との距離Lが所定の距離L1以上であると判定した場合には(ステップS12:Yes)、CPU38は距離Lが所定の距離L3以上であるか否かを判定する(ステップS16)。ここで、L3は、L3>L1を満たす値である。距離Lが所定の距離L3より短い場合には(ステップS16:No)、CPU38はフラッシュ36を非発光とし、LED28を発光させる発光モード(MODE1)に設定する(ステップS17)。そして、レリーズボタン18の全押しによるレリーズ指示が行われると発光モード(MODE1)に基づいて、LED28を発光させフラッシュ36を発光させることなく撮像素子46により被写体光の撮像を行う(ステップS19)。
【0019】
距離Lが所定の距離L3以上であると判定した場合には(ステップS16:Yes)、CPU38はフラッシュ36、LED28を共に発光させる発光モード(MODE3)に設定する(ステップS18)。そしてレリーズボタン18の全押しによるレリーズ指示が行われると発光モード(MODE3)に基づいて、フラッシュ36及びLED28を発光させ撮像素子46により被写体光の撮像を行う(ステップS19)。
【0020】
本実施の形態に係るカメラによれば、測距部により測定された被写体との距離に応じて補助光の発光を制御することにより撮像時に補助光を照射する際に露出用の光の光量が不足することを防ぐことができる。
【0021】
また、フラッシュの光源としてLEDを用いることにより、フラッシュの光源としてキセノン管を用いる場合に必要となる電圧を昇圧する部品であるメインコンデンサー等を省くことができ、部品点数の削減、組付け作業の効率化を図ることができる。また、メインコンデンサーを省くことができるため、デザインの自由度が大きくなる。また、LED28及びフラッシュ36の2つのLEDを用いるため、配向角が小さいLEDを用いた場合であっても2か所から発光することで被写体に容易に補助光を照射することができる。
【0022】
なお、上述の実施の形態において、LED28から射出される光の光量の方がフラッシュ36から射出される光の光量よりも多い場合を例に説明したが、フラッシュ36から射出される光の光量の方がLED28から射出される光の光量より多い構成としてもよい。このとき、フラッシュ36を非発光とし、LED28を発光させる発光モードをMODE2とし、フラッシュ36を発光させ、LED28を非発光とする発光モードをMODE1とする。また、この場合においては射出される光の光量がLEDよりも多い光源であるキセノン管等によりフラッシュ36を構成してもよい。
【0023】
また、上述の実施の形態において、撮影条件として、測距部により測定された距離に基づいて発光モードを設定する構成としたが、撮像時の環境の明るさに基づいて発光モードを設定する構成としてもよい。この場合に、CPU38は、撮像素子46から出力される撮像信号に基づいて撮像時の環境の明るさを算出する。そして、所定の明るさによる閾値を明るい順にC1、C2、C3と設定しておき、C1より明るい場合には発光モードをMODE0に、明るさがC1とC2との間である場合には発光モードをMODE2に、明るさがC2とC3との間である場合には発光モードをMODE1に、明るさがC3より暗い場合には発光モードをMODE3に設定する。
【0024】
また、撮影条件として、撮影シーンに対応した撮影モードに基づいて発光モードを設定する構成としてもよい。この場合には、LCD表示部22に表示された撮影モードをユーザがマルチセレクタ26を用いて選択し、例えば、選択された撮影モードが接写モードである場合には発光モードをMODE0に、選択された撮影モードが夜景モードである場合には発光モードをMODE3に設定する。
【0025】
また、上述の実施の形態においては、カメラ2の前面にプロジェクタ投影窓10及びフラッシュ窓12が上下方向に並んだ状態で設けられる構成として説明したが、例えば、プロジェクタ投影窓10をカメラ2の前面の左端近傍に設け、フラッシュ窓12をカメラ2の前面の右端近傍に設ける等、プロジェクタ投影窓10及びフラッシュ窓12をカメラ前面において左右方向に所定の距離離れるように設けてもよい。この場合には、フラッシュ36、LED28を共に発光させる発光モード(MODE3)に基づいて撮像を行うと射出される補助光をより広角とすることができ、被写体の画角が広い場合であっても、撮像時に露出用の光の光量が不足することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係るカメラの前面を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るカメラの背面を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るカメラ内部に収納された各ユニットの配置を概略的に示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るカメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るカメラの撮像時の発光制御処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係るカメラの撮像時の発光制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
2…カメラ、8…撮影窓、10…プロジェクタ投影窓、12…フラッシュ窓、14…測距部、28…LED、30…プロジェクタユニット、36…フラッシュ、38…CPU、46…撮像素子、48…撮像部、56…投影部、60…LCOS。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源から射出される光を用いて投影する投影部と、
被写体に対して補助光を照射する第2の光源と、
被写体光を撮像する撮像素子を備える撮像部と、
前記撮像部における撮像時の撮影条件に応じて、前記第1の光源の発光又は非発光及び前記第2の光源の発光又は非発光を示す発光モードを選択する発光モード選択部と
を備え、
前記発光モード選択部により選択された前記発光モードに基づいて前記被写体を照明することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記被写体までの距離を測定する測距部を更に備え、
前記撮影条件として、前記測距部により測定された前記距離を用いることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
環境の明るさを判定する環境光判定部を更に備え、
前記撮像条件として、前記環境光判定部により判定された前記環境の明るさを用いることを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
【請求項4】
撮影シーンに対応した撮影モードを選択する撮影モード選択部を更に備え、
前記撮影条件として、前記撮影モード選択部において選択された撮影モードを用いることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2の光源は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−122488(P2010−122488A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296447(P2008−296447)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】