説明

撮像装置

【課題】ラインセンサによる画像データの取得と同時にスペクトル情報を取得することができる。
【解決手段】少なくとも第1の方向にサンプルを移動させることができるステージ102と、線状に画素が配置された撮像素子を有し、第1の方向に移動するサンプルの画像を走査して取得するラインセンサ109と、第1のカラーフィルタを有する第1の受光素子と、第1のカラーフィルタとは分光透過率分布が異なる第2のカラーフィルタを有する第2の受光素子とを有し、第1の受光素子と第2の受光素子とが、第1の方向に移動するサンプル上の所定の点を走査することで、所定の点のスペクトル情報を取得するスペクトル検出ユニット110と、サンプルからの光をラインセンサおよびスペクトル検出ユニットに導入する光学系113と、所定の点のスペクトル情報から、ラインセンサ109が取得した画像を補正する色調補正装置114とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細胞、組織診断といった病理学の分野などにおいて、試料が配置されているスライドガラス標本の標本全体を撮影しデジタル画像化し、これをディスプレイ上に表示し、あたかも実際の顕微鏡で試料を観察しているかのように操作ができるバーチャル顕微鏡がよく知られている。
【0003】
病理学における細胞、組織診断に用いられる医用画像には正確な診断が必要とされるために、被写体の正確な色再現が求められている。また、作業効率を迅速な診断を行なうために高速で画像を取得することが要求されている。
【0004】
撮影画像の色再現性を向上させる方法として、被写体のRGBカラー画像データと点計測した被写体のスペクトル情報(点計測スペクトル)とを用いて、RGB3バンド画像の分光反射率の推定精度を向上させて、標本スライドのカラー画像の色再現性を向上させる方法が知られている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。また、点計測スペクトルを取得する他の方法としては分光計測器を用いる方法が広く知られている。
【0005】
また、高速で標本スライドのカラー画像を取得する方法として、RGBカラーラインセンサを用いた撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されている撮像装置は、試料が配置された標本スライドを搭載したステージを水平方向に移動させることにより、RGBカラーラインセンサを搭載したカラーラインスキャンカメラで標本スライドの画像を取得する。この撮像装置は、観察視野に対応する標本スライドをX軸方向(カラーラインスキャンカメラに搭載されたRGBカラーラインセンサの副走査方向)に移動させることにより、標本スライドの画像データを取得できるので、結果として、標本スライドのカラー画像データを高速で取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2008−511899号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「多点計測スペクトルを利用したカラー画像の色推定手法の実験的評価」,第54回応用物理学会関係連合講演会講演予稿集. p. 1071. 2007. Mar
【非特許文献2】「Piecewise Wiener推定による多点測定スペクトルを利用した色再現」,第55回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. p. 1055. 2008. Mar
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、スペクトル情報を取得する方法として分光計測器を用いる方法があるが、分光計測器でスペクトルを計測するには時間がかかるという問題がある。また、分光計測器を撮像装置に用いると、撮像装置が大型となりコストが高くなるという問題がある。更に、ラインスキャンカメラによる画像データの取得と同時に、分光計測器が標本スライドのスペクトル情報を得ることは困難であるという問題がある。
【0009】
本提案は上記課題を解決するためになされたものであり、ラインセンサによる画像データの取得と同時にスペクトル情報を取得することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、サンプルを載せることができ、少なくとも第1の方向に前記サンプルを移動させることができるステージと、線状に画素が配置された撮像素子を有し、前記第1の方向に移動する前記サンプルの画像を走査して取得するラインセンサと、第1のカラーフィルタを有する第1の受光素子と、前記第1のカラーフィルタとは分光透過率分布が異なる第2のカラーフィルタを有する第2の受光素子とを有し、前記第1の受光素子と前記第2の受光素子とが、前記第1の方向に移動する前記サンプル上の所定の点を走査することで、前記所定の点のスペクトル情報を取得するスペクトル検出ユニットと、前記サンプルからの光を前記ラインセンサおよび前記スペクトル検出ユニットに導入する光学系と、前記所定の点のスペクトル情報から、前記ラインセンサが取得した前記画像を補正する補正装置と、を有することを特徴とする撮像装置である。
【0011】
また、本発明の撮像装置において、前記スペクトル検出ユニットは、前記第1のカラーフィルタと分光透過率分布が同じ第3のカラーフィルタを有する第3の受光素子をさらに有し、前記第1の受光素子と前記第2の受光素子と前記第3の受光素子とが、前記第1の方向に移動する前記サンプル上の所定の点を走査することで、前記所定の点のスペクトル情報を取得することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の撮像装置において、前記スペクトル検出ユニットは、第4のカラーフィルタを有する第4の受光素子と、前記第4のカラーフィルタと分光透過率分布が異なる第5のカラーフィルタを有する第5の受光素子とを有し、前記第4の受光素子と前記第5の受光素子とが前記第1の方向に、前記第1の受光素子と前記第2の受光素子とがスペクトル情報を取得する前記所定の点とは異なる点を走査することで、前記所定の点とは異なる点のスペクトル情報を取得することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の撮像装置において、前記撮像素子と、前記第1の受光素子と、前記第2の受光素子とは同一基板上に形成され、前記撮像素子が有する前記画素は、前記第1の方向に移動する前記サンプルの画像を走査して取得できるように、前記第2の方向に線状に配置され、前記第1の受光素子と、前記第2の受光素子とは、前記第2の方向と概略直交する方向に伸びる直線上に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の撮像装置が有するラインセンサは、第1の方向に移動するサンプルの画像を走査して取得する。また、スペクトル検出ユニットは、第1のカラーフィルタを有する第1の受光素子と、第1のカラーフィルタとは分光透過率分布が異なる第2のカラーフィルタを有する第2の受光素子とを有し、第1の受光素子と第2の受光素子とが第1の方向に移動するサンプル上の所定の点を走査することで、所定の点のスペクトル情報を取得する。また、光学系は、サンプルからの光をラインセンサおよびスペクトル検出ユニットに導入する。この構成により、ラインセンサによるサンプルの画像の取得と同時に、スペクトル検出ユニットは、所定の点のスペクトル情報を取得することができる。従って、撮像装置は、ラインセンサによる画像データの取得と同時にスペクトル情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態における撮像装置の構成を示した概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるラインセンサの構成を示した概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるスペクトル検出ユニットの構成を示した概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるスペクトル検出ユニットの構成を示した概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、フォトダイオードがスペクトル情報を取得する、標本スライドの所定部分を示した概略図である。
【図6】本発明の第1の実施形態において、各時刻におけるスライド標本の位置と、スペクトル検出ユニットが光信号を検出する領域との位置関係を示す概略図である。
【図7】本発明の第2の実施形態において、フォトダイオードがスペクトル情報を取得する、標本スライドの所定部分を示した概略図である。
【図8】本発明の第2の実施形態において、各時刻におけるスライド標本の位置と、スペクトル検出ユニットが光信号を検出する領域との位置関係を示す概略図である。
【図9】本発明の第2の実施形態において、各時刻におけるスライド標本の位置と、スペクトル検出ユニットが光信号を検出する領域との位置関係を示す概略図である。
【図10】本発明の第3の実施形態におけるスペクトル検出ユニットの構成を示した概略図である。
【図11】本発明の第3の実施形態におけるスペクトル検出ユニットの構成を示した概略図である。
【図12】本発明の第4の実施形態におけるスペクトル検出ユニットの構成を示した概略図である。
【図13】本発明の第4の実施形態において、受光素子群がスペクトル情報を取得する、標本スライドの所定部分を示した概略図である。
【図14】本発明の第5の実施形態における複合センサの構成を示した概略図である。
【図15】本発明の第5の実施形態における撮像装置の構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における撮像装置100(顕微鏡装置)の構成を示した概略図である。図示する例では、撮像装置100は、ステージ102と、ステージ駆動部103と、光源104と、コンデンサレンズ105と、光学系113と、RGBカラーラインスキャンカメラ108と、スペクトル検出ユニット110と、色調補正装置114(補正装置)とを備える。
【0017】
ステージ102は標本スライド101(サンプル)を載置するための台である。ステージ駆動部103は、ステージ102を水平方向に駆動する。光源104は、標本スライド101を照明するための光を発生する。コンデンサレンズ105は、光源104が発生した光を集光して標本スライド101に照射する。RGBカラーラインスキャンカメラ108はラインセンサ109を備える。ラインセンサ109は、列を成して配置された撮像素子を備えている。この撮像素子は、標本スライド101からの光を受光し、受光した光を電気信号に変換する。ラインセンサ109の構成については後述する。スペクトル検出ユニット110は受光素子群303を備え、標本スライド101の所定の点のスペクトル情報を取得する。受光素子群303の構成については後述する。色調補正装置114は、RGBカラーラインスキャンカメラ108で取得した画像データと、スペクトル検出ユニット110で検出した点計測スペクトル情報とに基づいて、推定分光反射率画像を生成する。なお、色調補正装置114が推定分光反射率画像を生成する方法は、従来知られている方法など、どのような方法を用いてもよい。
【0018】
光学系113は、対物レンズ106と、ビームスプリッタ111と、結像レンズ107と、コンデンサレンズ112とを備える。対物レンズ106は、複数のレンズで構成されており、標本スライド101に対向するように配置されている。対物レンズ106は、標本スライド101からの光束を集光させる。ビームスプリッタ111は、対物レンズ106が集光した光を、結像レンズ107が配置されている方向とコンデンサレンズ112とが配置されている方向とに2分割する。
【0019】
結像レンズ107は、ビームスプリッタ111から入射した光をRGBカラーラインスキャンカメラ108が備えるラインセンサ109の面上に結像させる。これにより、標本スライド101からの光は、光学系113を通してラインセンサ109に入射する。コンデンサレンズ112は、ビームスプリッタ111から入射した光をスペクトル検出ユニット110が備えるフォトダイオード群303の面上に結像させる。これにより、標本スライド101からの光は、光学系113を通して受光素子群303に入射する。
【0020】
なお、ラインセンサ109の主走査方向をX軸方向(第1の方向)とする。また、ラインセンサ109の副走査方向をY軸方向とする。なお、図1においては、図に垂直な方向がX軸方向である。また、図の左側から右側への方向がY方向である。また、図の下側から上側への方向がZ軸方向である。
【0021】
なお、撮像装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、外部記憶装置等を含むコンピュータシステムを有している。そして、上述したステージ駆動部103、カラーラインスキャンカメラ108、スペクトル検出ユニット110、及び色調補正装置114により行なわれる処理の過程は、図示しないコンピュータシステムにより制御されるものである。
【0022】
次に、RGBカラーラインスキャンカメラ108が備えるラインセンサ109の構成について説明する。図2は、本実施形態におけるラインセンサ109の構成を示した概略図である。図示する例では、ラインセンサ109は、線状に画素が配置されて成す赤色(R)の光を検出する撮像素子109−Rと、緑色(G)の光を検出する撮像素子109−Gと、青色(B)の光を検出する撮像素子109−Bとを有する。撮像素子109−R、109−G、109−Bとはそれぞれ平行に配置されている。また、RGBカラーラインスキャンカメラ108には、ラインセンサ109の長手方向(ラインセンサ109の主走査方向)とステージ102の撮像時のステージ駆動方向とが概略直交するように、ラインセンサ109が配置されている。
【0023】
次に、スペクトル検出ユニット110が備える受光素子群303の構成について説明する。図3および図4は、本実施形態におけるスペクトル検出ユニット110の構成を示した概略図である。図3はスペクトル検出ユニット110の上面図である。また、図4はスペクトル検出ユニット110の断面図である。図示するように、スペクトル検出ユニット110は受光素子群303を備えている。また、受光素子群303は、画素寸法Aの受光素子であるフォトダイオード301−1(第1の受光素子)、301−2(第2の受光素子)、301−3、・・・、301−nを備えている。フォトダイオード301−1、301−2、301−3、・・・、301−nは、ラインセンサ109の短手方向(副走査方向)と同じ方向に画素ピッチBの間隔にて列を成して直線状に配置されている。また、フォトダイオード301−1、301−2、301−3、・・・、301−nの受光面には、互いに分光透過率分布が異なるカラーフィルタ302−1(第1のカラーフィルタ)、302−2(第2のカラーフィルタ)、302−3、・・・、302−nが配置されている。この構成により、フォトダイオード301−1〜nは、互いに異なる波長のスペクトル情報を検出することができる。
【0024】
図5は、本実施形態において、フォトダイオード301−1〜nがスペクトル情報を取得する、標本スライド101の所定部分501−1〜mを示した概略図である。図示する例では、フォトダイオード301−1〜nは、間隔がB/C×nであるm個の所定部分501−1〜mのスペクトル情報を取得する例を示している。但し、Cは光学系113の倍率である。
【0025】
次に、本実施形態の撮像装置100の動作について図6を参照して説明する。図6は、本実施形態において、各時刻におけるスライド標本101の位置と、スペクトル検出ユニット110がスペクトル情報を検出する領域との位置関係を示す概略図である。図示する例では、時刻t1からtnmまでのスライド標本101と、スペクトル検出ユニット110がスペクトル情報を検出する領域との位置関係を示している。
【0026】
なお、以下の説明において、ラインセンサ109の長手方向、即ちラインセンサ109の主走査方向をX軸方向とする。また、ラインセンサ109の長手方向と直交する方向、即ちラインセンサ109の短手方向であり、ステージ102が標本スライド101を撮像時に移動する方向であり、スペクトル検出ユニット110のフォトダイオードが列をなして配置されている方向をY軸方向とする。
【0027】
初めに、ステージ駆動部103は、ステージ102をX軸方向及びY軸方向に移動させて、ラインセンサ109が撮影を開始する始点に標本スライド101を移動させる。次に、ステージ駆動部103は、ステージ102をY軸方向に移動させる。この際に、ラインセンサ109はY軸方向に移動しているステージ102に載置された標本スライド101を走査して画像データを取得する。また、ラインセンサ109が標本スライド101の画像データを取得するのと同時に、スペクトル検出ユニット110は、標本スライド101の所定部分のスペクトル情報を取得する。
【0028】
以下、ラインセンサ109による画像データ取得と同時に、スペクトル検出ユニット110によって所定部分のスペクトル情報を取得する動作について、図6を用いて説明する。図6において、標本スライド101上のスペクトル検出が行なわれる所定部分の領域を501−1、502−2、・・・、501−mとする。また、光学系113の倍率をCとする。ここで、フォトダイオード301−1、301−2、301−3、・・・、301−nの画素寸法がA、光学系113の倍率がCであるので、所定部分501−1、502−2、・・・、501−mの領域(面積)は(A/C)となる。但しmは整数である。
【0029】
まず、時刻t=t1において、所定部分501−1からの光をカラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1で検出する(ステップS1)。
次にステージ102が移動して移動距離がB/Cとなる時刻t2において、標本スライド101上の所定部分501−1は、カラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2の検出視野と一致する。このとき、所定部分501−1からの光をカラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2で検出する(ステップS2)。
【0030】
更にステージ102が移動し、移動距離がB/C×2となる時刻t3において、標本スライド101上の所定部分501−1は、カラーフィルタ302−3が配置されたフォトダイオード301−3の検出視野と一致する。このとき、所定部分501−1からの光をカラーフィルタ302−3が配置されたフォトダイオード301−3で検出する(ステップS3)。
【0031】
上記操作を繰り返し、ステージ102の移動距離がB/C×(n−1)となる時刻tnにおいて、標本スライド101上の所定部分501−1は、カラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−nの検出視野と一致する。このとき、所定部分501−1からの光をカラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−nで検出する(ステップS4)。
上記操作により、フォトダイオード301−1〜nは、標本スライド101の所定部分501−1のスペクトル情報を取得する。
【0032】
更にステージ101が移動し、ステージ101の移動距離がB/C×nとなる時刻t=tn+1において、標本スライド101の所定部分501−2は、カラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1の検出視野と一致する。このとき、所定部分501−2からの光をカラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1で検出する(ステップS5)。
【0033】
上記操作を繰り返し、ステージ102の移動距離がB/C×(n−1)×mとなる時刻t=tn×mにおいて、標本スライド101上の所定部分501−mは、カラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−nの検出視野と一致する。このとき、所定部分501−mからの光をカラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−nで検出する(ステップS6)。
【0034】
以上、説明した動作により、フォトダイオード301−1〜nは、標本スライド101の所定部分501−1〜mのスペクトル情報を取得する。
【0035】
上述した手順によりラインセンサ109が取得した画像データと、スペクトル検出ユニット110が取得した所定部分のスペクトル情報、即ち点測定スペクトル情報とは、色調整補正装置114に伝達される。続いて、色調整補正装置114は、画像データと点スペクトル情報とに基づいて、色再現性が正確な推定分光反射率画像を生成する。
【0036】
上述したとおり、本実施形態の撮像装置100は、ラインスキャンカメラ108で標本スライド101の画像データを取得するのと同時に、スペクトル検出ユニット110が備える各スペクトルに感度を持った受光素子によって、標本スライド101を順次走査して標本スライドの101の所定部分のスペクトル情報を取得することができる。また、点スペクトル情報の取得間隔が空いているため信号処理の負担が軽くなるので、高速且つ正確に色再現がされた画像を取得する撮像装置を提供することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態における撮像装置100の構成は、第1の実施形態における撮像装置100の構成と同様の構成である。
【0038】
第1の実施形態における所定部分のスペクトル情報の検出動作では、ステージの動きに追従させて1箇所の所定部分のみを1つのフォトダイオードを用いて順次スペクトル検出していたが、本実施形態では、複数の所定部分のスペクトル検出を複数のフォトダイオードを用いて同時に行なう。
【0039】
図7は、本実施形態において、フォトダイオード301−1〜nがスペクトル情報を取得する、標本スライド101の所定部分501−1〜mを示した概略図である。図示する例では、フォトダイオード301−1〜nは、間隔がB/Cであるm個の所定部分501−1〜mのスペクトル情報を取得する例を示している。
【0040】
次に、本実施形態の撮像装置100の動作について図8および図9を参照して説明する。図8および図9は、本実施形態において、各時刻におけるスライド標本101の位置と、スペクトル検出ユニット110がスペクトル情報を検出する領域との位置関係を示す概略図である。
【0041】
まず、m≧nの場合について図8を参照して説明する。なお、mは所定領域の数である。また、nはフォトダイオード群303が備えるフォトダイオードの数である。図8に示す例では、時刻t1からtm+nまでのスライド標本101とスペクトル検出ユニット110がスペクトル情報を検出する領域との位置関係を示している。
時刻t=t1において、所定部分501−1からの光をカラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1で検出する(Step11)。
【0042】
次にステージ102が移動して移動距離がB/Cとなる時刻t2において、標本スライド101上の所定部分501−1は、カラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2の検出視野と一致し、また、所定部分501−2はカラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1の検出視野と一致する。このとき、所定部分501−1からの光をカラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2で検出し、所定部分501−2からの光をカラーフィルタ301−2が配置されたフォトダイオード301−1で検出する(Step12)。
【0043】
更にステージ102が移動し、ステージ102の移動距離がB/C×2となる時刻t3において、標本スライド101上の所定部分501−1は、カラーフィルタ302−3が配置されたフォトダイオード301−3の検出視野と一致し、所定部分501−2は、カラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2の検出視野と一致し、更に所定部分501−3は、カラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1の検出視野と一致する。このとき、所定部分501−1からの光をカラーフィルタ302−3が配置されたフォトダイオード301−3で検出し、所定部分501−2からの光をカラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2で検出し、更に所定部分501−3からの光をカラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1で検出する(Step13)。
【0044】
上記操作を繰り返し、ステージ102の移動距離がB/C×(n−1)となる時刻tnにおいて、標本スライド101上の所定部分501−1、501−2、・・・、501−nは、各々、カラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−n、カラーフィルタ302−n−1が配置されたフォトダイオード301−n−1、・・・、カラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1の検出視野と一致する。このとき、各所定部分501−1〜501−nからの光を、それぞれに対応するカラーフィルタ302−n〜302−1が搭載されたフォトダイオード301−n〜301−1で検出する(Step14)。
【0045】
次に、ステージ102が移動し、ステージ102の移動距離がB/C×nとなる時刻t=tn+1において、標本スライド101上の所定部分501−2、501−3、・・・、501−n、501−n+1は、各々、カラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−n、カラーフィルタ302−n−1が配置されたフォトダイオード301−n−1、・・・、カラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1の検出視野と一致する。このとき、各所定部分501−2〜501−n+1からの光を、それぞれに対応するカラーフィルタ302−n〜302−1が搭載されたフォトダイオード301−n〜301−1で検出する(Step15)。
【0046】
上記操作を繰り返し、ステージ102が更に移動し、ステージ102の移動距離がB/C×(m−1)となる時刻t=tmにおいて、標本スライド101上の所定部分501−m−n、501−m−n+1、・・・、501−m−1、501−mは、各々、カラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−n、カラーフィルタ302−n−1が配置されたフォトダイオード301−n−1、・・・、カラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1の検出視野と一致する。なお、所定部分501−mは本操作で順次スペクトル検出を行う最後尾のスペクトル検出領域である。このとき、各所定部分501−m−n〜501−mからの光を、それぞれに対応するカラーフィルタ302−n〜302−1が搭載されたフォトダイオード301−n〜301−1で検出する(Step16)。
【0047】
次に、ステージ102が移動し、ステージ102の移動距離がB/C×mとなる時刻t=tm+1において、標本スライド101上の所定部分501−m−n+1、501−m−n+2、・・・、501−m−1、501−mは、各々、カラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−n、カラーフィルタ302−n−1が配置されたフォトダイオード301−n−1、・・・、カラーフィルタ302−3が配置されたフォトダイオード301−3、カラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2の検出視野と一致する。このとき、各所定部分501−m−n+1〜501−mからの光を、それぞれに対応するカラーフィルタ302−n〜302−2が搭載されたフォトダイオード301−n〜301−2で検出する(Step17)。
【0048】
最後に、ステージ102が更に移動し、ステージ102の移動距離がB/C×(m+n−1)となる時刻t=tm+nにおいて、標本スライド101上の所定部分501−mは、カラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−nの検出視野と一致する。このとき、所定部分501−mからの光をカラーフィルタ302−nが搭載されたフォトダイオード301−nで検出する(Step18)。
【0049】
次に、m<nの場合について図9を参照して説明する。図9に示す例では、時刻t1からtn+mまでのスライド標本101とスペクトル検出ユニット110がスペクトル情報を検出する領域との位置関係を示している。
時刻t=t1において、所定部分501−1からの光をカラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1で検出する(Step21)。
【0050】
次にステージ102が移動して移動距離がB/Cとなる時刻t2において、標本スライド101上の所定部分501−1は、カラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2の検出視野と一致し、また、所定部分501−2は、カラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1の検出視野と一致する。このとき、所定部分501−1からの光をカラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2で検出し、所定部分501−2からの光をカラーフィルタ301−2が配置されたフォトダイオード301−1で検出する(Step22)。
【0051】
更にステージ102が移動し、ステージ102の移動距離がB/C×2となる時刻t3において、所定部分501−1は、カラーフィルタ302−3が配置されたフォトダイオード301−3の検出視野と一致し、所定部分501−2は、カラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2の検出視野と一致し、更に所定部分501−3は、カラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1の検出視野と一致する。このとき、所定部分501−1からの光をカラーフィルタ302−3が配置されたフォトダイオード301−3で検出し、所定部分501−2からの光をカラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2で検出し、更に所定部分501−3からの光をカラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1で検出する(Step23)。
【0052】
上記操作を繰り返し、ステージ102の移動距離がB/C×(m−1)となる時刻tmにおいて、標本スライド101上の所定部分501−1、501−2、・・・、501−mは、各々、カラーフィルタ302−mが配置されたフォトダイオード301−m、カラーフィルタ302−m−1が配置されたフォトダイオード301−m−1、・・・、カラーフィルタ302−1が配置されたフォトダイオード301−1の検出視野と一致する。このとき、各所定部分501−1〜501−mからの光を、それぞれに対応するカラーフィルタ302−m〜302−1が搭載されたフォトダイオード301−m〜301−1で検出する(Step24)。
【0053】
次に、ステージ102が移動し、ステージ102の移動距離がB/C×mとなる時刻t=tm+1において、標本スライド101上の所定部分501−1、501−2、・・・、501−mは、カラーフィルタ302−m+1が配置されたフォトダイオード301−m+1、カラーフィルタ302−mが配置されたフォトダイオード301−m、・・・、カラーフィルタ302−2が配置されたフォトダイオード301−2の検出視野と一致する。このとき、各所定部分501−1〜501−mからの光を、それぞれに対応するカラーフィルタ302−m+1〜302−2が搭載されたフォトダイオード301−m+1〜301−2で検出する(Step25)。
【0054】
上記操作を繰り返し、ステージ102が更に移動し、ステージ102の移動距離がB/C×(n−1)となる時刻t=tnにおいて、標本スライド101上の所定部分501−1、501−2、・・・、501−mは、各々、カラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−n、カラーフィルタ302−n−1が配置されたフォトダイオード301−n−1、・・・、カラーフィルタ302−n−m+1が配置されたフォトダイオード301−n−m+1の検出視野と一致する。なお、所定部分501−mは本操作で順次スペクトル検出を行う最後尾のスペクトル検出領域である。このとき、各所定部分501−1〜501−mからの光を、それぞれに対応するカラーフィルタ302−n〜302−n−m+1が搭載されたフォトダイオード301−n〜301−n−m+1で検出する(Step26)。
【0055】
次に、ステージ102が移動し、ステージ102の移動距離がB/C×nとなる時刻t=tn+1において、標本スライド101上の所定部分501−2、501−2、・・・、501−mは、は、各々、カラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−n、カラーフィルタ302−n−1が配置されたフォトダイオード301−n−1、・・・、カラーフィルタ302−n−mが配置されたフォトダイオード301−n−mの検出視野と一致する。このとき、各所定部分501−2〜501−mからの光を、それぞれに対応するカラーフィルタ302−n〜302−n−mが搭載されたフォトダイオード301−n〜301−n−mで検出する(Step27)。
【0056】
最後に、ステージ102が更に移動し、ステージ102の移動距離がB/C×(n+m−1)となる時刻t=tn+mにおいて、標本スライド101上の所定部分501−mは、カラーフィルタ302−nが配置されたフォトダイオード301−nの検出視野と一致する。このとき、所定部分501−mからの光をカラーフィルタ302−nが搭載されたフォトダイオード301−nで検出する(Step28)。
【0057】
以上、説明した動作により、m≧nの場合においても、m<nの場合においても、フォトダイオード301−1〜nは、標本スライド101の所定部分501−1〜mのスペクトル情報を取得する。
【0058】
上述した手順によりラインセンサ109が取得した画像データと、スペクトル検出ユニット110が取得した所定部分のスペクトル情報、即ち点測定スペクトル情報とは、色調整補正装置114に伝達される。続いて、色調整補正装置114は、画像データと点スペクトル情報とに基づいて、色再現性が正確な推定分光反射率画像を生成する。
【0059】
上述したとおり、本実施形態の撮像装置100は、ラインスキャンカメラ108で標本スライド101の画像データを取得するのと同時に、スペクトル検出ユニット110が備える各スペクトルに感度を持った受光素子によって、標本スライド101を順次走査して標本スライドの101の所定部分のスペクトル情報を取得することができる。また、本実施形態の撮像装置100は、点スペクトル情報を満遍なく取得して色調補正を行なうので、高速且つより正確に色再現がされた画像を取得することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。第1の実施形態における撮像装置100のスペクトル検出ユニット110の受光素子群303は、各々互いに分光透過率分布が異なるカラーフィルタ302−1、302−2、302−3、・・・、302−nを備えたフォトダイオード301−1、301−2、301−3、・・・、301−nを備えているが、本実施形態における撮像装置200のスペクトル検出ユニット120の受光素子群323は、第1の実施形態と同様の受光素子群303に加えて、受光素子群303に含まれている内の1つの受光素子(第1の受光素子)が備えるカラーフィルタ(第1のカラーフィルタ)と分光透過率分布が同じカラーフィルタであり、低い受光感度特性を持つカラーフィルタ(第3のカラーフィルタ)を備えた受光素子(第3の受光素子)を更に備えている。
【0061】
以下、スペクトル検出ユニット120が備える受光素子群323の構成について説明する。図10および図11は、本実施形態におけるスペクトル検出ユニット120の構成を示した概略図である。図10はスペクトル検出ユニット120の上面図である。また、図4はスペクトル検出ユニット120の断面図である。図示するように、スペクトル検出ユニット120は受光素子群323を備えている。
【0062】
受光素子群323は、受光素子群303に加えて、画素寸法Aの受光素子であるフォトダイオード301−n+1(第3の受光素子)、301−n+2、及び301−n+3を備えている。フォトダイオード301−n+1、301−n+2の受光面には、受光素子群303に含まれているフォトダイオード301−1(第1の受光素子)に配置されているカラーフィルタ302−1(第1のカラーフィルタ)と分光透過率分布が同じであるカラーフィルタ302−1(第3のカラーフィルタ)が配置されており、フォトダイオード301−n+3の受光面には、受光素子群303を構成するカラーフィルタ302−3と分光透過率分布が同じであるカラーフィルタ302−3が配置されている。フォトダイオード301−n+1、301−n+2、301−n+3は、受光素子群303を構成するフォトダイオード301−1、301−2(第2の受光素子)、301−3、・・・、301−nに従って、画素寸法Aにて、画素ピッチBの間隔にて列を成して直線状に配置されている。
【0063】
このように、本実施形態のスペクトル検出ユニット120は、同じ分光透過率分布特性を持ち、かつ、低い受光感度特性をもつカラーフィルタを、複数のフォトダイオードに配置した構成である。すなわち、スペクトル検出ユニット120は、感度の低いスペクトル信号を検出するためのフォトダイオードを複数備えている。この構成により、スペクトル検出ユニット120は、信号検出する際には複数配置した感度の低いスペクトル信号を検出する複数のフォトダイオードの信号を足し合わせることにより信号レベルを増大させることができる。
【0064】
従って、このように構成されたスペクトル検出ユニット120を用いた撮像装置200によれば、検出対象のスペクトル信号に受光感度が低いスペクトル信号が含まれている場合においても、その受光感度の低いスペクトル信号を複数の受光素子で検出して加算することにより、受光感度の低いスペクトル信号のレベルを増大させてSN比を向上させることができるで、更に高速且つ正確に色再現がされた画像を取得することができる。
【0065】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。第1の実施形態における撮像装置100のスペクトル検出ユニット110は、一列に配置されたフォトダイオード301−1、301−2、301−3、・・・、301−nを備えた受光素子群303を備えているが、本実施形態における撮像装置300のスペクトル検出ユニット130は、複数の受光素子群303−1〜lを備えている。
【0066】
以下、スペクトル検出ユニット130が備える受光素子群303−1〜lの構成について説明する。図12は、本実施形態におけるスペクトル検出ユニット130の構成を示した概略図である。図示するように、スペクトル検出ユニット130は受光素子群303−1〜lを備えている。
【0067】
受光素子群303−1〜lの構成は、第1の実施形態における受光素子群303の構成と同様の構成であり、それぞれ画素寸法Aの受光素子であるフォトダイオード301−1(第1の受光素子、第4の受光素子)、301−2(第2の受光素子、第5の受光素子)、301−3、・・・、301−nを備えている。フォトダイオード301−1、301−2、301−3、・・・、301−nは、ラインセンサ109の短手方向(副走査方向)と同じ方向に画素ピッチBの間隔にて列を成して直線状に配置されている。また、フォトダイオード301−1、301−2、301−3、・・・、301−nの受光面には、互いに分光透過率分布が異なるカラーフィルタ302−1(第1のカラーフィルタ、第4のカラーフィルタ)、302−2(第2のカラーフィルタ、第5のカラーフィルタ)、302−3、・・・、302−nが配置されている。この構成により、フォトダイオード301−1〜nは、互いに異なる波長のスペクトル情報を検出することができる。また、受光素子群303−1〜lは、撮影時のステージの駆動方向と垂直な方向に平行に配置されている。
【0068】
複数の受光素子群303−1〜lを備えたスペクトル検出ユニット130を備えた撮像装置300は、第1の実施形態の撮像装置100と同様の動作を行うことで、受光素子群303−1〜lは、標本スライド101の所定部分501−1−1〜501−m―lのスペクトル情報を取得する。図13は、本実施形態において、受光素子群303−1〜lがスペクトル情報を取得する、標本スライド101の所定部分501−1−1〜501−m−lを示した概略図である。図示する例では、受光素子群303−1〜lが、一行に間隔がB/C×nであるm個の所定部分のスペクトル情報をl列取得する例を示している。すなわち、受光素子群303−1〜lが、合計m×lの点測定スペクトル情報を得る例を示している。
【0069】
上述したとおり、複数の受光素子群303−1〜lを備えたスペクトル検出ユニット130を用いた撮像装置300よれば、多くの点測定スペクトル情報を得ることができる。従って、撮像装置300は、多くの点測定スペクトル情報が得られるので、より正確な分光画像推定処理を行なうことができ、更に高速且つ正確に色再現がされた画像を取得することができる。
【0070】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について図面を参照して説明する。第4の実施形態における撮像装置300のスペクトル検出ユニット130が備える受光素子群303−1〜lと、RGBカラーラインスキャンカメラ108が備えるラインセンサ109とは、それぞれ別の基板上に構成されているが、本実施形態における撮像装置1200は、RGBカラーラインスキャンカメラ108とスペクトル検出ユニット130とを1つの複合センサユニット1100として構成している。そして、撮像装置1200が備える複合センサユニット1100は、受光素子群303−1〜lと、ラインセンサ109とを同一の基板上に構成している(ワンチップ化している)。なお、受光素子群303−1〜lとラインセンサ109とを合わせたものを複合センサ1101とする。
【0071】
以下、複合センサ1101の構成について説明する。図14は、本実施形態における複合センサ1101の構成を示した概略図である。図示するように、複合センサ1101は、線状に画素が配置されて成すR(赤),G(緑)、B(青)の撮像素子109−R、109−G、109−Bを有するラインセンサ109を備えている。また、複合センサ1101は受光素子であるフォトダイオード301−1、301−2、301−3、・・・、301−nが画素寸法Aにてステージ102の撮影時駆動方向に画素ピッチBの間隔にて列を成して直線状に配置されており、そしてフォトダイオード301−1(第1の受光素子)、301−2(第2の受光素子)、301−3、・・・、301−nの受光面には、互いに分光透過率分布が異なるカラーフィルタ302−1、302−2、302−3、・・・、302−nが配置されている。なお、フォトダイオード301−1、301−2、301−3、・・・、301−n及びカラーフィルタ302−1、302−2、302−3、・・・、302−nは受光素子群303−1〜lを構成しており、受光素子群303−1〜lは複数並列にラインセンサ109の長手方向と概略直交するよう配置されている。
【0072】
次に、本実施形態における撮像装置1200の構成について説明する。図15は、本実施形態における撮像装置1200の構成を示した概略図である。図示する例では、撮像装置1200は、ステージ102と、ステージ駆動部103と、光源104と、コンデンサレンズ105と、光学系1113と、複合センサユニット1100と、色調補正装置114とを備える。ステージ102と、ステージ駆動部103と、光源104と、コンデンサレンズ105と、色調補正装置114との構成は、第1の実施形態の各部と同様の構成である。
【0073】
光学系1113は、対物レンズ106と、結像レンズ107とを備える。対物レンズ106は、複数のレンズで構成されており、標本スライド101に対向するように配置されている。対物レンズ106は、標本スライド101からの光束を集光させる。結像レンズ107は、対物レンズ106が集光した光を複合センサユニット1100が備える複合センサ1101の面上に結像させる。これにより、標本スライド101からの光は、光学系1113を通して複合センサ1101に入射する。
【0074】
なお、複合センサ1101は、複合センサ1101が備えるラインセンサ109の長手方向(ラインセンサの主走査方向)とステージ102の撮像時の移動方向とが概略直交するように配置されている。また、ラインセンサ109の主走査方向をX軸方向とする。また、ラインセンサ109の副走査方向をY軸方向とする。
【0075】
また、撮像装置1200は、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置等を含むコンピュータシステムを有している。そして、上述したステージ駆動部103、複合センサユニット1100、及び色調補正装置114により行なわれる処理の過程は、図示しないコンピュータシステムにより、第1の実施形態と同様に制御されるものである。
【0076】
このように、ラインセンサとスペクトル情報を検出するための受光素子群とをワンチップ化することにより、撮像カメラとスペクトル検出ユニットとを一体化することができるため、撮像装置を小型化することができ、かつ製造コストを抑えることができる。また、ラインセンサとスペクトル情報を検出するための受光素子群とをワンチップ化することにより、光学系の構成もより簡易化することができる。また、ラインセンサとスペクトル情報を検出するための受光素子群とをワンチップ化することにより、光学系の影響も含めたスペクトル情報を検出することができるので、更に高速且つ正確に色再現がされた画像を取得することができる。
【0077】
以上、この発明の第1の実施形態から第5の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0078】
例えば、撮像装置が、ラインセンサが取得した画像データを、スペクトル検出ユニットが取得したスペクトル情報を用いて色調補正する例について説明したが、これに限らず、撮像装置は、スペクトル情報を用いて補正することができる方法であれば、どのような補正を行ってもよい。
【符号の説明】
【0079】
100,200,300,1200・・・撮像装置、101・・・標本スライド、102・・・ステージ、103・・・ステージ駆動部、104・・・光源、105,112・・・コンデンサレンズ、106・・・対物レンズ、107・・・結像レンズ、108・・・RGBカラーラインスキャンカメラ、109・・・ラインセンサ、110,120,130・・・スペクトル検出ユニット、111・・・ビームスプリッタ、113,1113・・・光学系、114・・・色調補正装置、301・・・フォトダイオード、302・・・カラーフィルタ、303,323・・・受光素子群、501・・・所定部分、1100・・・複合センサユニット、1101・・・複合センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを載せることができ、少なくとも第1の方向に前記サンプルを移動させることができるステージと、
線状に画素が配置された撮像素子を有し、前記第1の方向に移動する前記サンプルの画像を走査して取得するラインセンサと、
第1のカラーフィルタを有する第1の受光素子と、前記第1のカラーフィルタとは分光透過率分布が異なる第2のカラーフィルタを有する第2の受光素子とを有し、前記第1の受光素子と前記第2の受光素子とが、前記第1の方向に移動する前記サンプル上の所定の点を走査することで、前記所定の点のスペクトル情報を取得するスペクトル検出ユニットと、
前記サンプルからの光を前記ラインセンサおよび前記スペクトル検出ユニットに導入する光学系と、
前記所定の点のスペクトル情報から、前記ラインセンサが取得した前記画像を補正する補正装置と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記スペクトル検出ユニットは、前記第1のカラーフィルタと分光透過率分布が同じ第3のカラーフィルタを有する第3の受光素子をさらに有し、前記第1の受光素子と前記第2の受光素子と前記第3の受光素子とが、前記第1の方向に移動する前記サンプル上の所定の点を走査することで、前記所定の点のスペクトル情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記スペクトル検出ユニットは、第4のカラーフィルタを有する第4の受光素子と、前記第4のカラーフィルタと分光透過率分布が異なる第5のカラーフィルタを有する第5の受光素子とを有し、前記第4の受光素子と前記第5の受光素子とが前記第1の方向に、前記第1の受光素子と前記第2の受光素子とがスペクトル情報を取得する前記所定の点とは異なる点を走査することで、前記所定の点とは異なる点のスペクトル情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像素子と、前記第1の受光素子と、前記第2の受光素子とは同一基板上に形成され、
前記撮像素子が有する前記画素は、前記第1の方向に移動する前記サンプルの画像を走査して取得できるように、前記第2の方向に線状に配置され、
前記第1の受光素子と、前記第2の受光素子とは、前記第2の方向と概略直交する方向に伸びる直線上に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−220932(P2011−220932A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92354(P2010−92354)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】