説明

撮像装置

【課題】ファインダ表示部の構成をコストダウンし、組立性及び相互の発光素子の遮光性を向上し、かつ輝度むらを改善することを可能にした撮像装置を提供する。
【解決手段】光学ファインダと、操作部材のスイッチが実装され、前記光学ファインダに重ねて配置される両面基板と、前記基板の前記光学ファインダと対向しない第1の面に実装される第1の発光素子と、前記基板の前記光学ファインダと対向する第2の面に実装される第2の発光素子と、前記光学ファインダの近傍で前記第1の発光素子の光を一端より入射させ、他端より出射する第1の導光部と、前記光学ファインダの近傍で前記第2の発光素子の光を一端より入射させ、他端より射出する第2の導光部と、を有することを特徴とする構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の表示部に関し、特にデジタルスチルカメラ等の光学ファインダ脇に配置する表示部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学ファインダを具備するデジタルカメラは、光学ファインダの脇に表示部を備えていることが一般的である。この表示部は、ファインダを覗いているユーザに対して、カメラが合焦状態であれば緑色に点灯し、ストロボ発光時であれば橙色に点灯するなどしてカメラの状態をユーザに知らせるものである。
【0003】
表示部の構成としては、特許文献1の図2及び図3で開示されているように、操作スイッチなどが実装されたフレキシブルプリント基板(FPC)上に発光素子を実装し、背面カバーに導光体が固定されるという構成であった。発光素子は鏡筒制御用のFPCに実装される場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−080282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、FPCの発光素子部分はカメラ本体に位置決めされ、導光体は背面カバーに位置決めする必要があったため、発光素子と導光体との位置がずれ易く、組立工数が余分に必要であった。また、発光素子は通常2つ実装されるが、2つの距離が近いため他方の光が回り込んで光漏れが起こる場合もあり、別途光漏れを防ぐ対策が必要であった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ファインダ表示部の構成をコストダウンし、組立性及び相互の発光素子の遮光性を向上し、かつ輝度むらを改善することを可能にした撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、光学ファインダと、操作部材のスイッチが実装され、前記光学ファインダに重ねて配置される両面基板と、前記基板の前記光学ファインダと対向しない第1の面に実装される第1の発光素子と、前記基板の前記光学ファインダと対向する第2の面に実装される第2の発光素子と、前記光学ファインダの近傍で前記第1の発光素子の光を一端より入射させ、他端より出射する第1の導光部と、前記光学ファインダの近傍で前記第2の発光素子の光を一端より入射させ、他端より射出する第2の導光部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、同一の基板に発光素子を実装しているため、カメラ本体に対する位置決めが簡単となり、組立性が向上する。さらには、一方の発光素子を基板の表側に実装し、もう一方の発光素子を基板の裏側に実装することにより、遮光するための部材を用いることなくそれぞれの光を混ざらなくすることができる。また、発光素子から表示部までの導光距離を長くすることができるため、導光体と発光素子との位置ずれを吸収して輝度むらを軽減することができる。
【0009】
以上に述べたように、低コストな構成で、組立性及び発光素子の相互の遮光性が向上し、輝度むらが低減された光学ファインダの表示部を有する撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用したデジタルカメラの実施例における構成を最も端的に示した斜視図である。
【図2】本発明を適用したデジタルカメラの実施例における分解斜視図である。
【図3】本発明を適用したデジタルカメラの実施例における断面図である。
【図4】本発明を適用したデジタルカメラの実施例における斜視図である。
【図5】本発明を適用したデジタルカメラの実施例における上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態にかかわるファインダ表示部の構成を示す斜視図である。図1(a)は上方から見た斜視図であり、図1(b)は下方から見た斜視図である。
【0012】
101は発光素子であるLEDの光を外観部まで導光し、デジタルカメラ(撮像装置)の状態を表示する導光体である。導光体101は、第1及び第2の入射面101a、101b、第1及び第2の導光部101c、101dにより一体的に構成されている。102は光学ファインダであり、鏡筒のズーム駆動に連動して望遠側・広角側に駆動する。このとき、導光体101は、光学ファインダ102の近傍に配置されている。103は両面基板であり、光学ファインダ102の上側で、光学ファインダ102に重ねて配置され、上面操作部材のスイッチ、例えば電源スイッチやレリーズスイッチなどが実装される。本実施例では補助光用のLEDやストロボ発光用のトリガーコイルも実装されている。
【0013】
導光体101の第1入射面101aに入光する位置に端面発光型LED103a(第1の発光素子)が実装される。同様に導光体101の第2入射面101bに入光する位置に端面発光型LED103b(第2の発光素子)が実装される。
【0014】
光学ファインダ102の筺体が両面基板103の直下にあるため、光学ファインダ102に近い方の端面発光型LED103aは、両面基板103の光学ファインダ102と対向しない第1の面に実装される。このとき、端面発光型LED103aは光学ファインダ102と重なる位置に実装される。また、光学ファインダ102に遠い方の端面発光型LED103bは、LEDの相互の光が混ざらないように両面基板103の光学ファインダ102と対向する第2の面に実装される。すなわち、光学ファインダ102から端面発光型LED103bまでの距離が光学ファインダ102から端面発光型LED103aまでの距離よりも大きくなるように、端面発光型LED103a及び端面発光型LED103bが両面基板103に実装される。端面発光型LED103aと端面発光型LED103bの間の基板外側に凸部103cが形成されているが、これもLED相互の光が混ざらないよう遮蔽するための形状である。
【0015】
図2は、本発明の実施形態にかかわるデジタルカメラの分解斜視図である。デジタルカメラの本体部114の上方から両面基板103を組み込み、続いて上面カバーユニット113が組まれて、ビスで本体部114に締結される。上面カバーユニット113は、電源ボタン、レリーズボタン、ズームレバー、モードダイアルなどで構成される。導光体101は、背面カバー112に位置決め・固定される。本体部に前面カバー111と背面カバー112が組まれる。
【0016】
図3は、本発明の実施形態にかかわる端面発光型LED103aの光線経路を示す断面図である。簡単のために中心光線だけを示している。デジタルカメラの各操作により点灯・点滅した端面発光型LED103aの発光面からの光線は、導光体101の入射面(一端)に略垂直に入射し、第1の導光部101cの反射面で2度反射し、射出面(他端)から射出される。
【0017】
端面発光型LED103bの発光面からの光線経路も端面発光型LED103aとほぼ同様である。しかし、図1に示す通り、端面発光型LED103bは、カメラ長手方向の座標が導光体101の射出面と異なる位置にあるため、第2の導光部101dの3個の反射面で3度反射させる。
【0018】
第1及び第2の導光部101a、101bの反射面の角度は、射出面から光線が略垂直に射出されるように調整する。導光体101の射出面がデザイン形状に沿った傾きを有しているときは、射出面での光線の屈折を考慮して反射面の角度を調整する。
【0019】
以上に述べたように本発明の実施形態では、同一の基板に発光素子を実装しているため、カメラ本体に対する位置決めが簡単となり、組立性が向上する。よって組立コストも抑えることができる。
【0020】
更にコストを下げるためには、両面基板にFPCと比較して低コストであるハード基板を使用することが有用である。
【0021】
また、図3を見て分かるとおり、本発明の実施形態では従来に比べて導光距離を長くすることができる。従来では、LEDと導光体との位置ずれがそのまま輝度むらとして現れ品位が低下していたが、このように導光距離を長くすることによって光を拡散し、輝度むらを低減することができる。本実施例では両面基板103はデジタルカメラの本体部114に位置決めされ、導光体101は背面カバー112に位置決めされるため、LEDと導光体の位置ずれが生じやすい。しかしながら、導光距離を長くすることによってこの位置ずれを吸収することができるのである。
【0022】
本実施例では、導光体101のように表示窓が横並びで一方は2回反射、もう一方は3回反射とする導光体を用いたが、導光体の形状やLEDの配置はこれに限ったものではない。例えば図4に示すとおり、表示窓を縦並びとしてLED203aの光線は反射させずに直線的に導光する導光体201のような形状としてもよい。
【0023】
導光体の形状及びLEDの配置の別の例を図5に示す。図5は導光体と基板を上面から見た図である。基板の表側にLED303aを、基板の裏側にLED303bをそれぞれ射出面に対して略45度の角度で配置する。LED303aの光線経路を図に細線で示すとおり、光線は導光体301の反射面で2度反射し、表示窓から垂直に射出される。LED303bの光線についても左右対称となるだけで全く同様である。このように、それぞれの光線が遠ざかるようにLEDを配置することで、一方の光がもう一方の光と混ざらないようにすることができる。導光体の形状やLEDの配置はこのような考え方により、様々な形状、配置をとることができる。
【0024】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0025】
101…導光体
102…光学ファインダ
103…両面基板
103a、103b…端面発光型LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ファインダと、
操作部材のスイッチが実装され、前記光学ファインダに重ねて配置される両面基板と、
前記基板の前記光学ファインダと対向しない第1の面に実装される第1の発光素子と、
前記基板の前記光学ファインダと対向する第2の面に実装される第2の発光素子と、
前記光学ファインダの近傍で前記第1の発光素子の光を一端より入射させ、他端より射出する第1の導光部と、
前記光学ファインダの近傍で前記第2の発光素子の光を一端より入射させ、他端より射出する第2の導光部と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記光学ファインダから前記第2の発光素子までの距離が前記光学ファインダから前記第1の発光素子までの距離よりも大きくなるように、前記第1及び第2の発光素子が前記両面基板に実装されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の発光素子は光学ファインダと重なる位置に実装されることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の導光部は、一体的に構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記両面基板は、ハード基板であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の発光素子の光は、前記光学ファインダの横に導光されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記両面基板は、前記第1及び第2の発光素子の間に互いの光を遮蔽するための凸部が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の発光素子の発光面は、互いに異なる方向を向いていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の発光素子は、それぞれ前記第1及び第2の導光部の射出面に対して45度の角度で配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−133108(P2012−133108A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284913(P2010−284913)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】