撮像装置
【課題】AFキャリブレーションを実行するAFフレームが選択可能な場合、撮影時の選択AFフレームの限定処理をしていても、全AFフレームが選択可能であると、限定処理して選択不可のAFフレームまで選択できてしまう不便を解決する技術を提供する。
【解決手段】撮影時に所定の検出方式で得られる合焦位置を調整するための補正値を設定可能な撮像装置において、撮影時のAFフレームの選択について限定処理された場合は、補正値を設定して記憶する際に使用するAFフレームの選択時に、選択できるAFフレームと、選択できないAFフレームとで異なる表示にする。または、撮影時と同じ限定を適用して表示する。
【解決手段】撮影時に所定の検出方式で得られる合焦位置を調整するための補正値を設定可能な撮像装置において、撮影時のAFフレームの選択について限定処理された場合は、補正値を設定して記憶する際に使用するAFフレームの選択時に、選択できるAFフレームと、選択できないAFフレームとで異なる表示にする。または、撮影時と同じ限定を適用して表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差AF(オートフォーカス)方式などにより検出された合焦位置を補正する機能を有する撮像装置などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、位相差AFで合焦させる一眼レフカメラは、使用していると、レンズやカメラ本体各々の耐久性により合焦位置と認識される位置が変化し、当初より合焦精度が落ちることがあった。レンズの場合、正しい合焦位置へレンズ駆動するはずが、耐久性によるガタが発生して、レンズ停止位置がずれてしまう場合が考えられる。カメラ本体の場合、位相差検出方式で用いるミラーが駆動されているうちにミラーの角度が変化していき、AFセンサへの被写体光の入り方が変化して正しい合焦位置からずれた位置を合焦位置だと認識してしまう場合が考えられる。上記の場合、ユーザーはカメラをサービスセンターへ持って行くことなく、合焦位置を元の状態に戻すための手段が最近の撮像装置には搭載されつつある。
【0003】
また、位相差AFによる合焦位置検出においては、撮影時の光源や被写体の色や種類などの影響により、正しい合焦位置を検出できない場合がある。この様な問題が発生する場合は、使用する環境に応じて位相差AFにより検出された合焦位置を補正することが考えられる。その際に、位相差AFによる焦点調節領域(AFフレーム)が複数ある構成では、AFフレーム毎に補正が必要な場合などがある。しかし補正する箇所が多くなると、補正が必要となる度にその都度時間をかけて個別に補正を行うのは現実問題として難しい。よって、ユーザーは、自分が使用したいAFフレームに合わせて補正を行いたい。特許文献1では、位相差AFの合焦位置を、コントラスト検出方式を用いて自動で補正できる機能(AFキャリブレーション)が開示されている。ここで、補正値は焦点距離ごとに持つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−292684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献の技術には、位相差AFに係るAFフレームが複数ある場合、撮影時にAFフレームの選択の限定処理を行った際に位相差AFによる合焦位置の補正に使用するAFフレームを如何に選択するかの制御技術がない。
【0006】
よって、本発明の目的は、撮影時の設定で選択AFフレームの限定処理がされていた場合は、AF補正処理時にも、選択できないフレームの表示を、選択できるフレームとは異なる表示にする。または、AF補正処理用のAFフレームでも、撮影時の限定処理で選択可能とされたAFフレームしか選択できないようにする。そうすることにより、ユーザーにとって操作し易い快適なAF補正処理機能が搭載された撮像装置を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、撮影時に所定の検出方式で得られる合焦位置を調整するための補正値を設定可能な本発明の撮像装置は、次の様に構成される。前記所定の検出方式によるオートフォーカスを行う際に選択できる焦点調節領域であるAFフレームを複数備え、撮影時に使用するAFフレームの限定処理が可能であるように構成される。そして、撮影時のAFフレームの選択について限定処理された場合は、前記補正値を設定して記憶する際に使用するAFフレームの選択時に、選択できるAFフレームと、選択できないAFフレームとで異なる表示にするように構成される。または、撮影時のAFフレームの選択について限定処理された場合は、前記補正値を設定して記憶する際に使用するAFフレームの選択時にも、同じ限定を適用して表示するように構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、合焦位置の補正ないし調整可能なAFフレームの数が多い場合でも、ユーザーに快適な補正値の設定をさせることが可能になる。また、実際の撮影で選択できないAFフレームでは、AFキャリブレーションもできないようにすることで、誤った補正値でAFを行うことを防げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ミラーダウン時及びミラーアップ時の撮像装置である一眼レフデジタルカメラの内部構造を示す垂直断面図。
【図2】実施例に係る撮像装置の構成を示すブロック図。
【図3】実施例のAFキャリブレーションのフローチャート。
【図4】実施例におけるAFフレーム限定処理のフローチャート。
【図5】実施例におけるAFフレーム限定処理画面の例を示す図。
【図6】実施例1のAFキャリブレーションのAFフレーム選択のフローチャート。
【図7】実施例におけるAFキャリブレーションのAFフレーム選択画面の例を示す図。
【図8】実施例におけるキャリブレーション処理のフローチャート。
【図9】実施例におけるTVAFのフローチャート。
【図10】実施例におけるAFキャリブレーションモード選択の画面例を示す図。
【図11】実施例におけるキャリブレーション調整のフローチャート。
【図12】実施例におけるキャリブレーション調整の画面例を示す図。
【図13】実施例2のAFキャリブレーションのAFフレーム選択のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特徴は、所定の検出方式で得られる合焦位置を調整する補正値を設定可能な撮像装置で、撮影時のAFフレーム選択について限定処理された場合は、キャリブレーションのAFフレームの選択時に、該限定に対応するAFフレーム表示にすることである。すなわち、選択できるAFフレームと、選択できないAFフレームとで異なる表示にしたり、該限定と同じ限定を適用して表示したりする。同じ限定を適用して表示する場合、選択可能なAFフレームと選択不可能なAFフレームとで異なる表示をしておいて、限定処理により選択不可のAFフレームは選択表示できないようにする(後述の実施例2参照)ことができる。しかし、これに限定されず、例えば、次の様にすることもできる。すなわち、全AFフレームを同じ表示にしておいて、限定処理により選択不可のAFフレームは、たとえ選択したとしても、選択表示できないようにすることもできる。
【0011】
以下、本発明の実施例を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1として、レンズ交換可能なデジタル一眼レフカメラシステムについて説明する。図1(a)、図1(b)は本実施例の撮像装置であるカメラの概略断面図である。レンズ本体1内に収容された撮像光学系10は、1つ又は複数のレンズ群から構成され、その全てもしくは一部を移動させることで焦点距離(ズーム位置)やフォーカス位置(焦点調節状態)を変化させることができる。レンズ駆動手段11は、撮像光学系10のレンズの全てもしくは一部を移動させて焦点調節状態を調整する駆動手段である。レンズ駆動手段11は、例えばDCモータやステッピングモータによって構成され、マイクロコンピュータ40の制御によって、レンズ本体1内に収容されたフォーカスレンズの位置を変化させることでピントを合わせる。レンズ状態検出手段12は、撮像光学系10の焦点距離即ちズーム位置、及びフォーカス位置を検出する検出手段である。レンズ制御手段13は、ROM等で構成されたレンズ記憶手段14を含むレンズ本体1全体の制御を司る制御手段である。接点15は、レンズ本体1及びカメラ本体2に具備された接点であり、互いに装着された状態では接点15を介して各種の情報の通信や電源の供給が行われる。
【0012】
主ミラー20は、ハーフミラーで構成され、カメラの動作状態に応じて回動可能であり、被写体をファインダーで観察する時は図1(a)に記載の通り、撮影光路へ斜設され、レンズ本体1からの光束を折り曲げて後述のファインダー光学系へ導く。撮影時やライブビュー時は図1(b)に記載の通り、撮影光路から退避して、レンズ本体1からの光束を後述の撮像素子24へ導く。サブミラー21は、主ミラー20とともに回動し、主ミラー20が撮影光路へ斜設される時に図1(a)に記載の通り、主ミラー20を透過した光束を折り曲げて後述のAFセンサ22(焦点検出回路109内に配置)へ導く。撮影時やライブビュー時は図1(b)に記載の通り、主ミラー20とともに回動して撮影光路から退避する。AFセンサ22は、2次結像レンズや複数のCCDまたはCMOSからなるエリアセンサ等から構成され、公知の方法である位相差方式で焦点検出を行う。すなわち、AFセンサ22は、レンズ本体1や後述のメカ制御手段40とともに、位相差検出方式によるオートフォーカス機能(1、10、22、40)を実行する手段を構成している。
【0013】
シャッター23は、レンズ本体1からの光束を後述の撮像素子24に入射制御するためにあり、通常は図1(a)に記載の通り閉じた状態で、撮影時やライブビュー時に図1(b)に記載の通り開いた状態となる。撮像素子24は、イメージセンサとその周辺回路で構成されている。撮像素子24には、イメージセンサCCDやCMOSセンサなどが用いられ、撮像光学系10によって結像された被写体像を電気信号に変換する。ピント板30は、レンズ本体1の一次結像面に配置され、入射面には集光レンズが設けられ、射出面には被写体像(ファインダー像)が結像する。ペンタプリズム31は、ファインダー光路を変更するもので、ピント板30の射出面に結像した被写体像を正立正像に補正する。接眼レンズ32は、ユーザーがファインダーをのぞいた時、目に合わせて視度を調節できるような構成になっている。ピント板30、ペンタプリズム31、接眼レンズ32により構成されている光学系を、ファインダー光学系と称する。AEセンサ33は、多分割された撮像領域内の各領域に対応したフォトダイオードから構成され、ピント板30の射出面に結像した被写体像の輝度を測定する。
【0014】
メカ制御手段40は、カメラ部の制御とカメラ全体の制御を行うマイクロコンピュータ(中央処理装置;MPU)である。レンズ本体1に対してAF補正、レンズ駆動、絞り駆動などのレンズ制御も行う。デジタル制御手段41は、画像データの各種制御を行うメモリコントローラ(ICU)である。このデジタル制御手段41は、撮像素子24で撮影された画像のコントラスト検出を行い合焦位置を判定するコントラスト方式の焦点検出手段を含んで構成することができる。つまり、デジタル制御手段41は、レンズ本体1やメカ制御手段40とともに、コントラスト検出方式によるオートフォーカス機能を実行する手段を構成している。カメラ記憶手段42は、本AF補正システムで各種制御を行うための設定、調整データ等を格納している。
【0015】
TFTや有機ELなどを用いた表示部材である液晶モニタ43は、撮影した画像や各種の撮影情報を表示するものである。記録媒体50は、メモリカードやハードディスクなどの画像データを記録するものである。この記録媒体50は、カメラ本体に対して着脱可能である。なお、図1(a)、図1(b)には不図示であるが、SETボタンとキャンセルボタンが設けられている。液晶モニタ43にSETボタン表示がされている場合、このSETボタンを押すことで、決定や選択等の操作ができる。また、液晶モニタ43にキャンセルボタン表示がされている場合、このキャンセルボタンを押すことで、1つ前の状態に戻る、特定のモードを終了する等の操作ができる。
【0016】
本実施例に係る撮像装置の構成を示すブロック図である図2を用いて更に説明する。図2では、図1中の部分と同等の部分は同一番号で示す。図2において、103は絞り、104は、絞り103を駆動する絞り駆動部である。駆動されるべき量はマイクロコンピュータ40によって算出され、光学的な絞り値を変化させる。107は、主ミラー駆動回路でマイクロコンピュータ40の制御によって主ミラー20を駆動する。109は焦点検出回路である。ミラー20の中央部を透過し、サブミラー21で反射された光束は、焦点検出回路109の内部に配置された光電変換を行うためのAFセンサ22に至る。フォーカス演算に用いるデフォーカス量は、AFセンサ22の出力を演算することによって求められる。マイクロコンピュータ40は演算結果を評価してレンズ制御手段であるAF駆動回路13に指示し、フォーカスレンズを駆動させる。
【0017】
111はシャッター駆動回路であり、フォーカルプレーンシャッター23を駆動する。シャッターの開口時間はマイクロコンピュータ40によって制御される。115はA/D変換器である。A/D変換器115は撮像素子24のアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。116は映像信号処理回路であり、ゲートアレイなどのロジックデバイスにより実現される。117は表示駆動回路である。121はコンピュータ等と接続可能な外部インターフェイスである。122はバッファメモリである。
【0018】
映像信号処理回路116は、デジタル化された画像信号に、フィルター処理、色変換処理、ガンマ処理を行い、現像データを作成すると共に、JPEGなどの圧縮処理を行い、メモリコントローラ41に出力する。また、映像信号処理回路116は、バッファメモリ122上の2つ以上の現像データの加算や、現像データから諧調を高ビット化した高精度データの生成や、またその両方の処理を同時に実施し、結果をバッファメモリ122に書き戻すことが可能である。さらに、映像信号処理回路116は、撮像素子24からの映像信号や、メモリコントローラ41から逆に入力される画像信号を、表示駆動回路117を通して表示部材43に出力することも可能である。これらの機能切り替えはマイクロコンピュータ40の指示により行われる。映像信号処理回路116は、必要に応じて撮像素子24の信号の露出情報やホワイトバランスなどの情報をマイクロコンピュータ40に出力することが可能である。それらの情報を基にマイクロコンピュータ40はホワイトバランスやゲイン調整の指示を行う。連続撮影動作の場合においては、一旦、未処理画像のままバッファメモリ122に撮影データを格納し、メモリコントローラ41を通して未処理の画像データを読み出し、映像信号処理回路116にて画像処理や圧縮処理を行い、連続撮影を行う。連像撮影枚数は、バッファメモリの大きさに左右される。メモリコントローラ41では、映像信号処理回路116から入力された未処理のデジタル画像データをバッファメモリに格納し、処理済みのデジタル画像データをメモリ42に格納する。また、逆にバッファメモリ122やメモリ42から画像データを映像信号処理回路部116に出力する。メモリ42は取り外し可能である場合もある。メモリコントローラ41は、コンピュータ等と接続可能な外部インターフェイス121を介してメモリ42に記憶されている画像を出力可能である。特に、映像信号処理回路116は、撮像光学系10や撮像素子24などとともに、ライブビュー機能を実行する手段を構成している。
【0019】
124は撮影操作部材である。撮影操作部材124は、マイクロコンピュータ40にその状態を伝え、マイクロコンピュータ40はその操作部材の変化に応じて各部をコントロールする。125はスイッチ1(以後SW1とも記す)、126はスイッチ2(以後SW2とも記す)である。スイッチSW1とスイッチSW2は、レリーズボタンの操作でオンオフするスイッチであり、それぞれ操作部材124の入力スイッチのうちの1つである。スイッチSW1のみオンの状態はレリーズボタン半押し状態であり、この状態でオートフォーカスの動作を行うと共に、測光動作を行う。スイッチSW1、SW2が共にオンの状態はレリーズボタンの全押し状態であり、画像を記録するためのレリーズボタンオン状態である。この状態で撮影が行われる。またスイッチSW1、SW2がオンし続けている間は、連続撮影動作が行われる。操作部材124には、他に、メインスイッチ、撮影モードダイアル、メニューボタン、セットボタン、再生スイッチ、撮影や再生に関する情報表示ボタンなどのスイッチが接続されており、スイッチの状態が検出されている。また、メニューや再生画像移動のための移動+(プラス)ボタンや移動−(マイナス)ボタンも接続することができ、これらの機能により、回転ダイアルスイッチを備えることによって、より軽快に数値や機能を選択することが可能となる。127は液晶駆動回路、128は外部液晶表示部材、129はファインダー内液晶表示部材である。液晶駆動回路127は、マイクロコンピュータ40の表示内容命令に従って、文字、画像を用いて動作状態やメッセージ等を表示する外部液晶表示部材128やファインダー内液晶表示部材129を駆動する。また、ファインダー内液晶表示部材129には、不図示のLEDなどのバックライトが配置されており、そのLEDも液晶駆動回路127で駆動される。マイクロコンピュータ40は撮影前に設定されているISO感度、画像サイズ、画質に応じた、画像サイズの予測値データをもとに、メモリコントローラ41を通して、メモリの容量を確認した上で撮影可能残数を演算することができる。必要に応じて外部液晶表示部材128、ファインダー内液晶表示部材129にも表示することができる。130は不揮発性メモリで、カメラに電源が入れられていない状態でも、データを保存することができる。131は、各ICや駆動系に必要な電源を供給する電源部である。
【0020】
次に、キャリブレーション処理の例を図3に示すフローチャートを用いて説明する。当該処理は、メカメラ記憶手段42に記憶されたキャリブレーションプログラムをカ制御手段40が実行することにより実施される。ステップS401において、レンズ本体1とカメラ本体2の通信によりレンズ情報を取得しステップS402へ進む。ここでレンズ情報は、レンズID、レンズ名、シリアル番号を含む。また、ここでは、レンズ情報を、レンズ本体1とカメラ本体2の通信により取得しているが、事前に通信を行いカメラ記憶手段(42)に記憶したものを利用しても良い。ステップS402において、ステップS401で取得したレンズ情報に対応する補正値などを含むキャリブレーション情報をカメラ記憶手段42から取得しステップS403ヘ進む。ここで、レンズ情報に対応するキャリブレーション情報がない場合には、カメラに付けられているレンズはキャリブレーションを新規に行うレンズとみなされる。
【0021】
ステップS403において、キャリブレーションを行う焦点調節領域であるAFフレームの選択をユーザーにさせステップS404ヘ進む。ステップS403においてAFフレーム選択を行う処理は、図6、図7を用いて後述する。ステップS404では、カメラ本体2に付けられているレンズ本体1がズームレンズか単焦点レンズかの判断を行う。ステップS404でズームレンズと判断されたならステップS405に進み、単焦点レンズと判断されたならステップS406へと進む。ステップS405において、望遠端の選択を行わせる。望遠端の選択は、ズーム処理がカメラからの命令により可能なものは、カメラからの望遠端にする命令をカメラ本体2とレンズ本体1との間の通信により行い、カメラが自動的にレンズを駆動させる。ズーム処理を手動でしか行えない場合は、ユーザーに手動で望遠端にすることを促す画面を表示し、ユーザーに、手動でレンズを駆動し望遠端にさせる。ステップS405の処理を終えたなら、ステップS406に進む。
【0022】
ステップS406において、キャリブレーションの処理を行う。ステップS406のキャリブレーション処理については、図8、図9、図10を用いて後述する。ステップS407において、ステップS406で演算されたキャリブレーション結果をユーザーが微調整する。演算結果が満足の行くものであれば、ユーザーは微調整を行わなくてよい。ステップS407における微調整の方法は図11を用いて後述する。この様に、本実施例では、補正値は、ユーザーが手動で設定可能でもある。
【0023】
ステップS407の処理を終えたなら、ステップS408に進む。ステップS408において、ズームレンズか単焦点レンズか否かの判断を行う。判断方法はステップS404と同じである。ステップS408においてズームレンズと判断されたなら、ステップS409に進み、単焦点レンズと判断されたならステップS411へと進む。ステップS409において、レンズの広角端のキャリブレーションも行ったか否かを判断する。広角端のキャリブレーションも行った場合はステップS411に進み、行っていない場合はステップS410に進む。ステップS410において、広角端の選択を行わせる。ステップS405で望遠端の選択を行わせたのと同等の処理を行う。ステップS410の処理を終えたなら、ステップS406に進む。ステップS411において、ステップS406及びステップS407の処理により得られたキャリブレーション結果をカメラ記憶手段42に記憶する。
【0024】
本実施例において、ステップS405の望遠端の選択処理を先に実施し、ステップS410の広角端の処理を後に実施したが、順番はどちらが先でもよい。また、キャリブレーション結果をカメラ記憶手段42に記憶する処理を、望遠端のキャリブレーション結果と広角端のキャリブレーション結果の両方が出てから行っているか、片方のキャリブレーション結果が出た時点でカメラ記憶手段42に記憶してもよい。
【0025】
次にAFフレームの限定処理の例を、図4に示すフローチャート、図5に示す画面例を用いて説明する。AFフレームの限定処理とは、撮影時に使用可能な位相差AFを行うAFフレームが多いカメラに備えられている機能である。例えば、AFフレームが45点備えられているカメラであると、ユーザーは、頻繁に使用するAFフレームを撮影時に即座に選択することが困難なことがある。よって、AFフレームの限定処理(選択可能なAFフレーム以外のAFフレームを操作部材で選択しようとしても選択表示できなくする処理)を行うことにより、頻繁に使用するAFフレームを撮影時に素早く選択することが可能になる。
【0026】
図4のステップS501において、メニューでの設定画面のAFフレーム限定画面を液晶モニタ43に表示する。AFフレーム限定画面とは図5の601のような画面である。ステップS502において、ユーザーはAFフレームの限定項目を選択する。限定項目には、例えば、図5の602〜605に示すような項目がある。図5にあげた項目は一例であり、AFフレームを限定するような項目であれば何であっても構わない。602「限定しない(全てのAFフレームを使用)」は、AFフレームの限定を行わず、全てのAFフレームを選択できることを表す項目である。603「クロスAFフレームのみ」は、クロスセンサーが用いられているAFフレームのみを選択できることを表す項目である。604「21点のみ」は、複数備えられたAFフレームの中から21点のみを選択できることを表す項目である。606「9点のみ」は、複数のAFフレームの中から9点のみを選択できることを表す項目である。ステップS502において、項目を選択したならば、ステップS503において、選択した項目の情報をカメラ記憶手段42に記憶する。
【0027】
次に、AFキャリブレーション処理において、AFフレーム選択を行う処理を、図6に示すフローチャート、図7に示す画面例を用いて説明する。この説明は図3のステップS403の処理を詳しく説明したものである。図6のステップS701において、キャリブレーション処理に使用するAFフレームの選択を開始する。ステップS702において、AFフレームの限定がされているか否かを判定する。AFフレームの限定処理とは、図4、図5を用いて前述した処理のことである。ステップS702においてAFフレームの限定処理がされていると判定されたならば、ステップS704に進む。ステップS702においてAFフレームの限定処理がされていないと判定されたならば、ステップS703に進む。
【0028】
ステップS703においては、全てのAFフレームを表示する処理を行う。全てのAFフレームを表示すると、例えば図7の801のような画面になる。ステップS704においては、限定されて撮影時に選択不可のAFフレームの表示を変更する。例えば図7の802のような画面になる。図8の805は、撮影時には選択不可のAFフレームを表す表示である。805の例では、点線を用いたが、表示に変化があることが認識できればどのような表示でも構わない。他には、色を変更する、点滅する、線を細くする、などの識別表示が考えられる。ステップS703、ステップ704の処理を終えたなら、ステップS705に進む。
【0029】
ステップS705において、ユーザーはAFキャリブレーション処理を行うAFフレームを選択する。撮影時に頻繁に使用するAFフレームが決まっているユーザーは、その頻繁に使用するAFフレームに該当するAFフレームを選択し、AFキャリブレーションを行うと、より良い精度の結果が得られる可能性が高い。ステップS705においてAFフレームを選択する際に、ステップS703及びステップS704の処理により、撮影時に使用するAFフレームと、使用しないAFフレームの見分けがつくようになっている。よって、ユーザーはAFキャリブレーションを行うAFフレームを迷うことなく素早く選択することができる。
【0030】
ステップS705の処理が終わったならば、ステップS706に進む。ステップS706において、選択したAFフレームは、撮影時のAFフレーム限定がされて選択不可フレームかそうでないかを判定する。ステップS706においてAFフレームの限定処理がされていると判定されたならば、ステップS708に進む。ステップS706においてAFフレームの限定処理がされていないと判定されたならば、ステップS707に進む。ステップS707では、S705で選択したAFフレームに通常選択時のフォーカスを当てる(つまり、点灯したり色を変えたりする)。例えば、図8の804のような実線表示にする。他方、ステップS708では、S705で選択したAFフレームは、撮影時に選択不可のAFフレームであることを表す表示にする。例えば、図8の画面803中の806のような点線表示にする。ステップS709において、選択したAFフレームでキャリブレーション処理を行うことを決定したならば、選択したAFフレームの情報をカメラ記憶手段42に記憶する。
【0031】
次に、AFキャリブレーションにおいてキャリブレーションを行う処理を、図8、図9に示すフローチャート、図10に示す画面例を用いて説明する。この説明は図3のステップS406の処理を詳しく説明したものである。このフローに入る前に、被写体を決めておく作業が必要であるので、被写体を決めたところで、キャリブレーションをスタートさせる。図8のステップS901において、ライブビューを開始する。次に、ステップS902において、ライブビューで表示されている画像を拡大する。拡大は行わなくても構わないが、拡大により、ステップS906におけるコントラスト検出方式のAF動作、またはステップS909におけるマニュアル操作によるピント合わせを行う際に、より精度よく行える。
【0032】
ステップS903において、ライブビューを用いたピント合わせを行う際に、コントラスト検出方式による自動ピント合わせモード1102に設定されているか、ユーザーが手動でピント合わせを行う半自動モード1103に設定されているかを判定する。コントラスト検出方式による自動ピント合わせモード1102とユーザーが手動でピント合わせを行うモード1103の設定は、図10に表されている画面例のようなメニュー画面により行う。図10において、1101は設定画面を表す。1102「全自動モード(TVAF)」は、キャリブレーション処理にコントラスト検出方式による自動ピント合わせ(以下、VAFとも記す)を使用することを表す。1103「半自動モード」は、キャリブレーション処理にユーザーが手動でピント合わせ(以下、マニュアルフォーカスとも記す)を行うことを表す。
【0033】
ステップS903において、TVAFを使用すると判定された場合は、ステップS904に進む。マニュアルフォーカスを使用すると判定された場合は、ステップS907に進む。ステップS904において、レンズ本体1との通信によりレンズ情報を取得する。ここでレンズ情報は、レンズスイッチ(AF/MF切り替えスイッチ)の情報である。また、ここでは、レンズ情報をレンズ本体1とカメラ本体2の通信により取得しているが、事前に通信を行いカメラ記憶手段42に記憶したものを利用しても良い。取得したレンズ情報により、レンズスイッチがAFになっているかMFになっているかを判定する。レンズスイッチがAFの場合はステップS906に進み、レンズスイッチがMFの場合はステップS905でレンズスイッチをAFにしてからステップS906に進む。レンズスイッチはカメラが自動で変更する場合と、ユーザーが手動で変更する場合が考えられるが、レンズスイッチをAFにする操作をユーザーが行う場合は、液晶モニタ43にレンズスイッチをAFに変更する旨のメッセージを表示する。ステップS906において、TVAFを行う。ステップS906のTVAF処理については、図9を用いて後述する。ステップS906において、TVAFを行ったならば、ステップS910に進む。
【0034】
ステップS907において、レンズ本体1との通信によりレンズ情報を取得する。ここでレンズ情報は、レンズスイッチの情報である。ここでも、レンズ情報をレンズ本体1とカメラ本体2の通信によりレンズ情報を取得しているが、事前に通信を行いカメラ記憶手段42に記憶したものを利用しても良い。取得したレンズ情報により、レンズスイッチがAFになっているかMFになっているかを判定する。レンズスイッチがMFの場合はステップS909に進み、レンズスイッチがAFの場合はステップS908でレンズスイッチをMFにしてからステップS909に進む。レンズスイッチはカメラが自動で変更する場合と、ユーザーが手動で変更する場合が考えられるが、レンズスイッチをMFにする操作をユーザーが行う場合は、液晶モニタ43にレンズスイッチをMFに変更する旨のメッセージを表示する。ステップS909において、ユーザーはレンズのピントリングをまわすことにより、ライブビュー上でピント合わせを行う。ステップS902で画像を拡大にしたことにより、ユーザーはピント合わせ操作をより快適に精度良く行うことができる。ステップS909において、マニュアルによるピント合わせを行ったならば、ステップS910に進む。
【0035】
ステップS910において、メカ制御手段40はそのときのレンズ状態検出手段12からの位置情報を、レンズ制御手段13を通じて得て、合焦位置情報を作成する。ステップS911において、メカ制御手段13が、AFセンサ22に位相差AFによる焦点検出を行わせる。そして、そのときの検出結果、すなわち焦点ずれ量(デフォーカス量)をフォーカスレンズの合焦方向への駆動量に換算した値を、レンズ状態検出手段12からのフォーカス位置情報に加えて合焦位置情報を作成し、ステップS912へ進む。ステップS912において、メカ制御手段40が、デジタル制御手段41により合焦判定されたときの合焦位置情報と、AFセンサ22による検出結果から得られた合焦位置情報との差分である合焦位置補正値を、デジタル制御手段41に算出させる。その後、ステップS913へ進む。ステップS913において、デジタル制御手段41に算出された合焦位置補正値をカメラ記憶手段42に記憶させ、処理を終了する。
【0036】
次にTVAFについて、図9に示すフローチャートを用いて説明する。この説明は図8のステップS906の処理を詳しく説明したものである。ステップS1001において、メカ制御手段40がレンズ制御手段13に信号を送り、レンズ駆動手段11を通じてフォーカスレンズを所定位置に移動させ、ステップS1002へ進む。ステップS1002において、撮像素子24から得られる画像信号のコントラストをデジタル制御手段41に検出させ、ステップS1003へ進む。ステップS1003において、所定回数Nに達するまで、S1001でのフォーカスレンズの微小移動とS1002でのコントラスト検出とを繰り返し行わせる。所定回数に達したらステップS1004へ進む。所定回数に達しなければS1001へ進む。ステップS1004において、デジタル制御手段41が、N個のコントラスト検出結果のうち最もコントラストの高い画像信号が得られたフォーカス位置を合焦位置と判定し、メカ制御手段40に信号を送る。メカ制御手段40はそのときのレンズ状態検出手段12からの位置情報を、レンズ制御手段13を通じて得て、合焦位置情報を作成する。
【0037】
次にキャリブレーション結果の調整について、図11に示すフローチャート、図12に示す画面例を用いて説明する。この説明は図3のステップS407の処理を詳しく説明したものである。ステップS1201において、キャリブレーション結果の表示をする。図12の1301が画面例である。1301は画面全体を表し、1302は調整結果を表示するスケールである。キャリブレーション結果が表示されたなら、ステップS1202に進む。ステップS1202において、ユーザーは調整結果が満足のいくものかどうかの確認をする。満足がいくものであればステップS1204に進み、改善の余地があると判断すれば、ステップS1203に進む。ステップS1203において、ユーザーは1302に表示されているスケールを動かすことで微調整を行う。1303が元のスケールを表し、1304が移動先のスケールを表す。微調整が終了したならば、ステップS1204に進む。ステップS1204において、キャリブレーション調整結果の決定をする。OKボタン1305を選択することにより決定をする。
【0038】
以上に説明した実施例1では、図6のステップS705において、AFフレームを選択する際に、ステップS703及びステップS704の処理により、撮影時に使用するAFフレームと使用しないAFフレームの見分けがつく様になっている。従って、ユーザーはAFキャリブレーションを行うAFフレームを迷うことなく素早く選択することが可能である。また、撮影時に使用しないAFフレームを選択してしまったとしても、通常のフォーカス(識別表現)とは異なる表現をすることにより、選択間違いに気づき易くなり、操作ミスを防ぎ易くすることが可能である。
【0039】
(実施例2)
実施例2を説明する。本実施例では、図6のステップS707、ステップS708のAFフレームの選択について、実施例1とは異なる。この点を図13を用いて説明する。図13で説明する以外については実施例1と同じとする。図13において、ステップS1401〜ステップS1405及びステップS1409については、図6のステップS701〜ステップS705及びステップS709と同じであるので、説明を省略する。
【0040】
ステップS1406において、選択したAFフレームは、撮影時のAFフレーム限定がされて選択不可フレームかそうでないかを判定する。ステップS1406においてAFフレームの限定処理がされていると判定されたならば、ステップS1408に進む。ステップS1406においてAFフレームの限定処理がされていないと判定されたならば、ステップS1407に進む。ステップS1407では、選択しようとしていたAFフレームにフォーカスを当て、新たな選択AFフレームとする。処理を終えたなら、ステップS1409に進む。ステップS1408では、選択しようとしていたAFフレームは撮影時の限定で選択不可とされているAFフレームであるので、フォーカスは元のAFフレームのままとする。つまり、選択可能なAFフレーム以外のAFフレームを選択しようとしても選択表示できない。処理を終えたなら、ステップS1409に進む。
【0041】
実施例2では、AFフレームを選択する際に、ステップS1407及びステップS1408の処理により、撮影時に使用しないAFフレームは選択できないようになっている。よって、ユーザーはAFキャリブレーションを行うAFフレームを迷うことなく素早く選択することが可能である。
【0042】
なお、上述した実施形態の処理は、各機能を具現化したソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或いは装置に提供してもよい。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって、前述した実施形態の機能を実現することができる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどを用いることができる。或いは、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることもできる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれている。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれてもよい。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含むものである。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10・・撮影光学系、13・・レンズ制御手段、24・・撮像素子、40・・メカ制御手段(オートフォーカス機能を実行する手段)、116・・映像信号処理回路(ライブビュー機能を実行する手段)、804、805、806・・AFフレーム(焦点調節領域)
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差AF(オートフォーカス)方式などにより検出された合焦位置を補正する機能を有する撮像装置などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、位相差AFで合焦させる一眼レフカメラは、使用していると、レンズやカメラ本体各々の耐久性により合焦位置と認識される位置が変化し、当初より合焦精度が落ちることがあった。レンズの場合、正しい合焦位置へレンズ駆動するはずが、耐久性によるガタが発生して、レンズ停止位置がずれてしまう場合が考えられる。カメラ本体の場合、位相差検出方式で用いるミラーが駆動されているうちにミラーの角度が変化していき、AFセンサへの被写体光の入り方が変化して正しい合焦位置からずれた位置を合焦位置だと認識してしまう場合が考えられる。上記の場合、ユーザーはカメラをサービスセンターへ持って行くことなく、合焦位置を元の状態に戻すための手段が最近の撮像装置には搭載されつつある。
【0003】
また、位相差AFによる合焦位置検出においては、撮影時の光源や被写体の色や種類などの影響により、正しい合焦位置を検出できない場合がある。この様な問題が発生する場合は、使用する環境に応じて位相差AFにより検出された合焦位置を補正することが考えられる。その際に、位相差AFによる焦点調節領域(AFフレーム)が複数ある構成では、AFフレーム毎に補正が必要な場合などがある。しかし補正する箇所が多くなると、補正が必要となる度にその都度時間をかけて個別に補正を行うのは現実問題として難しい。よって、ユーザーは、自分が使用したいAFフレームに合わせて補正を行いたい。特許文献1では、位相差AFの合焦位置を、コントラスト検出方式を用いて自動で補正できる機能(AFキャリブレーション)が開示されている。ここで、補正値は焦点距離ごとに持つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−292684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献の技術には、位相差AFに係るAFフレームが複数ある場合、撮影時にAFフレームの選択の限定処理を行った際に位相差AFによる合焦位置の補正に使用するAFフレームを如何に選択するかの制御技術がない。
【0006】
よって、本発明の目的は、撮影時の設定で選択AFフレームの限定処理がされていた場合は、AF補正処理時にも、選択できないフレームの表示を、選択できるフレームとは異なる表示にする。または、AF補正処理用のAFフレームでも、撮影時の限定処理で選択可能とされたAFフレームしか選択できないようにする。そうすることにより、ユーザーにとって操作し易い快適なAF補正処理機能が搭載された撮像装置を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、撮影時に所定の検出方式で得られる合焦位置を調整するための補正値を設定可能な本発明の撮像装置は、次の様に構成される。前記所定の検出方式によるオートフォーカスを行う際に選択できる焦点調節領域であるAFフレームを複数備え、撮影時に使用するAFフレームの限定処理が可能であるように構成される。そして、撮影時のAFフレームの選択について限定処理された場合は、前記補正値を設定して記憶する際に使用するAFフレームの選択時に、選択できるAFフレームと、選択できないAFフレームとで異なる表示にするように構成される。または、撮影時のAFフレームの選択について限定処理された場合は、前記補正値を設定して記憶する際に使用するAFフレームの選択時にも、同じ限定を適用して表示するように構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、合焦位置の補正ないし調整可能なAFフレームの数が多い場合でも、ユーザーに快適な補正値の設定をさせることが可能になる。また、実際の撮影で選択できないAFフレームでは、AFキャリブレーションもできないようにすることで、誤った補正値でAFを行うことを防げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ミラーダウン時及びミラーアップ時の撮像装置である一眼レフデジタルカメラの内部構造を示す垂直断面図。
【図2】実施例に係る撮像装置の構成を示すブロック図。
【図3】実施例のAFキャリブレーションのフローチャート。
【図4】実施例におけるAFフレーム限定処理のフローチャート。
【図5】実施例におけるAFフレーム限定処理画面の例を示す図。
【図6】実施例1のAFキャリブレーションのAFフレーム選択のフローチャート。
【図7】実施例におけるAFキャリブレーションのAFフレーム選択画面の例を示す図。
【図8】実施例におけるキャリブレーション処理のフローチャート。
【図9】実施例におけるTVAFのフローチャート。
【図10】実施例におけるAFキャリブレーションモード選択の画面例を示す図。
【図11】実施例におけるキャリブレーション調整のフローチャート。
【図12】実施例におけるキャリブレーション調整の画面例を示す図。
【図13】実施例2のAFキャリブレーションのAFフレーム選択のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特徴は、所定の検出方式で得られる合焦位置を調整する補正値を設定可能な撮像装置で、撮影時のAFフレーム選択について限定処理された場合は、キャリブレーションのAFフレームの選択時に、該限定に対応するAFフレーム表示にすることである。すなわち、選択できるAFフレームと、選択できないAFフレームとで異なる表示にしたり、該限定と同じ限定を適用して表示したりする。同じ限定を適用して表示する場合、選択可能なAFフレームと選択不可能なAFフレームとで異なる表示をしておいて、限定処理により選択不可のAFフレームは選択表示できないようにする(後述の実施例2参照)ことができる。しかし、これに限定されず、例えば、次の様にすることもできる。すなわち、全AFフレームを同じ表示にしておいて、限定処理により選択不可のAFフレームは、たとえ選択したとしても、選択表示できないようにすることもできる。
【0011】
以下、本発明の実施例を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1として、レンズ交換可能なデジタル一眼レフカメラシステムについて説明する。図1(a)、図1(b)は本実施例の撮像装置であるカメラの概略断面図である。レンズ本体1内に収容された撮像光学系10は、1つ又は複数のレンズ群から構成され、その全てもしくは一部を移動させることで焦点距離(ズーム位置)やフォーカス位置(焦点調節状態)を変化させることができる。レンズ駆動手段11は、撮像光学系10のレンズの全てもしくは一部を移動させて焦点調節状態を調整する駆動手段である。レンズ駆動手段11は、例えばDCモータやステッピングモータによって構成され、マイクロコンピュータ40の制御によって、レンズ本体1内に収容されたフォーカスレンズの位置を変化させることでピントを合わせる。レンズ状態検出手段12は、撮像光学系10の焦点距離即ちズーム位置、及びフォーカス位置を検出する検出手段である。レンズ制御手段13は、ROM等で構成されたレンズ記憶手段14を含むレンズ本体1全体の制御を司る制御手段である。接点15は、レンズ本体1及びカメラ本体2に具備された接点であり、互いに装着された状態では接点15を介して各種の情報の通信や電源の供給が行われる。
【0012】
主ミラー20は、ハーフミラーで構成され、カメラの動作状態に応じて回動可能であり、被写体をファインダーで観察する時は図1(a)に記載の通り、撮影光路へ斜設され、レンズ本体1からの光束を折り曲げて後述のファインダー光学系へ導く。撮影時やライブビュー時は図1(b)に記載の通り、撮影光路から退避して、レンズ本体1からの光束を後述の撮像素子24へ導く。サブミラー21は、主ミラー20とともに回動し、主ミラー20が撮影光路へ斜設される時に図1(a)に記載の通り、主ミラー20を透過した光束を折り曲げて後述のAFセンサ22(焦点検出回路109内に配置)へ導く。撮影時やライブビュー時は図1(b)に記載の通り、主ミラー20とともに回動して撮影光路から退避する。AFセンサ22は、2次結像レンズや複数のCCDまたはCMOSからなるエリアセンサ等から構成され、公知の方法である位相差方式で焦点検出を行う。すなわち、AFセンサ22は、レンズ本体1や後述のメカ制御手段40とともに、位相差検出方式によるオートフォーカス機能(1、10、22、40)を実行する手段を構成している。
【0013】
シャッター23は、レンズ本体1からの光束を後述の撮像素子24に入射制御するためにあり、通常は図1(a)に記載の通り閉じた状態で、撮影時やライブビュー時に図1(b)に記載の通り開いた状態となる。撮像素子24は、イメージセンサとその周辺回路で構成されている。撮像素子24には、イメージセンサCCDやCMOSセンサなどが用いられ、撮像光学系10によって結像された被写体像を電気信号に変換する。ピント板30は、レンズ本体1の一次結像面に配置され、入射面には集光レンズが設けられ、射出面には被写体像(ファインダー像)が結像する。ペンタプリズム31は、ファインダー光路を変更するもので、ピント板30の射出面に結像した被写体像を正立正像に補正する。接眼レンズ32は、ユーザーがファインダーをのぞいた時、目に合わせて視度を調節できるような構成になっている。ピント板30、ペンタプリズム31、接眼レンズ32により構成されている光学系を、ファインダー光学系と称する。AEセンサ33は、多分割された撮像領域内の各領域に対応したフォトダイオードから構成され、ピント板30の射出面に結像した被写体像の輝度を測定する。
【0014】
メカ制御手段40は、カメラ部の制御とカメラ全体の制御を行うマイクロコンピュータ(中央処理装置;MPU)である。レンズ本体1に対してAF補正、レンズ駆動、絞り駆動などのレンズ制御も行う。デジタル制御手段41は、画像データの各種制御を行うメモリコントローラ(ICU)である。このデジタル制御手段41は、撮像素子24で撮影された画像のコントラスト検出を行い合焦位置を判定するコントラスト方式の焦点検出手段を含んで構成することができる。つまり、デジタル制御手段41は、レンズ本体1やメカ制御手段40とともに、コントラスト検出方式によるオートフォーカス機能を実行する手段を構成している。カメラ記憶手段42は、本AF補正システムで各種制御を行うための設定、調整データ等を格納している。
【0015】
TFTや有機ELなどを用いた表示部材である液晶モニタ43は、撮影した画像や各種の撮影情報を表示するものである。記録媒体50は、メモリカードやハードディスクなどの画像データを記録するものである。この記録媒体50は、カメラ本体に対して着脱可能である。なお、図1(a)、図1(b)には不図示であるが、SETボタンとキャンセルボタンが設けられている。液晶モニタ43にSETボタン表示がされている場合、このSETボタンを押すことで、決定や選択等の操作ができる。また、液晶モニタ43にキャンセルボタン表示がされている場合、このキャンセルボタンを押すことで、1つ前の状態に戻る、特定のモードを終了する等の操作ができる。
【0016】
本実施例に係る撮像装置の構成を示すブロック図である図2を用いて更に説明する。図2では、図1中の部分と同等の部分は同一番号で示す。図2において、103は絞り、104は、絞り103を駆動する絞り駆動部である。駆動されるべき量はマイクロコンピュータ40によって算出され、光学的な絞り値を変化させる。107は、主ミラー駆動回路でマイクロコンピュータ40の制御によって主ミラー20を駆動する。109は焦点検出回路である。ミラー20の中央部を透過し、サブミラー21で反射された光束は、焦点検出回路109の内部に配置された光電変換を行うためのAFセンサ22に至る。フォーカス演算に用いるデフォーカス量は、AFセンサ22の出力を演算することによって求められる。マイクロコンピュータ40は演算結果を評価してレンズ制御手段であるAF駆動回路13に指示し、フォーカスレンズを駆動させる。
【0017】
111はシャッター駆動回路であり、フォーカルプレーンシャッター23を駆動する。シャッターの開口時間はマイクロコンピュータ40によって制御される。115はA/D変換器である。A/D変換器115は撮像素子24のアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。116は映像信号処理回路であり、ゲートアレイなどのロジックデバイスにより実現される。117は表示駆動回路である。121はコンピュータ等と接続可能な外部インターフェイスである。122はバッファメモリである。
【0018】
映像信号処理回路116は、デジタル化された画像信号に、フィルター処理、色変換処理、ガンマ処理を行い、現像データを作成すると共に、JPEGなどの圧縮処理を行い、メモリコントローラ41に出力する。また、映像信号処理回路116は、バッファメモリ122上の2つ以上の現像データの加算や、現像データから諧調を高ビット化した高精度データの生成や、またその両方の処理を同時に実施し、結果をバッファメモリ122に書き戻すことが可能である。さらに、映像信号処理回路116は、撮像素子24からの映像信号や、メモリコントローラ41から逆に入力される画像信号を、表示駆動回路117を通して表示部材43に出力することも可能である。これらの機能切り替えはマイクロコンピュータ40の指示により行われる。映像信号処理回路116は、必要に応じて撮像素子24の信号の露出情報やホワイトバランスなどの情報をマイクロコンピュータ40に出力することが可能である。それらの情報を基にマイクロコンピュータ40はホワイトバランスやゲイン調整の指示を行う。連続撮影動作の場合においては、一旦、未処理画像のままバッファメモリ122に撮影データを格納し、メモリコントローラ41を通して未処理の画像データを読み出し、映像信号処理回路116にて画像処理や圧縮処理を行い、連続撮影を行う。連像撮影枚数は、バッファメモリの大きさに左右される。メモリコントローラ41では、映像信号処理回路116から入力された未処理のデジタル画像データをバッファメモリに格納し、処理済みのデジタル画像データをメモリ42に格納する。また、逆にバッファメモリ122やメモリ42から画像データを映像信号処理回路部116に出力する。メモリ42は取り外し可能である場合もある。メモリコントローラ41は、コンピュータ等と接続可能な外部インターフェイス121を介してメモリ42に記憶されている画像を出力可能である。特に、映像信号処理回路116は、撮像光学系10や撮像素子24などとともに、ライブビュー機能を実行する手段を構成している。
【0019】
124は撮影操作部材である。撮影操作部材124は、マイクロコンピュータ40にその状態を伝え、マイクロコンピュータ40はその操作部材の変化に応じて各部をコントロールする。125はスイッチ1(以後SW1とも記す)、126はスイッチ2(以後SW2とも記す)である。スイッチSW1とスイッチSW2は、レリーズボタンの操作でオンオフするスイッチであり、それぞれ操作部材124の入力スイッチのうちの1つである。スイッチSW1のみオンの状態はレリーズボタン半押し状態であり、この状態でオートフォーカスの動作を行うと共に、測光動作を行う。スイッチSW1、SW2が共にオンの状態はレリーズボタンの全押し状態であり、画像を記録するためのレリーズボタンオン状態である。この状態で撮影が行われる。またスイッチSW1、SW2がオンし続けている間は、連続撮影動作が行われる。操作部材124には、他に、メインスイッチ、撮影モードダイアル、メニューボタン、セットボタン、再生スイッチ、撮影や再生に関する情報表示ボタンなどのスイッチが接続されており、スイッチの状態が検出されている。また、メニューや再生画像移動のための移動+(プラス)ボタンや移動−(マイナス)ボタンも接続することができ、これらの機能により、回転ダイアルスイッチを備えることによって、より軽快に数値や機能を選択することが可能となる。127は液晶駆動回路、128は外部液晶表示部材、129はファインダー内液晶表示部材である。液晶駆動回路127は、マイクロコンピュータ40の表示内容命令に従って、文字、画像を用いて動作状態やメッセージ等を表示する外部液晶表示部材128やファインダー内液晶表示部材129を駆動する。また、ファインダー内液晶表示部材129には、不図示のLEDなどのバックライトが配置されており、そのLEDも液晶駆動回路127で駆動される。マイクロコンピュータ40は撮影前に設定されているISO感度、画像サイズ、画質に応じた、画像サイズの予測値データをもとに、メモリコントローラ41を通して、メモリの容量を確認した上で撮影可能残数を演算することができる。必要に応じて外部液晶表示部材128、ファインダー内液晶表示部材129にも表示することができる。130は不揮発性メモリで、カメラに電源が入れられていない状態でも、データを保存することができる。131は、各ICや駆動系に必要な電源を供給する電源部である。
【0020】
次に、キャリブレーション処理の例を図3に示すフローチャートを用いて説明する。当該処理は、メカメラ記憶手段42に記憶されたキャリブレーションプログラムをカ制御手段40が実行することにより実施される。ステップS401において、レンズ本体1とカメラ本体2の通信によりレンズ情報を取得しステップS402へ進む。ここでレンズ情報は、レンズID、レンズ名、シリアル番号を含む。また、ここでは、レンズ情報を、レンズ本体1とカメラ本体2の通信により取得しているが、事前に通信を行いカメラ記憶手段(42)に記憶したものを利用しても良い。ステップS402において、ステップS401で取得したレンズ情報に対応する補正値などを含むキャリブレーション情報をカメラ記憶手段42から取得しステップS403ヘ進む。ここで、レンズ情報に対応するキャリブレーション情報がない場合には、カメラに付けられているレンズはキャリブレーションを新規に行うレンズとみなされる。
【0021】
ステップS403において、キャリブレーションを行う焦点調節領域であるAFフレームの選択をユーザーにさせステップS404ヘ進む。ステップS403においてAFフレーム選択を行う処理は、図6、図7を用いて後述する。ステップS404では、カメラ本体2に付けられているレンズ本体1がズームレンズか単焦点レンズかの判断を行う。ステップS404でズームレンズと判断されたならステップS405に進み、単焦点レンズと判断されたならステップS406へと進む。ステップS405において、望遠端の選択を行わせる。望遠端の選択は、ズーム処理がカメラからの命令により可能なものは、カメラからの望遠端にする命令をカメラ本体2とレンズ本体1との間の通信により行い、カメラが自動的にレンズを駆動させる。ズーム処理を手動でしか行えない場合は、ユーザーに手動で望遠端にすることを促す画面を表示し、ユーザーに、手動でレンズを駆動し望遠端にさせる。ステップS405の処理を終えたなら、ステップS406に進む。
【0022】
ステップS406において、キャリブレーションの処理を行う。ステップS406のキャリブレーション処理については、図8、図9、図10を用いて後述する。ステップS407において、ステップS406で演算されたキャリブレーション結果をユーザーが微調整する。演算結果が満足の行くものであれば、ユーザーは微調整を行わなくてよい。ステップS407における微調整の方法は図11を用いて後述する。この様に、本実施例では、補正値は、ユーザーが手動で設定可能でもある。
【0023】
ステップS407の処理を終えたなら、ステップS408に進む。ステップS408において、ズームレンズか単焦点レンズか否かの判断を行う。判断方法はステップS404と同じである。ステップS408においてズームレンズと判断されたなら、ステップS409に進み、単焦点レンズと判断されたならステップS411へと進む。ステップS409において、レンズの広角端のキャリブレーションも行ったか否かを判断する。広角端のキャリブレーションも行った場合はステップS411に進み、行っていない場合はステップS410に進む。ステップS410において、広角端の選択を行わせる。ステップS405で望遠端の選択を行わせたのと同等の処理を行う。ステップS410の処理を終えたなら、ステップS406に進む。ステップS411において、ステップS406及びステップS407の処理により得られたキャリブレーション結果をカメラ記憶手段42に記憶する。
【0024】
本実施例において、ステップS405の望遠端の選択処理を先に実施し、ステップS410の広角端の処理を後に実施したが、順番はどちらが先でもよい。また、キャリブレーション結果をカメラ記憶手段42に記憶する処理を、望遠端のキャリブレーション結果と広角端のキャリブレーション結果の両方が出てから行っているか、片方のキャリブレーション結果が出た時点でカメラ記憶手段42に記憶してもよい。
【0025】
次にAFフレームの限定処理の例を、図4に示すフローチャート、図5に示す画面例を用いて説明する。AFフレームの限定処理とは、撮影時に使用可能な位相差AFを行うAFフレームが多いカメラに備えられている機能である。例えば、AFフレームが45点備えられているカメラであると、ユーザーは、頻繁に使用するAFフレームを撮影時に即座に選択することが困難なことがある。よって、AFフレームの限定処理(選択可能なAFフレーム以外のAFフレームを操作部材で選択しようとしても選択表示できなくする処理)を行うことにより、頻繁に使用するAFフレームを撮影時に素早く選択することが可能になる。
【0026】
図4のステップS501において、メニューでの設定画面のAFフレーム限定画面を液晶モニタ43に表示する。AFフレーム限定画面とは図5の601のような画面である。ステップS502において、ユーザーはAFフレームの限定項目を選択する。限定項目には、例えば、図5の602〜605に示すような項目がある。図5にあげた項目は一例であり、AFフレームを限定するような項目であれば何であっても構わない。602「限定しない(全てのAFフレームを使用)」は、AFフレームの限定を行わず、全てのAFフレームを選択できることを表す項目である。603「クロスAFフレームのみ」は、クロスセンサーが用いられているAFフレームのみを選択できることを表す項目である。604「21点のみ」は、複数備えられたAFフレームの中から21点のみを選択できることを表す項目である。606「9点のみ」は、複数のAFフレームの中から9点のみを選択できることを表す項目である。ステップS502において、項目を選択したならば、ステップS503において、選択した項目の情報をカメラ記憶手段42に記憶する。
【0027】
次に、AFキャリブレーション処理において、AFフレーム選択を行う処理を、図6に示すフローチャート、図7に示す画面例を用いて説明する。この説明は図3のステップS403の処理を詳しく説明したものである。図6のステップS701において、キャリブレーション処理に使用するAFフレームの選択を開始する。ステップS702において、AFフレームの限定がされているか否かを判定する。AFフレームの限定処理とは、図4、図5を用いて前述した処理のことである。ステップS702においてAFフレームの限定処理がされていると判定されたならば、ステップS704に進む。ステップS702においてAFフレームの限定処理がされていないと判定されたならば、ステップS703に進む。
【0028】
ステップS703においては、全てのAFフレームを表示する処理を行う。全てのAFフレームを表示すると、例えば図7の801のような画面になる。ステップS704においては、限定されて撮影時に選択不可のAFフレームの表示を変更する。例えば図7の802のような画面になる。図8の805は、撮影時には選択不可のAFフレームを表す表示である。805の例では、点線を用いたが、表示に変化があることが認識できればどのような表示でも構わない。他には、色を変更する、点滅する、線を細くする、などの識別表示が考えられる。ステップS703、ステップ704の処理を終えたなら、ステップS705に進む。
【0029】
ステップS705において、ユーザーはAFキャリブレーション処理を行うAFフレームを選択する。撮影時に頻繁に使用するAFフレームが決まっているユーザーは、その頻繁に使用するAFフレームに該当するAFフレームを選択し、AFキャリブレーションを行うと、より良い精度の結果が得られる可能性が高い。ステップS705においてAFフレームを選択する際に、ステップS703及びステップS704の処理により、撮影時に使用するAFフレームと、使用しないAFフレームの見分けがつくようになっている。よって、ユーザーはAFキャリブレーションを行うAFフレームを迷うことなく素早く選択することができる。
【0030】
ステップS705の処理が終わったならば、ステップS706に進む。ステップS706において、選択したAFフレームは、撮影時のAFフレーム限定がされて選択不可フレームかそうでないかを判定する。ステップS706においてAFフレームの限定処理がされていると判定されたならば、ステップS708に進む。ステップS706においてAFフレームの限定処理がされていないと判定されたならば、ステップS707に進む。ステップS707では、S705で選択したAFフレームに通常選択時のフォーカスを当てる(つまり、点灯したり色を変えたりする)。例えば、図8の804のような実線表示にする。他方、ステップS708では、S705で選択したAFフレームは、撮影時に選択不可のAFフレームであることを表す表示にする。例えば、図8の画面803中の806のような点線表示にする。ステップS709において、選択したAFフレームでキャリブレーション処理を行うことを決定したならば、選択したAFフレームの情報をカメラ記憶手段42に記憶する。
【0031】
次に、AFキャリブレーションにおいてキャリブレーションを行う処理を、図8、図9に示すフローチャート、図10に示す画面例を用いて説明する。この説明は図3のステップS406の処理を詳しく説明したものである。このフローに入る前に、被写体を決めておく作業が必要であるので、被写体を決めたところで、キャリブレーションをスタートさせる。図8のステップS901において、ライブビューを開始する。次に、ステップS902において、ライブビューで表示されている画像を拡大する。拡大は行わなくても構わないが、拡大により、ステップS906におけるコントラスト検出方式のAF動作、またはステップS909におけるマニュアル操作によるピント合わせを行う際に、より精度よく行える。
【0032】
ステップS903において、ライブビューを用いたピント合わせを行う際に、コントラスト検出方式による自動ピント合わせモード1102に設定されているか、ユーザーが手動でピント合わせを行う半自動モード1103に設定されているかを判定する。コントラスト検出方式による自動ピント合わせモード1102とユーザーが手動でピント合わせを行うモード1103の設定は、図10に表されている画面例のようなメニュー画面により行う。図10において、1101は設定画面を表す。1102「全自動モード(TVAF)」は、キャリブレーション処理にコントラスト検出方式による自動ピント合わせ(以下、VAFとも記す)を使用することを表す。1103「半自動モード」は、キャリブレーション処理にユーザーが手動でピント合わせ(以下、マニュアルフォーカスとも記す)を行うことを表す。
【0033】
ステップS903において、TVAFを使用すると判定された場合は、ステップS904に進む。マニュアルフォーカスを使用すると判定された場合は、ステップS907に進む。ステップS904において、レンズ本体1との通信によりレンズ情報を取得する。ここでレンズ情報は、レンズスイッチ(AF/MF切り替えスイッチ)の情報である。また、ここでは、レンズ情報をレンズ本体1とカメラ本体2の通信により取得しているが、事前に通信を行いカメラ記憶手段42に記憶したものを利用しても良い。取得したレンズ情報により、レンズスイッチがAFになっているかMFになっているかを判定する。レンズスイッチがAFの場合はステップS906に進み、レンズスイッチがMFの場合はステップS905でレンズスイッチをAFにしてからステップS906に進む。レンズスイッチはカメラが自動で変更する場合と、ユーザーが手動で変更する場合が考えられるが、レンズスイッチをAFにする操作をユーザーが行う場合は、液晶モニタ43にレンズスイッチをAFに変更する旨のメッセージを表示する。ステップS906において、TVAFを行う。ステップS906のTVAF処理については、図9を用いて後述する。ステップS906において、TVAFを行ったならば、ステップS910に進む。
【0034】
ステップS907において、レンズ本体1との通信によりレンズ情報を取得する。ここでレンズ情報は、レンズスイッチの情報である。ここでも、レンズ情報をレンズ本体1とカメラ本体2の通信によりレンズ情報を取得しているが、事前に通信を行いカメラ記憶手段42に記憶したものを利用しても良い。取得したレンズ情報により、レンズスイッチがAFになっているかMFになっているかを判定する。レンズスイッチがMFの場合はステップS909に進み、レンズスイッチがAFの場合はステップS908でレンズスイッチをMFにしてからステップS909に進む。レンズスイッチはカメラが自動で変更する場合と、ユーザーが手動で変更する場合が考えられるが、レンズスイッチをMFにする操作をユーザーが行う場合は、液晶モニタ43にレンズスイッチをMFに変更する旨のメッセージを表示する。ステップS909において、ユーザーはレンズのピントリングをまわすことにより、ライブビュー上でピント合わせを行う。ステップS902で画像を拡大にしたことにより、ユーザーはピント合わせ操作をより快適に精度良く行うことができる。ステップS909において、マニュアルによるピント合わせを行ったならば、ステップS910に進む。
【0035】
ステップS910において、メカ制御手段40はそのときのレンズ状態検出手段12からの位置情報を、レンズ制御手段13を通じて得て、合焦位置情報を作成する。ステップS911において、メカ制御手段13が、AFセンサ22に位相差AFによる焦点検出を行わせる。そして、そのときの検出結果、すなわち焦点ずれ量(デフォーカス量)をフォーカスレンズの合焦方向への駆動量に換算した値を、レンズ状態検出手段12からのフォーカス位置情報に加えて合焦位置情報を作成し、ステップS912へ進む。ステップS912において、メカ制御手段40が、デジタル制御手段41により合焦判定されたときの合焦位置情報と、AFセンサ22による検出結果から得られた合焦位置情報との差分である合焦位置補正値を、デジタル制御手段41に算出させる。その後、ステップS913へ進む。ステップS913において、デジタル制御手段41に算出された合焦位置補正値をカメラ記憶手段42に記憶させ、処理を終了する。
【0036】
次にTVAFについて、図9に示すフローチャートを用いて説明する。この説明は図8のステップS906の処理を詳しく説明したものである。ステップS1001において、メカ制御手段40がレンズ制御手段13に信号を送り、レンズ駆動手段11を通じてフォーカスレンズを所定位置に移動させ、ステップS1002へ進む。ステップS1002において、撮像素子24から得られる画像信号のコントラストをデジタル制御手段41に検出させ、ステップS1003へ進む。ステップS1003において、所定回数Nに達するまで、S1001でのフォーカスレンズの微小移動とS1002でのコントラスト検出とを繰り返し行わせる。所定回数に達したらステップS1004へ進む。所定回数に達しなければS1001へ進む。ステップS1004において、デジタル制御手段41が、N個のコントラスト検出結果のうち最もコントラストの高い画像信号が得られたフォーカス位置を合焦位置と判定し、メカ制御手段40に信号を送る。メカ制御手段40はそのときのレンズ状態検出手段12からの位置情報を、レンズ制御手段13を通じて得て、合焦位置情報を作成する。
【0037】
次にキャリブレーション結果の調整について、図11に示すフローチャート、図12に示す画面例を用いて説明する。この説明は図3のステップS407の処理を詳しく説明したものである。ステップS1201において、キャリブレーション結果の表示をする。図12の1301が画面例である。1301は画面全体を表し、1302は調整結果を表示するスケールである。キャリブレーション結果が表示されたなら、ステップS1202に進む。ステップS1202において、ユーザーは調整結果が満足のいくものかどうかの確認をする。満足がいくものであればステップS1204に進み、改善の余地があると判断すれば、ステップS1203に進む。ステップS1203において、ユーザーは1302に表示されているスケールを動かすことで微調整を行う。1303が元のスケールを表し、1304が移動先のスケールを表す。微調整が終了したならば、ステップS1204に進む。ステップS1204において、キャリブレーション調整結果の決定をする。OKボタン1305を選択することにより決定をする。
【0038】
以上に説明した実施例1では、図6のステップS705において、AFフレームを選択する際に、ステップS703及びステップS704の処理により、撮影時に使用するAFフレームと使用しないAFフレームの見分けがつく様になっている。従って、ユーザーはAFキャリブレーションを行うAFフレームを迷うことなく素早く選択することが可能である。また、撮影時に使用しないAFフレームを選択してしまったとしても、通常のフォーカス(識別表現)とは異なる表現をすることにより、選択間違いに気づき易くなり、操作ミスを防ぎ易くすることが可能である。
【0039】
(実施例2)
実施例2を説明する。本実施例では、図6のステップS707、ステップS708のAFフレームの選択について、実施例1とは異なる。この点を図13を用いて説明する。図13で説明する以外については実施例1と同じとする。図13において、ステップS1401〜ステップS1405及びステップS1409については、図6のステップS701〜ステップS705及びステップS709と同じであるので、説明を省略する。
【0040】
ステップS1406において、選択したAFフレームは、撮影時のAFフレーム限定がされて選択不可フレームかそうでないかを判定する。ステップS1406においてAFフレームの限定処理がされていると判定されたならば、ステップS1408に進む。ステップS1406においてAFフレームの限定処理がされていないと判定されたならば、ステップS1407に進む。ステップS1407では、選択しようとしていたAFフレームにフォーカスを当て、新たな選択AFフレームとする。処理を終えたなら、ステップS1409に進む。ステップS1408では、選択しようとしていたAFフレームは撮影時の限定で選択不可とされているAFフレームであるので、フォーカスは元のAFフレームのままとする。つまり、選択可能なAFフレーム以外のAFフレームを選択しようとしても選択表示できない。処理を終えたなら、ステップS1409に進む。
【0041】
実施例2では、AFフレームを選択する際に、ステップS1407及びステップS1408の処理により、撮影時に使用しないAFフレームは選択できないようになっている。よって、ユーザーはAFキャリブレーションを行うAFフレームを迷うことなく素早く選択することが可能である。
【0042】
なお、上述した実施形態の処理は、各機能を具現化したソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或いは装置に提供してもよい。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって、前述した実施形態の機能を実現することができる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどを用いることができる。或いは、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることもできる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれている。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれてもよい。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含むものである。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10・・撮影光学系、13・・レンズ制御手段、24・・撮像素子、40・・メカ制御手段(オートフォーカス機能を実行する手段)、116・・映像信号処理回路(ライブビュー機能を実行する手段)、804、805、806・・AFフレーム(焦点調節領域)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影時に所定の検出方式で得られる合焦位置を調整するための補正値を設定可能な撮像装置であって、
前記所定の検出方式によるオートフォーカスを行う際に選択できる焦点調節領域であるAFフレームを複数備え、撮影時に使用するAFフレームの限定処理が可能であるように構成され、
撮影時のAFフレームの選択について限定処理された場合は、前記補正値を設定して記憶する際に使用するAFフレームの選択時に、選択できるAFフレームと、選択できないAFフレームとで異なる表示にするように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影時に所定の検出方式で得られる合焦位置を調整するための補正値を設定可能な撮像装置であって、
前記所定の検出方式によるオートフォーカスを行う際に選択できる焦点調節領域であるAFフレームを複数備え、撮影時に使用するAFフレームの限定処理が可能であるように構成され、
撮影時のAFフレームの選択について限定処理された場合は、前記補正値を設定して記憶する際に使用するAFフレームの選択時にも、同じ限定を適用して表示するように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
ライブビュー機能を実行する手段と、コントラスト検出方式によるオートフォーカス機能を実行する手段と、前記所定の検出方式である位相差検出方式によるオートフォーカス機能を実行する手段と、を備え、
前記補正値は、位相差検出方式による合焦位置情報とコントラスト検出方式による合焦位置情報の差分を用いて算出して設定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置
【請求項4】
前記補正値は、ユーザーが手動で設定可能であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項1】
撮影時に所定の検出方式で得られる合焦位置を調整するための補正値を設定可能な撮像装置であって、
前記所定の検出方式によるオートフォーカスを行う際に選択できる焦点調節領域であるAFフレームを複数備え、撮影時に使用するAFフレームの限定処理が可能であるように構成され、
撮影時のAFフレームの選択について限定処理された場合は、前記補正値を設定して記憶する際に使用するAFフレームの選択時に、選択できるAFフレームと、選択できないAFフレームとで異なる表示にするように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影時に所定の検出方式で得られる合焦位置を調整するための補正値を設定可能な撮像装置であって、
前記所定の検出方式によるオートフォーカスを行う際に選択できる焦点調節領域であるAFフレームを複数備え、撮影時に使用するAFフレームの限定処理が可能であるように構成され、
撮影時のAFフレームの選択について限定処理された場合は、前記補正値を設定して記憶する際に使用するAFフレームの選択時にも、同じ限定を適用して表示するように構成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
ライブビュー機能を実行する手段と、コントラスト検出方式によるオートフォーカス機能を実行する手段と、前記所定の検出方式である位相差検出方式によるオートフォーカス機能を実行する手段と、を備え、
前記補正値は、位相差検出方式による合焦位置情報とコントラスト検出方式による合焦位置情報の差分を用いて算出して設定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置
【請求項4】
前記補正値は、ユーザーが手動で設定可能であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−233956(P2012−233956A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100801(P2011−100801)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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