説明

撮像装置

【課題】画像信号の読出回数に応じたノイズを低減しながら、バルブ撮影中の画像をより正確に予測して表示する撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像センサ15の撮像面を表示・記録用画像部15bと検出用画像部15aとに分ける。露光を開始し時間T0経過後に表示・記録用画像部15bから第1画像E0を、検出用画像部15aから第2画像D0を各読み出し、その後第2時間t経過毎に検出用画像部15aから第2画像D11,D12,…を読み出すと共に、第1時間T1,T2,…経過毎に表示・記録用画像部15bから第1画像E1,…および検出用画像部15aから第2画像D16,…を各読み出す。第1画像は読出毎に積算され表示基礎画像E0,E0+E1,…となる。第2画像も読出毎に積算され、ゲインgの算出に用いられる。バルブ撮影中の表示画像は、表示基礎画像または表示基礎画像に表示時点までのゲインgを乗算した画像となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ撮影中の画像を表示する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
明るい環境下での一般的な静止画像の撮影においては、露光時間は例えば1/250秒等の比較的短時間であるために、撮影して得られた画像は撮影後に表示が行われるのみである。しかし、夜景や夜空などの暗い被写体を撮影する場合には、例えば1分などの長時間露光が必要になるが、その間、露光中の画像が全く表示されないと、撮影者が露光の経過を把握することができず不便である。
【0003】
そこで、長時間露光の場合に露光中の画像を表示する技術が提案されている。
【0004】
例えば、特開2005−117395号公報には、長秒撮影の本露光動作を行っている期間中、所定の周期で撮像素子から画素信号を読み出すとともに、読み出した画素信号をその都度加算して、加算した画素信号を表示デバイスに画像として表示する撮像装置が記載されている。これにより、撮影者は露光経過中の画像の様子を視認することが可能となる。
【0005】
このような従来の技術の具体例を、図8を参照して説明する。図8は、露光中に全画素の画像信号を1回以上読み出して表示するとともに、読み出した画像信号を加算して最終画像を得る様子を示すタイミングチャートである。
【0006】
なおこの図8には、撮像センサが例えばCMOSセンサである場合、すなわち、いわゆるローリング読み出しを行っているために、1ライン目を読み出す時点と、最終ライン目を読み出す時点とで時間差が生じている場合を図示している。
【0007】
露光開始から露光終了までの期間は、規定時間を単位として幾つかに区切られており、規定時間が経過する毎に撮像センサから全画素の画像信号が読み出される。1回目に読み出された画像信号は、それ以前に加算された画像がないために、そのまま加算画像となり、さらに表示画像として用いられる。2回目もしくはそれ以降に読み出された画像信号は、それまでの加算画像に対して加算され(つまり積算され)、加算後の画像が表示画像として用いられる。その後、撮影が終了したら、撮影終了時までに電荷が蓄積された画像をさらに読み出してそれまでの加算画像に対して加算し、最終画像を得ることになる。
【0008】
また、特開2009−239599号公報には、所定の周期で被写体像を繰り返し撮像し、それによって得られた複数の画像を加算演算して加算画像を生成する撮像装置において、繰り返し撮像動作の実行中に手動操作部材が操作された場合に、それまでの加算画像に基づいて未来のタイミングにおける加算画像をシミュレートした画像を生成し、生成したシミュレーション画像を表示する撮像装置が記載されている。そして、それまでの加算画像にかけるゲインに比例した値が、未来のタイミングを示す時間となっている。
【0009】
ところで、画像信号を読み出すときには、回路的なノイズが撮影画像に重畳することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−117395号公報
【特許文献2】特開2009−239599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、上記特開2005−117395号公報に記載されたような画像全体(すなわち、全画素)を複数回読み出す技術では、画像を読み出す回数が各画素を読み出す回数と等しくなるために、読み出し回数(ひいては画像の加算枚数)に応じた量のノイズが最終的に得られる撮影画像に重畳し、画質が劣化してしまうことになる。
【0012】
また、特開2009−239599号公報に記載の技術では、任意の時点の画像をシミュレーションにより得ることができるために、被写体像を繰り返し撮像する所定の周期を長く設定することが可能であり、すなわち、読み出す回数を少なくすればノイズを低減することは可能である。しかしながら、該公報に記載されたような時間に応じたゲインをかける技術では、例えば夜明けのシーン等のような、被写体の輝度が徐々に変化する場合には対応することができず、シミュレーション画像と現実に得られる画像との間に相違が生じることになってしまう。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、画像信号の読み出し回数に応じたノイズを低減しながら、バルブ撮影中の画像をより正確に予測して表示することができる撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明のある態様による撮像装置は、バルブ撮影中に、露光を開始してから所定時間が経過するまでの該バルブ撮影によって得られる画像信号を予測して、予測した該画像信号よって表される画像を表示する撮像装置において、撮影レンズにより結像された被写体像を画像信号に変換する画素が複数配列された第1画素部および第2画素部を含む撮像面を有する撮像素子と、露光開始後の初期時間が経過した後に上記第1画素部から第1画像信号を、上記第2画素部から第2画像信号をそれぞれ読み出し、その後の露光期間中に所定の第1時間が経過する毎に上記第1画素部から第1画像信号を、上記第2画素部から第2画像信号をそれぞれ読み出すとともに、上記第1時間が経過するまでの間に、上記第1時間よりも短い第2時間が経過する毎に上記第2画素部から第2画像信号を読み出す読出制御部と、上記第1画像信号が読み出される毎に、該第1画像信号を画素単位で積算し、表示の基礎となる表示基礎画像データを生成する表示基礎画像データ生成部と、上記第2画像信号が読み出される毎に該第2画像信号を積算し、最新の第1画像信号が読み出された時点までの第2画像信号の積算値と、最新の第2画像信号が読み出された時点までの第2画像信号の積算値と、上記表示基礎画像データと、に基づいて、露光を開始してから上記最新の第2画像信号が読み出された時点まで上記第1画素部により露光したときに得られるであろうと予測される表示用画像データを生成する表示用画像データ生成部と、上記第1画像信号が読み出された直後には上記表示基礎画像データによって表される画像を表示し、それ以外の上記第2時間が経過する毎には上記表示用画像データによって表される画像を表示する画像表示部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の撮像装置によれば、画像信号の読み出し回数に応じたノイズを低減しながら、バルブ撮影中の画像をより正確に予測して表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1における撮像装置の回路構成等を示すブロック図。
【図2】上記実施形態1の撮像装置における、ライブビューバルブ動作時の露光および画像読み出しの例を示すタイミングチャート。
【図3】上記実施形態1の撮像装置における、ライブビューバルブ動作時の露光および画像読み出しの例を、表示画像の様子も含めて示すタイミングチャート。
【図4】上記実施形態1の撮像装置におけるライブビューバルブ動作時の処理の流れを示すフローチャート。
【図5】上記実施形態1の撮像装置がライブビューバルブ動作を行っているときに、レリーズ終了インタラプトが入ったときの割り込み処理の流れを示すフローチャート。
【図6】上記実施形態1の撮像装置において、コンピュータにより実行される図4の処理の具体例を示すフローチャート。
【図7】上記実施形態1の撮像装置において、コンピュータにより実行される図5の処理の具体例を示すフローチャート。
【図8】従来において、露光中に全画素の画像信号を1回以上読み出して表示するとともに、読み出した画像信号を加算して最終画像を得る様子を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施形態1]
【0018】
図1から図7は本発明の実施形態1を示したものであり、図1は撮像装置11の回路構成等を示すブロック図である。
【0019】
この撮像装置11は、例えばデジタルカメラとして構成されていて、フォーカスレンズ12と絞り機構13とを含む撮影レンズと、シャッタ機構14と、撮像センサ15と、フォーカス制御部16と、モータ17と、絞り制御部18と、モータ19と、シャッタ制御部20と、シャッタ機構14用の制御装置21と、TG回路23と、信号処理回路24と、データバス25と、AE処理部26と、メインCPU27と、AF処理部28と、画像処理回路29と、内蔵メモリ30と、圧縮伸張部31と、着脱メモリ32と、LCDドライバ33と、LCD34と、不揮発性メモリ35と、入力部36と、電源部38と、画像演算部39と、を備えている。
【0020】
撮影レンズは、被写体の光学像を撮像センサ15の撮像面上に結像するための撮影光学系である。フォーカスレンズ12は、撮影レンズの焦点位置を調節することにより、撮像センサ15の撮像面上に結像される光学像が合焦するようにするためのものである。絞り機構13は、撮影レンズを通過する光束の通過範囲を規制することにより、露出を制御するためのものである。
【0021】
シャッタ機構14は、撮影レンズから撮像センサ15へ至る光束の通過時間を規制することにより、露出を制御するためのものである。ここにシャッタ機構14は、本実施形態においては、例えばメカニカルシャッタとして構成されている。
【0022】
撮像センサ15は、受光した光量に応じた量の電荷を蓄積する画素が二次元状に複数配列された撮像面を有する撮像素子である。そして、撮像センサ15は、シャッタ機構14を介して撮影レンズにより結像された被写体の光学像を画素によって光電変換して、電気的な画像信号を生成し出力するようになっている。なお、この撮像センサ15は、撮像面全体を読み出すことができかつ撮像面内の一部の領域のみを読み出すことができるものであれば良く、例えばX−Yアドレス型の撮像素子、より具体的にはCMOSセンサが一例として挙げられる。これにより、撮像センサ15は、後述するライブビューバルブ動作時には、撮像面全体の読み出しが第1時間が経過する毎に行われ、この第1時間が経過するまでの期間内において、さらに第1時間よりも短い第2時間が経過する毎に第2画素部である検出用画像部の読み出しが行われる。すなわち、図3にも示すように、撮像センサ15の撮像面は、ライブビューバルブ動作時に、第1画素部である表示・記録用画像部15bと、第2画素部である検出用画像部15aと、の2つの領域に分かれて機能するようになっている。これらの内の表示・記録用画像部15bは静止画像信号の生成に用いられるが、検出用画像部15aは撮像センサ15への信号電荷の蓄積の時間経過をモニタするために用いられ、静止画像信号の生成には用いられない。従って、検出用画像部15aは、撮像センサ15の撮像領域の例えば周辺における上端、下端、左端、右端などに、表示・記録用画像部15bよりも小さな面積の領域として設けられることになる。
【0023】
フォーカス制御部16は、メインCPU27の制御に基づき、モータ17を介してフォーカスレンズ12を駆動し、合焦させるように制御するものである。
【0024】
絞り制御部18は、メインCPU27の制御に基づき、モータ19を介して絞り機構13を駆動し、露出値に応じた絞り開口径となるように制御するものである。
【0025】
シャッタ制御部20は、メインCPU27の制御に基づき、シャッタ機構14用の制御装置21を介してシャッタ機構14を駆動し、露出値に応じた露光時間となるように制御するものである。
【0026】
TG回路23は、メインCPU27の制御に基づき、撮像センサ15を駆動するためのタイミング信号を出力するものである。撮像センサ15からの画像信号の読み出し(撮像面全体の読み出し、あるいは検出用画像部15aのみの読み出し(さらにあるいは、必要である場合には表示・記録用画像部15bのみの読み出し))は、メインCPU27の制御に基づいて、読出制御部であるこのTG回路23により行われる。
【0027】
信号処理回路24は、撮像センサ15から読み出された画像信号に対して、相関二重サンプリングを行うためのCDS(Correlated Double Sampling)、信号レベルを増幅する(所定増幅量を基準とすれば、増減する)ためのアンプ回路、アナログ信号をデジタルデータに変換するためのADC(Analog to Digital converter)等を含んで構成されている。そして、信号処理回路24の出力側はデータバス25に接続されている。従って、信号処理回路24は、処理結果として得られるデジタルデータを、このデータバス25を介して、例えば内蔵メモリ30やその他の各回路へ出力するようになっている。
【0028】
データバス25は、信号処理回路24が接続されるとともに、AE処理部26と、メインCPU27と、AF処理部28と、画像処理回路29と、内蔵メモリ30と、圧縮伸張部31と、着脱メモリ32と、LCDドライバ33と、不揮発性メモリ35と、画像演算部39とが双方向に接続されていて、制御信号や各種のデータを相互に授受するためのものである。
【0029】
AE処理部26は、撮像センサ15からの撮影画像信号に基づいてAE評価値を算出し、算出結果をメインCPU27に出力するものである。
【0030】
AF処理部28は、撮像センサ15からの撮影画像信号に基づいてAF評価値を算出し、算出結果をメインCPU27に出力するものである。
【0031】
画像処理回路29は、内蔵メモリ30に格納されている画像信号に対して、ホワイトバランス調整、エッジ処理等の処理を施して、処理結果の画像信号を内蔵メモリ30に再び格納するものである。
【0032】
内蔵メモリ30は、処理中の画像信号を記憶するのに用いられると共に、メインCPU27が処理を行う際のメモリとしても用いられる例えば揮発性の記憶媒体である。この内蔵メモリ30は、メインCPU27およびTG回路23により表示・記録用画像部15bの画像信号(第1画像信号)が読み出される毎に、読み出された第1画像信号をメインCPU27が画素単位で積算することにより生成される、表示の基礎となる表示基礎画像データを記憶する。また、内蔵メモリ30は、メインCPU27およびTG回路23により検出用画像部15aの画像信号(第2画像信号)が読み出される毎に、読み出された第2画像信号を一時的に記憶する。
【0033】
圧縮伸張部31は、画像信号を圧縮して着脱メモリ32に格納すると共に、着脱メモリ32に圧縮して格納されている画像信号を伸張するものである。
【0034】
着脱メモリ32は、処理後の画像信号(例えば圧縮処理後の画像信号)を不揮発に記録するための記録媒体であり、例えばメモリカードなどとして撮像装置11に対して着脱可能に構成されている。従って、この着脱メモリ32は、撮像装置11に固有の構成でなくても構わない。
【0035】
LCDドライバ33は、液晶表示部であるLCD34を駆動して、信号処理回路24から出力されるライブビュー画像(撮像センサ15によりリアルタイムで撮影されている画像)を表示させたり、撮影された画像を撮影後に確認するために表示させたりするものである。このLCD34は、ライブビューバルブ動作時に、表示・記録用画像部15bが読み出された直後には表示基礎画像データによって表される画像を表示し、それ以外の第2時間が経過する毎には表示基礎画像データに基づいて後述するように生成される表示用画像データによって表される画像を表示する画像表示部となっている。
【0036】
不揮発性メモリ35は、メインCPU27により実行される種々の処理プログラムや、処理プログラムを実行する際に必要な各種のデータ、さらにはユーザの設定データ等を格納する記録媒体である。
【0037】
入力部36は、この撮像装置11の電源をオン/オフするための電源スイッチ、撮影動作を行わせるためのレリーズボタン、バルブ撮影モードを含む撮影モードやライブビューモードの設定等を行うための操作スイッチ、などを含んで構成される操作入力手段である。なお、撮影レンズが電動ズームレンズである場合には、この入力部36は、ズームスイッチをさらに含んで構成される。また、バルブ撮影モードとライブビューモードとが同時に設定されている場合には、後述するようなライブビューバルブの動作(バルブ撮影中に露光中の画像がLCD34に随時表示される動作)が行われることになる。
【0038】
電源部38は、バッテリや乾電池等を含んで構成され、メインCPU27等の回路を動作させる電流、モータ17,19等の駆動源を駆動する電流、LCD34を駆動するための電流などを、それぞれに応じた電圧で供給するものである。
【0039】
画像演算部39は、内蔵メモリ30に格納されている撮影画像信号に対して、加算平均処理を行い、その結果得られた生成画像を内蔵メモリ30に再び格納するものである。
【0040】
メインCPU27は、この撮像装置11全体の動作を制御するものである。例えば、メインCPU27は、上述したAF評価値に基づいて被写体距離を算出しフォーカス制御部16を制御してモータ17を駆動させるとともに、上述したAE評価値に基づいて絞り値および露光時間(シャッタ速度)を算出し絞り制御部18およびシャッタ制御部20を制御してモータ19および制御装置21を駆動させる。さらに、メインCPU27は、TG回路23を介して、撮像センサ15の動作(例えば、撮像センサ15からの読出動作)の制御を行う読出制御部である。加えて、メインCPU27は、ライブビューを設定する操作が入力部36に対して行われた場合には、ライブビューの動作を開始するように制御を行う。このライブビューモードが設定されているときにバルブ撮影が行われれば、メインCPU27は、後述するようなライブビューバルブの動作を行うように制御することになる。そして、メインCPU27は、後述するように、表示基礎画像データ生成部および表示用画像データ生成部としても機能するようになっている。また、メインCPU27は、バルブ撮影の終了を表す信号に応答して表示・記録用画像部15bを読み出し、読み出した第1画像信号を画素単位で表示基礎画像データに加算することにより、静止画像信号をさらに生成する静止画像信号生成部としても機能するようになっている。
【0041】
次に、図2は撮像装置におけるライブビューバルブ動作時の撮像面における露光および画像読み出しの例を示すタイミングチャート、図3は撮像装置におけるライブビューバルブ動作時の露光および画像読み出しの例を表示画像の様子も含めて示すタイミングチャート、図4は撮像装置におけるライブビューバルブ動作時の処理の流れを示すフローチャートである。なお、図3には図2におけるT0およびT1の期間までを図示し、その後の期間の図示は省略している。
【0042】
ライブビューモードとバルブ撮影モードとが同時に設定されると、このライブビューバルブ動作が開始され、メインCPU27は、入力部36のレリーズボタンが押下されるのを待機する(ステップS1)。
【0043】
そして、レリーズボタンが押下され、バルブ撮影の開始を表す信号が発生されたと判定された場合には、メインCPU27は、シャッタ制御部20および制御装置21を介してシャッタ機構14を駆動し、シャッタを開放することにより撮像センサ15の露光を開始する(ステップS2)。この露光開始とともに、メインCPU27は、自己の内部に備えたクロックを用いて時間の計測を行う。
【0044】
次に、メインCPU27は、露光を開始してから規定の初期時間T0(図2、図3参照)が経過するのを待機する(ステップS3)。この規定の初期時間T0は、検出用画像部15aから後述するように第2画像信号を読み出す第2時間tと(同一であっても良いが)同一である必要はなく、また、表示・記録用画像部15bから後述するように第1画像信号を読み出す各期間T1,T2,T3,…の長さである第1時間と(同一であっても良いが)同一である必要もない。
【0045】
こうして、初期時間T0が経過したと判定された場合には、メインCPU27は、読出制御部として機能して、図2および図3に示すように、検出用画像部15aから第2画像信号D0を読み出すとともに、表示・記録用画像部15bから第1画像信号E0を読み出して、信号処理回路24により処理を行った後に、内蔵メモリ30に記憶させる(ステップS4)。ここで読み出した第1画像信号E0は、次の期間T1における表示基礎画像データとなる。また、ここで読み出した第2画像信号D0は、次の期間T1における表示用画像データを生成するためのゲインを算出する際の基準として用いられる。
【0046】
そして、第1画像信号E0に対して、画像処理回路29等により画素数変換や表示用のガンマ補正等の必要な画像処理を行った後に、LCDドライバ33を介してLCD34に画像を表示する(ステップS5)。
【0047】
次に、変数i,jにそれぞれ1を代入する初期設定を行う(ステップS6)。ここに、変数iは期間T1,T2,T3,…の何れの期間Tiであるかを示す指標である。また、変数jは、変数iで定まる期間Tiにおいて、上述した第1時間よりも短い第2時間tの何倍の時間が経過したかを示す指標である。
【0048】
そして、上述したステップS4において第1画像信号E0および第2画像信号D0を読み出してからの経過時間が、第2時間tに達するのを待機する(ステップS7)。
【0049】
こうして第2時間tに達したと判定されたところで、メインCPU27は、読出制御部として機能して、図2および図3に示すように、検出用画像部15aから第2画像信号Dij(最初の時点ではi=j=1であるためにD11)を読み出して、信号処理回路24により処理を行った後に、内蔵メモリ30に記憶させる(ステップS8)。このように、この時点では例えば第2画像信号D11のみを読み出し、第1画像信号E0の読み出しは行わない。
【0050】
そして、メインCPU27は、jがjmaxに達したか否かを判定する(ステップS9)。ここに、jmaxは、期間Tiにおいて第2画像信号Dijを読み出す回数を示す正の整数(変数jが取り得る上限値)であり、図2や図3に示す例においては6となる。従って、各期間T1,T2,T3,…の時間的長さがTであるとするとt×jmax=T(すなわち、時間Tは時間tのjmax倍となる)である。
【0051】
ただし、jmaxは一定値である必要はなく、各期間T1,T2,T3,…毎に異なる値であっても構わない。さらに、各期間T1,T2,T3,…は同一の時間的長さTである必要もない。そして、各期間T1,T2,T3,…の時間的長さを同様の符号Tiにより表すとすると、時間Tiは時間tの整数倍となるに限るものではなく、t×jmax≧Ti>t×(jmax−1)となれば良い(例えば、図2、図3に示す期間T1において、D11〜D15の時間はtであるが、最後のD16はtよりも短くなる場合が挙げられる)。
【0052】
ここで、jがjmaxに達していないと判定された場合には、次の数式1に基づきゲインgを算出する(ステップS10)。
[数1]

【0053】
ここに、数式1に現れる記号<>は、例えば平均値をとることを表し、Nが検出用画像部15aに含まれる画素の総数であるとすると、<D0>は次の数式2、<Dkl>は次の数式3にそれぞれ示すようになる。
[数2]

[数3]

【0054】
ここに、(x,y)は画素位置を、D0(x,y)およびDkl(x,y)は画素位置(x,y)における画素値をそれぞれ示し、記号Σは検出用画像部15aに含まれる全ての画素位置(x,y)の画素について画素値の総和をとることを示している。
【0055】
ただし、数式1の右辺が分子および分母から構成されていて、1/Nが相殺されてしまうために、<D0>を次の数式4、<Dkl>を次の数式5にそれぞれ示すように算出して、つまり数式1に現れる記号<>が検出用画像部15a内の全画素値の総和をとることを表すものとしても構わない(数式1の結果として得られる値は等価である)。
[数4]

[数5]

【0056】
なお、数式1の右辺の分母第2項は、i=1のときには該当する第2画像信号Dklが存在しないために、このときの数式1の右辺の分母は<D0>のみとなる。
【0057】
ここで、図2の例に従った数式1の計算例を幾つか示しておく。例えば、第2画像信号D14が読み出されたときのゲインgは、
g=(<D0>+<D11>+<D12>+<D13>+<D14>)/<D0>
となり、このときの表示基礎画像データはE0である。
【0058】
また、第2画像信号D22が読み出されたときのゲインgは、
g=(<D0>+<D11>+<D12>+<D13>+<D14>+<D15>
+<D16>+<D21>+<D22>)
/(<D0>+<D11>+<D12>+<D13>+<D14>+<D15>
+<D16>)
となり、このときの表示基礎画像データは画素単位で積算したE0+E1である。
【0059】
さらに、撮像センサ15がモノクロ撮像センサである場合には画素値の加算を単純に行って構わないが、カラー撮像センサである場合には輝度信号を算出した後に輝度信号について加算するか、もしくは輝度相当信号(例えば緑(G)信号)のみについて加算するかを行えば良い。
【0060】
こうしてステップS10においてゲインgが算出されたら、次に、数式6に示すようにして、画素単位で積算された現時点の表示基礎画像データΣEkを算出し(ただし、毎回算出しなくても、一度算出した表示基礎画像データΣEkを記憶しておいて読み出しても良い)、さらに算出した表示基礎画像データΣEkにゲインgを乗算することにより、表示用画像データを算出する(ステップS11)。
[数6]

【0061】
このようにメインCPU27は、第1画像信号が読み出される毎に、第1画像信号を画素単位で積算し、表示の基礎となる表示基礎画像データを生成する表示基礎画像データ生成部として機能するようになっている。さらに、メインCPU27は、第2画像信号が読み出される毎に第2画像信号を積算し、最新の第1画像信号が読み出された時点までの第2画像信号の積算値と、最新の第2画像信号が読み出された時点までの第2画像信号の積算値と、上述した表示基礎画像データと、に基づいて、露光を開始してから最新の第2画像信号が読み出された時点まで表示・記録用画像部15bにより露光したときに得られるであろうと予測される表示用画像データを生成する表示用画像データ生成部としても機能するようになっている。
【0062】
そして、算出された表示用画像データに対して、画像処理回路29等により画素数変換や表示用のガンマ補正等の必要な画像処理を行った後に、LCDドライバ33を介してLCD34に画像を表示する(ステップS12)。
【0063】
その後、jをインクリメントしてから(ステップS13)、ステップS7へ戻って上述したような処理を行う。
【0064】
このような処理を行っている最中に、ステップS9においてjがjmaxに達したと判定された場合(すなわち、所定の第1時間Tiが経過したと判定された場合)には、ステップS8において検出用画像部15aから第2画像信号Dijmaxを読み出したのに加えて、さらに表示・記録用画像部15bから第1画像信号Eiを読み出す(ステップS14)。図2や図3に示す例においては、ステップS8において例えば第2画像信号D16が読み出され、このステップS14において第1画像信号E1が読み出されることになる。
【0065】
続いて、数式7に示すようにして、読み出された第1画像信号Eiを表示基礎画像データに画素単位で積算して、その結果を表示用画像データとする(ステップS15)。
[数7]

【0066】
そして、算出された表示用画像データに対して、画像処理回路29等により画素数変換や表示用のガンマ補正等の必要な画像処理を行った後に、LCDドライバ33を介してLCD34に画像を表示する(ステップS16)。従って、このステップS16では、ゲインgが乗算されていない表示基礎画像データが表示に用いられることになる。
【0067】
その後、iをインクリメントし、かつjを1にリセットしてから(ステップS17)、ステップS7へ戻って上述したような処理を行う。
【0068】
図4に示す処理は、レリーズボタンが押下されている間、継続的に行われる。そして、レリーズボタンが開放され、バルブ撮影の終了を表す信号が発生されたと判定された場合には、メインCPU27は、図5に示すような割り込み処理を行う。ここに図5は、撮像装置がライブビューバルブ動作を行っているときに、レリーズ終了インタラプトが入ったときの割り込み処理の流れを示すフローチャートである。
【0069】
この割り込み処理に入ると、メインCPU27は、シャッタ制御部20および制御装置21を介してシャッタ機構14を駆動し、シャッタを閉じることにより撮像センサ15の露光を終了する(ステップS21)。
【0070】
次に、表示・記録用画像部15bから、未だ読み出していない最終の第1画像信号EFを読み出す(ステップS22)。なお、ここでは第1画像信号EFのみを読み出しているが、撮像面全体の画像信号を読み出して、その中の第1画像信号EF部分を抽出するようにしても勿論構わない。
【0071】
そして、読み出した最終の第1画像信号EFを画素単位で表示基礎画像データΣEkに加算することにより、静止画像信号として用いるための表示・記録用画像信号を生成する(ステップS23)。
【0072】
そして、生成した静止画像信号に対して、画像処理回路29等により画素数変換や表示用のガンマ補正等の必要な画像処理を行った後に、LCDドライバ33を介してLCD34に画像を表示する(ステップS24)。
【0073】
さらに、静止画像信号に対して画像処理回路29等により記録用の画像処理を行い、圧縮伸張部31により圧縮処理を行って、着脱メモリ32に記録し(ステップS25)、この処理を終了する。なお、ステップS24の画像表示と、ステップS25の画像記録とは、逆の順序で行っても構わないし、同時に並列処理しても良いことはいうまでもない。
【0074】
次に、図6は、撮像装置において、コンピュータにより実行される図4の処理の具体例を示すフローチャートである。この図6を参照して、図4に示した処理をメインCPU27により実行するときの具体的な処理プログラムの例を説明する。なお、図6および後述する図7においては、左辺がメモリを示す場合の左向き矢印は、右辺のデータを左辺のメモリに記憶させることを意味している。さらに、メモリに大括弧[]が付されているときは、そのメモリに記憶されているデータを表している。
【0075】
この処理が開始されると、レリーズボタンが押下されるのを待機する(ステップS31)。
【0076】
ここで、レリーズボタンが押下されたと判定された場合には、メモリ領域の初期化を含む各種の初期設定を行う(ステップS32)。この初期設定におけるメモリ領域の初期化としては、撮像面全体の画像データの読み出しを行ったときに得られる全画像データを累積加算したデータを記憶するメモリimg_all_add、全画像データの読み出しを行ったときにこの全画像データから抽出した検出用画像部15aの画像データと、検出用画像部15aのみの読み出しを行ったときに得られる画像データと、を累積加算したデータを記憶するメモリimg_part_add、にデータ0を記憶させることが行われる。
【0077】
次に、シャッタ機構14を開くことにより、撮像センサ15の露光を開始する(ステップS33)。
【0078】
そして、露光を開始してから規定の初期時間T0(図2、図3参照)が経過するのを待機する(ステップS34)。
【0079】
ここで初期時間T0が経過したと判定された場合には、撮像面の全画素(図2および図3に示すような、第2画像信号D0および第1画像信号E0)を読み出して、メモリimg_allに記憶させる(ステップS35)。ここにメモリimg_allは、撮像面全体の画像データの読み出しを行ったときに得られる全画像データを記憶するメモリである。
【0080】
続いて、ステップS35においてメモリimg_allに記憶した全画像データ中の、検出用画像部15aの画像データをメモリimg_part_from_allに記憶させる(ステップS36)。
【0081】
さらに、メモリimg_allに記憶されているデータと、メモリimg_all_addに記憶されているデータとを画素単位で加算して、その加算結果をメモリimg_all_addに上書きして記憶させる(ステップS37)。
【0082】
加えて、メモリimg_part_from_allに記憶されているデータと、メモリimg_part_addに記憶されているデータとを画素単位で加算して、その加算結果をメモリimg_part_addに上書きして記憶させる(ステップS38)。
【0083】
次に、メモリimg_all_addに記憶されているデータ中の、表示・記録用画像部15bから読み出したデータ部分(表示・記録用画像データ)を、LCD34に画像として表示する(ステップS39)。
【0084】
そして、検出用画像部15aのみの読み出しを行うに当たっての初期設定を行う(ステップS40)。ここでは、上述したステップS6において説明したように変数jに1を記憶させるとともに、メモリimg_part_addに記憶されているデータをメモリimg_part_add_baseに記憶させる。ここに、メモリimg_part_add_baseは、各期間T1,T2,T3,…における表示基礎画像データ(メモリimg_all_addに記憶されているデータ中の表示・記録用画像データ)を得た時点までに累積加算された検出用画像データを記憶するメモリであり、表示用画像データを得るために表示基礎画像データに乗算するゲインgの分母を算出するための画像データを記憶するメモリである。
【0085】
そして、検出用画像部15aのみの読み出しを行う際の露光時間である第2時間tが経過するのを待機する(ステップS41)。
【0086】
こうして第2時間tが経過したと判定されたところで、検出用画像部15aを読み出して、メモリimg_partに記憶させる(ステップS42)。ここにメモリimg_partは、検出用画像部15aのみの読み出しを行ったときに得られる画像データを記憶するメモリである。
【0087】
続いて、メモリimg_partに記憶されているデータと、メモリimg_part_addに記憶されているデータとを画素単位で加算して、その加算結果をメモリimg_part_addに上書きして記憶させる(ステップS43)。これにより、メモリimg_part_addには、検出用画像部15aから最新の読み出しを行った時点までの検出用画像データの累積加算値が記憶されていることになる。
【0088】
次に、メモリimg_part_add_baseに記憶されている全画素の平均値(または加算値)を算出するとともに、メモリimg_part_addに記憶されている全画素の平均値(または加算値)を算出して、後者を前者で割ることにより、ゲインgを算出する。この処理は、図4に示したステップS10の処理に相当する。そして、このゲインgをメモリimg_all_addに記憶されている画像データに画素単位で乗算し、その結果をメモリimg_predictに記憶させる(ステップS44)。ここに、メモリimg_predictは、露光を開始してから、検出用画像部15aから最新の読み出しを行った時点まで表示・記録用画像部15bにより露光したときに得られるであろうと予測される画像データを含む全画像データを記憶するためのメモリである。なお、この処理は、図4に示したステップS11の処理にほぼ相当している。
【0089】
そして、メモリimg_predictに記憶されているデータ中の、表示・記録用画像データを、LCD34に画像として表示する(ステップS45)。
【0090】
その後、メモリjに記憶されている値に1を加算して、その結果をメモリjに上書きし(ステップS46)、jに記憶されている値がjmaxに達したか否かを判定する(ステップS47)。
【0091】
ここで、jがjmaxに達していないと判定された場合には、ステップS42へ戻って、検出用画像部15aから次の読み出しを行う。
【0092】
一方、ステップS47においてjがjmaxに達したと判定された場合には、検出用画像部15aのみの読み出しを行う際の露光時間である第2時間tが経過するのを待機して(ステップS48)、第2時間tが経過したところでステップS35へ戻って全画素読み出しの処理を行う。
【0093】
次に、図7は、撮像装置において、コンピュータにより実行される図5の処理の具体例を示すフローチャートである。この図7を参照して、図5に示した処理をメインCPU27により実行するときの具体的な処理プログラムの例を説明する。
【0094】
この割り込み処理に入ると、まず、シャッタ機構14を閉じることにより撮像センサ15の露光を終了する(ステップS51)。
【0095】
次に、撮像面の全画素を読み出して、メモリimg_allに記憶させる(ステップS52)。
【0096】
続いて、メモリimg_allに記憶されているデータと、メモリimg_all_addに記憶されているデータとを画素単位で加算して、その加算結果をメモリimg_all_addに上書きして記憶させる(ステップS53)。
【0097】
そして、メモリimg_all_addに記憶されているデータから表示・記録用画像部分のみを抽出するトリミングを行い、抽出した表示・記録用画像データをメモリimg_validに記憶させる(ステップS54)。ここに、メモリimg_validは、静止画像として確定した画像データを記憶するためのメモリである。
【0098】
このメモリimg_validに記憶されているデータを、LCD34に画像として表示するとともに(ステップS55)、着脱メモリ32に記録して(ステップS56)、この処理を終了する。
【0099】
なお、上述では撮像面内の周縁部の例えば上端部に検出用画像部を設けたが、この場合には撮像面全体の画像信号を静止画像信号として用いる撮影(例えば、バルブ撮影でない通常の撮影や、ライブビューを行わないバルブ撮影)とはアスペクト比が異なってしまうことになる。そこで、ライブビューバルブ動作時には、得られる静止画像信号の周縁をさらにカットしてアスペクト比を通常撮影時と同一とするようにしても良い(ただし、パノラマ撮影等の通常とは異なるアスペクト比の画像を撮像するときには、アスペクト比調整が不要となる場合もある)。
【0100】
また、上述では検出用画像部を撮像面内に1つ設ける場合を想定して説明したが、撮像面内の上端部および下端部の2箇所、あるいは上下左右各端部の4箇所、等のように複数設けて、これら複数箇所の平均値(あるいは加算値)をさらに求めてゲインgを算出するようにしても良い。または、複数箇所の内の例えば最大の値を与える箇所(S/Nが良いと考えられる箇所)を選択してゲインgを算出するようにすることも可能である。さらには、撮影者が複数箇所の内のどの箇所を検出用画像部として使用するかを選択することができるようにしても良いし、予備撮影を行って得られた画像を解析することにより最適と考えられる検出用画像部を撮像装置11が自動的に選択するようにしても構わない。加えて、検出用画像部として用いる撮像面内の領域の大きさや形状なども固定的であるに限るものではなく、撮影者が任意に設定可能となるようにしても良い。これにより、検出用画像部から取得する第2画像信号を、撮影シーン等に応じて最適化することができる。
【0101】
そして、上述においては、撮像面内の周縁部を検出用画像部とする場合を想定して説明したが、これに限るものではなく、画像全体から選択した離散的な画素の集合を検出用画像部としても構わない。ただし、この場合には、検出用画像部を構成する各画素の近傍に位置する他の画素のデータを用いて補間を行い、最終的な静止画像データを求める必要がある。
【0102】
このような実施形態1によれば、バルブ撮影中に、露光を開始してから所定時間が経過するまでのバルブ撮影によって得られる画像信号を予測して、予測した画像信号よって表される画像を表示することができるために、画像の露光の経過を確認することが可能となり、バルブ撮影において所望の露光量の画像を容易に得ることが可能となる。
【0103】
また、静止画像信号の生成に供される第1画像信号の読み出し回数(ひいては加算回数)を、画像を表示する毎に読み出す場合に比して約数分の1に低減することができ、画像信号の読み出し回数に応じたノイズを低減することが可能となる。
【0104】
このとき、バルブ撮影中の画像の予測を、撮影レンズにより結像された被写体像を光電変換して得られた画像信号の一部に基づき行っているために、例えば夜明けのシーン等のような、被写体の輝度が徐々に変化する場合であっても、より正確な予測画像を表示することが可能となる。
【0105】
このような正確な予測は、最新の第2画像信号が読み出された時点までの第2画像信号の全画素を加算して得られる積算値を、最新の第1画像信号が読み出された時点までの第2画像信号の全画素を加算して得られる積算値で割った値をゲインとして算出し、算出したゲインを表示基礎画像データに乗算して表示用画像データを生成することにより行われる。
【0106】
そして、バルブ撮影の終了を表す信号に応答して第1画像信号を読み出し、読み出した第1画像信号を画素単位で表示基礎画像データに加算することにより静止画像信号を生成しているために、ユーザが操作したタイミング通りの露光時間の静止画像を得ることが可能となる。
【0107】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0108】
11…撮像装置
12…フォーカスレンズ(撮影レンズ)
13…絞り機構(撮影レンズ)
14…シャッタ機構
15…撮像センサ(撮像素子)
15a…検出用画像部
15b…表示・記録用画像部
16…フォーカス制御部
17…モータ
18…絞り制御部
19…モータ
20…シャッタ制御部
21…制御装置
23…TG回路(読出制御部)
24…信号処理回路
25…データバス
26…AE処理部
27…メインCPU(読出制御部、表示基礎画像データ生成部、表示用画像データ生成部、静止画像信号生成部)
28…AF処理部
29…画像処理回路
30…内蔵メモリ
31…圧縮伸張部
32…着脱メモリ
33…LCDドライバ
34…LCD(画像表示部)
35…不揮発性メモリ
36…入力部
38…電源部
39…画像演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ撮影中に、露光を開始してから所定時間が経過するまでの該バルブ撮影によって得られる画像信号を予測して、予測した該画像信号よって表される画像を表示する撮像装置において、
撮影レンズにより結像された被写体像を画像信号に変換する画素が複数配列された第1画素部および第2画素部を含む撮像面を有する撮像素子と、
露光開始後の初期時間が経過した後に上記第1画素部から第1画像信号を、上記第2画素部から第2画像信号をそれぞれ読み出し、その後の露光期間中に所定の第1時間が経過する毎に上記第1画素部から第1画像信号を、上記第2画素部から第2画像信号をそれぞれ読み出すとともに、上記第1時間が経過するまでの間に、上記第1時間よりも短い第2時間が経過する毎に上記第2画素部から第2画像信号を読み出す読出制御部と、
上記第1画像信号が読み出される毎に、該第1画像信号を画素単位で積算し、表示の基礎となる表示基礎画像データを生成する表示基礎画像データ生成部と、
上記第2画像信号が読み出される毎に該第2画像信号を積算し、最新の第1画像信号が読み出された時点までの第2画像信号の積算値と、最新の第2画像信号が読み出された時点までの第2画像信号の積算値と、上記表示基礎画像データと、に基づいて、露光を開始してから上記最新の第2画像信号が読み出された時点まで上記第1画素部により露光したときに得られるであろうと予測される表示用画像データを生成する表示用画像データ生成部と、
上記第1画像信号が読み出された直後には上記表示基礎画像データによって表される画像を表示し、それ以外の上記第2時間が経過する毎には上記表示用画像データによって表される画像を表示する画像表示部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記表示用画像データ生成部は、上記第2画素部の全画素の画素値の加算値を最新の第2画像信号が読み出された時点まで積算して得られる積算値を、該第2画素部の全画素の画素値の加算値を最新の第1画像信号が読み出された時点まで積算して得られる積算値で割った値をゲインとして算出し、算出したゲインを上記表示基礎画像データに乗算することにより、上記表示用画像データを生成するものであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記読出制御部は、バルブ撮影の終了を表す信号に応答してさらに上記第1画素部から第1画像信号を読み出すものであり、
上記表示基礎画像データ生成部は、読み出した第1画像信号を画素単位で上記表示基礎画像データに加算することにより、静止画像信号をさらに生成するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−80458(P2012−80458A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225913(P2010−225913)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】