説明

撮像装置

【課題】絶縁物からなる収容部材に収容された撮像光学系における第1レンズの表面に塵埃が付着することを抑制することのできる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像光学系20により結像された被写体像の取得のための撮像素子31を含む電子回路ユニット30と、撮像光学系20において被写体側に配される第1レンズ(21a)の表面を露見させつつ撮像光学系20および電子回路ユニット30を収容する収容部材(11)と、を備える撮像装置10である。第1レンズにおける表面とは反対側の裏面と、電子回路ユニット30における回路基準電位位置と、を接続する導電性部材(22、23、34)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、トイカメラ等として用いられる撮像装置に関し、特に、車載カメラや監視カメラに好適な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像用のレンズ等の光学素子を有する撮像光学系により結像された被写体像の取得のための撮像素子を含む電子回路ユニットを有する撮像装置が知られている。このような撮像装置では、撮像光学系および電子回路ユニットを絶縁物からなる筐体で収容し、その筐体の外周面に導電性部を設けるとともに、その導電性部を電子回路ユニットの基準電位もしくはグランドレベルに接続する構成とすることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。この撮像装置では、人体の静電気が電子回路ユニット(その電気回路)に侵入することを防止することができ、静電気に起因する電子回路ユニットの誤作動やその電子部品等への悪影響を防止することができる。
【0003】
ここで、上記したように撮像光学系および電子回路ユニットを有する撮像装置は、例えば、車両における運転者の視認を支援する車載カメラや、ATM(Automated Teller Machine)に搭載する監視カメラ等として広く適用することが考えられており、性能を確保することが求められている。このような撮像装置では、屋外に設置されることから、従来の撮像装置の導電性部による静電気対策に加えて、筐体内方への異物の進入を防ぐ封止対策や、撮像光学系のうちの最も被写体側に存在するレンズ(以下、第1レンズともいう)の表面が汚れることを防ぐ防汚対策が求められる。その封止対策としては、撮像光学系および電子回路ユニットを収容する筐体(収容部材)を第1レンズの表面を露出させる開口を有しつつ他の箇所を封止した構成として、第1レンズと筐体の開口との間にゴム等の弾性部材からなる封止部材を介在させることが行われている。また、防汚対策としては、例えば、シリカ(SiO)を第1レンズの表面にコーティングする(防汚膜を形成する)ことにより、水や塵埃等を付着し難くすることが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように表面がコーティング(防汚膜が形成)されていても、第1レンズの表面には、静電気に起因して微小な塵埃が付着してしまう虞がある。このような塵埃は、微小ではあっても得られる画像の劣化を招く虞があることから、付着を低減することが望ましい。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、絶縁物からなる収容部材に収容された撮像光学系における第1レンズの表面に塵埃が付着することを抑制することのできる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の撮像装置は、撮像光学系により結像された被写体像の取得のための撮像素子を含む電子回路ユニットと、前記撮像光学系において被写体側に配される第1レンズの表面を露見させつつ前記撮像光学系および前記電子回路ユニットを収容する収容部材と、を備える撮像装置であって、前記第1レンズにおける前記表面とは反対側の裏面と、前記電子回路ユニットにおける回路基準電位位置と、を接続する導電性部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の撮像装置では、絶縁物からなる収容部材に収容された撮像光学系における第1レンズの表面に塵埃が付着することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】撮像装置10の概略的な構成を説明するための前側から見た説明図である。
【図2】撮像装置10の概略的な構成を説明するための後側から見た説明図である。
【図3】図1のI−I線に沿って得られた撮像装置10の模式的な断面図である。
【図4】接続コード14の構成を説明するために模式的な断面で示す説明図である。
【図5】本願発明に係る撮像装置10を車載カメラとして用いて構成した後方視認支援機構80を説明するための説明図である。
【図6】撮像装置10におけるレンズ21aの表面への塵埃の付着が抑制される様子を説明するための説明図であり、(a)はレンズ21aの裏面が基準電位もしくはグランドレベルに接続されていない場合を示し、(b)はレンズ21aの裏面が基準電位もしくはグランドレベルに接続されている場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願発明に係る撮像装置の発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0010】
先ず、本発明に係る撮像装置10の概略的な構成を、図1から図4を用いて説明する。撮像装置10は、筐体11の内方に、撮像光学系20と電子回路ユニット30と、が収容されて大略構成されている。なお、以下では、撮像光学系20の撮影光軸OAに沿う方向で見て、撮像装置10から被写体に向かう側(矢印OAが指し示す方向)を前方と言い、その反対側を後方と言う。また、撮影光軸OAを通りかつ当該撮影光軸OAに直交する方向(撮影光軸OAからの放射方向)を径方向と言う。
【0011】
この筐体11は、本実施例では、撮像光学系20を支持する前側ケース12と、電子回路ユニット30を収容する後側ケース13と、を有する。この前側ケース12は、筐体11の前側部分(前側筐体部)を構成しており、前側(一端側)の端面で撮像光学系20の対物レンズ(この例では後述するレンズ21a)の撮影光軸OAに直交する方向(径方向)で見た周囲を取り囲む外表面Sを形成している。この前側ケース12は、絶縁体で形成されており、本実施例では、プラスチック(合成樹脂)で形成されている。
【0012】
前側ケース12には、図3に示すように、撮像光学系20を収容するための保持孔12aと、その前側の拡径部(後述する大内径部12d)において撮影光軸OAを取り巻く封止用環状溝12bと、前端面(外表面S)において保持孔12aを取り巻く取付溝12cと、が設けられている。その保持孔12aは、撮影光軸OAを軸線とする段付き円柱状の貫通孔であり、撮像光学系20の後述する光学素子群21を適切な位置および姿勢で保持することが可能とされている。保持孔12aは、前側(被写体側)から、後述する光学素子群21としてのレンズ21aを受け入れることが可能な大内径部12dと、そこと隣接し大内径部12dよりも小さな内径寸法の中内径部12eと、そこと隣接し中内径部12eよりも小さな内径寸法の小内径部12fと、を有する。この保持孔12aでは、大内径部12dと中内径部12eとの径寸法の差により、撮影光軸OA方向に直交する直交面12gが形成されている。
【0013】
この直交面12gには、上述した封止用環状溝12bが設けられている。この封止用環状溝12bは、後述する封止部材25を配置するための凹所であり、中内径部12eを取り巻く環状を呈している。保持孔12a(大内径部12d)を取り巻く取付溝12cは、内周面にネジ山が設けられており、後述する抜止部材24の後端部24bを受け入れつつそのネジ山との噛み合いが可能とされている。また、保持孔12aでは、小内径部12fの後側(後述する撮像素子31側)すなわち前側ケース12の後端(他端)に、後述するように保持する光学素子群21(そのレンズ21f)の脱落を防止するための内縁突起部12hが設けられている。この内縁突起部12hは、小内径部12fの後側の端部において径方向の内側へと突出して形成された環状を呈し、小内径部12fの内径寸法よりも小さな径寸法の穴を形成している。
【0014】
加えて、前側ケース12には、後側ケース13に対向される後端面に、4つの支持壁部12i(図3では、3つのみ図示)と第1接触用溝12jとが設けられている。4つの支持壁部12iは、径方向で見た内縁突起部12hの外方において撮影光軸OAを取り巻くように径方向で互いに直交する線上で対を為しており、後述する第1基板32を支持する箇所となる。また、第1接触用溝12jは、前側ケース12の後端面において4つの支持壁部12iを取り囲むように設けられた溝であり、後述する本体板金部36の基端部36aの受け入れと、後述するフロント板金部35の一端部35aの収容と、が可能とされている。
【0015】
また、前側ケース12には、保持孔12aの中内径部12eの内周面に第2接触用溝12kが設けられている。この第2接触用溝12kは、撮影光軸OAを取り巻くように中内径部12e(保持孔12a)の内周面を開放しており、後述するフロント板金部35の他端部35bの収容が可能とされている。第2接触用溝12kは、本実施例では、径方向で見て、4つの支持壁部12iの内側の位置となる4箇所(図3では、2つのみ図示)に設けられている。
【0016】
この前側ケース12の後端に取り付けられる後側ケース13は、筐体11の後側部分(後側筐体部)を構成する。この後側ケース13は、絶縁体で形成されており、本実施例では、プラスチック(合成樹脂)で形成されている。後側ケース13は、一端開放の箱形状を呈し、後端側となる奥壁部13aと、そこから開放端側へと突出する筒状の周壁部13bと、を有する。この後側ケース13は、開放端からの電子回路ユニット30の挿入が可能とされ、かつ前側ケース12に取り付けられた状態の電子回路ユニット30を収容可能な大きさ寸法(深さ寸法)とされている。このため、後側ケース13では、撮影光軸OA方向が電子回路ユニット30の挿入方向となる。後側ケース13には、図2および図3に示すように、奥壁部13aの外壁面に、筐体11すなわち撮像装置10を所望の場所に取り付けるための2つの取付突起13cが設けられている。この両取付突起13cは、ネジ穴が設けられたボス部とされている。
【0017】
また、後側ケース13には、電子回路ユニット30(後述する電子回路)へと電力を供給したり、電子回路ユニット30の後述する撮像素子31で取得した画像データを伝送したりするための接続コード14が設けられている。この接続コード14は、後側ケース13に対して、外部との封止性能を有した状態での電子回路ユニット30への接続を可能とされている。このため、接続コード14は、電子回路ユニット30を筐体11の外方へと接続する接続部として機能する。接続コード14は、本実施例では、後側ケース13側となる一端にコネクタ部14aが設けられており、このコネクタ部14aが封止部材としてのOリング14bを介在させて、図示を略すネジ部材により後側ケース13の後端面に固定されている。その他、封止性能を有する構成としては、後側ケース13に接続穴(図示せず)を設け、そこに接続コード14を挿入するとともに周囲を防水用接着剤で充填することや、接続コード14(その被覆部材)を後側ケース13と一体的に形成することがあげられる。
【0018】
この接続コード14は、図4に示すように、信号線14cと電力線14dとアース線14eとを有する。その信号線14cは、電子回路ユニット30から出力された画像データを、外部機器へと伝送するための電線である。電力線14dは、電子回路ユニット30の後述する第1基板32および第2基板33により構成される電子回路に電力を供給するための電線である。アース線14eは、外部機器における外部基準電位もしくはグランドレベルに電気的に接続される電線である。
【0019】
このような構成の後側ケース13は、弾性材料から為るOリングや平パッキン等で形成した封止部材15を介在させた状態で、前端面を前側ケース12の後端面に付き合わされてネジ止め等で結合されることにより、互いの結合箇所における防水機能や防塵機能(以下、封止性能という)を有し、撮像光学系20および電子回路ユニット30を収容する筐体11を形成する。このため、筐体11は、収容部材として機能する。この筐体11(収容部材)は、絶縁体であるプラスチック(合成樹脂)で形成されていることから、静電気放電防止の効果を得ることができるとともに、金属材料で構成されることに比較してコストの上昇を抑制することができる。
【0020】
その筐体11に収容される撮像光学系20は、画像取得のために任意の位置に結像させるものであり、図3に示すように、少なくとも2つ以上の光学素子を有し、撮像装置10(撮像光学系20)において求められる光学性能に応じて適宜構成される。撮像光学系20は、複数の光学素子から為る光学素子群21が間隔環22とともに前側ケース12の保持孔12aに収容されて構成されている。
【0021】
その間隔環22は、光学素子群21を保持孔12a内に組み付ける際に、その光学素子群21の各光学素子における互いの対向面間の撮影光軸OA方向での間隔を所定の値に保持する。間隔環22は、撮影光軸OAを軸線とする段付きの筒状を呈し、保持孔12a内に挿入可能な大きさ寸法とされている。また、間隔環22では、光学素子群21のうちの所定の光学素子の収容を可能とする内径寸法とされている。間隔環22は、本実施例では、保持孔12aにおける中内径部12eへの挿入が可能であるとともに小内径部12fへと挿入することのできない大きさ寸法とされ、所定の光学素子として後述するレンズ21bおよびレンズ21cを収容することのできる内径寸法とされている。
【0022】
間隔環22では、後側(後述する撮像素子31側)すなわち後端側(他端側)に、内縁突起22aと絞り22bとが設けられている。その内縁突起22aは、間隔環22(その内方)に挿入された光学素子群21のうちの所定の光学素子(本実施例では後述するレンズ21c)の脱落を防止する。絞り22bは、光学素子群21(撮像光学系20)における有効径(有効光束径)を規定する。
【0023】
この間隔環22は、導電性を有する材料から形成されており、本実施例では、アルミニウムで形成されている。間隔環22では、前側(被写体側)すなわち前端(一端)となる前端面22cが、前側ケース12の保持孔12aの中内径部12eに配置された状態において、保持孔12aの直交面12gと等しい面を形成する平坦面とされている。すなわち、間隔環22は、撮影光軸OA方向で見た大きさ寸法が、保持孔12aの中内径部12eと等しい設定とされている。この前側ケース12の保持孔12aには、間隔環22とともに光学素子群21が収容される。
【0024】
その光学素子群21は、本実施例では、被写体(物体)側から順に、レンズ21a、レンズ21b、レンズ21c、レンズ21d、レンズ21eおよびレンズ21fを有する。本実施例では、少なくともレンズ21aは、ガラスやプラスチック等の絶縁性の樹脂材料から形成されており、被写体(物体)側となる表面にシリカ(SiO)がコーティングされて水や塵埃等が付着し難くされた防汚対策が施されている。光学素子群21では、レンズ21d、レンズ21eおよびレンズ21fが保持孔12aの小内径部12fに収容され、レンズ21bおよびレンズ21cが保持孔12aの中内径部12e内で間隔環22に収容され、レンズ21aが保持孔12aの大内径部12dに収容される。このため、光学素子群21では、レンズ21cとレンズ21dとの間に間隔環22の絞り22bが配されている。その間隔環22は、レンズ21a、レンズ21b、レンズ21cおよびレンズ21dにおける互いの対向面間の撮影光軸OA方向の間隔を所定の値に保持する。この光学素子群21では、レンズ21aが最も被写体(物体)側に位置する第1レンズ(対物レンズ)となる。また、保持孔12a(前側ケース12)は、撮像光学系20としての光学素子群21を保持する鏡筒として機能する。なお、撮像光学系20(光学素子群21)では、適宜赤外線カットフィルタを設ける構成としてもよい。
【0025】
加えて、本実施例では、レンズ21aの後側の面となる裏面に、遮光板23が設けられている。この遮光板23は、光学素子群21(撮像光学系20)におけるレンズ21aの有効径(有効光束径)の外方からの光の進入を防止する。遮光板23は、導電性を有するものとされており、本実施例では、表面に導電性を有する黒色の塗料が塗布されて形成されている。この遮光板23は、レンズ21aの裏面と、前側ケース12の保持孔12aにおける直交面12gおよびそこと等しい面を形成する間隔環22の前端面22cと、に接触して設けられる。なお、以下では、撮像光学系20における光学的な軸線、すなわち光学素子群21(保持孔12a)の中心軸位置となる各レンズ21a〜21f(絞り22bを含む)の回転対称軸を、撮像光学系20すなわち撮像装置10の撮影光軸OAとする。
【0026】
その保持孔12aに挿入された光学素子群21は、抜止部材24により、大内径部12d側の開口から脱落することが防止される。この抜止部材24は、対物レンズとなるレンズ21aの外周面を取り巻くことが可能な大きさ寸法とされた円筒状を呈し、前端部24a(被写体側の端部)がレンズ21aの表面(前面)の周縁部(有効径の外側位置)に外方(前側)から接触可能な径寸法とされている。また、抜止部材24は、後端部24bにネジ山が設けられており、前側ケース12の取付溝12cのネジ山に噛み合わせることが可能とされている。この抜止部材24は、保持孔12aに間隔環22とともに光学素子群21が適切に挿入され、かつ封止用環状溝12bに環状の封止部材25が配置された状態において、後端部24bのネジ山が取付溝12cのネジ山に噛み合わされることにより、レンズ21aを裏面側(後側ケース13側(像面側))へと押圧しつつ当該レンズ21aを覆うように前側ケース12に取り付けられる。封止用環状溝12bに設けられる封止部材25は、弾性材料で形成されており、本実施例ではOリングとされている。
【0027】
これにより、レンズ21aの裏面が遮光板23を介在させて保持孔12aの直交面12gに押し当てられ、その裏面と封止用環状溝12bとの間に配置された封止部材25が適切に圧縮される。このため、撮像光学系20では、適切に圧縮された封止部材25により、レンズ21aの周囲から保持孔12aへの水や塵埃等の侵入が防止されており、十分な封止性能を有している。このように、撮像光学系20では、前側ケース12(保持孔12a)により封止的に光学素子群21(その対物レンズとなるレンズ21a)が保持され、所望の光学性能を有している。このとき、保持孔12aにおける中内径部12eおよび直交面12gと、間隔環22における撮影光軸OA方向での大きさ寸法および前端面22cと、が上述したように設定されていることから、レンズ21aの裏面には、径方向で見て、封止部材25よりも内側において、遮光板23を介在させて間隔環22の前端面22cが当てられている。このため、間隔環22は、抜止部材24により固定されたレンズ21aと、前側ケース12の保持孔12a(その中内径部12eと小内径部12fとの段差)と、により、その保持孔12a内に固定されている。この撮像光学系20の光学素子群21の結像位置に、電子回路ユニット30(後述する撮像素子31)が配置される。
【0028】
電子回路ユニット30は、撮像素子31、第1基板32、第2基板33およびシールドケース34を有する。その撮像素子31は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いて構成された固体撮像素子であり、撮像光学系20(光学素子群21)を通して受光面31a上に結像された被写体像を電気信号(画像データ)に変換して出力する。この撮像素子31から出力された電気信号は、被写体像に対応したデジタル画像データに生成されて出力される。撮像素子31は、撮像光学系20(光学素子群21)として設定された光学性能を効率よく発揮させるべく、その撮像光学系20(光学素子群21)により形成された被写体像が、実質的な受光領域を形成する受光面31a上の適切な位置に存在するように、撮像光学系20(その保持のための保持孔12a)に対する位置が設定されて第1基板32に設けられている。
【0029】
その第1基板32は、明確な図示は略すが全体に矩形の板状を呈し、被写体側すなわち撮像光学系20側となる前面に撮像素子31が実装されるとともに、後面にコンデンサや抵抗等の電子部品32aが実装されている。この第1基板32は、図示を略す固定用部材を介して、前側ケース12の4つの支持壁部12iの後端面に撮影光軸OAに略直交して固定される。第1基板32の後面には、コネクタ部材32bが設けられている。この第1基板32の後側(後側ケース13の後端側)に、第2基板33が設けられている。
【0030】
第2基板33は、明確な図示は略すが全体に矩形の板状を呈し、被写体側すなわち撮像光学系20側となる前面にコンデンサや抵抗等の電子部品33aおよびコネクタ部材33bが実装されるとともに、後面にコンデンサや抵抗等の電子部品33cが実装されている。この第2基板33は、第1基板32の後側(後側ケース13の後端側)で、当該第1基板32と並列に設けられており、コネクタ部材33bがコネクタ部材32bに接続されることにより、第1基板32と電気的に接続されている。また、第2基板33では、後面にコネクタ部材33dが実装されている。このコネクタ部材33dは、コネクタ部14aを介して後側ケース13の後端面に固定される接続コード14と第2基板33との電気的な接続を可能とするものである。
【0031】
この第1基板32および第2基板33では、それぞれに設けられた電子部品32a、33aおよび33cにより所定の電子回路を構成している。この電子回路は、撮像素子31における動作の制御や撮像素子31から出力された電気信号に基づく被写体像に対応したデジタル画像データの生成等を行い、そのデジタル画像データを所定の信号(例えば、VGA(Video Graphics Array)に対応するビデオ信号や、NTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)に対応するビデオ信号)に変換して接続コード14へと出力する。また、この電子回路は、撮像素子31や各電子部品32a、33aおよび33cを駆動させるべく、それらに接続コード14(その電力線14d(図4参照))から供給された電力を供給する電源回路としても機能する。このため、電子回路ユニット30は、撮像素子31で取得した画像を、ビデオ信号として出力することができる。このように、2層の基板32、33を設ける構成としているのは、要求される性能を満たしつつ撮像装置10の小型化を図るためである。このことから、電子回路の構成のための基板は、1層のみの構造であってもよく、多層設けるものであってもよく、実装する各電子部品の数や大きさ形状等を勘案して適宜設定すればよい。この撮影光軸OA方向に並列されて電気的に接続された2つの基板32、33を取り囲むように、シールドケース34が設けられている。
【0032】
シールドケース34は、上述した電子回路から周囲へと電磁波が放出されることや、周辺から電子回路への電磁波の影響を防止するための電磁シールドを構成する。このシールドケース34は、導電性を有する材料で形成され、かつ上述した電子回路における基準電位もしくはグランドレベルに電気的に接続される。シールドケース34は、金属材料から形成され、本実施例では、アルミニウムで形成されている。このシールドケース34は、フロント板金部35と本体板金部36とリア板金部37とを備える。
【0033】
そのフロント板金部35は、シールドケース34における間隔環22への接触箇所を構成する。フロント板金部35は、本実施例では、アルミニウムからなる薄板状を呈する。このフロント板金部35は、前側ケース12の4つの第2接触用溝12kに対応して4つ設けられており、各第2接触用溝12kに対応する4箇所で前側ケース12に埋設されている。各フロント板金部35は、第1接触用溝12jと第2接触用溝12kとを径方向で掛け渡しており、一端部35aが第1接触用溝12j内に配されるとともに、他端部35bが第2接触用溝12k内に配されている。その一端部35aは、第1接触用溝12j内において、径方向に対して後側(後側ケース13の後端側)へと屈曲されている。また、他端部35bは、第2接触用溝12k内において、径方向に対して前側(被写体側)へと屈曲されており、その先端が保持孔12aにおける中内径部12eの内周面に対して径方向の内側へと所定の量だけ突出されている。その所定の量とは、間隔環22の中内径部12eへの配置を阻害することを防止しつつ、その中内径部12eに配置された間隔環22への接触を可能とすることをいう。
【0034】
本体板金部36は、アルミニウムからなる薄板状の部材が折り曲げられて形成されており、明確な図示は略すが撮影光軸OAに直交する方向で見た断面が略矩形状を呈する筒状とされている。その本体板金部36は、撮影光軸OAを取り巻く方向で電子回路ユニット30を取り囲むことを可能としつつ、後側ケース13の周壁部13b内に嵌め入れることが可能な形状および大きさ寸法とされている。このため、本体板金部36は、電子回路ユニット30における撮影光軸OAに平行な外周面を形成している。この本体板金部36は、基端部36aが、前側ケース12の4つの支持壁部12i(図3では、3つのみ図示)を取り囲みつつ第1接触用溝12j内に挿入されることにより、前側ケース12に取り付けられる。このとき、基端部36aは、第1接触用溝12j内において、フロント板金部35の一端部35aに接触することが可能とされている。この本体板金部36は、明確な図示は略すが、第2基板33において径方向に突出して設けられた突起部を受け入れる支持部が設けられており、内方に収容した第2基板33との固定が可能とされている。また、本体板金部36は、図示は略すが、内方に収容した第2基板33の各電子部品が形成する所定の電子回路における回路基準電位に電気的に接続される。本体板金部36は、本実施例では、第2基板33に設けられた電子回路の回路基準電位との接続線(図示せず)に電気的に接続される。
【0035】
リア板金部37は、アルミニウムからなる薄板状の部材が折り曲げられてから形成されており、図示は略すが撮影光軸OAに直交する方向で見て略矩形状を呈する板状とされている。このリア板金部37は、奥壁部13a(その内壁面)と平行とされて後側ケース13に固定される。リア板金部37には、複数の接続突起部37a(図3では、2つのみ図示)と受入穴部37bとが設けられている。各接続突起部37aは、本体板金部36とリア板金部37との接触箇所を構成するものであり、リア板金部37の一部が前側(第2基板33側)へと突出されて形成されている。この各接続突起部37aは、後述するように組みつけられた状態において本体板金部36の後端部36bが押し当てられる。受入穴部37bは、第2基板33に実装されたコネクタ部材33dを通すことを可能とする。この受入穴部37bは、本実施例では、コネクタ部材33dが挿入されると、そこに設けられたアース線(図示せず)と電気的に接続される。そのアース線は、図示は略すが、コネクタ部材33dに接続コード14のコネクタ部14aが接続されると、接続コード14におけるアース線14e(図4参照)と電気的に接続される電線である。
【0036】
次に、この撮像装置10の組み付け手順(方法)について説明する。
【0037】
撮像装置10では、先ず、間隔環22および光学素子群21を前側ケース12の保持孔12aに挿入する。詳細には、レンズ21f、レンズ21eおよびレンズ21dの順に、それらを保持孔12aの小内径部12fに挿入し、レンズ21cおよびレンズ21bの順にそれらが挿入された間隔環22を保持孔12aの中内径部12eに挿入する。すると、中内径部12eの内周面を開口する各第2接触用溝12kでは、各フロント板金部35の他端部35b(その先端)が、間隔環22(その外周面)に接触する。
【0038】
その後、封止用環状溝12bに封止部材25を配置しつつレンズ21aおよび遮光板23を保持孔12aの大内径部12dに挿入し、抜止部材24の後端部24b(そのネジ山)を取付溝12c(そのネジ山)に噛み合わせて、撮像光学系20を前側ケース12に保持させる。すると、上述したように、封止部材25が適切に圧縮されて、前側ケース12の外表面S側からの、前側ケース12と撮像光学系20(レンズ21a)との間での水や塵埃等の侵入が防止され、十分な封止性能を有することとなる(図3参照)。また、径方向で見た封止部材25よりも内側では、レンズ21aの裏面と間隔環22の前端面22cとが遮光板23を介在させて接触される。
【0039】
次に、第1基板32に撮像素子31、電子部品32aおよびコネクタ部材32bを実装し、その撮像素子31が撮像光学系20に対してピント調整が為された状態となるように第1基板32を位置決めする。この位置決めした第1基板32を、前側ケース12の4つの支持壁部12iに図示を略す固定用部材を介して固定する。その前側ケース12の4つの支持壁部12iを取り囲みつつ第1接触用溝12jに、筒状の本体板金部36の基端部36aを挿入して、本体板金部36を前側ケース12に固定する。すると、本体板金部36の基端部36aは、第2接触用溝12k内において、各フロント板金部35の一端部35aに押し当てられる。
【0040】
次に、第2基板33に、電子部品33a、コネクタ部材33b、電子部品33cおよびコネクタ部材33dを実装する。その第2基板33を本体板金部36内に挿入し、そのコネクタ部材33bを前側ケース12に支持された第1基板32のコネクタ部材32bに接続する。その後、第2基板33の突起部(図示せず)を本体板金部36の支持部(図示せず)に挿入して、本体板金部36と第2基板33とを固定する。このとき、本体板金部36では、第2基板33を内方に収容する際、第1基板32を含む両基板に実装された各電子部品により形成された所定の電子回路における回路基準電位に電気的に接続される。本実施例では、図示は略すが第2基板33に設けられた回路基準電位との接続線を、本体板金部36に電気的に接続する。
【0041】
これにより、各基板(32および33)により撮像素子31を有する所望の電子回路が形成され、本体板金部36に囲まれた電子回路ユニット30(この例では前側ケース12に取り付けられている)が構成される。
【0042】
次に、後側ケース13にリア板金部37を取り付け、その受入穴部37bに第2基板33に実装したコネクタ部材33dを通しつつ前側ケース12に取り付けられた電子回路ユニット30を、相対的に撮影光軸OAに沿って後側ケース13内へと挿入し、電子回路ユニット30を後側ケース13内に嵌め込む。すると、本体板金部36の後端部36bがリア板金部37の各接続突起部37aに押し当てられるとともに、受入穴部37bとコネクタ部材33dのアース線(図示せず)とが電気的に接続される。この後、前側ケース12の後端面と後側ケース13の前端面との間に封止部材15を介在させつつ前側ケース12と後側ケース13とを固定することにより、前側ケース12と後側ケース13とを封止的に結合する。
【0043】
次に、後側ケース13との間にOリング14bを介在させつつコネクタ部14aを電子回路ユニット30の第2基板33のコネクタ部材33dと電気的に接続して、後側ケース13に接続コード14を封止的に接続する。これにより、筐体11により前側ケース12の裏面側における外方からの撮像光学系20および電子回路ユニット30への防水機能および防塵機能を有する撮像装置10(図3参照)が組み付けられる。このことから、撮像装置10では、絶縁物からなり封止性能を有する収容部材としての筐体11に、撮像光学系20および電子回路ユニット30が収容されて形成されている。その筐体11の内方には、各フロント板金部35と、その一端部35aに基端部36aが押し当てられた本体板金部36と、その後端部36bが各接続突起部37aに押し当てられたリア板金部37と、により、電子回路ユニット30を取り囲みつつその電子回路における回路基準電位に電気的に接続された電磁シールドが形成されている。なお、この組み付け方法は、本実施例に限定されるものではない。
【0044】
この撮像装置10は、後側ケース13の両取付突起13cを介して所望の箇所に取り付けることが可能である。撮像装置10は、例えば、図5に示すように、車両Cの後部のバンパやナンバプレート周辺等に設置することで、乗員特に運転手による車両後方の視認の支援のための後方視認支援機構80を構成する車載カメラとして用いることができる。この後方視認支援機構80では、撮像装置10は、車両Cの後方斜め下側の領域を画像中心とする広角な範囲を撮影対象とすべく、車両Cの後端位置(図示の例ではトランクリッドの後端面の上部)で車両Cの後方斜め下側へ向けて設けられている。
【0045】
後方視認支援機構80は、接続コード14を介して撮像装置10に接続された制御部81と、その制御部81を介して撮像装置10と接続されたモニタ82と、を有する。この後方視認支援機構80では、制御部81が撮像装置10(その接続コード14)から出力された電気信号(画像データ)に基づいて、車両後方の画像をモニタ82に表示させる。制御部81は、図示は略すが、車両Cの変速ギア(図示せず)がバック(リバース)へと切り換えられたときや、車両後方の画像を表示する旨の信号が入力されたときに、撮像装置10で取得された車両後方の画像をモニタ82に表示させる。モニタ82は、車両Cの車室内において、乗員特に運転手による視認を容易とする位置に設けられた表示部である。このモニタ82は、図示は略すがナビゲーションシステムの表示部としての機能を兼用するものであってもよい。このため、乗員特に運転手は、車両Cの後方確認が必要なときに、モニタ82の画像により車両Cの後方を容易に認識することができるので、後方視認支援機構80は、車両後方の視認の支援をすることができる。
【0046】
この後方視認支援機構80では、撮像装置10の接続コード14(そのアース線14e)に接続された制御部81を介して、その接続コード14が車両Cにおける基準電位位置としての、当該車両Cを構成するボディに接続されている。このため、後方視認支援機構80に用いられた撮像装置10では、車両Cのボディが外部基準電位位置となり、電子回路ユニット30の電子回路における回路基準電位が外部基準電位と等しくされている。
【0047】
この撮像装置10では、撮像光学系20の光学素子群21において最も被写体(物体)側に位置する第1レンズ(対物レンズ)すなわち表面で撮像装置10の外表面の一部を構成するレンズ21aの裏面が、遮光板23、間隔環22およびシールドケース34を介して、回路基準電位(外部基準電位)に電気的に接続されている。詳細には、レンズ21aの裏面には、導電性を有する遮光板23を介在させて同じく導電性を有する間隔環22の前端面22cが接触し、その間隔環22(その外周面)には、前側ケース12に設けられた各フロント板金部35の他端部35bが接触し、その各フロント板金部35には、一端部35aに本体板金部36の基端部36aが接触している。その本体板金部36は、第2基板33に設けられた回路基準電位との接続線(図示せず)に電気的に接続しているとともに、後端部36bがリア板金部37の各接続突起部37aに押し当てられており、そのリア板金部37が受入穴部37bからコネクタ部材33dのアース線(図示せず)を介して接続コード14におけるアース線14eと電気的に接続されている。このため、レンズ21aの裏面は、回路基準電位(外部基準電位)に電気的に接続されている。すると、レンズ21aでは、静電気に起因して塵埃が付着することを抑制することができる。これは、以下のことが考えられる。
【0048】
撮像装置10のように、絶縁物である収容部材(筐体11)に保持されているレンズ21aでは、図6(a)に示すように、表面に静電気が帯電すると、その静電気を逃がすことができないので、当該表面に帯電した極性とは逆側の極性で帯電した空気中の塵埃を吸着させてしまう。しかしながら、本発明に係る撮像装置10では、レンズ21aの裏面に設けられた導電性を有する遮光板23が、間隔環22およびシールドケース34を介して、回路基準電位(外部基準電位)に電気的に接続されていることから、図6(b)に示すように、レンズ21aの表面に静電気が帯電しても、裏面(遮光板23)に逆側の極性の電荷を供給することができ、レンズ21aにおいて電位を中和することができる。このため、裏面が回路基準電位(外部基準電位)とされたレンズ21aでは、帯電した空気中の塵埃を吸着することを抑制することができる。
【0049】
このように、撮像装置10では、その外表面の一部を構成する第1レンズとしてのレンズ21aの裏面が、導電性部材を介して基板に実装された各電子部品による所定の電子回路における回路基準電位に電気的に接続されていることから、レンズ21aの表面に静電気に起因して塵埃が付着することを抑制することができる。
【0050】
また、撮像装置10では、レンズ21aの裏面と回路基準電位とを接続する導電性部材として、電子回路から周囲へと電磁波が放出されることや、周辺から電子回路への電磁波の影響を防止するための電磁シールドを構成すべく、電子回路における回路基準電位に電気的に接続されているシールドケース34を利用していることから、部品点数の増加を防止しつつレンズ21aの表面に静電気に起因して塵埃が付着することを抑制することができる。
【0051】
さらに、撮像装置10では、レンズ21aの裏面と回路基準電位とを接続する導電性部材として、撮像光学系20の光学素子群21の各レンズ(本実施例では、レンズ21a、レンズ21b、レンズ21cおよびレンズ21d)における互いの対向面間の撮影光軸OA方向の間隔を所定の値に保持する間隔環22を、導電性を有する構成として利用していることから、部品点数の増加を防止しつつレンズ21aの表面に静電気に起因して塵埃が付着することを抑制することができる。
【0052】
撮像装置10では、レンズ21aの裏面と回路基準電位とを接続する導電性部材として、光学素子群21においてレンズ21aと他のレンズとの対向面間の撮影光軸OA方向の間隔を所定の値に保持すべくレンズ21aの裏面に前端面22cが接触される間隔環22を導電性を有する構成として利用していることから、レンズ21aの裏面と間隔環22との接触のためだけの新たな構成を必要としないので、簡易な構成としつつレンズ21aの表面に静電気に起因して塵埃が付着することを抑制することができる。
【0053】
撮像装置10では、間隔環22を導電性を有するものとするとともに、シールドケース34の各フロント板金部35を間隔環22と本体板金部36とを電気的に接続させる構成とするだけで、導電性部材として間隔環22およびシールドケース34を利用することを可能としていることから、簡易な構成としつつレンズ21aの表面に静電気に起因して塵埃が付着することを抑制することができる。
【0054】
撮像装置10では、間隔環22の前端面22cを、径方向で見た封止部材25よりも内側でレンズ21aの裏面に接触させている(本実施例では、遮光板23を介在させている)ことから、その封止部材25により筐体11を全方位に対して封止性能を有するものとすることができるとともに、その封止部材25により静電気に起因してレンズ21aの表面に塵埃が付着することを抑制すべくレンズ21aの裏面を回路基準電位とすることが阻害されることを防止することができる。
【0055】
撮像装置10では、レンズ21aの裏面に沿って導電性を有する遮光板23を設けているとともに、その遮光板23を介してレンズ21aの裏面と間隔環22(その前端面22c)とを接触させているので、レンズ21aの裏面と間隔環22(その前端面22c)との接触抵抗が大きい場合であっても、レンズ21aの裏面を回路基準電位とすることができる。
【0056】
撮像装置10では、レンズ21aの裏面に沿って導電性を有する遮光板23を設けているとともに、その遮光板23を介してレンズ21aの裏面と間隔環22(その前端面22c)とを接触させているので、レンズ21aの裏面のうち遮光板23が存在する領域をより確実に回路基準電位とすることができるので、レンズ21aの裏面において広い範囲を安定して回路基準電位とすることができる。このため、より効率よく静電気に起因してレンズ21aの表面に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0057】
撮像装置10では、基板に実装された各電子部品による電子回路が接続コード14におけるアース線14eと電気的に接続されているとともに、シールドケース34のリア板金部37(その受入穴部37b)がコネクタ部材33dのアース線(図示せず)を介して接続コード14におけるアース線14eと電気的に接続されており、そのアース線14eが外部基準電位位置となる車両Cのボディに接続されていることから、より安定してレンズ21aの表面に静電気に起因して塵埃が付着することを抑制することができる。
【0058】
撮像装置10では、光学素子群21(撮像光学系20)におけるレンズ21aの有効径(有効光束径)の外方からの光の進入を防止する遮光板23を導電性を有するものとすることにより、レンズ21aの裏面と間隔環22(その前端面22c)との間に導電性部材を介在させるものであることから、レンズ21aの裏面と間隔環22との接触のためだけの新たな構成を必要としないので、簡易な構成としつつレンズ21aの表面に静電気に起因して塵埃が付着することを抑制することができる。
【0059】
撮像装置10では、表面に導電性を有する塗料を塗布することにより、遮光板23を導電性を有するものとしていることから、簡易な構成としつつレンズ21aの表面に静電気に起因して塵埃が付着することを抑制することができる。
【0060】
撮像装置10では、遮光板23の表面に塗布する導電性を有する塗料を黒色のものとしていることから、レンズ21aの表面から入射した光が乱反射することを抑制することができる。
【0061】
撮像装置10では、シールドケース34が、フロント板金部35と本体板金部36とリア板金部37とで電子回路ユニット30を取り囲んで構成されて、各基板に実装された各電子部品による所定の電子回路における回路基準電位(外部基準電位)に電気的に接続されていることから、電子回路ユニット30における電磁シールドを構成することができ、上述した電子回路から周囲へと電磁波が放出されることや、周辺から電子回路への電磁波の影響を防止することができる。すなわち、シールドケース34は、レンズ21aの裏面を回路基準電位(外部基準電位)位置へと接続する導電性部材としての機能を有するとともに、電磁シールドとしての機能を有している。
【0062】
撮像装置10では、光学素子群21(撮像光学系20)において間隔環22を導電性を有するものとしているが、その間隔環22が電磁シールドを構成するシールドケース34に等しい電位とされていることから、当該間隔環22が電子回路からの電磁波を放出するアンテナや周辺からの電磁波を受けるアンテナとして作用することを防止することができる。
【0063】
撮像装置10では、レンズ21aの裏面と回路基準電位もしくは外部基準電位とを接続する導電性部材として、各レンズにおける互いの対向面間の撮影光軸OA方向の間隔を所定の値に保持する間隔環22および電磁シールドを構成するシールドケース34を利用していることから、レンズ21aの表面に塵埃が付着することを抑制するためだけに、例えば、レンズ21aの裏面と回路基準電位もしくは外部基準電位とをフレキシブル基板で接続することのような新たな部品を付加する必要がないので、小型化を容易なものとすることができる。
【0064】
撮像装置10では、封止性能を確保しつつ小型化を可能として、レンズ21aの表面への塵埃の付着を抑制する構成であることから、任意の位置に取り付けることが容易であるので、車載カメラや監視カメラとして用いるのに好適である。このように、車両の任意の位置への取り付けが容易であることから、例えば、接続コード14の配線のし易さを考慮して車両に取り付けることができるので、乗員による後方視認支援機構を構成することも容易なものとすることができる。
【0065】
したがって、本発明に係る撮像装置10では、絶縁物からなる収容部材としての筐体11に収容された撮像光学系20における第1レンズとしてのレンズ21aの表面に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0066】
なお、上記した実施例では、本発明に係る撮像装置の一例としての撮像装置10について説明したが、撮像光学系により結像された被写体像の取得のための撮像素子を含む電子回路ユニットと、前記撮像光学系において被写体側に配される第1レンズの表面を露見させつつ前記撮像光学系および前記電子回路ユニットを収容する収容部材と、を備える撮像装置であって、前記第1レンズにおける前記表面とは反対側の裏面と、前記電子回路ユニットにおける回路基準電位位置と、を接続する導電性部材を備える撮像装置もしくは車載カメラであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0067】
また、上記した実施例では、撮像光学系20における第1レンズとしてのレンズ21aの裏面に導電性の塗料が塗布された遮光板23が設けられていたが、この遮光板23を設けることなくレンズ21aの裏面と導電性部材(間隔環22の前端面22c)とを直接接触させるものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0068】
さらに、上記した実施例では、レンズ21aの裏面に設けられた遮光板23が、導電性の塗料が塗布されることにより導電性を有するものとされていたが、導電性を有する材料(例えば、銅板等)で形成されていてもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0069】
上記した実施例では、撮像光学系20における第1レンズとしてのレンズ21aの裏面に導電性の塗料が塗布された遮光板23が設けられていたが、この遮光板23に変えてレンズ21aの裏面における有効系の外側に導電材料としての導電性を有する塗料を塗布するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。このとき、塗布する塗料を黒色のものとすると、レンズ21aの裏面と導電性部材(間隔環22の前端面22c)とを電気的に接続することに加えて、レンズ21aの表面から入射した光が乱反射することを抑制することができる。
【0070】
上記した実施例では、撮像光学系20における第1レンズとしてのレンズ21aの裏面に導電性の塗料が塗布された遮光板23が設けられていたが、この遮光板23に変えてレンズ21aの裏面における有効系の外側と導電性部材(間隔環22の前端面22c)とを導電材料としての導電性を有する接着材料により接着する構成としてもよく、上記した実施例に限定されるものではない。このような構成とすると、レンズ21aの裏面と導電性部材(間隔環22の前端面22c)とをより安定して接触させることができるので、レンズ21aの表面に塵埃が付着することをより効率よく抑制することができる。
【0071】
上記した実施例では、撮像光学系20における第1レンズとしてのレンズ21aの裏面に導電性の塗料が塗布された遮光板23が設けられていたが、この遮光板23に変えてレンズ21aの裏面に、透明であって導電性の薄膜を蒸着させるものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。この透明の導電性の薄膜としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)を用いることができる。このような透明の導電性の薄膜は、極めて薄いものとすることができることから、レンズ21a(第1レンズ)に入射する光の光路に殆ど影響を与えることがないため、当該光路の設計の変更を必要としないので、製作工程数の増加を最小限に抑えることができる。このような構成とすると、レンズ21aの裏面において広い範囲を安定して回路基準電位(外部基準電位)とすることができるので、より効率よく静電気に起因してレンズ21aの表面に塵埃が付着することを抑制することができる。
【0072】
上記した実施例では、導電性部材として、遮光板23、間隔環22およびシールドケース34を利用していたが、レンズ21aの裏面と回路基準電位(外部基準電位)とを電気的に接続するものであれば、例えば、樹脂製の筐体の内部を金属膜で覆ったもので構成したシールドケースを利用するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0073】
上記した実施例では、導電性部材としての間隔環22がレンズ21aと他のレンズとの間隔を規定するものとされていたが、異なるレンズの間隔を規定するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。しかしながら、上記した実施例のように、光学素子群21(撮像光学系20)における最も被写体側に配される第1レンズ(レンズ21a)と他のレンズとの間隔を規定するものとすると、レンズ21aの裏面に接触させて間隔環22を設けることができ、他の導電性部材を用いることなくレンズ21aの裏面を回路基準電位(外部基準電位)とを接続することができる。
【0074】
上記した実施例では、間隔環22がアルミニウムで形成されていたが、レンズ21aの裏面と回路基準電位(外部基準電位)とを接続すべく導電性を有するものとすることができれば、他の導電性部材(例えば、ステンレス材)で形成してもよく、表面に導電性材料を塗布するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0075】
上記した実施例では、レンズ21aの裏面を、各基板に実装された各電子部品により形成された所定の電子回路における回路基準電位(外部基準電位)に接続するものとされていたが、グランドレベルに電気的に接続するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0076】
上記した実施例では、収容部材として撮像光学系20を支持する前側ケース12と電子回路ユニット30を収容する後側ケース13とを有する筐体11が用いられていたが、収容部材は、絶縁体で形成され、第1レンズ(レンズ21a)の表面を露見させつつ撮像光学系20および前記電子回路ユニット30を収容するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0077】
上記した実施例では、撮像装置10は、後方視認支援機構80を構成する車載カメラとして用いることを述べたが、例えば、車両における事故の状況を記録するためのドライブレコーダーとしての車載カメラや、車両の車室内の監視カメラや、ATMに搭載する監視カメラや、トイカメラ等として広く適用することができ、上記した実施例に限定されるものではない。
【0078】
以上、本発明の撮影装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0079】
10 撮像装置
11 (収納部材の一例としての)筐体
14 (接続部の一例としての)接続コード
20 撮像光学系
21a (第1レンズの一例としての)レンズ
22 間隔環
23 (導電性部材の一例としての)遮光板
30 電子回路ユニット
31 撮像素子
34 (電磁シールドの一例としての)シールドケース
35 (導電性部材を構成する電磁シールドの一例としての)フロント板金部
36 (導電性部材を構成する電磁シールドの一例としての)本体板金部
37 (導電性部材を構成する電磁シールドの一例としての)リア板金部
OA 撮影光軸
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2006−153993号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系により結像された被写体像の取得のための撮像素子を含む電子回路ユニットと、前記撮像光学系において被写体側に配される第1レンズの表面を露見させつつ前記撮像光学系および前記電子回路ユニットを収容する収容部材と、を備える撮像装置であって、
前記第1レンズにおける前記表面とは反対側の裏面と、前記電子回路ユニットにおける回路基準電位位置と、を接続する導電性部材を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
さらに、前記電子回路ユニットを前記収容部材の外方へと接続する接続部を備え、
前記回路基準電位位置は、前記接続部を介して前記収容部材の外方の外部基準電位位置に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記導電性部材は、前記収容部材の内方において前記電子回路ユニットの周囲に設けられ導電性を有する材料で形成された電磁シールドを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記導電性部材は、導電性を有する材料から為り、前記撮像光学系の前記各光学部材における互いの対向面間の撮影光軸方向の間隔を所定の値に保持する間隔環を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記間隔環は、前記第1レンズの前記裏面に接触して設けられていることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1レンズの前記裏面と前記収容部材との間には、撮影光軸を取り巻く環状の封止部材が設けられ、
前記導電性部材は、前記封止部材の内方において前記第1レンズの前記裏面に接触していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記導電性部材と前記第1レンズの前記裏面との間には、導電性を有する導電板部材が配置され、
前記導電性部材は、前記導電板部材を介して前記第1レンズの前記裏面に接触していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1レンズの前記裏面には、有効径の外側に導電性を有する導電材料が塗布され、
前記導電性部材は、前記導電材料を介して前記第1レンズの前記裏面に接触していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記導電材料は、黒色であることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1レンズの前記裏面には、導電性を有する導電薄膜が蒸着され、
前記導電性部材は、前記導電薄膜を介して前記第1レンズの前記裏面に接触していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109188(P2013−109188A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254615(P2011−254615)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】