撮像装置
【課題】暗電流による画質劣化を低減させる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、二次元状に配列された複数のフォトダイオード9−2と、複数のフォトダイオード9−2から得られた複数の画素信号を転送する複数の転送スイッチ9−3と、転送スイッチ9−3により転送された画素信号を電圧信号に変換する複数の増幅MOSアンプ9−5と、複数の電圧信号を読み出す読み出し回路9−10と、読み出し回路に読み出される電圧信号を選択する垂直走査回路9−12と、垂直走査回路9−12の動作を制御する制御手段とを有し、制御手段は撮影画像に応じて複数の電圧信号の読み出し順序を変更する。
【解決手段】撮像装置は、二次元状に配列された複数のフォトダイオード9−2と、複数のフォトダイオード9−2から得られた複数の画素信号を転送する複数の転送スイッチ9−3と、転送スイッチ9−3により転送された画素信号を電圧信号に変換する複数の増幅MOSアンプ9−5と、複数の電圧信号を読み出す読み出し回路9−10と、読み出し回路に読み出される電圧信号を選択する垂直走査回路9−12と、垂直走査回路9−12の動作を制御する制御手段とを有し、制御手段は撮影画像に応じて複数の電圧信号の読み出し順序を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1〜3に開示されているように、XYアドレス型の読み出し方法により画像を取得するCMOSセンサ(固体撮像素子)を備えた撮像装置がある。このような撮像装置では、まず全ての画素に蓄積された不要電荷を除去するため、メカシャッタが開いた状態で一括リセットが行われる。そして、所定の露光時間が経過した後にメカシャッタを閉じ、露光時間中に蓄積された信号電荷を読み出す。このような構成により、一括リセットを実行した時刻からメカシャッタを閉じた時刻までの間に固体撮像素子への露光が行われ、画像を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−274306号公報
【特許文献2】特開2005−176105号公報
【特許文献3】特開2006−140581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メカシャッタを用いて画像を取得する場合、メカシャッタが開いた状態で画素の一括リセット動作を行うことで、全ての信号電荷を除去すると同時に全ての画素の露光を開始する。そして、所定の露光時間が経過してからメカシャッタを閉じる。このような動作により、全ての画素の露光開始から終了までの時刻(露光時間)は同じになる。
【0005】
メカシャッタが閉じてから画素信号(電圧信号)の読み出しが行われるまでの間、信号電荷はフォトダイオードで保持される。多くの場合、メカシャッタを閉じた後、画像の上部の行から下部の行へ順に電圧信号を読み出す。このため、画像中の上部よりも下部の画素において、信号電荷が保持される期間が長くなる。また、メカシャッタが閉じられてフォトダイオードが遮光されている間にも、暗電流がフォトダイオードへ流入する。このため、フォトダイオードには感光時の電荷に加えて、暗電流による電荷が蓄積される。このような暗電流による蓄積電荷を暗時蓄積電荷という。
【0006】
図11は、暗時蓄積電荷と蓄積時間との関係を示す図である。図11に示されるように、フォトダイオードに蓄積する暗時蓄積電荷は、蓄積時間に比例して増加する。すなわち、電荷の蓄積時間が長いほど暗時蓄積電荷も大きくなり、画像の下部の画素信号は上部の画素信号と比較して暗時蓄積電荷が多い。この暗時蓄積電荷は、画素信号を劣化させるノイズ(暗電流ノイズ)となる。
【0007】
実際に屋外で被写体撮影する場合、画像上部に空があり、画像下部に地面や人物があるように、画像上部の輝度が高く、画像下部の輝度が低い被写体が多い。また撮像装置では、撮像素子から読み出した信号に対してガンマ補正処理を行う。ガンマ補正処理では、信号値が低い場合には高ゲインをかけて画素信号を強調し、信号値が高い場合には逆に低ゲインをかけて画素信号を抑制する。このため、輝度の低い領域でのノイズは強調され、輝度の高い領域のノイズは低減される。これは暗電流ノイズに対しても同様であり、ガンマ補正処理を行うことで、輝度の低い領域では暗電流ノイズが目立ちやすく、輝度の高い部分では暗電流ノイズが目立ちにくい画像が生成される。このため、画像下部が暗い被写体を撮影した場合、暗電流ノイズによる画像下部の画質の劣化が目立つ。
【0008】
そこで本発明は、暗電流による画質劣化を低減させる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面としての撮像装置は、二次元状に配列された複数の光電変換手段と、前記複数の光電変換手段から得られた複数の画素信号を転送する複数の転送手段と、前記複数の転送手段により転送された前記複数の画素信号を複数の電圧信号に変換する複数の増幅手段と、前記複数の電圧信号を読み出す読み出し回路と、前記読み出し回路に読み出される電圧信号を選択するシフトレジスタと、前記シフトレジスタの動作を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、撮影画像に応じて前記複数の電圧信号の読み出し順序を変更する。
【0010】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、暗電流による画質劣化を低減させる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における撮影シーケンスのフローチャートである。
【図2】実施例1における測光動作の説明図である。
【図3】実施例1における撮影時の駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。
【図4】実施例2における撮影シーケンスのフローチャートである。
【図5】実施例2における通常の画素信号の読み出し順序の説明図である。
【図6】実施例2における撮影時の駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。
【図7】実施例3における撮影シーケンスのフローチャートである。
【図8】実施例3における画素信号のランダム読み出しの説明図である。
【図9】本実施例において、XYアドレス型の読み出し方法により画像を取得する撮像素子の構成図である。
【図10】本実施例において、撮影時の駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。
【図11】暗時蓄積電荷と蓄積時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
まず、本実施例における撮像装置に用いられる撮像素子(固体撮像素子)について説明する。図9は、XYアドレス型の読み出し方法により画像を取得する撮像素子の構成図である。図9において、9−1は撮像素子における単位画素である。図9では簡略化のため、単位画素9−1として5行×5列の単位画素のみを示しているが、実際の撮像素子には多数の単位画素9−1(単位画素を構成する各要素)が二次元状に配列されている。9−2は、二次元状に配列され、光を電荷に変換するフォトダイオード(光電変換手段)である。9−3は、転送パルスφTXによりフォトダイオード9−2で発生した信号電荷(画素信号)を後述の蓄積領域(フローティングデフュージョン:FD)に転送する転送スイッチ(転送手段)である。すなわち転送スイッチ9−3は、フォトダイオード9−2から得られた画素信号を転送する。
【0015】
9−4は、信号電荷を一時的に蓄積する蓄積領域(FD)である。9−5は、ソースフォロアとして機能する増幅MOSアンプ(増幅手段)である。増幅MOSアンプ9−5は、転送スイッチ9−3により転送された画素信号を電圧信号に変換する。9−6は、選択パルスφSELにより、読み出しの対象となる画素を選択する選択スイッチである。9−7は、リセットパルスφRESにより、蓄積領域9−4に蓄積された信号電荷を除去するリセットスイッチである。9−8は、増幅MOSアンプ9−5の負荷となる定電流源である。蓄積領域9−4、増幅MOSアンプ9−5、および、定電流源9−8により、フローティングディフュージョンアンプが構成される。フローティングディフュージョンアンプは、選択スイッチ9−3で選択された画素の信号電荷を電圧信号に変換する。この電圧信号は、信号出力線9−9を経て、読み出し回路9−10に出力される。このような構成により、読み出し回路9−10は電圧信号を読み出すことができる。
【0016】
9−14は、読み出し回路9−10からの出力信号を選択する選択スイッチであり、水平走査回路9−11により駆動される。9−13は、読み出し回路9−10からの出力信号を撮像素子の外部に出力するための出力アンプである。9−12は、転送スイッチ9−3、選択スイッチ9−6、および、リセットスイッチ9−7に対して、転送パルスφTX、選択パルスφSEL、および、リセットパルスφRESをそれぞれ出力する垂直走査回路である。垂直走査回路9−12は、複数の転送スイッチ9−3にランダムアクセス可能なシフトレジスタであり、読み出し回路9−10に読み出される電圧信号を選択する。水平走査回路9−11および垂直走査回路9−12の各動作は、不図示の制御手段により制御される。以下、転送パルスφTX、選択パルスφSEL、および、リセットパルスφRESのそれぞれについて、垂直走査回路9−12により走査選択された第n番目のライン(第n行)に印加されるパルス信号をφTXn、φSELn、φRESnと記述する。
【0017】
次に、撮像素子の動作について説明する。図10は、撮影時における駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。なお図10では、説明の簡略化のため、垂直走査回路9−12により走査選択された第n行から第n+4行の5行分の駆動制御について示されている。
【0018】
第n〜第n+4行において、垂直走査回路9−12は、まず時刻t1から時刻t2までの期間、リセットパルスφRESn〜φRESn+4と転送パルスφTXn〜φTXn+4をオン(High)にする。これにより、全ての転送スイッチ9−3および全てのリセットスイッチ9−7がオンになり、第n〜第n+4行のフォトダイオード9−2がリセットされる。その後、全ての転送スイッチ9−3および全てのリセットスイッチ9−7をオフする。そして露光時間T1(時刻t2〜t3)の経過後、メカシャッタを閉じる。
【0019】
その後、時刻t3〜t4の間、転送パルスφTXnをオン(High)にして転送スイッチ9−3をオンにする。これにより、フォトダイオード9−2に蓄積された信号電荷が蓄積領域9−4に転送される(転送動作)。続いて、時刻t4において選択パルスΦSELnをオンにし、選択スイッチ9−6をオンにする。このとき、信号出力線9−9に増幅MOSアンプ9−5で増幅された画素の電圧信号が出力され、この電圧信号が読み出し回路9−10へ転送される(読み出し動作)。その後、時刻t5〜t6の間、転送パルスφTXn+1をオンにし、第n+1行の転送スイッチ9−3がオンする。時刻t6において、第n行目の画素の読み出し動作が終了し、第n+1行目の画素の転送動作も終了する。同時に、第n+1行目の画素の読み出し動作を開始する。以下、同様に転送動作および読み出し動作を繰り返し、全ての画素の電圧信号が読み出される。
【実施例1】
【0020】
次に、実施例1における撮像装置の撮影動作について説明する。撮影動作は、撮像装置のシャッタボタンが押されることにより実行される。本実施例のシャッタボタンは、二段階の撮影スイッチからなる。すなわちシャッタボタンは、押し込み無し状態(S0)、一段階押し込み(S1)、二段階押し込み(S2)の3状態の間を遷移する。状態S0において、撮像装置は撮影動作以外の処理を行う。状態S1において、撮像装置は測光処理および合焦処理を行う。状態S2において、撮像装置は画像を撮影する(画像を取得する)。シャッタボタン(二段階の撮影スイッチ)が押されると、S0、S1、S2の順で状態は遷移する。またシャッタボタンが離されると、S2、S1、S0の順で状態は遷移する。状態S0と状態S2との間の遷移は、必ず状態S1を介する。
【0021】
図1は、本実施例における撮影シーケンスのフローチャートである。図1の撮影シーケンスは、撮像装置の制御手段(不図示)の指令に基づいて実行される。撮像装置は、撮影動作を実行してない間(状態S0)、フレームレートで定義された時間間隔でメカシャッタを用いることなく画像(被写体像)を撮像装置の表示部へ表示する(ステップS1−1)。このような撮像装置の機能をEVF(電子ビューファインダ)という。続いてステップS1−2において、シャッタボタンが押されたか否かが判定され、シャッタボタンが押されるまでステップS1−2の判定を繰り返す。
【0022】
ステップS1−2において、シャッタボタンが押されると、ステップS1−3において撮像装置の測光手段は画像の測光動作を行う。この測光動作は、メカシャッタを用いて画像を撮影する際における適切な露出条件を決定するための動作である。ここで、撮像素子はEVFで駆動される。制御手段は、撮像素子に取り込まれた画像の信号値に基づいて、適切な露出条件が得られているか否かを判定する。図2は、測光動作の説明図であり、図2(a)は被写体、図2(b)は分割測光領域、図2(c)は輝度比較領域をそれぞれ示している。測光手段が図2(a)の画像(被写体)に対する測光動作を行う場合、図2(b)に示されるように画像を複数の領域に分割する。そして、各領域における輝度値を求め、領域ごとに重み付けした輝度値の合計を算出する。本実施例では、図2(a)の画像を図2(b)に示されるように15×9の基本ブロックb−1に分割し、基本ブロックb−1のそれぞれの座標を(1、1)〜(15、9)と設定する。測光領域および読み出し順序判定領域は、この基本ブロックに基づいて行われる。図2(b)、(c)において、基本ブロックb−1は二重の四角で表示されている。なお輝度値とは、各画素の出力値である。そして輝度値の合計が所定の目標値に近づくように、露光時間、絞り、および、ゲイン等を算出する。この動作を測光動作という。
【0023】
次に、15×9の各領域(各基本ブロック)の輝度値に重み付けを行う。これは、被写体中央の領域の露出に重きを置いた測光を行うためである。例えば、図2(b)を参照して説明すると、基本ブロックを3つの測光領域に分割し、各測光領域を1.0、0.5、0.0の3種類の重み付けがなされた領域に分類する。重み1.0は画像(有効画素領域)における中央3×3の測光領域、重み0.5は1.0を除く11×7の測光領域、重み0.0はその他の測光領域である。各領域の輝度値に上記重みを積算して得られた値の合計値、および、そのときの撮像素子の感度、露光時間、絞り値などの撮影条件に基づいて、メカシャッタを用いて実際に撮影画像を取得する際の露出条件を決定する。
【0024】
露出条件が決定されると、測光動作中に取得した基本ブロックb−1を利用して、輝度分布検出手段は撮影画像の輝度分布を検出する。制御手段は、この撮影画像に応じて複数の電圧信号(複数の画素信号)の読み出し順序を変更する。より具体的には、本実施例では、低輝度領域から優先的に画素信号の読み出しを行う。これは前述のように、読み出し時間が遅くなるにつれて暗電流ノイズが大きくなること、および、ガンマ補正処理を行うと低輝度領域のノイズが強調されるためである。本実施例のように、低輝度領域の画素信号の読み出し順序を早めることで、低輝度領域におけるガンマ補正処理後のノイズを低減することができる。
【0025】
例えば図2(a)の被写体を撮影する場合、図2(c)に示されるように基本ブロックを3つの輝度比較領域に分割し、各領域の輝度値を求める。ここでは、3つの輝度比較領域をc−1、c−2、c−3とする。これは、測光動作中に図2(b)のように分割した領域の輝度値を図2(c)のように加算することで求められる。なお、輝度比較領域は3行以上の領域に分割してもよい。また本実施例では、輝度比較領域は1×3のブロックに分割されているが、これに限定されるものではない。例えば、縦方向の分割も含め、2×3や3×3、図2(b)に示されるようにそれ以上細かく分割してもよい。
【0026】
次に、輝度比較領域c−1、c−2、c−3の輝度平均値または積分値をそれぞれ比較する。そして各領域の値を比較して、静止画撮影時の複数の電圧信号(複数の画素信号)の読み出し順序を決定する。すなわち制御手段は、輝度分布検出手段により検出された輝度分布に基づいて複数の電圧信号の読み出し順序を変更する。本実施例では、図1中のステップS1−4において、画像の上部と下部とで輝度差が所定値よりも大きいか否かを判定する。輝度差が所定値よりも大きい場合、ステップS1−5に進み、制御手段は撮影時において低輝度画素から順に複数の電圧信号を読み出す(暗い方から読み出す)ように垂直走査回路9−12を制御する。一方、輝度差が所定値以下である場合、ステップS1−6に進み、複数の電圧信号を画像の中央画素(画像中央)から読み出す。
【0027】
図3は、撮影時における駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。例えば図2(c)の輝度比較領域c−3の輝度値が最も低い場合、図3(a)に示されるように画面(画像)の下部から読み出しを行う(ステップS1−5)。また、輝度比較領域c−1の輝度値が最も低い場合、図3(b)に示されるように画面の上部から読み出しを行う(ステップS1−5)。輝度比較領域c−2の輝度値が最も低いか、または、各領域間の輝度差が所定値よりも小さい場合、図3(c)に示されるように画面の中央から読み出しを開始する(ステップS1−5、S1−6)。このように、画像の輝度差に基づいて高輝度領域と低輝度領域が存在すると判定した場合、撮影時には低輝度領域から読み出しを開始するようにシフトレジスタの読み出し順序を設定する。
【0028】
前述のように、実際の撮影画像に対してはガンマ補正処理が行われる。このガンマ補正処理は、低輝度領域であるほど高ゲインをかけて強調し、高輝度領域であるほど低ゲインをかけて抑制する。このため、低輝度領域のノイズは強調され、高輝度領域のノイズは低減される。そこで本実施例では、低輝度領域の画素から電圧信号の読み出しを開始することにより、低輝度領域での暗電流ノイズを低減させることができる。
【0029】
続いて図1のステップS1−7において、画像を撮像素子の受光面に結像するための合焦動作を行う。この合焦動作では、画像の所定の領域内において、連続する画素の輝度出力の微分値が最も高い個所を検出するまで鏡筒内のレンズの個々のレンズ間距離を制御する。続いてステップS1−8において、撮影スイッチが押されて状態S2に遷移したか否かが判定され、状態S2になるまでステップS1−8の判定を繰り返す。状態S2に遷移すると、ステップS1−9に進み、メカシャッタを用いた撮影シーケンスが実行される。このとき、撮像素子の画素信号(電圧信号)は、ステップS1−6またはS1−7で決定された順序で読み出される。
【0030】
本実施例によれば、暗電流ノイズの影響を受けやすい暗い領域から順に画素信号を読み出すことで、暗い領域で目立ちやすい暗電流ノイズによる画質劣化を低減できる。本実施例は、測光時の基本ブロックを利用して読み出し順序を判定する構成について説明したが、これに限定されるものではなく、測光時と輝度判定時に利用されるブロックが同一でもよい。なお、読み出し順序の判定は、必ずしも測光と同時にする必要はなく、合焦時やEVF時、撮影直前に決定してもよい。この場合、それぞれの時に取得した読み出し順序の判定に用いられる画像領域を分割し、各領域の輝度値を求める処理が必要である。
【実施例2】
【0031】
次に、実施例2における撮像装置の撮影動作について説明する。二段階の撮影スイッチを用いた撮影動作は実施例1と同様である。図4は、本実施例における撮影シーケンスのフローチャートである。図4において、ステップS4−1〜S4−3はそれぞれ、実施例1における図1中のステップS1−1〜S1−3と同様である。またステップS4−4は、図1中のステップS1−7と同様である。
【0032】
本実施例の撮像装置は、複数の画素信号に基づいて撮影画像に含まれる特定の被写体を検出する被写体検出手段を有する。撮像装置の制御手段は、被写体検出手段により検出された被写体の位置に応じて複数の画素信号(複数の電圧信号)の読み出し順序を変更する。より具体的には、制御手段は、被写体の位置に相当する画素から順に複数の電圧信号を読み出すように垂直走査回路9−12を制御する。本実施例において、被写体検出手段は、例えば人の顔を認識する顔認識手段である。図4中のステップS4−4における合焦動作が終了すると、ステップS4−5に進み、制御手段は顔認識手段による検出結果に基づいて、被写体に人の顔が含まれているかを判定する。
【0033】
ステップS4−5において人の顔が認識された場合、ステップS4−6に進み、メカシャッタ撮影時の画素信号の読み出しは、特定の被写体である人の顔が位置する行から開始する。一方、ステップS4−5において人の顔が認識されない場合、ステップS4−7に進み、通常のメカシャッタ撮影の画素信号の読み出しを行う。例えば、画像の上部から順に読み出しを行う。
【0034】
続いてステップS4−8において、撮影スイッチが押されて状態S2に遷移したか否かが判定され、状態S2になるまでステップS4−8の判定を繰り返す。状態S2に遷移すると、ステップS4−9に進み、メカシャッタを用いた撮影シーケンスが実行される。このとき、撮像素子の画素信号(電圧信号)は、ステップS4−6またはS4−7で決定された順序で読み出される。
【0035】
次に、本実施例における画素信号の読み出し順序について詳述する。顔が認識されなかった場合、所定の順序で画素信号の読み出しを行う。ここでは、第n、n+1、n+2、…、n+19行の20行の撮像素子を例として、図5に示されるように画面上部の行から順に画素信号を読み出す。図5は、通常の画素信号の読み出し順序の説明図である。撮影時の画素信号の読み出し順序として、通常の読み出し順序が選択された場合、撮像素子の画像の上部の行から順に画素信号の読み出しを行う。
【0036】
まず、全ての画素に対して同時にリセットパルスΦRESをHighにし、全ての画素の蓄積電荷を除去する。そして、リセットパルスΦRESがLowになった時から露光を開始する。その後、測光時に決定された露光期間T1の間だけ撮像素子を露光してからメカシャッタを閉じる。そして、画像の上部の行から順に転送パルスΦTxをHighにして画素の蓄積電荷を蓄積領域9−4へ転送し、その後、選択パルスΦSELをHighにしてから、画素信号を読み出す。
【0037】
図6は、本実施例における撮影時の駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。図6(a)は、垂直20行の撮像素子において、顔が認識された場合の画素信号の読み出し順序を示す。顔が認識された場合のリセット、メカシャッタ、および、転送の各動作は実施例1と同様である。また撮像素子の画素信号は、顔が認識された行(位置)の中心から上下へ交互に読み出しを行う。例えば、第4〜9行に顔があると認識した場合、中央部の6行目から上下へ交互に読み出しを行う。この場合、画素信号は、6→5→7→4→8→3→9→2→10→1→11→0→12→13→14→15…行目の順序で読み出される。また、0行目を読み出すと、それより上方向に行がないため、12行目以降は順に下の行を読み出す。本実施例では、顔と認識した領域の信号を先に読み出すことにより、その領域の暗電流ノイズを顔以外の領域よりも低減することができる。なお本実施例では、顔認識手段以外の被写体検出手段を用いて、顔以外の物体(被写体)に対し、同様の撮影シーケンスを採用してもよい。
【0038】
また本実施例は、顔の位置に相当する画素の画素信号を読み出した後に、顔のある行の上下の領域の輝度を比較して、実施例1と同様に低輝度領域から順に読み出してもよい。この場合、撮像装置は、複数の画素信号に基づいて撮影画像の輝度分布を検出する輝度分布検出手段を有する。例えば、図6(b)に示されるように、顔より下の領域が低輝度領域である(暗い)場合、顔のある行を読み出した後に、顔より下の領域の画素信号を読み出し、その後に顔より上の領域の画素信号を読み出す。また、図6(c)に示されるように、顔より上の領域が低輝度領域である(暗い)場合、顔のある行の画素信号を読み出した後に、顔より上の領域の画素信号読み出し、その後に顔より下の領域の画素信号を読み出す。
【0039】
なお、図6(b)、(c)では、認識した顔のある行を読み出した後に顔のある行から画面周辺へ画素信号の読み出しを行っているが、画面周辺から顔のある行へ画素信号の読み出しを行ってもよい。また、顔のある行の画素信号を読み出した後に、上の行から下の行へ、又は下の行から上の行へ顔のない行の画素信号を読み出してもよい。
【実施例3】
【0040】
次に、実施例3における撮像装置の撮影動作について説明する。図7は、本実施例における撮影シーケンスのフローチャートである。図7において、ステップS7−1〜S7−3はそれぞれ、実施例1で説明した図1のステップS1−1〜S1−3と同様である。ステップS7−3の測光結果(EV値検出手段の検出結果)に基づき、ステップS7−4において、制御手段は被写体のEV値(露出値)が所定値よりも低いか否かを判定する。ステップS7−4にて被写体のEV値が所定値以上である場合、ステップS7−5において、夜景モード(夜景撮影モード)が設定されているか否かを判定する。本実施例の撮像装置は夜景モードで撮影可能であり、また夜景モードは手動で設定したものに限定されるものではなく、自動でシーン判定された夜景モードでもよい。
【0041】
ステップS7−5にて夜景モードが設定されていない場合、ステップS7−7において、通常の読み出し順序(所定の読み出し順序)で画素信号の読み出しを行う。例えば実施例2(図5)で説明したように、画素上部の行から画素下部の行へ順に読み出す。一方、ステップS7−4にて被写体のEV値が所定値よりも低いか、または、ステップS7−5にて夜景モードが選択されていた場合、ステップS7−6において、複数の画素信号(複数の電圧信号)をランダムに(任意の順序で)読み出す。
【0042】
続いてステップS7−8において実施例1(図1)のステップS1−7と同様に合焦動作を行う。その後、ステップS7−9において、撮影スイッチが押されて状態S2に遷移したか否かが判定され、状態S2になるまでステップS7−9の判定を繰り返す。状態S2に遷移すると、ステップS7−10に進み、メカシャッタを用いた撮影シーケンスが実行される。このとき、撮像素子の画素信号(電圧信号)は、ステップS7−6またはS7−7で決定された順序で読み出される。
【0043】
次に、本実施例におけるランダム読み出しについて説明する。実施例1で説明したとおり、画素信号の読み出し順序が遅い行の画素には、読み出し順序が早い行の画素と比較して、多くの暗時蓄積電荷が発生するため、暗電流ノイズが増加する。このため、夜景のような全体が暗い被写体を撮影すると、画素信号の読み出し順序が遅い行の画素において暗電流ノイズの増加が顕著となる。一方、画素信号の読み出し順序をランダムに設定することで、画素信号の読み出し時間の差により暗電流ノイズが増加した箇所が画面全体に分散させることができる。このような構成により、電荷の蓄積時間差による局所的な暗電流ノイズを見た目上軽減することが可能である。
【0044】
図8は、本実施例における画素信号のランダム読み出しの説明図である。図8(a)は、ランダム読み出しについて、第n、n+1、n+2、…、n+19行の20行の撮像素子を例としたランダム読み出しの説明図である。まず、全ての画素に対してリセット動作を行う。ここでは、第n〜n+19行の画素に対して同時にリセットパルスΦRESを入力する。続いて、測光時に決定された露光時間T1だけ露光した後、メカシャッタを閉じる。その後、転送パルスΦTxと選択パルスΦSELを直前に読み出した行に隣接しない行で、且つ、画素信号を読み出していない行に対して順にHighにする。このようにして、複数の画素信号(複数の電圧信号)をランダムに読み出す。ここで、画素信号の読み出し順序を、直前に読み出した行に隣接しない行とするのは、暗電流ノイズの量が同等の行が連続して並ぶとその部分が帯状の横筋のように見えるためである。
【0045】
本実施例では、第11、9、17、14、1、15、3、16、5、19、2、8、13、10、7、12、4、6、0、18行の順に画素信号の読み出しを行う。ただし本実施例はこれに限定されるものではない。ランダム読み出しの順序は、複数の乱数表を用いる方法や、時間などの要素を参考にして無作為に選択する方法など、どのような方法で決定してもよい。また、一通りまたは複数の不規則な画素信号の読み出し順序を予め決定しておいてもよい。
【0046】
通常、信号処理ではローパスフィルタ処理が行われる。このため本実施例の撮像装置は、読み出し回路9−10に読み出された複数の電圧信号に含まれる高周波ノイズを低減するローパスフィルタを有する。そこで図8(b)に示されるように、画素信号を1行目、n行目、3行目、n−2行目、…(ただし、nは最後の行)の順序で読み出す。上下の行を交互に1行間隔で画素信号を読み出すことにより、読み出し時刻差によって発生する、暗時蓄積電荷による周期的な高周波横筋とすることができる。さらにローパスフィルタ処理で補正することで見た目の暗電流ノイズを低減することができる。また、画面の上から下へ順に画素信号を読みだす方法と比較して、見かけ上の暗電流の影響を低減できる画素信号の読み出し順序であれば、他の規則的な画素信号の読み出し順でもよい。
【0047】
上記各実施例によれば、暗電流による画質劣化を低減させる撮像装置を提供することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0049】
例えば、上記各実施例では、垂直走査回路9−12(垂直シフトレジスタ)をランダムアクセス可能な構成としているが、これに限定されるものではない。水平走査回路9−11(水平シフトレジスタ)がランダムアクセス可能である場合、列方向の画素信号の読み出し順序を任意に設定可能である。また、垂直シフトレジスタおよび水平シフトレジスタの両方がランダムアクセス可能である場合、両方のシフトレジスタを任意に選択して画素の信号読み出しを行ってもよい。
【符号の説明】
【0050】
9−2 フォトダイオード
9−3 転送スイッチ
9−5 増幅MOSアンプ
9−10 読み出し回路
9−12 垂直走査回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1〜3に開示されているように、XYアドレス型の読み出し方法により画像を取得するCMOSセンサ(固体撮像素子)を備えた撮像装置がある。このような撮像装置では、まず全ての画素に蓄積された不要電荷を除去するため、メカシャッタが開いた状態で一括リセットが行われる。そして、所定の露光時間が経過した後にメカシャッタを閉じ、露光時間中に蓄積された信号電荷を読み出す。このような構成により、一括リセットを実行した時刻からメカシャッタを閉じた時刻までの間に固体撮像素子への露光が行われ、画像を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−274306号公報
【特許文献2】特開2005−176105号公報
【特許文献3】特開2006−140581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メカシャッタを用いて画像を取得する場合、メカシャッタが開いた状態で画素の一括リセット動作を行うことで、全ての信号電荷を除去すると同時に全ての画素の露光を開始する。そして、所定の露光時間が経過してからメカシャッタを閉じる。このような動作により、全ての画素の露光開始から終了までの時刻(露光時間)は同じになる。
【0005】
メカシャッタが閉じてから画素信号(電圧信号)の読み出しが行われるまでの間、信号電荷はフォトダイオードで保持される。多くの場合、メカシャッタを閉じた後、画像の上部の行から下部の行へ順に電圧信号を読み出す。このため、画像中の上部よりも下部の画素において、信号電荷が保持される期間が長くなる。また、メカシャッタが閉じられてフォトダイオードが遮光されている間にも、暗電流がフォトダイオードへ流入する。このため、フォトダイオードには感光時の電荷に加えて、暗電流による電荷が蓄積される。このような暗電流による蓄積電荷を暗時蓄積電荷という。
【0006】
図11は、暗時蓄積電荷と蓄積時間との関係を示す図である。図11に示されるように、フォトダイオードに蓄積する暗時蓄積電荷は、蓄積時間に比例して増加する。すなわち、電荷の蓄積時間が長いほど暗時蓄積電荷も大きくなり、画像の下部の画素信号は上部の画素信号と比較して暗時蓄積電荷が多い。この暗時蓄積電荷は、画素信号を劣化させるノイズ(暗電流ノイズ)となる。
【0007】
実際に屋外で被写体撮影する場合、画像上部に空があり、画像下部に地面や人物があるように、画像上部の輝度が高く、画像下部の輝度が低い被写体が多い。また撮像装置では、撮像素子から読み出した信号に対してガンマ補正処理を行う。ガンマ補正処理では、信号値が低い場合には高ゲインをかけて画素信号を強調し、信号値が高い場合には逆に低ゲインをかけて画素信号を抑制する。このため、輝度の低い領域でのノイズは強調され、輝度の高い領域のノイズは低減される。これは暗電流ノイズに対しても同様であり、ガンマ補正処理を行うことで、輝度の低い領域では暗電流ノイズが目立ちやすく、輝度の高い部分では暗電流ノイズが目立ちにくい画像が生成される。このため、画像下部が暗い被写体を撮影した場合、暗電流ノイズによる画像下部の画質の劣化が目立つ。
【0008】
そこで本発明は、暗電流による画質劣化を低減させる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面としての撮像装置は、二次元状に配列された複数の光電変換手段と、前記複数の光電変換手段から得られた複数の画素信号を転送する複数の転送手段と、前記複数の転送手段により転送された前記複数の画素信号を複数の電圧信号に変換する複数の増幅手段と、前記複数の電圧信号を読み出す読み出し回路と、前記読み出し回路に読み出される電圧信号を選択するシフトレジスタと、前記シフトレジスタの動作を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、撮影画像に応じて前記複数の電圧信号の読み出し順序を変更する。
【0010】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、暗電流による画質劣化を低減させる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における撮影シーケンスのフローチャートである。
【図2】実施例1における測光動作の説明図である。
【図3】実施例1における撮影時の駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。
【図4】実施例2における撮影シーケンスのフローチャートである。
【図5】実施例2における通常の画素信号の読み出し順序の説明図である。
【図6】実施例2における撮影時の駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。
【図7】実施例3における撮影シーケンスのフローチャートである。
【図8】実施例3における画素信号のランダム読み出しの説明図である。
【図9】本実施例において、XYアドレス型の読み出し方法により画像を取得する撮像素子の構成図である。
【図10】本実施例において、撮影時の駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。
【図11】暗時蓄積電荷と蓄積時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
まず、本実施例における撮像装置に用いられる撮像素子(固体撮像素子)について説明する。図9は、XYアドレス型の読み出し方法により画像を取得する撮像素子の構成図である。図9において、9−1は撮像素子における単位画素である。図9では簡略化のため、単位画素9−1として5行×5列の単位画素のみを示しているが、実際の撮像素子には多数の単位画素9−1(単位画素を構成する各要素)が二次元状に配列されている。9−2は、二次元状に配列され、光を電荷に変換するフォトダイオード(光電変換手段)である。9−3は、転送パルスφTXによりフォトダイオード9−2で発生した信号電荷(画素信号)を後述の蓄積領域(フローティングデフュージョン:FD)に転送する転送スイッチ(転送手段)である。すなわち転送スイッチ9−3は、フォトダイオード9−2から得られた画素信号を転送する。
【0015】
9−4は、信号電荷を一時的に蓄積する蓄積領域(FD)である。9−5は、ソースフォロアとして機能する増幅MOSアンプ(増幅手段)である。増幅MOSアンプ9−5は、転送スイッチ9−3により転送された画素信号を電圧信号に変換する。9−6は、選択パルスφSELにより、読み出しの対象となる画素を選択する選択スイッチである。9−7は、リセットパルスφRESにより、蓄積領域9−4に蓄積された信号電荷を除去するリセットスイッチである。9−8は、増幅MOSアンプ9−5の負荷となる定電流源である。蓄積領域9−4、増幅MOSアンプ9−5、および、定電流源9−8により、フローティングディフュージョンアンプが構成される。フローティングディフュージョンアンプは、選択スイッチ9−3で選択された画素の信号電荷を電圧信号に変換する。この電圧信号は、信号出力線9−9を経て、読み出し回路9−10に出力される。このような構成により、読み出し回路9−10は電圧信号を読み出すことができる。
【0016】
9−14は、読み出し回路9−10からの出力信号を選択する選択スイッチであり、水平走査回路9−11により駆動される。9−13は、読み出し回路9−10からの出力信号を撮像素子の外部に出力するための出力アンプである。9−12は、転送スイッチ9−3、選択スイッチ9−6、および、リセットスイッチ9−7に対して、転送パルスφTX、選択パルスφSEL、および、リセットパルスφRESをそれぞれ出力する垂直走査回路である。垂直走査回路9−12は、複数の転送スイッチ9−3にランダムアクセス可能なシフトレジスタであり、読み出し回路9−10に読み出される電圧信号を選択する。水平走査回路9−11および垂直走査回路9−12の各動作は、不図示の制御手段により制御される。以下、転送パルスφTX、選択パルスφSEL、および、リセットパルスφRESのそれぞれについて、垂直走査回路9−12により走査選択された第n番目のライン(第n行)に印加されるパルス信号をφTXn、φSELn、φRESnと記述する。
【0017】
次に、撮像素子の動作について説明する。図10は、撮影時における駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。なお図10では、説明の簡略化のため、垂直走査回路9−12により走査選択された第n行から第n+4行の5行分の駆動制御について示されている。
【0018】
第n〜第n+4行において、垂直走査回路9−12は、まず時刻t1から時刻t2までの期間、リセットパルスφRESn〜φRESn+4と転送パルスφTXn〜φTXn+4をオン(High)にする。これにより、全ての転送スイッチ9−3および全てのリセットスイッチ9−7がオンになり、第n〜第n+4行のフォトダイオード9−2がリセットされる。その後、全ての転送スイッチ9−3および全てのリセットスイッチ9−7をオフする。そして露光時間T1(時刻t2〜t3)の経過後、メカシャッタを閉じる。
【0019】
その後、時刻t3〜t4の間、転送パルスφTXnをオン(High)にして転送スイッチ9−3をオンにする。これにより、フォトダイオード9−2に蓄積された信号電荷が蓄積領域9−4に転送される(転送動作)。続いて、時刻t4において選択パルスΦSELnをオンにし、選択スイッチ9−6をオンにする。このとき、信号出力線9−9に増幅MOSアンプ9−5で増幅された画素の電圧信号が出力され、この電圧信号が読み出し回路9−10へ転送される(読み出し動作)。その後、時刻t5〜t6の間、転送パルスφTXn+1をオンにし、第n+1行の転送スイッチ9−3がオンする。時刻t6において、第n行目の画素の読み出し動作が終了し、第n+1行目の画素の転送動作も終了する。同時に、第n+1行目の画素の読み出し動作を開始する。以下、同様に転送動作および読み出し動作を繰り返し、全ての画素の電圧信号が読み出される。
【実施例1】
【0020】
次に、実施例1における撮像装置の撮影動作について説明する。撮影動作は、撮像装置のシャッタボタンが押されることにより実行される。本実施例のシャッタボタンは、二段階の撮影スイッチからなる。すなわちシャッタボタンは、押し込み無し状態(S0)、一段階押し込み(S1)、二段階押し込み(S2)の3状態の間を遷移する。状態S0において、撮像装置は撮影動作以外の処理を行う。状態S1において、撮像装置は測光処理および合焦処理を行う。状態S2において、撮像装置は画像を撮影する(画像を取得する)。シャッタボタン(二段階の撮影スイッチ)が押されると、S0、S1、S2の順で状態は遷移する。またシャッタボタンが離されると、S2、S1、S0の順で状態は遷移する。状態S0と状態S2との間の遷移は、必ず状態S1を介する。
【0021】
図1は、本実施例における撮影シーケンスのフローチャートである。図1の撮影シーケンスは、撮像装置の制御手段(不図示)の指令に基づいて実行される。撮像装置は、撮影動作を実行してない間(状態S0)、フレームレートで定義された時間間隔でメカシャッタを用いることなく画像(被写体像)を撮像装置の表示部へ表示する(ステップS1−1)。このような撮像装置の機能をEVF(電子ビューファインダ)という。続いてステップS1−2において、シャッタボタンが押されたか否かが判定され、シャッタボタンが押されるまでステップS1−2の判定を繰り返す。
【0022】
ステップS1−2において、シャッタボタンが押されると、ステップS1−3において撮像装置の測光手段は画像の測光動作を行う。この測光動作は、メカシャッタを用いて画像を撮影する際における適切な露出条件を決定するための動作である。ここで、撮像素子はEVFで駆動される。制御手段は、撮像素子に取り込まれた画像の信号値に基づいて、適切な露出条件が得られているか否かを判定する。図2は、測光動作の説明図であり、図2(a)は被写体、図2(b)は分割測光領域、図2(c)は輝度比較領域をそれぞれ示している。測光手段が図2(a)の画像(被写体)に対する測光動作を行う場合、図2(b)に示されるように画像を複数の領域に分割する。そして、各領域における輝度値を求め、領域ごとに重み付けした輝度値の合計を算出する。本実施例では、図2(a)の画像を図2(b)に示されるように15×9の基本ブロックb−1に分割し、基本ブロックb−1のそれぞれの座標を(1、1)〜(15、9)と設定する。測光領域および読み出し順序判定領域は、この基本ブロックに基づいて行われる。図2(b)、(c)において、基本ブロックb−1は二重の四角で表示されている。なお輝度値とは、各画素の出力値である。そして輝度値の合計が所定の目標値に近づくように、露光時間、絞り、および、ゲイン等を算出する。この動作を測光動作という。
【0023】
次に、15×9の各領域(各基本ブロック)の輝度値に重み付けを行う。これは、被写体中央の領域の露出に重きを置いた測光を行うためである。例えば、図2(b)を参照して説明すると、基本ブロックを3つの測光領域に分割し、各測光領域を1.0、0.5、0.0の3種類の重み付けがなされた領域に分類する。重み1.0は画像(有効画素領域)における中央3×3の測光領域、重み0.5は1.0を除く11×7の測光領域、重み0.0はその他の測光領域である。各領域の輝度値に上記重みを積算して得られた値の合計値、および、そのときの撮像素子の感度、露光時間、絞り値などの撮影条件に基づいて、メカシャッタを用いて実際に撮影画像を取得する際の露出条件を決定する。
【0024】
露出条件が決定されると、測光動作中に取得した基本ブロックb−1を利用して、輝度分布検出手段は撮影画像の輝度分布を検出する。制御手段は、この撮影画像に応じて複数の電圧信号(複数の画素信号)の読み出し順序を変更する。より具体的には、本実施例では、低輝度領域から優先的に画素信号の読み出しを行う。これは前述のように、読み出し時間が遅くなるにつれて暗電流ノイズが大きくなること、および、ガンマ補正処理を行うと低輝度領域のノイズが強調されるためである。本実施例のように、低輝度領域の画素信号の読み出し順序を早めることで、低輝度領域におけるガンマ補正処理後のノイズを低減することができる。
【0025】
例えば図2(a)の被写体を撮影する場合、図2(c)に示されるように基本ブロックを3つの輝度比較領域に分割し、各領域の輝度値を求める。ここでは、3つの輝度比較領域をc−1、c−2、c−3とする。これは、測光動作中に図2(b)のように分割した領域の輝度値を図2(c)のように加算することで求められる。なお、輝度比較領域は3行以上の領域に分割してもよい。また本実施例では、輝度比較領域は1×3のブロックに分割されているが、これに限定されるものではない。例えば、縦方向の分割も含め、2×3や3×3、図2(b)に示されるようにそれ以上細かく分割してもよい。
【0026】
次に、輝度比較領域c−1、c−2、c−3の輝度平均値または積分値をそれぞれ比較する。そして各領域の値を比較して、静止画撮影時の複数の電圧信号(複数の画素信号)の読み出し順序を決定する。すなわち制御手段は、輝度分布検出手段により検出された輝度分布に基づいて複数の電圧信号の読み出し順序を変更する。本実施例では、図1中のステップS1−4において、画像の上部と下部とで輝度差が所定値よりも大きいか否かを判定する。輝度差が所定値よりも大きい場合、ステップS1−5に進み、制御手段は撮影時において低輝度画素から順に複数の電圧信号を読み出す(暗い方から読み出す)ように垂直走査回路9−12を制御する。一方、輝度差が所定値以下である場合、ステップS1−6に進み、複数の電圧信号を画像の中央画素(画像中央)から読み出す。
【0027】
図3は、撮影時における駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。例えば図2(c)の輝度比較領域c−3の輝度値が最も低い場合、図3(a)に示されるように画面(画像)の下部から読み出しを行う(ステップS1−5)。また、輝度比較領域c−1の輝度値が最も低い場合、図3(b)に示されるように画面の上部から読み出しを行う(ステップS1−5)。輝度比較領域c−2の輝度値が最も低いか、または、各領域間の輝度差が所定値よりも小さい場合、図3(c)に示されるように画面の中央から読み出しを開始する(ステップS1−5、S1−6)。このように、画像の輝度差に基づいて高輝度領域と低輝度領域が存在すると判定した場合、撮影時には低輝度領域から読み出しを開始するようにシフトレジスタの読み出し順序を設定する。
【0028】
前述のように、実際の撮影画像に対してはガンマ補正処理が行われる。このガンマ補正処理は、低輝度領域であるほど高ゲインをかけて強調し、高輝度領域であるほど低ゲインをかけて抑制する。このため、低輝度領域のノイズは強調され、高輝度領域のノイズは低減される。そこで本実施例では、低輝度領域の画素から電圧信号の読み出しを開始することにより、低輝度領域での暗電流ノイズを低減させることができる。
【0029】
続いて図1のステップS1−7において、画像を撮像素子の受光面に結像するための合焦動作を行う。この合焦動作では、画像の所定の領域内において、連続する画素の輝度出力の微分値が最も高い個所を検出するまで鏡筒内のレンズの個々のレンズ間距離を制御する。続いてステップS1−8において、撮影スイッチが押されて状態S2に遷移したか否かが判定され、状態S2になるまでステップS1−8の判定を繰り返す。状態S2に遷移すると、ステップS1−9に進み、メカシャッタを用いた撮影シーケンスが実行される。このとき、撮像素子の画素信号(電圧信号)は、ステップS1−6またはS1−7で決定された順序で読み出される。
【0030】
本実施例によれば、暗電流ノイズの影響を受けやすい暗い領域から順に画素信号を読み出すことで、暗い領域で目立ちやすい暗電流ノイズによる画質劣化を低減できる。本実施例は、測光時の基本ブロックを利用して読み出し順序を判定する構成について説明したが、これに限定されるものではなく、測光時と輝度判定時に利用されるブロックが同一でもよい。なお、読み出し順序の判定は、必ずしも測光と同時にする必要はなく、合焦時やEVF時、撮影直前に決定してもよい。この場合、それぞれの時に取得した読み出し順序の判定に用いられる画像領域を分割し、各領域の輝度値を求める処理が必要である。
【実施例2】
【0031】
次に、実施例2における撮像装置の撮影動作について説明する。二段階の撮影スイッチを用いた撮影動作は実施例1と同様である。図4は、本実施例における撮影シーケンスのフローチャートである。図4において、ステップS4−1〜S4−3はそれぞれ、実施例1における図1中のステップS1−1〜S1−3と同様である。またステップS4−4は、図1中のステップS1−7と同様である。
【0032】
本実施例の撮像装置は、複数の画素信号に基づいて撮影画像に含まれる特定の被写体を検出する被写体検出手段を有する。撮像装置の制御手段は、被写体検出手段により検出された被写体の位置に応じて複数の画素信号(複数の電圧信号)の読み出し順序を変更する。より具体的には、制御手段は、被写体の位置に相当する画素から順に複数の電圧信号を読み出すように垂直走査回路9−12を制御する。本実施例において、被写体検出手段は、例えば人の顔を認識する顔認識手段である。図4中のステップS4−4における合焦動作が終了すると、ステップS4−5に進み、制御手段は顔認識手段による検出結果に基づいて、被写体に人の顔が含まれているかを判定する。
【0033】
ステップS4−5において人の顔が認識された場合、ステップS4−6に進み、メカシャッタ撮影時の画素信号の読み出しは、特定の被写体である人の顔が位置する行から開始する。一方、ステップS4−5において人の顔が認識されない場合、ステップS4−7に進み、通常のメカシャッタ撮影の画素信号の読み出しを行う。例えば、画像の上部から順に読み出しを行う。
【0034】
続いてステップS4−8において、撮影スイッチが押されて状態S2に遷移したか否かが判定され、状態S2になるまでステップS4−8の判定を繰り返す。状態S2に遷移すると、ステップS4−9に進み、メカシャッタを用いた撮影シーケンスが実行される。このとき、撮像素子の画素信号(電圧信号)は、ステップS4−6またはS4−7で決定された順序で読み出される。
【0035】
次に、本実施例における画素信号の読み出し順序について詳述する。顔が認識されなかった場合、所定の順序で画素信号の読み出しを行う。ここでは、第n、n+1、n+2、…、n+19行の20行の撮像素子を例として、図5に示されるように画面上部の行から順に画素信号を読み出す。図5は、通常の画素信号の読み出し順序の説明図である。撮影時の画素信号の読み出し順序として、通常の読み出し順序が選択された場合、撮像素子の画像の上部の行から順に画素信号の読み出しを行う。
【0036】
まず、全ての画素に対して同時にリセットパルスΦRESをHighにし、全ての画素の蓄積電荷を除去する。そして、リセットパルスΦRESがLowになった時から露光を開始する。その後、測光時に決定された露光期間T1の間だけ撮像素子を露光してからメカシャッタを閉じる。そして、画像の上部の行から順に転送パルスΦTxをHighにして画素の蓄積電荷を蓄積領域9−4へ転送し、その後、選択パルスΦSELをHighにしてから、画素信号を読み出す。
【0037】
図6は、本実施例における撮影時の駆動パルスおよび動作シーケンスを示す図である。図6(a)は、垂直20行の撮像素子において、顔が認識された場合の画素信号の読み出し順序を示す。顔が認識された場合のリセット、メカシャッタ、および、転送の各動作は実施例1と同様である。また撮像素子の画素信号は、顔が認識された行(位置)の中心から上下へ交互に読み出しを行う。例えば、第4〜9行に顔があると認識した場合、中央部の6行目から上下へ交互に読み出しを行う。この場合、画素信号は、6→5→7→4→8→3→9→2→10→1→11→0→12→13→14→15…行目の順序で読み出される。また、0行目を読み出すと、それより上方向に行がないため、12行目以降は順に下の行を読み出す。本実施例では、顔と認識した領域の信号を先に読み出すことにより、その領域の暗電流ノイズを顔以外の領域よりも低減することができる。なお本実施例では、顔認識手段以外の被写体検出手段を用いて、顔以外の物体(被写体)に対し、同様の撮影シーケンスを採用してもよい。
【0038】
また本実施例は、顔の位置に相当する画素の画素信号を読み出した後に、顔のある行の上下の領域の輝度を比較して、実施例1と同様に低輝度領域から順に読み出してもよい。この場合、撮像装置は、複数の画素信号に基づいて撮影画像の輝度分布を検出する輝度分布検出手段を有する。例えば、図6(b)に示されるように、顔より下の領域が低輝度領域である(暗い)場合、顔のある行を読み出した後に、顔より下の領域の画素信号を読み出し、その後に顔より上の領域の画素信号を読み出す。また、図6(c)に示されるように、顔より上の領域が低輝度領域である(暗い)場合、顔のある行の画素信号を読み出した後に、顔より上の領域の画素信号読み出し、その後に顔より下の領域の画素信号を読み出す。
【0039】
なお、図6(b)、(c)では、認識した顔のある行を読み出した後に顔のある行から画面周辺へ画素信号の読み出しを行っているが、画面周辺から顔のある行へ画素信号の読み出しを行ってもよい。また、顔のある行の画素信号を読み出した後に、上の行から下の行へ、又は下の行から上の行へ顔のない行の画素信号を読み出してもよい。
【実施例3】
【0040】
次に、実施例3における撮像装置の撮影動作について説明する。図7は、本実施例における撮影シーケンスのフローチャートである。図7において、ステップS7−1〜S7−3はそれぞれ、実施例1で説明した図1のステップS1−1〜S1−3と同様である。ステップS7−3の測光結果(EV値検出手段の検出結果)に基づき、ステップS7−4において、制御手段は被写体のEV値(露出値)が所定値よりも低いか否かを判定する。ステップS7−4にて被写体のEV値が所定値以上である場合、ステップS7−5において、夜景モード(夜景撮影モード)が設定されているか否かを判定する。本実施例の撮像装置は夜景モードで撮影可能であり、また夜景モードは手動で設定したものに限定されるものではなく、自動でシーン判定された夜景モードでもよい。
【0041】
ステップS7−5にて夜景モードが設定されていない場合、ステップS7−7において、通常の読み出し順序(所定の読み出し順序)で画素信号の読み出しを行う。例えば実施例2(図5)で説明したように、画素上部の行から画素下部の行へ順に読み出す。一方、ステップS7−4にて被写体のEV値が所定値よりも低いか、または、ステップS7−5にて夜景モードが選択されていた場合、ステップS7−6において、複数の画素信号(複数の電圧信号)をランダムに(任意の順序で)読み出す。
【0042】
続いてステップS7−8において実施例1(図1)のステップS1−7と同様に合焦動作を行う。その後、ステップS7−9において、撮影スイッチが押されて状態S2に遷移したか否かが判定され、状態S2になるまでステップS7−9の判定を繰り返す。状態S2に遷移すると、ステップS7−10に進み、メカシャッタを用いた撮影シーケンスが実行される。このとき、撮像素子の画素信号(電圧信号)は、ステップS7−6またはS7−7で決定された順序で読み出される。
【0043】
次に、本実施例におけるランダム読み出しについて説明する。実施例1で説明したとおり、画素信号の読み出し順序が遅い行の画素には、読み出し順序が早い行の画素と比較して、多くの暗時蓄積電荷が発生するため、暗電流ノイズが増加する。このため、夜景のような全体が暗い被写体を撮影すると、画素信号の読み出し順序が遅い行の画素において暗電流ノイズの増加が顕著となる。一方、画素信号の読み出し順序をランダムに設定することで、画素信号の読み出し時間の差により暗電流ノイズが増加した箇所が画面全体に分散させることができる。このような構成により、電荷の蓄積時間差による局所的な暗電流ノイズを見た目上軽減することが可能である。
【0044】
図8は、本実施例における画素信号のランダム読み出しの説明図である。図8(a)は、ランダム読み出しについて、第n、n+1、n+2、…、n+19行の20行の撮像素子を例としたランダム読み出しの説明図である。まず、全ての画素に対してリセット動作を行う。ここでは、第n〜n+19行の画素に対して同時にリセットパルスΦRESを入力する。続いて、測光時に決定された露光時間T1だけ露光した後、メカシャッタを閉じる。その後、転送パルスΦTxと選択パルスΦSELを直前に読み出した行に隣接しない行で、且つ、画素信号を読み出していない行に対して順にHighにする。このようにして、複数の画素信号(複数の電圧信号)をランダムに読み出す。ここで、画素信号の読み出し順序を、直前に読み出した行に隣接しない行とするのは、暗電流ノイズの量が同等の行が連続して並ぶとその部分が帯状の横筋のように見えるためである。
【0045】
本実施例では、第11、9、17、14、1、15、3、16、5、19、2、8、13、10、7、12、4、6、0、18行の順に画素信号の読み出しを行う。ただし本実施例はこれに限定されるものではない。ランダム読み出しの順序は、複数の乱数表を用いる方法や、時間などの要素を参考にして無作為に選択する方法など、どのような方法で決定してもよい。また、一通りまたは複数の不規則な画素信号の読み出し順序を予め決定しておいてもよい。
【0046】
通常、信号処理ではローパスフィルタ処理が行われる。このため本実施例の撮像装置は、読み出し回路9−10に読み出された複数の電圧信号に含まれる高周波ノイズを低減するローパスフィルタを有する。そこで図8(b)に示されるように、画素信号を1行目、n行目、3行目、n−2行目、…(ただし、nは最後の行)の順序で読み出す。上下の行を交互に1行間隔で画素信号を読み出すことにより、読み出し時刻差によって発生する、暗時蓄積電荷による周期的な高周波横筋とすることができる。さらにローパスフィルタ処理で補正することで見た目の暗電流ノイズを低減することができる。また、画面の上から下へ順に画素信号を読みだす方法と比較して、見かけ上の暗電流の影響を低減できる画素信号の読み出し順序であれば、他の規則的な画素信号の読み出し順でもよい。
【0047】
上記各実施例によれば、暗電流による画質劣化を低減させる撮像装置を提供することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0049】
例えば、上記各実施例では、垂直走査回路9−12(垂直シフトレジスタ)をランダムアクセス可能な構成としているが、これに限定されるものではない。水平走査回路9−11(水平シフトレジスタ)がランダムアクセス可能である場合、列方向の画素信号の読み出し順序を任意に設定可能である。また、垂直シフトレジスタおよび水平シフトレジスタの両方がランダムアクセス可能である場合、両方のシフトレジスタを任意に選択して画素の信号読み出しを行ってもよい。
【符号の説明】
【0050】
9−2 フォトダイオード
9−3 転送スイッチ
9−5 増幅MOSアンプ
9−10 読み出し回路
9−12 垂直走査回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元状に配列された複数の光電変換手段と、
前記複数の光電変換手段から得られた複数の画素信号を転送する複数の転送手段と、
前記複数の転送手段により転送された前記複数の画素信号を複数の電圧信号に変換する複数の増幅手段と、
前記複数の電圧信号を読み出す読み出し回路と、
前記読み出し回路に読み出される電圧信号を選択するシフトレジスタと、
前記シフトレジスタの動作を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、撮影画像に応じて前記複数の電圧信号の読み出し順序を変更する、ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記複数の画素信号に基づいて前記撮影画像の輝度分布を検出する輝度分布検出手段を更に有し、
前記制御手段は、前記輝度分布検出手段により検出された前記輝度分布に基づいて前記複数の電圧信号の読み出し順序を変更する、ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、低輝度画素から順に前記複数の電圧信号を読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記複数の画素信号に基づいて前記撮影画像に含まれる特定の被写体を検出する被写体検出手段を更に有し、
前記制御手段は、前記被写体検出手段により検出された前記被写体の位置に応じて前記複数の電圧信号の読み出し順序を変更する、ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記被写体の位置に相当する画素から順に前記複数の電圧信号を読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記被写体検出手段は、顔を認識する顔認識手段であることを特徴とする請求項4または5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記複数の画素信号に基づいて前記撮影画像の輝度分布を検出する輝度分布検出手段を更に有し、
前記制御手段は、前記被写体の位置に相当する画素の電圧信号を読み出した後、前記輝度分布検出手段により検出された低輝度画素から順に前記複数の電圧信号を読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
EV値検出手段を更に有し、
前記制御手段は、被写体のEV値が所定値よりも低い場合、前記複数の電圧信号を任意の順序で読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記読み出し回路に読み出された前記複数の電圧信号に含まれる高周波ノイズを低減するローパスフィルタを更に有し、
前記制御手段は、前記EV値が前記所定値よりも低い場合、前記複数の電圧信号を1行目、n行目、3行目、n−2行目、…(ただし、nは最後の行)の順序で読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像装置は夜景撮影モードで撮影可能であり、
前記制御手段は、前記夜景撮影モードが選択された場合、前記複数の電圧信号を任意の順序で読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記読み出し回路に読み出された前記複数の電圧信号に含まれる高周波ノイズを低減するローパスフィルタを更に有し、
前記制御手段は、前記夜景撮影モードが選択された場合、前記複数の電圧信号を1行目、n行目、3行目、n−2行目、…(ただし、nは最後の行)の順序で読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項1】
二次元状に配列された複数の光電変換手段と、
前記複数の光電変換手段から得られた複数の画素信号を転送する複数の転送手段と、
前記複数の転送手段により転送された前記複数の画素信号を複数の電圧信号に変換する複数の増幅手段と、
前記複数の電圧信号を読み出す読み出し回路と、
前記読み出し回路に読み出される電圧信号を選択するシフトレジスタと、
前記シフトレジスタの動作を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、撮影画像に応じて前記複数の電圧信号の読み出し順序を変更する、ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記複数の画素信号に基づいて前記撮影画像の輝度分布を検出する輝度分布検出手段を更に有し、
前記制御手段は、前記輝度分布検出手段により検出された前記輝度分布に基づいて前記複数の電圧信号の読み出し順序を変更する、ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、低輝度画素から順に前記複数の電圧信号を読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記複数の画素信号に基づいて前記撮影画像に含まれる特定の被写体を検出する被写体検出手段を更に有し、
前記制御手段は、前記被写体検出手段により検出された前記被写体の位置に応じて前記複数の電圧信号の読み出し順序を変更する、ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記被写体の位置に相当する画素から順に前記複数の電圧信号を読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記被写体検出手段は、顔を認識する顔認識手段であることを特徴とする請求項4または5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記複数の画素信号に基づいて前記撮影画像の輝度分布を検出する輝度分布検出手段を更に有し、
前記制御手段は、前記被写体の位置に相当する画素の電圧信号を読み出した後、前記輝度分布検出手段により検出された低輝度画素から順に前記複数の電圧信号を読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
EV値検出手段を更に有し、
前記制御手段は、被写体のEV値が所定値よりも低い場合、前記複数の電圧信号を任意の順序で読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記読み出し回路に読み出された前記複数の電圧信号に含まれる高周波ノイズを低減するローパスフィルタを更に有し、
前記制御手段は、前記EV値が前記所定値よりも低い場合、前記複数の電圧信号を1行目、n行目、3行目、n−2行目、…(ただし、nは最後の行)の順序で読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像装置は夜景撮影モードで撮影可能であり、
前記制御手段は、前記夜景撮影モードが選択された場合、前記複数の電圧信号を任意の順序で読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記読み出し回路に読み出された前記複数の電圧信号に含まれる高周波ノイズを低減するローパスフィルタを更に有し、
前記制御手段は、前記夜景撮影モードが選択された場合、前記複数の電圧信号を1行目、n行目、3行目、n−2行目、…(ただし、nは最後の行)の順序で読み出すように前記シフトレジスタを制御することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−115793(P2013−115793A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263221(P2011−263221)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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