撮像装置
【課題】動きのある被写体に対して適切なピント合わせを行うことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る撮像装置(1)は、光学系を通過した被写体光像を撮像面で撮像する撮像手段(101)と、撮影予定位置に向けられた前記光学系の方向に関する情報と、前記撮影予定位置までの距離情報とに基づいて、前記被写体光像の合焦を制御する合焦制御手段(110)と、を備える。
【解決手段】本発明に係る撮像装置(1)は、光学系を通過した被写体光像を撮像面で撮像する撮像手段(101)と、撮影予定位置に向けられた前記光学系の方向に関する情報と、前記撮影予定位置までの距離情報とに基づいて、前記被写体光像の合焦を制御する合焦制御手段(110)と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像手段を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラにおいて、動きのある被写体を撮影する場合には、被写体の移動速度を予測してフォーカス位置にレンズを駆動してピントを合わせる予測駆動AFや、被写体の動きに合わせてファインダ内のフォーカスポイントを自動的に切り換えてピントを合わせる被写体追尾AF等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−39854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した予測駆動AFや被写体追尾AFは、動きのある被写体の撮影に適している。しかし、撮影範囲の輝度が低い場合や被写体のコントラストが低い場合には、適切なピント合わせができないこともある。また、動きのある被写体の撮影において、予め決まった地点にピントを合わせておき、被写体がその地点に達した時点で撮影する、置きピン撮影と呼ばれる撮影方法がある。この置きピン撮影によれば、撮影範囲の輝度が低い場合や被写体のコントラストが低い場合でも、ピントを合わせることができる。しかし、置きピン撮影では、撮影範囲の一箇所にピントを合わせているため、動きのある被写体を連写した場合には、後の撮影コマにおいて被写体にピントが合わないこともある。
【0005】
本発明の課題は、動きのある被写体に対して適切なピント合わせを行うことができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、光学系を通過した被写体光像を撮像面で撮像する撮像手段と、撮影予定位置に向けられた前記光学系の方向に関する情報と、前記撮影予定位置までの距離情報とに基づいて、前記被写体光像の合焦を制御する合焦制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動きのある被写体に対して適切なピント合わせを行うことができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態1に係るカメラ1の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態1の撮影範囲を示す説明図である。
【図3】ファインダ枠の表示内容を示す説明図である。
【図4】実施形態1のスキャン撮影時における撮影領域を示す説明図である。
【図5】カメラ1の水平回転角度θhを取得する際の模式図である。
【図6】カメラ1の垂直回転角度θvを取得する際の模式図である。
【図7】実施形態1のデータテーブルを示す説明図である。
【図8】(a)〜(c)は実施形態1の本撮影時における撮影範囲と撮影領域とを示す説明図である。
【図9】実施形態1の動体撮影モード1が選択された場合におけるカメラCPU110の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施形態2の撮影範囲とスキャン撮影時における撮影領域を示す説明図である。
【図11】実施形態2のデータテーブルを示す説明図である。
【図12】実施形態2の本撮影時における撮影範囲と撮影領域とを示す説明図である。
【図13】実施形態2の動体撮影モード1が選択された場合におけるカメラCPU110の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係る撮像装置をデジタルカメラに適用した場合の実施形態について説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るカメラ1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施形態1に係るカメラ1は、カメラ本体10と、レンズ鏡筒20と、を備える。カメラ1は、カメラ本体10にレンズ鏡筒20が着脱自在に装着されるレンズ交換式の一眼レフデジタルカメラとして構成されている。
【0011】
カメラ本体10とレンズ鏡筒20とは、マウント2により機械的に結合される。また、カメラ本体10とレンズ鏡筒20とを結合したときに、カメラ本体10とレンズ鏡筒20とは、コネクタ3により電気的に接続される。
【0012】
レンズ鏡筒20は、入射した被写体光の像(以下、「被写体光像」という)を、CCDイメージセンサ101(後述)に結像させる光学系200を備える。また、レンズ鏡筒20は、光量制御、焦点調節、焦点距離の変更、手振れ量の測定、及び手振れの光学的補正を行う制御系を備える。
【0013】
レンズ鏡筒20は、光学系200として、フォーカスレンズ201、VRレンズ202、絞りユニット203、及びズームレンズ204を備える。フォーカスレンズ201は、被写体光像の焦点を調節(合焦)するためのレンズである。VRレンズ202は、カメラ1の手振れを補正するためのレンズである。絞りユニット203は、被写体光の光量を調節するための機構である。ズームレンズ204は、焦点距離を変更するためのレンズである。なお、図1に示す光学系200は、レンズ構成を概念的に示したものである。
【0014】
また、図1において、光学系200の光軸Lの方向は、撮影時にカメラ1が被写体を捉えている方向でもある。以下の説明では、カメラ本体10にレンズ鏡筒20が装着された状態における光学系200の光軸Lの方向を「カメラ1の撮影方向」という。
【0015】
また、レンズ鏡筒20は、制御系の構成として、振れセンサ205、AF駆動部211、VR駆動部212、絞り駆動部213、VR回路214、及びレンズCPU210を備える。振れセンサ205は、カメラ1の手振れ量を検出するセンサである。AF駆動部211はフォーカスレンズ201を駆動する回路である。VR駆動部212は、VRレンズ202を駆動するための回路である。絞り駆動部213は、絞りユニット203の絞り羽根(不図示)を開閉駆動するための回路である。VR回路214は、振れセンサ205から手振れ量に関する信号を取得する回路である。レンズCPU210は、カメラ本体10からの指示に応じて、上述した各駆動部や回路等を制御する。レンズCPU210は、マイクロプロセッサにより構成される。
【0016】
レンズCPU210は、カメラ本体10から送信されたレンズ駆動の指示に応じてAF駆動部211を制御し、フォーカスレンズ201を駆動する。これにより、レンズCPU210は、カメラ本体10に設けられたCCDイメージセンサ101(後述)の撮像面に投影された被写体光像を合焦させる。また、レンズCPU210は、カメラ本体10から送信された絞り制御の指示に応じて絞り駆動部213を駆動し、絞りユニット203を通過する光量を調節する。絞りユニット203を通過する光量は、絞り羽根の開度により調節される。
【0017】
また、レンズCPU210は、カメラ本体10から送信された手振れ補正の制御指示に応じてVR回路214を制御して、振れセンサ205によりカメラ1の手振れ量を検出すると共に、検出した手振れ量に基づいて手振れの補正量を算出する。そして、レンズCPU210は、算出した手振れの補正量に基づいてVR駆動部212を駆動し、手振れを補正する方向にVRレンズ202を移動させる。
【0018】
カメラ本体10は、撮影時における被写体光像の確認、被写体までの距離の測定(測距)、露出条件の演算、レンズ鏡筒20の制御、撮影した画像の再生等の処理を実行する。また、カメラ本体10は、レンズ鏡筒20を介して結像した被写体光像を電気信号に変換すると共に、各種画像処理を施した後、所定の記録媒体に記録する処理を実行する。
【0019】
カメラ本体10は、CCDイメージセンサ101、撮像回路102、センサ駆動回路103、カメラCPU110を備える。また、カメラ本体10は、シャッタユニット111、ローパスフィルタ112、ミラー113、焦点板114、ファインダ表示部115、測光センサ116、ペンタプリズム117、AFセンサ118、サブミラー119、フラッシュメモリ121、RAM122を備える。
【0020】
カメラ本体10は、シャッタ駆動部131、加振機構132、AFセンサ回路133、ミラー制御回路134、ファインダ表示回路135、測光回路136を備える。また、カメラ本体10は、スイッチ読み込み部140、操作スイッチ141a、141b、・・・141n、メモリインターフェース142、メモリカード143、モニタ駆動回路144、液晶モニタ145を備える。更に、カメラ本体10は、角速度センサ146、角加速度センサ147、電子コンパス148、傾斜センサ149、GPS回路150、GPSアンテナ151を備える。
【0021】
カメラ本体10において、レンズ鏡筒20を介して到達した被写体光は、ミラー113により焦点板114に結像する。また、ファインダ表示部115には、ファインダ表示回路135により撮影情報が表示される。焦点板114に結像した被写体光像は、ファインダ表示部115に表示された撮影情報と重ね合わされて、ペンタプリズム117を介してファインダ接眼窓(不図示)に導かれる。撮影者は、ファインダ接眼窓において、被写体光像と撮影情報とを同時に観察することができる。
【0022】
また、焦点板114に結像した被写体光像の輝度は、測光センサ116及び測光回路136を介して読み取られ、カメラCPU110へ送信される。
【0023】
一方、ミラー113に入射した被写体光の一部は、サブミラー119によりAFセンサ118に導かれ、ラインセンサ(不図示)上に結像される。AFセンサ回路133は、AFセンサ118に結像した被写体光像のデフォーカス量(ピント情報)を取得して、カメラCPU110へ送信する。
【0024】
ミラー113及びサブミラー119は、ミラー制御回路134により観察位置(図1に示すミラーダウン位置)又は退避位置(不図示のミラーアップ位置)に駆動される。ミラー113及びサブミラー119が退避位置に駆動されると、入射した被写体光はCCDイメージセンサ101へ導かれる。ミラー113及びサブミラー119とCCDイメージセンサ101との間には、シャッタユニット111、ローパスフィルタ112が設けられている。
【0025】
シャッタユニット111は、シャッタ駆動部131により開閉が制御される。シャッタユニット111が閉状態のときに、CCDイメージセンサ101は遮光されている。シャッタユニット111が開状態のときに、被写体光像は、CCDイメージセンサ101の撮像面に結像される。
【0026】
また、被写体光像は、ローパスフィルタ112を通過した際に、高周波成分が除去される。ローパスフィルタ112には、加振機構132が設けられている。ローパスフィルタ112は、加振機構132により振動が与えられることにより、表面に付着した異物が除去される。以下、加振機構132による異物の除去をクリーニング動作という。
【0027】
CCDイメージセンサ101は、センサ駆動回路103により駆動される。CCDイメージセンサ101は、撮像した被写体光像をCCD信号として読み出し、撮像回路102へ出力する。撮像回路102は、CCDイメージセンサ101から読み出されたCCD信号を増幅し、デジタル信号に変換する。
【0028】
液晶モニタ145は、モニタ駆動回路144により駆動される。液晶モニタ145には、CCDイメージセンサ101で撮像された画像が表示(再生表示又はリアルタイム表示)されるほか、撮影情報等が表示される。
【0029】
メモリカード143は、SDカード等の不揮発性の外部メモリである。メモリカード143は、メモリインターフェース142を介してカメラ本体10に着脱自在に装着される。メモリカード143には、カメラ本体10で撮影された画像データを記録(書き込み)することができる。また、メモリカード143は、記録されている画像データをカメラ本体10に出力(読み出し)することができる。
【0030】
カメラCPU110は、カメラ本体10とレンズ鏡筒20とを含めたカメラ1を統括的に制御する制御手段である。カメラCPU110は、マイクロプロセッサにより構成される。カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に記憶された制御プログラムに従って動作する。カメラCPU110によるカメラ1の制御については後述する。
【0031】
また、カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に記憶された被写体追尾制御プログラムの実行により、被写体追尾制御部110aとして機能する。カメラCPU110は、被写体追尾制御部110aの機能として、以下の動作を実行する。
【0032】
(i)動体撮影モード1及び2(後述)において、レリーズスイッチが半押し操作されたときに、その時点で撮影された画像データをテンプレート画像としてフラッシュメモリ121に記憶する。(ii)レリーズスイッチの半押し操作中に、所定の時間間隔で繰り返し画像データを取得し、その画像データの画面内において、テンプレート画像のフォーカスポイントFPで捉えた被写体と合致する対象物(被写体)をパターンマッチングの手法により検出する。(iii)検出した被写体の位置に合わせてフォーカスポイントFPを切り換え、そのフォーカスポイントFPにおける距離情報をデータテーブルから取得する。(iv)取得した距離情報に基づいて、レンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信し、フォーカスレンズ201を駆動させる。
【0033】
以上の動作により、被写体の移動に合わせてフォーカスポイントFPが切り換えられるとともに、切り換えられたフォーカスポイントFPにおいて、被写体にピントが合った状態となる。なお、フォーカスポイントFPが切り換えられたときに、上記(ii)で取得された画像データのうち、テンプレート画像のフォーカスポイントFPで捉えた被写体と合致する対象物の画像データが新たなテンプレート画像として更新される。
【0034】
フラッシュメモリ121は、各種の制御プログラムや撮像した画像データ等が記憶される内部メモリである。フラッシュメモリ121には、本撮影時においてカメラCPU110で実行される動体撮影モード1(図9参照)及び動体撮影モード2(図13参照)の制御プログラムが記憶されている。
【0035】
RAM122は、各種データが一時的に記憶される内部メモリである。RAM122は、例えば、プログラム実行時のワークメモリとして使用されるほか、画像データを画像処理する際の一時メモリ、画像処理された画像データをフラッシュメモリ121に記憶する際のバッファメモリ、フラッシュメモリ121に記憶されている画像データを読み出したときの一時メモリ、再生画像を画像処理する際の一時メモリ、及び液晶モニタ145に表示する画像データのバッファメモリとしても使用される。
【0036】
操作スイッチ141a、141b・・・141n(以下、「操作スイッチ141」と総称する)は、カメラ本体10に設けられた電源スイッチ、レリーズスイッチ、モード切り替えスイッチ、セレクタダイアル等(いずれも不図示)を示している。電源スイッチのON/OFF操作、レリーズスイッチの半押し/全押し操作、モード切り替えスイッチの操作、セレクタダイアルによる設定項目の移動、設定内容の選択及び決定の操作等は、スイッチ読み込み部140に出力される。スイッチ読み込み部140は、操作スイッチ141により検出された操作を、カメラCPU110へ送信する。
【0037】
角速度センサ146及び角加速度センサ147は、カメラ1の手振れを検出するためのセンサである。電子コンパス148は、地磁気を検出してカメラ1(光軸L)の向いている方角を算出する装置である。傾斜センサ149は、カメラ1(光軸L)の傾き角を検出する装置である。GPS回路150は、GPS衛星から発信されたGPS電波をGPSアンテナ151により受信して、地図上におけるカメラ1の位置(緯度、経度)を検出する装置である。以下、GPS回路150により検出されたカメラ1の位置を「位置情報」という。
【0038】
カメラCPU110は、これらのセンサを用いることにより、カメラ1の撮影方向に関する情報、及びカメラ1の基準位置に関する情報を取得することができる。角速度センサ146、角加速度センサ147、電子コンパス148、及び傾斜センサ149は、カメラ1の撮影方向に関する情報を検出する光軸方向検出手段として機能する。
【0039】
次に、本実施形態におけるカメラ1の基本的な動作について説明する。
(電源ON、撮影モードでの動作)
カメラCPU110は、電源スイッチ(操作スイッチ141)がON操作されると、カメラ本体10の電源をON状態とし、設定された撮影モードの動作を開始する。まず、カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御して、シャッタユニット111を閉状態とする。これにより、CCDイメージセンサ101が遮光される。
【0040】
カメラCPU110は、ミラー113及びサブミラー119が退避位置にある場合は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を観察位置に復帰させる。これにより、被写体光像が焦点板114に結像する。カメラCPU110は、焦点板114に結像した被写体光像の輝度を測光センサ116及び測光回路136を介して読み取り、露出条件を演算する。
【0041】
カメラCPU110は、ファインダ表示回路135を制御して、ファインダ表示部115に撮影情報を表示させる。これにより、ファインダ表示部115には、被写体光像と撮影情報とが同時に表示される。
【0042】
また、カメラCPU110は、電源ON時にクリーニング動作を実行するように設定されている場合には、加振機構132を制御して、ローパスフィルタ112を振動させる。これにより、ローパスフィルタ112の表面に付着した異物が除去される。また、カメラCPU110は、必要に応じて、メインコンデンサ(不図示)への充電を開始する。これにより、カメラ本体10に内蔵又は外付けされた照明装置(不図示)の発光が可能となる。
【0043】
(レリーズスイッチの半押し操作)
カメラCPU110は、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)が半押し操作されると、焦点板114に結像した被写体光像の輝度を測光センサ116及び測光回路136を介して読み取り、露出条件を演算する。また、カメラCPU110は、AFセンサ118に結像した被写体光像のデフォーカス量(ピント情報)を、AFセンサ回路133を介して取得し、被写体からCCDイメージセンサ101の撮像面までの距離情報を算出する。なお、後述するように、撮影領域には複数のフォーカスポイントFP(測距位置)が設定されている。カメラCPU110は、設定されたフォーカスポイントFPにおける距離情報を算出して、RAM122に記憶する。
【0044】
また、カメラCPU110は、算出した距離情報に基づいてレンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信する。これにより、レンズCPU210は、AF駆動部211を介してフォーカスレンズ201を駆動し、CCDイメージセンサ101の撮像面に投影された被写体光像を合焦させる(以下、被写体光像を合焦させた状態を「ピントを合わせる」等の表現で記載する)。
【0045】
カメラCPU110は、必要に応じて、レンズCPU210にAFロックの指示を送信し、被写体にピントが合った状態でフォーカスレンズ201の位置を維持させる。また、カメラCPU110は、必要に応じて、算出した露出条件をRAM122に記憶し、その露出条件で設定された絞り値とシャッタスピード値を維持する(AEロック)。カメラCPU110は、必要に応じて、レンズCPU210に手振れ補正の制御指示を送信し、振れセンサ205で検出した手振れ量に基づいて手振れの補正量を算出させる。これにより、レンズCPU210は、算出した手振れの補正量に基づいてVR駆動部212を駆動し、手振れを補正する方向にVRレンズ202を移動させる。
【0046】
(レリーズスイッチの全押し操作)
カメラCPU110は、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)が全押し操作されると、レンズCPU210に絞り制御の指示を送信する。これにより、レンズCPU210は、絞り駆動部213を駆動し、AEロックした時点の絞り値により絞りユニット203を通過する光量を調節する。カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を退避位置に移動させる。カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御して、シャッタユニット111を所定時間、開状態とする。カメラCPU110は、センサ駆動回路103を駆動して、CCDイメージセンサ101による被写体光像の撮像(露光)を開始する。このとき、カメラCPU110は、必要に応じて、照明装置(不図示)を発光させる。
【0047】
カメラCPU110は、被写体光像の撮像を開始してから、AEロックした時点のシャッタスピード値の時間が経過すると、シャッタ駆動部131を制御して、シャッタユニット111を閉状態とする。また、カメラCPU110は、センサ駆動回路103を駆動して、CCDイメージセンサ101による被写体光像の撮像を終了する。カメラCPU110は、撮像回路102を制御し、CCDイメージセンサ101から読み出されたCCD信号を増幅し、デジタル信号に変換させる。カメラCPU110は、デジタルのCCD信号に対して各種の画像処理を施し、デジタルの画像データを作成する。更に、カメラCPU110は、作成したデジタルの画像データを圧縮し、画像ファイルとしてRAM122に記憶する。
【0048】
カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を観察位置に移動させる。また、カメラCPU110は、必要に応じて、レンズCPU210に手振れ補正の制御終了指示を送信する。
【0049】
カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に記憶されている画像の記録先に関する情報を読み取る。カメラCPU110は、画像の記録先として外部メモリが選択されていれば、画像ファイルをメモリカード143に記憶する。また、カメラCPU110は、画像の記録先として内部メモリが選択されていれば、画像ファイルをフラッシュメモリ121に記憶する。
【0050】
(ライブビュー撮影)
ライブビュー撮影とは、液晶モニタ145を見ながら撮影する形態をいう。カメラCPU110は、モード切り替えスイッチ(操作スイッチ141)がライブビュー撮影モードに切り替えられると、ライブビュー撮影の動作を開始する。まず、カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を退避位置に移動させる。カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御して、シャッタユニット111を開状態とする。
【0051】
カメラCPU110は、センサ駆動回路103を駆動して、CCDイメージセンサ101による被写体光像の撮像を開始する。ライブビュー撮影では、所定のフレームレートでCCDイメージセンサ101からCCD信号が繰り返し読み出される。撮像回路102は、CCDイメージセンサ101から読み出されたCCD信号を増幅し、デジタル信号に変換する。カメラCPU110は、デジタルのCCD信号に対して各種の画像処理を施し、デジタルの画像データを作成すると共に、RAM122に記憶する。また同時に、カメラCPU110は、画像データをモニタ駆動回路144へ送信して、液晶モニタ145に表示させる。これにより、液晶モニタ145には、ライブビュー画像(動画像)が表示される。撮影者は、液晶モニタ145に表示されたライブビュー画像を見ながら撮影を行うことができる。
【0052】
なお、ライブビュー撮影時は、ミラー113及びサブミラー119を退避位置に移動させているため、測光センサ116や測光回路136を使用することができない。このため、カメラCPU110は、CCDイメージセンサ101で撮像した画像から被写体光像の輝度を測定し、露出条件を演算する。
【0053】
同様に、ライブビュー撮影時には、AFセンサ118やAFセンサ回路133を使用することができない。このため、カメラCPU110は、CCDイメージセンサ101で撮像した画像からピント情報を検出し、レンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信する。また、ライブビュー撮影時には、ファインダ接眼窓による画像の観察は行われない。このため、カメラCPU110は、撮影中の撮影情報をライブビュー画像に重ね合わせて液晶モニタ145に表示する。
【0054】
カメラCPU110は、液晶モニタ145にライブビュー画像を表示している間に、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)が全押し操作されると、レンズCPU210に絞り制御の指示を送信する。これにより、絞りユニット203を通過する光量が調節される。
【0055】
また、カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を観察位置に移動させる。この後、カメラCPU110は、焦点板114に結像した被写体光像の輝度を測光センサ116及び測光回路136を介して読み取り、露出条件を演算する。また、カメラCPU110は、AFセンサ118に結像した被写体光像のデフォーカス量(ピント情報)を、AFセンサ回路133を介して取得し、被写体からCCDイメージセンサ101の撮像面までの距離情報を算出する。
【0056】
その後の動作は、上述した(レリーズスイッチの全押し操作)の場合と同じである。これにより、ライブビュー画像を表示している間に、レリーズスイッチが全押し操作された時点での静止画像が撮像される。カメラCPU110は、ライブビュー撮影の終了後は、再び液晶モニタ145によるライブビュー画像の表示を行う。
【0057】
カメラCPU110は、モード切り替えスイッチ(操作スイッチ141)が通常の撮影モードに切り替えられると、ライブビュー撮影の動作を終了する。カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を観察位置に移動させる。カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御して、シャッタユニット111を閉状態とする。また、カメラCPU110は、液晶モニタ145によるライブビュー画像の表示を終了する。その他、通常の撮影モードと同じ動作を実行する。
【0058】
(画像の再生)
カメラCPU110は、モード切り替えスイッチ(操作スイッチ141)が再生モードに切り替えられると、再生モードの動作を開始する。カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に記憶されている画像の記録先に関する情報を読み取る。カメラCPU110は、画像の記録先として外部メモリが選択されていれば、メモリカード143から画像ファイルを読み出す。また、カメラCPU110は、画像の記録先として内部メモリが選択されていれば、フラッシュメモリ121から画像ファイルを読み出す。なお、このとき読み出される画像ファイルは、例えば、最後に記憶された画像ファイルである。
【0059】
カメラCPU110は、画像ファイルを解凍し、画像データに復元してRAM122に記憶する。カメラCPU110は、復元した画像データをモニタ駆動回路144へ送信して、液晶モニタ145に表示させる。また、カメラCPU110は、セレクタダイアル(操作スイッチ141)が選択操作されると、選択されたコマの記録されている画像ファイルを外部又は内部メモリから読み出して、上述の手順により液晶モニタ145に表示させる。
【0060】
カメラCPU110は、モード切り替えスイッチ(操作スイッチ141)が撮影モードに切り替えられると、撮影モードの動作を開始する。カメラCPU110は、液晶モニタ145における画像の表示を終了する。以降の動作は、上述した(電源ON、撮影モードでの動作)と同じである。
【0061】
次に、実施形態1に係るカメラ1において、動きのある被写体を撮影(以下、適宜に「動体撮影」という)する場合の動作について説明する。本実施形態では、動きのある被写体として、サーキットを走行する車を例として説明する。まず、本撮影に先立ってスキャン撮影を行い、カメラ1の撮影方向と撮影予定位置までの距離情報を取得する。スキャン撮影は、カメラ1の撮影方向と撮影予定位置までの距離情報を取得するために、本撮影に先立って実施する事前撮影である。この実施形態1では、撮影範囲の全体を一括してスキャン撮影する例について説明する。また、後述する実施形態2では、撮影範囲の一部を連続的にスキャン撮影する例について説明する。いずれの場合も、スキャン撮影時に撮影した領域が本撮影の撮影領域となる。
【0062】
図2は、実施形態1の撮影範囲を示す説明図である。図3は、ファインダ枠の表示内容を示す説明図である。図4は、実施形態1のスキャン撮影時における撮影領域を示す説明図である。図5は、カメラ1の水平回転角度θhを取得する際の模式図である。図6は、カメラ1の垂直回転角度θvを取得する際の模式図である。図7は、実施形態1のデータテーブルを示す説明図である。図8(a)〜(c)は、実施形態1の本撮影時における撮影範囲と撮影領域とを示す説明図である。
【0063】
図2に示すように、撮影者が撮影しようとする撮影範囲301には、サーキットの一部である路面302及び縁石303が含まれている。実施形態1では、撮影範囲301の全体が本撮影における撮影領域305(後述)となる。
【0064】
また、図3に示すように、ファインダ枠304には、撮影領域305と、ファインダ内情報表示枠306とが表示される。ファインダ枠304は、撮影者がファインダ接眼窓(不図示)から観察することができる画像表示枠である。撮影領域305は、被写体光像を写す表示枠である。撮影領域305には、レンズ鏡筒20の画角により切り取られた範囲の被写体光像が表示される。ファインダ内情報表示枠306は、露出値、撮影モード、露出補正値等の情報を表示する表示枠である。
【0065】
撮影領域305には、AFエリア307が表示されている。AFエリア307は、測距位置としてのフォーカスポイントが配置された領域である。本実施形態のAFエリア307には、11個のフォーカスポイントFP1〜FP11(以下、適宜に「フォーカスポイントFP」と総称する)が配置されている。この11個のフォーカスポイントFPのうち、ピントを合わせているフォーカスポイントFPは、赤色に点灯する。本実施形態では、赤色に点灯しているフォーカスポイントFPを太線で示す。
【0066】
フォーカスポイントFPの点灯は、ファインダ表示部115の所定位置に赤色の矩形枠を表示する。これにより、焦点板114に結像した被写体光像、ファインダ表示部115に表示された撮影情報、及び赤色の矩形枠が重ね合わされて表示される。
【0067】
実施形態1の動体撮影モード1において用いられるフォーカスモード(被写体追尾機能)では、撮影者が設定したフォーカスポイントFPで被写体にピントを合わせると、被写体の動きに合わせてフォーカスポイントFPが自動的に切り換えられる。上述したフォーカスポイントFPの点灯は、撮影者がピントを合わせた被写体を追尾するように移動する。被写体追尾機能については後述する。
【0068】
次に、実施形態1のスキャン撮影について説明する。撮影者は、スキャン撮影を行う場合に、セレクタダイアル(不図示)を操作して、スキャン撮影モード1を選択する。そして、撮影者は、図4に示すように、撮影予定位置にカメラ1を向け、撮影範囲301と撮影領域305とが略一致するように、レンズ鏡筒20の焦点距離を変更(又はカメラ1の位置を移動)する。
【0069】
続いて、撮影者は、撮影範囲301において、被写体となる車が通過すると予想される撮影予定位置のフォーカスポイントFPを順番に設定する。撮影者は、図4に示す画像を見ながら、セレクタダイアル(不図示)を操作することにより所望のフォーカスポイントFPを設定することができる。なお、図4において、被写体となる車は、撮影領域305の右上から左下に向かって走行する。ここでは、路面302に沿って3つのフォーカスポイントFP2、FP6、FP10が、その順番で設定されたとする。
【0070】
撮影者は、一つのフォーカスポイントFPを設定する毎に、レリーズスイッチを半押し操作した後、更に全押し操作して、静止画画像を撮影する。撮影者が、設定したフォーカスポイントFPにおいて静止画画像を撮影すると、そのフォーカスポイントFPに対応する撮影予定位置までの距離情報がAFセンサ回路133で取得される。カメラCPU110は、設定されたフォーカスポイントFPの位置、そのフォーカスポイントFPに対応する撮影予定位置までの距離情報、及びそのフォーカスポイントFPが設定された順番を示す情報を対応付けてフラッシュメモリ121に記憶する。なお、スキャン撮影において取得した画像データは、フラッシュメモリ121に記憶される。
【0071】
また、撮影者がフォーカスポイントFPの設定を開始すると、カメラCPU110は、電子コンパス148及び傾斜センサ149を介して、撮影領域305に向けられたカメラ1の撮影方向に関する情報を取得する。
【0072】
電子コンパス148は、図5に示すように、カメラ1(光軸L)の水平回転角度θhを、N(北)方向(0°)に対する角度として取得する。また、傾斜センサ149は、図6に示すように、カメラ1(光軸L)の垂直回転角度θvを、水平ラインH(0°)に対する角度として取得する。
【0073】
カメラCPU110は、取得した水平回転角度θh及び垂直回転角度θvを、撮影領域305に向けられたカメラ1の撮影方向に関する情報(以下「方向情報」という)としてフラッシュメモリ121に記憶する。後述するように、カメラCPU110は、本撮影時においても、水平回転角度θh及び垂直回転角度θvを取得する。
【0074】
また同時に、カメラCPU110は、GPS回路150によりカメラ1の位置情報を取得する。カメラCPU110は、取得した位置情報(緯度、経度)を、カメラ1の基準位置情報としてフラッシュメモリ121に記憶する。後述するように、カメラCPU110は、本撮影時においても、カメラ1の基準位置情報を取得する。
【0075】
カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に、基準位置情報に対応したデータテーブルを作成する。図7に示すように、実施形態1で作成されるデータテーブルには、カメラ1の基準位置情報、カメラ1の方向情報、3つのフォーカスポイントFPの番号(設定された順番を示す情報を含む)及び各フォーカスポイントFPにおける距離情報が対応付けられている。
【0076】
次に、実施形態1の本撮影について説明する。撮影者は、撮影範囲301と撮影領域305とを一致させた状態で動体撮影を行う場合に、セレクタダイアル(不図示)を操作して、動体撮影モード1を選択する。
【0077】
続いて、撮影者は、スキャン撮影を行った位置において、撮影予定位置の方向にカメラ1を向け、撮影範囲301と撮影領域305とが略一致するように、レンズ鏡筒20の焦点距離を変更(又はカメラ1を移動)する。これにより、スキャン撮影を行ったときと同じ撮影範囲301が本撮影の撮影領域305となる。
【0078】
また、撮影者は、スキャン撮影において、一番目に設定したフォーカスポイントFP2を設定する。撮影者は、セレクタダイアル(不図示)を操作することにより、フォーカスポイントFP2を設定することができる。このとき、カメラCPU110は、GPS回路150によりカメラ1の位置情報を取得する。なお、データテーブル(図7)に記憶されたフォーカスポイントFPの順番を示す情報に基づいて、スキャン撮影時に一番目に設定したフォーカスポイントFP2を自動で設定してもよい。
また、2番目以降のフォーカスポイントFPについては、データテーブル(図7)に記憶されたフォーカスポイントFP2、FP6、FP10の順番を示す情報に基づいて自動的に設定される。
【0079】
次に、撮影者は、被写体となる車308が撮影領域305に現れ、フォーカスポイントFP2の位置に達したときに、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)を半押し操作する。この後、撮影者がレリーズスイッチを半押し操作している間、被写体追尾機能により、図8(a)〜(c)に示すように、車308の動きに合わせてフォーカスポイントFP2、FP6、FP10の順番で自動的に切り換えられる。
【0080】
カメラCPU110は、動体撮影モード1が選択された状態でレリーズスイッチが半押し操作されると、データテーブル(図7)を参照して、本撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報とが略一致する場合、すなわちスキャン撮影時と本撮影時の撮影位置とが略一致する場合には、以下のようにしてピントを制御する。
【0081】
カメラCPU110は、本撮影時において、レリーズスイッチが半押し操作されると、カメラ1の方向情報(水平回転角度θh及び垂直回転角度θv)を取得する。そして、データテーブル(図7)を参照して、半押し操作時に取得したカメラ1の方向情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の方向情報とがほぼ一致する場合には、車308にピントを合わせているフォーカスポイントFPに対応する距離情報をデータテーブルから取得する。そして、カメラCPU110は、データテーブルから取得した距離情報に基づいてレンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信する。これにより、レンズCPU210は、AF駆動部211を介してフォーカスレンズ201を駆動し、CCDイメージセンサ101の撮像面に投影された被写体光像にピントを合わせる。
【0082】
また、カメラCPU110は、被写体追尾機能により、車308にピントを合わせているフォーカスポイントFPが、フォーカスポイントFP2からフォーカスポイントFP6に切り換えられた場合には、フォーカスポイントFP6に対応する距離情報をデータテーブルから取得する。同様に、カメラCPU110は、被写体追尾機能により、車308にピントを合わせているフォーカスポイントFPが、フォーカスポイントFP6からフォーカスポイントFP10に切り換えられた場合には、フォーカスポイントFP10に対応する距離情報をデータテーブルから取得する。カメラCPU110は、それぞれ取得した距離情報に基づいて、レンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信し、フォーカスレンズ201を駆動させる。これにより、各フォーカスポイントFPにおいて、被写体にピントが合った状態となる。
【0083】
また、カメラCPU110は、フォーカスポイントFP2、FP6、又はFP10において車308にピントを合わせている間に、レリーズスイッチが全押し操作された場合には、その時点の露出とピント位置で被写体光像を撮像する(レリーズスイッチの全押し操作の項目を参照)。
【0084】
次に、実施形態1の動体撮影モード1が選択された場合におけるカメラCPU110の処理手順を図9のフローチャートを参照しながら説明する。カメラCPU110は、撮影者により動体撮影モード1を選択されたときに、フラッシュメモリ121に記憶されている動体撮影モード1の制御プログラムを読み出し、本フローチャートの処理を実行する。ここでは、動体撮影モード1による本撮影に先立って、スキャン撮影モード1によるスキャン撮影が実施されているものとする。なお、図9では、手振れ補正等の処理の説明を省略する。また、「レリーズスイッチの半押し操作」、「レリーズスイッチの全押し操作」で説明した内容についても一部省略する。
【0085】
図9に示すステップS101において、カメラCPU110は、レリーズスイッチが半押し操作された否かを判定する。なお、本撮影において、撮影者は、被写体となる車308が撮影領域305(図6参照)に現れ、フォーカスポイントFP2の位置に達したときに、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)を半押し操作する。カメラCPU110は、ステップS101の判定がYESであればステップS102の処理へ移行し、NOであればステップS101の処理へ戻る。
【0086】
ステップS102において、カメラCPU110は、被写体光像の輝度を測光センサ116及び測光回路136を介して読み取り、露出条件を演算する。
ステップS103において、カメラCPU110は、GPS回路150によりカメラ1の基準位置情報を取得する。
【0087】
ステップS104において、カメラCPU110は、レリーズスイッチの半押し操作時(ステップS103)に取得したカメラ1の基準位置情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報とが略一致するか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS104の判定がYESであればステップS105の処理へ移行し、NOであればステップS114の処理へ移行する。
【0088】
ステップS105において、カメラCPU110は、カメラ1の水平回転角度θhを取得する。
ステップS106において、カメラCPU110は、カメラ1の垂直回転角度θvを取得する。
【0089】
ステップS107において、カメラCPU110は、レリーズスイッチの半押し操作時(ステップS105及びステップS106)に取得したカメラ1の方向情報(水平回転角度θh及び垂直回転角度θv)と、データテーブルに記憶しているスキャン撮影時のカメラ1の方向情報とを照合し、2つの方向情報が略一致するか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS107の判定がYESであればステップS108の処理へ移行し、NOであればステップS114の処理へ移行する。
【0090】
ステップS108において、カメラCPU110は、スキャン撮影時に最初に設定されたフォーカスポイントFP2に対応付けられた距離情報をデータテーブルから取得する。
【0091】
ステップS109において、カメラCPU110は、データテーブルから取得した距離情報に基づいて、レンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信し、データテーブルから取得した距離情報の位置でピントが合うようにフォーカスレンズ201を駆動させる。この後、カメラCPU110は、被写体追尾制御部110aの機能として、上述した(i)〜(iii)の動作を実行し、被写体の移動に合わせてフォーカスポイントFPを順番に切り換える。
【0092】
ステップS110において、カメラCPU110は、レリーズスイッチが全押し操作された否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS110の判定がYESであればステップS116の処理へ移行し、NOであればステップS111の処理へ移行する。
【0093】
ステップS111(ステップS110:NO判定)において、カメラCPU110は、フォーカスポイントFPが切り換えられたか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS111の判定がYESであればステップS112の処理へ移行し、NOであればステップS110の処理へ戻る。
【0094】
ステップS112において、カメラCPU110は、切り換えられたフォーカスポイントFPに対応付けられた距離情報がデータテーブルにあるか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS112の判定がYESであればステップS113の処理へ移行し、NOであればステップS101の処理へ戻る。
【0095】
ステップS113において、カメラCPU110は、切り換えられたフォーカスポイントFPに対応付けられた距離情報をデータテーブルから取得する。ステップS113の後、カメラCPU110は、ステップS109の処理へ移行する。
【0096】
一方、ステップS114(ステップS104、ステップS107:NO判定)において、カメラCPU110は、AFセンサ回路133で取得したデフォーカス量に基づいて算出した距離情報(通常のAF動作により取得した距離情報)の位置でピントが合うようにフォーカスレンズ201を駆動させる。このように、カメラCPU110は、スキャン撮影時と撮影位置が異なる場合や、本撮影時に取得したカメラ1の方向情報とデータテーブルに記憶しているカメラ1の方向情報とが略一致しない場合には、通常のAF動作により取得した距離情報に基づいてピント合わせを行う。
【0097】
ステップST115において、カメラCPU110は、レリーズスイッチが全押し操作された否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS115の判定がYESであればステップS116の処理へ移行し、NOであればステップS101の処理へ戻る。
【0098】
ステップS1162において、カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御してシャッタユニット111を開状態とし、CCDイメージセンサ101で被写体光像を撮像する(撮像処理)。このとき、カメラCPU110は、レンズCPU210に絞り制御の指示を送信して、ステップS102で演算した絞り値により、絞りユニット203を通過する光量を制御させる。また、カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を退避位置に移動させる。
【0099】
ステップS117において、カメラCPU110は、撮像した被写体光像に基づいて、デジタルの画像データを作成する(画像処理)。
【0100】
ステップS118において、カメラCPU110は、作成したデジタルの画像データを圧縮し、画像ファイルとしてフラッシュメモリ121又はメモリカード143に記憶する。ステップS118の処理が終了した後、カメラCPU110は、本フローチャートの処理を終了する。
【0101】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2に係るカメラの基本的な構成は、実施形態1に係るカメラ1(図1)と同じであるため、説明を省略する。実施形態2において、カメラCPU110における被写体追尾制御部110aの機能は必須ではない。以下、実施形態1と同等部分に同一符号を付して説明する。図10は、実施形態2の撮影範囲とスキャン撮影時における撮影領域を示す説明図である。図11は、実施形態2のデータテーブルを示す説明図である。図12は、実施形態2の本撮影時における撮影範囲と撮影領域を示す説明図である。
【0102】
図10に示すように、撮影者が撮影しようとする撮影範囲301には、実施形態1と同様に、サーキットの一部である路面302及び縁石303が含まれている。実施形態2では、撮影範囲301の一部が本撮影における撮影領域305となる。なお、ファインダ枠の表示内容については実施形態1と同じであるため説明を省略する。また、フォーカスポイントFP1〜FP11(不図示)の配置も同じである。
【0103】
次に、実施形態2のスキャン撮影について説明する。撮影者は、スキャン撮影を行う場合に、セレクタダイアル(不図示)を操作して、スキャン撮影モード2を選択する。そして、撮影者は、図10に示すように、撮影する方向にカメラ1を向け、撮影範囲301に対して、撮影領域305が所望の画角となるように、レンズ鏡筒20の焦点距離を変更(又はカメラ1の撮影位置を移動)する。例えば、レンズ鏡筒20として望遠レンズを装着することにより、広い画角の撮影範囲301対して狭い画角の撮影領域305を得ることができる。
【0104】
続いて、撮影者は、撮影領域305の中央に位置するフォーカスポイントFP6を設定する。撮影者は、セレクタダイアル(不図示)を操作することによりフォーカスポイントFP6を設定することができる。なお、設定するフォーカスポイントFPは、中央に位置するフォーカスポイントFP6でなくてもよい。例えば、車の先端部にピントを合わせたい場合には、フォーカスポイントFP11(図3参照)を設定すればよい。
【0105】
そして、撮影者は、被写体となる車が通過すると予想される軌道(図10に示す矢印A)に沿ってカメラ1の撮影方向を変えながら、撮影領域305に写し出された静止画画像を連続撮影する。連続撮影の速度(コマ数/秒)は、適宜に設定することができる。その連続撮影において、撮影したコマ毎に、フォーカスポイントFP6における距離情報がAFセンサ回路133で取得される。
【0106】
また、スキャン撮影が開始されると、カメラCPU110は、連続撮影の撮影コマ毎に、電子コンパス148及び傾斜センサ149を介して、撮影予定位置に向けられたカメラ1の方向情報(撮影方向に関する情報)を取得する。実施形態2では、撮影の1コマ毎にカメラ1の方向情報を取得する。カメラCPU110は、カメラ1の方向情報を取得する毎に、フラッシュメモリ121に記憶する。
【0107】
更に、スキャン撮影が開始されると、カメラCPU110は、GPS回路150によりカメラ1の位置情報を取得する。カメラCPU110は、取得した位置情報(緯度、経度)を、カメラ1の基準位置情報としてフラッシュメモリ121に記憶する。
【0108】
カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に、基準位置情報に対応したデータテーブルを作成する。図11に示すように、実施形態2で作成されるデータテーブルでは、カメラ1の複数の方向情報と、フォーカスポイントFP6における複数の距離情報とが対応付けられている。
【0109】
次に、実施形態2の本撮影について説明する。撮影者は、撮影範囲301の一部を撮影領域305として動体撮影を行う場合に、セレクタダイアル(不図示)を操作して、動体撮影モード2を選択する。
【0110】
続いて、撮影者は、スキャン撮影を行った位置において、被写体となる車が現れる方向にカメラを向ける。そして、図12に示すように、被写体となる車308を撮影領域305の中央(フォーカスポイントFP6)で捉え、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)を半押し操作しながら、車308の移動に合わせてカメラ1の撮影方向を変える。
【0111】
カメラCPU110は、動体撮影モード2が選択された状態でレリーズスイッチが半押し操作されると、データテーブル(図11)を参照して、本撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報とが略一致する場合、すなわちスキャン撮影時と本撮影時の撮影位置とが略一致する場合には、以下のようにしてピントを制御する。
【0112】
カメラCPU110は、レリーズスイッチが半押し操作されると、その時点におけるカメラ1の方向情報(水平回転角度θh及び垂直回転角度θv)を取得する。そして、データテーブル(図11)を参照し、本撮影時に取得したカメラ1の方向情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の方向情報とがほぼ一致する場合には、フォーカスポイントFP6の距離情報をデータテーブルから取得する。そして、カメラCPU110は、データテーブルから取得した距離情報に基づいてレンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信する。これにより、レンズCPU210は、AF駆動部211を介してフォーカスレンズ201を駆動し、CCDイメージセンサ101の撮像面に投影された被写体光像にピントを合わせる。
【0113】
また、カメラCPU110は、撮影領域305の中央において車308にピントを合わせている間に、レリーズスイッチが全押し操作された場合には、その時点の露出とピント位置で被写体光像を撮像する(レリーズスイッチの全押し操作の項目を参照)。
【0114】
次に、実施形態2の動体撮影モード2が選択された場合におけるカメラCPU110の処理手順を図13のフローチャートを参照しながら説明する。カメラCPU110は、撮影者により動体撮影モード2を選択されたときに、フラッシュメモリ121に記憶されている動体撮影モード2の制御プログラムを読み出し、本フローチャートの処理を実行する。ここでは、動体撮影モード2による本撮影に先立って、スキャン撮影モード2によるスキャン撮影が実施されているものとする。なお、図13では、手振れ補正等の処理の説明を省略する。また、「レリーズスイッチの半押し操作」、「レリーズスイッチの全押し操作」で説明した内容についても一部省略する。
【0115】
図13に示すステップS201において、カメラCPU110は、レリーズスイッチが半押し操作された否かを判定する。なお、本撮影において、撮影者は、被写体となる車308を撮影領域305(図12参照)の中央(フォーカスポイントFP6)で捉え、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)を半押し操作する。カメラCPU110は、ステップS201の判定がYESであればステップS202の処理へ移行し、NOであればステップS201の処理へ戻る。
【0116】
ステップS202において、カメラCPU110は、被写体光像の輝度を測光センサ116及び測光回路136を介して読み取り、露出条件を演算する。
ステップS203において、カメラCPU110は、GPS回路150によりカメラ1の基準位置情報を取得する。
【0117】
ステップS204において、カメラCPU110は、レリーズスイッチの半押し操作時(ステップS203)に取得したカメラ1の基準位置情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報とが略一致するか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS204の判定がYESであればステップS205の処理へ移行し、NOであればステップS214の処理へ移行する。
【0118】
ステップS205において、カメラCPU110は、カメラ1の水平回転角度θhを取得する。
ステップS206において、カメラCPU110は、カメラ1の垂直回転角度θvを取得する。
【0119】
ステップS207において、カメラCPU110は、レリーズスイッチの半押し操作時(ステップS205及びステップS206)に取得したカメラ1の方向情報(水平回転角度θh及び垂直回転角度θv)と、データテーブルに記憶しているスキャン撮影時のカメラ1の方向情報とを照合し、2つの方向情報が略一致するか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS207の判定がYESであればステップS208の処理へ移行し、NOであればステップS214の処理へ移行する。
【0120】
ステップS208において、カメラCPU110は、撮影領域305の中央にあるフォーカスポイントFP6に対応付けられた距離情報をデータテーブルから取得する。
【0121】
ステップS209において、カメラCPU110は、データテーブルから取得した距離情報に基づいて、レンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信し、データテーブルから取得した距離情報の位置でピントが合うようにフォーカスレンズ201を駆動させる。
【0122】
ステップS210において、カメラCPU110は、レリーズスイッチが全押し操作された否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS210の判定がYESであればステップS211の処理へ移行し、NOであればステップS201の処理へ戻る。
【0123】
ステップS211において、カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御してシャッタユニット111を開状態とし、CCDイメージセンサ101で被写体光像を撮像する(撮像処理)。このとき、カメラCPU110は、レンズCPU210に絞り制御の指示を送信して、ステップS202で演算した絞り値により、絞りユニット203を通過する光量を制御させる。また、カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を退避位置に移動させる。
【0124】
ステップS212において、カメラCPU110は、撮像した被写体光像に基づいて、デジタルの画像データを作成する(画像処理)。
【0125】
ステップS213において、カメラCPU110は、作成したデジタルの画像データを圧縮し、画像ファイルとしてフラッシュメモリ121又はメモリカード143に記憶する。ステップS213の処理が終了した後、カメラCPU110は、本フローチャートの処理を終了する。
【0126】
一方、ステップS214(ステップS204、ステップS207:NO判定)において、カメラCPU110は、AFセンサ回路133で取得したデフォーカス量に基づいて算出した距離情報(通常のAF動作により取得した距離情報)の位置でピントが合うようにフォーカスレンズ201を駆動させる。このように、カメラCPU110は、スキャン撮影時と撮影位置が異なる場合や、本撮影時に取得したカメラ1の方向情報とデータテーブルに記憶しているカメラ1の方向情報とが略一致しない場合には、通常のAF動作により取得した距離情報に基づいてピント合わせを行う。ステップS214の処理が終了すると、カメラCPU110は、ステップS110の処理へ移行する。
【0127】
上述した実施形態1及び2によれば、以下のような効果を奏する。
(1)撮影範囲301に向けられたカメラ1の方向情報と、撮影領域305に設定されたフォーカスポイントFPの距離情報とに基づいてピント合わせを行うので、撮影範囲301の輝度が低い場合や被写体のコントラストが低い場合でも、動きのある被写体に対して適切なピント合わせを行うことができる。また、撮影領域305に設定したフォーカスポイントFPでピントを合わせ続けることができるので、置きピン撮影とは異なり、動きのある被写体を連写した場合において、後の撮影コマにおいても被写体に対して適切にピントを合わせることができる。
【0128】
(2)被写体とカメラ1との間の距離をある程度特定することができるので、フォーカスレンズ201を至近側から無限遠まで駆動する場合と比べ、ピント合わせを高速に行うことができる。また、カメラ1が被写体を一時的に外しても、再び撮影範囲301にカメラ1を向けることにより、素早くピント合わせを行うことができる。
【0129】
(3)カメラ1の方向情報を、電子コンパス148及び傾斜センサ149により取得するため、カメラ1の方向情報を正確に取得することができる。また、カメラ1の方向情報は、角速度センサ146及び角加速度センサ147により取得してもよい。
【0130】
(4)実施形態1において、撮影者は、撮影領域305のフォーカスポイントFPを任意に設定することができる。これによれば、撮影者は、予め被写体が通過すると予測される位置のフォーカスポイントFPを設定しておくことにより、動きのある被写体を所望の構図で撮影することができる。また、実施形態1では、撮影範囲301の全体が撮影領域305となるため、とくに広角レンズを使用した撮影に適している。
【0131】
(5)実施形態2において、撮影者は、被写体を撮影領域305の中央に捉えたままカメラ1の撮影方向を変えればよいため、フォーカスポイントFPの切り換わりを意識することなしに撮影に集中することができる。また、実施形態2では、撮影範囲301の一部が撮影領域305となるため、とくに望遠レンズを使用した流し撮り撮影に適している。
【0132】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明は以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
【0133】
実施形態1では、スキャン撮影において、撮影者が所望のフォーカスポイントFPを設定する例について説明した。この例では、撮影者が設定したフォーカスポイントFPで距離情報が取得される。しかし、この例に限らず、すべてのフォーカスポイントFP1〜FP11で距離情報を取得するようにしてもよい。すなわち、スキャン撮影において、レリーズスイッチが全押し操作されたときに、すべてのフォーカスポイントFP1〜FP11において順番にピントを合わせながら静止画画像を連続撮影する。その際、各フォーカスポイントFPにおいて距離情報を取得する。
【0134】
また、カメラ1と撮影予定位置までの距離情報の代わりに、レンズ鏡筒20におけるフォーカスレンズ201の位置情報を用いてもよい。
【0135】
実施形態2では、スキャン撮影において、被写体となる車308を連続撮影する例について説明した。しかしながら、スキャン撮影は、動画撮影であってもよい。この場合は、スキャン撮影によるデータ量が多くなるため、スキャン撮影により取得した動画データから方向情報や距離情報等を抽出した後、動画データを削除してもよい。
【0136】
また、スキャン撮影において、撮影対象となる部分(例えば、路面302)のコントラストが低い場合には、設定したフォーカスポイントFPにおいてピントを合わせにくい場合がある。その場合は、コントラストの高い部分(例えば、縁石303)を撮影する。そして、撮影した位置から実際の被写体が通過する位置までの差分を演算することにより、撮影対象となる部分までの正確な距離情報を取得することができる。
【0137】
また、実施形態1及び2のスキャン撮影においては、路面302にピントを合わせている。このため、本撮影時の被写体が車308のような立体的な被写体においては、実際の被写体との距離に誤差を生じる。このような場合には、スキャン撮影時に取得した距離情報に補正値を加えるようにしてもよい。この補正値は、被写体とカメラ1との距離、被写体とカメラ1との高低差等から算出することができる。例えば、スキャン撮影において路面302までの距離情報を取得し、本撮影では路面302の上に立っている人物の顔にピントを合わせる場合について説明する。この場合は、パターンマッチング等を用いた顔認識機能により人物の顔の部分を特定する。そして、特定した顔の位置と路面302との高さを算出し、これを補正値としてスキャン撮影時に取得した距離情報に加算する。
【0138】
また、被写体が円を描くような軌跡で移動する場合、例えば、被写体が撮影者に向かってUターンするような場合には、移動中における被写体の見かけ上の位置がほとんど変わらず、撮影者との距離のみが変化する。この場合、被写体の大きさ(例えば、人物の身長)が予め分かっていれば、撮影した被写体の大きさに基づいてデータテーブルの距離情報を補正することにより、被写体までの正確な距離情報を得ることができる。また、設定したフォーカスポイントFPにおける距離の数値を、撮影者がカメラ1に手動により入力してもよい。
【0139】
また、スキャン撮影において、撮影予定位置までの距離情報を取得するのと同時に、その撮影予定位置における測光情報を取得してもよい。この測光情報は、距離情報と関連付けてデータテーブルに記憶する。本撮影時には、データテーブルに記憶している測光情報を被写体の背景の測光情報として用いることにより、主被写体の露出値をより適切に演算することができる。
【0140】
実施形態1及び2では、データテーブルから取得した距離情報の位置にピントを合わせる例を説明した。これに限らず、データテーブルから取得した距離情報と、通常のAF動作で取得したデフォーカス量とに基づいてピント合わせを行なうようにしてもよい。
【0141】
実施形態1のステップS104(図9参照)において、レリーズスイッチの半押し操作時に取得したカメラ1の基準位置情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報とを比較する際の許容範囲は、ピントの精度に影響の無い範囲で適宜に設定することができる。半押し操作時とスキャン撮影時において基準位置情報の差が許容範囲であれば、略一致していると判定する。また、半押し撮影時とスキャン撮影時において基準位置情報の差が許容範囲を越える場合には、その距離に応じてデータテーブルに記憶している距離情報を補正するようにしてもよい。その場合は、ステップS104からステップS105へ処理を移行する。
【0142】
同様に、実施形態1のステップS107(図9参照)において、レリーズスイッチの半押し操作時に取得したカメラ1の方向情報と、データテーブルに記憶しているカメラ1の方向情報とを比較する際の許容範囲は、ピントの精度に影響の無い範囲で適宜に設定することができる。半押し操作時とスキャン撮影時において方向情報の差が許容範囲であれば、略一致していると判定する。また、半押し操作時とスキャン撮影時において方向情報の差が許容範囲を越える場合には、実施形態1のようにステップS114へ処理を移行してもよいし、その差分に応じてデータテーブルに記憶している距離情報を補正するようにしてもよい。その場合は、ステップS107からステップS108へ処理を移行する。
【0143】
被写体となる車308にGPS装置が搭載されている場合は、本撮影前に車308が撮影範囲を通過したときに、カメラ1と車308との位置関係から、カメラ1の方向情報と撮影予定位置までの距離情報とを取得することができる。また、撮影エリア(本例ではサーキットのコースマップ等)の地図情報が存在する場合には、カメラ1の撮影位置をGPS機能により検出することにより、カメラ1の方向情報と撮影予定位置までの距離情報とを取得することができる。いずれの場合もスキャン撮影を省略することができる。
【0144】
実施形態1及び2におけるスキャン撮影は、撮影者がファインダ接眼窓(不図示)を観察しながら実施してもよいし、ライブビュー表示にした状態で実施してもよい。
【0145】
また、上記実施形態及び変形形態は適宜に組み合わせて用いることができるが、各実施形態の構成は図示と説明により明らかであるため、詳細な説明を省略する。更に、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0146】
1:カメラ、10:カメラ本体、20:レンズ鏡筒、101:CCDイメージセンサ、110:カメラCPU、110a:被写体追尾制御部、121:フラッシュメモリ、141:操作スイッチ、146:角速度センサ、147:角加速度センサ、148:電子コンパス、149:傾斜センサ、150:GPS回路、151:GPSアンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像手段を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラにおいて、動きのある被写体を撮影する場合には、被写体の移動速度を予測してフォーカス位置にレンズを駆動してピントを合わせる予測駆動AFや、被写体の動きに合わせてファインダ内のフォーカスポイントを自動的に切り換えてピントを合わせる被写体追尾AF等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−39854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した予測駆動AFや被写体追尾AFは、動きのある被写体の撮影に適している。しかし、撮影範囲の輝度が低い場合や被写体のコントラストが低い場合には、適切なピント合わせができないこともある。また、動きのある被写体の撮影において、予め決まった地点にピントを合わせておき、被写体がその地点に達した時点で撮影する、置きピン撮影と呼ばれる撮影方法がある。この置きピン撮影によれば、撮影範囲の輝度が低い場合や被写体のコントラストが低い場合でも、ピントを合わせることができる。しかし、置きピン撮影では、撮影範囲の一箇所にピントを合わせているため、動きのある被写体を連写した場合には、後の撮影コマにおいて被写体にピントが合わないこともある。
【0005】
本発明の課題は、動きのある被写体に対して適切なピント合わせを行うことができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、光学系を通過した被写体光像を撮像面で撮像する撮像手段と、撮影予定位置に向けられた前記光学系の方向に関する情報と、前記撮影予定位置までの距離情報とに基づいて、前記被写体光像の合焦を制御する合焦制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動きのある被写体に対して適切なピント合わせを行うことができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態1に係るカメラ1の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態1の撮影範囲を示す説明図である。
【図3】ファインダ枠の表示内容を示す説明図である。
【図4】実施形態1のスキャン撮影時における撮影領域を示す説明図である。
【図5】カメラ1の水平回転角度θhを取得する際の模式図である。
【図6】カメラ1の垂直回転角度θvを取得する際の模式図である。
【図7】実施形態1のデータテーブルを示す説明図である。
【図8】(a)〜(c)は実施形態1の本撮影時における撮影範囲と撮影領域とを示す説明図である。
【図9】実施形態1の動体撮影モード1が選択された場合におけるカメラCPU110の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施形態2の撮影範囲とスキャン撮影時における撮影領域を示す説明図である。
【図11】実施形態2のデータテーブルを示す説明図である。
【図12】実施形態2の本撮影時における撮影範囲と撮影領域とを示す説明図である。
【図13】実施形態2の動体撮影モード1が選択された場合におけるカメラCPU110の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係る撮像装置をデジタルカメラに適用した場合の実施形態について説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るカメラ1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施形態1に係るカメラ1は、カメラ本体10と、レンズ鏡筒20と、を備える。カメラ1は、カメラ本体10にレンズ鏡筒20が着脱自在に装着されるレンズ交換式の一眼レフデジタルカメラとして構成されている。
【0011】
カメラ本体10とレンズ鏡筒20とは、マウント2により機械的に結合される。また、カメラ本体10とレンズ鏡筒20とを結合したときに、カメラ本体10とレンズ鏡筒20とは、コネクタ3により電気的に接続される。
【0012】
レンズ鏡筒20は、入射した被写体光の像(以下、「被写体光像」という)を、CCDイメージセンサ101(後述)に結像させる光学系200を備える。また、レンズ鏡筒20は、光量制御、焦点調節、焦点距離の変更、手振れ量の測定、及び手振れの光学的補正を行う制御系を備える。
【0013】
レンズ鏡筒20は、光学系200として、フォーカスレンズ201、VRレンズ202、絞りユニット203、及びズームレンズ204を備える。フォーカスレンズ201は、被写体光像の焦点を調節(合焦)するためのレンズである。VRレンズ202は、カメラ1の手振れを補正するためのレンズである。絞りユニット203は、被写体光の光量を調節するための機構である。ズームレンズ204は、焦点距離を変更するためのレンズである。なお、図1に示す光学系200は、レンズ構成を概念的に示したものである。
【0014】
また、図1において、光学系200の光軸Lの方向は、撮影時にカメラ1が被写体を捉えている方向でもある。以下の説明では、カメラ本体10にレンズ鏡筒20が装着された状態における光学系200の光軸Lの方向を「カメラ1の撮影方向」という。
【0015】
また、レンズ鏡筒20は、制御系の構成として、振れセンサ205、AF駆動部211、VR駆動部212、絞り駆動部213、VR回路214、及びレンズCPU210を備える。振れセンサ205は、カメラ1の手振れ量を検出するセンサである。AF駆動部211はフォーカスレンズ201を駆動する回路である。VR駆動部212は、VRレンズ202を駆動するための回路である。絞り駆動部213は、絞りユニット203の絞り羽根(不図示)を開閉駆動するための回路である。VR回路214は、振れセンサ205から手振れ量に関する信号を取得する回路である。レンズCPU210は、カメラ本体10からの指示に応じて、上述した各駆動部や回路等を制御する。レンズCPU210は、マイクロプロセッサにより構成される。
【0016】
レンズCPU210は、カメラ本体10から送信されたレンズ駆動の指示に応じてAF駆動部211を制御し、フォーカスレンズ201を駆動する。これにより、レンズCPU210は、カメラ本体10に設けられたCCDイメージセンサ101(後述)の撮像面に投影された被写体光像を合焦させる。また、レンズCPU210は、カメラ本体10から送信された絞り制御の指示に応じて絞り駆動部213を駆動し、絞りユニット203を通過する光量を調節する。絞りユニット203を通過する光量は、絞り羽根の開度により調節される。
【0017】
また、レンズCPU210は、カメラ本体10から送信された手振れ補正の制御指示に応じてVR回路214を制御して、振れセンサ205によりカメラ1の手振れ量を検出すると共に、検出した手振れ量に基づいて手振れの補正量を算出する。そして、レンズCPU210は、算出した手振れの補正量に基づいてVR駆動部212を駆動し、手振れを補正する方向にVRレンズ202を移動させる。
【0018】
カメラ本体10は、撮影時における被写体光像の確認、被写体までの距離の測定(測距)、露出条件の演算、レンズ鏡筒20の制御、撮影した画像の再生等の処理を実行する。また、カメラ本体10は、レンズ鏡筒20を介して結像した被写体光像を電気信号に変換すると共に、各種画像処理を施した後、所定の記録媒体に記録する処理を実行する。
【0019】
カメラ本体10は、CCDイメージセンサ101、撮像回路102、センサ駆動回路103、カメラCPU110を備える。また、カメラ本体10は、シャッタユニット111、ローパスフィルタ112、ミラー113、焦点板114、ファインダ表示部115、測光センサ116、ペンタプリズム117、AFセンサ118、サブミラー119、フラッシュメモリ121、RAM122を備える。
【0020】
カメラ本体10は、シャッタ駆動部131、加振機構132、AFセンサ回路133、ミラー制御回路134、ファインダ表示回路135、測光回路136を備える。また、カメラ本体10は、スイッチ読み込み部140、操作スイッチ141a、141b、・・・141n、メモリインターフェース142、メモリカード143、モニタ駆動回路144、液晶モニタ145を備える。更に、カメラ本体10は、角速度センサ146、角加速度センサ147、電子コンパス148、傾斜センサ149、GPS回路150、GPSアンテナ151を備える。
【0021】
カメラ本体10において、レンズ鏡筒20を介して到達した被写体光は、ミラー113により焦点板114に結像する。また、ファインダ表示部115には、ファインダ表示回路135により撮影情報が表示される。焦点板114に結像した被写体光像は、ファインダ表示部115に表示された撮影情報と重ね合わされて、ペンタプリズム117を介してファインダ接眼窓(不図示)に導かれる。撮影者は、ファインダ接眼窓において、被写体光像と撮影情報とを同時に観察することができる。
【0022】
また、焦点板114に結像した被写体光像の輝度は、測光センサ116及び測光回路136を介して読み取られ、カメラCPU110へ送信される。
【0023】
一方、ミラー113に入射した被写体光の一部は、サブミラー119によりAFセンサ118に導かれ、ラインセンサ(不図示)上に結像される。AFセンサ回路133は、AFセンサ118に結像した被写体光像のデフォーカス量(ピント情報)を取得して、カメラCPU110へ送信する。
【0024】
ミラー113及びサブミラー119は、ミラー制御回路134により観察位置(図1に示すミラーダウン位置)又は退避位置(不図示のミラーアップ位置)に駆動される。ミラー113及びサブミラー119が退避位置に駆動されると、入射した被写体光はCCDイメージセンサ101へ導かれる。ミラー113及びサブミラー119とCCDイメージセンサ101との間には、シャッタユニット111、ローパスフィルタ112が設けられている。
【0025】
シャッタユニット111は、シャッタ駆動部131により開閉が制御される。シャッタユニット111が閉状態のときに、CCDイメージセンサ101は遮光されている。シャッタユニット111が開状態のときに、被写体光像は、CCDイメージセンサ101の撮像面に結像される。
【0026】
また、被写体光像は、ローパスフィルタ112を通過した際に、高周波成分が除去される。ローパスフィルタ112には、加振機構132が設けられている。ローパスフィルタ112は、加振機構132により振動が与えられることにより、表面に付着した異物が除去される。以下、加振機構132による異物の除去をクリーニング動作という。
【0027】
CCDイメージセンサ101は、センサ駆動回路103により駆動される。CCDイメージセンサ101は、撮像した被写体光像をCCD信号として読み出し、撮像回路102へ出力する。撮像回路102は、CCDイメージセンサ101から読み出されたCCD信号を増幅し、デジタル信号に変換する。
【0028】
液晶モニタ145は、モニタ駆動回路144により駆動される。液晶モニタ145には、CCDイメージセンサ101で撮像された画像が表示(再生表示又はリアルタイム表示)されるほか、撮影情報等が表示される。
【0029】
メモリカード143は、SDカード等の不揮発性の外部メモリである。メモリカード143は、メモリインターフェース142を介してカメラ本体10に着脱自在に装着される。メモリカード143には、カメラ本体10で撮影された画像データを記録(書き込み)することができる。また、メモリカード143は、記録されている画像データをカメラ本体10に出力(読み出し)することができる。
【0030】
カメラCPU110は、カメラ本体10とレンズ鏡筒20とを含めたカメラ1を統括的に制御する制御手段である。カメラCPU110は、マイクロプロセッサにより構成される。カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に記憶された制御プログラムに従って動作する。カメラCPU110によるカメラ1の制御については後述する。
【0031】
また、カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に記憶された被写体追尾制御プログラムの実行により、被写体追尾制御部110aとして機能する。カメラCPU110は、被写体追尾制御部110aの機能として、以下の動作を実行する。
【0032】
(i)動体撮影モード1及び2(後述)において、レリーズスイッチが半押し操作されたときに、その時点で撮影された画像データをテンプレート画像としてフラッシュメモリ121に記憶する。(ii)レリーズスイッチの半押し操作中に、所定の時間間隔で繰り返し画像データを取得し、その画像データの画面内において、テンプレート画像のフォーカスポイントFPで捉えた被写体と合致する対象物(被写体)をパターンマッチングの手法により検出する。(iii)検出した被写体の位置に合わせてフォーカスポイントFPを切り換え、そのフォーカスポイントFPにおける距離情報をデータテーブルから取得する。(iv)取得した距離情報に基づいて、レンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信し、フォーカスレンズ201を駆動させる。
【0033】
以上の動作により、被写体の移動に合わせてフォーカスポイントFPが切り換えられるとともに、切り換えられたフォーカスポイントFPにおいて、被写体にピントが合った状態となる。なお、フォーカスポイントFPが切り換えられたときに、上記(ii)で取得された画像データのうち、テンプレート画像のフォーカスポイントFPで捉えた被写体と合致する対象物の画像データが新たなテンプレート画像として更新される。
【0034】
フラッシュメモリ121は、各種の制御プログラムや撮像した画像データ等が記憶される内部メモリである。フラッシュメモリ121には、本撮影時においてカメラCPU110で実行される動体撮影モード1(図9参照)及び動体撮影モード2(図13参照)の制御プログラムが記憶されている。
【0035】
RAM122は、各種データが一時的に記憶される内部メモリである。RAM122は、例えば、プログラム実行時のワークメモリとして使用されるほか、画像データを画像処理する際の一時メモリ、画像処理された画像データをフラッシュメモリ121に記憶する際のバッファメモリ、フラッシュメモリ121に記憶されている画像データを読み出したときの一時メモリ、再生画像を画像処理する際の一時メモリ、及び液晶モニタ145に表示する画像データのバッファメモリとしても使用される。
【0036】
操作スイッチ141a、141b・・・141n(以下、「操作スイッチ141」と総称する)は、カメラ本体10に設けられた電源スイッチ、レリーズスイッチ、モード切り替えスイッチ、セレクタダイアル等(いずれも不図示)を示している。電源スイッチのON/OFF操作、レリーズスイッチの半押し/全押し操作、モード切り替えスイッチの操作、セレクタダイアルによる設定項目の移動、設定内容の選択及び決定の操作等は、スイッチ読み込み部140に出力される。スイッチ読み込み部140は、操作スイッチ141により検出された操作を、カメラCPU110へ送信する。
【0037】
角速度センサ146及び角加速度センサ147は、カメラ1の手振れを検出するためのセンサである。電子コンパス148は、地磁気を検出してカメラ1(光軸L)の向いている方角を算出する装置である。傾斜センサ149は、カメラ1(光軸L)の傾き角を検出する装置である。GPS回路150は、GPS衛星から発信されたGPS電波をGPSアンテナ151により受信して、地図上におけるカメラ1の位置(緯度、経度)を検出する装置である。以下、GPS回路150により検出されたカメラ1の位置を「位置情報」という。
【0038】
カメラCPU110は、これらのセンサを用いることにより、カメラ1の撮影方向に関する情報、及びカメラ1の基準位置に関する情報を取得することができる。角速度センサ146、角加速度センサ147、電子コンパス148、及び傾斜センサ149は、カメラ1の撮影方向に関する情報を検出する光軸方向検出手段として機能する。
【0039】
次に、本実施形態におけるカメラ1の基本的な動作について説明する。
(電源ON、撮影モードでの動作)
カメラCPU110は、電源スイッチ(操作スイッチ141)がON操作されると、カメラ本体10の電源をON状態とし、設定された撮影モードの動作を開始する。まず、カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御して、シャッタユニット111を閉状態とする。これにより、CCDイメージセンサ101が遮光される。
【0040】
カメラCPU110は、ミラー113及びサブミラー119が退避位置にある場合は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を観察位置に復帰させる。これにより、被写体光像が焦点板114に結像する。カメラCPU110は、焦点板114に結像した被写体光像の輝度を測光センサ116及び測光回路136を介して読み取り、露出条件を演算する。
【0041】
カメラCPU110は、ファインダ表示回路135を制御して、ファインダ表示部115に撮影情報を表示させる。これにより、ファインダ表示部115には、被写体光像と撮影情報とが同時に表示される。
【0042】
また、カメラCPU110は、電源ON時にクリーニング動作を実行するように設定されている場合には、加振機構132を制御して、ローパスフィルタ112を振動させる。これにより、ローパスフィルタ112の表面に付着した異物が除去される。また、カメラCPU110は、必要に応じて、メインコンデンサ(不図示)への充電を開始する。これにより、カメラ本体10に内蔵又は外付けされた照明装置(不図示)の発光が可能となる。
【0043】
(レリーズスイッチの半押し操作)
カメラCPU110は、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)が半押し操作されると、焦点板114に結像した被写体光像の輝度を測光センサ116及び測光回路136を介して読み取り、露出条件を演算する。また、カメラCPU110は、AFセンサ118に結像した被写体光像のデフォーカス量(ピント情報)を、AFセンサ回路133を介して取得し、被写体からCCDイメージセンサ101の撮像面までの距離情報を算出する。なお、後述するように、撮影領域には複数のフォーカスポイントFP(測距位置)が設定されている。カメラCPU110は、設定されたフォーカスポイントFPにおける距離情報を算出して、RAM122に記憶する。
【0044】
また、カメラCPU110は、算出した距離情報に基づいてレンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信する。これにより、レンズCPU210は、AF駆動部211を介してフォーカスレンズ201を駆動し、CCDイメージセンサ101の撮像面に投影された被写体光像を合焦させる(以下、被写体光像を合焦させた状態を「ピントを合わせる」等の表現で記載する)。
【0045】
カメラCPU110は、必要に応じて、レンズCPU210にAFロックの指示を送信し、被写体にピントが合った状態でフォーカスレンズ201の位置を維持させる。また、カメラCPU110は、必要に応じて、算出した露出条件をRAM122に記憶し、その露出条件で設定された絞り値とシャッタスピード値を維持する(AEロック)。カメラCPU110は、必要に応じて、レンズCPU210に手振れ補正の制御指示を送信し、振れセンサ205で検出した手振れ量に基づいて手振れの補正量を算出させる。これにより、レンズCPU210は、算出した手振れの補正量に基づいてVR駆動部212を駆動し、手振れを補正する方向にVRレンズ202を移動させる。
【0046】
(レリーズスイッチの全押し操作)
カメラCPU110は、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)が全押し操作されると、レンズCPU210に絞り制御の指示を送信する。これにより、レンズCPU210は、絞り駆動部213を駆動し、AEロックした時点の絞り値により絞りユニット203を通過する光量を調節する。カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を退避位置に移動させる。カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御して、シャッタユニット111を所定時間、開状態とする。カメラCPU110は、センサ駆動回路103を駆動して、CCDイメージセンサ101による被写体光像の撮像(露光)を開始する。このとき、カメラCPU110は、必要に応じて、照明装置(不図示)を発光させる。
【0047】
カメラCPU110は、被写体光像の撮像を開始してから、AEロックした時点のシャッタスピード値の時間が経過すると、シャッタ駆動部131を制御して、シャッタユニット111を閉状態とする。また、カメラCPU110は、センサ駆動回路103を駆動して、CCDイメージセンサ101による被写体光像の撮像を終了する。カメラCPU110は、撮像回路102を制御し、CCDイメージセンサ101から読み出されたCCD信号を増幅し、デジタル信号に変換させる。カメラCPU110は、デジタルのCCD信号に対して各種の画像処理を施し、デジタルの画像データを作成する。更に、カメラCPU110は、作成したデジタルの画像データを圧縮し、画像ファイルとしてRAM122に記憶する。
【0048】
カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を観察位置に移動させる。また、カメラCPU110は、必要に応じて、レンズCPU210に手振れ補正の制御終了指示を送信する。
【0049】
カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に記憶されている画像の記録先に関する情報を読み取る。カメラCPU110は、画像の記録先として外部メモリが選択されていれば、画像ファイルをメモリカード143に記憶する。また、カメラCPU110は、画像の記録先として内部メモリが選択されていれば、画像ファイルをフラッシュメモリ121に記憶する。
【0050】
(ライブビュー撮影)
ライブビュー撮影とは、液晶モニタ145を見ながら撮影する形態をいう。カメラCPU110は、モード切り替えスイッチ(操作スイッチ141)がライブビュー撮影モードに切り替えられると、ライブビュー撮影の動作を開始する。まず、カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を退避位置に移動させる。カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御して、シャッタユニット111を開状態とする。
【0051】
カメラCPU110は、センサ駆動回路103を駆動して、CCDイメージセンサ101による被写体光像の撮像を開始する。ライブビュー撮影では、所定のフレームレートでCCDイメージセンサ101からCCD信号が繰り返し読み出される。撮像回路102は、CCDイメージセンサ101から読み出されたCCD信号を増幅し、デジタル信号に変換する。カメラCPU110は、デジタルのCCD信号に対して各種の画像処理を施し、デジタルの画像データを作成すると共に、RAM122に記憶する。また同時に、カメラCPU110は、画像データをモニタ駆動回路144へ送信して、液晶モニタ145に表示させる。これにより、液晶モニタ145には、ライブビュー画像(動画像)が表示される。撮影者は、液晶モニタ145に表示されたライブビュー画像を見ながら撮影を行うことができる。
【0052】
なお、ライブビュー撮影時は、ミラー113及びサブミラー119を退避位置に移動させているため、測光センサ116や測光回路136を使用することができない。このため、カメラCPU110は、CCDイメージセンサ101で撮像した画像から被写体光像の輝度を測定し、露出条件を演算する。
【0053】
同様に、ライブビュー撮影時には、AFセンサ118やAFセンサ回路133を使用することができない。このため、カメラCPU110は、CCDイメージセンサ101で撮像した画像からピント情報を検出し、レンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信する。また、ライブビュー撮影時には、ファインダ接眼窓による画像の観察は行われない。このため、カメラCPU110は、撮影中の撮影情報をライブビュー画像に重ね合わせて液晶モニタ145に表示する。
【0054】
カメラCPU110は、液晶モニタ145にライブビュー画像を表示している間に、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)が全押し操作されると、レンズCPU210に絞り制御の指示を送信する。これにより、絞りユニット203を通過する光量が調節される。
【0055】
また、カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を観察位置に移動させる。この後、カメラCPU110は、焦点板114に結像した被写体光像の輝度を測光センサ116及び測光回路136を介して読み取り、露出条件を演算する。また、カメラCPU110は、AFセンサ118に結像した被写体光像のデフォーカス量(ピント情報)を、AFセンサ回路133を介して取得し、被写体からCCDイメージセンサ101の撮像面までの距離情報を算出する。
【0056】
その後の動作は、上述した(レリーズスイッチの全押し操作)の場合と同じである。これにより、ライブビュー画像を表示している間に、レリーズスイッチが全押し操作された時点での静止画像が撮像される。カメラCPU110は、ライブビュー撮影の終了後は、再び液晶モニタ145によるライブビュー画像の表示を行う。
【0057】
カメラCPU110は、モード切り替えスイッチ(操作スイッチ141)が通常の撮影モードに切り替えられると、ライブビュー撮影の動作を終了する。カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を観察位置に移動させる。カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御して、シャッタユニット111を閉状態とする。また、カメラCPU110は、液晶モニタ145によるライブビュー画像の表示を終了する。その他、通常の撮影モードと同じ動作を実行する。
【0058】
(画像の再生)
カメラCPU110は、モード切り替えスイッチ(操作スイッチ141)が再生モードに切り替えられると、再生モードの動作を開始する。カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に記憶されている画像の記録先に関する情報を読み取る。カメラCPU110は、画像の記録先として外部メモリが選択されていれば、メモリカード143から画像ファイルを読み出す。また、カメラCPU110は、画像の記録先として内部メモリが選択されていれば、フラッシュメモリ121から画像ファイルを読み出す。なお、このとき読み出される画像ファイルは、例えば、最後に記憶された画像ファイルである。
【0059】
カメラCPU110は、画像ファイルを解凍し、画像データに復元してRAM122に記憶する。カメラCPU110は、復元した画像データをモニタ駆動回路144へ送信して、液晶モニタ145に表示させる。また、カメラCPU110は、セレクタダイアル(操作スイッチ141)が選択操作されると、選択されたコマの記録されている画像ファイルを外部又は内部メモリから読み出して、上述の手順により液晶モニタ145に表示させる。
【0060】
カメラCPU110は、モード切り替えスイッチ(操作スイッチ141)が撮影モードに切り替えられると、撮影モードの動作を開始する。カメラCPU110は、液晶モニタ145における画像の表示を終了する。以降の動作は、上述した(電源ON、撮影モードでの動作)と同じである。
【0061】
次に、実施形態1に係るカメラ1において、動きのある被写体を撮影(以下、適宜に「動体撮影」という)する場合の動作について説明する。本実施形態では、動きのある被写体として、サーキットを走行する車を例として説明する。まず、本撮影に先立ってスキャン撮影を行い、カメラ1の撮影方向と撮影予定位置までの距離情報を取得する。スキャン撮影は、カメラ1の撮影方向と撮影予定位置までの距離情報を取得するために、本撮影に先立って実施する事前撮影である。この実施形態1では、撮影範囲の全体を一括してスキャン撮影する例について説明する。また、後述する実施形態2では、撮影範囲の一部を連続的にスキャン撮影する例について説明する。いずれの場合も、スキャン撮影時に撮影した領域が本撮影の撮影領域となる。
【0062】
図2は、実施形態1の撮影範囲を示す説明図である。図3は、ファインダ枠の表示内容を示す説明図である。図4は、実施形態1のスキャン撮影時における撮影領域を示す説明図である。図5は、カメラ1の水平回転角度θhを取得する際の模式図である。図6は、カメラ1の垂直回転角度θvを取得する際の模式図である。図7は、実施形態1のデータテーブルを示す説明図である。図8(a)〜(c)は、実施形態1の本撮影時における撮影範囲と撮影領域とを示す説明図である。
【0063】
図2に示すように、撮影者が撮影しようとする撮影範囲301には、サーキットの一部である路面302及び縁石303が含まれている。実施形態1では、撮影範囲301の全体が本撮影における撮影領域305(後述)となる。
【0064】
また、図3に示すように、ファインダ枠304には、撮影領域305と、ファインダ内情報表示枠306とが表示される。ファインダ枠304は、撮影者がファインダ接眼窓(不図示)から観察することができる画像表示枠である。撮影領域305は、被写体光像を写す表示枠である。撮影領域305には、レンズ鏡筒20の画角により切り取られた範囲の被写体光像が表示される。ファインダ内情報表示枠306は、露出値、撮影モード、露出補正値等の情報を表示する表示枠である。
【0065】
撮影領域305には、AFエリア307が表示されている。AFエリア307は、測距位置としてのフォーカスポイントが配置された領域である。本実施形態のAFエリア307には、11個のフォーカスポイントFP1〜FP11(以下、適宜に「フォーカスポイントFP」と総称する)が配置されている。この11個のフォーカスポイントFPのうち、ピントを合わせているフォーカスポイントFPは、赤色に点灯する。本実施形態では、赤色に点灯しているフォーカスポイントFPを太線で示す。
【0066】
フォーカスポイントFPの点灯は、ファインダ表示部115の所定位置に赤色の矩形枠を表示する。これにより、焦点板114に結像した被写体光像、ファインダ表示部115に表示された撮影情報、及び赤色の矩形枠が重ね合わされて表示される。
【0067】
実施形態1の動体撮影モード1において用いられるフォーカスモード(被写体追尾機能)では、撮影者が設定したフォーカスポイントFPで被写体にピントを合わせると、被写体の動きに合わせてフォーカスポイントFPが自動的に切り換えられる。上述したフォーカスポイントFPの点灯は、撮影者がピントを合わせた被写体を追尾するように移動する。被写体追尾機能については後述する。
【0068】
次に、実施形態1のスキャン撮影について説明する。撮影者は、スキャン撮影を行う場合に、セレクタダイアル(不図示)を操作して、スキャン撮影モード1を選択する。そして、撮影者は、図4に示すように、撮影予定位置にカメラ1を向け、撮影範囲301と撮影領域305とが略一致するように、レンズ鏡筒20の焦点距離を変更(又はカメラ1の位置を移動)する。
【0069】
続いて、撮影者は、撮影範囲301において、被写体となる車が通過すると予想される撮影予定位置のフォーカスポイントFPを順番に設定する。撮影者は、図4に示す画像を見ながら、セレクタダイアル(不図示)を操作することにより所望のフォーカスポイントFPを設定することができる。なお、図4において、被写体となる車は、撮影領域305の右上から左下に向かって走行する。ここでは、路面302に沿って3つのフォーカスポイントFP2、FP6、FP10が、その順番で設定されたとする。
【0070】
撮影者は、一つのフォーカスポイントFPを設定する毎に、レリーズスイッチを半押し操作した後、更に全押し操作して、静止画画像を撮影する。撮影者が、設定したフォーカスポイントFPにおいて静止画画像を撮影すると、そのフォーカスポイントFPに対応する撮影予定位置までの距離情報がAFセンサ回路133で取得される。カメラCPU110は、設定されたフォーカスポイントFPの位置、そのフォーカスポイントFPに対応する撮影予定位置までの距離情報、及びそのフォーカスポイントFPが設定された順番を示す情報を対応付けてフラッシュメモリ121に記憶する。なお、スキャン撮影において取得した画像データは、フラッシュメモリ121に記憶される。
【0071】
また、撮影者がフォーカスポイントFPの設定を開始すると、カメラCPU110は、電子コンパス148及び傾斜センサ149を介して、撮影領域305に向けられたカメラ1の撮影方向に関する情報を取得する。
【0072】
電子コンパス148は、図5に示すように、カメラ1(光軸L)の水平回転角度θhを、N(北)方向(0°)に対する角度として取得する。また、傾斜センサ149は、図6に示すように、カメラ1(光軸L)の垂直回転角度θvを、水平ラインH(0°)に対する角度として取得する。
【0073】
カメラCPU110は、取得した水平回転角度θh及び垂直回転角度θvを、撮影領域305に向けられたカメラ1の撮影方向に関する情報(以下「方向情報」という)としてフラッシュメモリ121に記憶する。後述するように、カメラCPU110は、本撮影時においても、水平回転角度θh及び垂直回転角度θvを取得する。
【0074】
また同時に、カメラCPU110は、GPS回路150によりカメラ1の位置情報を取得する。カメラCPU110は、取得した位置情報(緯度、経度)を、カメラ1の基準位置情報としてフラッシュメモリ121に記憶する。後述するように、カメラCPU110は、本撮影時においても、カメラ1の基準位置情報を取得する。
【0075】
カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に、基準位置情報に対応したデータテーブルを作成する。図7に示すように、実施形態1で作成されるデータテーブルには、カメラ1の基準位置情報、カメラ1の方向情報、3つのフォーカスポイントFPの番号(設定された順番を示す情報を含む)及び各フォーカスポイントFPにおける距離情報が対応付けられている。
【0076】
次に、実施形態1の本撮影について説明する。撮影者は、撮影範囲301と撮影領域305とを一致させた状態で動体撮影を行う場合に、セレクタダイアル(不図示)を操作して、動体撮影モード1を選択する。
【0077】
続いて、撮影者は、スキャン撮影を行った位置において、撮影予定位置の方向にカメラ1を向け、撮影範囲301と撮影領域305とが略一致するように、レンズ鏡筒20の焦点距離を変更(又はカメラ1を移動)する。これにより、スキャン撮影を行ったときと同じ撮影範囲301が本撮影の撮影領域305となる。
【0078】
また、撮影者は、スキャン撮影において、一番目に設定したフォーカスポイントFP2を設定する。撮影者は、セレクタダイアル(不図示)を操作することにより、フォーカスポイントFP2を設定することができる。このとき、カメラCPU110は、GPS回路150によりカメラ1の位置情報を取得する。なお、データテーブル(図7)に記憶されたフォーカスポイントFPの順番を示す情報に基づいて、スキャン撮影時に一番目に設定したフォーカスポイントFP2を自動で設定してもよい。
また、2番目以降のフォーカスポイントFPについては、データテーブル(図7)に記憶されたフォーカスポイントFP2、FP6、FP10の順番を示す情報に基づいて自動的に設定される。
【0079】
次に、撮影者は、被写体となる車308が撮影領域305に現れ、フォーカスポイントFP2の位置に達したときに、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)を半押し操作する。この後、撮影者がレリーズスイッチを半押し操作している間、被写体追尾機能により、図8(a)〜(c)に示すように、車308の動きに合わせてフォーカスポイントFP2、FP6、FP10の順番で自動的に切り換えられる。
【0080】
カメラCPU110は、動体撮影モード1が選択された状態でレリーズスイッチが半押し操作されると、データテーブル(図7)を参照して、本撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報とが略一致する場合、すなわちスキャン撮影時と本撮影時の撮影位置とが略一致する場合には、以下のようにしてピントを制御する。
【0081】
カメラCPU110は、本撮影時において、レリーズスイッチが半押し操作されると、カメラ1の方向情報(水平回転角度θh及び垂直回転角度θv)を取得する。そして、データテーブル(図7)を参照して、半押し操作時に取得したカメラ1の方向情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の方向情報とがほぼ一致する場合には、車308にピントを合わせているフォーカスポイントFPに対応する距離情報をデータテーブルから取得する。そして、カメラCPU110は、データテーブルから取得した距離情報に基づいてレンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信する。これにより、レンズCPU210は、AF駆動部211を介してフォーカスレンズ201を駆動し、CCDイメージセンサ101の撮像面に投影された被写体光像にピントを合わせる。
【0082】
また、カメラCPU110は、被写体追尾機能により、車308にピントを合わせているフォーカスポイントFPが、フォーカスポイントFP2からフォーカスポイントFP6に切り換えられた場合には、フォーカスポイントFP6に対応する距離情報をデータテーブルから取得する。同様に、カメラCPU110は、被写体追尾機能により、車308にピントを合わせているフォーカスポイントFPが、フォーカスポイントFP6からフォーカスポイントFP10に切り換えられた場合には、フォーカスポイントFP10に対応する距離情報をデータテーブルから取得する。カメラCPU110は、それぞれ取得した距離情報に基づいて、レンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信し、フォーカスレンズ201を駆動させる。これにより、各フォーカスポイントFPにおいて、被写体にピントが合った状態となる。
【0083】
また、カメラCPU110は、フォーカスポイントFP2、FP6、又はFP10において車308にピントを合わせている間に、レリーズスイッチが全押し操作された場合には、その時点の露出とピント位置で被写体光像を撮像する(レリーズスイッチの全押し操作の項目を参照)。
【0084】
次に、実施形態1の動体撮影モード1が選択された場合におけるカメラCPU110の処理手順を図9のフローチャートを参照しながら説明する。カメラCPU110は、撮影者により動体撮影モード1を選択されたときに、フラッシュメモリ121に記憶されている動体撮影モード1の制御プログラムを読み出し、本フローチャートの処理を実行する。ここでは、動体撮影モード1による本撮影に先立って、スキャン撮影モード1によるスキャン撮影が実施されているものとする。なお、図9では、手振れ補正等の処理の説明を省略する。また、「レリーズスイッチの半押し操作」、「レリーズスイッチの全押し操作」で説明した内容についても一部省略する。
【0085】
図9に示すステップS101において、カメラCPU110は、レリーズスイッチが半押し操作された否かを判定する。なお、本撮影において、撮影者は、被写体となる車308が撮影領域305(図6参照)に現れ、フォーカスポイントFP2の位置に達したときに、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)を半押し操作する。カメラCPU110は、ステップS101の判定がYESであればステップS102の処理へ移行し、NOであればステップS101の処理へ戻る。
【0086】
ステップS102において、カメラCPU110は、被写体光像の輝度を測光センサ116及び測光回路136を介して読み取り、露出条件を演算する。
ステップS103において、カメラCPU110は、GPS回路150によりカメラ1の基準位置情報を取得する。
【0087】
ステップS104において、カメラCPU110は、レリーズスイッチの半押し操作時(ステップS103)に取得したカメラ1の基準位置情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報とが略一致するか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS104の判定がYESであればステップS105の処理へ移行し、NOであればステップS114の処理へ移行する。
【0088】
ステップS105において、カメラCPU110は、カメラ1の水平回転角度θhを取得する。
ステップS106において、カメラCPU110は、カメラ1の垂直回転角度θvを取得する。
【0089】
ステップS107において、カメラCPU110は、レリーズスイッチの半押し操作時(ステップS105及びステップS106)に取得したカメラ1の方向情報(水平回転角度θh及び垂直回転角度θv)と、データテーブルに記憶しているスキャン撮影時のカメラ1の方向情報とを照合し、2つの方向情報が略一致するか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS107の判定がYESであればステップS108の処理へ移行し、NOであればステップS114の処理へ移行する。
【0090】
ステップS108において、カメラCPU110は、スキャン撮影時に最初に設定されたフォーカスポイントFP2に対応付けられた距離情報をデータテーブルから取得する。
【0091】
ステップS109において、カメラCPU110は、データテーブルから取得した距離情報に基づいて、レンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信し、データテーブルから取得した距離情報の位置でピントが合うようにフォーカスレンズ201を駆動させる。この後、カメラCPU110は、被写体追尾制御部110aの機能として、上述した(i)〜(iii)の動作を実行し、被写体の移動に合わせてフォーカスポイントFPを順番に切り換える。
【0092】
ステップS110において、カメラCPU110は、レリーズスイッチが全押し操作された否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS110の判定がYESであればステップS116の処理へ移行し、NOであればステップS111の処理へ移行する。
【0093】
ステップS111(ステップS110:NO判定)において、カメラCPU110は、フォーカスポイントFPが切り換えられたか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS111の判定がYESであればステップS112の処理へ移行し、NOであればステップS110の処理へ戻る。
【0094】
ステップS112において、カメラCPU110は、切り換えられたフォーカスポイントFPに対応付けられた距離情報がデータテーブルにあるか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS112の判定がYESであればステップS113の処理へ移行し、NOであればステップS101の処理へ戻る。
【0095】
ステップS113において、カメラCPU110は、切り換えられたフォーカスポイントFPに対応付けられた距離情報をデータテーブルから取得する。ステップS113の後、カメラCPU110は、ステップS109の処理へ移行する。
【0096】
一方、ステップS114(ステップS104、ステップS107:NO判定)において、カメラCPU110は、AFセンサ回路133で取得したデフォーカス量に基づいて算出した距離情報(通常のAF動作により取得した距離情報)の位置でピントが合うようにフォーカスレンズ201を駆動させる。このように、カメラCPU110は、スキャン撮影時と撮影位置が異なる場合や、本撮影時に取得したカメラ1の方向情報とデータテーブルに記憶しているカメラ1の方向情報とが略一致しない場合には、通常のAF動作により取得した距離情報に基づいてピント合わせを行う。
【0097】
ステップST115において、カメラCPU110は、レリーズスイッチが全押し操作された否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS115の判定がYESであればステップS116の処理へ移行し、NOであればステップS101の処理へ戻る。
【0098】
ステップS1162において、カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御してシャッタユニット111を開状態とし、CCDイメージセンサ101で被写体光像を撮像する(撮像処理)。このとき、カメラCPU110は、レンズCPU210に絞り制御の指示を送信して、ステップS102で演算した絞り値により、絞りユニット203を通過する光量を制御させる。また、カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を退避位置に移動させる。
【0099】
ステップS117において、カメラCPU110は、撮像した被写体光像に基づいて、デジタルの画像データを作成する(画像処理)。
【0100】
ステップS118において、カメラCPU110は、作成したデジタルの画像データを圧縮し、画像ファイルとしてフラッシュメモリ121又はメモリカード143に記憶する。ステップS118の処理が終了した後、カメラCPU110は、本フローチャートの処理を終了する。
【0101】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2に係るカメラの基本的な構成は、実施形態1に係るカメラ1(図1)と同じであるため、説明を省略する。実施形態2において、カメラCPU110における被写体追尾制御部110aの機能は必須ではない。以下、実施形態1と同等部分に同一符号を付して説明する。図10は、実施形態2の撮影範囲とスキャン撮影時における撮影領域を示す説明図である。図11は、実施形態2のデータテーブルを示す説明図である。図12は、実施形態2の本撮影時における撮影範囲と撮影領域を示す説明図である。
【0102】
図10に示すように、撮影者が撮影しようとする撮影範囲301には、実施形態1と同様に、サーキットの一部である路面302及び縁石303が含まれている。実施形態2では、撮影範囲301の一部が本撮影における撮影領域305となる。なお、ファインダ枠の表示内容については実施形態1と同じであるため説明を省略する。また、フォーカスポイントFP1〜FP11(不図示)の配置も同じである。
【0103】
次に、実施形態2のスキャン撮影について説明する。撮影者は、スキャン撮影を行う場合に、セレクタダイアル(不図示)を操作して、スキャン撮影モード2を選択する。そして、撮影者は、図10に示すように、撮影する方向にカメラ1を向け、撮影範囲301に対して、撮影領域305が所望の画角となるように、レンズ鏡筒20の焦点距離を変更(又はカメラ1の撮影位置を移動)する。例えば、レンズ鏡筒20として望遠レンズを装着することにより、広い画角の撮影範囲301対して狭い画角の撮影領域305を得ることができる。
【0104】
続いて、撮影者は、撮影領域305の中央に位置するフォーカスポイントFP6を設定する。撮影者は、セレクタダイアル(不図示)を操作することによりフォーカスポイントFP6を設定することができる。なお、設定するフォーカスポイントFPは、中央に位置するフォーカスポイントFP6でなくてもよい。例えば、車の先端部にピントを合わせたい場合には、フォーカスポイントFP11(図3参照)を設定すればよい。
【0105】
そして、撮影者は、被写体となる車が通過すると予想される軌道(図10に示す矢印A)に沿ってカメラ1の撮影方向を変えながら、撮影領域305に写し出された静止画画像を連続撮影する。連続撮影の速度(コマ数/秒)は、適宜に設定することができる。その連続撮影において、撮影したコマ毎に、フォーカスポイントFP6における距離情報がAFセンサ回路133で取得される。
【0106】
また、スキャン撮影が開始されると、カメラCPU110は、連続撮影の撮影コマ毎に、電子コンパス148及び傾斜センサ149を介して、撮影予定位置に向けられたカメラ1の方向情報(撮影方向に関する情報)を取得する。実施形態2では、撮影の1コマ毎にカメラ1の方向情報を取得する。カメラCPU110は、カメラ1の方向情報を取得する毎に、フラッシュメモリ121に記憶する。
【0107】
更に、スキャン撮影が開始されると、カメラCPU110は、GPS回路150によりカメラ1の位置情報を取得する。カメラCPU110は、取得した位置情報(緯度、経度)を、カメラ1の基準位置情報としてフラッシュメモリ121に記憶する。
【0108】
カメラCPU110は、フラッシュメモリ121に、基準位置情報に対応したデータテーブルを作成する。図11に示すように、実施形態2で作成されるデータテーブルでは、カメラ1の複数の方向情報と、フォーカスポイントFP6における複数の距離情報とが対応付けられている。
【0109】
次に、実施形態2の本撮影について説明する。撮影者は、撮影範囲301の一部を撮影領域305として動体撮影を行う場合に、セレクタダイアル(不図示)を操作して、動体撮影モード2を選択する。
【0110】
続いて、撮影者は、スキャン撮影を行った位置において、被写体となる車が現れる方向にカメラを向ける。そして、図12に示すように、被写体となる車308を撮影領域305の中央(フォーカスポイントFP6)で捉え、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)を半押し操作しながら、車308の移動に合わせてカメラ1の撮影方向を変える。
【0111】
カメラCPU110は、動体撮影モード2が選択された状態でレリーズスイッチが半押し操作されると、データテーブル(図11)を参照して、本撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報とが略一致する場合、すなわちスキャン撮影時と本撮影時の撮影位置とが略一致する場合には、以下のようにしてピントを制御する。
【0112】
カメラCPU110は、レリーズスイッチが半押し操作されると、その時点におけるカメラ1の方向情報(水平回転角度θh及び垂直回転角度θv)を取得する。そして、データテーブル(図11)を参照し、本撮影時に取得したカメラ1の方向情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の方向情報とがほぼ一致する場合には、フォーカスポイントFP6の距離情報をデータテーブルから取得する。そして、カメラCPU110は、データテーブルから取得した距離情報に基づいてレンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信する。これにより、レンズCPU210は、AF駆動部211を介してフォーカスレンズ201を駆動し、CCDイメージセンサ101の撮像面に投影された被写体光像にピントを合わせる。
【0113】
また、カメラCPU110は、撮影領域305の中央において車308にピントを合わせている間に、レリーズスイッチが全押し操作された場合には、その時点の露出とピント位置で被写体光像を撮像する(レリーズスイッチの全押し操作の項目を参照)。
【0114】
次に、実施形態2の動体撮影モード2が選択された場合におけるカメラCPU110の処理手順を図13のフローチャートを参照しながら説明する。カメラCPU110は、撮影者により動体撮影モード2を選択されたときに、フラッシュメモリ121に記憶されている動体撮影モード2の制御プログラムを読み出し、本フローチャートの処理を実行する。ここでは、動体撮影モード2による本撮影に先立って、スキャン撮影モード2によるスキャン撮影が実施されているものとする。なお、図13では、手振れ補正等の処理の説明を省略する。また、「レリーズスイッチの半押し操作」、「レリーズスイッチの全押し操作」で説明した内容についても一部省略する。
【0115】
図13に示すステップS201において、カメラCPU110は、レリーズスイッチが半押し操作された否かを判定する。なお、本撮影において、撮影者は、被写体となる車308を撮影領域305(図12参照)の中央(フォーカスポイントFP6)で捉え、レリーズスイッチ(操作スイッチ141)を半押し操作する。カメラCPU110は、ステップS201の判定がYESであればステップS202の処理へ移行し、NOであればステップS201の処理へ戻る。
【0116】
ステップS202において、カメラCPU110は、被写体光像の輝度を測光センサ116及び測光回路136を介して読み取り、露出条件を演算する。
ステップS203において、カメラCPU110は、GPS回路150によりカメラ1の基準位置情報を取得する。
【0117】
ステップS204において、カメラCPU110は、レリーズスイッチの半押し操作時(ステップS203)に取得したカメラ1の基準位置情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報とが略一致するか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS204の判定がYESであればステップS205の処理へ移行し、NOであればステップS214の処理へ移行する。
【0118】
ステップS205において、カメラCPU110は、カメラ1の水平回転角度θhを取得する。
ステップS206において、カメラCPU110は、カメラ1の垂直回転角度θvを取得する。
【0119】
ステップS207において、カメラCPU110は、レリーズスイッチの半押し操作時(ステップS205及びステップS206)に取得したカメラ1の方向情報(水平回転角度θh及び垂直回転角度θv)と、データテーブルに記憶しているスキャン撮影時のカメラ1の方向情報とを照合し、2つの方向情報が略一致するか否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS207の判定がYESであればステップS208の処理へ移行し、NOであればステップS214の処理へ移行する。
【0120】
ステップS208において、カメラCPU110は、撮影領域305の中央にあるフォーカスポイントFP6に対応付けられた距離情報をデータテーブルから取得する。
【0121】
ステップS209において、カメラCPU110は、データテーブルから取得した距離情報に基づいて、レンズCPU210にレンズ駆動の指示を送信し、データテーブルから取得した距離情報の位置でピントが合うようにフォーカスレンズ201を駆動させる。
【0122】
ステップS210において、カメラCPU110は、レリーズスイッチが全押し操作された否かを判定する。カメラCPU110は、ステップS210の判定がYESであればステップS211の処理へ移行し、NOであればステップS201の処理へ戻る。
【0123】
ステップS211において、カメラCPU110は、シャッタ駆動部131を制御してシャッタユニット111を開状態とし、CCDイメージセンサ101で被写体光像を撮像する(撮像処理)。このとき、カメラCPU110は、レンズCPU210に絞り制御の指示を送信して、ステップS202で演算した絞り値により、絞りユニット203を通過する光量を制御させる。また、カメラCPU110は、ミラー制御回路134を制御して、ミラー113及びサブミラー119を退避位置に移動させる。
【0124】
ステップS212において、カメラCPU110は、撮像した被写体光像に基づいて、デジタルの画像データを作成する(画像処理)。
【0125】
ステップS213において、カメラCPU110は、作成したデジタルの画像データを圧縮し、画像ファイルとしてフラッシュメモリ121又はメモリカード143に記憶する。ステップS213の処理が終了した後、カメラCPU110は、本フローチャートの処理を終了する。
【0126】
一方、ステップS214(ステップS204、ステップS207:NO判定)において、カメラCPU110は、AFセンサ回路133で取得したデフォーカス量に基づいて算出した距離情報(通常のAF動作により取得した距離情報)の位置でピントが合うようにフォーカスレンズ201を駆動させる。このように、カメラCPU110は、スキャン撮影時と撮影位置が異なる場合や、本撮影時に取得したカメラ1の方向情報とデータテーブルに記憶しているカメラ1の方向情報とが略一致しない場合には、通常のAF動作により取得した距離情報に基づいてピント合わせを行う。ステップS214の処理が終了すると、カメラCPU110は、ステップS110の処理へ移行する。
【0127】
上述した実施形態1及び2によれば、以下のような効果を奏する。
(1)撮影範囲301に向けられたカメラ1の方向情報と、撮影領域305に設定されたフォーカスポイントFPの距離情報とに基づいてピント合わせを行うので、撮影範囲301の輝度が低い場合や被写体のコントラストが低い場合でも、動きのある被写体に対して適切なピント合わせを行うことができる。また、撮影領域305に設定したフォーカスポイントFPでピントを合わせ続けることができるので、置きピン撮影とは異なり、動きのある被写体を連写した場合において、後の撮影コマにおいても被写体に対して適切にピントを合わせることができる。
【0128】
(2)被写体とカメラ1との間の距離をある程度特定することができるので、フォーカスレンズ201を至近側から無限遠まで駆動する場合と比べ、ピント合わせを高速に行うことができる。また、カメラ1が被写体を一時的に外しても、再び撮影範囲301にカメラ1を向けることにより、素早くピント合わせを行うことができる。
【0129】
(3)カメラ1の方向情報を、電子コンパス148及び傾斜センサ149により取得するため、カメラ1の方向情報を正確に取得することができる。また、カメラ1の方向情報は、角速度センサ146及び角加速度センサ147により取得してもよい。
【0130】
(4)実施形態1において、撮影者は、撮影領域305のフォーカスポイントFPを任意に設定することができる。これによれば、撮影者は、予め被写体が通過すると予測される位置のフォーカスポイントFPを設定しておくことにより、動きのある被写体を所望の構図で撮影することができる。また、実施形態1では、撮影範囲301の全体が撮影領域305となるため、とくに広角レンズを使用した撮影に適している。
【0131】
(5)実施形態2において、撮影者は、被写体を撮影領域305の中央に捉えたままカメラ1の撮影方向を変えればよいため、フォーカスポイントFPの切り換わりを意識することなしに撮影に集中することができる。また、実施形態2では、撮影範囲301の一部が撮影領域305となるため、とくに望遠レンズを使用した流し撮り撮影に適している。
【0132】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明は以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
【0133】
実施形態1では、スキャン撮影において、撮影者が所望のフォーカスポイントFPを設定する例について説明した。この例では、撮影者が設定したフォーカスポイントFPで距離情報が取得される。しかし、この例に限らず、すべてのフォーカスポイントFP1〜FP11で距離情報を取得するようにしてもよい。すなわち、スキャン撮影において、レリーズスイッチが全押し操作されたときに、すべてのフォーカスポイントFP1〜FP11において順番にピントを合わせながら静止画画像を連続撮影する。その際、各フォーカスポイントFPにおいて距離情報を取得する。
【0134】
また、カメラ1と撮影予定位置までの距離情報の代わりに、レンズ鏡筒20におけるフォーカスレンズ201の位置情報を用いてもよい。
【0135】
実施形態2では、スキャン撮影において、被写体となる車308を連続撮影する例について説明した。しかしながら、スキャン撮影は、動画撮影であってもよい。この場合は、スキャン撮影によるデータ量が多くなるため、スキャン撮影により取得した動画データから方向情報や距離情報等を抽出した後、動画データを削除してもよい。
【0136】
また、スキャン撮影において、撮影対象となる部分(例えば、路面302)のコントラストが低い場合には、設定したフォーカスポイントFPにおいてピントを合わせにくい場合がある。その場合は、コントラストの高い部分(例えば、縁石303)を撮影する。そして、撮影した位置から実際の被写体が通過する位置までの差分を演算することにより、撮影対象となる部分までの正確な距離情報を取得することができる。
【0137】
また、実施形態1及び2のスキャン撮影においては、路面302にピントを合わせている。このため、本撮影時の被写体が車308のような立体的な被写体においては、実際の被写体との距離に誤差を生じる。このような場合には、スキャン撮影時に取得した距離情報に補正値を加えるようにしてもよい。この補正値は、被写体とカメラ1との距離、被写体とカメラ1との高低差等から算出することができる。例えば、スキャン撮影において路面302までの距離情報を取得し、本撮影では路面302の上に立っている人物の顔にピントを合わせる場合について説明する。この場合は、パターンマッチング等を用いた顔認識機能により人物の顔の部分を特定する。そして、特定した顔の位置と路面302との高さを算出し、これを補正値としてスキャン撮影時に取得した距離情報に加算する。
【0138】
また、被写体が円を描くような軌跡で移動する場合、例えば、被写体が撮影者に向かってUターンするような場合には、移動中における被写体の見かけ上の位置がほとんど変わらず、撮影者との距離のみが変化する。この場合、被写体の大きさ(例えば、人物の身長)が予め分かっていれば、撮影した被写体の大きさに基づいてデータテーブルの距離情報を補正することにより、被写体までの正確な距離情報を得ることができる。また、設定したフォーカスポイントFPにおける距離の数値を、撮影者がカメラ1に手動により入力してもよい。
【0139】
また、スキャン撮影において、撮影予定位置までの距離情報を取得するのと同時に、その撮影予定位置における測光情報を取得してもよい。この測光情報は、距離情報と関連付けてデータテーブルに記憶する。本撮影時には、データテーブルに記憶している測光情報を被写体の背景の測光情報として用いることにより、主被写体の露出値をより適切に演算することができる。
【0140】
実施形態1及び2では、データテーブルから取得した距離情報の位置にピントを合わせる例を説明した。これに限らず、データテーブルから取得した距離情報と、通常のAF動作で取得したデフォーカス量とに基づいてピント合わせを行なうようにしてもよい。
【0141】
実施形態1のステップS104(図9参照)において、レリーズスイッチの半押し操作時に取得したカメラ1の基準位置情報と、スキャン撮影時に取得したカメラ1の基準位置情報とを比較する際の許容範囲は、ピントの精度に影響の無い範囲で適宜に設定することができる。半押し操作時とスキャン撮影時において基準位置情報の差が許容範囲であれば、略一致していると判定する。また、半押し撮影時とスキャン撮影時において基準位置情報の差が許容範囲を越える場合には、その距離に応じてデータテーブルに記憶している距離情報を補正するようにしてもよい。その場合は、ステップS104からステップS105へ処理を移行する。
【0142】
同様に、実施形態1のステップS107(図9参照)において、レリーズスイッチの半押し操作時に取得したカメラ1の方向情報と、データテーブルに記憶しているカメラ1の方向情報とを比較する際の許容範囲は、ピントの精度に影響の無い範囲で適宜に設定することができる。半押し操作時とスキャン撮影時において方向情報の差が許容範囲であれば、略一致していると判定する。また、半押し操作時とスキャン撮影時において方向情報の差が許容範囲を越える場合には、実施形態1のようにステップS114へ処理を移行してもよいし、その差分に応じてデータテーブルに記憶している距離情報を補正するようにしてもよい。その場合は、ステップS107からステップS108へ処理を移行する。
【0143】
被写体となる車308にGPS装置が搭載されている場合は、本撮影前に車308が撮影範囲を通過したときに、カメラ1と車308との位置関係から、カメラ1の方向情報と撮影予定位置までの距離情報とを取得することができる。また、撮影エリア(本例ではサーキットのコースマップ等)の地図情報が存在する場合には、カメラ1の撮影位置をGPS機能により検出することにより、カメラ1の方向情報と撮影予定位置までの距離情報とを取得することができる。いずれの場合もスキャン撮影を省略することができる。
【0144】
実施形態1及び2におけるスキャン撮影は、撮影者がファインダ接眼窓(不図示)を観察しながら実施してもよいし、ライブビュー表示にした状態で実施してもよい。
【0145】
また、上記実施形態及び変形形態は適宜に組み合わせて用いることができるが、各実施形態の構成は図示と説明により明らかであるため、詳細な説明を省略する。更に、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0146】
1:カメラ、10:カメラ本体、20:レンズ鏡筒、101:CCDイメージセンサ、110:カメラCPU、110a:被写体追尾制御部、121:フラッシュメモリ、141:操作スイッチ、146:角速度センサ、147:角加速度センサ、148:電子コンパス、149:傾斜センサ、150:GPS回路、151:GPSアンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を通過した被写体光像を撮像面で撮像する撮像手段と、
撮影予定位置に向けられた前記光学系の方向に関する情報と、前記撮影予定位置までの距離情報とに基づいて、前記被写体光像の合焦を制御する合焦制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記合焦制御手段は、前記光学系の方向に関する情報と、当該光学系の方向に関する情報と対応する複数の前記撮影予定位置までの距離情報とに基づいて、前記被写体光像の合焦を制御すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮像装置において、
前記撮影予定位置は、予め撮影者により設定された測距位置により特定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の撮像装置において、
前記撮影予定位置は、予め設定されたすべての測距位置により特定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記合焦制御手段は、前記光学系の方向に関する複数の情報と、当該光学系の方向に関する複数の情報にそれぞれ対応する複数の前記撮影予定位置までの距離情報とに基づいて、前記被写体光像の合焦を制御すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記光学系の方向に関する複数の情報と、当該光学系の方向に関する複数の情報にそれぞれ対応する前記撮影予定位置までの距離情報とは、所定の時間間隔で連続的に取得されたものであることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記光学系の方向を検出するセンサとして、電子コンパス及び傾斜センサ、又は角速度センサ及び角加速度センサを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記光学系の方向に関する情報と、前記撮影予定位置までの距離情報とを含むデータテーブルを記憶する記憶手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
光学系を通過した被写体光像を撮像面で撮像する撮像手段と、
撮影予定位置に向けられた前記光学系の方向に関する情報と、前記撮影予定位置までの距離情報とに基づいて、前記被写体光像の合焦を制御する合焦制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記合焦制御手段は、前記光学系の方向に関する情報と、当該光学系の方向に関する情報と対応する複数の前記撮影予定位置までの距離情報とに基づいて、前記被写体光像の合焦を制御すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮像装置において、
前記撮影予定位置は、予め撮影者により設定された測距位置により特定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の撮像装置において、
前記撮影予定位置は、予め設定されたすべての測距位置により特定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記合焦制御手段は、前記光学系の方向に関する複数の情報と、当該光学系の方向に関する複数の情報にそれぞれ対応する複数の前記撮影予定位置までの距離情報とに基づいて、前記被写体光像の合焦を制御すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記光学系の方向に関する複数の情報と、当該光学系の方向に関する複数の情報にそれぞれ対応する前記撮影予定位置までの距離情報とは、所定の時間間隔で連続的に取得されたものであることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記光学系の方向を検出するセンサとして、電子コンパス及び傾斜センサ、又は角速度センサ及び角加速度センサを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記光学系の方向に関する情報と、前記撮影予定位置までの距離情報とを含むデータテーブルを記憶する記憶手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−40985(P2013−40985A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176005(P2011−176005)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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