説明

撮影コマ画像処理装置とアルバム冊子

【課題】注文された写真プリントの枚数に適合した厚さをもった表紙がなくても、見た目に優れた商品価値の高いアルバム冊子を作製することを可能にする撮影コマ画像処理技術を提供する。
【解決手段】アルバム表紙を用いてアルバム冊子を作製する際、撮影コマ画像から出力される写真プリントの予定枚数がアルバム表紙に設定されている適正枚数に達しない場合にその不足枚数分のプリントデータを生成するために撮影コマ画像に基づいて補完用プリント画像を作り出す補完用プリント画像処理管理部が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルバム表紙を用いてアルバム冊子を作製するための写真プリントを出力するプリントデータを、与えられた撮影コマ画像から生成する撮影コマ画像処理技術、及びその技術を用いて作製されたアルバム冊子に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等で取得した撮影コマ画像は、DP店で写真プリントとしてプリント出力された場合、DP袋と呼ばれる袋に一括して入れられて手渡されるので、受け取った顧客は別に購入したアルバム帳にこれを収納していた。また、プリント出力された写真プリントを1ページ当たり1〜2枚収納できる小サイズの比較的貧相なポケットアルバムに収納して顧客に手渡されるサービスもある。さらに、DP店において他店との差別化のため、表紙と背表紙と裏表紙からなるアルバム冊子用表紙にプリント出力された写真プリントを綴じることで、見た目の良いアルバム冊子を作製するに適した写真プリント装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、顧客によって要求される写真プリントの枚数はバラバラであることから、表紙の厚さ、つまり背表紙の横幅をその都度調整する必要がある。また、予め厚さの異なる表紙を用意しておいてアルバム冊子を作製する場合では、厚さの異なる多数の表紙を在庫しておかなければならない。そうでないと、表紙の厚さと本文(写真プリント)のページの厚さが異なる不格好なアルバム冊子か、白紙や無関係な模様の入ったページで補完されたやはり不適正なアルバム冊子を作製することになってしまう。
【特許文献1】特開2006−58392号公報(段落番号0031−0032、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記実状に鑑み、本発明の課題は、注文された写真プリントの枚数に適合した厚さをもった表紙がなくても、見た目に優れた商品価値の高いアルバム冊子を作製することを可能にする撮影コマ画像処理技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、アルバム表紙を用いてアルバム冊子を作製するための写真プリントを出力するプリントデータを、与えられた撮影コマ画像から生成する、本発明による撮影コマ画像処理装置は、前記撮影コマ画像から出力される写真プリントの予定枚数が前記アルバム表紙に設定されている適正枚数に達しない場合にその不足枚数分のプリントデータを生成するために前記撮影コマ画像に基づいて補完用プリント画像を作り出す補完用プリント画像処理管理部が備えられている。
【0005】
この撮影コマ画像処理装置を採用することにより、在庫されているアルバム表紙の厚さによって規定される適正枚数に較べて写真プリントの注文枚数が少なく、不足枚数が生じたとしても、注文された写真プリントに用いられた撮影コマ画像に基づいて補完用プリント画像が作り出される。この補完用プリント画像に基づいて出力される補完用の写真プリントは、顧客が気に入ってプリント出力したい撮影コマ画像に関するものなので、補完のために追加されたアルバム頁(写真プリント)は顧客に気に入ってもらえるはずで、最終的に作製されるアルバム冊子は顧客にとって見た目に優れた商品価値の高いアルバム冊子となる。
【0006】
撮影コマ画像に基づいて補完用プリント画像を作り出す最も簡単なやり方は、適当な撮影コマ画像をそのまま利用することであるが、この場合、作製されたアルバム冊子には、同じ写真プリントが複数枚掲載されることになり、顧客にとっての利点はそれほど大きくない。従って、より大きな利点をもたらすやり方として、本発明の好適な実施形態の1つでは、最近発展を遂げている顔認識技術を利用し、撮影コマ画像に含まれている人物の顔領域を拡大した顔クローズアップ画像が補完用プリント画像とされている。その結果、最終的に作製されるアルバム冊子には、顧客が注文した写真プリントとともに補完用写真プリントとして同じ撮影コマ画像から顔領域をクローズアップしたものが含まれることになり、顧客にとってのお得感が生まれる。
【0007】
さらに、前記顔クローズアップ画像に採用される顔が前記撮影コマ画像の全てに含まれている顔のうちで所定以上の登場頻度値をもつものとするならば、顧客が写真プリント出力を希望した撮影コマ画像における重要な人物と推定して差し支えない人物の顔クローズアップ写真プリントが補完用写真プリントとしてアルバム冊子に含まれることになり、そのアルバム冊子の商品価値がより高まる。
【0008】
撮影コマ画像に基づいて作り出される、商品価値の高い(顧客に喜んでもらえる)補完用プリント画像のさらなる例の1つは、前記撮影コマ画像から選択されたコマ数分のコマ画像とこの選択されたコマ枚数に適合するコラージュテンプレートとに基づいて生成されるコラージュ画像である。例えば、顧客が写真プリント出力しようとした一連の撮影コマ画像が旅行や行事といった1つのイベントに関するものである場合、そのイベントの様々な状況を1枚の写真プリントとするコラージュ画像を補完用プリント画像とすることで、そのような補完用写真プリントが追加されることになるアルバム冊子の商品価値がより高まる。
【0009】
本発明は、上述した撮影コマ画像処理装置を用いて生成されたプリントデータに基づいて出力された、アルバム表紙の適正枚数通りの写真プリントを用いて作製されるアルバム冊子も、権利の対象としている。このようなアルバム冊子は、その本文頁の厚みとアルバ表紙の厚みが最適であることから見た目に優れたものであり、また、追加された補完用写真プリントも顧客のお得感を満たすものである。
【0010】
上記課題を解決するため、アルバム表紙を用いてアルバム冊子を作成するための写真プリントを出力するプリントデータを、与えられた撮影コマ画像から生成する、本発明による撮影コマ画像処理プログラムは、前記撮影コマ画像から出力される写真プリントの予定枚数が前記アルバム表紙に設定されている適正枚数に達しない場合にその不足枚数分のプリントデータを生成するために前記撮影コマ画像に基づいて補完用プリント画像を作り出す機能をコンピュータに実現させる。このような撮影コマ画像処理プログラムの基本となる撮影コマ画像処理方法も同様に本発明の権利対象となるものである。いずれにせよ、このように構成された撮影コマ画像処理プログラムや方法は、先の撮影コマ画像処理装置で述べられた作用効果を伴うものであり、上述した種々の付加的な特徴構成を備えることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明による撮影コマ画像処理装置を組み込んだ写真処理システムの一例が模式的に示されている。この写真プリントシステムは、いわゆるデジタルミニラボと呼ばれる写真プリント装置100とこの写真プリント装置100とデータ伝送ラインで接続された、ここでは写真処理注文受付装置の形態を採用している撮影コマ画像処理装置20とから構成されている。この撮影コマ画像処理装置20は、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話などのデジタル撮影機器で使用されたメモリカード等の記録メディアに格納された撮影コマ画像(正確には撮影コマ画像の画像データと呼ぶべきであるが撮影コマ画像と略称している)を取り込んで、これらを一覧表示して写真プリント出力を希望する撮影コマ画像を指定し、一般的な写真プリント出力サービスや本発明に関係するアルバム冊子作製サービスなどの写真処理サービスの注文入力を行う写真処理注文操作画面を表示し、受け付けた注文に基づく撮影コマ画像の処理を行うものである。この実施形態では、写真処理注文受付装置としての撮影コマ画像処理装置20において受け付けられた写真処理サービスの注文に基づく写真プリントPの出力は写真プリント装置100で行われる。従って、撮影コマ画像処理装置20から写真プリント装置100にはデータ伝送ラインを介して写真プリント出力を行うために必要な画像データ(プリントデータ)やプリントサイズなどのプリント属性データが転送される。もちろん、この撮影コマ画像処理装置20に写真プリント出力機能を組み込んでもよいし、逆に、写真プリント装置100に撮影コマ画像処理装置20の機能を組み込んでもよい。
【0012】
写真プリント装置100は、印画紙Pに対して露光処理と現像処理とを行うプリントステーション100Bと、写真処理注文受付装置20から受け取った画像データ(プリントデータ)とプリント属性データに基づいてプリントステーション100Bを駆動するプリント制御装置としての機能をもつ操作ステーション100Aとから構成されている。操作ステーション100Aは操作テーブル1に備えられているが、この操作テーブルの一角にプリントステーション100Bから出力された写真プリントPを本頁内容とするアルバム冊子10を作製するアルバム作製作業スペースが割り当てられている。
【0013】
図2に示されているように、このアルバム冊子10は、その表面と裏面に写真プリントPを貼り付ける複数の中間紙15をアルバム表紙11で綴じたものである。アルバム表紙11は表表紙12と裏表紙13と背表紙14で構成されており、背表紙14の横幅でアルバム表紙11の適正収容頁数が規定されるので、結果的にそのアルバム表紙11に収納される写真プリントの枚数が決定されることになる。アルバム表紙11の在庫を必要最小限にするため、10枚用、20枚用、30枚用、50枚用のアルバム表紙11が常備されている。このため、顧客のプリント注文枚数とアルバム表紙11に設定されている収容枚数の違いは、後で詳しく説明する補完用写真プリントを追加的に出力してアルバム冊子作製に用いること解決しており、これにより、見た目に優れた商品価値の高いアルバム冊子を顧客に提供することが可能となっている。
【0014】
図3からよく理解できるように、写真プリント装置100のプリントステーション100Bは、2つの印画紙マガジン31に納めたロール状の印画紙Pを搬送してプリントサイズに切断すると共に、この切断された印画紙Pに対しプリントエンジンとしての露光エンジン32で撮影コマ画像の露光を行い、この露光後の印画紙Pを複数の現像処理槽を有した現像処理部33に送って現像する。乾燥の後に装置上部の横送りコンベア34からソータに送られた印画紙Pは、写真プリントP又はインデックスプリントIPとして、このソータの複数のトレイにオーダ単位で仕分けられた状態で集積される。上述した印画紙Pに対する各種処理に合わせた搬送速度で印画紙Pを搬送するために複数のチャッカー搬送ユニット35aを含む印画紙搬送機構35が設けられている。露光エンジン32は、操作ステーション100Aから送られてくるプリントデータに基づいて印画紙Pを送りながらR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光線の照射を印画紙Pに対して行うものであり、露光時には印画紙Pを副走査方向に搬送しながら、この搬送速度と同期して主走査方向に沿ったライン状に露光を行うよう構成されている。尚、露光ヘッドとしては、露光仕様に応じて、レーザビーム方式、蛍光ビーム方式、液晶シャッター方式、などの採用が可能であるが、ここではレーザビーム方式が採用されている。
【0015】
また、プリントステーション100Bとして、印画紙Pに対し、露光ヘッド32で撮影コマ画像の露光を行い、この露光後の印画紙Pを現像処理する、いわゆる銀塩写真プリント方式に代えて、フィルムや紙にインクを吐出して画像を形成するインクジェットプリント方式や感熱転写シートを用いた熱転写方式などの写真プリント方式のものを採用してもよい。
【0016】
写真処理注文受付装置としての撮影コマ画像処理装置20は、その正面パネルに、デジタルカメラで使用されている各種メモリカードから撮影コマ画像を取り込むカードドライブユニット21と、カメラ付き携帯電話に内蔵されているメモリから撮影画像を受け取るためのUSBケーブル22と、ユーザ操作入力部として機能するキーボード23と、入力した撮影コマ画像の一覧を含む各種情報を表示するモニタ画面を正面に向けたカラーモニタ24とこのモニタ24に装着されたタッチパネル25と、各種情報シートを出力するプリンタ26を備えている。これらの各種機器の制御や各種データの処理はこの撮影コマ画像処理装置20に内蔵されているコントローラ40によって行われる。
【0017】
図4と図5に示されるように、撮影コマ画像処理装置20の中核部材として汎用パソコンで構成されているコントローラ40においてハードウエアやソフトウエアによって構築される各機能としては、入力された撮影コマ画像をメモリ41に展開する画像入力部42と、撮影コマ画像入力時の操作画面及びプリント注文時やアルバム冊子作製注文時の操作画面などを含むグラフィック化された操作画面の作成やそのようなグラフィック操作画面を通じてのユーザ操作入力から制御コマンドや管理データを生成するグラフィックユーザインターフェース(以下GUIと略称する)を構築するGUI部43と、入力された撮影コマ画像を管理するコマ画像管理部44と、入力された撮影コマ画像から操作画面用の縮小版撮影コマ画像を生成するなどの画像処理及び入力された撮影コマ画像を用いて後述される補完用プリント画像を生成する画像処理などを行う画像処理部45と、アルバム冊子作製注文に関する種々の制御を行うアルバム冊子管理モジュール46と、アルバム冊子作製注文時に顧客によって指定された写真プリント出力枚数が常備されているアルバム表紙10に設定されている適正枚数に達しない場合にその不足枚数分の補完用写真プリントを出力するために顧客によって指定された撮影コマ画像に基づいて補完用プリント画像を画像処理部45で作り出す補完用プリント画像処理管理部47と、補完用プリント画像として撮影コマ画像によるコラージュ画像を生成する際に用いられるコラージュテンプレートを格納しているコラージュテンプレートテーブル48と、注文入力操作画面を通じて入力された注文内容及び顧客によって指定された撮影コマ画像や補完用プリント画像処理管理部47によって作り出された補完用プリント画像をプリント用情報(プリントデータ)として通信ポートを介して写真プリント装置100に転送するとともにその注文内容とプリント料金を印字したプリント注文受領書などをプリンタ26を通じて発行するプリント用情報作成部49と、メモリ41に展開されている撮影コマ画像から顔領域を検出して、その位置やサイズ、必要の場合顔特徴情報を出力する顔検出部50が挙げられる。
【0018】
画像入力部42は、メモリカードが取り込んだ撮影コマ画像にサムネイル画像(低解像度データ)が含まれている場合はモニタ24での一覧表示などの目的で使用するため撮影コマ画像の本データ(高解像度データ)とリンクしたアドレスで指定されたメモリ41に展開するが、もしサムネイル画像が含まれていない場合は本データから縮小画像を作り出してサムネイル画像として同様に本データのアドレスとリンクしたアドレスで指定されたメモリ41に展開する。メモリ41における撮影コマ画像やサムネイル画像のアドレスはコマ画像管理部44によって管理されている。
【0019】
GUI部43は、図6に例示するような注文受付選択画面60や図7に例示する撮影コマ画像選択画面70などの操作画面を生成する操作画面生成部43aや種々の操作画面を通じて取得した操作コマンドを管理する操作コマンド管理部43bを備えている。注文受付選択画面60にはプリントソースとしてのメモリカードの種別を選択する領域と種々の写真サービスを選択する領域が配置されている。ここでは、写真サービスとして、プリントソースを介して入力した撮影コマ画像全て又はそこから指定された撮影コマ画像の写真プリントPを出力する写真プリントサービス、入力した撮影コマ画像全て又はそこから指定された撮影コマ画像入力した撮影コマ画像の写真プリントPを用いてアルバム冊子10を作製するアルバム冊子作製サービス、入力した撮影コマ画像や補正された撮影コマ画像やインデックス画像を記録メディアに記録するメディア出力サービスが提供されており、顧客はこの注文受付選択画面60を通じて希望のサービスを選ぶことができる。
【0020】
注文受付選択画面60で指定コマプリントのアルバム冊子作製サービスが選択された場合、図7に示すようなコマ画像選択画面70が表示される。この撮影コマ画像選択画面70では、メモリカード1枚分の撮影コマ画像がその画像チェックのために撮影画像表示枠71に順次表示される。この撮影画像表示枠71は、図示されていない表示コマ設定欄で選択された表示コマ数だけ配置されるが、図7では、6コマ表示となっている。各撮影画像表示枠71の上側にはこの撮影画像表示枠71に表示されている撮影コマ画像のコマ番号又は撮影画像ファイル名を表示するコマ識別コード表示欄72が配置されている。各撮影画像表示枠71の下側には色濃度補正設定エリア73とプリント枚数設定エリア74が配置されている。色濃度補正設定エリア73には「イエロー」、「マゼンタ」、「シアン」、「濃度」の設定枠が設けられており、補正量の「N」はニュートラルを表し補正なしを意味している。プリント枚数設定エリア74にはプリント枚数を入力する入力枠が設けられており、この入力枠に「パス」が表示された場合その撮影画像はプリント対象外であることを意味している。撮影コマ画像選択画面70の下方には写真サービス表示欄75が配置されており、この写真注文で選択された写真サービス名やプリントサイズなどが示される。
【0021】
撮影コマ画像選択画面70において表示されている撮影コマ画像のチェックが終わると、矢印ボタンを押すことにより次の撮影コマ画像のチェックが可能となり、OKボタンを押すことにより、「パス」されなかった撮影コマ画像がアルバム冊子作製用に指定された撮影コマ画像として、アルバム冊子管理モジュール46に把握される。
【0022】
アルバム冊子管理モジュール46のアルバム冊子用表紙選択部46aは、顧客によって注文された出力写真プリントの枚数とそのプリントサイズとから、アルバム冊子10の作製に用いられるアルバム表紙11を選択する。次いで、補完用プリント枚数算定部46bが、出力写真プリントの枚数が選択されたアルバム表紙11に設定されている適正枚数に達しない場合にその不足枚数分を算定する。この算定された不足枚数が、撮影コマ画像選択画面70を通じて指定された撮影コマ画像に基づいて追加的に作り出される補完用プリント画像の枚数である。この補完用プリント画像による写真プリントPは、顧客によって注文された写真プリント以外のお楽しみプリント(補完用写真プリント)としてアルバム冊子10に綴じられるので、その枚数は、図8に示すように、お楽しみプリント枚数表示画面としてモニタ24に表示される。この必要枚数は図示されていないスピーカを通じて音声で報知してもよい。
【0023】
補完用プリント画像は、補完用プリント画像処理管理部47による管理下で画像処理部45によって作り出されるが、その補完用プリント画像として、この実施形態では、顔クローズアップ画像とコラージュ画像が採用されている。
【0024】
顔クローズアップ画像は、図9で模式的に示されているように、撮影コマ画像選択画面70を通じて指定された撮影コマ画像に含まれている顔領域を顔検出部50が検出することによって得られるその位置やサイズから、当該撮影コマ画像から顔領域だけを切り出し、写真プリントに合うように拡大又は縮小することで作り出される。デジタルカメラなどの撮影機器の解像度が非常に大きくなっていることから、顔領域だけを写真プリント出力しても解像度不足による画質低下の可能性は少なくなっているが、もし解像度不足で出力画像の品質が低下する恐れがある場合、そのような顔クローズアップ画像は無効にすることが望ましい。
【0025】
コラージュ画像は、図10で模式的に示されているように、撮影コマ画像選択画面70を通じて指定された撮影コマ画像から任意に選択されたコマ数分のコマ画像を、コラージュテンプレートテーブル48から読み出された適切なコラージュテンプレートに埋め込むことで作り出される。1つのコラージュのために用いるコマ画像枚数やコラージュテンプレートタイプをランダムに選択すると、複数枚のコラージュ画像を作り出しても同じパターンの絵柄になる可能性がほとんどなく、好都合である。万一、同じパターンの絵柄になった場合そのようなコラージュ画像は無効にすればよい。
【0026】
顔クローズアップ画像とコラージュ画像の使い分けとしては、顔クローズアップ画像の数が足らない場合にコラージュ画像を用いるようにしてもよいし、予め顧客に選ばせるようにしてもよい。
【0027】
上述のように構成された写真処理システムにおけるアルバム冊子作製サービスの実行手順を図11と図12のフローチャートを用いて説明する。
まず、顧客が投入したメモリカードに記録されている撮影コマ画像から撮影コマ画像選択画面70を通じてアルバム冊子に入れられる撮影コマ画像とプリントサイズが指定され、そのコマ番号がアルバム冊子管理モジュール46に与えられる(#01)。アルバム冊子用に写真プリント出力される枚数が算出され(#02)、算出された枚数とプリントサイズに基づいてアルバム冊子用表紙選択部46aが適当なタイプのアルバム冊子用表紙11を選定する(#03)。選定された表紙11に設定されている写真プリント枚数と前記算出された枚数との差から補完用プリント枚数を算定する(#04)。次に、算定された補完用プリント枚数を変数Mに代入しておいて、補完用プリント画像生成ルーチンに入る(#05)。
【0028】
補完用プリント画像生成ルーチンに入ると、まず変数Mが0であるかどうかがチェックされる(#51)。変数Mが0であれば(#51Yes分岐)、顧客により指定された写真プリント出力枚数と選定された表紙11に設定されている枚数が一致しており、補完用プリント画像を生成する必要がないので、このルーチンを終える。変数Mが0でなければ(#51No分岐)、M枚の補完用写真プリントを出力するための補完用プリント画像を生成する必要があるので、まず変数n=0をセットする(#52)。
【0029】
処理対象となっている撮影コマ画像の任意の1つを指定し、顔検出部50による顔領域検出処理を受けさせる(#53)。指定された撮影コマ画像に顔領域が検出され(#54Yes分岐)、その顔領域のサイズが予め設定されているサイズ条件を満たしている場合(#55Yes分岐)、この撮影コマ画像から補完用プリント画像として顔クローズアップ画像が生成される(#56)。顔クローズアップ画像が生成されると変数nをインクリメントして(#57)、さらにこの撮影コマ画像において他の顔領域が検出されているかどうかがチェックされ(#58)、他の顔領域が検出されている(#58Yes分岐)とステップ#55にジャンプして顔クローズアップ画像として利用可能かどうかのチェックを受ける。他の顔領域が検出されていない場合(#58No分岐)、変数nの値がMに達したかどうか(n=M)、つまり必要数の補完用プリント画像が生成されたかどうかチェックされ(#59)、必要数の補完用プリント画像が生成されていれば(#59Yes分岐)、このルーチンを終える。まだ必要数の補完用プリント画像が生成されていない場合(#59No分岐)、またステップ#54や#55のチェックで条件を満たしていなかった場合、処理対象となっている撮影コマ画像のなかでステップ#53で指定されずに残っている撮影コマ画像があるかどうかチェックされ(#60)、まだ残っている場合(#60Yes分岐)、ステップ53にジャンプして顔クローズアップ画像の生成を試みる。残りがない場合(#60No分岐)、補完用プリント画像として顔クローズアップ画像を生成することをやめて、コラージュ画像の生成を行う。
【0030】
まず、生成しなければならないコラージュ画像の枚数である(M−n)を変数Pに代入するとともに(#61)、変数n=0をセットする(#62)。コラージュに用いる組み込み画像数とコラージュレイアウトを決定する(#63)。組み込み画像数は変数Mの値とコラージュテンプレートテーブル48に登録されているテンプレート仕様とに応じて決定される。決定されたコラージュテンプレートをメモリ41に展開し、決定された組み込み画像数分だけ任意に選択された撮影コマ画像をコラージュテンプレートのコラージュ用枠のサイズに合わせてサイズ調整して各コラージュ用枠に流し込んで、コラージュ画像を生成する(#64)。コラージュ画像が生成されると変数kをインクリメントして(#65)、変数kの値がPに達したかどうか(k=P)、つまり必要数のコラージュ画像が補完用プリント画像として生成されたかどうかチェックされ(#66)、必要数のコラージュ画像が生成されていれば(#66Yes分岐)、このルーチンを終える。必要数のコラージュ画像が生成されていなければ(#66No分岐)、ステップ#63に戻って、次のコラージュ画像の生成を行う。
【0031】
上述した補完用プリント画像生成ルーチンにおける顔クローズアップ画像の生成では、撮影コマ画像を順次指定して顔領域検出を行い、検出された顔領域を抽出することで顔クローズアップ画像を生成したが、この場合偶然に撮影された他人の顔領域が抽出される可能性がある。このように不都合を出来るだけ少なくするため、先に全撮影コマ画像に対する領域検出を行うとともにその顔の特徴量も算出し、この特徴量から人物特定を行って、所定以上の頻度で登場する人物の顔領域だけを顔クローズアップ画像生成の対象としてもよい。また、顔クローズアップ画像生成とコラージュ画像生成を組み合わせて、顔クローズアップのコラージュ画像を補完用プリント画像として採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による撮影コマ画像処理技術を組み込んだ写真処理システムの一例を示す外観模式図
【図2】アルバム冊子の構成を示す説明図
【図3】プリントステーションの構成を模式的に示す断面説明図
【図4】撮影コマ画像処理装置のコントローラの構成を示す模式図
【図5】撮影コマ画像処理装置のコントローラに構築された本発明に関する機能を説明する機能ブロック図
【図6】写真サービスを選択する操作画面の一例を示すモニタ画面図
【図7】撮影コマ画像選択画面の一例を示すモニタ画面図
【図8】アルバム冊子における補完用プリントの枚数を報知するモニタ画面図
【図9】顔クローズアップ画像の作り出しを示す模式図
【図10】コラージュ画像の作り出しを示す模式図
【図11】アルバム冊子作製サービスの実行手順を示すフローチャート
【図12】補完用プリント画像生成ルーチンを示すフローチャート
【符号の説明】
【0033】
20:撮影コマ画像処理装置
43:GUI部
44:コマ画像管理部
45:画像処理部
46:アルバム冊子管理モジュール
46a:アルバム冊子用表紙選択部
46b:補完用プリント枚数算定部
47:補完用プリント画像処理管理部
48:コラージュテンプレートテーブル
49:プリント用情報作成部
50:顔検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルバム表紙を用いてアルバム冊子を作製するための写真プリントを出力するプリントデータを、与えられた撮影コマ画像から生成する撮影コマ画像処理装置において、
前記撮影コマ画像から出力される写真プリントの予定枚数が前記アルバム表紙に設定されている適正枚数に達しない場合にその不足枚数分のプリントデータを生成するために前記撮影コマ画像に基づいて補完用プリント画像を作り出す補完用プリント画像処理管理部が備えられている撮影コマ画像処理装置。
【請求項2】
前記補完用プリント画像処理管理部は、前記撮影コマ画像に含まれている人物の顔領域を拡大した顔クローズアップ画像を前記補完用プリント画像とすることを特徴とする請求項1に記載の撮影コマ画像処理装置。
【請求項3】
前記顔クローズアップ画像に採用される顔が前記撮影コマ画像の全てに含まれている顔のうちで所定以上の登場頻度値をもつものであることを特徴とする請求項2に記載の撮影コマ画像処理装置。
【請求項4】
前記補完用プリント画像処理管理部は、選択されたコマ数分の前記撮影コマ画像と前記選択されたコマ数に適合するコラージュテンプレートとに基づいて生成されるコラージュ画像を前記補完用プリント画像とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影コマ画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮影コマ画像処理装置を用いて生成されたプリントデータに基づいて出力された写真プリントを前記アルバム表紙によって冊子化されたアルバム冊子。
【請求項6】
アルバム表紙を用いてアルバム冊子を作成するための写真プリントを出力するプリントデータを、与えられた撮影コマ画像から生成する撮影コマ画像処理プログラムにおいて、
前記撮影コマ画像から出力される写真プリントの予定枚数が前記アルバム表紙に設定されている適正枚数に達しない場合にその不足枚数分のプリントデータを生成するために前記撮影コマ画像に基づいて補完用プリント画像を作り出す機能をコンピュータに実現させる撮影コマ画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−249800(P2008−249800A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87742(P2007−87742)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】