説明

撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御方法及び治具自動制御装置

【課題】従来の治具は複数のセンサーや配線がある為溶接ガン等が接触してセンサーが破損したりセンサーにゴミが付き誤った検出信号により誤作動が起ったり配線ケーブルが経時の劣化や繰り返し作動によるヒビ割れ発生で断線する課題があった。
【解決手段】自動車製造工程等に使用される治具の作動の全てを撮影可能な位置に設けた撮影機1と、撮影機1と通信手段2により接続されている画像処理装置3と、画像処理装置3と通信手段4により接続されている治具制御装置5とから成り、画像処理装置3は撮影機1から送られてきたワークWの形状と種類及び治具Aの作動状態の画像に基づいて処理されたデータを治具制御装置5に送信し、治具制御装置5は画像処理装置3からのワークW及び治具の作動情報に基づいて治具A制御信号を送信し治具Aの作動を制御する撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御装置及び方法による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車製造工場等の製造現場において、自動車のワーク(部品)を組み立てる治具において、センサー及びセンサーに連結される電気配線を除いた治具自動制御方法及び治具自動制御装置、すなわち撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御方法及び治具自動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造工場等の製造現場において、自動車のワーク(部品)を組み立てる治具を自動制御する装置は、一般的にシーケンス制御を行なう制御装置によって制御され、それぞれの治具は、ワーク等を識別するセンサーや、クランプ(駒)、スイング、スライド等の治具の作動を確認する複数のセンサーを有しており、それぞれのセンサーは配線によって制御装置と接続していた。
【0003】
例えば図3に示す従来例は2つのクランプ(駒)A1、A2を有する治具AがワークWをクランプしている説明図である。センサーSWは、ワークWの形状、種類、位置などを認知及び検出しコードCによって治具制御装置5へ信号を送って、クランプA1、A2をクランプ、アンクランプさせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の治具Aは、図3に示すように治具A内に複数のセンサーSや配線Cがあり、作業を行なうときの邪魔になり作業効率が悪いという課題があった。
【0005】
作業時に溶接ガン等が接触して、センサーSが破損したり故障したりする課題があった。
【0006】
更に、センサーSにゴミが付くことがあり、そのためセンサーSから誤った検出信号が制御装置に送られ誤作動が起こる課題があった。
【0007】
更にまた、配線ケーブルが、経時による劣化や繰り返し作動によるヒビ割れ発生で、断線する課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、自動車製造工程等に使用されワークを組み立てる治具の作動を撮影可能な位置に撮影機を設け、撮影機は通信手段により画像処理装置へワークや治具の状態の画像を送信し、画像処理装置は撮影機から送られてきたワークの形状と種類及び治具の作動状態の画像に基づいて処理されたデータを治具制御装置に送信し、治具制御装置は画像処理装置からのワーク及び治具の作動情報に基づいて治具へ制御信号を送信し治具の作動を制御することを特徴とする撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御方法を提案する。
【0009】
また、自動車製造工程等に使用される治具の作動の全てを撮影可能な位置に設けた撮影機と、撮影機と通信手段により接続されている画像処理装置と、画像処理装置と通信手段により接続されている治具制御装置とから成り、
画像処理装置は撮影機から送られてきたワークの形状と種類及び治具の作動状態の画像に基づいて処理されたデータを治具制御装置に送信し、治具制御装置は画像処理装置からのワーク及び治具の作動情報に基づいて治具へ制御信号を送信し治具の作動を制御することを特徴とする撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御装置を提案する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、治具にセンサーと、そのセンサーに接続する配線を装備する必要がなくなるため、治具回りの作業性が向上するとともに、センサーを破損するおそれが無くなる。更にセンサーにゴミが付くことにより、誤った検出信号を制御装置に送るおそれがなくなった。また、配線ケーブルが無くなるため、断線するおそれが無くなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次ぎに、この発明の実施形態である撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御方法及び治具自動制御装置の説明図である図1及び図2に基づいて説明する。
【0012】
初めに、撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御装置について撮影機が一つの実施例である図1に基づいて説明する。撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御装置は、自動車製造工程等に使用される治具Aの作動の全てを撮影可能な位置に設けた1つの撮影機(カメラ)1と、この撮影機1と通信ケーブル2等の通信手段により接続されている1つの画像処理装置3と、この画像処理装置3と信号ケーブル4等の通信手段により接続されている1つの治具制御装置5とからなる。
【0013】
撮影機1は、この実施形態では治具Aの上方に設けられ、上方から治具Aや治具AにクランプされるワークWの動きを全て視認することができる。
【0014】
画像処理装置3は、撮影機1から経時的に送られてきたワークWの形状、種類、仕様を判別し、治具Aの作動状態、すなわちクランプ端、アンクランプ、ワークの有無等の状態を判別する。画像処理装置3は、これらの画像に基づいて処理されたデータを信号ケーブル4を介して治具制御装置5に送信する。
【0015】
治具制御装置5は、画像処理装置3からワークWの形状と種類及び治具Aの作動状態の情報に基づいて治具AのクランプA1、A2等へ作動を制御する信号を送信する。
【0016】
次に、撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御装置について撮影機が2つの実施例である図2に基づいて説明する。撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御装置は、自動車製造工程等に使用される平面視が比較的長方形状の治具Bの作動の全てを撮影可能な位置に設けた2つの撮影機(カメラ)1a及び1bと、それぞれの撮影機1a及び1cと、それぞれの通信ケーブル2a及び2bによりぞれぞれ接続されている1つの画像処理装置3と、この画像処理装置3と信号ケーブル4等の通信手段により接続されている1つの治具制御装置5とからなる。
【0017】
2つの撮影機1a及び1bは、この実施形態では治具Bの左右の上方に設けられ、左右の上方から治具Bや治具BにクランプされるワークWの動きを全て視認することができる。
【0018】
画像処理装置3は、撮影機1から経時的に送られてきたワークWの形状、種類、仕様を判別し、治具Bの作動状態、すなわちクランプ端、アンクランプ、ワークの有無等の状態を判別する。画像処理装置3は、これらの画像に基づいて処理されたデータを信号ケーブル4を介して治具制御装置5に送信する。
【0019】
治具制御装置5は、画像処理装置3からワークWの形状と種類及び治具Aの作動状態の情報に基づいて治具BのクランプB1、B2、B3、B4等へ作動を制御する信号を送信する。
【0020】
なお、この発明の実施形態である撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御方法及び治具自動制御装置について、図1は撮影機1が1台であり、図2は撮影機1a、1bの2台であるが、撮影機1の数は限定されるものではなく、治具の形状等によって適宜3台以上に増やすことができ、それぞれの撮影機1nは、それぞれの通信ケーブル2nによって1つの画像処理装置3に接続している。
【0021】
次に、撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御方法について説明する。図1において自動車製造工程等に使用されワークWを組み立てる治具Aの作動を撮影可能な位置に1つの撮影機1を設け、撮影機1は通信手段である通信ケーブル2により画像処理装置3にワークWや治具の状態の画像を送信する。図2において自動車製造工程等に使用されワークWを組み立てる治具Bの作動を撮影可能な位置に2つの撮影機1a及び1bを設け、それぞれの撮影機1a及び1bは、それぞれの通信手段である通信ケーブル2a及び2bにより1つの画像処理装置3にワークWや治具の状態の画像を送信する。
【0022】
画像処理装置3は、撮影機1又は1a、1bから送られてきたワークWの形状と種類及び治具A又は治具Bの作動状態の画像に基づいて処理されたデータを信号ケーブル4を介して治具制御装置5に送信する。
【0023】
治具制御装置5は、画像処理装置3から送信されてきたワークW及び治具Aの作動情報に基づいて治具A又は治具Bへ作動を制御する信号を送信する。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、自動車製造工場等の製造現場において、治具を自動的に制御する装置であり、自動車等の製造部門で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施形態であり撮影機が1台の場合の撮影機及び画像処理装置を有する治具制御方法及び装置の説明図
【図2】この発明の実施形態であり撮影機が2台の場合の撮影機及び画像処理装置を有する治具制御方法及び装置の説明図
【図3】従来の治具制御装置の説明図
【符号の説明】
【0026】
1 撮影機(カメラ)
1a、1b 撮影機(カメラ)
2 通信手段(通信ケーブル)
2a、2b 通信手段(通信ケーブル)
3 画像処理装置
4 通信手段(信号ケーブル)
5 治具制御装置
A 治具装置
A1、A2 クランプ(駒)
B 治具装置
B1、B2、B3、B4 クランプ(駒)
W ワーク(部品)
SA 従来技術でありクランプの作動を動かすセンサー
SW 従来技術でありワークの有無を確認するセンサー
C 従来技術であり、センサーと制御装置を結ぶ配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車製造工程等に使用されワークを組み立てる治具の作動を撮影可能な位置に撮影機を設け、撮影機は通信手段により画像処理装置へワークや治具の状態の画像を送信し、画像処理装置は撮影機から送られてきたワークの形状と種類及び治具の作動状態の画像に基づいて処理されたデータを治具制御装置に送信し、治具制御装置は画像処理装置からのワーク及び治具の作動情報に基づいて治具へ制御信号を送信し治具の作動を制御することを特徴とする撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御方法。
【請求項2】
自動車製造工程等に使用される治具の作動の全てを撮影可能な位置に設けた撮影機と、撮影機と通信手段により接続されている画像処理装置と、画像処理装置と通信手段により接続されている治具制御装置とから成り、
画像処理装置は撮影機から送られてきたワークの形状と種類及び治具の作動状態の画像に基づいて処理されたデータを治具制御装置に送信し、治具制御装置は画像処理装置からのワーク及び治具の作動情報に基づいて治具へ制御信号を送信し治具の作動を制御することを特徴とする撮影機及び画像処理装置を有する治具自動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−101464(P2009−101464A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275350(P2007−275350)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000108188)セントラル自動車株式会社 (66)
【Fターム(参考)】