説明

撮影用照明装置

【課題】大型化することなく、長方形状の撮影領域全体を略均一に照らすことのできる撮影用照明装置を提供することを課題とする。
【解決手段】発光素子3と、長方形状の撮影領域に向けて発光素子3からの光を反射させせ、発光素子3の周囲から外側に広がる反射面6とを備え、反射面6は、撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向で対峙する一対の第一反射面9,9と、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向で対峙する一対の第二反射面10,10とを備え、第一反射面9,9と第二反射面10,10が正方形状を構成する撮影用照明装置1において、前記第二反射面10,10の撮影領域方向の高さが第一反射面9,9の撮影領域方向の高さより低いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影を行う際に撮影領域を照らすための撮影用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジタルカメラや、カメラ付き携帯電話等の携帯電子機器には、撮影用照明装置が搭載されている。
【0003】
かかる撮影用照明装置は、図3に示す如く、基板2上に設けられた発光素子3と、長方形状の撮影領域に向けて発光素子3からの光を反射させる反射器4とを備えている。
【0004】
前記反射器4は、発光素子3を包囲するように基板2上に配置される周壁5と、発光素子3の周囲から外側に広がる反射面6とを備えている。前記周壁5は、撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向で発光素子3を挟んで対峙する一対の第一周壁形成部7,7と、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向で発光素子3を挟んで対峙する一対の第二周壁形成部8,8とを備えている。
【0005】
前記第一周壁形成部7,7、及び第二周壁形成部8,8は、一体的に形成され、正方形状の外郭をなすように構成されている。また、前記反射面6は、発光素子3の近傍両側(撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向における発光素子3の近傍両側)から第一周壁形成部7,7の先端部に向かって広がる一対の第一反射面9,9と、発光素子3の近傍両側(撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向における発光素子3の近傍両側)から第二周壁形成部8,8の先端部に向かって広がる一対の第二反射面10,10とを備えている。これにより、反射面6は、平面視正方形状になっている。
さらに、前記周壁5及び前記反射面6は、図4(a)、及び図4(b)に示す如く、前記第一周壁形成部7,7及び第一反射面9,9の基板2側の端部とは反対側の端部の位置(基板2の発光素子3が設けられている側の面を基準とした高さ)H1と、第二周壁形成部8,8及び第二反射面10,10の基板2側の端部とは反対側の端部の位置(基板2の発光素子3が設けられている側の面を基準とした高さ)H2とが同レベルに構成されている。すなわち、前記周壁5は、基板2側の端面とは反対側の端面が面一になるように構成されている。なお、以下、前記周壁5(第一周壁形成部7,7、及び第二周壁形成部8,8)の基板2側の端部とは反対側の端部を先端部という。
【0006】
この種の撮影用照明装置1は、周壁5(第一周壁形成部7,7、及び第二周壁形成部8,8)が包囲する領域の中央部に発光素子3が配置されており、反射面6が発光素子3の近傍から周壁5(第一周壁形成部7,7、第二周壁形成部8,8)の先端部に向けて広がっている。また、前記反射面6は、前記第一反射面9,9及び前記第二反射面10,10が発光素子3から遠ざかる方向に向けて凹状に湾曲するように形成されている。これにより、この種の撮影用照明装置1は、第一反射面9,9と第二反射面10,10とが同じ湾曲態様になっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−172125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記携帯電子機器は、一般的には長方形状の領域が撮影領域として設定されているが、前記撮影用照明装置1は、上述のように、周壁5が包囲する領域の中央部に発光素子3が配置され、反射面6が該発光素子3の近傍から周壁5の面一な先端部に向けて広がっているため、反射器4の形状に対応して(反射面6の形状に対応して)正方形状の領域を照らすことになる。
【0009】
そのため、前記撮影用照明装置1は、撮影領域全体を均一に照らすことができない場合があることが問題となっている。すなわち、前記携帯電子機器の撮影領域が短辺と長辺とからなる長方形状であるのに対して、前記撮影用照明装置1の照射領域が全ての辺の長さが等しい正方形状をなすため、撮影領域と照明領域との形状の不一致により、前記撮影用照明装置1は、該撮影領域内を照らすためには、該撮影領域外を照らす必要があり、撮影領域内の光効率が低下する場合があることが問題となっている。
【0010】
このような問題に鑑み、光学レンズ(図示しない)を用いて光の照射領域を拡張する(撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向に照射領域の形状を拡張する)ことが考えられるが、光学レンズを用いて照射領域の形状を正方形状から長方形状に広げると光が拡散して撮影領域に照射される光の密度が不均一になるため、光学レンズを用いて長方形状の撮影領域に対して光を均一に照射することは、困難である。
【0011】
また、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向(長辺の延びる方向)と対応する方向に複数の発光素子3を並設して撮影領域の全体を均一に照らすことも考えられるが、前記撮影用照明装置1が大型化して、その結果、前記携帯電子機器の大型化に繋がるという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、大型化することなく、撮影領域全体を略均一に照らすことのできる撮影用照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る撮影用照明装置は、上記の課題を解決するためになされたもので、発光素子と、長方形状の撮影領域に向けて発光素子からの光を反射させ、前記発光素子の周囲から外側に広がる反射面とを備え、前記反射面は、撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向で発光素子を挟んで対峙する一対の第一反射面と、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向で発光素子を挟んで対峙する一対の第二反射面とを備え、該第一反射面及び第二反射面が正方形状の外郭を構成する撮影用照明装置において、前記第二反射面の撮影領域方向の高さが前記第一反射面の撮影領域方向の高さよりも低いことを特徴とする。
【0014】
上記構成の撮影用照明装置は、第二反射面の発光素子から、両側の反射面の撮影領域方向の端部(以下、先端部という)が第一反射面の先端部よりも基板側に位置するため、第二反射面に比べて第一反射面のほうがより光を制御できることになり、光をより集光できるので光の広がりが小さくなる。つまり第二反射面方向の光は広がり、第一反射面方向の光は広がらない。
【0015】
従って、前記撮影用照明装置は、撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向における光の照射範囲に比して、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向における光の照射範囲を広くすることができる。これにより、前記撮影用照明装置は、長方形状をなす撮影領域と相似する形状の領域を照らすことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の撮影用照明装置によれば、大型化することなく、撮影領域全体を略均一に照らすことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮影用照明装置の斜視図
【図2】本発明の一実施形態に係る撮影用照明装置の断面図であり、(a)は、図1のA−A線における断面図、(b)は、図1のB−B線における断面図。
【図3】従来の撮影用照明装置の斜視図
【図4】従来の撮影用照明装置の断面図であり、(a)は、図3のC−C線における断面図、(b)は、図3のD−D線における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る撮影用照明装置は、デジタルカメラや、カメラ付き携帯電話等の携帯電子機器に搭載されるものであり、撮影を行う際に長方形状の撮影領域を照らすためのものである。
【0019】
本実施形態に係る撮影用照明装置は、図1に示す如く、基板2上に設けられた発光素子3と、前記撮影領域に向けて発光素子3からの光を反射させる反射器4とを備えている。
【0020】
前記発光素子3は、携帯電子機器に搭載された電源(例えば、バッテリー)からの電力が基板2を介して供給されることで光を放つように構成されている。本実施形態の発光素子3は、LEDが採用されている。また、本実施形態に係る発光素子3は、後述する周壁5が包囲する領域の中央部に配置されている。
【0021】
前記反射器4は、該発光素子3を包囲する周壁5と、発光素子3の周囲から外側に広がる反射面6とを備えている。前記周壁5は、撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向で発光素子3を挟んで対峙する一対の第一周壁形成部7,7と、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向で発光素子3を挟んで対峙する一対の第二周壁形成部8,8とを備えている。また、前記周壁5は、該第一周壁形成部7,7及び第二周壁形成部8,8が正方形状の外郭を構成している。なお、以下において、前記周壁5(第一周壁形成部7,7及び第二周壁形成部8,8)の基板2側の端部とは反対側の端部を先端部ということとする。
【0022】
前記反射面6は、図2(a)、及び図2(b)に示す如く、発光素子3の近傍両側(撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向における発光素子3の近傍両側)から第一周壁形成部7,7の先端部に向かって広がる一対の第一反射面9,9と、発光素子3の近傍両側(撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向における発光素子3の近傍両側)から第二周壁形成部8,8の先端部に向かって広がる一対の第二反射面10,10とを備えている。また、本実施形態に係る反射面6は、第一反射面9,9と第二反射面10,10とが連続的に形成されている。そして、前記第一反射面9,9と第二反射面10,10とは、発光素子3から遠ざかる方向に向けて凹状に湾曲するように形成されている。
【0023】
前記第一周壁形成部7,7及び前記第一反射面9,9は、図2(a)に示す如く、基板2上から起立するように設けられている。また、本実施形態に係る一方の第一周壁形成部7及び第一反射面9と他方の第一周壁形成部7及び第一反射面9とは、先端部の位置(基板2の発光素子3が設けられている側の面(以下、基準面という)を基準とした高さ(すなわち撮影方向の高さ)H3が等しくなるように形成されている。
【0024】
前記第二周壁形成部8,8及び第二反射面10,10は、図2(b)に示す如く、基板2上に対して起立するように設けられる。また、本実施形態に係る一方の第二周壁形成部8及び第二反射面10と他方の第二周壁形成部8及び第二反射面10とは、先端部の位置(基板2の基準面を基準とした高さ)H4が等しくなるように形成されている。
【0025】
そして、本実施形態に係る第二周壁形成部8,8及び第二反射面10,10は、先端部の位置H4が第一周壁形成部7,7及び第一反射面9,9における先端部の位置H3よりも基板2側に位置するように構成されている。すなわち、本実施形態に係る第二周壁形成部8,8及び第二反射面10,10は、高さH4が第一周壁形成部7,7及び第一反射面9,9の高さH3よりも低くなるように構成されている。
【0026】
これにより、前記撮影用照明装置1は、第二反射面10,10の発光素子3から、両側の反射面の撮影領域方向の端部(以下、先端部という)が第一反射面9,9の先端部よりも基板側に位置するため、第二反射面10,10に比べて第一反射面9,9のほうがより光を制御できることになり、光をより集光できるので光の広がりが小さくなる。つまり第二反射面10,10方向の光は広がり、第一反射面9,9方向の光は広がらない。
【0027】
従って、前記撮影用照明装置1は、撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向における光の照射範囲に比して、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向における光の照射範囲を広くすることができる。従って、前記撮影用照明装置1は、長方形状をなす撮影領域と相似する形状の領域を照らすことができる。
【0028】
本実施形態に係る撮影用照明装置1は、以上の通りであり、続いて撮影用照明装置1が撮影領域を照らす動作について説明する。
【0029】
本実施形態に係る撮影用照明装置1は、携帯電子機器に搭載されている電源からの電力が基板2を介して発光素子3に供給されると該発光素子3が光軸を中心にして外側に広がる光を出射する。そして、前記発光素子3から出射された光のうち、第一反射面9,9及び第二反射面10,10に向かって広がる光は、第一反射面9,9及び第二反射面10,10によって撮影領域または、他の反射面に向けて反射され、それ以外の光は、進行方向を変えることなく撮影領域に到達する。
【0030】
本実施形態に係る撮影用照明装置1は、上述のように、一対の第一周壁形成部7,7及び第一反射面9,9のそれぞれの面一な先端部に比して、一対の第二周壁形成部8,8及び第二反射面10,10のそれぞれの面一な先端部が基板側に位置するため、第一反射面9,9が第二反射面10,10より光の制御ができ、結果として第一周壁形成部7,7が対峙する方向(撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向)における光の照射角度に比して、第二周壁形成部8,8が対峙する方向(撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向)における光の照射角度が大きくなる。
【0031】
従って、本実施形態に係る撮影用照明装置1は、撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向における光の照射範囲に比して、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向における光の照射範囲を広くすることができる。これにより、前記撮影用照明装置1は、撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向における光の照射領域に比して、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向における光の照射領域を広くすることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る撮影用照明装置1は、撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向における光の照射範囲に比して、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向における光の照射範囲を広くすることができるため、大型化することなく、長方形状の撮影領域全体を略均一に照らすことができるという優れた効果を奏し得る。
【0033】
尚、本発明の撮影用照明装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0034】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、撮影用照明装置1は、必要に応じて前記周壁5の先端部上に発光素子3からの光を制御するための光学レンズを配置してもよい。
【0035】
また、上記実施形態において、前記第一反射面9,9及び第二反射面10,10は、発光素子3から遠ざかる方向に向けて凹状に湾曲するように形成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、前記第一反射面9,9及び第二反射面10,10は、凹状に湾曲することを前提に、発光素子3から遠ざかる方向に向けて屈曲させ、該屈曲させた部分を境とした一方側と他方側とで湾曲率が異なるようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態において、前記反射器4は、前記反射面6が周壁5の内周面に形成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、発光素子3の周囲から外側に広がるように形成されていれば、周壁5と反射面6とを別体で構成してもよい。
【0037】
さらに、上記実施形態において、撮影用照明装置1は正方形に形成されていたが、長方形状の撮影領域をより均一に照らすために長方形であってもよい。その場合も、従来例に比べ撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向の長さを短くでき、大型化を防止できる。
【0038】
また、上記実施形態においては対応する周壁5と反射面6の高さが同じに形成されていたが、反射面6の光の制御を妨げなければ同じ高さでなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の撮影用照明装置は、前記第二周壁形成部における基板側の端部とは反対側の端部が前記第一周壁形成部における基板側の端部とは反対側の端部よりも基板側に位置するように構成することによって、大型化することなく、撮影領域全体を略均一に照らすことが必要な用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 撮影用照明装置
2 基板
3 発光素子
4 反射器
5 周壁
6 反射面
7 第一周壁形成部
8 第二周壁形成部
H3 第一周壁形成部の高さ
H4 第二周壁形成部の高さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、長方形状の撮影領域に向けて前記発光素子からの光を反射させ、前記発光素子の周囲から外側に広がる反射面とを備え、前記反射面は、撮影領域を画定する長辺が並ぶ方向と対応する方向で発光素子を挟んで対峙する一対の第一反射面と、撮影領域を画定する短辺が並ぶ方向と対応する方向で発光素子を挟んで対峙する一対の第二反射面とを備え、該第一反射面及び第二反射面が正方形状を構成する撮影用照明装置において、前記第二反射面の撮影領域方向の高さが前記第一反射面の撮影領域方向の高さより低いことを特徴とする撮影用照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−16723(P2013−16723A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149825(P2011−149825)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】