説明

撮影範囲制御装置、撮影範囲制御方法及びコンピュータプログラム

【課題】カメラを操作してない端末からもカメラの操作に制限を加えることのできるテレビ会議システムのカメラの撮影範囲制御装置、撮影範囲制御方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】会議サーバでは、撮影範囲の選択枠の操作制限情報を端末から受信した場合には(S24:YES)、受信した座標を含む範囲でのみ撮影範囲の選択枠の操作を操作端末に許可する(S25)。そして、操作端末から撮影範囲の確定信号を受信した場合には(S26:YES)、操作対象端末に撮影範囲の選択枠の中心の座標と選択枠の拡大率をカメラ制御信号として作成して送信する。その後、処理を終了する。尚、S24の判断処理において、一定時間以内に操作制限信号を受信しない場合には(S24:NO)、S26に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影範囲制御装置、撮影範囲制御方法及びコンピュータプログラムに関し、詳細には、複数の地点をネットワークで結んで行うテレビ会議システムのカメラの撮影範囲制御装置、撮影範囲制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の端末をネットワークを介して接続し、画像と音声を双方向に送受信することにより、遠隔の地にある者同士の会議を実現するテレビ会議システムが知られている。このテレビ会議システムにおいて、相手側の端末のカメラの撮影範囲を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このテレビ会議システムでは、相手側のカメラの撮影範囲を制御する権利は、制御を始めた側の端末が持っている。
【特許文献1】特開平2003−274255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のテレビ会議システムでは、3箇所以上の複数の地点を結んでテレビ会議を行う場合には、現在、カメラの撮影範囲を制御している端末以外の地点の端末からカメラの撮影範囲を制御したくても出来ないという問題点があった。この場合には、第一の地点が第二の地点のカメラを操作すると、第三の地点は、新しく決まる画角について、実際にカメラが動いた後でないと確認できなかった。従って、第三の地点の見ていた物が写らなくなることがあり、カメラを再度操作しなければならず、スムーズな会議ができなくなるという問題点もあった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、テレビ会議システムにおいて、カメラを操作してない端末からもカメラの操作に制限を加えることのできるテレビ会議システムのカメラの撮影範囲制御装置、撮影範囲制御方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の撮影範囲制御装置は、遠隔会議に参加する会議参加者に見せる画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段の撮影範囲を示す撮影範囲情報に基づいて前記撮影手段の撮影範囲を切り替える切替手段とを備える遠隔会議装置を複数の地点に設置して、各遠隔会議装置が、自身が撮影した画像を、ネットワークを介して、他の遠隔会議装置に送信するとともに、他の遠隔会議装置から送信されてきた画像を表示することによって実施される遠隔会議において、各遠隔会議装置の前記撮影手段の撮影範囲を制御する撮影範囲制御装置であって、前記撮影手段の撮影可能な全範囲の画像を撮影するように前記撮影手段を制御する撮影制御手段と、前記撮影手段が撮影した撮影可能な全範囲の画像を合成して、一枚の静止画像を作成する画像合成手段と、操作対象となる遠隔会議装置の前記撮影手段の撮影可能範囲の前記静止画像の中で、前記撮影手段の現在の撮影範囲の画角の現在枠情報を作成する現在枠情報作成手段と、前記撮影可能範囲の前記静止画像の中の次に撮影される画角の情報である選択枠情報を作成する選択枠情報作成手段と、前記操作対象となる遠隔会議装置自身又は他の遠隔会議装置から前記選択枠情報を操作する操作情報を受信する操作情報受信手段と、次に撮影される前記撮影手段の撮影範囲の操作をしている遠隔会議装置以外の他の遠隔会議装置から、前記静止画像の中で次に撮影したい箇所の座標情報である指定座標情報を受信する指定座標情報受信手段と、前記操作情報受信手段が受信した操作情報に基づいて前記選択枠情報作成手段が選択枠情報を作成する場合に、前記指定座標情報受信手段が受信した指定座標情報を含む範囲で前記選択枠情報を作成するように前記選択枠情報作成手段を制御する選択枠制御手段と、前記選択枠制御手段の制御により前記選択枠情報作成手段が作成した前記選択枠情報の示す画角となるように前記撮影手段を制御する撮影制御情報を作成する撮影制御情報作成手段と、当該撮影制御情報作成手段が作成した撮影制御情報を操作対象となっている遠隔会議装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明の撮影範囲制御装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記指定座標情報受信手段が前記指定座標情報を複数受信した場合には、前記撮影制御情報作成手段は、その複数の座標の重心を次に撮影する画角の中心にするように前記撮影制御情報を作成することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明の撮影範囲制御装置は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記複数の指定座標情報に重みを付与する重み付与手段を設け、前記撮影制御情報作成手段は、前記重み付与手段が付与した重みに基づいて、複数の座標の重心を決定して、次に撮影する画角の中心にするように前記撮影制御情報を作成することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明の撮影範囲制御装置は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の構成に加え、前記遠隔会議の参加時に、前記遠隔会議装置から属するグループを示すグループ情報を受信するグループ情報受信手段と、前記グループ情報受信手段が同じグループ情報を受信した遠隔会議装置に対してのみ前記選択枠情報を送信する選択枠情報送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明の撮影範囲制御装置は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の構成に加え、前記指定座標情報を複数受信した場合に、当該複数の指定座標情報が画角に入らない場合に、前記選択枠情報を操作している遠隔会議装置からの操作情報により前記選択枠情報が操作されて、画角に入れる指定座標情報を選択可能であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る発明の撮影範囲制御装置は、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の構成に加え、前記撮影範囲制御装置は、各遠隔会議装置を接続するサーバから構成されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る発明の撮影範囲制御装置は、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の構成に加え、前記撮影範囲制御装置は、各遠隔会議装置の何れかで構成されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に係る発明の撮影範囲制御方法は、遠隔会議に参加する会議参加者に見せる画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段の撮影範囲を示す撮影範囲情報に基づいて前記撮影手段の撮影範囲を切り替える切替手段とを備える遠隔会議装置を複数の地点に設置して、各遠隔会議装置が、自身が撮影した画像を、ネットワークを介して、他の遠隔会議装置に送信するとともに、他の遠隔会議装置から送信されてきた画像を表示することによって実施される遠隔会議において、各遠隔会議装置の前記撮影手段の撮影範囲を制御する撮影範囲制御方法であって、前記撮影手段の撮影可能な全範囲の画像を撮影するように前記撮影手段を制御する撮影制御ステップと、前記撮影手段が撮影した撮影可能な全範囲の画像を合成して、一枚の静止画像を作成する画像合成ステップと、操作対象となる遠隔会議装置の前記撮影手段の撮影可能範囲の前記静止画像の中で、前記撮影手段の現在の撮影範囲の画角の現在枠情報を作成する現在枠情報作成ステップと、前記撮影可能範囲の前記静止画像の中の次に撮影される画角の情報である選択枠情報を作成する選択枠情報作成ステップと、前記操作対象となる遠隔会議装置自身又は他の遠隔会議装置から前記選択枠情報を操作する操作情報を受信する操作情報受信ステップと、次に撮影される前記撮影手段の撮影範囲の操作をしている遠隔会議装置以外の他の遠隔会議装置から、前記静止画像の中で次に撮影したい箇所の座標情報である指定座標情報を受信する指定座標情報受信ステップと、前記操作情報受信手段が受信した操作情報に基づいて前記選択枠情報作成手段が選択枠情報を作成する場合に、前記指定座標情報受信ステップで受信した指定座標情報を含む範囲で前記選択枠情報を作成するように制御する選択枠制御ステップと、前記選択枠制御ステップの制御により作成した前記選択枠情報の示す画角となるように前記撮影手段を制御する撮影制御情報を作成する撮影制御情報作成ステップと、当該撮影制御情報作成ステップが作成した撮影制御情報を操作対象となっている遠隔会議装置に送信する送信ステップとを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に係る発明のコンピュータプログラムは、コンピュータに請求項8に記載の撮影範囲制御方法の各ステップを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明の撮影範囲制御装置では、第一の遠隔会議装置が第二の遠隔会議装置の撮影手段の撮影範囲の画角の制御をしているときに、第三の遠隔会議装置が第二の遠隔会議装置の撮影手段が撮影可能な全範囲の画像を合成した一枚の静止画像の中で次に撮影したい箇所の座標情報である指定座標情報を撮影範囲制御装置に送信することにより、第一の遠隔会議装置以外の遠隔会議装置からも必ず次に撮影させたい地点をしてすることが可能となる。従って、他地点の見ていた物が写らなくなることを防止でき、カメラを再度操作する必要を無くし、スムーズな会議ができる。
【0015】
また、請求項2に係る発明の撮影範囲制御装置では、請求項1に記載の発明の効果に加え、指定座標情報を複数受信した場合には、撮影制御情報作成手段は、その複数の座標の重心を次に撮影する画角の中心にするように撮影制御情報を作成するので、複数の遠隔会議装置が次に撮影させたい地点を中心として、画角を決定することができる。撮影範囲制御装置の多くのユーザが希望する地点を中心として、画角を決定することができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明の撮影範囲制御装置では、請求項2に記載の発明の効果に加え、撮影制御情報作成手段は、重み付与手段が付与した重みに基づいて、複数の座標の重心を決定して、次に撮影する画角の中心にするように撮影制御情報を作成するので、優先度が高い地点よりに画角を決定することができる。
【0017】
また、請求項4に係る発明の撮影範囲制御装置では、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、選択枠情報送信手段はグループ情報受信手段が同じグループ情報を受信した遠隔会議装置に対してのみ前記選択枠情報を送信するので、限定された範囲の遠隔会議装置のみに次に撮影する画角の制御を行わせることができる。
【0018】
また、請求項5に係る発明の撮影範囲制御装置では、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の効果に加え、指定座標情報を複数受信した場合に、複数の指定座標情報が画角に入らない場合に、選択枠情報を操作している遠隔会議装置からの操作情報により選択枠情報が操作されて、画角に入れる指定座標情報を選択可能であるので、複数の地点から任意の地点を選択して選択枠に入れることができる。
【0019】
また、請求項6に係る発明の撮影範囲制御装置では、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の効果に加え、撮影範囲制御装置としてサーバを利用できるので、遠隔会議装置の能力が高くなくてもサーバにより各種の処理を行うことができる。
【0020】
また、請求項7に係る発明の撮影範囲制御装置では、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の効果に加え、撮影範囲制御装置として遠隔会議装置を利用できるので、サーバを省略できる。
【0021】
また、請求項8に係る発明の撮影範囲制御方法では、第一の遠隔会議装置が第二の遠隔会議装置の撮影手段の撮影範囲の画角の制御をしているときに、第三の遠隔会議装置が第二の遠隔会議装置の撮影手段が撮影可能な全範囲の画像を合成した一枚の静止画像の中で次に撮影したい箇所の座標情報である指定座標情報を撮影範囲制御装置に送信することにより、第一の遠隔会議装置以外の遠隔会議装置からも必ず次に撮影させたい地点をしてすることが可能となる。従って、他地点の見ていた物が写らなくなることを防止でき、カメラを再度操作する必要を無くし、スムーズな会議ができる。
【0022】
また、請求項9に係る発明のコンピュータプログラムでは、コンピュータに請求項8に記載の撮影範囲制御方法の各ステップを実行させることにより、請求項8に記載の発明の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態であるテレビ会議システム1について、図面を参照して説明する。はじめに、テレビ会議システム1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、テレビ会議システム1の構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、テレビ会議システム1は、各地点毎に設けられた複数の端末3と、これら複数の端末3間で開催される会議を統括する会議サーバ4とを備え、これらがネットワーク2を介して相互に接続されている。尚、説明のため、A地点に設置された端末を端末3Aとし、B地点に設置された端末を端末3Bとし、C地点に設置された端末を端末3Cとする。このテレビ会議システム1では、端末3間において、ネットワーク2を介して、画像、音声が互いに送受信されることで、遠隔会議が実施される。
【0025】
次に、端末3の電気的構成について、図2を参照して説明する。図2は、端末3の電気的構成を示すブロック図である。端末3には、端末3の制御を司るコントローラとしてのCPU20が設けられ、そのCPU20には、BIOS等を記憶したROM21と、各種データを一時的に記憶するRAM22と、データの受け渡しの仲介を行うI/Oインタフェイス30とが接続されている。I/Oインタフェイス30には、ハードディスクドライブ31(以下、HDD31)が接続されている。HDD31には、プログラム記憶エリア312と、その他の情報記憶エリア313とが少なくとも設けられている。
【0026】
プログラム記憶エリア312には、端末3のメインプログラムや、他の端末3との間で会議を実行するための会議実行プログラム等が記憶されている。その他の情報記憶エリア313には、端末3で使用されるその他の情報が記憶されている。なお、端末3がHDD31を備えていない専用機の場合は、ROM21に各種プログラムが記憶される。
【0027】
また、I/Oインタフェイス30には、ネットワーク2と通信するための通信装置25と、マウス27と、ビデオコントローラ23と、キーコントローラ24と、カードリーダ制御部32と、ユーザを撮影するためのカメラ34の方向やレンズのズームを制御するカメラ制御部36と、ユーザの音声を取り込むためのマイク35と、CD−ROMドライブ26とが接続されている。ビデオコントローラ23にはディスプレイ28が接続され、キーコントローラ24にはキーボード29が接続され、カードリーダ制御部32には、各ユーザが所有する識別カード(図示外)に記憶されたユーザを識別するためのユーザIDを読み込むためのカードリーダ33が接続され、カメラ制御部36には、カメラ34が接続されている。尚、カメラ34には、上下左右に方向を変えるための電動雲台37と電動のズームレンズ38が備えられており、カメラ制御部36の制御によりこれらは駆動されて、カメラの方向及び画角が変更される。
【0028】
なお、CD−ROMドライブ26に挿入されるCD−ROM114には、上記したメインプログラムや、会議実行プログラム、撮影範囲制御方法のプログラム等が記憶され、導入時には、これら各種プログラムが、CD−ROM114からハードディスクドライブ31にセットアップされて、プログラム記憶エリア312に記憶される。
【0029】
次に、会議サーバ4の電気的構成について、図3を参照して説明する。図3は、会議サーバ4の電気的構成を示すブロック図である。会議サーバ4には、会議サーバ4の制御を司るコントローラとしてのCPU40が設けられ、そのCPU40には、BIOS等を記憶したROM41と、各種データを一時的に記憶するRAM42と、データの受け渡しの仲介を行うI/Oインタフェイス50とが接続されている。I/Oインタフェイス50には、ハードディスクドライブ51(以下、「HDD51」と言う。)が接続されている。HDD51には、後述する各種記憶エリアが少なくとも設けられている(図4参照)。
【0030】
また、I/Oインタフェイス50には、ネットワーク2と通信するための通信装置45と、マウス47と、ビデオコントローラ43と、キーコントローラ44と、CD−ROMドライブ46と、計時装置52が接続されている。ビデオコントローラ43にはディスプレイ48が接続され、キーコントローラ44にはキーボード49が接続されている。
【0031】
なお、CD−ROMドライブ46に挿入されるCD−ROM115には、後述するメインプログラムや、会議管理プログラムや、撮影範囲制御方法のプログラム等が記憶され、導入時には、これら各種プログラムが、CD−ROM115からHDD51にセットアップされて、プログラム記憶エリア516に記憶される。
【0032】
次に、HDD51の各種記憶エリアについて、図4を参照して説明する。図4は、HDD51の各記憶エリアを示す概念図である。HDD51には、ユーザ情報テーブル記憶エリア511と、ログインテーブル記憶エリア512と、会議テーブル記憶エリア513と、参加受付テーブル記憶エリア514と、カメラ操作参加情報テーブル記憶エリア515と、プログラム記憶エリア516と、端末毎の重み付けを記憶した重み付け記憶エリア517と、その他の情報記憶エリア518とが少なくとも設けられている。
【0033】
ユーザ情報テーブル記憶エリア511には、ユーザ情報テーブル5111(図5参照)が記憶されている。ログインテーブル記憶エリア512には、ログインテーブル5121(図6参照)が記憶されている。会議テーブル記憶エリア513には、会議テーブル5131(図7参照)が記憶されている。参加受付テーブル記憶エリア514には、参加受付テーブル5141(図8参照)が記憶されている。カメラ操作参加情報テーブル記憶エリア515には、カメラ操作参加情報テーブル5151(図9参照)が記憶されている。また、プログラム記憶エリア516には、会議サーバ4のメインプログラムや、端末3間で開催される会議を管理するための会議管理プログラム等が記憶されている。重み付け記憶エリア517には、後述する複数の操作制限情報(ポインタ)の各座標に重みを付けて重心を算出するための重みが記憶されている。その他の情報記憶エリア518には、会議サーバ4で使用されるその他の情報が記憶されている。なお、会議サーバ4がHDD51を備えていない専用機の場合は、ROM41に各種プログラムが記憶される。以下、各テーブルについて順に説明する。
【0034】
まず、ユーザ情報テーブル5111について、図5を参照して説明する。図5は、ユーザ情報テーブル5111の概念図である。ユーザ情報テーブル5111は、ユーザがテレビ会議システム1にログインする際の認証に用いるためのテーブルである。ユーザ情報テーブル5111には、各ユーザにそれぞれ対応するユーザ情報が各々記憶されている。具体的には、ユーザを識別するためのユーザID、ログインする際のパスワード、氏名、会社名等が各々記憶されている。ユーザは、これらのユーザ情報を、ユーザ情報テーブル5111に事前に登録を済ませておくこととする。このユーザ情報テーブル5111により、テレビ会議システム1を利用するユーザを管理できる。
【0035】
次に、ログインテーブル5121について、図6を参照して説明する。図6は、ログインテーブル5121の概念図である。ログインテーブル5121には、ネットワーク2にログインしたユーザのユーザIDと、そのユーザIDが登録された端末3の端末IDとが記憶される。即ち、ログインテーブル5121のユーザIDの欄には、カードリーダ33で読み取られた識別カード(図示外)に記憶されたユーザIDが記憶される。さらに、端末IDの欄には、そのユーザIDを送信した端末3を識別する端末IDが記憶される。なお、端末IDとは、端末3のマックアドレス等である。
【0036】
例えば、ユーザである「兄弟太郎」さん(図5参照)がログインした場合、兄弟太郎さんが所有する識別カードをカードリーダ33に読み取らせる。この場合、その識別カードに記憶されたユーザID=「A0001」と、そのユーザIDを送信した端末3の端末ID=「0001」とが、ログインテーブル5121に各々記憶される。その他のユーザである兄弟次郎さん、兄弟三郎さん、販売太郎さん、販売次郎さん達についても同様に設定される。このように、ログインテーブル5121は、ネットワーク2にログインしたユーザと、そのユーザが登録された端末3とを管理するものである。
【0037】
次に、会議テーブル5131について、図7を参照して説明する。図7は、会議テーブル5131の概念図である。会議テーブル5131には、ユーザIDと、そのユーザIDが参加メンバーとして予め登録されている会議を識別する会議IDとが各々記憶されている。例えば、兄弟太郎さん、兄弟次郎さん、兄弟三郎さん、販売太郎さん、販売次郎さんは、会議ID=001の会議の参加メンバーとして、会議テーブル5131に予め登録されている。これにより、会議の参加者を管理できる。
【0038】
次に、参加受付テーブル5141について、図8を参照して説明する。図8は、参加受付テーブル5141の概念図である。参加受付テーブル5141には、予め登録された会議IDに対して、その会議IDに対応する会議に現在ログインしているユーザIDが、会議参加IDとして記憶されている。例えば、参加受付テーブル5141の1行目では、会議ID=「001」に対して、会議参加ID=「A0001」、「A0002」、「B0001」のユーザが現在ログインしていることを示している。
【0039】
次に、カメラ操作参加情報テーブル5151について、図9を参照して説明する。図9は、カメラ操作参加情報テーブル5151の概念図である。カメラ操作参加情報テーブル5151には、カメラ34の画角を調整する操作に参加する端末3の端末IDが記憶されている。
【0040】
次に、図10を参照して、端末3のRAM22の記憶エリアを説明する。図10は、端末3のRAM22の記憶エリアの概念図である。図10に示すように、端末3のRAM22には、自身が備えるカメラ34で撮影した撮影可能範囲の合成画像と、撮影可能範囲等を記憶する自端末撮影情報記憶エリア221と、他の端末3から受信した他の端末3の合成画像と撮影可能範囲等を記憶する他端末撮影情報記憶エリア222と、その他データを記憶するエリア等が設けられている。
【0041】
次に、端末3のディスプレイ28に表示される画面について、図11を参照して説明する。図11は、A地点の端末3Aのディスプレイ28に表示された分割された表示部281〜284を示す図である。例えば、図1に示すように、テレビ会議システム1において、A地点〜Cの3つの地点がある場合を想定する。A地点には、端末ID=0001の端末3が設置され、B地点には、端末ID=0002の端末3が設置され、C地点には、端末ID=0003の端末3が設置され設置されている。
【0042】
そして、A地点の端末3Aからは、1人の参加者が会議にログインし、B地点の端末3Bからは、2人のユーザが会議にログインし、C地点の端末3Cからは、2人のユーザが会議にログインした場合を想定する。
【0043】
このような状況の場合、A地点〜C地点の各端末3のディスプレイ28には、図11に示す4つの表示部281〜284が表示される。例えば、表示部281には、A地点のカメラ34(図2参照)で撮影された参加者の画像が表示される。表示部282には、B地点のカメラ34(図2参照)で撮影された参加者の画像が表示される。表示部283には、C地点のカメラ34(図2参照)で撮影された参加者の画像が表示される。この段階では、表示部284には何も表示されない。これに合わせ、各端末3A〜3Cのマイク35(図2参照)によって、各A地点、B地点、C地点の各音声が端末3A〜3Cのスピーカ(図示外)から出力されるので、遠く離れた他のA地点、B地点、C地点の間で会議を行うことができる。
【0044】
次に、上記構成からなるテレビ会議システム1で行われる処理について説明する。まず、初めに、図12に示すフローチャートを参照して、テレビ会議に参加する各端末3で行われる処理について説明する。図12は、端末3の主制御のフローチャートである。端末3では、電源が投入されると、初めに、CPU20がカメラ制御部36を制御して、カメラ34の電動のズームレンズ38が回転して最大の広角の画角になる。次いで、カメラ34が載置された電動雲台37が上下左右の最大角度まで回転して、カメラ34による撮影可能範囲の全てを撮影する(S11)。そして、その撮影データは、図10に示すRAM22の自端末撮影情報記憶エリア221に記憶される。次いで、RAM22の自端末撮影情報記憶エリア221に記憶された複数の静止画像を合成して、一枚の合成画像を作成する(S11)。この合成画像の作成には周知の画像合成の技術を採用すれば良い。例えば、各静止画像の画像認識を行って、同じ画像の部分を繋ぎ合わせるように合成する処理により行えばよい。合成画像は、RAM22の自端末撮影情報記憶エリア221に記憶される(S11)。また、この撮影可能範囲の合成画像に対応するカメラ34の画像の中心に対する上下の角度、左右の角度からなる撮影可能範囲データも自端末撮影情報記憶エリア221に記憶される(S11)。
【0045】
次いで、RAM22の自端末撮影情報記憶エリア221に記憶した自端末撮影可能範囲の合成画像と、撮影可能範囲データと、ズームレンズ38をズームインしたときの拡大率のデータを他の端末3に送信する(S12)。このときに、後述するグループコードを記憶している場合には、当該グループコードも他の端末3に送信する(S12)。
【0046】
次いで、他の端末3から送られて来る他の端末の撮影可能範囲の合成画像と、撮影可能範囲データと、ズームレンズ38をズームインしたときの拡大率のデータを受信し(S13)、図10に示すRAM22の他端末撮影情報記憶エリア222に記憶する(S13)。このときに、後述するグループコードを受信している場合には、当該グループコードも他端末撮影情報記憶エリア222に記憶する(S13)。次いで、複数の端末3間での多地点会議を開始する(S14)。次いで、映像とともに現在のカメラ34の中心位置の座標(X.Y)と、ズームレンズ38の拡大率を送信する(S15)。
【0047】
次いで、他の端末3からの映像と現在のカメラ34の中心位置の座標(X.Y)と、ズームレンズ38の拡大率を受信して、図11に示す合成画像を更新する(S16)。
【0048】
次に、図13乃至図15に示すフローチャートと、図11、図16及び至図17を参照して、端末3におけるカメラ34の撮影範囲制御について説明する。図13は、会議サーバ4で行われる処理のフローチャートである。図14は、撮影範囲の操作を指示しない非操作指示の端末3で行われる制御のフローチャートである。図15は、他の端末3から撮影範囲の操作を指示を受ける端末3でのカメラ34の調整のフローチャートである。図16及び至図17は、端末3のディスプレイ28に表示される画像の図である。
【0049】
ここでは、一例として、A地点の端末3A、B地点の端末3B、C地点の端末3Cの3つの間でテレビ会議が行われ、A地点の端末3AがB地点の端末3Bのカメラ34を操作するものとする。まず、会議サーバ4では、図11に示すように、A地点、B地点及びC地点の端末3のディスプレイ28に図11に示す合成画像を表示する。この合成画像では、左上の表示部281にA地点の画像を表示し、右上の表示部282にB地点の画像を表示し、左下の表示部283にB地点の画像を表示し、右下の表示部284が空欄で表示されている。
【0050】
次いで、会議サーバ4がA地点の端末3AからB地点の端末3Bのカメラ34の操作指示信号を受信すると(S21:YES)、図16に示すように、端末3A、端末3B、端末3C全部のディスプレイ28の画面の表示部284に操作対象の端末3Bの静止画像2840と、次に撮影する撮影範囲の選択枠2842と、現在の表示範囲である現在枠2841を表示する(S22)。次いで、操作指示端末であるA地点の端末3Aに次に撮影する撮影範囲の選択枠2842の操作を許可する(S23)。
【0051】
このときに、端末3Bのカメラ34の撮影範囲の制御をしていないC地点の端末3Cの制御について図14のフローチャートを参照して説明する。C地点の端末3Cでは、会議サーバ4から被操作端末である端末3Bの情報と、操作指示端末である端末3Aの情報を受信する(S31)。これらの情報によりどの端末がどの端末を制御しているかを端末3Cが知ることができる。
【0052】
次いで、ディスプレイ28の画面の表示部284に操作対象の端末3Bの静止画像2840と、次に撮影する撮影範囲の選択枠2842と、現在の表示範囲である現在枠2841とを表示する(S32)。次に、端末3Cから撮影範囲の選択枠2842への移動範囲の制限をしたい場合には(S34:YES)、図17に示すように、ディスプレイ28の画面の表示部284に表示されている静止画像2840上に見たい場所を指示するためのポインタ2845を表示する(S35)。ポインタ2845の表示の指示は、図2に示す端末3のマウス27及びキーボード29の所定の操作により行われる。
【0053】
次いで、会議サーバ4と通信して、ポインタ2845の位置を確定する信号を会議サーバ4から受信する(S36)。その後、ポインタ2845の中心のディスプレイ28の画面の表示部284に表示されている静止画像2840上の座標(X,Y)を操作制限情報として会議サーバ4へ送信する(S37)。その後、処理を終了する。また、端末3Cから撮影範囲の選択枠2842の移動範囲の制限をしない場合には(S34:NO)、処理を終了する。
【0054】
一方、会議サーバ4では、撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報(ポインタ2845の中心の静止画像2840上の座標(X,Y))を端末3Cから受信した場合には(S24:YES)、受信した座標(X,Y)を含む範囲でのみ撮影範囲の選択枠2842の操作を操作端末である端末3Aに許可する(S25)。そして、操作端末である端末3Aから撮影範囲の確定信号を受信した場合には(S26:YES)、操作対象端末(被操作端末)である端末Bに撮影範囲の選択枠2842の中心の座標(X,Y)と選択枠2842の拡大率をカメラ制御信号(撮影制御情報)として作成して送信する(S27)。その後、処理を終了する。尚、S24の判断処理において、一定時間以内に操作制限信号を受信しない場合には(S24:NO)、S26に移行する。
【0055】
次に、図15に示すフローチャートを参照して、被操作端末である端末3Bで行われるカメラ34の調整について説明する。端末3Bでは、カメラ34の制御信号を受信するまで待機し(S41:NO)、カメラ34の制御信号を受信すると(S41:YES)、端末3BのCPU20は、受信した制御信号に基づいて電動雲台37によるカメラ34の方向及びズームレンズ38の画角の調整をする(S42)。その後、処理を終了する。
【0056】
以上説明したように、上記の実施の形態では、端末3Aが端末3Bのカメラ34の次に撮影する撮影範囲の選択枠2842の操作をしている場合でも、端末3A以外の端末Cから見たい位置をポインタ2845で指定することにより、その位置が必ず入った範囲の撮影を行うことができる。
【0057】
次に、図18及び図19を参照して、複数の端末から撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報(ポインタ2845の静止画像2840上の座標(X1,Y1)及びポインタ2846の静止画像2840上の座標(X2,Y2))を受信した場合の処理について説明する。図18は、端末3のディスプレイ28に表示される画像の図である。また、図19は、複数の端末から撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報を受信した場合の会議サーバ4の処理のフローチャートである。この例では、端末3Aが端末3Bのカメラ34の制御をしており、端末3Cが撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報(ポインタ2845の静止画像2840上の座標(X1,Y1))を送信し、端末3A、端末3B及び端末3C以外の端末3が操作制限情報(ポインタ2846の静止画像2840上の座標(X2,Y2))を送信するものとする(図18参照)。
【0058】
会議サーバ4では、図18のフローチャートに示すように、複数の端末から撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報(ポインタ2845の静止画像2840上の座標(X1,Y1)及びポインタ2846の静止画像2840上の座標(X2,Y2))を受信した場合に(図19:S60:YES)、受信した複数の操作制限情報(ポインタ)の重心の座標で画角中心の座標を決める設定になっている場合には(S61:YES)、撮影範囲の確定信号を受信すると(S62:YES)、端末3毎に重み付けの設定がなされている場合には(S63:YES)、複数の操作制限情報(ポインタ)の各座標に重みを付けて重心を算出する(S66)。この重みは、HDD51の重み付け記憶エリア517に予め記憶されている(図4参照)。例えば、端末3Cから座標(X1,Y1)及び他の端末3から座標(X2,Y2)を受信した場合に、端末3Cの重みが「3」で、他の端末3の重みが「2」とHDD51の重み付け記憶エリア517に記憶されている場合には、操作制限情報(ポインタ)の座標としては、座標(X=(3X1+2X2)/5、Y=(3Y1+2Y2)/5)を採用する(S63)。その後、算出した座標(X=(3X1+2X2)/5、Y=(3Y1+2Y2)/5)を撮影範囲の選択枠2842の中心の座標とする(S65)。
【0059】
また、端末3毎に重み付けの設定がなされていない場合には(S63:NO)、単純に複数の操作制限情報(ポインタ)の各座標から重心を算出する(S64)。例えば、座標(X1,Y1)及び座標(X2,Y2)を受信した場合には、操作制限情報(ポインタ)の座標としては、座標(X=(X1+X2)/2、Y=(Y1+Y2)/2)を採用する(S64)。その後、算出した座標(X=(X1+X2)/2、Y=(Y1+Y2)/2)を撮影範囲の選択枠2842の中心の座標とする(S65)。その後、処理を終了する。尚、複数の端末から撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報(ポインタ2845の静止画像2840上の座標(X1,Y1)及びポインタ2846の静止画像2840上の座標(X2,Y2))を受信した場合に(S60:YES)、受信した複数の操作制限情報(ポインタ)の重心の座標で画角を決める設定になっていない場合には(S61:NO)、処理を終了する。また、S60の判断処理では、複数の端末から撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報を受信するまで待機する(S60:NO)。さらに、S62の判断処理では、撮影範囲の確定信号を受信するまで待機する(S62:NO)。
【0060】
次に、図20に示すフローチャートを参照して、被操作端末と操作指示端末とが同じグループに属する場合のみに被操作端末のカメラ34の操作を許可する方法について説明する。図20は、会議サーバ4において、被操作端末と操作指示端末とが同じグループに属する場合のみに被操作端末のカメラ34の操作を許可する処理のフローチャートである。ここで、同じグループに属する場合には、同じグループコードを持つ設定となっている。尚、グループコードとは、テレビ会議を行う所定の組織単位(会社毎ごとや、部署毎)に定められている所定のコードであり、一例としては、A社:A001,B社:B001、C社:C001等である。
【0061】
会議サーバ4で、被操作指示端末と操作指示端末の情報(グループコードを含む)を受信した場合に(S51:YES)、各端末3のディスプレイ28の表示部284に被操作端末の静止画像2840と撮影範囲の選択枠2842と現在の表示範囲である現在枠2841を表示する(S52)。ここで、操作指示端末と被操作指示端末が同じグループである場合(同じブループコードを持つ場合)(S53:YES)、被操作指示端末に選択枠2842の操作を許可する(S54)、操作指示端末と被操作指示端末が同じグループでない場合(同じブループコードを持たない場合)(S53:NO)には、処理を終了する。また、S51の判断処理では、被操作指示端末と操作指示端末の情報(グループコードを含む)を受信するまで待機する(S51:NO)。
【0062】
次に、図21を参照して、複数の端末から撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報(ポインタ2845やポインタ2846の静止画像2840上の座標(X,Y))を受信した場合の第二の処理について説明する。図21は、複数の端末から撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報を受信した場合の会議サーバ4の第二の処理のフローチャートである。この例では、端末3Aが端末3Bのカメラ34の制御をしており、端末3Cが撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報(ポインタ2845の静止画像2840上の座標(X1,Y1))を送信し、端末3A乃至端末3C以外の端末3が操作制限情報(ポインタ2846の静止画像2840上の座標(X2,Y2))を送信するものとする(図18参照)。
【0063】
会議サーバ4において、図18に示すように、複数の端末から撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報(ポインタ2845の静止画像2840上の座標(X1,Y1)及びポインタ2846の静止画像2840上の座標(X2,Y2))を受信した場合には(図21:S70:YES)、撮影範囲の選択枠2842を最大まで拡大する(S71)。次に、この拡大した選択枠2842に全ての操作制限情報の座標(座標(X1,Y1)、座標(X2,Y2))が入った場合には(S72:YES)、処理をそのまま終了する。この拡大した選択枠2842に全ての操作制限情報の座標(座標(X1,Y1)、座標(X2,Y2))が入らなかった場合には(S72:NO)、何れかの操作制限情報の座標((X1,Y1)又は座標(X2,Y2))を含む範囲で、撮影範囲の選択枠2842の操作を許可する(S73)。この場合は、選択枠2842の操作をしている端末3Aが選択枠2842の操作により、何れかの操作制限情報の座標を外すことができるようになっている。但し、全部の操作制限情報の座標を外すことはできず、最低1つは操作制限情報の座標が残る(S73)。このときに、手動による選択枠2842の移動でなく、先に受信した操作制限情報の座標を優先するようにしても良いし、後に受信した操作制限情報の座標を優先するようにしても良い。また、端末毎に優先順位を決めておき、その優先順位の高い端末を優先するようにしても良い。何れの操作制限情報を優先するかは、予めルールとしてプログラム中で決めておけばよい。
【0064】
次いで、撮影範囲の確定信号を操作端末から受信した場合に(S74:YES)、一部の端末の制御を無視したことを全部の端末に通知する(S75)。その後、処理を終了する。また、S70の判断処理では、複数の端末から撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報を受信するまで待機する(S70:NO)。また、S74の判断処理では、撮影範囲の確定信号を操作端末から受信するまで待機する(S74:NO)。
【0065】
次に、図22に示すフローチャートを参照して、テレビ会議システム1の主制御について説明する。図22は、会議サーバ4のCPU40による主制御の処理を示すフローチャートである。
【0066】
図22に示すように、まず、端末3からユーザ情報を受信したか否かが判断される(S1)。ユーザ情報は、端末3において、会議に参加する参加者が、識別カード(図示外)をカードリーダ33に読み込ませることで、端末3の通信装置25からネットワーク2を介して会議サーバ4に向けて送信される。このとき、ユーザ情報と共に、そのユーザ情報を送信した端末3の端末IDも共に送信される。なお、ユーザ情報を受信しない間は(S1:NO)、S1に戻って、引き続きユーザ情報の受信が監視される。
【0067】
次いで、ユーザ情報が受信されると(S1:YES)、ログイン処理が実行される(S2)。この処理では、まず、各地点の端末3から受信したユーザ情報に基づき、その参加者が、予め登録されているユーザであるか否かの認証が行われる。即ち、ユーザ情報テーブル5111(図5参照)に登録されているか否かが判断される。登録されているユーザであれば、そのユーザIDと、ユーザ情報を送信した端末IDが、HDD51のログインテーブル5121(図6参照)に記憶される。なお、図示しないが、登録されていないユーザであれば認証されないので、そのまま処理は終了する。
【0068】
次に、会議受付処理が実行される(S3)。この処理では、まず、ログインしたユーザが参加可能な会議が、会議テーブル5131(図7参照)から検索される。会議は、その会議主催者が開催を決定する。例えば、会議サーバ4に登録された会議主催者が、端末3から会議開催の要求を会議サーバ4に向けて送信する。すると、会議サーバ4で予め登録された会議の開催が決定される。
【0069】
そして、参加受付テーブル5141(図8参照)に登録された該当する会議IDに対して、ユーザIDが記憶される。例えば、ユーザID=0001である「兄弟太郎」さんが、会議ID=0001の会議にログインした場合、参加受付テーブル5141には、会議ID=001に対して、ユーザID=A0001が記憶される。そして、会議ID=001の会議に対して、さらに、「兄弟次郎」さん、「販売太郎」さんがログインした場合は、参加受付テーブル5141の会議ID=0001に対して、ユーザID=A0001に加え、A0002、B0001がそれぞれ随時記憶される。
【0070】
次に、そのユーザが参加する会議において、ログインテーブル5121に基づき、ログインした端末が2以上あるか否が判断される(S4)。会議は、ログインする端末3が少なくとも2つなければ開催できない。よって、同じ会議について、ログインする端末3が1つの場合(S4:NO)、S1に戻って、他の端末のログインを待つために、ユーザ情報を受信したか否かが引き続き監視される。
【0071】
そして、例えば、ログインテーブル5121(図6参照)に、ユーザID=A0001、B0001が記憶された場合、これらは互いに別の端末であって、会議テーブル5131を参照すると、何れも会議ID=001の参加メンバーである。この場合、会議を開催できるので、ユーザID=A0001、B0001が登録された端末3の端末ID「0001」、「0002」に対して、会議開始命令がそれぞれ送信され、それらの端末3が設置された地点間を接続し、会議が開始される(S5)。
【0072】
続いて、開催されている会議に途中参加者がいるか否かが判断される(S6)。ここでは、他の端末3から同一会議にログインしたユーザがいるか否かが判断される。途中参加者がいない場合(S6:NO)、会議主催者の端末3から会議終了要求信号を受信したか否かが判断される(S8)。途中参加者がいた場合(S6:YES)、参加受付テーブル5141に、途中参加者のユーザIDがその会議IDに対して記憶される(S7)。そして、会議終了要求信号を受信しない間は(S8:NO)、引き続き会議を実行すると共に、途中参加者の監視が行われる(S6)。また、会議主催者の端末3から会議終了要求があった場合(S8:YES)、会議を終了させるために、その会議に参加している各参加者の端末3に向けて、会議終了通知が送信される(S9)。
【0073】
最後に、まとめとして、図23に示すフローチャートを参照して、一つの端末3から見た場合の上記の撮影範囲制御処理の流れを説明する。図23は、一つの端末3から見た場合の撮影範囲制御処理の流れのフローチャートである。この撮影範囲制御処理が開始されると、図16に示すように端末3のディスプレイ28の表示部284に操作対象の端末の合成画像としての静止画像2840を表示する(S81)、次いで、表示部284に画角の選択枠2842と現在枠2841とを表示する(S82)。次いで、自端末が、画角の選択枠2842の操作を指示している場合には(S83:YES)、画角の選択枠2842の操作が可能となる(S84)。次いで、他の端末がディスプレイ28の画面の表示部284に表示されている静止画像2840上に見たい場所を指示するためのポインタ2845を作成した場合には(S85:YES)、ポインタ2845を含んだ範囲でのみ画角の選択枠2842の操作が可能となる(S86)。次いで、画角を確定する(S87)。他の端末がポインタ2845を作成してない場合には(S85:NO)、画角を確定する(S87)。次いで、新しい座標を会議サーバ4に通知し、制御対象の端末3のカメラ34の制御信号が会議サーバ4から制御対象の端末3に送られる(S88)。その後、処理を終了する。
【0074】
また、自端末が、画角の選択枠2842の操作を指示していない場合に(S83:NO)、操作を全て他の端末に任せる場合は(S89:YES)、処理を終了する。また、自端末が、画角の選択枠2842の操作を指示していない場合に(S83:NO)、操作を全て他の端末に任せない場合は(S89:NO)、映しておきたいポイントにポインタ2845を作成する(S90)。その後、ポインタ2845の座標を操作制限情報として会議サーバ4に送信する(S91)。その後、処理を終了する。
【0075】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。例えば、上記の実施の形態では撮影範囲制御装置として会議サーバ4を用いたが、会議サーバ4の機能を何れかの端末3に持たせて、会議サーバ4を用いないようにしても良い。この場合には、ネットワーク2を介して複数の端末3を相互に接続し、何れかの端末3が撮影範囲制御装置として機能する。
【0076】
なお、以上の説明において、図1に示す会議サーバ4が本発明の「撮影範囲制御装置」に相当し、端末3及び端末3A〜3Cが本発明の「遠隔会議装置」に相当する。図2に示すカメラ34が本発明の「撮影手段」に相当し、電動雲台37及びズームレンズ38が本発明の「切替手段」に相当する。また、CPU20及びカメラ制御部36が、本発明の「撮影制御手段」に相当する。また、図12に示すS11の処理を実行するCPU20が本発明の「画像合成手段」に相当する。また、図13に示すS22の処理を実行するCPU40が本発明の「現在枠情報作成手段」、「選択枠情報作成手段」に相当する。また、図13に示すS21の処理を実行するCPU40及び図2に示す通信装置25が本発明の「操作情報受信手段」に相当する。また、図13に示すS24の処理を実行するCPU40及び図2に示す通信装置25が本発明の「指定座標情報受信手段」に相当する。また、図13に示すS25の処理を実行するCPU40が本発明の「選択枠制御手段」に相当する。また、図13に示すS27の処理を実行するCPU40が本発明の「撮影制御情報作成手段」に相当する。また、図2に示す通信装置25が、本発明の「送信手段」に相当する。また、図19に示すS66の処理を実行するCPU40が本発明の「重み付与手段」に相当する。図20に示すS53の処理を実行するCPU40が本発明の「通信装置25が、本発明の「送信手段」に相当する。また、図19に示すS66の処理を実行するCPU40が本発明の「グループ情報受信手段」に相当する。また、ポインタ2845やポインタ2846の中心のディスプレイ28の画面の表示部284に表示されている静止画像2840上の座標(X,Y)の情報(操作制限情報)が本発明の「指定座標情報」に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】テレビ会議システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】端末3の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】会議サーバ4の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】HDD51の各記憶エリアを示す概念図である。
【図5】ユーザ情報テーブル5111の概念図である。
【図6】ログインテーブル5121の概念図である。
【図7】会議テーブル5131の概念図である。
【図8】参加受付テーブル5141の概念図である。
【図9】カメラ操作参加情報テーブル5151の概念図である。
【図10】端末3のRAM22の記憶エリアの概念図である。
【図11】A地点の端末3Aのディスプレイ28に表示された表示部281〜284を示す図である。
【図12】端末3の主制御のフローチャートである。
【図13】会議サーバ4で行われる処理のフローチャートである。
【図14】撮影範囲の操作を指示しない非操作指示の端末3で行われる制御のフローチャートである。
【図15】他の端末3から撮影範囲の操作を指示を受ける端末3でのカメラ34の調整のフローチャートである。
【図16】端末3のディスプレイ28に表示される画像の図である。
【図17】端末3のディスプレイ28に表示される画像の図である。
【図18】端末3のディスプレイ28に表示される画像の図である。
【図19】複数の端末から撮影範囲の選択枠2842の操作制限情報を受信した場合の会議サーバ4の処理のフローチャートである。
【図20】会議サーバ4において、被操作端末と操作指示端末とが同じグループに属する場合のみに被操作端末のカメラ34の操作を許可する処理のフローチャートである。
【図21】端末3のディスプレイ28に表示される画像の図である。
【図22】会議サーバ4のCPU40による主制御の処理を示すフローチャートである。
【図23】一つの端末3から見た場合の撮影範囲制御処理の流れのフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 テレビ会議システム
2 ネットワーク
3 端末
4 会議サーバ
20 CPU
21 ROM
22 RAM
28 ディスプレイ
34 カメラ
36 カメラ制御部
37 電動雲台
38 ズームレンズ
40 CPU
41 ROM
42 RAM
51 HDD
221 自端末撮影情報記憶エリア
281 表示部
282 表示部
283 表示部
284 表示部
517 重み付け記憶エリア
2840 静止画像
2841 現在枠
2842 選択枠
2845 ポインタ
2846 ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔会議に参加する会議参加者に見せる画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段の撮影範囲を示す撮影範囲情報に基づいて前記撮影手段の撮影範囲を切り替える切替手段とを備える遠隔会議装置を複数の地点に設置して、各遠隔会議装置が、自身が撮影した画像を、ネットワークを介して、他の遠隔会議装置に送信するとともに、他の遠隔会議装置から送信されてきた画像を表示することによって実施される遠隔会議において、各遠隔会議装置の前記撮影手段の撮影範囲を制御する撮影範囲制御装置であって、
前記撮影手段の撮影可能な全範囲の画像を撮影するように前記撮影手段を制御する撮影制御手段と、
前記撮影手段が撮影した撮影可能な全範囲の画像を合成して、一枚の静止画像を作成する画像合成手段と、
操作対象となる遠隔会議装置の前記撮影手段の撮影可能範囲の前記静止画像の中で、前記撮影手段の現在の撮影範囲の画角の現在枠情報を作成する現在枠情報作成手段と、
前記撮影可能範囲の前記静止画像の中の次に撮影される画角の情報である選択枠情報を作成する選択枠情報作成手段と、
前記操作対象となる遠隔会議装置自身又は他の遠隔会議装置から前記選択枠情報を操作する操作情報を受信する操作情報受信手段と、
次に撮影される前記撮影手段の撮影範囲の操作をしている遠隔会議装置以外の他の遠隔会議装置から、前記静止画像の中で次に撮影したい箇所の座標情報である指定座標情報を受信する指定座標情報受信手段と、
前記操作情報受信手段が受信した操作情報に基づいて前記選択枠情報作成手段が選択枠情報を作成する場合に、前記指定座標情報受信手段が受信した指定座標情報を含む範囲で前記選択枠情報を作成するように前記選択枠情報作成手段を制御する選択枠制御手段と、
前記選択枠制御手段の制御により前記選択枠情報作成手段が作成した前記選択枠情報の示す画角となるように前記撮影手段を制御する撮影制御情報を作成する撮影制御情報作成手段と、
当該撮影制御情報作成手段が作成した撮影制御情報を操作対象となっている遠隔会議装置に送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする撮影範囲制御装置。
【請求項2】
前記指定座標情報受信手段が前記指定座標情報を複数受信した場合には、前記撮影制御情報作成手段は、その複数の座標の重心を次に撮影する画角の中心にするように前記撮影制御情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の撮影範囲制御装置。
【請求項3】
前記複数の指定座標情報に重みを付与する重み付与手段を設け、
前記撮影制御情報作成手段は、前記重み付与手段が付与した重みに基づいて、複数の座標の重心を決定して、次に撮影する画角の中心にするように前記撮影制御情報を作成することを特徴とする請求項2に記載の撮影範囲制御装置。
【請求項4】
前記遠隔会議の参加時に、前記遠隔会議装置から同じグループに属することを示すグループ情報を受信するグループ情報受信手段と、
前記グループ情報受信手段が前記グループ情報を受信した遠隔会議装置に対してのみ前記選択枠情報を送信する選択枠情報送信手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の撮影範囲制御装置。
【請求項5】
前記指定座標情報を複数受信した場合に、当該複数の指定座標情報が画角に入らない場合に、前記選択枠情報を操作している遠隔会議装置からの操作情報により前記選択枠情報が操作されて、画角に入れる指定座標情報を選択可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の撮影範囲制御装置。
【請求項6】
前記撮影範囲制御装置は、各遠隔会議装置を接続するサーバから構成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の撮影範囲制御装置。
【請求項7】
前記撮影範囲制御装置は、各遠隔会議装置の何れかで構成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の撮影範囲制御装置。
【請求項8】
遠隔会議に参加する会議参加者に見せる画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段の撮影範囲を示す撮影範囲情報に基づいて前記撮影手段の撮影範囲を切り替える切替手段とを備える遠隔会議装置を複数の地点に設置して、各遠隔会議装置が、自身が撮影した画像を、ネットワークを介して、他の遠隔会議装置に送信するとともに、他の遠隔会議装置から送信されてきた画像を表示することによって実施される遠隔会議において、各遠隔会議装置の前記撮影手段の撮影範囲を制御する撮影範囲制御方法であって、
前記撮影手段の撮影可能な全範囲の画像を撮影するように前記撮影手段を制御する撮影制御ステップと、
前記撮影手段が撮影した撮影可能な全範囲の画像を合成して、一枚の静止画像を作成する画像合成ステップと、
操作対象となる遠隔会議装置の前記撮影手段の撮影可能範囲の前記静止画像の中で、前記撮影手段の現在の撮影範囲の画角の現在枠情報を作成する現在枠情報作成ステップと、
前記撮影可能範囲の前記静止画像の中の次に撮影される画角の情報である選択枠情報を作成する選択枠情報作成ステップと、
前記操作対象となる遠隔会議装置自身又は他の遠隔会議装置から前記選択枠情報を操作する操作情報を受信する操作情報受信ステップと、
次に撮影される前記撮影手段の撮影範囲の操作をしている遠隔会議装置以外の他の遠隔会議装置から、前記静止画像の中で次に撮影したい箇所の座標情報である指定座標情報を受信する指定座標情報受信ステップと、
前記操作情報受信手段が受信した操作情報に基づいて前記選択枠情報作成手段が選択枠情報を作成する場合に、前記指定座標情報受信ステップで受信した指定座標情報を含む範囲で前記選択枠情報を作成するように制御する選択枠制御ステップと、
前記選択枠制御ステップの制御により作成した前記選択枠情報の示す画角となるように前記撮影手段を制御する撮影制御情報を作成する撮影制御情報作成ステップと、
当該撮影制御情報作成ステップが作成した撮影制御情報を操作対象となっている遠隔会議装置に送信する送信ステップと
を備えたことを特徴とする撮影範囲制御方法。
【請求項9】
コンピュータに請求項8に記載の撮影範囲制御方法の各ステップを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2010−87858(P2010−87858A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254972(P2008−254972)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】