説明

撮影装置、撮影方法および撮影プログラム

【課題】試料画像からノイズを除去するために用いる背景画像の数を減らすことができる撮影装置、撮影方法および撮影プログラムを提供すること。
【解決手段】背景画像記憶部が、試料が配置されていないマイクロアレイチップの撮影画像である背景画像のうち、背景画像内におけるウェルの配置パターンの種類であるパターン種別ごとに1個の背景画像を、該パターン種別に対応付けて記憶し、除去部が、背景画像記憶部から、試料が配置されているマイクロアレイチップの撮影画像である試料画像のパターン種別に対応付けて記憶されている背景画像を取得し、取得した背景画像を用いて試料画像に含まれるノイズを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置、撮影方法および撮影プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオテクノロジー、生化学、分子生物学の分野では、細胞や細菌などの試料に対して遺伝子を組み込み、組み込んだ遺伝子の配列と、試料によって産生されるたんぱく質との関係を調査したり、化学物質が試料に与える影響を調査したりすることが行われている。このような調査では、スクリーニング装置を用いて試料を分別することにより、たんぱく質が産生されているか否かを判別したり、化学物質が試料に与える影響度を判別したりする。
【0003】
図28および図29を用いて、従来のスクリーニング装置を用いた試料の分別手法について説明する。まず、試料が滴下されるマイクロアレイチップについて説明する。図28は、マイクロアレイチップの概観図を示す。図28に示すように、マイクロアレイチップは、試料が配置される複数のウェルを有する。図28に示した例では、マイクロアレイチップは、1万〜数十万個のウェルを有する。また、図28に示した例において、ウェルの直径は、20[μm(マイクロメートル)]であり、ウェルとウェルとの中心間の距離は50[μm]である。
【0004】
スクリーニング装置は、マイクロアレイチップに励起光を照射して、かかるマイクロアレイチップを所定の撮影範囲で撮影する。図29に、従来のスクリーニング装置における撮影範囲の一例を示す。図29に示した例では、スクリーニング装置は、1回に最大9個(縦3個×横3個)のウェルを撮影する。そして、スクリーニング装置は、撮影位置を移動させながらマイクロアレイチップを9回に分けて撮影することにより、マイクロアレイチップが有する全てのウェルを撮影する。そして、スクリーニング装置は、撮影画像から得られる試料の蛍光や発光の強度(輝度)に基づいて、試料を分別する。
【0005】
ところで、マイクロアレイチップの撮影画像には、試料の蛍光や発光の他に、撮像素子のノイズや、マイクロアレイチップ自体の蛍光が含まれる。そのため、スクリーニング装置は、撮影画像から試料自体の蛍光や発光の輝度だけを算出することができない。なお、本願では、撮像素子のノイズと、マイクロアレイチップ自体の蛍光とを総称して「背景ノイズ」と呼ぶこととする。
【0006】
図30および図31を用いて、背景ノイズについて説明する。図30は、撮像素子のノイズを説明するための図である。なお、図30に示した画像は、励起光が照射されていない状態において撮影されたマイクロアレイチップの画像である。図30に示すように、励起光が照射されていない状態であっても、撮像素子のノイズにより、撮影画像の輝度は、「0」にならず、微小な値になる。このような撮像素子のノイズにより現れる輝度は、一般に、撮影範囲内において不均一である。例えば、図30に示した例において、Y座標「0」〜「300」の輝度は、Y座標「300」〜「630」の輝度よりも小さい。
【0007】
図31は、マイクロアレイチップ自体の蛍光を説明するための図である。なお、図31に示した画像は、励起光が照射されており、かつ、試料が滴下されていない状態において撮影されたマイクロアレイチップの画像である。図31に示すように、試料が滴下されていない場合であっても、マイクロアレイチップは、励起光を照射されると発光する。特に、図31に示した例のように、ウェルの縁が発光する場合が多い。なお、図31に示した画像は、撮影装置によって撮影されているので、撮像素子のノイズも含まれる。すなわち、撮影画像には、試料の蛍光や発光の他に、図31に示したような撮像素子のノイズや、マイクロアレイチップ自体の蛍光も含まれる。
【0008】
近年では、試料自体の蛍光や発光の輝度を算出することを目的として、撮影画像から背景ノイズを除去するスクリーニング装置が知られている。具体的には、かかるスクリーニング装置は、試料が滴下されていないマイクロアレイチップを予め撮影しておき、撮影位置ごとに背景ノイズが含まれる画像(以下、「背景画像」と言う)を生成する。そして、かかるスクリーニング装置は、ウェルに試料が配置されたマイクロアレイチップを撮影し、試料の蛍光画像(以下、「試料画像」と言う)を生成する。そして、かかるスクリーニング装置は、撮影位置が試料画像の撮影位置と同一である背景画像を用いて、かかる試料画像の背景ノイズを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−184379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の技術には、背景画像の数が膨大になるという問題があった。具体的には、スクリーニング装置は、上述したように、撮影位置を移動させながらマイクロアレイチップを複数回撮影するので、1個のマイクロアレイチップに対して膨大な数の背景画像を生成していた。背景画像の数が膨大になると、記憶容量を圧迫するという問題や、背景画像を生成するための撮影時間が長くなるという問題を招く。
【0011】
例えば、現在の撮影倍率の場合、スクリーニング装置は、マイクロアレイチップを約500回に分けて撮影する。かかる場合、スクリーニング装置は、1個のマイクロアレイチップに対して500枚程度の背景画像を生成することになる。また、マイクロアレイチップ1枚当たりのウェル数は年々増加しているため、将来的には、スクリーニング装置は、5000枚程度の背景画像を生成するようになることも考えられる。
【0012】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、試料画像からノイズを除去するために用いる背景画像の数を減らすことができる撮影装置、撮影方法および撮影プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の開示する撮影装置は、一つの態様において、試料が配置されるウェルを有するマイクロアレイチップを、撮影位置を移動させながら所定の撮影範囲で撮影する撮影装置であって、前記試料が配置されていないマイクロアレイチップの撮影画像である背景画像のうち、背景画像内におけるウェルの配置パターンの種類であるパターン種別ごとに1個の背景画像を、該パターン種別に対応付けて記憶する背景画像記憶部と、前記背景画像記憶部から、試料が配置されているマイクロアレイチップの撮影画像である試料画像のパターン種別に対応付けて記憶されている背景画像を取得し、取得した背景画像を用いて、前記試料画像に含まれるノイズを除去する除去部とを備えることを要件とする。
【0014】
なお、本願に開示する撮影装置の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも、他の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本願の開示する撮影装置の一つの態様によれば、試料画像からノイズを除去するために用いる背景画像の数を減らすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施例1に係るスクリーニング装置における撮影範囲の一例を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に係るスクリーニング装置によって生成される背景画像の一例を示す図である。
【図3】図3は、実施例1に係るスクリーニング装置によって生成される試料画像の一例を示す図である。
【図4】図4は、背景ノイズが除去された試料画像の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施例1に係るスクリーニング装置の構成を示す図である。
【図6】図6は、パターン対応記憶部の一例を示す図である。
【図7】図7は、背景画像記憶部の一例を示す図である。
【図8】図8は、試料画像の輝度と露光時間との関係を示す図である。
【図9】図9は、除去部による背景除去処理の一例を説明するための図である。
【図10】図10は、シェーディングを説明するための図である。
【図11−1】図11−1は、シェーディング係数の算出手法を説明するための図である。
【図11−2】図11−2は、シェーディング係数の算出手法を説明するための図である。
【図11−3】図11−3は、シェーディング係数の算出手法を説明するための図である。
【図11−4】図11−4は、シェーディング係数の算出手法を説明するための図である。
【図12−1】図12−1は、分別部による分別処理の一例を説明するための図である。
【図12−2】図12−2は、分別部による分別処理の一例を説明するための図である。
【図13】図13は、実施例1に係るスクリーニング装置による試料分別処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、撮影制御部による背景撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】図15は、除去部による背景除去処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】図16は、ウェルの配置パターンが千鳥格子であるマイクロアレイチップの例を示す図である。
【図17】図17は、実施例2に係るスクリーニング装置による試料分別処理を説明するための図である。
【図18−1】図18−1は、暗ノイズ画像の一例を示す図である。
【図18−2】図18−2は、ウェル背景画像の一例を示す図である。
【図19】図19は、実施例2に係るスクリーニング装置による背景画像生成処理を説明するための図である。
【図20】図20は、実施例2に係るスクリーニング装置による背景画像生成処理を説明するための図である。
【図21】図21は、実施例2における情報処理装置の構成を示す図である。
【図22】図22は、実施例2に係るスクリーニング装置による試料分別処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】図23は、撮影制御部によるウェル背景撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】図24は、除去部による背景画像生成処理および背景除去処理の手順を示すフローチャートである。
【図25−1】図25−1は、撮像素子のノイズにより現れる輝度の分布例を示す図である。
【図25−2】図25−2は、背景ノイズの輝度の分布例を示す図である。
【図25−3】図25−3は、マイクロアレイチップ自体の蛍光の輝度の分布例を示す図である。
【図26】図26は、実施例3に係るスクリーニング装置によるシェーディング係数算出処理手順を示すフローチャートである。
【図27】図27は、撮影プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図28】図28は、マイクロアレイチップの概観図を示す図である。
【図29】図29は、従来のスクリーニング装置における撮影範囲の一例を示す図である。
【図30】図30は、撮像素子のノイズを説明するための図である。
【図31】図31は、マイクロアレイチップ自体の蛍光を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本願の開示する撮影装置、撮影方法および撮影プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願の開示する撮影装置、撮影方法および撮影プログラムが限定されるものではない。例えば、以下の実施例では、本願の開示する撮影装置をスクリーニング装置に適用する例について説明するが、本願の開示する撮影装置は、試料を分別しない顕微鏡装置にも適用することができる。
【実施例1】
【0018】
[実施例1に係るスクリーニング装置による試料分別処理]
まず、実施例1に係るスクリーニング装置100による試料分別処理について説明する。実施例1に係るスクリーニング装置100は、背景画像を生成する場合に、特定の撮影位置だけでマイクロアレイチップを撮影する。具体的には、スクリーニング装置100は、撮影範囲内におけるウェルの配置パターンが同一になる撮影位置が複数存在する場合、かかる複数の撮影位置のうち1つの撮影位置だけでマイクロアレイチップを撮影して背景画像を生成する。
【0019】
そして、スクリーニング装置100は、生成した背景画像の中から、ウェルの配置パターンが、試料画像におけるウェルの配置パターンと一致する背景画像を選択する。続いて、スクリーニング装置100は、試料画像の輝度から、選択した背景画像の輝度を画素ごとに減算することにより、試料画像の背景ノイズを除去する。そして、スクリーニング装置100は、背景ノイズが除去された試料画像を用いて、試料の輝度を算出し、算出した輝度に基づいて試料を分別する。
【0020】
ここで、ウェルの配置パターンが同一になる背景画像を1個だけ生成する理由について説明する。上述したように、背景画像は、試料画像から背景ノイズを除去するために用いられる。背景ノイズのうち、撮像素子のノイズにより現れる輝度は、撮影範囲のサイズが同一であれば、撮影位置が異なる場合であっても同一になる。
【0021】
また、背景ノイズのうち、マイクロアレイチップ自体の蛍光は、撮影範囲内におけるウェルの配置パターンが同一であれば、撮影位置が異なる場合であっても同一になる。すなわち、撮影範囲のサイズが同一であり、かつ、試料画像におけるウェルの配置パターンと背景画像におけるウェルの配置パターンとが一致する場合、スクリーニング装置100は、かかる背景画像を用いて、試料画像の背景ノイズを除去することができる。このようなことから、スクリーニング装置100は、ウェルの配置パターンが同一になる撮影位置が存在する場合、かかる撮影位置のうち1つの撮影位置でマイクロアレイチップを撮影して背景画像を生成する。
【0022】
上述した試料分別処理について、図1〜図4を用いて具体的に説明する。図1は、実施例1に係るスクリーニング装置100における撮影範囲の一例を示す図である。図1に示した例において、スクリーニング装置100は、マイクロアレイチップC10を、撮影位置H11〜H13、H21〜H23、H31〜H33で撮影する。
【0023】
なお、実施例1において、スクリーニング装置100の撮影位置は、予め決められているものとする。また、スクリーニング装置100は、各撮影位置におけるウェルの配置パターンを予め認識しているものとする。すなわち、図1に示した例において、スクリーニング装置100は、マイクロアレイチップC10を撮影する撮影位置が、予め撮影位置H11〜H13、H21〜H23、H31〜H33に決められている。また、スクリーニング装置100は、撮影位置H11〜H13、H21〜H23、H31〜H33におけるウェルの配置パターンを予め認識している。
【0024】
図1に示した例において、撮影位置H11、H12、H21およびH22におけるウェルの配置パターンは同一である。したがって、スクリーニング装置100は、撮影位置H11、H12、H21またはH22のいずれか1つの撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影して背景画像を生成する。
【0025】
また、撮影位置H13およびH23におけるウェルの配置パターンが同一であるので、スクリーニング装置100は、撮影位置H13またはH23のいずれか一方の撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影して背景画像を生成する。同様に、スクリーニング装置100は、撮影位置H31またはH32のいずれか一方の撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影して背景画像を生成する。また、スクリーニング装置100は、撮影位置H33でマイクロアレイチップC10を撮影して背景画像を生成する。すなわち、図1に示した例において、スクリーニング装置100は、合計4個の背景画像を生成する。なお、以下では、各撮影位置で取り得るウェルの配置パターンを「基本パターン」と呼ぶこととする。
【0026】
図2に、実施例1に係るスクリーニング装置100によって生成される背景画像の一例を示す。図2に示した例では、スクリーニング装置100は、図1に示した撮影位置H11、H13、H31、H33でマイクロアレイチップC10を撮影して、背景画像B11、B13、B31、B33を生成している。
【0027】
なお、実施例1において、スクリーニング装置100は、背景画像を生成する場合に、どの撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影するかが予め決められているものとする。すなわち、図2に示した例において、スクリーニング装置100は、背景画像を生成する場合には、撮影位置H11、H13、H31、H33でマイクロアレイチップC10を撮影することが予め決められている。
【0028】
続いて、スクリーニング装置100は、ウェルに試料が配置されたマイクロアレイチップC10を、全ての撮影位置で撮影して、撮影位置ごとに試料画像を生成する。図3に、実施例1に係るスクリーニング装置100によって生成される試料画像の一例を示す。図3に示した例では、スクリーニング装置100は、撮影位置H11〜H13、H21〜H23、H31〜H33においてマイクロアレイチップC10を撮影して、試料画像S11〜S13、S21〜S23、S31〜S33を生成している。
【0029】
具体的には、スクリーニング装置100は、ウェルW11−6に試料C11が配置されたマイクロアレイチップC10を撮影位置H11で撮影することにより、試料画像S11を生成している。同様に、スクリーニング装置100は、試料C12を含む試料画像S12と、試料C22aおよびC22bを含む試料画像S22と、試料C31を含む試料画像S31と、試料C33を含む試料画像S33とを生成している。また、スクリーニング装置100は、試料を含まない試料画像S13、S21、S23、S32も生成している。
【0030】
続いて、スクリーニング装置100は、予め生成しておいた背景画像の中から、ウェルの配置パターンが、試料画像におけるウェルの配置パターンと一致する背景画像を選択する。続いて、スクリーニング装置100は、選択した背景画像を用いて、試料画像から背景ノイズを除去する。
【0031】
図1〜図3に示した例を用いて説明する。例えば、スクリーニング装置100は、図3に示した試料画像S11の背景ノイズを除去する場合、図2に示した背景画像B11、B13、B31、B33の中から、背景画像B11を選択する。これは、試料画像S11におけるウェルの配置パターンと、背景画像B11におけるウェルの配置パターンとが同一であるからである。続いて、スクリーニング装置100は、試料画像S11の輝度から、背景画像B11の輝度を画素ごとに減算することにより、試料画像S11から背景ノイズを除去する。
【0032】
同様にして、スクリーニング装置100は、背景画像B11を用いて、試料画像S12、S21およびS22の背景ノイズを除去する。また、スクリーニング装置100は、背景画像B13を用いて、試料画像S13およびS23の背景ノイズを除去する。また、スクリーニング装置100は、背景画像B31を用いて、試料画像S31およびS32の背景ノイズを除去する。また、スクリーニング装置100は、背景画像B33を用いて、試料画像S33の背景ノイズを除去する。
【0033】
図4に、背景ノイズが除去された試料画像の一例を示す。図4に示した試料画像は、図3に示した試料画像S11〜S13、S21〜S23、S31〜S33から背景ノイズが除去された画像であるものとする。図4に示すように、背景ノイズが除去された試料画像には、試料C11、C12、C22a、C22b、C31、C33自体の蛍光または発光が現れる。スクリーニング装置100は、図4に示した試料画像に基づいて、試料C11、C12、C22a、C22b、C31、C33を分別する。
【0034】
以上のように、実施例1に係るスクリーニング装置100は、ウェルの配置パターンが同一になる背景画像を重複させることなく生成する。そして、スクリーニング装置100は、ウェルの配置パターンが、試料画像におけるウェルの配置パターンと同一である背景画像を選択し、選択した背景画像を用いて試料画像から背景ノイズを除去する。これにより、実施例1に係るスクリーニング装置100は、試料画像からノイズを除去するために用いる背景画像を少数にすることができる。その結果、スクリーニング装置100は、記憶容量を圧迫することなく、背景画像を生成するための撮影時間を短くすることができる。
【0035】
例えば、従来のスクリーニング装置は、1万〜数十万個のウェルを有するマイクロアレイチップを500回程度に分けて撮影するので、500個程度の背景画像を生成していた。一方、実施例1に係るスクリーニング装置100は、マイクロアレイチップを500回程度に分けて撮影する場合であっても、基本パターンの数の分だけ背景画像を生成するので、背景画像の数を従来のスクリーニング装置よりも少なくすることができる。
【0036】
なお、上記では説明を省略したが、実施例1に係るスクリーニング装置100は、励起光を照射する時間(以下、「露光時間」と言う)を変化させながら、マイクロアレイチップを複数回撮影して、撮影位置ごとに露光時間の異なる複数の背景画像を生成する。以下では、露光時間の異なる複数の背景画像を生成する処理も含めて、実施例1に係るスクリーニング装置100について詳細に説明する。
【0037】
[実施例1に係るスクリーニング装置100の構成]
次に、実施例1に係るスクリーニング装置100の構成について説明する。図5は、実施例1に係るスクリーニング装置100の構成を示す図である。
【0038】
図5に示すように、スクリーニング装置100は、ステージ101と、培養ディッシュ102と、LED(Light Emitting Diode)103と、ピペット104と、マニピュレータ105と、対物レンズ106と、蛍光ランプ107と、シャッタ108と、蛍光フィルタ109と、反射鏡110と、反射鏡111と、CCD(Charge Coupled Device)カメラ112と、対物レンズ駆動モータ113と、LEDコントローラ114と、ステージコントローラ115と、シャッタコントローラ116と、フォーカスコントローラ117と、RS(Recommended Standard)232C変換部118と、DIO(Digital Input Output)119と、RS232C変換部120と、AIO(Analog Input Output)121と、USB(Universal Serial Bus)122と、アンプ123と、情報処理装置130とを有する。
【0039】
ステージ101は、水平方向に移動可能なXYステージであり、培養ディッシュ102と、マイクロアレイチップC10とを搭載する。スクリーニング装置100は、ステージ101を移動させることにより撮影位置を変更する。培養ディッシュ102は、細胞や細菌などの試料が培養されるための皿である。
【0040】
LED103は、マイクロアレイチップC10に対して上方から光を照射する。ピペット104は、先端を微細化した中空のガラス針であり、マイクロアレイチップC10上の細胞に遺伝子等の目的物を注入する。マニピュレータ105は、ピペット104を移動させる。対物レンズ106は、拡大倍率の異なる複数のレンズを有し、マイクロアレイチップC10の一部分を拡大する。
【0041】
蛍光ランプ107は、励起光をマイクロアレイチップC10に照射する。シャッタ108は、蛍光ランプ107によって照射された励起光の光路を開閉する。蛍光フィルタ109は、蛍光ランプ107によって照射された励起光のうち、試料の励起に用いられる波長の光を抽出する。反射鏡110は、蛍光ランプ107によって照射された励起光をマイクロアレイチップC10へ向けて反射させる。
【0042】
反射鏡111は、対物レンズ106によって拡大されたマイクロアレイチップC10の画像をCCDカメラ112へ向けて反射させる。CCDカメラ112は、反射鏡111により反射されたマイクロアレイチップC10の一部分を撮影して撮影画像を生成する。対物レンズ駆動モータ113は、対物レンズ106を駆動させる。
【0043】
LEDコントローラ114は、LED103に光を照射させるか否かを制御する。ステージコントローラ115は、ステージ101の移動を制御する。シャッタコントローラ116は、シャッタ108の開閉を制御することにより、マイクロアレイチップC10に励起光が照射される時間(露光時間)を制御する。フォーカスコントローラ117は、対物レンズ駆動モータ113を制御することにより、拡大倍率を変更する。
【0044】
RS232C変換部118、DIO119、RS232C変換部120、AIO121は、インタフェースであり、USB122を介して、情報処理装置130と接続される。具体的には、RS232C変換部118は、ステージコントローラ115と情報処理装置130とを接続する。また、DIO119は、シャッタコントローラ116と情報処理装置130とを接続する。また、RS232C変換部120は、フォーカスコントローラ117と情報処理装置130とを接続する。また、AIO121は、LEDコントローラ114と情報処理装置130とを接続する。
【0045】
アンプ123は、後述するサーボコントローラ134から入力された制御信号を増幅して、増幅した制御信号をピペット104やマニピュレータ105に出力する。
【0046】
情報処理装置130は、図5に示すように、表示部131と、入力部132と、記憶部133と、サーボコントローラ134と、CCDコントローラ135と、撮影制御部136と、除去部137と、シェーディング補正部138と、分別部139とを有する。
【0047】
表示部131は、各種情報を表示する表示デバイスであり、例えば、液晶ディスプレイである。入力部132は、各種情報や操作指示を入力するための入力デバイスであり、例えば、キーボードやマウスである。
【0048】
記憶部133は、各種情報を記憶する記憶デバイスであり、例えば、メモリやハードディスクである。実施例1における記憶部133は、パターン対応記憶部133aと、背景画像記憶部133bとを有する。
【0049】
パターン対応記憶部133aは、撮影位置に対応付けて、かかる撮影位置におけるウェルの配置パターンの種別を記憶する。図6に、パターン対応記憶部133aの一例を示す。図6に示すように、パターン対応記憶部133aは、「撮影位置」と、「パターン種別」といった項目を有する。
【0050】
「撮影位置」は、スクリーニング装置100がマイクロアレイチップC10を撮影する際の撮影位置を示す。なお、図6に示した「撮影位置」に記憶されている情報は、図1における撮影位置に付した符号H11〜H13、H21〜H23、H31〜H33に対応する。「パターン種別」は、基本パターンの種別を示す。
【0051】
すなわち、図6に示したパターン対応記憶部133aの1行目は、撮影位置H11におけるウェルの配置パターンが、基本パターンPT1であることを示している。また、図6に示したパターン対応記憶部133aの2行目は、撮影位置H12におけるウェルの配置パターンが、基本パターンPT1であることを示している。このように、図6に示したパターン対応記憶部133aは、撮影位置H11、H12、H21およびH22におけるウェルの配置パターンが同一であることを示している。同様に、図6に示したパターン対応記憶部133aは、撮影位置H13およびH23におけるウェルの配置パターンが同一であり、撮影位置H31およびH32におけるウェルの配置パターンが同一であることを示している。
【0052】
背景画像記憶部133bは、パターン種別に対応付けて、露光時間ごとに背景画像を記憶する。背景画像記憶部133bは、後述する撮影制御部136によって各種情報を記憶される。図7に、背景画像記憶部133bの一例を示す。図7に示すように、背景画像記憶部133bは、「パターン種別」、「露光時間」、「背景画像」といった項目を有する。
【0053】
「パターン種別」は、図6に示した「パターン種別」に対応する。「露光時間」は、背景画像が撮影される際にマイクロアレイチップC10に励起光が照射されていた時間を示す。「背景画像」は、背景画像のファイル名(デバイス名や、ディレクトリ名、フォルダ名等を含む)を示す。
【0054】
すなわち、図7に示した背景画像記憶部133bの1行目は、ウェルの配置パターンが基本パターンPT1であり、かつ、露光時間が1[ms]である背景画像が、背景画像B1(1)であることを示している。また、図7に示した背景画像記憶部133bの2行目は、ウェルの配置パターンが基本パターンPT1であり、かつ、露光時間が2[ms]である背景画像が、背景画像B1(2)であることを示している。
【0055】
サーボコントローラ134は、アンプ123を介して所定の制御信号をピペット104やマニピュレータ105へ出力することにより、培養液や試料をマイクロアレイチップC10上に滴下させる。CCDコントローラ135は、後述する撮影制御部136の指示に従ってCCDカメラ112を制御する。
【0056】
撮影制御部136は、CCDコントローラ135に対して、マイクロアレイチップC10を撮影するように指示して、CCDコントローラ135から試料画像や背景画像を取得する。以下に、撮影制御部136による処理を、試料撮影処理と背景撮影処理とに分けて具体的に説明する。
【0057】
まず、撮影制御部136による試料撮影処理について説明する。撮影制御部136は、試料画像を取得する場合、ステージコントローラ115に対して、ステージ101を移動するように指示する。例えば、スクリーニング装置100の撮影位置が、図1に示した撮影位置H11〜H13、H21〜H23、H31〜H33に決められているものとする。また、スクリーニング装置100は、試料画像を取得する場合、撮影位置H11、H12、H13、H21、・・・、H32、H33の順に撮影することが決められているものとする。かかる場合、撮影制御部136は、撮影位置が、撮影位置H11になるようにステージ101を移動するように指示する。
【0058】
かかる指示を受け付けたステージコントローラ115は、ステージ101を移動させる。続いて、撮影制御部136は、撮影時の露光時間を所定の初期値に設定する。そして、撮影制御部136は、かかる露光時間が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように、CCDコントローラ135に対して指示する。CCDコントローラ135は、かかる指示に従って撮影するようにCCDカメラ112を制御する。そして、CCDカメラ112は、所定の露光時間が経過した場合に、マイクロアレイチップC10を撮影して試料画像を生成し、生成した試料画像を、CCDコントローラ135を介して撮影制御部136へ送信する。
【0059】
続いて、撮影制御部136は、CCDカメラ112から受け付けた試料画像が飽和しているか否かを判定する。例えば、CCDカメラ112の仕様により画像の輝度を12ビットで表すことが定められている場合、撮影制御部136は、試料画像に輝度「4095」の画素が含まれているか否かを判定する。そして、撮影制御部136は、試料画像に輝度「4095」の画素が含まれている場合、かかる試料画像が飽和していると判定する。
【0060】
試料画像が飽和しているか否かを判定する理由は、試料画像の輝度が飽和してしまうと、各試料の輝度の大小関係を正確に把握できなくなるからである。例えば、試料画像Aの輝度よりも試料画像Bの輝度の方が大きい場合であっても、露光時間が長すぎると、試料画像Aと試料画像Bの輝度は最大値(上記例では、輝度「4095」)になるため、同一に見えてしまう。そこで、スクリーニング装置100は、輝度が飽和していない試料画像を用いることによって、各試料の輝度の大小関係を正確に把握することを可能にしている。
【0061】
試料画像が飽和している場合、撮影制御部136は、露光時間を前回に指示したときよりも短い時間に設定する。そして、撮影制御部136は、CCDコントローラ135に対して、かかる露光時間が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。撮影制御部136は、試料画像が飽和しなくなるまで、露光時間を徐々に短くしながら、CCDコントローラ135に対してマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。
【0062】
試料画像が飽和していない場合、撮影制御部136は、ステージコントローラ115に対して、ステージ101を他の撮影位置へ移動するように指示する。上記例と同様に、撮影位置H11、H12、・・・、H32、H33の順に撮影することが決められている場合、撮影制御部136は、撮影位置が、撮影位置H12になるようにステージ101を移動するように指示する。
【0063】
そして、撮影制御部136は、露光時間を初期値に設定して、かかる露光時間が経過した場合に、マイクロアレイチップC10を撮影するように、CCDコントローラ135に対して指示する。続いて、撮影制御部136は、上述した試料画像が飽和しているか否かを判定する処理を行う。撮影制御部136は、全ての撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影するまで、ステージ移動処理と、露光時間を設定する処理と、飽和しているか否かを判定する処理と、を繰り返し行う。
【0064】
次に、撮影制御部136による背景撮影処理について説明する。撮影制御部136は、背景画像を取得する場合、ステージコントローラ115に対して、撮影範囲内のウェルの配置パターンが基本パターンになるように、ステージ101を移動するように指示する。例えば、図2に示した例のように、スクリーニング装置100は、背景画像を生成する場合に、撮影位置H11、H13、H31、H33でマイクロアレイチップC10を撮影することが予め決められているものとする。また、スクリーニング装置100は、背景画像を取得する場合、撮影位置H11、H13、H31、H33の順に撮影することが決められているものとする。かかる場合、撮影制御部136は、撮影位置が、撮影位置H11になるようにステージ101を移動するように指示する。
【0065】
かかる指示を受け付けたステージコントローラ115は、ステージ101を移動させる。続いて、撮影制御部136は、CCDコントローラ135に対して、所定の露光時間が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。このとき、撮影制御部136は、複数の露光時間(例えば、1、2、4、・・・、1024[ms])を指定して、指定した露光時間が経過するたびにマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。
【0066】
CCDカメラ112は、指定された露光時間が経過するたびに、マイクロアレイチップC10を撮影して背景画像を生成し、生成した背景画像を撮影制御部136へ送信する。そして、撮影制御部136は、CCDカメラ112から受け付けた背景画像と、かかる背景画像の露光時間と、かかる背景画像のウェルの配置パターンを示すパターン種別とを対応付けて背景画像記憶部133bに記憶させる。
【0067】
続いて、撮影制御部136は、ステージコントローラ115に対して、撮影範囲内のウェルの配置パターンが未撮影の基本パターンになるように、ステージ101を移動するように指示する。上記例と同様に、撮影位置H11、H13、H31、H33の順に撮影することが決められている場合、撮影制御部136は、撮影位置が、撮影位置H13になるようにステージ101を移動するように指示する。撮影制御部136は、全ての基本パターンについて背景画像を取得するまで、CCDコントローラ135に対してマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。
【0068】
図1に示した例を用いて、撮影制御部136による背景撮影処理について説明する。ここでは、最初に、撮影位置H11でマイクロアレイチップC10を撮影して背景画像を取得するものとする。まず、撮影制御部136は、ステージコントローラ115に対して、撮影位置が撮影位置H11になるように、ステージ101を移動するように指示する。
【0069】
ステージ101が移動した後、撮影制御部136は、CCDコントローラ135に対して、例えば、露光時間1[ms]、2[ms]、4[ms]、・・・、1024[ms]が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。かかる指示をCCDコントローラ135から受け付けたCCDカメラ112は、露光時間1[ms]、2[ms]、4[ms]、・・・、1024[ms]が経過するたびに、マイクロアレイチップC10を撮影して背景画像を生成する。
【0070】
そして、撮影制御部136は、CCDカメラ112から、露光時間1[ms]で撮影された背景画像を受け付けた場合に、かかる背景画像のファイル名と、露光時間1[ms]と、パターン種別「PT1」とを対応付けて背景画像記憶部133bに記憶させる。同様に、撮影制御部136は、背景画像を受け付けるたびに、背景画像等を背景画像記憶部133bに記憶させる。
【0071】
ここで、露光時間の異なる複数の背景画像を取得する理由について説明する。上述したように、撮影制御部136は、試料画像を取得する場合に、試料画像の輝度が飽和しなくなるまで、露光時間を変化させる。そのため、露光時間は、試料画像によって異なる場合がある。スクリーニング装置100は、試料画像から背景ノイズを除去する場合、露光時間が、試料画像の露光時間と一致する背景画像を用いることが望ましい。これは、露光時間によって背景ノイズが変化するからである。
【0072】
図8を用いて具体的に説明する。図8は、試料画像の輝度と露光時間との関係を示す図である。図8において、グラフL10は、試料画像の輝度を示す。また、グラフN11は、撮像素子のノイズにより現れる輝度を示す。また、グラフN12は、マイクロアレイチップC10自体の蛍光の輝度を示す。図8に示すように、露光時間が長くなるほど、試料画像の輝度は大きくなる。また、露光時間が長くなるほど、撮像素子のノイズにより現れる輝度と、マイクロアレイチップC10自体の蛍光の輝度も大きくなる。
【0073】
このようなことから、撮影制御部136は、試料画像の露光時間と同一または近似の露光時間において撮影された背景画像を用いることができるように、露光時間の異なる複数の背景画像を取得する。
【0074】
除去部137は、撮影制御部136によって生成された試料画像から背景ノイズを除去する。具体的には、除去部137は、まず、パターン対応記憶部133aから、試料画像のパターン種別を取得する。続いて、除去部137は、背景画像記憶部133bから、試料画像のパターン種別に対応付けて記憶されている背景画像を取得する。さらに、除去部137は、取得した背景画像の中から、露光時間が、試料画像の露光時間以下である背景画像と、試料画像の露光時間以上である背景画像とを選択する。
【0075】
続いて、除去部137は、選択した2個の背景画像を補間することにより、試料画像の露光時間に対応する背景画像を算出する。具体的には、除去部137は、以下の式(1)により、試料画像の露光時間に対応する背景画像を算出する。なお、以下では、試料画像の露光時間に対応する背景画像を「背景画像Bs」と呼び、除去部137によって選択された2個の背景画像を、「背景画像B(j)」、「背景画像B(j+1)」と呼ぶこととする。
【0076】
Is=Ia+{Ts−Tb(j)}/{Tb(j+1)−Tb(j)}×(Ib−Ia)・・・(1)
【0077】
上記式(1)において、Isは、背景画像Bsの所定の画素Psの輝度を示す。また、Iaは、画素Psに対応する背景画像B(j)の画素Paの輝度を示す。また、Ibは,画素Psに対応する背景画像B(j+1)の画素Pbの輝度を示す。また、Tsは、試料画像の露光時間を示す。また、Tb(j)は、背景画像B(j)の露光時間を示す。また、Tb(j+1)は、背景画像B(j+1)の露光時間を示す。
【0078】
除去部137は、上記式(1)を用いて、背景画像Bsの全画素の輝度を算出する。そして、除去部137は、試料画像の輝度から、算出した背景画像の輝度を画素ごとに減算する。
【0079】
除去部137による背景除去処理について、図9に示す例を用いて説明する。図9は、除去部137による背景除去処理の一例を説明するための図である。ここでは、図3に示した試料画像S12の背景ノイズを除去する場合を例に挙げて説明する。なお、試料画像S12の露光時間Tsは、820[ms]であるものとする。また、背景画像記憶部133bは、図7に示した状態であるものとする。
【0080】
かかる場合、除去部137は、まず、パターン対応記憶部133aから、試料画像S12(撮影位置H12)のパターン種別「PT1」を取得する。続いて、除去部137は、背景画像記憶部133bから、パターン種別が、試料画像S12のパターン種別「PT1」と一致する背景画像B1(1)〜B1(11)を取得する。さらに、除去部137は、背景画像B1(1)〜B1(11)の中から、例えば、露光時間が、露光時間Ts以下である背景画像B1(10)と、露光時間Ts以上である背景画像B1(11)とを選択する。そして、除去部137は、背景画像B1(10)と背景画像B1(11)とを線形補間して、露光時間Ts(820[ms])に対応する背景画像B11sを算出する。
【0081】
具体的には、除去部137は、図9に示すように、画素P11aの輝度I11aと、画素P11aに対応する画素P11bの輝度I11bとを上記式(1)に代入することにより、背景画像B11sの画素P11sにおける輝度I11sを算出する。同様にして、除去部137は、背景画像B11sの全ての画素の輝度を算出する。
【0082】
そして、除去部137は、試料画像S12の輝度から、背景画像B11sの輝度を画素ごとに減算する。これにより、除去部137は、試料画像S12の露光時間Ts(820[ms])に対応する背景画像B11sを用いて、試料画像S12から背景ノイズを除去することができる。
【0083】
なお、除去部137は、記憶部133に記憶されている背景画像のうち、露光時間が、試料画像の露光時間と一致する背景画像が存在する場合、除去部137は、かかる背景画像を用いて、試料画像から背景ノイズを除去する。このような場合、除去部137は、試料画像の露光時間に対応する背景画像を算出する処理を行わない。
【0084】
シェーディング補正部138は、除去部137によって背景ノイズが除去された試料画像に対して、シェーディング補正を行う。具体的には、シェーディング補正部138は、除去部137によって背景ノイズが除去された試料画像の各画素の輝度に、予め算出されているシェーディング係数を除算する。
【0085】
図10を用いて、シェーディングについて簡単に説明する。シェーディングとは、図10に示すように、(A)光源(蛍光ランプ107)のムラや、(B)レンズと光源との位置の誤差や、(C)(D)cos4乗則などの要因により、画像の本来の輝度と映像信号との間に不整合が発生する現象を言う。例えば、シェーディングが発生すると、撮影画像の周辺部分は、中心部分よりも暗くなる。シェーディング補正部138は、このようなシェーディングによる輝度の歪みを、予め算出されているシェーディング係数を用いて補正する。
【0086】
ここで、図11−1〜図11−4を用いて、シェーディング係数の算出手法について簡単に説明する。図11−1〜図11−4は、シェーディング係数の算出手法を説明するための図である。
【0087】
まず、スクリーニング装置100は、マイクロアレイチップC10の背景画像を生成する。続いて、スクリーニング装置100は、均質な物質が配置されているマイクロアレイチップC10に対して励起光を照射して、マイクロアレイチップC10を撮影して蛍光画像を生成する。図11−1は、かかる蛍光画像の輝度の分布例を示している。
【0088】
続いて、スクリーニング装置100は、生成した蛍光画像から背景ノイズを除去する。図11−2は、背景ノイズが除去された蛍光画像の輝度の分布例を示している。続いて、スクリーニング装置100は、蛍光画像の各画素に対して、関数近似もしくは平均化処理を行うことにより、光源と光学系の影響だけを抽出する。図11−3は、光源と光学系の影響だけが抽出された蛍光画像の輝度の分布例を示している。
【0089】
そして、スクリーニング装置100は、光源と光学系の影響だけが抽出された蛍光画像について、輝度の最大値を「1」として規格化することにより、シェーディング係数を算出する。なお、図11−4は、シェーディング補正された蛍光画像の一例を示している。
【0090】
図5の説明に戻って、分別部139は、シェーディング補正部138によってシェーディング補正された試料画像から試料の輝度を算出して、算出した輝度に基づいて試料を分別する。具体的には、分別部139は、試料画像から、ウェルを含み、かつ、ウェルよりもやや広い範囲の画像を抽出し、抽出した画像の輝度の総和を算出する。このとき、分別部139は、隣接するウェルを含まないように、試料画像からウェルよりもやや広い範囲の画像を抽出することが好ましい。例えば、分別部139は、中点がウェルの中心であり、直径がウェルの直径の1.5倍である円に含まれる画像を抽出して、抽出した画像の輝度の総和を算出する。
【0091】
続いて、分別部139は、輝度の総和Isを以下に示す式(2)により規格化する。
【0092】
Is=I×T0/Tb・・・(2)
【0093】
上記式(2)において、Iは、分別部139によって算出された輝度の総和を示し、T0は基準露光時間を示し、Tbは、試料に対する露光時間を示す。
【0094】
例えば、試料C1に対する露光時間Tbが1000[ms]であり、試料C1を含む画像の輝度の総和が200であるものとする。また、例えば、試料C2に対する露光時間Tbが500[ms]であり、試料C2を含む画像の輝度の総和が200であるものとする。そして、基準露光時間T0が「100」である場合、試料C1の輝度の総和は、上記式(2)により、200×100/1000=20に規格化される。また、試料C2の輝度の総和は、200×100/500=40に規格化される。
【0095】
そして、分別部139は、規格化した輝度の総和に基づいて試料を分別する。例えば、分別部139は、輝度の高い順番に試料をソートしたり、所定の範囲の輝度ごとに試料を分別したりする。
【0096】
ここで、分別部139がウェルよりもやや広い範囲の画像を抽出する理由について説明する。スクリーニング装置100は、ステージ101を移動させることによって、撮影位置を変更する。すなわち、ステージ101の位置決め精度に誤差が存在すると、背景画像におけるウェルの位置と、試料画像におけるウェルの位置との間にも誤差が生じる場合がある。このような誤差が生じた場合、試料画像からウェルの大きさ分の画像を抽出しても、抽出した画像は背景ノイズが正しく除去されていない可能性がある。かかる場合、分別部139は、試料の輝度を正しく算出することができない。そこで、分別部139は、ウェルよりもやや広い範囲の画像を抽出することにより、ウェルの位置のばらつきを吸収する。これにより、分別部139は、試料の輝度を正しく算出することができる。
【0097】
図12−1および図12−2を用いて、図3に示した試料C11の輝度を算出する場合を例に挙げて説明する。図12−1および図12−2は、分別部139による分別処理の一例を説明するための図である。なお、図12−1は、ステージ101の位置決め精度に誤差がない場合を示している。また、図12−2は、ステージ101の位置決め精度に誤差がある場合を示している。
【0098】
図12−1および図12−2に示した例において、分別部139は、中点がウェルW11−6の中心であり、直径がウェルW11−6の直径よりも所定の値だけ大きい円に含まれる画像を抽出している。図12−1および図12−2に示した例において、画像S11−6は、試料画像の一部分である。また、画像B11−6は、背景画像の一部分である。また、画像S´11−6は、除去部137によって背景ノイズが除去され、かつ、シェーディング補正部138によってシェーディング補正された試料画像の一部分である。
【0099】
ここで、図12−1に示した試料画像S11−6と、図12−2に示した試料画像S11−6とは、輝度の総和が同一である。これは、双方の試料画像S11−6に、試料C11の蛍光と、ウェルW11−6の蛍光が欠けることなく含まれているからである。また、図12−1に示した背景画像B11−6と、図12−2に示した背景画像B11−6とは、輝度の総和が同一である。これは、双方の背景画像B11−6に、ウェルW11−6の蛍光が欠けることなく含まれているからである。したがって、図12−1に示した画像S´11−6と、図12−2に示した画像S´11−6とは、輝度の総和が同一になる。このように、分別部139が、ウェルよりもやや広い範囲の画像を抽出することにより、ステージ101の位置決め精度に誤差が存在する場合であっても、試料を正しく分別することができる。
【0100】
[実施例1に係るスクリーニング装置による処理の手順]
次に、図13を用いて、実施例1に係るスクリーニング装置100による試料分別処理の手順について説明する。図13は、実施例1に係るスクリーニング装置100による試料分別処理の手順を示すフローチャートである。
【0101】
図13に示すように、スクリーニング装置100は、マイクロアレイチップC10に培養液が滴下された後、処理を開始する旨の指示を受け付けた場合に(ステップS101肯定)、処理を開始する。具体的には、スクリーニング装置100のステージコントローラ115は、撮影制御部136からの指示に従って、撮影範囲内のウェルの配置パターンが基本パターンになるように、ステージ101を移動させる(ステップS102)。
【0102】
続いて、シャッタコントローラ116は、シャッタ108を開いて、マイクロアレイチップC10に励起光を照射させる(ステップS103)。続いて、撮影制御部136は、背景画像を取得する背景撮影処理を行う(ステップS104)。なお、背景撮影処理については、後に、図14を用いて詳述する。続いて、シャッタコントローラ116は、シャッタ108を閉じて、励起光を遮断する(ステップS105)。
【0103】
そして、基本パターンを全て撮影していない場合(ステップS106否定)、ステージコントローラ115は、撮影制御部136からの指示に従って、撮影範囲内のウェルの配置パターンが未撮影の基本パターンになるように、ステージ101を移動させる(ステップS102)。後の処理は、上記のステップS103〜S105における処理手順と同様である。一方、基本パターンを全て撮影した場合(ステップS106肯定)、スクリーニング装置100は、次の処理手順ステップS107における処理を行う。
【0104】
具体的には、マイクロアレイチップC10に試料が滴下された後(ステップS107)、ステージコントローラ115は、撮影制御部136からの指示に従って、ステージ101を所定の位置に移動させる(ステップS108)。このとき、ステージコントローラ115は、撮影範囲内のウェルの配置パターンが基本パターンのいずれかになるように、ステージ101を移動させる。
【0105】
続いて、スクリーニング装置100は、露光時間Tsを初期値1024[ms]に設定する(ステップS109)。なお、図13では、露光時間Tsの初期値を1024[ms]とする例を示すが、露光時間Tsの初期値はこれに限られず、例えば、2048[ms]や、512[ms]、1000[ms]などでもよい。
【0106】
続いて、シャッタコントローラ116は、シャッタ108を開いて、マイクロアレイチップC10に励起光を照射させる。続いて、撮影制御部136は、CCDコントローラ135に対して、露光時間Ts(1024[ms])が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。CCDカメラ112は、CCDコントローラ135から指示を受け付け、露光時間Ts(1024[ms])が経過した場合に、マイクロアレイチップC10を撮影して試料画像Sを生成する。そして、撮影制御部136は、CCDカメラ112から試料画像Sを取得する(ステップS110)。
【0107】
続いて、撮影制御部136は、取得した試料画像Sが飽和している場合に(ステップS111肯定)、露光時間Tsを、前回撮影時における露光時間よりも短くする(ステップS112)。ここでは、撮影制御部136は、露光時間Tsを、前回撮影時における露光時間1024[ms]に対して0.8を乗算した値820[ms]に設定するものとする。続いて、撮影制御部136は、CCDコントローラ135に対して、露光時間Ts(820[ms])が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように指示して、試料画像Sを取得する(ステップS110)。
【0108】
撮影制御部136は、試料画像Sが飽和しなくなるまで、上記ステップS110〜S112における処理を繰り返し行う。なお、図13では、露光時間Tsを短くする場合に、前回撮影時における露光時間に対して0.8を乗算する例を示すが、露光時間Tsを短くする度合いは、これに限られない。例えば、撮影制御部136は、前回撮影時における露光時間に対して0.9を乗算してもよいし、前回撮影時における露光時間から100[ms]減算してもよい。
【0109】
そして、試料画像Sが飽和していない場合(ステップS111否定)、除去部137は、試料画像Sから背景ノイズを除去する背景除去処理を行う(ステップS113)。なお、背景除去処理については、後に、図15を用いて詳述する。
【0110】
続いて、シェーディング補正部138は、除去部137によって背景ノイズが除去された試料画像Sに対してシェーディング補正を行う(ステップS114)。
【0111】
全ての撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影していない場合(ステップS115否定)、ステージコントローラ115は、撮影位置が未撮影の撮影位置になるように、ステージ101を移動させる(ステップS108)。撮影制御部136は、全ての撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影するまで、上記ステップS108〜S115における処理を繰り返し行う。
【0112】
全ての撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影した場合(ステップS115肯定)、分別部139は、シェーディング補正部138によってシェーディング補正された試料画像から、中点がウェルの中心であり、直径がウェルの直径の1.5倍である円に含まれる画像を抽出して、抽出した画像の輝度の総和を算出する(ステップS116)。なお、図13では、分別部139が、直径がウェルの直径の1.5倍である円に含まれる画像を抽出する例を示すが、分別部139が抽出する画像の範囲はこれに限らない。例えば、分別部139は、中点がウェルの中心であり、直径がウェルの直径の1.2倍である円に含まれる画像を抽出してもよいし、直径がウェルの直径の2倍である円に含まれる画像を抽出してもよい。
【0113】
そして、分別部139は、算出した輝度の総和を所定の基準露光時間で規格化した後に、規格化した輝度の総和に基づいて試料を分別する(ステップS117)。
【0114】
[背景撮影処理]
次に、図14を用いて、図13のステップS104における背景撮影処理について詳細に説明する。図14は、撮影制御部136による背景撮影処理の手順を示すフローチャートである。なお、図14に示した処理手順は、基本パターンごとに行われる。
【0115】
図14に示すように、撮影制御部136は、まず、露光時間Tb(i)を1[ms]に設定する(ステップS201)。ここで、カウンタiの初期値は「1」であるものとする。すなわち、撮影制御部136は、露光時間Tb(1)を1[ms]に設定する。なお、図14では、露光時間Tb(1)を1[ms]とする例を示すが、露光時間Tb(1)の値はこれに限られず、例えば、2[ms]、10[ms]などでもよい。
【0116】
続いて、撮影制御部136は、CCDコントローラ135に対して、露光時間1[ms](Tb(1))が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。CCDカメラ112は、CCDコントローラ135から指示を受け付け、露光時間1[ms](Ts)が経過した場合に、マイクロアレイチップC10を撮影して背景画像B(i)を生成する。
【0117】
そして、撮影制御部136は、CCDカメラ112から背景画像B(i)を取得して(ステップS202)、取得した背景画像B(i)、露光時間、背景画像B(i)のパターン種別を背景画像記憶部133bに記憶させる。
【0118】
続いて、露光時間Tb(i)が1024[ms]以上でない場合(ステップS203否定)、撮影制御部136は、露光時間Tb(i+1)を、露光時間Tb(i)に2を乗算した値である2[ms]に設定する(ステップS204)。
【0119】
続いて、撮影制御部136は、CCDコントローラ135に対して、露光時間2[ms](Tb(i+1))が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。そして、撮影制御部136は、CCDカメラ112から背景画像B(i+1)を取得する(ステップS202)。
【0120】
撮影制御部136は、露光時間Tb(i)が1024[ms]以上になるまで、露光時間Tb(i+1)を、前回撮影時の露光時間Tb(i)に2を乗算した値に設定し(ステップS204)、背景画像B(i+1)を取得する(ステップS202)。
【0121】
そして、撮影制御部136は、露光時間Tbが1024[ms]以上になった場合(ステップS203肯定)、処理を終了する。図14に示した例では、撮影制御部136は、背景画像B(1)、B(2)、・・・、B(11)を取得する。
【0122】
なお、図14では、露光時間を2倍にしながら背景画像を取得する例を示したが、撮影制御部136は、露光時間を1.5倍や、3倍にしながら背景画像を取得してもよい。また、図14では、露光時間が1024[ms]以上になるまで撮影処理を繰り返す例を示したが、撮影制御部136は、露光時間が500[ms]以上や、2000[ms]以上になるまで撮影処理を繰り返してもよい。
【0123】
[背景除去処理]
次に、図15を用いて、図13のステップS113における背景除去処理について詳細に説明する。図15は、除去部137による背景除去処理の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、背景画像記憶部133bは、図14において説明した背景画像B(1)、B(2)、・・・、B(11)を、基本パターンごとに記憶しているものとする。
【0124】
図15に示すように、除去部137は、まず、背景画像記憶部133bから、ウェルの配置パターンが、試料画像Sにおけるウェルの配置パターンと一致する背景画像を選択する(ステップS301)。さらに、除去部137は、試料画像Sの露光時間Tsと背景画像Bの露光時間Tbとの間で、条件「Tb(j)≦Ts≦Tb(j+1)」を満たす背景画像B(j)およびB(j+1)を選択する(ステップS302)。
【0125】
続いて、除去部137は、背景画像B(j)およびB(j+1)を用いて、試料画像Sの露光時間Tsに対応する背景画像Bsを算出する。具体的には、除去部137は、背景画像B(j)の所定の画素Paにおける輝度Iaと、画素Paに対応する背景画像B(j+1)の画素Pbにおける輝度Ibを、上記式(1)に代入する。これにより、除去部137は、画素PaおよびPbに対応する背景画像Bsの画素Psにおける輝度Isを算出する(ステップS303)。
【0126】
続いて、除去部137は、画素PaおよびPbに対応する試料画像Sの画素における輝度から、上記ステップS303において算出した輝度Isを減算する(ステップS304)。除去部137は、試料画像Sの全ての画素に対して上記減算処理を行っていない場合(ステップS305否定)、処理対象の画素を次の画素に移して(ステップS306)、上記ステップS303〜S306における処理を繰り返し行う。
【0127】
そして、除去部137は、試料画像Sの全ての画素に対して上記減算処理を行った場合(ステップS305肯定)、処理を終了する。
【0128】
[実施例1の効果]
上述してきたように、実施例1に係るスクリーニング装置100は、パターン種別ごとに1個の背景画像をパターン種別に対応付けて背景画像記憶部133bに記憶させる。そして、スクリーニング装置100は、パターン種別が試料画像のパターン種別と同一である背景画像を用いて、かかる試料画像から背景ノイズを除去する。これにより、実施例1に係るスクリーニング装置100は、背景画像の数を減らすことができる。その結果、スクリーニング装置100は、記憶容量を圧迫することなく、背景画像を生成するための撮影時間を短くすることができる。
【0129】
特に、上記例のように、露光時間の異なる複数の背景画像を撮影する場合、従来のスクリーニング装置のように、全ての撮影位置でマイクロアレイチップを撮影すると、背景画像の数が膨大になる。一方、実施例1に係るスクリーニング装置100では、パターン種別が同一になる背景画像を重複させることなく記憶するので、露光時間の異なる複数の背景画像を撮影する場合であっても、背景画像の数を数十個程度に抑えることができる。
【0130】
また、実施例1に係るスクリーニング装置100は、露光時間を変化させて背景画像を生成する。そして、スクリーニング装置100は、露光時間が試料画像の露光時間と一致する背景画像を用いて、かかる試料画像から背景ノイズを除去する。これにより、実施例1に係るスクリーニング装置100は、試料画像から正確に背景ノイズを除去することができる。
【0131】
また、実施例1に係るスクリーニング装置100は、露光時間が試料画像の露光時間と一致する背景画像が存在しない場合に、複数の背景画像を露光時間によって補間することにより、試料画像の露光時間に対応する背景画像を算出する。そして、算出した背景画像を用いて、試料画像から背景ノイズを除去する。これにより、実施例1に係るスクリーニング装置100は、露光時間が試料画像の露光時間と一致する背景画像が存在しない場合であっても、試料画像から正確に背景ノイズを除去することができる。
【0132】
また、実施例1に係るスクリーニング装置100は、背景ノイズが除去された試料画像のうち、ウェルを含み、かつ、該ウェルよりもやや広い範囲の画像を抽出して、抽出した画像の輝度の総和に基づいて試料を分別する。これにより、実施例1に係るスクリーニング装置100は、ステージ101の位置決め精度に誤差が存在する場合であっても、試料を正しく分別することができる。
【0133】
なお、上記実施例1では、ウェルの配置パターンが格子である場合を例に挙げて説明したが(図1を参照)、本願の開示する撮影装置は、ウェルの配置パターンが格子以外であっても適用することができる。例えば、本願の開示する撮影装置は、ウェルの配置パターンが千鳥格子であっても適用することができる。図16に、ウェルの配置パターンが千鳥格子であるマイクロアレイチップの例を示す。図16に示した例では、例えば、撮影位置H111、H112、H114、H121、H122、H124、H131、H134、H141、H142、H144におけるウェルの配置パターンが基本パターンに該当する。すわなち、スクリーニング装置100は、撮影位置H111、H112、H114、H121、H122、H124、H131、H134、H141、H142、H144でマイクロアレイチップC20を撮影して背景画像を生成する。これにより、スクリーニング装置100は、試料画像から背景ノイズを除去することができる。なお、基本パターンは、撮影範囲によって変動するので、上述した基本パターンはあくまで一例である。
【0134】
また、上記実施例1では、露光時間の異なる複数の背景画像を生成する例を示したが、一定の露光時間で試料画像を取得するシステムの場合には、スクリーニング装置100は、露光時間ごとに背景画像を生成しなくてもよい。
【0135】
また、上記実施例1では、試料撮影処理を行う場合に、全ての撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影する例を示したが、スクリーニング装置100は、全ての撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影しなくてもよい。例えば、スクリーニング装置100は、試料が配置されているウェルを予め認識している場合には、試料が配置されているウェルを含む撮影位置のみでマイクロアレイチップC10を撮影してもよい。
【0136】
また、上記実施例1では、背景画像を生成する場合に、どの撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影するかが予め決められていることを前提として説明した。しかし、スクリーニング装置100は、背景画像を生成する場合に、どの撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影するかが予め決められていない場合であっても、試料画像からノイズを除去するために用いる背景画像の数を減らすことができる。以下に、背景画像を撮影する撮影位置が予め決められていない場合におけるスクリーニング装置100による処理について2つ例を挙げて説明する。
【0137】
まず、1個目の処理例を、図1に示した例を用いて説明する。例えば、スクリーニング装置100は、全ての撮影位置H11〜H13、H21〜H23、H31〜H33でマイクロアレイチップC10を撮影して、撮影位置ごとに背景画像を生成する。そして、スクリーニング装置100は、生成した背景画像のうち、ウェルの配置パターンのパターン種別ごとに1個の背景画像を背景画像記憶部133bに記憶させる。すなわち、スクリーニング装置100は、全ての撮影位置で背景画像を生成した後に、重複する背景画像を破棄して必要最低限の背景画像を背景画像記憶部133bに記憶させる。このように処理することで、スクリーニング装置100は、背景画像の数を減らすことができる。
【0138】
続いて、2個目の処理例を、図1に示した例を用いて説明する。スクリーニング装置100は、背景画像を生成する場合、撮影位置におけるウェルの配置パターンと、既に生成した背景画像のウェルの配置パターンとが同一であるか否かを判定する。そして、ウェルの配置パターンが同一である場合、スクリーニング装置100は、撮影処理を行わず、背景画像を生成しない。一方、ウェルの配置パターンが同一でない場合、スクリーニング装置100は、撮影処理を行って背景画像を生成する。このように処理することで、スクリーニング装置100は、背景画像の数を減らすことができる。
【実施例2】
【0139】
上記実施例1では、基本パターンの数だけ背景画像を生成する例を示したが、本願の開示する撮影装置は、1個の背景画像を用いて試料分別処理を行うこともできる。そこで、実施例2では、1個の背景画像を用いて試料分別処理を行う例について説明する。
【0140】
[実施例2に係るスクリーニング装置による試料分別処理]
まず、実施例2に係るスクリーニング装置200による試料分別処理について説明する。実施例2に係るスクリーニング装置200は、任意のウェルを含み、かつ、かかるウェルよりもやや広い範囲の背景画像(以下、「ウェル背景画像」という)を保存しておく。そして、スクリーニング装置200は、ウェル背景画像を用いて、試料画像に対応する背景画像を生成し、生成した背景画像を用いて試料画像の背景ノイズを除去する。
【0141】
上述した試料分別処理について、図17〜図20を用いて具体的に説明する。図17は、実施例2に係るスクリーニング装置200による試料分別処理を説明するための図である。スクリーニング装置200は、まず、マイクロアレイチップC10に励起光を照射せずに、任意の撮影位置でマイクロアレイチップC10を撮影して撮影画像を生成する。
【0142】
ここでは、図17に示すように、スクリーニング装置200は、撮影位置H11でマイクロアレイチップC10を撮影して撮影画像を生成するものとする。以下では、励起光が遮断された状態で撮影されたマイクロアレイチップC10の画像を「暗ノイズ画像」と呼ぶこととする。図18−1に、暗ノイズ画像の一例を示す。図18−1に示した暗ノイズ画像U11は、図30に示した画像と同様に撮像素子のノイズを含む。
【0143】
続いて、スクリーニング装置200は、撮影範囲の中心に任意のウェルが位置するように、ステージ101を移動させた後に、マイクロアレイチップC10を撮影して背景画像を生成する。ここでは、図17に示すように、スクリーニング装置200は、撮影位置H11の中心にウェルW11−5が位置する撮影位置H11でマイクロアレイチップC10を撮影して背景画像を生成するものとする。
【0144】
続いて、スクリーニング装置200は、生成した背景画像から、ウェル背景画像を抽出して、抽出したウェル背景画像を記憶部133に記憶させる。図18−2に、ウェル背景画像の一例を示す。図18−2に示した例では、スクリーニング装置200は、背景画像B11を9等分し、9等分された各画像のうち、ウェルW11−5を含むウェル背景画像WB11−5を記憶部133に記憶させる。
【0145】
スクリーニング装置200は、このようにして取得した暗ノイズ画像U11と、ウェル背景画像WB11−5とに基づいて、任意の撮影位置に対応する背景画像を生成する。ここで、スクリーニング装置200による背景画像生成処理について説明する。
【0146】
まず、スクリーニング装置200は、ウェル背景画像WB11−5の輝度から、暗ノイズ画像U11の輝度を画素ごとに減算した画像を生成する。なお、以下では、ウェル背景画像の輝度から、暗ノイズ画像の輝度が減算された画像を「チップ蛍光画像」と呼ぶこととする。
【0147】
かかるチップ蛍光画像は、マイクロアレイチップC10自体の蛍光だけを含む画像である。具体的に説明すると、暗ノイズ画像U11には、撮像素子のノイズが含まれる。一方、ウェル背景画像WB11−5には、撮像素子のノイズと、マイクロアレイチップC10自体の蛍光とが含まれる。したがって、スクリーニング装置200は、ウェル背景画像WB11−5の輝度から、暗ノイズ画像U11の輝度を画素ごとに減算することにより、マイクロアレイチップC10自体の蛍光だけを含むチップ蛍光画像を生成することができる。
【0148】
ここで、マイクロアレイチップC10自体の蛍光は、撮影範囲内において均一なので、チップ蛍光画像の輝度は、1つの撮影範囲内におけるマイクロアレイチップC10自体の蛍光の輝度を示すと言える。すなわち、スクリーニング装置200は、チップ蛍光画像を用いて、1つの撮影範囲内におけるマイクロアレイチップC10自体の蛍光を得ることができると言える。
【0149】
しかし、マイクロアレイチップC10自体の蛍光には、本来、シェーディングによる輝度の歪みが含まれる。したがって、チップ蛍光画像の輝度を、1つの撮影範囲内におけるマイクロアレイチップC10自体の蛍光の輝度として用いても、シェーディングによる輝度の歪みが考慮されないことになる。
【0150】
そこで、スクリーニング装置200は、チップ蛍光画像の輝度に対して、シェーディング係数を乗算、除算することにより、1つの撮影範囲内におけるマイクロアレイチップC10自体の蛍光を得る。これにより、スクリーニング装置200は、シェーディングによる輝度の歪みを考慮したマイクロアレイチップC10自体の蛍光を得ることができる。
【0151】
そして、スクリーニング装置200は、シェーディングによる輝度の歪みを考慮した蛍光の輝度に、暗ノイズ画像U11の輝度を画素ごとに加算することにより、1つの撮影範囲内における背景画像を生成する。
【0152】
次に、図19および図20を用いて、上述した背景画像生成処理について詳細に説明する。図19および図20は、実施例2に係るスクリーニング装置200による背景画像生成処理を説明するための図である。なお、以下では、暗ノイズ画像U11およびウェル背景画像WB11−5を用いて背景画像B11を生成する場合を例に挙げて説明する。
【0153】
まず、スクリーニング装置200は、ウェル背景画像WB11−5に対応する暗ノイズ画像を抽出する。具体的には、スクリーニング装置200は、ウェル背景画像WB11−5に対応する暗ノイズ画像として、図18−1に示した暗ノイズ画像U11−5を抽出する。そして、スクリーニング装置200は、ウェル背景画像WB11−5の輝度から、暗ノイズ画像U11−5の輝度を画素ごとに減算し、チップ蛍光画像BU11−5を生成する。
【0154】
続いて、スクリーニング装置200は、図19の左側に示すように、チップ蛍光画像BU11−5を用いて、チップ蛍光画像BU11−1〜BU11−4およびBU11−6〜BU11−9を算出する。図20を用いて、チップ蛍光画像BU11−5を用いて、チップ蛍光画像BU11−1を算出する処理について説明する。
【0155】
図20に示すように、スクリーニング装置200は、チップ蛍光画像BU11−5の所定の画素P11−5aの輝度I11−5aに対して、画素P11−5aに対応するシェーディング係数を除算する。続いて、スクリーニング装置200は、除算した値に対して、チップ蛍光画像BU11−1の画素P11−1aに対応するシェーディング係数を乗算する。これにより、スクリーニング装置200は、チップ蛍光画像BU11−1の画素P11−1aの輝度を算出することができる。スクリーニング装置200は、チップ蛍光画像BU11−5の全ての画素について上記処理を行うことにより、チップ蛍光画像BU11−1を算出する。スクリーニング装置200は、同様の処理を行うことにより、チップ蛍光画像BU11−2〜BU11−4およびBU11−6〜BU11−9を算出する。
【0156】
図19の説明に戻って、スクリーニング装置200は、チップ蛍光画像BU11−1〜BU11−9の輝度に、暗ノイズ画像U11の輝度を画素ごとに加算する。これにより、スクリーニング装置200は、撮影位置H11における背景画像B11を生成することができる。
【0157】
スクリーニング装置200は、暗ノイズ画像U11およびウェル背景画像WB11−5を用いた背景画像生成処理を、他の撮影位置(例えば、図17に示した撮影位置H31や、H33)にも適用することができる。
【0158】
このように、実施例2に係るスクリーニング装置200は、1個の暗ノイズ画像と、1個のウェル背景画像だけを用いて、背景画像を生成するので、予め保持しておく背景画像の数をより少なくすることができる。
【0159】
なお、上記では、暗ノイズ画像を生成する場合に、図17に示した撮影位置H11で撮影する例を示したが、スクリーニング装置200は、他の撮影位置(例えば、撮影位置H31やH33)でマイクロアレイチップC10を撮影して暗ノイズ画像を生成してもよい。
【0160】
また、上記では、ウェルW11−5を含む背景画像をウェル背景画像とする例を示したが、スクリーニング装置200は、他のウェル(例えば、ウェルW31−5やW33−4)を含む背景画像をウェル背景画像としてもよい。
【0161】
また、上記では、背景画像を9等分し、9等分された各画像のうち真ん中の画像をウェル背景画像とする例を示した。しかし、スクリーニング装置200は、任意のウェルを含む背景画像であれば、いかなる背景画像をウェル背景画像にしてもよい。例えば、スクリーニング装置200は、背景画像を任意の数に等分し、等分された各画像のうち所定のウェルを含む画像をウェル背景画像としてもよい。また、スクリーニング装置200は、背景画像を等分せずに、任意のウェルを含む所定の領域の背景画像をウェル背景画像としてもよい。
【0162】
[実施例2に係るスクリーニング装置200の構成]
次に、実施例2に係るスクリーニング装置200の構成について説明する。実施例2に係るスクリーニング装置200の構成は、図5に示したスクリーニング装置100の構成と比較して、情報処理装置130の代わりに、情報処理装置230を有する。図21に、実施例2における情報処理装置230の構成を示す。
【0163】
図21に示すように、情報処理装置230は、図5に示した情報処理装置130と比較して、記憶部133、撮影制御部136、除去部137の代わりに、記憶部233、撮影制御部236、除去部237を有する。
【0164】
記憶部233は、ウェル背景画像記憶部233aを有する。ウェル背景画像記憶部233aは、暗ノイズ画像や、ウェル背景画像を記憶する。なお、以下に、フローチャートを用いて詳細に説明するが、ウェル背景画像記憶部233aは、露光時間ごとに、ウェル背景画像を記憶する。
【0165】
撮影制御部236は、CCDコントローラ135に対して、励起光が照射されていないマイクロアレイチップC10を撮影させる。これにより、撮影制御部336は、CCDカメラ112から、暗ノイズ画像Uを取得して、取得した暗ノイズ画像Uをウェル背景画像記憶部233aに記憶させる。また、撮影制御部236は、ウェル背景画像を取得するウェル背景撮影処理を行う。かかるウェル背景撮影処理については、図23を用いて後述する。
【0166】
除去部237は、背景画像生成処理および背景除去処理を行う。かかる背景画像生成処理および背景除去処理については、図24を用いて後述する。
【0167】
[実施例2に係るスクリーニング装置による試料分別処理の手順]
次に、実施例2に係るスクリーニング装置200による試料分別処理の手順について説明する。図22は、実施例2に係るスクリーニング装置200による試料分別処理の手順を示すフローチャートである。
【0168】
図22に示すように、マイクロアレイチップC10に培養液が滴下された後、処理を開始する旨の指示を受け付けた場合に(ステップS401肯定)、ステージコントローラ115は、撮影範囲の中心に任意のウェルが位置するように、ステージ101を移動させる(ステップS402)。
【0169】
続いて、シャッタコントローラ116は、シャッタ108を閉じて、励起光を遮断する。続いて、撮影制御部236は、CCDコントローラ135に対して、マイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。CCDカメラ112は、CCDコントローラ135から指示を受け付け、マイクロアレイチップC10を撮影して暗ノイズ画像Uを生成する。そして、撮影制御部236は、CCDカメラ112から暗ノイズ画像Uを取得し(ステップS403)、取得した暗ノイズ画像Uをウェル背景画像記憶部233aに記憶させる。
【0170】
続いて、シャッタコントローラ116は、シャッタ108を開いて、マイクロアレイチップC10に励起光を照射させる(ステップS404)。続いて、撮影制御部236は、ウェル背景画像を取得するウェル背景撮影処理を行う(ステップS405)。なお、ウェル背景撮影処理については、後に、図23を用いて詳述する。続いて、シャッタコントローラ116は、シャッタ108を閉じて、励起光を遮断する(ステップS406)。
【0171】
続いて、マイクロアレイチップC10に試料が滴下された後(ステップS407)、ステージコントローラ115は、撮影範囲の中心に任意のウェルが位置するように、ステージ101を移動させる(ステップS408)。
【0172】
続いて、スクリーニング装置200は、露光時間Tsを初期値1024[ms]に設定する(ステップS409)。続いて、シャッタコントローラ116は、シャッタ108を開いて、マイクロアレイチップC10に励起光を照射させる。続いて、撮影制御部236は、CCDカメラ112に対して、露光時間Ts(1024[ms])が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。CCDカメラ112は、CCDコントローラ135から指示を受け付け、露光時間Ts(1024[ms])が経過した場合に、マイクロアレイチップC10を撮影して試料画像Sを生成する。そして、撮影制御部236は、CCDカメラ112から試料画像Sを取得する(ステップS410)。
【0173】
続いて、撮影制御部236は、取得した試料画像Sが飽和している場合(ステップS411肯定)、露光時間Tsを、前回撮影時における露光時間1024[ms]に対して0.8を乗算した値820[ms]に設定する(ステップS412)。続いて、撮影制御部236は、CCDカメラ112に対して、露光時間820[ms]が経過した場合に、マイクロアレイチップC10を撮影するように指示して、試料画像Sを取得する(ステップS410)。撮影制御部236は、試料画像Sが飽和しなくなるまで、上記ステップS410〜S412における処理を繰り返し行う。
【0174】
そして、試料画像Sが飽和していない場合(ステップS411否定)、除去部237は、背景画像生成処理および背景除去処理を行う(ステップS413)。なお、背景画像生成処理および背景除去処理については、後に、図24を用いて詳述する。
【0175】
続いて、シェーディング補正部138は、除去部237によって背景ノイズが除去された試料画像Sに対してシェーディング補正を行う(ステップS414)。
【0176】
撮影対象のウェルを全て撮影していない場合(ステップS415否定)、ステージコントローラ115は、撮影範囲に撮影対象のウェルが位置するように、ステージ101を移動させる(ステップS408)。スクリーニング装置200は、撮影対象のウェルを全て撮影するまで、上記ステップS408〜S415における処理を繰り返し行う。
【0177】
撮影対象のウェルを全て撮影した場合(ステップS415肯定)、分別部139は、シェーディング補正部138によってシェーディング補正された試料画像から、中点がウェルの中心であり、直径がウェルの直径の1.5倍である円に含まれる画像を抽出して、抽出した画像の輝度の総和を算出する(ステップS416)。そして、分別部139は、算出した輝度の総和を所定の基準露光時間で規格化した後に、規格化した輝度の総和に基づいて試料を分別する(ステップS417)。
【0178】
[ウェル背景撮影処理]
次に、図23を用いて、図22のステップS405におけるウェル背景撮影処理について詳細に説明する。図23は、撮影制御部236によるウェル背景撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【0179】
図23に示すように、撮影制御部236は、まず、露光時間Tb(i)を1[ms]に設定する(ステップS501)。ここで、カウンタiの初期値は「1」であるものとする。すなわち、撮影制御部236は、露光時間Tb(1)を1[ms]に設定する。
【0180】
続いて、撮影制御部236は、CCDコントローラ135に対して、露光時間1[ms](Tb(1))が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。そして、撮影制御部236は、CCDカメラ112から背景画像B(i)を取得する(ステップS502)。続いて、撮影制御部236は、取得した背景画像B(i)から、所定の範囲のウェル背景画像WB(i)を抽出し(ステップS503)、抽出したウェル背景画像WB(i)と露光時間とを対応付けて、ウェル背景画像記憶部233aに記憶させる。
【0181】
続いて、撮影制御部236は、露光時間Tb(i)が1024[ms]以上でない場合(ステップS504否定)、露光時間Tb(i+1)を、露光時間Tb(i)に2を乗算した値である2[ms]に設定する(ステップS505)。
【0182】
続いて、撮影制御部236は、CCDカメラ112に対して、露光時間2[ms](Tb(i+1))が経過した場合にマイクロアレイチップC10を撮影するように指示する。そして、撮影制御部236は、CCDカメラ112から背景画像B(i+1)を取得し(ステップS502)、背景画像B(i+1)からウェル背景画像WB(i+1)を抽出する(ステップS503)。そして、撮影制御部236は、ウェル背景画像WB(i+1)と露光時間とを対応付けて、ウェル背景画像記憶部233aに記憶させる。
【0183】
撮影制御部236は、露光時間Tb(i)が1024[ms]以上になるまで、露光時間Tb(i+1)を、前回撮影時の露光時間Tb(i)に2を乗算した値に設定し(ステップS505)、ウェル背景画像WB(i+1)を取得する(ステップS503)。
【0184】
そして、撮影制御部236は、露光時間Tbが1024[ms]以上になった場合(ステップS504肯定)、処理を終了する。図23に示した例では、撮影制御部236は、ウェル背景画像WB(1)、WB(2)、・・・、WB(11)を生成する。
【0185】
[背景画像生成処理および背景除去処理]
次に、図24を用いて、図22のステップS413における背景画像生成処理および背景除去処理について詳細に説明する。図24は、除去部237による背景画像生成処理および背景除去処理の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、撮影制御部236は、図23において説明したウェル背景画像WB(1)、WB(2)、・・・、WB(11)を記憶しているものとする。
【0186】
図24に示すように、除去部237は、まず、ウェル背景画像記憶部233aの中から、試料画像Sの露光時間Tsとウェル背景画像WBの露光時間Tbとの間で、条件「Tb(j)≦Ts≦Tb(j+1)」を満たすウェル背景画像WB(j)およびWB(j+1)を選択する(ステップS601)。
【0187】
続いて、除去部237は、ウェル背景画像WB(j)およびWB(j+1)を用いて、試料画像Sの露光時間Tsに対応するウェル背景画像WBsを算出する(ステップS602)。具体的には、除去部237は、図15に示した処理手順と同様に、画素毎に輝度を線形補間することにより、ウェル背景画像WBsを算出する。
【0188】
続いて、除去部237は、ウェル背景画像WBsに対応する暗ノイズ画像を抽出する。例えば、ウェル背景画像WBが、図18−2に示した例と同様に、背景画像を9等分したうちの真ん中の画像であるものとする。かかる場合、除去部237は、ウェル背景画像WBsに対応する暗ノイズ画像として、図18−1に示した暗ノイズ画像U11−5を抽出する。
【0189】
続いて、除去部237は、ウェル背景画像WBsの輝度から、暗ノイズ画像(上記例では、暗ノイズ画像U11−5)の輝度を画素ごとに減算し、チップ蛍光画像BUsを生成する(ステップS603)。
【0190】
続いて、除去部237は、チップ蛍光画像BUsを用いて、撮影範囲のサイズ分のチップ蛍光画像BUを算出する(ステップS604)。具体的には、除去部237は、図20に示したように、チップ蛍光画像BUsの所定の画素の輝度に対して、かかる画素に対応するシェーディング係数を除算する。続いて、除去部237は、除算した値に対して、算出したいチップ蛍光画像(図20に示した例では、チップ蛍光画像BU11−1)の画素に対応するシェーディング係数を乗算する。除去部237は、チップ蛍光画像BUの全ての画素について上記処理を行うことにより、チップ蛍光画像BUを算出する。
【0191】
続いて、撮影制御部236は、チップ蛍光画像BUの輝度に、暗ノイズ画像Uの輝度を画素ごとに加算することにより、背景画像Bを生成する(ステップS605)。そして、撮影制御部236は、試料画像Sの輝度から、背景画像Bの輝度を画素ごとに減算する(ステップS606)。
【0192】
[実施例2の効果]
上述してきたように、実施例2に係るスクリーニング装置200は、1個の暗ノイズ画像と、1個のウェル背景画像だけを用いて、背景画像を生成する。そして、スクリーニング装置200は、生成した背景画像を用いて、試料画像の背景ノイズを除去する。これにより、実施例2に係るスクリーニング装置200は、予め保持しておく背景画像の数をより少なくすることができる。
【実施例3】
【0193】
ところで、上記実施例1において、シェーディング係数の算出手法(図11−1〜図11−4)を説明したが、シェーディング係数は、図11−1〜図11−4に示した手法以外の手法によって算出されてもよい。そこで、実施例3では、図11−1〜図11−4に示した手法以外の手法によりシェーディング係数を算出する例について説明する。
【0194】
[実施例3におけるシェーディング係数算出処理]
まず、図25−1〜図25−3を用いて、実施例3に係るスクリーニング装置300によるシェーディング係数算出処理について説明する。図25−1は、撮像素子のノイズにより現れる輝度の分布例を示す図である。図25−1に示すように、撮像素子のノイズには、シェーディングによる輝度の歪みが含まれない。なお、図25−1に示した例では、撮像素子のノイズが、画像内において均一であるが、実際には不均一ある。
【0195】
図25−2は、背景ノイズの輝度の分布例を示す図である。図25−2に示すように、背景ノイズには、シェーディングによる輝度の歪みが含まれる。したがって、図25−2に示すような背景ノイズの輝度から、シェーディング係数を算出することも考えられる。しかし、背景ノイズには、撮像素子のノイズが含まれる。そして、かかる撮像素子のノイズは、画像内において不均一である。そのため、図25−2に示すような背景ノイズの輝度から、正確なシェーディング係数を算出することができない。
【0196】
そこで、実施例3に係るスクリーニング装置300は、図25−2に示した背景ノイズの輝度から、図25−1に示した撮像素子のノイズにより現れる輝度を画素ごとに減算することにより、マイクロアレイチップC10自体の蛍光だけを示す輝度を求める。図25−3に、マイクロアレイチップC10自体の蛍光の輝度の分布例を示す。図25−3に示すように、マイクロアレイチップC10自体の蛍光には、シェーディングによる輝度の歪みが含まれ、撮像素子のノイズが含まれない。
【0197】
そして、スクリーニング装置300は、図25−3に示したマイクロアレイチップC10自体の蛍光を現す輝度に基づいて、シェーディング係数を算出する。具体的には、スクリーニング装置300は、マイクロアレイチップC10自体の蛍光を現す輝度の最大値を「1」として、各画素のシェーディング係数を算出する。
【0198】
例えば、図25−3に示した例において、輝度の最大値が「1000」であるものとする。また、図25−3に示した例において、画素Aの輝度が「1000」であり、画素Bの輝度が「500」であり、画素Cの輝度が「100」であるものとする。かかる場合、スクリーニング装置300は、画素Aのシェーディング係数を「1」とする。また、スクリーニング装置300は、画素Bのシェーディング係数を、画素Bの輝度「500」を画素Aの輝度「1000」により除算した値「0.5」とする。また、スクリーニング装置300は、画素Cのシェーディング係数を、画素Cの輝度「100」を画素Aの輝度「1000」により除算した値「0.1」とする。
【0199】
[実施例3に係るスクリーニング装置300の構成]
次に、実施例3に係るスクリーニング装置300の構成について説明する。実施例3に係るスクリーニング装置300の構成は、図5に示したスクリーニング装置100の構成と同様である。ただし、図示することを省略するが、実施例3における情報処理装置130は、図5に示した撮影制御部136の代わりに、撮影制御部336を有する。
【0200】
撮影制御部336は、実施例1において説明した撮影制御部136と同様の処理を行う。さらに、実施例3における撮影制御部336は、シェーディング係数算出処理を行う。具体的には、撮影制御部336は、CCDコントローラ135に対して、励起光が照射されていないマイクロアレイチップC10を撮影させる。これにより、撮影制御部336は、CCDカメラ112から、暗ノイズ画像Uを取得する。続いて、撮影制御部336は、撮影範囲内にウェルが位置しないようにステージ101を移動させた後、CCDコントローラ135に対して、励起光が照射されているマイクロアレイチップC10を撮影させる。これにより、撮影制御部336は、CCDカメラ112から、背景画像Bを取得する。そして、撮影制御部336は、背景画像Bの輝度から、暗ノイズ画像Uの輝度を画素ごとに減算し、減算した輝度に基づいて、シェーディング係数を画素ごとに算出する。
【0201】
[実施例3に係るスクリーニング装置によるシェーディング係数算出処理]
次に、図26を用いて、実施例3に係るスクリーニング装置300によるシェーディング係数算出処理の手順について説明する。図26は、実施例3に係るスクリーニング装置300によるシェーディング係数算出処理手順を示すフローチャートである。
【0202】
図26に示すように、まず、スクリーニング装置300のシャッタコントローラ116は、シャッタ108を閉じて、励起光を遮断する(ステップS701)。続いて、撮影制御部336は、CCDコントローラ135に対して、マイクロアレイチップC10を撮影するように指示し、CCDカメラ112から暗ノイズ画像Uを取得する(ステップS702)。
【0203】
続いて、ステージコントローラ115は、撮影範囲内にウェルが位置しないように、ステージ101を移動させる(ステップS703)。続いて、シャッタコントローラ116は、シャッタ108を開いて、マイクロアレイチップC10に励起光を照射させる(ステップS704)。
【0204】
続いて、撮影制御部336は、CCDコントローラ135に対して、マイクロアレイチップC10を撮影するように指示し、CCDカメラ112から背景画像Bを取得する(ステップS705)。続いて、シャッタコントローラ116は、シャッタ108を閉じて、励起光を遮断する(ステップS706)。
【0205】
続いて、撮影制御部336は、背景画像Bの輝度から、暗ノイズ画像Uの輝度を画素ごとに減算する(ステップS707)。撮影制御部336は、減算した輝度に基づいて、シェーディング係数を画素ごとに算出する(ステップS708)。
【0206】
[実施例3の効果]
上述してきたように、実施例3に係るスクリーニング装置300は、背景画像の輝度から、暗ノイズ画像の輝度を画素ごとに減算し、減算した輝度に基づいて、各画素におけるシェーディング係数を算出する。これにより、スクリーニング装置300は、正確なシェーディング係数を算出することができる。
【実施例4】
【0207】
ところで、本願に開示する撮影装置は、上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、実施例4では、本願に開示する撮影装置の他の実施例について説明する。
【0208】
[システム構成等]
上記実施例1〜3において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0209】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0210】
[プログラム]
また、上記実施例1〜3で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図27を用いて、上記の実施例1と同様の機能を有する撮影プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図27は、撮影プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0211】
図27に示すように、コンピュータ1000は、RAM(Random Access Memory)1010、キャッシュ1020、HDD1030、ROM(Read Only Memory)1040、及びCPU(Central Processing Unit)1050が、バス1060によって接続されている。ここで、ROM1040には、上記の実施例1と同様の機能を発揮する撮影プログラム、つまり、図27に示すように、撮影制御プログラム1041と、除去プログラム1042と、シェーディング補正プログラム1043と、分別プログラム1044とが予め記憶されている。
【0212】
そして、CPU1050は、これらのプログラム1041〜1044各々を読み出して実行する。これにより、各プログラム1041〜1044各々は、図27に示すように、撮影制御プロセス1051、除去プロセス1052、シェーディング補正プロセス1053、分別プロセス1054となる。なお、各プロセス1051〜1054各々は、図5に示した、撮影制御部136、除去部137、シェーディング補正部138、分別部139に対応する。
【0213】
また、HDD1030には、図27に示すように、画像データ1031が設けられる。なお、画像データ1031は、図5に示した、記憶部133に対応する。
【0214】
ところで、上記した各プログラム1041〜1044については、必ずしもROM1040に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ1000に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラム1041〜1044を記憶させてもよい。または、コンピュータ1000の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」に各プログラム1041〜1044を記憶させてもよい。さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ1000に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」に各プログラム1041〜1044を記憶させてもよい。そして、コンピュータ1000が上述した「可搬用の物理媒体」や、「固定用の物理媒体」や、「他のコンピュータ(またはサーバ)」から各プログラム1041〜1044を読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0215】
C10 マイクロアレイチップ
C20 マイクロアレイチップ
100、200、300 スクリーニング装置
101 ステージ
102 培養ディッシュ
103 LED
104 ピペット
105 マニピュレータ
106 対物レンズ
107 蛍光ランプ
108 シャッタ
109 蛍光フィルタ
110 反射鏡
111 反射鏡
112 CCDカメラ
113 対物レンズ駆動モータ
114 LEDコントローラ
115 ステージコントローラ
116 シャッタコントローラ
117 フォーカスコントローラ
118、120 RS232C変換部
119 DIO
121 AIO
122 USB
123 アンプ
130 情報処理装置
131 表示部
132 入力部
133 記憶部
133a パターン対応記憶部
133b 背景画像記憶部
134 サーボコントローラ
135 CCDコントローラ
136 撮影制御部
137 除去部
138 シェーディング補正部
139 分別部
230 情報処理装置
233 記憶部
233a ウェル背景画像記憶部
236 撮影制御部
237 除去部
336 撮影制御部
1000 コンピュータ
1010 RAM
1020 キャッシュ
1030 HDD
1031 画像データ
1040 ROM
1041 撮影制御プログラム
1042 除去プログラム
1043 シェーディング補正プログラム
1044 分別プログラム
1050 CPU
1051 撮影制御プロセス
1052 除去プロセス
1053 シェーディング補正プロセス
1054 分別プロセス
1060 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が配置されていないマイクロアレイチップの撮影画像である背景画像のうち、背景画像内におけるウェルの配置パターンの種類であるパターン種別ごとに背景画像を、該パターン種別に対応付けて記憶する背景画像記憶部と、
前記背景画像記憶部から、試料が配置されているマイクロアレイチップの撮影画像である試料画像のパターン種別に対応付けて記憶されている背景画像を取得し、取得した背景画像を用いて、前記試料画像に含まれるノイズを除去する除去部と
を備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記背景画像を生成する際に、ウェルの配置パターンが同一になる複数の撮影位置が存在する場合には、該複数の撮影位置のうち1つの撮影位置で前記マイクロアレイチップを撮影し、ウェルの配置パターンが他の撮影位置におけるウェルの配置パターンと同一にならない撮影位置が存在する場合には、該撮影位置で前記マイクロアレイチップを撮影する撮影部をさらに備え、
前記背景画像記憶部は、前記撮影部によって撮影された背景画像と、該背景画像のパターン種別とを対応づけて記憶することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記背景画像記憶部は、前記背景画像と、該背景画像のパターン種別と、前記マイクロアレイチップに励起光を照射する時間である露光時間とを対応付けて記憶し、
前記除去部は、前記背景画像記憶部から、前記試料画像のパターン種別と一致し、かつ、前記試料画像の露光時間と一致する背景画像を取得し、取得した背景画像を用いて、前記試料画像に含まれるノイズを除去することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記除去部は、前記背景画像記憶部から、前記試料画像のパターン種別と一致する複数の背景画像を取得し、取得した複数の背景画像を露光時間によって補間することにより、前記試料画像の露光時間に対応する背景画像を算出し、算出した背景画像を用いて、前記試料画像に含まれるノイズを除去することを特徴とする請求項3に記載の撮影装置。
【請求項5】
試料が配置されていないマイクロアレイチップの撮影画像である背景画像のうち、任意のウェルを含み、かつ、該任意のウェルよりもやや広い範囲の画像であるウェル背景画像と、励起光が照射されていないマイクロアレイチップの撮影画像である暗ノイズ画像とを記憶するウェル背景画像記憶部と、
前記ウェル背景画像記憶部に記憶されているウェル背景画像と暗ノイズ画像とを用いて、試料が配置されているマイクロアレイチップの撮影画像である試料画像に対応する背景画像である対応背景画像を生成し、生成した対応背景画像を用いて、前記試料画像に含まれるノイズを除去する除去部と
を備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
前記除去部によってノイズが除去された試料画像のうち、ウェルを含み、かつ、該ウェルよりもやや広い範囲の画像を抽出して、抽出した画像の輝度の総和に基づいて前記試料を分別する分別部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の撮影装置。
【請求項7】
ウェルの配置パターンが同一になる複数の撮影位置が存在する場合には、該複数の撮影位置のうち1つの撮影位置で試料が配置されていないマイクロアレイチップを撮影し、ウェルの配置パターンが他の撮影位置におけるウェルの配置パターンと同一にならない撮影位置が存在する場合には、該撮影位置で試料が配置されていないマイクロアレイチップを撮影する撮影ステップと、
前記撮影ステップによって撮影されたマイクロアレイチップの撮影画像である背景画像と、該背景画像内におけるウェルの配置パターンの種類であるパターン種別とを対応付けて背景画像記憶部に記憶させる背景画像記憶ステップと、
前記背景画像記憶部から、試料が配置されているマイクロアレイチップの撮影画像である試料画像のパターン種別に対応付けて記憶されている背景画像を取得し、取得した背景画像を用いて、前記試料画像に含まれるノイズを除去する除去ステップと
を含んだことを特徴とする撮影方法。
【請求項8】
ウェルの配置パターンが同一になる複数の撮影位置が存在する場合には、該複数の撮影位置のうち1つの撮影位置で試料が配置されていないマイクロアレイチップを撮影し、ウェルの配置パターンが他の撮影位置におけるウェルの配置パターンと同一にならない撮影位置が存在する場合には、該撮影位置で試料が配置されていないマイクロアレイチップを撮影する撮影手順と、
前記撮影手順によって撮影されたマイクロアレイチップの撮影画像である背景画像と、該背景画像内におけるウェルの配置パターンの種類であるパターン種別とを対応付けて背景画像記憶部に記憶させる背景画像記憶手順と、
前記背景画像記憶部から、試料が配置されているマイクロアレイチップの撮影画像である試料画像のパターン種別に対応付けて記憶されている背景画像を取得し、取得した背景画像を用いて、前記試料画像に含まれるノイズを除去する除去手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする撮影プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25−1】
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【図25−2】
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【図25−3】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−197251(P2010−197251A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43163(P2009−43163)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】