撮影装置及び光干渉撮影システム、プログラム及び撮影装置の調整方法
【課題】 OCT撮影装置において、測定光と参照光の合成光をセンサに対して適切に位置合わせを行うことを可能とする。
【解決手段】 入射した光を波長毎に分光する回折格子141と、分光された光を受光して電気信号に変換するラインセンサ139と、ラインセンサ139の受光面と前記光との相対位置を調整する電動ステージ210と、調整に応じてセンサが受光する光のスペクトルを表示させる表示制御部125とを備える。
【解決手段】 入射した光を波長毎に分光する回折格子141と、分光された光を受光して電気信号に変換するラインセンサ139と、ラインセンサ139の受光面と前記光との相対位置を調整する電動ステージ210と、調整に応じてセンサが受光する光のスペクトルを表示させる表示制御部125とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内部の部材の調整が可能な撮影装置、光干渉断層撮影システム、プログラム及び撮影装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,低コヒーレンス干渉計または白色干渉計の技術を応用した光干渉断層計による撮影装置が実用化されている。オプティカルコヒーレンストモグラフィー(以下OCT:Optical Coherence Tomography)とも呼ばれるこの方法・装置は,医療分野,特に眼科領域において眼底網膜の断層像を得る目的で用いられている。これによれば、光源からの光を分割して測定光および参照光を作り出し、測定光は撮影対象に照射される。被検眼に照射された測定光の戻り光と参照光はビームスプリッタで合成されて干渉光となって回折格子に入射し分光され、センサで電気信号に変換される。この干渉光の信号に基づいて撮影対象の断層画像を得ることができる。
【0003】
このOCT撮影装置において前述した干渉光の光束、回折格子及びセンサの位置関係は断層像の画質に大きく影響するため精密に位置合わせがされている必要がある。この調整の技術として、特許文献1においては圧電素子によりミラーおよび回折格子を移動することでラインセンサに対する干渉光の位置合わせを行う技術が開示されている。また特許文献2においては、センサに対する光の照射状態に基づいて回折格子に対するファイバ端の位置を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−523564号公報
【特許文献2】特開2008−203246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる特許文献のいずれにも調整のよしあしをユーザが確認することは考慮されていない。調整の具合は画質のよしあしとして画像に現れるものの、その他の要因によっても画質は変わり、形成された断層画像におけるノイズや明るさの情報からでは、調整が適切になされているか否かを正確に確認することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、入射した光を波長毎に分光する分光手段と、前記分光された光を受光して電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像部の受光面と前記光との相対位置を調整する調整手段と、前記調整に応じて前記撮像手段が受光する光のスペクトルを表示させる表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
OCT撮影装置においてを形成するための元信号となるスペクトルを各々表示し、撮像部の受光面と入射する光の相対位置を調整可能とすることで、撮像手段の受光面と撮像手段に到達する光束の位置合わせが適切になされているかを正確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明によるOCT撮影装置の構成図である。
【図2】OCT撮影装置により得られる眼底画像及び断層画像を示す図である。
【図3】ラインセンサ139の受光状態を示す表示例を示す図である。
【図4】ラインセンサとスペクトルの位置関係を示す図である。
【図5】調整用の表示画面例を示す図である。
【図6】その他の調整用の表示画面例を示す図である。
【図7】その他の調整用の表示画面例を示す図である。
【図8】分光器を調整する処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】分光器の自動調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ラインセンサの受光状態と表示画面に表示されるスペクトルを示す図である。
【図11】その他のラインセンサの受光状態と表示画面に表示されるスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に適宜図面を参照しながら本発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明によるOCT撮影装置(以下OCT装置と称する)の基本構成を表すブロック図である。OCT装置100は、図1に示されるように全体としてマイケルソン干渉計を構成しており、スペクトラルドメイン方式のOCT(以下SD−OCTと称する)または光干渉断層撮影装置である。
【0011】
光源101から出射した低コヒーレンス光である出射光104はシングルモードファイバ110に導かれて光カプラ156に入射し、光カプラ156にて第1の光路と第2の光路と第3の光路の3つの光路を通る出射光104−1〜3に分割される。更に、この3つの出射光104−1〜3のそれぞれは、光路を形成する光ファイバを通り、偏光コントローラ153−1を通過し、干渉光生成部である光カプラ131−1〜3にて参照光105−1〜3と測定光106−1〜3とに分割される。このように分割された3つの測定光106−1〜3は、撮影対象である被検眼107における網膜127のそれぞれの測定個所によって反射あるいは散乱された戻り光108−1〜3となって戻される。そして、干渉光生成部である光カプラ131−1〜3によって、参照光路を経由してきた参照光105−1〜3と合波され合成光142−1〜3となる。この合成光142−1〜3は、測定光と参照光の光路長の違いに応じて干渉し、干渉光となる。合成光142−1〜3は、偏光コントローラ153−3を通過し、光ファイバ端から出射する。出射した光は分光部である透過型回折格子141によって波長毎に分光され、レンズ143を介して撮像部であるラインセンサ139に入射され、その光をラインセンサ139が受光する。撮像部であるラインセンサ139はセンサ素子毎に各波長の光を受光して光強度を電気信号に変換し、その信号を用いて、不図示の画像形成部にて被検眼107の断層画像が構成される。なお、ここで光強度は、単位時間あたりにセンサに入射する光量である。
【0012】
撮像部であるラインセンサ139は調整部である電動ステージ210により合成光142−1〜3が受光する受光面と、合成光の光束との相対位置関係を調整できる。ここで光束とは光線の束を意味する。また、受光面と光束との相対位置とは、受光面と光束の幾何学的な位置関係を意味し、ラインセンサ139に向かう光束の受光面に対する入射角と、入射位置または範囲を意味する。この調整は、電動ステージ210がラインセンサ139を並進または回転させることにより実現する。この電動ステージ210は制御部として機能するコンピュータ125によって制御される。本実施例においては、電動ステージ210はコンピュータ125の不図示の操作部において入力された調整の指示に応じて、コンピュータ125が電動ステージ210の制御命令を発行し、これに応じて電動ステージ210はセンサの位置を変更することとなる。撮像部やその他の光学部材が振動や熱等によって相対位置関係がずれていると、回折格子141を介して撮像部が受光する光の光束とラインセンサとの位置がずれてしまう。すると、ラインセンサ139の一部の画素で本来受光すべき光量を受光できない。これにより、ラインセンサ139により得られる信号強度が下がってしまうため、得られる画像の画質が劣化する等の問題が生じる。そこで、ラインセンサ139とラインセンサ139が受光する光の光束との位置関係を調整して、適切に受光できるようにする必要がある。これにより、ラインセンサ139が受光する参照光または合成光の受光状態を変更することができる。そして、このような調整に応じて、不図示の表示部に表示される受光状態の表示がコンピュータ125の表示制御により切り替わることとなる。受光状態の表示例については後述する。
【0013】
次に、参照光105の参照光路について説明する。光カプラ131−1〜3によって分割された3つの参照光105−1〜3のそれぞれは、偏光コントローラ153−2を通過し、レンズ135−1にて略平行光となって、出射される。次に、参照光105−1〜3は分散補償用ガラス115を通過し、レンズ135−2にて、参照物体の例であるミラー114−1〜3に集光される。次に、参照光105−1〜3は参照物体の例であるミラー114−1〜3にて方向を変え、再び光カプラ131−1〜3に向かう。そして、参照光105−1〜3は光カプラ131−1〜3を通過し、ラインセンサ139に導かれる。なお、分散補償用ガラス115は被検眼107および走査光学系を測定光106が往復した時の分散を、参照光105に対して補償するものである。
【0014】
更に、117−1〜3は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することで、参照光105の光路長を変更することができる。この電動ステージ117−1〜3はコンピュータ125により制御され、参照光105−1〜3の光路長を各々独立に、あるいは同時に変更することが可能である。
【0015】
次に、測定光106の測定光路について説明する。光カプラ131−1〜3によって分割された測定光106−1〜3のそれぞれは、偏光コントローラ153−4を通過し、レンズ120−3にて、略平行光となって出射され、走査光学系を構成するXYスキャナ119のミラーに入射される。ここでは、簡単のため、XYスキャナ119は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜127上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光106−1〜3のそれぞれの中心はXYスキャナ119のミラーの回転中心と略一致するようにレンズ120−1、3等が調整されている。レンズ120−1、120−2は測定光106−1〜3が網膜127を走査するための光学系であり、測定光106を角膜126の付近を支点として、網膜127をスキャンする役割がある。測定光106−1〜3はそれぞれ網膜上の任意の位置に結像するように構成されている。
【0016】
また、117−4は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、付随するレンズ120−2の位置を、調整・制御することができる。レンズ120−2の位置を調整することで、被検眼107の網膜127の所望の層に測定光106−1〜3のそれぞれを集光し、観察することができる。測定光106−1〜3は被検眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108−1〜3となり、光カプラ131−1〜3を通過し、ラインセンサ139に導かれる。なお、電動ステージ117−4はコンピュータ125により制御される。以上の構成により3つの測定光を同時にスキャンすることができる。
【0017】
次に、検出系の構成について説明する。網膜127にて反射や散乱された戻り光108−1〜3と参照光105−1〜3とは光カプラ131−1〜3により合波される。そして、合波された合成光142−1〜3は分光器に入射し、スペクトルが得られる。これらのスペクトルに対し、コンピュータ125が断層像の再構成処理を行うことで断層像を得ることができる。
【0018】
再構成処理は一般的なOCT像の生成工程によればよく、固定ノイズ除去、波長波数変換、フーリエ変換を行うことで断層像を生成することができる。図2は上述したOCT装置により撮影される眼底網膜上の領域と断層像の例を図示したものであり、眼底501には、黄斑502、視神経乳頭503および血管504などがある。3本の測定光106−1〜3は、それぞれに対応して第1の走査範囲505、第2の走査範囲506、第3の走査範囲507を走査する。それぞれの領域は、第1の走査範囲−第2の走査範囲間の重なり508、第2の走査範囲−第3の走査範囲間の重なり509のように20%程度重なっている。座標軸は図に示したように設定され、x方向の走査をFast−Scan、y方向をSlow−Scanと呼び、z方向は、紙面の裏から表に向かっているとする。
【0019】
ここでは、一本の測定光あたりx方向には例えば1024ライン、y方向には例えば1024ライン走査するものとする。ただしy方向は重なり部分を除けば3本の測定光で512ラインを走査しており、最終的には図2(a)に示す一点鎖線の矩形領域が眼底上での撮影範囲となり、この領域において断層像が取得されることになる。
【0020】
一方近赤外光源180から照射された近赤外光190はハーフミラー200、照明光学系150、測定光路内に挿入されたダイクロイックミラー220を介して眼底127に照射される。眼底で反射した近赤外光は再び同一の光路を戻り、ハーフミラー200、結像光学計160を介して二次元のエリアセンサ170上で結像する。このようにして撮像された眼底の二次元画像はコンピュータ125に入力される。この二次元画像はOCT撮影の領域を観察するために用いられる。
【0021】
なお、測定光路における230はシャッタであり、コンピュータ125の制御による不図示の駆動装置により、測定光106−1〜3の眼底127に対する入射を開放または遮断することができるようになっている。
【0022】
以下、表示画面とラインセンサの受光状態の関係を図3及び図4を用いて説明する。図3はラインセンサ139上に投影された各参照光のスペクトルの表示例を示す図である。図示するように、センサ上には3つのスペクトル144−1〜3が投影されており、ラインセンサ139から読み出された信号は、SR1〜3に示す領域毎に再構成処理されて断層像が生成される。そして、この断層像を元に表示制御部であるコンピュータ125により表示用の画像データが生成され、不図示の表示部に表示されることとなる。また、図4はラインセンサ139が受光する光の光束とラインセンサ139の受光面との位置関係を示す図である。図4では、ラインセンサ139の受光面が示されており、受光面に対して紙面の表から裏へと向かう方向に入射する光のスペクトルが斜線で示されている。
【0023】
図3(a)は表示の一例であり、ラインセンサ139が受光面で受光する光量に応じた電気信号の値をそのまま表示した例である。なお、図3(a)において横軸はラインセンサの位置であると同時に波長に対応し、縦軸は波長毎の信号強度に対応している。なお、横軸に周波数を取って周波数ごとの強度を表示してもよい。
【0024】
この図3(a)に示す状態に対応する受光状態が図4(a)に示される。図4(a)では、各測定光に対応するスペクトル144−1乃至144−3がラインセンサ139の受光面に対して適切に入射されている。そのため、図3(a)に示されるスペクトルのピークは大きく、スペクトル間のばらつきも少ない。このように、スペクトルの形状を表示させることで、ラインセンサの受光状態をユーザに視覚的に分かり易く提示することができる。
【0025】
図3(b)はその他の表示例であり、ラインセンサ139と参照光の光束との位置関係がずれている場合の表示である。図3(b)においてはスペクトル144−1及びスペクトル144−2がスペクトル144−3に対して小さくなっている。これはラインセンサ139の領域SR1及びSR2に該当する部分で受光する光が弱くなっているために起こる現象である。このような場合、参照光の光束とラインセンサ139の受光面が相対的に回転してしまっていると考えられる。あるいは、スペクトル144−1及びスペクトル144−2に対応する参照光を導光する光学部品がずれてしまっているとも考えられる。
【0026】
この図3(b)に示す状態に対応する受光状態が図4(b)に示される。図4(b)では、各測定光の光束に対してラインセンサ139が傾いてしまっている。そして、特にスペクトル144−1が適切にラインセンサ139に入射していない。これに対応して、図3(b)ではスペクトル144−1のピークが小さくなっている。このように、ラインセンサ139と光の位置がずれている場合には、スペクトルの形状が変わり、ラインセンサ139の受光状態を視覚的にユーザに提示することが出来る。
【0027】
上述の図3(a)及び図3(b)の表示に対して述べた効果は、特にマルチビーム型のOCT装置に限らず、シングルビーム型のOCT装置に対しても同様の効果を有するものである。なお、マルチビーム型の装置の場合には、表示されるスペクトルが複数になるため、各スペクトルの形状同士を比較できるように表示することにより、受光状態を分かりやすく表示し、ラインセンサと光の相対位置のずれをユーザに提示することが出来る。シングルビーム型のOCT装置では、一つのスペクトルの形状により受光状態を判定することとなるが、これに比べ、マルチビーム型では複数形状の比較が可能であるためより本発明に係る表示による効果が期待できる。加えて、マルチビーム複数の測定光を用いたOCT撮影装置においては、各測定光による測定領域毎に画質が異なることがないよう、各々の合成光をラインセンサに対して適切に位置合わせする必要がある。そのため、図3に例示される表示により各測定光に対応するスペクトルを調整する必要性は、シングルビームに比較して高く、この点からも図3に例示される表示の意義が大きい。
【0028】
図3(c)はその他の表示例を示す図であり、図3(a)と比較して、各スペクトルの大きさが小さい。これは、ラインセンサ139と参照光の光束とが相対的に回転はしていないものの、相対的に並行移動してしまっており、ラインセンサ139の各部位が受光する光が全体的に弱くなってしまっていると考えられる。
【0029】
この図3(c)に示す状態に対応する受光状態が図4(c)に示される。図4(c)では、光速に対してラインセンサ139が長手方向と直交する方向にずれており、そのため各スペクトルの受光状態が一様に悪化している事が分かる。
【0030】
図3(d)はその他の表示例であり、各スペクトル144−1乃至144−3に対応させて、各スペクトルのピークの大きさを数値として表示させる例である。ピークの大きさは各参照光の光量または光強度を示す特徴量として用いられている。このように、ピークの大きさを数値として表示することで、スペクトルの形状だけでなく、ピークの数値としても調整すべき量をユーザに提示することができるというメリットがある。図3(c)のように一様にスペクトルが小さくなっている場合には、スペクトルの形状を見ただけでは受光状態に問題があるか否かが不明確な場合があるが、数値を表示することで、このような場合にも受光状態の異常をユーザに分かり易く提示することができる。
【0031】
〔変形例〕上述の実施例では、ラインセンサによる光の受光状態の表示として光のスペクトルを表示する例を示したが、これに限らず、スペクトルのピーク値や面積を表示することとしてもよい。また、各測定光に対応する参照光または干渉光を受光するラインセンサの領域SR1乃至SR3の夫々に閾値以上の光が当たっているか否かを示す表示を行ってもよい。
【0032】
また上述の実施例では、複数の測定光を有するマルチビーム型の光干渉断層撮影装置として一つの光源から出射された光を光カプラで分割する例を示したが、これに限らず複数の光源を有していてもよい。この場合には、光強度の高い単一光源を用いずに、光強度が相対的に小さい複数の光源を利用することができる。また、ラインセンサを測定光毎に独立に設けてもよい。この場合には、各ラインセンサを独立に調整する必要が生じるが、センサが受光する光の光束とセンサの位置関係をより精密に調整することができる。
【0033】
更に、上述の実施例ではラインセンサの位置を調整する例を示したが、これに限らず、ラインセンサが受光する光の光束とラインセンサの位置関係を調整できればよい。例えば、光ファイバのファイバ端の位置やファイバ端から出射する光の向きを調整しても、ファイバ端と分光部の間にあるレンズの位置を調整しても、回折格子の位置を調整しても、回折格子とラインセンサの間にあるレンズの位置を調整してもよい。予めラインセンサを精密に位置決めできる場合には、光学部材の位置を調整することで、受光状態の調整が可能になる
【実施例2】
【0034】
本実施例では、実施例1の表示例で示したスペクトルの表示とともにAスキャン画像またはAスキャンのプロファイルやBスキャン画像などを表示させる。また、表示画面上のアイコンを走査することにより調整及びその確認が可能な表示画面を提供する。表示画面に用いるスペクトル情報やAスキャン画像、Bスキャン画像はコンピュータ125がラインセンサ139の出力を取得し、作成する。アイコンの画像や表示の配置などの設定情報は予めコンピュータ125に格納されている。取得した情報や設定情報に基づいて表示画面の画像データを生成し、表示制御する処理はコンピュータ125が実行する。また、表示画面においては、ユーザがコンピュータ125に接続された不図示のマウスやキーボードを用いてボタンやその他アイコンをクリックすることが可能である。この操作情報はコンピュータ125が取得して、操作情報に応じて電動ステージ210の制御を実行する。新たに取得されたラインセンサ139からの出力に基づいてコンピュータ125が新たな表示画面の画像データを生成し、表示部に表示させる表示制御を行う。これにより表示画面が切り替わることとなる。
【0035】
図5は調整用の表示画面の一例である。スペクトル表示領域600には先述の実施例における図3に例示したような3つのスペクトルが表示される。スペクトルの表示はコンピュータ125がラインセンサ139の出力を連続的に処理し、表示制御することで表示が逐次更新される。
【0036】
また、603−1〜3は断層信号表示領域であり、3つのスペクトル144−1〜3を再構成処理して得られた信号が表示される。なお本実施形態においてはAスキャン画像またはAスキャンラインのプロファイルと呼ぶこととする。一方断層像表示領域605はXスキャン用ミラーを駆動することにより得られた複数のAスキャンを周知の補間処理により二次元画像として表示する領域である。以降の説明ではこの複数のAスキャンから構成される断層像をBスキャン画像と呼ぶ。図5に示す表示例では参照光が表示された状態であるため、断層信号表示領域603−1乃至603−3と、断層像表示領域605にはAスキャン画像またはBスキャン画像は表示されない。
【0037】
領域選択ボタン606−1〜3は3つの測定光による断層像のいずれを表示するか選択するためのアイコンである。領域Aと表示されたスイッチを装置のオペレータが押下することで図2(a)に示すA−A’の断面に対応する断層画像が断層像表示領域605に表示される。領域Bの表示を押下することでB−B’の断面が、領域Cの表示を押下することでC−C’の断面が表示されることとなる。本実施例においてはスペクトル表示されているのは参照光であるため、スペクトル表示領域600または断層信号表示領域603−1乃至603−3の表示が変更されることはない。
【0038】
次に図のスライダ604−1およびスライダ604−2は電動ステージ210を駆動することによりラインセンサ139のスペクトルに対する位置を調整するためのスライダである。これをオペレータが操作することによって各々センサのスペクトルに対する高さおよび回転を調整することができるようになっている。なお、ここでいう高さとは、ラインセンサの長手方向と直交する方向の変位または移動量のことであり、回転とは、ラインセンサ139の長手方向に対する中心点を通り、受光面を含む平面と直交する軸を中心とした回転を指す。なお、回転の中心はラインセンサ139の長手方向に対する中点に限られない。また、受光面を含む平面外にも並進または回転移動ができるようにしてもよい。例えば、モータと送りねじを用いて3軸方向に移動可能としてもよい。このスライダの操作に応じて、スペクトル表示領域600の表示が切り替わることとなるため、ユーザは画面上の操作によりラインセンサの位置を調整できるとともに、その調整の結果を表示画面で確認することができる。
【0039】
また光源ボタン607−1および607−2は光源101の電源をON又はOFFするものであり、これにより光源101からの低コヒーレンス光の出射が止まり、スペクトル表示領域600にはスペクトルが表示されなくなる。シャッタボタン608−1および608−2はこれをオペレータが操作することで、シャッタ230を駆動して測定光106−1〜3の光路を遮断又は解放することができる。シャッタ230により光路を開放すると、被検眼が対物レンズの先に配置されている場合には網膜の断層情報を含む干渉光が得られ、干渉光のスペクトルがスペクトル表示領域600に表示されることとなる。
【0040】
上述の表示例では、シャッタ230を動作させ測定光を遮断した状態で、参照光のみを用いて分光器の調整を行ったが、これは本発明においては必須ではなく模型眼等の安定した標準的な被写体を用いて調整を行うようにしてもよい。この場合はシャッタボタン608−1がオペレータにより押下され、シャッタ230が開放された状態で調整が行われる。本実施例において、被写体として多層膜を形成した模型眼がOCT撮影装置にセットされ、シャッタボタン608−1によりシャッタを開放した際の調整用画面は図6に例示されるようなものとなる。すなわち、断層像表示領域605には模型眼の断層像が、断層信号表示領域603−1〜3には各々のスペクトルから生成された断層信号(Aスキャンプロファイル)が表示されている。
【0041】
このような表示により、例えば各測定光の受光状態とAスキャンプロファイルの両方を参照することにより、あるAスキャンプロファイルについて信号成分の大小を確認し、それに基づいて調整の要否をユーザが判定できるよう、情報を提示することができる。
【0042】
また、Aスキャンプロファイルと共にBスキャン画像も参照することにより、例えばBスキャン画像においてノイズが多くなっている領域等において、干渉光のスペクトルに異常がないかどうかを確認し、原因を特定するための情報を提示することができる。なお、Aスキャン画像及びBスキャン画像が表示された状態で、シャッタボタン608−2を押下して光路を遮蔽することにより、参照光を表示させることも可能である。
【0043】
断層像表示領域605の表示はその上部に設けられた領域選択ボタン606−1〜3によって切り替えることができる。図6は中央の領域Aが選択されている状態を示しており、領域Aの測定光によるBスキャン像が断層像表示領域605に表示されている。選択される領域を切り替えると、選択された位置のBスキャン画像が断層像表示領域605に表示される。これと共に、選択された領域に対応する干渉光のスペクトルがスペクトル表示領域600に表示され、Aスキャンプロファイルが断層信号表示領域603−1乃至603−3に表示されることとなる。このようにして、領域選択ボタン606−1乃至606−3の選択に応じて表示が切り替わることとなる。なお、領域の選択に応じて、撮影対象のどの位置に照射された測定光に基づく干渉光を表示させるかは予め決まっているものとする。例えば、各測定光について中央の位置の干渉光を用いても、端部の干渉光を用いてもよい。また、複数のAスキャン位置に対応する干渉光のスペクトルの平均を取って表示してもよい。
【0044】
このように、領域の選択に応じてスペクトル及びAスキャン画像及びBスキャン画像の表示が切り替わることにより、領域毎に画像における信号の強度を確認することができる。
【実施例3】
【0045】
本実施例に係る光干渉撮影装置では、ユーザが手動で分光器の調整をするモードに加えて、自動的に分光器の調整を実行するモードを実行することができる。コンピュータ125により表示制御される表示画面の例を図7に示す。この表示画面では、自動調整の実行を指示するボタン602をアイコンとして表示させ、ユーザが不図示の操作部により画面上のボタンを押下することにより、自動調整が実行されることとなる。
【0046】
次に上述したOCT撮影装置において、被検眼の撮影に先立って行われる分光器の調整方法について、図8を参照しながら説明する。なお以下に説明する処理は図1に示すコンピュータ125上で実行される制御プログラムが各部の動作を制御することによって実現する。
【0047】
〔ステップS100〕コンピュータ125はモニタ130上に分光器の調整用画面を表示する。表示画面については先述の実施例2と同様のため説明を省略するが、自動調整ボタン602が配置される点が異なっている。
【0048】
〔ステップS200〕コンピュータ125はオペレータにより自動調整ボタン602が押下されたかどうかを検出し、押下されていない場合はステップS300の手動モードに、押下されていた場合はステップS400の自動モードに処理を移行する。
【0049】
〔ステップS300〕コンピュータ125は図7に示した各操作ボタンの押下を監視し、オペレータの操作により調整を行う手動モードに移行する。手動モードではオペレータの操作により手動でラインセンサ139の位置が調整されるモードである。このモードでは、ラインセンサ139の高さをスライダ604−1で、回転をスライダ604−2で調整しながらスペクトル表示領域600に表示される各スペクトルの高さが揃い若しくは所定範囲の差に収まり、かつできるだけ高くなるように調整する。
【0050】
まず本実施例においては、シャッタ230が測定光106−1〜3を遮断した状態で調整が行われるものとする。すなわち、シャッタボタン608−2がオペレータにより押下され、シャッタ230は測定光を遮断し、ラインセンサ139に対しては参照光105−1〜3のみのスペクトルが入射するものとする。したがって検出された信号を再構成処理しても断層像を生成することはできないが、被写体に依存する干渉成分自体は各スペクトルのバランスを見るためには不要な信号であるため、好適である。
【0051】
また本実施例では上述したように測定光を遮断しているため、断層信号表示領域603−1〜3および断層像表示領域605には何の表示もされない。次に手動モードによるラインセンサの位置調整について具体的に説明する。
【0052】
例えば、調整開始直後にスペクトル表示領域600に表示されるスペクトルの形状が図3(b)に示すような状態であった場合、オペレータがスライダ604−2を操作するとコンピュータ125は電動ステージ210を駆動してラインセンサ139を回転する。更にスライダ604−1を操作することで、オペレータはスペクトル表示領域600に表示されるスペクトル144−1〜3の形状を見ながら、それらの高さが揃い、かつ最も高くなるようにラインセンサ139の位置を調整する。
【0053】
ラインセンサとスペクトルの位置関係が図4(c)に示すような場合、ラインセンサで検出されるスペクトルは図3(c)の状態に対応している。ここでスライダ604−2が操作されると、コンピュータ125はラインセンサ139を回転駆動し、図4(b)の状態となる。次にスライダ604−1が操作されるとコンピュータ125はラインセンサ139を並行に移動させ、最終的に図4(a)の状態となる。これでラインセンサが各スペクトルに対して適切に位置合わせがされた状態となる。
【0054】
また上述したようにオペレータがラインセンサの位置合わせを行う際に、コンピュータ125が逐次入力する各スペクトルの面積あるいはピーク値を各々計算し、計算された数値はスペクトル表示領域600内のスペクトルの近傍に表示してもよい。このようにすると、各スペクトルの高さおよびバランスを確認しやすくなるため好ましい。
【0055】
図3(d)は表示の形態の一例であり、各スペクトルに対してコンピュータ125が計算したピーク値を矢印と共に表示している。この例においてはスペクトルのピーク値を表示しているが、もちろん面積等の他の数値であってもよいし、表示の位置も図7に示す表示画面上のどこであってもよい。
【0056】
〔ステップS400〕ステップS200において自動調整ボタン602がオペレータにより押下されると、コンピュータ125は自動モードに移行する。本モードではステップS300において説明した調整が自動的に行われる。
【0057】
以下に図9を用いて後述するに示すフローチャートに沿って自動モードの処理の流れを説明する。
【0058】
〔ステップS410〕コンピュータ125は光源101の電源をONにし、更にシャッタ230を動作させて測定光106−1〜3を遮断する。これにより、ラインセンサ139には参照光105−1〜3のスペクトルのみが入射することとなる。
【0059】
〔ステップS420〕コンピュータ125はラインセンサ139の位置を3つのスペクトルいずれも入射しない状態に移動する。図10(a)はこの時のラインセンサとスペクトルの位置関係およびラインセンサで検出されるスペクトルの強度を表しており、このステップにおいてスペクトルは全く検出されていない。また、この時ラインセンサ139は予め所定の角度回転させておけば、後続するステップにおいて回転方向の調整は基本的に一方向を基準として行えばよいので好ましい。この角度は予めラインセンサとスペクトルの間において、装置の組み立て誤差等により発生し得る相対的なずれ量を見積もり、そこから求められる角度を十分越える値とすればよい。
【0060】
〔ステップS430〕コンピュータ125はラインセンサ139を図10(a)において上向きの矢印で示す方向に平行移動しながら逐次ラインセンサ139からのスペクトルの検出結果を入力する。ここでは中央のスペクトル144−2の高さを監視するようにし、それが最大となる位置で移動を停止する。この時の状態を図10(b)に示す。
【0061】
〔ステップS440〕コンピュータ125はラインセンサ139で検出したスペクトルの高さの差が許容範囲かどうかをチェックし、許容範囲であればステップS460に、そうでなければステップS450に処理を進める。この許容範囲はスペクトル間の差により生ずる画質の差に基づいて決めればよい。すなわち、スペクトルの高さは被写体の構造を抽出する感度に影響し、スペクトルの高さが低いと全体的に感度は下がるため、再構成して得られる断層像は暗くなる。したがって図2(a)に示す各走査範囲505〜507の間でどの程度の差を許容するかを主観評価等によって決定すれば、スペクトルの高さに関してその許容範囲を決めることができる。
【0062】
〔ステップS450〕コンピュータ125は図10(b)において矢印で示す向きにラインセンサ139を回転しながら逐次ラインセンサ139からのスペクトルの検出結果を入力する。本ステップにおいては3つのスペクトル144−1〜3の高さを全て監視し、3つの高さがほぼ同じとなる角度において回転を停止する。この時の状態をこの時の状態を図10(c)に示す。
【0063】
〔ステップS460〕コンピュータ125は3つのスペクトルの高さおよびそれらの差が規定範囲であるかどうかをチェックし、規定範囲内であれば調整を終了し、そうでない場合は再びステップSS430に処理を移す。ここで処理がステップS430に移った場合は図10(c)に示すようにラインセンサ139が移動され、再び同様の処理が繰り返されることとなる。
【0064】
ここでスペクトルの高さに関する規定範囲は、ステップS440で説明したように各走査範囲における画質とその差に基づいて決めておけばよい。
【0065】
以上説明したように、本発明によれば複数の測定光を有する断層像撮影装置の分光器調整において、センサと合成光の位置を適切に調整することが可能となる。なお、本実施形態ではラインセンサ139で検出されるスペクトルの特性を表す指標としてその高さを用いたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えばスペクトルの面積を用いるようにしてもよい。
【0066】
〔変形例〕参照光による調整だけでなく、干渉信号を含めたスペクトルを用いて分光器の調整を行うこととしてもよい。処理の流れについては基本的に実施例1と同様である。ただし、ラインセンサ139により検出されるスペクトルには干渉信号が含まれているため、ステップS440、ステップS460においてスペクトルの高さを評価する際、干渉信号を含めた高さで調整を行う。
【0067】
またはステップS410において初期設定を行う際、まずシャッタ230を閉じた状態で3つのスペクトル144−1〜3を取得してコンピュータ125内部のメモリに記憶する。次にシャッタ230を解放した状態で取得したスペクトルから減算して、干渉信号のみを求め、この信号の振幅を指標とするようにしてもよい。
【0068】
このようにすることにより、標準的な被写体に対しては同じレベルの画質を保つように分光器を調整することが可能となる。
【実施例4】
【0069】
以上説明した実施例においては、ラインセンサ139は検出素子が1列のみから構成されているが、二次元センサまたは複数の列を有するラインセンサであっても本発明は適用することができる。図11はこのようなセンサを用いた場合のスペクトルを例示したものである。ラインセンサ139には139−1および139−2の2列の検出素子が整列しており、これらが各々コンピュータ125に入力される。
【0070】
この時、検出されるスペクトルはそれぞれに対して2つ存在し、検出素子列139−1によるスペクトルが破線で、139−2によるものが実線で示されている。このような場合、ラインセンサ139の位置を調整する上では、これら2つのスペクトルの値が同じまたは所定範囲の差に収まるように調整する。したがって、前述した実施例においてこれら2種類のスペクトルを、図11において例示するようにスペクトル表示領域600に識別可能に表示する。これと共に、これらの高さ、面積等の指標がともに一定の値以上であり、かつ相互のばらつきが所定範囲内になるように調整が行われる。
【0071】
〔その他の実施例〕上述の実施例においては、光干渉断層撮影システムまたは画像処理装置内の各機能ブロックに対応する回路が本発明を実現する実施例を説明したが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、画像処理装置内で行われている処理を複数の装置で分散させシステムとして実現しても、一つの機能ブロックとしてまとめられている処理を複数の回路または装置で分散させて実現してもよい。なお、光干渉断層撮影装置に上述の実施例における画像処理装置及び表示装置の機能を組み込んで光干渉断層撮影装置により本発明を実現することとしてもよい。
【0072】
また本発明は、前述の実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体をシステムや装置に供給し、そのシステムや装置の演算装置が記録媒体に格納されたプログラムコードをCPUが実行することによって実現される。またコンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、コンピュータ上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。このCPUはコンピュータ内に複数含まれていてもよく、この場合複数のCPUで分散させて本発明を実現することとしてもよい。
【0073】
またこの場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムまたはプログラムコードを記録した記録媒体が本発明を構成することになる。
【0074】
更に記録媒体から読み出したプログラムコードが、コンピュータ付属の機能拡張カードや機能拡張ユニット内のメモリに書き込まれ、前記拡張カードや拡張ユニット内の演算装置が実際の処理の一部か全部を行い、前述の実施例の機能が実現される場合も含む。この場合、本発明はハードウェアにより実装された回路とソフトウェア及びハードウェアの協働により実現される機能とにより実現される。
【0075】
なお、上述した本実施の形態における記述は、本発明に係る好適な眼底断層像撮影装置の制御装置の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
100 OCT撮影装置
125 コンピュータ
139 ラインセンサ
141 回折格子
210 電動ステージ
600 スペクトル表示領域
602 自動調整ボタン
604−1 ラインセンサ高さ調整スライダ
604−2 ラインセンサ回転調整スライダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内部の部材の調整が可能な撮影装置、光干渉断層撮影システム、プログラム及び撮影装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,低コヒーレンス干渉計または白色干渉計の技術を応用した光干渉断層計による撮影装置が実用化されている。オプティカルコヒーレンストモグラフィー(以下OCT:Optical Coherence Tomography)とも呼ばれるこの方法・装置は,医療分野,特に眼科領域において眼底網膜の断層像を得る目的で用いられている。これによれば、光源からの光を分割して測定光および参照光を作り出し、測定光は撮影対象に照射される。被検眼に照射された測定光の戻り光と参照光はビームスプリッタで合成されて干渉光となって回折格子に入射し分光され、センサで電気信号に変換される。この干渉光の信号に基づいて撮影対象の断層画像を得ることができる。
【0003】
このOCT撮影装置において前述した干渉光の光束、回折格子及びセンサの位置関係は断層像の画質に大きく影響するため精密に位置合わせがされている必要がある。この調整の技術として、特許文献1においては圧電素子によりミラーおよび回折格子を移動することでラインセンサに対する干渉光の位置合わせを行う技術が開示されている。また特許文献2においては、センサに対する光の照射状態に基づいて回折格子に対するファイバ端の位置を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−523564号公報
【特許文献2】特開2008−203246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる特許文献のいずれにも調整のよしあしをユーザが確認することは考慮されていない。調整の具合は画質のよしあしとして画像に現れるものの、その他の要因によっても画質は変わり、形成された断層画像におけるノイズや明るさの情報からでは、調整が適切になされているか否かを正確に確認することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、入射した光を波長毎に分光する分光手段と、前記分光された光を受光して電気信号に変換する撮像手段と、前記撮像部の受光面と前記光との相対位置を調整する調整手段と、前記調整に応じて前記撮像手段が受光する光のスペクトルを表示させる表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
OCT撮影装置においてを形成するための元信号となるスペクトルを各々表示し、撮像部の受光面と入射する光の相対位置を調整可能とすることで、撮像手段の受光面と撮像手段に到達する光束の位置合わせが適切になされているかを正確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明によるOCT撮影装置の構成図である。
【図2】OCT撮影装置により得られる眼底画像及び断層画像を示す図である。
【図3】ラインセンサ139の受光状態を示す表示例を示す図である。
【図4】ラインセンサとスペクトルの位置関係を示す図である。
【図5】調整用の表示画面例を示す図である。
【図6】その他の調整用の表示画面例を示す図である。
【図7】その他の調整用の表示画面例を示す図である。
【図8】分光器を調整する処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】分光器の自動調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ラインセンサの受光状態と表示画面に表示されるスペクトルを示す図である。
【図11】その他のラインセンサの受光状態と表示画面に表示されるスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に適宜図面を参照しながら本発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明によるOCT撮影装置(以下OCT装置と称する)の基本構成を表すブロック図である。OCT装置100は、図1に示されるように全体としてマイケルソン干渉計を構成しており、スペクトラルドメイン方式のOCT(以下SD−OCTと称する)または光干渉断層撮影装置である。
【0011】
光源101から出射した低コヒーレンス光である出射光104はシングルモードファイバ110に導かれて光カプラ156に入射し、光カプラ156にて第1の光路と第2の光路と第3の光路の3つの光路を通る出射光104−1〜3に分割される。更に、この3つの出射光104−1〜3のそれぞれは、光路を形成する光ファイバを通り、偏光コントローラ153−1を通過し、干渉光生成部である光カプラ131−1〜3にて参照光105−1〜3と測定光106−1〜3とに分割される。このように分割された3つの測定光106−1〜3は、撮影対象である被検眼107における網膜127のそれぞれの測定個所によって反射あるいは散乱された戻り光108−1〜3となって戻される。そして、干渉光生成部である光カプラ131−1〜3によって、参照光路を経由してきた参照光105−1〜3と合波され合成光142−1〜3となる。この合成光142−1〜3は、測定光と参照光の光路長の違いに応じて干渉し、干渉光となる。合成光142−1〜3は、偏光コントローラ153−3を通過し、光ファイバ端から出射する。出射した光は分光部である透過型回折格子141によって波長毎に分光され、レンズ143を介して撮像部であるラインセンサ139に入射され、その光をラインセンサ139が受光する。撮像部であるラインセンサ139はセンサ素子毎に各波長の光を受光して光強度を電気信号に変換し、その信号を用いて、不図示の画像形成部にて被検眼107の断層画像が構成される。なお、ここで光強度は、単位時間あたりにセンサに入射する光量である。
【0012】
撮像部であるラインセンサ139は調整部である電動ステージ210により合成光142−1〜3が受光する受光面と、合成光の光束との相対位置関係を調整できる。ここで光束とは光線の束を意味する。また、受光面と光束との相対位置とは、受光面と光束の幾何学的な位置関係を意味し、ラインセンサ139に向かう光束の受光面に対する入射角と、入射位置または範囲を意味する。この調整は、電動ステージ210がラインセンサ139を並進または回転させることにより実現する。この電動ステージ210は制御部として機能するコンピュータ125によって制御される。本実施例においては、電動ステージ210はコンピュータ125の不図示の操作部において入力された調整の指示に応じて、コンピュータ125が電動ステージ210の制御命令を発行し、これに応じて電動ステージ210はセンサの位置を変更することとなる。撮像部やその他の光学部材が振動や熱等によって相対位置関係がずれていると、回折格子141を介して撮像部が受光する光の光束とラインセンサとの位置がずれてしまう。すると、ラインセンサ139の一部の画素で本来受光すべき光量を受光できない。これにより、ラインセンサ139により得られる信号強度が下がってしまうため、得られる画像の画質が劣化する等の問題が生じる。そこで、ラインセンサ139とラインセンサ139が受光する光の光束との位置関係を調整して、適切に受光できるようにする必要がある。これにより、ラインセンサ139が受光する参照光または合成光の受光状態を変更することができる。そして、このような調整に応じて、不図示の表示部に表示される受光状態の表示がコンピュータ125の表示制御により切り替わることとなる。受光状態の表示例については後述する。
【0013】
次に、参照光105の参照光路について説明する。光カプラ131−1〜3によって分割された3つの参照光105−1〜3のそれぞれは、偏光コントローラ153−2を通過し、レンズ135−1にて略平行光となって、出射される。次に、参照光105−1〜3は分散補償用ガラス115を通過し、レンズ135−2にて、参照物体の例であるミラー114−1〜3に集光される。次に、参照光105−1〜3は参照物体の例であるミラー114−1〜3にて方向を変え、再び光カプラ131−1〜3に向かう。そして、参照光105−1〜3は光カプラ131−1〜3を通過し、ラインセンサ139に導かれる。なお、分散補償用ガラス115は被検眼107および走査光学系を測定光106が往復した時の分散を、参照光105に対して補償するものである。
【0014】
更に、117−1〜3は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することで、参照光105の光路長を変更することができる。この電動ステージ117−1〜3はコンピュータ125により制御され、参照光105−1〜3の光路長を各々独立に、あるいは同時に変更することが可能である。
【0015】
次に、測定光106の測定光路について説明する。光カプラ131−1〜3によって分割された測定光106−1〜3のそれぞれは、偏光コントローラ153−4を通過し、レンズ120−3にて、略平行光となって出射され、走査光学系を構成するXYスキャナ119のミラーに入射される。ここでは、簡単のため、XYスキャナ119は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜127上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光106−1〜3のそれぞれの中心はXYスキャナ119のミラーの回転中心と略一致するようにレンズ120−1、3等が調整されている。レンズ120−1、120−2は測定光106−1〜3が網膜127を走査するための光学系であり、測定光106を角膜126の付近を支点として、網膜127をスキャンする役割がある。測定光106−1〜3はそれぞれ網膜上の任意の位置に結像するように構成されている。
【0016】
また、117−4は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、付随するレンズ120−2の位置を、調整・制御することができる。レンズ120−2の位置を調整することで、被検眼107の網膜127の所望の層に測定光106−1〜3のそれぞれを集光し、観察することができる。測定光106−1〜3は被検眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108−1〜3となり、光カプラ131−1〜3を通過し、ラインセンサ139に導かれる。なお、電動ステージ117−4はコンピュータ125により制御される。以上の構成により3つの測定光を同時にスキャンすることができる。
【0017】
次に、検出系の構成について説明する。網膜127にて反射や散乱された戻り光108−1〜3と参照光105−1〜3とは光カプラ131−1〜3により合波される。そして、合波された合成光142−1〜3は分光器に入射し、スペクトルが得られる。これらのスペクトルに対し、コンピュータ125が断層像の再構成処理を行うことで断層像を得ることができる。
【0018】
再構成処理は一般的なOCT像の生成工程によればよく、固定ノイズ除去、波長波数変換、フーリエ変換を行うことで断層像を生成することができる。図2は上述したOCT装置により撮影される眼底網膜上の領域と断層像の例を図示したものであり、眼底501には、黄斑502、視神経乳頭503および血管504などがある。3本の測定光106−1〜3は、それぞれに対応して第1の走査範囲505、第2の走査範囲506、第3の走査範囲507を走査する。それぞれの領域は、第1の走査範囲−第2の走査範囲間の重なり508、第2の走査範囲−第3の走査範囲間の重なり509のように20%程度重なっている。座標軸は図に示したように設定され、x方向の走査をFast−Scan、y方向をSlow−Scanと呼び、z方向は、紙面の裏から表に向かっているとする。
【0019】
ここでは、一本の測定光あたりx方向には例えば1024ライン、y方向には例えば1024ライン走査するものとする。ただしy方向は重なり部分を除けば3本の測定光で512ラインを走査しており、最終的には図2(a)に示す一点鎖線の矩形領域が眼底上での撮影範囲となり、この領域において断層像が取得されることになる。
【0020】
一方近赤外光源180から照射された近赤外光190はハーフミラー200、照明光学系150、測定光路内に挿入されたダイクロイックミラー220を介して眼底127に照射される。眼底で反射した近赤外光は再び同一の光路を戻り、ハーフミラー200、結像光学計160を介して二次元のエリアセンサ170上で結像する。このようにして撮像された眼底の二次元画像はコンピュータ125に入力される。この二次元画像はOCT撮影の領域を観察するために用いられる。
【0021】
なお、測定光路における230はシャッタであり、コンピュータ125の制御による不図示の駆動装置により、測定光106−1〜3の眼底127に対する入射を開放または遮断することができるようになっている。
【0022】
以下、表示画面とラインセンサの受光状態の関係を図3及び図4を用いて説明する。図3はラインセンサ139上に投影された各参照光のスペクトルの表示例を示す図である。図示するように、センサ上には3つのスペクトル144−1〜3が投影されており、ラインセンサ139から読み出された信号は、SR1〜3に示す領域毎に再構成処理されて断層像が生成される。そして、この断層像を元に表示制御部であるコンピュータ125により表示用の画像データが生成され、不図示の表示部に表示されることとなる。また、図4はラインセンサ139が受光する光の光束とラインセンサ139の受光面との位置関係を示す図である。図4では、ラインセンサ139の受光面が示されており、受光面に対して紙面の表から裏へと向かう方向に入射する光のスペクトルが斜線で示されている。
【0023】
図3(a)は表示の一例であり、ラインセンサ139が受光面で受光する光量に応じた電気信号の値をそのまま表示した例である。なお、図3(a)において横軸はラインセンサの位置であると同時に波長に対応し、縦軸は波長毎の信号強度に対応している。なお、横軸に周波数を取って周波数ごとの強度を表示してもよい。
【0024】
この図3(a)に示す状態に対応する受光状態が図4(a)に示される。図4(a)では、各測定光に対応するスペクトル144−1乃至144−3がラインセンサ139の受光面に対して適切に入射されている。そのため、図3(a)に示されるスペクトルのピークは大きく、スペクトル間のばらつきも少ない。このように、スペクトルの形状を表示させることで、ラインセンサの受光状態をユーザに視覚的に分かり易く提示することができる。
【0025】
図3(b)はその他の表示例であり、ラインセンサ139と参照光の光束との位置関係がずれている場合の表示である。図3(b)においてはスペクトル144−1及びスペクトル144−2がスペクトル144−3に対して小さくなっている。これはラインセンサ139の領域SR1及びSR2に該当する部分で受光する光が弱くなっているために起こる現象である。このような場合、参照光の光束とラインセンサ139の受光面が相対的に回転してしまっていると考えられる。あるいは、スペクトル144−1及びスペクトル144−2に対応する参照光を導光する光学部品がずれてしまっているとも考えられる。
【0026】
この図3(b)に示す状態に対応する受光状態が図4(b)に示される。図4(b)では、各測定光の光束に対してラインセンサ139が傾いてしまっている。そして、特にスペクトル144−1が適切にラインセンサ139に入射していない。これに対応して、図3(b)ではスペクトル144−1のピークが小さくなっている。このように、ラインセンサ139と光の位置がずれている場合には、スペクトルの形状が変わり、ラインセンサ139の受光状態を視覚的にユーザに提示することが出来る。
【0027】
上述の図3(a)及び図3(b)の表示に対して述べた効果は、特にマルチビーム型のOCT装置に限らず、シングルビーム型のOCT装置に対しても同様の効果を有するものである。なお、マルチビーム型の装置の場合には、表示されるスペクトルが複数になるため、各スペクトルの形状同士を比較できるように表示することにより、受光状態を分かりやすく表示し、ラインセンサと光の相対位置のずれをユーザに提示することが出来る。シングルビーム型のOCT装置では、一つのスペクトルの形状により受光状態を判定することとなるが、これに比べ、マルチビーム型では複数形状の比較が可能であるためより本発明に係る表示による効果が期待できる。加えて、マルチビーム複数の測定光を用いたOCT撮影装置においては、各測定光による測定領域毎に画質が異なることがないよう、各々の合成光をラインセンサに対して適切に位置合わせする必要がある。そのため、図3に例示される表示により各測定光に対応するスペクトルを調整する必要性は、シングルビームに比較して高く、この点からも図3に例示される表示の意義が大きい。
【0028】
図3(c)はその他の表示例を示す図であり、図3(a)と比較して、各スペクトルの大きさが小さい。これは、ラインセンサ139と参照光の光束とが相対的に回転はしていないものの、相対的に並行移動してしまっており、ラインセンサ139の各部位が受光する光が全体的に弱くなってしまっていると考えられる。
【0029】
この図3(c)に示す状態に対応する受光状態が図4(c)に示される。図4(c)では、光速に対してラインセンサ139が長手方向と直交する方向にずれており、そのため各スペクトルの受光状態が一様に悪化している事が分かる。
【0030】
図3(d)はその他の表示例であり、各スペクトル144−1乃至144−3に対応させて、各スペクトルのピークの大きさを数値として表示させる例である。ピークの大きさは各参照光の光量または光強度を示す特徴量として用いられている。このように、ピークの大きさを数値として表示することで、スペクトルの形状だけでなく、ピークの数値としても調整すべき量をユーザに提示することができるというメリットがある。図3(c)のように一様にスペクトルが小さくなっている場合には、スペクトルの形状を見ただけでは受光状態に問題があるか否かが不明確な場合があるが、数値を表示することで、このような場合にも受光状態の異常をユーザに分かり易く提示することができる。
【0031】
〔変形例〕上述の実施例では、ラインセンサによる光の受光状態の表示として光のスペクトルを表示する例を示したが、これに限らず、スペクトルのピーク値や面積を表示することとしてもよい。また、各測定光に対応する参照光または干渉光を受光するラインセンサの領域SR1乃至SR3の夫々に閾値以上の光が当たっているか否かを示す表示を行ってもよい。
【0032】
また上述の実施例では、複数の測定光を有するマルチビーム型の光干渉断層撮影装置として一つの光源から出射された光を光カプラで分割する例を示したが、これに限らず複数の光源を有していてもよい。この場合には、光強度の高い単一光源を用いずに、光強度が相対的に小さい複数の光源を利用することができる。また、ラインセンサを測定光毎に独立に設けてもよい。この場合には、各ラインセンサを独立に調整する必要が生じるが、センサが受光する光の光束とセンサの位置関係をより精密に調整することができる。
【0033】
更に、上述の実施例ではラインセンサの位置を調整する例を示したが、これに限らず、ラインセンサが受光する光の光束とラインセンサの位置関係を調整できればよい。例えば、光ファイバのファイバ端の位置やファイバ端から出射する光の向きを調整しても、ファイバ端と分光部の間にあるレンズの位置を調整しても、回折格子の位置を調整しても、回折格子とラインセンサの間にあるレンズの位置を調整してもよい。予めラインセンサを精密に位置決めできる場合には、光学部材の位置を調整することで、受光状態の調整が可能になる
【実施例2】
【0034】
本実施例では、実施例1の表示例で示したスペクトルの表示とともにAスキャン画像またはAスキャンのプロファイルやBスキャン画像などを表示させる。また、表示画面上のアイコンを走査することにより調整及びその確認が可能な表示画面を提供する。表示画面に用いるスペクトル情報やAスキャン画像、Bスキャン画像はコンピュータ125がラインセンサ139の出力を取得し、作成する。アイコンの画像や表示の配置などの設定情報は予めコンピュータ125に格納されている。取得した情報や設定情報に基づいて表示画面の画像データを生成し、表示制御する処理はコンピュータ125が実行する。また、表示画面においては、ユーザがコンピュータ125に接続された不図示のマウスやキーボードを用いてボタンやその他アイコンをクリックすることが可能である。この操作情報はコンピュータ125が取得して、操作情報に応じて電動ステージ210の制御を実行する。新たに取得されたラインセンサ139からの出力に基づいてコンピュータ125が新たな表示画面の画像データを生成し、表示部に表示させる表示制御を行う。これにより表示画面が切り替わることとなる。
【0035】
図5は調整用の表示画面の一例である。スペクトル表示領域600には先述の実施例における図3に例示したような3つのスペクトルが表示される。スペクトルの表示はコンピュータ125がラインセンサ139の出力を連続的に処理し、表示制御することで表示が逐次更新される。
【0036】
また、603−1〜3は断層信号表示領域であり、3つのスペクトル144−1〜3を再構成処理して得られた信号が表示される。なお本実施形態においてはAスキャン画像またはAスキャンラインのプロファイルと呼ぶこととする。一方断層像表示領域605はXスキャン用ミラーを駆動することにより得られた複数のAスキャンを周知の補間処理により二次元画像として表示する領域である。以降の説明ではこの複数のAスキャンから構成される断層像をBスキャン画像と呼ぶ。図5に示す表示例では参照光が表示された状態であるため、断層信号表示領域603−1乃至603−3と、断層像表示領域605にはAスキャン画像またはBスキャン画像は表示されない。
【0037】
領域選択ボタン606−1〜3は3つの測定光による断層像のいずれを表示するか選択するためのアイコンである。領域Aと表示されたスイッチを装置のオペレータが押下することで図2(a)に示すA−A’の断面に対応する断層画像が断層像表示領域605に表示される。領域Bの表示を押下することでB−B’の断面が、領域Cの表示を押下することでC−C’の断面が表示されることとなる。本実施例においてはスペクトル表示されているのは参照光であるため、スペクトル表示領域600または断層信号表示領域603−1乃至603−3の表示が変更されることはない。
【0038】
次に図のスライダ604−1およびスライダ604−2は電動ステージ210を駆動することによりラインセンサ139のスペクトルに対する位置を調整するためのスライダである。これをオペレータが操作することによって各々センサのスペクトルに対する高さおよび回転を調整することができるようになっている。なお、ここでいう高さとは、ラインセンサの長手方向と直交する方向の変位または移動量のことであり、回転とは、ラインセンサ139の長手方向に対する中心点を通り、受光面を含む平面と直交する軸を中心とした回転を指す。なお、回転の中心はラインセンサ139の長手方向に対する中点に限られない。また、受光面を含む平面外にも並進または回転移動ができるようにしてもよい。例えば、モータと送りねじを用いて3軸方向に移動可能としてもよい。このスライダの操作に応じて、スペクトル表示領域600の表示が切り替わることとなるため、ユーザは画面上の操作によりラインセンサの位置を調整できるとともに、その調整の結果を表示画面で確認することができる。
【0039】
また光源ボタン607−1および607−2は光源101の電源をON又はOFFするものであり、これにより光源101からの低コヒーレンス光の出射が止まり、スペクトル表示領域600にはスペクトルが表示されなくなる。シャッタボタン608−1および608−2はこれをオペレータが操作することで、シャッタ230を駆動して測定光106−1〜3の光路を遮断又は解放することができる。シャッタ230により光路を開放すると、被検眼が対物レンズの先に配置されている場合には網膜の断層情報を含む干渉光が得られ、干渉光のスペクトルがスペクトル表示領域600に表示されることとなる。
【0040】
上述の表示例では、シャッタ230を動作させ測定光を遮断した状態で、参照光のみを用いて分光器の調整を行ったが、これは本発明においては必須ではなく模型眼等の安定した標準的な被写体を用いて調整を行うようにしてもよい。この場合はシャッタボタン608−1がオペレータにより押下され、シャッタ230が開放された状態で調整が行われる。本実施例において、被写体として多層膜を形成した模型眼がOCT撮影装置にセットされ、シャッタボタン608−1によりシャッタを開放した際の調整用画面は図6に例示されるようなものとなる。すなわち、断層像表示領域605には模型眼の断層像が、断層信号表示領域603−1〜3には各々のスペクトルから生成された断層信号(Aスキャンプロファイル)が表示されている。
【0041】
このような表示により、例えば各測定光の受光状態とAスキャンプロファイルの両方を参照することにより、あるAスキャンプロファイルについて信号成分の大小を確認し、それに基づいて調整の要否をユーザが判定できるよう、情報を提示することができる。
【0042】
また、Aスキャンプロファイルと共にBスキャン画像も参照することにより、例えばBスキャン画像においてノイズが多くなっている領域等において、干渉光のスペクトルに異常がないかどうかを確認し、原因を特定するための情報を提示することができる。なお、Aスキャン画像及びBスキャン画像が表示された状態で、シャッタボタン608−2を押下して光路を遮蔽することにより、参照光を表示させることも可能である。
【0043】
断層像表示領域605の表示はその上部に設けられた領域選択ボタン606−1〜3によって切り替えることができる。図6は中央の領域Aが選択されている状態を示しており、領域Aの測定光によるBスキャン像が断層像表示領域605に表示されている。選択される領域を切り替えると、選択された位置のBスキャン画像が断層像表示領域605に表示される。これと共に、選択された領域に対応する干渉光のスペクトルがスペクトル表示領域600に表示され、Aスキャンプロファイルが断層信号表示領域603−1乃至603−3に表示されることとなる。このようにして、領域選択ボタン606−1乃至606−3の選択に応じて表示が切り替わることとなる。なお、領域の選択に応じて、撮影対象のどの位置に照射された測定光に基づく干渉光を表示させるかは予め決まっているものとする。例えば、各測定光について中央の位置の干渉光を用いても、端部の干渉光を用いてもよい。また、複数のAスキャン位置に対応する干渉光のスペクトルの平均を取って表示してもよい。
【0044】
このように、領域の選択に応じてスペクトル及びAスキャン画像及びBスキャン画像の表示が切り替わることにより、領域毎に画像における信号の強度を確認することができる。
【実施例3】
【0045】
本実施例に係る光干渉撮影装置では、ユーザが手動で分光器の調整をするモードに加えて、自動的に分光器の調整を実行するモードを実行することができる。コンピュータ125により表示制御される表示画面の例を図7に示す。この表示画面では、自動調整の実行を指示するボタン602をアイコンとして表示させ、ユーザが不図示の操作部により画面上のボタンを押下することにより、自動調整が実行されることとなる。
【0046】
次に上述したOCT撮影装置において、被検眼の撮影に先立って行われる分光器の調整方法について、図8を参照しながら説明する。なお以下に説明する処理は図1に示すコンピュータ125上で実行される制御プログラムが各部の動作を制御することによって実現する。
【0047】
〔ステップS100〕コンピュータ125はモニタ130上に分光器の調整用画面を表示する。表示画面については先述の実施例2と同様のため説明を省略するが、自動調整ボタン602が配置される点が異なっている。
【0048】
〔ステップS200〕コンピュータ125はオペレータにより自動調整ボタン602が押下されたかどうかを検出し、押下されていない場合はステップS300の手動モードに、押下されていた場合はステップS400の自動モードに処理を移行する。
【0049】
〔ステップS300〕コンピュータ125は図7に示した各操作ボタンの押下を監視し、オペレータの操作により調整を行う手動モードに移行する。手動モードではオペレータの操作により手動でラインセンサ139の位置が調整されるモードである。このモードでは、ラインセンサ139の高さをスライダ604−1で、回転をスライダ604−2で調整しながらスペクトル表示領域600に表示される各スペクトルの高さが揃い若しくは所定範囲の差に収まり、かつできるだけ高くなるように調整する。
【0050】
まず本実施例においては、シャッタ230が測定光106−1〜3を遮断した状態で調整が行われるものとする。すなわち、シャッタボタン608−2がオペレータにより押下され、シャッタ230は測定光を遮断し、ラインセンサ139に対しては参照光105−1〜3のみのスペクトルが入射するものとする。したがって検出された信号を再構成処理しても断層像を生成することはできないが、被写体に依存する干渉成分自体は各スペクトルのバランスを見るためには不要な信号であるため、好適である。
【0051】
また本実施例では上述したように測定光を遮断しているため、断層信号表示領域603−1〜3および断層像表示領域605には何の表示もされない。次に手動モードによるラインセンサの位置調整について具体的に説明する。
【0052】
例えば、調整開始直後にスペクトル表示領域600に表示されるスペクトルの形状が図3(b)に示すような状態であった場合、オペレータがスライダ604−2を操作するとコンピュータ125は電動ステージ210を駆動してラインセンサ139を回転する。更にスライダ604−1を操作することで、オペレータはスペクトル表示領域600に表示されるスペクトル144−1〜3の形状を見ながら、それらの高さが揃い、かつ最も高くなるようにラインセンサ139の位置を調整する。
【0053】
ラインセンサとスペクトルの位置関係が図4(c)に示すような場合、ラインセンサで検出されるスペクトルは図3(c)の状態に対応している。ここでスライダ604−2が操作されると、コンピュータ125はラインセンサ139を回転駆動し、図4(b)の状態となる。次にスライダ604−1が操作されるとコンピュータ125はラインセンサ139を並行に移動させ、最終的に図4(a)の状態となる。これでラインセンサが各スペクトルに対して適切に位置合わせがされた状態となる。
【0054】
また上述したようにオペレータがラインセンサの位置合わせを行う際に、コンピュータ125が逐次入力する各スペクトルの面積あるいはピーク値を各々計算し、計算された数値はスペクトル表示領域600内のスペクトルの近傍に表示してもよい。このようにすると、各スペクトルの高さおよびバランスを確認しやすくなるため好ましい。
【0055】
図3(d)は表示の形態の一例であり、各スペクトルに対してコンピュータ125が計算したピーク値を矢印と共に表示している。この例においてはスペクトルのピーク値を表示しているが、もちろん面積等の他の数値であってもよいし、表示の位置も図7に示す表示画面上のどこであってもよい。
【0056】
〔ステップS400〕ステップS200において自動調整ボタン602がオペレータにより押下されると、コンピュータ125は自動モードに移行する。本モードではステップS300において説明した調整が自動的に行われる。
【0057】
以下に図9を用いて後述するに示すフローチャートに沿って自動モードの処理の流れを説明する。
【0058】
〔ステップS410〕コンピュータ125は光源101の電源をONにし、更にシャッタ230を動作させて測定光106−1〜3を遮断する。これにより、ラインセンサ139には参照光105−1〜3のスペクトルのみが入射することとなる。
【0059】
〔ステップS420〕コンピュータ125はラインセンサ139の位置を3つのスペクトルいずれも入射しない状態に移動する。図10(a)はこの時のラインセンサとスペクトルの位置関係およびラインセンサで検出されるスペクトルの強度を表しており、このステップにおいてスペクトルは全く検出されていない。また、この時ラインセンサ139は予め所定の角度回転させておけば、後続するステップにおいて回転方向の調整は基本的に一方向を基準として行えばよいので好ましい。この角度は予めラインセンサとスペクトルの間において、装置の組み立て誤差等により発生し得る相対的なずれ量を見積もり、そこから求められる角度を十分越える値とすればよい。
【0060】
〔ステップS430〕コンピュータ125はラインセンサ139を図10(a)において上向きの矢印で示す方向に平行移動しながら逐次ラインセンサ139からのスペクトルの検出結果を入力する。ここでは中央のスペクトル144−2の高さを監視するようにし、それが最大となる位置で移動を停止する。この時の状態を図10(b)に示す。
【0061】
〔ステップS440〕コンピュータ125はラインセンサ139で検出したスペクトルの高さの差が許容範囲かどうかをチェックし、許容範囲であればステップS460に、そうでなければステップS450に処理を進める。この許容範囲はスペクトル間の差により生ずる画質の差に基づいて決めればよい。すなわち、スペクトルの高さは被写体の構造を抽出する感度に影響し、スペクトルの高さが低いと全体的に感度は下がるため、再構成して得られる断層像は暗くなる。したがって図2(a)に示す各走査範囲505〜507の間でどの程度の差を許容するかを主観評価等によって決定すれば、スペクトルの高さに関してその許容範囲を決めることができる。
【0062】
〔ステップS450〕コンピュータ125は図10(b)において矢印で示す向きにラインセンサ139を回転しながら逐次ラインセンサ139からのスペクトルの検出結果を入力する。本ステップにおいては3つのスペクトル144−1〜3の高さを全て監視し、3つの高さがほぼ同じとなる角度において回転を停止する。この時の状態をこの時の状態を図10(c)に示す。
【0063】
〔ステップS460〕コンピュータ125は3つのスペクトルの高さおよびそれらの差が規定範囲であるかどうかをチェックし、規定範囲内であれば調整を終了し、そうでない場合は再びステップSS430に処理を移す。ここで処理がステップS430に移った場合は図10(c)に示すようにラインセンサ139が移動され、再び同様の処理が繰り返されることとなる。
【0064】
ここでスペクトルの高さに関する規定範囲は、ステップS440で説明したように各走査範囲における画質とその差に基づいて決めておけばよい。
【0065】
以上説明したように、本発明によれば複数の測定光を有する断層像撮影装置の分光器調整において、センサと合成光の位置を適切に調整することが可能となる。なお、本実施形態ではラインセンサ139で検出されるスペクトルの特性を表す指標としてその高さを用いたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えばスペクトルの面積を用いるようにしてもよい。
【0066】
〔変形例〕参照光による調整だけでなく、干渉信号を含めたスペクトルを用いて分光器の調整を行うこととしてもよい。処理の流れについては基本的に実施例1と同様である。ただし、ラインセンサ139により検出されるスペクトルには干渉信号が含まれているため、ステップS440、ステップS460においてスペクトルの高さを評価する際、干渉信号を含めた高さで調整を行う。
【0067】
またはステップS410において初期設定を行う際、まずシャッタ230を閉じた状態で3つのスペクトル144−1〜3を取得してコンピュータ125内部のメモリに記憶する。次にシャッタ230を解放した状態で取得したスペクトルから減算して、干渉信号のみを求め、この信号の振幅を指標とするようにしてもよい。
【0068】
このようにすることにより、標準的な被写体に対しては同じレベルの画質を保つように分光器を調整することが可能となる。
【実施例4】
【0069】
以上説明した実施例においては、ラインセンサ139は検出素子が1列のみから構成されているが、二次元センサまたは複数の列を有するラインセンサであっても本発明は適用することができる。図11はこのようなセンサを用いた場合のスペクトルを例示したものである。ラインセンサ139には139−1および139−2の2列の検出素子が整列しており、これらが各々コンピュータ125に入力される。
【0070】
この時、検出されるスペクトルはそれぞれに対して2つ存在し、検出素子列139−1によるスペクトルが破線で、139−2によるものが実線で示されている。このような場合、ラインセンサ139の位置を調整する上では、これら2つのスペクトルの値が同じまたは所定範囲の差に収まるように調整する。したがって、前述した実施例においてこれら2種類のスペクトルを、図11において例示するようにスペクトル表示領域600に識別可能に表示する。これと共に、これらの高さ、面積等の指標がともに一定の値以上であり、かつ相互のばらつきが所定範囲内になるように調整が行われる。
【0071】
〔その他の実施例〕上述の実施例においては、光干渉断層撮影システムまたは画像処理装置内の各機能ブロックに対応する回路が本発明を実現する実施例を説明したが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、画像処理装置内で行われている処理を複数の装置で分散させシステムとして実現しても、一つの機能ブロックとしてまとめられている処理を複数の回路または装置で分散させて実現してもよい。なお、光干渉断層撮影装置に上述の実施例における画像処理装置及び表示装置の機能を組み込んで光干渉断層撮影装置により本発明を実現することとしてもよい。
【0072】
また本発明は、前述の実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体をシステムや装置に供給し、そのシステムや装置の演算装置が記録媒体に格納されたプログラムコードをCPUが実行することによって実現される。またコンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、コンピュータ上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。このCPUはコンピュータ内に複数含まれていてもよく、この場合複数のCPUで分散させて本発明を実現することとしてもよい。
【0073】
またこの場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムまたはプログラムコードを記録した記録媒体が本発明を構成することになる。
【0074】
更に記録媒体から読み出したプログラムコードが、コンピュータ付属の機能拡張カードや機能拡張ユニット内のメモリに書き込まれ、前記拡張カードや拡張ユニット内の演算装置が実際の処理の一部か全部を行い、前述の実施例の機能が実現される場合も含む。この場合、本発明はハードウェアにより実装された回路とソフトウェア及びハードウェアの協働により実現される機能とにより実現される。
【0075】
なお、上述した本実施の形態における記述は、本発明に係る好適な眼底断層像撮影装置の制御装置の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
100 OCT撮影装置
125 コンピュータ
139 ラインセンサ
141 回折格子
210 電動ステージ
600 スペクトル表示領域
602 自動調整ボタン
604−1 ラインセンサ高さ調整スライダ
604−2 ラインセンサ回転調整スライダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を波長毎に分光する分光手段と、
前記分光された光を受光して電気信号に変換する撮像手段と、
前記撮像部の受光面と前記撮像部が受光する光の光束との相対位置を調整する調整手段と、
前記調整に応じて前記撮像手段が受光する光の受光状態を表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記撮像手段が受光する光のスペクトルを表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記スペクトルのピーク値を表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記撮像手段が受光する光の光量を示す値を表示させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮影装置。
【請求項5】
低コヒーレンス光を発する光源と、
前記低コヒーレンス光を測定光と参照光に分割するとともに、前記撮影対象を経由した前記測定光と前記参照物体を経由した前記参照光との干渉光を生成する干渉光生成手段と、
前記撮像部が前記干渉光を受光して得られた電気信号に基づき前記撮影対象の画像を形成する画像形成部とを有し、
前記表示制御手段は、前記撮像手段が受光した前記干渉光と共に前記干渉光に基づき形成されたAスキャン画像を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、撮影対象を走査する複数の測定光に対応する参照光または干渉光を受光し、
前記表示制御手段は、前記参照光または干渉光の夫々の受光状態を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記参照光または干渉光の夫々の光量を示す値の差を表示させることを特徴とする請求項6に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記参照光または干渉光の夫々の光量を示す値の差が所定範囲となるように前記調整手段を制御する制御手段
を有することを特徴とする請求項7に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記撮像手段は二次元センサであり、
前記表示制御手段は、前記二次元センサの各行における受光状態を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項10】
前記二次元センサの各行における受光状態の差が所定範囲となるように前記調整手段を制御する制御手段
を有することを特徴とする請求項9に記載の撮影装置。
【請求項11】
前記調整手段は、前記撮像手段の位置を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項12】
低コヒーレンス光を発する光源と、
前記低コヒーレンス光を複数の測定光と該複数の測定光の夫々に対応する参照光に分割するとともに、前記撮影対象を経由した前記測定光と前記参照物体を経由した前記参照光との干渉光を生成する干渉光生成手段と、
前記干渉光生成手段を介して入射する前記参照光または干渉光を受光して電気信号に変換する撮像手段と、
前記撮像手段が変換した電気信号の値に基づいて前記撮像部の受光面と前記入射する前記参照光または干渉光の光束との相対位置を調整する調整手段と、
を有することを特徴とする撮影装置。
【請求項13】
低コヒーレンス光を発する光源と、
前記低コヒーレンス光を測定光と参照光に分割するとともに、前記撮影対象を経由した前記測定光と前記参照物体を経由した前記参照光との干渉光を生成する干渉光生成手段と、
前記生成された干渉光を受光して電気信号に変換する撮像部と、
前記撮像部にて得られた電気信号に基づき前記撮影対象の画像を形成する画像形成部とを有する光干渉断層撮影システムであって、
前記撮像部の受光面の位置を調整する調整手段と、
前記調整に応じて前記撮像部が受光した干渉光のスペクトルを表示させる表示手段と
を有することを特徴とする光干渉断層撮影システム。
【請求項14】
分光手段により波長毎に分光された光を受光する撮像手段の受光面と前記光との相対位置が調整手段に調整されることに応じて、前記調整に応じて前記撮像手段が受光する光の受光状態を表示させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
入射した光を波長毎に分光部が分光するステップ、
前記分光された光を撮像部が受光して電気信号に変換するステップと、
前記撮像部の受光面と前記光との相対位置を調整部が調整するステップと、
前記調整に応じて前記撮像手段が受光する光の受光状態を表示制御部が表示部に表示させるステップと、
を有することを特徴とする撮像装置の調整方法。
【請求項1】
入射した光を波長毎に分光する分光手段と、
前記分光された光を受光して電気信号に変換する撮像手段と、
前記撮像部の受光面と前記撮像部が受光する光の光束との相対位置を調整する調整手段と、
前記調整に応じて前記撮像手段が受光する光の受光状態を表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記撮像手段が受光する光のスペクトルを表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記スペクトルのピーク値を表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記撮像手段が受光する光の光量を示す値を表示させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮影装置。
【請求項5】
低コヒーレンス光を発する光源と、
前記低コヒーレンス光を測定光と参照光に分割するとともに、前記撮影対象を経由した前記測定光と前記参照物体を経由した前記参照光との干渉光を生成する干渉光生成手段と、
前記撮像部が前記干渉光を受光して得られた電気信号に基づき前記撮影対象の画像を形成する画像形成部とを有し、
前記表示制御手段は、前記撮像手段が受光した前記干渉光と共に前記干渉光に基づき形成されたAスキャン画像を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、撮影対象を走査する複数の測定光に対応する参照光または干渉光を受光し、
前記表示制御手段は、前記参照光または干渉光の夫々の受光状態を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記参照光または干渉光の夫々の光量を示す値の差を表示させることを特徴とする請求項6に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記参照光または干渉光の夫々の光量を示す値の差が所定範囲となるように前記調整手段を制御する制御手段
を有することを特徴とする請求項7に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記撮像手段は二次元センサであり、
前記表示制御手段は、前記二次元センサの各行における受光状態を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項10】
前記二次元センサの各行における受光状態の差が所定範囲となるように前記調整手段を制御する制御手段
を有することを特徴とする請求項9に記載の撮影装置。
【請求項11】
前記調整手段は、前記撮像手段の位置を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項12】
低コヒーレンス光を発する光源と、
前記低コヒーレンス光を複数の測定光と該複数の測定光の夫々に対応する参照光に分割するとともに、前記撮影対象を経由した前記測定光と前記参照物体を経由した前記参照光との干渉光を生成する干渉光生成手段と、
前記干渉光生成手段を介して入射する前記参照光または干渉光を受光して電気信号に変換する撮像手段と、
前記撮像手段が変換した電気信号の値に基づいて前記撮像部の受光面と前記入射する前記参照光または干渉光の光束との相対位置を調整する調整手段と、
を有することを特徴とする撮影装置。
【請求項13】
低コヒーレンス光を発する光源と、
前記低コヒーレンス光を測定光と参照光に分割するとともに、前記撮影対象を経由した前記測定光と前記参照物体を経由した前記参照光との干渉光を生成する干渉光生成手段と、
前記生成された干渉光を受光して電気信号に変換する撮像部と、
前記撮像部にて得られた電気信号に基づき前記撮影対象の画像を形成する画像形成部とを有する光干渉断層撮影システムであって、
前記撮像部の受光面の位置を調整する調整手段と、
前記調整に応じて前記撮像部が受光した干渉光のスペクトルを表示させる表示手段と
を有することを特徴とする光干渉断層撮影システム。
【請求項14】
分光手段により波長毎に分光された光を受光する撮像手段の受光面と前記光との相対位置が調整手段に調整されることに応じて、前記調整に応じて前記撮像手段が受光する光の受光状態を表示させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
入射した光を波長毎に分光部が分光するステップ、
前記分光された光を撮像部が受光して電気信号に変換するステップと、
前記撮像部の受光面と前記光との相対位置を調整部が調整するステップと、
前記調整に応じて前記撮像手段が受光する光の受光状態を表示制御部が表示部に表示させるステップと、
を有することを特徴とする撮像装置の調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−214967(P2011−214967A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82810(P2010−82810)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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