説明

撮影装置

【課題】 所望の再生画像を投影面に大きく投影して鑑賞することができる撮影装置を提供する。
【解決手段】 撮影レンズを通って入射する被写体像に撮影情報を重畳する表示手段と、この表示手段によって撮影情報が重畳した被写体像を接眼レンズによって結像させて観察するファインダと、表示手段の接眼レンズが設けられた側に設けられた光源と、この光源から出射される光を表示手段に導く導光手段と、表示手段に撮影情報に代えて所望の再生画像を表示させる表示切換制御手段と、表示手段の接眼レンズが設けられた側と反対側にある撮影レンズにより、導光手段によって導かれる光により表示手段の接眼レンズが設けられた側から表示手段が照明されて反対側に映し出される再生画像を被写体側に投影する投影手段とを備えて撮影装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような撮影装置としては、例えば、特許文献1に開示される撮影装置がある。この撮影装置は、撮影された画像信号により液晶表示板を駆動し、被写体をこの液晶表示板に表示して接眼レンズを通して確認することができる電子ビューファインダを備えている。撮影装置が電子ビューファインダモードに設定されている場合、撮影者は、接眼レンズから液晶表示板を覗き込むことにより、液晶表示板に表示される撮影画像を見ることができる。一方、撮影装置がプロジェクタモードに設定されている場合、再生画像情報を担持した光が電子ビューファインダの接眼レンズを介して撮影装置外部のスクリーンに投影され、複数の者が同時にスクリーンに投影される再生画像を見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−344392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の撮影装置は、スクリーンに投影されて表示される再生画像が小さいため、スクリーンに投影される再生画像を多人数で確認や鑑賞することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
撮影レンズを通って入射する被写体像に撮影情報を重畳する表示手段と、
この表示手段によって撮影情報が重畳した被写体像を接眼レンズによって結像させて観察するファインダと、
表示手段の接眼レンズが設けられた側に設けられた光源と、
この光源から出射される光を表示手段に導く導光手段と、
記録された所望の再生画像を撮影情報に代えて前記表示手段に表示させる表示切換制御手段と、
表示手段の接眼レンズが設けられた側と反対側にある撮影レンズにより、導光手段によって導かれる光により表示手段の接眼レンズが設けられた側から表示手段が照明されて反対側に映し出される再生画像を被写体側に投影する投影手段と
を備えて撮影装置を構成した。
【発明の効果】
【0006】
本発明による撮影装置によれば、所望の再生画像を投影面に大きく投影して鑑賞することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態によるデジタルカメラの内部構成を示す側面図であり、(a)は光学ファインダ使用時、(b)はライブビュー使用時を表している。
【図2】図1に示すデジタルカメラの内部構成を示すプロジェクタ使用時の側面図である。
【図3】図1に示すデジタルカメラの電気回路構成の概略を示すブロック図である。
【図4】図1に示すデジタルカメラにおいて、プロジェクタモードでスクリーンに投影されるパターン画像を示す図である。
【図5】図1に示すデジタルカメラのCPUにより行われる撮影処理および投影処理の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明による撮影装置をデジタルカメラに適用した場合における一実施の形態について説明する。
【0009】
図1(a)は、この一実施の形態によるデジタルカメラ1の内部構成を示す光学ファインダ使用時の側面図、同図(b)はライブビュー使用時の側面図である。
【0010】
被写体からの光は、デジタルカメラ1に着脱自在な撮影レンズ2を介して、デジタルカメラ1内に取り込まれる。撮影レンズ2を構成するAF(Auto Focus)レンズ3は、撮影レンズ2がデジタルカメラ1に装着された状態でAFモータ4の駆動によって光軸上を移動し、撮影レンズ2の焦点距離を変化させる。
【0011】
同図(a)に示すように、撮影レンズ2の背後のデジタルカメラ1の筐体内部には、撮影レンズ2から入射した被写体光の一部をファインダ11側へ反射させると共に一部を透過させる、ハーフミラーからなる第一ミラー5が軸支されている。第一ミラー5の背面側中央部上方には、第一ミラー5を透過した透過光を反射させる第二ミラー6が軸支されている。各ミラー5,6の背後には、シャッタ7を介して、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などからなる撮像素子8が設けられている。また、各ミラー5,6の下方には、第二ミラー6で反射した被写体光が入射するAFモジュール9が設けられている。第一ミラー5および第二ミラー6が、同図(a)に示すようにミラーダウンした状態から支軸を中心に上方に回動して同図(b)に示すようにミラーアップすると、被写体光は撮像素子8に導かれ、撮像面8aに被写体像が結像する。
【0012】
デジタルカメラ1の背面側には、TFT(Thin Film Transistor)液晶パネルからなる背面モニタ10が設けられており、背面モニタ10の上方には、被写体像を観察するファインダ11が設けられている。ファインダ11の内部には接眼レンズ13が設けられており、接眼レンズ13の奥にはペンタプリズム14が設けられている。ペンタプリズム14の下方には、透光性を有する自己発光型の有機EL(Electro Luminescence)パネルで構成されるファインダ内表示装置12が設けられている。第一ミラー5で反射した被写体光はこのファインダ内表示装置12を透過する際、ファインダ内表示装置12に表示される撮影情報が重畳し、ファインダ11では撮影情報と共に被写体像が観察される。ファインダ内表示装置12は、撮影レンズ2を通って入射する被写体像に撮影情報を重畳する表示手段を構成している。
【0013】
また、接眼レンズ13とペンタプリズム14との間の上方には、プロジェクタミラー15が、その右端部が軸支された状態で設けられている。プロジェクタミラー15の反射面の上方には、レンズ16を介してプロジェクタ光源17が設けられている。このプロジェクタ光源17の上半分の周囲には、プロジェクタ光源17からの出射光を下方向に反射させるための反射板18が設けられている。プロジェクタミラー15が図示する観察位置にある場合、ファインダ内表示装置12によって撮影情報が重畳した被写体像が同図(a)に示すようにペンタプリズム14によって接眼レンズ13に導かれ、接眼レンズ13で結像されてファインダ11において観察される。一方、プロジェクタミラー15が、右端部の支軸を中心に左端部が下方に回動して図2に示す投影位置にある場合、プロジェクタ光源17から出射される光はプロジェクタミラー15で反射してファインダ内表示装置12に導かれ、ファインダ内表示装置12に表示される再生画像は第一ミラー5で反射して、撮影レンズ2によってデジタルカメラ1の前方にあるスクリーン35に投影される。なお、図2において図1と同一または相当する部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0014】
撮影レンズ2は、焦点距離が接眼レンズ13よりも長く、有効レンズ径も接眼レンズ13よりも大きいなどの光学要素を有している。この撮影レンズ2は、ファインダ内表示装置12の接眼レンズ13が設けられた側と反対側にあり、投影性能が接眼レンズよりも高い。また、プロジェクタ光源17は、ファインダ内表示装置12の接眼レンズ13が設けられた側に設けられた光源を構成しており、プロジェクタミラー15およびペンタプリズム14は、プロジェクタ光源17から出射される光をファインダ内表示装置12に導く導光手段を構成している。また、撮影レンズ2および第一ミラー5は、この導光手段によって導かれる光により、ファインダ内表示装置12の接眼レンズ13が設けられた側からファインダ内表示装置12が照明されて、ファインダ内表示装置12の接眼レンズ13が設けられた側と反対側に映し出される再生画像を、被写体側に投影する投影手段を構成している。
【0015】
図3は、図1に示すデジタルカメラ1の電気回路構成の概略を示すブロック図である。
【0016】
デジタルカメラ1は、CPU(Central Processing Unit)21を備えている。CPU21には図示しない不揮発性メモリおよびバッファメモリが接続されており、不揮発性メモリには、CPU21が種々の制御を行う際に参照される制御プログラムなどが格納されている。CPU21は、不揮発性メモリに格納されている制御プログラムに従い、バッファメモリを一時記憶作業領域として回路各部の制御を行い、デジタルカメラ1の種々の装置機能を作動させる。
【0017】
撮影レンズ2を介してデジタルカメラ1内に取り込まれた被写体光は、撮像素子8の撮像面8a上に結像する。撮像素子駆動回路22がCPU21からの制御信号に基づいて撮像素子8を駆動させることにより、撮像素子8の撮像面8a上に結像した被写体像はアナログの撮像信号に変換されて、AFE(Analog Front End)回路23に出力される。撮像信号はAFE回路23で所定のアナログ処理が施され、A/D(Analog/Digital)変換部24においてデジタル信号に変換される。ASIC(Application Specific Integrated Circuit)25は、画像処理回路を構成しており、A/D変換部24でデジタル信号に変換された撮像信号を入力し、この撮像信号に対して、ホワイトバランス処理やガンマ補正などの画像処理を行い、撮影された画像の画像データを生成する。ASIC25によって生成された画像データは、CPU21により圧縮処理が施されて、バッファメモリに一時的に記憶されると共に、デジタルカメラ1に着脱自在な図示しないメモリカードに記録される。
【0018】
画像表示回路26は、CPU21からの制御信号に基づき、現在設定されているシャッタースピードや露出値等の撮影情報をファインダ内表示装置12に表示させ、また、撮像素子8の撮像面8aで撮像される撮影画像などを背面モニタ10にスルー画として表示させる。本実施形態では、ファインダ内表示装置12には、メモリカードなどに記録された画像の中からユーザによって選択される画像が、画像表示回路26によって再生表示される。CPU21および画像表示回路26は、記録された所望の再生画像を撮影情報に代えてファインダ内表示装置12に表示させる表示切換制御手段を構成している。
【0019】
また、CPU21には、デジタルカメラ1の動作モードを切り換える動作モードSW(スイッチ)11、シャッターボタンの半押し操作を検出するAF−SW28、およびシャッターボタンの全押し操作を検出するレリーズSW29が接続されている。動作モードSW27が切換操作されることで、デジタルカメラ1の動作モードは、ファインダ11で被写体の構図を取って撮影を行うカメラモード、背面モニタ10で被写体の構図を取って撮影を行うライブビューモード、または、外部スクリーン35に撮影画像を投影して撮影画像の再生表示を行うプロジェクタモードのうちのいずれかの動作モードに、切り換えらる。また、AF−SW28が操作されることで、撮影レンズ2の焦点距離が自動調整される。また、レリーズSW29が操作されることで、撮影レンズ2から入射する被写体像の撮影が行われる。
【0020】
また、CPU21には、AF回路30を介して上述したAFモジュール9が接続されていると共に、AFレンズ駆動回路31を介して上述したAFモータ4が接続されている。
【0021】
AF回路30は、AF−SW28の操作が検出されると、AFモジュール9により、上述した第二ミラー6で反射されて入射した被写体光をセパレータレンズで分離してAFセンサに結像させ、結像した2つの被写体像の間隔を計測する。AFレンズ駆動回路31は、この計測された間隔が一定になるように上述したAFモータ4を駆動し、撮像素子8の撮像面8aに結像される被写体像のピントが合う合焦位置にAFレンズ3を移動させ、撮影レンズ2の焦点距離を位相差検出方式によって自動調節する。CPU21、AF回路30、AFモジュール9、AFレンズ駆動回路31およびAFレンズ3は、撮影レンズ2の焦点距離を調節する焦点距離調節手段を構成している。
【0022】
また、CPU21には、シャッター駆動回路33が接続されている。シャッター駆動回路33は、レリーズSW29の操作が検出されるとシャッター7を開く制御を行う。シャッター駆動回路33の制御によってシャッター7が所定時間開放されることで、撮像素子8の撮像面8aに被写体像が所定時間露光されて撮影が行われる。
【0023】
また、CPU21にはミラー駆動回路32および光源駆動回路34が接続されている。ミラー駆動回路32は、CPU21からの制御信号に基づき、各ミラー5,6,15を駆動する。第一ミラー5および第二ミラー6は、ミラー駆動回路32により、図1(a)に示すカメラモードや図2に示すプロジェクタモードでは同図に示すようにミラーダウンし、図1(b)に示すライブビューモードでは同図に示すようにミラーアップする。また、プロジェクタミラー15は、ミラー駆動回路32により、図1(a)に示すカメラモードでは同図に示すようにミラーアップして観察位置に移動し、図2に示すプロジェクタモードでは同図に示すようにミラーダウンして投影位置に移動する。また、光源駆動回路34は、プロジェクタモードにおいてプロジェクタミラー15が投影位置に移動したときに、プロジェクタ光源17を発光させる制御を行う。プロジェクタ光源17から出射した光はプロジェクタミラー15およびペンタプリズム14によってファインダ内表示装置12に導かれ、ファインダ内表示装置12を接眼レンズ13側から照明する。このため、ファインダ内表示装置12に表示される再生画像は、この照明によってファインダ内表示装置12の撮影レンズ2側に映し出され、第一ミラー5によって反射して撮影レンズ2により図2に示すようにスクリーン35に投影される。
【0024】
ミラー駆動回路32は、ファインダ内表示装置12によって撮影情報が重畳した被写体像をファインダ11に導く図1(a)に示す観察位置と、プロジェクタ光源17から出射される光をファインダ内表示装置12に導いてファインダ内表示装置12に表示される再生画像を撮影レンズ2によって投影させる図2に示す投影位置とに、プロジェクタミラー15を駆動する駆動手段を構成している。また、スクリーン35に投影される被写体像のピント調節は、予め、図4に示すような所定のパターン画像がスクリーン35に映し出され、CPU21の制御により、映し出されたパターン画像に撮影レンズ2の焦点距離が合うようにAFレンズ3の位置が上述した焦点距離調節手段によって調節されて、行われる。CPU21は、表示制御手段によりファインダ内表示装置12に表示されて撮影レンズ2によりスクリーン35に投影される所定のパターン画像を用いて、スクリーン35における投影画像のピント調節を焦点距離調節手段に行わせるピント調節手段を構成している。
【0025】
図5は、CPU21により行われる撮影処理および投影処理の概略を示すフローチャートである。
【0026】
CPU21は、図5,S1において、電源SWがオン(ON)操作されて回路各部に電源が供給され、S2において、動作モードSW27が操作されたことを検出すると、S3において、動作モードがカメラモードに切り換えられたか否かを判別する。カメラモードに切り換えられていて、この判別が“YES”である場合、CPU21は、S4において、ファインダ内表示装置12の作動状態を“ON”にし、デジタルカメラ1に現在設定されている撮影情報をファインダ内表示装置12に表示させる。この状態で、撮影レンズ2から被写体光が入射することにより、ファインダ11では、撮影情報が重畳した被写体像が観察される。次に、CPU21は、S5において、AF−SW28が“ON”になっているか否かを判別する。この判別が“NO”である場合、S5の処理は繰り返し行われる。AF−SW28が“ON”になって、S5の判別が“YES”になると、CPU21は、S6において測光・AF処理を行う。この測光・AF処理では、CPU21は、AFモジュール9での測光結果に基づき、AF回路30によって被写体像の位相差を検出し、この検出結果に応じてAFレンズ駆動回路31にAFモータ4を駆動させ、AFレンズ3を被写体像のピントが合う合焦位置に移動させる。
【0027】
次に、CPU21は、S7において、レリーズSW29が“ON”になっているか否かを判別する。この判別が“NO”である場合、処理はS5に戻り、上述した処理が繰り返される。レリーズSW29が“ON”になって、S7の判別が“YES”になると、CPU21は、S8において、第一ミラー5および第二ミラー6を図1(a)に示す状態から上方へ跳ね上げるミラーアップ処理を行い、撮影レンズ2から入射する被写体光を撮像素子8へ導く。続いて、CPU21は、S9において、絞りの開口量を制御する絞り駆動処理を行い、適正露出が得られるように撮影レンズ2から入射する被写体光の光量を調節する。続いて、CPU21は、S10において、撮影処理を行う。この撮影処理では、シャッター7によって撮像素子8の撮像面8aに所定時間露光された被写体像を光電変換し、所定の画像処理を施して画像データを生成し、生成した画像データをメモリカードに記録する。次に、CPU21は、S11において、S8でミラーアップした各ミラー5,6を図1(a)に示す元のミラーダウン位置に戻す処理を行って、撮影処理を終了する。
【0028】
また、S3で、動作モードがカメラモードに切り換えられていなくて、S3の判別が“NO”である場合、CPU21は、S12において、動作モードSW27によって動作モードがライブビューモードに切り換えられたか否かを判別する。ライブビューモードに切り換えられていて、この判別が“YES”である場合、CPU21は、S13において、第一ミラー5および第二ミラー6を図1(b)に示す位置に跳ね上げる上述のミラーアップ処理を行う。続いて、CPU21は、S14において、シャッター7を開放する処理を行い、撮影レンズ2を介して入射する被写体光がシャッター7を通過して撮像素子8の撮像面8aに届くようにする。次に、CPU21は、S15において、撮像素子8の撮像面8aで撮像される被写体像をスルー画として背面モニタ10に表示させる処理を行う。ライブビューモードでは、S13の処理により、撮影レンズ2を介してデジタルカメラ1内に取り込まれた被写体光がファインダ11には到達しないため、ファインダ11から被写体像を観察することはできないが、上記のS15の処理により、背面モニタ10で被写体の構図を取ることが可能となる。
【0029】
次に、CPU21は、S16において、AF−SW28が“ON”になっているか否かを判別する。この判別処理が“NO”である場合、処理はS13に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、AF−SW28が“ON”になり、S16の判別が“YES”になると、CPU21は、S17において測光・AF処理を行う。ライブビューモードでは、S13の処理で第一ミラー5および第二ミラー6がミラーアップして、被写体光がAFモジュール9に到達しない状態となっているため、S17における測光・AF処理は、S6の処理とは異なり、撮像素子8の撮像面8aで結像される被写体像を用いたコントラスト検出方式によって行われる。コントラスト検出方式による測光・AF処理によってAFレンズ駆動回路31によりAFモータ4が駆動され、AFレンズ3が被写体像のピントが合う合焦位置に移動させられる。
【0030】
次に、CPU21は、S18において、レリーズSW29が“ON”になっているか否かを判別する。この判別が“NO”である場合、処理はS13に戻り、上述した処理が繰り返される。レリーズSW29が“ON”になって、S18の判別が“YES”になると、CPU21は、S19において、S9と同様に絞り駆動処理を行う。続いて、CPU21は、S20において、S10と同様に撮影処理を行う。その後、CPU21は、S21において、S13の処理でミラーアップさせた第一ミラー5および第二ミラー6を図1(b)に示す位置から図1(a)に示す元の位置に戻すミラーダウン処理を行い、撮影処理を終了する。
【0031】
また、S12で、動作モードがプロジェクタモードに切り換えられていて、S12の判別が“NO”である場合、CPU21は、S22において、プロジェクタミラー15を図2に示す投影位置に移動させるプロジェクタミラーダウン処理を行う。続いて、CPU21は、S23において、ファインダ内表示装置12の作動状態を“ON”にすると共に、S24において、プロジェクタ光源17を“ON”にしてプロジェクタ光源17の点灯を開始させる。プロジェクタ光源17から出射される光は、反射板18によって下方に反射された光と共にレンズ16で平行光にされ、プロジェクタミラー15およびペンタプリズム14に導かれてファインダ内表示装置12を接眼レンズ13側から照明する。
【0032】
次に、CPU21は、S25において、AF−SW28が“ON”になっているか否かを判別する。この判別が“YES”である場合、CPU21は、S26において、図4に示す黒色および白色のストライプ模様で構成されたパターン画像をファインダ内表示装置12に表示させて、スクリーン35の白色の投影面に投影させるパターン投影処理を行う。このパターン投影処理では、ファインダ内表示装置12に表示されるパターン画像をプロジェクタ光源17からの光によってファインダ内表示装置12の撮影レンズ2側に映し出し、第一ミラー5によって反射させて撮影レンズ2で拡大することにより、スクリーン35にパターン画像が大きく投影される。
【0033】
次に、CPU21は、S27においてAF処理を行う。このAF処理では、CPU21は、スクリーン35に投影されているパターン画像からの光を図2に示すように第二ミラー6でAFモジュール9に反射し、AFモジュール9でパターン画像を測光し、AF回路30によってパターン画像の位相差を検出する。CPU21は、この検出結果に基づき、AFレンズ駆動回路31を制御してAFモータ4を駆動し、スクリーン35に投影されているパターン画像のピントが合う合焦位置にAFレンズ3を移動させる。
【0034】
AF−SW28が“ON”になっていなくて、S25の判別が“NO”である場合、またはS27の処理が終了すると、CPU21は、S28において、メモリカードなどに記録された画像の中からユーザによって選択される画像をファインダ内表示装置12に再生表示させて、所望の再生画像をスクリーン35に投影させる画像投影処理を行う。次に、CPU21は、S29において、動作モードSW27の切換操作などによってプロジェクタモードを終了させる操作が行われたか否かを判別する。この判別が“NO”である場合、処理はS25に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、S29の判別が“YES”である場合、CPU21は、S30において画像表示終了処理を行う。この処理では、CPU21は、S22で図2に示す投影位置に移動させたプロジェクタミラー15を、図1(a)に示す観察位置に戻すと共に、S24で点灯したプロジェクタ光源17を消灯して、スクリーン35への再生画像の投影を終了させる。S30の処理が終了すると、CPU21は、投影処理を終了する。
【0035】
このような本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、上述したように、図5,S4の処理により、ファインダ内表示装置12によって撮影情報が重畳した被写体像がファインダ11において観察される。また、S28の処理で、プロジェクタミラー15およびペンタプリズム14によってプロジェクタ光源17からファインダ内表示装置12に導かれた光によりファインダ内表示装置12が照明されて、ファインダ内表示装置12に表示された所望の再生画像が、ファインダ内表示装置12の接眼レンズ13が設けられた側と反対側に映し出され、撮影レンズ2によって被写体側に設けられたスクリーン35に投影される。本実施形態では、撮影レンズ2は、焦点距離が接眼レンズ13よりも長く、有効レンズ径も接眼レンズよりも大きいなどの光学要素を有して、投影性能が接眼レンズ13よりも高い。このため、スクリーン35に投影される再生画像を、従来のデジタルカメラのように接眼レンズ13によって投影される場合に比べて高い倍率で拡大させて、明確に投影することが可能となる。従って、所望の再生画像をスクリーン35に大きく投影して多人数で確認や鑑賞することができるようになる。
【0036】
また、外部のスクリーン35とデジタルカメラ1との間の距離は不確定であり、投影環境により変化するものであるため、S24の処理の後で直ちに再生画像をスクリーン35に投影させてしまうと、ピントの合っていない状態となる可能性が高い。しかし、本実施形態では、図5,S26の処理で、CPU21によりファインダ内表示装置12に図4に示すパターン画像が表示され、表示されたパターン画像は撮影レンズ2によってスクリーン35に投影される。撮影レンズ2の焦点距離は、スクリーン35に投影されたパターン画像にピントが合うように、S27の処理で、ピント調節手段の制御に基づいて焦点距離調節手段により調節される。このため、ファインダ内表示装置12に表示される再生画像をピントが合った状態でスクリーン35に投影することができる。
【0037】
また、本実施形態では、ミラー駆動回路32によってプロジェクタミラー15が図1(a)に示す観察位置に駆動されると、ファインダ内表示装置12によって撮影情報が重畳した被写体像がファインダ11から観察される。また、図5,S22の処理で、ミラー駆動回路32によってプロジェクタミラー15が図2に示す投影位置に駆動されると、プロジェクタ光源17から出射された光によってファインダ内表示装置12が照明され、ファインダ内表示装置12に表示される再生画像が撮影レンズ2によって投影される。このため、既存のデジタルカメラに、ミラー駆動回路32によって駆動されるプロジェクタミラー15をプロジェクタ光源17と共に設けるだけで、再生画像の拡大投影を明確に行えるデジタルカメラ1を安価に提供することが可能になる。
【0038】
なお、上記実施形態では、本発明による撮影装置を、撮影レンズ2が着脱自在な一眼レフ方式のデジタルカメラ1に適用した場合を説明したが、本発明による撮影装置は、撮影レンズが一体となったコンパクトタイプのデジタルカメラや、撮影レンズ2から入射して撮像素子8に届く被写体像をファインダ11で観察できる一眼レフ方式以外のデジタルカメラに適用することも可能である。
【0039】
また、上記実施形態では、プロジェクタモードにおいて、シャッターボタンが半押しされ、図5,S25の処理でAF−SW28が“ON”になると、S27の処理でAF機能が作動する場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、プロジェクタモードにおいて、S27のAF機能を作動させる専用の操作部材を設け、この操作部材が操作されると、スクリーン35に図4に示すパターン画像が投影されて撮影レンズ2の投影時の焦点距離が調節される構成とすることも可能である。
【0040】
また、上記実施形態では、ファインダ内表示装置12として透光性を有する自己発光型の有機ELパネルを用いた場合を説明したが、ファインダ内表示装置12に用いる表示パネルは、例えば透光性を有する透明液晶などでもよく、その種類は適宜変更可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、動作モードがライブビューモードに切り換えられているときには、背面モニタ10に被写体像が表示される場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、ライブビューモードにおいて、撮像素子8から出力される撮像信号から生成された画像データに基づいて、スルー画がファインダ内表示装置12に表示される構成としてもよい。また、ライブビューモードにおいて、背面モニタ10またはファインダ内表示装置12のいずれか一方ではなく、両方にスルー画が表示される構成とすることも可能である。上記構成によれば、ライブビューモードにおいてもファインダ11で被写体像が観察されるようになり、撮影者は、カメラモードのときと同様、ファインダ11を覗いて被写体の構図の確認を行えるようになる。なお、上記構成では、ライブビューモードにおいて第一ミラー5および第二ミラー6がミラーアップしてファインダ内表示装置12への光の入射が遮断された状態で、ファインダ内表示装置12にスルー画が表示されることになるが、ファインダ内表示装置12には自己発光型の有機ELパネルを用いているため、撮影者は、ファインダ11で被写体像を視認できる。
【0042】
また、上記実施形態では、撮影レンズ2によって再生画像がスクリーン35に投影される場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、ファインダ内表示装置12の接眼レンズ13が設けられた側とは反対側における任意の位置に、接眼レンズ13よりも投影性能が高い、撮影レンズ2とは異なる他のレンズを備え、この他のレンズによって再生画像がスクリーン35に投影される構成とすることも可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、図5,S26の処理で、所定のパターン画像として図5に示す縞模様の画像をスクリーン35に投影させる場合を説明したが、スクリーン35に投影させる所定のパターン画像は適宜変更可能である。
【0044】
また、上記実施形態では、図5,S2で、動作モードSW27が操作されることで動作モードが切り換えられる場合を説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、背面モニタ10に表示されるメニュー画面において動作モードの切り換えが行われる構成とすることも可能である。また、例えば、プロジェクタモードを作動させる専用のプロジェクタモード作動SWを設け、このプロジェクタモード作動SWの操作により、動作モードがプロジェクタモードに切り換えられるようにすることも可能である。
【0045】
また、上記実施形態では、ファインダ内にペンタプリズム14を設けた場合を説明したが、ペンタプリズム14の代わりにペンタミラーを設けた構成とすることも可能である。
【0046】
上記実施形態においては、本発明による撮影装置をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、被写体像に撮影情報を重畳する表示手段を備えた、動画および静止画を撮影するビデオカメラなどの種々の撮影装置に本発明を適用することも可能である。このような撮影装置に本発明を適用した場合においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0047】
1…デジタルカメラ
2…レンズユニット
3…AFレンズ
4…AFモータ
5…第一ミラー
6…第二ミラー
8…撮像素子
9…AFモジュール
10…背面モニタ
11…ファインダ
12…ファインダ内表示装置
13…接眼レンズ
14…ペンタプリズム
15…プロジェクタミラー
17…プロジェクタ光源
21…CPU
26…画像表示回路
27…動作モードSW
28…AF−SW
29…レリーズSW
30…AF回路
31…AFレンズ駆動回路
32…ミラー駆動回路
34…光源駆動回路
35…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを通って入射する被写体像に撮影情報を重畳する表示手段と、
この表示手段によって撮影情報が重畳した被写体像を接眼レンズによって結像させて観察するファインダと、
前記表示手段の前記接眼レンズが設けられた側に設けられた光源と、
この光源から出射される光を前記表示手段に導く導光手段と、
記録された所望の再生画像を撮影情報に代えて前記表示手段に表示させる表示切換制御手段と、
前記表示手段の前記接眼レンズが設けられた側と反対側にある前記撮影レンズにより、前記導光手段によって導かれる光により前記表示手段の前記接眼レンズが設けられた側から前記表示手段が照明されて前記反対側に映し出される前記再生画像を被写体側に投影する投影手段と
を備えていることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影装置において、
前記撮影レンズの焦点距離を調節する焦点距離調節手段と、
前記表示切換制御手段により前記表示手段に表示されて前記撮影レンズにより投影面に投影される所定のパターン画像を用いて前記投影面における投影画像のピント調節を前記焦点距離調節手段に行わせるピント調節手段と
を備えていることを特徴とする撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮影装置において、
前記表示手段によって撮影情報が重畳した被写体像を前記ファインダに導く観察位置と、前記光源から出射される光が前記表示手段に導かれて前記表示手段に表示される前記再生画像を前記撮影レンズによって投影させる投影位置とに、前記導光手段を駆動する駆動手段を備えていることを特徴とする撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−10098(P2011−10098A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152447(P2009−152447)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】