撮影装置
【課題】視聴者に与える疲労感が少ない3次元立体映像を作り出すことが課題である。
【解決手段】第1映像データを取得する第1撮像部と、第2映像データを取得する第2撮像部と、複数の物体の距離を計測する第1測距部及び第2測距部と、複数の物体のうち最も近い対象物体の位置を認識する第1認識部及び第2認識部と、第1映像データを調整する第1調整部と、第2映像データを調整する第2調整部と、第1映像データと第2映像データとから立体映像を表示する表示面を含む表示部と、を備え、第1映像データ及び第2映像データのうち少なくとも一方が調整されることにより、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とが交差してなる輻輳点が前記対象物体に合わせられることを特徴とする撮影装置。
【解決手段】第1映像データを取得する第1撮像部と、第2映像データを取得する第2撮像部と、複数の物体の距離を計測する第1測距部及び第2測距部と、複数の物体のうち最も近い対象物体の位置を認識する第1認識部及び第2認識部と、第1映像データを調整する第1調整部と、第2映像データを調整する第2調整部と、第1映像データと第2映像データとから立体映像を表示する表示面を含む表示部と、を備え、第1映像データ及び第2映像データのうち少なくとも一方が調整されることにより、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とが交差してなる輻輳点が前記対象物体に合わせられることを特徴とする撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
3次元立体映像として表示される映像データを取得するための撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ技術の発達にともなって、近年、2次元映像を3次元的に知覚させる3次元立体映像を用いた製品が開発されてきている。このため、3次元立体映像を作り出すための撮影装置の開発が望まれている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2は、3次元立体映像を作り出すための撮影装置を開示する。特許文献1の撮影装置は、人間の両眼間隔分だけ離間して配設された左眼用の撮像素子と右眼用の撮像素子とを用いて、3次元立体映像を作り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−147401号公報
【特許文献2】特開昭62−266535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2の撮像装置は、単一の物体を被写体とするときには、好適な3次元立体映像を作り出すことができるが、複数の物体を被写体とするときには、視聴者に疲労感を与える3次元立体映像を作り出すことがある。例えば、視聴者が複数の物体のうち1つをターゲットにして、3次元立体映像用の映像を撮ろうとしているときに、ターゲットにされた物体よりも撮像装置に近い位置に他の物体が存在する場合がある。このとき、当該他の物体がディスプレイに映し出されると、ディスプレイから大きく飛び出したように知覚されることとなる。ディスプレイから大きく飛び出したように知覚される映像は、3次元立体映像を視聴する視聴者に疲労感を与える場合がある。
【0006】
上記実情を鑑みて、本発明は、視聴者に与える疲労感が少ない3次元立体映像を作り出すための撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る撮影装置は、左眼で視認される第1視野内の第1映像データを取得する第1撮像部と、右眼で視認される第2視野内の第2映像データを取得する第2撮像部と、前記第1撮像部及び前記第2撮像部のうち少なくとも一方を制御し、最も近い対象物体に、前記第1撮像部の光軸と前記第2撮像部の光軸とが交差してなる輻輳点を合わせる制御部と、前記第1映像データと前記第2映像データとから立体映像を表示する表示面を含む表示部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第1撮像部は、左眼で視認される第1視野内の第1映像データを取得する。第2撮像部は、右眼で視認される第2視野内の第2映像データを取得する。制御部は、第1撮像部及び第2撮像部のうち少なくとも一方を制御し、最も近い対象物体に、第1撮像部の光軸と前記第2撮像部の光軸とが交差してなる輻輳点を合わせる。表示部は、表示面に、第1映像データと第2映像データとから立体映像を表示する。かくして、輻輳点が撮影装置に最も近い対象物体に好適に合わせられる。この結果、表示部が立体映像を表示している間、対象物体以外の物体は、表示部の表示面よりも奥方に存在するように知覚されるため、視聴者への疲労が低減されることとなる。
【0009】
上記構成において、前記制御部は、前記第1撮像部から前記対象物体までの第1距離と、前記第2撮像部から前記対象物体までの第2距離とを測定する測距部と、前記第1距離と前記第2距離とを比較することによって、前記輻輳点が前記対象物体に合っているか否かを判定する判定部を備えることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、制御部は、第1撮像部から対象物体までの第1距離と、第2撮像部から対象物体までの第2距離とを測定する。判定部は、第1距離と第2距離とを比較することによって、輻輳点が対象物体に合っているか否かを判定する。かくして、対象物体が輻輳点にあっていない条件の下、第1映像データ及び第2映像データが取得されることが抑制されることとなる。
【0011】
上記構成において、前記制御部は、前記第1視野内における前記対象物体の位置と、前記第2視野内における前記対象物体の位置とを認識する位置認識部と、前記第1映像データ及び前記第2映像データを調整する調整部と、を含み、前記判定部は、前記対象物体が前記第1視野と前記第2視野のうちいずれの視野の方において、前記対象物体が端に映し出されているかを判定し、前記判定部が、前記第1視野において、前記対象物体が端に映されていると判定するならば、前記調整部は、前記対象物体が前記第1視野の中央に向けて移動するように前記第1映像データを調整し、前記輻輳点を前記対象物体に合わせ、前記判定部が、前記第2視野において、前記対象物体が端に映されていると判定するならば、前記調整部は、前記対象物体が前記第2視野の中央に向けて移動するように前記第2映像データを調整し、前記輻輳点を前記対象物体に合わせることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、位置認識部は、第1視野内における対象物体の位置並びに第2視野内における対象物体の位置を認識する。判定部は、対象物体が第1視野と第2視野のうちいずれの視野の方において、対象物体が端に映し出されているかを判定する。判定部が、第1視野において対象物体が端に映されていると判定するならば、調整部は、対象物体が第1視野の中央に向けて移動するように第1映像データを調整し、輻輳点を対象物体に合わせる。判定部が、第2視野において対象物体が端に映されていると判定するならば、調整部は、対象物体が第2視野の中央に向けて移動するように第2映像データを調整し、輻輳点を対象物体に合わせる。かくして、輻輳点が撮影装置に最も近い対象物体に合わせられる。この結果、表示部が立体映像を表示している間、対象物体以外の物体は、表示部の表示面よりも奥方に存在するように知覚されるため、視聴者への疲労が低減されることとなる。
【0013】
上記構成において、前記測距部は、前記第1撮像部から前記第1視野内に存在する複数の物体までの距離を測定するとともに前記第2撮像部から前記第2視野内に存在する複数の物体までの距離を測定し、前記調整部は、前記測定された距離のうち最小の距離にある前記物体を前記対象物体として、前記第1映像データ及び前記第2映像データのうち少なくとも一方を調整し、前記対象物体に前記輻輳点を合わせることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、測距部は、第1撮像部から前記第1視野内に存在する複数の物体までの距離を測定する。また、測距部は、第2撮像部から第2視野内に存在する複数の物体までの距離を測定する。更に、調整部は、測定された距離のうち最小の距離にある物体を対象物体として、第1映像データ及び第2映像データのうち少なくとも一方を調整することにより、対象物体に輻輳点を合わせる。かくして、複数の物体の中から撮影装置に最も近い対象物体に輻輳点を好適に合わせることができる。
【0015】
上記構成において、前記判定部が、前記第1視野内において測定された最小の距離が、前記第2視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、前記調整部は、前記第2視野内で測定された前記最小の距離に存する物体に、前記輻輳点を合わせるように前記第1映像データを調整し、前記判定部が、前記第2視野内において測定された最小の距離が、前記第1視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、前記調整部は、前記第1視野内で測定された前記最小の距離に存する物体に、前記輻輳点を合わせるように前記第2映像データを調整することが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、判定部が、第1視野内において測定された最小の距離が、第2視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、調整部は、第2視野内で測定された最小の距離に存する物体に、輻輳点を合わせるように第1映像データを調整する。判定部が、第2視野内において測定された最小の距離が、第1視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、調整部は、第1視野内で測定された最小の距離に存する物体に、輻輳点を合わせるように第2映像データを調整する。かくして、複数の物体の中から撮影装置に最も近い対象物体に輻輳点を好適に合わせることができる。
【0017】
上記構成において、前記判定部は、前記撮影装置と前記対象物体との間の距離に対して定められた閾値と前記第1視野内の前記最小の距離とを比較するとともに、前記閾値と前記第2視野内の前記最小の距離とを比較し、前記判定部が、前記第1視野内の前記最小の距離が前記閾値よりも短いと判定するならば、前記調整部は、前記閾値よりも離れた位置に存する物体のうち前記撮影装置に最も近い物体に前記輻輳点を合わせるように前記第1映像データを調整し、前記判定部が、前記第2視野内の前記最小の距離が前記閾値よりも短いと判定するならば、前記調整部は、前記閾値よりも離れた位置に存する物体のうち前記撮影装置に最も近い物体に前記輻輳点を合わせるように前記第2映像データを調整することが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、判定部は更に、撮影装置と対象物体との間の距離に対して定められた閾値と第1視野内の最小の距離とを比較する。また、判定部は、閾値と第2視野内の最小の距離とを比較する。判定部が、第1視野内の最小の距離が閾値よりも短いと判定するならば、調整部は、閾値よりも離れた位置に存する物体のうち撮影装置に最も近い物体に輻輳点を合わせるように第1映像データを調整する。判定部が、第2視野内の最小の距離が閾値よりも短いと判定するならば、調整部は、閾値よりも離れた位置に存する物体のうち撮影装置に最も近い物体に輻輳点を合わせるように第2映像データを調整する。かくして、閾値を設定することにより、立体映像として用いるのに不向きな程度に撮影装置に近い物体が、第1映像データ及び第2映像データに映し出されることを抑制することができる。
【0019】
上記構成において、前記調整部は、前記第1撮像部の前記光軸と前記第2撮像部の前記光軸とを含む平面内で、前記第1撮像部を回転させることにより、前記第1映像データを調整する第1調整部と、前記平面内で、前記第2撮像部を回転させることにより、前記第2映像データを調整する第2調整部と、を含むことが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、第1調整部は、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とを含む平面内で、第1撮像部を回転させる。したがって、視聴者の眼球の動きに沿う方向に第1撮像部の視野が変化することになり、第1撮像部と第2撮像部との間の輻輳点を好適に移動させることができる。第2調整部は、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とを含む平面内で、第2撮像部を回転させる。したがって、視聴者の眼球の動きに沿う方向に第2撮像部の視野が変化することになり、第1撮像部と第2撮像部との間の輻輳点を好適に移動させることができる。かくして、輻輳点が対象物体に好適に合わせられる。この結果、表示部が立体映像を表示している間、対象物体以外の物体は、表示部の表示面よりも奥方に存在するように知覚されるため、視聴者への疲労が低減されることとなる。
【0021】
上記構成において、前記第1撮像部は、前記対象物体の第1光学像を電気信号に変換し、前記第1映像データを生成する第1撮像素子部と、前記第1光学像を前記第1撮像素子部に結像させる第1レンズ部と、を含み、前記第2撮像部は、前記対象物体の第2光学像を電気信号に変換し、前記第2映像データを生成する第2撮像素子部と、前記第2光学像を前記第2撮像素子部に結像させる第2レンズ部と、を含み、前記調整部は、前記第1撮像部の前記光軸と前記第2撮像部の前記光軸とを含む平面内で、前記第1撮像部の前記光軸に交差する方向に、前記第1撮像素子部及び前記第1レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させることにより、前記第1映像データを調整する第1調整部と、前記平面内で、前記第2撮像部の光軸に交差する方向に前記第2撮像素子部及び前記第2レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させることにより、前記第2映像データを調整する第2調整部と、を含むことが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、第1レンズ部が、第1視野内に存在する複数の物体の第1光学像を第1撮像素子に結像させ、第1撮像素子が、第1光学像を電気信号に変換することによって、第1映像データが得られる。第2レンズ部が、第2視野内に存在する複数の物体の第2光学像を第2撮像素子に結像させ、第2撮像素子が、第2光学像を電気信号に変換することによって、第2映像データが得られる。第1調整部は、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とを含む平面内で、第1レンズ部の光軸に交差する方向に第1撮像部及び第1レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させる。したがって、視聴者の眼球の動きに沿う方向に第1撮像部の視野が変化することになり、輻輳点が好適に移動される。第2調整部は、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とを含む平面内で、第2レンズ部の光軸に交差する方向に第2撮像部及び第2レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させる。したがって、視聴者の眼球の動きに沿う方向に第2撮像部の視野が変化することになり、輻輳点が好適に移動される。かくして、輻輳点が対象物体に好適に合わせられる。この結果、表示部が立体映像を表示している間、対象物体以外の物体は、表示部の表示面よりも奥方に存在するように知覚されるため、視聴者への疲労が低減されることとなる。
【0023】
上記構成において、前記調整部は、前記対象物体が前記第1視野の中央に向けて移動するように、前記第1映像データをトリミングする第1調整部と、前記対象物体が前記第2視野の中央に向けて移動するように、前記第2映像データをトリミングする第2調整部と、を含むことが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、第1調整部は、第1位置が第1視野の中央に向けて移動するように、第1映像データをトリミングする。第2調整部は、対象物体が第2視野の中央に向けて移動するように、第2映像データをトリミングする。したがって、第1撮像部及び第2撮像部を機械的に動作させることなく、輻輳点の調整を行うことができ、撮影装置の小型化及び/又は軽量化が図られることとなる。
【発明の効果】
【0025】
上述の如く、本発明に係る撮影装置は、視聴者に与える疲労感が少ない3次元立体映像を作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撮影装置の概略的な外観斜視図である。
【図2】図1に示される撮影装置に用いられる表示部の表示原理を概略的に示す図である。
【図3】図1に示される撮影装置に用いられる表示部の他の表示原理を概略的に示す図である。
【図4】図1に示される撮影装置の構成を概略的に表すブロック図である。
【図5】図1に示される撮影装置の表示部の構成を概略的に表すブロック図である。
【図6】図1に示される撮影装置の映像データを処理する信号の流れを概略的に表すブロック図である。
【図7】図1に示される撮影装置の視野を表す概略図である。
【図8】図1に示される撮影装置が実行する測距工程を概略的に説明する図である。
【図9】図1に示される撮影装置の識別部が取得する位置データに関するイメージ図である。
【図10】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置を調整する工程を概略的に説明する図である。
【図11】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置を調整する工程を概略的に説明する図である。
【図12】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置調整前後の位置データの変化を概略的に説明する図である。
【図13】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置調整後に表示部が表示する映像の一例を概略的に説明する図である。
【図14】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置を調整する他の工程を概略的に説明する図である。
【図15】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置を調整する他の工程を概略的に説明する図である。
【図16】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置を調整する工程を概略的にまとめたフローチャートである。
【図17】図16に示されるフローチャートに沿って行われた工程中に得られる距離データの一例を概略的に説明する図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係る撮影装置の構成を概略的に表すブロック図である。
【図19】本発明の第3実施形態に係る撮影装置の構成を概略的に表すブロック図である。
【図20】本発明の第4実施形態に係る撮影装置の構成を概略的に表すブロック図である。
【図21】図20に示される撮影装置の輻輳点の位置の調整原理を概略的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る撮影装置について図面を参照して説明する。尚、図面に示される構成、配置或いは形状等並びに図面に関連する記載は、単に本発明の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る撮影装置の外観斜視図である。図1は、撮影装置の外観を概略的に示すものであり、撮影装置を構成する要素の形状や配置は、本発明を何ら限定するものではない。
【0029】
撮影装置1は、略直方体形状の筐体2と、筐体2の正面に現れる第1撮像部3及び第2撮像部4と、筐体2の上面に現れる表示部5と、筐体2の側面に現れるシャッタボタン6とを含む。第1撮像部3は、使用者の左眼で視認される第1映像データを取得するために用いられる。第2撮像部4は、使用者の右眼で視認される第2映像データを取得するために用いられる。第1撮像部3と第2撮像部4との距離は、人間の両眼の間隔に相当する。表示部5は、第1映像データと第2映像データとを用いて、立体映像を表示する。使用者は、表示部5が表示する立体映像を確認し、所望の映像が映されていると判断すると、シャッタボタン6を押し、第1映像データと第2映像データとを筐体2内のメモリ(図1に示されず)に記録することができる。
【0030】
図2は、表示部5が立体映像を表示するための原理の一例を示す。尚、図2に示される立体映像を表示するための原理は、単に一例にすぎず、他の原理を用いて立体映像が表示されてもよい。図2と併せて、図1を参照しつつ、表示部5が立体映像を表示するための原理が説明される。
【0031】
表示部5は、例えば、第1映像データ及び第2映像データを交互に表示する表示パネル51(例えば、液晶パネル)と、左眼へ向けて指向性の高い光を照射する第1光源52(例えば、LEDランプ)と、右眼へ向けて指向性の高い光を照射する第2光源53(例えば、LEDランプ)とを含む。表示パネル51に第1映像データが表示されるとき、第1光源52は、左眼に向けて光を照射し、使用者に左眼で第1映像データを視認させる。表示パネル51に第2映像データが表示されるとき、第2光源53は、右眼に向けて光を照射し、使用者に右眼で第2映像データを視認させる。これらの工程が繰り返されることにより、視聴者は、第1映像データ及び第2映像データに基づき、表示部5に表示される映像を立体的に知覚することができる。
【0032】
図3は、表示部5が立体映像を表示するための原理の他の例を示す。図3と併せて、図1を参照しつつ、表示部5が立体映像を表示するための他の原理が説明される。
【0033】
表示部5は、例えば、第1映像データ及び第2映像データを交互に表示する表示パネル51(例えば、液晶パネル、CRTパネル、プラズマディスプレイパネルや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイパネル)を含む。また、筐体2には、第1映像データ及び第2映像データの表示の切り替えに同期する同期信号を送信するための送信部55が取り付けられる。尚、送信部55は、同期信号として赤外光や無線信号(RF信号)を用いてもよい。或いは、送信部55として、同期信号を有線式に送信するための出力ポートが用いられてもよい。
【0034】
使用者は、眼鏡装置7を装着して、表示部5に表示される映像を立体的に知覚する。眼鏡装置7全体は、視力矯正用の眼鏡と略同様の形状をなす。眼鏡装置7は、眼鏡装置7を装着する使用者の左眼の前に位置する左眼フィルタ71と、右眼前に位置する右眼フィルタ72と、左眼フィルタ71と右眼フィルタ72との間に位置する受信部73とを含む。
【0035】
左眼フィルタ71及び右眼フィルタ72には、例えば、液晶シャッタを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、左眼及び/又は右眼へ透過する光量を調整可能な任意の光学素子を用いることができる。送信部55が同期信号として赤外光を照射するときは、受信部73として、赤外光を受光するとともに電気信号に変換する受光素子が用いられる。送信部55が同期信号として無線信号を送信するときは、受信部73として、無線信号を受信可能な受信機が用いられる。或いは、同期信号が有線式に送信される場合には、受信部73は、同期信号が入力される入力ポートとして形成される。
【0036】
眼鏡装置7は、同期信号の受信に基づき、左眼フィルタ71及び右眼フィルタ72を制御する。表示部5が、第1映像データを表示するとき、左眼フィルタ71が開かれるとともに右眼フィルタ72が閉じられる。したがって、第1映像データからの光は、主に左眼フィルタ71を透過することとなり、使用者は左眼で第1映像データを視認することとなる。表示部5が、第2映像データを表示するとき、左眼フィルタ71が閉じられるとともに右眼フィルタ72が開かれる。したがって、第2映像データからの光は、主に右眼フィルタ72を透過することとなり、使用者は右眼で第2映像データを視認することとなる。これらの工程が繰り返されることにより、視聴者は、第1映像データ及び第2映像データに基づき、表示部5に表示される映像を立体的に知覚することができる。
【0037】
図2及び図3に関連して説明された立体映像の表示原理は、単に例示的なものであり、本発明を何ら限定するものではない。したがって、2種類の映像データを用いて、視聴者に映像を立体的に知覚させる原理が適用された任意の装置が、表示部5として用いられてもよい。
【0038】
図4は、撮影装置1の筐体2内の構成を示すブロック図である。図4と併せて、図1を参照しつつ、撮影装置1のハードウェア構成が説明される。尚、図4に示される撮影装置1の構成は、単に例示的なものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0039】
上述の如く、撮影装置1は、使用者の左眼で視認される第1映像データを取得するために用いられる第1撮像部3を含む。第1撮像部3は、略円板状の基台部310と、基台部310に支持された第1レンズ部320及び第1撮像素子部330とを含む。第1基台部310の中心には回転シャフト311が設けられ、第1基台部310は筐体2内で回転可能である。第1基台部310の回転位置は、第1撮像部3の視野(以下、第1視野と称される)の角度を定める。第1レンズ部320と第1撮像素子部330とは、第1撮像部3の第1視野の大きさを定める。第1視野内に存在する単数又は複数の物体の光学像(以下、第1光学像と称される)が、第1撮像部3によって、第1映像データとして取得される。
【0040】
第1レンズ部320は、第1光学像を第1撮像素子部330に結像させるように配列された複数のレンズを含む。第1撮像素子部330は、第1撮像素子部330に結像された第1光学像を電気信号に変換し、第1映像データを生成するとともに電気信号として第1映像データを出力する。第1撮像素子部330として、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが好適に用いられるが、光学像を電気信号として出力可能な他の素子が用いられてもよい。
【0041】
第1レンズ部320の複数のレンズには、筐体2の外面に露出する焦点調節レンズ321が含まれる。第1撮像部3は更に、焦点調節レンズ321を第1レンズ部320の光軸OA1に沿って移動させる焦点調節駆動部322(例えば、モータ)を含む。本実施形態の第1撮像部3には、焦点調節レンズ321を光軸OA1に沿って移動させるための任意の機構が適用可能である。
【0042】
第1撮像部3は更に、第1基台部310を回転させるための輻輳角調節駆動部312を含む。輻輳角調節駆動部312として、例えば、回転シャフトにウォームギアが取り付けられたモータを用い、ウォームギアと第1基台部310の周面に形成されたギア歯とを噛み合わせることにより、第1基台部310が回転されてもよい。尚、本実施形態は、前述の構造に限られず、輻輳角調節駆動部312として、第1基台部310を回転させることが可能な任意の装置を用いることができる。
【0043】
上述の如く、撮影装置1は、使用者の右眼で視認される第2映像データを取得するために用いられる第2撮像部4を含む。第2撮像部4は、略円板状の基台部410と、基台部410に支持された第2レンズ部420及び第2撮像素子部430とを含む。第2基台部410の中心には回転シャフト411が設けられ、第2基台部410は筐体2内で回転可能である。第2基台部410の回転位置は、第2撮像部4の視野(以下、第2視野と称される)の角度を定める。第2レンズ部420と第2撮像素子部430とは、第2撮像部4の第2視野の大きさを定める。第2視野内に存在する単数又は複数の物体の光学像(以下、第2光学像と称される)が、第2撮像部4によって、第2映像データとして取得される。
【0044】
第2レンズ部420は、第2光学像を第2撮像素子部430に結像させるように配列された複数のレンズを含む。第2撮像素子部430は、第2撮像素子部430に結像された第2光学像を電気信号に変換し、第2映像データを生成するとともに電気信号として第2映像データを出力する。第2撮像素子部430として、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが好適に用いられるが、光学像を電気信号として出力可能な他の素子が用いられてもよい。
【0045】
第2レンズ部420の複数のレンズには、筐体2の外面に露出する焦点調節レンズ421が含まれる。第2撮像部4は更に、焦点調節レンズ421を第2レンズ部420の光軸OA2に沿って移動させる焦点調節駆動部422(例えば、モータ)を含む。本実施形態の第2撮像部4には、焦点調節レンズ421を光軸OA2に沿って移動させるための任意の機構が適用可能である。
【0046】
第2撮像部4は更に、第2基台部410を回転させるための輻輳角調節駆動部412を含む。輻輳角調節駆動部412として、例えば、回転シャフトにウォームギアが取り付けられたモータを用い、ウォームギアと第2基台部410の周面に形成されたギア歯とを噛み合わせることにより、第2基台部410が回転されてもよい。尚、本実施形態は、前述の構造に限られず、輻輳角調節駆動部412として、第2基台部410を回転させることが可能な任意の装置を用いることができる。
【0047】
撮影装置1は更に、第1撮像部3及び第2撮像部4を制御するための制御部8を含む。制御部8は、第1撮像素子部330からアナログ信号として出力された第1映像データをデジタル変換するAD変換部331と、AD変換部331から出力された第1映像データのデジタル信号を符号化並びに圧縮し、表示部5へ出力する圧縮部332と、AD変換部331から出力された第1映像データのデジタル信号に基づき、焦点調節駆動部322を制御するための焦点制御信号を生成する焦点調節制御部333と、焦点制御信号に基づき、焦点調節駆動部322を駆動させるための駆動信号を生成する駆動制御部334とを含む。第1映像データのデジタル信号に基づく焦点制御信号の生成及び焦点制御信号と駆動信号とに基づく焦点調節駆動部322の駆動は、任意のオートフォーカス技術によって達成されてもよい。
【0048】
制御部8は更に、第2撮像素子部430からアナログ信号として出力された第2映像データをデジタル変換するAD変換部431と、AD変換部431から出力された第2映像データのデジタル信号を符号化並びに圧縮し、表示部5へ出力する圧縮部432と、AD変換部431から出力された第2映像データのデジタル信号に基づき、焦点調節駆動部422を制御するための焦点制御信号を生成する焦点調節制御部433と、焦点制御信号に基づき、焦点調節駆動部422を駆動させるための駆動信号を生成する駆動制御部434とを含む。第2映像データのデジタル信号に基づく焦点制御信号の生成及び焦点制御信号と駆動信号とに基づく焦点調節駆動部422の駆動は、任意のオートフォーカス技術によって達成されてもよい。
【0049】
制御部8は更に、第1撮像部3及び第2撮像部4の輻輳角調節駆動部312,412を制御するための輻輳角制御信号を生成する輻輳角制御部810と、輻輳角制御信号に基づき、第1撮像部3の輻輳角調節駆動部312を駆動する駆動信号を出力する第1調整部820と、第2撮像部4の輻輳角調節駆動部412を駆動する駆動信号を出力する第2調整部830とを含む。第1調整部820及び第2調整部830は、輻輳角調節駆動部312,412にモータが用いられる場合には、モータドライバとすることができる。第1撮像部3及び第2撮像部4の焦点調節制御部333,433から輻輳角制御部810へ輻輳角制御信号を生成するための信号(後に詳述される)が送信される。輻輳角制御部810は、焦点調節制御部333,433からの信号に基づき、第1撮像部3と第2撮像部との間で形成される輻輳角に関する演算を行い、第1調整部820及び第2調整部830のうち少なくとも一方に輻輳角制御信号を出力する。第1調整部820及び第2調整部830は、輻輳角制御信号に基づき、所定の角度だけ、第1基台部310及び第2基台部410を回転させるように、第1撮像部3及び第2撮像部4の輻輳角調節駆動部312,412を制御する。
【0050】
図5は、表示部5への信号の流れを示すブロック図である。図5と併せて、図1乃至図4を参照しつつ、表示部5への信号の流れが説明される。
【0051】
上述の如く、圧縮部332,432から符号化並びに圧縮された第1映像データ及び第2映像データの信号が出力される。撮影装置1は、上述の表示部5に加えて、圧縮部332,432からの第1映像データ及び第2映像データの信号を復号する復号部 510と、復号された信号を表示部5の大きさに応じて第1映像データと第2映像データとの間の視差を調整する立体信号処理部520と、第1映像データ及び第2映像データとを記録可能な記憶部530とを更に含む。
【0052】
図1に関連して説明されたシャッタボタン6が押されると、復号部510は、記憶部530に復号化された或いは符号化された第1映像データ及び第2映像データとを記憶部530に記録する。記憶部530は、筐体2に対して着脱自在に取り付けられる可搬型の記憶媒体であってもよいし、或いは、筐体2に内蔵されるメモリであってもよい。復号部510は、圧縮部332,432から符号化並びに圧縮された第1映像データ及び第2映像データの信号を立体信号処理部520に出力する。或いは、記憶部530に記憶された第1映像データ及び第2映像データの復号化された信号を立体信号処理部520へ出力する。
【0053】
立体信号処理部520は、例えば、映像を表示する表示部5の特性に応じて、第1映像データ及び第2映像データの信号を調整する。立体信号処理部520は、例えば、表示部5の表示面の大きさに応じて、第1映像データと第2映像データとの間の視差を調整するとともに、第1映像データと第2の映像データとを所定の順序で並べる。例えば、立体信号処理部520は、第1映像データと第2の映像データとを交互に並べてもよい。表示部5は、立体信号処理部520によって調整された第1映像データ及び第2の映像データの信号を映像として表示し、図2及び図3に関連して説明されたような光学的効果を使用者に与える。
【0054】
図6は、焦点調節制御部333,433から輻輳角制御部810への信号の流れを示すブロック図である。図6と併せて、図4を参照しつつ、焦点調節制御部333,433から輻輳角制御部810への信号の流れが説明される。
【0055】
焦点調節制御部333には、上述の如く、第1レンズ部320と第1撮像素子部330で定められる第1視野内に存在する物体の第1光学像のデジタル信号(第1映像データ)が入力される。焦点調節制御部333は、第1撮像部3から第1視野内に存在する物体までの距離を計測する第1測距部381と、第1映像データに基づき、第1視野内における物体の位置を認識する第1認識部382とを含む。第1測距部381は、第1撮像部3から第1視野内に存在する物体までの距離に関するデータ(以下、第1距離データと称される)を輻輳角制御部810へ出力する。第1認識部382は、第1視野内における物体の位置に関するデータ(以下、第1位置データと称される)を輻輳角制御部810へ出力する。尚、図6に示される第1距離データ及び第1位置データは、個別に輻輳角制御部810へ出力されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1距離データ及び第1位置データが座標データの信号として一括で輻輳角制御部810へ出力されてもよい。尚、第1距離データ及び第1位置データは、通常のオートフォーカス技術の中で用いられるものと同様であり、第1距離データ及び第1位置データを用いて、第1撮像部3の焦点調節レンズ321の位置が変更され、第1撮像部3が取得する第1映像データの焦点が調節されることとなる。
【0056】
同様に、焦点調節制御部433には、上述の如く、第2レンズ部420と第2撮像素子部430で定められる第2視野内に存在する物体の第2光学像のデジタル信号(第2映像データ)が入力される。焦点調節制御部433は、第2撮像部4から第2視野内に存在する物体までの距離を計測する第2測距部481と、第2映像データに基づき、第2視野内における物体の位置を認識する第2認識部482とを含む。第2測距部481は、第2撮像部4から第2視野内に存在する物体までの距離に関するデータ(以下、第2距離データと称される)を輻輳角制御部810へ出力する。第2認識部482は、第2視野内における物体の位置に関するデータ(以下、第2位置データと称される)を輻輳角制御部810へ出力する。尚、図6に示される第2距離データ及び第2位置データは、個別に輻輳角制御部810へ出力されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2距離データ及び第2位置データが座標データの信号として一括で輻輳角制御部810へ出力されてもよい。尚、第2距離データ及び第2位置データは、通常のオートフォーカス技術の中で用いられるものと同様であり、第2距離データ及び第2位置データを用いて、第2撮像部4の焦点調節レンズ421の位置が変更され、第2撮像部3が取得する第2映像データの焦点が調節されることとなる。
【0057】
図7は、撮影装置1によって撮影される物体の配置の一例を概略的に示す。尚、図7に示される物体の配置は、単に一例にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。
【0058】
撮影装置1の第1撮像部3から略扇形状に第1視野VF1が拡がり、第2撮像部4から略扇形状に第2視野VF2が拡がる。図7において、第1視野VF1と第2視野VF2とが重なり合った領域にハッチングがされているが、このハッチングされた領域は、共通視野VFCと以下称される。図7において、例えば、三角柱状の物体A及びBと直方体状の物体C及びDとが示されている。物体A,C,Dは、共通視野VFC内に存在するが、物体Bは、第1視野VF1及び第2視野VF2のいずれの視野にも入っていない。
【0059】
図8は、第1測距部381及び第2測距部481による物体までの距離の計測を概略的に説明する。図8と併せて、図4及び図6を参照しつつ、第1測距部381及び第2測距部481による物体までの距離の計測が説明される。
【0060】
第1測距部381は、第1撮像部3から第1視野VF1内に存在する複数の物体(図8においては、物体A,C,D)までのそれぞれの距離を計測する。第2測距部481は、第2撮像部4から第2視野VF2内に存在する複数の物体(図8においては、物体A,C,D)までのそれぞれの距離を計測する。アクティブ方式のオートフォーカス技術で用いられるように、第1測距部381及び第2測距部481による物体までの距離は、第1撮像部3及び第2撮像部4から赤外線又は超音波を照射し、反射波が戻るまでの時間や反射角度に基づいて決定されてもよい。或いは、パッシブ方式のオートフォーカス技術で用いられるように、第1撮像部3及び第2撮像部4が取得した第1映像データ及び第2映像データを用いて(例えば、位相差検出方式、コントラスト検出方式やパッシブ外光方式を用いて)、第1測距部381及び第2測距部481による物体までの距離が決定されてもよい。
【0061】
図8において、第1測距部381は、第1撮像部3から物体Aまでの距離a1、第1撮像部3から物体Cまでの距離c1及び第1撮像部3から物体Dまでの距離d1を計測している。第2測距部481は、第2撮像部4から物体Aまでの距離a2、第2撮像部4から物体Cまでの距離c2及び第2撮像部4から物体Dまでの距離d2を計測している。第1測距部381は、計測された第1距離データセット(a1,c1,d1)を輻輳角制御部810へ出力する。第2測距部481は、計測された第2距離データセット(a2,c2,d2)を輻輳角制御部810へ出力する。
【0062】
図9は、第1認識部382及び第2認識部482によって生成される第1位置データ及び第2位置データのイメージ図である。図9と併せて、図4及び図8を参照しつつ、第1位置データ及び第2位置データが説明される。
【0063】
図9中の鎖線で囲まれる領域それぞれは、第1視野VF1(図9中左図)及び第2視野VF2(図9中右図)を示す。第1視野VF1及び第2視野VF2内にはそれぞれ物体A,C,Dが映し出されている。物体Aは、第1視野VF1の端に映し出されている一方で、第2視野の中央に映し出されている。図9に示されるように、第1認識部382は、第1視野VF1内の複数の物体A,C,Dの位置を認識する。第2認識部482は、第2視野VF2内の複数の物体A,C,Dの位置を認識する。
【0064】
第1認識部382は、第1位置データを輻輳角制御部810へ出力し、第2認識部482は、第2位置データを輻輳角制御部810へ出力する。尚、第1距離データセット(a1,c1,d1)と第1位置データとが関連づけられて輻輳角制御部810へ出力され、第2距離データセット(a2,c2,d2)と第2位置データとが関連づけられて輻輳角制御部810へ出力されることが好ましい。例えば、計測された距離a1と第1視野VF1中の物体Aが占める領域の座標データとが関連づけられて、輻輳角制御部810へ出力され、計測された距離a2と第2視野VF2中の物体Aが占める領域の座標データとが関連づけられて、輻輳角制御部810へ出力される。
【0065】
輻輳角制御部810は、第1距離データセット(a1,c1,d1)に基づき、第1視野VF1内に存在する物体の中で、最も第1撮像部3に近接する物体までの距離は「a1」であることを認識する。また、第1距離データセット(a1,c1,d1)と第1位置データとに基づき、第1撮像部3から距離「a1」の位置に存在する物体は、第1視野VF1の右端に存在すると判定する。
【0066】
同様に、輻輳角制御部810は、第2距離データセット(a2,c2,d2)に基づき、第2視野VF2内に存在する物体の中で、最も第2撮像部4に近接する物体までの距離は「a2」であることを認識する。また、第2距離データセット(a2,c2,d2)と第2位置データとに基づき、第2撮像部4から距離「a2」の位置に存在する物体は、第2視野VF2の中央に存在すると判定する。
【0067】
輻輳角制御部810は更に、第1視野VF1の中央位置から第1撮像部3から距離「a1」の位置に存在する物体までの距離と、第2視野VF2の中央位置から第2撮像部4から距離「a2」の位置に存在する物体までの距離とを比較する。図9に示されるように、第1視野VF1において、物体Aは第1視野VF1の端に存在し、第2視野VF2において、物体Aは第2視野VF2の中央に存在するので、第1視野VF1の中央位置から第1撮像部3から距離「a1」の位置に存在する物体までの距離は、第2視野VF2の中央位置から第2撮像部4から距離「a2」の位置に存在する物体までの距離よりも長い。このとき、輻輳角制御部810は第1撮像部3が調整されるべきと判定する。一方、撮像部4から距離「a2」の位置に存在する物体までの距離が、第1視野VF1の中央位置から第1撮像部3から距離「a1」の位置に存在する物体までの距離よりも長いならば、輻輳角制御部810は第2撮像部4が調整されるべきと判定する。かくして、輻輳角制御部810は、第1視野VF1及び第2視野VF2中の物体の位置に基づいて、第1撮像部3及び第2撮像部4のうちいずれを動作させるべきかを判定するための判定部として用いられる。尚、第1視野VF1及び第2視野VF2中の物体の位置は、第1視野VF1及び第2視野VF2中の物体が占める領域中の任意の点(例えば、物体が占める領域の中心点、重心点或いは領域の境界上の任意の点、第1視野VF1又は第2視野VF2の中心点に最も近接する任意の点)とされてもよい。
【0068】
上述の如く、輻輳角制御部810は、第1撮像部3が調整されるべきことを判定した後、第1調整部820に輻輳角制御信号を送信し、第1調整部820は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部312を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部312は動作し、輻輳角制御信号によって定められる回転角度だけ第1基台部310を回転させる。
【0069】
輻輳角制御部810が、第2撮像部4が調整されるべきことを判定した場合には、輻輳角制御部810は、第2調整部830に輻輳角制御信号を出力し、第2調整部830は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部412を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部412は動作し、輻輳角制御信号によって定められる回転角度だけ第2基台部410を回転させる。
【0070】
図10は、第1基台部310の回転後の第1視野VF1及び第2視野VF2を示す。図10と図7を対比しつつ、又、図10及び図7と併せて、図4を参照しつつ、第1基台部310の回転による撮影装置1の視野の変化が説明される。
【0071】
輻輳角制御部810が出力する輻輳角制御信号は、第1撮像部3の光軸OA1が物体Aを通過するように定められる。輻輳角調節駆動部312の駆動により、第1基台部310は、光軸OA1が物体Aを通過するまで回転する。第1基台部310は、第1撮像部3の光軸OA1と第2撮像部4の光軸OA2とを含む平面内で回転する。この結果、第1撮像部3と第2撮像部4との間で定められる輻輳点CP(第1撮像部3の光軸OA1と第2撮像部4の光軸OA2との交点)は、撮影装置1に近づき、物体A上に設定されることとなる。
【0072】
第1基台部310の回転の結果、第1視野VF1は右方に回転移動する。第1視野VF1の回転に伴い、第1視野VF1と第2視野VF2との間で定められる共通視野VFC(図10中、ハッチングされた領域)も変化する。第1視野VF1の回転の結果、第1視野VF1内には、物体A及びCが含まれ、物体D及び物体Bは、第1視野VF1内に存在しないこととなる。
【0073】
図11は、第1測距部381による第1視野VF1内の物体までの距離の計測を示す。図11と併せて、図4、図8及び図10を参照しつつ、第1測距部381による第1視野VF1内の物体までの距離の計測が説明される。
【0074】
上述の如く、第1視野VF1の回転により、第1視野VF1内の物体の位置が変化しているため、第1測距部381は、再度、第1撮像部3から第1視野VF1内の物体までの距離を再計測する。第1測距部381による距離の計測手法は、図8に関連して説明された手法と同様である。第1測距部381によって、第1撮像部3から新たに設定された第1視野VF1内の物体A,Cまでの第1距離データセット(a1,c1)が生成される。第1測距部38は、再計測により得られた第1距離データセット(a1,c1)を輻輳角制御部810へ送信する。輻輳角制御部810は、新たに設定された第1視野VF1に基づいて測定された第1撮像部3から物体Aまでの距離「a1」と先に計測された第2撮像部4から物体Aまでの距離「a2」とを比較する。上述の如く、第1撮像部3と第2撮像部4との間で定められる輻輳点CPは、物体A上に設定されているので、第1撮像部3から物体Aまでの距離「a1」と先に計測された第2撮像部4から物体Aまでの距離「a2」とは、略等しいこととなる。輻輳角制御部810は、距離「a1」と距離「a2」との差が所定の範囲ならば、第1撮像部3と第2撮像部4との間で定められる輻輳点CPが共通視野VFC内において撮影装置1に最も近い物体に合わせられるものとして、第1撮像部3及び第2撮像部4に対する更なる制御を行わない。撮影装置1に最も近接する物体は、本実施形態において、第1撮像部3と第2撮像部4とで定められる輻輳点が合わせられるべき対象物体となる。尚、輻輳角制御部810が用いる距離「a1」と距離「a2」との差に対する所定の範囲は、例えば、第1撮像部3と第2撮像部4との間隔(光軸OA1の基端と光軸OA2の基端との間隔)、第1基台部310及び第2基台部410の回転位置、第1視野VF1及び第2視野VF2の大きさを用いて適宜定めることができる。
【0075】
図12は、第1認識部382及び第2認識部482によって生成される第1位置データ及び第2位置データのイメージ図である。図12(a)は、第1視野VF1を回転移動させた後の第1位置データ及び第2位置データを示し、図12(b)は、第1視野VF1を回転移動させる前の第1位置データ及び第2位置データを示す。
【0076】
図12中の鎖線で囲まれる領域それぞれは、第1視野VF1(図12中左図)及び第2視野VF2(図12中右図)を示す。第1視野VF1が回転移動される前において、第1位置データの第1視野VF1内には、物体A,C,Dが映し出されていたが、第1視野VF1が回転移動された後において、第1位置データの第1視野VF1内には、物体A,Cが映し出され、物体Dは映し出されていない。また、第1視野VF1が回転移動される前において、物体Aは第1視野VF1の端に位置していたが、第1視野VF1が回転移動された後において、物体Aは第1視野VF1の中央領域を占めている。第2位置データは、第2視野VF2が回転移動されていないため、変化していない。したがって、第1視野VF1が調整された後、第1認識部382及び第2認識部482は、第1視野VF1及び第2視野VF2の中央において、対象物体(物体A)を認識することとなる。図12に示される第1位置データ及び第2位置データに相当する第1映像データ及び第2映像データが、上述の如く、表示部5に出力されることとなる。
【0077】
上述の説明において、第1調整部820によって、対象物体が第1視野の中央領域に位置するように第1映像データが調整されたが、対象物体が第2視野VF2の端にあるとき(或いは、第2視野VF2の中央領域から対象物体までの距離が、第1視野VF1の中央領域から対象物体までの距離よりも長いとき)は、第2調整部830によって、対象物体が第2視野の中央領域に位置するように第2映像データが調整される。第2調整部830によって、第2映像データが調整されるならば、第2測距部481によって、第2視野VF2の回転移動がなされた後の第2視野VF2内に存在する物体と第2撮像部4との間の距離が再計測される。
【0078】
尚、第1映像データ及び第2映像データを得たとき、輻輳点CPが共通視野VFC内に存在する全ての物体よりも撮影装置1に対して近接する位置に存するとき、輻輳角制御部810は、第1基台部310及び第2基台部410の回転位置を用いて、輻輳点CPの位置を算出し、算出された輻輳点CPの位置と、第1測距部381及び第2測距部481によって測定された距離データとを比較し、輻輳点CPの位置が撮影装置1から遠ざかるように、第1調整部820及び第2調整部830に輻輳角制御信号を出力してもよい。
【0079】
図13は、表示部5によって映し出される物体と表示部5の表示面との位置関係を示す。図13と併せて、図4及び図7乃至図12を参照しつつ、表示部5によって映し出される物体と表示部5の表示面との位置関係が説明される。
【0080】
図7乃至図12に関連して説明された工程を経て、輻輳点CPが物体A上に設定されるので、物体Aは、表示部5の表示面上に存在するように知覚される。また、物体Aよりも後方に映し出された物体C及びDは、表示部5の表示面よりも奥方に位置していると知覚される。このようにして、視聴者は表示部5の表示面から過度に飛び出た物体を知覚することなく、立体的な映像を視認することができる。
【0081】
図14は、他の配置がなされた物体を撮影するときの撮影装置1の動作を説明する。図14と併せて、図4及び図6乃至図11を参照しつつ、撮影装置1の動作が説明される。図14(a)乃至図14(c)は、撮影装置1の動作工程を順に示している。
【0082】
上述の如く、第1測距部381及び第2測距部481それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体までの距離を計測する。第1視野VF1内には、物体A,C,Dが存在しているが、物体Dは物体Aによって隠されているので、第1測距部381は、物体A,Cの距離を計測する。第2視野VF2内には、物体A,B,Dが存在しているので、第2測距部481は、物体A,B,Dまでの距離を計測する。図14(a)において、第1測距部381から得られる第1距離データセットは、(a1(物体Aまでの距離),c1(物体Cまでの距離))である。第2測距部481から得られる第2距離データセットは、(a2(物体Aまでの距離),b2(物体Bまでの距離),d2(物体Dまでの距離))である。輻輳角制御部810は、第1測距部381から得られた第1距離データセットのうち、最も小さな値「a1」と、第2測距部481から得られた第2距離データセットのうち、最も小さな値「b2」とを比較する。図14(a)に示される物体の配置では、「a1>b2」となる。
【0083】
上述の比較の結果、輻輳角制御部810は、第1撮像部3を操作すべきと判定し、第1調整部820に輻輳角制御信号を出力する。第1調整部820は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部312を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部312が作動し、輻輳点CPが撮影装置1に近づくように第1基台部310が回転する。この結果、物体Bが第1視野VF1の中央領域に収まることとなる(図14(b)参照)。
【0084】
第1測距部381及び第2測距部481それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体までの距離を計測する。また、図9に関連して説明されたように、第1認識部382及び第2認識部482それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体の位置を認識する。この結果、図14に示される物体の配置並びに第1視野VF1及び第2視野VF2の設定において、共通視野VFC内に存在する物体Bは、第1視野VF1の中央領域に存在する一方で、第2視野VF2の端に存在しているということを輻輳角制御部810は判定する。この結果、輻輳角制御部810は、第2撮像部4を動作させるべきことを決定し、第2調整部830に輻輳角制御信号を出力する。第2調整部830は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部412を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部412が作動し、物体Bが第2視野VF2の中央領域に収まるように第2基台部410が回転する(図14(c)参照)。この結果、輻輳点CPが物体B上に設定されることとなる。
【0085】
図14に関連して説明された撮影装置1の動作では、第1距離データセットの最小値が第2距離データセットの最小値より大きかったので、第1撮像部3が先に動作されたが、第2距離データセットの最小値が第1距離データセットの最小値より大きい場合には、第2撮像部4が先に動作される。
【0086】
図15は、撮影装置から物体までの距離或いは輻輳角に対して閾値を設定したときの撮影装置1の動作を説明する。図15と併せて、図4乃至図11及び図14を参照しつつ、撮影装置1の動作が説明される。図15(a)乃至図15(c)は、撮影装置1の動作工程を順に示している。
【0087】
近すぎる距離で撮影された物体は、立体的な知覚に好適ではない。例えば、テレビ装置のディスプレイを通じて視聴される映像を得るためには、例えば、2〜3m離れた距離で物体を撮影することが好ましい。或いは、立体的に物体を知覚させるための映像を撮影するときの第1撮像部3と第2撮像部4との間で形成される輻輳角は1°から10°の間が好ましい。したがって、第1撮像部3と第2撮像部4との間で形成される輻輳点CPから撮影装置1までの距離に対して閾値を設け、閾値を基準に第1撮像部3及び第2撮像部4を制御することが好ましい。輻輳点CPから撮影装置1までの距離に対する閾値は、例えば、記憶部530に予め記録されてもよい。
【0088】
上述の如く、第1測距部381及び第2測距部481それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体までの距離を計測する。第1視野VF1内には、物体A,C,Dが存在しているが、物体Dは物体Aによって隠されているので、第1測距部381は、物体A,Cの距離を計測する。第2視野VF2内には、物体A,B,Dが存在しているので、第2測距部481は、物体A,B,Dまでの距離を計測する。図15(a)において、第1測距部381から得られる第1距離データセットは、(a1(物体Aまでの距離),c1(物体Cまでの距離))である。第2測距部481から得られる第2距離データセットは、(a2(物体Aまでの距離),b2(物体Bまでの距離),d2(物体Dまでの距離))である。輻輳角制御部810は、第1測距部381から得られた第1距離データセットのうち、最も小さな値「a1」と、記憶部530に記憶された輻輳点CPから撮影装置1までの距離に対する閾値とを比較する。また、第2測距部481から得られた第2距離データセットのうち、最も小さな値「b2」と、輻輳点CPから撮影装置1までの距離に対する閾値とを比較する。この結果、図15(a)に示される物体の配置では、「a1>閾値>b2」となる。
【0089】
図14に関連して説明された撮影装置1の動作において、輻輳点CPは物体Bに合わされたが、図15に示される物体の配置において、物体Bに輻輳点CPが合わせられると、立体的に知覚される映像として好ましくない輻輳角の下、物体が撮影されることとなる。したがって、輻輳角制御部810は、閾値より低い測定値に関連する第2撮像部4を動作させることを決定する。
【0090】
上述の比較の結果、輻輳角制御部810は、第2調整部830に輻輳角制御信号を出力する。第2調整部830は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部412を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部412が作動し、物体Aが第2視野VF2の中央領域に収まるように第2基台部410が回転する(図15(b)参照)。
【0091】
第1測距部381及び第2測距部481それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体までの距離を計測する。また、図9に関連して説明されたように、第1認識部382及び第2認識部482それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体の位置を認識する。この結果、図15に示される物体の配置並びに第1視野VF1及び第2視野VF2の設定において、共通視野VFC内に存在する物体Aは、第2視野VF2の中央領域に存在する一方で、第1視野VF1の端に存在しているということを輻輳角制御部810は判定する。したがって、輻輳角制御部810は、第1撮像部3を動作させるべきことを決定し、第1調整部820に輻輳角制御信号を出力する。第1調整部820は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部312を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部312が作動し、物体Aが第1視野VF1の中央領域に収まるように第1基台部310が回転する(図15(c)参照)。この結果、輻輳点CPが物体A上に設定されることとなる。かくして、立体的に知覚されるのに好適な輻輳角の設定の下、物体の撮影を行うことが可能となる。
【0092】
尚、図15に示される撮影装置1の動作の結果、物体Bは、表示部5に映し出されないこととなる。使用者が物体Bを撮影しようとしている場合は、表示部5に映し出される映像から、物体Bに対する立体映像の撮影に好ましい構図ではないことを判断することができる。また、物体Aに輻輳点が合わせられている状態において、物体Bの一部が表示部5に映し出されているときも、視聴者は、表示部5に映し出される映像から、立体映像の撮影に好ましい構図ではないことを判断することができる。
【0093】
図16は、図7乃至図17に関連して説明された撮影装置1の動作工程をまとめたフローチャートである。図17は、図16に示されるフローチャートに従って得られた物体までの距離のデータセットを示す。図16及び図17と併せて、図4乃至図15を参照しつつ、撮影装置1の動作工程が説明される。
【0094】
撮影開始時において、第1撮像部3と第2撮像部4とで形成される輻輳点CPまでの距離は、撮影装置1から2mの距離に設定されている。上述の如く、撮影が開始されると、第1測距部381は、第1視野VF1内に存在する物体までの距離を測定し、第2測距部481は、第2視野VF2内に存在する物体までの距離を測定する(S100)。この結果、第1測距部381は、第1視野VF1内に存在する物体aに対し、「1.0m」との距離データを生成し、物体bに対し、「2.0m」との距離データを生成する。第2測距部481は、第2視野VF2内に存在する物体xに対し、「1.0m」との距離データを生成し、物体yに対し、「2.0m」との距離データを生成する。
【0095】
第1測距部381及び第2測距部481から出力される距離データと、第1基台部310及び第2基台部410の回転位置から、輻輳角制御部810は、現在の輻輳点よりも近くに物体が存在すると判定し、撮影装置1から距離「1.0m」の位置にある物体に輻輳点を合わせるように、輻輳角を計算し、輻輳角制御信号を生成する(S110)。例えば、図9に関連して説明されたように、物体aが第1視野VF1の中央領域に位置するように第1基台部310の回転角を算出し、物体xが第2視野VF2の中央領域に位置するように第2基台部410の回転角を算出することによって、輻輳角の計算並びに輻輳角制御信号の生成がなされる。輻輳角制御信号に従い、第1基台部310及び第2基台部410が回転する。
【0096】
第1測距部381及び第2測距部481は、新たに設定された第1視野VF1及び第2視野VF2内に存する物体までの距離を計測する。ここで、新たに設定された第1視野VF1及び第2視野VF2内に存する物体のうち最も撮影装置1に近接する物体までの距離データの値が互いに等しい或いは所定範囲で近似しているならば、輻輳角制御部810は、輻輳点CPが対象物体上で収束したと判断し、新たに設定された第1視野VF1及び第2視野VF2内に存する物体のうち最も撮影装置1に近接する物体までの距離データの値が異なる或いは所定範囲で近似していないならば、輻輳角制御部810は、輻輳点CPが対象物体上で収束していないと判断する(S120)。図17に示される距離データセットによれば、新たに設定された第1視野VF1内に新たに物体cが含まれていることが分かる。また、物体cは、第1視野VF1内に存在する物体のうち第1撮像部3に最も近いことが分かる。また、第1視野VF1内において撮影装置1に最も近接する物体cまでの距離が「0.5m」であるのに対し、第2視野VF2内において撮影装置1に最も近接する物体xまでの距離が「1.0m」であり、距離データの最小値間に有意な差が認められるので、輻輳角制御部810は、輻輳点CPが対象物体上で収束していないと判断する。
【0097】
その後、図14に関連して説明されたように、輻輳角制御部810は、第1測距部381から得られた第1距離データセット内の最小値と第2測距部481から得られた第2距離データセット内の最小値とを比較し、撮影装置1から「0.5m」の距離に存する物体に輻輳点CPを設定することを決定する(S130)。この決定の基づき、輻輳角制御部810は、輻輳角を計算し、輻輳角制御信号を生成する(S110)。そして、輻輳角制御信号に基づき、第1基台部310及び/又は第2基台部410が回転し、輻輳点CPが撮影装置1から「0.5m」の距離に存する物体に合わせられる。
【0098】
その後、第1測距部381及び第2測距部481は、新たに設定された第1視野VF1及び第2視野VF2内に存する物体までの距離を計測する。輻輳角制御部810は、新たに得られた第1距離データセット内の最小値と第2距離データセット内の最小値とを比較し、輻輳点CPが対象物体上で収束したか否かを判定する(S120)。図17に示されるデータによれば、第1距離データセット内の最小値は、物体cに対して得られた「0.5m」であり、第2距離データセット内の最小値は、物体zに対して得られた「0.5m」である。したがって、両者の値が等しいので、輻輳角制御部810は、輻輳点CPが対象物体上で収束したと判定する。
【0099】
上述の如く、表示部5は、第1撮像部3及び第2撮像部4から得られた第1映像データ及び第2映像データを交互に表示し、立体的に知覚可能な映像を使用者に表示する。したがって、使用者は表示部5に表示された映像に基づき、使用者が意図した映像が得られているか否かを判断することができる(S140)。意図した映像が表示されていない場合には、使用者は撮影装置1を移動させ、新たな構図で撮影を始めることができる(S150)。
【0100】
意図した映像が表示されている場合には、使用者はシャッタボタン6(図1参照)を押し、撮影を終了する(S160)。そして、図5に関連して説明された如く、第1映像データ及び第2映像データは記憶部530に記録されることとなる。
【0101】
(第2実施形態)
図18は、本発明の第2実施形態に係る撮影装置1のブロック図である。尚、以下、第2実施形態と第1実施形態との間の相違点に関して説明され、これら実施形態において共通する構成に関する説明は省略される。
【0102】
第2実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角制御部810に代えて、撮像素子制御部810aが用いられる。第2実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角調節駆動部312に代えて、撮像素子調節駆動部312aが用いられる。第2実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角調節駆動部412に代えて、撮像素子調節駆動部412aが用いられる。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0103】
撮像素子調節駆動部312aは、第1レンズ部320の光軸OA1と第2レンズ部420の光軸OA2とを含む平面内で、第1撮像素子部330を第1レンズ部320の光軸OA1に対して直交する方向に移動させる。撮像素子調節駆動部412aは、第1レンズ部320の光軸OA1と第2レンズ部420の光軸OA2とを含む平面内で、第2撮像素子部430を第2レンズ部420の光軸OA2に対して直交する方向に移動させる。尚、光軸OA1及び光軸OA2が、互いに交差するように第1レンズ部320及び第2レンズ部420はそれぞれ第1基台部310及び第2基台部410上に設置されている。
【0104】
撮像素子制御部810aは、第1実施形態で用いられた輻輳角制御部810と同様に第1測距部381からの第1距離データ、第2測距部481からの第2距離データ、第1認識部382からの第1位置データ及び第2認識部482からの第2位置データに基づき、第1映像データ及び第2映像データに対する所定の判定や演算を行う判定部として用いられるが、第1撮像素子部330及び第2撮像素子部430の移動量を定める信号を第1調整部820及び/又は第2調整部830へ出力する。第1調整部820及び/又は第2調整部830は、撮像素子制御部810aからの信号に基づき、第1撮像素子部330及び/又は第2撮像素子部430を移動させるための駆動信号を生成し、撮像素子調節駆動部312a,412aを駆動する。この結果、第1撮像素子部330及び/又は第2撮像素子部430は、第1基台部310及び/又は第2基台部410上で直線的に移動することとなる。撮像素子調節駆動部312a,412aとして、例えば、任意のシリンダやピエゾ素子を好適に使用することができる。
【0105】
第1撮像素子部330及び/又は第2撮像素子部430の移動によって、第1映像データ及び第2映像データとして表示される映像は、光軸OA1及び/又は光軸OA2に対して直交する方向に移動して得られる映像となる。したがって、第1実施形態において、第1基台部310及び/又は第2基台部410を回転させることにより生じた視野の変更と同等の効果を生ずることとなる。例えば、第1撮像素子部330及び/又は第2撮像素子部430が互いに離間する方向に移動すると、輻輳点CPが、撮影装置1から遠ざかるような光学的効果を生じ、第1撮像素子部330及び/又は第2撮像素子部430が互いに近接する方向に移動すると、輻輳点CPが、撮影装置1に近づくような光学的効果を生ずる。
【0106】
(第3実施形態)
図19は、本発明の第3実施形態に係る撮影装置1のブロック図である。尚、以下、第3実施形態と第1実施形態との間の相違点に関して説明され、これら実施形態において共通する構成に関する説明は省略される。
【0107】
第3実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角制御部810に代えて、レンズ制御部810bが用いられる。第3実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角調節駆動部312に代えて、レンズ調節駆動部312bが用いられる。第3実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角調節駆動部412に代えて、レンズ調節駆動部412bが用いられる。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0108】
レンズ調節駆動部312bは、移動前における第1レンズ部320の光軸OA1と移動前における第2レンズ部420の光軸OA2とを含む平面内で、第1レンズ部320を光軸OA1の延出方向に対して直交する方向に移動させる。レンズ調節駆動部412b は、移動前における第1レンズ部320の光軸OA1と移動前における第2レンズ部420の光軸OA2とを含む平面内で、第2レンズ部420を光軸OA2の延出方向に対して直交する方向に移動させる。この結果、第1撮像素子部330及び第2撮像素子部430それぞれは、第1レンズ部320の光軸OA1及び第2レンズ部420の光軸OA2に対して相対的に移動することとなる。尚、第2実施形態と同様に、光軸OA1及び光軸OA2が、互いに交差するように第1レンズ部320及び第2レンズ部420はそれぞれ第1基台部310及び第2基台部410上に設置されている。第3実施形態では、焦点調節レンズ321を除く第1レンズ部320を構成するレンズ群が一体的に移動しているように示されているが、本実施形態はこれに限られるものではなく、第1レンズ部320を構成するレンズ群のうち一部のレンズのみが移動されてもよい。同様に、焦点調節レンズ421を除く第2レンズ部420を構成するレンズ群が一体的に移動しているように示されているが、本実施形態はこれに限られるものではなく、第2レンズ部420を構成するレンズ群のうち一部のレンズのみが移動されてもよい。
【0109】
レンズ制御部810bは、第1実施形態で用いられた輻輳角制御部810と同様に第1測距部381からの第1距離データ、第2測距部481からの第2距離データ、第1認識部382からの第1位置データ及び第2認識部482からの第2位置データに基づき、第1映像データ及び第2映像データに対する所定の判定や演算を行う判定部として用いられるが、第1レンズ部320及び第2レンズ部420の移動量を定める信号を第1調整部820及び/又は第2調整部830へ出力する。第1調整部820及び/又は第2調整部830は、レンズ制御部810bからの信号に基づき、第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420を移動させるための駆動信号を生成し、レンズ調節駆動部312b,412bを駆動する。この結果、第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420は、第1基台部310及び/又は第2基台部410上で直線的に移動することとなる。レンズ調節駆動部312b,412bとして、第2実施形態の撮像素子調節駆動部312a、412aと同様に、例えば、任意のシリンダやピエゾ素子を好適に使用することができる。
【0110】
第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420の移動によって、第1映像データ及び第2映像データとして表示される映像は、第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420の移動方向に沿って変化する。したがって、第1実施形態において、第1基台部310及び/又は第2基台部410を回転させることにより生じた視野の変更と同等の効果を生ずることとなる。例えば、第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420が互いに離間する方向に移動すると、輻輳点CPが、撮影装置1から遠ざかるような光学的効果を生じ、第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420が互いに近接する方向に移動すると、輻輳点CPが、撮影装置1に近づくような光学的効果を生ずる。
【0111】
(第4実施形態)
図20は、本発明の第4実施形態に係る撮影装置1のブロック図である。尚、以下、第4実施形態と第1実施形態との間の相違点に関して説明され、これら実施形態において共通する構成に関する説明は省略される。
【0112】
第4実施形態に係る撮影装置1は、機械的に視野を変更する第1乃至第3の実施形態と異なり、画像処理技術を用いて、第1撮像部3及び/又は第2撮像部4の視野を擬似的に変更する。第4実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角制御部810に代えて、映像データ制御部810cが用いられる。第1調整部820は、AD変換部331の下流に配され、デジタル変換後の第1映像データを受ける。第2調整部830は、AD変換部431の下流に配され、デジタル変換後の第2映像データを受ける。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0113】
映像データ制御部810cは、第1測距部381からの第1距離データ、第2測距部481からの第2距離データ、第1認識部382からの第1位置データ及び第2認識部482からの第2位置データに基づき、画像処理に関する制御信号を生成するとともに第1調整部820及び第2調整部830に制御信号を出力する。第1調整部820及び第2調整部830それぞれは、制御信号に基づき、第1映像データ及び第2映像データに画像処理を施す。
【0114】
図21は、画像処理と光軸の角度変化との関係を示す。図21と併せて、図20を参照しつつ、第4実施形態において実行される画像処理が説明される。
【0115】
図21に示されるカメラは、図20に示される第1撮像部3又は第2撮像部4に相当する。カメラの視野の左端には、物体Xが存在し、カメラの視野の右端には、物体Yが存在している。また、物体Xと物体Yとの間には、物体Zが存在している(図21(a)参照)。カメラは、最初に、物体Xから物体Yまでを映し出す映像を取得している。その後、物体Xから物体Zまでが映し出されるように映像の右端領域に対してトリミング処理をすると、図21(b)で示されるような映像が得られる。図21(b)で示されるトリミング処理によって、図21(c)に示されるように、物体Zがカメラの視野の右端にくるようにカメラの光軸を傾斜させて得られた映像と略等価の映像が得られることとなる。したがって、トリミング処理される映像の測縁領域の幅αと、カメラの光軸の傾斜角度θとの間には一定の関係が存することが分かる。
【0116】
映像データ制御部810cは、第1測距部381からの第1距離データ、第2測距部481からの第2距離データ、第1認識部382からの第1位置データ及び第2認識部482からの第2位置データに基づき、輻輳点が合わせられるべき対象物体が第1映像データ及び/又は第2映像データの中央領域に位置するように、第1映像データ及び/又は第2映像データに対してトリミングすべき測縁領域の幅に関する信号を第1調整部820及び/又は第2調整部830へ出力する。第1調整部820及び/又は第2調整部830は、第1映像データ及び/又は第2映像データに対してトリミング処理を施し、トリミング処理された第1映像データ及び/又は第2映像データを圧縮部332,432並びに焦点調節制御部333,433に出力する。その後、トリミング処理された第1映像データ及び第2映像データが表示部5に表示され、立体映像として使用者に提示される。
【0117】
上記の実施形態において、第1撮像部3及び第2撮像部4の焦点は、輻輳点CPが合わせられた対象物体に合わせられてもよいが、共通視野VFC内に存する任意の物体に合わせられてもよい。必要に応じて、第1撮像部3の焦点と第2撮像部4の焦点とが互いに異なる物体に合わせられてもよい。したがって、本実施形態では、焦点が合わせられる物体と同一の物体と同一の物体に輻輳点CPが合わせられてもよいし、焦点が合わせられる物体とは異なる物体に輻輳点CPが合わせられてもよい。
【0118】
上記の実施形態において、第1撮像部3と第2撮像部4とを制御するために、第1測距部381、第2測距部481、第1認識部382、第2認識部482、第1調整部820や第2調整部830が個別に設けられていたが、これらが単一の素子、回路やプログラムによって実現されてもよい。
【0119】
上記の実施形態において、第1測距部381と第2測距部481とが、別々に示されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらが単一の素子、回路やプログラムによって単一の測距部として実現されてもよい。
【0120】
上記の実施形態において、第1認識部382と第2認識部482とが、別々に示されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらが単一の素子、回路やプログラムによって単一の位置認識部として実現されてもよい。
【0121】
上記の実施形態において、第1調整部820と第2調整部830とが、別々に示されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらが単一の素子、回路やプログラムによって単一の調整部として実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
上記実施形態は、立体的に知覚される映像を取得する撮影装置に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0123】
1・・・・・撮影装置
3・・・・・第1撮像部
320・・・第1レンズ部
330・・・第1撮像素子部
381・・・第1測距部
382・・・第1認識部
4・・・・・第2撮像部
420・・・第2レンズ部
430・・・第2撮像素子部
481・・・第2測距部
482・・・第2認識部
5・・・・・表示部
810・・・輻輳角制御部
810a・・撮像素子制御部
810b・・レンズ制御部
810c・・映像制御部
820・・・第1調整部
830・・・第2調整部
OA1・・・光軸
OA2・・・光軸
VF1・・・第1視野
VF2・・・第2視野
VFC・・・共通視野
【技術分野】
【0001】
3次元立体映像として表示される映像データを取得するための撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ技術の発達にともなって、近年、2次元映像を3次元的に知覚させる3次元立体映像を用いた製品が開発されてきている。このため、3次元立体映像を作り出すための撮影装置の開発が望まれている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2は、3次元立体映像を作り出すための撮影装置を開示する。特許文献1の撮影装置は、人間の両眼間隔分だけ離間して配設された左眼用の撮像素子と右眼用の撮像素子とを用いて、3次元立体映像を作り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−147401号公報
【特許文献2】特開昭62−266535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2の撮像装置は、単一の物体を被写体とするときには、好適な3次元立体映像を作り出すことができるが、複数の物体を被写体とするときには、視聴者に疲労感を与える3次元立体映像を作り出すことがある。例えば、視聴者が複数の物体のうち1つをターゲットにして、3次元立体映像用の映像を撮ろうとしているときに、ターゲットにされた物体よりも撮像装置に近い位置に他の物体が存在する場合がある。このとき、当該他の物体がディスプレイに映し出されると、ディスプレイから大きく飛び出したように知覚されることとなる。ディスプレイから大きく飛び出したように知覚される映像は、3次元立体映像を視聴する視聴者に疲労感を与える場合がある。
【0006】
上記実情を鑑みて、本発明は、視聴者に与える疲労感が少ない3次元立体映像を作り出すための撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る撮影装置は、左眼で視認される第1視野内の第1映像データを取得する第1撮像部と、右眼で視認される第2視野内の第2映像データを取得する第2撮像部と、前記第1撮像部及び前記第2撮像部のうち少なくとも一方を制御し、最も近い対象物体に、前記第1撮像部の光軸と前記第2撮像部の光軸とが交差してなる輻輳点を合わせる制御部と、前記第1映像データと前記第2映像データとから立体映像を表示する表示面を含む表示部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第1撮像部は、左眼で視認される第1視野内の第1映像データを取得する。第2撮像部は、右眼で視認される第2視野内の第2映像データを取得する。制御部は、第1撮像部及び第2撮像部のうち少なくとも一方を制御し、最も近い対象物体に、第1撮像部の光軸と前記第2撮像部の光軸とが交差してなる輻輳点を合わせる。表示部は、表示面に、第1映像データと第2映像データとから立体映像を表示する。かくして、輻輳点が撮影装置に最も近い対象物体に好適に合わせられる。この結果、表示部が立体映像を表示している間、対象物体以外の物体は、表示部の表示面よりも奥方に存在するように知覚されるため、視聴者への疲労が低減されることとなる。
【0009】
上記構成において、前記制御部は、前記第1撮像部から前記対象物体までの第1距離と、前記第2撮像部から前記対象物体までの第2距離とを測定する測距部と、前記第1距離と前記第2距離とを比較することによって、前記輻輳点が前記対象物体に合っているか否かを判定する判定部を備えることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、制御部は、第1撮像部から対象物体までの第1距離と、第2撮像部から対象物体までの第2距離とを測定する。判定部は、第1距離と第2距離とを比較することによって、輻輳点が対象物体に合っているか否かを判定する。かくして、対象物体が輻輳点にあっていない条件の下、第1映像データ及び第2映像データが取得されることが抑制されることとなる。
【0011】
上記構成において、前記制御部は、前記第1視野内における前記対象物体の位置と、前記第2視野内における前記対象物体の位置とを認識する位置認識部と、前記第1映像データ及び前記第2映像データを調整する調整部と、を含み、前記判定部は、前記対象物体が前記第1視野と前記第2視野のうちいずれの視野の方において、前記対象物体が端に映し出されているかを判定し、前記判定部が、前記第1視野において、前記対象物体が端に映されていると判定するならば、前記調整部は、前記対象物体が前記第1視野の中央に向けて移動するように前記第1映像データを調整し、前記輻輳点を前記対象物体に合わせ、前記判定部が、前記第2視野において、前記対象物体が端に映されていると判定するならば、前記調整部は、前記対象物体が前記第2視野の中央に向けて移動するように前記第2映像データを調整し、前記輻輳点を前記対象物体に合わせることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、位置認識部は、第1視野内における対象物体の位置並びに第2視野内における対象物体の位置を認識する。判定部は、対象物体が第1視野と第2視野のうちいずれの視野の方において、対象物体が端に映し出されているかを判定する。判定部が、第1視野において対象物体が端に映されていると判定するならば、調整部は、対象物体が第1視野の中央に向けて移動するように第1映像データを調整し、輻輳点を対象物体に合わせる。判定部が、第2視野において対象物体が端に映されていると判定するならば、調整部は、対象物体が第2視野の中央に向けて移動するように第2映像データを調整し、輻輳点を対象物体に合わせる。かくして、輻輳点が撮影装置に最も近い対象物体に合わせられる。この結果、表示部が立体映像を表示している間、対象物体以外の物体は、表示部の表示面よりも奥方に存在するように知覚されるため、視聴者への疲労が低減されることとなる。
【0013】
上記構成において、前記測距部は、前記第1撮像部から前記第1視野内に存在する複数の物体までの距離を測定するとともに前記第2撮像部から前記第2視野内に存在する複数の物体までの距離を測定し、前記調整部は、前記測定された距離のうち最小の距離にある前記物体を前記対象物体として、前記第1映像データ及び前記第2映像データのうち少なくとも一方を調整し、前記対象物体に前記輻輳点を合わせることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、測距部は、第1撮像部から前記第1視野内に存在する複数の物体までの距離を測定する。また、測距部は、第2撮像部から第2視野内に存在する複数の物体までの距離を測定する。更に、調整部は、測定された距離のうち最小の距離にある物体を対象物体として、第1映像データ及び第2映像データのうち少なくとも一方を調整することにより、対象物体に輻輳点を合わせる。かくして、複数の物体の中から撮影装置に最も近い対象物体に輻輳点を好適に合わせることができる。
【0015】
上記構成において、前記判定部が、前記第1視野内において測定された最小の距離が、前記第2視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、前記調整部は、前記第2視野内で測定された前記最小の距離に存する物体に、前記輻輳点を合わせるように前記第1映像データを調整し、前記判定部が、前記第2視野内において測定された最小の距離が、前記第1視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、前記調整部は、前記第1視野内で測定された前記最小の距離に存する物体に、前記輻輳点を合わせるように前記第2映像データを調整することが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、判定部が、第1視野内において測定された最小の距離が、第2視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、調整部は、第2視野内で測定された最小の距離に存する物体に、輻輳点を合わせるように第1映像データを調整する。判定部が、第2視野内において測定された最小の距離が、第1視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、調整部は、第1視野内で測定された最小の距離に存する物体に、輻輳点を合わせるように第2映像データを調整する。かくして、複数の物体の中から撮影装置に最も近い対象物体に輻輳点を好適に合わせることができる。
【0017】
上記構成において、前記判定部は、前記撮影装置と前記対象物体との間の距離に対して定められた閾値と前記第1視野内の前記最小の距離とを比較するとともに、前記閾値と前記第2視野内の前記最小の距離とを比較し、前記判定部が、前記第1視野内の前記最小の距離が前記閾値よりも短いと判定するならば、前記調整部は、前記閾値よりも離れた位置に存する物体のうち前記撮影装置に最も近い物体に前記輻輳点を合わせるように前記第1映像データを調整し、前記判定部が、前記第2視野内の前記最小の距離が前記閾値よりも短いと判定するならば、前記調整部は、前記閾値よりも離れた位置に存する物体のうち前記撮影装置に最も近い物体に前記輻輳点を合わせるように前記第2映像データを調整することが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、判定部は更に、撮影装置と対象物体との間の距離に対して定められた閾値と第1視野内の最小の距離とを比較する。また、判定部は、閾値と第2視野内の最小の距離とを比較する。判定部が、第1視野内の最小の距離が閾値よりも短いと判定するならば、調整部は、閾値よりも離れた位置に存する物体のうち撮影装置に最も近い物体に輻輳点を合わせるように第1映像データを調整する。判定部が、第2視野内の最小の距離が閾値よりも短いと判定するならば、調整部は、閾値よりも離れた位置に存する物体のうち撮影装置に最も近い物体に輻輳点を合わせるように第2映像データを調整する。かくして、閾値を設定することにより、立体映像として用いるのに不向きな程度に撮影装置に近い物体が、第1映像データ及び第2映像データに映し出されることを抑制することができる。
【0019】
上記構成において、前記調整部は、前記第1撮像部の前記光軸と前記第2撮像部の前記光軸とを含む平面内で、前記第1撮像部を回転させることにより、前記第1映像データを調整する第1調整部と、前記平面内で、前記第2撮像部を回転させることにより、前記第2映像データを調整する第2調整部と、を含むことが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、第1調整部は、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とを含む平面内で、第1撮像部を回転させる。したがって、視聴者の眼球の動きに沿う方向に第1撮像部の視野が変化することになり、第1撮像部と第2撮像部との間の輻輳点を好適に移動させることができる。第2調整部は、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とを含む平面内で、第2撮像部を回転させる。したがって、視聴者の眼球の動きに沿う方向に第2撮像部の視野が変化することになり、第1撮像部と第2撮像部との間の輻輳点を好適に移動させることができる。かくして、輻輳点が対象物体に好適に合わせられる。この結果、表示部が立体映像を表示している間、対象物体以外の物体は、表示部の表示面よりも奥方に存在するように知覚されるため、視聴者への疲労が低減されることとなる。
【0021】
上記構成において、前記第1撮像部は、前記対象物体の第1光学像を電気信号に変換し、前記第1映像データを生成する第1撮像素子部と、前記第1光学像を前記第1撮像素子部に結像させる第1レンズ部と、を含み、前記第2撮像部は、前記対象物体の第2光学像を電気信号に変換し、前記第2映像データを生成する第2撮像素子部と、前記第2光学像を前記第2撮像素子部に結像させる第2レンズ部と、を含み、前記調整部は、前記第1撮像部の前記光軸と前記第2撮像部の前記光軸とを含む平面内で、前記第1撮像部の前記光軸に交差する方向に、前記第1撮像素子部及び前記第1レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させることにより、前記第1映像データを調整する第1調整部と、前記平面内で、前記第2撮像部の光軸に交差する方向に前記第2撮像素子部及び前記第2レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させることにより、前記第2映像データを調整する第2調整部と、を含むことが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、第1レンズ部が、第1視野内に存在する複数の物体の第1光学像を第1撮像素子に結像させ、第1撮像素子が、第1光学像を電気信号に変換することによって、第1映像データが得られる。第2レンズ部が、第2視野内に存在する複数の物体の第2光学像を第2撮像素子に結像させ、第2撮像素子が、第2光学像を電気信号に変換することによって、第2映像データが得られる。第1調整部は、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とを含む平面内で、第1レンズ部の光軸に交差する方向に第1撮像部及び第1レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させる。したがって、視聴者の眼球の動きに沿う方向に第1撮像部の視野が変化することになり、輻輳点が好適に移動される。第2調整部は、第1撮像部の光軸と第2撮像部の光軸とを含む平面内で、第2レンズ部の光軸に交差する方向に第2撮像部及び第2レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させる。したがって、視聴者の眼球の動きに沿う方向に第2撮像部の視野が変化することになり、輻輳点が好適に移動される。かくして、輻輳点が対象物体に好適に合わせられる。この結果、表示部が立体映像を表示している間、対象物体以外の物体は、表示部の表示面よりも奥方に存在するように知覚されるため、視聴者への疲労が低減されることとなる。
【0023】
上記構成において、前記調整部は、前記対象物体が前記第1視野の中央に向けて移動するように、前記第1映像データをトリミングする第1調整部と、前記対象物体が前記第2視野の中央に向けて移動するように、前記第2映像データをトリミングする第2調整部と、を含むことが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、第1調整部は、第1位置が第1視野の中央に向けて移動するように、第1映像データをトリミングする。第2調整部は、対象物体が第2視野の中央に向けて移動するように、第2映像データをトリミングする。したがって、第1撮像部及び第2撮像部を機械的に動作させることなく、輻輳点の調整を行うことができ、撮影装置の小型化及び/又は軽量化が図られることとなる。
【発明の効果】
【0025】
上述の如く、本発明に係る撮影装置は、視聴者に与える疲労感が少ない3次元立体映像を作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撮影装置の概略的な外観斜視図である。
【図2】図1に示される撮影装置に用いられる表示部の表示原理を概略的に示す図である。
【図3】図1に示される撮影装置に用いられる表示部の他の表示原理を概略的に示す図である。
【図4】図1に示される撮影装置の構成を概略的に表すブロック図である。
【図5】図1に示される撮影装置の表示部の構成を概略的に表すブロック図である。
【図6】図1に示される撮影装置の映像データを処理する信号の流れを概略的に表すブロック図である。
【図7】図1に示される撮影装置の視野を表す概略図である。
【図8】図1に示される撮影装置が実行する測距工程を概略的に説明する図である。
【図9】図1に示される撮影装置の識別部が取得する位置データに関するイメージ図である。
【図10】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置を調整する工程を概略的に説明する図である。
【図11】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置を調整する工程を概略的に説明する図である。
【図12】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置調整前後の位置データの変化を概略的に説明する図である。
【図13】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置調整後に表示部が表示する映像の一例を概略的に説明する図である。
【図14】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置を調整する他の工程を概略的に説明する図である。
【図15】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置を調整する他の工程を概略的に説明する図である。
【図16】図1に示される撮影装置の輻輳点の位置を調整する工程を概略的にまとめたフローチャートである。
【図17】図16に示されるフローチャートに沿って行われた工程中に得られる距離データの一例を概略的に説明する図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係る撮影装置の構成を概略的に表すブロック図である。
【図19】本発明の第3実施形態に係る撮影装置の構成を概略的に表すブロック図である。
【図20】本発明の第4実施形態に係る撮影装置の構成を概略的に表すブロック図である。
【図21】図20に示される撮影装置の輻輳点の位置の調整原理を概略的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る撮影装置について図面を参照して説明する。尚、図面に示される構成、配置或いは形状等並びに図面に関連する記載は、単に本発明の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る撮影装置の外観斜視図である。図1は、撮影装置の外観を概略的に示すものであり、撮影装置を構成する要素の形状や配置は、本発明を何ら限定するものではない。
【0029】
撮影装置1は、略直方体形状の筐体2と、筐体2の正面に現れる第1撮像部3及び第2撮像部4と、筐体2の上面に現れる表示部5と、筐体2の側面に現れるシャッタボタン6とを含む。第1撮像部3は、使用者の左眼で視認される第1映像データを取得するために用いられる。第2撮像部4は、使用者の右眼で視認される第2映像データを取得するために用いられる。第1撮像部3と第2撮像部4との距離は、人間の両眼の間隔に相当する。表示部5は、第1映像データと第2映像データとを用いて、立体映像を表示する。使用者は、表示部5が表示する立体映像を確認し、所望の映像が映されていると判断すると、シャッタボタン6を押し、第1映像データと第2映像データとを筐体2内のメモリ(図1に示されず)に記録することができる。
【0030】
図2は、表示部5が立体映像を表示するための原理の一例を示す。尚、図2に示される立体映像を表示するための原理は、単に一例にすぎず、他の原理を用いて立体映像が表示されてもよい。図2と併せて、図1を参照しつつ、表示部5が立体映像を表示するための原理が説明される。
【0031】
表示部5は、例えば、第1映像データ及び第2映像データを交互に表示する表示パネル51(例えば、液晶パネル)と、左眼へ向けて指向性の高い光を照射する第1光源52(例えば、LEDランプ)と、右眼へ向けて指向性の高い光を照射する第2光源53(例えば、LEDランプ)とを含む。表示パネル51に第1映像データが表示されるとき、第1光源52は、左眼に向けて光を照射し、使用者に左眼で第1映像データを視認させる。表示パネル51に第2映像データが表示されるとき、第2光源53は、右眼に向けて光を照射し、使用者に右眼で第2映像データを視認させる。これらの工程が繰り返されることにより、視聴者は、第1映像データ及び第2映像データに基づき、表示部5に表示される映像を立体的に知覚することができる。
【0032】
図3は、表示部5が立体映像を表示するための原理の他の例を示す。図3と併せて、図1を参照しつつ、表示部5が立体映像を表示するための他の原理が説明される。
【0033】
表示部5は、例えば、第1映像データ及び第2映像データを交互に表示する表示パネル51(例えば、液晶パネル、CRTパネル、プラズマディスプレイパネルや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイパネル)を含む。また、筐体2には、第1映像データ及び第2映像データの表示の切り替えに同期する同期信号を送信するための送信部55が取り付けられる。尚、送信部55は、同期信号として赤外光や無線信号(RF信号)を用いてもよい。或いは、送信部55として、同期信号を有線式に送信するための出力ポートが用いられてもよい。
【0034】
使用者は、眼鏡装置7を装着して、表示部5に表示される映像を立体的に知覚する。眼鏡装置7全体は、視力矯正用の眼鏡と略同様の形状をなす。眼鏡装置7は、眼鏡装置7を装着する使用者の左眼の前に位置する左眼フィルタ71と、右眼前に位置する右眼フィルタ72と、左眼フィルタ71と右眼フィルタ72との間に位置する受信部73とを含む。
【0035】
左眼フィルタ71及び右眼フィルタ72には、例えば、液晶シャッタを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、左眼及び/又は右眼へ透過する光量を調整可能な任意の光学素子を用いることができる。送信部55が同期信号として赤外光を照射するときは、受信部73として、赤外光を受光するとともに電気信号に変換する受光素子が用いられる。送信部55が同期信号として無線信号を送信するときは、受信部73として、無線信号を受信可能な受信機が用いられる。或いは、同期信号が有線式に送信される場合には、受信部73は、同期信号が入力される入力ポートとして形成される。
【0036】
眼鏡装置7は、同期信号の受信に基づき、左眼フィルタ71及び右眼フィルタ72を制御する。表示部5が、第1映像データを表示するとき、左眼フィルタ71が開かれるとともに右眼フィルタ72が閉じられる。したがって、第1映像データからの光は、主に左眼フィルタ71を透過することとなり、使用者は左眼で第1映像データを視認することとなる。表示部5が、第2映像データを表示するとき、左眼フィルタ71が閉じられるとともに右眼フィルタ72が開かれる。したがって、第2映像データからの光は、主に右眼フィルタ72を透過することとなり、使用者は右眼で第2映像データを視認することとなる。これらの工程が繰り返されることにより、視聴者は、第1映像データ及び第2映像データに基づき、表示部5に表示される映像を立体的に知覚することができる。
【0037】
図2及び図3に関連して説明された立体映像の表示原理は、単に例示的なものであり、本発明を何ら限定するものではない。したがって、2種類の映像データを用いて、視聴者に映像を立体的に知覚させる原理が適用された任意の装置が、表示部5として用いられてもよい。
【0038】
図4は、撮影装置1の筐体2内の構成を示すブロック図である。図4と併せて、図1を参照しつつ、撮影装置1のハードウェア構成が説明される。尚、図4に示される撮影装置1の構成は、単に例示的なものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0039】
上述の如く、撮影装置1は、使用者の左眼で視認される第1映像データを取得するために用いられる第1撮像部3を含む。第1撮像部3は、略円板状の基台部310と、基台部310に支持された第1レンズ部320及び第1撮像素子部330とを含む。第1基台部310の中心には回転シャフト311が設けられ、第1基台部310は筐体2内で回転可能である。第1基台部310の回転位置は、第1撮像部3の視野(以下、第1視野と称される)の角度を定める。第1レンズ部320と第1撮像素子部330とは、第1撮像部3の第1視野の大きさを定める。第1視野内に存在する単数又は複数の物体の光学像(以下、第1光学像と称される)が、第1撮像部3によって、第1映像データとして取得される。
【0040】
第1レンズ部320は、第1光学像を第1撮像素子部330に結像させるように配列された複数のレンズを含む。第1撮像素子部330は、第1撮像素子部330に結像された第1光学像を電気信号に変換し、第1映像データを生成するとともに電気信号として第1映像データを出力する。第1撮像素子部330として、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが好適に用いられるが、光学像を電気信号として出力可能な他の素子が用いられてもよい。
【0041】
第1レンズ部320の複数のレンズには、筐体2の外面に露出する焦点調節レンズ321が含まれる。第1撮像部3は更に、焦点調節レンズ321を第1レンズ部320の光軸OA1に沿って移動させる焦点調節駆動部322(例えば、モータ)を含む。本実施形態の第1撮像部3には、焦点調節レンズ321を光軸OA1に沿って移動させるための任意の機構が適用可能である。
【0042】
第1撮像部3は更に、第1基台部310を回転させるための輻輳角調節駆動部312を含む。輻輳角調節駆動部312として、例えば、回転シャフトにウォームギアが取り付けられたモータを用い、ウォームギアと第1基台部310の周面に形成されたギア歯とを噛み合わせることにより、第1基台部310が回転されてもよい。尚、本実施形態は、前述の構造に限られず、輻輳角調節駆動部312として、第1基台部310を回転させることが可能な任意の装置を用いることができる。
【0043】
上述の如く、撮影装置1は、使用者の右眼で視認される第2映像データを取得するために用いられる第2撮像部4を含む。第2撮像部4は、略円板状の基台部410と、基台部410に支持された第2レンズ部420及び第2撮像素子部430とを含む。第2基台部410の中心には回転シャフト411が設けられ、第2基台部410は筐体2内で回転可能である。第2基台部410の回転位置は、第2撮像部4の視野(以下、第2視野と称される)の角度を定める。第2レンズ部420と第2撮像素子部430とは、第2撮像部4の第2視野の大きさを定める。第2視野内に存在する単数又は複数の物体の光学像(以下、第2光学像と称される)が、第2撮像部4によって、第2映像データとして取得される。
【0044】
第2レンズ部420は、第2光学像を第2撮像素子部430に結像させるように配列された複数のレンズを含む。第2撮像素子部430は、第2撮像素子部430に結像された第2光学像を電気信号に変換し、第2映像データを生成するとともに電気信号として第2映像データを出力する。第2撮像素子部430として、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが好適に用いられるが、光学像を電気信号として出力可能な他の素子が用いられてもよい。
【0045】
第2レンズ部420の複数のレンズには、筐体2の外面に露出する焦点調節レンズ421が含まれる。第2撮像部4は更に、焦点調節レンズ421を第2レンズ部420の光軸OA2に沿って移動させる焦点調節駆動部422(例えば、モータ)を含む。本実施形態の第2撮像部4には、焦点調節レンズ421を光軸OA2に沿って移動させるための任意の機構が適用可能である。
【0046】
第2撮像部4は更に、第2基台部410を回転させるための輻輳角調節駆動部412を含む。輻輳角調節駆動部412として、例えば、回転シャフトにウォームギアが取り付けられたモータを用い、ウォームギアと第2基台部410の周面に形成されたギア歯とを噛み合わせることにより、第2基台部410が回転されてもよい。尚、本実施形態は、前述の構造に限られず、輻輳角調節駆動部412として、第2基台部410を回転させることが可能な任意の装置を用いることができる。
【0047】
撮影装置1は更に、第1撮像部3及び第2撮像部4を制御するための制御部8を含む。制御部8は、第1撮像素子部330からアナログ信号として出力された第1映像データをデジタル変換するAD変換部331と、AD変換部331から出力された第1映像データのデジタル信号を符号化並びに圧縮し、表示部5へ出力する圧縮部332と、AD変換部331から出力された第1映像データのデジタル信号に基づき、焦点調節駆動部322を制御するための焦点制御信号を生成する焦点調節制御部333と、焦点制御信号に基づき、焦点調節駆動部322を駆動させるための駆動信号を生成する駆動制御部334とを含む。第1映像データのデジタル信号に基づく焦点制御信号の生成及び焦点制御信号と駆動信号とに基づく焦点調節駆動部322の駆動は、任意のオートフォーカス技術によって達成されてもよい。
【0048】
制御部8は更に、第2撮像素子部430からアナログ信号として出力された第2映像データをデジタル変換するAD変換部431と、AD変換部431から出力された第2映像データのデジタル信号を符号化並びに圧縮し、表示部5へ出力する圧縮部432と、AD変換部431から出力された第2映像データのデジタル信号に基づき、焦点調節駆動部422を制御するための焦点制御信号を生成する焦点調節制御部433と、焦点制御信号に基づき、焦点調節駆動部422を駆動させるための駆動信号を生成する駆動制御部434とを含む。第2映像データのデジタル信号に基づく焦点制御信号の生成及び焦点制御信号と駆動信号とに基づく焦点調節駆動部422の駆動は、任意のオートフォーカス技術によって達成されてもよい。
【0049】
制御部8は更に、第1撮像部3及び第2撮像部4の輻輳角調節駆動部312,412を制御するための輻輳角制御信号を生成する輻輳角制御部810と、輻輳角制御信号に基づき、第1撮像部3の輻輳角調節駆動部312を駆動する駆動信号を出力する第1調整部820と、第2撮像部4の輻輳角調節駆動部412を駆動する駆動信号を出力する第2調整部830とを含む。第1調整部820及び第2調整部830は、輻輳角調節駆動部312,412にモータが用いられる場合には、モータドライバとすることができる。第1撮像部3及び第2撮像部4の焦点調節制御部333,433から輻輳角制御部810へ輻輳角制御信号を生成するための信号(後に詳述される)が送信される。輻輳角制御部810は、焦点調節制御部333,433からの信号に基づき、第1撮像部3と第2撮像部との間で形成される輻輳角に関する演算を行い、第1調整部820及び第2調整部830のうち少なくとも一方に輻輳角制御信号を出力する。第1調整部820及び第2調整部830は、輻輳角制御信号に基づき、所定の角度だけ、第1基台部310及び第2基台部410を回転させるように、第1撮像部3及び第2撮像部4の輻輳角調節駆動部312,412を制御する。
【0050】
図5は、表示部5への信号の流れを示すブロック図である。図5と併せて、図1乃至図4を参照しつつ、表示部5への信号の流れが説明される。
【0051】
上述の如く、圧縮部332,432から符号化並びに圧縮された第1映像データ及び第2映像データの信号が出力される。撮影装置1は、上述の表示部5に加えて、圧縮部332,432からの第1映像データ及び第2映像データの信号を復号する復号部 510と、復号された信号を表示部5の大きさに応じて第1映像データと第2映像データとの間の視差を調整する立体信号処理部520と、第1映像データ及び第2映像データとを記録可能な記憶部530とを更に含む。
【0052】
図1に関連して説明されたシャッタボタン6が押されると、復号部510は、記憶部530に復号化された或いは符号化された第1映像データ及び第2映像データとを記憶部530に記録する。記憶部530は、筐体2に対して着脱自在に取り付けられる可搬型の記憶媒体であってもよいし、或いは、筐体2に内蔵されるメモリであってもよい。復号部510は、圧縮部332,432から符号化並びに圧縮された第1映像データ及び第2映像データの信号を立体信号処理部520に出力する。或いは、記憶部530に記憶された第1映像データ及び第2映像データの復号化された信号を立体信号処理部520へ出力する。
【0053】
立体信号処理部520は、例えば、映像を表示する表示部5の特性に応じて、第1映像データ及び第2映像データの信号を調整する。立体信号処理部520は、例えば、表示部5の表示面の大きさに応じて、第1映像データと第2映像データとの間の視差を調整するとともに、第1映像データと第2の映像データとを所定の順序で並べる。例えば、立体信号処理部520は、第1映像データと第2の映像データとを交互に並べてもよい。表示部5は、立体信号処理部520によって調整された第1映像データ及び第2の映像データの信号を映像として表示し、図2及び図3に関連して説明されたような光学的効果を使用者に与える。
【0054】
図6は、焦点調節制御部333,433から輻輳角制御部810への信号の流れを示すブロック図である。図6と併せて、図4を参照しつつ、焦点調節制御部333,433から輻輳角制御部810への信号の流れが説明される。
【0055】
焦点調節制御部333には、上述の如く、第1レンズ部320と第1撮像素子部330で定められる第1視野内に存在する物体の第1光学像のデジタル信号(第1映像データ)が入力される。焦点調節制御部333は、第1撮像部3から第1視野内に存在する物体までの距離を計測する第1測距部381と、第1映像データに基づき、第1視野内における物体の位置を認識する第1認識部382とを含む。第1測距部381は、第1撮像部3から第1視野内に存在する物体までの距離に関するデータ(以下、第1距離データと称される)を輻輳角制御部810へ出力する。第1認識部382は、第1視野内における物体の位置に関するデータ(以下、第1位置データと称される)を輻輳角制御部810へ出力する。尚、図6に示される第1距離データ及び第1位置データは、個別に輻輳角制御部810へ出力されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1距離データ及び第1位置データが座標データの信号として一括で輻輳角制御部810へ出力されてもよい。尚、第1距離データ及び第1位置データは、通常のオートフォーカス技術の中で用いられるものと同様であり、第1距離データ及び第1位置データを用いて、第1撮像部3の焦点調節レンズ321の位置が変更され、第1撮像部3が取得する第1映像データの焦点が調節されることとなる。
【0056】
同様に、焦点調節制御部433には、上述の如く、第2レンズ部420と第2撮像素子部430で定められる第2視野内に存在する物体の第2光学像のデジタル信号(第2映像データ)が入力される。焦点調節制御部433は、第2撮像部4から第2視野内に存在する物体までの距離を計測する第2測距部481と、第2映像データに基づき、第2視野内における物体の位置を認識する第2認識部482とを含む。第2測距部481は、第2撮像部4から第2視野内に存在する物体までの距離に関するデータ(以下、第2距離データと称される)を輻輳角制御部810へ出力する。第2認識部482は、第2視野内における物体の位置に関するデータ(以下、第2位置データと称される)を輻輳角制御部810へ出力する。尚、図6に示される第2距離データ及び第2位置データは、個別に輻輳角制御部810へ出力されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2距離データ及び第2位置データが座標データの信号として一括で輻輳角制御部810へ出力されてもよい。尚、第2距離データ及び第2位置データは、通常のオートフォーカス技術の中で用いられるものと同様であり、第2距離データ及び第2位置データを用いて、第2撮像部4の焦点調節レンズ421の位置が変更され、第2撮像部3が取得する第2映像データの焦点が調節されることとなる。
【0057】
図7は、撮影装置1によって撮影される物体の配置の一例を概略的に示す。尚、図7に示される物体の配置は、単に一例にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。
【0058】
撮影装置1の第1撮像部3から略扇形状に第1視野VF1が拡がり、第2撮像部4から略扇形状に第2視野VF2が拡がる。図7において、第1視野VF1と第2視野VF2とが重なり合った領域にハッチングがされているが、このハッチングされた領域は、共通視野VFCと以下称される。図7において、例えば、三角柱状の物体A及びBと直方体状の物体C及びDとが示されている。物体A,C,Dは、共通視野VFC内に存在するが、物体Bは、第1視野VF1及び第2視野VF2のいずれの視野にも入っていない。
【0059】
図8は、第1測距部381及び第2測距部481による物体までの距離の計測を概略的に説明する。図8と併せて、図4及び図6を参照しつつ、第1測距部381及び第2測距部481による物体までの距離の計測が説明される。
【0060】
第1測距部381は、第1撮像部3から第1視野VF1内に存在する複数の物体(図8においては、物体A,C,D)までのそれぞれの距離を計測する。第2測距部481は、第2撮像部4から第2視野VF2内に存在する複数の物体(図8においては、物体A,C,D)までのそれぞれの距離を計測する。アクティブ方式のオートフォーカス技術で用いられるように、第1測距部381及び第2測距部481による物体までの距離は、第1撮像部3及び第2撮像部4から赤外線又は超音波を照射し、反射波が戻るまでの時間や反射角度に基づいて決定されてもよい。或いは、パッシブ方式のオートフォーカス技術で用いられるように、第1撮像部3及び第2撮像部4が取得した第1映像データ及び第2映像データを用いて(例えば、位相差検出方式、コントラスト検出方式やパッシブ外光方式を用いて)、第1測距部381及び第2測距部481による物体までの距離が決定されてもよい。
【0061】
図8において、第1測距部381は、第1撮像部3から物体Aまでの距離a1、第1撮像部3から物体Cまでの距離c1及び第1撮像部3から物体Dまでの距離d1を計測している。第2測距部481は、第2撮像部4から物体Aまでの距離a2、第2撮像部4から物体Cまでの距離c2及び第2撮像部4から物体Dまでの距離d2を計測している。第1測距部381は、計測された第1距離データセット(a1,c1,d1)を輻輳角制御部810へ出力する。第2測距部481は、計測された第2距離データセット(a2,c2,d2)を輻輳角制御部810へ出力する。
【0062】
図9は、第1認識部382及び第2認識部482によって生成される第1位置データ及び第2位置データのイメージ図である。図9と併せて、図4及び図8を参照しつつ、第1位置データ及び第2位置データが説明される。
【0063】
図9中の鎖線で囲まれる領域それぞれは、第1視野VF1(図9中左図)及び第2視野VF2(図9中右図)を示す。第1視野VF1及び第2視野VF2内にはそれぞれ物体A,C,Dが映し出されている。物体Aは、第1視野VF1の端に映し出されている一方で、第2視野の中央に映し出されている。図9に示されるように、第1認識部382は、第1視野VF1内の複数の物体A,C,Dの位置を認識する。第2認識部482は、第2視野VF2内の複数の物体A,C,Dの位置を認識する。
【0064】
第1認識部382は、第1位置データを輻輳角制御部810へ出力し、第2認識部482は、第2位置データを輻輳角制御部810へ出力する。尚、第1距離データセット(a1,c1,d1)と第1位置データとが関連づけられて輻輳角制御部810へ出力され、第2距離データセット(a2,c2,d2)と第2位置データとが関連づけられて輻輳角制御部810へ出力されることが好ましい。例えば、計測された距離a1と第1視野VF1中の物体Aが占める領域の座標データとが関連づけられて、輻輳角制御部810へ出力され、計測された距離a2と第2視野VF2中の物体Aが占める領域の座標データとが関連づけられて、輻輳角制御部810へ出力される。
【0065】
輻輳角制御部810は、第1距離データセット(a1,c1,d1)に基づき、第1視野VF1内に存在する物体の中で、最も第1撮像部3に近接する物体までの距離は「a1」であることを認識する。また、第1距離データセット(a1,c1,d1)と第1位置データとに基づき、第1撮像部3から距離「a1」の位置に存在する物体は、第1視野VF1の右端に存在すると判定する。
【0066】
同様に、輻輳角制御部810は、第2距離データセット(a2,c2,d2)に基づき、第2視野VF2内に存在する物体の中で、最も第2撮像部4に近接する物体までの距離は「a2」であることを認識する。また、第2距離データセット(a2,c2,d2)と第2位置データとに基づき、第2撮像部4から距離「a2」の位置に存在する物体は、第2視野VF2の中央に存在すると判定する。
【0067】
輻輳角制御部810は更に、第1視野VF1の中央位置から第1撮像部3から距離「a1」の位置に存在する物体までの距離と、第2視野VF2の中央位置から第2撮像部4から距離「a2」の位置に存在する物体までの距離とを比較する。図9に示されるように、第1視野VF1において、物体Aは第1視野VF1の端に存在し、第2視野VF2において、物体Aは第2視野VF2の中央に存在するので、第1視野VF1の中央位置から第1撮像部3から距離「a1」の位置に存在する物体までの距離は、第2視野VF2の中央位置から第2撮像部4から距離「a2」の位置に存在する物体までの距離よりも長い。このとき、輻輳角制御部810は第1撮像部3が調整されるべきと判定する。一方、撮像部4から距離「a2」の位置に存在する物体までの距離が、第1視野VF1の中央位置から第1撮像部3から距離「a1」の位置に存在する物体までの距離よりも長いならば、輻輳角制御部810は第2撮像部4が調整されるべきと判定する。かくして、輻輳角制御部810は、第1視野VF1及び第2視野VF2中の物体の位置に基づいて、第1撮像部3及び第2撮像部4のうちいずれを動作させるべきかを判定するための判定部として用いられる。尚、第1視野VF1及び第2視野VF2中の物体の位置は、第1視野VF1及び第2視野VF2中の物体が占める領域中の任意の点(例えば、物体が占める領域の中心点、重心点或いは領域の境界上の任意の点、第1視野VF1又は第2視野VF2の中心点に最も近接する任意の点)とされてもよい。
【0068】
上述の如く、輻輳角制御部810は、第1撮像部3が調整されるべきことを判定した後、第1調整部820に輻輳角制御信号を送信し、第1調整部820は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部312を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部312は動作し、輻輳角制御信号によって定められる回転角度だけ第1基台部310を回転させる。
【0069】
輻輳角制御部810が、第2撮像部4が調整されるべきことを判定した場合には、輻輳角制御部810は、第2調整部830に輻輳角制御信号を出力し、第2調整部830は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部412を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部412は動作し、輻輳角制御信号によって定められる回転角度だけ第2基台部410を回転させる。
【0070】
図10は、第1基台部310の回転後の第1視野VF1及び第2視野VF2を示す。図10と図7を対比しつつ、又、図10及び図7と併せて、図4を参照しつつ、第1基台部310の回転による撮影装置1の視野の変化が説明される。
【0071】
輻輳角制御部810が出力する輻輳角制御信号は、第1撮像部3の光軸OA1が物体Aを通過するように定められる。輻輳角調節駆動部312の駆動により、第1基台部310は、光軸OA1が物体Aを通過するまで回転する。第1基台部310は、第1撮像部3の光軸OA1と第2撮像部4の光軸OA2とを含む平面内で回転する。この結果、第1撮像部3と第2撮像部4との間で定められる輻輳点CP(第1撮像部3の光軸OA1と第2撮像部4の光軸OA2との交点)は、撮影装置1に近づき、物体A上に設定されることとなる。
【0072】
第1基台部310の回転の結果、第1視野VF1は右方に回転移動する。第1視野VF1の回転に伴い、第1視野VF1と第2視野VF2との間で定められる共通視野VFC(図10中、ハッチングされた領域)も変化する。第1視野VF1の回転の結果、第1視野VF1内には、物体A及びCが含まれ、物体D及び物体Bは、第1視野VF1内に存在しないこととなる。
【0073】
図11は、第1測距部381による第1視野VF1内の物体までの距離の計測を示す。図11と併せて、図4、図8及び図10を参照しつつ、第1測距部381による第1視野VF1内の物体までの距離の計測が説明される。
【0074】
上述の如く、第1視野VF1の回転により、第1視野VF1内の物体の位置が変化しているため、第1測距部381は、再度、第1撮像部3から第1視野VF1内の物体までの距離を再計測する。第1測距部381による距離の計測手法は、図8に関連して説明された手法と同様である。第1測距部381によって、第1撮像部3から新たに設定された第1視野VF1内の物体A,Cまでの第1距離データセット(a1,c1)が生成される。第1測距部38は、再計測により得られた第1距離データセット(a1,c1)を輻輳角制御部810へ送信する。輻輳角制御部810は、新たに設定された第1視野VF1に基づいて測定された第1撮像部3から物体Aまでの距離「a1」と先に計測された第2撮像部4から物体Aまでの距離「a2」とを比較する。上述の如く、第1撮像部3と第2撮像部4との間で定められる輻輳点CPは、物体A上に設定されているので、第1撮像部3から物体Aまでの距離「a1」と先に計測された第2撮像部4から物体Aまでの距離「a2」とは、略等しいこととなる。輻輳角制御部810は、距離「a1」と距離「a2」との差が所定の範囲ならば、第1撮像部3と第2撮像部4との間で定められる輻輳点CPが共通視野VFC内において撮影装置1に最も近い物体に合わせられるものとして、第1撮像部3及び第2撮像部4に対する更なる制御を行わない。撮影装置1に最も近接する物体は、本実施形態において、第1撮像部3と第2撮像部4とで定められる輻輳点が合わせられるべき対象物体となる。尚、輻輳角制御部810が用いる距離「a1」と距離「a2」との差に対する所定の範囲は、例えば、第1撮像部3と第2撮像部4との間隔(光軸OA1の基端と光軸OA2の基端との間隔)、第1基台部310及び第2基台部410の回転位置、第1視野VF1及び第2視野VF2の大きさを用いて適宜定めることができる。
【0075】
図12は、第1認識部382及び第2認識部482によって生成される第1位置データ及び第2位置データのイメージ図である。図12(a)は、第1視野VF1を回転移動させた後の第1位置データ及び第2位置データを示し、図12(b)は、第1視野VF1を回転移動させる前の第1位置データ及び第2位置データを示す。
【0076】
図12中の鎖線で囲まれる領域それぞれは、第1視野VF1(図12中左図)及び第2視野VF2(図12中右図)を示す。第1視野VF1が回転移動される前において、第1位置データの第1視野VF1内には、物体A,C,Dが映し出されていたが、第1視野VF1が回転移動された後において、第1位置データの第1視野VF1内には、物体A,Cが映し出され、物体Dは映し出されていない。また、第1視野VF1が回転移動される前において、物体Aは第1視野VF1の端に位置していたが、第1視野VF1が回転移動された後において、物体Aは第1視野VF1の中央領域を占めている。第2位置データは、第2視野VF2が回転移動されていないため、変化していない。したがって、第1視野VF1が調整された後、第1認識部382及び第2認識部482は、第1視野VF1及び第2視野VF2の中央において、対象物体(物体A)を認識することとなる。図12に示される第1位置データ及び第2位置データに相当する第1映像データ及び第2映像データが、上述の如く、表示部5に出力されることとなる。
【0077】
上述の説明において、第1調整部820によって、対象物体が第1視野の中央領域に位置するように第1映像データが調整されたが、対象物体が第2視野VF2の端にあるとき(或いは、第2視野VF2の中央領域から対象物体までの距離が、第1視野VF1の中央領域から対象物体までの距離よりも長いとき)は、第2調整部830によって、対象物体が第2視野の中央領域に位置するように第2映像データが調整される。第2調整部830によって、第2映像データが調整されるならば、第2測距部481によって、第2視野VF2の回転移動がなされた後の第2視野VF2内に存在する物体と第2撮像部4との間の距離が再計測される。
【0078】
尚、第1映像データ及び第2映像データを得たとき、輻輳点CPが共通視野VFC内に存在する全ての物体よりも撮影装置1に対して近接する位置に存するとき、輻輳角制御部810は、第1基台部310及び第2基台部410の回転位置を用いて、輻輳点CPの位置を算出し、算出された輻輳点CPの位置と、第1測距部381及び第2測距部481によって測定された距離データとを比較し、輻輳点CPの位置が撮影装置1から遠ざかるように、第1調整部820及び第2調整部830に輻輳角制御信号を出力してもよい。
【0079】
図13は、表示部5によって映し出される物体と表示部5の表示面との位置関係を示す。図13と併せて、図4及び図7乃至図12を参照しつつ、表示部5によって映し出される物体と表示部5の表示面との位置関係が説明される。
【0080】
図7乃至図12に関連して説明された工程を経て、輻輳点CPが物体A上に設定されるので、物体Aは、表示部5の表示面上に存在するように知覚される。また、物体Aよりも後方に映し出された物体C及びDは、表示部5の表示面よりも奥方に位置していると知覚される。このようにして、視聴者は表示部5の表示面から過度に飛び出た物体を知覚することなく、立体的な映像を視認することができる。
【0081】
図14は、他の配置がなされた物体を撮影するときの撮影装置1の動作を説明する。図14と併せて、図4及び図6乃至図11を参照しつつ、撮影装置1の動作が説明される。図14(a)乃至図14(c)は、撮影装置1の動作工程を順に示している。
【0082】
上述の如く、第1測距部381及び第2測距部481それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体までの距離を計測する。第1視野VF1内には、物体A,C,Dが存在しているが、物体Dは物体Aによって隠されているので、第1測距部381は、物体A,Cの距離を計測する。第2視野VF2内には、物体A,B,Dが存在しているので、第2測距部481は、物体A,B,Dまでの距離を計測する。図14(a)において、第1測距部381から得られる第1距離データセットは、(a1(物体Aまでの距離),c1(物体Cまでの距離))である。第2測距部481から得られる第2距離データセットは、(a2(物体Aまでの距離),b2(物体Bまでの距離),d2(物体Dまでの距離))である。輻輳角制御部810は、第1測距部381から得られた第1距離データセットのうち、最も小さな値「a1」と、第2測距部481から得られた第2距離データセットのうち、最も小さな値「b2」とを比較する。図14(a)に示される物体の配置では、「a1>b2」となる。
【0083】
上述の比較の結果、輻輳角制御部810は、第1撮像部3を操作すべきと判定し、第1調整部820に輻輳角制御信号を出力する。第1調整部820は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部312を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部312が作動し、輻輳点CPが撮影装置1に近づくように第1基台部310が回転する。この結果、物体Bが第1視野VF1の中央領域に収まることとなる(図14(b)参照)。
【0084】
第1測距部381及び第2測距部481それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体までの距離を計測する。また、図9に関連して説明されたように、第1認識部382及び第2認識部482それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体の位置を認識する。この結果、図14に示される物体の配置並びに第1視野VF1及び第2視野VF2の設定において、共通視野VFC内に存在する物体Bは、第1視野VF1の中央領域に存在する一方で、第2視野VF2の端に存在しているということを輻輳角制御部810は判定する。この結果、輻輳角制御部810は、第2撮像部4を動作させるべきことを決定し、第2調整部830に輻輳角制御信号を出力する。第2調整部830は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部412を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部412が作動し、物体Bが第2視野VF2の中央領域に収まるように第2基台部410が回転する(図14(c)参照)。この結果、輻輳点CPが物体B上に設定されることとなる。
【0085】
図14に関連して説明された撮影装置1の動作では、第1距離データセットの最小値が第2距離データセットの最小値より大きかったので、第1撮像部3が先に動作されたが、第2距離データセットの最小値が第1距離データセットの最小値より大きい場合には、第2撮像部4が先に動作される。
【0086】
図15は、撮影装置から物体までの距離或いは輻輳角に対して閾値を設定したときの撮影装置1の動作を説明する。図15と併せて、図4乃至図11及び図14を参照しつつ、撮影装置1の動作が説明される。図15(a)乃至図15(c)は、撮影装置1の動作工程を順に示している。
【0087】
近すぎる距離で撮影された物体は、立体的な知覚に好適ではない。例えば、テレビ装置のディスプレイを通じて視聴される映像を得るためには、例えば、2〜3m離れた距離で物体を撮影することが好ましい。或いは、立体的に物体を知覚させるための映像を撮影するときの第1撮像部3と第2撮像部4との間で形成される輻輳角は1°から10°の間が好ましい。したがって、第1撮像部3と第2撮像部4との間で形成される輻輳点CPから撮影装置1までの距離に対して閾値を設け、閾値を基準に第1撮像部3及び第2撮像部4を制御することが好ましい。輻輳点CPから撮影装置1までの距離に対する閾値は、例えば、記憶部530に予め記録されてもよい。
【0088】
上述の如く、第1測距部381及び第2測距部481それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体までの距離を計測する。第1視野VF1内には、物体A,C,Dが存在しているが、物体Dは物体Aによって隠されているので、第1測距部381は、物体A,Cの距離を計測する。第2視野VF2内には、物体A,B,Dが存在しているので、第2測距部481は、物体A,B,Dまでの距離を計測する。図15(a)において、第1測距部381から得られる第1距離データセットは、(a1(物体Aまでの距離),c1(物体Cまでの距離))である。第2測距部481から得られる第2距離データセットは、(a2(物体Aまでの距離),b2(物体Bまでの距離),d2(物体Dまでの距離))である。輻輳角制御部810は、第1測距部381から得られた第1距離データセットのうち、最も小さな値「a1」と、記憶部530に記憶された輻輳点CPから撮影装置1までの距離に対する閾値とを比較する。また、第2測距部481から得られた第2距離データセットのうち、最も小さな値「b2」と、輻輳点CPから撮影装置1までの距離に対する閾値とを比較する。この結果、図15(a)に示される物体の配置では、「a1>閾値>b2」となる。
【0089】
図14に関連して説明された撮影装置1の動作において、輻輳点CPは物体Bに合わされたが、図15に示される物体の配置において、物体Bに輻輳点CPが合わせられると、立体的に知覚される映像として好ましくない輻輳角の下、物体が撮影されることとなる。したがって、輻輳角制御部810は、閾値より低い測定値に関連する第2撮像部4を動作させることを決定する。
【0090】
上述の比較の結果、輻輳角制御部810は、第2調整部830に輻輳角制御信号を出力する。第2調整部830は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部412を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部412が作動し、物体Aが第2視野VF2の中央領域に収まるように第2基台部410が回転する(図15(b)参照)。
【0091】
第1測距部381及び第2測距部481それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体までの距離を計測する。また、図9に関連して説明されたように、第1認識部382及び第2認識部482それぞれは、第1視野VF1及び第2視野VF2内に存在する物体の位置を認識する。この結果、図15に示される物体の配置並びに第1視野VF1及び第2視野VF2の設定において、共通視野VFC内に存在する物体Aは、第2視野VF2の中央領域に存在する一方で、第1視野VF1の端に存在しているということを輻輳角制御部810は判定する。したがって、輻輳角制御部810は、第1撮像部3を動作させるべきことを決定し、第1調整部820に輻輳角制御信号を出力する。第1調整部820は、輻輳角制御信号に基づき、輻輳角調節駆動部312を駆動する駆動信号を出力する。駆動信号に基づき、輻輳角調節駆動部312が作動し、物体Aが第1視野VF1の中央領域に収まるように第1基台部310が回転する(図15(c)参照)。この結果、輻輳点CPが物体A上に設定されることとなる。かくして、立体的に知覚されるのに好適な輻輳角の設定の下、物体の撮影を行うことが可能となる。
【0092】
尚、図15に示される撮影装置1の動作の結果、物体Bは、表示部5に映し出されないこととなる。使用者が物体Bを撮影しようとしている場合は、表示部5に映し出される映像から、物体Bに対する立体映像の撮影に好ましい構図ではないことを判断することができる。また、物体Aに輻輳点が合わせられている状態において、物体Bの一部が表示部5に映し出されているときも、視聴者は、表示部5に映し出される映像から、立体映像の撮影に好ましい構図ではないことを判断することができる。
【0093】
図16は、図7乃至図17に関連して説明された撮影装置1の動作工程をまとめたフローチャートである。図17は、図16に示されるフローチャートに従って得られた物体までの距離のデータセットを示す。図16及び図17と併せて、図4乃至図15を参照しつつ、撮影装置1の動作工程が説明される。
【0094】
撮影開始時において、第1撮像部3と第2撮像部4とで形成される輻輳点CPまでの距離は、撮影装置1から2mの距離に設定されている。上述の如く、撮影が開始されると、第1測距部381は、第1視野VF1内に存在する物体までの距離を測定し、第2測距部481は、第2視野VF2内に存在する物体までの距離を測定する(S100)。この結果、第1測距部381は、第1視野VF1内に存在する物体aに対し、「1.0m」との距離データを生成し、物体bに対し、「2.0m」との距離データを生成する。第2測距部481は、第2視野VF2内に存在する物体xに対し、「1.0m」との距離データを生成し、物体yに対し、「2.0m」との距離データを生成する。
【0095】
第1測距部381及び第2測距部481から出力される距離データと、第1基台部310及び第2基台部410の回転位置から、輻輳角制御部810は、現在の輻輳点よりも近くに物体が存在すると判定し、撮影装置1から距離「1.0m」の位置にある物体に輻輳点を合わせるように、輻輳角を計算し、輻輳角制御信号を生成する(S110)。例えば、図9に関連して説明されたように、物体aが第1視野VF1の中央領域に位置するように第1基台部310の回転角を算出し、物体xが第2視野VF2の中央領域に位置するように第2基台部410の回転角を算出することによって、輻輳角の計算並びに輻輳角制御信号の生成がなされる。輻輳角制御信号に従い、第1基台部310及び第2基台部410が回転する。
【0096】
第1測距部381及び第2測距部481は、新たに設定された第1視野VF1及び第2視野VF2内に存する物体までの距離を計測する。ここで、新たに設定された第1視野VF1及び第2視野VF2内に存する物体のうち最も撮影装置1に近接する物体までの距離データの値が互いに等しい或いは所定範囲で近似しているならば、輻輳角制御部810は、輻輳点CPが対象物体上で収束したと判断し、新たに設定された第1視野VF1及び第2視野VF2内に存する物体のうち最も撮影装置1に近接する物体までの距離データの値が異なる或いは所定範囲で近似していないならば、輻輳角制御部810は、輻輳点CPが対象物体上で収束していないと判断する(S120)。図17に示される距離データセットによれば、新たに設定された第1視野VF1内に新たに物体cが含まれていることが分かる。また、物体cは、第1視野VF1内に存在する物体のうち第1撮像部3に最も近いことが分かる。また、第1視野VF1内において撮影装置1に最も近接する物体cまでの距離が「0.5m」であるのに対し、第2視野VF2内において撮影装置1に最も近接する物体xまでの距離が「1.0m」であり、距離データの最小値間に有意な差が認められるので、輻輳角制御部810は、輻輳点CPが対象物体上で収束していないと判断する。
【0097】
その後、図14に関連して説明されたように、輻輳角制御部810は、第1測距部381から得られた第1距離データセット内の最小値と第2測距部481から得られた第2距離データセット内の最小値とを比較し、撮影装置1から「0.5m」の距離に存する物体に輻輳点CPを設定することを決定する(S130)。この決定の基づき、輻輳角制御部810は、輻輳角を計算し、輻輳角制御信号を生成する(S110)。そして、輻輳角制御信号に基づき、第1基台部310及び/又は第2基台部410が回転し、輻輳点CPが撮影装置1から「0.5m」の距離に存する物体に合わせられる。
【0098】
その後、第1測距部381及び第2測距部481は、新たに設定された第1視野VF1及び第2視野VF2内に存する物体までの距離を計測する。輻輳角制御部810は、新たに得られた第1距離データセット内の最小値と第2距離データセット内の最小値とを比較し、輻輳点CPが対象物体上で収束したか否かを判定する(S120)。図17に示されるデータによれば、第1距離データセット内の最小値は、物体cに対して得られた「0.5m」であり、第2距離データセット内の最小値は、物体zに対して得られた「0.5m」である。したがって、両者の値が等しいので、輻輳角制御部810は、輻輳点CPが対象物体上で収束したと判定する。
【0099】
上述の如く、表示部5は、第1撮像部3及び第2撮像部4から得られた第1映像データ及び第2映像データを交互に表示し、立体的に知覚可能な映像を使用者に表示する。したがって、使用者は表示部5に表示された映像に基づき、使用者が意図した映像が得られているか否かを判断することができる(S140)。意図した映像が表示されていない場合には、使用者は撮影装置1を移動させ、新たな構図で撮影を始めることができる(S150)。
【0100】
意図した映像が表示されている場合には、使用者はシャッタボタン6(図1参照)を押し、撮影を終了する(S160)。そして、図5に関連して説明された如く、第1映像データ及び第2映像データは記憶部530に記録されることとなる。
【0101】
(第2実施形態)
図18は、本発明の第2実施形態に係る撮影装置1のブロック図である。尚、以下、第2実施形態と第1実施形態との間の相違点に関して説明され、これら実施形態において共通する構成に関する説明は省略される。
【0102】
第2実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角制御部810に代えて、撮像素子制御部810aが用いられる。第2実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角調節駆動部312に代えて、撮像素子調節駆動部312aが用いられる。第2実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角調節駆動部412に代えて、撮像素子調節駆動部412aが用いられる。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0103】
撮像素子調節駆動部312aは、第1レンズ部320の光軸OA1と第2レンズ部420の光軸OA2とを含む平面内で、第1撮像素子部330を第1レンズ部320の光軸OA1に対して直交する方向に移動させる。撮像素子調節駆動部412aは、第1レンズ部320の光軸OA1と第2レンズ部420の光軸OA2とを含む平面内で、第2撮像素子部430を第2レンズ部420の光軸OA2に対して直交する方向に移動させる。尚、光軸OA1及び光軸OA2が、互いに交差するように第1レンズ部320及び第2レンズ部420はそれぞれ第1基台部310及び第2基台部410上に設置されている。
【0104】
撮像素子制御部810aは、第1実施形態で用いられた輻輳角制御部810と同様に第1測距部381からの第1距離データ、第2測距部481からの第2距離データ、第1認識部382からの第1位置データ及び第2認識部482からの第2位置データに基づき、第1映像データ及び第2映像データに対する所定の判定や演算を行う判定部として用いられるが、第1撮像素子部330及び第2撮像素子部430の移動量を定める信号を第1調整部820及び/又は第2調整部830へ出力する。第1調整部820及び/又は第2調整部830は、撮像素子制御部810aからの信号に基づき、第1撮像素子部330及び/又は第2撮像素子部430を移動させるための駆動信号を生成し、撮像素子調節駆動部312a,412aを駆動する。この結果、第1撮像素子部330及び/又は第2撮像素子部430は、第1基台部310及び/又は第2基台部410上で直線的に移動することとなる。撮像素子調節駆動部312a,412aとして、例えば、任意のシリンダやピエゾ素子を好適に使用することができる。
【0105】
第1撮像素子部330及び/又は第2撮像素子部430の移動によって、第1映像データ及び第2映像データとして表示される映像は、光軸OA1及び/又は光軸OA2に対して直交する方向に移動して得られる映像となる。したがって、第1実施形態において、第1基台部310及び/又は第2基台部410を回転させることにより生じた視野の変更と同等の効果を生ずることとなる。例えば、第1撮像素子部330及び/又は第2撮像素子部430が互いに離間する方向に移動すると、輻輳点CPが、撮影装置1から遠ざかるような光学的効果を生じ、第1撮像素子部330及び/又は第2撮像素子部430が互いに近接する方向に移動すると、輻輳点CPが、撮影装置1に近づくような光学的効果を生ずる。
【0106】
(第3実施形態)
図19は、本発明の第3実施形態に係る撮影装置1のブロック図である。尚、以下、第3実施形態と第1実施形態との間の相違点に関して説明され、これら実施形態において共通する構成に関する説明は省略される。
【0107】
第3実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角制御部810に代えて、レンズ制御部810bが用いられる。第3実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角調節駆動部312に代えて、レンズ調節駆動部312bが用いられる。第3実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角調節駆動部412に代えて、レンズ調節駆動部412bが用いられる。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0108】
レンズ調節駆動部312bは、移動前における第1レンズ部320の光軸OA1と移動前における第2レンズ部420の光軸OA2とを含む平面内で、第1レンズ部320を光軸OA1の延出方向に対して直交する方向に移動させる。レンズ調節駆動部412b は、移動前における第1レンズ部320の光軸OA1と移動前における第2レンズ部420の光軸OA2とを含む平面内で、第2レンズ部420を光軸OA2の延出方向に対して直交する方向に移動させる。この結果、第1撮像素子部330及び第2撮像素子部430それぞれは、第1レンズ部320の光軸OA1及び第2レンズ部420の光軸OA2に対して相対的に移動することとなる。尚、第2実施形態と同様に、光軸OA1及び光軸OA2が、互いに交差するように第1レンズ部320及び第2レンズ部420はそれぞれ第1基台部310及び第2基台部410上に設置されている。第3実施形態では、焦点調節レンズ321を除く第1レンズ部320を構成するレンズ群が一体的に移動しているように示されているが、本実施形態はこれに限られるものではなく、第1レンズ部320を構成するレンズ群のうち一部のレンズのみが移動されてもよい。同様に、焦点調節レンズ421を除く第2レンズ部420を構成するレンズ群が一体的に移動しているように示されているが、本実施形態はこれに限られるものではなく、第2レンズ部420を構成するレンズ群のうち一部のレンズのみが移動されてもよい。
【0109】
レンズ制御部810bは、第1実施形態で用いられた輻輳角制御部810と同様に第1測距部381からの第1距離データ、第2測距部481からの第2距離データ、第1認識部382からの第1位置データ及び第2認識部482からの第2位置データに基づき、第1映像データ及び第2映像データに対する所定の判定や演算を行う判定部として用いられるが、第1レンズ部320及び第2レンズ部420の移動量を定める信号を第1調整部820及び/又は第2調整部830へ出力する。第1調整部820及び/又は第2調整部830は、レンズ制御部810bからの信号に基づき、第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420を移動させるための駆動信号を生成し、レンズ調節駆動部312b,412bを駆動する。この結果、第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420は、第1基台部310及び/又は第2基台部410上で直線的に移動することとなる。レンズ調節駆動部312b,412bとして、第2実施形態の撮像素子調節駆動部312a、412aと同様に、例えば、任意のシリンダやピエゾ素子を好適に使用することができる。
【0110】
第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420の移動によって、第1映像データ及び第2映像データとして表示される映像は、第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420の移動方向に沿って変化する。したがって、第1実施形態において、第1基台部310及び/又は第2基台部410を回転させることにより生じた視野の変更と同等の効果を生ずることとなる。例えば、第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420が互いに離間する方向に移動すると、輻輳点CPが、撮影装置1から遠ざかるような光学的効果を生じ、第1レンズ部320及び/又は第2レンズ部420が互いに近接する方向に移動すると、輻輳点CPが、撮影装置1に近づくような光学的効果を生ずる。
【0111】
(第4実施形態)
図20は、本発明の第4実施形態に係る撮影装置1のブロック図である。尚、以下、第4実施形態と第1実施形態との間の相違点に関して説明され、これら実施形態において共通する構成に関する説明は省略される。
【0112】
第4実施形態に係る撮影装置1は、機械的に視野を変更する第1乃至第3の実施形態と異なり、画像処理技術を用いて、第1撮像部3及び/又は第2撮像部4の視野を擬似的に変更する。第4実施形態に係る撮影装置1において、第1実施形態において用いられていた輻輳角制御部810に代えて、映像データ制御部810cが用いられる。第1調整部820は、AD変換部331の下流に配され、デジタル変換後の第1映像データを受ける。第2調整部830は、AD変換部431の下流に配され、デジタル変換後の第2映像データを受ける。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0113】
映像データ制御部810cは、第1測距部381からの第1距離データ、第2測距部481からの第2距離データ、第1認識部382からの第1位置データ及び第2認識部482からの第2位置データに基づき、画像処理に関する制御信号を生成するとともに第1調整部820及び第2調整部830に制御信号を出力する。第1調整部820及び第2調整部830それぞれは、制御信号に基づき、第1映像データ及び第2映像データに画像処理を施す。
【0114】
図21は、画像処理と光軸の角度変化との関係を示す。図21と併せて、図20を参照しつつ、第4実施形態において実行される画像処理が説明される。
【0115】
図21に示されるカメラは、図20に示される第1撮像部3又は第2撮像部4に相当する。カメラの視野の左端には、物体Xが存在し、カメラの視野の右端には、物体Yが存在している。また、物体Xと物体Yとの間には、物体Zが存在している(図21(a)参照)。カメラは、最初に、物体Xから物体Yまでを映し出す映像を取得している。その後、物体Xから物体Zまでが映し出されるように映像の右端領域に対してトリミング処理をすると、図21(b)で示されるような映像が得られる。図21(b)で示されるトリミング処理によって、図21(c)に示されるように、物体Zがカメラの視野の右端にくるようにカメラの光軸を傾斜させて得られた映像と略等価の映像が得られることとなる。したがって、トリミング処理される映像の測縁領域の幅αと、カメラの光軸の傾斜角度θとの間には一定の関係が存することが分かる。
【0116】
映像データ制御部810cは、第1測距部381からの第1距離データ、第2測距部481からの第2距離データ、第1認識部382からの第1位置データ及び第2認識部482からの第2位置データに基づき、輻輳点が合わせられるべき対象物体が第1映像データ及び/又は第2映像データの中央領域に位置するように、第1映像データ及び/又は第2映像データに対してトリミングすべき測縁領域の幅に関する信号を第1調整部820及び/又は第2調整部830へ出力する。第1調整部820及び/又は第2調整部830は、第1映像データ及び/又は第2映像データに対してトリミング処理を施し、トリミング処理された第1映像データ及び/又は第2映像データを圧縮部332,432並びに焦点調節制御部333,433に出力する。その後、トリミング処理された第1映像データ及び第2映像データが表示部5に表示され、立体映像として使用者に提示される。
【0117】
上記の実施形態において、第1撮像部3及び第2撮像部4の焦点は、輻輳点CPが合わせられた対象物体に合わせられてもよいが、共通視野VFC内に存する任意の物体に合わせられてもよい。必要に応じて、第1撮像部3の焦点と第2撮像部4の焦点とが互いに異なる物体に合わせられてもよい。したがって、本実施形態では、焦点が合わせられる物体と同一の物体と同一の物体に輻輳点CPが合わせられてもよいし、焦点が合わせられる物体とは異なる物体に輻輳点CPが合わせられてもよい。
【0118】
上記の実施形態において、第1撮像部3と第2撮像部4とを制御するために、第1測距部381、第2測距部481、第1認識部382、第2認識部482、第1調整部820や第2調整部830が個別に設けられていたが、これらが単一の素子、回路やプログラムによって実現されてもよい。
【0119】
上記の実施形態において、第1測距部381と第2測距部481とが、別々に示されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらが単一の素子、回路やプログラムによって単一の測距部として実現されてもよい。
【0120】
上記の実施形態において、第1認識部382と第2認識部482とが、別々に示されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらが単一の素子、回路やプログラムによって単一の位置認識部として実現されてもよい。
【0121】
上記の実施形態において、第1調整部820と第2調整部830とが、別々に示されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらが単一の素子、回路やプログラムによって単一の調整部として実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
上記実施形態は、立体的に知覚される映像を取得する撮影装置に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0123】
1・・・・・撮影装置
3・・・・・第1撮像部
320・・・第1レンズ部
330・・・第1撮像素子部
381・・・第1測距部
382・・・第1認識部
4・・・・・第2撮像部
420・・・第2レンズ部
430・・・第2撮像素子部
481・・・第2測距部
482・・・第2認識部
5・・・・・表示部
810・・・輻輳角制御部
810a・・撮像素子制御部
810b・・レンズ制御部
810c・・映像制御部
820・・・第1調整部
830・・・第2調整部
OA1・・・光軸
OA2・・・光軸
VF1・・・第1視野
VF2・・・第2視野
VFC・・・共通視野
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼で視認される第1視野内の第1映像データを取得する第1撮像部と、
右眼で視認される第2視野内の第2映像データを取得する第2撮像部と、
前記第1撮像部及び前記第2撮像部のうち少なくとも一方を制御し、最も近い対象物体に、前記第1撮像部の光軸と前記第2撮像部の光軸とが交差してなる輻輳点を合わせる制御部と、
前記第1映像データと前記第2映像データとから立体映像を表示する表示面を含む表示部と、を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1撮像部から前記対象物体までの第1距離と、前記第2撮像部から前記対象物体までの第2距離とを測定する測距部と、
前記第1距離と前記第2距離とを比較することによって、前記輻輳点が前記対象物体に合っているか否かを判定する判定部を備えることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1視野内における前記対象物体の位置と、前記第2視野内における前記対象物体の位置とを認識する位置認識部と、前記第1映像データ及び前記第2映像データを調整する調整部と、を含み、
前記判定部は、前記対象物体が前記第1視野と前記第2視野のうちいずれの視野の方において、前記対象物体が端に映し出されているかを判定し、
前記判定部が、前記第1視野において、前記対象物体が端に映されていると判定するならば、前記調整部は、前記対象物体が前記第1視野の中央に向けて移動するように前記第1映像データを調整し、前記輻輳点を前記対象物体に合わせ、
前記判定部が、前記第2視野において、前記対象物体が端に映されていると判定するならば、前記調整部は、前記対象物体が前記第2視野の中央に向けて移動するように前記第2映像データを調整し、前記輻輳点を前記対象物体に合わせることを特徴とする請求項2記載の撮影装置。
【請求項4】
前記測距部は、前記第1撮像部から前記第1視野内に存在する複数の物体までの距離を測定するとともに前記第2撮像部から前記第2視野内に存在する複数の物体までの距離を測定し、
前記調整部は、前記測定された距離のうち最小の距離にある前記物体を前記対象物体として、前記第1映像データ及び前記第2映像データのうち少なくとも一方を調整し、前記対象物体に前記輻輳点を合わせることを特徴とする請求項3記載の撮影装置。
【請求項5】
前記判定部が、前記第1視野内において測定された最小の距離が、前記第2視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、前記調整部は、前記第2視野内で測定された前記最小の距離に存する物体に、前記輻輳点を合わせるように前記第1映像データを調整し、
前記判定部が、前記第2視野内において測定された最小の距離が、前記第1視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、前記調整部は、前記第1視野内で測定された前記最小の距離に存する物体に、前記輻輳点を合わせるように前記第2映像データを調整することを特徴とする請求項4記載の撮影装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記撮影装置と前記対象物体との間の距離に対して定められた閾値と前記第1視野内の前記最小の距離とを比較するとともに、前記閾値と前記第2視野内の前記最小の距離とを比較し、
前記判定部が、前記第1視野内の前記最小の距離が前記閾値よりも短いと判定するならば、前記調整部は、前記閾値よりも離れた位置に存する物体のうち前記撮影装置に最も近い物体に前記輻輳点を合わせるように前記第1映像データを調整し、
前記判定部が、前記第2視野内の前記最小の距離が前記閾値よりも短いと判定するならば、前記調整部は、前記閾値よりも離れた位置に存する物体のうち前記撮影装置に最も近い物体に前記輻輳点を合わせるように前記第2映像データを調整することを特徴とする請求項5記載の撮影装置。
【請求項7】
前記調整部は、前記第1撮像部の前記光軸と前記第2撮像部の前記光軸とを含む平面内で、前記第1撮像部を回転させることにより、前記第1映像データを調整する第1調整部と、
前記平面内で、前記第2撮像部を回転させることにより、前記第2映像データを調整する第2調整部と、を含むことを特徴とする請求項3乃至6いずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記第1撮像部は、前記対象物体の第1光学像を電気信号に変換し、前記第1映像データを生成する第1撮像素子部と、前記第1光学像を前記第1撮像素子部に結像させる第1レンズ部と、を含み、
前記第2撮像部は、前記対象物体の第2光学像を電気信号に変換し、前記第2映像データを生成する第2撮像素子部と、前記第2光学像を前記第2撮像素子部に結像させる第2レンズ部と、を含み、
前記調整部は、前記第1撮像部の前記光軸と前記第2撮像部の前記光軸とを含む平面内で、前記第1撮像部の前記光軸に交差する方向に、前記第1撮像素子部及び前記第1レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させることにより、前記第1映像データを調整する第1調整部と、
前記平面内で、前記第2撮像部の光軸に交差する方向に前記第2撮像素子部及び前記第2レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させることにより、前記第2映像データを調整する第2調整部と、を含むことを特徴とする請求項3乃至6いずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記調整部は、前記対象物体が前記第1視野の中央に向けて移動するように、前記第1映像データをトリミングする第1調整部と、
前記対象物体が前記第2視野の中央に向けて移動するように、前記第2映像データをトリミングする第2調整部と、を含むことを特徴とする請求項3乃至6いずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項1】
左眼で視認される第1視野内の第1映像データを取得する第1撮像部と、
右眼で視認される第2視野内の第2映像データを取得する第2撮像部と、
前記第1撮像部及び前記第2撮像部のうち少なくとも一方を制御し、最も近い対象物体に、前記第1撮像部の光軸と前記第2撮像部の光軸とが交差してなる輻輳点を合わせる制御部と、
前記第1映像データと前記第2映像データとから立体映像を表示する表示面を含む表示部と、を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1撮像部から前記対象物体までの第1距離と、前記第2撮像部から前記対象物体までの第2距離とを測定する測距部と、
前記第1距離と前記第2距離とを比較することによって、前記輻輳点が前記対象物体に合っているか否かを判定する判定部を備えることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1視野内における前記対象物体の位置と、前記第2視野内における前記対象物体の位置とを認識する位置認識部と、前記第1映像データ及び前記第2映像データを調整する調整部と、を含み、
前記判定部は、前記対象物体が前記第1視野と前記第2視野のうちいずれの視野の方において、前記対象物体が端に映し出されているかを判定し、
前記判定部が、前記第1視野において、前記対象物体が端に映されていると判定するならば、前記調整部は、前記対象物体が前記第1視野の中央に向けて移動するように前記第1映像データを調整し、前記輻輳点を前記対象物体に合わせ、
前記判定部が、前記第2視野において、前記対象物体が端に映されていると判定するならば、前記調整部は、前記対象物体が前記第2視野の中央に向けて移動するように前記第2映像データを調整し、前記輻輳点を前記対象物体に合わせることを特徴とする請求項2記載の撮影装置。
【請求項4】
前記測距部は、前記第1撮像部から前記第1視野内に存在する複数の物体までの距離を測定するとともに前記第2撮像部から前記第2視野内に存在する複数の物体までの距離を測定し、
前記調整部は、前記測定された距離のうち最小の距離にある前記物体を前記対象物体として、前記第1映像データ及び前記第2映像データのうち少なくとも一方を調整し、前記対象物体に前記輻輳点を合わせることを特徴とする請求項3記載の撮影装置。
【請求項5】
前記判定部が、前記第1視野内において測定された最小の距離が、前記第2視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、前記調整部は、前記第2視野内で測定された前記最小の距離に存する物体に、前記輻輳点を合わせるように前記第1映像データを調整し、
前記判定部が、前記第2視野内において測定された最小の距離が、前記第1視野内で測定された最小の距離よりも長いと判定するならば、前記調整部は、前記第1視野内で測定された前記最小の距離に存する物体に、前記輻輳点を合わせるように前記第2映像データを調整することを特徴とする請求項4記載の撮影装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記撮影装置と前記対象物体との間の距離に対して定められた閾値と前記第1視野内の前記最小の距離とを比較するとともに、前記閾値と前記第2視野内の前記最小の距離とを比較し、
前記判定部が、前記第1視野内の前記最小の距離が前記閾値よりも短いと判定するならば、前記調整部は、前記閾値よりも離れた位置に存する物体のうち前記撮影装置に最も近い物体に前記輻輳点を合わせるように前記第1映像データを調整し、
前記判定部が、前記第2視野内の前記最小の距離が前記閾値よりも短いと判定するならば、前記調整部は、前記閾値よりも離れた位置に存する物体のうち前記撮影装置に最も近い物体に前記輻輳点を合わせるように前記第2映像データを調整することを特徴とする請求項5記載の撮影装置。
【請求項7】
前記調整部は、前記第1撮像部の前記光軸と前記第2撮像部の前記光軸とを含む平面内で、前記第1撮像部を回転させることにより、前記第1映像データを調整する第1調整部と、
前記平面内で、前記第2撮像部を回転させることにより、前記第2映像データを調整する第2調整部と、を含むことを特徴とする請求項3乃至6いずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記第1撮像部は、前記対象物体の第1光学像を電気信号に変換し、前記第1映像データを生成する第1撮像素子部と、前記第1光学像を前記第1撮像素子部に結像させる第1レンズ部と、を含み、
前記第2撮像部は、前記対象物体の第2光学像を電気信号に変換し、前記第2映像データを生成する第2撮像素子部と、前記第2光学像を前記第2撮像素子部に結像させる第2レンズ部と、を含み、
前記調整部は、前記第1撮像部の前記光軸と前記第2撮像部の前記光軸とを含む平面内で、前記第1撮像部の前記光軸に交差する方向に、前記第1撮像素子部及び前記第1レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させることにより、前記第1映像データを調整する第1調整部と、
前記平面内で、前記第2撮像部の光軸に交差する方向に前記第2撮像素子部及び前記第2レンズ部のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させることにより、前記第2映像データを調整する第2調整部と、を含むことを特徴とする請求項3乃至6いずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記調整部は、前記対象物体が前記第1視野の中央に向けて移動するように、前記第1映像データをトリミングする第1調整部と、
前記対象物体が前記第2視野の中央に向けて移動するように、前記第2映像データをトリミングする第2調整部と、を含むことを特徴とする請求項3乃至6いずれか1項に記載の撮影装置。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【公開番号】特開2011−124932(P2011−124932A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283053(P2009−283053)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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