説明

撮影装置

【課題】 従来の撮影装置では、ファインダー画面内に表示されるオートフォーカス・エリアが画面中心にある場合とその他の位置にある場合とで、区別がつかない。
【解決手段】 焦点を自動的に合わせる画面位置を示すオートフォーカス位置表示が画面中心にある場合と画面中心にない場合とで、表示制御手段により、オートフォーカス位置表示の表示形態が異ならせられる。このため、使用者は、オートフォーカス位置表示が画面中心にある場合と画面中心にない場合とを明確に区別することができ、画面中心以外の位置にあるオートフォーカス位置表示を画面中心に容易に移動させることができる。この結果、画面中心に焦点を合わせるオートフォーカス撮影を行いたい使用者の要望に応じた、使い勝手の良いデジタルカメラ1が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点を自動的に合わせる画面位置を示すオートフォーカス位置表示と被写体像とを重ねて画面に表示する表示手段を備えた撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の撮影装置としては、例えば特許文献1に開示されたカメラがある。このカメラは、ファインダー画面内の複数のエリアの中から任意の1つのエリアを選択して、焦点検出のための測距を行うオートフォーカス・エリアを選択するエリア選択装置を備えている。ファインダー画面内での、エリア選択装置により選択されたオートフォーカス・エリアは、外部表示を制御する制御手段により、外部表示上にその選択位置が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−274239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来の撮影装置では、ファインダー画面内に表示されるオートフォーカス・エリアが画面中心にある場合とその他の位置にある場合とで、区別がつかない。このため、使用者は、撮影時に画面中心のエリアを容易に選択することができないため、画面中心のエリアでオートフォーカスを行うことができず、撮影時のカメラの使い勝手が悪い。
【0005】
また、ファインダー画面内における、使用者の好みの特定のエリアで、オートフォーカスによる撮影を何回も行いたい場合に、使用者の好みの特定のエリアの位置を正確に記憶して選択することが困難であるため、構図の再現性が良くない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
焦点を自動的に合わせる画面位置を示すオートフォーカス位置表示と被写体像とを重ねて画面に表示する表示手段と、
オートフォーカス位置表示の最小単位の移動の前後で各オートフォーカス位置表示が重なり合う位置関係にオートフォーカス位置表示を移動させる移動手段と、
オートフォーカス位置表示が画面中心にある場合と画面中心にない場合とでオートフォーカス位置表示の表示形態を異ならせる表示制御手段と
を備えて撮影装置を構成した。
【0007】
本構成によれば、焦点を自動的に合わせる画面位置を示すオートフォーカス位置表示が画面中心にある場合と画面中心にない場合とで、表示制御手段により、オートフォーカス位置表示の表示形態が異ならせられる。このため、使用者は、オートフォーカス位置表示が画面中心にある場合と画面中心にない場合とを明確に区別することができ、画面中心以外の位置にあるオートフォーカス位置表示を画面中心に容易に移動させることができる。この結果、画面中心に焦点を合わせるオートフォーカス撮影を行いたい使用者の要望に応じた、使い勝手の良い撮影装置が提供される。
【0008】
また、本発明は、表示手段が、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能な複数のオートフォーカス位置を画面に有し、
表示制御手段が、コントラスト検出方式によりオートフォーカスが行われるオートフォーカス位置表示が移動手段により移動させられて、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能ないずれかのオートフォーカス位置に一致した場合、オートフォーカス位置表示の表示形態を一致する前と異ならせることを特徴とする。
【0009】
本構成によれば、コントラスト検出方式によりオートフォーカスが行われるオートフォーカス位置表示が移動手段により移動させられて、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能ないずれかのオートフォーカス位置に一致した場合、表示制御手段により、オートフォーカス位置表示の表示形態が一致する前と異ならせられる。このため、コントラスト検出方式での撮影時に、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能ないずれかのオートフォーカス位置にオートフォーカス位置表示を容易に移動することができる。従って、使用者は、コントラスト検出方式でのオートフォーカス撮影時に、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能な所望のオートフォーカス位置において、位相差検出方式によるオートフォーカス撮影に切り替えて、被写体により正確に焦点を合わせてオートフォーカス撮影をすることが可能となる。
【0010】
また、本発明は、焦点を自動的に合わせる画面位置を示すオートフォーカス位置表示と被写体像とを重ねて画面に表示する表示手段と、
オートフォーカス位置表示を移動させる移動手段と、
特定の位置のオートフォーカス位置を少なくとも1箇所指定可能な指定手段と、
移動手段によりオートフォーカス位置表示が指定手段によって指定された特定の位置に移動された場合と移動されない場合とでオートフォーカス位置表示の表示形態を異ならせる表示制御手段と
を備えて撮影装置を構成した。
【0011】
本構成によれば、移動手段によりオートフォーカス位置表示が指定手段によって指定された特定の位置に移動された場合と移動されない場合とで、表示制御手段により、オートフォーカス位置表示の表示形態が異ならせられる。このため、オートフォーカス位置表示を指定手段により指定した特定の位置に移動して撮影を行いたい場合、使用者は、オートフォーカス位置表示の表示形態の変化により、特定の位置にオートフォーカス位置表示を容易に移動させることができる。この結果、オートフォーカス位置表示を指定手段により指定した特定の位置に移動して撮影を行った後、再びこの特定の位置で撮影を行いたい場合、使用者は、再びこの特定の位置にオートフォーカス位置表示を容易に移動させることができ、オートフォーカス撮影における構図の再現性が向上する。
【0012】
また、本発明は、表示制御手段が、オートフォーカス位置表示の表示形態を色、大きさ、輝度、または形状の少なくとも1つを変化させて異ならせることを特徴とする。
【0013】
本構成によれば、オートフォーカス位置表示の表示形態は、表示制御手段により、色、大きさ、輝度、または形状の少なくとも1つが変化させられて、異ならせられる。このため、使用者は、オートフォーカス位置表示の表示形態が異なるのを、これらによって明確に容易に区別できる。
【0014】
また、本発明は、表示手段が、背面モニタまたは光学式ビューファインダーまたは電子式ビューファインダーであるを特徴とする。
【0015】
本構成によれば、使用者は、背面モニタまたは光学式ビューファインダーまたは電子式ビューファインダーの画面において、オートフォーカス位置表示を見ながら、オートフォーカスによる撮影を使い勝手よく行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による撮影装置によれば、上記のように、画面中心に焦点を合わせるオートフォーカス撮影を行いたい使用者の要望に応じた、使い勝手の良い撮影装置が提供される。また、オートフォーカス位置表示を指定手段により指定した特定の位置に移動して撮影を行った後、再びこの特定の位置で撮影を行いたい場合、使用者は、再びこの特定の位置にオートフォーカス位置表示を容易に移動させることができ、オートフォーカス撮影における構図の再現性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態によるデジタルカメラの電気回路構成の概略を示すブロック図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの背面モニタに被写体像であるリンゴ、およびオートフォーカス位置表示が表示されている図である。
【図3】図1に示すデジタルカメラの背面モニタにオートフォーカス位置表示を表示する処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】本発明の変形例によるデジタルカメラの背面モニタに、オートフォーカス位置表示が特定の位置にあるか否かによってその表示形態を変化させて表示させる処理の概略を示すフローチャートである。
【図5】本発明の変形例によるデジタルカメラの背面モニタに表示されるオートフォーカス位置表示の様々な表示形態の概略を示した図である。
【図6】本発明の変形例によるデジタルカメラの背面モニタ上でオートフォーカス位置表示を動かした場合の表示形態の変化の概略を示した図である。
【図7】本発明の変形例によるデジタルカメラにおけるオートフォーカスの設定が位相差検出方式である場合に焦点が合わせられる箇所を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明による撮影装置をデジタルカメラ1に適用した場合における一実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、この一実施の形態によるデジタルカメラ1の電気回路構成の概略を示すブロック図である。
【0020】
デジタルカメラ1は、CPU(Central Processing Unit)11、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などで構成される不揮発性メモリ12、およびRAM(Random Access Memory)などで構成されるバッファメモリ13を備えている。不揮発性メモリ12には、CPU11が種々の制御を行う際に参照される制御プログラムなどが格納されている。CPU11は、不揮発性メモリ12に格納されている制御プログラムに従い、バッファメモリ13を一時記憶作業領域として回路各部の制御を行い、デジタルカメラ1の種々の装置機能を作動させる。
【0021】
被写体からの光は、光学系を構成するレンズ14を介してデジタルカメラ1内に取り込まれる。デジタルカメラ1内に取り込まれた被写体光は、撮像部15の撮像面15a上に被写体像を投影する。撮像部15は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などからなり、撮像部15の撮像面15a上に結像した被写体像は、アナログの撮像信号に変換される。変換された撮像信号は、A/D変換部16においてデジタル信号に変換される。画像処理部17は、A/D変換部16でデジタル信号に変換された撮像信号をバス18を介して取得し、取得した撮像信号に対して、ホワイトバランス処理やガンマ補正などの画像処理を行い、撮影された画像の画像データを生成する。画像処理部17によって生成された画像データは、CPU11により、圧縮処理が施されてバッファメモリ13に格納されると共に、I/F部19を介して、図示しないスロットに着脱されるメモリカード20に記録される。
【0022】
CPU11には、シャッターボタン2および背面モニタ3が接続されている。シャッターボタン2は、半押しされるとオートフォーカス(Auto Focus)機能を作動させ、全押しされると予め設定されたシャッター速度でシャッターを開かせ、被写体像を撮像部15の撮像面15aに所定時間露光させて被写体の撮影を行わせる。背面モニタ3は、TFT(Thin Film Transistor)液晶からなる。背面モニタ3には、撮像部15の撮像面15aで撮像される被写体像がスルー画として表示され、撮影者はこのスルー画で構図を確認する。例えば、背面モニタ3には、図2(a)に示すように、リンゴ4が被写体像として表示される。また、オートフォーカス機能が作動すると、背面モニタ3には、焦点を自動的に合わせる画面位置を示すオートフォーカス位置表示5が表示される。背面モニタ3は、オートフォーカス位置表示5とリンゴ4などの被写体像とを重ねて画面に表示する表示手段を構成する。
【0023】
デジタルカメラ1のボディ背面における背面モニタ3の右側には、上下方向および左右方向といった操作方向を検出する方向キーからなる、図示しないマルチセレクターボタンが設けられており、マルチセレクターボタンの内側には中央ボタンが設けられている。マルチセレクターボタンは、デジタルカメラ1の各種設定を行うメニュー画面において、種々の設定項目の中から所望の設定項目を選択する際などに操作される。また、中央ボタンは、マルチセレクターボタンの操作によって選択された所望の設定項目を決定する際などに操作される。
【0024】
オートフォーカス位置表示5は、使用者のマルチセレクターボタンの操作により、背面モニタ3上をその移動の前後でオーバーラップしながら移動させることが可能である。CPU11およびマルチセレクターボタンは、オートフォーカス位置表示5の最小単位の移動の前後で各オートフォーカス位置表示5が重なり合う位置関係に、オートフォーカス位置表示5を移動させる移動手段を構成する。
【0025】
また、CPU11は、オートフォーカス位置表示5が図2(a)に示すように画面中心にない場合、オートフォーカス位置表示5の表示形態を同図に示すような矩形の表示形態にしているが、オートフォーカス位置表示5が図2(b)に示すように画面中心にある場合、オートフォーカス位置表示5の表示形態を同図に示すような矩形と十字を組み合わせた表示形態5aにする。CPU11は、オートフォーカス位置表示5が画面中心にある場合と画面中心にない場合とでオートフォーカス位置表示5の表示形態を異ならせる表示制御手段を構成する。
【0026】
図3は、CPU11によって行われるオートフォーカス位置表示5を表示する処理の概略を示すフローチャートである。
【0027】
CPU11は、ステップ(以下、Sと記す)1において、メニュー画面などにおいてオートフォーカス位置表示5の表示を有効にする設定が行われていて、オートフォーカス位置表示5が必要であるか否かを判別する。この判別が“NO”の場合、処理は終了する。一方、オートフォーカス位置表示5の表示設定が有効に設定されていて、S1の判別が“YES”の場合、CPU11は、S2において、オートフォーカス位置表示5が背面モニタ3の画面中央に位置するか否かを判別する。図2(a)に示すように、オートフォーカス位置表示5が背面モニタ3の中央に位置せず、この判別がNO”の場合、S3の処理において、CPU11は、オートフォーカス位置表示5の表示形態を図2(a)に示すような表示形態にする。一方、図2(b)に示すように、オートフォーカス位置表示5が背面モニタ3の中央に位置しており、S2の判別が“YES”の場合、S4の処理において、CPU11は、オートフォーカス位置表示の表示形態を図2(b)に示すような表示形態5aにする。S3またはS4の処理の後、CPU11は、再び、S1において、オートフォーカス位置表示5が必要とされるか否かの判別を行う。
【0028】
このような本実施形態によるデジタルカメラ1によれば、焦点を自動的に合わせる画面位置を示すオートフォーカス位置表示5が画面中心にある場合と画面中心にない場合とで、表示制御手段により、オートフォーカス位置表示5の表示形態が異ならせられる。このため、使用者は、オートフォーカス位置表示5が画面中心にある場合と画面中心にない場合とを明確に区別することができ、画面中心以外の位置にあるオートフォーカス位置表示5を画面中心に容易に移動させることができる。この結果、画面中心に焦点を合わせるオートフォーカス撮影を行いたい使用者の要望に応じた、使い勝手の良いデジタルカメラ1が提供される。
【0029】
なお、上述した実施形態では、オートフォーカス位置表示5が画面中心にあるか否かにより、オートフォーカス位置表示5の表示形態を変化させたが、オートフォーカス位置表示5が画面中心以外の特定の位置にあるか否かによってその表示形態を異ならせる構成としてもよい。
【0030】
図4は、この変形例において、CPU11によって行われるオートフォーカス位置表示5を表示する処理の概略を示すフローチャートである。なお、同図において、図3と同一または相当する処理には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0031】
この変形例では、CPU11およびマルチセレクターボタンは、背面モニタ3を移動可能なオートフォーカス位置の中から、特定の位置のオートフォーカス位置を少なくとも1箇所指定可能な指定手段を構成する。また、CPU11は、移動手段によりオートフォーカス位置表示5が指定手段によって指定された特定の位置に移動された場合と移動されない場合とで、オートフォーカス位置表示5の表示形態を異ならせる表示制御手段を構成する。
【0032】
オートフォーカス位置表示5の表示が必要となり、図4、S1の判別が“YES”の場合、CPU11は、S11の処理において、オートフォーカス位置表示5が、指定手段によって予め指定された特定の位置にあるか否かを判別する。オートフォーカス位置表示5が特定の位置に位置しておらず、この判別がNO”の場合、S3の処理において、CPU11は、オートフォーカス位置表示5の表示形態を例えば図2(a)に示すような表示形態にする。一方、オートフォーカス位置表示5が特定の位置に位置しており、S11の判別が“YES”の場合、S4の処理において、CPU11は、オートフォーカス位置表示の表示形態を例えば図2(b)に示すような表示形態5aにする。
【0033】
このような構成によるデジタルカメラ1によれば、移動手段によりオートフォーカス位置表示5が指定手段によって指定された特定の位置に移動された場合と移動されない場合とで、表示制御手段により、オートフォーカス位置表示5の表示形態が異ならせられる。このため、オートフォーカス位置表示5を指定手段により指定した特定の位置に移動して撮影を行いたい場合、使用者は、オートフォーカス位置表示5の表示形態の変化により、特定の位置にオートフォーカス位置表示5を容易に移動させることができる。この結果、オートフォーカス位置表示5を指定手段により指定した特定の位置に移動して撮影を行った後、再びこの特定の位置で撮影を行いたい場合、使用者は、再びこの特定の位置にオートフォーカス位置表示5を容易に移動させることができ、オートフォーカス撮影における構図の再現性が向上する。
【0034】
また、上述した実施形態および変形例では、オートフォーカス位置表示5の表示形態は、図2(a)、(b)に示すような表示形態であったが、オートフォーカス位置表示5の表示形態は、これらの表示形態に限られない。例えば、図5(a)、(b)、(c)、(d)に示すような表示形態5b、5c、5d、5eとしてもよい。これらの表示形態は、例えばメニュー画面において全ての形態を背面モニタ3に表示してその中から所望のものを設定する構成とすることができる。また、マルチセレクターの中央ボタンを押す度に、図5の表示形態5b〜5eに示すように背面モニタ3に表示するオートフォーカス位置表示5の表示形態を次々と変化させて、所望のものを設定する構成とすることもできる。
【0035】
また、オートフォーカス位置表示5の表示形態は、表示制御手段により、色、大きさ、輝度、または形状の少なくとも1つが変化させられて、異ならせられる構成としてもよい。この場合、表示形態の決定は、メニュー画面での操作により、オートフォーカス位置表示5の色(赤、青…)、大きさ(大、中、小)、輝度(高、中、低)、上述した形状等のいずれか1つの要素を使用者に選択させたり、または、これらの全部の要素を使用者に選択させて、行う。この構成では、使用者は、オートフォーカス位置表示5の表示形態が異なるのを、これら要素によって明確に容易に区別できる。
【0036】
また、上述した実施形態では、オートフォーカス位置表示5が画面中央に移動した場合にその表示形態を異ならせて画面中央位置を知らせる構成であったが、オートフォーカス位置表示5が画面中央に導かれるようにその表示形態を変化させる構成であってもよい。
【0037】
図6は、この変形例において、背面モニタ3上でオートフォーカス位置表示5を動かした場合の表示形態の変化の概略を示した図である。
【0038】
この構成では、オートフォーカス位置表示5の枠の外周の4辺のうち、画面中央に近い辺の太さが太く表示されて、オートフォーカス位置表示5が画面中央に導かれる。例えば、同図に表示されているオートフォーカス位置表示5gは、画面中央のオートフォーカス位置表示5kの左側に位置するので、画面中央に近い右側の辺が太く表示される。同様に、画面中央のオートフォーカス位置表示5kの下側、右側、および上側に位置するオートフォーカス位置表示5h、5i、および5jは、画面中央に近い上側、左側、及び下側の辺が太く表示される。
【0039】
また、オートフォーカス位置表示5は、画面中央に移動するに連れて、その表示形態の色、大きさ、輝度、または形状の少なくとも1つを変化させて異ならせる構成にしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態および変形例では、デジタルカメラ1のオートフォーカスは、被写体のコントラストによりレンズ14の焦点位置を調整するコントラスト検出方式によって行われる場合について説明した。しかし、レンズ14を通る光を2つに分けた位相差によってレンズ14の焦点位置を合わせる位相差検出方式がコントラスト検出方式と併用される構成であってもよい。
【0041】
図7は、位相差検出方式でオートフォーカスが行われる場合に、背面モニタ3の画面において焦点が合わせられるオートフォーカス位置を示した図である。
【0042】
位相差検出方式によるオートフォーカス位置は、背面モニタ3上で複数の点に離散しており、例えば51点の限定されたオートフォーカス位置30にのみ設定される。ここで、背面モニタ3は、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能な複数のオートフォーカス位置30を画面に有する表示手段を構成する。
【0043】
オートフォーカスがコントラスト検出方式によって行われる場合、オートフォーカス位置表示5は、背面モニタ3上を連続的に移動させることが可能であり、2つの検出方式の検出範囲の重なる位置、つまり、同図のオートフォーカス位置30にオートフォーカス位置表示5が一致した場合、その表示形態は、色、大きさ、輝度、または形状などに関して異なる表示形態に変化する。この場合、使用者は、位相差検出方式のオートフォーカスを選択して撮影を行うことができる。ここで、CPU11は、コントラスト検出方式によりオートフォーカスが行われるオートフォーカス位置表示5が移動手段により移動させられて、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能ないずれかのオートフォーカス位置30に一致した場合、オートフォーカス位置表示5の表示形態を一致する前と異ならせる表示制御手段を構成する。
【0044】
このような構成によるデジタルカメラ1によれば、上記のように、コントラスト検出方式によりオートフォーカスが行われるオートフォーカス位置表示5が移動手段により移動させられて、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能ないずれかのオートフォーカス位置30に一致した場合、表示制御手段により、オートフォーカス位置表示5の表示形態が一致する前と異ならせられる。このため、コントラスト検出方式での撮影時に、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能ないずれかのオートフォーカス位置30にオートフォーカス位置表示5を容易に移動することができる。従って、使用者は、コントラスト検出方式でのオートフォーカス撮影時に、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能な所望のオートフォーカス位置30において、位相差検出方式によるオートフォーカス撮影に切り替えて、被写体により正確に焦点を合わせてオートフォーカス撮影をすることが可能となる。
【0045】
また、上述した実施形態および変形例では、表示手段が背面モニタ3である場合について説明したが、表示手段は、撮像部15からの画像を映す小型液晶モニタからなる電子式ビューファインダー(EFV:Electronic View Finder)や、光学式ビューファインダーであってもよい。この構成によれば、使用者は、光学式ビューファインダーまたは電子式ビューファインダーの画面において、オートフォーカス位置表示5を見ながら、オートフォーカスによる撮影を使い勝手よく行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上記実施形態においては、本発明の撮影装置をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、ビデオカメラや、携帯電話機等に内蔵されるカメラ等のその他の撮影装置にも適用することが可能である。このような撮影装置に本発明を適用した場合においても、上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0047】
1…デジタルカメラ
3…背面モニタ
4…リンゴ(被写体像)
5…オートフォーカス位置表示
5a〜5e、5g〜5j…表示形態
11…CPU
30…オートフォーカス位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点を自動的に合わせる画面位置を示すオートフォーカス位置表示と被写体像とを重ねて画面に表示する表示手段と、
前記オートフォーカス位置表示の最小単位の移動の前後で各前記オートフォーカス位置表示が重なり合う位置関係に前記オートフォーカス位置表示を移動させる移動手段と、
前記オートフォーカス位置表示が画面中心にある場合と画面中心にない場合とで前記オートフォーカス位置表示の表示形態を異ならせる表示制御手段と
を備えた撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影装置において、
前記表示手段は、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能な複数のオートフォーカス位置を画面に有し、
前記表示制御手段は、コントラスト検出方式によりオートフォーカスが行われる前記オートフォーカス位置表示が前記移動手段により移動させられて、位相差検出方式によりオートフォーカスの可能ないずれかの前記オートフォーカス位置に一致した場合、前記オートフォーカス位置表示の表示形態を一致する前と異ならせる
ことを特徴とする撮影装置。
【請求項3】
焦点を自動的に合わせる画面位置を示すオートフォーカス位置表示と被写体像とを重ねて画面に表示する表示手段と、
前記オートフォーカス位置表示を移動させる移動手段と、
特定の位置のオートフォーカス位置を少なくとも1箇所指定可能な指定手段と、
前記移動手段により前記オートフォーカス位置表示が前記指定手段によって指定された特定の位置に移動された場合と移動されない場合とで前記オートフォーカス位置表示の表示形態を異ならせる表示制御手段と
を備えた撮影装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮影装置において、
前記表示制御手段は、前記オートフォーカス位置表示の表示形態を色、大きさ、輝度、または形状の少なくとも1つを変化させて異ならせる
ことを特徴とする撮影装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮影装置において、
前記表示手段は、背面モニタまたは光学式ビューファインダーまたは電子式ビューファインダーである
ことを特徴とする撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−23913(P2011−23913A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166297(P2009−166297)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】