説明

撮影装置

【課題】肉眼で見た感覚に近い動画が得られるカメラ1を提供する。
【解決手段】被写体の明るさを検出する検出部22と、被写体の明るさに応じて、露出条件を制御する条件制御部31と、被写体を所定のフレームレートで撮影し、複数の画像から構成された動画を出力する撮像部21と、それぞれの画像の露出条件を記憶する条件記憶部32と、条件記憶部32に記憶された、それぞれの画像の露出条件にもとづいて、明るかった被写体の画像をより明るく、暗かった被写体の画像をより暗くする、明るさ補正処理を行う補正部33と、を具備するカメラ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉眼で見た感覚により近い動画が得られる撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラには、様々な撮影条件を自動的に制御する機能に加えて動画撮影機能が備えられている。しかし、自動制御により撮影された画像が、撮影者の意図通りの画像になるとは限らない。この一つの原因は、銀塩フィルムのダイナミックレンジに比べ、CCD等の固体撮像素子のダイナミックレンジ、すなわち適正露出範囲が極めて狭いことである、さらに、動画撮影中に被写体が明るくなったり暗くなったりした場合には、明るさ変化にかかわらず一定の明るさの映像が得られるように自動制御を行うため、肉眼で見た感覚とは異なる不自然な動画が得られることがあった。
【0003】
特許第2765642号明細書には、自動制御条件を被写体の明るさ変化に対して、最適補正量よりも小さい補正量で補正することにより、明るい被写体は比較的明るく、暗い被写体は比較的暗く撮影するビデオカメラ用露出制御装置が開示されている。
【0004】
しかし、撮影開始から撮影終了まのでの間の明るさ変化は、撮影毎に異なるため、撮影中に補正を行ったのでは動画全体にわたって肉眼で見た感覚を得ることは容易ではないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2765642号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、肉眼で見た感覚に近い動画が得られる撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明の実施形態の撮影装置は、被写体の明るさを検出する検出手段と、前記検出手段が検出した前記被写体の明るさに応じて、露出条件を制御する条件制御手段と、前記条件制御手段の制御のもと、前記被写体を所定のフレームレートで撮影し、複数の画像から構成された動画を出力する撮影手段と、それぞれの前記画像の前記露出条件を記憶する条件記憶手段と、前記条件記憶手段に記憶された、それぞれの前記画像の前記露出条件にもとづいて、明るかった前記被写体の画像をより明るく、暗かった前記被写体の画像をより暗くする、明るさ補正処理を行う補正手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、肉眼で見た感覚に近い動画が得られる撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態のカメラの構成図である。
【図2】第1実施形態のカメラの動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【図3】第1実施形態のカメラの条件制御部の動作を説明するための説明図であり、図3(A)〜図3(C)は表示画面を、図3(D)は被写体の明るさ分布を、図3(E)は画像信号の強度分布を示している。
【図4】第1実施形態のカメラの補正部の動作を説明するための説明図であり、図4(A)は画像信号の強度分布を示しており、図4(B)は補正後の画像信号の強度分布を示している。
【図5】動画撮影中の被写体の明るさ変化を説明するための図である。
【図6】第2実施形態のカメラの構成図である。
【図7】第2実施形態のカメラにおける特定の被写体を指定する状態を説明するための説明図である。
【図8】第2実施形態のカメラにおける動画撮影の状態を説明するための説明図である。
【図9】第2実施形態のカメラにおける明るさ補正処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態の撮影装置である動画撮影可能なカメラ1について説明する。図1に示すように、カメラ1は、交換レンズ10とボディ20とを有する。カメラ1としては、レンズ交換式に限られるものではないが、以下の説明はカメラ1を例に説明する。なお、カメラ1の交換レンズ10は汎用品であるため、簡単に説明する。
【0011】
交換レンズ10は、レンズ11と、操作部12と、駆動部13と、位置検出部14と、制御部15と、通信部16と、を具備する。レンズ11は複数の光学部材/絞り部11A等からなる例えばズームレンズである。使用者の操作は操作部12を介して制御部15に伝送され、駆動部13はレンズ11の絞り値(F値)、焦点、および画角(ズーム状態)等を駆動する。レンズ11のズーム状態、合焦状態、および絞り状態は、位置検出部14によって検出される。レンズ11の状態等は通信部16を介してボディ20に送信される。なお、カメラ1は図示したレンズ10以外の交換レンズも装着可能であり、ズームレンズでないレンズが装着された場合には、図示しないピントリング等が操作部12となる。
【0012】
ボディ20は、撮影手段である撮像部21と、検出手段である検出部22と、条件制御手段である条件制御部31と、撮影した画像を一時的に記憶する一時記録部23Aと、条件記憶手段である条件記憶部32と、補正手段である補正部33と、認識手段である認識部34と、AGC(オートゲインコントロール)制御部35と、記憶手段である記録部23と、表示手段である表示部28と、入力手段であるタッチパネル29および操作部26と、時計25と、通信部24と、を有する。
【0013】
なお、ボディ20の各構成要素は、それぞれ独立したハードウエアではなく、例えば、条件制御部31等の構成要素は、図示しないROM等の記憶部または記憶媒体に記憶されたプログラムがCPUに読み込まれて、それぞれの構成要素の機能を実行するものであってもよい。すなわち、CPUが制御部30を構成し、制御部30が、その機能としてそれぞれの構成要素の機能を有していてもよい。
【0014】
撮像部21は、レンズ11を介して被写体を撮影する固体撮像素子であるCCD21Aと、撮像信号を処理し、画像信号を出力する撮像信号処理部21Bと、を有する。CCD21Aは、赤(R)、緑(G)および青(B)の3色の光を、それぞれ異なる素子で検出することでカラーの撮像信号を出力する。固体撮像素子としてはCOMS撮像素子等であってもよい。撮像部21は撮影を所定のフレームレートで繰り返し行うことにより、複数の画像から構成された動画を出力する。なお、フィルムのISO感度に相当する撮像感度は、CCD21Aの仕様および撮像信号処理部21Bによる撮像信号の増幅率等により決定される。撮像部21が出力した画像は一時的に一時記録部23Aに記憶される。
【0015】
検出部22は、被写体の明るさを検出、すなわち測光する。なお、測光する光は白色光が一般的であるが、後述するように、赤(R)、緑(G)および青(B)の3色の光を別々に測光してもよい。
【0016】
条件制御部31は、検出部22が検出した被写体の明るさに応じて、露出条件を制御する。例えば、条件制御部31は、被写体の明るさに応じた露出補正信号を、駆動部13およびAGC制御部35に出力し、露出量がCCD21Aのダイナミックレンジ範囲に収まるように制御する。すなわち、条件制御部31は、露出補正信号にもとづいて、駆動部13が行う絞り部11Aの開閉動作を制御したり、AGC制御部35が行う撮像信号増幅処理の増幅率を制御したり、露出時間(シャッタースピード)を制御したりする。
【0017】
露出補正信号は、例えば、白光光の光量の計測値にもとづく信号であり、例えば、Ev(Exposure Value)値と撮像感度との組み合わせである。ここで、ISO100相当の撮像感度で、シャッタースピード1/250秒/F値5.6の場合、Ev値=13が適正露出と仮定する。ISO400相当の撮像感度は、ISO100相当の撮像感度の2段上である。このため、ISO400相当の撮像感度の場合のEv値は、2を加算した15となる。すなわち、Ev=15/F値5.6のときの適正露出のシャッタースピードは1/1000秒になる。
【0018】
なお、以下では説明を簡単にするために、撮像感度およびシャッタースピードが一定値、例えば、ISO100相当感度/シャッタースピード1/250秒に固定の場合について説明するため、露出条件である露出補正信号は、絞り部11Aの絞り値(F値)となる。
【0019】
条件記憶部32は、動画を構成する、それぞれの画像の露出条件である露出補正信号、すなわちF値、を記憶する。なお、条件記憶部32は、全ての画像のF値を記憶してもよいし、所定の毎枚毎に記憶してもよいし、F値が所定値以上変化した画像についてのみ記憶してもよい。また、条件記憶部32は、一時記録部23Aと同一の記憶部であってもよい。また、それぞれの画像に付属データとしてF値が付加されていてもよい。
【0020】
補正部33は、条件記憶部32に記憶された、それぞれの画像の露出条件にもとづいて、一時記録部23Aに記憶されている、明るかった被写体の画像、すなわちF値が大きい画像をより明るく、暗かった被写体の画像、すなわちF値が小さい画像をより暗くする、明るさ補正処理を行う。
【0021】
記録部23は補正部33が補正した補正画像から構成された動画を記憶する。表示部28は撮影前および撮影中の画像、すなわちスルー画像を表示したり、撮影後の画像を表示したりする。また、カメラ1は、通信部27を介して他の外部機器と接続が可能であり、例えばTV等に画像を表示することができる。
【0022】
次に、図2のフローチャートに従い、カメラ1の処理の流れについて説明する。
<ステップS10>電源ON
カメラ1の電源がONの場合(Yes)に、動作が開始し、OFFの場合(No)に動作が終了する。
【0023】
<ステップS11>システム初期設定
撮影動作モードが、動画モードの場合(Yes)には、S13からの処理が行われる。動画モードでない場合(No)には、S12から通常の静止画撮影処理等が行われる。
【0024】
<ステップS13、S14>明るさ検出/露出条件設定
撮像部21が撮像する被写体の画像がスルー画像として表示部28に表示される。このとき、条件制御部31は、検出部22が検出した被写体の明るさに応じた露出補正信号を出力し、露出量がCCD21Aのダイナミックレンジ範囲に収まるように制御する。
【0025】
露出条件の決定には、公知の測光方式(評価測光、中央部重点平均測光、スポット測光)を用いる。また人物が撮影される場合には顔検出システムを用い検出した顔部分が適正露出条件となるようにしてもよい。さらに、使用者がスルー画面が表示されているタッチパネルを指でタッチすることにより画面上の所定領域を測光するようにしてもよい。また、例えばスルー画面の2箇所を使用者が順にタッチすることにより、指定した2つの領域が適正露出条件となるようにしてもよい。
【0026】
ここで、CCD21Aのダイナミックレンジは、非常に狭く、例えば2Ev程度である。ダイナミックレンジを超えた露出量では、画像信号は飽和値となってしまう。ダイナミックレンジ未満の露出量では、画像信号は差が出なくなってしまう。また特定の色、例えば、赤色が中心の被写体を撮影すると、白色光の明るさ(強度)としては飽和値未満であっても、赤色光の強度が飽和値を超えてしまうことがある。このため、白色光検出の場合には、白色光飽和値よりも十分に小さい画像信号強度を適正露出(ダイナミックレンジ)の上限として設定することが好ましい。
【0027】
条件制御部31は、検出部22が検出した被写体の明るさに応じたF値になるように絞り部11Aを制御する。ここで、図3(A)〜図3(D)を用いて、水中に泳ぐ魚を水面上から動画撮影する場合の、条件制御部31の動作について説明する。図3(A)に示す時間T=T0のとき、表示画面28Aに示すように、魚50は明るい場所にいる。そして、図3(B)に示す時間T=T1のとき、魚50は暗い場所に移動を開始し、図3(C)に示す時間T=T2のとき暗い場所にいる。すなわち、時間T=T0〜T2の間に、魚50が明るいところから暗いところに泳いでいった場合、図3(D)に示すように背景を含めた被写体の明るさ分布は大きく変化する。
【0028】
ここで、図3(E)に示すように、条件制御部31は、撮像信号強度がCCD21Aのダイナミックレンジ範囲に収まるように、被写体の明るさに応じて絞り部11Aを制御する。例えば、条件制御部31は、露出条件を、時間T=T0ではF値=8、時間T=T1ではF値=5.6、時間T=T2ではF値=4と変える。すなわち、条件制御部31は、明るい被写体では絞り部11Aの絞りを閉じて露出量を減らし、暗い被写体では絞りを開き露出量を増加する。
【0029】
<ステップS15>動画撮影開始
使用者により、操作部26を介して動画撮影の開始が指示される(Yes)と、S18からの動画撮影処理が開始する。それまでは(No)、S13からのスルー画像の表示処理が繰り返し行われる。
【0030】
<ステップS16>明るさ検出/露出条件設定
S13と同じ処理が行われる。
【0031】
<ステップS17>画像取得
撮像部21が被写体を撮影し、画像信号を出力する。図3(E)に示したように、画像信号はCCD21Aのダイナミックレンジの範囲となるように、撮影されている。しかし明るさの変化は反映されていない。
【0032】
<ステップS18>画像/露出条件記憶
撮像部21が出力した画像信号が、一時記録部23Aに記憶され、露出条件、すなわちF値が条件記憶部32に記憶される。なお、一時記録部23Aに記憶する画像信号は、RGBの画素データのまま、すなわち、画像化しないで記憶することが好ましい。撮影後に色補正処理を行うためである。
【0033】
<ステップS19>撮影終了?
使用者による、撮影終了指示がある(Yes)まで、S18〜S20の処理が所定のフレームレート、例えば、60フレーム/秒、で繰り返し行われる。すなわち、1秒間に60枚の画像が撮影される。
【0034】
<ステップS20>明るさ補正処理
使用者により、操作部26を介して動画撮影の終了が指示されると、補正部33は、条件記憶部32に記憶されている、それぞれの画像を撮影したときの露出条件、すなわちF値にもとづいて、一時記録部23Aに記憶されている画像の明るさ補正処理を行う。
【0035】
例えば、明るさ補正処理では、最初に全画像のF値の平均値(F値平均値)が算出される。次に補正処理を行う画像のF値とF値平均値との差が算出される。算出されたF値差が正の画像は、動画全体の平均よりも明るかった被写体の画像であり、F値差が負の画像は、暗かった被写体の画像である。そして、F値差と比例関係にある補正量により明るさ補正処理が行われる。
【0036】
なお、算出されたF値差が所定量未満の画像については明るさ処理を行わなくともよい。また例えば、算出されたF値差にもとづき、例えば動画を構成する複数の画像を9個のグループに分類し、9レベルの補正量の明るさ補正処理を行っても良い。この場合には、9レベルのうち、第1レベルはF値差が正で、かつ最も大きいグループで、第5レベルはF値差の絶対値が最も小さいグループで、第9レベルはF値差が負で、かつ最も大きいグループとなる。そして第1レベルの画像に対しては最も明るくなるように補正処理が行われ、第9レベルの画像に対しては最も暗くなるように補正処理が行われ、第5レベルの画像に対しては補正処理は行われない。
【0037】
すなわち、明るさ補正処理はF値差と比例関係にある補正量にもとづき行われる。F値差と補正量との比例係数、言い換えれば補正処理の強さは使用者が設定可能であることが好ましい。なお、F値差と補正量との関係は1次関数、指数関数、対数関数、または、より複雑な所定の近似式関数等を用いることができる。
【0038】
以上の説明のように、補正部33は動画を構成する複数の画像の露出条件の平均値からの偏差をもとに、それぞれの画像の明るさを増減する明るさ補正処理を行う。
【0039】
なお、補正部33は、動画を構成する複数の画像の中で被写体が最も明るかったときの画像の明るさを、所定の最高明るさに補正することが好ましい。ここで、所定の最高明るさとは、例えば、補正後画像のダイナミックレンジの上限値である。すなわち、図3に示した魚を動画撮影した場合には、被写体の明るさは、図5(A)に示すように単調に減少したが、図5(B)に示すように複雑に変化する場合もある。被写体の明るさが単調に減少する動画では、最初の画像の明るさを最高明るさに補正したのでよい。しかし、図5(B)に示す明るさ変化の動画において、最初の画像の明るさを最高明るさに補正してしまうと、後半のより明るい画像の明るさも、最初の画像と同じ最高明るさにしか補正できないために、被写体の明るさ変化を再現することができない。
【0040】
これに対して、動画を構成する複数の画像の中で被写体が最も明るかったときの画像の明るさを、所定の最高明るさに補正することにより、被写体の明るさ変化を、より正確に再現することができる。すなわち、動画全体にわたって肉眼で見た感覚により近い動画が得られる。
なお、所定の最高明るさは、補正後画像のダイナミックレンジをもとに、例えば、上限値の90%に設定してもよい。
【0041】
明るさ補正処理は、ダイナミックレンジ拡大処理でもある。すなわち使用者が動画を鑑賞するTV等のダイナミックレンジ(表示部ダイナミックレンジ)はCCD21Aのダイナミックレンジよりも広い。このため、図4(B)に示すように補正部33は、表示部ダイナミックレンジ、言い換えれば、所定の補正後ダイナミックレンジの範囲で、明るい領域を、より明るく、暗い領域を、より暗くする補正処理を行うことにより、より肉眼で見た感覚に近い動画を生成する。またCCD21Aのダイナミックレンジ範囲で撮影された画像の色バランスは良いため、肉眼で見た感覚により近い色の動画が得られる。表示部ダイナミックレンジは表示部の種類等により異なる。このため、補正後ダイナミックレンジ、すなわち、明るさ補正処理後の最高明るさ/最低明るさは、複数の所定値から使用者の選択により決定されることが好ましい。
【0042】
すなわち、図4(A)に示す一時記録部23Aに記憶されている画像信号強度の画像に対して、補正部33が、明るさ補正処理およびダイナミックレンジ拡大処理を行うことにより、図4(B)に示す補正画像信号強度の画像を得ることができる。
【0043】
図4(B)に示す補正画像信号強度は、図3(D)に示した被写体の明るさ分布に近く、すなわち肉眼で見た感覚に近い。
【0044】
<ステップS21>補正動画記憶
補正部33が明るさ補正処理した画像から構成された動画は、記録部23に記録される。なお、記録前に公知のデータ圧縮処理を行っても良い。
【0045】
以上の説明のように、本実施の形態の撮影装置であるカメラ1は、補正部33が明るさ補正処理を行うために、肉眼で見た感覚により近い動画が得られる。また、カメラ1は動画全体にわたって肉眼で見た感覚により近い動画が得られる。
【0046】
なお、説明を簡単にするために、露出条件である露出補正信号は、絞り部11Aの絞り値(F値)を例に説明したが、シャッタースピード、または、AGC制御部35が行う撮像信号増幅処理の増幅率等を用いてもよい。また撮像感度は画素加算処理により上げたり、画素分割処理により下げたりできるために、露出条件として、前記処理の制御値を用いてもよい。実際のカメラでは、前記の各種露光制御方法を組み合わせて露出条件を決定することが一般的であり、露出条件である露出補正信号は複数の露光制御方法の制御値をもとに算出される。
【0047】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態の撮影装置であるカメラ1Aについて説明する。カメラ1Aは、第1実施形態のカメラ1に類似しているため同じ構成要素には同じ符号を付し、説明は省略する。
【0048】
図6に示すように、カメラ1Aは、被写体指定手段である被写体指定部36と、認識手段である認識部34と、を具備する。使用者は被写体指定部36により、表示部28に表示された被写体の画像をもとに、タッチパネルを介して、指定した特定の被写体を指定することができる。そして認識部34は、表示部28に表示された被写体の画像から、特定の被写体の画像を認識する。
【0049】
地平線に沈んでいく太陽を三脚に固定したカメラで撮影する場合のように、撮影される被写体が時間の経過につれ、画面の中を移動する場合がある。さらに太陽は背景の空に比べて非常に明るい。このような場合、図7に示すように、カメラ1Aでは使用者が、撮影開始前にスルー画像の中から特定の被写体として太陽51を、タッチパネル29を指でタッチして指定することにより、条件制御部31は、太陽が最適の露出状態となるように、動画撮影を開始する。
【0050】
図8(A)〜図8(C)に示すように、時間T=T0〜T2の間に太陽51は表示画面の上部から下部へと移動し、太陽51の明るさだけでなく背景の空の明るさも暗くなっていく。すなわち、図8(D)に示すように、大きく明るさが変化する。また背景に比べて太陽の明るさが非常に明るい。
【0051】
カメラ1Aでは、認識部34は、撮影画像中の太陽51が撮影された部分を検出し、条件制御部31は、常に太陽51が最適の露出状態となるように、制御する。すなわち、図8(E)に示すように、条件制御部31が太陽51の明るさにもとづいたF値による制御を行うことにより、画像中の太陽の画像信号強度はCCD21Aのダイナミックレンジ範囲となる。しかし、明るさの変化が小さく、その結果、色も肉眼で見た感覚とは異なる。
【0052】
しかし、図9に示すように、カメラ1Aでは、撮影後に、第1実施形態のカメラ1と同様に補正部33が、表示部ダイナミックレンジ範囲になるように、明るさ補正処理を行うため、太陽(特定被写体)の明るさの変化および色変化等が、肉眼で見た感覚に近い動画を得ることができる。
【0053】
なお、被写体指定部36は、タッチパネル29を介して使用者が指定した領域の被写体画像の特有の形状、色、または輝度等を判定し、順次得られる画像上での類似パターンの位置が、どのように移動したかを検出する。
【0054】
また、撮影中に被写体指定部36により指定された特定の被写体が画面からなくなった場合、例えば太陽が地平線下に没した場合、カメラ1は使用者に告知し撮影継続/中止の判断を求める。
【0055】
以上の説明のように、本実施形態のカメラ1Aは、カメラ1が有する効果に加えて、画面中の小さな部分の特定被写体に注目した使用者、の意図に適合した動画を撮影できる。
【0056】
なお、日没風景の撮影では、画像信号は赤色光だけが強度が大きい。このため、白色光飽和値をもとに所定値だけ低下して設定したCCD21のダイナミックレンジ上限値未満であっても、赤色画像信号はCCD21の飽和値を超えてしまうことがある。
【0057】
このため、日没撮影を行う場合には、白色光ではなく、赤色光、緑色光、および青色光の明るさを別々に検出する検出部を有するカメラが好ましい。この場合、条件制御部31は、3色の光の強度がいずれも、それぞれの飽和値未満となるようにF値を制御する。このため、特定の色強度のみが強い場合であっても、CCD21Aのダイナミックレンジ範囲に制御できる。
【0058】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0059】
1、1A…カメラ、11…レンズ、11A…絞り部、12…操作部、13…駆動部、14…位置検出部、15…制御部、16…通信部、20…ボディ、21…撮像部、21B…撮像信号処理部、22…検出部、23…記憶部、23…記録部、23A…一時記憶部、24…通信部、25…時計、26…操作部、27…通信部、28…表示部、28A…表示画面、29…タッチパネル、30…制御部、31…条件制御部、32…条件記憶部、33…補正部、34…認識部、35…制御部、36…被写体指定部、50…魚、51…太陽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の明るさを検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記被写体の明るさに応じて、露出条件を制御する条件制御手段と、
前記条件制御手段の制御のもと、前記被写体を所定のフレームレートで撮影し、複数の画像から構成された動画を出力する撮影手段と、
それぞれの前記画像の前記露出条件を記憶する条件記憶手段と、
前記条件記憶手段に記憶された、それぞれの前記画像の前記露出条件にもとづいて、明るかった前記被写体の画像をより明るく、暗かった前記被写体の画像をより暗くする、明るさ補正処理を行う補正手段と、を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記補正手段が、前記動画を構成する前記複数の画像の中で前記被写体が最も明るかったときの画像の明るさを、所定の最高明るさに補正することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
タッチパネルを有し、前記撮影手段が撮影する画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された前記被写体の画像をもとに、特定の被写体を指定する被写体指定手段と、を具備し、
前記検出手段が、前記被写体指定手段を介して使用者により指定される前記特定の被写体の明るさを検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記表示手段に表示された前記被写体の画像から、前記特定の被写体の画像を認識する認識手段を、具備し、
前記検出手段が、前記認識手段の結果にもとづいて、前記特定の被写体の明るさを検出することを特徴とする請求項3に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記検出手段が、赤色光、緑色光、および青色光の明るさを別々に検出することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図3】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−249871(P2011−249871A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117638(P2010−117638)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】