説明

撮影装置

【課題】本発光の光量を適確に求めることのできる撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮影装置1は、複数回の予備発光が可能な閃光発光部17と、前記予備発光の光を受光して受光量に応じた電荷を蓄積する複数の画素15cを有する受光素子15Cを備え、蓄積電荷に応じた測光信号を出力する測光部15と、前記測光部15から出力された前記測光信号を用いて前記閃光発光部17の本発光量を演算する演算部30と、を具備し、前記複数の画素15cは二次元に配列され、予備発光ごとに、前記二次元に配列された画素15cのうちの、異なるラインに沿って配置された画素15cが選択されて電荷を蓄積すること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮影装置の受光センサとして、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが多く用いられている。CMOSセンサの場合、一般にローリングシャッタ方式で光が受光される。ローリングシャッタ方式は、蓄積開始タイミングが全ての読み出しラインで異なる。したがって、ローリングシャッタ方式の場合、読み出しライン数が多いと、先頭の読出ラインの蓄積開始から最後の読出ラインの蓄積開始までの時間が長くなる。ゆえに、全ての読出ラインが蓄積開始になる前に、予備発光が開始する可能性がある。このため、読出ラインを間引いている技術がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−347928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、読出ラインを間引く場合、得られる被写体の情報量が低下し、本発光の適確な発光量を求めることができない。
【0005】
本発明の課題は、本発光の光量を適確に求めることのできる撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、複数回の予備発光が可能な閃光発光部(17)と、前記予備発光の光を受光して受光量に応じた電荷を蓄積する複数の画素(15c)を有する受光素子(15C)を備え、蓄積電荷に応じた測光信号を出力する測光部(15)と、前記測光部(15)から出力された前記測光信号を用いて前記閃光発光部(17)の本発光量を演算する演算部(30)と、を具備し、前記複数の画素(15c)は二次元に配列され、予備発光ごとに、前記二次元に配列された画素(15c)のうちの、異なるラインに沿って配置された画素(15c)が選択されて電荷を蓄積すること、を特徴とする撮影装置(1)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮影装置(1)であって、1回の予備発光において選択される前記画素(15c)のラインは、複数であること、を特徴とする撮影装置(1)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の撮影装置(1)であって、前記画素(15c)における、電荷の蓄積開始のタイミングは、全てのラインで異なること、を特徴とする撮影装置(1)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の撮影装置(1)であって、撮影シーンを判定するシーン判定部(30)と、該シーン判定部(30)のシーン判定結果に応じて、前記予備発光の回数を決定する予備発光回数決定部(30)と、を備えること、を特徴とする撮影装置(1)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の撮影装置(1)であって、撮影シーンを判定するシーン判定部(30)と、前記シーン判定部(30)のシーン判定結果に応じて、前記複数回の予備発光において選択される前記ラインの数の総数を決定するライン数決定部(30)と、を備えること、を特徴とする撮影装置(1)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の撮影装置(1)であって、前記予備発光が開始される前に全てのラインが蓄積を開始し、前記予備発光時間内に、全てのラインが蓄積状態となるように、1回の予備発光の際に選択される前記画素(15c)の前記ラインの数が決定されること、を特徴とする撮影装置(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発光の光量を適確に求めることのできる撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を適用したカメラの概念構成図である。
【図2】カメラのブロック構成図である。
【図3】測光撮像素子11Aの基本構造を示す概念図である。
【図4】画素アレイ部のカラーフィルタ配列と焦点検出用のフォーカスポイントの位置を示す図である。
【図5】予備発光時におけるライン選択を説明する概念図である。
【図6】予備発光時におけるライン読み出しを説明する図である。
【図7】カメラマイコンによるマスタ閃光制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用したカメラ1の概念構成図である。図2は、カメラ1のブロック構成図である。
【0011】
図1に示すカメラ1は、カメラボディ10と、当該カメラボディ10に着脱可能な撮影レンズ20と、を備えたデジタル一眼レフカメラである。
撮影レンズ20は、結像光学系を構成すると共にオートフォーカス駆動可能なレンズ群21と、レンズ群21を移動駆動するレンズ駆動部22(図2参照)と、絞り23と、絞り制御部24と、レンズの繰り出し量に対応した距離感の回転角に応じた信号を出す距離エンコーダ25(図2参照)と、レンズマイコン26(図2参照)と、を備えている。
【0012】
距離エンコーダ25は、レンズ群21の繰り出し量に対応した距離環の回転角に応じた信号をレンズマイコン26に出力する。
レンズマイコン26は、距離エンコーダ25からの信号を処理して距離情報を得る。この距離情報は、後述するカメラボディ10のカメラマイコン30に通信される。
そして、撮影レンズ20は、入射した被写体光を、後述するカメラボディ10の撮像部11における撮像素子11Aに結像させる。
【0013】
カメラボディ10は、撮像部11と、シャッタ12と、クイックリターンミラー13と、ファインダー部14と、測光部15と、焦点検出部16と、閃光発光部17と、閃光用マイコン18(図2参照)と、レリーズスイッチ19と、カメラマイコン30(図2参照)と、を備えている。
【0014】
撮像部11は、光学的な被写体像を電気信号に変換する撮像素子11Aを備えている。撮像素子11Aは、複数の画素(電荷蓄積型光電変換素子)が二次元状に配置されたCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOSセンサである。
シャッタ12は、開閉して撮像部11における撮像素子11Aの露光時間を制御する。
クイックリターンミラー13は、撮影レンズ20から撮像部11に至る被写体光の光路中に介在する作用位置(図1中実線で示す)と、光路中から退避した不作用位置と、の間を揺動可能に配設されている。そして、クイックリターンミラー13は、作用位置において、被写体光を上方に反射屈曲させて、ファインダー部14に向けて導く。また、クイックリターンミラー13の背面側には、後述する焦点検出部16におけるサブミラー16Aが配設されている。
【0015】
ファインダー部14は、撮影レンズ20による被写体像が結像する拡散スクリーン14Aと、コンデンサレンズ14Bと、ペンタプリズム14Cと、接眼レンズ14Dと、を備えている。
ファインダー部14は、撮影待機状態において、クイックリターンミラー13によって反射された光束が、その拡散スクリーン14Aに結像する。この像は、コンデンサレンズ14B、ペンタプリズム14C、接眼レンズ14Dを介して撮影者に観測される。また、拡散スクリーン14Aに結像した光束の一部は測光部15に入射する。
【0016】
測光部15は、測光用プリズム15Aと、測光用レンズ15Bと、測光撮像素子15Cとを備えている。この測光部15は、ファインダー部14における拡散スクリーン14Aに結像した光束の一部が、測光用プリズム15A、測光用レンズ15Bを介して測光撮像素子15Cに再結像するようになっている。
【0017】
測光撮像素子15Cは、CMOSセンサによって構成されている。図3は、測光部15における測光撮像素子15Cの基本構造を示す概念図である。図示するように、画素アレイ部151と、ライン選択部152と、AD変換器部153と、コラムメモリ部154と、を備えている。
本構成例では、画素アレイ部151は、x方向(SensorW)に360の画素15c、y方向(SensorH)に240の画素15c、全体で360×240=86400の画素15cで構成されている。xは0〜359,yは0〜239である。つまり、x方向に並んだ360画素が1ラインを構成し、これがy方向に240ライン配設されている。
【0018】
ライン選択部152は、カメラマイコン30から指定されたラインに対して電荷蓄積と読み出し制御を行う。蓄積開始・読み出しは、全てのラインでタイミングが異なるローリングシャッタ方式である。
AD変換器部153は、ライン選択部152によって読み出された列毎のアナログ出力値が入力され、これをデジタル信号に変換する。
コラムメモリ部154は、AD変換器部153によって変換された列毎のデジタル信号を一時的に保存する。
【0019】
このように構成された測光撮像素子15Cは、測光用プリズム15Aおよび測光用レンズ15Bを介して結像した被写体像を、測光画像として撮像する。この測光撮像素子15Cによる撮像領域は、撮像部11における撮像素子11Aの撮像領域と一致しており、解像度のみが異なる。
そして、測光部15は、カメラマイコン30に制御され、測光撮像素子15Cが撮像した測光画像情報をカメラマイコン30に出力する。
【0020】
焦点検出部16は、クイックリターンミラー13の背面に配設されたサブミラー16Aと、焦点検出光学系16Bと、測距素子16Cとを備えている。
測距素子16Cは、CCDラインセンサで受光した像に応じた焦点検出信号を出力する。
【0021】
焦点検出部16は、瞳分割方式によって焦点検出を行う。すなわち、クイックリターンミラー13の半透過領域を透過した被写体光の一部をサブミラー16Aによって反射させて焦点検出光学系16Bへと導き、その光束を焦点検出光学系16Bによって2分割して測距素子16Cに結像させ、測距素子16Cによって位相差を検出する。この焦点検出部16で検出した合焦状態は、制御情報としてカメラマイコン30に出力される。
【0022】
図4は、測光撮像素子15Cにおける画素アレイ部151のカラーフィルタ配列と焦点検出用のフォーカスポイントの位置を示す図である。焦点検出部16は、図示するように、被写界の3領域(フォーカスポイントAFA)についての焦点状態を検出する。なお、焦点検出方式はこれに限定されず、撮像部11における撮像素子11Aの撮像情報からコントラストを検出する方式などを用いてもよい。
【0023】
閃光発光部17は、詳細には示さないが、キセノン管、リフレクタ、コンデンサ等を備えて構成されている。閃光発光部17は、被写体光量が不足する夜間撮影の際の光源として、また、定常光撮影時における逆光時等に補助光源として用いられる。
閃光用マイコン18は、カメラマイコン30の制御下で、閃光発光部17の発光制御を行う。
【0024】
カメラマイコン30は、CPU等によって構成され、プログラムや設定テーブルを格納したメモリ31を備えている。カメラマイコン30は、メモリ31に格納されたプログラムや設定テーブルに従ってカメラボディ10の作動を制御すると共に、レンズマイコン26を介して撮影レンズ20を制御する。すなわち、カメラマイコン30は、カメラ1を、統括的に制御する。カメラマイコン30による制御は、測光、オートフォーカス、マスタ閃光制御に大別される。
【0025】
カメラマイコン30における測光制御は、測光部15から入力された測光画像情報と、レンズマイコン26内に格納された撮影レンズ20の開放F値、焦点距離、射出瞳位置などのレンズ情報と、撮像部11における撮像素子11Aの感度設定情報等に基づいて、定常光露出に関する輝度値を算出する。そして、それを、絞り値とシャッタ値に変換し、絞り制御部24やシャッタ12へ出力する。絞り制御部24は、レリーズスイッチ19からのレリーズ信号に応じて、絞り23の絞り込み/復帰の制御を行う。
【0026】
オートフォーカス制御は、焦点検出部16で検出した合焦状態によって、レンズ駆動部22によりレンズ群21を駆動する。すなわち、焦点検出部16で検出した焦点状態情報を演算処理してレンズ駆動量を算出し、レンズ駆動部22を介して撮影レンズ20のレンズ群21を合焦状態まで駆動する。
【0027】
マスタ閃光制御は、閃光発光部17の使用時において、測光値、絞り値、感度値、距離値等に基づいて、測光部のゲインを算出してゲイン設定を行う。その後、閃光用マイコン18を通じて閃光発光部17を予備発光させ、この予備発光による被写体反射光量に応じた測光部15の測光撮像素子15Cによる検知情報に基づいて、本発光量指示値を算出し、閃光用マイコン18へ本発光指示値を出力する。このマスタ閃光制御については、後に詳述する。
【0028】
そして、カメラ1は、撮影時にはカメラマイコン30に制御されて下記のように作用する。
すなわち、レリーズスイッチ19が押圧されると、カメラマイコン30は測光制御によって絞り値とシャッタ値とを設定すると共に、オートフォーカス制御によって撮影レンズ20を合焦状態とする。そして、クイックリターンミラー13を撮影光路外に退避させ、撮影レンズ20の絞り23を絞り込んで、シャッタ12を開放し、撮像部11の撮像素子11Aに撮影レンズ20による被写体像を露光する。所定の露光時間後、シャッタ12を閉じ、クイックリターンミラー13を作用位置に復帰させる。その後、撮像部11(撮像素子11A)からデジタル画像データを読み出し、図示しないバッファメモリおよびメモリカード等の記録媒体に記録する。なお、撮像部11の撮像素子11Aは、入射光量と出力電圧の入出カ特性が線形であり、このとき読み出す画像データは、AD変換後のデジタルデータである。
【0029】
ここで、閃光発光部17を用いない(マスタ閃光制御を行わない)定常光のみによる撮影の場合には、カメラマイコン30は、その測光制御において測光部11における測光撮像素子15Cの全ての画素による測光画像を利用する。つまり、ライン選択部152において全てのラインを指定する。
【0030】
一方、閃光発光部17を用いる場合には、カメラマイコン30は、マスタ閃光制御を行う。
マスタ閃光制御は、本発光に先立って閃光発光部17を複数回(たとえば2回)予備発光させて測光撮像素子15Cによって測光撮像情報を取得し、この測光撮像情報に基づいて本発光量を演算精度する。この予備発光の際には、画素アレイ部151の全画素(ライン)の中から、ライン選択部152で間引いてライン選択を行うと共に、各予備発光ごとに異なったラインを選択する。
【0031】
図5は、予備発光時におけるライン選択を説明する概念図である。図6は、予備発光時におけるライン読み出しを説明する図である。図5に示すように、1回目の予備発光の際にはL1,L3を選択し、2回目の予備発光の際にはL2,L4を選択する。なお、図中L2はL1とL3の中間に位置し、L4は、L3に対して、L1に対するL2と等しい間隔にある。各ライン(L1,L2,L3,L4)の間にはラインが存在するが、その数は設定による。
【0032】
これにより、図6(a)に示すように、2回の予備発光によって、1回の予備発光の際の2倍のライン(画素)によって測光撮像情報が得られる。
つまり、図6(b)に示すように、1回のみの予備発光で画素アレイ部151の全ラインを適用した場合、最終ラインの読み出し開始時間txが蓄積時間t0より後になり、その結果、画面全体を撮像できず、測光撮像情報が不足する。この場合、画面全体を撮像するために、ラインの間引きを行う。
【0033】
間引き後の最終ラインの読み出し開始時間t1は、
t1=tx×適用ライン数/全ライン数
となり、最終ラインの読み出し開始までの時間を短縮することができる。
図6(b)におけるt1は、
t1=tx×1/6とした例である。
しかし、このようにすると、画面全体を撮像できるものの適用ライン数が少ないために解像度が低く、特に細かい明暗模様を呈するような被写体では、測光撮像情報が不十分で高い測光精度が得られない虞がある。
【0034】
そこで、図6(a)に示すように、複数回(ここでは2回)の予備発光を可及的速やかな間隔tiで行うと共に、予備発光1回目と2回目とで適用ライン数は同じで、適用するラインを変え、両者の測光撮像情報を合算する。これにより、最終ラインの読み出し開始時間t1は同じでも情報量(適用ライン数)が2倍となって測光精度が向上し、本発光量の演算精度を向上させることができる。これと同じ測光撮像情報を1回の予備発光で得るためには、図6(b)におけるt2に示すように、
t2=tx×1/6×2=tx×1/3
となって読み出し開始までの時間が増える。
なお、この例では予備発光を2回として説明したが、3回以上としてもよく、回数を増やすほど多くの測光撮像情報を得ることができ、測光精度を向上できる。
【0035】
ここで、予備発光回数と1回の予備発光で読み出すライン数は、図示しないコマンドダイヤルによって設定されたモードや、測光撮像素子15Cによる撮像画像や1回予備発光した結果等を、カメラマイコン30がたとえばメモリ31(図2参照)に格納されたプログラムまたはテーブルに基づいて撮影シーンを解析する等して設定される。
この場合、まず、所望する測光撮像情報を得るために必要な解像度(選択すべき全ライン数)を設定し、それを1回の予備発光で読み出すライン数で除して予備発光回数を決める。
1回の予備発光で読み出すライン数は、予備発光時において、選択された全てのラインが電荷蓄積状態にあるよう(つまり、最初ラインの電荷蓄積は終了前で、且つ、最終ラインの電荷蓄積は開始後)に設定する。
【0036】
カメラマイコン30によるマスタ閃光制御について、図7に示すフローチャートに従って詳細に説明する。図7は、カメラマイコン30によるマスタ閃光制御のフローチャートである。
以下、図7に示すステップを、順を追って説明する。なお、下記の説明中および図中において「ステップ」を「S」とも略記する。
【0037】
[ステップ101]
予備発光回数(MonCnt)と、各予備発光で読み出すライン数(LineCnt)を設定する。この設定は、前述したように、撮影モードや、測光撮像素子15Cによる撮像画像や1回予備発光した結果等によって行われる。本構成例においては、MonCnt=2,LineCnt=20とする。
【0038】
[ステップ102]
間引き間隔(Interval)を算出する。まず、式(1)により予備発光により読み出されるライン数の合計(SumLine)を算出する。
SumLine=MonCnt×LineCnt …式(1)
本構成例においては、
MonCnt=2,LineCnt=20,より、
SumLine=40
となる。
次に、SumLineとSensorHを用いて、式(2)によりIntervalを求める。
Interval=Round(SensorH/SumLine) …式(2)
ここで、Round()は、四捨五入の結果を出力する関数である。
SensorH=24,SumLine=40,より、
Interval=6
となる。
【0039】
[ステップ103]
カメラマイコン30において、メモリー領域の確保を行う。
ReadLine[i](i:0〜SumLine−1)
要素数はSumLine。
読み出すライン番号を、昇順に格納する。
ArrayReadLine[m,n](m:0〜MonCnt−1,n:0〜LineCnt−1)
要素数は、ReadLineと同じ。
各予備発光で読み出すライン番号を、添え字のmの値ごとに整理して格納する。
Voymon[x,y](x:0〜SensorW−1,y:0〜SumLine−1)
要素数はSensorW×SumLine。
予備発光により受光した反射光と定常光を含む画素値を格納する。
全ての要素を−1で初期化する。
Voyback[x,y](x:0〜SensorW−1,y:0〜SumLine−1)
要素数はVoymonと同じ。
予備発光を行わないときの、定常光のみの画素値を格納する。
全ての要素を−1で初期化する。
Voy[x,y](x:0〜SensorW−1,y:0〜SumLine−1)
要素数はVoymonと同じ。
VoymonとVoybackにより算出される反射光のみの画素値を格納する。
全ての要素を−1で初期化する。
本構成例においては、
ReadLine[i](i:0〜39)
ArrayReadLine[m,n](m:0〜1,n:0〜19)
Voymon[x,y](x:O〜359,y:O〜39)
Voyback[x,y](x:0〜359,y:0〜39)
Voy[x,y](x:0〜359,y:0〜39)
となる。
【0040】
[ステップ104]
1.ReadLineを算出する。
式(3)によりReadLine[i](i:0〜SumLine−1)を算出する。
ReadLine[i]=i×Inteval …式(3)
SumLine=40,Interval=6,より、
ライン番号ReadLine[i](i:0〜39)は、以下のようになる。
ReadLine[i]=(0,6,12,18,24,30,36,42,48,54,'60,66,72,78,84,90,96,102,108,114,120,126,132,138,144,150,156,162,168,174,180,186,192,198,204,210,216,222,228,234)
2. ArrayReadLineを算出する。
求まったReadLine[i]を、予備発光回数ごとに分ける。
ArrayReadLine [m,n](m:0〜MonCnt−1,n:0〜LineCnt−1)
=ReadLine[MonCnt×n+m]
本構成例では、ArrayReadLine[m,n](m:0〜1,n:0〜19)
=ReadLine[2×n+m]となる。
予備発光1回目の読み出しラインは、以下のようになる。
ArrayReadLine[0,n]=(0,12,24,36,48,60,72,84,96,108,120,132,144,156,168,180,192,204,216,228)
予備発光2回目の読み出しラインは、以下のようになる。
ArrayReadLine[1,n]=(6,18,30,42,54,66,78,90,102,114,126,138,150,162,174,186,198,210,222,234)
【0041】
[ステップ105]
予備発光1回目
1回目の予備発光における測光撮像素子15Cの読み出しライン番号を、ライン選択部152に設定する。
設定する読み出すライン番号は、ArrayReadLine[0,n](n:0〜19)である。ただし、もし、
ArrayReadLine[m,n]>(SensorH−1)
となるライン番号は、該当するラインが物理的に存在しないため、ライン選択部152に設定しない。
【0042】
[ステップ106]
閃光用マイコン18を通じて閃光発光部17の予備発光を指示する。閃光発光部17は、これに従って所定の微小光量による予備発光を行う。
【0043】
[ステップ107]
予備発光による被写体からの反射光は、撮影レンズ20とクイックリターンミラー13を介してファインダー部14の拡散スクリーン14Aに被写体像を形成する。測光部15の測光撮像素子15Cは、この拡散スクリーン510の被写体像を受光する。
【0044】
[ステップ108]
コラムメモリ部154から画素値を読み出す。順番に読み出された1ライン分の画素値は、Voymon[x,y](x:0〜359,y:0〜39)へ格納する。
式(4)に従って、yを決定する。
式(4)におけるn(0〜19)は、各ラインが読み出された順番を表す。
y=MonCnt×n+0=2×n …式(4)
【0045】
[ステップ109]
予備発光を行わない状態で定常光を受光する。
予備発光を行ったときと同じゲイン、同じ蓄積時間、同じ読み出しライン設定とする。このときの定常光輝度値Voyback[x,y](x:0〜359,y:0〜39)を得る。
【0046】
[ステップ110]
予備発光2回目
2回目の予備発光における測光撮像素子15Cの読み出しライン番号を、ライン選択部152に設定する。
設定する読み出すライン番号は、ArrayReadLine[1,n](n:0〜19)である。
ただし、もし、ArrayReadLine[m,n]>(SensorH−1)となるライン番号は、該当するラインが物理的に存在しないため、ライン選択部152に設定しない。
【0047】
[ステップ111]
閃光用マイコン18を通じて閃光発光部17の予備発光を指示する。閃光発光部17は、これに従って所定の微小光量による予備発光を行う。
【0048】
[ステップ112]
予備発光による被写体からの反射光は、撮影レンズ20とクイックリターンミラー13を介してファインダー部14の拡散スクリーン14Aに被写体像を形成する。測光部15の測光撮像素子15Cは、この拡散スクリーン510の被写体像を受光する。
【0049】
[ステップ113]
コラムメモリ部154から画素値を読み出す。
順番に読み出された1ライン分の画素値は、Voymon[x,y](x:0〜359,y:0〜39)へ格納する。
式(5)に従って、yを決定する。
y=MonCnt×n+1=2×n+1 …式(5)
【0050】
[ステップ114]
予備発光を行わない状態で受光を行う。予備発光を行ったときと同じゲイン、同じ蓄積時間、同じ読み出しライン設定とする。このときの定常光輝度値Voyback[x,y](x:0〜359,y:0〜39)を得る。
【0051】
[ステップ115]
定常光除去
VoymonとVoybackとを用いて定常光の影響を式(6)により除去する。
定常光除去画像Voy[x,y](x:0〜359,y:0〜39)を得る。
Voy[x,y]=Voymon[x,y]−Voyback[x,y] …式(6)
【0052】
[ステップ116]
ステップ115で得られた定常光除去画像Voy[i,j]において、G画素成分の平均値を算出し、これをVoyAveとする。ただし、Voy[x,y]=−1となっている場合は、その値を平均値算出に用いない。
ここでは、発光ガイドナンバーと予備発光のガイドナンバーGNMonの段数差(単位EV)を発光量段数差とよぶ。また、発光量段数差をKGNとおく。Voy[i,j]におけるG画素成分の平均値VoyAveを用いて、KGNは、式(7)で得られる。
KGN=−log2(VoyAve)−Av0+Av+KGNCONST …式(7)
式(7)におけるKGNCONSTは、18%反射率の標準反射板などの標準反射率被写体に対して、本発光で撮像画像が適正な輝度値となるための発光量段数差である。また、Av0は、撮影レンズ20の開放F値(Apex)、Avは撮影時の絞りF値(Apex値)である。本発光量GNHonは、式(7)のKGNを用いて、式(8)で得られる。
GNHon=GNMon×(√2)^KGN …式(8)
【0053】
[ステップ117]
クイックリターンミラー13を撮影光路外に退避させ、シャッタ12を開放し、絞り23を絞り込む。その後、ステップ116により求まった発光量GNHonを、閃光発光部17に指示し、本発光を開始させる。
【0054】
[ステップ118]
撮影レンズ20による被写体像が撮像部11の撮像素子11Aに結像し、電荷の蓄積が開始する。閃光用マイコン18は、目標発光量GNHonに達した時点で発光を停止する。所定の露光期間が経過すると、シャッタ12を閉じて、クイックリターンミラー13を作用位置に復帰させる。その後、撮像部11の撮像素子11Aからデジタル画像データを読み出す。
【0055】
以上のように、ステップ101〜ステップ118のステップにより、予備発光を2回行う場合は、予備発光を1回行う場合に比べ、情報量が2倍となる。よって、より正確な被写体情報を取得できるようになり、本発光量の演算精度が向上する。
【0056】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)カメラ1のカメラマイコン30によるマスタ閃光制御は、閃光発光部17を複数回(たとえば2回)予備発光させ、この予備発光の際に測光撮像素子15Cによって測光撮像情報を得る。その際、画素アレイ部151の画素(ライン)の内から、ライン選択部152で間引いてライン選択を行うと共に、各予備発光ごとに異なったラインを選択する。これにより、複数回の予備発光によって、予備発光1回の場合に比べて、予備発光回数倍のライン(画素)によって測光撮像情報が得られる。その結果、予備発光を1回行う場合に比べて情報量が予備発光回数倍となってより正確な被写体情報を取得でき、本発光量の演算精度が向上する。
【0057】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)上記実施形態における測光撮像素子15Cの画素数やライン数等の数値は一例であって、これに限定されるものではなく、適宜設定可能である。
【0058】
(2)上記実施形態では、本発明をレンズ交換可能なデジタル一眼レフカメラに適用したものであるが、本発明はこれに限らず、レンズ交換は可能であっても光学的なファインダーを備えないデジタルカメラや、レンズ固定式のコンパクトタイプのデジタルカメラに適用してもよい。その場合、マスタ閃光制御における測光撮像情報を、撮影を行う撮像素子(実施形態における撮像素子11A)を利用して取得するように構成してもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0059】
1:カメラ、10:カメラボディ、11:撮像部、11A:撮像素子、15:測光部、15C:測光撮像素子、151:画素アレイ部、152:ライン選択部、153:AD変換器部、154:コラムメモリ部、17:閃光発光部、18:閃光用マイコン、30:カメラマイコン、31:メモリ、20:撮影レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数回の予備発光が可能な閃光発光部と、
前記予備発光の光を受光して受光量に応じた電荷を蓄積する複数の画素を有する受光素子を備え、蓄積電荷に応じた測光信号を出力する測光部と、
前記測光部から出力された前記測光信号を用いて前記閃光発光部の本発光量を演算する演算部と、を具備し、
前記複数の受光素子は二次元に配列され、予備発光ごとに、前記二次元に配列された受光素子のうちの、異なるラインに沿って配置された受光素子が選択されて電荷を蓄積すること、を特徴とする撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影装置であって、
1回の予備発光において選択される前記受光素子のラインは、複数であること、
を特徴とする撮影装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮影装置であって、
前記受光素子における、電荷の蓄積開始のタイミングは、全てのラインで異なること、を特徴とする撮影装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮影装置であって、
撮影シーンを判定するシーン判定部と、
該シーン判定部のシーン判定結果に応じて、前記予備発光の回数を決定する予備発光回数決定部と、
を備えること、を特徴とする撮影装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の撮影装置であって、
撮影シーンを判定するシーン判定部と、
前記シーン判定部のシーン判定結果に応じて、前記複数回の予備発光において選択される前記ラインの数の総数を決定するライン数決定部と、
を備えること、を特徴とする撮影装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の撮影装置であって、
前記予備発光が開始される前に全てのラインが蓄積を開始し、前記予備発光時間内に、全てのラインが蓄積状態となるように、1回の予備発光の際に選択される前記受光素子の前記ラインの数が決定されること、
を特徴とする撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−57756(P2013−57756A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195361(P2011−195361)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】