説明

操作ディバイスならびに携帯型画像再生装置およびその制御方法

【目的】トラック・ボールから与えることのできる指示内容を増やす。
【構成】ディジタル・スチル・カメラ1の前面側および背面側に開口9および10を設け,これらの開口9および10から表面が露出するようにボール3が回転自在に保持されている。ボール3が前面側から人差し指によって回転させられる場合には,背面側に設けられているタッチ・パネル4が親指によってタッチされる。ボール3が背面側から親指によって回転させられる場合には,前面側に設けられているタッチ・パネル6が人差し指によってタッチされる。ボール3の回転操作が前面からか背面からかによってボール3が回転させられたときの指示内容を変えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,操作ディバイスならびに携帯型画像再生装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポインティング・ディバイスの一つとしてトラック・ボールがある。このトラック・ボールは,メカニカル・マウスを逆さまにしたようなもので,操作面側にボールが露出しており,このボールを手で回転させることによりカーソルを移動させるものである(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005-44025号公報
【0003】
このようなトラック・ボールは,パーソナル・コンピュータのポインティング・ディバイスに用いられるだけでなく,携帯電話などにも用いられている(特許文献2)。
【特許文献2】特開2005-286977号公報
【0004】
しかしながら,トラック・ボールは,ボールの回転方向を検出して,その回転方向に応じてカーソルなどを移動させるものであり,回転方向にもとづく指示以外の指示を,トラック・ボールを用いて規定することはできないことが多い。
【発明の開示】
【0005】
この発明は,トラック・ボールに代表される操作ディバイスを利用して規定される指示内容を増やすことを目的とする。
【0006】
第1の発明による操作ディバイスは,操作ディバイスの前面および背面から表面の一部が露出している回転体,上記回転体を回転自在に保持する保持部材,上記回転体の回転方向を検出して回転方向を表す信号を出力する回転方向検出装置,ならびに操作ディバイスの前面側の露出部分から上記回転体を回転させているか,操作ディバイスの背面側の露出部分から上記回転体を回転させているかを検出して操作面を表す信号を出力する操作面検出装置を備えていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によると,回転体の表面の一部が操作ディバイスの前面および背面から露出している。回転体の回転方向が検出され,その回転方向を表す信号が出力される。出力された回転方向を表す信号を利用して操作ディバイスを用いた第1の指示(たとえば,カーソルの移動指示など)が可能となる。操作ディバイスの前面側の露出部分から回転体が回転されているか,操作ディバイスの背面側の露出部分から回転体が回転されているかが検出され,その操作面を表す信号が出力される。操作面を表す信号を利用して操作ディバイスを用いた第2の指示(たとえば,操作面が背面側か前面側かによって回転方向を利用した第1の指示内容を変更するための指示など)が可能となる。回転体を設けることにより,操作ディバイスを利用した指示を増やせるようになる。回転体は,トラック・ボールにおけるボールのような球面体でもよいし,円柱のようなものでもよい。
【0008】
上記操作面検出装置は,上記操作ディバイスの前面に設けられた第1のタッチ・センサ,および上記操作ディバイスの背面に設けられた第2のタッチ・センサを備えてもよい。この場合には,上記第1のタッチ・センサがタッチされている場合に上記操作ディバイスの背面側の露出部分から上記回転体を回転させていることを検出し,上記第2のタッチ・センサがタッチされている場合に上記操作ディバイスの前面側の露出部分から上記回転体を回転させていることを検出することとなろう。
【0009】
上記保持部材は,上記操作ディバイスの前面方向および背面方向に移動自在に上記回転体を保持するものでもよい。この場合には,上記回転体が上記前面方向または上記背面方向に移動したことを検出する移動検出装置がさらに設けられることとなろう。移動したことが検出されることにより,上記回転体がキーボードにおけるエンター・キーの役目をすることができる。
【0010】
第2の発明による携帯型画像再生装置は,携帯型画像再生装置の前面から表面の一部が露出している球面体と上記球面体を回転自在に保持する保持部材と上記球面体の回転方向を検出して回転方向を表す信号を出力する回転方向検出装置とを含む操作ディバイス, 携帯型画像再生装置の背面に表示画面が設けられている表示装置,画像データを記憶する画像メモリ,および上記画像メモリに記憶されている画像データによって表される画像の大きさが上記表示装置の表示画面の大きさよりも大きい場合に,上記画像の一部分が上記表示画面に表示され,かつ上記操作ディバイスに含まれる上記回転方向検出装置によって検出された回転方向に応じて,上記表示画面に表示される上記画像の一部分が変更されるように上記表示装置を制御する表示制御装置を備えていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明は,上記携帯型画像再生装置に適した制御方法も提供している。すなわち,この方法は,背面に表示画面が設けられている表示装置,および画像データを記憶する画像メモリを備えた携帯型画像再生装置の制御方法において,携帯型画像再生装置の前面から表面の一部が露出している球面体を回転自在に保持しておき,上記球面体の回転方向を検出して回転方向を表す信号を出力し,上記画像メモリに記憶されている画像データによって表される画像の大きさが上記表示装置の表示画面の大きさよりも大きい場合に,上記画像の一部分が上記表示画面に表示され,かつ検出された回転方向に応じて,上記表示画面に表示される上記画像の一部分が変更されるように上記表示装置を制御するものである。
【0012】
第2の発明によると,携帯型画像再生装置の前面から球面体の表面の一部が露出している。携帯型画像再生装置の背面には表示装置の表示画面が形成されている。携帯型画像再生装置に記憶されている画像データによって表される画像の大きさが表示装置の表示画面の大きさよりも大きい場合には,画像の一部分が表示画面に表示される。回転体が回転させられ,回転方向が検出されると,その回転方向に応じて,表示画面に表示される画像の一部分が変更される。球面体を回転させることにより,大きな画像であっても縮小することなく,その大きな画像の一部を表示させることができる。
【実施例】
【0013】
図1は,この発明の実施例を示すもので,ディジタル・スチル・カメラ(携帯型画像再生装置)の背面図である。
【0014】
ディジタル・スチル・カメラ1の背面には,ほぼ全体に渡って表示画面2が設けられている。この表示画面2の右上には,円形の開口10が形成されている。この開口10から回転自在なボール3の表面の一部がディジタル・スチル・カメラ1の外部に露出している。開口10の右側には第1のタッチ・センサ4が設けられている。開口10の下には各種ボタン5が設けられている。
【0015】
図2は,ディジタル・スチル・カメラ1の正面図である。
【0016】
正面から見て左上に円形の開口9が形成されている。この開口9からボール3の表面の一部がディジタル・スチル・カメラ1から外部に露出している。開口9の左側には第2のタッチ・センサ6が設けられている。正面から見て右上には撮像レンズ7が設けられている。
【0017】
図3は,図1のIII−III線に沿う断面図,図4は,図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【0018】
上述したように,ディジタル・スチル・カメラ1の正面側に形成されている開口9および背面側に形成されている開口10は,内部に折り曲げられている折り曲げ部9Aおよび10Aを有している。この折り曲げ部9Aおよび10Aによってボール3が回転自在に保持されている(保持部材)。必要であれば,折り曲げ部9Aおよび10Aにはボール・ベアリングが設けられているのはいうまでもない。
【0019】
ディジタル・スチル・カメラ1の内部の上壁からは下方向に向かって支持板13が形成されている。この支持板13によって,支持板13とほぼ垂直に位置決めされ,かつロータリ・エンコーダを構成する軸12がボール3の上部に接するように回転自在に支持されている。軸12においてボール3と接している部分と反対側に部分には羽車11が設けられている。羽車11を挟むように発光センサと受光センサ(いずれも図示略)が設けられている。軸12,羽車11,発光センサおよび受光センサによって第1のロータリ・エンコーダが構成される。
【0020】
同様に,ディジタル・スチル・カメラ1の内部の右壁からは左方向に向かって支持板23が形成されている。この支持板23によって,支持板23とほぼ垂直に位置決めされ,かつロータリ・エンコーダを構成する軸22がボール3の右側部分に接するように回転自在に支持されている。軸22においてボール3と接している部分と反対側に部分には羽車21が設けられている。羽車21を挟むように発光センサと受光センサ(いずれも図示略)が設けられている。軸22,羽車21,発光センサおよび受光センサによって第2のロータリ・エンコーダが構成される。第1のロータリ・エンコーダおよび第2のロータリ・エンコーダによって,ボール3の回転量および回転方向が検出される。
【0021】
図5から図7は,ディジタル・スチル・カメラ1のボール3を操作している様子を示している。
【0022】
上述したように,ディジタル・スチル・カメラ1の正面には開口9が形成され,背面には開口10が形成されている。これらの開口9および10からボール3の表面の一部が露出しているからボール3を正面側からも背面側からも回転させることができる。
【0023】
図5および図6は,ディジタル・スチル・カメラ1のボール3を正面側から操作している様子を示している。図5は上面から見た様子で,わかりやすくするために断面が示されている。図6は斜視図である。
【0024】
ユーザが右手30を用いてディジタル・スチル・カメラ1をつかむと,右手30の親指32は背面側に位置し,右手30の人差し指31は正面側に位置する。ユーザは,背面側に設けられている第1のタッチ・センサ4上に親指32が触れるようにして,正面側から露出しているボール3を人差し指31を用いて回転させる。
【0025】
ボール3の回転量および回転方向は,上述したように第1のロータリ・エンコーダおよび第2のロータリ・エンコーダによって検出される。また,第1のタッチ・センサ4が親指32でタッチされているから,背面側からボール3が回転させられているのではなく,正面側からボール3が回転させられていると考えられる。
【0026】
図7は,ディジタル・スチル・カメラ1のボール3を背面側から操作している様子を示す斜視図である。
【0027】
ユーザは,右手30を用いてディジタル・スチル・カメラ1をつかみ,背面側の開口10から露出しているボール3を親指32を用いて回転させる。この時,ユーザの右手30の人差し指(他の指でもよい)は,ディジタル・スチル・カメラ1の正面側に設けられている第2のタッチ・センサ3上に触れる。
【0028】
ボール3の回転量および回転方向は,上述したように第1のロータリ・エンコーダおよび第2のロータリ・エンコーダによって検出される。また,第2のタッチ・センサ6が人差し指でタッチされているから,正面側からボール3が回転させられているのではなく,背面側からボール3が回転させられていると考えられる。
【0029】
ボール3を正面側から回転させているか,背面側から回転させているかを区別することができるから,正面側からの回転と背面側からの回転とを区別してディジタル・スチル・カメラ1に指令を与えることができる。たとえば,正面側からボール3を回転させる場合には,表示画面2に表示されるカーソルの移動指令とし,背面側からボール3を回転させる場合には,表示画面2の明るさ調整など,異なる指令をディジタル・スチル・カメラ1に与えることができる。ボール3の回転に応じてディジタル・スチル・カメラ1に与えられる指令は,カーソルの移動指令,表示画面2の明るさ調整に限られないのはいうまでもない。
【0030】
図8および図9は,他の実施例を示すものである。図8は,図3に対応する断面図であり,図9は,図4に対応する断面図である。図8および図9のいずれも図3および図4に比べて拡大されている。
【0031】
図8および図9に示すものは,ボール43が回転するだけでなくボール43が前後に移動できるように保持されているものである。
【0032】
ボール43の左側にはボール保持体70が設けられ,ボール43の右側にはボール保持体90が設けられている。これらのボール保持体70および90によってボール43が前後に移動自在に,かつ回転自在に保持される。ボール43ならびにボール保持体70および90を囲むように,断面がL字型の保持部材105が形成されている。図9に示すように,この保持部材105の一端部はディジタル・スチル・カメラ1Aの内部の右側面に固定され,他端部はディジタル・スチル・カメラ1Aの内部の上壁に固定されている。
【0033】
一方のボール保持体70には,ほぼ矩形の支持板75が含まれている。支持板75の上面には,一端部がディジタル・スチル・カメラ1Aの内部の上壁に固定されているバネ78Aおよび79Aが,支持板75の下面には,一端部が保持部材105に固定されているバネ84Aが,図9において支持板75の手前の面には一端部がディジタル・スチル・カメラ1Aの背面側の内壁に固定されているバネ77Aおよび83Aが,図9において支持板75の奥側の面には,一端部がディジタル・スチル・カメラ1Aの前面側の内壁に固定されているバネ(図示略)が,支持板75の底面(図8および図9において左側の面)には,一端部が保持部材105に固定されているバネ80Aがそれぞれ取り付けられている。
【0034】
支持板75の上面(図8および図9において右側の面)には,いわゆるボール・キャスタ71,73,81等が立設している。ボール・キャスタは,4つあるが,それらのうち1つは他のボール・キャスタの影になって見えない。これらのボール・キャスタ71,73,81等の先端部には回転自在な球72,74,82等が設けられている。これらの球72,74,82等の表面とボール43の表面とが接している。
【0035】
ボール・キャスタ71および73には,一端部がディジタル・スチル・カメラ1Aの内部の上壁に固定されているバネ78Bおよび79Bの他端部が固定されている。ボール・キャスタ78Bには,さらに,ディジタル・スチル・カメラ1Aの前面側の内壁に一端部が固定されているバネ76Bの他端部が固定され,ボール・キャスタ73には,さらに,ディジタル・スチル・カメラ1Aの背面側の内壁に一端部が固定されているバネ77Bの他端部が固定されている。ボール・キャスタ81には,一端部がディジタル・スチル・カメラ1Aの背面側の内壁に固定されているバネ83Bの他面部が固定されており,かつ一端部が保持部材105に固定されているバネ84Bの他端部が固定されている。このように,4つのボール・キャスタ71,73,81等もバネ76B等によってディジタル・スチル・カメラ1Aによって支持されている。
【0036】
他方のボール支持体90も一方のボール支持体70と同様の構成である。ボール支持体90には,バネ95A,96A,97A,98A,99A,100A等によって,ディジタル・スチル・カメラ1Aの内壁に支持されている支持体95が含まれている。支持体95には,その上面(図8および図9において左側の面)に先端部に,ボール43の表面に接している球92,94,102が設けられているボール・キャスタ91,93,101等が立設している。これらのボール・キャスタ91,93,100等もバネ95B,96B,97B,98B,99B,100B等によってディジタル・スチル・カメラ1Aの内壁に支持されている。
【0037】
ボール43の上部には,一端部に羽車51が形成されている軸52がディジタル・スチル・カメラ1Aの内部の上壁に固定されている支持板53によって回転自在に支持されている。軸52,羽車51,羽車51を挟んで設けられる発光センサおよび受光センサ(いずれも図示略)によって第1のロータリ・エンコーダが構成される。軸52の他端部はボール43の表面に接している。
【0038】
ボール43の右側には,一端部に羽車63が形成されている軸62がディジタル・スチル・カメラ1Aの内部の右壁と上壁とによって固定されている保持部材105により回転自在に支持されている。軸62,羽車61,羽車61を挟んで設けられる発光センサおよび受光センサ(いずれも図示略)によって第2のロータリ・エンコーダが構成される。軸62の他端部もボール43の表面に接している。
【0039】
ディジタル・スチル・カメラ1Aの正面側には開口49が形成されており,この開口49からボール43の表面がディジタル・スチル・カメラ1Aの外部に露出している。また,図8において開口49の右側にはタッチ・センサ46が設けられている。さらに,ディジタル・スチル・カメラ1Aの背面側には開口59が形成されており,この開口59からボール43の表面がディジタル・スチル・カメラ1Aの外部に露出している。
【0040】
図8において,開口49の内部の右側にはスイッチ107が設けられている。このスイッチ107とボール43との間には板バネ92がディジタル・スチル・カメラ1Aの前面の内部に固定されている。
【0041】
ボール支持体70と90とによってボール43が前後に移動自在に,かつ回転自在に保持されている。ボール43が背面から押されると,ボール43は前面(正面)に少し動く。すると,ボール43が板バネ108を押し,板バネ108によってスイッチ107がオンされる。ボール43が前方に移動したことが検出される。ディジタル・スチル・カメラ1Aの背面側の開口50にも同様にスイッチ107等を設けることにより,ボール43が背面側に移動したことが検出されるのはいうまでもない。ボール43は,ボール支持体70と90とによって保持されているからボール43の中心が,ディジタル・スチル・カメラ1Aの正面側の面と背面側の面との中心に位置決めされており,ボール43に力が加えられていない場合には,ボール43は板バネ108を押さず,スイッチ107はオフ状態にある。ボール43が前後に移動したことを検出できるので,その移動の検出により新たな指令をディジタル・スチル・カメラ1Aに与えることができる。たとえば,ディジタル・スチル・カメラに設けられる決定ボタンなどの役割をボール43に持たせることができる。
【0042】
ボール43の回転量および回転方向は,上述したのと同様に第1のロータリ・エンコーダおよび第2のロータリ・エンコーダによって検出される。また,タッチ・センサ44および46によってボール43が背面側から操作されたか正面側から操作されたかについても上述したのと同様に検出できる。
【0043】
上述の実施例においては,ボール43または3の回転等を検出しているが,ボールのような球体ではなく円柱のような筒体でも同様の指令を与えることができる。
【0044】
図10から図13は,さらに他の実施例を示すものである。
【0045】
図10は,本画像と表示画面の領域との関係を示している。図11は,この実施例によるディジタル・スチル・カメラの使用方法を示している。
【0046】
図10を参照して,本画像110の大きさは鑑賞に耐えられるように大きなもの(解像度の高いもの,データ量の多いもの)が多い。通常は本画像110の大きさは,表示画面2の大きさよりも大きい。一駒の本画像110を表示画面2に表示する場合には,本画像110の大きさが表示画面2の大きさに合うように縮小処理が行われ,縮小された本画像110が表示画面2に表示される。
【0047】
このように,本画像110と表示画面2の領域111とを比べた場合には,領域111の方が小さい。この実施例では,本画像110を縮小することなく,そのままの大きさで,本画像110の一部分の画像が表示画面に表示されるものである。
【0048】
この実施例においては,上述したように正面側にボールの表面が露出されており(この実施例では,必ずしも背面側からはボールの表面が露出していなくともよい),かつ背面に表示画面が設けられているディジタル・スチル・カメラを,図11に示すように,表示画面2が上側となるようにテーブル等に置き,ディジタル・スチル・カメラ1をテーブル等に沿って移動させるようにして使用するものである。ディジタル・スチル・カメラ1が移動することにより,ディジタル・スチル・カメラ1の正面から露出されているボール3が回転する。ボール3の回転量および回転方向に応じて,表示画面2に表示される本画像110の部分が変わる。いわば,大きな写真の上に表示画面2の大きさに対応した枠を移動自在に設け,枠の中にある写真の部分を表示画面2に表示するものである。
【0049】
図10に示すように,ディジタル・スチル・カメラ1の表示画面2が本画像110に対して領域111の位置にあると考えられるときには,表示画面2には領域111内の画像部分112が表示される。ディジタル・スチル・カメラ1が移動して,本画像110に対して領域113の位置に移動したと考えられると,表示画面2には領域113内の画像部分114が表示画面2に表示される。同様に,ディジタル・スチル・カメラ1が領域115の位置に移動したと考えられる場合には,領域115内の画像部分116が表示画面2に表示される。
【0050】
図11においては,ディジタル・スチル・カメラ1と本画像110との関係が分かりやすいように本画像110も図示されているが,テーブル等には本画像110は表示されていないのはいうまでもない。
【0051】
図12は,ディジタル・スチル・カメラ1の電気的構成を示すブロック図である。
【0052】
ディジタル・スチル・カメラの全体の動作は,制御回路120によって統括される。
【0053】
上述したように,第1のロータリ・エンコーダからの出力信号および第2のロータリ・エンコーダ124からの出力信号は,回転検出回路125に入力する。回転検出回路125によって上述したボール3の回転量および回転方向が検出される。検出された回転量および回転方向を示す信号は,制御回路120に入力する。また,第1のタッチ・センサ4および第2のタッチ・センサ5からの出力信号も制御回路120に入力する。これらの出力信号によってボール3が正面側から操作されているか背面側から操作されているかが検出される。また,図12においては,上述のようにボール43が前に移動したことを検出する移動検出センサ128も図示されている。この移動検出センサ128からの出力信号も制御回路120に入力する。さらに,ディジタル・スチル・カメラ1には,シャッタ・レリーズ・ボタン等のボタン類122が設けられており,このボタン類122からの出力信号も制御回路120に入力する。
【0054】
モード・ダイアル(図示略)によって撮像モードが設定されると,撮像装置121によって被写体が撮像され,被写体像を表す画像データが得られる。得られた画像データが制御回路120を介して表示制御回路129に与えられる。表示制御回路129によって表示装置130が制御されることにより,撮像によって得られた画像データにより表される被写体像が表示装置130の表示画面に表示される。シャッタ・レリーズ・ボタンが押されると,撮像により得られた画像データがメモリ・カード・インターフェイス131を介してメモリ・カード132に与えられ,記録される。
【0055】
この実施例によるディジタル・スチル・カメラでは,設定できる再生モードには通常再生モードと本画像再生モードとがある。
【0056】
通常再生モードは,一駒の本画像が表示装置130の表示画面に表示できるように縮小されるものである。通常再生モードが設定されると,メモリ・カード132に記録されている本画像データが読み取られ,メモリ・カード・インターフェイス131を介して制御回路120に入力する。制御回路120において本画像の大きさが表示画面の大きさに合うように縮小処理が行われる。縮小された本画像を表す画像データが表示制御回路129に与えられることにより,本画像よりも縮小された画像が表示装置130の表示画面に表示される。
【0057】
本画像再生モードは,図10および図11を参照して説明したように,本画像を縮小しないでそのままの大きさで本画像を再生するものである。本画像の大きさが表示画面の大きさよりも大きい場合には本画像の一部分が表示されることとなる。メモリ・カード132に記録されている本画像データが読み取られ,メモリ・カード・インターフェイス131を介して制御回路120に入力する。制御回路120において本画像の大きさが表示画面の大きさに合うような縮小処理が行われることなく,読み取られた本画像データが表示制御回路129に与えられる。本画像データは,制御回路120内のメモリに一時的に記憶され,本画像の大きさが表示画面の大きさよりも大きい場合には本画像の一部分を表す画像データが表示制御回路129に与えられる。本画像の一部分を表す画像が表示装置130の表示画面に表示される。上述したように,ボール3が回転すると,その回転量および回転方向が回転検出回路125によって検出される。回転方向および回転量に応じた本画像部分の画像データが制御回路120内のメモリから読み出され,表示制御回路129に与えられることにより表示装置130の表示画面に表示される。
【0058】
図13は,本画像再生モードの処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
上述したように,メモリ・カードから本画像データが読み取られる。読み取られた本画像データによって表される本画像の大きさが表示画面の大きさよりも大きいかどうかが確認される(ステップ141)。
【0060】
本画像の大きさが表示画面の大きさよりも小さい場合には(ステップ141でNO),一駒の本画像の全体を表示画面に表示できるのでそのまま本画像の全体が表示画面に表示される(ステップ142)。本画像の再生モードがオフでなければ(ステップ143でNO)。
【0061】
本画像の大きさが表示画面の大きさよりも大きい場合には(ステップ141でYES),本画像の全体を表示画面に表示できない。このために,本画像の一部分である初期表示部分(たとえば,本画像の右下の部分)が表示画面に表示される(ステップ144)。上述のようにボールが回転させられると(ステップ145でYES),その回転量および回転方向が検出される。検出された回転量および回転方向に応じた本画像の他の部分が表示画面に表示される(ステップ146)。ボールが回転すると(ステップ147でYES),再びその回転量および回転方向に応じた本画像の他の部分が表示画面に表示される(ステップ146)。ボールが回転させられずに(ステップ147でNO),本画像再生モードがオフとされると(ステップ148でYES),本画像再生モードが終了する。
【0062】
本画像再生モードが設定されている場合に,次の駒の表示指令が与えられれば,その次の駒も本画像再生モードにより表示されるのはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】ディジタル・スチル・カメラの背面図である。
【図2】ディジタル・スチル・カメラの正面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】ディジタル・スチル・カメラの操作方法の一例である。
【図6】ディジタル・スチル・カメラの操作方法の一例である。
【図7】ディジタル・スチル・カメラの操作方法の一例である。
【図8】図3に相当する断面図である。
【図9】図4に相当する断面図である。
【図10】本画像と表示画面の領域との関係を示している。
【図11】ディジタル・スチル・カメラの使用方法の一例である。
【図12】ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図13】ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 ディジタル・スチル・カメラ(携帯型画像再生装置)
4,6 タッチ・センサ
9A,10A 折り曲げ部(保持部材)
70,90 ボール保持体(保持部材)
107 スイッチ(移動検出装置)
108 板バネ(移動検出装置)
123,124 ロータリ・エンコーダ
125 回転検出回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ディバイスの前面および背面から表面の一部が露出している回転体,
上記回転体を回転自在に保持する保持部材,
上記回転体の回転方向を検出して回転方向を表す信号を出力する回転方向検出装置,ならびに
操作ディバイスの前面側の露出部分から上記回転体を回転させているか,操作ディバイスの背面側の露出部分から上記回転体を回転させているかを検出して操作面を表す信号を出力する操作面検出装置,
を備えた操作ディバイス。
【請求項2】
上記操作面検出装置が,上記操作ディバイスの前面に設けられた第1のタッチ・センサ,および上記操作ディバイスの背面に設けられた第2のタッチ・センサを備え,
上記第1のタッチ・センサがタッチされている場合に上記操作ディバイスの背面側の露出部分から上記回転体を回転させていることを検出し,上記第2のタッチ・センサがタッチされている場合に上記操作ディバイスの前面側の露出部分から上記回転体を回転させていることを検出するものである,
請求項1に記載の操作ディバイス。
【請求項3】
上記保持部材は,上記操作ディバイスの前面方向および背面方向に移動自在に上記回転体を保持するものであり,
上記回転体が上記前面方向または上記背面方向に移動したことを検出する移動検出装置,
をさらに備えた請求項1に記載の操作ディバイス。
【請求項4】
携帯型画像再生装置の前面から表面の一部が露出している球面体と上記球面体を回転自在に保持する保持部材と上記球面体の回転方向を検出して回転方向を表す信号を出力する回転方向検出装置とを含む操作ディバイス,
携帯型画像再生装置の背面に表示画面が設けられている表示装置,
画像データを記憶する画像メモリ,および
上記画像メモリに記憶されている画像データによって表される画像の大きさが上記表示装置の表示画面の大きさよりも大きい場合に,上記画像の一部分が上記表示画面に表示され,かつ上記操作ディバイスに含まれる上記回転方向検出装置によって検出された回転方向に応じて,上記表示画面に表示される上記画像の一部分が変更されるように上記表示装置を制御する表示制御装置,
を備えた携帯型画像再生装置。
【請求項5】
背面に表示画面が設けられている表示装置,および画像データを記憶する画像メモリを備えた携帯型画像再生装置の制御方法において,
携帯型画像再生装置の前面から表面の一部が露出している球面体を回転自在に保持しておき,
上記球面体の回転方向を検出して回転方向を表す信号を出力し,
上記画像メモリに記憶されている画像データによって表される画像の大きさが上記表示装置の表示画面の大きさよりも大きい場合に,上記画像の一部分が上記表示画面に表示され,かつ検出された回転方向に応じて,上記表示画面に表示される上記画像の一部分が変更されるように上記表示装置を制御する,
携帯型画像再生装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−241680(P2007−241680A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63451(P2006−63451)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】