説明

操作パネル、画像形成装置

【課題】災害によって落下物や転倒物が落下してきても、表示装置が前記落下物や転倒物によって破壊され難い画像形成装置の操作パネルを提供する。
【解決手段】画像形成装置100には操作パネル200が取り付けられている。操作パネル200は、上方に向けて画像を表示する表示装置202と、表示装置の周囲に形成され、表示装置よりも上方に突出しており、上方から落下または転倒してくる物体を支えることによって当該物体が表示装置202に達することを避けるためのリブ210とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合機、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置には、操作パネルが取り付けられている。この操作パネルには複数の操作ボタンおよび表示装置(タッチパネル付きディスプレィ)が設けられており、画像形成装置の利用者は、操作ボタンおよび表示装置を用いて、画像形成装置の操作を行うための各種情報の入力を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−35434号公報
【特許文献2】特開2008−254330号公報
【特許文献3】特開2009−5186号公報
【特許文献4】特開2009−171199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置の操作パネルにおいては、通常、上方または斜め上方を臨む上面が形成されており、上記の上面に表示装置および操作ボタンを取り付けるようにして、利用者にとって操作を行い易くしている。
【0005】
ところが、上記のような上面に表示装置や操作ボタンが形成されている操作パネルによれば、例えば地震が発生した場合、落下物や転倒物が表示装置や操作ボタンに当たることがある。画像形成装置の操作パネルに取り付けられる表示装置は、透明ガラスまたは透明樹脂を有しているため、落下物や転倒物によって特に壊れ易く、当該表示装置を落下物および転倒物から保護することが求められている。
【0006】
本発明の目的は、災害によって落下物や転倒物が落下してきても、表示装置が前記落下物や転倒物によって破壊され難い操作パネルおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、画像形成装置に取り付けられる操作パネルにおいて、上方に向けて画像を表示する表示装置と、前記表示装置の周囲に形成され、前記表示装置よりも上方に突出しており、上方から落下または転倒してくる物体を支えることによって当該物体が前記表示装置に達することを避けるための第1突起部とを備えたことを特徴とする。本発明の構成によれば、災害が発生して落下物または転倒物が操作パネルに向けて落下した場合、落下物(転倒物)は第1突起部に衝突して支えられることがあるため、当該落下物(転倒物)が表示装置に当たってしまう可能性を低減できる。それゆえ、災害による落下物や転倒物が生じても表示装置が破壊され難い操作パネルを提供できるという効果を奏する。
【0008】
また、本発明の操作パネルは、前記構成に加えて、下方に窪んでいる第1凹部が形成されており、前記表示装置は第1凹部に配されており、第1突起部は前記表示装置および第1凹部の周囲に形成されていてもよい。
【0009】
さらに、本発明の操作パネルは、前記構成に加えて、上側が押下面になっている操作ボタンが取り付けられており、前記操作ボタンの周囲に形成され、前記操作ボタンよりも上方に突出しており、上方から落下または転倒してくる物体を支えることによって当該物体が前記操作ボタンに達することを避けるための第2突起部を有していてもよい。これにより、災害が発生して落下物または転倒物が操作パネルに向けて落下した場合、落下物(転倒物)は第2突起部に衝突して支えられることがあるため、当該落下物(転倒物)が操作ボタンに当たってしまう可能性を低減できる。それゆえ、災害による落下物や転倒物が生じても、当該落下物(転倒物)が操作ボタンに当たってしまうことによってジョブや処理が勝手に実行されてしまうことを抑制できる。
なお、特許文献1や特許文献4には、地震予知情報や警報を受信した場合に画像形成を停止または電源をオフにする画像形成装置が示されている。しかし、直下型地震のように、地震発生から短時間で被害が生じるようなケースの場合、地震予知情報や警報の受信前に画像形成装置の設置箇所に地震が発生するという問題がある。
この理由を以下説明する。地震が起こると、初期微動でのP波と呼ばれる小さな揺れと、主要振動のS波と呼ばれる大きな揺れとが同時に発生し、P波は毎秒約7km、S波は毎秒約4kmの速さで伝播する。この伝播速度の差を利用して、震源に近い地点におけるP波を観測し、後から続くS波の伝播を時系列的に予測し、震源からある程度離れた地点におけるS波に対する地震予測が速報発表される。従って、海洋型地震等の離れた震源に対しては緊急地震速報が有用であるが、内陸に於ける直下型地震では、P波とS波との伝播速度差が少なく、緊急地震速報が機能しないのである。
【0010】
これに対し、本願発明の構成によれば、直下型地震であるか否かにかかわらず、地震による落下物や転倒物が生じても、当該落下物(転倒物)が操作ボタンに当たってしまうことによってジョブや処理が勝手に実行されてしまうことを抑制できる。
また、落下物が操作ボタンに当たって操作ボタンが破損されることも抑制できるという効果を奏する。さらに、目の不自由な人(視覚障がい者、例えば、夜盲症、色覚異常、視野狭窄、緑内障、白内障患者等)でも、第2突起部に触れることによって、操作ボタンの所在を検知できる。したがって、本願発明の構成によれば、目の不自由な人にとっても使い易いというメリットを有する。
【0011】
また、本発明の操作パネルは、前記構成に加えて、下方に窪んでいる第2凹部が形成されており、前記操作ボタンは第2凹部に配されており、第2突起部は前記操作ボタンおよび第2凹部の周囲に形成されていてもよい。
【0012】
さらに、本発明の操作パネルは、前記構成に加えて、下方に窪んでいる第3凹部が形成されており、上側が押下面になっている操作ボタンが第3凹部に配置されていてもよい。
【0013】
また、本発明の操作パネルは、前記構成に加えて、第1突起部と前記操作パネルの盤面とが一体として形成されていてもよい。これにより、操作パネルの盤面と第1突起部とを同じ金型で成型できるため、製造コストを安価にできるという効果を奏する。
【0014】
さらに、本発明の画像形成装置は前記の操作パネルを備えていることを特徴とする。これにより、災害による落下物や転倒物が生じても表示装置が破壊され難い画像形成装置を提供できるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、前記構成に加えて、装置本体に所定基準を超える衝撃力が加わった場合に、装置本体を上下方向に振動させることによって、前記衝撃力を吸収する衝撃吸収部材を有していてもよい。これにより、地震によって画像形成装置に落下物または転倒物が激突して衝撃力が加えられても、この激突による衝撃力は衝撃吸収部材によって緩和されるため、落下物または転倒物の激突によって画像形成装置が壊れてしまうことを抑制できる。なお、前記衝撃吸収部材はコイルスプリングであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の操作パネルは、上方に向けて画像を表示する表示装置と、前記表示装置の周囲に形成され、前記表示装置よりも上方に突出しており、上方から落下または転倒してくる物体を支えることによって当該物体が前記表示装置に達することを避けるための第1突起部とを備えたことを特徴とする。これにより、災害による落下物や転倒物が生じても表示装置が破壊され難い操作パネルを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す模式的に示す図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【図3】(a)は、本実施形態に係る操作パネルの上面を模式的に示す図であり、(b)は、(a)の操作パネルの断面を模式的に示す図である。
【図4】図3に示す操作パネルに対して落下物が落下してきた状態を模式的に示す図である。
【図5】本実施形態に係る操作パネルの第1の変形例を示す模式図である。
【図6】本実施形態に係る操作パネルの第2の変形例を示す模式図である。
【図7】本実施形態に係る操作パネルの第3の変形例を示す模式図である。
【図8】(a)は本実施形態の画像形成装置に取り付けられているキャスターの側面を模式的に示す図であり、(b)は(a)のキャスターの断面を模式的に示す図であり、(c)は、(a)のキャスターの斜視図である。
【図9】(a)は、参考例に係る操作パネルの上面を模式的に示す図であり、(b)は、(a)の操作パネルの断面を模式的に示す図である。
【図10】図9に示す操作パネルに対して落下物が落下してきた状態を模式的に示す図である。
【図11】(a)は、開閉式の操作パネルの閉状態を模式的に示す図であり、(b)は、開閉式の操作パネルの開状態を模式的に示す図である。
【図12】図11(b)の操作パネルに対して落下物が落下してきた状態を模式的に示す図である。
【図13】(a)は本実施形態の画像形成装置に取り付けられているキャスターの変形例を模式的に示す図であり、(b)は(a)のキャスターの断面を模式的に示した図であり、(c)は、(a)のキャスターを画像形成装置に取り付けるためのビスを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本実施形態の画像形成装置の内部構成を模式的に示す断面図である。
【0019】
画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色または単色の画像を形成するものであり、装置本体110と自動原稿処理装置120とを有する。
【0020】
装置本体110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91を有している。
【0021】
装置本体110の上部には、原稿が載置される透明ガラス92を有する原稿台90が設けられ、原稿台90の上側には自動原稿処理装置120が取り付けられている。自動原稿処理装置120は原稿台90の上に自動で原稿を搬送する。また、自動原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、透明ガラス92を開放することにより、原稿を透明ガラス92に手で載置できるようになっている。
【0022】
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。したがって、各色に応じた4種類の潜像が形成されるように、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4からなる画像形成ステーションが4個設置されている。つまり、画像形成装置100には、ブラック画像用の画像形成ステーションと、シアン画像用の画像形成ステーションと、イエロー画像用の画像形成ステーションと、マゼンタ画像用の画像形成ステーションとが設けられている。
【0023】
帯電器(帯電手段)5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電ローラである。なお、帯電器5としては、図1に示すようなローラ型の他、ブラシ型が用いられてもよい。また、ローラ型やブラシ型のような接触方式の帯電器ではなく、チャージャ型のような非接触方式の帯電器が用いられてもよい。
【0024】
露光ユニット1は、レーザ出射部(レーザ光源)と、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって走査されたレーザ光を感光体ドラム3に導くレンズおよび反射ミラー(光学部材)とを備えるレーザスキャニングユニット(LSU)である。なお、発光素子をアレイ状に並べたELやLED書込みヘッドを露光ユニットとして設置してもよい。
【0025】
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を、入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2は、感光体ドラム3上に形成された静電潜像を現像器2内のトナーによって現像(顕像化)するものである。なお、ブラック画像用の画像形成ステーションの現像器2ではブラックトナーによって現像が行われ、シアン画像用の画像形成ステーションの現像器2ではシアントナーによって現像が行われ、イエロー画像用の画像形成ステーションの現像器2ではイエロートナーによって現像が行われ、マゼンタ画像用の画像形成ステーションの現像器2ではマゼンタトナーによって現像が行われる。
【0026】
本実施形態では、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーの4色トナーを例示したが、特に4色でなくとも、シアントナーと同一色で濃度がより薄い特性を持つライトシアントナー、マゼンタトナーと同一色で濃度がより薄い特性を持つライトマゼンタトナーを加えた6色トナーであっても良い。
【0027】
クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収するものである。
【0028】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、および中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64はYMCK用の各色に対応して4本設けられている。
【0029】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、および中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。また各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0030】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写されることによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成されるようになっている。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のポリイミドフィルムを用いて無端状に形成されているが、ポリイミドフィルム上に弾性層を設けた構成であっても良い。
【0031】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では、転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0032】
上述のように、各感光体ドラム3上で各色に応じて顕像化されたトナー像は中間転写ベルト61にて積層される。積層されたトナー像は、中間転写ベルト61の回転によって、転写ローラ10と中間転写ベルト61との接触位置(2次転写位置)に搬送され、この接触位置において転写ローラ10によってシート上に転写される。
【0033】
転写ローラ10は、中間転写ベルト61に対して所定ニップで圧接されると共に、トナーをシートに転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、上記所定ニップを定常的に得るために、転写ローラ10もしくは中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ)とする。
【0034】
また、転写ローラ10によってシート上に転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0035】
給紙カセット81は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体110において露光ユニット1の下側に設けられている。手差し給紙カセット82にも画像形成に使用するシートを置くことが可能になっている。装置本体110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0036】
また、装置本体110には、給紙カセット81および手差し給紙カセット82のシートを、転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状のシート搬送路Sが設けられている。給紙カセット81または手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までのシート搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d,レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7が配されている。
【0037】
搬送ローラ12a〜12dは、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、シート搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に取り付けられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップしてシート搬送路Sに供給する。ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に取り付けられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップしてシート搬送路Sに供給する。また、レジストローラ13は、シート搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、中間転写ベルト61に形成されているトナー像の先端とシートの先端とが合わさるようなタイミングで、シートを2次転写位置に搬送する機能を有している。
【0038】
定着ユニット7は、ヒートローラ71および加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71および加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。またヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。また、定着ユニット7には、ヒートローラ71を外部から定着するための外部定着ベルト73が設けられている。
【0039】
つぎに、片面印字時のシート搬送について詳細に説明する。上述のように、画像形成装置100には、予めシートを収納する給紙カセット81、手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82からシートを給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、シートを1枚ずつシート搬送路Sに導くようになっている。各給紙カセット81,82から搬送されるシートはシート搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、シートの先端と中間転写ベルト61上のトナー像の先端とが合わさるタイミングで2次転写位置に搬送される。2次転写位置において、中間転写ベルト61からシートへトナー像が転写される。その後、シートが定着ユニット7を通過することによってシート上の未定着トナーが熱で溶融・固着される。定着処理の行われた後のシートは、定着ユニット7よりもシート搬送方向の下流側に設置される搬送ローラ12bによって排紙トレイ91上に排出される。
【0040】
両面印字時の場合、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過したシートの後端が搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによってシートを搬送ローラ12c,12dの設置位置に導く。シートは、搬送ローラ12c,12dによってレジストローラ13の設置位置に搬送され、シート裏面に印字が行われた後に排紙トレイ91に排出される。
【0041】
つぎに、本実施形態の画像形成装置100に取り付けられている操作パネル(操作盤)について説明する。図2は、画像形成装置100および操作パネル200の外観を模式的に示す斜視図である。なお、以下の説明では、図2に示すように、鉛直方向(下方向)をA方向と称し、鉛直方向の逆方向(上方向)をB方向と称する。
【0042】
操作パネル200は、利用者が画像形成装置100を操作するために必要な情報を入力するためのものであり、図2に示すように原稿台90の側部に取り付けられている。また、図2に示すように、操作パネル200にはB方向側に上面200aが形成されA方向側に裏面200bが形成されている。操作パネル200の表示部およびキー類(ボタン類)は上面200aに取り付けられている。
【0043】
図3(a)は、操作パネル200の上面200aを模式的に示す図であり、図3(b)は、操作パネル200の断面を模式的に示す図である。図3(a)に示すように、操作パネル200の上面200aには、各種ハードウェアキー(操作部)と、表示装置202とが取り付けられている。
【0044】
ハードウェアキー(ボタン)には、数値入力のためのテンキー201a、入力した設定値をクリアするためのクリアキー201b、入力した各種設定を全解除するための全解除キー201c、コピー開始または送信開始等の指示を受け付けるスタートキー(プリントボタン)201d、ジョブの割り込みを行うための割り込みキー201e、画像形成装置100の動作モード(機能)の切り替えを行うためのファンクションキー201fが含まれる。なお、上記の動作モードには、プリンタモード、コピーモード、スキャンモード、印字モード、ファックスモードが含まれる。
【0045】
表示装置202は、小型の液晶ディスプレィと、液晶ディスプレィの表示面に貼り付けられるタッチパネルとから構成されるものである。なお、表示装置202における表示手段としては、液晶ディスプレィの他、プラズマディスプレィ(Plasma Display Panel)、電界放出ディスプレィ(Field Emission Display)、表面電界ディスプレィ(Surface-conduction Electron-emitter Display)、プラズマチューブアレイディスプレイ(plasma tube array Display)、有機ELディスプレイ(organic electro-luminescence display)、電子ペーパーディスプレイ等であってもよい。
【0046】
表示装置202は、画像形成装置100に関する各種情報および出力画像のプレビュー等を上方に向けて表示する。また、表示装置202は、コマンドや情報を入力するためのボタンを表示し、GUI(graphical user interface)としても機能する。
【0047】
つまり、利用者は、キー201a〜201fと表示装置202とを用いて、画像形成装置100を操作するために必要なコマンドおよび情報を入力するようになっている。
【0048】
また、図3(a)および図3(b)に示すように、操作パネル200の上面200aには、表示装置202の周囲において、表示装置202の表示面よりもB方向側に突出しているリブ(第1突起部)210が形成されている。また、図3(a)に示すように、リブ210は、表示装置202の外周を一周するように形成されており、表示装置202を囲っている。これにより、図4に示すように、地震が発生して落下物または転倒物が操作パネル200に向けて落下した場合、落下物がリブ210に衝突して支えられることがあるため、当該落下物が表示装置202に衝突する可能性を低減できる。したがって、地震が発生して落下物または転倒物が操作パネル200に向けて落下しても、表示装置202のタッチパネルや液晶ディスプレィが落下物に衝突して破損することを抑制できる。
【0049】
なお、上記の落下物(転倒物)としては、例えば棚に載置されている電気機器類(比較的重みのあるもの)、極めて重みのある事典等が挙げられる。また、画像形成装置100の設置場所や、操作パネル200の形状や取り付け位置等によっては、キャビネットも上記の落下物になり得る。
【0050】
また、図3(a)および図3(b)に示すように、操作パネル200の上面200aには、スタートキー201dの周囲において、スタートキー201dよりもB方向側に突出しているリブ(第2突起部)220が形成されている。また、図3(a)に示すように、リブ220は、スタートキー(操作ボタン)201dの外周を一周するように形成されており、スタートキー201dを囲っている。これにより、地震が発生して落下物または転倒物が操作パネル200に向けて落下した場合、図4に示すように、落下物がリブ220に衝突して支えられることがあるため、当該落下物がスタートキー201dに当たってしまう可能性を低減できる。したがって、落下物がスタートキー201dに当たってしまうことに起因して画像形成装置100が無駄なジョブ(無駄な印刷処理)を実行してしまうことを抑制できる。また、落下物によってスタートキー201dが破損してしまうことも抑制できる。
【0051】
さらに、前述した目の不自由な人(視覚障がい者)でも、リブ220に触れることによって、スタートキー201dの所在を検知できる。したがって、本実施形態の画像形成装置100は、目の不自由な人にとっても使い易いというメリットを有する。それゆえ、本実施形態の画像形成装置100は、目の不自由な労働者に労働し易い環境を提供するものであり、身体障がい者雇用促進法の趣旨にも沿ったものであるといえる。また、職場(オフィス)に限らず、自宅や施設においても、本実施形態の画像形成装置100は、目の不自由な人によって使い易いというメリットを有する。
【0052】
また、図3の操作パネル200はスタートキー201dの周囲にリブ220が形成される形態であるが、他のキー(テンキー201a,クリアキー201b,全解除キー201c,割り込みキー201e,ファンクションキー201f)の周囲にもリブが形成されていてもよい。
【0053】
さらに、リブ210・220の形状は、図3の形態に限定されるものではなく、転倒物や落下物が操作パネル200に向けて落下しても、当該落下物が表示装置202やスタートキー201dに達する事を避けることのできる形状であればよい。例えば、図5に示すような形状のリブ210a・220aが操作パネル200に取り付けられていてもよい。
【0054】
図5に示すような形状のリブでは、四隅のリブが繋がってなく、表示装置202の表面が浮遊粉塵や埃等で汚れた場合に、その汚れを四隅のリブの隙間から除去し易く、長期に亘って表示装置202の表面を見やすく維持できるといった効果を有する。
【0055】
また、図3(b)に示すように、リブ210の高さをd1として、リブ220の高さをd2とすると、d1、d2は、ゼロを超えていればよいが、1mm〜10mmであることがより好ましい。1mm未満であると、表示装置202の損傷やスタートキー201dの押下を抑制できないケースが多くなり、10mmを超えると、表示装置202やスタートキー201dを視認しづらくなり、指がリブに接触し易くなって操作性が劣ってしまうからである。
【0056】
また、操作パネル200の上部において、上面200aの他に凹部を形成し、凹部に表示装置およびスタートキーを配置し、凹部の周囲をリブで囲うような形態であってもよい。以下ではこの形態について図6を用いて説明する。
【0057】
図6に示すように、操作パネル200の上部には、上面200aの他、凹部200d・200cが形成されている。この凹部200d・200cの底面は上面200aよりもA方向側(下側)に位置している。表示装置202は、その表示面(上方側)が凹部(第1凹部)200dに配置されるように操作パネル200の内部に取り付けられ、スタートキー201dは、その押下面(上方側)が凹部(第2凹部)200cに配置されるように操作パネル200の内部に取り付けられている。つまり、表示装置202およびスタートキー201dは上面200aよりもA方向側(下側)に位置することになる。そして、リブ210は、表示装置202および凹部200dの周囲に形成され、リブ220は、スタートキー201dおよび凹部200cの周囲に形成されている。このような構成であっても、地震が発生して落下物または転倒物が操作パネル200に向けて落下した場合、表示装置202やスタートキー201dの破損を抑制できる。また、落下物がスタートキー201dに当たってジョブが実行されてしまうことを抑制できる。
【0058】
なお、図6に示すように、リブ210の上部と表示装置202の表示面との高低差をd5とし、リブ220の上部とスタートキー201dの押下面との高低差をd6とすると、d5、d6は、ゼロを超えていればよいが、1mm〜10mmであることがより好ましい。その理由は図3の構成の場合と同様である。
【0059】
また、操作パネル200は、図7に示すように、凹部(第3凹部)200cにスタートキー201dの押下面(上方側)が配置されるようにスタートキー201dが取り付けられているものの、凹部200cおよびスタートキー201dを囲うリブを設けない形態であってもよい。
【0060】
なお、本実施形態の操作パネル200によれば、地震による落下物や転倒物に起因した表示装置202の損傷(割れ)を抑制でき、前記転倒物がスタートキー201dに当たって無駄なコピーが行われる事を抑制できるが、前記の落下物や転倒物の発生原因は前記地震に限定されるものではない。例えば、竜巻、大型台風、ハリケーン、航空機または人工衛星の落下、隕石の落下、巨大な雹の落下等も前記転倒物等の発生原因になる。また、建屋に自動車が飛び込む等、災害の因子が発生してから短時間(例えば5秒以内や情報伝達時間が短い場合も含む)で建屋に損害を与えるような事故も前記転倒物等の発生原因になる。つまり、建物の全壊およびライフライン(電気)の被害を免れているものの、建物内で物体の落下・転倒・転落が生じるような災害であればよく、地震に限定されるものではない。
【0061】
また、本実施形態のリブ210・220は、操作パネル200の上面(盤面)200aと同一金型による一体成型であっても良いし、上面200aとは別体であっても良い。上面200aと同一金型による一体成型の場合はリブの製造コストが安く抑えることができ、別体の場合は樹脂、金属、発泡材料等を適宜選択することができる。
【0062】
また、本実施形態では、図1に示すように、装置本体110の底面の四角の各々にキャスター(キャスターコロ)250が取り付けられており、キャスター250によって画像形成装置100が移動可能になっている。以下ではキャスター250の構成について図に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、図1に示すように、A方向(鉛直方向)に対して垂直であって、画像形成装置100の裏面側から正面側に向かう方向をC方向とする。
【0063】
図8(a)は、画像形成装置100に取り付けられているキャスター250の側面を模式的に示す図であり、図8(b)は、C方向に垂直な面によってキャスター250を切断した場合の断面を模式的に示す図であり、図8(c)は、キャスター250の斜視図である。
【0064】
図8に示すように、キャスター250は、車輪250a、シャフト250b、ベアリング250c・250c、車輪カバー250d、主軸250f、プレート250g、コイルスプリング250h・250hを有している。
【0065】
シャフト250bは、車輪250aに固定されており、車輪250aと共に回転する回転軸である。ベアリング(軸受)250cは、シャフト250bを回転可能に支持する支持部材である。なお、図8(b)に示すように、一方のベアリング250c、車輪250a、他方のベアリング250cが、この順序でシャフト250bの一端側から他端側に向けて並んでおり、シャフト250bに取り付けられている。
【0066】
車輪カバー250dは、車輪250aを側方から覆う第1横カバー部Eおよび第2横カバー部Tと、車輪250aを上方から覆う上カバー部Uとを有している。なお、第1横カバー部Eは、車輪250aの回転軸方向のうちの一端側に位置し、第2横カバー部Tは、当該回転軸方向のうちの他端側に位置している。また、シャフト250b、ベアリング250c・250cは、第1横カバー部E、第2横カバー部T、上カバー部Uに囲まれている。
【0067】
また、図8に示すように、第1横カバー部Eおよび第2横カバー部Tの各々には、A方向に平行な長軸を有する長穴Nが形成されている。そして、シャフト250bの一端部は第1横カバー部Eの長穴Nに挿入されており、シャフト250bの他端部は第2横カバー部Tの長穴Nに挿入されている。なお、図8(a)に示すように、長穴Nの長軸はシャフト250bの直径よりも長く、シャフト250bは、長穴Nの長軸からシャフト250bの直径を差し引いた値に相当する長さだけ、上下方向(A方向およびB方向)に移動可能である。
【0068】
さらに、上カバー部Uには、画像形成装置100の装置本体110側において、主軸250fを挿入するための挿入穴Fが形成されており、挿入穴Fには図示しないベアリング(主軸用のベアリング)が取り付けられている。そして、主軸250fは、挿入穴Fに挿入され、旋回可能なように上カバー部Uに支持されている。また、プレート250gは、一方の面が主軸250fに固定されており、他方の面が装置本体110の底部110aに固定されている。
【0069】
また、コイルスプリング250hは、図8(b)に示すように、一方の端部がベアリング250cの外壁に取り付けられ、他方の端部が上カバー部Uに取り付けられている。さらに、コイルスプリング250hは、画像形成装置100が静止している場合は伸びた状態を維持して装置本体110およびベアリング250cを支持且つ静止し、装置本体110に所定基準を超える衝撃力が加えられた時に伸縮するような弾性性能を有している。
【0070】
これにより、地震によって画像形成装置100に対して落下物または転倒物が激突しても、コイルスプリング250hが伸縮して、画像形成装置100が上下方向に振動するため(揺れ動くため)、上記激突による衝撃が吸収され、上記激突によって画像形成装置100が破壊されることを抑制できる。なお、前記の所定基準とは、画像形成装置100に故障をもたらす可能性のある衝撃力の大きさであり、装置のスペックに応じて適宜設定される大きさである。
【0071】
また、画像形成装置100に取り付けられているキャスターは、図8に示されるものに限られず、例えば、図13に示される構成であってもよい。以下、図13に示されるキャスターについて説明する。
【0072】
図13(a)は、本実施形態のキャスターの変形例を示す側面図であり、図13(b)は、図13(a)のキャスターをC方向に垂直な平面で切断した場合の断面を模式的に示す図である。図13に示されるキャスター350は、装置本体110の底部110aの四角の各々に取り付けられている。キャスター350は、車輪350a、シャフト350b、ベアリング350c・350c、車輪カバー350d、コイルスプリング350hを有している。
【0073】
シャフト350bは、車輪350aに固定されており、車輪350aと共に回転する回転軸である。ベアリング350cは、シャフト350bを回転可能に支持する支持部材である。そして、一方のベアリング350c、車輪350a、他方のベアリング350cが、この順序でシャフト350bの一端側から他端側に向けて並んでおり、シャフト350bに取り付けられている。
【0074】
車輪カバー350dは車輪350aを覆うカバーである。図13(b)に示すように、車輪カバー350dは、車輪350aを側方から覆う第3横カバー部Pおよび第4横カバー部Qと、車輪350aを上方から覆う上カバー部Rとを有している。なお、第3横カバー部Pは、車輪350aの回転軸方向のうちの一端側に位置し、第4横カバー部Qは、当該回転軸方向のうちの他端側に位置している。また、車輪350aおよびシャフト350bは、第3横カバー部P、第4横カバー部Q、上カバー部Rに囲まれている。一方のベアリング350cは第3横カバー部Pにはめ込まれ、他方のベアリング350cは第4横カバー部Qにはめ込まれている。また、上カバー部Rには、装置本体110の底部110a側において凹部352が形成されている。
【0075】
さらに、車輪カバー350dは、図13(a)に示すように、ビス355・355によって装置本体110に取り付けられる。以下、この点について具体的に説明する。ビス355は、図13(c)に示すように、ネジ頭355aと、円柱部355bと、円柱部355bよりもネジ頭355aから離れて位置するネジ山部355cとを有する。円柱部355bは表面にネジ山が形成されていない平滑面(円柱面)であり、円柱部355bの直径はネジ山部355cの直径よりも大きくなっている。
【0076】
車輪カバー350dの上カバー部Rには穴360が2箇所に形成されている。穴360は、円柱部355bがその軸方向に向けて移動可能な広さを有する。また、図13(a)に示すように、装置本体110の底部110aには、円柱部355bの径よりも狭い径を有しておりネジ山部355cに螺合する雌ネジ穴361・361が形成されている。
【0077】
そして、図13(a)に示すように、ビス355の円柱部355bが穴360に挿入され、上カバー部Rと底部110aとの間隔Dが所定値になるように、ビス355のネジ山部355cが雌ネジ穴361にてネジ止めされている。
【0078】
さらに、コイルスプリング350hは、図13(a)に示すように、凹部352の底面に取り付けられ、他方の端部が底部110aに取り付けられている。コイルスプリング350hは、画像形成装置100が静止している場合は伸びた状態を維持して車輪カバー350dと装置本体110とを支持且つ静止し、装置本体110に所定基準を超える衝撃力が加えられた時に伸縮するような弾性性能を有している。これにより、地震によって画像形成装置100に対して落下物または転倒物が激突しても、コイルスプリング350hが伸縮して、装置本体110が上下方向に揺れ動くため、上記激突による衝撃が緩和され、上記激突によって画像形成装置100が破壊されることを抑制できる。
【0079】
なお、図13(a)に示される間隔Dは装置本体110が上下方向に揺れ動く時の移動距離(クッション幅)を示したものであるが、この間隔Dは1mm以上且つ3mm以下が好ましい。1mm未満ではクッション性能が乏しくなって衝撃を吸収できない場合があり、3mm超では画像形成装置100を移動させる場合に、装置本体110とキャスター350との間のガタが大きくなり、装置本体110が左右に動いてしまって移動させにくくなるからである。
【0080】
また、図8に示す構成においても、装置本体110が上下方向に揺れ動く時の移動距離は、同様の理由により、1mm以上且つ3mm以下が好ましい。なお、図8の構成では、長穴Nの長軸の長さからシャフト250bの直径を差し引いた値が前記の移動距離に相当する。
【0081】
また、本実施形態では、画像形成装置の衝撃吸収部材としてコイルスプリングを設けるようにしているが、衝撃吸収部材は、コイルスプリングに限られるものではなく、板バネ、圧縮空気、油圧等であってもよい。
【0082】
また、本実施形態の表示装置202は、タッチパネル付きの液晶ディスプレィであるが、タッチパネルは特に設けられていなくてもよい。
【0083】
〔参考例〕
つぎに、本願の参考例について説明する。以上の本実施形態では、表示装置202の周囲にリブ210を設けることによって表示装置202を落下物から保護している。これに対し、リブを設けずに凹部を設け、表示装置が凹部に配置されるように表示装置を操作パネルに取り付ける形態であっても、落下物から表示装置を保護することが可能である。以下では、この形態について図9に基づいて説明する。
【0084】
図9(a)は、参考例に係る操作パネル300の上面300aを模式的に示す図であり、図9(b)は、図9(a)の操作パネル300の断面を模式的に示す図である。図9に示すように、操作パネル300には、B方向側において上面300aの他に凹部310・320が形成されている。上面300aと凹部310の底面とは段差になっており、凹部310の底面が上面300aよりもA方向側に窪んでいる。また、上面300aと凹部320の底面とは段差になっており、凹部320の底面が上面300aよりもA方向側に窪んでいる。
【0085】
そして、図9(a)および図9(b)に示すように、表示装置302の表示面(上方側)が凹部310に配置されるように表示装置302が操作パネル300内部に取り付けられ、スタートキー301dの押下面(上方側)が凹部320に配置されるようにスタートキー301dが操作パネル300の内部に取り付けられている。つまり、表示装置302およびスタートキー301dは上面300aよりもA方向側(下側)に位置することになる。
【0086】
本参考例の構成によれば、図10に示すように、地震が発生して落下物または転倒物が操作パネル300に向けて落下した場合、落下物が上面300aに衝突して支えられることがあるため、当該落下物が表示装置302およびスタートキー301dに衝突する可能性を低減できる。したがって、地震が発生して落下物または転倒物が操作パネル300に向けて落下しても、表示装置302およびスタートキー301dが落下物に衝突して破損することを抑制できる。また、落下物がスタートキー301dに当たってしまうことに起因して画像形成装置が無駄なジョブ(無駄な印刷処理)を実行してしまうことも抑制できる。さらに、目の不自由な人は、上面300aと凹部320との段差に触れることによって、スタートキー301dの所在を検知できる。それゆえ、参考例の画像形成装置も目の不自由な人にとって扱い易いというメリットを有する。
【0087】
なお、図9(b)に示すように、表示装置302の表示面と上面300aとの高低差をd3とし、スタートキー301dの押下面と上面300aとの高低差をd4とする場合、d3、d4はゼロでなければよいが、2mm〜30mmがより好ましい。2mm未満であると、転倒物が凹部に入り込んで表示装置302またはスタートキー301dに接触する可能性若干高くなり、30mm超では、表示装置302またはスタートキー301dの視認性が低下し、操作性が若干悪くなるからである。また、参考例の操作パネル300が小型の画像形成装置に取り付けられるものである場合、操作パネル300の肉厚を薄くする必要があるため、前記のd3,d4は30mm未満にする必要がある。
【0088】
以上示したように、本発明の実施形態の操作パネルおよび参考例の操作パネルによれば、地震によって操作パネルに向けて落下物が落下してきても、リブやパネルの上面に落下物が支えられる結果、表示装置に落下物が衝突してしまうことを抑制できるようになっている。これに対し、例えば、図11に示されるような開閉式の操作パネル500によれば、落下物によって表示装置502が壊れてしまう可能性が高い。この点について以下説明する。図11(a)に示すように、表示装置502は、未使用時において、裏面502aのみが外部に露出するように操作パネル500にはめ込まれている。これに対し、使用時になると、図11(b)に示すように、表示装置502の表示面と操作パネル500の上面500aとが垂直になるように、表示装置502と操作パネル502とが開かれる。そして、使用時では、表示装置502は操作パネル500の上面500aよりもB方向側に突出していることになる。それゆえ、使用時において、地震によって操作パネル500に向けて落下物が落下してきた場合、図12に示すように表示装置502に落下物が衝突し、表示装置502が壊れてしまう可能性がある。
【0089】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は画像形成装置の操作パネルに適用できる。前記の画像形成装置は、プリンタ、複写機、複合機、ファクシミリ装置のいずれかである。
【符号の説明】
【0091】
100 画像形成装置
110 装置本体
200 操作パネル
200a 上面(盤面)
200c 凹部(第2凹部,第3凹部)
200d 凹部(第1凹部)
201d スタートボタン(操作ボタン)
202 表示装置
210 リブ(第1突起部)
220 リブ(第2突起部)
250 キャスター
250h コイルスプリング(衝撃吸収部材)
350 キャスター
350h コイルスプリング(衝撃吸収部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に取り付けられる操作パネルにおいて、
上方に向けて画像を表示する表示装置と、
前記表示装置の周囲に形成され、前記表示装置よりも上方に突出しており、上方から落下または転倒してくる物体を支えることによって当該物体が前記表示装置に達することを避けるための第1突起部とを備えたことを特徴とする操作パネル。
【請求項2】
下方に窪んでいる第1凹部が形成されており、前記表示装置は第1凹部に配されており、第1突起部は前記表示装置および第1凹部の周囲に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の操作パネル。
【請求項3】
上側が押下面になっている操作ボタンが取り付けられており、
前記操作ボタンの周囲に形成され、前記操作ボタンよりも上方に突出しており、上方から落下または転倒してくる物体を支えることによって当該物体が前記操作ボタンに達することを避けるための第2突起部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の操作パネル。
【請求項4】
下方に窪んでいる第2凹部が形成されており、前記操作ボタンは第2凹部に配されており、第2突起部は前記操作ボタンおよび第2凹部の周囲に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の操作パネル。
【請求項5】
下方に窪んでいる第3凹部が形成されており、
上側が押下面になっている操作ボタンが第3凹部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の操作パネル。
【請求項6】
第1突起部と前記操作パネルの盤面とは一体として形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の操作パネル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の操作パネルを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
装置本体に所定基準を超える衝撃力が加わった場合に、装置本体を上下方向に振動させることによって、前記衝撃力を吸収する衝撃吸収部材を有することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記衝撃吸収部材はコイルスプリングであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−141308(P2011−141308A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−338(P2010−338)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】