説明

操作入力装置

【課題】 パネル面の接触による入力を静電容量の変化によって検出する方法において、操作体を問わず(厚手の手袋をした場合でも)入力の検出を可能にする。
【解決手段】 指等で誘電体シートに接触し、押下すると、スイッチ部13の誘電体シートが凹み、センサ135の電極との距離が近づくことにより、静電容量が変化し、RC発振回路を構成する発振回路部136gは、この静電容量の変化に応じた発振信号を出力するので、操作入力時に周波数・電圧変換部136cから出力される電圧Vが変化する。制御部17では、制御部内の操作入力判定部171で周波数・電圧変換部136cの変換電圧Vをもとにスイッチ部13がオン操作されたか否かを判定し、判定結果に従いオン操作の有無の検出信号を生成する。オン操作の判定は、入力された電圧Vと、予めオン操作を判定するための閾値(非接触時の電圧に基づく)と比較し、電圧Vが閾値を越えるか否かにより判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理機能を備えた装置や機器に起動、停止、動作条件等の指示を与える操作入力装置に関し、より詳しくは、誘電体面への操作体の接触(例えば、指によるパネル面の押下)有無によって静電容量結合でセンサ電極に発生する出力信号の変化から操作入力を検出する操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理機能を備えた装置や機器には、ユーザーインターフェースとして例えば、LCD(液晶表示装置)を持つ操作パネルを備え、LCDの画面の操作案内に従い画面に表示されたボタンへの接触(押下)によって検出回路が働き、起動、停止、動作条件等の指示を与えることができ、メカニカルな作動部を持たない操作入力装置が実用化され、通称タッチパネルと言われている。
こうした操作入力装置として、近年では、操作者が触れるガラスやアクリルなどのパネルの内側に電極を貼り付け、指などの接触により、その電極部分に生じる静電容量の変化を検出する静電容量変化型の装置が提案されている。このような構成の操作入力装置は、操作パネルの表面をフラット化して、製品のデザイン性や防水性構造を実現しやすい。
ただ、例えば、厚手の手袋や義指などをした場合には、静電容量の変化が少ないため、接触を検出できないので、特許文献1に示すように、タッチパネル操作用手袋として、タッチパネルに触れる部分を導電体とし、どのような状況でも確実に入力が行えるようにしたものが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のタッチパネル操作用手袋を用いる方法では、入力を行うたびに当該手袋を装着する手間が掛かり、煩わしい。
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、操作入力の有無を静電容量の変化によって検出する方法において、パネルの所定位置を接触する操作が可能であれば、操作体を問うことなく、つまり、指はもちろん厚手の手袋をした場合にも検出できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、操作入力を行う装置であり、操作体の接触により弾性変形するシート状の誘電体と、前記誘電体の操作体が接触する面の反対側のシート面に対向して配置したセンサ電極と、静電容量結合によって前記センサ電極に発生する出力信号を検出する信号検出手段と、操作体の非接触時に前記信号検出手段によって検出された信号に基づいて操作入力の有無を判定するための閾値を決める閾値決定手段と、前記信号検出手段によって検出される信号の大きさを前記閾値と比較し、閾値を越えるか否かにより操作入力の有無を判定する操作有無判定手段とを有したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によって、操作体を問わずに(例えば、厚手の手袋をした場合でも)接触操作によって、求められる大きさの出力信号を発生させ、確実に操作体の接触を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に係る操作入力装置の概略構成を示す外観図である。
【図2】操作入力装置(図1)におけるスイッチ部の概略構成を示す断面図である。
【図3】操作入力装置(図1、2)におけるスイッチ部への操作入力の有無の検出に係る処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【図4】図3の処理システムが実行する操作入力検出の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る操作入力装置の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。
図1は、この実施形態に係る操作入力装置の概略構成を示す外観図である。
図1において、操作入力装置10は、装置を構成する要素として、液晶表示部12、スイッチ部13、ブザー15、電源スイッチ16を有し、これらをアクリルパネル部11に組込んで、図示していないが情報処理機能を備えた装置や機器等(以下、単に「機器」という)の本体に取り付けられる。
図1に示す操作入力装置10は、機器を利用するユーザーに機器の状態(ステータス)を知らせるための情報を報知する手段及びユーザーが起動、停止、動作条件等の指示を機器に与えるための手段を備え、ユーザーインターフェースとしての機能を提供する。機器のステータスの報知は、液晶表示部12、ブザー15を通じて行われ、ユーザーの指示は、スイッチ部13、電源スイッチ16を通じて行われる。なお、液晶表示部12は、機器のステータスを表示するとともに、表示したステータスにおいて、ユーザーが機器に求める動作を指示するためにどのように操作をすればよいかを案内する。この案内に従いスイッチ部13の操作入力を行うことにより、ユーザーの求める指示が機器に伝えられる。
【0008】
「スイッチ部の基本構成」
図2は、この実施形態の操作入力装置(図1)におけるスイッチ部の概略構成を示す断面図である。
図2において、スイッチ部13は、構成要素として、オペレータの指等の操作体によって押下される表面(押下操作の方向を示す同図中の矢印Fを付した面)から順に、操作体が直接接触する誘電体シート131と、誘電体シート131が押下され変形した(凹んだ)時のスペースを確保するスペーサー132と、スペーサー132の土台となるアクリルパネル133と、操作入力用の画面が表示可能な表示部134と、静電容量結合によって発生する出力信号を検出するセンサ電極を持つセンサ135と、センサ135に発生した信号を検出する静電容量検出回路基板136を有する。
【0009】
誘電体シート131は、OHPフィルムのように比較的柔らかく比較的可視光の透過率の高い物質にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸バリウム(BTO)等の強誘電体の薄膜を形成したものを適用する。なお、強誘電体の薄膜を形成する方法は、スパッタリング法や真空蒸着法を利用することができる。また、高透過率、高誘電率、柔軟性のある物質を用いることによって、その物質のみで誘電体シートを構成してもよい。
スペーサー132は、弾性体で可視光の透過率が高く、柔軟性のある物質がよい。
誘電体シート131とスペーサー132のいずれについても、可視光の透過率が高い物質を用いるのは、次の表示部134が表示する画面をスイッチ部13の表面(矢印Fを付した面)側から見るときの視認性を確保するためである。
【0010】
また、表示部134は、液晶を用いるほか、電子ペーパーや有機EL(Electronic Luminescent)などのバックライトを必要としない表示デバイスを使用する。こうしたバックライトが不要な表示デバイスを用いることによって、図2に示した各要素を重ね合わせパネル状の部品としてスイッチ部13を構成するときに、全体の厚みを薄くすることができ、省スペース化を可能にする。なお、電子ペーパーや有機ELによる可変表示手段は、既存の技術を適用することによって実施できる。
また、この表示部134は、表示プログラムを変更することにより画面の表示を可変できるものを採用し、ユーザーの操作入力によって行われる指示内容に応じた画面を表示する(特に、センサ135を複数設ける後述の例において多様な入力方法に対応することが可能になる)。
【0011】
図2のスイッチ部13は、オペレータの指等の操作体によって同図中に示される矢印Fの方向からスイッチ部13の表面を押下する操作を行うことによって、誘電体シート131が変形した(凹んだ)時に、誘電体シート131とセンサ135の電極との間の距離が小さくなって静電容量が大きくなるために、センサ電極に発生する出力信号が変化し、出力信号から操作入力の有無を検出できる(詳細は後述)。
この検出原理によれば、センサ電極に生じる出力信号は、誘電体シート131においてセンサ電極のある部分の局部の変形に対応して変化する。
【0012】
よって、共通の誘電体シート131に対して複数のセンサ電極を設けても、同時に複数個所を押下しなければ、操作によって誘電体シート131が変形することによって生じる出力の変化が複数のセンサのどれで起きたかを検知することで、操作箇所を特定して操作の有無が検出できる。この実施形態では、複数のセンサを持つスイッチ部を有した操作入力装置についても実施形態の1つとする。
複数センサの設け方については、センサが1つだけの形態で実施する例を示した図2のスイッチ部13の構成には示していないが、各センサは、図2のセンサ135と同様に誘電体シート131のシート面に対向し、かつセンサ同士が所定間隔をもって離れて配置するように設ける。このような配置にすることで、1つのセンサ位置に対応する誘電体シート131の押下によって他の位置に設けたセンサ出力の受ける影響を小さくでき、誤検出を防ぐことができる。また、複数センサの出力を個々に識別して検出できるように、センサ出力の検出回路を構成することが必要になる、なお、センサ出力に基づいて操作入力を検出する回路及び処理プロセスについては、下記「操作入力検出処理」及び「操作入力検出の制御フロー」に詳述する。
【0013】
「操作入力検出処理」
上記で構成を示したスイッチ部13への操作入力によってセンサ135の出力信号に生じる変化から、スイッチ部がオン操作されたか否かを検出する操作入力の有無の検出処理について詳細に説明する。
図3は、スイッチ部への操作入力の有無の検出に係る処理システムの概略構成を示すブロック図である。なお、図3に示す処理システムは、操作入力装置10(図1,2、参照)のスイッチ部13の操作入力の有無の検出動作を中心に、関連する要素によって構成するシステムを示しており、図1,2と共通の要素については同一の参照番号を付している。
図3の処理システムは、CPU(Central Processing Unit)172等よりなる制御部17と、制御部17の制御下で作動するスイッチ部13、液晶表示部12、操作入力の有無の検出に係る処理を含め制御部17が制御に用いるプログラム(ソフトウェア)、データ等を格納するROM(Read Only Memory)19、実行中の処理に係るデータ(液晶表示部12等で用いる表示データ、操作入力の有無の検出に用いる閾値)等を記憶するRAM(Random Access Memory)18等の各構成要素を有する。
【0014】
なお、制御部17(後述する操作入力判定部171を含む)の有する制御機能をソフトウェアで実現する場合は、CPU172と、RAM18、ROM19等で構成するコンピュータを当該制御部17として機能させるためのプログラムにより実現することができる。CPU172は、処理の実行時にROM19に記録(記憶)しておいた制御・処理プログラム等をワークメモリとしてのRAM18に読込み、このプログラムを駆動することによって、CPU(コンピュータ)172をこの処理の実行手段として機能させることができる。なお、プログラム等を記録する媒体としては、ROMに限らず、HDD、CD(Compact Disk)−ROM、MO(Magnet Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体を用いることができる。また、この操作入力装置10を搭載する機器(不図示)がインターネット等のネットワークに接続されている場合、プログラムをネットワーク経由でダウンロードさせることにより取得するようにしても良い。
【0015】
図3に示すスイッチ部13は、図2に示した表示部134、センサ135のほか、センサ135からの出力信号を検出する静電容量検出回路基板136(図2、参照)内に設けた切替回路部136s、発振回路部136g及び周波数を電圧に変換する周波数・電圧変換部136cを有する。なお、この実施形態におけるスイッチ部13は、センサ135として、上述の複数センサを搭載したものである。
切替回路部136sは、制御部17からの信号により発振回路部136gと複数個設けたセンサ135の接続を時分割で1個ずつ切り替えることにより、各センサを順にスキャンする回路である。この時分割切り替え動作において、切り替えタイミングと各センサとを1対1で関係付けておくことによって、複数センサの出力を個々に識別して検出することができる。
【0016】
発振回路部136gは、切替回路部136sによってスキャンされるセンサ135によって検知された誘電体シート131とセンサ電極との間に生じる静電容量と結合して、静電容量に応じた周波数の信号を発振する回路であり、ここではRC発振回路を構成し、誘電体シート131の変形で生じる静電容量Cの変化に応じた発振信号を出力する。
周波数・電圧変換部136cは、発振回路部136gによって発生された発振信号を受け、発振周波数に応じた電圧信号に変換し、変換した検知電圧を制御部17に出力する。
この実施形態では、周波数・電圧変換部136cが、発振回路部136gで発振する信号の発振周波数が高いほど低い電圧を、発振周波数が低いほど高い電圧を発生するように、即ち、発振周波数と変換後の電圧とが反比例する関係となる変換特性を持つように、回路を構成する。
【0017】
スイッチ部13への操作入力が行われたときの動作は、次のとおりである。
ユーザーが操作入力の動作として、指等で誘電体シート131に接触し、押下すると、誘電体シート131が凹む(弾性変形する)。この動作によって、誘電体シート131とセンサ135の電極との距離が近づくことにより、センサ135の電極における等価的な静電容量が変化する。
センサ135の電極における等価的な静電容量をCとすると静電容量Cは、「C=ε*S/d」の等価式で表現できる。なお、この式において、ε:強誘電体の比誘電率(近似値)、S:誘電体シートの面積、d:誘電体シートとセンサの距離、である。
この操作入力の際、指等で誘電体シート131を強く押下することによって、変形量は大きくなって、誘電体シート131とセンサ135の距離dは小さくなるので、静電容量Cは増加し発振周波数を低くする結果となって、周波数・電圧変換部136cから出力される電圧Vは大きくなる。
【0018】
上記のようにして、操作入力時に誘電体シート131の押下に応じて周波数・電圧変換部136cから出力される電圧Vが変化する。
スイッチ部13のセンサ135で検知され、周波数・電圧変換部136cで変換された電圧Vは、スイッチ部13から制御部17に出力され、制御部17では、制御部内の操作入力判定部171でこの電圧Vをもとにスイッチ部13がオン操作されたか否かを判定し、判定結果に従いオン操作の有無(ON/OFF)の検出信号を生成する。
オン操作の判定は、誘電体シート131とセンサ135の距離に反比例する値として入力された電圧Vと、予めオン操作を判定するための基準として定めた閾値と比較し、電圧Vが閾値を越えるか否かによりオン操作されたか否かを判定する。
【0019】
また、閾値の決定方法としては、次の方法をとる。即ち、例えば、電源オン時もしくは初期化時における、操作入力が行われる前のタイミングで、指等によって誘電体シート131が押下されていない時(非接触時)に、スイッチ部13のセンサ135で検知され、周波数・電圧変換部136cで変換された電圧Vを検出し、検出された値に所定のマージンを考慮して得られる値を閾値として決定する。
なお、複数センサを搭載したスイッチ部にこの方法を適用する場合、複数あるセンサごとに無接触時の電圧Vを検出し、それぞれの閾値を決定する。この方法を採用することによって、誘電体シート131の歪み、誘電率ムラを補正することができる。また、誘電体シート131の歪み、誘電率ムラをある程度許容できるので、誘電体シートのコストを低減できる。
このようにして、例えば、電源オン時もしくは初期化時においてセンサごとに決定された閾値(電圧値)は、制御部17を介してRAM18にセンサ135の個数分各センサに対応付けて記憶され、記憶された電圧値を各センサの出力に対するオン操作を判定するための閾値Vhとして用いる。
上記では、オン操作の判定に用いる閾値を決定する処理を電源オン時もしくは初期化時に行う例を示したが、この閾値は環境(例えば温度)変化のような要因で経時に値が変化することが想定される場合があり、この場合には、例えば、前回閾値を決定してから所定の時間が経過した後に、再決定処理を行うようにするとよい。
【0020】
「操作入力検出の制御フロー」
次に、制御部17がスイッチ部13への操作入力を検出し、入力を受付ける際に実行する処理の流れについて、図4の制御フローを参照して説明する。
図4に示すこの実施形態の制御フローは、操作入力装置10の電源スイッチ16が押され、機器への電源が投入(オン)されたときに起動される。
電源オンによってこの制御フローが開始されると、初期化手順として、操作入力の有無の判定に用いる閾値Vhを決定する処理を行う。下記の初期化手順を行う間、スイッチ部13への操作入力が行われないようにすることが前提となり、例えば、操作入力を待たせるメッセージを液晶表示部12の画面に表示する方法やブザー15を鳴らす方法の一方又は両方によって、操作入力(スイッチ部13の押下)の禁止を報知し、必要な条件を整えるようにする。
【0021】
この初期化手順としては、先ず、切替回路部136sを作動させて、センサ135における所定のセンサ電極と発振回路部136gが静電容量結合するように、発振回路部136gをセンサ電極に接続する(ステップS101)。なお、この実施形態では、センサ135として複数のセンサ(電極)を搭載しており、複数あるセンサごとにそれぞれの閾値Vhを決定するので、所定の順番に従い時間割りで各センサ(電極)への接続を切り替えながら、決定した閾値VhをRAM18に記録し(後述するステップS103)、操作入力が実際に行われたときに操作入力の有無を判定するときに用いる。従って、この初期化手順(ステップS101〜S103)は、センサ(電極)の数だけ行う。
【0022】
次に、発振回路部136gは、切替回路部136sによって切り替えられ、接続されたセンサ電極に静電容量結合し、操作入力のない、即ち無接触時の静電容量値に従った周波数で発振を行い、発振した信号を周波数・電圧変換部136cに出力する(ステップS102)。
次に、周波数・電圧変換部136cは、前ステップで発振回路部136gが発振した信号の入力を受け、入力信号の発振周波数を電圧に変換し、得られた電圧値を制御部17に送る。また、制御部17は、無接触時に検知した静電容量に対応する電圧値としてスイッチ部13の周波数・電圧変換部136cから送られてくる電圧値をもとに閾値Vhを決定し、決定した閾値VhをRAM18に記録する(ステップS103)。このとき、RAM18には、決定した閾値Vhをセンサ135の個数分、各センサに対応付けて記憶する。
以上で初期化手順を終え、実際に行われる操作入力に対する処理に移行する。
【0023】
初期化後、実際に行われる操作入力に対しては、切替回路部136sを作動させて、センサ135として搭載されている複数のセンサ(電極)を1つずつ所定の順番に従い時間割りでスキャンし、各センサに発振回路部136gを静電容量結合するように、接続を切り替える(ステップS104)。
発振回路部136gは、前ステップの切り替えによって、接続されたセンサ(電極)の静電容量値に従った周波数で発振を行い、発振した信号を周波数・電圧変換部136cに出力する(ステップS105)。
次に、周波数・電圧変換部136cは、前ステップで発振回路部136gが発振した信号の入力を受け、入力信号の発振周波数を電圧に変換し、得られた電圧値を制御部17に送る(ステップS106)。
【0024】
次に、制御部17は、今回接続されたセンサ(電極)によって検知された静電容量に対応する電圧値として、スイッチ部13の周波数・電圧変換部136cから送られてくる電圧値をもとに操作入力の有無を検出する処理を行う。即ち、制御部17の操作入力判定部171は、今回検知されたセンサ(電極)の静電容量に対応する電圧値として送られてきた電圧値と先のステップS103で当該センサ(電極)の閾値として決定した値Vhとを比較し、今回の電圧値が閾値Vhより大きいか否かを判断する(ステップS107)。
ここで、今回の電圧値が閾値Vhより大きいと判断した場合には(ステップS107-YES)、操作入力が有ったと判定し、この結果を受けて、制御部17は、当該センサが構成するスイッチのオン操作を認識して、この受付処理を実行する(ステップS108)。なお、この受付処理は、制御部17がユーザーに対して、例えば、液晶表示部12の画面を通じて示した案内、メニューに対して、「はい/いいえ」もしくは選択の指示で応答する操作入力として認識する処理である。
また、制御部17は、ユーザーに対しこの操作入力が有効に行われたことを知らせるために、ブザー15を作動させて、この報知を行う(ステップS109)。
【0025】
他方、今回の電圧値が閾値Vhを越えないと判断した場合には(ステップS107-NO)、操作入力が無かったと判定し、ステップS108及びS109の処理を飛ばして、ステップS110に進める。
なお、上記で説明したステップS104〜S109の処理手順は、スイッチ部13が有する複数のセンサ(電極)のうち切替回路部136sが接続した1つのセンサの処理であり、複数のセンサに対しては、時間割りでセンサへの接続を切り替えながら、センサごとに操作入力の有無を検出するステップS104〜S109の処理を電源がオフされるまで続ける。従って、ステップS104以降の終了までの手順は、操作入力を禁止する期間を除いて、継続的に繰り返される。
【0026】
ただ、この実施形態では、上記以外にも、継続的に行う操作入力の有無の検出を中断する場合がある。それは、操作入力の有無を検出する精度の低下を防ぐために、電源オン時に決定した閾値Vhを再決定する処理ステップを設けたことによる。
この処理ステップを設けた理由は、閾値Vhが環境(例えば温度)変化のような要因で経時に値が変動することが想定されるからで、この実施形態では、検出精度に影響する閾値Vhの変動が生じないと想定される時間を予め閾値有効期限として定め、この閾値有効期限を越えた場合には、閾値Vhを再決定する制御を行うようにする。
処理のフローとしては、操作入力の有無の判定を行った後(ステップS109/ステップS107-NO)、操作入力の有無を判定する当該処理システムのシャットダウンが指示されているか否かを確認し(ステップS110)、シャットダウンが指示されている場合には(ステップS110-YES)、この制御フローを終了する。
他方、シャットダウンが指示されていない場合には(ステップS110-NO)、前回閾値を決定する処理を行ってからの経過時間が予め定められた閾値有効期限内であるか否かを確認する(ステップS111)。
ここで、前回閾値を決定する処理を行ってからの経過時間が予め定められた閾値有効期限を越えている場合には(ステップS111-NO)、ステップS101に戻して、閾値Vhを再決定する。
また、前回閾値を決定する処理を行ってからの経過時間が予め定められた閾値有効期限を越えていない場合には(ステップS111-YES)、閾値Vhを再決定することなく、これまでの閾値Vhの使用を継続したまま、ステップS104に戻して、操作入力の有無を判定する処理フローを続ける。
【符号の説明】
【0027】
10・・操作入力装置、12・・液晶表示部、13・・スイッチ部、131・・誘電体シート、132・・スペーサー、133・・アクリルパネル、134・・表示部、135・・センサ、136・・静電容量検出回路基板、136g・・発振回路部、136c・・周波数・電圧変換部、136s・・切替回路部、15・・ブザー、16・・電源スイッチ、17・・制御部、171・・操作入力判定部、172・・CPU、18・・RAM、19・・ROM。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2008−81896号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作体の接触により弾性変形するシート状の誘電体と、
前記誘電体の操作体が接触する面の反対側のシート面に対向して配置したセンサ電極と、
静電容量結合によって前記センサ電極に発生する出力信号を検出する信号検出手段と、
操作体の非接触時に前記信号検出手段によって検出された信号に基づいて操作入力の有無を判定するための閾値を決める閾値決定手段と、
前記信号検出手段によって検出される信号の大きさを前記閾値と比較し、閾値を越えるか否かにより操作入力の有無を判定する操作有無判定手段と
を有したことを特徴とする操作入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載された操作入力装置において、
前記センサ電極が、電極同士が所定間隔をもって配置した複数個の電極よりなり、
前記閾値決定手段は、複数個のセンサ電極それぞれの閾値を決める手段であり、
前記操作有無判定手段は、複数個のセンサ電極ごとに各センサ電極に対して決められた閾値によって操作入力の有無を判定する手段である
ことを特徴とする操作入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された操作入力装置において、
前記シート状の誘電体は可視光の透過率が高い材料を使用し、
前記シート状の誘電体と前記センサ電極を載せた基板との間に入力用画面を表示する扁平な表示部を設け、これらを1つに重ね合わせパネルを構成するようにした
ことを特徴とする操作入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載された操作入力装置において、
前記表示部が電子ペーパーであることを特徴とする操作入力装置。
【請求項5】
請求項3に記載された操作入力装置において、
前記表示部が有機ELであることを特徴とする操作入力装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−287148(P2010−287148A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141978(P2009−141978)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】