説明

操作支援システム

【課題】操作手順の間違いや、操作対象の特定のミス、操作する際に使用する工具の選定間違いを減らす。
【解決手段】タグリーダライタ2で指し示された識別タグ1は、操作記憶部に記憶された操作手順に従った順序の操作対象に設けられた識別タグ1に固有の識別情報を受信すると、その識別情報がEEROMに記憶しているそのタグ固有の識別情報に一致した場合、CPUによってタグ表示部を作動させる。従って、操作記憶部に記憶された操作手順に従った順序で端末装置3の表示部3aに表示される操作対象に、作業者が正しくタグリーダライタ2を近づけることにより、操作対象に設けられた識別タグ1のタグ表示部が作動し、作業者が誤ってタグリーダライタ2を近づけた場合には、操作対象に設けられた識別タグ1のタグ表示部が作動しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作対象に設けられた識別タグと、この識別タグと通信するタグリーダライタとを使って操作の支援をする操作支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所や変電所または様々な製造プラントなどでは、監視室などの1箇所に設置された制御パネルや操作パネル、監視パネルなどに作業員が対面して、集中的に各設備の監視・制御が行われる。この監視・制御に用いられる各パネルには、運転状況を表示する各種計器やパイロットランプ、操作スイッチなどが多数配置されている。また、各設備が設置された現場には、各設備の稼働を開始させたり停止させる際に操作される開閉器や、各配管の流路を開いたり閉じたりする際に操作されるバルブなどが設けられており、また、各設備を操作する際に用いられる工具などが配備されている。
【0003】
上記各パネルに配置された各種計器やパイロットランプなどの確認、また、操作すべき操作スイッチの特定などは、従来、操作手順書やコンピュータによる操作手順指示に基づいて、多くはその操作に習熟しているオペレータが指差し確認や発呼確認を行いながら実施されていた。また、各設備が設置された現場においても、各開閉器や各バルブの操作順序、各操作に用いる工具の特定などは、同様に、操作手順書やコンピュータによる操作手順指示に基づいて、操作に習熟しているオペレータが指差し確認や発呼確認を行いながら実施されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発電所における緊急稼働停止や、変電所における送配電ルートの変更、様々な製造プラントにおける生産品目の変更などの、日常ルーチンでない操作が行われる時には、日頃慣れていない操作手順で、通常時は監視しない計器やパイロットランプなどで確認をしながら、操作が行われる。このような操作は、オペレータにとって不慣れな操作であるため、操作手順書やコンピュータによる操作手順指示に従って作業を行っても、オペレータが誤った操作をしてしまう可能性がある。例えば、操作対象である操作スイッチの隣のスイッチを誤って操作してしまったり、本来確認すべき計器やパイロットランプ以外のもので確認を行ったり、誤った工具で操作をしたり、操作順序を間違えてしまう、様々な操作ミスを犯してしまう可能性がある。特に、操作に習熟していないオペレータがこのような操作を行う場合には、1つ1つの操作や確認に手間取り、操作を誤ってしまう可能性が一層大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
操作手順または操作対象または操作対象の状態を記憶する操作記憶部、この操作記憶部に記憶された操作手順に従った順序の操作対象、または操作記憶部に記憶された操作対象、または操作記憶部に記憶された操作対象の状態とその操作対象とを表示する端末表示部、および操作記憶部に記憶された情報を送信する端末側通信部を備えた端末装置と、
外部から表示が視認されるタグ表示部、そのタグ固有の識別情報を記憶する識別情報記憶部、外部からの信号を受信するタグ側通信部、外部からの電源供給を受ける電源被供給部、および前記識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を前記タグ側通信部に受信すると前記タグ表示部を作動させる制御部を備えた、操作対象に設けられる識別タグと、
前記端末側通信部からの信号を受信するリーダライタ側端末通信部、前記操作記憶部に記憶された前記操作手順に従った順序の操作対象に設けられた前記識別タグに固有の識別情報、または前記操作記憶部に記憶された前記操作対象に設けられた前記識別タグに固有の識別情報、または前記操作記憶部に記憶された前記操作対象の状態およびその操作対象に設けられた前記識別タグに固有の識別情報を前記リーダライタ側端末通信部に受信するとこの受信情報を前記タグ側通信部へ無線で送信するリーダライタ側タグ通信部、このリーダライタ側タグ通信部から前記受信情報が送信される際に前記識別タグを動作させる駆動電源を前記電源被供給部へ無線で供給する電源供給部を備えたタグリーダライタと
から、操作支援システムを構成した。
【0006】
この構成において、操作対象に予め識別タグを設け、端末装置の操作記憶部に操作手順または操作対象または操作対象の状態を予め記憶させておく。操作記憶部に記憶されている情報は端末装置の端末側通信部からタグリーダライタのリーダライタ側端末通信部へ送信され、作業を行うときに、端末装置の端末表示部に表示される操作対象に作業者がタグリーダライタを近づけ、操作対象をタグリーダライタで指し示すことにより、タグリーダライタのリーダライタ側タグ通信部から、タグリーダライタで指し示される識別タグのタグ側通信部へ、操作記憶部に記憶された操作手順に従った順序の操作対象に設けられた識別タグに固有の識別情報、または操作記憶部に記憶された操作対象に設けられた識別タグに固有の識別情報、または操作記憶部に記憶された操作対象の状態およびその操作対象に設けられた識別タグに固有の識別情報が、無線で送信される。
【0007】
タグリーダライタで指し示された識別タグは、操作記憶部に記憶された操作手順に従った順序の操作対象に設けられた識別タグに固有の識別情報を受信すると、その識別情報が識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報に一致した場合、制御部によってタグ表示部を作動させる。従って、操作記憶部に記憶された操作手順に従った順序で端末装置の端末表示部に表示される操作対象に、作業者が正しくタグリーダライタを近づけることにより、操作対象に設けられた識別タグのタグ表示部が作動し、一方、作業者が誤ってタグリーダライタを近づけた場合には、操作対象に設けられた識別タグのタグ表示部が作動しない。このため、作業者は、タグリーダライタを使って識別タグのタグ表示部の作動を確認することにより、操作記憶部に記憶された操作手順に従った正しい順序で、各操作対象を順次操作することが可能になる。
【0008】
また、タグリーダライタで指し示された識別タグは、操作記憶部に記憶された操作対象に設けられた識別タグに固有の識別情報を受信すると、その識別情報が識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報に一致した場合、制御部によってタグ表示部を作動させる。従って、端末装置の端末表示部に表示される操作対象に、作業者が正しくタグリーダライタを近づけることにより、操作対象に設けられた識別タグのタグ表示部が作動し、一方、作業者が誤ってタグリーダライタを近づけた場合には、操作対象に設けられた識別タグのタグ表示部が作動しない。このため、作業者は、タグリーダライタを使って識別タグのタグ表示部の作動を確認することにより、操作記憶部に記憶された操作対象を正しく特定することが可能になる。
【0009】
また、タグリーダライタで指し示された識別タグは、操作記憶部に記憶された操作対象の状態およびその操作対象に設けられた識別タグに固有の識別情報を受信すると、その識別情報が識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報に一致した場合、制御部によってタグ表示部を作動させ、受信した操作対象の状態を表示する。従って、端末装置の端末表示部に表示される操作対象に、作業者が正しくタグリーダライタを近づけることにより、操作対象に設けられた識別タグのタグ表示部が作動し、操作対象の状態が表示されるが、作業者が誤ってタグリーダライタを近づけた場合には、操作対象に設けられた識別タグのタグ表示部が作動せず、操作対象の状態は表示されない。このため、作業者は、タグリーダライタを使って識別タグのタグ表示部の作動を確認することにより、操作記憶部に記憶された操作対象を正しく特定すると共に、その操作対象の状態を確認することが可能になる。
【0010】
また、本発明は、識別タグにおけるタグ側通信部による通信および電源被供給部による電源の受給が1つの素子によって行われることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、識別タグにおけるタグ側通信部および電源被供給部が1つの素子によって構成されるので、識別タグを小型化することが出来る。このため、様々な操作対象に識別タグを設けることが可能になり、本発明による操作支援システムの適用範囲が広がる。
【0012】
また、本発明は、
タグ表示部が、発光素子もしくは不揮発性液晶表示装置のいずれか一方、または発光素子および不揮発性液晶表示装置の両方を有し、
制御部が、
タグ表示部が発光素子を有する場合、識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると発光素子を点灯させ、
タグ表示部が不揮発性液晶表示装置を有する場合、識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると、受信情報を不揮発性液晶表示装置に表示させる
ことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、タグ表示部が発光素子を有する場合、識別タグは、識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると、発光素子を点灯させる。従って、作業者は、タグリーダライタを近づけた操作対象が、操作記憶部に記憶された操作手順に従った正しい順序の操作対象であるか否か、または、操作記憶部に記憶された特定すべき正しい操作対象であるか否か、または、操作記憶部に記憶された状態を確認すべき操作対象であるか否かを、発光素子の点灯によって認識することが可能になる。
【0014】
また、タグ表示部が不揮発性液晶表示装置を有する場合、識別タグは、識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると、受信情報を不揮発性液晶表示装置に表示させる。従って、作業者は、タグリーダライタを近づけた操作対象が、操作記憶部に記憶された操作手順に従った正しい順序の操作対象であるか否か、または、操作記憶部に記憶された特定すべき正しい操作対象であるか否か、または、操作記憶部に記憶された状態を確認すべき操作対象であるか否かとその操作対象の状態とを、不揮発性液晶表示装置の表示によって認識することが可能になる。
【0015】
また、本発明は、
タグ表示部が、複数の各操作対象に対応して設けられる複数の発光素子を備え、
識別情報記憶部が、複数の各操作対象に固有の複数の識別情報を記憶し、
制御部が、識別情報記憶手段に記憶しているいずれかの識別情報をタグ側通信部に受信すると、受信した識別情報に対応する操作対象に設けられた発光素子を点灯させる
ことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、1つの識別タグに複数の発光素子を備え、これら各発光素子が複数の各操作対象に対応づけられているため、1つの識別タグで複数の各操作対象を識別することが可能になる。このため、例えば、隣り合って連続する複数個の操作対象の識別を1つの識別タグで行えるようになる。
【0017】
また、本発明は、
識別タグが、識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると、受信確認信号をタグ側通信部を介してリーダライタ側タグ通信部へ送信し、
タグリーダライタが、リーダライタ側タグ通信部に受信確認信号を受信すると、リーダライタ側端末通信部を介して端末側通信部へ受信確認信号を送信し、
端末装置が、端末側通信部に受信確認信号を受信すると、識別タグが識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信したことを端末表示部に表示する
ことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、識別タグがそのタグ固有の識別情報を受信すると、受信確認信号が識別タグからタグリーダライタを介して端末装置へ返信され、端末装置の端末表示部に、識別タグがそのタグ固有の識別情報を受信したことが表示される。このため、タグリーダライタを近づけた操作対象が、操作記憶部に記憶された操作手順に従った正しい順序の操作対象であるか否か、または、操作記憶部に記憶された特定すべき正しい操作対象であるか否か、または、操作記憶部に記憶された状態を確認すべき操作対象であるか否かといったことの確認を、作業者は確実に行える。
【0019】
また、本発明は、リーダライタ側タグ通信部とタグ側通信部との間の通信は、その通信対象になる識別タグが設けられた操作対象に最も近い他の操作対象に設けられた識別タグが有するタグ側通信部に及ばないことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、操作対象が近接して配置されている場合などに、タグリーダライタが、目的とする操作対象を指したときのみに、リーダライタ側タグ通信部とタグ側通信部との間の通信が成立する。このため、作業者が、タグリーダライタを誤って目的とする操作対象に最も近い他の操作対象に向けても、通信が成立しないので、誤操作を確実に防げるようになる。
【0021】
また、本発明は、リーダライタ側タグ通信部とタグ側通信部との間の通信、および電源供給部と電源被供給部との間の電源供給を行える状態に、タグリーダライタを識別タグに対して保持させる保持手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、保持手段によってタグリーダライタが識別タグに対して保持させられるので、タグリーダライタと識別タグとの間の通信および電源供給が確実に行われる。このため、タグリーダライタと識別タグとの間の通信状態は、保持手段によってタグリーダライタが識別タグに対して保持させられている間にわたって、タグ表示部において確認することが出来、作業者が操作手順または操作対象または操作対象の状態をより一層確実に認識することが可能になる。
【0023】
また、本発明は、タグリーダライタが、リーダライタ側端末通信部に受信した端末側通信部からの情報を記憶する受信情報記憶部を備え、この受信情報記憶部に操作記憶部に記憶された情報を記憶した後は、リーダライタ側端末通信部と端末側通信部との間の接続が物理的に切り離されることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、タグリーダライタが、受信情報記憶部に操作記憶部に記憶された情報を記憶した後は、端末装置との間の物理的接続が無くなるため、作業者は、端末装置との間の物理的接続を気にすることなく、容易にタグリーダライタを扱えるようになる。
【0025】
また、本発明は、リーダライタ側端末通信部と端末側通信部との間の通信が無線で行われることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、タグリーダライタと端末装置との間の通信が無線で行われるので、この構成によっても、端末装置との間の物理的接続が無くなるため、作業者は、端末装置との間の物理的接続を気にすることなく、容易にタグリーダライタを扱えるようになる。
【発明の効果】
【0027】
本発明による操作支援システムによれば、上記のように、作業者は、タグリーダライタを使って識別タグのタグ表示部の作動を確認することにより、操作記憶部に記憶された操作手順に従った正しい順序で、各操作対象を順次操作することが可能になる。また、タグリーダライタを使って識別タグのタグ表示部の作動を確認することにより、操作記憶部に記憶された操作対象を正しく特定することが可能になる。また、タグリーダライタを使って識別タグのタグ表示部の作動を確認することにより、操作記憶部に記憶された操作対象を正しく特定すると共に、その操作対象の状態を確認することが可能になる。
【0028】
このため、作業者は、タグリーダライタに接続されている端末装置の端末表示部に表示される指示に従って、各操作対象の操作や確認、特定などを迅速にかつ確実に行えるようになる。この結果、操作手順の間違いや、操作対象の特定ミス、操作する際に使用する工具の選定間違いを減らすことが可能になり、また、未習熟な作業者でも確実に作業を行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明による操作支援システムを実施するための最良の形態について説明する。
【0030】
本実施形態による操作支援システムは、プラントなどにおける図1に示す監視パネル11に作業員が対面して行われる各設備の監視・制御の操作支援に用いられる。監視パネル11には、プラントの運転状況を計測する各種計器の計測値表示器12や、各設備の運転状態を示すパイロットランプ13、各設備の稼働などを制御する操作スイッチ14などが多数配置されている。作業者は、各計測値表示器12の値や各パイロットランプ13の点灯状態などを確認しながら、各操作スイッチ14を所定の操作手順に従って操作し、プラント内の各設備の監視・制御の操作を行う。
【0031】
また、本実施形態による操作支援システムは、プラント内の各設備が設置された現場において、図2(a)に示す工具21などを用いて各設備を操作する際における、使用する工具21の特定や、同図(b)に示す、プラント内に設けられた各配管22の流路を開いたり閉じたりする際に操作されるバルブ23の特定などにも、用いられる。
【0032】
ここで、計測値表示器12や、パイロットランプ13、操作スイッチ14、工具21、およびバルブ23などは、作業者が操作する操作対象に相当している。また、計測値表示器12やパイロットランプ13を確認しながら各操作スイッチ14を操作する順序、工具21を用いた操作の順序、各バルブ23の操作の順序などは、操作手順に相当している。また、計測値表示器12が表示する値や各パイロットランプ13の点灯状態などは、操作対象の状態に相当している。
【0033】
図3(a)は、本実施形態による操作支援システムの概略構成を示す図である。
【0034】
本実施形態による操作支援システムは、上述した各操作対象に設けられる識別タグ1と、この識別タグ1と無線で交信する、作業者によって携帯されるタグリーダライタ2と、操作手順または操作対象または操作対象の状態を記憶して、これら情報をタグリーダライタ2へ送信する端末装置3とから構成されている。
【0035】
識別タグ1は、図1に示すように、操作対象の近傍に両面粘着テープなどの適切な接着手段で貼り付けられたり、図2に示すように、操作対象そのものに直接貼り付けられる。識別タグ1は、図4(a)に示す外観を呈しており、板状のケース1a内に、通信部1b、LED(発光ダイオード)1c、および同図(b)に示す回路(集積回路)1dを内蔵して形成されている。回路1dは、CPU(中央演算装置)1eにEEROM(電気的消去可能読出専用メモリ)1fが接続されて構成されており、CPU1eには、外部と通信する通信部1bと、LED1cとが接続されている。これら通信部1bおよびLED1cが設けられる部分のケース1aは透明樹脂で形成され、同図(a)に示すように、通信部1bが外部と通信可能になっており、また、LED1cの発光が外部から視認可能になっている。
【0036】
LED1cは、外部から表示が視認されるタグ表示部を構成しており、EEROM1fは、そのタグ固有の識別情報を記憶する識別情報記憶部を構成している。また、通信部1bは、外部からの信号を受信するタグ側通信部、および外部からの電源供給を受ける電源被供給部を構成している。また、CPU1eは、EEROM1fに記憶しているそのタグ固有の識別情報を通信部1bに受信すると、LED1cを作動させて点灯する制御部を構成している。本実施形態では、識別タグ1は、EEROM1fに記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると、受信確認信号を通信部1bを介してタグリーダライタ2の後述するリーダライタ側タグ通信部へ送信する。
【0037】
通信部1bは、通信に電波を用いる場合には、同図(c)に示す、回路基板1g上に実装されるアンテナ1b1によって構成され、識別タグ1はRF−ID(Radio Frequency - Identification)タグとなる。また、通信部1bは、通信に赤外線を用いる場合には、同図(d)に示す、回路基板1g上に実装される赤外線発受光素子1b2および赤外線受光発電素子1b3によって構成され、識別タグ1はIR−ID(Infrared Rays - Identification)タグとなる。この際、赤外線発受光素子1b2が、外部からの信号を受信するタグ側通信部を構成し、受光発電素子1b3が、外部からの電源供給を受ける電源被供給部を構成する。ここで、同図(c)および同図(d)はケース1a内の概略構造を示しており、同図(a),(b)と同一部分には同一符号が付してある。
【0038】
また、識別タグ1は、外部から表示が視認されるタグ表示部として、上記のLED1cに代えて、図5(a)に内部構成、同図(b)に外観を示す識別タグ1のように、不揮発性液晶表示器1hを用いて構成することも出来る。この不揮発性液晶表示器1hは、通信部1bに受ける電源供給が無くなっても、その表示が保持される機能を有している。また、識別タグ1は、外部から表示が視認されるタグ表示部として、図6(a)に内部構成、同図(b)に外観を示す識別タグ1のように、上記のLED1cと不揮発性液晶表示器1hとを用いて構成することも出来る。なお、図5および図6において、図4と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0039】
端末装置3は、図3に示す、表示部3aを有するノート型パソコンによって構成されている。しかし、表示部を有する携帯端末(PDA)によって端末装置3を構成することも可能である。端末装置3は、図7に示すように、操作手順または操作対象または操作対象の状態を記憶する操作記憶部3b、および操作記憶部3bに記憶された情報をコード4を介してタグリーダライタ2へ送信する端末側通信部3cを備えている。なお、図7において、図4と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。操作記憶部3bに記憶される、各操作対象に固有の識別情報や、オン・オフなどの状態等の各情報は、予めプログラムされている。端末装置3の表示部3aには、操作記憶部3bに記憶された操作手順に従った順序の操作対象、または操作記憶部3bに記憶された操作対象、または操作記憶部3bに記憶された操作対象の状態とその操作対象とが表示される。
【0040】
タグリーダライタ2は、作業者が持ちやすい形状、本実施形態では図3に示すような棒状をしており、図7に示すように、端末装置3の端末側通信部3cからコード4を介して送信される信号を受信するリーダライタ側端末通信部2aを備えている。また、タグリーダライタ2は、このリーダライタ側端末通信部2aに受信した情報を識別タグ1の通信部1bへ無線で送信するリーダライタ側タグ通信部2bを備えている。このリーダライタ側タグ通信部2bにより、タグリーダライタ2は、端末装置3の操作記憶部3bに記憶された操作手順に従った順序の操作対象に設けられた識別タグ1に固有の識別情報を端末装置3から受信すると、この受信情報を識別タグ1の通信部1b(1b1,1b2)へ無線で送信する。また、端末装置3の操作記憶部3bに記憶された操作対象に設けられた識別タグ1に固有の識別情報を端末装置3から受信すると、この受信情報を識別タグ1の通信部1bへ無線で送信する。また、端末装置3の操作記憶部3bに記憶された操作対象の状態およびその操作対象に設けられた識別タグ1に固有の識別情報を端末装置3から受信すると、この受信情報を識別タグ1の通信部1bへ無線で送信する。
【0041】
本実施形態では、タグリーダライタ2のリーダライタ側タグ通信部2bと識別タグ1の通信部1bとの間の通信は、その通信対象になる識別タグ1が設けられた操作対象に最も近い他の操作対象に設けられた識別タグ1が有する通信部1に及ばない。つまり、図1の監視パネルにおいて、識別タグ1は、各計測値表示器12や、各パイロットランプ13、各操作スイッチ14といった操作対象毎に設けられているが、それらの中の通信対象になるいずれか1つの識別タグ1が設けられた操作対象、例えばあるパイロットランプ13にタグリーダライタ2を近づけると、最も近いその隣のパイロットランプ13に設けられた識別タグ1が有する通信部1に及ばず、この通信部1bと、タグリーダライタ2のリーダライタ側タグ通信部2bとの間の通信は、成立しない。
【0042】
また、本実施形態では、タグリーダライタ2は、リーダライタ側タグ通信部2bに、識別タグ1からそのタグ固有の識別情報を受信した旨の受信確認信号を受信すると、リーダライタ側端末通信部2aを介して端末装置3の端末側通信部3cへ受信確認信号を送信する。端末装置3は、端末側通信部3cに受信確認信号を受信すると、識別タグ1がEEROM1fに記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信したことを表示部3aに表示する。
【0043】
また、タグリーダライタ2はバッテリを内蔵しており、上記のようにリーダライタ側タグ通信部から受信情報が送信される際に、識別タグ1を動作させる駆動電源を識別タグ1の電源被供給部1b(1b3)へ無線で供給する電源供給部2cを備えている。電源供給部2cは、識別タグ1がRF−IDタグである場合には、識別タグ1を動作させる駆動電源を電波によって電気エネルギーとして送出し、また、識別タグ1がIR−IDタグである場合には、識別タグ1を動作させる駆動電源を赤外線によって光エネルギーとして送出する。識別タグ1がIR−IDタグである場合、タグリーダライタ2は、図3(b)に示すように、その先端部に、赤外線発受光素子1b2および受光発電素子1b3が露出している。
【0044】
このような構成において、本実施形態の操作支援システムによる作業者の操作支援は、次のようにして行われる。
【0045】
つまり、作業者は、まず、作業に際して、端末装置3の入力キーを操作し、目的とする作業についての操作手順または操作対象または操作対象の状態を特定し、表示部3aに表示させる。端末装置3の操作記憶部3bに記憶されている情報のうち、入力キーの操作によって特定された情報は、端末装置の端末側通信部3cからコード4を介してタグリーダライタ2のリーダライタ側端末通信部2aへ送信される。そして、端末装置3の表示部3aに表示される操作対象に作業者がタグリーダライタ2を近づけ、操作対象をタグリーダライタ2で従来の人差し指による指差し確認のように指し示すことにより、タグリーダライタ2のリーダライタ側タグ通信部2bから、タグリーダライタ2で指し示される識別タグ1のタグ側通信部1b(1b1,1b2)へ、操作記憶部3bに記憶された操作手順に従った順序の操作対象に設けられた識別タグ1に固有の識別情報、または操作記憶部3bに記憶された操作対象に設けられた識別タグ1に固有の識別情報、または操作記憶部3bに記憶された操作対象の状態およびその操作対象に設けられた識別タグ1に固有の識別情報が、無線で送信される。
【0046】
タグリーダライタ2で指し示された識別タグ1は、操作記憶部3bに記憶された操作手順に従った順序の操作対象に設けられた識別タグ1に固有の識別情報を受信すると、その識別情報がEEROM1fに記憶しているそのタグ固有の識別情報に一致した場合、CPU1eによってタグ表示部1c,1hを作動させる。従って、操作記憶部3bに記憶された操作手順に従った順序で端末装置3の表示部3aに表示される操作対象に、作業者が正しくタグリーダライタ2を近づけることにより、操作対象に設けられた識別タグ1のタグ表示部1c,1hが作動し、一方、作業者が誤ってタグリーダライタ2を近づけた場合には、操作対象に設けられた識別タグ1のタグ表示部1c,1hが作動しない。このため、作業者は、タグリーダライタ2を使って識別タグ1のタグ表示部1c,1hの作動を確認することにより、操作記憶部3bに記憶された操作手順に従った正しい順序で、各操作対象を順次操作することが可能になる。
【0047】
また、タグリーダライタ2で指し示された識別タグ1は、操作記憶部3bに記憶された操作対象に設けられた識別タグ1に固有の識別情報を受信すると、その識別情報がEEROM1fに記憶しているそのタグ固有の識別情報に一致した場合、CPU1eによってタグ表示部1c,1hを作動させる。従って、端末装置3の表示部3aに表示される操作対象に、作業者が正しくタグリーダライタ2を近づけることにより、操作対象に設けられた識別タグ1のタグ表示部1c,1hが作動し、一方、作業者が誤ってタグリーダライタ2を近づけた場合には、操作対象に設けられた識別タグ1のタグ表示部1c,1hが作動しない。このため、作業者は、タグリーダライタ2を使って識別タグ1のタグ表示部1c,1hの作動を確認することにより、操作記憶部3bに記憶された操作対象を正しく特定することが可能になる。
【0048】
また、タグリーダライタ2で指し示された識別タグ1は、操作記憶部3bに記憶された操作対象の状態およびその操作対象に設けられた識別タグ1に固有の識別情報を受信すると、その識別情報がEEROM1fに記憶しているそのタグ固有の識別情報に一致した場合、CPU1eによってタグ表示部1hを作動させ、受信した操作対象の状態を表示する。従って、端末装置3の表示部3aに表示される操作対象に、作業者が正しくタグリーダライタ2を近づけることにより、操作対象に設けられた識別タグ1のタグ表示部1hが作動し、操作対象の状態が表示されるが、作業者が誤ってタグリーダライタ2を近づけた場合には、操作対象に設けられた識別タグ1のタグ表示部1hが作動せず、操作対象の状態は表示されない。このため、作業者は、タグリーダライタ2を使って識別タグ2のタグ表示部1hの作動を確認することにより、操作記憶部3bに記憶された操作対象を正しく特定すると共に、その操作対象の状態を確認することが可能になる。
【0049】
この際、識別タグ1は、タグ表示部が図4に示すLED1cである場合、EEROM1fに記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると、LED1cを点灯させる。従って、作業者は、タグリーダライタ2を近づけた操作対象が、操作記憶部3bに記憶された操作手順に従った正しい順序の操作対象であるか否か、または、操作記憶部3bに記憶された特定すべき正しい操作対象であるか否か、または、操作記憶部3bに記憶された状態を確認すべき操作対象であるか否かを、LED1cの点灯によって認識することが可能になる。例えば、プラントなどで、バルブ23用の専用使用工具21を特定するときに、識別タグ1が光ることで、速やかに確認が出来、緊急作業時には特に有効となる。
【0050】
また、識別タグ1は、タグ表示部が図5に示す不揮発性液晶表示器1hである場合、EEROM1fに記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると、受信情報を不揮発性液晶表示器1hに表示させる。この表示は、不揮発性液晶表示器1hの今までの表示内容が新しい表示内容に切り替わる必要がある場合にのみ、書き換えられる。例えば、図1に示す監視パネル11において、操作すべき操作スイッチ14が左から3番目のスイッチから左から4目のスイッチ4に切り替わり、その操作スイッチ14をオンすべきと端末装置3の表示部3aに表示されている場合には、図5に示すように不揮発性液晶表示器1hに「スイッチ4オン」と表示される。従って、作業者は、タグリーダライタ2を近づけた操作対象が、操作記憶部3bに記憶された操作手順に従った正しい順序の操作対象であるか否か、または、操作記憶部3bに記憶された特定すべき正しい操作対象であるか否か、または、操作記憶部3bに記憶された状態を確認すべき操作対象であるか否かとその操作対象の状態とを、不揮発性液晶表示装置1hの表示によって認識することが可能になる。
【0051】
また、識別タグ1は、タグ表示部が図6に示すLED1cおよび不揮発性液晶表示器1hである場合、EEROM1fに記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると、LED1cを点灯させると共に、受信情報を不揮発性液晶表示器1hに表示させる。この表示も、不揮発性液晶表示器1hの今までの表示内容が新しい表示内容に切り替わる必要がある場合にのみ、書き換えられる。例えば、図1に示す監視パネル11において、確認すべき計測値表示器12が左から1番目のものであり、その表示値が「1256」になるタイミングに操作すべきと端末装置3の表示部3aに表示されている場合には、図6に示すように、左から1番目の計測値表示器12に設けられたLED1cが点灯すると共に、不揮発性液晶表示器1hにその表示値「1256」が表示される。従って、作業者は、タグリーダライタ2を近づけた操作対象が、操作記憶部3bに記憶された操作手順に従った正しい順序の操作対象であるか否か、または、操作記憶部3bに記憶された特定すべき正しい操作対象であるか否か、または、操作記憶部3bに記憶された状態を確認すべき操作対象であるか否かとその操作対象の状態とを、LED1cの点灯および不揮発性液晶表示装置1hの表示によって認識することが可能になる。
【0052】
このため、作業者は、タグリーダライタ2に接続されている端末装置3の表示部3aに表示される指示に従って、計測値表示器12や、パイロットランプ13、操作スイッチ14、工具21、およびバルブ23などの操作や確認、特定などを迅速にかつ確実に行えるようになる。この結果、操作手順の間違いや、操作対象の特定ミス、操作する際に使用する工具21の選定間違いを減らすことが可能になり、また、未習熟な作業者でも確実に作業を行えるようになる。従って、一般的に指差し確認や発呼確認によって従来行われていた、複雑な作業や、大きな危険性を伴う作業、操作ミスにより重大な損失を伴う操作に本実施形態による操作支援システムを適用すると、特に高い効果が得られる。さらに、本実施形態による操作支援システムは、操作対象に識別タグ1を単に両面粘着テープなどで貼り付けるだけで操作対象側の準備が出来、識別タグ1を作動させるためのバッテリを識別タグ1に内蔵させたり、また、新たな電源の配線などを行う必要がないので、既設の監視パネル11に容易に適用することが可能である。
【0053】
また、上記実施形態においては、識別タグ1がRF−IDである場合、図4(c)に示すように、識別タグ1におけるタグ側通信部1bによる通信および電源被供給部1bによる電源の受給が1つのアンテナ1b1によって行われる。この構成によれば、識別タグ1におけるタグ側通信部1bおよび電源被供給部1bが1つのアンテナ1b1によって構成されるので、識別タグ1を小型化することが出来る。このため、様々な操作対象に識別タグ1を設けることが可能になり、操作支援システムの適用範囲が広がる。
【0054】
また、上記実施形態においては、識別タグ1がそのタグ固有の識別情報を受信すると、受信確認信号が識別タグ1からタグリーダライタ2を介して端末装置3へ返信され、端末装置3の表示部3aに、識別タグ1がそのタグ固有の識別情報を受信したことが表示される。このため、タグリーダライタ2を近づけた操作対象が、操作記憶部3bに記憶された操作手順に従った正しい順序の操作対象であるか否か、または、操作記憶部3bに記憶された特定すべき正しい操作対象であるか否か、または、操作記憶部3bに記憶された状態を確認すべき操作対象であるか否かといったことの確認を、作業者は確実に行える。
【0055】
また、上記実施形態においては、タグリーダライタ2のタグ通信部2bと識別タグ1の通信部1bとの間の通信は、その通信対象になる識別タグ1が設けられた操作対象に最も近い他の操作対象に設けられた識別タグ1が有する通信部1bに及ばない。このため、操作対象が近接して配置されている場合などに、タグリーダライタ2が、目的とする操作対象を指したときのみに、タグ通信部2bと通信部1bとの間の通信が成立する。このため、作業者が、タグリーダライタ2を誤って目的とする操作対象に最も近い他の操作対象に向けても、通信が成立しないので、誤操作を確実に防げるようになる。
【0056】
なお、上記実施形態の説明においては、1つの操作対象に対して1つの識別タグ1を設けた場合について説明したが、1群の操作対象に対して1つの識別タグ1を設けるように構成してもよい。
【0057】
また、上記実施形態の説明においては、1つの識別タグ1に1つのタグ表示部、例えばLED1cを図4に示すように備えた場合について説明したが、1つの識別タグ1に複数のタグ表示部、例えば複数のLED1cをテープ状の細長い回路基板に図8に示すように備えるように構成してもよい。なお、同図において図4と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。この際、各LED1cは各操作対象に対応させて設け、EEROM1fが複数の各操作対象に固有の複数の識別情報を記憶するように構成する。CPU1eは、EEROM1fに記憶しているいずれかの識別情報を通信部1bに受信すると、受信した識別情報に対応する操作対象に設けられたLED1cを点灯させる
【0058】
この構成によれば、1つの識別タグ1に複数のLED1cを備え、これら各LED1cが複数の各操作対象に対応づけられているため、1つの識別タグ1で複数の各操作対象を識別することが可能になる。このため、例えば、隣り合って連続する複数個の操作対象の識別を1つの識別タグ1で行えるようになる。
【0059】
また、上記実施形態の説明においては、識別タグ1がIR−IDタグである場合、図4(d)に示すように、識別タグ1におけるタグ側通信部1bによる通信は赤外線発受光素子1b2、電源被供給部1bによる電源の受給は赤外線受光発電素子1b3によって行われる場合について、説明した。しかし、識別タグ1がIR−IDタグであっても、図4(c)に示すRF−IDタグの場合のように、1つの赤外線発受光素子で、タグ側通信部1bによる通信および電源被供給部1bによる電源の受給を行うように構成してもよい。この場合においても、識別タグ1におけるタグ側通信部1bおよび電源被供給部1bが1つの赤外線発受光素子によって構成されるので、識別タグ1を小型化することが出来、様々な操作対象に識別タグ1を設けることが可能になって、操作支援システムの適用範囲が広がる。
【0060】
また、この際、タグリーダライタ2におけるリーダライタ側タグ通信部2bによる通信および電源供給部2cによる電源の供給も、1つの素子、つまり、識別タグ1がRF−IDタグの場合には1つのアンテナ、識別タグ1がIR−IDタグの場合には1つの赤外線発受光素子によって、構成するようにしてもよい。この構成によれば、タグリーダライタ2も小型化することが出来、タグリーダライタ2の作業者による取扱性が向上する。
【0061】
また、上記実施形態の説明においては、識別タグ1がそのタグ固有の識別情報を受信すると、受信確認信号が識別タグ1からタグリーダライタ2を介して端末装置3へ返信される場合について説明したが、この返信部分の構成は省略することも可能である。
【0062】
また、上記実施形態の説明においては、タグリーダライタ2を識別タグ1に近づけた状態を作業者がタグリーダライタ2を手に持って保持する場合について説明した。しかし、タグリーダライタ2のタグ通信部2bと識別タグ1の通信部1bとの間の通信、および電源供給部2cと電源被供給部1bとの間の電源供給を行える状態に、タグリーダライタ2を識別タグ1に対して保持させる保持手段を備えるように構成してもよい。この保持手段によるタグリーダライタ2の識別タグ1に対する保持は、永久磁石や機械的接続方法でワンタッチで行えるようにする。
【0063】
この構成によれば、保持手段によってタグリーダライタ2が識別タグ1に対して保持させられるので、タグリーダライタ2と識別タグ1との間の通信および電源供給が確実に行われる。このため、タグリーダライタ2と識別タグ1との間の通信状態は、保持手段によってタグリーダライタ2が識別タグ1に対して保持させられている間、例えば作業者が作業を行っている間にわたって、タグ表示部1c,1hにおいて確認することが出来、作業者が操作手順または操作対象または操作対象の状態をより一層確実に認識することが可能になる。
【0064】
また、上記実施形態の説明においては、タグリーダライタ2の端末通信部2aと端末装置3の通信部3cとの間の通信は、コード4を介して行われた。しかし、タグリーダライタ2が、端末通信部2aに受信した通信部3cからの情報を記憶する受信情報記憶部を備えるように構成し、この受信情報記憶部に操作記憶部3bに記憶された情報を記憶した後は、端末通信部2aと通信部3cとの間の接続を物理的に切り離す。この構成によれば、タグリーダライタ2が、受信情報記憶部に操作記憶部3bに記憶された情報を記憶した後は、端末装置3との間の物理的接続が無くなるため、作業者は、端末装置3との間の物理的接続を気にすることなく、容易にタグリーダライタ2を扱えるようになる。
【0065】
また、端末通信部2aと通信部3cとの間の通信を無線で行うように構成してもよい。この構成によれば、タグリーダライタ2と端末装置3との間の通信が無線で行われるので、この構成によっても、端末装置3との間の物理的接続が無くなるため、作業者は、端末装置3との間の物理的接続を気にすることなく、容易にタグリーダライタ2を扱えるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
上記実施形態の説明においては、プラントなどにおける監視パネル11に作業員が対面して行われる各設備の監視・制御の操作支援や、プラント内の各設備が設置された現場における使用する工具21の特定や、プラント内に設けられた各配管22の流路を開閉するバルブ23の特定などに、本発明を適用した場合について説明した。しかし、本発明による操作支援システムは、原子力を含む発電所や変電所などにおける比較的大規模な制御パネルや操作パネル、監視パネルにおける操作支援や、交通制御システムの監視パネル、通信事業者の監視制御パネル、製造システムの制御・操作・監視パネルなどにおける様々な操作支援にも、上記実施形態と同様に適用することが可能である。さらに、操作対象に識別タグ1を設けることが出来、この識別タグ1にタグリーダライタ2を使って通信することが出来る構成の作業であれば、様々な作業の操作支援に適用することが可能である。そして、その場合においても上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】一実施形態による操作支援システムが適用される監視パネルの正面図である。
【図2】一実施形態による操作支援システムが適用される工具およびバルブの斜視図である。
【図3】一実施形態による操作支援システムの概略構成を示す図である。
【図4】一実施形態による操作支援システムに用いられる第1の識別タグの外観および内部構成を示す図である。
【図5】一実施形態による操作支援システムに用いられる第2の識別タグの外観および内部構成を示す図である。
【図6】一実施形態による操作支援システムに用いられる第3の識別タグの外観および内部構成を示す図である。
【図7】一実施形態による操作支援システムの各構成要素のブロック図である。
【図8】一実施形態による操作支援システムに用いられる第4の識別タグの内部構成を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1…識別タグ
1a…ケース
1b…通信部(タグ側通信部、電源被供給部)
1b1…アンテナ(タグ側通信部)
1b2…赤外線発受光素子(タグ側通信部)
1b3…赤外線受光発電素子(電源被供給部)
1c…LED(発光素子)
1d…回路
1e…CPU(制御部)
1f…EEROM(識別情報記憶部)
1g…回路基板
1h…不揮発性液晶表示器
2…タグリーダライタ
2a…リーダライタ側端末通信部
2b…リーダライタ側タグ通信部
2c…電源供給部
3…端末装置
3a…端末表示部
3b…操作記憶部
3c…端末側通信部
4…コード
11…監視パネル
12…計測値表示器
13…パイロットランプ
14…操作スイッチ
21…工具
23…バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手順または操作対象または操作対象の状態を記憶する操作記憶部、この操作記憶部に記憶された前記操作手順に従った順序の操作対象、または前記操作記憶部に記憶された前記操作対象、または前記操作記憶部に記憶された前記操作対象の状態とその操作対象とを表示する端末表示部、および前記操作記憶部に記憶された情報を送信する端末側通信部を備えた端末装置と、
外部から表示が視認されるタグ表示部、そのタグ固有の識別情報を記憶する識別情報記憶部、外部からの信号を受信するタグ側通信部、外部からの電源供給を受ける電源被供給部、および前記識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を前記タグ側通信部に受信すると前記タグ表示部を作動させる制御部を備えた、操作対象に設けられる識別タグと、
前記端末側通信部からの信号を受信するリーダライタ側端末通信部、前記操作記憶部に記憶された前記操作手順に従った順序の操作対象に設けられた前記識別タグに固有の識別情報、または前記操作記憶部に記憶された前記操作対象に設けられた前記識別タグに固有の識別情報、または前記操作記憶部に記憶された前記操作対象の状態およびその操作対象に設けられた前記識別タグに固有の識別情報を前記リーダライタ側端末通信部に受信するとこの受信情報を前記タグ側通信部へ無線で送信するリーダライタ側タグ通信部、このリーダライタ側タグ通信部から前記受信情報が送信される際に前記識別タグを動作させる駆動電源を前記電源被供給部へ無線で供給する電源供給部を備えたタグリーダライタと
から構成される操作支援システム。
【請求項2】
前記識別タグにおける前記タグ側通信部による通信および前記電源被供給部による電源の受給は1つの素子によって行われることを特徴とする請求項1に記載の操作支援システム。
【請求項3】
前記タグ表示部は、発光素子もしくは不揮発性液晶表示装置のいずれか一方、または発光素子および不揮発性液晶表示装置の両方を有し、
前記制御部は、
前記タグ表示部が発光素子を有する場合、前記識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると前記発光素子を点灯させ、
前記タグ表示部が不揮発性液晶表示装置を有する場合、前記識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると、受信情報を不揮発性液晶表示装置に表示させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の操作支援システム。
【請求項4】
前記タグ表示部は、複数の各操作対象に対応して設けられる複数の発光素子を備え、
前記識別情報記憶部は、前記複数の各操作対象に固有の複数の識別情報を記憶し、
前記制御部は、前記識別情報記憶手段に記憶しているいずれかの識別情報を前記タグ側通信部に受信すると、受信した識別情報に対応する操作対象に設けられた前記発光素子を点灯させる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の操作支援システム。
【請求項5】
前記識別タグは、前記識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信すると、受信確認信号を前記タグ側通信部を介して前記リーダライタ側タグ通信部へ送信し、
前記タグリーダライタは、前記リーダライタ側タグ通信部に前記受信確認信号を受信すると、前記リーダライタ側端末通信部を介して前記端末側通信部へ前記受信確認信号を送信し、
前記端末装置は、前記端末側通信部に前記受信確認信号を受信すると、前記識別タグが前記識別情報記憶手段に記憶しているそのタグ固有の識別情報を受信したことを前記端末表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の操作支援システム。
【請求項6】
前記リーダライタ側タグ通信部と前記タグ側通信部との間の通信は、その通信対象になる前記識別タグが設けられた操作対象に最も近い他の操作対象に設けられた前記識別タグが有する前記タグ側通信部に及ばないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の操作支援システム。
【請求項7】
前記リーダライタ側タグ通信部と前記タグ側通信部との間の通信、および前記電源供給部と前記電源被供給部との間の電源供給を行える状態に、前記タグリーダライタを前記識別タグに対して保持させる保持手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の操作支援システム。
【請求項8】
前記タグリーダライタは、前記リーダライタ側端末通信部に受信した前記端末側通信部からの情報を記憶する受信情報記憶部を備え、この受信情報記憶部に前記操作記憶部に記憶された情報を記憶した後は、前記リーダライタ側端末通信部と前記端末側通信部との間の接続が物理的に切り離されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の操作支援システム。
【請求項9】
前記リーダライタ側端末通信部と前記端末側通信部との間の通信は無線で行われることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の操作支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−152314(P2008−152314A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336512(P2006−336512)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000205661)大崎電気工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】