説明

操作装置

【課題】補助フィルムシートに反り返りや折れ曲がりが発生した場合であっても切換パネルが浮き上がってしまうことを抑制することができる操作装置を提供する。
【解決手段】複数の操作スイッチ18の一部が露出する孔部を備え且つ操作パネル17の表面を覆う補助フィルムシート4と、隣接配置された複数の操作スイッチ18の一部が露出する孔部19aを備え且つ一縁を回動支点として操作パネル17に回動可能に設けられた切換パネル19と、操作スイッチ18の一部が孔部19aから露出した状態となるように切換パネル19が一方側に回動しているときに押圧操作され且つ切換パネル19が他方側に回動しているときとに開放操作されて操作スイッチ18のスイッチ機能を切り換える切換プッシュスイッチ20と、切換パネル19の回動支点となる一縁と対向する他縁に設けられたウエイト部19dと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作スイッチを隣接配置すると共に、この操作スイッチの機能を切り換える切換パネルを備えた操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テレビやビデオデッキ等のリモートコントロール装置や、ファクシミリ等の画像形成装置の操作部といった操作装置には、複数の釦スイッチ等の操作スイッチが配置され、所望する機能等に応じた操作スイッチを押圧操作することによって、その機能を実行している。
【0003】
この際、近年の各種機器にあっては、多機能化が進む一方、装置全体の小型化により、釦スイッチの配置が非常に困難となっている。
【0004】
そこで、複数の操作スイッチを隣接配置した本体に、複数の操作スイッチの一部が露出する孔部を備え且つ一縁部側に設けられたヒンジ部を本体に設けられた係合孔部に係合することで回動可能とされた切換パネルを設け、この切換パネルが一方側に位置しているときと他方側に位置しているときとで同一の操作スイッチに二つの機能を具備させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図6,図7は、このような操作装置の一例を示し、1は画像形成装置(例えば、ファクシミリ)の操作部等の本体、2は本体1の表面から突出するように図6の図示縦横に複数隣接配置された操作スイッチ、3は複数の操作スイッチ2を図示左右の中央でグループ的に分割するように正転状態(図6(A)参照)と反転状態(図6(B)参照)とに回動切換可能となるように本体1に回動可能に保持された切換パネル、4は操作スイッチ2の図示左右中央でグループ的に分割された各操作スイッチ2に係合する補助フィルムシート、5は本体1の表面から先端が突出する切換プッシュスイッチである。
【0006】
切換パネル3は、図8に示すように、樹脂等の比較的薄肉なプレート状に形成され、各操作スイッチ2の一部(先端)が露出する孔部3aと、本体1の支持孔1aと係合して一縁を回動支点(回動軸)とする支持軸3bと、正反転操作用の操作舌片3cとが一体に形成されている。
【0007】
補助フィルムシート4は、樹脂等の比較的薄肉なフィルム状で基本的に同一のものが用いられ、図9に示すように、各操作スイッチ2の一部(先端)が露出する孔部4aが形成されている。尚、補助フィルムシート4は、例えば、操作スイッチ2をファクシミリ機能時における相手先ファクシミリ番号の短縮登録呼出用スイッチとして使用した場合等に、その相手先名を記入する際等に使用される。
【0008】
切換プッシュスイッチ5は、例えば、図6(A)及び図7に示すように、操作スイッチ2の一部が孔部3aから露出した状態となるように切換パネル3が補助フィルムシート4の表面側を覆うように一方側に回動しているときに押圧操作(例えば、ON)され、図6(B)に示すように、切換パネル3が他方側に回動しているときとに開放操作(例えば、OFF)される。
【0009】
これにより、切換パネル3がある時と切換パネルが無い時とで同じ位置に配置された操作スイッチ2でありながら、そのスイッチ機能が切り換えられる。
【0010】
従って、上述した補助フィルムシート4は、その表面が切換パネル3で覆われていない時に、短縮登録相手先等を選択するための認識シートとして使用することができる。
【特許文献1】特開平08−320636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上記の如く構成された操作装置にあっては、本体1の表面に補助フィルムシート4を設けた場合、その材質がPET等の樹脂フィルムであるため、例えば、短縮登録相手先名記入等に伴う本体1の表面からの着脱操作や周囲環境(温湿度)等によって、図7(B)に示すように、反り返りや折れ曲がりが発生すると共に、この反り返りや折れ曲がりに伴って切換パネル3が浮き上がってしまい、切換プッシュスイッチ5の機能切り換えが行われないといった不具合が発生していた。
【0012】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、補助フィルムシートに反り返りや折れ曲がりが発生した場合であっても切換パネルが浮き上がってしまうことを抑制することができる操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の操作装置は、複数の操作スイッチを隣接配置した本体と、該複数の操作スイッチの一部が露出する孔部を備え且つ前記本体の表面を覆う補助フィルムシートと、前記複数の操作スイッチの一部が露出する孔部を備え且つ一縁を回動支点として前記本体に回動可能に保持された切換パネルと、前記本体に設けられて前記操作スイッチの一部が前記孔部から露出した状態となるように前記切換パネルが前記補助フィルムシートの表面側を覆うように一方側に回動しているときに押圧操作され且つ前記切換パネルが他方側に回動しているときとに開放操作されることにより前記操作スイッチのスイッチ機能を切り換える切換プッシュスイッチと、を備えた操作装置において、前記切換パネルの回動支点となる一縁と対向する他縁にウエイト部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
この際、前記ウエイト部が前記他縁に沿って厚肉とするのが好ましい。
【0015】
また、前記本体の表面には、前記ウエイト部が位置する収納溝を形成しても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明の操作装置は、補助フィルムシートに反り返りや折れ曲がりが発生した場合であっても切換パネルが浮き上がってしまうことを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の一実施形態に係る操作装置を画像形成装置としての複合機に適用し、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る操作装置を適用した画像形成装置の斜視図、図2(A)は本発明の一実施形態に係る操作装置における切換パネル正転時の要部の正面図、図2(B)は切換パネル反転時の要部の正面図、図3は本発明の一実施形態に係る操作装置に適用される切換パネルの斜視図、図4は本発明の一実施形態に係る操作装置を示し、(A)は切換パネル正転時の要部の断面図、(B)は切換パネル反転時の要部の断面図である。
【0019】
図1において、画像形成装置(例えば、複合機)11は、装置本体12の正面から引き出し可能な給紙カセット13,14,15と、複写機・ファクシミリ・スキャナの各種機能として原稿を読み取る際に使用する自動原稿送り装置(ADF)16と、装置本体12の正面側に設置された操作装置としての操作パネル17と、を備えている。
【0020】
操作パネル17には、複数の操作スイッチ18が隣接配置されている。この際、各操作スイッチ18の操作性を確保するために各操作スイッチ18の大きさを維持しようとすると、画像形成装置の多機能化の実現が困難となる。
【0021】
そこで、操作パネル17には、例えば、ファクシミリ機能の短縮登録先や複合機のモード機能といった多数の機能に対応して、一つの操作スイッチ18で複数の機能を切り換えにより実行可能とするため、図2(A)及び図2(B)に示すように、縦横に多数配置された操作スイッチ18を左右で分割し、その分割された一方側(図2(A)参照)と他方側(図2(B)参照)とで配置された操作スイッチ18とグループ的に係合するように操作パネル17の表面を覆う補助フィルムシート4と、その分割された一方側(正転状態)と他方側(反転状態)との2形態で切り換え可能な切換パネル19と、操作パネル17の表面から接点部分が突出する切換プッシュスイッチ20と、が設けられている。尚、補助フィルムシート4は従来技術で説明した補助フィルムシート4と同一であるため、ここではその説明を省略する。
【0022】
切換パネル19は、図3及び図4に示すように、樹脂等の比較的薄肉なプレート状に形成され、各操作スイッチ18の一部(先端)が露出する孔部19aと、操作パネル17に形成された支持孔17aと係合して一縁を回動支点(回動軸)とする支持軸19bと、正反転操作用の操作舌片19cと、支持軸19bによって回動支点となる一縁と対向する他縁に沿うウエイト部19dと、が一体に形成されている。
【0023】
このウエイト部19dは、支持軸19bによって回動支点となる一縁と対向する他縁に形成されると共に、支持軸19bと対向する縁部に沿って一面方向に均一に突出することで他の部分よりも厚肉な部分とされ、その厚肉分だけ切換パネル19の重量バランスが支持軸19bと対向する縁部側が重くなっている。
【0024】
これにより、切換パネル19の正転時(図2(A)及び図4(A)参照)の場合、ウエイト部19dの突出端は下方に向きとなり、切換パネル19の反転時(図2(B)及び図4(B)参照)の場合、ウエイト部19dの突出端は上方に向く。
【0025】
この際、ウエイト部19dの突出量は、図4(A)に示すように、切換パネル19の正転時に操作パネル17の上面に当接しないように設定され、切換パネル19の水平状態を維持すると同時に、その下面側に配置された補助フィルムシート4の浮き上がり等を抑制(矯正)する。
【0026】
尚、このウエイト部19dの突出方向は、例えば、図2(A)及び図4(A)に示す切換パネル19の正転時に上向きとし、図2(B)及び図4(B)に示す切換パネル19の反転時に下向きとしても良い。
【0027】
また、ウエイト部19dは、切換パネル19の他縁に沿って所定幅を厚肉とする一体成形品とするのが好ましいが、例えば、図5(A)に示すように、操作スイッチ18から他縁に至る幅を幅広としても良い。
【0028】
また、補助フィルムシート4の材質や強度等によって想定されるウエイト部19dの重量確保に際して、その幅の確保が困難な場合には、例えば、図5(B)に示すように、ウエイト部19dの突出量(肉厚)を確保すると共に、操作パネル17にウエイト部19dの一部が位置するような収納溝17bを形成することも可能である。
【0029】
さらに、ウエイト部19dは、切換パネル19の他縁に沿って所定幅を厚肉とする一体成形品としたのでは重量を充分に確保することができずに浮きが発生するような場合には、例えば、図5(C)に示すように、金属等の比重の高い材質の別体を用いても良いし、図5(D)に示すように、操作スイッチ18の表裏に突出する玉縁状としても良い。
【0030】
ところで、上記実施の形態では、本発明の操作装置を画像形成装置(複合機)1の操作パネル17に適用したが、切換パネルの正反転によってスイッチ機能を切り替える操作装置全般に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る操作装置を適用した画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る操作装置を示し、(A)は切換パネル正転時の要部の正面図、(B)は切換パネル反転時の要部の正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る操作装置に適用される切換パネルの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る操作装置を示し、(A)は切換パネル正転時の要部の断面図、(B)は切換パネル反転時の要部の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る操作装置の変形例を示し、(A)は変形例1の要部の拡大断面図、(B)は変形例2の要部の拡大断面図、(C)は変形例3の要部の拡大断面図、(D)は変形例4の要部の拡大断面図である。
【図6】従来の操作装置を示し、(A)は切換パネル正転時の要部の正面図、(B)は切換パネル反転時の要部の正面図である。
【図7】従来の操作装置の変形例を示し、(A)は要部の拡大断面図、(B)は浮き上がり発生状態の要部の拡大断面図である。
【図8】従来の操作装置に適用される切換パネルの斜視図である。
【図9】補助フィルムシートの斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
4…補助フィルムシート
11…画像形成装置
17…操作パネル(操作装置/本体)
17a…係合孔部
18…操作スイッチ
19…切換パネル
19a…孔部
19b…支持軸(ヒンジ部)
19c…操作舌片
19d…ウエイト部
20…切換プッシュスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作スイッチを隣接配置した本体と、該複数の操作スイッチの一部が露出する孔部を備え且つ前記本体の表面を覆う補助フィルムシートと、前記複数の操作スイッチの一部が露出する孔部を備え且つ一縁を回動支点として前記本体に回動可能に保持された切換パネルと、前記本体に設けられて前記操作スイッチの一部が前記孔部から露出した状態となるように前記切換パネルが前記補助フィルムシートの表面側を覆うように一方側に回動しているときに押圧操作され且つ前記切換パネルが他方側に回動しているときとに開放操作されることにより前記操作スイッチのスイッチ機能を切り換える切換プッシュスイッチと、を備えた操作装置において、
前記切換パネルの回動支点となる一縁と対向する他縁にウエイト部が設けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記ウエイト部が前記他縁に沿って厚肉とされていることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記本体の表面には、前記ウエイト部が位置する収納溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の操作装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−11250(P2010−11250A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169877(P2008−169877)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】