説明

操作装置

【課題】スティック部材に直流ブラシモータによって外力を付与する場合、直流ブラシモータの回転位置による出力トルクが変化するという特性の影響を操作部材に極力及ぼさないようにする。
【解決手段】第1、第2の直流ブラシモータ17,18の回転位置を第1、第2のロータリエンコーダ29,30によって検出し、この検出した回転位置をメモリ36の第2の記憶領域36bに記憶されている換算情報によってスティック部材の操作位置に換算して当該操作位置に応じた操作抵抗を求め、その操作抵抗に相当する第1、第2の直流ブラシモータ17,28の出力トルクを求める。また、第1、第2の直流ブラシモータ17,18の回転位置に応じた定数をメモリ36の第1の記憶領域36aから検索し、前記求めた出力トルクに前記定数を乗じてトルク指令値を演算し、そのトルク指令値に応じたモータ電流となるようにPWM信号のデューティ比を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに操作感を感得させるために、操作部材に直流ブラシモータによって外力を作用させる構成の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両において、オーディオやカーナビゲーション装置などの表示装置を、ユーザ(運転者)から見易い位置、例えばインストルメントパネルの中央上部などに配置することが行われている。表示装置をインストルメントパネルの中央上部に配置したりすると、表示装置が運転席から離れるため、表示装置に表示された複数のアイコンを直接タッチして選択操作することができなくなる。そこで、表示装置に表示された複数のアイコンを遠隔操作によって選択できるようにするために、ジョイスティック装置(操作装置)を、ユーザの手元近くの部位に設けるようになっている(例えば特許文献1)。
【0003】
この特許文献1では、ユーザは目で表示装置を見ながら、手で操作軸を操作して複数のアイコンから所望のものを選択する。このとき、操作軸に節度を付与することでアイコン選択時に手に選択感を感得できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−84875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、操作部材(操作軸)が操作されたとき、当該操作部材に抵抗を与えてユーザに操作感(選択感)を感得させるためのアクチュエータとして直流モータを用いている。直流モータでは、その出力トルクはモータ電流に比例する。しかしながら、直流モータに一定電圧を印加してモータ電流が一定となるように制御(トルク一定制御)しても、その出力トルクは回転位置によって変化する。例えば、直流ブラシモータでは、図7(c)に示すように、1回転内において出力トルクが周期的に高低変化する。この出力トルクの周期的変化は、直流ブラシモータの特性上、避けることができない。
【0006】
このような直流ブラシモータを操作部材に外力(抵抗)を与えるためのアクチュエータとして使用した場合、操作部材に一定の外力を与えるために、モータ電流一定に制御しても、直流ブラシモータの出力トルクは周期的に大小変化し、その結果、操作部材を操作するユーザには、ごつごつとした感じが伝わってきて心地良い操作感が得られないという問題を生ずる。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、操作部材に外力を付与するためのアクチュエータとして直流ブラシモータを使用した操作装置において、回転位置によって出力トルクが変化するという直流ブラシモータの特性を緩和し、この回転位置による出力トルクの変化が操作部材に作用させるべき外力に極力影響を及ぼさないようにすることができる操作装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の操作装置は、ユーザにより操作される操作部材に操作感を持たせるために、前記操作部材にトルク伝達経路を介して直流ブラシモータを連結し、前記直流ブラシモータの出力トルクを前記操作部材に外力として作用させるようにした操作装置において、前記直流ブラシモータを制御して当該直流ブラシモータに、前記操作部材の位置に応じて予め定められた大きさのトルクを出力させる制御手段と、前記直流ブラシモータに流れるモータ電流を検出する電流センサと、前記直流ブラシモータの回転位置を検出するモータ位置センサと、前記操作部材への連結前の前記直流ブラシモータに一定電圧を印加したときの当該直流ブラシモータの各回転位置における出力トルクおよびモータ電流の計測結果により、出力トルク一定のための各回転位置のモータ電流を求め、当該出力トルク一定のための各回転位置のモータ電流とこれらのうちの最低のモータ電流との比を各回転位置の変換定数として記憶した第1の記憶手段と、前記操作部材への連結後の前記直流ブラシモータの回転位置と前記操作部材の操作位置との関係を示す相関データを記憶した第2の記憶手段と、を備え、前記制御手段は、前記モータ位置センサが検出した前記直流ブラシモータの回転位置と前記第2の記憶手段が記憶する前記相関データから前記操作部材の操作位置を求める操作位置取得手段と、前記第1の記憶手段が記憶した前記変換定数から、前記モータ位置センサが検出した前記直流ブラシモータの回転位置に応じた変換定数を検索する検索手段と、前記操作部材に対し、前記操作位置取得手段が求めた前記操作部材の操作位置に応じて予め定められた大きさのトルクに前記検索手段が検索した前記変換定数を乗じて前記直流ブラシモータの出力トルクを演算するトルク演算手段と、を有し、前記直流ブラシモータを、前記トルク演算手段により演算されたトルクを出力するようにモータ電流の制御を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項2の操作装置は、前記第1の記憶手段が、前記直流ブラシモータに一定電圧を印加したとき前記モータ電流がピークとなる複数位置のうちの任意の隣どうしの2つの回転位置間の変換定数を記憶し、前記検索手段は、前記モータ位置センサが検出した前記直流ブラシモータの回転位置を、前記第1の記憶手段が記憶する前記直流ブラシモータの前記2つの回転位置間における回転位置に変換して前記変換定数を検索することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の操作装置によれば、操作部材の位置を検出し、その操作位置で操作部材に与えるべき外力に応じたトルクに、変換定数を乗じて出力トルクを演算し、その演算した出力トルクとなるように直流ブラシモータを制御するので、直流ブラシモータの特性からくる出力トルク変化の影響を減殺することができる。
請求項2の操作装置によれば、変換定数を直流ブラシモータの1回転にわたって記憶せずとも済むので、第1の記憶手段としては、記憶容量の小さなもので済む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示す要部の斜視図
【図2】要部の縦断側面図
【図3】要部の平面図
【図4】制御構成を示すブロック図
【図5】フローチャート
【図6】直流ブラシモータをジョイスティック装置に組む込んだ状態での特性を示すもので、(a)は直流ブラシモータの回転位置と操作部材の操作位置との関係を示す図、(b)は第1の記憶領域に記憶された直流ブラシモータの回転位置と変換定数との関係を示す図、(c)は直流ブラシモータの回転位置とモータ電流との関係を示す図、(d)は直流ブラシモータの回転位置と出力トルクとの関係を示す図
【図7】直流ブラシモータをジョイスティック装置に組み込む前の単体での特性を示すもので、(a)は印加電圧を示す図、(b)はモータ電流を示す図、(c)出力トルクを示す図
【図8】メニュー選択モード時の表示画面の正面図とスティック部材に与えるX方向およびY方向の外力の内容とを示す図
【図9】ナビモード時のスティック部材への外力の内容を示す図
【図10】表示装置およびジョイスティック装置を組み込んだ車両のコンソールボックス部分の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態につき図面を参照しながら説明する。図10には、車両用画面操作システム1が示されている。この車両用画面操作システム1は、表示装置2と操作装置としてのジョイスティック装置3を備えている。表示装置2は、例えばカーナビゲーション装置として使用されるもので、車両のインストルメントパネル4の中央上部など、運転者から見易い位置に設けられている。
【0013】
ジョイスティック装置3は、コンソールボックス5などの運転者から操作し易い位置に設けられている。このジョイスティック装置3は、表示装置2の画面に表示されるカーソルC(図8参照)を遠隔操作して当該画面に表示される複数のアイコンのうちから所望のアイコンを選択したり、或は、画面に表示される地図上でカーソルCを遠隔操作して所望の地点を選択したりするためのものである。
【0014】
ジョイスティック装置3は、図1〜図3に示すように、操作部材としてのスティック部材6、第1の揺動部材7および第2の揺動部材8を主体にして構成されている。スティック部材6は、上部に摘み6aを有し、下端部に球状部6bを有している。このスティック部材6は、下端部の球状部6bが筐体(基体)9に設けられた球面軸受10に揺動自在に支持されており、前後左右のいずれの方向にも揺動操作可能になっている。
【0015】
第1の揺動部材7および第2の揺動部材8は、それぞれ円弧状に彎曲する帯状の板部材から構成されており、幅方向中央に彎曲方向に沿ってスリット7aおよび8aが形成され、両端部には軸部7bおよび8bが突設されている。これら第1の揺動部材7および第2の揺動部材8は、互いに直交するように配置され、それぞれの両端部の軸部7bおよび8bが筐体9に設けられたブラケット9aおよび9bに回動可能に支持されている。これにより第1の揺動部材7は、図1に示すように、第1の操作方向たるX方向に揺動可能で、第2の揺動部材8はX方向とは直交する第2の操作方向たるY方向に揺動可能となる。
【0016】
そして、これら第1の揺動部材7および第2の揺動部材8のスリット7aおよび8aには前記スティック部材6が挿通されている。したがって、第1の揺動部材7および第2の揺動部材8は、スティック部材6の揺動方向と揺動量に応じてX方向およびY方向に揺動する。この場合、スティック部材6は、X方向については、第2の揺動部材8のスリット8aの一端および他端に当接する範囲で揺動可能であり、Y方向については、第1の揺動部材7のスリット7aの一端および他端に当接する範囲で揺動可能である。
【0017】
第1の揺動部材7の両端の軸部7bのうちの一方の軸部には、第1のセクターギヤ11が取着され、第2の揺動部材8の両端の軸部8bのうちの一方の軸部には、第2のセクターギヤ12が取着されている。一方、筐体9には、第1の直流ブラシモータ13が第1のセクターギヤ11の近傍に位置して配設されていると共に、第2の直流ブラシモータ14が第2のセクターギヤ12の近傍に位置して配設されている。そして、それら第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の回転軸13aおよび14aには、第1のセクターギヤ11に噛合する第1のピニオン15および第2のセクターギヤ12に噛合する第2のピニオン16が取着されている。
【0018】
上記第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14は、スティック部材6に対して外力を付与する。即ち、第1の直流ブラシモータ13は、その出力トルクを第1のピニオン15および第1のセクターギヤ11という第1のトルク伝達経路を介して第1の揺動部材7に伝え、これによりスティック部材6にX方向の外力を作用させる。また、第2の直流ブラシモータ14は、その出力トルクを第2のピニオン16および第2のセクターギヤ12という第2のトルク伝達経路を介して第2の揺動部材8に伝え、これによりスティック部材6にY方向の外力を作用させる。
【0019】
ここで、第1の揺動部材7および第2の揺動部材8の揺動可能範囲は、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の1回転以下の範囲となるように設定されている。なお、図1では、第1のセクターギヤ11および第2のセクターギヤ12と第1のピニオン15および第2のピニオン16との噛合関係が良く理解できるように、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の向きを図2および図3とは違えて描いてある。
【0020】
図4には、車両用画面操作装置1の電気的構成が示されている。この図4のように、制御装置17は、CPU18、ROM19およびRAM20などを備えた制御手段としてのマイクロコンピュータ(以下、マイコン)21を主体とし、表示装置2、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14を制御する。まず、表示装置2の制御について説明すると、マイコン21は、表示装置2の制御部(表示制御手段)22と制御装置17の通信回路23および表示装置2の通信回路24を介して接続されている。
【0021】
表示装置2の制御部22は、メニュー選択モードでは、表示画面25に複数のアイコンを表示し、ナビモードでは、図示しない地図データ読取装置から読み取った地図データに基づいて表示画面25に道路地図を表示する。また、制御部22は、表示画面25上にカーソルCを表示し、そのカーソルCをスティック部材6の操作に応じて移動させるように制御する。
【0022】
つまり、ユーザがスティック部材6を操作すると、マイコン21がそのスティック部材6の操作位置を後述のようにして取得し、その取得したスティック部材6の操作位置情報を表示装置2に送る。表示装置2の制御部22は、表示画面25上に表示されているカーソルCを、スティック部材6の操作位置に対応する位置に表示させる。ここで、スティック部材6をX方向にその揺動可能範囲の一端から他端まで操作すると、カーソルCは表示画面25の上下方向の一端から他端まで移動し、また、スティック部材6をY方向にその揺動可能範囲の一端から他端まで操作すると、カーソルCは表示画面25の横方向の一端から他端まで移動するようになっている。
【0023】
このように、ジョイスティック装置3の遠隔操作によってカーソルCを表示画面25上のあらゆる位置に移動させることができるものである。そして、メニュー選択モードでは、複数のアイコンのうち所望のアイコンをカーソルCによって選択し、ジョイスティック装置3の近傍に配設された確定スイッチ26(図10参照)を操作すると、確定スイッチ26の操作信号がマイコン21に入力される。マイコン21は、確定スイッチ26が操作されたことを表示装置2の制御部22に送信し、当該制御部22は、その時のカーソルCが位置しているメニューに応じた制御を実行する。
【0024】
また、ナビモードでは、道路地図上の所望位置にカーソルCを移動させ、確定スイッチ26を操作すると、上記と同様にして確定スイッチ26の操作がマイコン21から表示装置2の制御部22に送信され、当該制御部22は、カーソルCによって選択された地図上の地点を認識し、例えば、当該選択された地点までの経路を探索し、且つ探索した経路を案内経路として道路地図上に表示する。
【0025】
さて、マイコン21は、スティック部材6の操作位置を検出する他、その操作位置の変化により、スティック部材6の操作方向を算出し、且つ、操作位置の単位時間あたりの変化量からスティック部材6の操作速度を算出する。そして、マイコン21は、表示画面25に道路地図が表示されている状態(ナビモード)でスティック部材6が操作されると、図9に示すように、スティック部材6の操作速度に応じた大きさの外力(操作抵抗力)をスティック部材6に与えるように第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14を制御する。
【0026】
また、図8に示すように、表示画面25に複数のアイコンm1〜m6が表示されている状態(メニュー選択モード)でスティック部材6が操作されると、マイコン21は、図8に示すように、カーソルCが各アイコンm1〜m6の内側に位置している場合、当該アイコンm1〜m6を各アイコンm1〜m6の中心に向かわせるような方向で、各アイコンm1〜m6の中心から離れるにしたがって大きくなるような外力(操作抵抗力)をスティック部材6に作用させるように第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14を制御する。
【0027】
更に、マイコン21は、カーソルCが各アイコンm1〜m6の外側のうち、アイコンm1〜m6の相互間にある場合には、スティック部材6に作用させる外力を0(ゼロ)とするように第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14を制御する。また、マイコン21は、カーソルCがアイコンm1〜m6を表示した領域、つまりアイコンm1〜m6を囲む1つの四角形領域の外側にある場合には、スティック部材6をアイコンm1〜m6の表示領域に向かわせるような外力がスティック部材6に与えられるように第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14を制御する。
【0028】
マイコン21は、上述のようにスティック部材6に外力を作用させるべく第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14を制御する。この制御はパルス幅変調(PWM)方式で実施される。そのために、マイコン21には、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14を制御するためのスイッチング素子からなる第1の三相ブリッジ回路27および第2の三相ブリッジ回路28が接続されている。
【0029】
これら第1の三相ブリッジ回路27および第2の三相ブリッジ回路28の一対の入力端子には、直流電源(図示せず)の一対の出力端子が接続されており、したがって第1の三相ブリッジ回路27および第2の三相ブリッジ回路28には、一定の直流電圧が印加される。そして、第1の三相ブリッジ回路27および第2の三相ブリッジ回路28の一対の出力端子間に、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の一対のブラシ(図示せず)が接続されている。これら第1の三相ブリッジ回路27および第2の三相ブリッジ回路28には、マイコン21からPWM信号が出力され、このPWM信号のデューティ比に応じたモータ電流が第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14に供給されるようになっている。
【0030】
第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14は、例えば2極3スロットの直流ブラシモータからなる。一般に、直流ブラシモータは、同じモータ電流が流れても、回転位置によって出力トルクが異なるという特性を有する。このため、目標とする出力トルクを得ようとして同じモータ電流を供給しても、ロータの回転位置によって出力トルクが変化して目標とする出力トルクを得ることができなくなる。
【0031】
この問題を、本実施形態は、次のような構成により解消するようにしている。つまり、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の特性を調べるために、それら第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14に一定の直流電圧を印加したとき、それらの回転位置(ロータ、つまり回転軸13a,14aの回転位置)と、各回転位置での出力トルクとモータ電流とを計測する。
【0032】
この電圧一定の計測条件では、図7(a)〜(c)に示す通り、モータ電流は極数とスロット数に応じた周期でピークが生ずるものの、一定であり、出力トルクはモータ電流にピークが生ずる周期と同じ一定の周期で変化する。そして、各回転位置での出力トルクが、変化する出力トルクのうちの最大値(図7(c)にHで示す。)で一定に揃うようにするためには、図7(c)のように変化する出力トルクのうちの最大値を示す回転位置を除き、他の回転位置でのモータ電流を増加させる必要があるので、上記の計測結果から、出力トルクを一定にするための各回転位置におけるモータ電流値を求める。そして、この各回転位置のモータ電流値を、変化する出力トルクのうちの最大値を示す回転位置でのモータ電流(図7(b)の一定を示す電流)で除して変換定数を求める。
【0033】
次に、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14をジョイスティック装置3に組み込んだ状態で、スティック部材6の操作位置と第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の回転位置との関係を計測する。そして、スティック部材6が或る操作位置にあるときに、或る外力を作用させる場合、つまり、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14に、或るトルクを出力させる場合、まず、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の回転位置をモータ回転位置センサにより検出し、その回転位置とスティック部材6の操作位置との関係から、スティック部材6の操作位置を求める。
【0034】
そして、スティック部材6の操作位置から、当該操作位置に応じた外力をスティック部材6に与えるための出力トルク(目的とするトルク)を求める。第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14に、目的とするトルクを出力させるには、検出した回転位置に応じてモータ電流を調整する必要があるので、目的としたトルクを出力させるための基準のモータ電流(図7(b)における一定のモータ電流に相当)に、検出した回転位置での変換定数を乗じて実際に第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14に流すモータ電流を求める。このようにすれば、モータ電流一定のときに生ずる出力トルクの変化の影響を極力受けないようにして第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14に前記目的とするトルクを出力させることができる。
【0035】
さて、図4に戻って、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14には、その回転位置を検出するモータ位置センサとして第1のロータリエンコーダ29および第2のロータリエンコーダ30が設けられており、その検出出力信号がセンサ回路31を介してマイコン21に与えられるようになっている。これら第1のロータリエンコーダ29および第2のロータリエンコーダ30は、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の回転軸13aおよび14aの一回転内の特定の回転位置を検出し、その特定の回転位置を基準位置とした回転軸13aおよび14aの回転位置を検出できるようになっている。
【0036】
また、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14に供給されるモータ電流を検出するために、第1の直流ブラシモータ13と第1の三相ブリッジ回路27との間の通電路および第2の直流ブラシモータ14と第2の三相ブリッジ回路28との間の通電路に第1の電流センサ32および第2の電流センサ33が設けられ、その検出信号(電圧値)を第1のA/D変換器34および第2のA/D変換器35によりデジタル信号に変換してマイコン21に与えるようにしている。マイコン21は、この第1の電流センサ32および第2の電流センサ33により検出されたモータ電流値をフィードバック信号として目標の電流値と比較し、その差分に応じてPWM信号のデューティ比を変化させ、これにより第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14に目標とするモータ電流を供給して目的とするトルクを出力させるようにしている。
【0037】
また、マイコン21には、例えば不揮発性メモリからなるメモリ36が接続されている。このメモリ36には、記憶領域として第1の記憶領域(第1の記憶手段)36a、第2の記憶領域(第2の記憶手段)36bおよび第3の記憶領域(第3の記憶手段)36cが設定されている。第1の記憶領域36aには、変換定数が第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の回転位置と関連させて格納され、第2の記憶領域36bには、スティック部材6の操作位置と第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の回転位置との関係を示す相関データが格納されている。また、第3の記憶領域36cには、スティック部材6に適宜の操作抵抗(外力)を与えるために、表示装置2のモード毎に、スティック部材6の操作位置と操作方向と操作速度に応じた第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の出力トルク(前記目的とするトルク)の方向(回転方向)と大きさ、つまり出力トルク情報が格納されている。
【0038】
第1の記憶領域36aに格納された変換定数を更に説明すると、次のようなものである。即ち、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14は、図7に示すように、印加電圧を一定に制御すると、モータ電流は、60度(2極3スロットの場合)の周期で瞬間的にピークが現れるものの、そのピーク以外はほぼ一定となる。出力トルクは、モータ電流がピークを示す周期と同じ周期(60度)で、大小変化する。その出力トルクの1周期内での変化曲線は、サインカーブに類似したもので、各周期ともほぼ同じである。
【0039】
本実施形態では、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14を筐体9に組み込む前の単体の状態で、印加電圧(電圧値は適宜設定)を一定にして、モータ電流がピークとなる回転位置と、各回転位置での出力トルクを計測した。この結果が図7である。そして、このモータ電流のピークを示す複数の回転位置のうち、隣どうしの任意の2つの回転位置間、例えば第1のロータリエンコーダ29および第2のロータリエンコーダ30のカウント値(前記特定の回転位置を例えば0度とする。)で180度〜240度の60度の範囲において、計測された出力トルクの最大値と同一のトルクを各回転位置で出力するための当該各回転位置での電流値を求めた。このとき2つの回転位置間での出力トルクの変化曲線をサインカーブとして扱うことによって各回転位置での電流値を演算により求めることが可能となる。次に、求めた電流値、つまり2つの回転位置間(180度〜240度)の各回転位置で出力トルクを一定とするような電流値を、その2つの回転位置間での最低電流値(210度のときの電流値)で除し、その除した値を変換定数(1以上)とする。第1の記憶領域36aには、上記のようにして求めた変換定数が、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14について、180度〜240度の各回転位置と関連付けて格納されているのである。この変換定数と回転位置との関係は、図6(b)に示されている。なお、説明を簡単にするために、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14を一定の方向に回転させたとき、最初にモータ電流のピークが現れる回転位置を0度としてあるが、必ずしも電流のピークが現れる回転位置が、第1のロータリエンコーダ29および第2のロータリエンコーダ30の検出位置の0度、60度、…となるものではない。
【0040】
第1の記憶領域36aに格納された変換定数は、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14について、180度〜240度の回転位置範囲しか格納されていないので、次に、1回転内での各回転位置が180度〜240度のどの回転位置に相当するかを決定しなければならない。これは、印加電圧一定としたときにモータ電流がピークとなる回転位置が既知であるので、第1の揺動部材7および第2の揺動部材8の揺動範囲に対応する第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14について180度〜240度の回転角度範囲(図6(a)にr1とr2で示した。)をモータ電流がピークとなる位置で区切って複数に区画し、各区画毎にモータ電流がピークとなる位置を基準にして180度〜240度の各回転位置に相当させる。
【0041】
図6(a)の例で言えば、r1とr2の間は、r1〜60度(第1区画)、60度〜120度(第2区画)、120度〜180度(第3区画)、180度〜240度(第4区画)、240度〜300度(第5区画)、300度〜r2(第6区画)の6区画に区分されるので、第1区画については、r1を180度〜240度のうちの(240−r1)度に相当させると共に60度を180度〜240度のうちの240度に相当させてr1〜60度の各回転位置を(240−r1)度〜240度の各回転位置に相当させる。第2区画〜第5区画は各区画の両側がモータ電流のピークを生ずる位置であるから、それぞれの両側の回転位置を180度および240度に相当させて区画内の各回転位置を180度〜240度の各回転位置に相当させる。第6区画については、300度を180度〜240度のうちの180度に相当させ、r2を180度〜240度のうちの(180+(r2−300))度に相当させて300度〜r2度の各回転位置を180度〜(180+(r2−300))度の各回転位置に相当させる。以上のようにしてr1〜r2の各回転位置を180度〜240度の各回転位置に相当させる。
【0042】
第1の記憶領域36aには、変換定数の他、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の各回転位置が180度〜240度の角度範囲のいずれの回転位置に相当するかの補完データも格納されているのである。
【0043】
第2の記憶領域36bに格納されている相関データとは、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14をジョイスティック装置3に実際に組み付けた状態において、スティック部材6のX方向およびY方向の操作位置と、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の回転位置との関係を示すデータを指す。
【0044】
この実施形態では、スティック部材6が基準位置としての例えば中立位置、つまりX方向の揺動範囲内での中央(X0)で、且つY方向の揺動範囲内での中央(Y0)にあるとき、第1のロータリエンコーダ29および第2のロータリエンコーダ30から読み取った第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の回転位置Ax0およびAy0を相関データとして第2の記憶領域に格納してある。X0およびY0は、ここでは角度(例えば90度)で表される。なお、基準位置は中立位置に限られず、どの位置であっても良い。
【0045】
そして、マイコン21は、第1のロータリエンコーダ29および第2のロータリエンコーダ30が検出する回転位置AxおよびAyと、後述の(1)式および(2)式とからスティック部材6のX方向およびY方向の操作位置を求め、この演算により求めたXY方向の操作位置を、スティック部材6の現在位置情報として表示装置2の制御部22に送信する。
【0046】
即ち、第1のセクターギヤ11および第2のセクターギヤ12と第1のピニオン15および第2のピニオン16の半径は、設計段階で分かっていて既知である。この第1のピニオン15および第2のピニオン16の半径をR2、第1のセクターギヤ11および第2のセクターギヤ12の半径をR1とすると、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14がそれぞれΔmxおよびΔmyだけ回転したとき、第1の揺動部材7および第2の揺動部材8の揺動角度δxおよびδyは、δx=Δmx×(R2÷R1)およびδy=Δmy×(R2÷R1)によって求めることができる。したがって、第1のロータリエンコーダ29および第2のロータリエンコーダ30により検出される第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の回転位置(角度)がAxおよびAyであるとき、スティック部材6の中立位置(X0,Y0)を基準としたX方向およびY方向の位置XxおよびYyは、次の(1)式および(2)式で示される。
【0047】
Xx=X0+(Ax−Ax0)×(R2÷R1)……(1)
Yy=Y0+(Ay−Ay0)×(R2÷R1)……(2)
この(1)式および(2)式も第2の記憶領域36bに記憶されている。そして、このXxおよびYyがスティック部材6の現在位置情報として表示装置2の制御部22に送信されるのである。制御部22は、スティック部材6が中立位置から、X方向およびY方向に限界位置まで操作されたとき、カーソルCを表示画面25の中心から横方向の両端および縦方向の両端に至るようにスティック部材6の操作位置と表示画面25の位置を対応させるように構成されており、この構成により、表示画面25上でカーソルCを、(1)式および(2)式で求めたスティック部材6の操作位置に対応する位置に移動させるようになっている。
【0048】
次に上記構成の作用を説明する。制御装置17のマイコン21は、図5に(a),(b)で示すルーチンを繰り返し実行するが、(a)に示すトルク指令値決定ルーチンの実行周期よりも(b)に示すPWM制御ルーチンの実行周期の方が長くなっている。
図5(a)は、スティック部材6に作用させる外力を、スティック部材6の操作位置、操作速度、表示装置2の現在モード或はアイコン位置を加味して第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の出力するトルクの指令値として決定するものである。
【0049】
マイコン21は、図5(a)のルーチンに入ると、確定スイッチ26からの入力判定を行い(ステップA1)、続いて、第1のロータリエンコーダ29および第2のロータリエンコーダ30の検出した回転位置からスティック部材6の操作位置を取得する(ステップA2)。そして、前回のトルク指令決定ルーチンの実行時に取得したスティック部材6の操作位置と今回のトルク指令決定ルーチンの実行時に取得したスティック部材6の操作位置とからスティック部材6の操作速度(操作方向を含む)を演算する(ステップA3)。
【0050】
次に、マイコン21は、第3の記憶領域36cに格納されたトルク指令値データの中から、表示装置2の現在のモード、アイコンの位置、スティック部材6の現在位置および操作速度(操作方向を含む)に応じたX方向およびY方向のトルク指令値を検索する。つまり、表示装置2の現在のモードがナビモードであるならば、スティック部材6には、その操作速度に応じた外力を作用させるのであるから、操作速度からX方向およびY方向のトルク指令値を検索する。また、表示装置2の現在のモードがメニュー選択モードであるならば、スティック部材6には、図8に示すように、操作位置とアイコンの位置との関係で決まる外力を作用させるのであるから、アイコンの位置と操作位置とからX方向およびY方向のトルク指令値を検索(決定)する(ステップA4)。なお、ナビモードであっても、表示画面25にアイコンが表示されることがあるので、この場合には、メニューモードにおけるアイコンと同様に扱われる。
【0051】
その後、マイコン21は、表示装置2の制御部22と通信し、表示装置2に、スティック部材6の現在位置情報および確定スイッチ26の入力情報(オン情報)を送信すると共に、表示装置2から現在の表示画面25のモード情報、アイコンの位置情報を受信し(ステップA5)、リターンとなる。なお、ステップA4で第3の記憶領域36cからトルク指令値を取得する際に必要な表示装置2の現在のモードおよびアイコン位置の情報は、前回のトルク指令値決定ルーチンでステップA5の実行により表示装置2から取得した現在モードおよびアイコン位置の情報によるものである。
【0052】
一方、図5(b)は、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14にトルク指令値通りのトルクを出力させるために、特性上発生するトルクむらを排除するようにPWM信号のディーティ比を決定するためのものである。マイコン21は、図5(b)のルーチンに入ると、スティック部材6の操作位置を第1のロータリエンコーダ29および第2のロータリエンコーダ30の検出回転位置から取得する(ステップB1)。次に、マイコン21は、第1の電流センサ32および第2の電流センサ33から第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14のモータ電流を取得する(ステップB2)。
【0053】
続いて、マイコン21は、第1の記憶領域36aにアクセスし、第1のロータリエンコーダ29および第2のロータリエンコーダ30の検出した回転位置が、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の変換定数が格納されている回転位置範囲(180度〜240度)のうちのいずれの回転位置に相当するかを検索する(ステップB3;位置補正手段)。そして、マイコン21は、第1の記憶領域36aにアクセスし、ステップB4で検索した第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の回転位置から変換定数を検索する(ステップB4;検索手段)。
【0054】
次に、マイコン21は、ステップA4で求めたトルク指令値を電流指令値に変換する(ステップB5:電流指令値変換手段)。この場合、トルク指令値通りの電流指令値は、図7において、印加電圧一定制御の下での一定のモータ電流値に相当するもので、これでは、回転位置によってはトルク指令値通りのトルクを出力できない場合が生ずる。そこで、このステップB5では、トルク指令値通りの電流指令値によって流されるモータ電流にステップB4で検索した変換定数を乗じて実際に第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14に流すべきモータ電流を演算し、その演算したモータ電流に応じた電流指令値に設定する。このように、得られた電流指令値は、直流ブラシモータの特性上発生するトルクむらを排除できる電流指令値となる。そして、このステップB5は、モータ電流を演算することによって出力トルクを演算するトルク演算手段に相当する。
なお、ステップS4で求めたトルク指令値に、変換定数を乗じて出力トルク値を演算し(トルク演算手段)、この演算した出力トルク値を出力するための電流指令値を演算する(電流演算手段)ようにしても良い。
【0055】
マイコン21は、電流指令値から実際に第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14に流すべきモータ電流(制御電流値)を演算し(ステップB6:モータ電流取得手段)、次いで、制御電流値となるようにPWM信号のデューティ比を設定して第1の三相ブリッジ回路27および第2の三相ブリッジ回路28へPWM信号を出力する(ステップB7;電流制御手段)。上記ステップB7においてデューティ比を設定するとき、マイコン21は、前記ステップB2で取得した第1の電流センサ32および第2の電流センサ33で検出した第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14のモータ電流と制御電流値との差を求め、この差分に応じた値を増減してデューティ比を演算するものである。これにより、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14のモータ電流がステップB6で設定した制御電流値となるような制御がなされる。
【0056】
以上の制御により、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の特性上生ずるトルクむらを解消しながら、スティック部材6に対し、その操作位置および操作速度に応じた外力を作用させることができる。このため、ユーザはスティック部材6からごつごつとした不快な感じを伴うことなく円滑に操作できる。
【0057】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或は変更が可能である。
第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14は、第1の揺動部材7および第2の揺動部材8に直結する構成であっても良い。この場合には、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14を第1の揺動部材7および第2の揺動部材8に連結する部分がトルク伝達経路となる。
【0058】
画面操作システムは車両用に限られない。遠隔操作する画面操作システムに広く適用できる。
第1メモリ41に記憶させる変換定数は、第1の直流ブラシモータ13および第2の直流ブラシモータ14の1回転の各回転位置の全てについて記憶するようにしても良い。
メモリ36の第1の記憶領域36aに格納した情報、第2の記憶領域36bに格納した情報、第3の記憶領域36cに格納した情報は、別々のメモリに格納しても良い。
表示装置2は、カーナビゲーション装置のものに限られない。
【0059】
表示装置を遠隔操作する操作装置に限られない。操作部材を操作するとき、操作感を感得させるために直流ブラシモータによって外力を作用させる場合に広く適用することができる。
操作部材は、XY方向に揺動可能なものに限られず、一方向にのみ揺動可能なものであっても良い。
操作部材の動作形態は、揺動の他、回転、直線移動であっても良い。
【符号の説明】
【0060】
図面中、1は車両用画面操作装置、2は表示装置、3はジョイスティック装置、6はスティック部材(操作部材)、7および8は第1の揺動部材、11および15は第1のセクターギヤおよび第1のピニオン(第1のトルク伝達経路)、12および16は第2のセクターギヤおよび第2のピニオン(第2のトルク伝達経路)、13および14は第1の直流ブラシモータおよび第2の直流ブラシモータ、17は制御装置、21はマイコン(制御手段、位置補正手段、トルク演算手段)、27および28は第1の三相ブリッジ回路および第2の三相ブリッジ回路、29および30は第1のロータリエンコーダおよび第2のロータリエンコーダ(モータ位置センサ)、32および33は第1の電流センサおよび第2の電流センサ、36はメモリ(第1の記憶手段、第2の記憶手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより操作される操作部材に操作感を持たせるために、前記操作部材にトルク伝達経路を介して直流ブラシモータを連結し、前記直流ブラシモータの出力トルクを前記操作部材に外力として作用させるようにした操作装置において、
前記直流ブラシモータを制御して当該直流ブラシモータに、前記操作部材の位置に応じて予め定められた大きさのトルクを出力させる制御手段と、
前記直流ブラシモータに流れるモータ電流を検出する電流センサと、
前記直流ブラシモータの回転位置を検出するモータ位置センサと、
前記操作部材への連結前の前記直流ブラシモータに一定電圧を印加したときの当該直流ブラシモータの各回転位置における出力トルクおよびモータ電流の計測結果により、出力トルク一定のための各回転位置のモータ電流を求め、当該出力トルク一定のための各回転位置のモータ電流とこれらのうちの最低のモータ電流との比を各回転位置の変換定数として記憶した第1の記憶手段と、
前記操作部材への連結後の前記直流ブラシモータの回転位置と前記操作部材の操作位置との関係を示す相関データを記憶した第2の記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記モータ位置センサが検出した前記直流ブラシモータの回転位置と前記第2の記憶手段が記憶する前記相関データから前記操作部材の操作位置を求める操作位置取得手段と、
前記第1の記憶手段が記憶した前記変換定数から、前記モータ位置センサが検出した前記直流ブラシモータの回転位置に応じた変換定数を検索する検索手段と、
前記操作部材に対し、前記操作位置取得手段が求めた前記操作部材の操作位置に応じて予め定められた大きさのトルクに前記検索手段が検索した前記変換定数を乗じて前記直流ブラシモータの出力トルクを演算するトルク演算手段と、を有し、
前記直流ブラシモータを、前記トルク演算手段により演算されたトルクを出力するようにモータ電流の制御を行うことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記第1の記憶手段は、前記直流ブラシモータに一定電圧を印加したとき前記モータ電流がピークとなる複数位置のうちの任意の隣どうしの2つの回転位置間の変換定数を記憶し、
前記検索手段は、前記モータ位置センサが検出した前記直流ブラシモータの回転位置を、前記第1の記憶手段が記憶する前記直流ブラシモータの前記2つの回転位置間における回転位置に変換して前記変換定数を検索することを特徴とする請求項1記載の操作装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−250421(P2010−250421A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96930(P2009−96930)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】