説明

操作装置

【課題】ダイヤルの中央部に表示構造を設け、且つその表示を照明する要望に応じ得るようにする。
【解決手段】ダイヤル7,9を中空としたことで、その空洞部7a,9aにホルダ前ピース10,12(透光ホルダ)を挿通し、このホルダ前ピース10,12の前面部に表示シート1,3(透光表示部)を設け、ボディ84に結合したインシュレータ29(電装部材)に、ホルダ前ピース10,12を固定すると共に発光体30,32を装着して、その発光体30,32が発する光をホルダ前ピース10,12を通し表示シート1,3に投射するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤルの操作回転を被回転体に伝えて回転させる操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の操作装置としては、自動車など車両の空調操作に供するものが知られている。このものにおいては、使用者により回転操作されるダイヤルの中央部にシャフトが結合され、更にこのシャフトに駆動側のギヤが設けられて、このギヤに従動側のギヤが噛合され、この従動側のギヤでレバーやラックを動作させて、車室内に供給される空気の吹出口や温度等を切替えるためのダンパを動作させるようになっている(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−306378号公報
【特許文献2】実開平5−71516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の操作装置においては、ダイヤルの中央部に、上述の車室内に供給される空気の吹出口や温度等の操作内容を表示するための表示構造を設ける要望があり、しかも、その表示を照明する要望がある。しかしながら、上記従来の操作装置においては、ダイヤルの中央部にシャフトが結合されており、その関係で、ダイヤルの中央部に上記表示構造を設け、且つその表示を照明するようにすることは困難であった。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、ダイヤルの中央部に表示構造を設け、且つその表示を照明するようにすることの要望に応ずることのできる操作装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の操作装置は、ボディと、このボディに回転操作可能に装着された中空のダイヤルと、このダイヤルより回転が伝達される被回転体と、前記ダイヤルの空洞部に挿通された透光ホルダと、この透光ホルダの前面部に設けられた透光表示部と、前記ボディに結合されて前記透光ホルダを固定した電装部材と、この電装部材に装着されて前記透光ホルダを通し前記透光表示部に光を投射する発光体とを具備して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によれば、ダイヤルを中空としたことで、その空洞部に透光ホルダを挿通し、この透光ホルダの前面部に透光表示部を設け、ボディに結合した電装部材に、透光ホルダを固定すると共に発光体を装着して、その発光体が発する光を透光ホルダを通し上記透光表示部に投射することで、ダイヤルの中央部に表示構造を設け、且つその表示を照明するようにすることの要望に応ずることができる。又、その場合、ダイヤルが中空であっても、そのダイヤルからは被回転体に回転が伝達されることにより、操作装置とてしての操作も問題なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例(一実施形態)につき、図1を参照して説明する。
図1には、車両用、特には自動車の空調操作に供する操作装置の全体を分解状態で示しており、左側より順に、表示シート1〜3、キャップ4〜6、ダイヤル7〜9、ホルダ前ピース10〜12、ホルダ後ピース13〜15、プッシュボタン16,17、切換レバー18、ボディ前ピース19、ボディ後ピース20、ギヤ21,22、コントロールケーブル23,24、スイッチ25,26、発光体27,28、インシュレータ29、発光体30〜34を示している。
【0010】
このうち、表示シート1〜3は、この場合、車両、特には自動車の空調操作の操作内容を表示するもので、いずれも円形であり、表示シート1は車室内に供給される空気の吹出口を切替えるための表示35を環状に配列して有し、表示シート2は同空気の風量を切替えるための表示36を同じく環状に配列して有し、表示シート3は同空気の温度を切替えるための表示37を同じく環状に配列して有している。これらの表示35〜37はいずれも透光性を有しており、すなわち、表示シート1〜3は透光表示部であって、表示35〜37以外の各部分が不透光性を有している。
【0011】
キャップ4〜6は、いずれも円盤形であり、透光性を有している。
ダイヤル7〜9は、いずれも概ね短円筒状のものであり、すなわち空洞部7a〜9aを有する中空のもので、それぞれ外周部につば部38〜40を有している。又、このダイヤル7〜9の前縁部の各一箇所には、指示部41〜43を設けている。
ホルダ前ピース10〜12は、いずれも前部10a〜12aが径大で、後部10b〜12bが径小の後部段付き円筒状を成すものであり、従って、これも空洞部10c〜12cを有する中空のもので、後部10b〜12bの後端部に、それぞれ複数個の取付爪44〜46を突設している。
【0012】
ホルダ後ピース13,15も、いずれも前部13a,15aが径大で、後部13b,15bが径小の後部段付き円筒状を成すものであり、その両部13a,15a、13b,15bの各軸方向の長さは、上記ホルダ前ピース10,12の前部10a,12a及び後部10b,12bよりそれぞれ短く、各径方向の大きさは、上記ホルダ前ピース10,12の前部10a,12a及び後部10b,12bよりそれぞれ大きい。このホルダ後ピース13,15の後部10b,12bの各後端部の外周には、駆動側のかさ歯47,48を形成している。
【0013】
ホルダ後ピース14は概ね短円筒状を成すもので、その後端面部には、図示しないが、可動側の導電接点を設けている。又、このホルダ後ピース13〜15の周囲部の各一箇所には、穴49〜51を形成していて、この穴49〜51にそれぞれスプリング52〜54と球状の節度ピース55〜57を収納している。
プッシュボタン16はエアコンのオンオフ用、プッシュボタン17はリヤデフォッガのオンオフ用で、ともに概ね直方体状のものであり、透光性を有していて、且つ前面部の下部に透光窓58,59を有している。
【0014】
切換レバー18は前記車室内に供給される空気の内外気の切替えをするためのもので、弧状のカバー60を一体的に有している。
ボディ前ピース19は、概ね矩形のプレート状を成すもので、ホルダ取付孔61〜63を有すると共にプッシュボタン取付孔64,65を有し、更に、切換レバー取付部66を有している。
【0015】
ボディ後ピース20は、これも概ね矩形のプレート状を成すもので、短円柱状のギヤ取付部67,68を有すると共に、これらの近傍にケーブル留め部69,70を有している。
ギヤ21,22は、リング部21a,22aにそれぞれ扇形部21b,22bとケーブル留め部21c,22cを一体に形成したもので、その扇形部21b,22bの各上面部に、前記ホルダ後ピース13,15の駆動側のかさ歯47,48と対応する従動側のかさ歯71,72を形成している。
【0016】
コントロールケーブル23,24は、それぞれインナーケーブル23a,24aをアウターケーブル23b,24bで被覆して成るものである。
スイッチ25はエアコンのオンオフ用、スイッチ26はリヤデフォッガのオンオフ用で、この場合、いずれもタクトスイッチである。発光体27はエアコンのオン表示用、発光体28はリヤデフォッガのオン表示用で、この場合、いずれも発光ダイオードである。
【0017】
インシュレータ29は、この場合、概ね「大」字状の電気絶縁板であり、中央部に発光体取付孔73を有すると共に、その周囲に前記ホルダ前ピース11の取付爪45と対応するホルダ取付孔74を有し、更にその周囲に前記ホルダ後ピース14の可動側の導電接点と対応する固定側の複数の導電接点75を有している。インシュレータ29のそのほかの端部には、発光体取付孔76〜79を有しており、そのうちの発光体取付部76,77の各周囲部には、更に前記ホルダ前ピース10,12の取付爪44,46と対応するホルダ取付孔80,81を有し、発光体取付孔78,79近くの前面部には発光体取付部材82,83をも有している。
発光体30〜34は、いずれもランプである。
【0018】
以上の構成で、インシュレータ29の発光体取付孔73には、発光体31を後方より取付け、そのほかの発光体取付部76〜79には、他の発光体30,32,33,34を同じく後方より取付ける。又、発光体取付部材82,83には、それぞれ発光体27,28を前方より取付け、発光体取付部材82,83の各近傍には、スイッチ25,26を同じく前方より取付ける。このように各種の電装品を取付けることから、インシュレータ29は電装部材として機能する。
【0019】
インシュレータ29の全体は、ボディ前ピース19の背面に取付けて固定する。これにより、ボディ前ピース19のホルダ取付孔62には、発光体31とホルダ取付孔74及び固定側の導電接点75が臨み、残りのホルダ取付孔61,63には、それぞれ、発光体30,32とホルダ取付孔80,81とが臨む。更に、ボディ前ピース19のプッシュボタン取付孔64,65には、それぞれ、発光体33,34とスイッチ25,26及び発光体27,28が臨む。
【0020】
一方、ボディ後ピース20のギヤ取付部67,68には、ギヤ21,22のリング部21a,22aを回転可能に取付け、ギヤ21,22のケーブル留め部21c,22cに、コントロールケーブル23,24のインナーケーブル23a,24aの各一端部を連結する。又、コントロールケーブル23,24のアウターケーブル23b,24bの各一端部をケーブル留め部69,70に取付ける。なお、コントロールケーブル23,24(特にはインナーケーブル23a,24a)の他端部は、図示しないが、前記車室内に供給される空気の吹出口や温度を切替えるためのダンパに連繋される。
【0021】
ボディ後ピース20は、全体としてボディ前ピース19の後側にほゞ直角に取付け、このボディ後ピース20とボディ前ピース19とでボディ84を組成する。
ボディ前ピース19のホルダ取付孔61〜63には、ホルダ後ピース13〜15を挿通して回転可能に取付け、プッシュボタン取付孔64,65にプッシュボタン16,17を挿通して取付ける。切換レバー取付部66には切換レバー18を回動可能に取付ける。
【0022】
この結果、ホルダ後ピース13,15が、それぞれ、発光体30,32とホルダ取付孔80,81とに臨み、駆動側のかさ歯47,48がギヤ21,22の従動側のかさ歯71,72に噛合する。又、ホルダ後ピース14は、発光体31とホルダ取付孔74及び固定側の導電接点75に臨む。更に、このとき、節度ピース55〜57が、ボディ前ピース19のホルダ取付孔61〜63の各内周部に形成した図示しない節度谷に対向する。プッシュボタン16,17は、それぞれ、発光体33,34とスイッチ25,26及び発光体27,28とに臨む(特に発光体27,28には透光窓58,59が臨む)。切換レバー18は図示しない切替機構に連繋される。
【0023】
ホルダ後ピース13,15の後部13b,15bには、ホルダ前ピース10,12の後部10b,12bを挿通し、ホルダ後ピース13,15の前部13a,15aに、ホルダ前ピース10,12の前部10a,12aを挿入する。ホルダ後ピース14には、後側にホルダ前ピース11の後部11bを挿通し、前側にホルダ前ピース11の前部11aを挿入する。そして、それらにより、ホルダ前ピース10〜12の取付爪44〜46をインシュレータ29のホルダ取付孔80,74,81に係合させて取付けることにより、ホルダ前ピース10〜12をインシュレータ29に固定する。
【0024】
ホルダ後ピース13〜15の各前側には、ダイヤル7〜9を被嵌して固着し、ホルダ後ピース13〜15がダイヤル7〜9の回転をともにするようする。このとき、ホルダ前ピース10〜12の各前部10a〜12aは、ダイヤル7〜9の各空洞部7a〜9aに相対的に挿入される。このホルダ前ピース10〜12の各前部10a〜12aの前端部には、キャップ4〜6を装着し、キャップ4〜6には表示シート1〜3を貼着する。
【0025】
さて、上述のように構成したものの場合、ダイヤル7を操作者が手で持って指示部41により表示シート1の表示35のいずれかを指示するように回転操作すると、ダイヤル7に固着したホルダ後ピース13が一体に回転し、このホルダ後ピース13の駆動側のかさ歯47からギヤ21の従動側のかさ歯71に回転が伝達されて、ギヤ21がダイヤル7の回転角度に応じた角度回転する。従って、ギヤ21はダイヤル7により回転が伝達される被回転体であり、この被回転体であるギヤ21が回転されることにより、コントロールケーブル23のインナーケーブル23aが押し引きされて、インナーケーブル23aの図示しない先端部に取付けたダンパが動かされ、車両の車室内に供給される空気の吹出口が切替えられる。
【0026】
ダイヤル8を操作者が手で持って指示部42により表示シート2の表示36のいずれかを指示するように回転操作すると、ダイヤル8に固着したホルダ後ピース14が一体に回転し、図示しない可動側の導電接点をインシュレータ29の固定側の導電接点75に接離させ、これによって車室内に供給される空気の風量が切替えられる。
【0027】
ダイヤル9を操作者が手で持って指示部43により表示シート3の表示37のいずれかを指示するように回転操作すると、ダイヤル9に固着したホルダ後ピース15が一体に回転し、このホルダ後ピース15の駆動側のかさ歯48からギヤ22の従動側のかさ歯72に回転が伝達されて、ギヤ22がダイヤル7の回転角度に応じた角度回転する。従って、ギヤ22はダイヤル9により回転が伝達される被回転体であり、この被回転体であるギヤ22が回転されることにより、コントロールケーブル24のインナーケーブル24aが押し引きされて、インナーケーブル24aの図示しない先端部に取付けたダンパが動かされ、車両の車室内に供給される空気の温度が切替えられる。
【0028】
この間、ホルダ前ピース10〜12は、それぞれ、取付爪44〜46でインシュレータ29に固定されたまま、キャップ4〜6及び表示シート1〜3と共に不動であり、回転しない。又、節度ピース55〜57は、ボディ前ピース19の図示しない節度谷に順次係合して、ホルダ後ピース13〜15及びダイヤル7〜9の回転に節度を与える。
【0029】
ここで、表示シート1〜3の各表示35〜37を夜間などで照明するとき、発光体31〜33が発光する。その光は上記ホルダ前ピース10〜12の各空洞部10c〜12cを通って透光性のキャップ4〜6に投射され、ひいてはそのキャップ4〜6をそれぞれに透し表示シート1〜3に投射されて各表示35〜37を照明する。従って、ホルダ前ピース10〜12は透光ホルダとして機能する。
【0030】
なお、プッシュボタン16を押込み操作すれば、スイッチ25がオンして図示しないエアコンを作動させ、このとき、発光体27が発光することで、その光がプッシュボタン16の透光窓58を透して視認される。
又、プッシュボタン17を押込み操作すれば、スイッチ26がオンして図示しないリヤデフッガを作動させ、このとき、発光体28が発光することで、その光がプッシュボタン17の透光窓59を透して視認される。
そして、それらのプッシュボタン16,17を照明するときには、発光体33,34が発光することで、その各光がプッシュボタン16,17を透して、これらプッシュボタン16,17を照明する。
【0031】
このように上記構成の操作装置によれば、ダイヤル、特にはダイヤル7,9を中空としたことで、その空洞部7a,9aに透光ホルダであるホルダ前ピース10,12を挿通し、このホルダ前ピース10,12の前面部に透光表示部である表示シート1,3を設け、ボディ84に結合した電装部材であるインシュレータ29に、ホルダ前ピース10,12を固定すると共に発光体30,32を装着して、その発光体30,32が発する光をホルダ前ピース10,12を通し上記表示シート1,3に投射することで、ダイヤル7,9の中央部に表示構造を設け、且つその表示を照明するようにすることの要望に応ずることができる。又、その場合、ダイヤル7,9が中空であっても(回転伝達用のシャフトがなくても)、そのダイヤル7,9からは被回転体であるギヤ21,22に回転が伝達されることにより、操作装置とてしての操作も問題なく行うことができる。
【0032】
又、発光体30,32を装着するインシュレータ29(電装部材)でホルダ前ピース10,12を固定できることにより、別途固定部材を必要とせず、コストを安く抑えることができる。
なお、ホルダ前ピース10〜12は、透光性を有するものであれば中実のものでも良い。又、ダイヤル7,9の回転は、ホルダ後ピース13,15の外周部からではなく内周部から伝達されるようにしても良い。更に、電装部材には、インシュレータ29に代えてプリント基板など配線基板を使用するようにしても良い。加えて、発光体には、発光ダイオードを配線基板に実装して用い、それをインシュレータ29に装着するようにしても良い。
【0033】
そのほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、特に全体としては車両の空調用操作装置に限られないなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0034】
図面中、1,3は表示シート(透光表示部)、7,9はダイヤル、10,12はホルダ前ピース(透光ホルダ)、21,22はギヤ(被回転体)、29はインシュレータ(電装部材)、30,32は発光体、84はボディを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
このボディに回転操作可能に装着された中空のダイヤルと、
このダイヤルより回転が伝達される被回転体と、
前記ダイヤルの空洞部に挿通された透光ホルダと、
この透光ホルダの前面部に設けられた透光表示部と、
前記ボディに結合されて前記透光ホルダを固定した電装部材と、
この電装部材に装着されて前記透光ホルダを通し前記透光表示部に光を投射する発光体とを具備して成ることを特徴とする操作装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−54654(P2013−54654A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193831(P2011−193831)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】