説明

操作装置

【課題】信頼性を向上する。
【解決手段】方向キー10の変位に応じて複数のスイッチの接点の状態が変化するように4つのスイッチ12a〜12dが配置されており、スイッチ12a〜12dの接点の状態変化が異常であるか否かに基づいてスイッチの故障を検出し、スイッチの故障が検出された場合、スイッチ12a〜12dの接点の状態変化に基づいて故障スイッチを特定し、故障スイッチの接点の状態変化を無効とし、当該故障スイッチ以外のスイッチの接点の状態変化に基づいて方向キー10の操作方向を推定し、方向キーの操作方向を表す操作信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部に対する操作に応じた操作信号を出力する操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザの操作に応じた操作信号を出力する操作装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−112257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上下左右と斜め4方向の8方向への操作を検出する操作装置として、例えば、図10に示すように、上下左右と斜め4方向の8方向に8つの接点が設けられ、操作部を8方向のいずれか1方向に方向キーが操作されたときに、8つの接点のいずれか1つの状態が変化するように構成されたものがある。
【0005】
しかし、このような構成では、8つの接点のいずれか1つでも故障すると、操作に応じた操作信号が正常に出力されなくなってしまうといった課題がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みたもので、信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ユーザ操作に応じて、上下左右と斜め4方向の8方向のいずれか1方向に変位する方向キーと、前記方向キーの中央を中心とする正方形の頂点に対応する位置に配置され、前記方向キーの変位に応じて接点がオンまたはオフする4つのスイッチを有し、当該4つのスイッチの接点の状態に基づいて前記方向キーの操作方向を特定し、前記方向キーの操作方向を表す信号を出力する操作装置であって、4つのスイッチは、方向キーの変位に応じて複数のスイッチの接点の状態が変化するように配置されており、複数のスイッチの接点の状態変化が異常であるか否かに基づいてスイッチの故障を検出する故障検出手段と、故障検出手段によりスイッチの故障が検出された場合、複数のスイッチの接点の状態変化に基づいて故障スイッチを特定する故障スイッチ特定手段と、故障スイッチの接点の状態変化を無効とし、当該故障スイッチ以外のスイッチの接点の状態変化に基づいて方向キーの操作方向を推定し、推定した方向キーの操作方向を表す操作信号を出力する操作信号出力手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、複数のスイッチの接点の状態変化が異常であるか否かに基づいてスイッチの故障を検出する故障検出手段と、故障検出手段によりスイッチの故障が検出された場合、複数のスイッチの接点の状態変化に基づいて故障スイッチを特定する故障スイッチ特定手段と、故障スイッチの接点の状態変化を無効とし、当該故障スイッチ以外のスイッチの接点の状態変化に基づいて方向キーの操作方向を推定し、推定した方向キーの操作方向を表す操作信号を出力するので、例えば、1つのスイッチが故障しても、方向キーの操作方向を表す操作信号が出力され、信頼性を向上することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、故障スイッチ特定手段は、既に接点がオン状態となっているスイッチがあり、かつ、他の1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化した場合、既に接点がオン状態のスイッチを故障スイッチとして特定することを特徴としている。
【0010】
このように、既に接点がオン状態となっているスイッチがあり、かつ、他の1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化した場合、既に接点がオン状態のスイッチを故障スイッチとして特定することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、故障スイッチ特定手段は、故障スイッチ特定手段は、1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化し、かつ、他のスイッチの接点の状態が変化しない場合、当該他のスイッチを故障疑いスイッチとして記憶媒体に記憶させる故障疑いスイッチ記憶手段を備え、記憶媒体に故障疑いスイッチが記憶された後、故障疑いスイッチのうち接点の状態が変化したスイッチがある場合、当該接点の状態が変化したスイッチを故障疑いスイッチから除外するようにして故障スイッチを特定することを特徴としている。
【0012】
このように、1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化し、かつ、他のスイッチの接点の状態が変化しない場合、当該他のスイッチを故障疑いスイッチとして記憶媒体に記憶させ、記憶媒体に故障疑いスイッチを記憶された後、故障疑いスイッチのうち接点の状態が変化したスイッチがある場合、当該接点の状態が変化したスイッチを故障疑いスイッチから除外するようにして故障スイッチを特定することもできる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、操作信号出力手段は、故障スイッチ特定手段により故障スイッチが特定されるまで、方向キーの操作方向を表す操作信号の出力を禁止することを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、故障スイッチが特定されるまで、方向キーの操作方向を表す操作信号の出力が禁止されるので、より信頼性を向上することができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、故障スイッチ特定手段により特定された故障スイッチを通知する故障スイッチ通知手段を備えたことを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、特定された故障スイッチが通知されるので、修理箇所を容易に認識することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る操作装置の外観図である。
【図2】図1の矢印A方向から見た図である。
【図3】図2中のB−B線に沿った概略断面構成を示す図である。
【図4】図3中のC方向から方向キーおよびケースを透過して見た回路基板の様子を示す図である。
【図5】方向キーの操作方向と、スイッチの接点の状態の関係について説明するための図である。
【図6】操作装置の回路構成を示す図である。
【図7】ユーザ操作判定用テーブルについて説明するための図である。
【図8】制御部のフローチャートである。
【図9】制御部のフローチャートである。
【図10】課題ついて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る操作装置の外観図を図1に示す。図に示すように、本操作装置は、ユーザ操作に応じて、上下左右と斜め4方向の8方向のいずれか1方向に傾斜する方向キー10とケース14を備えている。方向キー10は、ケース14に形成された開口部から突出するように配置されている。
【0019】
図2に、図1中の矢印A方向から見た図を示す。また、図3に、図2中のB−B線に沿った概略断面構成を示す。図3に示すように、ケース14の内部には、複数のスイッチ12a、12bおよび支持部11aが搭載された回路基板14が収納されている。なお、この図には示されてないが、回路基板14には、4つのスイッチ12a〜12dが搭載されている。
【0020】
また、支持部11aの頂部に方向キー10の底部が接触しており、支持部11aの頂部を支点として方向キー10が上下左右と斜め4方向の8方向のいずれか1方向に傾斜して変位するようになっている。
【0021】
図4に、図3中のC方向から方向キー10およびケース14を透過して見た回路基板14の様子を示す。図に示すように、回路基板14の中央に支持部11が配置されており、この回路基板14を中心として、正方形の4つの頂点に対応する位置に4つのスイッチ12a〜12dが配置されている。
【0022】
また、方向キー10が傾斜すると、4つのスイッチ12a〜12dのうち、2つまたは3つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化するようになっている。
【0023】
図5に、方向キー10の操作方向と、スイッチ12a〜12dの接点の状態の関係を示す。図中、黒丸で示された接点はオン状態、白丸で示された接点はオフ状態を表している。
【0024】
方向キー10が「上」方向に操作されると左上のスイッチ12aと右上のスイッチ12bの各接点がオフ状態からオン状態に変化し、「右上」方向に操作されると左上のスイッチ12a、右上のスイッチ12bおよび右下のスイッチ12cの各接点がオフ状態からオン状態に変化し、「右」方向に操作されると右上のスイッチ12bと右下のスイッチ12cの各接点がオフ状態からオン状態に変化し、「右下」方向に操作されると右上のスイッチ12d、右下のスイッチ12cおよび左下のスイッチ12dの各接点がオフ状態からオン状態に変化する。
【0025】
また、方向キー10が「下」方向に操作されると右下のスイッチ12cと左下のスイッチ12dの各接点がオフ状態からオン状態に変化し、「左下」方向に操作されると左上のスイッチ12a、左下のスイッチ12dおよび右下のスイッチ12cの各接点がオフ状態からオン状態に変化し、「左」方向に操作されると左上のスイッチ12aと左下のスイッチ12dの各接点がオフ状態からオン状態に変化し、「左上」方向に操作されると左上のスイッチ12a、右上のスイッチ12bおよび左下のスイッチ12dの各接点がオフ状態からオン状態に変化する。
【0026】
このように、方向キー10の傾斜に応じて4つのスイッチのうち2つまたは3つのスイッチの接点の状態が変化するようになっている。
【0027】
図6に、本操作装置の回路構成を示す。本操作装置は、スイッチ12a〜12d、抵抗13a〜13dおよび制御回路20を備えている。制御回路20は、バッファ20aおよび制御部20bを備えている。
【0028】
スイッチ12b〜12dの一端は、それぞれ抵抗13a〜13dを介して電源Vbにプルアップ接続され、スイッチ12b〜12dの他端は、それぞれ制御回路20内で接地されている。
【0029】
制御部20bには、操作部10a〜10dに対する操作に応じたスイッチ信号が、それぞれバッファ20aを介して入力されるようになっている。
【0030】
例えば、方向キー10が「上」方向に操作され、スイッチ12a、12bの接点がオン状態になると、入力端子21a、21bの電圧は、それぞれハイレベルからローレベルへと変化する。また、方向キー10が「右上」方向に操作され、スイッチ12a、12b、12cの接点がオン状態になると、入力端子21a、21b、21cの電圧は、それぞれハイレベルからローレベルへと変化する。また、方向キー10が「右」方向に操作され、スイッチ12b、12cの接点がオン状態になると、入力端子21b、21bの電圧は、それぞれハイレベルからローレベルへと変化する。
【0031】
制御回路20は、CPU、RAM、ROM、EEPROM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0032】
制御部20bは、EEOROMに記憶されているユーザ操作判定用テーブルを参照して操作された操作部を特定し、操作された操作部を表す操作信号を出力端子OUTよりシリアルデータとして出力する。
【0033】
図7に、ユーザ操作判定用テーブルの構成例を示す。図に示すように、スイッチ(図中、スイッチをSWと記す)12a〜12dを介して入力される操作信号の信号レベルに応じて対象操作部を特定し、操作された操作部を表す操作信号を出力する。例えば、スイッチ12aとスイッチ12bが、それぞれローレベルとなっている場合、方向キー10が「上」方向に操作されているものとして、方向キー10も操作方向を表す操作信号を出力する。
【0034】
また、制御部20bは、スイッチ12a〜12dの接点の状態の変化に基づいてスイッチ12a〜12dに故障が生じたか否かを判定し、スイッチ12a〜12dに故障が生じたと判定された場合、スイッチ12a〜12dの接点の状態の変化に基づいて故障スイッチを特定し、故障スイッチおよびスイッチ12a〜12dの接点の状態の変化に基づいて操作方向を推定し、推定した操作方向を表す操作信号を出力する処理を実施する。
【0035】
図8に、この処理のフローチャートを示す。本操作装置が動作状態になると、制御部20bは、図8に示す処理を開始する。
【0036】
まず、スイッチ12a〜12dの接点の状態に変化があったか否かを判定する(S100)。具体的には、入力端子21a〜21dより入力されるスイッチ信号に変化があったか否かに基づいてスイッチ12a〜12dの接点の状態に変化があったか否かを判定する。具体的には、入力端子21a〜21dより入力されるスイッチ信号のレベルが変化したか否かを判定する。
【0037】
ここで、入力端子21a〜21dより入力されるスイッチ信号に変化がない場合、S100の判定を繰り返し実施する。また、入力端子21a〜21dより入力されるスイッチ信号に変化があると、次に、ユーザ判定用テーブルを参照して(S102)、操作部10a〜10dの特定が可能な組合せか否かを判定する(S104)。なお、操作部10a〜10dの特定が可能な組合せとは、2つまたは3つのスイッチの接点の状態が変化し、ユーザ判定用テーブルに示されているスイッチ信号の組合せのことをいう。反対に、操作部10a〜10dの特定が可能でない組合せとは、例えば、1つのスイッチの接点の状態が変化し、ユーザ判定用テーブルに示されていないスイッチ信号の組合せのことをいう。
【0038】
ここで、いずれもスイッチ12a〜12dにも故障が生じてなく、スイッチ信号の変化が、操作部10a〜10dの特定が可能な組合せである場合、S104の判定はYESとなり、操作された操作部を特定し、操作部を表す操作信号を出力端子OUTより出力し、本処理を終了する。
【0039】
また、スイッチ12a〜12dのいずれかに故障が生じ、スイッチ信号の変化が、操作部10a〜10dの特定が可能でない組合せの場合、S104の判定はNOとなり、故障検出処理(S200)へ進む。
【0040】
この故障検出処理のフローチャートを図9に示す。この故障検出処理では、まず、オン故障であるかオフ故障であるかを判定する(S202)。接点故障には、接点間が固着してしまうオン故障と、断線等によるオフ故障とがある。オン故障の場合、ユーザが方向キー10を操作したときに、既に接点がオン状態となっているスイッチがあり、かつ、他の1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化する。また、オフ故障の場合には、1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化し、かつ、他のスイッチの接点の状態が変化しない。
【0041】
ここでは、既に接点がオン状態となっているスイッチがあり、かつ、他の1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化した場合、既に接点がオン状態となっているスイッチがオン故障であると判定し、1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化し、かつ、他のスイッチの接点の状態が変化しない場合、他のスイッチのいずれかがオフ故障であると判定する。
【0042】
ここで、既に接点がオン状態となっているスイッチがオン故障であると判定し、1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化した場合、S202の判定はオン故障となり、既に接点がオン状態となっているスイッチを故障スイッチと特定する(S204)。例えば、既に右上のスイッチ12aの接点がオン状態となっており、かつ、スイッチ12bの接点の状態がオフ状態からオン状態に変化した場合、既に接点がオン状態となっているスイッチ12aを故障スイッチと特定する。
【0043】
次に、故障スイッチを通知する(S206)。具体的には、故障スイッチを表す信号を出力端子OUTより出力する。
【0044】
次に、ユーザ操作判定用テーブルを更新する(S208)。具体的には、故障スイッチの接点の状態変化を無効として取り扱うようにする。例えば、図7に示したユーザ操作判定用テーブルにおけるスイッチ12bが故障スイッチとして特定された場合、スイッチ12bの接点の状態を無効として取り扱うようにユーザ操作判定用テーブルを更新する。次に、更新したユーザ操作判定用テーブルを参照する(S210)。
【0045】
次に、図8の説明に戻り、故障スイッチの接点の状態を無効とし、故障スイッチ以外のスイッチの状態に基づいて方向キーの操作方向を推定し、操作部を表す操作信号を出力端子OUTより出力する(S106)。例えば、図7に示したユーザ操作判定用テーブルにおけるスイッチ12bが故障スイッチとして特定されている場合、スイッチ12bの接点の状態を無効とするため、スイッチ12aの接点の状態が変化した場合には、操作部10aが操作されたものとし、スイッチ12cの接点の状態が変化した場合には、操作部10bが操作されたものとして操作された操作部を推定する。そして、推定した操作部を表す操作信号が出力端子OUTより出力される。
【0046】
また、1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化し、かつ、他のスイッチの接点の状態が変化しない場合、図9に示したS202の判定はオフ故障となり、次に、接点がオフ状態からオン状態に変化したスイッチ以外のスイッチのいずれかを「故障疑いスイッチ」として特定する(S212)。例えば、1つの右上のスイッチ12aの接点がオフ状態からオン状態に変化し、他のスイッチ12b〜12dの接点の状態が変化しなかった場合、他のスイッチ12b〜12dを「故障疑いスイッチ」として特定し、これらの「故障疑いスイッチ」をEEPROMに記憶させる。オフ故障の場合、ユーザによる複数の操作部に対する操作から故障スイッチを絞り込む必要があるため、このように「故障疑いスイッチ」としてEEPROMに記憶させる。
【0047】
次に、スイッチ12a〜12dの接点の状態に変化があったか否かを判定する(S214)。具体的には、入力端子21a〜21dより入力されるスイッチ信号に変化があったか否かに基づいてスイッチ12a〜12dの接点の状態に変化があったか否かを判定する。
【0048】
ここで、入力端子21a〜21dより入力されるスイッチ信号に変化がない場合、S214の判定を繰り返し実施する。また、入力端子21a〜21dより入力されるスイッチ信号に変化があると、S214の判定はYESとなり、次に、ユーザ判定用テーブルを参照して(S216)、「故障疑いスイッチ」の接点に状態変化があったか否かを判定する(S218)。
【0049】
ここで、例えば、上記したS212の例と同様の操作が行われ、1つの右上のスイッチ12aの接点がオフ状態からオン状態に変化し、他のスイッチ12b〜12dの接点の状態が変化しなかった場合、S218の判定はNOとなり、S214へ戻る。
【0050】
また、「故障疑いスイッチ」の接点に状態変化があると、S218の判定はYESとなり、次に、「故障疑いスイッチ」の中から、状態変化のあった接点を有するスイッチを除外する(S220)。具体的には、EEPROMに記憶された2つの「故障疑いスイッチ」から状態変化のあった接点を有するスイッチを消去する。
【0051】
次に、「故障疑いスイッチ」が1つか否かを判定する(S222)。ここで、「故障疑いスイッチ」が2つある場合、S222の判定はNOとなり、S214へ戻る。
【0052】
そして、「故障疑いスイッチ」が1つになると、S2220の判定はYESとなり、EEPROMに「故障疑いスイッチ」として記憶されているスイッチを故障スイッチとして特定し(S224)、故障スイッチを通知する(S206)。具体的には、故障スイッチを表す信号を出力端子OUTより出力する。
【0053】
次に、ユーザ操作判定用テーブルを更新し(S208)、更新したユーザ操作判定用テーブルを参照する(S210)。
【0054】
次に、図8の説明に戻り、操作された操作部を特定し、操作部を表す操作信号を出力端子OUTより出力する(S106)。例えば、図7に示したユーザ操作判定用テーブルにおけるスイッチ12bが故障スイッチとして特定されている場合、スイッチ12bの接点の状態を無効とするため、スイッチ12aの接点の状態が変化した場合には、方向キー10が「上」方向に操作されたものとして操作方向を推定し、スイッチ12aとスイッチ12cの接点の状態が変化した場合には、方向キー10が「右上」方向に操作されたものとして操作方向を推定する。
【0055】
また、スイッチ12cの接点の状態が変化した場合には、方向キー10が「右」方向に操作されたものとして操作方向を推定し、スイッチ12cとスイッチ12dの接点の状態が変化した場合には、方向キー10が「右下」方向に操作されたものとして操作方向を推定し、スイッチ12aとスイッチ12dの接点の状態が変化した場合には、方向キー10が「左上」方向に操作されたものとして操作方向を推定する。そして、推定した操作方向を表す操作信号が出力端子OUTより出力される。
【0056】
上記した構成によれば、4つのスイッチは、方向キーの変位に応じて複数のスイッチの接点の状態が変化するように配置されており、複数のスイッチの接点の状態変化が異常であるか否かに基づいてスイッチの故障を検出し、スイッチの故障が検出された場合、複数のスイッチの接点の状態変化に基づいて故障スイッチを特定し、故障スイッチの接点の状態変化を無効とし、当該故障スイッチ以外のスイッチの接点の状態変化に基づいて方向キーの操作方向を推定し、推定した方向キーの操作方向を表す操作信号を出力するので、例えば、1つのスイッチが故障しても、方向キーの操作方向を表す操作信号が出力され、信頼性を向上することができる。
【0057】
また、既に接点がオン状態となっているスイッチがあり、かつ、他の1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化した場合、既に接点がオン状態のスイッチを故障スイッチとして特定することができる。
【0058】
また、1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化し、かつ、他のスイッチの接点の状態が変化しない場合、当該他のスイッチを故障疑いスイッチとして記憶媒体に記憶させ、記憶媒体に故障疑いスイッチを記憶された後、故障疑いスイッチのうち接点の状態が変化したスイッチがある場合、当該接点の状態が変化したスイッチを故障疑いスイッチから除外するようにして故障スイッチを特定することもできる。
【0059】
また、故障スイッチが特定されるまで、方向キーの操作方向を表す操作信号の出力が禁止されるので、より信頼性を向上することができる。
【0060】
また、特定された故障スイッチが通知されるので、修理箇所を容易に認識することが可能である。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0062】
例えば、上記実施形態では、方向キー10に対する操作に応じて接点がオン状態に変化するスイッチを備えた構成を示したが、方向キー10に対する操作に応じて接点がオフ状態に変化するスイッチを備えた構成としてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、EEPROMを記憶媒体として、この記憶媒体に「故障疑いスイッチ」を記憶させたが、EEPROM以外の記憶媒体に「故障疑いスイッチ」を記憶させるように構成してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、EEPROMを記憶媒体として、この記憶媒体に「ユーザ操作判定用テーブル」および「故障疑いスイッチ」を記憶させたが、故障疑いスイッチの修理完了後に、制御部20bから記憶媒体に「ユーザ操作判定用テーブル」および「故障疑いスイッチ」を初期状態に戻すように指示する信号を送信するように構成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、操作された操作部を表す操作信号を出力端子OUTよりシリアルデータとして出力する構成を示したが、操作された操作部を表す操作信号を複数の出力端子からパラレルデータとして出力するように構成してもよい。
【0066】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S104が故障検出手段に相当し、S204、S218、S220、S222、S224が故障スイッチ特定手段に相当し、S106が操作信号出力手段に相当し、S212が故障疑いスイッチ記憶手段に相当し、S206、S226が故障スイッチ通知手段に相当する。
【符号の説明】
【0067】
10 方向キー
11 回路基板
12a〜12d スイッチ
13a〜13d 抵抗
14 カバー
20 制御回路
20a バッファ
20b 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作に応じて、上下左右と斜め4方向の8方向のいずれか1方向に変位する方向キーと、前記方向キーの中央を中心とする正方形の頂点に対応する位置に配置され、前記方向キーの変位に応じて接点がオンまたはオフする4つのスイッチを有し、当該4つのスイッチの接点の状態に基づいて前記方向キーの操作方向を特定し、前記方向キーの操作方向を表す信号を出力する操作装置であって、
前記4つのスイッチは、前記方向キーの変位に応じて複数のスイッチの接点の状態が変化するように配置されており、
前記複数のスイッチの接点の状態変化が異常であるか否かに基づいて前記スイッチの故障を検出する故障検出手段と、
前記故障検出手段により前記スイッチの故障が検出された場合、前記複数のスイッチの接点の状態変化に基づいて故障スイッチを特定する故障スイッチ特定手段と、
前記故障スイッチの接点の状態変化を無効とし、当該故障スイッチ以外のスイッチの接点の状態変化に基づいて前記方向キーの操作方向を推定し、推定した前記方向キーの操作方向を表す操作信号を出力する操作信号出力手段と、を備えたことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記故障スイッチ特定手段は、既に接点がオン状態となっているスイッチがあり、かつ、他の1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化した場合、前記既に接点がオン状態のスイッチを前記故障スイッチとして特定することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記故障スイッチ特定手段は、1つのスイッチの接点がオフ状態からオン状態に変化し、かつ、他のスイッチの接点の状態が変化しない場合、当該他のスイッチを故障疑いスイッチとして記憶媒体に記憶させる故障疑いスイッチ記憶手段を備え、
前記記憶媒体に前記故障疑いスイッチが記憶された後、前記故障疑いスイッチのうち接点の状態が変化したスイッチがある場合、当該接点の状態が変化したスイッチを前記故障疑いスイッチから除外するようにして前記故障スイッチを特定することを特徴とする請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記操作信号出力手段は、前記故障スイッチ特定手段により前記故障スイッチが特定されるまで、前記方向キーの操作方向を表す操作信号の出力を禁止することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の操作装置。
【請求項5】
前記故障スイッチ特定手段により特定された前記故障スイッチを通知する故障スイッチ通知手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−98046(P2013−98046A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240413(P2011−240413)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】