説明

操作電子機器

【課題】簡易な構成でコストアップを抑制しつつ静電気対策を実現することができる操作電子機器を提供する。
【解決手段】キー基板43と上カバー17との間において、キー基板43とハーネス42との接続部44を覆うように舌片部35を設け、且つこの舌片部35をラバーキー30と一体的に形成する。これにより、上カバー17のキー穴28とキートップ32との隙間から侵入した静電気がキー基板43とハーネス42との接続部44に伝わることを防止できる。また静電気対策用に専用の別部品を設ける必要がないため、簡易な構成でコストアップを抑制しつつ静電気対策を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタンやキーなどの操作部材を有する操作電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタンやキーなどの操作部材を有する操作電子機器においては、操作者が操作部材を押圧すると、当該操作部材の裏面側に設けられたキー基板の接点が閉成し、これにより対応する操作信号がキー基板よりメイン基板に入力される。これにより、操作信号に対応する動作制御が行われる。
【0003】
このような操作電子機器においては、操作部材が静電気を帯びた指などにより操作されたときに、静電気がケースと操作部材との隙間から侵入し、キー基板からメイン基板に伝わって、メイン基板に実装された電子素子等に不具合を生じさせるおそれがある。
【0004】
そこで、操作部材とキー基板との間に絶縁部材を設け、静電気の侵入を防止する操作電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−263042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、操作部材とキー基板との間に絶縁部材を設けることで、静電気の侵入を防止することができる。しかしながら、静電気対策用に専用の別部品を設ける構成であるため、当該部品の取付部材等も必要となるなど、装置構成が複雑化する上、コストも増大してしまうという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、簡易な構成でコストアップを抑制しつつ静電気対策を実現することができる操作電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1発明の操作電子機器は、電子素子を実装したメイン基板と、前記メイン基板とハーネスを介して接続され、複数の接点を有するキー基板と、平面部から突出した複数のキートップ、及びこれら複数のキートップの裏面側に設けられ、前記複数の接点とそれぞれ対向する複数の導電部を有するラバーキーと、前記複数のキートップがそれぞれ挿入される複数のキー穴を有するケースと、前記キー基板と前記ケースとの間において、前記キー基板と前記ハーネスとの接続部を覆うように設けた絶縁部材とを有し、前記ラバーキーと前記絶縁部材とを一体的に形成したことを特徴とする。
【0009】
ラバーキーを有する操作電子機器においては、操作者がラバーキーに設けられたキートップを押圧すると、当該キートップの裏面側に設けられた導電部がキー基板の接点を閉成し、これにより対応する操作信号がキー基板よりハーネスを経由してメイン基板に入力される。これにより、操作信号に対応する動作制御が行われる。
【0010】
このような操作電子機器においては、ラバーキーのキートップが静電気を帯びた指などにより操作されたときに、静電気がケースのキー穴とキートップとの隙間から侵入し、ラバーキーの表面を伝わってキー基板とハーネスとの接続部に伝わり、ハーネスを経由してメイン基板に伝わって、メイン基板に実装された電子素子等に不具合が生じるという問題がある。
【0011】
そこで本願第1発明においては、キー基板とケースとの間において、キー基板とハーネスとの接続部を覆うように絶縁部材を設け、且つこの絶縁部材をラバーキーと一体的に形成する。これにより、ケースのキー穴とキートップとの隙間から侵入した静電気がキー基板とハーネスとの接続部に伝わることを防止できると共に、静電気対策用に専用の別部品を設ける必要がないため、簡易な構成でコストアップを抑制しつつ静電気対策を実現することができる。
【0012】
第2発明の操作電子機器は、上記第1発明において、前記絶縁部材は、前記ラバーキーの前記平面部の周縁において、幅方向両側に切欠部を設けることにより舌片状に形成された舌片部であることを特徴とする。
【0013】
本願第2発明においては、ラバーキーの平面部の周縁において幅方向両側に切欠部を設けることにより舌片部を形成し、この舌片部を絶縁部材として使用する。これにより、絶縁部材とラバーキーとを確実に一体的に形成することができる。また幅方向両側がフリーなため、舌片部を撓ませることができる。その結果、キー基板とハーネスとの接続部の形状に柔軟に対応し、当該接続部を確実に覆うことができる。またこのように舌片部を柔軟に撓ませることができる結果、接続部を覆った際に舌片部の周囲部分が引っ張られることを回避でき、ラバーキーの機能特性が低下するのを防止できる。
【0014】
第3発明の操作電子機器は、上記第2発明において、前記舌片部は、前記ラバーキーの前記舌片部以外の部位である本体部よりも薄肉に形成されていることを特徴とする。
【0015】
本願第3発明においては、舌片部の肉厚を、舌片部以外の部位である本体部の肉厚よりも薄肉となるように形成する。これにより、舌片部をさらに柔軟にすることができる。その結果、キー基板とハーネスとの接続部を確実に覆うことができ、またラバーキーの機能特性が低下するのを確実に防止できる。
【0016】
第4発明の操作電子機器は、上記第2又は第3発明において、前記舌片部は、前記ラバーキーの最上段に配列されている前記キートップの近傍に形成されていることを特徴とする。
【0017】
一般に操作電子機器のラバーキーのキー配列において、最上段に配列されたキートップ近傍は機器の中央部であることが多い。この中央部の内部は、メイン基板等が実装されており、電気絶縁性が強く要求されている。そこで本願第4発明では、このようなラバーキーの最上段に配列されているキートップの近傍に舌片部を設けることにより、上記要求に対応し、機器中央部内に実装されるメイン基板等の機器を静電気から確実に保護することができる。
【0018】
第5発明の操作電子機器は、上記第2乃至第4発明のいずれかにおいて、前記接続部は、前記ハーネスの端子を前記キー基板に設けた端子孔に裏面側から貫通させ、前記キー基板の表面上に突出させた前記端子を半田付けにより固定した構造を有しており、前記舌片部は、前記本体部より前記キー基板の表面上に突出した前記端子上に向かって屈曲して延設されていることを特徴とする。
【0019】
ハーネスと基板との接続は、基板にコネクタを設けて当該コネクタを介して接続させる場合や、コネクタを設けずに、ハーネスの端子を基板に設けた端子孔に裏面側から貫通させ、基板の表面上に突出させて半田付けすることにより直接的に固定する場合がある。後者の場合はコネクタは不要となるが、ハーネスの端子が基板上に突出するという問題がある。
【0020】
本願第5発明では、後者の接続構造を採用し、舌片部を本体部より屈曲させてキー基板の表面上に突出した端子上に向かって延設する。これにより、上述したようにハーネスとキー基板との接続にコネクタが不要となり、簡易な接続構造とできる上、コストも低減できる。またこのような接続構造を採用しても、舌片部を突出した端子に対応して撓ませて確実に覆うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡易な構成でコストアップを抑制しつつ静電気対策を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】印字ラベル作成装置を斜め上方向から見た外観を表す斜視図である。
【図2】下カバーを開放した状態の印字ラベル作成装置を斜め下方向から見た外観を表す斜視図である。
【図3】カートリッジの内部構造を表す図である。
【図4】上カバーを外した状態の印字ラベル作成装置を斜め上方向から見た斜視図である。
【図5】図4中V−V断面による側断面図である。
【図6】ラバーキーの全体構造を表す平面図である。
【図7】図6中VII−VII断面によるラバーキーの側断面図である。
【図8】舌片部を箱型形状とする変形例のラバーキーの全体構造を表す平面図である。
【図9】図8中IX−IX断面によるラバーキーの側断面図である。
【図10】ラバーキーの周囲に舌状部材を設ける変形例における上カバーを外した状態の印字ラベル作成装置を斜め上方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
本実施形態は、本発明を操作電子機器としての印字ラベル作成装置1に適用したものである。この印字ラベル作成装置1は、所望の印刷を行った印刷済ラベル用テープを所定の長さに切断することにより印字ラベルを作成するものである。まず、この印字ラベル作成装置1の概略構成について説明する。なお、本明細書において前・後・左・右・上・下方向というときは、図1及び図2等に示す方向を指すものである。
【0025】
図1は、印字ラベル作成装置1を斜め上方向から見た外観を表す斜視図である。
【0026】
図1に示すように、印字ラベル作成装置1の筐体2は、装置下面を構成する下カバー15と、装置側面を構成する横カバー16と、装置上面を構成する上カバー17とにより構成されている。上カバー17には、前方向から後方向に向けて、文字入力等の種々の操作が行われるキーボード3、電源スイッチや印刷キー等の印字ラベル作成装置1の各種機能を実行させるための機能キー群4、及び入力した文字や記号等を表示するための液晶ディスプレイ5が設けられている。また横カバー16の右側後方には、印刷された印刷済ラベル用テープ106(後述の図3参照)をカットするためのカッターレバー7が設けられている。
【0027】
上記キーボード3及び機能キー群4を構成する各キーに対応する複数のキートップ32はラバーキー30(後述の図6等参照)に設けられており、このラバーキー30に設けられた各キートップ32が、上カバー17(ケース)の対応する位置に設けられた複数のキー穴28にそれぞれ挿入されて、装置上面側に露出している。
【0028】
図2は、下カバー15を開放した状態の印字ラベル作成装置1を斜め下方向から見た外観を表す斜視図である。
【0029】
図2に示すように、印字ラベル作成装置1の裏面後方には、印刷済ラベル用テープ106を供給するカートリッジ8を着脱可能なカートリッジホルダ9が設けられている。このカートリッジホルダ9は、印字ラベル作成装置1の前端部を回転軸として開閉可能に構成された下カバー15を閉じると覆われ、下カバー15を開放すると露出されるようになっている。カートリッジホルダ9には、カートリッジ8内の使用済みのインクリボン10(後述の図3参照)を巻き取るためのリボン巻き取り軸11と、印刷済みの印刷済ラベル用テープ106を搬送するためのテープ送りローラ22(後述の図4参照)を駆動するためのテープ送りローラ駆動軸12とが設けられている。またカートリッジホルダ9には、カバーフィルム6(後述の図3参照)に所望の印刷を行う印字ヘッド13が、カートリッジ装着時にその開口部14に位置するように設けられている。
【0030】
図3は、カートリッジ8の内部構造を表す図である。なおこの図3には、カートリッジ8の内部構造と共に、印字ラベル作成装置1の印刷機構の一部である、印字ヘッド13やローラホルダ19等を図示している。
【0031】
図3に示すように、カートリッジ8には、透明なフィルムであるカバーフィルム6と、カバーフィルム6に転写されるインクを表面に塗布されたインクリボン10と、印刷が行われたカバーフィルム6の裏面に貼り合わされる、当該カバーフィルム6と同一テープ幅である基材テープ20とが、それぞれ回転自在に設置されたリール部材に巻回されてロール状に構成されたロール25,26,27が設けられている。またこれらのロール25,26,27の間には、印刷に使用された後のインクリボン10を巻き取るリボン巻き取りローラ21が設けられている。さらにカートリッジ8には、開口部14近傍において、基材テープ20とカバーフィルム6とを押圧し接着させて印刷済みラベル用テープ106としつつ、当該印刷済みラベル用テープ106をカートリッジ8の外部に排出する上記テープ送りローラ22が設けられている。
【0032】
また印字ラベル作成装置1側に設けられたローラホルダ19は、印字ヘッド13と対向する位置に配置されたプラテンローラ18を保持すると共に、テープ送りローラ22と対向する位置に配置された押圧ローラ23を保持する。プラテンローラ18と押圧ローラ23とは、ローラホルダ19に回転可能に取り付けられており、またローラホルダ19は、ホルダ軸24により回動可能に取り付けられている。ローラホルダ19の回動により、プラテンローラ18と押圧ローラ23とは、印字ヘッド13及びテープ送りローラ22に押圧される押圧位置A(図3中実線で示す)と、印字ヘッド13及びテープ送りローラ22より離間する退避位置B(図3中2点鎖線で示す)とのいずれかの位置に保持される。
【0033】
上記構成であるカートリッジ8をカートリッジホルダ9に装着すると、カートリッジホルダ9に設けられたリボン巻き取り軸11及びテープ送りローラ駆動軸12は、カートリッジ8のリボン巻き取りローラ21及びテープ送りローラ22に、それぞれ連結される。そして、下カバー15が閉じられると、上記ローラホルダ19が回動して押圧位置Aとなり、プラテンローラ18と押圧ローラ23とが印字ヘッド13及びテープ送りローラ22に押圧される。その後、印字ラベル作成時には、リボン巻き取りローラ21及びテープ送りローラ22が回転駆動される。これにより、カバーフィルム6とインクリボン10とがそれぞれのロール25,26より繰り出され、重ね合わされて印字ヘッド13に搬送され、所定の印刷が行われる。そして、使用済みのインクリボン10は印刷が行われたカバーフィルム6と離れて、リボン巻き取りローラ21に巻き取られる。一方、印刷が行われたカバーフィルム6は、テープ送りローラ22により、ロール27より繰り出された基材テープ20と貼り合わせられて印刷済みラベル用テープ106とされ、当該印刷済みラベル用テープ106は外部に排出される。そして、前述したカッターレバー7が操作されることによって、印刷済みラベル用テープ106が所定の長さに切断され、印字ラベルが作成される。
【0034】
なお、印字ラベル作成後、下カバー15が開放されると、ローラホルダ19が回動して退避位置Bとなり、プラテンローラ18と押圧ローラ23とが印字ヘッド13及びテープ送りローラ22より離間する。これにより、カートリッジ8をカートリッジホルダ9より脱着することが可能となる。
【0035】
以上説明した印字ラベル作成装置1において、本実施形態の最大の特徴はラバーキーの構造にある。以下、その詳細について説明する。
【0036】
図4は、上カバー17を外した状態の印字ラベル作成装置1を斜め上方向から見た斜視図であり、図5は、図4中V−V断面による側断面図である。なお、図5には、ハーネス42とキー基板43との接続部44の部分拡大図を併せて示している。
【0037】
これら図4及び図5に示すように、印字ラベル作成装置1は、筐体2の内部に、電子素子(ICチップ等)を実装したメイン基板41と、このメイン基板41とハーネス42を介して接続され、複数の接点(図示せず)を有するキー基板43と、このキー基板43と上カバー17との間に、キー基板43の上側に重ね合わせるように設けられた前述のラバーキー30とを有している。このラバーキー30は絶縁材料により構成されており、平面部31から上側に突出した複数のキートップ32を有している。この複数のキートップ32は、前述したキーボード3の各キーを構成する第1キートップ33と、機能キー群4の各キーを構成する第2キートップ34とから構成されている。これら複数のキートップ32の裏面側には、キー基板43の対応する接点に対し対向する導電部(図示省略)がそれぞれ設けられている。
【0038】
上記構成により、操作者がラバーキー30に設けられたキートップ32を押圧すると、当該キートップ32の裏面側に設けられた導電部がキー基板43の対応する接点を閉成し、これにより対応する操作信号がキー基板43よりハーネス42を経由してメイン基板41に入力される。これにより、操作信号に対応する動作制御が行われる。
【0039】
また図5中部分拡大図に示すように、ハーネス42とキー基板43との接続部44は、ハーネス42のキー基板側の端子42aをキー基板43に設けた端子孔43aに裏面側から貫通させ、キー基板43の表面上に突出させた端子42aを半田付けにより固定した構造となっている。本実施形態では、この接続部44を、ラバーキー30の後端側に形成した舌片部35によって上側より覆っている。舌片部35の詳細については後述するが、図5に示すように、舌片部35は、ラバーキー30の本体部37よりキー基板43の表面上に突出したハーネス端子42a上に向かって屈曲し、ハーネス端子42aを覆うように延設されている。
【0040】
図6は、ラバーキー30の全体構造を表す平面図、図7は、図6中VII−VII断面によるラバーキー30の側断面図である。
【0041】
これら図6及び図7に示すように、上記舌片部35は、ラバーキー30の平面部31の周縁の後端側略中央部において、幅方向両側に切欠部36を設けることにより舌片状に形成されている。すなわち、舌片部35(絶縁部材)は絶縁材料で構成されたラバーキー30と一体的な構成となっており、これにより舌片部35は、上カバー17のキー穴28とキートップ32(特に第2キートップ34)との隙間から侵入した静電気がキー基板43とハーネス42との接続部44に伝わることを防止する絶縁部材として機能する。
【0042】
また舌片部35は、図7に示すように、ラバーキー30の舌片部35以外の部位である本体部37よりも薄肉に形成されている。このように、舌片部35を単に舌片状に形成するだけでなく薄肉とすることにより、舌片部35を柔軟に撓ませることができるようになっている。また舌片部35は、ラバーキー30で最上段に配列されたキートップ32(すなわち第2キートップ34のうち後側に配列されたもの)の近傍に設けられている。
【0043】
以上説明した本実施形態の印字ラベル作成装置1によれば、以下の作用効果を得ることができる。すなわち、一般にラバーキーを有する操作電子機器においては、ラバーキーのキートップが静電気を帯びた指などにより操作されたときに、静電気がカバーのキー穴とキートップとの隙間から侵入し、ラバーキーの表面を伝わってキー基板とハーネスとの接続部に伝わり、ハーネスを経由してメイン基板に伝わって、メイン基板に実装された電子素子等に不具合が生じるという問題がある。
【0044】
そこで本実施形態の印字ラベル作成装置1においては、キー基板43と上カバー17との間において、キー基板43とハーネス42との接続部44を覆うように舌片部35を設け、且つこの舌片部35をラバーキー30と一体的に形成する。これにより、上カバー17のキー穴28とキートップ32(特に第2キートップ34)との隙間から侵入した静電気がキー基板43とハーネス42との接続部44に伝わることを防止できると共に、静電気対策用に専用の別部品を設ける必要がないため、簡易な構成でコストアップを抑制しつつ静電気対策を実現することができる。
【0045】
また、本実施形態では特に、ラバーキー30の平面部31の周縁において幅方向両側に切欠部36を設けることにより舌片部35を形成し、この舌片部35を絶縁部材として使用する。これにより、絶縁部材としての舌片部35とラバーキー30とを確実に一体的に形成することができる。また幅方向両側がフリーなため、舌片部35を撓ませることができる。その結果、キー基板43とハーネス42との接続部44の形状に柔軟に対応し、当該接続部44を確実に覆うことができる。またこのように舌片部35を柔軟に撓ませることができる結果、接続部44を覆った際に舌片部35の周囲部分が引っ張られることを回避でき、ラバーキー30の機能特性が低下するのを防止できる。
【0046】
また、本実施形態では特に、舌片部35の肉厚を、舌片部35以外の部位である本体部37の肉厚よりも薄肉となるように形成する。これにより、舌片部35をさらに柔軟にすることができる。その結果、キー基板43とハーネス42との接続部44を確実に覆うことができ、またラバーキー30の機能特性が低下するのを確実に防止できる。
【0047】
また、本実施形態では特に次のような効果も得られる。すなわち、一般に操作電子機器のラバーキーのキー配列において、最上段に配列されたキートップ近傍は機器の中央部であることが多い。この中央部の内部は、メイン基板等が実装されており、電気絶縁性が強く要求されている。そこで本実施形態の印字ラベル作成装置1では、このようなラバーキー30の最上段に配列されているキートップ32(上記実施形態では第2キートップ34のうち後側に配列されたもの)の近傍に舌片部35を設けることにより、上記要求に対応し、機器中央部内に実装されるメイン基板41等の機器を静電気から確実に保護することができる。
【0048】
また、本実施形態では特に、次のような効果も得られる。すなわち、一般にハーネスと基板との接続は、基板にコネクタを設けて当該コネクタを介して接続させる場合や、コネクタを設けずに、ハーネスの端子を基板に設けた端子孔に裏面側から貫通させ、基板の表面上に突出させて半田付けすることにより直接的に固定する場合がある。後者の場合はコネクタは不要となるが、ハーネスの端子が基板上に突出するという問題がある。
【0049】
本実施形態の印字ラベル作成装置1では、後者の接続構造を採用し、舌片部35を本体部37より屈曲させてキー基板43の表面上に突出した端子42a上に向かって延設する。これにより、上述したようにハーネス42とキー基板43との接続にコネクタが不要となり、簡易な接続構造とできる上、コストも低減できる。またこのような接続構造を採用しても、舌片部35を突出した端子42aに対応して撓ませて確実に覆うことができる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0051】
(1)舌片部を箱型形状とする場合
図8は、本変形例のラバーキー30Aの全体構造を表す平面図、図9は、図8中IX−IX断面によるラバーキー30Aの側断面図である。
【0052】
これら図8及び図9に示すように、本変形例のラバーキー30Aは、平面部31の周縁の後端側略中央部に、略箱型形状の被覆部35Aを有している。この被覆部35Aは、その下側及び後側を開放させており、前述の接続部44においてキー基板43の表面上に突出させた端子42aを上側より覆う構造となっている。この被覆部35A(絶縁部材)は、前述の舌片部35と同様に、絶縁材料で構成されたラバーキー30と一体的な構成となっており、これにより被覆部35Aは、上カバー17のキー穴28とキートップ32(特に第2キートップ34)との隙間から侵入した静電気がキー基板43とハーネス42との接続部44に伝わることを防止する絶縁部材として機能する。
【0053】
上記構成である本変形例においても、前述の実施形態と同様に、簡易な構成でコストアップを抑制しつつ静電気対策を実現することができる。
【0054】
(2)ラバーキーの周囲に舌状部材を設ける場合
図10は、本変形例における上カバー17を外した状態の印字ラベル作成装置1を斜め上方向から見た斜視図である。この図10に示すように、本変形例のラバーキー30Bは、前述した舌片部35の他に、平面部31の周縁の前側及び左右側に複数の舌片状の舌片部38を有している。各舌片部38は絶縁材料で構成されたラバーキー30と一体的な構成となっており、これにより舌片部38は、上カバー17のキー穴28とキートップ32(特に外周部に配置されたもの)との隙間から侵入した静電気が装置内部(キー基板43等)に伝わることを防止する絶縁部材として機能する。なお、各舌片部38の間には切欠部39が形成され、軸部材45による上カバー17との組み付けに支障を来さないようになっている。
【0055】
本変形例によれば、キー基板43とハーネス42との接続部44のみでなく、ラバーキー30Bの周囲部分(前側及び左右側)についても静電気が装置内部に侵入することを防止できるので、静電気侵入防止機能をさらに高めることができる。
【0056】
(3)その他
以上においては、印刷の終了した印刷済ラベル用テープ106をカッタで切断して印字ラベルを作成する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、カッタで切断しなくても、テープが排出された後にラベル台紙(対応する印字がなされたもの)のみをテープから剥がして印字ラベルを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
【0057】
また、以上においては、基材テープ20とは別のカバーフィルム6に印刷を行ってこれらを貼り合わせる方式であったが、これに限られず、印字テープに備えられた被印字テープ層に印字を行う方式(貼りあわせを行わないタイプ)に本発明を適用してもよい。
【0058】
さらに、以上は、基材テープ20やカバーフィルム6がリール部材の周りに巻回されてロールを構成し、カートリッジ8内にそのロールが配置されて印刷済ラベル用テープ106が繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタックして(例えばトレイ状のものに平積み積層して)カートリッジ化し、このカートリッジを印字ラベル作成装置1側のカートリッジホルダ9に装着して、上記収納部から移送、搬送し印刷を行い印字ラベルを作成するようにしてもよい。
【0059】
さらには上記ロールを直接印字ラベル作成装置1側に着脱可能に装着する構成や、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシートを印字ラベル作成装置1外より1枚ずつ所定のフィーダ機構によって移送し印字ラベル作成装置1内へ供給する構成も考えられ、さらにはカートリッジ8のような印字ラベル作成装置1の本体側に着脱可能なものにも限られず、装置本体側に着脱不能のいわゆる据え付け型あるいは一体型としてロール25,27等を設けることも考えられる。この場合も同様の効果を得る。
【0060】
また以上では、操作電子機器の一例として印字ラベル作成装置1に本発明を適用した場合を説明したが、その他にも、例えば電子計算機やゲーム機、携帯端末等、ラバーキーを有する操作電子機器であれば本発明は種々の操作電子機器に対して適用可能である。
【0061】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0062】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 印字ラベル作成装置(操作電子機器)
17 上カバー(ケース)
28 キー穴
30 ラバーキー
30A ラバーキー
30B ラバーキー
31 平面部
32 キートップ
35 舌片部(絶縁部材)
35A 被覆部(絶縁部材)
36 切欠部
37 本体部
38 舌片部(絶縁部材)
41 メイン基板
42 ハーネス
43 キー基板
44 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子を実装したメイン基板と、
前記メイン基板とハーネスを介して接続され、複数の接点を有するキー基板と、
平面部から突出した複数のキートップ、及びこれら複数のキートップの裏面側に設けられ、前記複数の接点とそれぞれ対向する複数の導電部を有するラバーキーと、
前記複数のキートップがそれぞれ挿入される複数のキー穴を有するケースと、
前記キー基板と前記ケースとの間において、前記キー基板と前記ハーネスとの接続部を覆うように設けた絶縁部材とを有し、
前記ラバーキーと前記絶縁部材とを一体的に形成した
ことを特徴とする操作電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の操作電子機器において、
前記絶縁部材は、
前記ラバーキーの前記平面部の周縁において、幅方向両側に切欠部を設けることにより舌片状に形成された舌片部である
ことを特徴とする操作電子機器。
【請求項3】
請求項2記載の操作電子機器において、
前記舌片部は、
前記ラバーキーの前記舌片部以外の部位である本体部よりも薄肉に形成されている
ことを特徴とする操作電子機器。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の操作電子機器において、
前記舌片部は、
前記ラバーキーの最上段に配列されている前記キートップの近傍に形成されている
ことを特徴とする操作電子機器。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の操作電子機器において、
前記接続部は、
前記ハーネスの端子を前記キー基板に設けた端子孔に裏面側から貫通させ、前記キー基板の表面上に突出させた前記端子を半田付けにより固定した構造を有しており、
前記舌片部は、前記本体部より前記キー基板の表面上に突出した前記端子上に向かって屈曲して延設されている
ことを特徴とする操作電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−271965(P2010−271965A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123745(P2009−123745)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】