説明

攪拌搬送装置

【課題】 攪拌室形成部材内に受け入れた粉粒体群を攪拌室形成部材の長手方向に沿って良好に搬送させることができながら、粉粒体群を攪拌する機能を向上し得る攪拌搬送装置を提供する。
【解決手段】 横倒れ姿勢の筒状の攪拌室形成部材50の内部に、受入口55から攪拌室形成部材50の内部に受け入れた粉粒体群を攪拌室形成部材50の長手方向に搬送して排出口57から排出させる螺旋状回転体91が備えられた攪拌搬送装置であって、
螺旋状回転体91が、螺旋状の搬送作用部91bの内部を中空状態にして形成され、その螺旋状回転体91の内部に、螺旋状回転体91の長手方向に沿う軸心周りで回転して、粉粒体群を攪拌する攪拌用回転体92が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横倒れ姿勢の筒状の攪拌室形成部材の内部に、受入口から前記攪拌室形成部材の内部に受け入れた粉粒体群を前記攪拌室形成部材の長手方向に搬送して排出口から排出させる螺旋状回転体が備えられた攪拌搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる攪拌搬送装置は、横倒れ姿勢の筒状の攪拌室形成部材の内部に螺旋状回転体を備えさせて、受入口から攪拌室形成部材の内部に受け入れた粉粒体群を螺旋状回転体により攪拌室形成部材の長手方向に搬送して排出口から排出させるように構成したものである。
【0003】
このような攪拌搬送装置において、従来は、前記螺旋状回転体は、攪拌室形成部材の長手方向に沿うように設けられた軸体の外周部に、板体を螺旋状に屈曲させて形成したスクリュー羽根をその長手方向を軸体の軸芯方向に沿わせた状態で固定した構成となっており、軸体の回転に伴ってスクリュー羽根により粉粒体群を押し移動させながら搬送させる構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【特許文献1】特開平5−137521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術においては、前記軸体の回転に伴って前記スクリュー羽根により粉粒体群を押し移動させながら搬送させる構成となっていることから、粉粒体群を攪拌室形成部材の長手方向に沿って搬送させる機能は充分に発揮することができるが、粉粒体群を攪拌させる機能が充分ではないという不利な面があった。
【0006】
説明を加えると、上記構成によれば、前記スクリュー羽根は、前記軸体との連結箇所すなわち径方向内方側端部から径方向外方側端部に至るまで板状となるものであり、スクリュー羽根は径方向内方側端部から径方向外方側端部に至るまで閉塞された状態となっている。従って、軸体が回転操作されると、粉粒体群は前記スクリュー羽根によって軸芯方向にそのまま押し移動される傾向が強く、粉粒体群は隣接するもの同士の相対位置関係がほとんど変化しない状態でほぼ同じ姿勢のまま搬送されることが多く粉粒体群を攪拌する機能が充分ではなかった。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、攪拌室形成部材内に受け入れた粉粒体群を攪拌室形成部材の長手方向に沿って良好に搬送させることができながら、粉粒体群を攪拌する機能を向上し得る攪拌搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の攪拌搬送装置は、横倒れ姿勢の筒状の攪拌室形成部材の内部に、受入口から前記攪拌室形成部材の内部に受け入れた粉粒体群を前記攪拌室形成部材の長手方向に搬送して排出口から排出させる螺旋状回転体が備えられたものであって、
第1特徴構成は、前記螺旋状回転体が、螺旋状の搬送作用部の内部を中空状態にして形成され、
その螺旋状回転体の内部に、螺旋状回転体の長手方向に沿う軸心周りで回転して、粉粒体群を攪拌する攪拌用回転体が設けられている点を特徴とする。
【0009】
即ち、螺旋状の搬送作用部の内部が中空状態の螺旋状回転体が攪拌室形成部材の長手方向に沿う軸芯周りで回転され、且つ、その螺旋状回転体の内部にて、攪拌用回転体が螺旋状回転体の長手方向に沿う軸心周りで回転されるので、粉粒体群は、螺旋状回転体の螺旋状の搬送作用部により、攪拌室形成部材内の底部側に存在して螺旋状の搬送作用部の径方向内外に移動しつつ攪拌室形成部材の長手方向に沿って搬送される状態で、螺旋状回転体の内部にて回転する攪拌用回転体によって攪拌されることにより、良好に攪拌されながら攪拌室形成部材の長手方向に沿って良好に搬送される。
【0010】
つまり、螺旋状の搬送作用部の内部が中空状態の螺旋状回転体としては、その径方向内方側に攪拌室形成部材の長手方向に連なる内部空間を備え且つその螺旋状の搬送作用部の間が前記内部空間に連通するように開口される状態に形成される。
そして、その螺旋状回転体が回転駆動されるに伴って、その螺旋状の搬送作用部によって粉粒体群が攪拌室形成部材の長手方向に沿って押し移動されることになるが、そのとき、螺旋状回転体における螺旋状の搬送作用部は攪拌室形成部材の長手方向に沿って螺旋状に延びているので、粉粒体群を攪拌室形成部材の長手方向に沿って押し移動させる機能を充分に発揮させながら、螺旋状の搬送作用部により粉粒体群を滑らかに押し移動することができるものとなり、粉粒体群は、その流動状態の淀みが十分に抑制された状態で、攪拌室形成部材の底部側に存在する状態で攪拌室形成部材の長手方向に沿って良好に搬送することが可能となる。
【0011】
又、螺旋状回転体の螺旋状の搬送作用部は、螺旋状の搬送作用部の間が内部空間に連通するように開口されているので、粉粒体群は、攪拌室形成部材内の底部側に存在する状態で、螺旋状の搬送作用部によって攪拌室形成部材の長手方向に向けて押し移動されつつ、螺旋状の搬送作用部の径方向内外に移動し、更に、螺旋状の搬送作用部の内部空間に入った粉粒体群は、その内部空間にて回転している攪拌用回転体によって攪拌されることとなり、粉粒体群を十分に攪拌することが可能となるのである。
【0012】
つまり、螺旋状回転体を回転させるだけでは、粉粒体群は、攪拌室形成部材の底部側に溜まった状態で、層状態が余り乱されない状態で層状に流動することになるので、粉粒体群の攪拌を十分に行い難いものであるが、その螺旋状の搬送作用部の内部で攪拌用回転体を回転させることにより、攪拌室形成部材の底部側で層状に流動している粉粒体群の一部を持ち上げて転回させる等により、層状に流動している粉粒体群を積極的に乱すことが可能となり、粉粒体群の攪拌を効果的に促進させることが可能となるのである。
【0013】
従って、攪拌室形成部材内に受け入れた粉粒体群を攪拌室形成部材の長手方向に沿って良好に搬送させることができながら、粉粒体群を攪拌する機能を向上し得る攪拌搬送装置を提供することができるようになった。
【0014】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記攪拌用回転体が、前記螺旋状回転体の回転軸心とは離れた位置で前記螺旋状回転体の長手方向に沿って伸びる棒状に形成されて、前記螺旋状回転体と一体回転するように設けられている点を特徴とする。
【0015】
即ち、攪拌用回転体が、螺旋状回転体の回転軸心とは離れた位置で螺旋状回転体の長手方向に沿って伸びる棒状に形成されて、螺旋状回転体と一体回転するように設けられているので、螺旋状回転体の回転軸心とは離れた位置から棒状に伸びる攪拌用回転体によって、攪拌室形成部材の底部側に溜まっている粉粒体群を攪拌室形成部材の長手方向における広い範囲にわたって、効率良く持ち上げて攪拌することが可能となり、粉粒体群の攪拌をより一層促進させることが可能となる。
【0016】
又、攪拌用回転体が螺旋状回転体と一体回転して、攪拌用回転体と螺旋状回転体とが同一の回転速度で回転するので、攪拌用回転体と螺旋状回転体との回転速度が異なる場合に比べて、粉粒体群が螺旋状回転体と攪拌用回転体とに挟まれて粉粒体群に応力がかかるのを抑制することが可能となるので、粉粒体群の損傷を抑制することが可能となる。
又、攪拌用回転体を螺旋状回転体と一体回転するように構成することにより、攪拌用回転体を螺旋状回転体とは別個に回転するように構成する場合に比べて、構成の簡略化を図ることが可能となるので、低廉化を図ることが可能となる。
従って、低廉化を図りながら、粉粒体群を攪拌する機能をより一層向上すると共に、その攪拌に伴う粉粒体群の損傷を抑制することができるようになった。
【0017】
第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記螺旋状回転体の粉粒体群搬送方向上手側端部が、駆動回転部にて支持されるように構成され、
前記攪拌用回転体が、粉粒体群搬送方向下手側にて反転させたU字状に形成されて、粉粒体群搬送方向上手側端部を前記駆動回転部に支持させた片持ち状態で設けられている点を特徴とする。
【0018】
即ち、駆動回転部を、攪拌室形成部材に対してその粉粒体群搬送方向上手側に設け、その駆動回転部に、螺旋状回転体及びU字状の攪拌用回転体のいずれも、粉粒体群搬送方向上手側端部を支持させて片持ち状態に設けるので、螺旋状回転体及び攪拌用回転体を駆動回転するための構成を簡略化することが可能となる。
【0019】
又、螺旋状回転体の回転軸心とは離れた位置で螺旋状回転体の長手方向に沿って伸びる棒状の攪拌用回転体を、片持ち状態で駆動回転部に支持させて設けながらも、攪拌用回転体をU字状に形成することにより、回転に伴ってU字状の攪拌用回転体が揺れるのを抑制しながら、U字状の攪拌用回転体の2本の棒状部分にて粉粒体群を攪拌することが可能となるので、粉粒体群の攪拌をより一層促進させることが可能となる。
従って、更なる低廉化を図りながら、粉粒体群を攪拌する機能を更に向上することができるようになった。
【0020】
第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
前記粉粒体が米粒であり、被覆材溶液供給口を通して米粒被覆用の被覆材溶液を前記攪拌室形成部材の内部に位置する米粒群に供給する被覆材溶液供給手段が設けられている点を特徴とする。
【0021】
即ち、螺旋状回転体と攪拌用回転体とにより攪拌室形成部材内を攪拌されながら搬送される米粒群に、被覆材溶液供給口を通して被覆材溶液供給手段により被覆材溶液が供給されるので、米粒群が被覆材溶液と攪拌されながら搬送されることになり、米粒の表面に被覆材溶液が被覆される。
【0022】
つまり、このような攪拌搬送装置が、例えば、糊粉層の全て又は略全てを除去した米粒の表面に澱粉溶液等の被覆材溶液を被覆して、米粒の表面に被膜を形成する所謂無洗米を製造する無洗米製造用として用いられる場合がある。
【0023】
そして、上述のように、螺旋状回転体を螺旋状の搬送作用部の内部を中空状態にして形成し、その螺旋状回転体の内部に、螺旋状回転体の長手方向に沿う軸心周りで回転して、粉粒体群を攪拌する攪拌用回転体を設けることにより、先に第1特徴構成について説明したのと同様に、螺旋状回転体と攪拌用回転体とにより攪拌作用を発揮させて、米粒群と被覆材溶液とを十分に攪拌することが可能となるので、米粒の一粒一粒をその表面の全体又は略全体にわたる状態で被覆材溶液にて適切に被覆することが可能となる。
従って、米粒の表面に被覆材溶液を適切に被覆させることが可能な攪拌搬送装置を提供することができるようになった。
【0024】
第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記被覆材溶液供給手段が、被覆材溶液噴出部から噴出される被覆材溶液をエアー噴出部から噴出されるエアーの混合により霧化状態で供給するように、且つ、米粒群の搬送方向に拡散する状態で供給するように構成されている点を特徴とする。
【0025】
即ち、空気噴出部から噴出される空気と被覆材溶液噴出部から噴出される被覆材溶液とが混合されて被覆材溶液が霧化され、そのように霧化された被覆材溶液が攪拌室形成部材内を搬送されている米粒群に対して、米粒群の搬送方向に拡散する状態で供給される。
【0026】
つまり、このように被覆材溶液が霧化された状態で米粒群に対して供給されるので、例えば少量の被覆材溶液を供給するような場合であっても、被覆材溶液が霧状になって広い範囲にわたって拡散する状態で極力均等に米粒群に対して吹きかけられることとなる。
しかも、霧化された被覆材溶液が攪拌室形成部材内を搬送されている米粒群に対して、米粒群の搬送方向に拡散する状態で吹きかけられるので、米粒に極力長い時間にわたって霧化状態の被覆材溶液が吹きかけられるようにすることが可能となるので、米粒一粒一粒を被覆状態のバラツキをより一層抑制した状態で被覆材溶液にて被覆することが可能となる。
【0027】
従って、攪拌室形成部材内を搬送されている米粒に対して供給される被覆材溶液の単位時間あたりの供給量が少ない場合であっても、被覆材溶液による米粒の表面の被覆をより一層適切に行うことができるようになった。
【0028】
第6特徴構成は、上記第4又は第5特徴構成に加えて、
前記被覆材溶液供給手段が、前記攪拌室形成部材の長手方向に沿う方向視にて、前記攪拌室形成部材内における最底部よりも前記螺旋状回転体の回転方向下手側に位置する箇所に向けて、被覆材溶液を供給するように構成されている点を特徴とする。
【0029】
即ち、被覆材溶液供給手段により、被覆材溶液が、攪拌室形成部材の長手方向に沿う方向視にて、攪拌室形成部材内における最底部よりも螺旋状回転体の回転方向下手側に位置する箇所に向けて、被覆材溶液が供給されるので、被覆材溶液が、攪拌室形成部材内における米粒群の不存在箇所に供給されるのを抑制して、攪拌室形成部材内を搬送されている米粒群に対して的確に供給されるようにすることが可能となる。
【0030】
つまり、米粒群は、螺旋状回転体によって、攪拌室形成部材の底部における螺旋状搬送体の回転方向下手側に偏在する状態で攪拌室形成部材の長手方向に搬送される。
そこで、被覆材溶液を、攪拌室形成部材の長手方向に沿う方向視にて、攪拌室形成部材内における最底部よりも螺旋状回転体の回転方向下手側に位置する箇所に向けて供給することにより、被覆材溶液を、攪拌室形成部材内を攪拌されながら搬送されている米粒群に対して的確に供給することが可能となるので、米粒一粒一粒を被覆状態のバラツキを更に抑制した状態で被覆材溶液にて被覆することが可能となる。
従って、被覆材溶液による米粒の表面の被覆を更に適切に行うことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
この実施形態では、本発明に係る攪拌搬送装置を米粒の表面に被覆材溶液を被覆する米粒被覆用として用いる場合について説明し、以下、攪拌搬送装置を米粒被覆装置と称する。
【0032】
先ず、本発明に係る米粒被覆装置を備えた無洗米製造装置の全体構成について説明する。
無洗米製造設備は、糊粉層の全て又は大部分を除去した米粒に被覆材溶液を添加付着させて乾燥させることにより、米粒表面を覆う被膜を形成して無洗米を製造するためのものであって、その構成を大別すると、図1に示すように、無洗米を製造する無洗米製造部A、その無洗米製造部Aにて製造された無洗米の検査、包装等を行う後処理部B、及び、設備各部の運転を予め設定された動作条件にて制御する表示操作パネル付きの制御部Cからなる。
【0033】
先ず、無洗米製造部Aの構成について説明する。
図1及び図2に示すように、この無洗米製造部Aは、その主要な設備として、被覆材としての澱粉並びに米粒の品質を向上させるための品質向上剤を水に溶かした被覆材溶液を生成して後述する米粒被覆装置3に供給する被覆材溶液供給装置1、精米処理が終了した後の米粒(精米)の糊粉層の全て又は大部分を除去して被覆対象米粒を生成する研米機2、その研米機2にて得られた被覆対象米粒群を攪拌して搬送しながら前記被覆材溶液供給装置1から供給される被覆材溶液を付着させて付着済み米粒を生成する前記米粒被覆装置3、その米粒被覆装置3から供給される付着済み米粒に付着された被覆材溶液を乾燥させて被覆対象米粒の表面に被膜を形成する乾燥装置4等を備えて構成される。
【0034】
更に、無洗米製造部Aは、精米処理が終了した後に図示しない搬送機にて搬送される米粒が研米機2に供給されるようになっており、前記研米機2にて研米処理された米粒が米粒被覆装置3に供給され、米粒被覆装置3から排出された米粒が乾燥装置4に供給されるようになっている。又、乾燥装置4にて澱粉溶液の乾燥処理が終了した米粒は搬送装置7により後処理部Bに搬送する構成となっている。
【0035】
図1に示すように、前記後処理部Bは、前記搬送装置7にて搬送される米粒群の中の破砕粒や小径の異物を除去する異物除去装置8、その異物除去装置8にて異物除去処理された米粒を一時貯留する米粒タンク9、その米粒タンク9から落下供給される米粒から着色粒や屑米等の不良粒等を除去する不良物除去装置10、その不良物除去装置10にて不良物除去されてエアー搬送装置11にてエアー搬送される米粒について金属の混入物の存否を検査する金属検出器12、その金属検出器12にて検査処理された米粒を所定量ずつ計量して排出する計量タンク13、及び、その計量タンク13から所定量ずつ排出される米粒を包装袋にて包装する包装装置14等を備えて構成されている。
【0036】
次に、図1に基づいて、無洗米製造部Aの各部について説明を加える。
前記被覆材溶液供給装置1は、澱粉と水とを設定比率で混合してその澱粉水溶液を送り出す澱粉水溶液生成供給部15と、品質向上剤を貯留するとともにその貯留している品質向上剤を設定量だけ送り出す品質向上剤供給部16と、前記澱粉水溶液生成供給部15にて混合した澱粉水溶液と前記品質向上剤供給部16から供給される品質向上剤とを攪拌しながら高温蒸気(110℃程度)を噴霧して被覆材溶液を生成する高温溶液生成部17とを備える。
【0037】
説明を加えると、澱粉水溶液生成供給部15は、固形粉状の澱粉を貯留する澱粉貯留用ホッパ18、その澱粉貯留用ホッパ18から振動フィーダ19にて単位時間あたりに設定量ずつ送り出される澱粉と給水路20を通して供給される水道水とを貯留する澱粉水溶液タンク21、その澱粉水溶液タンク21の重量を計測する吊り下げ式のロードセル22、及び、前記澱粉水溶液タンク21内に設けられた攪拌羽根23aを電動モータ23bにより回転させて澱粉水溶液タンク21内の澱粉と水とを攪拌混合する攪拌装置23を備えて構成されている。
【0038】
前記固形粉状の澱粉としては、架橋型の化工澱粉であるリン酸架橋澱粉を用いるようにしている。又、澱粉としてはこれ以外に、ヒドロキシプロピル澱粉のようなエーテル化型澱粉や酢酸澱粉のようなエステル化型澱粉などの他の種類の誘導体型の化工澱粉を用いてもよい。
【0039】
又、前記給水路20には通流を断続する開閉弁24が備えられ、ロードセル22によって重量計測しながら水を供給して設定重量に達すると供給を停止させ、同様にしてロードセル22によって重量計測しながら澱粉を供給して、水と澱粉との比率が設定比率に対応する重量になると供給を停止させる構成としている。前記澱粉水溶液タンク21にて攪拌混合された澱粉と水との澱粉水溶液は、澱粉水溶液供給路25を通して高温溶液生成部17に供給される構成となっており、その澱粉水溶液供給路25には澱粉水溶液を供給する状態と供給を停止させる状態とに切り換え自在な断続弁26が設けられている。
【0040】
前記品質向上剤供給部16は、固形粉状の品質向上剤を貯留する品質向上剤貯留用ホッパ27、その品質向上剤貯留用ホッパ27から単位時間あたりに設定量ずつ品質向上剤を送り出して品質向上剤供給路28を通して高温溶液生成部17に供給するための振動フィーダ29等を備えて構成されている。
【0041】
前記品質向上剤について説明すると、例えば、栄養を向上させるものや米の食味を向上させるもの、あるいは、無洗米を炊飯したときに例えば米につやの有無やふっくらとしているか否かといった炊き上がり具合を向上させるもの等がある。具体的に説明すると、品質としての栄養を向上させる品質向上剤としては、例えば、タンパク質、食物繊維、ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等)、フィチン酸、ビタミンB1,B2,B6、イノシトール等の各種の栄養補助剤がある。品質としての米の食味を向上させる品質向上剤としては、例えば、糖や糖アルコール等の米の食味を向上させる食味向上剤がある。又、品質としての上述したような炊き上がり具合を向上させる品質向上剤としては、例えば、植物性油脂や乳化剤等の炊飯向上剤がある。更に、品質向上剤としては、このようなものの他、摂取した食物の消化を遅延させてダイエット効果が得られるようなダイエット食品素材等を用いることもできる。
【0042】
前記高温溶液生成部17は、澱粉水溶液生成供給部15から供給される澱粉水溶液及び品質向上剤供給部16から供給される品質向上剤を貯留する被覆溶液貯留タンク30、その被覆溶液貯留タンク30に蒸気供給路31を通して加熱用の蒸気を供給するボイラ32、前記ボイラ32に供給する水道水を軟水に調製する軟水器33、被覆溶液貯留タンク30内の高温の澱粉溶液を被覆材溶液供給路34を通して前記米粒被覆装置3に供給する送出用ポンプ35等を備えて構成されている。そして、蒸気供給路31から高温の蒸気を被覆溶液貯留タンク30内に噴出する噴出ノズル36を備えて、ボイラ32によって生成された高温の蒸気をその噴出ノズル36から被覆溶液貯留タンク30内に噴出させる構成となっている。
【0043】
前記被覆溶液貯留タンク30内においては、前記噴出ノズル36から高温の蒸気が噴出されることで、澱粉と水との澱粉水溶液及び品質向上剤が蒸気の高温の熱エネルギーによって加熱されて澱粉及び品質向上剤が溶解して糊化されて高温の被覆材溶液が生成されることになる。又、このとき高温の蒸気による加熱だけでなく、高温の溶液が保有する熱によっても加熱されることになる。
【0044】
そして、この被覆溶液貯留タンク30には、その底部付近に位置して底部に沈殿している澱粉あるいは沈殿しようとする澱粉を攪拌させて、澱粉と水(溶液)とがよく混ざり合って澱粉が充分に分散した状態にしてその状態を維持させる下部側攪拌羽根37が設けられている。又、被覆溶液貯留タンク30に貯留される溶液の表面付近に浮遊した状態で粉状のままで溜まり易い品質向上剤を攪拌させて溶液中に分散した状態を維持させる上部側攪拌羽根38が設けられている。これらの下部側攪拌羽根37及び上部側攪拌羽根38は、共通の電動モータ39によって回転駆動される構成となっている。但し、下部側攪拌羽根37は回転によって上方に向けて澱粉を移動させて分散させるように羽根の形状を設定して構成され、上部側攪拌羽根38は回転によって下方に向けて品質向上剤を移動させて分散させるように羽根の形状を設定して構成されている。
【0045】
前記澱粉水溶液生成供給部15の澱粉水溶液タンク21は被覆溶液貯留タンク30の容量に比べて小さい容量のタンクにて構成され、澱粉水溶液生成供給部15から被覆溶液貯留タンク30に繰り返し澱粉水溶液を供給するように構成されている。具体的に説明すると、澱粉水溶液生成供給部15にて澱粉と水とを設定比率で混合した設定量の澱粉水溶液を被覆溶液貯留タンク30に供給することを複数回繰り返して、被覆溶液貯留タンク30内に所定量の澱粉水溶液が供給される。そして、所定量の澱粉水溶液が供給された後に蒸気が供給されて高温の被覆材溶液が生成される。溶液の温度が充分高くなったときに、前記品質向上剤供給部16から固形粉状の品質向上剤を設定量まとめて被覆溶液貯留タンク30に供給するのである。尚、下部側攪拌羽根37及び上部側攪拌羽根38は、澱粉水溶液生成供給部15から供給を開始したときから回転させるようにしている。ちなみに、被覆材の比率としては、例えば、水1リットルに対して澱粉の比率は40g、品質向上剤の比率は300gに設定される。
【0046】
前記被覆材溶液供給路34の途中から、被覆材溶液を被覆溶液貯留タンク30に戻す被覆材溶液循環路43が分岐され、その被覆材溶液循環路43の途中から、洗浄水を被覆溶液貯留タンク30に戻す洗浄水循環路44及び洗浄水を排水する洗浄水排水路45が分岐されている。
被覆材溶液供給路34における被覆材溶液循環路43の分岐箇所よりも上流側の箇所には、通流断続用のバルブV1と被覆材溶液の流量を計測する流量計42が設けられ、被覆材溶液供給路34における被覆材溶液循環路43の分岐箇所よりも下流側の箇所には、被覆材溶液供給断続用のバルブV2が設けられている。
被覆材溶液循環路43における洗浄水循環路44及び洗浄水排水路45の分岐箇所よりも下流側の箇所に、被覆材溶液循環用のバルブV3が設けられ、洗浄水循環路44、洗浄水排水路45には、夫々、洗浄水循環用のバルブV4、洗浄水排水用のバルブV5が設けられている。
【0047】
尚、図1中、48は作業終了時に配管内を清掃するための洗浄水を循環供給するための洗浄用ポンプ、V6〜V9は洗浄水の通流路を開閉するための洗浄水通流路用のバルブである。
又、前記被覆溶液貯留タンク30の底部には、内部の被覆材溶液や洗浄水を流下排出する流下排出路46が接続され、その流下排出路46には、流下排出用のバルブV10が設けられている。
【0048】
上記のバルブV1〜V9の夫々が予め設定された条件にて前記制御部Cにて開閉操作されて、被覆材溶液を被覆材溶液供給路34を通じて前記米粒被覆装置3に供給する被覆材溶液供給状態、被覆材溶液を被覆溶液貯留タンク30及び被覆材溶液循環路43を通して循環させる予備運転状態(図1の一点鎖線矢印参照)、洗浄水を被覆溶液貯留タンク30、被覆材溶液循環路43及び洗浄水循環路44を通して循環させる洗浄運転状態(図1の二点差線矢印参照)、洗浄水を洗浄水排水路45を通じて排水する洗浄水排水状態のいずれかに択一的に切り換えられるように構成されている。
前記被覆材溶液供給状態においては、前記流量計42によって米粒被覆装置3への供給量を計測しながら、前記送出用ポンプ35の作動状態を制御する構成となっている。
【0049】
つまり、被覆材溶液を生成するときには前記予備運転状態に切り換えて、図1の一点鎖線矢印にて示すように、設定時間が経過する間だけ被覆材溶液循環路43を通して高温の被覆材溶液を循環させる構成となっている。又、被覆材溶液の生成並びに供給作業が終了した後には、前記洗浄運転状態に切り換えて、図1の二点鎖線矢印で示すように、洗浄用ポンプ48により、被覆材溶液循環路43及び洗浄水循環路44を通して洗浄水を循環させて被覆溶液貯留タンク30や配管の内部を清浄する構成となっている。尚、前記洗浄水循環路44の被覆溶液貯留タンク30への戻り部分は噴出ノズルとして構成されており、被覆溶液貯留タンク30の内面を清掃することができるようになっている。
【0050】
上記のバルブV1〜V10は同様の構成であり、以下、これらのバルブV1〜V10をバルブVと総称して、図9ないし図11に基づいて説明する。
図9及び図10に示すように、バルブVは、内部に内部流路101を形成し且つその内部流路101を囲む状態で弁座102を備えた弁ケーシングVaと、弁座102に対して進退自在な状態で弁ケーシングVaに支持された弁体103と、その弁体103を弁座102に対して進退駆動する駆動部としての空圧シリンダVb等を備えて構成されている。
【0051】
前記弁ケーシングVaは、前記弁体103を進退自在に支持する筒状のケーシング本体104及び弁座形成用の筒状の弁座形成体105を、ケーシング本体104の端面104aと弁座形成体105の端面105aとの間に環状のシール部材106を介在させた状態で着脱自在に組み付け可能に備え、且つ、ケーシング本体104と弁座形成体105とにわたって前記内部流路101を形成するように構成され、弁座形成体105の端面105aが、ケーシング本体104の端面104aよりも内方側に突出するように形成され、シール部材106が、ケーシング本体104の端面104aよりも内方側に突出するように形成され、その突出する部分106a(以下、弁座用突出部分と称する場合がある)にて、前記弁座102が構成されている。
【0052】
前記ケーシング本体104における前記弁座形成体105側(以下、弁座側と称する場合がある)の端部に、鍔状部104bが設けられ、前記弁座形成体105の端部に、鍔状部105bが設けられ、ケーシング本体104の鍔状部104bと弁座形成体105の鍔状部105bとをクランプ107にて挟持することにより、ケーシング本体104及び弁座形成体105が組み付けられるように構成されている。
【0053】
以下、バルブVを構成する各部について、説明を加える。
前記ケーシング本体104が、軸心が真っ直ぐな直円筒状に構成され、前記空圧シリンダVbは、その直円筒状のケーシング本体104をシリンダチューブとして用いて、そのケーシング本体104内にピストン108がケーシング本体104の軸心方向に移動自在に内嵌されて構成されている。
そして、前記弁体103が、直円筒状のケーシング本体104内にその軸心方向に移動自在に内嵌される前記ピストン108にて構成されている。
【0054】
前記ケーシング本体104について、更に説明を加えると、そのケーシング本体104の側壁には、このバルブVにて開閉するための流体流路(図示省略)を接続する筒状接続部109が前記内部流路101に連通する状態で接続され、その筒状接続部109におけるケーシング本体104に接続される側とは反対側の端部に、鍔状部109bが設けられている。その筒状接続部109の鍔状部109bと、前記流体流路を形成する管部材の鍔状部(図示省略)とをクランプ(図示省略)にて挟持することにより、筒状接続部109を前記流体流路に接続する構成となっている。
【0055】
図10に示すように、ケーシング本体104の内周面は、弁座側ほど小径となる概ね3段状に形成されている。そのケーシング本体104の3段状の内周面における小径部と大径部との間の中径部の軸心方向での長さは、後述する環状封止体110(所謂Oリング)の厚さと同程度の短い長さとなっている。
【0056】
次に、図10に基づいて、前記空圧シリンダVbについて説明を加える。
ケーシング本体104内における内周面の中径部に対応する箇所には、前記環状封止体110が内嵌され、更に、ケーシング本体104内における内周面の大径部に対応する箇所には、環状のバネ受け体111が大径部と中径部との段部にて受け止められる状態で内嵌されている。
そして、ケーシング本体104内には、前記ピストン108が環状封止体110に摺接する状態で軸心方向に移動自在に内嵌され、ケーシング本体104内における内周面の大径部に対応する部分には、コイルバネ112がバネ受け体111とピストン108のバネ受け用鍔状部108aとの間に圧縮状態で挟持される状態で配設されて、そのコイルバネ112により、ピストン108が弁座側とは反対側に付勢されている。
【0057】
更に、ケーシング本体104における弁座側とは反対側の端部には、外周部の凹部に環状封止体113が嵌め込まれ且つ圧縮空気供給用のエルボ114が貫通接続された蓋体115が、一対の止め輪116に抜け止めされる状態で配設されている。
そして、2個の環状封止体110,113により、ケーシング本体104内におけるピストン108の背部側の空間が気密状に封止され、蓋体115によりピストン108が抜け止めされる構成となっている。
【0058】
図9及び図11に示すように、前記クランプ107は、径が変更自在な二つ折れ状の概ね環状に形成され且つ内周面がV字状の凹面に形成された挟持部107aと、その挟持部107aの径を変更操作する蝶ネジ107b等を備えて構成されている。
【0059】
そして、図9及び図10に示すように、ケーシング本体104及び弁座形成体105を、ケーシング本体104の端面104aと弁座形成体105の端面105aとをそれらの間に環状のシール部材106を介在させて対向させた状態で突き合わせて、クランプ107の挟持部107aをケーシング本体104の鍔状部104b及び弁座形成体105の鍔状部105bに被せるように位置決めした状態で、蝶ネジ107bを締め付けることにより、ケーシング本体104の鍔状部104bと弁座形成体105の鍔状部105bとをクランプ107にて挟持して、ケーシング本体104と弁座形成体105とを一体的に組み付けることができる。
【0060】
そして、前記エルボ114を通じて圧縮空気をケーシング本体104内に供給すると、前記ピストン108が前記コイルバネ112の付勢力に抗して弁座側に移動して、前記弁座102として機能する前記シール部材106の弁座用突出部分106aに当接して、前記内部流路101が閉じられ、一方、前記エルボ114を通じて圧縮空気をケーシング本体104から排出すると、前記ピストン108が前記コイルバネ112の付勢力により弁座側とは反対側に移動して、前記弁座102として機能する前記シール部材106の弁座用突出部分106aから離間し、前記内部流路101が開かれる。
つまり、バルブVは、エルボ114を通じての圧縮空気の給排により開閉されるように構成されている。
【0061】
そして、上述のように構成されたバルブVは、前記被覆材溶液供給路34、前記被覆材溶液循環路43、前記洗浄水循環路44及び前記洗浄水排水路45等、前記被覆材溶液供給装置1の各流体流路を形成する管部材に、前記弁座形成体105及び前記筒状接続部109を用いて設けられて、各流体流路を開閉するようになっている。
又、図示は省略するが、バルブVを構成する弁座形成体105及びシール部材106を、そのバルブVを前記各流体流路に接続するために用いる継手部材及びシール部材に兼用するように構成してあるので、部品点数を削減して低廉化を図ることができる。
【0062】
バルブVのメンテナンスは、蝶ネジ107bを緩めることによりクランプ107を緩めて、ケーシング本体104と弁座形成体105とを分離して行うことになる。
そして、ケーシング本体104と弁座形成体105とを分離すると、シール部材106もそれらと分離されることになり、又、弁体103として機能するピストン108におけるシール部材106に当接する部分は、ケーシング本体104の端面104aに形成される内部流路101の出入口を通して外側を向いているので、弁座形成体105、シール部材106及びピストン108におけるシール部材106に当接する部分の清掃並びに点検を行い易い。又、ケーシング本体104と弁座形成体105とを分離すると、シール部材106もそれらと分離されるので、シール部材106の交換も簡単に行うことができる。
【0063】
前記研米機2は、構成について詳述はしないが、図1及び図2に示すように、供給装置(図示省略)により供給される精米処理済みの米粒を研米機ホッパ2aにて受け入れたのち、横送りスクリュー2bにより横送りして供給する構成となっており、米粒を上方に移送させながら研米する上方移送式のものを用いている。つまり、周囲にブラシを備えて縦軸芯周りで回転する回転ロールとその外周部に位置する多孔状の筒部材との間を米粒群を上方に移送させながら、ブラシによって米粒の表面に残留する糠すなわち糊粉層の全て又は大部分を除去する構成となっている。
この研米機2は、上記したようなブラシによる掻き取り作用によって糊粉層を除去するものに代えて、前記回転ロールの周囲に砥石等の研削用部材を備えて、この研削用部材による削り取り作用等によって糊粉層を除去するように構成してもよい。
【0064】
前記研米機2の上方の排出口から排出される研米済みの米粒は排出シュート2dにより、後述する米粒被覆装置3に米粒を供給するための米粒供給部60の米粒供給ホッパ61に供給される。
【0065】
図3に示すように、前記米粒被覆装置3は、横倒れ姿勢の筒状の攪拌室形成部材50、その攪拌室形成部材50の米粒受入口55から攪拌室形成部材50内に米粒群を供給する米粒供給部60、攪拌室形成部材50の内部に設けられて、米粒受入口55から攪拌室形成部材50の内部に受け入れた米粒群を攪拌室形成部材50の長手方向に搬送して排出口57から排出させる螺旋状回転体91、その螺旋状回転体91を回転駆動する駆動回転部70、及び、米粒受入口55よりも米粒群搬送方向下手側の被覆材溶液供給口56から被覆材溶液を攪拌室形成部材50内を搬送されている米粒に供給する被覆材溶液供給手段80等を備えて構成されている。
【0066】
そして、米粒被覆装置3は、基枠(図示省略)に立設された円筒状の支柱121に、姿勢変更調節手段120にて、米粒群搬送方向の上手側端部が支持される片持ち状態にて、前記支柱121の軸芯周りに回動自在に且つ攪拌室形成部材50の横倒れ姿勢の傾き及びその高さを調節自在なように支持されている。
【0067】
本発明では、螺旋状回転体91が、螺旋状の搬送作用部91bの内部を中空状態にして形成され、その螺旋状回転体91の内部に、螺旋状回転体91の長手方向に沿う軸心周りで回転して、米粒群を攪拌する攪拌用回転体としてのU字状攪拌用回転体92が設けられている。
【0068】
以下、前記米粒被覆装置3の各部について説明を加え。
図3及び図8に示すように、前記攪拌室形成部材50は、螺旋状回転体91による米粒群搬送方向上手側に位置し且つ両端が開口した上手側筒部分51と米粒群搬送方向下手側に位置し且つ一端側が閉塞した下手側筒部分52とに分割自在な状態で、一端が閉塞した円筒状に構成されている。
【0069】
つまり、下手側筒部分52の開口端に接続用筒53を外嵌固定してあり、その接続用筒53を上手側筒部分51の一端に外嵌することにより、上手側筒部分51と下手側筒部分52とを一連状に連結して、一端が閉塞した円筒状の攪拌室形成部材50が形成される構成となっている。
上手側筒部分51の外周面には、その上手側筒部分51に外嵌される接続用筒53に間隔を隔てて対向するように蝶ネジ支持片51aが付設され、その蝶ネジ支持片51aに蝶ネジ54が回動自在に螺入状態で支持されている。
そして、その蝶ネジ54を、上手側筒部分51に外嵌された接続用筒53に形成されたネジ挿通孔53aに挿通することにより、下手側筒部分52と下手側筒部分52とが一連状に連結した状態で固定されるように構成されている。
【0070】
更に、図3に示すように、攪拌室形成部材50には、後述する螺旋状回転体91による米粒群搬送方向の上手側から下手側に向けて順に、前記米粒供給部60から供給される米粒を受け入れる前記米粒受入口55、前記被覆材溶液供給手段80により被覆材溶液を供給する前記被覆材溶液供給口56、米粒を排出する前記米粒排出口57が形成されている。
【0071】
図3、図4、図7及び図8に示すように、前記螺旋状回転体91は、攪拌室形成部材50の長手方向に沿って螺旋状に延びて、その径方向内方側に前記攪拌室形成部材50の長手方向に連なる内部空間91aを備え且つその螺旋状の搬送作用部91bの間が前記内部空間91aに連通するように開口される状態の中空状態となるように、丸棒材をコイル状に屈曲形成して構成されている。
更に、螺旋状回転体91における前記米粒排出口57の終端側箇所に対応する箇所に、螺旋状に屈曲している螺旋状の搬送作用部91bの端部から一体的に連なる状態で、棒材が攪拌室形成部材50の内周面に近接する状態で且つ攪拌室形成部材50の長手方向に沿って直線状又は略直線状に延びる掻き出し作用部91cが設けられている。
【0072】
図3、図4、図7及び図8に示すように、前記U字状攪拌用回転体92は、丸棒材をU字状に屈曲形成して構成され、その2本の平行な棒状の攪拌作用部92aにおける外側同士の幅が前記螺旋状回転体91の螺旋状の搬送作用部91bの内径よりもやや小さくなる(例えば2mm)ように構成されている。
そして、そのU字状攪拌用回転体92を、螺旋状回転体91内に互いに長手方向を沿わせた状態で設けることにより、U字状攪拌用回転体92の2本の棒状の攪拌作用部92a夫々が螺旋状回転体91の螺旋状の搬送作用部91b内にその搬送作用部91bに近接して位置する状態となるように構成されている。
【0073】
図3ないし図6に示すように、前記駆動回転部70は、電動モータ71、その電動モータ71の出力軸71aの外周部にそれと同心状に位置する状態で前記電動モータ71に固定された円筒状の軸受け筒72、その軸受け筒72にベアリング73にて回転自在に支持された状態でジョイント74にて前記出力軸71aに連結されたシャフト75、及び、キー76によって前記シャフト75と一体回転する状態でシャフト75に外嵌された円筒状の回転体支持部77等を備えて構成されている。
【0074】
前記軸受け筒72は、前記攪拌室形成部材50の開口端を外嵌可能に構成され、攪拌室形成部材50は、その開口端を軸受け筒72に外嵌した状態で、軸受け筒72に支持するように構成されている。
【0075】
図8にも示すように、前記円筒状の回転体支持部77の外周部には、前記螺旋状回転体91の一端部を嵌め込むことにより螺旋状回転体91を周方向に係止して螺旋状回転体91に回転力を伝える係止用溝77aが形成され、外側向きの端面には、前記U字状攪拌用回転体92の2本の棒状の攪拌作用部92a夫々の端部を挿入することによりU字状攪拌用回転体92を周方向に係止してU字状攪拌用回転体92に回転力を伝える2個の係止用穴77bが形成されている。
つまり、U字状攪拌用回転体92の2本の棒状の攪拌作用部92a夫々が、棒状の攪拌用回転体に相当するものであり、その棒状の攪拌用回転体に相当する2本の棒状の攪拌作用部92a夫々が、前記螺旋状回転体91の回転軸心とは離れた位置に位置させるように構成されている。
【0076】
そして、回転体支持部77の係止用溝77aに螺旋状回転体91の一端部を嵌め込み且つ回転体支持部77の2個の係止用穴77bにU字状攪拌用回転体92の一端部を挿入した状態で、前記電動モータ71を作動させることにより、螺旋状回転体91及びU字状攪拌用回転体92を一体的に回転させるように構成されている。
【0077】
つまり、螺旋状回転体91が、電動モータ71の出力軸71aの軸心と回転軸心として回転するように設けられ、攪拌用回転体としてのU字状攪拌用回転体92が、前記螺旋状回転体91の回転軸心とは離れた位置で螺旋状回転体91の長手方向に沿って伸びる棒状に形成されて、螺旋状回転体91と一体回転するように設けられている。
又、螺旋状回転体91の米粒群搬送方向上手側端部が、駆動回転部70にて支持されるように構成され、前記攪拌用回転体としてのU字状攪拌用回転体92が、米粒群搬送方向下手側にて反転させたU字状に形成されて、米粒群搬送方向上手側端部を駆動回転部70に支持させた片持ち状態で設けられている。
【0078】
図3及び図4に基づいて、前記米粒供給部60について説明を加える。
前記米粒受入口55は、前記攪拌室形成部材50における米粒群搬送方向上手側端部の最上部に形成されている。
そして、米粒供給部60は、米粒を米粒受入口55を通じて攪拌室形成部材50内に流下供給するように設けられた米粒供給ホッパ61と、その米粒供給ホッパ61の流下流路61aを開閉する米粒供給用シャッタ62を備えて構成されている。つまり、米粒供給ホッパ61にて、前記研米機2から流下供給される米粒を受け入れて米粒受入口55を通じて攪拌室形成部材50内に流下供給するように構成されている。
前記米粒供給用シャッタ62は、往復移動操作により米粒供給ホッパ61の流下流路61aを開閉するように設けられたシャッタ板62aと、そのシャッタ板62aを往復移動操作するシリンダ62bとを備えて構成されている。
【0079】
図3、図4及び図7に基づいて、前記被覆材溶液供給手段80について説明を加える。
前記被覆材溶液供給口56は、前記攪拌室形成部材50における前記米粒受入口55よりも前記米粒群搬送方向下手側の箇所の上部で、且つ、攪拌室形成部材50の長手方向に沿う方向視にて、攪拌室形成部材50の最上部よりも前記螺旋状回転体91の回転方向下手側に寄った位置に形成されている。
【0080】
そして、被覆材溶液供給手段80は、供給される空気を噴出するエアー噴出部としての噴霧用空気噴出孔81a及び供給される被覆材溶液を噴出する被覆材溶液噴出部としての被覆材溶液噴出孔81bを備えて被覆材溶液供給口56に接続された被覆材溶液噴霧ノズル81と、前記被覆材溶液供給路34を通じて被覆材溶液噴霧ノズル81の被覆材溶液噴出孔81bに被覆材溶液を圧送する前記送出用ポンプ35(図1参照)と、噴霧用空気供給路82を通じて被覆材溶液噴霧ノズル81の噴霧用空気噴出孔81aに噴霧用空気を圧送するエアコンプレッサ83等を備えて構成されている。
【0081】
被覆材溶液噴出孔81b及び噴霧用空気噴出孔81aは、被覆材溶液噴出孔81bから噴出される被覆材溶液と噴霧用空気噴出孔81aから噴出される噴霧用空気とを衝突させるように、夫々の噴出方向が交差する状態で被覆材溶液噴霧ノズル81に形成されている。
【0082】
更に、前記噴霧用空気供給路82には、噴霧用空気噴出孔81aに供給される噴霧用空気の圧力を調整する噴霧用空気用の圧力調整弁84が設けられている。この噴霧用空気用の圧力調整弁84によって被覆材溶液噴霧ノズル81の噴霧用空気噴出孔81aに供給する噴霧用空気の供給圧を予め実験等によって適正な値として設定された適正圧力に調整する構成となっている。
【0083】
そして、図4及び図7に示すように、前記被覆材溶液噴霧ノズル81を、被覆材溶液噴出孔81bの噴出方向が攪拌室形成部材50の軸心と直交する状態で攪拌室形成部材50の中心を向き、且つ、噴霧用空気噴出孔81aの噴出方向が攪拌室形成部材50の軸心と直交する方向に対して噴出側が米粒群搬送方向下手側を向く傾斜姿勢となり、且つ、噴霧用空気噴出孔81aが米粒群搬送方向上手側に位置する状態で噴霧用空気噴出孔81a及び被覆材溶液噴出孔81bが米粒群搬送方向に沿って並ぶ状態で、被覆材溶液供給口56に接続されている。
【0084】
つまり、被覆材溶液供給手段80は、図4にて矢印にて示すように、被覆材溶液噴出孔81bから噴出される被覆材溶液を噴霧用空気噴出孔81aから噴出されるエアーの混合により霧化状態で供給するように、且つ、米粒群の搬送方向に拡散する状態で供給するように構成されている。
又、被覆材溶液供給手段80は、図7にて矢印にて示すように、攪拌室形成部材50の長手方向に沿う方向視にて、攪拌室形成部材50内における最底部よりも前記螺旋状回転体91の回転方向下手側に位置する箇所に向けて、被覆材溶液を供給するように構成されている。
【0085】
図4に示すように、前記被覆材溶液噴霧ノズル81は、被覆材溶液噴出孔81bを筒内部空間とする筒状に形成され、その筒状の被覆材溶液噴霧ノズル81における被覆材溶液噴出孔81bに対する溶液供給側の端面81cは、前記バルブVのケーシング本体104の端面104aよりも内方側に突出するように形成されて、被覆材溶液噴霧ノズル81が、バルブVを構成する弁座形成体105に兼用するように構成されている。
【0086】
つまり、被覆材溶液噴霧ノズル81における被覆材溶液噴出孔81bに対する溶液供給側の端部に、鍔状部81eが設けられている。
そして、ケーシング本体104の端面104aと被覆材溶液噴霧ノズル81の端面81cとの間に環状のシール部材106を介在させた状態で、ケーシング本体104の鍔状部104bと被覆材溶液噴霧ノズル81の鍔状部81eとをクランプ107にて挟持することにより、ケーシング本体104及び被覆材溶液噴霧ノズル81が組み付けられて、前記被覆材溶液供給断続用のバルブV2が構成されるようになっている。
前記筒状接続部109には、前記被覆材溶液供給路34を形成する管部材117がクランプ118を用いて接続される。
【0087】
つまり、被覆材溶液噴霧ノズル81の被覆材溶液噴出孔81b、端面81c、鍔状部81eが、夫々、弁座形成体105内に形成される内部流路101、弁座形成体105の端面105a、弁座形成体105の鍔状部105bに相当する。
【0088】
図3ないし図6に示すように、上述のように構成した米粒被覆装置3は、回転体支持部77の係止用溝77aに螺旋状回転体91の端部を係止し、且つ、回転体支持部77の2個の係止用穴77bにU字状攪拌用回転体92の端部を挿入した状態で、攪拌室形成部材50をその開口端を軸受け筒72に外嵌した状態で軸受け筒72に支持して、後述する姿勢変更調節手段120の蝶ネジ支持部分124dに回動自在に支持させた固定用蝶ネジ128を、攪拌室形成部材50における軸受け筒72への外嵌部分に形成したネジ挿通孔51bに挿通して軸受け筒72に螺入することにより、組み付けされるように構成されている。
【0089】
そして、米粒被覆装置3が上述のように組み付けされた状態では、螺旋状回転体91及びU字状攪拌用回転体92夫々の端部は、攪拌室形成部材50の端部を閉じる端壁部分に近接する部分にまで延びるように構成されて、それら螺旋状回転体91及びU字状攪拌用回転体92が攪拌室形成部材50の閉塞端の端壁部分により抜け止めされるように構成されている。
【0090】
前記米粒排出口57は、図3及び図8に示すように、前記攪拌室形成部材50における米粒群搬送方向下手側端部の底部に、米粒群搬送方向に沿って形成されている。
【0091】
図3、図5及び図6に示すように、前記姿勢変更調節手段120は、前記支柱121の上部に形成された雌ネジ部121aに下端部の雄ネジ部122aが螺入され且つその螺入量の調節により上下方向に位置変更自在な円柱状の上下可動棒122、その上下可動棒122の雄ネジ部122aに螺合されて前記支柱121の上端面に締め付けることにより上下可動棒122を固定する上下固定ナット123、下端部が支点用孔124aにて上下可動棒122に融通状態で外嵌されて、その支点用孔124aにより上下可動棒122の軸心周りに回動自在で且つ上下可動棒122に対する傾き状態が変更自在な傾動体124、一端部の回動用孔125aにて上下可動棒122の上端部に回動自在に外嵌されて、前記傾動体124の傾動を許容する状態でその前記傾動体124の上端側部分を支持する傾動案内体125、前記傾動体124の傾動を傾動案内体125により案内させるための傾動被案内用ボルト126、及び、前記傾動体124と前記傾動案内体125とにわたって設けられて傾動体124の傾動を操作するための傾動操作用ボルトナット組127等を備えて構成されている。
【0092】
以下、図5及び図6に基づいて、前記姿勢変更調節手段120の各部について、更に説明を加える。
前記上下可動棒122の上端部には、互いに平行な平面部分からなる上下動操作部分122bが備えられ、上下方向中間部には、その上下可動棒122に前記支点用孔124aにて外嵌された前記傾動体124を受けて、その傾動体124の下方側への移動を規制する受部122cが備えられている。
そして、前記上下動操作部分122bをスパナ等の工具により把持して、上下可動棒122を回動することにより、上下可動棒122を上下移動させるように構成されている。
【0093】
前記傾動体124は、上下方向に沿う本体部分124bの下端に、上下可動棒122側に延びる支点用張り出し部分124cが延在し、前記本体部分124bの上下方向中間部に、上下可動棒122側に延びる前記蝶ネジ支持部分124dが延在し、前記本体部分124bの上端に上下可動棒122側とは反対側に延びる傾動被案内部分124eが延在し、更に、その傾動被案内部分124eの一端に、上方に延びる傾動操作部分124fが延在するように構成されている。
【0094】
そして、前記支点用張り出し部分124cに、前記支点用孔124aが形成され、前記蝶ネジ支持部分124dに、前記攪拌室形成部材50のネジ挿通孔51bに挿通して前記軸受け筒72に螺入する前記固定用蝶ネジ128が回動自在に支持され、前記傾動被案内部分124eに、前記傾動被案内用ボルト126が螺入されるネジ孔124gが形成され、前記傾動操作部分124fには、前記傾動操作用ボルトナット組127のボルトを螺入するためのネジ孔124hが形成されている。
【0095】
前記傾動案内体125は、横方向に延びる本体部分125bの一端側に前記回動用孔125aが形成され、前記本体部分125bにおける前記回動用孔125a側とは反対側の端部に、上方に延びる傾動操作部分125cが延在するように構成されている。
そして、前記本体部分125bに、前記傾動被案内用ボルト126を挿通してその傾動被案内用ボルト126の前記上下可動棒122に対する遠近方向での移動を案内する前記遠近方向に長い傾動案内用長孔125dが形成され、前記傾動操作部分125cに前記傾動操作用ボルトナット組127のボルトを挿通するためのボルト挿通孔125eが形成されている。
【0096】
そして、前記傾動体124を、その支点用張り出し部分124cが前記受部122cにて受けられる状態で支点用孔124aにより上下可動棒122に外嵌することにより、上下可動棒122の軸心周りに回動自在で且つ上下可動棒122に対する傾き状態が変更自在な状態で上下可動棒122に支持し、前記回動用孔125aにて上下可動棒122の上端部に外嵌した状態の傾動案内体125の本体部分125bを、前記傾動体124の傾動被案内部分124eの上部に重ねた状態で、前記傾動被案内用ボルト126を傾動案内体125の傾動案内用長孔125dに挿通した状態でネジ孔124gに螺入し、更に、傾動案内体125のボルト挿通孔125eに挿通した傾動操作用ボルトナット組127のボルトを、傾動体124の傾動操作部分124fの両側に振り分けて位置させた傾動操作用ボルトナット組127の2個のナットと傾動操作部分124fのネジ孔124hとに螺入することにより、前記姿勢変更調節手段120を前記支柱121に組み付ける。
【0097】
そして、上述のように前記支柱121に組み付けた前記姿勢変更調節手段120の傾動体124に、前記米粒被覆装置3をその軸受け筒72の鍔部72aを用いて支持させることにより、その米粒被覆装置3が、上述のように、支柱121に、姿勢変更調節手段120にて、支柱121の上下方向の軸芯周りに回動自在に且つ攪拌室形成部材50の横倒れ姿勢の傾き及びその高さが調節自在な状態で、米粒群搬送方向の上手側端部にて片持ち状に支持されることになる。
【0098】
つまり、図示は省略するが、前記米粒被覆装置3は、前記支柱121の軸芯周りでの回動により、その攪拌室形成部材50の米粒排出口57が前記乾燥装置4の米粒群受入部の上方に位置する運転位置と、前記乾燥装置4から横方向に退避した退避位置とに位置変更自在なように構成されている。
【0099】
そして、前記米粒被覆装置3を前記運転位置に位置させた状態で、上下固定ナット123を緩めて、上下可動棒122を上下移動させることにより、前記乾燥装置4の米粒群受入部に対する前記米粒被覆装置3の上下方向での位置を調節して、上下固定ナット123を締め付けることにより、米粒被覆装置3の上下方向での位置を位置決めする。
又、前記傾動被案内用ボルト126を緩め且つ前記傾動操作用ボルトナット組127の2個のナットを緩めた状態で、その傾動操作用ボルトナット組127のボルトを回動操作することにより、前記乾燥装置4の米粒群受入部に対する攪拌室形成部材50の横倒れ姿勢を調節して、前記傾動被案内用ボルト126を締め付け且つ前記傾動操作用ボルトナット組127の2個のナットを締め付けることにより、攪拌室形成部材50の横倒れ姿勢を乾燥装置4の米粒群受入部に対して平行になる等の所定の姿勢に固定する。
【0100】
又、前記米粒被覆装置3を上下軸心周りに回動させて、前記退避位置に位置させた状態で、その米粒被覆装置3の清掃等のメンテナンスを行う。
つまり、前記固定用蝶ネジ128を外して、前記攪拌室形成部材50を軸受け筒72から抜き、前記螺旋状回転体91やU字状攪拌用回転体92を回転体支持部77から抜いて、攪拌室形成部材50や螺旋状回転体91やU字状攪拌用回転体92を清掃することになる。
【0101】
次に、上述のように構成された米粒被覆装置3の作用について説明する。
米粒受入口55から攪拌室形成部材50の内部に供給された米粒群は、螺旋状回転体91の螺旋状の搬送作用部91bにより、攪拌室形成部材50内の底部側に存在して螺旋状の搬送作用部91bの径方向内外に移動しつつ攪拌室形成部材50の長手方向に沿って搬送される状態で、螺旋状回転体91の内部にて回転するU字状攪拌用回転体92によって攪拌されることにより、良好に攪拌されながら攪拌室形成部材50の長手方向に沿って良好に搬送され、そのように攪拌搬送される米粒群に対して、被覆材溶液供給口56から被覆材溶液が供給されて、米粒群と被覆材溶液とが攪拌されて米粒の表面に被覆材溶液が被覆され、そのように被覆材溶液にて表面が被覆された米粒群が米粒排出口57から排出される。
【0102】
尚、米粒搬送装置3の起動時は、前記制御部Cにより、前記米粒供給部60の米粒供給用シャッタ62が閉じ状態から設定待機時間(例えば、0.4〜0.7秒程度)経過後に開状態に切り換えられるように制御される。
つまり、米粒供給ホッパ61に米粒が溜まってから米粒供給用シャッタ62が開かれるので、起動時から米粒がその供給量のバラツキが抑制された状態で攪拌室形成部材50内に供給されることになり、米粒の被覆状態のバラツキを抑制することが可能となる。
ちなみに、米粒供給用シャッタ62が開かれた状態で米粒搬送装置3が起動されると、起動時の攪拌室形成部材50内に対する米粒の供給状態が不安定になるので、被覆材溶液供給手段80により被覆材溶液が攪拌室形成部材50内に供給される前に米粒がその被覆材溶液供給位置に達して、被覆材溶液にて被覆されない米粒が発生したり、被覆材溶液供給位置に達する米粒の量が少な過ぎて、被覆量が多過ぎる米粒が発生する虞がある。
【0103】
そして、螺旋状回転体91は、その径方向内方側に攪拌室形成部材50の長手方向に連なる内部空間91aを備え且つその螺旋状の搬送作用部91bの間が内部空間91aに連通するように開口される状態に形成されているので、図7に示すように、米粒群Rは、攪拌室形成部材50内の底部側に存在する状態で、螺旋状の搬送作用部91bによって攪拌室形成部材50の長手方向に向けて押し移動されつつ、螺旋状の搬送作用部91bの径方向内外に移動し、更に、螺旋状の搬送作用部91bの内部空間91aに入った米粒群Rは、その内部空間91a内にて回転しているU字状攪拌用回転体92の棒状の攪拌作用部92aによって攪拌室形成部材50の長手方向の略全域において攪拌されることになり、米粒群Rと被覆材溶液とを十分に攪拌することが可能となる。
【0104】
つまり、螺旋状回転体91を回転させるだけでは、米粒群Rは、攪拌室形成部材50の底部側に溜まった状態で、層状態が余り乱されない状態で層状に流動することになるので、米粒群Rの攪拌を十分に行い難いものであるが、図7に示すように、その螺旋状回転体91の螺旋状の搬送作用部91bの内部でU字状攪拌用回転体92を回転させることにより、そのU字状攪拌用回転体92の棒状の攪拌作用部92aにより、攪拌室形成部材50の底部側に溜まっている米粒群Rの一部を持ち上げて転回させて、層状に流動している米粒群Rを積極的に乱すことが可能となり、米粒群Rの攪拌が効果的に促進されることになる。
【0105】
又、図4に示すように、被覆材溶液噴霧ノズル81の噴霧用空気噴出孔81aから噴出される空気と被覆材溶液噴出孔81bから噴出される被覆材溶液とが混合されて被覆材溶液が霧化され、そのように霧化された被覆材溶液が攪拌室形成部材50内を搬送されている米粒群に対して、米粒群の搬送方向に拡散する状態で供給されるので、例えば少量の被覆材溶液を供給するような場合であっても、被覆材溶液が霧状になって広い範囲にわたって拡散する状態で極力均等に米粒群に対して吹きかけられ、しかも、霧化された被覆材溶液が攪拌室形成部材50内を搬送されている米粒群に対して、極力長い時間にわたって吹きかけられるようにすることが可能となる。
【0106】
更に、図7に示すように、被覆材溶液供給手段80により、霧化状態の被覆材溶液が、攪拌室形成部材50の長手方向に沿う方向視にて、攪拌室形成部材50内における最底部よりも螺旋状回転体91の回転方向下手側に位置する箇所に向けて供給されるので、被覆材溶液が、攪拌室形成部材50内における米粒群Rの不存在箇所に供給されるのを抑制して、攪拌室形成部材50内を搬送されている米粒群Rに対して的確に供給される。
【0107】
つまり、米粒群は、螺旋状回転体91によって、攪拌室形成部材50の底部における螺旋状搬送体50の回転方向下手側に偏在する状態で攪拌室形成部材50の長手方向に搬送されるので、被覆材溶液を、攪拌室形成部材50の長手方向に沿う方向視にて、攪拌室形成部材50内における最底部よりも螺旋状回転体91の回転方向下手側に位置する箇所に向けて供給することにより、被覆材溶液を、攪拌室形成部材50内を攪拌されながら搬送されている米粒群に対して的確に供給することができるのである。
【0108】
そして、攪拌室形成部材50内を搬送される米粒群に対して、被覆材溶液を、攪拌室形成部材50内における米粒群の不存在箇所に供給されるのを抑制しながら、霧化状態にて広い範囲にわたって拡散する状態で且つ極力長い時間にわたる状態で吹きかけられるようにすることが可能となるので、米粒一粒一粒を被覆状態のバラツキをより一層抑制した状態で被覆材溶液にて被覆することが可能となる。
【0109】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 前記攪拌用回転体92の形状及び設置形態は、上記の実施形態において例示した如き、粉粒体群搬送方向下手側にて反転させたU字状の形状で、粉粒体群搬送方向上手側端部を前記駆動回転部70に支持させた片持ち状態の設置形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施形態のように、攪拌用回転体92を、螺旋状回転体91の回転軸心とは離れた位置で螺旋状回転体91の長手方向に沿って伸びる棒状に形成する場合、上記の実施形態では、攪拌用回転体92を米粒群搬送方向下手側にて反転させたU字状に形成して、螺旋状回転体91の長手方向に沿って伸びる棒状の攪拌作用部92aを、攪拌室形成部材50の周方向に2本存在させるように構成したが、棒状の攪拌作用部92aにおける攪拌室形成部材50の周方向での存在数は、2本に限定されるものではなく、1本や3本以上でも良い。
攪拌用回転体92を、前記棒状の攪拌作用部92aを3本以上備えるように構成する場合、それら3本以上の棒状の攪拌作用部92aの米粒群搬送方向下手側の端部を互いに連結することになる。
【0110】
又、棒状の攪拌用回転体92は、その米粒群搬送方向上手側端部を駆動回転部70に支持させた片持ち状態で設ける場合に限定されるものではなく、米粒群搬送方向上手側端部と米粒群搬送方向下手側端部との両端で支持するように構成しても良い。
【0111】
又、攪拌用回転体92は、螺旋状回転体91の回転軸心とは離れた位置で螺旋状回転体91の長手方向に沿って伸びる棒状に形成する場合に限定されるものではなく、例えば、複数の羽根体を備えたプロペラ状、螺旋状回転体91の長手方向に沿って伸びる帯状、あるいは、螺旋状回転体91の長手方向に沿って伸びる蛇行状に形成しても良い。
【0112】
又、攪拌用回転体92を駆動回転する駆動回転部を、螺旋状回転体91を駆動回転するための駆動回転部70とは別個に設けても良いが、構成の簡略化を図る上では、攪拌用回転体92を螺旋状回転体91と一体的に回転するように構成するのが好ましい。
【0113】
(ロ) 前記攪拌室形成部材50を横倒れ姿勢にて設ける場合の横倒れ姿勢としては、攪拌室形成部材50の軸心が水平又は略水平となる水平姿勢に限定されるものではなく、米粒排出口57側が下方となる下向き傾斜姿勢でも良い。
但し、攪拌室形成部材50を前記下向き傾斜姿勢で設ける場合、その下向き傾斜角度は、米粒が自重にて滑り落ちる角度よりも大きい角度に設定する。
【0114】
(ハ) 上記の実施形態においては、前記螺旋状回転体91及び前記攪拌用回転体92を別体に構成する場合について例示したが、例えば、螺旋状回転体91に攪拌用回転体92を溶接接続する等により、螺旋状回転体91と攪拌用回転体92とを一体的に構成しても良い。
【0115】
(ニ) 上記の実施形態においては、螺旋状回転体91を、その螺旋状の搬送作用部91bが螺旋状回転体91の長手方向の全長にわたって連続して存在するように構成する場合について例示したが、螺旋状回転体91の長手方向の1箇所又は複数箇所に螺旋状の搬送作用部91bの不存在箇所を設けることにより、螺旋状の搬送作用部91bが螺旋状回転体91の長手方向に沿って断続的に存在するように構成しても良い。
【0116】
(ホ) 上記の実施形態においては、攪拌室形成部材50を静止状に設けて、その静止状の攪拌室形成部材50の内部において、螺旋状回転体91及び攪拌用回転体92とを一体回転させるように構成したが、これに代えて、攪拌室形成部材50とその内部の螺旋状回転体91とを一定回転させ、攪拌用回転体92を、螺旋状回転体91の内部にてその螺旋状回転体91の長手方向に沿う軸心周りで、その螺旋状回転体91とは別個に回転させるように構成しても良い。
【0117】
(ヘ) 前記被覆材としては、上記の実施形態において例示した澱粉に限定されるものではなく、例えば、ゼラチンやデキストリンでも良い。
【0118】
(ト) 本発明による攪拌搬送装置にて攪拌搬送する対象となる粉粒体としては、上記の実施形態において例示した米粒に限定されるものではなく、例えば、飼料や、米粒以外の穀物等の粉粒体でも良い。
又、粉粒体が米粒の場合、上記の実施形態の如き被覆材溶液供給手段80を省略して、攪拌搬送に伴う米粒同士の擦り合いにより、籾摺り後や精米後の米粒の表面から糠を除去する糠取り用としても使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】無洗米製造装置の全体概略構成を示すブロック図
【図2】無洗米製造装置の全体概略構成を示す正面図
【図3】攪拌搬送装置の一部切り欠き正面図
【図4】攪拌搬送装置の要部の縦断正面図
【図5】攪拌搬送装置の要部の縦断正面図
【図6】攪拌搬送装置の要部の横断平面図
【図7】攪拌搬送装置の縦断側面図
【図8】攪拌搬送装置の要部の分解図
【図9】バルブの分解斜視図
【図10】バルブの断面図
【図11】バルブのクランプを示す図
【符号の説明】
【0120】
50 攪拌室形成部材
55 受入口
56 被覆材溶液供給口
57 排出口
70 駆動回転部
80 被覆材溶液供給手段
81a エアー噴出部
81b 被覆材溶液噴出部
91 螺旋状回転体
91b 搬送作用部
92 攪拌用回転体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横倒れ姿勢の筒状の攪拌室形成部材の内部に、受入口から前記攪拌室形成部材の内部に受け入れた粉粒体群を前記攪拌室形成部材の長手方向に搬送して排出口から排出させる螺旋状回転体が備えられた攪拌搬送装置であって、
前記螺旋状回転体が、螺旋状の搬送作用部の内部を中空状態にして形成され、
その螺旋状回転体の内部に、螺旋状回転体の長手方向に沿う軸心周りで回転して、粉粒体群を攪拌する攪拌用回転体が設けられている攪拌搬送装置。
【請求項2】
前記攪拌用回転体が、前記螺旋状回転体の回転軸心とは離れた位置で前記螺旋状回転体の長手方向に沿って伸びる棒状に形成されて、前記螺旋状回転体と一体回転するように設けられている請求項1記載の攪拌搬送装置。
【請求項3】
前記螺旋状回転体の粉粒体群搬送方向上手側端部が、駆動回転部にて支持されるように構成され、
前記攪拌用回転体が、粉粒体群搬送方向下手側にて反転させたU字状に形成されて、粉粒体群搬送方向上手側端部を前記駆動回転部に支持させた片持ち状態で設けられている請求項2記載の攪拌搬送装置。
【請求項4】
前記粉粒体が米粒であり、被覆材溶液供給口を通して米粒被覆用の被覆材溶液を前記攪拌室形成部材の内部に位置する米粒群に供給する被覆材溶液供給手段が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の攪拌搬送装置。
【請求項5】
前記被覆材溶液供給手段が、被覆材溶液噴出部から噴出される被覆材溶液をエアー噴出部から噴出されるエアーの混合により霧化状態で供給するように、且つ、米粒群の搬送方向に拡散する状態で供給するように構成されている請求項4記載の攪拌搬送装置。
【請求項6】
前記被覆材溶液供給手段が、前記攪拌室形成部材の長手方向に沿う方向視にて、前記攪拌室形成部材内における最底部よりも前記螺旋状回転体の回転方向下手側に位置する箇所に向けて、被覆材溶液を供給するように構成されている請求項4又は5記載の攪拌搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−281128(P2006−281128A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106407(P2005−106407)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】