説明

攪拌装置付き連続鋳造用鋳型装置

【課題】発熱量を抑えメンテナンスも容易で安価で実際上使いやすい攪拌装置付き連続鋳造用鋳型装置を提供する。
【解決手段】少なくとも鋳造空間内の液相状態にある溶湯M中に電流を流すことのできる第1電極32A1及び第2電極32Bを有する電極部と液相状態にある前記溶湯に磁場をかけるための永久磁石31Aを有する磁場発生装置31とを備え、前記磁場発生装置は鋳型2における磁場発生装置収納室22a(2)に収納されて中心方向に向かって横向きに磁力線を発生させ前記磁力線を前記鋳型の側壁の一部を貫通させて前記鋳造空間に至らせ、前記溶湯に前記電流と交差する横向きの磁力線を与え得るものとして構成されている攪拌装置とを備えるものとして構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Al,Cu,Zn又はこれらのうちの少なくとも2つの合金、あるいはMg合金等の伝導体(導電体)の非鉄金属の、あるいはその他の金属の、ビレットあるいはスラブ等を生産する連続鋳造設備における、攪拌装置付き連続鋳造用鋳型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続鋳造用の鋳型においては、以下に説明するような溶湯攪拌方式が採用されている。即ち、スラブあるいはビレット等の品質を向上させるために、これらの溶湯が固化する工程において、つまり溶湯が鋳型内を通過する時に、鋳型の外部より電磁コイルにより移動磁界を鋳型の内部の溶湯に与え、固化直前の溶湯に攪拌を生じさせている。この攪拌は、脱ガスと組織の均一化が主目的である。しかしながら、高温の溶湯に近接した位置に電磁コイルを配置させることから、電磁コイルの冷却と煩雑なメンテナンスが必要なだけでなく、当然大きな消費電力を必要とし、さらにはその消費電力に伴って電磁コイル自体が発熱するのも避けられず、これらの熱も冷却しなければならず、これらに起因して装置自体が高価とならざるを得ない等の種々の問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−99344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の問題点を解消するためになされたもので、その目的は、発熱量を抑え、メンテナンスも容易で、安価で実際上使いやすい、攪拌装置付き連続鋳造用鋳型装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の攪拌装置付連続鋳造用金型装置は、
導電性材料の液相状態にある溶湯の供給を受け、前記溶湯を冷却することにより固相状態の鋳造品を取り出し得るようにした攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置であって、
鋳型であって、ほぼ円筒状の側壁の中心側における、入口と出口を有する鋳造空間と、前記側壁の内部に形成され、前記鋳造空間の外側に位置する磁場発生装置収納室と、を有し、前記入口から液相状態の前記溶湯の供給を前記鋳造空間に受け、前記鋳造空間での冷却により固相状態の前記鋳造品を前記出口から排出する、鋳型と、
前記鋳型に対応して設けられた攪拌装置であって、少なくとも前記鋳造空間内の液相状態にある前記溶湯中に電流を流すことのできる第1電極及び第2電極を有する電極部と、液相状態にある前記溶湯に磁場をかけるための永久磁石を有する磁場発生装置と、を備え、前記磁場発生装置は前記鋳型における前記磁場発生装置収納室に収納されて、中心方向に向かって横向きに磁力線を発生させ、前記磁力線を前記鋳型の側壁の一部を貫通させて前記鋳造空間に至らせ、前記溶湯に前記電流と交差する横向きの磁力線を与え得るものとして構成されている、攪拌装置と、
を備えるものとして構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】(a)本発明の実施形態の全体構成図、(b)、(c)その動作説明図。
【図2】(a)図1のII(a)−II(a)線に沿って見た平面説明図、(b)外部鋳型の底面説明図。
【図3】(a)攪拌装置3における磁場発生装置31の平面説明図、(b)その変形例の平面説明図。
【図4】(a)攪拌装置3における磁場発生装置31のさらに異なる変形例の平面説明図、(b)その変形例の平面説明図。
【図5】本発明の異なる実施形態の全体構成図。
【図6】本発明のさらに別の実施形態の全体構成図。
【図7】本発明のさらに異なる実施形態の全体構成図。
【図8】(a)本発明のさらに別の実施形態の全体構成図、(b)鋳型の底面説明図、(c)図8(a)のVIII(c)−VIII(c)線に沿った断面図、(d)磁場発生装置の平面説明図、(e)蓋の平面説明図。
【図9】(a)本発明のさらに他の実施形態の全体構成図、(b)そのIX(b)−IX(b)線に沿った断面図、(c)磁場発生装置の平面説明図。
【図10】本発明のさらに別の実施形態の全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態の理解を深めるために、従来の連続鋳造設備における電気を動力とする電磁攪拌装置を簡単に説明する。
【0008】
従来は、非鉄金属の溶湯Mを、タンディッシュと呼ばれる溶湯受け箱から、定量出湯させて下方の鋳型に注湯している。鋳型内には鋳型冷却用の冷却水を循環させている。これにより、高温の溶湯は、鋳型に接触した瞬間から、外周側(鋳型側)から凝固を始める。鋳型中央部に位置する溶湯は、冷却中の鋳型壁から離れているため、凝固は外周部の溶湯よりも当然遅れる。そのため鋳型内では溶湯は、液体(液相)状態の溶湯と固体(固相)状態の鋳造物の2つが界面を介して接した状態で同時に存在することになる。而して、一般に溶湯をあまり急速に凝固させると、固体に変わった鋳造物(製品)内にガスが残り、製品の品質を低下させてしまう。このため、凝固前の溶湯を攪拌して、脱ガスを促進させている。この攪拌のために従来は電気を動力とする電磁攪拌装置が使われてきたのである。
【0009】
しかしながら、このような電磁攪拌装置を用いると種々の難点があるのは先に述べた通りである。
【0010】
そこで、本発明では、電気を動力とする前記電磁攪拌装置を用いることのない永久磁石による攪拌装置付き連続鋳造用鋳型装置を提供しようとするものである。
【0011】
本発明の実施形態はより詳しくは以下の通りである。
【0012】
本発明の一実施形態の全体構成図を図1(a)に示す。図2(a)は図1(a)のII(a)−II(a)線に沿って見た平面説明図であり、主に鋳型2と攪拌装置3の一部を示し、図3(a)は攪拌装置3における磁場発生装置31の平面説明図を示す。
【0013】
図1(a)から分かるように、本発明の実施形態の装置は、大きく分けて、Al,Cu,Zn又はこれらのうちの少なくとも2つの合金、あるいはMg合金等の伝導体(導電体)の非鉄金属あるいはその他の金属の溶湯Mを供給する溶湯供給装置1と、溶湯供給装置1から溶湯を受ける鋳型2と、鋳型2内の溶湯Mを攪拌する攪拌装置3とを有する。鋳型2の中心側が入口2A(1)1と出口2A(1)2を備えるいわゆる鋳造空間2A(1)となっている。
【0014】
前記溶湯供給装置1は、取鍋(図示せず)等からの溶湯Mを受けるタンディッシュ(溶湯受箱)1Aを備える。タンディッシュ(溶湯受箱)1Aに溶湯Mを溜めておき、介在物を除去して、溶湯Mを下方の開口1Bから一定の供給速度で鋳型2に供給する。図1では、タンディッシュ(溶湯受箱)1Aのみを示している。
【0015】
前記鋳型2は、本実施形態では、円柱状の製品P(ビレット)を取り出すものとして構成されている。このため、この鋳型2は、概略的には、2重構造の円筒状(横断面がリング状)として構成されている。つまり、内側のグラファイト(カーボン)等の非導電性材料(非導電性耐火材)で構成された内部鋳型21と、外側のアルミニウムや銅等の導電性材料(導電性耐火材)で構成された外部鋳型22と、を嵌め合わせた状態に備えている。この外部鋳型22の側壁の内部には、追って詳しく説明するように、磁場発生装置31が収納状態に組み込まれている。なお、角柱状の製品(スラブ)を取り出す場合にあっても技術的な考え方は同じであり、以下に説明する実施形態の技術的思想をそのまま適用可能である。簡単には、製品である角形のスラブに対応する部品の形状が変わるだけである。
【0016】
さらに、前記鋳型2は、外部鋳型22の外側にウォータジャケット23を備えている。このウォータジャケット23は、内部鋳型21内に流れ込む溶湯Mを冷却するためのものである。つまり、図示せぬ流入口からウォータジャケット23内に冷却水を流入させ、ウォータジャケット23内で冷却水を循環させ、この冷却水によって外部鋳型22の外側を冷却して、図示しない流出口から冷却水を排出する。このウォータジャケット23により、溶湯Mは急激に冷却されることになる。ウォータジャケット23としては公知の各種の構造のものを採用することができ、よってここでは詳しい説明は省略する。
【0017】
さらに、このように構成された鋳型2には、後述する電極32Aが抜き差しされる複数の電極差込孔2a、2a、・・・が円周上に所定間隔で設けられている。この電極差込孔2aは鋳型2の中心側に向かって下り勾配のものとして構成されている。このため、たとえ鋳型2の内部に溶湯Mが入っていても、溶湯Mの表面が電極差込孔2aの上端開口よりも低ければ、溶湯Mが外部に漏れる虞はない。
【0018】
前述のように、簡単には、前記鋳型2の側壁に対して前記攪拌装置3が内蔵状態に設けられる。この攪拌装置3は、永久磁石式の磁場発生装置31と、一対の上部の電極(正極)32A及び下部の電極(負極)32Bとを備える。
【0019】
前記磁場発生装置31は、特に図3(a)から分かるように、リング状(枠状)に構成されている。内周側の全周をN極に磁化し、外周側の全周をS極に磁化することもできる。また、内周側、外周側をそれぞれ部分的に、例えば、図示のように、4個所を、N極、S極に磁化することもできる。
【0020】
後述するするところから分かるように、この磁場発生装置31は必ずしもリング状である必要はなく、分割された状態、例えば、図8(d)に示すように、横断面が円弧状の複数の永久磁石片から構成することもできる(図4)。この磁場発生装置31は、先に簡単に述べたように、特に図1(a)からわかるように、外部鋳型22内に組み込まれている。
【0021】
より詳しくは、外部鋳型22は、図1(a)からわかるように、その側壁に、下方が解放口となった横断面がリング状の磁場発生装置収納室22aを備えている。この磁場発生装置収納室22aは、図2(b)からも分かる。この図2(b)は、外部鋳型22を下から見たものである。特に図1(a)からわかるように、この下方が解放した横断面がリング状の磁場発生装置収納室22aに、同じく横断面がリング状の磁場発生装置31が下方から、上下の位置を移動により調節可能に収納されている。つまり、磁場発生装置31は、図示せぬ所望の手段によって、磁場発生装置収納室22a内で高さを調節可能に設けられている。これにより、図1(a)からわかるように、液相状態にある溶湯Mに合わせて高さを調節して、後述するように、より効率よく溶湯Mを攪拌することができる。この磁場発生装置収納室22aの下方の開口はリング状の蓋22Bで閉じられている。この蓋22Bを、後述する、図8(a)の蓋22Bのように、冷却水の外部への排水用の放水路22B(1)を有するものとして構成することもできる。
【0022】
前述のように、この磁場発生装置31の4個所が、図3(a)に示すように、磁化されて磁極対31a、31a、・・・となっている。つまり、各磁極対31a、31aについてみると、リングの内側磁極がN極に、外側磁極がS極に、それぞれ磁化されており、N極から出た磁力線MLはリングの中心に向かい、鋳型2内部の溶湯Mを水平に通過する。これと磁化が逆でも良い。つまり、内側を全てある極に磁化し、外側を全て異なる極に磁化すればよい。本発明のさらなる特徴の1つは、複数の磁極を図3(a)から分かるように、固化する前の溶湯Mをぐるりと取り囲む複数の位置に配置することにある。これにより、後述するように、磁力線と電流とによるフレミングの法則の電磁力により、溶湯Mをまんべんなく攪拌して、製品Pの品質を向上させることができる。よって、磁極の数は図3(a)では4つとしているが、この数にこだわるものではなく、任意の数でよい。また、上述したように、磁場発生装置31は、リング状の1つの一体のものとして構成する必要はなく、図8(d)に示すような、任意数の複数の磁石体(磁石片)に分割したものでも良い。
【0023】
図1(a)において、前記一対の電極32A、32B間には、溶湯M及び鋳造品(製品)Pを介して、電流が流される。電極32Aは、1つでも良いが、複数とすることもでき、本実施形態では、2つとしている。前記電極32Aは、プローブ状に構成されている。各電極32Aは先に述べたプローブ差込孔2aに差し込まれる。つまり、前記電極32Aは、前記ウォータジャケット23から前記鋳型2(内部鋳型21、外部鋳型22)を貫通して、内端が前記内部鋳型21内に露呈して、内部の溶湯Mに接触導通し、外端がウォータジャケット23の外部に露呈する。前記外端は可変直流電流を流し得る電源装置34に繋がれている。この電源装置34は後述するように交流電源機能を併せ持っていても良く、且つ、周波数変換機能を有したものとすることもできる。前記電極32Aは、鋳型2の側壁を貫通させることなく、鋳型2の上部開口の上方に、その内端が、鋳型2に流れ込む溶湯Mの表面から溶湯M中に差し込まれた状態に、支持することもできる。電極32Aはグラファイト等の内部鋳型21に電気的に接続することも出来る。
【0024】
前記電極32Aとしては用いる数を任意なものとし、任意数の電極32Aを前記電極差込孔2a、2a・・・の任意なものに差し込むようにすることもできる。
【0025】
図1(a)において、前記下部の電極32Bは、位置が固定された状態に設けられている。この電極32Bはローラ式のものとして構成されている。つまり、先端に回転可能なローラ32Baを備える。このローラ32Baは、固相状態で押し出される鋳造品(ビレットあるいはスラブ)としての円柱状の製品Pの外表面に圧接した状態にあり、製品Pが下方へ伸びるのに伴って回転させられる。つまり、製品Pが下方へ押し出されると、製品Pはローラ32Baとの接触を保ったまま、ローラ32Baを回転させながら図1の下方へ伸びていくことになる。
【0026】
よって、電源装置34から前記一対の電極32A、32B間に電圧を掛ければ、電流は、溶湯M及び製品Pを介して、一対の電極32A、32B間に流れることになる。上述のように電源装置34は一対の電極32A、32B間に流れる電流量を制御可能に構成されている。これにより、液相状態の溶湯Mを、前記磁力線MLとの関係で、最も効率よく攪拌可能な電流を選択可能である。
【0027】
次に、上記構成の装置の動作について説明する。
【0028】
図1(a)において、タンディッシュ(溶湯受箱)1Aから定量出湯された溶湯Mは鋳型2の上部に入る。鋳型2はウォータジャケット23内の水の循環により冷却されており、鋳型2内の溶湯Mは急激に冷却凝固する。しかし鋳型2内の溶湯Mは、上部が液体(液相)、下部が固体(固相)で界面IT0で接する2相構造となっている。溶湯Mは鋳型2の通過と同時に鋳型形状に合った形(本実施形態では円柱状)に成型され、連続的にスラブまたはビレットとしての製品Pとされる。
【0029】
而して、図1(a)等からわかるように、鋳型2の側壁の内部には、永久磁石式の磁場発生装置31が収納されており、その磁場(磁力線ML)は横向きに鋳型2内の溶湯Mに達している。この状態で上部の電極32Aから下部の32Bに電源装置34によって直流電流を流すと、電流は上部の電極32Aから下部の電極32Bに、アルミニウム等の溶湯(液相)Mから製品(固相)Pを通り流れる。このとき永久磁石式の磁場発生装置31から出る磁力線MLを、電流がほぼ直角に横切ることになり、液相状態にある溶湯Mにはフレミングの左手の法則に従い回転運動が生じる。こうして溶湯Mの攪拌が行われ、溶湯M中に含まれる不純物、ガス等が浮上し、いわゆる脱ガスが活発に行われ、製品(スラブ、ビレット)Pの品質向上が図れる。
【0030】
今、ウォータジャケット23等によって冷却能力を強弱変化させると、溶湯Mの固化速度が変化し、それに伴って溶湯(液相)Mと製品(固相)Pの界面IT0は上下する。つまり、冷却能力を高めると、図1(b)に示すように、界面IT0は界面IT1のように上がる。冷却能力を弱めると、図1(c)に示すように、界面IT0は界面IT2のように下がる。而して、溶湯Mを効率よく攪拌するには、界面IT0、IT1、IT2の位置に応じて前記磁場発生装置31を上下動させるのが望ましい。これにより、溶湯Mを確実に効率よく攪拌して製品Pを高品質のものとして得ることができる。このため、これらの界面IT1、IT2の高さに応じて、図1(b)、(c)に示すように磁場発生装置31の高さを上下に高さを調節し、その位置を保持可能としている。これにより、前述のように、溶湯Mを効率よく攪拌することができる。
【0031】
前記鋳型2の2重構造を、上記とは逆に、内側を導電性材料とし、外側を非導電性材料とすることもできる。この場合には、すくなくとも前記電極32Aを内側の導電性材料に電気的に接触させればよい。この場合にあっても、外側の部材に磁場発生装置収納室22aを設ければよい。
【0032】
また、鋳型2を、2重構造とすることなく、1重構造とすることもできる。この場合には、鋳型2を導電性材料のみで製作し、前記電極32Aを鋳型2に電気的に導通させればよい。他方の電極32Bの構造は前記と同様でよい。
【0033】
また逆に、鋳型2を非導電性材料のみで作製することもできる。この場合には、図1(a)に示すように、電極32Aを鋳型2に貫通させる等して、電極32Aを鋳型2内の溶湯Mと電気的に導通させる必要がある。
【0034】
これらの場合には、当然、1重構造の部材に磁場発生装置収納室22aを設ければよい。
【0035】
図3(a)の磁場発生装置31に代えて、図3(b)の磁場発生装置31Aを用いることもできる。図3(b)の磁場発生装置31Aは、図3(b)の磁場発生装置31と、磁化の方向を逆向きとしたものである。両者は機能的には同等である。
【0036】
また、図3(a)、図3(b)の磁場発生装置31、31Aに代えて、図4(a)、図4(b)の磁場発生装置31−2、31A−2を用いることもできる。図4(a)、図4(b)の磁場発生装置31−2、31A−2は、リング状の支持体(継鉄)SPの内側に棒状の複数の永久磁石PMを固定したものとして構成される。これらは機能的には同等である。
【0037】
さらに、上記した実施形態では、下部の電極32Bとして、先端にローラ32Baを有するものを示したが、必ずしもローラ32Baを備える必要はない。製品Pが連続的に押し出されても製品Pと電極32Bが電気的な導通状態を保たれればよく、各種の構造を採用することができる。例えば、電極32Bとして所定の長さの弾性材を用い、図1において、例えば、上に凸となるように、又は下に凸となるように屈曲させ、復元力によって先端を前記鋳造品Pに圧接させ、この状態で鋳造品Pが下方へ伸張するのを許容するようにすればよい。
【0038】
上記に説明した本発明の実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0039】
本発明の実施形態では、凝固する直前の溶湯Mを攪拌して、溶湯Mに動き、振動等を与えて脱ガス効果や組織の均一化、微細化を図っている。
【0040】
より詳しくは、本発明の実施形態では、磁場発生装置31を上下に調節可能としてあるので、溶湯Mを確実に攪拌して、高品質の製品Pを得ることができる。これは前述のように本発明の特徴の1つであり、本発明の実施形態のように高温、大型な装置になりがちで空きスペースもほとんどない装置おいて、且つ鋳型に外付けされた磁場発生装置31を上下に移動させるという発想自体が当業者にはなじまない発想であるが故に、鋳型の内部に磁場発生装置を収納してそれを上下に調節可能とした本発明の技術は、本発明者に独自の技術的な思想である。
【0041】
また、本発明の実施形態では、磁場発生装置31を、溶湯Mの周囲を取り囲む位置に複数の磁極を、又は溶湯Mの周囲を取り囲むリング状の磁石を、配置するようにしたので、磁力線と電流とによるフレミングの法則に従った電磁力で、溶湯Mをまんべんなく高効率で攪拌することができ、製品Pを高品質のものとして得ることができる。つまり、本発明の実施形態においては、このフレミングの法則に従った電磁力を最大限に生かして溶湯Mを効率よく攪拌できる。しかもその攪拌に伴う溶湯Mの回転の軸線は図1(a)における製品Pの中心軸に沿った軸線としている。これにより、溶湯Mの回転駆動を確実なものとして、製品Pとして高品質のものを得ることができる。
【0042】
さらに、本発明の実施形態では、フレミングの法則に従った電磁力により溶湯Mを攪拌するようにしているので、溶湯M中を流れる小電流と、磁場発生装置31から出る磁場との協働により攪拌するようにしたので、アーク溶接の原理等による断続的に大電流を流して行う溶解攪拌とは異なり、安定的に継続して確実な攪拌が期待でき、騒音も少なく、持続性の高い装置を得ることができる。
【0043】
以上の効果は以下に述べる全ての実施形態についても得られるのは当然である。
【0044】
なお、以上の説明では、電極32A、32B間に直流電流を流すようにしたが、電源装置34から、1乃至5Hzくらいの低周期の交流電流を流すことも出来る。この場合には、磁場発生装置31からの磁場との関係で、溶湯Mは回転ではなくその周期に応じた振動を繰り返すことになる。この振動によっても溶湯M中から不純物の除去が行われる。この変形例の適用は、以下に説明する全ての実施形態についても可能である。この場合、電源装置34として、周波数変換機能をもつものを採用するのは当然である。
【0045】
而して、現在は、産業界において量産設備の実現が要求されている。量産を考慮した場合には出来るだけ小型の鋳型を実現することが不可欠である。
【0046】
ここで、従来の電磁式攪拌においては、一度に生産するスラブあるいはビレットの数が、数本の場合には対応可能である。しかしながら現在は、100本を超すビレットを同時生産する要請が出てきている。この要請には従来の電磁攪拌装置では応じることができない。
【0047】
しかしながら、本発明の装置では、磁場発生装置として永久磁石を用いている。このため、大電流を流す電磁攪拌装置に比べて極めてコンパクト化が可能である。このことから、量産設備用の鋳型装置の実現が十分可能である。また永久磁石式であるため、磁場発生装置として、発熱がない、省電力、省エネルギー、ローメンテナンス等の効果を有する装置を得ることができる。
【0048】
図5はさらに異なる実施形態を示す。
【0049】
この液相状態にある溶湯Mにより多くの電流を流して、より大きな電磁力を発生させて溶湯Mを回転駆動しようとしたものである。
【0050】
図1(a)の実施形態と異なる点は、鋳型2Aの構造にある。その他の構成は図1(a)と実質的に同一である。よって、ここでは詳しい説明は行わない。
【0051】
即ち、この実施形態の鋳型2Aは、ほぼ円筒状の鋳型本体2A1を有する。この鋳型本体2A1をその内周面に周状の溝2A1(a)を有するものとして形成する。この溝の内面(周側面及び底面)に絶縁膜2A2を形成し、この絶縁膜2A2上に前記鋳型本体2A1と同等の導電性材料を埋め込んで埋込層2A3を構成している。前記絶縁膜2A2と前記埋込層2A3とにより絶縁層部分が構成されることになる。この絶縁層部分は、前記鋳型の内側表面の一部に形成されて、前記鋳型からの前記電流の流れは許容しない部分として機能する。
【0052】
この絶縁層部分は、鋳型本体2A1の内表面のやや下方部分に設けられることになる。これにより、鋳型本体2A1における絶縁層部分、つまり、鋳造品Pと接する部分から鋳造品Pへの電流は可及的に許容されないことになる。
【0053】
さらに、鋳型本体2A1の外周側に端子2A4を設けている。この端子2A4を介して鋳型2Aに前記電源装置34から給電可能としている。
【0054】
このように構成された装置において、電源装置34で端子2A4と電極32Bの間に電圧をかければ、電流が、鋳型本体2A1、溶湯M、鋳造品Pに流れる。このとき、絶縁膜2A2と埋込層2A3には電流は流れないので、溶湯Mにはより大きな電流が流れ、溶湯Mを攪拌しようとする前記電磁力はより大きなものとして得られる。
【0055】
図6はさらに別の実施形態を示す。
【0056】
この実施形態は図1(a)の実施形態の変形である。
【0057】
本実施形態が図1(a)の実施形態と異なるところは、図1(a)の上部の電極32Aの配置の仕方にある。つまり、本実施形態においては、1または複数の電極32A0、32A0、・・・を、複数の場合は環状の配置とし、これらの電極32A0を鋳型2A等(鋳型2A及びウォータジャケット23)以外の任意の手段で支持し、各電極32A0の下端部分が溶湯M中に差し込まれた状態としている。これにより、電極32A0の下端部分の前記溶湯M中への差込量の調節を鋳型2A等と無関係に自由度大きく行うことができる。さらに、当然、鋳型2A等として通常のものを用いればよく、鋳型2A等に電極32A1に電極差込孔2aを設ける必要もなく、これらの製造コストの増加を防ぐこともできる。
【0058】
その他の構成は図1(a)の実施形態と同様である。
【0059】
図7はさらに別の実施形態を示す。
【0060】
この実施形態は図6の実施形態の変形例とみることもできる。
【0061】
図7の実施形態は、上方のタンディッシュ(溶湯受箱)1Aから下方の鋳型2Aへ、溶湯Mがとぎれることなく連続した溶湯として注ぎこまれている場合において稼働可能な装置を想定している。つまり、タンディッシュ(溶湯受箱)1A内の溶湯Mと鋳型2A内の溶湯Mとが一体に繋がっている場合を想定している。
【0062】
図6では電極32A0を鋳型2中の溶湯Mに差し込んでいるが、図7では、上記の場合を前提として、電極32A1をタンディッシュ(溶湯受箱)1A中の溶湯Mに差し込んだ状態に任意の手段で支持している。このようにすることにより、前述の図7の実施形態におけると同様の利点を得ることができる。加えて、タンディッシュ(溶湯受箱)1Aと鋳型2A等との間の距離を、電極32A1にかかわりなく設定、調節することができる。
【0063】
その他の構成は図6と同様である。
【0064】
図8(a)−(d)、図9(a)−(c)、図10は本発明のさらに異なるそれぞれ別の実施形態を示す。
【0065】
これらの実施形態において、先に説明した実施形態と同等の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
これらの実施形態では、冷却用のウォータジャケットを別途設けることなく、鋳型2の側壁に、つまり、外部鋳型22の側壁の内部に冷却室と磁場発生装置収納室の兼用の水流通室22a(2)を形成し、この水流通室22a(2)内に永久磁石としての磁場発生装置31を上下に位置を調節可能に収納している。
【0067】
なお、図8(c)に示す磁場発生装置収納空間(磁場発生装置収納室)22a(2)は、図8(d)に示す所定間隔の複数の永久磁石片31Aをそれぞれ1つずつ収納すべく、互いに分割区画された、例えば、横断面が円弧状の、複数の部分磁場発生装置収納室とすることもできる。
【0068】
先ず、図8(a)―(e)に示す実施形態のビレットの製造装置について説明する。
【0069】
即ち、外部鋳型22は、図8(a)からわかるように、下方に解放した横断面がリング状の水流通室22a(2)を備え、この水流通室22a(2)を蓋22B(1)で密閉している。図8(b)は、蓋22B(1)を外し、内部鋳型21と外部鋳型22を、VIII(b)―VIII(b)線に沿って、下から見たものである。この蓋22B(1)は鋳型2の一部を構成するものである。
【0070】
図8(a)からわかるように、磁場発生装置収納空間(収納室)としてのリング状の水流通室22a(2)に、横断面が円弧状の複数の永久磁石片31A、31A、・・・(図8(c))からなる磁場発生装置31が上下に調節可能に収納されている。つまり、水流通室(冷却室)22a(2)は、冷却水流通室と磁場発生装置収納室としての機能を併せもっていることになる。これらの永久磁石片31Aの平面図は図8(d)に示される。各永久磁石片31Aは例えば内側がN極に、外側がS極とされている。これと逆に磁化しても良い。つまり、磁場発生装置31は、図示せぬ任意の手段によって、水流通室22a(2)内で高さを調節可能に設けられている。これにより、先にも述べたように、液相状態にある溶湯Mに対応するように高さを調節して、より効率よく溶湯Mを攪拌可能としている。
【0071】
この水流通室22a(2)の下方の開口は、前述のリング状の蓋22Bで閉じられている。この蓋22Bの平面図は図8(e)に示される。この図8(e)と図8(a)とからわかるように、この蓋22B(1)には、複数の冷却水の放水路22B(1)が形成されている。図8(a)、図8(e)からわかるように、複数の放水路22B(1)は、蓋22Bの上面に開口した複数の入口22B(1)a1を有し、蓋22Bの周側面に出口22B(1)a2を有している。これにより、水流通室22a(2)内の冷却水は複数の入口22B(1)a1から入り、出口22B(1)a2から流出して製品Pの外周に噴射してこれを冷却することになる。つまり、冷却水は図示せぬ入口から水流通室22a(2)に入り、冷却しながらここを循環して、前記放水路22B(1)から外部に噴射状態に排出される。
【0072】
以上に説明した図8(a)―(e)の装置の動作は先に説明した実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0073】
なお、以上に説明した図8(a)―(e)の実施形態においては、磁場発生装置31を複数の永久磁石片31Aからなるものとしたが、これを図3(a)のように一体型とすることができるのは当然である。また、磁場発生装置収納空間としての水流通室22a(2)は図8(b)から分かるように、周状のものとして構成したが、必ずしもこの形に限るものではなく、周方向に区切られた複数の横断面が円弧状のセル室として構成することもできる。各セル室に冷却水が流通可能で、且つ、永久磁石片31Aが上下に移動可能に収納できればよい。
【0074】
この図8(a)―(e)の装置においては、磁場発生装置31を鋳型2の外側に設けるのではなく、鋳型2(外部鋳型22)に空洞(水流通室22a(2))を設け、その空洞内に磁場発生装置31を収納するようにしたので下記の特徴を得ることができる。
【0075】
−磁場発生装置31として小型で小能力の永久磁石を用いることが出来る。
つまり、磁場発生装置31を鋳型に外付けすると、磁場発生装置31と溶湯Mとの距離がやや遠くなるのが避けられない。しかるに、本実施形態では、鋳型2に内蔵するようにしたので、磁場発生装置31と溶湯Mとの距離が縮まり、同じ攪拌能力を持たせる場合には、より小型で小能力の永久磁石を用いることができる。
【0076】
−作業性を大幅に改善できる。
つまり、この装置の運転時には、製品Pの確認の製品チェックを行うため、各種の測定、非破壊検査等を実施すべく複数の検査員がこの装置の回りに位置取りして、そのような測定等を行わなければならない。しかるに、外付けの磁場発生装置の場合には大型で嵩張るものとなるのが避けられず、且つ強力な磁場を発生するため、そのような測定作業がやりにくいのは否定出来ない。しかるに、この実施形態では磁場発生装置31を鋳型2の中に設けるようにしたので、嵩張らないだけでなく且つ外部に放射する磁場の強さも弱まり、各種測定等がやりやすくなる。
【0077】
−生産性を大幅に向上できる。
つまり、上記のような測定等に必要な時間が短縮できるため、結果的に短時間当たりの製品Pの製造速度を高めることが出来る。
【0078】
−小型化が可能である。
つまり、磁場発生装置31が内蔵型となっているため、その分全体としての装置を小型なものとして提供可能である。
【0079】
−設置場所の省スペース化が可能となる。
つまり、上記と同様であるが、同じ製品Pを製造する装置として見た場合、磁場発生装置31が内蔵型となっているため、全体としての大きさが小さくなり、狭い場所にも設置でき、装置の有用性に融通性が得られる。
【0080】
以上の効果を別の視点で説明すれば以下の通りである。
【0081】
本装置で製品Pの製造時には、装置の回りに例えば5,6人の作業員が集結し、短時間で密度の濃い作業(溶湯漏れの監視、防止、溶湯の噴出の監視、防止の作業等)を実施するのが不可欠である。これらの作業を複数の作業員で行う場合にあっては、磁場発生装置31が外付けで出っ張っているのに比べれば、内蔵型の本実施形態の装置では、作業性が良い。つまり、装置の外観は従来の装置である磁場発生装置31を有しないものと同等のディメンジョンのものとすることができ、本実施形態の装置の現場での使い勝手は極めて良い。
【0082】
また、磁場を溶湯Mに確実に作用させるには、磁場発生装置31はできるだけ溶湯Mに距離的に近い方が良く、内蔵型ではそれが実現される。
【0083】
磁場発生装置31が外付けの場合は、温度センサ等の各種測定器への磁場の影響を考慮しなければならないが、内蔵型ではその影響が少なくなり、測定により有利となる。つまり、スラブやビレット等の製品Pを製造するに当たっては、製品の品質を維持するために、製品Pの複数の個所での温度測定、管理等が極めて重要な課題である。このような温度測定等にあって、本実施形態では極めて有利である。
【0084】
外付けの磁場発生装置に代えて、本実施形態のように内蔵型とすれば、同じ磁場を溶湯Mに加えるものとしては、小型なものとでき、重量、嵩ともに小さいものとでき、装置として使い勝手の良いものとすることができる。つまり、本装置の各部品は消耗品であり、運転の時間の一定の経過毎に適宜交換する必要がある。しかるに、磁場発生装置31等が小型軽量のものとできるので、交換作業等は極めて容易に行える。
【0085】
本実施形態の装置での作業は、いわゆる700°C程度の高温での作業であるため、作業員にとり極めて危険な作業となる。しかるに、磁場発生装置31として小型で磁場強度がや低くてもよいものを用いることができる。而して、本装置の調整、メンテナンス等を行う工具は大概鉄製の強磁性体を帯びており、さらには安全靴等も鉄製であるが、外部に放射される磁場発生装置31の磁場が少しでも弱くなれば、保安員、作業員、測定員等の安全性が保たれる。
【0086】
図8(a)―(e)についての以上に述べた効果は、図1等の装置にも、以下に説明する図9(a)−(c)、図10のスラブを製造する装置にも言えるのは当然である。
【0087】
図9(a)−(c)はスラブを製造する装置であるが、ビレットは丸形であるのに対し、スラブは角型であることを除けば、基本的な技術的な考え方は同じである。よって、同等部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0088】
異なる点は以下の通りである。
【0089】
スラブは製品Pの重量が著しく重い。このため、ビレットは横引きでも可能ではあるが、スラブは垂直引きで製品Pを取り出さざるを得ない。このため、台座51を準備し、この台座51に乗せて徐々に下方に引く状態で製品Pを取り出す。この台座51に下方の電極32Bを埋め込んでいる。磁場発生装置31は図9(b)、(c)に示される。図9(b)は図9(a)のIX(b)−IX(b)線に沿った断面図であり、図9(c)は磁場発生装置31の平面図である。ここでは、磁場発生装置31は4つの永久磁石片31Aを用いて、対向する2組としているが、何れか1組を用いることもできる。
【0090】
図10は図9(a)の変形例である。
【0091】
この図10では、一対の電極32A、32Bを溶湯M中に差し込んだ状態で用いている。このように電極32A、32Bを用いても、溶湯Mが攪拌されることを、本発明者は実験により確認した。つまり、図10のように一対の電極32A、32Bを用いても、磁場発生装置31からの磁力線と、一対の電極32A、32B間を流れる電流は、溶湯M中で各種のパスを採って流れ、フレミングの法則による電磁力を生じさせる。
【符号の説明】
【0092】
M 溶湯
P 製品(鋳造品)
1 溶湯供給装置
2 鋳型
2A 鋳造空間
2A1 入口
2A2 出口
21 内部鋳型
22 外部鋳型
23 ウォータジャケット
2a 電極差込孔
3 攪拌装置
22a、22a(2) 磁場発生装置収納室(磁場発生装置収納空間)
31 磁場発生装置
32A、32A0、32A1 上部の電極
32B 下部の電極
32Ba ローラ
34 電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料の液相状態にある溶湯の供給を受け、前記溶湯を冷却することにより固相状態の鋳造品を取り出し得るようにした攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置であって、
鋳型であって、ほぼ円筒状の側壁の中心側における、入口と出口を有する鋳造空間と、前記側壁の内部に形成され、前記鋳造空間の外側に位置する磁場発生装置収納室と、を有し、前記入口から液相状態の前記溶湯の供給を前記鋳造空間に受け、前記鋳造空間での冷却により固相状態の前記鋳造品を前記出口から排出する、鋳型と、
前記鋳型に対応して設けられた攪拌装置であって、少なくとも前記鋳造空間内の液相状態にある前記溶湯中に電流を流すことのできる第1電極及び第2電極を有する電極部と、液相状態にある前記溶湯に磁場をかけるための永久磁石を有する磁場発生装置と、を備え、前記磁場発生装置は前記鋳型における前記磁場発生装置収納室に収納されて、中心方向に向かって横向きに磁力線を発生させ、前記磁力線を前記鋳型の側壁の一部を貫通させて前記鋳造空間に至らせ、前記溶湯に前記電流と交差する横向きの磁力線を与え得るものとして構成されている、攪拌装置と、
を備えることを特徴とする攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項2】
磁場発生装置収納室は、前記鋳型の側壁の内部に、且つ、前記鋳造空間の外周位置に、形成されていることを特徴とする請求項1記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項3】
磁場発生装置収納室は、前記鋳型の側壁の内部に下方に解放した開口を有するものとして形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項4】
前記鋳型の外側に冷却手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項5】
前記磁場発生装置収納室の前記開口が蓋によって閉鎖されて、前記磁場発生装置収納室は冷却水の流通を許容する冷却室としての機能を兼用するものとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用金型装置。
【請求項6】
前記磁場発生装置は、前記磁場発生装置収納室内に、前記鋳造空間内の液相状態の溶湯と固相状態の製品との界面の位置に応じて、位置を上下に調節可能に、設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項7】
前記磁場発生装置収納室内を流れる冷却水を前記製品に向けて噴射させる放水路が前記鋳型に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項8】
前記磁場発生装置収納室は、前記鋳造空間の全周を囲むように横断面が枠状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項9】
前記磁場発生装置収納室はそれぞれ区画された独立の複数の部分磁場発生装置収納室を備えたものとして構成され、前記各部分磁場発生装置収納室は、前記鋳造空間の全周の一部を囲むものとして形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項10】
前記磁場発生装置は、横断面が枠状のものとして構成され、内周側が第1の極に磁化され、外周側が第2の極に磁化されていることを特徴とする請求項8記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項11】
前記磁場発生装置は、横断面が枠状の支持体と、前記支持体の内面に複数の永久磁石片を所定の間隔で取り付け、前記各永久磁石体は内面側と外面側がそれぞれ磁化されていることを特徴とする請求項8記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項12】
前記磁場発生装置は複数の永久磁石片を備え、前記複数の永久磁石片を所定間隔で前記磁場発生装置収納室に収納したことを特徴とする請求項8記載の溶解炉システム。
【請求項13】
前記磁場発生装置は複数の永久磁石片を備え、前記複数の永久磁石片をそれぞれ前記部分磁場発生装置収納室に収納したことを特徴とする請求項9記載の溶解炉システム。
【請求項14】
前記第1電極は、前記鋳型中における液相状態の溶湯とあるいはこの溶湯と電気的に導通する溶湯あるいはその他の部品と電気的に導通可能に設けられ、前記第2電極は、前記鋳型から取り出される固相状態の製品とあるいは前記製品と電気的に導通可能に設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至13の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項15】
前記第1電極及び前記第2電極は、共に、前記鋳型中の液相状態の溶湯に電気的に導通可能に設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至13の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項16】
前記第1電極及び前記第2電極にはこれらの間に直流電流を流し得る電源装置が接続されていることを特徴とする請求項1乃至15の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項17】
前記第1電極及び前記第2電極にはこれらの間に交流電流を流し得る電源装置が接続されていることを特徴とする請求項1乃至15の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項18】
前記電源装置は周波数変換機能を備えていることを特徴とする請求項17記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項19】
前記鋳型は、非導電性材料による1重構造、導電性材料による1重構造、あるいは、非導電性材料と導電性材料による2重構造のものとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至18の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。
【請求項20】
前記第2電極は先端にローラを備え、前記ローラは取り出される前記鋳造品の外面との接触により回転可能なものとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至19の1つに記載の攪拌装置付連続鋳造用鋳型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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