説明

攪拌装置

【課題】容器の内側の側面に付着した食材を剥がしながら攪拌することができる攪拌装置を提供する。
【解決手段】攪拌装置1は、鍋部(容器)14と、攪拌子6と、支持体5と、昇降機構4とを備えている。鍋部14は、内側の側面14aが湾曲していて、攪拌対象を収容する。攪拌子6は、鍋部14の上方に配置されており、支持体5によって揺動可能に支持されている。昇降機構4は、支持体5を昇降させて、鍋部14に対して攪拌子6を挿脱する。そして、支持体5が下降すると、攪拌子6の先端が鍋部14の側面14aに沿って摺動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に投入された食材を攪拌する攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から食材を加熱しながら攪拌する攪拌装置が知られている。このような攪拌装置は、例えば、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された攪拌装置は、加熱源により加熱される食材収容鍋と、回転可能に構成された攪拌子と、攪拌子を食材収容鍋に挿脱する攪拌子移動機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−272313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された攪拌装置では、食材収容鍋を熱源により加熱させるため、食材が食材収容鍋の内面に付着し易くなる。しかしながら、特許文献1に記載された攪拌装置では、攪拌子を回転させて食材を攪拌するため、食材収容鍋に付着した食材を剥がしながら攪拌することができなかった。
【0005】
例えば、かに玉や野菜炒めなどを調理する場合は、鍋の内面に付着した食材を剥がしながら攪拌することが望まれる。また、加熱されない容器に粘着性を有する食材を投入して攪拌する場合も、食材が容器の内面に付着することがあるため、食材を剥がしながら攪拌することが望まれる。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、容器の内側の側面に付着した食材を剥がしながら攪拌することができる攪拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の攪拌装置は、容器と、攪拌子と、支持体と、昇降機構とを備えている。容器は、内側の側面が湾曲していて、食材を収容する。攪拌子は、容器の上方に配置されており、支持体によって揺動可能に支持されている。昇降機構は、支持体を昇降させて、容器に対して攪拌子を挿脱する。そして、支持体が下降すると、攪拌子の先端が容器の内側の側面に沿って摺動する。
【0008】
本発明の攪拌装置で食材を攪拌する場合は、昇降機構によって支持体を下降させる。これにより、支持体に揺動可能に支持された攪拌子の先端が、容器の内側の側面に当接し、その側面に沿って摺動する。その結果、容器の内側の側面に付着した食材を剥がしながら攪拌することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、攪拌子の先端が容器の内側の側面に当接して摺動するため、容器の内側の側面に付着した食材を剥がしながら攪拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の攪拌装置の第1の実施の形態の正面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図4】本発明の攪拌装置の第1の実施の形態に係る攪拌子及び揺動支持部材の斜視図である。
【図5】本発明の攪拌装置の第1の実施の形態に係る攪拌子及び揺動支持部材の側面図である。
【図6】図6(a)は本発明の攪拌装置の第1の実施の形態に係る攪拌子が容器の上方に配置された状態の説明図、図6(b)は攪拌子の先端が容器の内側の側面に当接した状態の説明図、図6(c)は攪拌子の先端が容器の内側の側面を摺動した状態の説明図である。
【図7】本発明の攪拌装置の第2の実施の形態に係る支持体の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の攪拌装置を実施するための形態について、図1〜図7を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0012】
1.第1の実施の形態
[攪拌装置の構成]
まず、本発明の攪拌装置の第1の実施の形態の構成について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、攪拌装置の第1の実施の形態の正面図である。図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。図3は、図1のB−B線に沿う断面図である。
【0013】
以下の説明では、攪拌装置を正面側から見た状態で前後方向、上下方向、左右方向を示す。
攪拌装置1は、容器に投入された食材を加熱しながら攪拌する装置であり、例えば、卵焼き(かに玉)や野菜炒めなどを調理する場合に用いられる。鍋ブロック2と、一対の支柱3A,3Bと、昇降機構4と、支持体5と、複数の攪拌子6を備えている。
【0014】
鍋ブロック2は、直方体状に形成されたブロック本体11と、このブロック本体11を加熱する熱源12からなっている。ブロック本体11の上面11aには、左右方向に並べられた複数の鍋部14が設けられている。各鍋部14は、本発明に係る容器の一具体例を示すものである。これら鍋部14は、ブロック本体11の上面に半球状の凹部を設けることにより形成されており、鍋部14の側面14aは、湾曲している。
【0015】
一対の支柱3A,3Bは、鍋ブロック2の左右両側に配置されている。支柱3Aの中間部には、取付ブラケット16Aと、支持体ストッパ17が設けられており、基端部には、土台18Aが設けられている。一方、支柱3Bの中間部には、取付ブラケット16Bが設けられており、基端部には、土台18Bが設けられている。取付ブラケット16A,16Bには、昇降機構4の後述するシリンダ支持台22が取り付けられる。また、支持体ストッパ17は、支持体5の下方向への移動を制限する。
【0016】
昇降機構4は、支持体5を昇降させて、鍋ブロック2の鍋部14に対して攪拌子6を挿脱する。この昇降機構4は、シリンダ21と、シリンダ支持台22からなっている。シリンダ支持台22は、左右方向に延びる長方形に形成されている。このシリンダ支持台22の一端部は、支柱3Aの取付ブラケット16Aに固定されており、他端部は、支柱3Bの取付ブラケット16Bに固定されている。
【0017】
シリンダ21は、内部にピストンが設けられたシリンダ本体24と、このシリンダ本体24内のピストンによって上下方向に移動するロッド25を備えている。シリンダ本体24は、シリンダ支持台22に固定されており、ロッド25は、シリンダ支持台22を貫通している。このロッド25の先端部は、支持体5の後述するベース台36に接続されている。
【0018】
支持体5は、昇降機構4によって上下方向に移動(昇降)する。この支持体5は、複数の揺動支持部材31と、取付台32と、回転軸33と、軸受部34と、一対のスライダ35A,35Bと、ベース台36を備えている。揺動支持部材31は、攪拌子6を揺動可能に支持する。この揺動支持部材31については、後で図4及び図5を参照して詳しく説明する。
【0019】
取付台32には、4つの揺動支持部材31が取り付けられる。図2に示すように、取付台32は、略四角形の板状に形成されており、各辺から中央部に向かって左右方向或いは前後方向に延びる4つのスリット38を有している。各スリット38には、揺動支持部材31の後述する取付用ねじ部68が貫通する。そして、取付用ねじ部68に取付台32の上面側からナット39を螺合することにより、揺動支持部材31が取付台32に取り付けられている。
【0020】
図1に示すように、回転軸33は、外筒部41と、外筒部41内に摺動可能に挿入された摺動軸部42と、摺動軸部42の先端に設けられた重り43からなり、伸縮可能に構成されている。回転軸33の重り43は、取付台32の中心部に接続されている。摺動軸部42は、重り43により外筒部41から繰り出された状態(伸長状態)になっている。そして、回転軸33は、重り43を介して摺動軸部42が上方向に押圧されると、外筒部41に繰り込まれた状態(縮退状態)になる。
【0021】
軸受部34は、ベース台36に固定されており、回転軸33を回転可能に支持している。この軸受部34としては、例えば、転がり軸受(ボールベアリング)、すべり軸受、流体軸受等を適用することもできる。一対のスライダ35A,35Bは、一対の支柱3A,3Bの外径と略等しい径の筒孔を有する筒状に形成されており、それぞれ支柱3A,3Bに摺動可能に嵌合されている。
【0022】
図3に示すように、ベース台36は、縦断面がコの字状に形成されており、底部45と、側壁部46A,46Bを有している。ベース台36の底部45は、一対のスライダ35A,35Bに固定されている。なお、一対の支柱3A,3Bと、回転軸33の外筒部41は、ベース台36の底部45を貫通している。
【0023】
ベース台36には、回転軸33を回転させる回転駆動機構51が設けられている。この回転駆動機構51は、回転軸33の外筒部41に嵌合された歯車52と、この歯車52に噛合う複数の歯を有するラック53と、ラック53を直動させるアクチュエータ54から構成されている。アクチュエータ54としては、シリンダ、直動モータなどを挙げることができる。このアクチュエータ54は、ラック53を左右方向に移動させ、歯車52を回転させる。これにより、外筒部41(回転軸33)が回転駆動する。
【0024】
複数の攪拌子6は、水平方向の断面形状が略四角形の角柱状に形成されている(図4参照)。この攪拌子6は、鍋部14の側面14aに対面する外側面とは反対の内側面がテーパ面6aになっており、先端(下端)に向かうにつれて細くなっている。なお、本発明に係る攪拌子としては、鍋部14の側面14aに対向する外側にテーパ面を有する形態であってもよいが、攪拌対象である食材に接触する内側面をテーパ面にすることが好ましい。また、攪拌子6の材質としては、フッ素樹脂が好ましい。
【0025】
[揺動支持部材]
次に、支持体5の揺動支持部材31について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、揺動支持部材31の斜視図である。図5は、揺動支持部材31の側面図である。
【0026】
図4及び図5に示すように、揺動支持部材31は、攪拌子6を揺動可能に支持する支持部61と、この支持部61に取り付けられるストッパ部62から構成されている。そして、支持部61は、軸受片64A,64Bと、連結片65と、ストッパ取付片66と、揺動軸67と、取付用ねじ部68を有している。
【0027】
軸受片64A,64Bは、長方形の板体からなり、互いの平面が水平方向に対向している。連結片65は、長方形の板体からなり、軸受片64A,64Bの上部を連結している。この連結片65の長辺は、軸受片64A,64Bの長辺に連続して形成され、軸受片64A,64Bの長辺よりも短くなっている。これにより、支持部61には、攪拌子6の基端部6bとの干渉を避ける切欠き部61aが形成されている。
【0028】
ストッパ取付片66は、連結片65における切欠き部61a側の短辺から上方に突出している。このストッパ取付片66は、四角形の板体からなり、連結片65の平面に直交する平面66a,66bを有している。また、ストッパ取付片66には、ストッパ部62を螺合させるための螺合孔が設けられている。
【0029】
揺動軸67は、攪拌子6の基端部6bを貫通している。この揺動軸67の両端部は、それぞれ軸受片64A,64Bの長手方向の一端部(切欠き部61a側の端部)に固定されている。これにより、支持部61は、攪拌子6を揺動可能に支持している。支持部61に支持された攪拌子6は、テーパ面6aを有する内側がストッパ取付片66に対向する。
【0030】
取付用ねじ部68は、連結片65に固定されており、連結片65の上面から上方へ略垂直に突出している。この取付用ねじ部68の直径は、取付台32のスリット38(図2参照)の幅よりも小さい。したがって、取付用ねじ部68は、取付台32のスリット38を貫通可能になっている。
【0031】
図5に示すように、スリット38を貫通した取付用ねじ部68には、ナット39が螺合される。これにより、揺動支持部材31は、取付台32におけるスリット38内の任意の位置で固定される。つまり、取付台32における揺動支持部材31の取付位置は、支持体5が昇降する上下方向に直交する方向(水平方向)へ変更可能になっている。
【0032】
揺動支持部材31のストッパ部62は、ストッパ取付片66に螺合されるねじ軸71と、このねじ軸71の一端に設けられた当接部72からなっている。このストッパ部62は、当接部72が攪拌子6の基端部6bに当接することにより、攪拌子6の揺動範囲を制限する。
【0033】
ストッパ部62がストッパ取付片66の平面66aから突出する長さは、ストッパ取付片66に対するねじ軸71の螺合位置によって変更することができる。これにより、攪拌子6の揺動範囲を調節することができ、攪拌子6の先端と鍋部14の側面14a(図6(b)参照)との接触(当接)位置を変更することができる。つまり、ストッパ取付片66とストッパ部62の当接部72との距離を調整することで、攪拌子6の先端の位置を変更することができる。例えば、ストッパ取付片66と当接部72との距離を延ばすと、攪拌子6の基端部6bが外側に変位し、攪拌子6の先端が内側に変位する。したがって、スリット
38内において揺動支持部材31の取付位置を変更しなくても、攪拌子6を種々の大きさの鍋部に対応させることができる。
【0034】
なお、当接部72の攪拌子6に当接する面には、クッション部材を設けることが好ましい。これにより、攪拌子6における基端部6bの磨耗を抑えることができる。クッション部材の材質としては、弾性材料であることが好ましく、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料や、ポリウレタン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、スポンジ等を挙げることができる。また、クッション部材は、攪拌子6の基端部6bに設けてもよい。
【0035】
[攪拌装置の動作]
次に、攪拌装置1の動作について、図6を参照して説明する。
図6(a)は、攪拌装置1の複数の攪拌子6が鍋部(容器)14の上方に配置された状態の説明図である。図6(b)は、複数の攪拌子6の先端が鍋部14の側面14aに当接した状態の説明図である。図6(c)は、攪拌子6の先端が鍋部14の側面14aを摺動した状態の説明図である。
【0036】
攪拌装置1の鍋ブロック2に設けた鍋部14には、食材投入装置(不図示)によって食材が投入される。その後、鍋ブロック2は、鍋部14に投入された食材(不図示)を加熱しながら、搬送装置(不図示)によって攪拌子6の下方に搬送される(図6(a)参照)。これにより、攪拌装置1の回転軸33の軸心と鍋部14の中心が略一致した状態になる。
【0037】
次に、攪拌装置1は、昇降機構4(図1参照)を駆動させて、支持体5を下降させる。これにより、支持体5の各揺動支持部材31に支持された攪拌子6が下方に移動し、攪拌子6の先端が鍋部14の側面14aに当接する(図6(b)参照)。このとき、回転軸33の摺動軸部42が外筒部41(図1参照)内に僅かに繰り込まれる。これにより、昇降機構4(シリンダ21)によって加えられる力が、攪拌子6の先端に直接加わらないようにして、攪拌子6の磨耗を抑制することができる。
【0038】
続いて、支持体5がさらに下降すると、攪拌子6は、先端が鍋部14の側面14aを摺動して、揺動軸67を中心に揺動する。このとき、攪拌子6の揺動範囲が揺動支持部材31のストッパ部62によって制限されている。そのため、攪拌子6は、テーパ面6aが鍋部14の側面14aに対面するように揺動することは無く、テーパ面6aが上方を向くように揺動する。これにより、攪拌子6の先端が鍋部14の中央部に向かって摺動する(図6(c)参照)。
【0039】
その結果、攪拌子6によって鍋部14の側面14aに付着した食材を剥がしながら攪拌することができる。例えば、食材が卵であれば、卵に適当な量の空気を混入させることができるため、やわらかい卵焼きを作ることができる。
【0040】
一方、昇降機構4による支持体5の下降は、支持体ストッパ17(図1参照)により係止される。そのため、揺動支持部材31が鍋部14に押し付けられないようにすることができ、揺動支持部材31や鍋部14が傷つくことを防止することができる。また、支持体ストッパ17の位置を変更することにより、鍋部14の側面14a上の摺動を終えたときの攪拌子6の先端が到達する位置を調節することもできる。
【0041】
次に、攪拌装置1は、昇降機構4(図1参照)を駆動させて、支持体5を上昇させる。これにより、攪拌子6は、鍋部14から離れる。その後、攪拌装置1は、支持体5に設けた回転駆動機構51を動作させて回転軸33を回転させる。これにより、回転軸33の摺動軸部42に接続された取付台32が回転し、複数の攪拌子6が回転軸33の軸心を中心に回動する。その結果、攪拌子6の先端が鍋部14の側面14aに対して変位し、攪拌子6の先端と鍋部14の側面14aとの当接位置が変化する。
【0042】
その後、攪拌装置1は、昇降機構4を駆動させて、支持体5を下降させる。これにより、鍋部14の側面14aにおいて前回とは異なる部分に付着した食材を攪拌子6で剥がしながら攪拌することができる。したがって、鍋部14に投入された食材全体を攪拌することができる。
【0043】
また、攪拌装置1は、昇降機構4によって支持体5を下降させながら、回転駆動機構51によって取付台32を回転させることもできる。このように動作させた場合においても、鍋部14に投入された食材全体を攪拌子6で攪拌することができる。なお、支持体5の下降が完了後、回転駆動機構51によって取付台32を回転させることも可能である。
【0044】
本実施の形態の攪拌装置1によれば、各攪拌子6に対して個別に駆動源を用意する必要が無いため、装置全体の軽量化を図ることができると共に、コスト削減を図ることができる。また、揺動支持部材31の取付位置を水平方向へ変更可能にしたため、攪拌子6の先端が鍋部14の側面14aに当接する位置を調節することができ、食材の量や調理内容に応じて攪拌する範囲を選択することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、攪拌子6の揺動範囲を制限するストッパ部を揺動支持部材31に設けた。しかしながら、本発明に係る攪拌子の揺動範囲を制限するストッパ部は、取付台32や回転軸33の摺動軸部42などのその他の部材に設けてもよい。
【0046】
2.第2の実施の形態
[攪拌装置の構成]
次に、本発明の攪拌装置の第2の実施の形態について、図7を参照して説明する。
図7は、攪拌装置の第2の実施の形態に係る支持体の要部を示す説明図である。
【0047】
攪拌装置の第2の実施の形態は、第1の実施の形態の攪拌装置1(図1参照)と同様の構成を有している。攪拌装置の第2の実施の形態が攪拌装置1と異なるところは、支持体85である。そのため、ここでは、第2の実施の形態に係る支持体85について説明し、攪拌装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0048】
図7に示すように、支持体85は、複数の揺動支持部材91と、取付台32と、回転軸33とを備えている。また、支持体85は、第1の実施の形態に係る支持体5と同様に、軸受部34と、一対のスライダ35A,35Bと、ベース台36を備えている(図1参照)。
【0049】
揺動支持部材91は、ばね部92と、接続部93と、ボルト94から構成されている。ばね部92は、弾性部材の一具体例を示す圧縮コイルばねである。このばね部92の一端は、攪拌子86の基端部86bに固定されており、他端は接続部93に固定されている。接続部93は、ばね部92と略等しい径の円柱状に形成されている。この接続部93の一端には、上述したばね部92が固定され、他端には、ボルト94の後述する頭部94aが固定されている。
【0050】
ボルト94は、頭部94aと、頭部94aから突出する取付用ねじ部94bからなっている。頭部94aの取付用ねじ部94bが突出する面とは反対側の面は、上述した接続部93に固定されている。取付用ねじ部94bの直径は、取付台32のスリット38の幅よりも小さい。したがって、ボルト94の取付用ねじ部94bは、取付台32のスリット38を貫通可能になっている。
【0051】
スリット38を貫通した取付用ねじ部94bには、ナット39が螺合される。これにより、揺動支持部材91は、取付台32におけるスリット38内の任意の位置で固定される。つまり、取付台32における揺動支持部材31の取付位置は、支持体5が昇降する上下方向に直交する方向(水平方向)へ変更可能になっている。
【0052】
揺動支持部材91に揺動可能に支持される攪拌子86は、水平方向の断面形状が略四角形の角柱状に形成されている。この攪拌子86は、鍋部14の側面14a(図1参照)に対面する外側面とは反対の内側面がテーパ面86aになっており、先端(下端)に向かうにつれて細くなっている。
【0053】
[攪拌装置の動作]
次に、攪拌装置の第2の実施の形態の動作について説明する。
鍋ブロック2(図1参照)が攪拌子86の下方に搬送され、回転軸33の軸心と鍋部14の中心が略一致すると、攪拌装置の第2の実施の形態は、昇降機構4を駆動させて、支持体5を下降させる。これにより、支持体85の各揺動支持部材91に支持された攪拌子86が下方に移動し、攪拌子86の先端が鍋部14の側面14aに当接する。
【0054】
続いて、支持体85がさらに下降すると、攪拌子86は、先端が鍋部14の湾曲した側面14aを摺動して、各揺動支持部材91に設けたばね部92の弾性(撓み)変形によって揺動する。その結果、攪拌子86によって鍋部14の側面14aに付着した食材を剥がしながら攪拌することができる。
【0055】
本実施の形態では、弾性部材としてばね部(圧縮コイルばね)92を用いた。しかしながら、本発明に係る弾性部材としては、圧縮コイルばねに限定されず、その他のばね部材(例えば、板ばね、ねじりコイルばね等)や、ゴム部材を用いることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、攪拌子86の揺動範囲を制限するストッパ部を設けていないが、各揺動支持部材91にストッパ部を設けて、第1の実施の形態と同様に、攪拌子86の揺動範囲を制限してもよい。
【0057】
また、攪拌装置の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の攪拌装置1と同様に、各攪拌子86に対して個別に駆動源を用意する必要が無いため、装置全体の軽量化を図ることができると共に、コスト削減を図ることができる。また、揺動支持部材91の取付位置を水平方向へ変更可能にしたため、攪拌子86の先端が鍋部14の側面14aに当接する位置を調節することができ、食材の量や調理内容に応じて攪拌する範囲を選択することができる。
【0058】
[変形例]
以上、本発明の攪拌装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の攪拌装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0059】
上述の第1及び第2の実施の形態では、取付台32に4つの揺動支持部材31(91)を介して4つの攪拌子6(86)を取り付ける構成とした。しかしながら、本発明の攪拌装置としては、取付台に3つ以下の攪拌子を取り付ける構成にすることができ、また、5つ以上の攪拌子を取り付ける構成にすることもできる。
【0060】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、取付台32にスリット38を設けることにより揺動支持部材31(91)を取り付ける構成とした。しかしながら、本発明の攪拌装置としては、その他の取付方法を採用することができる。その他の取付方法としては、例えば、取付台にねじ孔を設ける方法や、磁力により取り付ける方法などを挙げることができる。
【0061】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、揺動支持部材31(91)を取付台32に着脱可能に構成した。しかしながら、本発明の攪拌装置としては、取付台と揺動支持部材を一体に形成してもよい。
【0062】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、鍋ブロック2が熱源12を有する構成とした。しかしながら、本発明に係る攪拌対象を投入する容器としては、熱源を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…攪拌装置、 2…鍋ブロック、 3A,3B…支柱、 4…昇降機構、 5,85…支持体、 6,86…攪拌子、 6a,86a…テーパ面、 6b,86b…基端部、 11…ブロック本体、 12…熱源、 14…鍋部(容器)、 14a…側面、 16A,16B…取付ブラケット、 17…支持体ストッパ、 21…シリンダ、 22…シリンダ支持台、 24…シリンダ本体、 25…ロッド、 31,91…揺動支持部材、 32…取付台、 33…回転軸、 34…軸受部、 35A,35B…スライダ、 36…ベース台、 38…スリット、 41…外筒部、 42…摺動軸部、 51…回転駆動機構、 52…歯車、 53…ラック、 54…アクチュエータ、 61…支持部、 61a…切欠き部、 62…ストッパ部、 64A,64B…軸受片、 65…連結片、 66…ストッパ取付片、 67…揺動軸、 68,94b…取付用ねじ部、 71…ねじ軸、 72…当接部72、 92…ばね部、 93…接続部、 94…ボルト、 94a…頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側の側面が湾曲し、攪拌対象を収容する容器と、
前記容器の上方に配置される攪拌子と、
前記攪拌子を揺動可能に支持する支持体と、
前記支持体を昇降させて、前記容器に対して前記攪拌子を挿脱する昇降機構と、を備え、
前記支持体が下降すると、前記攪拌子の先端が前記容器の内側の側面に沿って摺動する攪拌装置。
【請求項2】
前記支持体は、前記攪拌子を揺動可能に支持する揺動支持部材と、前記揺動支持部材を取り付ける取付台とを有し、
前記取付台は、前記揺動支持部材の取付位置を、前記支持体の昇降方向に直交する方向へ変更可能に構成されている
請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記支持体は、前記攪拌子の揺動範囲を制限するストッパ部を有する
請求項1または2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記揺動支持部材は、前記攪拌子を貫通する揺動軸と、前記揺動軸を支持する軸受片からなる
請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記揺動支持部材は、弾性部材を用いて形成されている
請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記攪拌子は、前記容器の内側の側面に対向する外側または前記外側とは反対の内側にテーパ面を有し、先端に向かうにつれて細くなっている
請求項1〜5のいずれかに記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記容器を加熱する加熱源を備える
請求項1〜6のいずれかに記載の攪拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−11339(P2012−11339A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151418(P2010−151418)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(505126610)株式会社ニチレイフーズ (71)
【出願人】(507328863)株式会社キューレイ (1)
【Fターム(参考)】