説明

支持用部品の取付位置測定具および取付位置測定方法

【課題】支持用部品の取付誤差が大きいS/A部品が次工程に流出することを確実に防止するべく、現状の検査方法の変更を最低限に抑えつつ、支持用部品の取付位置を、容易に短時間で高精度に測定することができる支持用部品の取付位置測定具および取付位置測定方法を提供する。
【解決手段】揺動可能、かつ、その揺動方向が変更可能に支持されるリンク部材11とリンク部材11の変位量を検出する変位計6を備える測定具本体2と、ナット孔50aの位置を代替して示す測定孔3bが形成されるアタッチメント部材3と、からなり、さらにリンク部材11には、プローブ12および検出部13が固設され、プローブ12が測定面3cに当接するときの球面部12aの変位量を、球面部13aの任意の一軸方向に対する変位量として変位計6により測定し、測定面3cの位置を検出して、ナット孔50aの取付位置を検出する取付位置測定具1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持用部品の取付位置測定具および取付位置測定方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車を構成するサブアッセンブル部品(以下、S/A部品と記載する)の組立構造においては、当該S/A部品の各部に対して各種の支持用部品を付設して、各支持用部品を用いて当該S/A部品を車体フレームに固設したり、あるいは、当該S/A部品の周辺部に配設される他の部品を各支持用部品に対して固設して、他の部品を当該S/A部品によって支持する構造とする場合がある。このため、当該S/A部品に対する各支持用部品の取付位置について所望する精度が確保されていなければ、当該S/A部品および他の部品等を車体フレームにうまく組みつけられなくなる場合があり、当該S/A部品に対する各支持用部品の取付位置の精度を確保することが重要となっている。そこで従来、S/A部品に付設された各支持用部品については取付位置の精度を確認する検査が行われている。
【0003】
ここで、従来行われている支持用部品の取付位置測定方法について、図24〜図27を用いて説明をする。図24は本発明の適用対象となる支持用部品が付設されたS/A部品の一例であるエキゾーストマニホールドを示す斜視図、図25は検査用架台を示す模式図、(a)S/A部品が未固定の状態の検査用架台を示す模式図、(b)S/A部品が固定された状態の検査用架台を示す模式図、図26は従来の支持用部品の軸心位置のズレ量の測定方法を示す模式図、(a)ノギスによる測定状況を示す模式図、(b)一回の測定における測定箇所を示す模式図、図27は従来の支持用部品の高さ方向のズレ量のボールゲージによる測定方法を示す模式図である。
【0004】
まず始めに、支持用部品について説明をする。尚、ここでは、S/A部品の一例であるエキゾーストマニホールドに付設された支持用部品を例示して説明をする。
図24に示す如く、S/A部品の一例であるエキゾーストマニホールド100には、当該エキゾーストマニホールド100を車体フレームに固設したり、あるいは、当該エキゾーストマニホールド100の周辺部に配設される他の部品を支持したりするために用いられる複数の支持用部品50・51・52・53・・・が付設されている。
【0005】
各支持用部品50・51・52・53・・・は、配置場所の条件や求められる機能に応じて、その形状や形成されるナット孔50a・51a・52a・53a・・・の口径および支持面50b・51b・52b・53b・・・の態様等を適宜設定している。つまり、各支持用部品50・51・52・53・・・の取付状態(支持用部品の形状、取付向き、取付高さ、ナット孔の口径、支持面の態様等)はそれぞれ異なっている。そして、従来このような支持用部品の取付位置の精度を確認する検査は、検査用架台(所謂、チェッキングフィクスチャー)、ケガキ栓、ボールゲージ等を用いて手作業で行われているため、非常に手間が掛かっていた。
【0006】
図25(a)に検査用架台の一例を示す。
検査用架台65は、本体フレーム66、位置決め部67、姿見支持部68等からなる架台であって、種類の異なるS/A部品ごとに一基ずつ準備され、S/A部品に配設された支持用部品の取付位置を検査する際に、当該S/A部品を、当該検査用架台65に対して一定の位置において一定の姿勢で固定するためのものである。
【0007】
位置決め部67は、本体フレーム66上に配設される部位であり、載置部67aおよび固定フランジ67b等からなる部位である。載置部67aは、当該検査用架台65に対応するS/A部品の所定部位の外形形状に適合する形状に形成されている部位である。また、固定フランジ67bは、当該検査用架台65に対応するS/A部品が有するフランジ(例えば、図24に示すフランジ101)に対応するフランジが所定位置に固設された部位である。
【0008】
そして、図25(b)に示す如く、S/A部品(例えば、図24に示すエキゾーストマニホールド100)の所定部位を載置部67aに載置しつつ、固定フランジ67bと当該S/A部品が備えるフランジ(例えば、図24に示すフランジ101)とを締結することによって、当該S/A部品を検査用架台65の所定位置に、所定の姿勢で再現性良く固定することができるものである。
【0009】
図25(a)に示す如く、姿見支持部68は、本体フレーム66上に配設される部位であり、支持脚部68a、支持腕部68b、接続部68c、ストッパー68d・68eを備えている。この姿見支持部68は、姿見部材40を支持する役割を果たす部位である。尚、本実施例では、説明の簡単のために、検査用架台65に姿見支持部68が一つだけ備えられている場合を例示しているが、検査用架台65には、当該検査用架台65に対応するS/A部品に付設されている全ての支持用部品に対応する姿見支持部68が備えられている。
【0010】
姿見支持部68は、支持脚部68aが本体フレーム66から突設され、支持脚部68aに対して接続部68cを介して支持腕部68bが往復回動可能な状態で支持されている。また、接続部68cには、ストッパー68d・68eが付設されており、該ストッパー68d・68eが支持腕部68bと当接する位置で支持腕部68bの回動範囲を規制する構成としている。
【0011】
そして、図25(b)に示す如く、支持腕部68bの回動位置をストッパー68dに当接する位置とするときに、支持腕部68bの先端に固設されている姿見部材40が、対応する支持用部品50に対して所定の距離Lだけ離間した位置(即ち、支持用部品50の正規の取付位置を示す所定位置)に配設される構成としている。また、図25(a)に示す如く、支持腕部68bの回動位置をストッパー68eに当接する位置としておけば、姿見支持部68がS/A部品を位置決め部67に固定する作業の邪魔にならない位置に配置される構成としている。
【0012】
姿見部材40は、検査用架台65の規定の位置に対して規定の姿勢で固定されたS/A部品について、所望される各支持用部品の正規の取付位置に対して一定距離(例えば、図25(b)に示す距離L)だけ離間した位置に配設される部材であり、検査用架台65の規定位置に固定されたS/A部品に対する各支持用部品の正規の取付位置を示す基準を形成している。
【0013】
また、姿見部材40には各支持用部品の取付位置の基準となる基準孔40aが形成されている。該基準孔40aは、正規位置に取付られた支持用部品のナット孔(例えば、図25(b)に示すナット孔50a)の軸心と同一軸心であって、該ナット孔50aに対して一回り大きい口径の孔として形成されている。検査用架台には、姿見部材40は、各支持用部品に対応する個数だけ(即ち、複数)備えられているが、各姿見部材40・40・・・に形成される基準孔40a・40a・・・の口径は、全て統一されている。
【0014】
ケガキ栓(図示せず)は、姿見部材40に形成される基準孔40aと略一致(但し、一回り小さい)する直径に形成された略円柱状の部材であり、円柱状本体の一端部の外周円上にはケガキ用の針状部であるケガキ針が形成されているものである。
【0015】
次に、従来行われている支持用部品の取付位置測定方法について説明をする。
従来の検査方法では、図25(b)に示す如く、まずS/A部品(例えば、エキゾーストマニホールド100)を検査用架台65に固定して、エキゾーストマニホールド100を検査用架台65の所定位置に所定の姿勢で配置した後に、姿見部材40をエキゾーストマニホールド100に付設された支持用部品(例えば、図25(b)に示す支持用部品50)の正規の取付位置に対応する位置に配設した状態とする。
【0016】
次に、ケガキ栓を姿見部材40の基準孔40aに挿入し、ケガキ針を支持用部材に当接させつつ、ケガキ栓を基準孔40a内で該基準孔40aの軸心回りに回転させる。これにより、支持用部品50の支持面50bには、ケガキ針によって、ナット孔50aよりも一回り大きい円がけがかれる。
【0017】
ここで、例えば、ナット孔50aの周囲に円62がけがかれた場合を例示すると、図26(a)に示す如く、ナット孔50aにボルト60を螺設して、ノギス61によってボルト60の外周面と、ケガキ針によってけがかれた円62との距離(例えば、図26(a)に示す距離X)を手作業で測定することによって、ナット孔50aのズレを測定し、このナット孔50aのズレによって、支持用部品50のズレを評価している。
【0018】
ここで、ナット孔50aのズレは、直交する2方向について測定するようにしており、具体的には、図26(b)に示す如く、例えば、直交する2軸であるX軸およびY軸を規定するとき、X軸方向のズレX1・X2と、Y軸方向のズレY1・Y2を測定する。このように、従来のズレの測定作業では、一つの支持用部品に対して少なくとも4回の手作業による測定が必要となっている。
【0019】
そして、このようにして測定したズレX1・X2を用いて、X軸方向のズレ量ΔXを以下の数式1によって求めている。また、同様にして、ズレY1・Y2を用いて、Y軸方向のズレ量ΔYを以下の数式2によって求めている。
【0020】
【数1】

【0021】
【数2】

【0022】
このようにして測定した各軸方向のズレ量ΔX・ΔYと、許容できるズレ量として予め設定された閾値とを比較して、各ズレ量ΔX・ΔYが閾値未満である場合には、支持用部品50の取付位置について所望する精度が確保されていると判定する。また、各ズレ量ΔX・ΔYが閾値以上である場合には、支持用部品50の取付位置について所望する精度が確保されていないと判定するようにしている。
【0023】
係る支持用部品50・51・52・53・・・に対する取付位置の測定は、S/A部品の製造ロットごとに抜き取り検査で行われるが、各支持用部品50・51・52・53・・・に対してそれぞれ少なくとも4回ずつの測定が必要となるため、多数の支持用部品50・51・52・53・・・が付設されているS/A部品では、検査に多大な時間が掛かってしまうという問題があった。
【0024】
また、測定において、ケガキ線(例えば、図26(a)に示す円62)とノギス61との位置合わせが目視で行われるため、測定者の技量や癖等によって測定誤差が生じ、測定精度が確保できないという問題があった。
【0025】
さらに、図27に示す如く、従来の検査方法では、姿見部材40と支持用部品50との離間距離L1(隙間)を、ボールゲージ41を用いて測定し、正規の取付位置における離間距離Lとの差異を確認することにより、支持用部品50の取付面に対する高さ方向の取付位置の精度を手作業で確認している。このため、支持用部品50の取付面に対する高さ方向の取付位置の測定結果にも、測定者の技量等に起因する測定誤差が生じていた。また、測定すべき項目も更に増加するため、いっそう測定に要する時間が長くなっていた。
【0026】
そこで、測定者の技量等に起因する測定誤差が生じることなく、容易に短時間で高精度に支持用部品の取付位置を検査することができる測定具および測定方法の開発が望まれている状況であった。
【0027】
このような問題点を解決し得る技術としては、従来、三次元の方向で寸法検出をすることができるタッチプローブが開発されており、例えば、以下に示す特許文献1にその技術が開示され公知となっている。
係る特許文献1に示されているタッチプローブを用いれば、基準位置とナット孔の軸芯とのズレ量を精度良く測定することが可能である。しかし、係るタッチプローブを用いてズレ量を測定するときには、コンタクト(接触子)が受動的にしか変位しないため、タッチプローブあるいはS/A部品を高精度に所望する方向に変位させる構成としなければ測定を行うことができない。このため、測定装置が高価で大掛かりになるとともに、従来からある検査用架台をそのまま流用することもできず、検査方法を大幅に変更する必要が生じてしまう等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開平8−61907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明は、係る現状を鑑みてなされたものであり、支持用部品の取付誤差が大きいS/A部品が次工程に流出することを確実に防止するべく、従来の検査方法からの変更を最低限に抑えつつ、支持用部品の取付位置を、容易に短時間で高精度に測定することができる支持用部品の取付位置測定具および取付位置測定方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0031】
即ち、請求項1においては、サブアッセンブル部品に付設される支持用部品の取付位置を測定する取付位置測定具であって、該取付位置測定具は、検査対象となる前記支持用部品に形成されるナット孔に螺設されるアタッチメント部材と、前記支持用部品の取付位置の検査に用いられる検査用架台が備える姿見部材に形成される孔であって、前記ナット孔が正規位置に位置している場合の該ナット孔の軸心上に形成される基準孔により位置決めされつつ、前記姿見部材によって支持される測定具本体と、からなり、前記アタッチメント部材には、前記ナット孔の位置を代替して示す測定孔が形成され、前記測定具本体は、該測定具本体に対して揺動可能であり、かつ、その揺動方向が変更可能に支持されるリンク部材と、該リンク部材の変位量を検出する変位計と、を備え、さらに前記リンク部材には、プローブおよび検出部が固設され、前記プローブを前記測定孔の内周面に当接させたときの該プローブの変位量を、前記検出部の任意の一軸方向に対する変位量として前記変位計によって測定して、前記測定孔の内周面の位置を検出することによって、前記ナット孔の取付位置を検出するものである。
【0032】
請求項2においては、前記取付位置測定具が前記姿見部材に装着された状態において、前記リンク部材は、手動により、前記姿見部材の基準孔の軸心回りの回転方向に回転する操作ができ、かつ、前記姿見部材の基準孔の軸心を含む任意の平面内で往復揺動する操作ができるものである。
【0033】
請求項3においては、前記検出部の端部と、前記プローブの当接部は、球面状に形成されるものである。
【0034】
請求項4においては、サブアッセンブル部品に付設される支持用部品の取付位置測定方法であって、前記支持用部品に形成されるナット孔にアタッチメント部材を螺設するアタッチメント部材配置工程と、前記支持用部品の正規位置に対応する姿見部材が備えられる検査用架台に対して前記サブアッセンブル部品を固定して、前記支持用部品に対して前記姿見部材を配置する姿見部材配置工程と、測定具のプローブを前記アタッチメント部材に形成される測定孔に挿入しつつ、前記姿見部材に前記測定具をセットする測定具本体配置工程と、前記プローブを揺動可能に支持するリンクの向きを、前記ナット孔のズレ量を測定したい向きに合わせて変更しつつ、前記プローブを前記測定孔の内周面に当接させて、前記プローブの変位量を前記リンク部材の前記測定具本体の軸心方向に対する変位量として検出するズレ量測定工程と、を有するものである。
【0035】
請求項5においては、サブアッセンブル部品に付設される支持用部品の取付位置を測定する取付位置測定具であって、該取付位置測定具は、検査対象となる前記支持用部品に形成されるナット孔に螺設されるアタッチメント部材と、前記支持用部品の取付位置の検査に用いられる検査用架台が備える姿見部材に形成される孔であって、前記ナット孔が正規位置に位置している場合の該ナット孔の軸心上に形成される基準孔により位置決めされつつ、前記姿見部材によって支持される測定具本体と、からなり、前記アタッチメント部材には、前記支持用部品の支持面の位置を代替して示す測定面が形成され、前記測定具本体は、該測定具本体の軸心方向に対して往復変位可能であるノブバー部材と、該ノブバー部材の変位量を検出する変位計と、を備え、さらに前記ノブバー部材には、接触子が固設され、前記接触子を前記測定面に当接させたときの該接触子の変位量を、前記変位計によって測定して、前記支持用部品の取付位置を検出するものである。
【0036】
請求項6においては、前記取付位置測定具が前記姿見部材に装着された状態において、前記ノブバー部材は、手動により、前記姿見部材の基準孔の軸心回りの回転方向に回転する操作ができ、かつ、前記姿見部材の基準孔の軸心方向に往復動する操作ができるものである。
【0037】
請求項7においては、サブアッセンブル部品に付設される支持用部品の取付位置測定方法であって、前記支持用部品に形成されるナット孔にアタッチメント部材を螺設するアタッチメント部材配置工程と、前記支持用部品の正規位置に対応する姿見部材が備えられる検査用架台に対して前記サブアッセンブル部品を固定して、前記支持用部品に対して前記姿見部材を配置する姿見部材配置工程と、前記姿見部材に前記測定具本体をセットする測定具本体配置工程と、前記接触子の向きを、ズレ量を測定したい前記支持面の位置に合わせて変更しつつ、前記接触子を前記測定面に当接させて、前記接触子の変位量を前記ノブバー部材の前記測定具本体の軸心方向に対する変位量として検出するズレ量測定工程と、を有するものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0039】
請求項1においては、従来の測定方法からの手順の変更を最低限に抑えつつ、支持用部品の取付位置を容易に短時間で高精度に測定することができる。
【0040】
請求項2においては、支持用部品の取付位置を容易に短時間で測定することができる。
【0041】
請求項3においては、支持用部品の取付位置を容易に精度良く測定することができる。
【0042】
請求項4においては、従来の測定方法からの手順の変更を最低限に抑えつつ、支持用部品の取付位置を容易に短時間で高精度に測定することができる。
【0043】
請求項5においては、従来の測定方法からの手順の変更を最低限に抑えつつ、支持用部品の取付位置を容易に短時間で高精度に測定することができる。
【0044】
請求項6においては、支持用部品の取付位置を容易に短時間で測定することができる。
【0045】
請求項7においては、従来の測定方法からの手順の変更を最低限に抑えつつ、支持用部品の取付位置を容易に短時間で高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具の全体構成を示す左側面断面模式図。
【図2】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具の全体構成を示す平面模式図。
【図3】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具の全体構成を示す正面模式図。
【図4】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具を構成するブラケット部材を示す平面および左側面模式図。
【図5】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具を構成するベース部材を示す平面および左側面模式図。
【図6】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具を構成するリング部材を示す平面および側面模式図。
【図7】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具を構成するハウジング部材を示す平面および左側面模式図。
【図8】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具を構成するリンク部材を示す模式図、(a)リンク部材を示す左側面および平面模式図、(b)プローブを示す側面模式図、(c)検出部を示す側面模式図。
【図9】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による変位量の測定原理を示す説明図。
【図10】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(アタッチメント部材装着工程)を示す側面断面模式図。
【図11】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(姿見部材配置工程)を示す側面断面模式図。
【図12】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(測定具本体配置工程)を示す側面断面模式図。
【図13】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(ズレ量測定工程)を示す側面断面模式図。
【図14】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具によるズレ量の測定方法を示す模式図。
【図15】本発明の第二実施例に係る取付位置測定具の全体構成を示す左側面断面模式図。
【図16】本発明の第二実施例に係る取付位置測定具の全体構成を示す正面側模式図。
【図17】本発明の第二実施例に係る取付位置測定具を構成するプレート部材を示す平面および左側面模式図。
【図18】本発明の第二実施例に係る取付位置測定具を構成する第一ハウジング部材を示す平面および左側面模式図。
【図19】本発明の第二実施例に係る取付位置測定具を構成する第二ハウジング部材を示す平面および左側面模式図。
【図20】本発明の第二実施例に係る取付位置測定具を構成するノブバー部材を示す平面および左側面模式図。
【図21】本発明の第二実施例に係る取付位置測定具を構成する接触子を示す模式図、(a)接触子の第一態様を示す平面および左側面模式図、(b)接触子の第二態様を示す平面および左側面模式図。
【図22】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(測定具本体配置工程)を示す側面断面模式図。
【図23】本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(ズレ量測定工程)を示す側面断面模式図。
【図24】本発明の適用対象となる支持用部品が付設されたS/A部品の一例であるエキゾーストマニホールドを示す斜視図。
【図25】検査用架台を示す模式図、(a)S/A部品が未固定の状態の検査用架台を示す模式図、(b)S/A部品が固定された状態の検査用架台を示す模式図。
【図26】従来の支持用部品の軸心位置のズレ量の測定方法を示す模式図、(a)ノギスによる測定状況を示す模式図、(b)一回の測定における測定箇所を示す模式図。
【図27】従来の支持用部品の高さ方向のズレ量のボールゲージによる測定方法を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の第一実施例に係る支持用部品の取付位置測定具について、図1〜図8を用いて説明をする。図1は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具の全体構成を示す左側面断面模式図、図2は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具の全体構成を示す平面模式図、図3は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具の全体構成を示す正面模式図、図4は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具を構成するブラケット部材を示す平面および左側面模式図、図5は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具を構成するベース部材を示す平面および左側面模式図、図6は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具を構成するリング部材を示す平面および側面模式図、図7は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具を構成するハウジング部材を示す平面および左側面模式図、図8は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具を構成するリンク部材を示す模式図、(a)リンク部材を示す左側面および平面模式図、(b)プローブを示す側面模式図、(c)検出部を示す側面模式図である。
【0048】
図1に示す如く、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1は、各支持用部品50・51・52・53・・・(図24参照)の取付位置を測定(検査)するための測定具であり、測定具本体2と、アタッチメント部材3とからなる構成としている。そして、取付位置測定具1は、従来から用いられている検査用架台65(図25参照)とともに用いられ、該検査用架台65が備える姿見部材40に装着して使用される測定具である。
【0049】
取付位置測定具1は、各支持用部品50・51・52・53・・・に形成されるナット孔50a・51a・52a・53a・・・の軸心位置が、所定の軸心位置と比較してどの程度ズレているかを測定するための測定具である。尚、本実施例では、取付位置測定具1の測定対象をナット孔の軸心位置とする場合を例示しているが、取付位置測定具1の測定対象はこれに限定するものではなく、ボルトを挿通するための孔やボルトの軸心位置を測定対象とすることも可能である。
【0050】
図1〜図3に示す如く、測定具本体2は、基台部4と、プローブ保持部5と、変位計6と、からなる構成としている。また、基台部4は、ブラケット部材7と、ベース部材8と、からなる構成としている。
【0051】
図4(a)・(b)に示す如く、ブラケット部材7は、側面視(図4(b)参照)においてクランク状に折り曲げられている鋼製部材であり、該ブラケット部材7に対して変位計6を固設するための孔や、該ブラケット部材7とベース部材8を接続するための孔が各種形成されている。具体的には、ブラケット部材7には、変位計6の変位部6aを挿通するための挿通孔7aと、変位計6を固定支持するためのボルト16・16(図1参照)を挿通するための孔7b・7cと、ベース部材8を固定支持するためのボルト15・15(図2参照)を螺設するためのナット孔7d・7dと、ベース部材8を固定支持するためのボルト15・15を挿通するための孔7e・7eが形成されている。
【0052】
図5(a)・(b)に示す如く、ベース部材8は、側面視(図5(b)参照)において上下方向に向けて凸部が形成されている鋼製部材である。
側面視において支持板8aから上方に向けて突設される凸部である支持軸8bは、プローブ保持部5を回転可能に支持するための軸部を構成する部位である。また、側面視において支持板8aから下方に向けて突設される凸部である挿入部8cは、姿見部材40(図25参照)に形成される基準孔40aに対して挿入される部位であり、該挿入部8cを姿見部材40の基準孔40aに対して挿入することによって、測定具本体2を姿見部材40に対して位置決めする役割を果たす部位である。
【0053】
また、ベース部材8には、プローブ保持部5を該ベース部材8に対して回転可能に支持するための孔や、ベース部材8とブラケット部材7を接続するための孔が各種形成されている。具体的には、ベース部材8には、プローブ保持部5に保持されるリンク部材11を挿通するための挿通孔8dと、ベース部材8を固定支持するためのボルト15・15を挿通するための孔8e・8eと、ベース部材8を固定支持するためのボルト15・15を螺設するためのナット孔8f・8fが形成されている。
【0054】
そして、ブラケット部材7とベース部材8に形成される各孔7e・7eおよび各孔8e・8eと各ナット孔7d・7dおよび各ナット孔8f・8fを用いて、ボルト15・15・・・によってブラケット部材7とベース部材8を締結することによって、一体的な基台部4を形成する構成としている。
【0055】
図1〜図3に示す如く、プローブ保持部5は、リング部材9と、ハウジング部材10と、リンク部材11と、からなる構成としている。
【0056】
図6(a)・(b)に示す如く、リング部材9は、側面視(図6(b)参照)ハット状に形成される鋼製部材であり、作業者がプローブ保持部5を回転操作する際の操作部を構成する部位である。
リング部材9には、側面視において、上方に突設され、ブラケット部材7と当接する凸部9aと、凸部9aの下方において、該凸部9aに比して拡径された部位である鍔状の鍔部9bが形成されている。また、鍔部9bの外周面にはローレットが刻設されており、作業者がプローブ保持部5を回転操作する際に滑り止めをする役割を果たしている。
【0057】
また、リング部材9には、変位計6の変位部6aを挿通するための挿通孔9cや、リング部材9の下面部9hに向けて開放される凹部9dが形成されている。該凹部9dには、後述するハウジング部材10の凸部10dが挿入される。
【0058】
さらに、リング部材9には、ハウジング部材10を固定支持するためのボルト17・17(図3参照)を挿通するための孔9e・9eが形成されている。
さらに、鍔部9bの上面には、目印9f・9gが形成されており、該目印9f・9gによって、プローブ保持部5の回転位置の目安を表示する構成としている。
【0059】
図7に示す如く、ハウジング部材10は、プローブ保持部5を基台部4の所定位置に位置決めする役割を果たす部位である支持部10aと、リンク部材11を保持する役割を果たすリンク保持部10bと、からなる構成としている。
【0060】
支持部10aには、ベース部材8の支持軸8bと嵌合する支持孔10eが形成されている。また、この支持孔10eには、後述するリンク部材11の脚部11dが揺動可能な状態で挿入される。
【0061】
また、リンク保持部10bには、後述するリンク部材11の腕部11cが納められる溝部であるリンク溝10fと、後述するリンク部材11を回転可能に支持する支持部10cが形成されている。また、支持部10cには、支持軸10hが嵌装される軸孔10gが形成されている。
【0062】
さらに、側面視においてリンク保持部10bの上方には、凸部10dが形成されている。該凸部10dはリング部材9の凹部9dと嵌合する形状に形成されており、ハウジング部材10とリング部材9の軸心を一致させた状態で位置決めして組付けることができる。
【0063】
またハウジング部材10には、リング部材9を固定支持するためのボルト17・17を螺設するナット孔10k・10kが形成されている。
【0064】
図8(a)・(b)に示す如く、リンク部材11は、該リンク部材11をハウジング部材10に回転可能に支持するための部位である支持部11aと、検出部13を支持する部位であるとともに操作部11fを形成する部位である腕部11cと、該腕部11cから下方に向けて突設されプローブ12を支持する部位である脚部11dからなる構成としている。
【0065】
支持部11aには、支持軸10hが挿通される軸孔11bが形成されている。また、腕部11cには、検出部13を螺挿するためのナット孔11jや、リンク部材11の回転角度(揺動範囲)を規制するストッパー11g・11hが形成されている。さらに脚部11dには、プローブ12を螺挿するためのナット孔11mが形成されている。
【0066】
そして、リンク部材11がプローブ保持部5に組み付けられた状態において、ストッパー11hがリング部材9の下面部9hに当接する位置までリンク部材11を引き上げた状態とすると、プローブ12の球面部12aが、ベース部材8の支持軸8bの軸心上に位置するように、各部の寸法が設定されている。このような構成により、測定具本体2を姿見部材40の基準孔40aに装着した状態で、リンク部材11を上限まで引き上げるだけで、球面部12aを容易に基準孔40aの軸心上に配置することが可能となる。
【0067】
また、脚部11dの下方端部の端面11kには所定の傾斜角が付けられており、該端面11kに対して垂直な方向に前記ナット孔11mが形成されている。これにより、プローブ12が、腕部11cに対する脚部11dの突設方向に対して一定の傾斜角を有する状態で固設される構成としている。
【0068】
図8(c)に示す如く、プローブ12は、測定対象に直接接触する部位である球面部12aと、該球面部12aを支持する部位である支持部12bと、プローブ12をリンク部材11に対して固設するためのボルト軸部12cからなる構成としている。ここで、球面部12aは、プローブ12先端の基準点Aから一定の半径r1となる球状に形成されている。尚、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1では、球面部12aの直径を2mmとしている。
【0069】
図8(d)に示す如く、検出部13は、変位計6の変位部6aに接触する部位である球面部13aと、該球面部13aを支持する部位である支持部13bと、検出部13をリンク部材11に対して固設するためのボルト軸部13cからなる構成としている。ここで、球面部13aは、検出部13先端の基準点Bから一定の半径r2となる球状に形成されている。
【0070】
図1〜図3に示す如く、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1では、変位計6としてデジタルマイクロメータを採用している。変位計6は、変位部6aを有しており、該変位部6aに当接する物体の、変位部6aの軸方向に対する変位量を検出することができる測定器である。
また、変位計6は、図示しないPC(パーソナルコンピュータ)と接続されており、測定した変位量を随時PCに取り込んで演算処理することができる。
【0071】
図1に示す如く、アタッチメント部材3は、各支持用部品50・51・52・53・・・のナット孔50a・51a・52a・53a・・・に螺挿可能な部材である。例えば、支持用部品50に適用される場合を例示すると、アタッチメント部材3には、ナット孔50aに対応するネジ部3aが形成されている。そして、アタッチメント部材3の軸心上には、測定孔3bが形成され、該測定孔3bの内周面を測定面3cとしている。
【0072】
このように、測定孔3bを形成し、測定面3cにプローブ12の球面部12aを接触させる構成とすることによって、ナット孔50aの内面を直接測定する場合に比して、プローブ12との接点の状態が安定しているため、測定誤差を抑えることができる。また、ナット孔の大きさがそれぞれ異なるような支持用部品であっても、ネジ部3aの径は異なるが測定孔3bの大きさが統一されたアタッチメント部材3を複数準備しておくことによって、共通の測定具本体2でズレ量を測定することが可能になる。尚、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1では、測定孔3bの直径を5mmに統一する構成としている。
【0073】
次に、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による支持用部品の取付位置測定方法について、図9〜図14を用いて説明をする。図9は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による変位量の測定原理を示す説明図、図10は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(アタッチメント部材装着工程)を示す側面断面模式図、図11は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(姿見部材配置工程)を示す側面断面模式図、図12は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(測定具本体配置工程)を示す側面断面模式図、図13は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(ズレ量測定工程)を示す側面断面模式図、図14は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具によるズレ量の測定方法を示す模式図である。
【0074】
まずここで、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具の測定原理について、図9を用いて説明をする。
図9に示す如く、取付位置測定具1が有するリンク部材11には、支持部11a、腕部11c、脚部11dが形成されているが、各部11a・11c・11dの相対的な位置関係は常に一定である。また、腕部11cには検出部13が固設され、脚部11dの先端にはプローブ12が固設されている。
【0075】
ここで、プローブ12の球面部12aを垂直方向に立設する面に当接させるとき、この面と球面部12aとの接点の水平方向の変位量をαとする。また、検出部13の球面部13aを水平方向に横設する面に当接させるとき、この面と球面部13aとの接点の垂直方向の変位量をβとする。
【0076】
プローブ12の球面部12aの接点位置は、常に基準点Aから水平方向に距離r1だけ離間した位置となり、かつ、検出部13の球面部13aの接点位置は、常に基準点Bから垂直方向上方に距離r2だけ離間した位置となるため、変位量αに対する変位量βは一義的に定まる。換言すれば、変位量βを測定することによって、変位量αを求めることができる。本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1では、この原理を利用することによって、検出部13の球面部13aの変位量を変位計6によって検出することによって、プローブ12の球面部12aの変位量を検出し、支持用部品の取付位置を精度良く測定することを可能としている。
【0077】
即ち、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1は、検出部13の端部たる球面部13aと、プローブ12の当接部たる球面部12aは、球面状に形成されるものである。
このような構成により、支持用部品50の取付位置を容易に精度良く測定することができる。
【0078】
次に、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による支持用部品の取付位置を検査する測定工程について、図10〜図14および図24、図25を用いて説明をする。
【0079】
(準備(ゼロイング)工程)
取付位置の測定に先立って、準備工程として、プローブ12の球面部12aの変位量と変位計6のゼロ点との較正(ゼロイング)を行う。
ゼロイングの方法としては、例えば、姿見部材40の基準孔40aとアタッチメント部材3の測定孔3bが同一軸心上に配置された(即ち、ナット孔50aの取付精度が確保されていることが既知である)較正用の基準治具(図示せず)を準備しておき、該基準治具に測定具本体2を装着して、測定孔3bの測定面3cに球面部12aを当接させ、その状態で変位計6の指示値を「0」にリセットすることによって、測定具本体2の較正を行うことができる。
【0080】
(アタッチメント部材配置工程)
図10に示す如く、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1を用いた測定工程では、まず始めに、図24に示すような検査対象のS/A部品たるエキゾーストマニホールド100に付設された支持用部品50のナット孔50aにアタッチメント部材3を螺挿して、該アタッチメント部材3を支持用部品50に対する所定位置に配置する。
【0081】
(姿見部材配置工程)
次に、図11および図25(b)に示す如く、エキゾーストマニホールド100のフランジ101・102等を活用して検査用架台65に固定した後に、検査対象となる支持用部品50に対応する姿見部材40を支持用部品50に対する所定位置に配置する。
【0082】
(測定具本体配置工程)
次に、図12に示す如く、ベース部材8の挿入部8cを姿見部材40の基準孔40aに挿入して、測定具本体2を姿見部材40に対して装着する。このとき、プローブ12は、アタッチメント部材3の測定孔3bに挿通するようにしておく。このとき、リンク部材11を最上位に引き上げれば、プローブ12の球面部12aは図14に示す姿見部材40の基準孔40aの中心点である点Oを通る軸心上に配置される。
【0083】
(ズレ量測定工程)
次に、図13に示す如く、リンク部材11の操作部11fを下方に押圧して、プローブ12の球面部12aが原点Oから測定面3cに当接する位置まで変位するようにリンク部材11を支持軸10hまわりに揺動させる。ここでは、例えばリンク部材11の操作部11fを下方に押圧したときにX軸の正方向へプローブ12が変位する向きにプローブ保持部5(リング部材9)の回転位置を保持している。この状態における検出部13の球面部13aの変位量を変位計6で検出し、この変位量をズレX1として記録しておく。これで、検査対象たる支持用部品50に対する第一の測定を終える。
【0084】
次に、作業者によって、リンク部材11の操作部11fを上方に押圧してプローブ12の球面部12aを原点Oにリセットした後に、目印9f・9gを目安としてプローブ保持部5(リング部材9)を水平方向に180度回転させて、リンク部材11の操作部11fを下方に押圧したときにX軸の負方向へプローブ12が変位する向きにプローブ保持部5(リング部材9)の回転位置を保持させる。そして、リンク部材11の操作部11fを下方に押圧して、プローブ12の球面部12aが原点Oから測定面3cに当接する位置まで変位するようにリンク部材11を支持軸10hまわりに揺動させる。この状態における検出部13の球面部13aの変位量を変位計6で検出し、この変位量をズレX2として記録しておく。これで、検査対象たる支持用部品50に対する第二の測定を終え、X軸方向に対するズレの測定が完了する。
【0085】
次に、作業者によって、リンク部材11の操作部11fを上方に押圧してプローブ12の球面部12aを原点Oにリセットした後に、目印9f・9gを目安としてプローブ保持部5(リング部材9)を90度回転させて、例えば、リンク部材11の操作部11fを下方に押圧したときにY軸の正方向へプローブ12が変位する向きにプローブ保持部5(リング部材9)の回転位置を保持させる。そして、リンク部材11の操作部11fを下方に押圧して、プローブ12の球面部12aが原点Oから測定面3cに当接する位置まで変位するようにリンク部材11を支持軸10hまわりに揺動させる。この状態における検出部13の球面部13aの変位量を変位計6で検出し、この変位量をズレY1として記録しておく。これで、検査対象たる支持用部品50に対する第三の測定を終える。
【0086】
次に、作業者によって、リンク部材11の操作部11fを上方に押圧してプローブ12の球面部12aを原点Oにリセットした後に、目印9f・9gを目安としてプローブ保持部5(リング部材9)を180度回転させて、リンク部材11の操作部11fを下方に押圧したときにY軸の負方向へプローブ12が変位する向きにプローブ保持部5(リング部材9)の回転位置を保持させる。そして、リンク部材11の操作部11fを下方に押圧して、プローブ12の球面部12aが原点Oから測定面3cに当接する位置まで変位するようにリンク部材11を支持軸10hまわりに揺動させる。この状態における検出部13の球面部13aの変位量を変位計6で検出し、この変位量をズレY2として記録しておく。これで、検査対象たる支持用部品50に対する第四の測定を終え、Y軸方向に対するズレの測定が完了する。
そして、以上により、検査対象たる支持用部品50に対する全ての測定が完了する。
【0087】
即ち、リンク部材11は、取付位置測定具1が姿見部材40に装着された状態において、手動により、姿見部材40の基準孔40aの軸心回りの回転方向に回転する操作ができ、かつ、姿見部材40の基準孔40aの軸心を含む任意の平面内で往復揺動する操作ができるものである。
このような構成により、支持用部品50の取付位置を容易に短時間で測定することができる。
【0088】
そして、第一および第二の測定により検出したズレX1・X2を用いて、X軸方向のズレ量ΔXを前述した数式1によって求める。また、同様に第三および第四の測定により検出したズレY1・Y2を用いて、Y軸方向のズレ量ΔYを前述した数式2によって求める。
【0089】
このように、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1を用いた測定方法では、従来から使用していた検査用架台65および姿見部材40をそのまま使用するとともに、測定結果の評価方法も従来通りであるため、検査工程を大幅に変更する必要がない。それでいて、測定精度の向上および測定に要する時間の大幅な短縮を図ることが可能であり、検査工程の改善に有効である。
【0090】
即ち、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1は、S/A部品(本実施例では、エキゾーストマニホールド100)に付設される支持用部品50・51・52・53・・・の取付位置を測定するものであって、取付位置測定具1は、検査対象となる支持用部品50に形成されるナット孔50aに螺設されるアタッチメント部材3と、支持用部品50の取付位置の検査に用いられる検査用架台65が備える姿見部材40に形成される孔であって、ナット孔50aが正規位置に位置している場合の該ナット孔50aの軸心上に形成される基準孔40aにより位置決めされつつ、姿見部材40によって支持される測定具本体2と、からなり、アタッチメント部材3には、ナット孔50aの位置を代替して示す測定孔3bが形成され、測定具本体2は、該測定具本体2に対して、揺動可能であり、かつ、その揺動方向が変更可能に支持されるリンク部材11と、該リンク部材11の変位量を検出する変位計6と、を備え、さらにリンク部材11には、プローブ12および検出部13が固設され、プローブ12を測定孔3bの内周面(即ち、測定面3c)に当接させたときの該プローブ12の球面部12aの変位量を、検出部13の球面部13aの任意の一軸方向に対する変位量として変位計6によって測定して、測定孔3bの内周面(測定面3c)の位置を検出することによって、ナット孔50aの取付位置を検出するものである。
【0091】
また、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1を用いた取付位置検査方法は、S/A部品(本実施例では、エキゾーストマニホールド100)に付設される支持用部品50・51・52・53・・・の取付位置測定方法であって、支持用部品50に形成されるナット孔50aにアタッチメント部材3を螺設するアタッチメント部材配置工程と、支持用部品50の正規位置に対応する姿見部材40が備えられる検査用架台65に対して、エキゾーストマニホールド100を固定して、支持用部品50に対して姿見部材40を配置する姿見部材配置工程と、測定具本体2のプローブ12をアタッチメント部材3に形成される測定孔3bに挿入しつつ、姿見部材40に測定具本体2をセットする測定具本体配置工程と、プローブ12を揺動可能に支持するリンク部材11の向きを、ナット孔50aのズレ量を測定したい向きに合わせて変更しつつ、プローブ12を測定孔3bの内周面(測定面3c)に当接させて、プローブ12の球面部12aの変位量をリンク部材11(より詳しくは、検出部13の球面部13a)の測定具本体2の軸心方向に対する変位量として検出するズレ量測定工程と、を有するものである。
このような構成により、従来の検査方法からの変更を最低限に抑えつつ、支持用部品50の取付位置を容易に短時間で高精度に測定することができる。
【0092】
次に、本発明の第二実施例に係る支持用部品の取付位置測定具について、図15〜図21を用いて説明をする。図15は本発明の第二実施例に係る取付位置測定具の全体構成を示す左側面断面模式図、図16は本発明の第二実施例に係る取付位置測定具の全体構成を示す正面側模式図、図17は本発明の第二実施例に係る取付位置測定具を構成するプレート部材を示す平面および左側面模式図、図18は本発明の第二実施例に係る取付位置測定具を構成する第一ハウジング部材を示す平面および左側面模式図、図19は本発明の第二実施例に係る取付位置測定具を構成する第二ハウジング部材を示す平面および左側面模式図、図20は本発明の第二実施例に係る取付位置測定具を構成するノブバー部材を示す平面および左側面模式図、図21は本発明の第二実施例に係る取付位置測定具を構成する接触子を示す模式図、(a)接触子の第一態様を示す平面および左側面模式図、(b)接触子の第二態様を示す平面および左側面模式図である。
【0093】
図15に示す如く、本発明の第二実施例に係る取付位置測定具21は、各支持用部品50・51・52・53・・・(図24参照)の取付位置を測定(検査)するための測定具であり、測定具本体22と、アタッチメント部材23とからなる構成としている。そして、取付位置測定具21は、従来から用いられている検査用架台65とともに用いられ、該検査用架台65が備える姿見部材40に装着して使用される測定具である。
【0094】
取付位置測定具21は、各支持用部品50・51・52・53・・・に形成されている支持面50b・51b・52b・53b・・・とS/A部品の表面との離間距離(取付高さ)が、所定の所望する取付高さと比較してどの程度ズレているかを測定するための測定具である。
【0095】
図15および図16に示す如く、測定具本体22は、プレート部24と、接触子保持部25と、変位計26と、接触子27と、からなる構成としている。
【0096】
図17に示す如く、プレート部24は、プレート状の鋼製部材であり、該プレート部24に対して変位計26を固設するための孔や、該プレート部24に対して接触子保持部25を接続するための孔が各種形成されている。具体的には、プレート部24には、変位計26の変位部26aを挿通するための挿通孔24aと、変位計26を固定支持するためのボルト35・35(図15参照)を挿通するための孔24b・24bと、接触子保持部25を固定支持するためのボルト36・36(図16参照)を挿通するための孔24c・24cが形成されている。
【0097】
図15および図16に示す如く、接触子保持部25は、第一ハウジング部材29と、第二ハウジング部材30と、ノブバー部材31と、からなる構成としている。
【0098】
図18に示す如く、第一ハウジング部材29は、側面視(図18(b)・(c)参照)において凸部および切欠き部を有する形状に形成されている鋼製部材である。第一ハウジング部材29には、該第一ハウジング部材29をプレート部24に対して固設するための孔や、該第一ハウジング部材29と第二ハウジング部材30を接続するための孔が各種形成されている。具体的には、第一ハウジング部材29には、変位計26の変位部26aを挿通するための挿通孔29c・29dと、第一ハウジング部材29と第二ハウジング部材30を一体化するとともに、プレート部24に対して接触子保持部25を固定支持するためのボルト36・36を挿通するための孔29e・29eが形成されている。
【0099】
第一ハウジング部材29には、側面視において、下方に突設し、後述する第二ハウジング部材30の収容孔30dに嵌合する凸部29aが形成されている。凸部29aの部分的に切りかかれており、対面する平行な二つの面である切欠き部29f・29fが形成されている。さらに、側面視において、凸部29aの上方には鍔部29bが形成されている。
【0100】
図19に示す如く、第二ハウジング部材30は、側面視(図19(b)・(c)参照)において凸部および切欠き部を有する形状に形成されている鋼製部材である。第二ハウジング部材30には、該第二ハウジング部材30と第一ハウジング部材29を接続するための孔や、ノブバー部材31を挿通(収容)するための孔が各種形成されている。具体的には、第二ハウジング部材30には、ノブバー部材31の軸部31bを挿通するための挿通孔30e・30fと、ノブバー部材31のノブ部31aを収容するとともに第一ハウジング部材の凸部29aが挿入される収容孔30dと、第一ハウジング部材29と第二ハウジング部材30を一体化するとともに、プレート部24に対して接触子保持部25を固定支持するためのボルト36・36を螺挿するためのナット孔30g・30gが形成されている。
【0101】
第二ハウジング部材30には、側面視において胴体部30aから下方に向けて突設される挿入部30cは、姿見部材40(図25参照)に形成される基準孔40aに対して挿入される部位であり、該挿入部30cを姿見部材40の基準孔40aに対して挿入することによって、測定具本体22を姿見部材40に対して位置決めする役割を果たす部位である。
【0102】
また、第二ハウジング部材30の胴体部30aは、部分的に対面する二つの平面によって切りかかれた態様の切欠き部30h・30hが形成されており、収容孔30dが切欠き部30h・30hにおいて開放されている。また、第二ハウジング部材30上端部の拡径部30bは、第一ハウジング部材29の鍔部29bと平面視において略同じ外形形状に形成されている。
【0103】
図20(a)・(b)に示す如く、ノブバー部材31は、側面視(図20(b)参照)において凸部を有する形状に形成されている鋼製部材であり、ノブ部31a、軸部31b、溝部31cが形成されている。また、軸部31bの下端面には、接触子27を固設する際に用いるネジ孔31dが軸部31bの軸心上に形成されている。
【0104】
ノブ部31aは、作業者がノブバー部材31を操作する際に触れる部位であり、ノブ部31aの外周面には滑り止めのためのローレットが刻設されている。また、溝部31cには接触子27が挿入される。溝部31cの形状は接触子27を挿入可能な寸法としており、接触子27が軸部31bに装着された状態で、接触子27が軸部31bに対して相対回転することを防止する役割を果たしている。
【0105】
図21(a)・(b)に示す如く、接触子27は、側面視(図21(b)参照)において凸部を有する形状に形成されている鋼製部材であり、その凸部たる接触部27a、胴体部27b、挿通孔27c等が形成されている。接触部27aは、測定対象と直接接触する部位である。尚、接触子27の形状等は支持用部品の形状や求められる測定精度等に応じて適宜選択することができるものであり、例えば、図21(c)・(d)に示すような形状の接触子28を採用することも可能である。
【0106】
接触子保持部25は、第二ハウジング部材30の挿通孔30fに対して、ノブバー部材31の軸部31bを挿通孔30e側から挿入した後に、第一ハウジング部材29の凸部29aを第二ハウジング部材30の収容孔30dに挿入する。これにより、第一ハウジング部材29および第二ハウジング部材30によって形成されるケース体の内部にノブバー部材31が保持されるようにしている。
【0107】
その後、ノブバー部材31の軸部31bの下端面に接触子27を固設して、接触子保持部25が組立てられる。
ここで、第二ハウジング部材30の胴体部30aは部分的に切欠き部30h・30hが形成されており、該切欠き部30h・30hにおいて、収容孔30dが開放されている。そして、収容孔30dの開放部分からノブバー部材31のノブ部31aを外部に露出させる構成としている。これにより、作業者が接触子保持部25によって保持されているノブ部31aを上下方向および回転方向に操作することが可能となっている。
【0108】
図15および図16に示す如く、本発明の第二実施例に係る取付位置測定具21では、変位計26としてデジタルマイクロメータを採用している。変位計26は、変位部26aを有しており、該変位部26aに当接する物体の、変位部26aの軸方向に対する変位量を検出することができる測定器である。
また、変位計26は、図示しないPC(パーソナルコンピュータ)と接続されており、測定した変位量を随時PCに取り込んで演算処理することができる。
【0109】
図15に示す如く、アタッチメント部材23は、各支持用部品50・51・52・53・・・のナット孔50a・51a・52a・53a・・・に螺挿可能な部材である。例えば、支持用部品50に適用される場合を例示すると、アタッチメント部材3には、ナット孔50aに対応するネジ部23aが形成されている。そして、アタッチメント部材23の上端部には、測定部23bを形成し、該測定部23bの上端面を測定面23cとしている。
【0110】
このように、測定部23bを形成し、測定面23cに接触子27を接触させる構成とすることによって、支持用部品50の支持面50bを直接測定する場合に比して、接触子27との接点の状態が安定しているため、測定誤差を抑えることができる。また、ナット孔の大きさがそれぞれ異なるような支持用部品であっても、ネジ部23aの径は異なるが測定部23bの厚みが統一されたアタッチメント部材23を複数準備しておくことによって、共通の測定具本体22で支持用部品の取付高さ方向のズレ量を測定することが可能になる。
【0111】
次に、本発明の第二実施例に係る取付位置測定具による支持用部品の取付位置測定方法について、図22および図23を用いて説明をする。図22は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(測定具本体配置工程)を示す側面断面模式図、図23は本発明の第一実施例に係る取付位置測定具による測定工程(ズレ量測定工程)を示す側面断面模式図である。
【0112】
(準備(ゼロイング)工程)
取付位置の測定に先立って、準備工程として、接触子27の変位量と変位計6のゼロ点との較正(ゼロイング)を行う。
ゼロイングの方法としては、例えば、姿見部材40の基準孔40aとアタッチメント部材23の測定面が規定の取付位置に配置された(即ち、支持面50bの取付精度が確保されていることが既知である)較正用の基準治具を準備しておき、該基準治具に測定具本体22を装着して、測定面23cに接触子27の接触部27aを当接させ、その状態で変位計26の指示値を「0」にリセットすることによって、測定具本体22の較正を行うことができる。
【0113】
(アタッチメント部材配置工程)
本発明の第二実施例に係る取付位置測定具21による測定工程では、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1による測定工程と同様(図10参照)に、まず始めに、図24に示すような検査対象のS/A部品たるエキゾーストマニホールド100に付設された支持用部品50のナット孔50aにアタッチメント部材23を螺挿して、該アタッチメント部材23を支持用部品50に対する所定位置に配置する。
【0114】
(姿見部材配置工程)
次に、本発明の第一実施例に係る取付位置測定具1による測定工程と同様(図11および図25(b)参照)に、エキゾーストマニホールド100のフランジ101・102等を活用して検査用架台65に固定した後に、検査対象となる支持用部品50に対応する姿見部材40を支持用部品50に対する所定位置に配置する。
【0115】
(測定具本体配置工程)
次に、図22に示す如く、第二ハウジング部材30の挿入部30cを姿見部材40の基準孔40aに挿入して、測定具本体22を姿見部材40に対して装着する。このとき、接触子27は、アタッチメント部材23の測定面3cから離間するように引き上げた状態としておく。
【0116】
(ズレ量測定工程)
次に、図23に示す如く、ノブバー部材31を軸心回りに回転させることによって、接触子27の接触部27aの向きを変更して、該接触部27aをアタッチメント部材23の測定面23cのどの部位について当接させるか(即ち、どの支持面50bの部位について、取付高さを測定するか)を設定する。
【0117】
次に、図23に示す如く、ノブバー部材31のノブ部31aを下方に押圧して、接触子27の接触部27aを測定面23cに当接させる。そして、この状態におけるノブ部31aの変位量を変位計26で検出し、この変位量を(例えばズレZとして)記録しておく。これで、検査対象たる支持用部品50に対する測定が完了する。
【0118】
ここで、例えば、ノブバー部材31を軸心周りに90度ごとに回転させて、その各状態におけるノブバー部材31の変位量を4回(例えばズレZ1〜Z4等として)測定すれば、支持面50bの取付高さをナット孔50aまわりの4方向に対して測定することができる。これにより、支持面50bの傾きを把握することが可能となり、精度良く支持用部品50の取付位置の検査を行うことが可能になる。
【0119】
即ち、ノブバー部材31は、取付位置測定具21が姿見部材40に装着された状態において、手動により、姿見部材40の基準孔40aの軸心回りの回転方向に回転する操作ができ、かつ、姿見部材40の基準孔40aの軸心方向に往復動する操作ができるものである。
このような構成により、支持用部品50の取付位置を容易に短時間で測定することができる。
【0120】
あるいは、簡易的にズレ量を測定したい場合には、図21(c)・(d)に示すような接触部を備えていない接触子28を用いて、測定面23cのうち、取付高さが最も高い部位を代表点として(1点だけ)測定することも可能である。
【0121】
即ち、本発明の第二実施例に係る取付位置測定具21は、S/A部品(本実施例では、エキゾーストマニホールド100)に付設される支持用部品50・51・52・53・・・の取付位置を測定するものであって、該取付位置測定具21は、検査対象となる支持用部品50に形成されるナット孔50aに螺設されるアタッチメント部材23と、支持用部品50の取付位置の検査に用いられる検査用架台65が備える姿見部材40に形成される孔であって、ナット孔50aが正規位置に位置している場合の該ナット孔50aの軸心上に形成される基準孔40aにより位置決めされつつ、姿見部材40によって支持される測定具本体22と、からなり、アタッチメント部材23には、支持用部品50の支持面50bの位置を代替して示す測定面23cが形成され、測定具本体22は、該測定具本体22の軸心方向に対する往復動方向に変位可能であるノブバー部材31と、該ノブバー部材31の変位量を検出する変位計26と、を備え、さらにノブバー部材31には、接触子27(または接触子28)が固設され、接触子27(または接触子28)を測定面23cに当接させたときの該接触子27(または接触子28)の変位量を、変位計26によって測定して、支持用部品50の取付位置を検出するものである。
【0122】
また、本発明の第二実施例に係る取付位置測定具21を用いた取付位置測定方法は、S/A部品(本実施例では、エキゾーストマニホールド100)に付設される支持用部品50・51・52・53・・・の取付位置測定方法であって、支持用部品50に形成されるナット孔50aにアタッチメント部材23を螺設するアタッチメント部材配置工程と、支持用部品50の正規位置に対応する姿見部材40が備えられる検査用架台65に対して、エキゾーストマニホールド100を固定して、支持用部品50に対して姿見部材40を配置する姿見部材配置工程と、姿見部材40に測定具本体22をセットする測定具本体配置工程と、接触子27(または接触子28)を測定面23cに当接させて、接触子27(または接触子28)の変位量をノブバー部材31の測定具本体22の軸心方向に対する変位量として検出するズレ量測定工程と、を有するものである。
このような構成により、従来の検査方法からの変更を最低限に抑えつつ、支持用部品50の取付位置を容易に短時間で高精度に測定することができる。
【符号の説明】
【0123】
1 取付位置測定具
2 測定具本体
3 アタッチメント部材
3b 測定孔
3c 測定面
4 基台部
5 プローブ保持部
6 変位計
11 リンク部材
12 プローブ
12a 球面部
13 検出部
13a 球面部
40 姿見部材
50 支持用部品
50a ナット孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブアッセンブル部品に付設される支持用部品の取付位置を測定する取付位置測定具であって、
該取付位置測定具は、
検査対象となる前記支持用部品に形成されるナット孔に螺設されるアタッチメント部材と、
前記支持用部品の取付位置の検査に用いられる検査用架台が備える姿見部材に形成される孔であって、前記ナット孔が正規位置に位置している場合の該ナット孔の軸心上に形成される基準孔により位置決めされつつ、前記姿見部材によって支持される測定具本体と、
からなり、
前記アタッチメント部材には、
前記ナット孔の位置を代替して示す測定孔が形成され、
前記測定具本体は、
該測定具本体に対して揺動可能であり、かつ、その揺動方向が変更可能に支持されるリンク部材と、
該リンク部材の変位量を検出する変位計と、
を備え、
さらに前記リンク部材には、
プローブおよび検出部が固設され、
前記プローブを前記測定孔の内周面に当接させたときの該プローブの変位量を、
前記検出部の任意の一軸方向に対する変位量として前記変位計によって測定して、
前記測定孔の内周面の位置を検出することによって、
前記ナット孔の取付位置を検出する、
ことを特徴とする取付位置測定具。
【請求項2】
前記取付位置測定具が前記姿見部材に装着された状態において、
前記リンク部材は、
手動により、
前記姿見部材の基準孔の軸心回りの回転方向に回転する操作ができ、かつ、
前記姿見部材の基準孔の軸心を含む任意の平面内で往復揺動する操作ができる、
ことを特徴とする請求項1に記載の取付位置測定具。
【請求項3】
前記検出部の端部と、
前記プローブの当接部は、
球面状に形成される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の取付位置測定具。
【請求項4】
サブアッセンブル部品に付設される支持用部品の取付位置測定方法であって、
前記支持用部品に形成されるナット孔にアタッチメント部材を螺設するアタッチメント部材配置工程と、
前記支持用部品の正規位置に対応する姿見部材が備えられる検査用架台に対して前記サブアッセンブル部品を固定して、前記支持用部品に対して前記姿見部材を配置する姿見部材配置工程と、
測定具のプローブを前記アタッチメント部材に形成される測定孔に挿入しつつ、前記姿見部材に前記測定具をセットする測定具本体配置工程と、
前記プローブを揺動可能に支持するリンクの向きを、前記ナット孔のズレ量を測定したい向きに合わせて変更しつつ、前記プローブを前記測定孔の内周面に当接させて、前記プローブの変位量を前記リンク部材の前記測定具本体の軸心方向に対する変位量として検出するズレ量測定工程と、
を有する、
ことを特徴とする支持用部品の取付位置測定方法。
【請求項5】
サブアッセンブル部品に付設される支持用部品の取付位置を測定する取付位置測定具であって、
該取付位置測定具は、
検査対象となる前記支持用部品に形成されるナット孔に螺設されるアタッチメント部材と、
前記支持用部品の取付位置の検査に用いられる検査用架台が備える姿見部材に形成される孔であって、前記ナット孔が正規位置に位置している場合の該ナット孔の軸心上に形成される基準孔により位置決めされつつ、前記姿見部材によって支持される測定具本体と、
からなり、
前記アタッチメント部材には、
前記支持用部品の支持面の位置を代替して示す測定面が形成され、
前記測定具本体は、
該測定具本体の軸心方向に対して往復変位可能であるノブバー部材と、
該ノブバー部材の変位量を検出する変位計と、
を備え、
さらに前記ノブバー部材には、
接触子が固設され、
前記接触子を前記測定面に当接させたときの該接触子の変位量を、
前記変位計によって測定して、
前記支持用部品の取付位置を検出する、
ことを特徴とする取付位置測定具。
【請求項6】
前記取付位置測定具が前記姿見部材に装着された状態において、
前記ノブバー部材は、
手動により、
前記姿見部材の基準孔の軸心回りの回転方向に回転する操作ができ、かつ、
前記姿見部材の基準孔の軸心方向に往復動する操作ができる、
ことを特徴とする請求項5に記載の取付位置測定具。
【請求項7】
サブアッセンブル部品に付設される支持用部品の取付位置測定方法であって、
前記支持用部品に形成されるナット孔にアタッチメント部材を螺設するアタッチメント部材配置工程と、
前記支持用部品の正規位置に対応する姿見部材が備えられる検査用架台に対して前記サブアッセンブル部品を固定して、前記支持用部品に対して前記姿見部材を配置する姿見部材配置工程と、
前記姿見部材に前記測定具本体をセットする測定具本体配置工程と、
前記接触子の向きを、ズレ量を測定したい前記支持面の位置に合わせて変更しつつ、前記接触子を前記測定面に当接させて、前記接触子の変位量を前記ノブバー部材の前記測定具本体の軸心方向に対する変位量として検出するズレ量測定工程と、
を有する、
ことを特徴とする支持用部品の取付位置測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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