説明

改善されたガルバニックアイソレータ

【課題】ガルバニックアイソレータのコストを低減する。
【解決手段】分割回路要素、ポリマー基板、送信器、及び受信器を有するガルバニックアイソレータを開示した。前記分割回路要素は、第1及び第2の部分を有し、該第1の部分は、前記基板の第1の表面上に配置されており、該第2の部分は、前記基板の第2の表面上に配置されている。前記送信器は、入力信号を受信して、該入力信号から引き出した信号を前記第1の部分に結合する。前記受信器は、前記回路要素の前記第2の部分に接続されており、外部回路に結合される出力信号を生成する。ガルバニックアイソレータを、従来のプリント回路基板及びフレキシブル回路基板上において経済的に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガルバニックアイソレータに関し、特に改善されたガルバニックアイソレータに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの回路装置において、論理信号は、2つの回路間において伝達される必要があり、さもなければ互いに電気的に分離(又は絶縁)されなければならない。例えば、送信回路は、該送信回路に接触する受信回路か又は個体に対する危険(ハザード)を示すハイの内部電圧を利用することができる。より一般的なケースにおいては、その分離回路は、電圧分離とノイズ分離との両方を、分離(又は絶縁)バリアにわたって提供する必要がある。そのような分離回路は、多くの場合、「ガルバニックアイソレータ:galvanic isolators」と呼ばれる。ガルバニックアイソレータのうちの1つのクラスは、論理信号を光信号に変換することに基づく。該光信号は次いで、受信回路内の光レシーバに伝達されて、該光レシーバが、該光信号を電気信号に戻すように変換する。送信回路と受信回路とは、典型的には、隔離された基板上にあり、隔離された電力源に接続される。かなり多くの市販のガルバニックアイソレータが、そのような光伝送に基づいているが、光学的なガルバニックアイソレータは、多くの問題を有する。例えば、これらの回路は、電気的に非効率である。信号電力のうちのわずかな一部分だけしか、発光ダイオードか又は類似のデバイスを用いて光信号に変換されることができない。前記レシーバにおいて、光検出器によって回復される、光信号における電力の一部は、非常に小さい。従って、光学的なガルバニックアイソレータは、高電力と信号増幅とを必要とする。追加的には、回路によって提供される分離(又は絶縁)のレベルは、送信回路内において及び周囲環境内において生成されるRF電界(又はRFフィールド)によって制限される。該RF電界は、受信回路内の回路構成によって受け取られ、光学的に送信されている信号とは関係が無い。原則的には、受信回路を遮蔽するために、導電性のバリアを利用することができる。しかしながら、そのようなバリアは、光信号内における光の一部を遮断し、従って、前記アイソレータの電気的な効率を更に低下させる。
【0003】
これらの制限、他を克服するために、1つか又は複数の電気的な変換器に基づくガルバニックアイソレータのクラスが、開発されてきた。一例は、トランスである。これらのガルバニックアイソレータにおいて、送信器がトランスの1次巻線を駆動し、受信器が2次巻線間に接続される。典型的には、前記送信器と、前記2つの巻線とが、第1の半導体チップ上において構成され、ワイヤ結合か又はそれに類するものによって該第1の半導体チップに接続された隔離されたチップ上に前記受信器が構成される。従来の半導体製造プロセスにおいて典型的には提供される2つの金属層のパターン形成を行うことによって、第1のチップ上の駆動回路上に前記2つのトランス巻線が典型的には蒸着される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送信器チップのサイズは、トランスコイルのサイズによって設定される。該トランスコイルは、駆動回路構成と比較して、かなりのシリコン領域を典型的には必要とする。半導体基板のコストは、アイソレータのコストのかなりの部分である。このことは、送信器と受信器との間の結合(カップリング)を提供するために大きなコイルが必要とされる場合に、比較的低い周波数において動作するよう設計されるデバイスにおいて特に重要な問題である。更には、多くの用途は、単一基板上に、複数の独立したガルバニックアイソレータを必要とする。従来の半導体製造技法を用いてシリコン基板上に構築されるアイソレータ間の、クロストークは、費用対効果の手法において阻止することが難しい。何故ならば、1つのコイルによって生成される外縁の電界(fringe fields)が、近傍のコイルに結合される状態となるからである。シリコン基板上において十分な距離だけチップが離されている場合には、消費されるシリコンのコストが、甚大なものとなる。
【0005】
浪費されるシリコン領域に加え、従来のシリコン集積回路製造を用いて構築されるデバイスは、製造ラインの設計規則によって課せられる制限と、そのライン上において許される材料についての制限とを有する。多くの用途の場合に、トランスのコイル間の誘電体絶縁は、1000ボルトを越える電圧に耐えられなければならない。従来のCMOS製造ラインにおいて利用可能な誘電体の厚みは、この程度の絶縁性を提供するには不十分である。更には、幾つかの用途において、結合効率を改善するために、トランスのコイル間にフェライト層を提供することには利点がある。しかしながら、問題の材料を、多くの従来の製造ラインにおいて利用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、分割回路要素、基板、送信器、及び受信器を有するガルバニックアイソレータを含む。前記分割回路要素は、第1及び第2の部分を有する。前記基板は、第1及び第2の表面を有する、絶縁ポリマー又はポリマー/無機層を備え、該第1及び第2の部分は、前記基板上に配置される。前記回路要素の前記第1の部分は、前記第1の表面上に配置されることが可能であり、前記第2の部分は、前記第2の表面上に配置されることが可能である。代替的には、両方の部分を、前記第1の表面上に配置することができる。構成の選択は、実装されている特定の分割回路要素に依存する。前記送信器は、入力信号を受信して、該入力信号から引き出された信号を、前記第1の部分に結合する。前記受信器は、前記回路要素の前記第2の部分に接続され、外部回路に結合される出力信号を生成する。本発明の一態様において、前記分割回路要素は、前記第1の部分を含む1次コイルと、前記第2の部分を含む2次コイルとを有するトランスを備える。本発明の別の態様において、前記分割回路要素は、前記第1の部分を含む第1のプレートと、前記第2の部分を含む第2のプレートとを有するコンデンサを備える。本発明の更に別の態様において、前記分割回路要素は、送信アンテナと受信アンテナとを備える。該送信アンテナは、前記第1の部分を含み、該受信アンテナは、前記第2の部分を含む。本発明の別の態様において、前記基板はフレキシブルである。
【発明の効果】
【0007】
ガルバニックアイソレータのコストを低減することができる。
【実施例】
【0008】
本発明がその利点を提供する手法を、図1及び図2に関連してより容易に理解することができる。図1及び図2は、本発明によるガルバニックアイソレータの一実施形態を示す。図1は、ガルバニックアイソレータ20の上面図であり、図2は、線2−2による、ガルバニックアイソレータ20の断面図である。ガルバニックアイソレータ20は、送信器チップ21と受信器チップ22とを備えており、該送信器チップ21と該受信器チップ22とは、基板に結合されており、該基板内において、コイル23と24とが製造されている。該送信器チップ21と該受信器チップ22とが、層34の上面上の結合パッドに接続されている。代替的には、送信チップ21と、受信チップ22とを、リードフレームに取り付けることができ、コイル23及び24に取り付けられた結合パッドにワイヤ結合によって接続することができる。他のパッケージの実施形態も同様に可能である。コイル23及び24は、トランスを形成する。ポリマー基板33の表面上において金属層をリソグラフィカルにパターン形成することによってトランスコイルが製造される。ガルバニックアイソレータ20が設計される電圧に耐えるための十分な厚みと絶縁特性とを該ポリマー基板33が有する。
【0009】
各コイルは、外部端と内部端とを有する。これら端部の各々は、そのコイルに関連付けられた送信器チップか又は受信器チップ上の適切な端子に接続される必要がある。コイルがパターン形成される金属層がエッチングされ、且つ、基板の外側表面上に、パターン形成された金属層によって1つの接続が作られる時には、各コイルごとに、該コイルと共に形成されるパターンによって1つの接続が行われる。例えば、コイル23の内部端26に対する接続は、絶縁層34の外側表面上のパターン25によって行われる。コイル23の外部端に対する接続は、コイル23と同じ層でパターン形成されるパターン27によって行われる。パターン27は、垂直バイアによって層34を通じてチップ22に接続される。同様に、チップ21は、パターン29及び垂直バイア30によってコイル24の外部端に接続され、パターン29は、コイル24と同じ金属層でパターン形成される。コイル24の内部端は、絶縁層32の底面上のパターン28によって、導通バイア31を介してチップ21に接続される。パターン25又は28と、外側の導電体との間の電気的な接触を防止するために、絶縁層を、パターン25と28とを含む金属の層の外側に追加することができる。
【0010】
図1及び図2内において示される構造を、従来のプリント回路基板製造ライン上において製造することができる。従って、ガルバニックアイソレータ20のコストは、半導体製造ライン上のシリコンから構築されたガルバニックアイソレータのコストよりも、ずっと低い。
【0011】
ワイヤボンディングを利用することができる場合には、図1及び図2内に示される構成を、単一基板上の2つの金属層に簡略化することができる。次に図3及び図4を参照すると、図3及び図4は、本発明によるガルバニックアイソレータの別の実施形態を示す。図3は、ガルバニックアイソレータ40の上面図であり、図4は、図3内に示された線4−4による、ガルバニックアイソレータ40の断面図である。絶縁されている2つの回路間の電圧差に耐える十分な厚みを有するポリマー基板41上に蒸着され且つパターン形成された2つの金属層からガルバニックアイソレータ40は構成される。コイル42と、送信器21と受信器22とによって利用される様々な接続パッドとを提供するために、上部の金属層がパターン形成されている。底部層は、コイル43を製造するために使用され、該コイル43は、コイル42の下にあって、トランスの2次コイルを形成している。底部層はまた、パターン44及び45を提供するためにパターン形成されている。パターン44と45とは、コイル43を、層41の上面上のワイヤ結合パッド48及び49に、垂直導電バイア46及び47を介して接続するために使用される。コイル43は、ワイヤ結合51及び52によって送信器21に接続されている。
【0012】
コイル42は、上部金属層でパターン形成されているパターン53によって、及びワイヤ結合54によって、受信器22に接続されている。最終的には、ガルバニックアイソレータ40によって絶縁されることになる外部回路に、ガルバニックアイソレータ40を接続するための様々な接続パッドもまた、上部金属層でパターン形成されている。このタイプの例示的な接続パッドは、55及び56において示される。
【0013】
上述のように、本発明によるガルバニックアイソレータを、従来のプリント回路基板製造技法を用いて構築することができる。より詳細に後述されるように、フレキシブルな有機/無機か又は有機基板に基づく実施形態は、特に魅力的である。プリント回路基板か又は回路キャリアは、当該技術分野において既知であり、従って、本明細書内において、詳細には説明されない。説明を提示する目的のためには、エポキシ樹脂と共に充填されたファイバーグラスから形成されたある程度フレキシブルな有機/無機基板上において、薄い金属層を蒸着することによってか、又は金属層を取り付けることによって、次いで、従来のフォトリソグラフィック技法により該層を複数の独立した導電体へと変換することによって、プリント回路基板を製造することができることを解説することで十分である。フレックス回路技術はまた、実施形態の有用な手段である。ここで、基板は、ポリイミドのような有機材料から作られる。このタイプの薄膜及び積層板は、Dupontから商業的に利用可能であり、ポリイミドから作られたKapton(登録商標)と呼ばれる基板を利用する。幾つかの場合において、複数の層が、接着剤によって積層される。このタイプの回路キャリアか又はプリント回路基板は、シリコン基板ベースの回路構成よりも極めて安価であり、比較的薄い基板を提供することができる。より薄い基板は、1次コイルと2次コイルとの間の信号損失が最小化される必要がある用途において好ましい。一実施形態において、50.8μm(2ミル)厚のKapton(登録商標)層と、上面及び底面上の銅層とを有する、DupontによるPyralux AP積層板が利用される。
【0014】
上述の実施形態は、パターン形成することによって及び様々な金属層を接続することによって、基板上にトランスの両コイルが製造されている該基板を利用する。しかしながら、幾つかの状況において、2つの分離されたトランス構成要素からガルバニックアイソレータを構成することが、かなりの利点を提供する。次に図5及び図6を参照すると、図5及び図6は、本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータを構成するために利用されることが可能な構成要素コイルを示す。図5は、構成要素コイル60の上面図であり、図6は、線6−6による構成要素コイル60の断面図である。構成要素コイル60は、上部及び底部の金属層を有する絶縁基板62から構成される。該上部層は、コイル61と、チップ67を実装するための実装パッドのセットとを提供するために、パターン形成される。該上部層はまた、コイル61をチップ67に接続するためのパターンを備える。コイル61の外部端は、パターン63によってチップ67に接続されており、コイル61の内部端は、バイア64を介してパターンによって接続されている。該上部層はまた、チップ67を外部回路構成に接続するためのパターン66のようなパターンを提供するためにパターン形成される。前記底部の金属層は、コイル61の内部端をバイア64に第2のバイア69によって接続する導電体68を提供するためにパターン形成される。
【0015】
次に図7を参照すると、図7は、本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータを示す。ガルバニックアイソレータ70は、図5及び図6に関して上記に説明されたタイプの2つの構成要素コイル71及び72から構成される。構成要素コイル71上のチップ75は、受信器であり、構成要素コイル72上のチップ74は、その対応する送信器である。2つの構成要素コイルが、絶縁体73に結合されている。
【0016】
図7において、ガルバニックアイソレータが耐えることが可能なスタンドオフ電圧が、層73の厚み及び組成によって設定される。従って、異なる設計のスタンドオフ電圧を有するガルバニックアイソレータを、同じ構成要素コイルから構成することができる。このことは、結果として、構成要素の在庫を維持することに関連したコストを低減し、規模の経済性(economies of scale)を高めることができる。
【0017】
層73が、2つのコイルの結合効率を高める他の材料を含むことができることにもまた留意されたい。例えば、高周波に対応する必要が無い実施形態において、層73は、コイル結合効率を高めるフェライト材料を含むことができる。
【0018】
図7に示される実施形態は、コイルがここでは、絶縁層73の厚みによって及び基板62の厚みによって隔離されているので、2つのコイル間がより長い距離を有する不利な点を有する。トランスの電力結合効率が、コイル間の増加する距離を低減させるため、2つの同一な構成要素コイルから構成されたデバイスを有することによって達成される、規模の経済性における改善によって、効率におけるこの損失は相殺されることが可能である。
【0019】
図8〜9を次に参照すると、図8〜9は、本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータを構成するために利用されることが可能な構成要素コイルの別の実施形態を示す。図9は、構成要素コイル120の上面図であり、図8は、線8−8による、構成要素コイル120の断面図である。コイル121が、基板122の底面上にあり、基板121の上面上にあるパターン125及び128によって適切な駆動チップ123に接続されている点で、構成要素コイル120は、構成要素コイル60とは異なる。垂直バイア124及び126によってコイル121の端部にこれらのパターンが接続されている。
【0020】
次に図10を参照すると、図10は、本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータを示す。ガルバニックアイソレータ130は、基板131及び132上の2つの構成要素コイルから構成される。基板131上の構成要素コイル135は、図8〜9において示されるタイプのものであり、基板132上の構成要素コイル134は、図5〜6において示されるタイプのものである。2つの構成要素コイルが、絶縁体133に結合されている。該コイルが、基板の層によって、該絶縁体から分離されていないため、この実施形態によって、絶縁体133の、任意の所与の厚みの場合に、コイルが共により近づくことが可能となっている。
【0021】
基板122及び金属層とが、フレキシブル回路キャリアの一部である実施形態は、更なる利点を有する。幾つかのケースにおいて、ガルバニックアイソレータを実装するために利用可能な領域が制限される。すなわち、ガルバニックアイソレータは、比較的小さな「フットプリント:footprint」を有する必要がある。幾つかのこれらケースにおいて、コイルを実装するために必要とされる領域は、問題のフットプリントよりも広い。従って、所望のフットプリントを有するガルバニックアイソレータを提供するためには、絶縁体を実装するために必要とされる水平面領域の量を低減する垂直構成内においてコイルが実装されなければならない。フレキシブルな回路キャリア上に構成要素コイルが構成されている、上述のような構成要素コイルの設計は、この問題に対する、費用対効果の解決策を提供する。
【0022】
次に図11を参照すると、図11は、本発明によるガルバニックアイソレータの別の実施形態を示す。ガルバニックアイソレータ90は、基板がフレキシブルであることを除き、上述の構成要素コイル120と類似した、2つの構成要素コイルアセンブリ91及び92から構成される。各々の構成要素コイルは、コイル93と、送信器94か又は受信器95のいずれかを実装するためのチップインターフェースとを含む。構成要素コイルアセンブリは、90度に曲げられており、絶縁層96に結合されている。従って、取り付け面無しに、及び、実質的には領域を必要とせずに、トランスが実装される。
【0023】
本発明の上述の実施形態は、2つの回路の分離を実施する分割トランス構成を利用する。しかしながら、他のタイプの分割回路要素を利用する実施形態を、構成することもできる。例えば、送信器回路がコンデンサの1つのプレートを駆動し、該コンデンサの、その他のプレートに、受信器が取り付けられているコンデンサに基づくアイソレータを、構成することもできる。次に図12〜13を参照すると、図12〜13は、本発明によるガルバニックアイソレータの別の実施形態を示す。図12は、ガルバニックアイソレータ140の上面図であり、図13は、図12に示された線13−13による、ガルバニックアイソレータ140の断面図である。ガルバニックアイソレータ140は、受信器144から送信器143を絶縁する分割コンデンサ構成を利用する。コンデンサは、プレート148及び149とを有する。ガルバニックアイソレータ140は、上面及び底面上に蒸着された金属層を有する単一ポリマー層142から構成されることが可能であることに留意されたい。コンデンサの各プレートのエッジにおいて、1つの接続だけが必要とされるので、分割トランスに基づく実施形態に関する上述の追加的な接続のルーティングに関連した問題が、回避される。底面プレートに対する接続が、単一垂直バイアにより基板142の上面上のパターン145に接続されるパターン146によって提供される。上面プレートに対する接続は、パターン147によって提供される。
【0024】
送信器プレートと受信器プレートとが隔離された基板上にある実施形態を構成することができることにもまた留意されたい。そのような実施形態は、コイルがコンデンサのプレートによって置き換えられている状態の、上述の実施形態と類似する。そのような2つの基板の実施形態は、図7及び図11に関して上記に説明した実施形態に類似した実施形態を構成することにおいて有用である。
【0025】
分割アンテナ構成に基づく実施形態を、構築することもできる。そのような実施形態において、図12及び図13に関連した上述のコンデンサプレートが、上層及び底層の金属層をパターン形成することにより製造されたアンテナによって置き換えられる。アンテナの各アームごとの上部金属層と底部金属層との間の複数のバイアに依存する更に複雑なアンテナ設計を、同様に製造することができる。
【0026】
幾つかのケースにおいて、上述のガルバニックアイソレータは、かなりの量の電気的な干渉を有する環境内において機能する必要がある。アイソレータを構成するために用いられる分割回路要素は、この干渉を捕らえるアンテナとして作用することができるので、受けた干渉が、送信器チップと受信器チップとの間において送られているデータ信号を変更するのを防ぐために、シールドすることを含む実施形態が必要とされる。次に図14を参照すると、図14は、シールドが利用される、本発明の別の実施形態を示す。図14は、上記の図4において示されるようなガルバニックアイソレータの断面図である。導通シールド161が、上部及び底部の金属層においてパターン形成されたパッド162によって基板163に取り付けられている。シールドをコイル165及び166にあまり近づけることができないことに留意されたい。シールドに対するコイルからの距離hが、アイソレータを介して送られている信号の周波数に依存する限界距離よりも短い場合には、該シールドは、該アイソレータの動作と干渉する。25.4μm(1ミル)の高さと127μm(5ミル)の幅の金属コイルパターンを有する1つの例示的な実施形態において、2.54mm(100ミル)のシールド高hが、アイソレータ動作との干渉を防ぐのに十二分であるが、0.254mm(10ミル)のシールド高hは、あまりにも低く、従って、デバイス動作に干渉する。
【0027】
本発明において使用される低コストの基板が、そのようなシールドを組み込むことを、経済的に魅力的にさせることに留意されたい。次に図15を参照すると、図15は、本発明の一実施形態による、1枚のガルバニックアイソレータの一部を示す。本発明による、多くのガルバニックアイソレータを、必要とされる数の金属層を有する単一シートの基板上に製造することができる。例示的なガルバニックアイソレータが201に示されている。上部及び底部の半分のシールドのための取り付け箇所を提供するために、空間202を個々のガルバニックアイソレータ間に提供することができる。基板材料が、安価であるので、これらの空間は、実質的には、結果として生じるガルバニックアイソレータのコストを増加させない。所望のドーム形状を提供するめにシートをプレス加工することによって、適切な材料の2つの該シート203及び204で、シールドを形成することができる。そのプレス加工されたシートを、次いで基板シートに取り付けることができる。ガルバニックアイソレータにおけるシールドされたシートを切り取ることによって、ガルバニックアイソレータの完全なシート(sheet)を次いで単独化する(singulate)ことができる。従って、多数のガルバニックアイソレータを一度に製造することができる。
【0028】
本発明の上述の実施形態において、ガルバニックアイソレータの上面及び底面上のパターンが露出されている。パターンをダメージから防ぐために、その露出されたパターンにカバーを提供することが、時には有用である。保護カバー層を提供するための一方法は、上述のようなフレキシブル回路キャリアにおいて使用されるポリアミド層を利用することである。接着剤で覆われたポリアミドの層は、Dupontから商業的に利用可能である。1つのそのような層は、一方の側が、12.7μm(0.5ミル)厚である接着剤によってコーティングされた、12.7μm(0.5ミル)の層のポリアミドからなる。保護層を、層内に穴を提供するために、切り取ることができる。該穴は、電気的な接続を必要とするパッドに対するアクセスを提供するか、又は上述の送信器及び受信器チップのようなチップを結合するために使用される。層がパターン形成された後、保護の下地が接着剤の表面から取り除かれて、該層は、ガルバニックアイソレータにおける対応する表面上にプレスされる。様々なワイヤボンド接続とチップボンディングとが、次いで、実行される。
【0029】
次に図16を参照すると、図16は、本発明によるガルバニックアイソレータの別の実施形態の断面図である。ガルバニックアイソレータ300は、上述のガルバニックアイソレータ40に類似し、ガルバニックアイソレータ300内において、ガルバニックアイソレータ300は、ポリマーか又はポリマー/無機基板341の上面及び底面上に金属層をパターン形成することによって構築された上部コイル342と底部コイル343とを含む。送信器チップ351と受信器チップ352とが、それぞれ353及び354に示されたパターンに結合されている。上部コイルは、金属層と、基板341における露出された下にある面とに接触している接着剤の層を含むポリマー層361によって保護されている。362に示された穴が、層361において開けられて、ワイヤ結合と送信器及び受信器チップとのために使用される結合パッドに対するアクセスを提供している。同様に、接着剤がコーティングされたポリマー層371が、基板341の底面に提供されて、底部のコイルを保護する。図を簡単化するために、保護ポリマー層361及び371の個々の層は、省略されている。
【0030】
上記のように、送信アンテナと受信アンテナとから分割回路要素を構成することができる。上述の実施形態において、分割回路要素の第1及び第2の部分が、ポリマー基板の異なる表面上に配置される。しかしながら、アンテナ対の場合には、前記第1及び第2の部分が、送信アンテナが受信アンテナに対して弧を描かないことを保証するのに十分な距離だけ離れた同じ表面上に配置されることが可能である。次に図17を参照すると、図17は、本発明によるガルバニックアイソレータの別の実施形態を示す。ガルバニックアイソレータ400は、ポリマー基板403上に配置されたアンテナ対を利用する。送信チップ401は、411及び412において示された枝(ブランチ)を有する、示された送信アンテナを駆動する。受信チップ402は、枝(ブランチ)421及び422を有する受信アンテナにおいて受け取った信号を傍受する。枝411、412、421、及び422は、基板403上におけるパターンとすることができるか、又は基板403から外側に延在するワイヤとすることができることに留意されたい。そのようなワイヤを、基板403上のパターンに接続されたパッドに対してワイヤ結合することができる。
【0031】
本発明に対する様々な修正が、上述の説明及び添付図面から当業者にとって明らかになってくるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によって単独で限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明によるガルバニックアイソレータの一実施形態を示す図である。
【図2】本発明によるガルバニックアイソレータの一実施形態を示す図である。
【図3】本発明によるガルバニックアイソレータの別の実施形態を示す図である。
【図4】本発明によるガルバニックアイソレータの別の実施形態を示す図である。
【図5】本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータを構成するために利用されることが可能な構成要素コイルを示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータを構成するために利用されることが可能な構成要素コイルを示す図である。
【図7】本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータを示す図である。
【図8】本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータを構成するために利用されることが可能な構成要素コイルの別の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータを構成するために利用されることが可能な構成要素コイルの別の実施形態を示す図である。
【図10】本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータを示す図である。
【図11】本発明によるガルバニックアイソレータの別の実施形態を示す図である。
【図12】本発明によるガルバニックアイソレータの別の実施形態を示す図である。
【図13】本発明によるガルバニックアイソレータの別の実施形態を示す図である。
【図14】シールドを利用する、本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータの断面図である。
【図15】本発明の別の実施形態による、1枚のガルバニックアイソレータの一部を示す図である。
【図16】本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータの断面図を示す。
【図17】本発明の別の実施形態によるガルバニックアイソレータの上面図である。
【符号の説明】
【0033】
20 ガルバニックアイソレータ
21 送信器
22 受信器
23 第1の部分、分割回路要素
24 第2の部分、分割回路要素
33 基板
40 ガルバニックアイソレータ
41 基板
42 分割回路要素
70 ガルバニックアイソレータ
73 基板
74 送信器
75 受信器
90 ガルバニックアイソレータ
93 分割回路要素
96 基板
123 受信器
130 ガルバニックアイソレータ
133 基板
134 分割回路要素
135 分割回路要素
140 ガルバニックアイソレータ
142 基板
143 送信器
144 受信器
148 分割回路要素
149 分割回路要素
300 ガルバニックアイソレータ
341 基板
351 送信器
352 受信器
400 ガルバニックアイソレータ
401 送信器
402 受信器
403 基板
411 分割回路要素
412 分割回路要素
421 分割回路要素
422 分割回路要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分(23)と第2の部分(24)とを有する分割回路要素(23、24、42、93、134、135、148、149、411、412、421、422)と、
第1及び第2の表面を有する絶縁ポリマー又はポリマー/無機層を含む基板(33、41、73、96、133、142、341、403)であって、前記第1の部分と前記第2の部分とが、前記基板上に配置されていることからなる、基板と、
入力信号を受け取って、前記入力信号から引き出した信号を前記第1の部分に結合する、送信器(21、74、143、351、401)と、
前記第2の部分に接続されて、外部回路に結合される出力信号を生成する、受信器(22、75、123、144、352、402)
とを備える、ガルバニックアイソレータ(20、40、70、90、130、140、300、400)。
【請求項2】
前記第1の部分が、前記第1の表面上に配置されており、前記第2の部分が、前記第2の表面上に配置されていることからなる、請求項1に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項3】
前記分割回路要素の前記第1の部分を覆う絶縁保護層(32、34)を更に備える、請求項1に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項4】
前記保護層が、前記分割回路要素の前記第1の部分に接触する接着剤コーティングを有するポリマー層を含む、請求項3に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項5】
前記分割回路要素が、前記第1の部分を含む1次コイル(42)と、前記第2の部分を含む2次コイル(43)とを有するトランスを含むことからなる、請求項2に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項6】
前記分割回路要素が、前記第1の部分を含む第1のプレート(148)と、前記第2の部分を含む第2のプレート(149)とを有するコンデンサを含むことからなる、請求項2に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項7】
前記分割回路要素が、送信アンテナ(411、412)と受信アンテナ(421、422)とを含み、前記送信アンテナが前記第1の部分を含み、前記受信アンテナが前記第2の部分を含むことからなる、請求項1に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項8】
前記第1の部分と前記第2の部分とが、前記第1の表面上に配置される、請求項7に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項9】
前記ポリマー層が、前記第1の表面を有する第1のサブ層(91)、絶縁サブ層(96)、及び前記第2の表面を有する第2のサブ層(92)を含み、前記第1及び第2のサブ層が、前記絶縁サブ層を挟み込んでそこに結合されていることからなる、請求項2に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項10】
前記基板が、第1の平面領域と、前記第1の平面領域に対して0よりも大きな角度における第2の平面領域とを備え、前記分割回路が、前記第2の平面領域にわたって配置されていることからなる、請求項9に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項11】
前記基板がフレキシブルである、請求項2に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項12】
前記基板が、ポリアミドと、エポキシと、エポキシと共に充填されたファイバーグラスとからなるグループから選択された材料を含む、請求項2に記載のガルバニックアイソレータ。
【請求項13】
前記分割回路要素を取り囲む平面導通シート(203、204)を更に備え、該平面導通シートが、該分割回路要素から、0.254mm(10ミル)よりも長い距離だけ隔置されていることからなる、請求項2に記載のガルバニックアイソレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−61236(P2008−61236A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214444(P2007−214444)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【Fターム(参考)】