説明

改善されたケア特性を有するシャンプー組成物

本発明は、(a)陰イオン性、双性イオン性または両性界面活性剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤、(b)ミクロエマルジョン、および(c)少なくとも1つの陽イオン性ポリマー、を含有する化粧品調製物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロエマルジョンおよびポリマーを含有する皮膚および毛髪をコンディショニングするための化粧品組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄後に、皮膚および毛髪は、特にこれらが環境作用によって既にダメージを受けているときに、粗雑かつ脆弱に感じられることが多い。さらに、毛髪は、着色またはパーマかけによってダメージを受けることもあり、次いで毛髪洗浄後に、乾燥藁様の感触によって特徴付けられることが多い。
【0003】
その結果、シャンプー組成物において、上記不都合の相殺を意図するコンディショナーが使用されることが多い。即ち、コンディショナーとしてシリコーンを含有するシャンプー組成物がよく見受けられる。しかし、これは不可逆的に毛髪に付着することができ、こうして、その一部として感触に負の作用を引き起こし、最悪の場合には毛髪の着色およびパーマかけ中に問題を引き起こすことすらある。
【0004】
また、これらの化粧品調製物においてコンディショナーとして適するのは、油およびワックスである。しかし、これらは、その効果において、上記シリコーンにはるかに及ばない。さらに、これらコンディショナーを使用する結果として、曇った配合物のみが可能であり、そして/または、いずれにしてもこれらの油およびワックスは、調製物中に少量で安定化しうるのみである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、コンディショニング特性がシリコーン含有調製物の特性に相当するか、または最良の場合には該特性をしのぐこともある化粧品組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、(a)陰イオン性、双性イオン性または両性界面活性剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤、(b)ミクロエマルジョン、および(c)少なくとも1つの陽イオン性ポリマーを含有する化粧品調製物が、上記目的を達成することを見いだした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の調製物の成分(b)としてミクロエマルジョンを導入すると、比較的多量の油成分の透明かつ安定な導入が容易になり、次いでこれが、成分(a)の界面活性剤によって安定化された組成物中の成分(c)の陽イオン性ポリマーと相乗して、非常に優れた調製物のコンディショニング特性をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0008】
界面活性剤
成分(a)として、陰イオン性、双性イオン性、または両性界面活性剤が存在していてよい。
陰イオン性界面活性剤の代表例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノおよびジアルキルスルホスクシネート、モノおよびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸(例えば、アシルラクチレート、アシルタルタレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート)、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、アルキルオリゴグルコシドカルボキシレート、タンパク質脂肪酸縮合物(特に、コムギに基づく植物生成物)およびアルキル(エーテル)ホスフェートである。陰イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有しているときには、これらは通常の同族体分布を有していてよいが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0009】
両性または双性イオン性界面活性剤の代表例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。特に好ましいのは、アルキルエーテルスルフェートとコカミドプロピルベタインの組合せであり、非常に特に好ましいのは、laurethスルフェートとコカミドプロピルベタインの組合せである。
【0010】
ミクロエマルジョン
成分(c)のミクロエマルジョンは、好ましくは1μm未満の平均粒径を有する。本発明の成分(b)として、アルキルポリグリコシドに基づくミクロエマルジョンを使用するのが好ましい。
【0011】
これらのエマルジョンは、初めに第1工程において、少なくとも10〜20重量%の一般式:R1O-[G]p[式中、R1は4〜22個の炭素原子を含むアルキルおよび/またはアルケニル基であり、Gは5または6個の炭素原子を含む糖基であり、pは1〜10の数である]で示されるアルキル(オリゴ)グリコシド、および4〜10重量%のグリセロールと鎖長C12-C22の飽和または不飽和脂肪酸とのエステル、および5〜30重量%の油成分、および残りの100重量%までの水を含有するミクロエマルジョンを調製することによって製造する。
【0012】
初めに、ミクロエマルジョンは、全ての巨視的に均一な、光学的に透明な、低粘度の、特に熱力学的に安定な、2つの不混和性液体と少なくとも1つの非イオン性または1つのイオン性界面活性剤の混合物を意味すると解される。ミクロエマルジョンの平均粒径は、通常は100nm以下であり、これらは、高い透明性を有し、2000rpmで遠心したときに少なくとも30分間は目に見える相分離に対して安定である。
【0013】
ミクロエマルジョンの製造は、好ましくは、油相を他の油溶性成分と混合し、該油相を全構成成分の融点以上に加熱し、次いで水性の界面活性剤含有相を添加することによって単純に行う。次いで、熱力学的に安定なミクロエマルジョンが自発的に生成する(適切なら、少し撹拌することが必要になることもある)。
【0014】
ミクロエマルジョンは、糖界面活性剤、即ちアルキル(オリゴ)グリコシド(以下において「APG」と称することもある)を必須の構成成分として含有する。ここで、本願の教示に関連して、アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドは、式:R1O-[G]p[式中、R1は4〜22個の炭素原子を含むアルキルおよび/またはアルケニル基であり、Gは5または6個の炭素原子を含む糖基であり、pは1〜10の数である]で示される。これらは、製造有機化学の関連方法によって得ることができる。アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドは、5または6個の炭素原子を含むアルドースまたはケトースから、好ましくはグルコースから誘導することができる。従って、好ましいアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドは、アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグルコシドである。
【0015】
一般式(I)中の指数pは、オリゴマー化度(DP)、即ちモノおよびオリゴグリコシドの分布を示し、1〜10の数である。ある化合物におけるpは常に整数でなければならず、ここで、特に値p=1〜6をとりうるが、特定のアルキルオリゴグリコシドの値pは、分析によって決定される計算可能な量であり、多くの場合に分数である。好ましいのは、平均オリゴマー化度pが1.1〜3.0であるアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドを使用することである。応用の観点から、好ましいのは、オリゴマー化度が1.7未満、特に1.2〜1.5であるアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドである。APGは、本発明に係るミクロエマルジョン中に、それぞれミクロエマルジョンの全体量を基準に10〜20重量%の量で存在する。ここで特に好ましいのは、14〜19重量%の範囲内の量である。
【0016】
さらに、鎖長C12-C22の脂肪酸とグリセロールとのエステルが、エマルジョン中に存在する。ここで好ましいのは、グリセロールのモノエステルを使用することであり、グリセロールと不飽和直鎖脂肪酸のモノエステルが特に適している。本発明に関連して、特に好ましいのは、グリセロールモノオレエートである。これらのグリセロールエステルは、ミクロエマルジョン中に、それぞれミクロエマルジョンの全重量を基準に、4〜10重量%、好ましくは5〜9重量%の量で存在する。
【0017】
最後に、ミクロエマルジョンは、油成分、即ち非水溶性有機相をも5〜30重量%の量で含有する。ここで、特に好ましい油相は、以下の群から選択される:
6〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖C6-C22脂肪酸と直鎖または分岐鎖C6-C22脂肪アルコールとのエステルまたは分岐鎖C6-C13カルボン酸と直鎖または分岐鎖C6-C22脂肪アルコールとのエステル、直鎖C6-C22脂肪酸と分岐アルコールとのエステル、C6-C22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸とのエステル、C6-C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6-C18脂肪酸に基づく液体のモノ/ジ/トリグリセリド混合物、C2-C12ジカルボン酸と1〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含むポリオールとのエステル、植物油、分岐鎖の第一アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖または分岐鎖C6-C22脂肪アルコールカーボネート、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分岐鎖C6-C22アルコールとのエステル、アルキル基あたりに6〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の対称または非対称のジアルキルエーテル、エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールによる開環生成物、シリコーン油および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素、ジアルキルシクロヘキサンおよび/またはシリコーン油。
【0018】
しかし、油成分として、固体の油脂および/またはワックスも可能である。これらは、上記した油との混合物中に存在することもできる。油脂の代表例は、グリセリド、即ち、高級脂肪酸の混合グリセロールエステルから本質的になる固体または液体の植物または動物産物である。ここで、特に固体のモノおよびジグリセリド、例えば、グリセロールモノオレエートまたはグリセロールモノステアレートが挙げられる。適するワックスは、特に、天然ワックス、例えば、カンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、アフリカハネガヤワックス、コルクワックス、グアルマ(guaruma)ワックス、コメ胚油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリー(ouricury)ワックス、モンタンワックス、蜜ろう、セラックワックス、鯨ろう、ラノリン(羊毛ワックス)、尾羽脂、セレシン、オゾケライト(地ろう)、ペトロラタム、パラフィンワックス、ミクロワックス;化学修飾したワックス(硬ワックス)、例えば、モンタンエステルワックス、サゾール(sasol)ワックス、水素化ホホバワックス;ならびに、合成ワックス、例えば、ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスである。同様に、トコフェロールおよび精油も油成分として適している。
【0019】
炭化水素は、炭素と水素のみからなる有機化合物を指すように使用する用語である。これらには、環式および非環式(=脂肪族)化合物の両方が含まれる。これらには、飽和ならびにモノまたはポリ不飽和化合物の両方が含まれる。これら炭化水素は、直鎖または分岐鎖であることができる。炭化水素中の炭素原子の数に依存して、これら炭化水素を、奇数炭化水素(例えば、ノナン、ウンデカン、トリデカンなど)または偶数炭化水素(例えば、オクタン、ドデカン、テトラデカンなど)に分けることができる。分岐の種類に依存して、これら炭化水素を、直鎖(=未分岐鎖)または分岐鎖炭化水素に分けることができる。飽和の脂肪族炭化水素は、パラフィンとも称される。
【0020】
「炭化水素混合物」とは、炭化水素の種類ではない物質を10重量%まで含有する炭化水素の混合物を意味すると解される。直鎖C11および直鎖C13炭化水素の重量%データは、それぞれ、混合物中に存在する炭化水素の合計を指す。10重量%まで存在する非炭化水素は、この計算に考慮しない。
【0021】
炭化水素の種類ではなく、かつ、炭化水素混合物中に10重量%まで、特に8重量%まで、好ましくは5重量%まで存在することができる物質は、例えば、脂肪アルコールであり、これは、未反応出発物質として炭化水素混合物中に残存している。
【0022】
用語「CX炭化水素」は、炭素数Xを有する炭化水素を包含し、従って、例えば、用語「C11炭化水素」は、炭素数11を有する全ての炭化水素を包含する。
【0023】
好ましいのは、炭化水素の合計を基準に、以下の炭化水素を含有する炭化水素混合物である:
(a)50〜90重量%の直鎖C11炭化水素、好ましくはn-ウンデカン、
(b)10〜50重量%の直鎖C13炭化水素、好ましくはn-トリデカン。
【0024】
さらに、好ましいのは、少なくとも2つの異なる炭化水素を含有し、それらの炭素数が1を超えて異なり、これら2つの異なる炭化水素が、炭化水素の合計を基準に、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%を構成する炭化水素混合物である。
用語「2つの異なる炭化水素」は、異なる炭素数を有する炭化水素を指す。
【0025】
これは、炭化水素混合物が炭素数n(n=整数)を有する炭化水素を含有しているときには、該混合物は、炭素数がn+2に等しいかまたはそれより大きいか、あるいはn−2に等しいかまたはそれより小さい少なくとも1つのさらなる炭化水素をも含有することを意味する。
【0026】
好ましくは、nは奇数、特に、7、9、11、13、15、17、19、21および/または23である。
さらに、使用する炭化水素は、14C同位体を含有し、少なくとも2つの異なる炭化水素(炭素数が1を超えて異なる)を含有する炭化水素混合物であってよい。
【0027】
ミクロエマルジョンのさらなる必須構成成分は水である。水は、好ましくは脱塩されているべきである。ミクロエマルジョンは、好ましくは81重量%までの水を含有する。好ましい範囲は、30〜80重量%、特に45〜65重量%の水の量である。
【0028】
上記した成分の他に、ミクロエマルジョンは、追加の構成成分として、一般式:R2-OH[式中、R2は、6〜22個の炭素原子を含む飽和または不飽和の分岐鎖または未分岐鎖のアルキルまたはアルケニル基である]で示される脂肪アルコールを含有することもできる。その代表例は、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールおよびブラシジルアルコール、ならびに、これらの工業用グレード混合物(これは、例えば、工業用グレードの脂および油に基づくメチルエステルまたはRoelenオキソ合成からのアルデヒドの高圧水素化中に、さらには不飽和脂肪アルコールの二量化中のモノマー分画として得られる)である。好ましいのは、工業用グレードの12〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油または獣脂脂肪アルコールである。特に好ましいのは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコールおよびベヘニルアルコール、およびこれらの混合物の同時使用である。
【0029】
脂肪アルコールが存在しているときには、これらは、全ミクロエマルジョンを基準に、好ましくは15重量%までの量で使用する。1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%の範囲が特に好ましい。本発明によれば、これら脂肪アルコール(これらは水不溶性有機成分を構成する)は、油成分の定義のもとに該当しない。
【0030】
本発明の方法の第1工程において製造されるミクロエマルジョンは、陰イオン性界面活性剤をさらに含有することもできる。陰イオン性界面活性剤の代表例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、モノおよびジアルキルスルホスクシネート、モノおよびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、モノグリセリドスルフェート、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸(例えば、アシルラクチレート、アシルタルタレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート)、アルキルオリゴグルコシドスルフェートおよびタンパク質脂肪酸縮合物(特に、コムギに基づく植物生成物)である。
【0031】
本発明に関連して、好ましいのは、脂肪アルコールエーテルスルフェート、特に、一般式:R3O-(CH2CH2O)mSO3X[式中、R3は6〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖のアルキルおよび/またはアルケニル基であり、nは1〜10の数であり、Xはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムまたはグルクアンモニウムである]で示されるものである。アルキルエーテルスルフェート(「エーテルスルフェート」)は、既知の陰イオン性界面活性剤であり、これらは工業的には、脂肪アルコールまたはオキソアルコールポリグリコールエーテルのSO3またはクロロスルホン酸(CSA)硫酸化およびその後の中和によって製造される。その代表例は、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールおよびブラシジルアルコール、ならびに、これらの工業用グレード混合物への、平均してエチレンオキシド1〜10モル(特に2〜5モル)の付加生成物のスルフェートである(ナトリウムおよび/またはマグネシウム塩の形態にある)。ここで、エーテルスルフェートは、通常のまたは狭い同族体分布を有することができる。特に好ましいのは、工業用グレードのC12/14またはC12/18ヤシ油脂肪アルコール分画への、平均してエチレンオキシド2〜3モルの付加物に基づくエーテルスルフェートの使用である(ナトリウムおよび/またはマグネシウム塩の形態にある)。
【0032】
また、本発明の方法において使用するミクロエマルジョンは、さらなる非イオン性、両性および/または陽イオン性界面活性剤を、エマルジョンの全重量を基準に、好ましくは合計して1〜25重量%の量で含有することもできる。さらなる非イオン性界面活性剤[アルキル(オリゴ)グリコシド以外]の代表例は、例えば、脂肪酸N-アルキルグルカミド、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、アルコールエトキシレートおよびアミンオキシドである。その製造に依存して、アルコールエトキシレートは、脂肪アルコールエトキシレートまたはオキソアルコールエトキシレートと称され、好ましくは、式:R4O(CH2CH2O)nH[R4は6〜22個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖のアルキルおよび/またはアルケニル基であり、nは1〜50の数である]で示される。その代表例は、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールおよびブラシジルアルコール、ならびに、これらの工業用グレード混合物(これは、例えば、工業用グレードの脂および油に基づくメチルエステルまたはRoelenオキソ合成からのアルデヒドの高圧水素化中に、さらには不飽和脂肪アルコールの二量化中のモノマー分画として得られる)への、平均してエチレンオキシド1〜50モル(好ましくは5〜40モル、特に10〜25モル)の付加物である。好ましいのは、工業用グレードの12〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコール(例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油または獣脂脂肪アルコール)へのエチレンオキシド10〜40モルの付加物である。
【0033】
適する両性および双性イオン性界面活性剤の例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。適するアルキルベタインの例は、第二アミン、特に第三アミンのカルボキシアルキル化生成物である。その代表例は、ヘキシルメチルアミン、ヘキシルジメチルアミン、オクチルジメチルアミン、デシルジメチルアミン、ドデシルメチルアミン、ドデシルジメチルアミン、ドデシルエチルメチルアミン、C12/14ヤシ油アルキルジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、セチルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ステアリルエチルメチルアミン、オレイルジメチルアミン、C16/18獣脂アルキルジメチルアミン、ならびにこれらの工業用グレード混合物のカルボキシメチル化生成物である。また適するのは、さらにアミドアミンのカルボキシアルキル化生成物である。その代表例は、クロロ酢酸ナトリウムを用いて縮合させた、6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸、即ち、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルモレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸およびエルカ酸ならびにこれらの工業用グレード混合物と、N,N-ジメチルアミノエチルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジエチルアミノエチルアミンおよびN,N-ジエチルアミノプロピルアミンとの反応生成物である。好ましいのは、クロロ酢酸ナトリウムによるC8/18ヤシ油脂肪酸N,N-ジメチルアミノプロピルアミドの縮合生成物の使用である。さらに、イミダゾリニウムベタインも適している。これらの物質も既知物質であり、これらは、例えば、1または2モルの脂肪酸と多官能アミン[例えば、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)またはジエチレントリアミン]との環化縮合によって得ることができる。対応するカルボキシアルキル化生成物は、異なる開鎖ベタインの混合物である。その代表例は、クロロ酢酸ナトリウムによってベタイン化した上記脂肪酸とAEEAとの縮合生成物、好ましくは、ラウリン酸またはここでもC12/14ヤシ油脂肪酸に基づくイミダゾリンである。
【0034】
陽イオン性界面活性剤の代表例は、第四アンモニウム化合物およびエステルクォート(ester quat)、特に第四級化した脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩である。
【0035】
特に好ましいミクロエマルジョンは、以下の組成を有する:
・アルキル(オリゴ)グリコシド 10〜20重量%
・グリセロール脂肪酸エステル 4〜10重量%
・油成分 5〜30重量%
・脂肪アルコールエーテルスルフェート 0〜15重量%
・脂肪アルコール 0〜15重量%
100重量%までの残りは、それぞれの場合に水であり、適切であれば、さらなる所望の成分を追加する。
【0036】
陽イオン性ポリマー
成分(b)として、本願の化粧品組成物は陽イオン性ポリマーを含有する。これらは、好ましくは、アクリル酸またはメタクリル酸エステルまたはアミド誘導体のホモポリマーまたはコポリマー(例えばINCI:Polyquaternium-7)、メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー(INCI:Polyquaternium-37)、ヒドロキシエチルセルロースとジアリルジメチルアンモニウムクロリドの第四級コポリマー(INCI:Polyquaternium-4)、トリメチルアンモニウム置換したエポキシドで修飾したヒドロキシエチルセルロースのポリマー第四級化アンモニウム塩(INCI:Polyquaternium-10)、第四級化した解重合グアールゴム誘導体(INCI:グアールヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)または第四級化グアール誘導体およびヒドロキシエチルセルロースとジアリルジメチルアンモニウムクロリドの第四級コポリマーの群から選択される。好ましい態様において、陽イオン性ポリマー(c)は、polyquaternium-7、polyquaternium-10および陽イオン性グアール誘導体からなる群から選択される。本発明の調製物は、好ましくは0.05〜2重量%のこれら陽イオン性ポリマーを含有する。
【0037】
好ましいのは、以下の成分を含有する化粧品調製物である:
(a)アルキルエーテルスルフェートおよびコカミドプロピルベタイン、
(b)以下の成分を含むミクロエマルジョン:
(b1)アルキルオリゴグリコシド、
(b2)グリセロールと鎖長C12-22の飽和または不飽和脂肪酸とのエステル、
(b3)油成分、および
(b4)水、および
(c)polyquaternium-7、polyquaternium-10および陽イオン性グアール誘導体からなる群から選択される陽イオン性ポリマー。
【0038】
特に好ましいのは、以下の成分を含有する化粧品調製物である:
(a)全組成物を基準に5〜20重量%のアルキルエーテルスルフェートおよびコカミドプロピルベタイン、
(b)全組成物を基準に0.5〜10重量%の、以下の成分を含むミクロエマルジョン[成分(b1)〜(b4)の量的データはミクロエマルジョンを基準とする]:
(b1)10〜20重量%のアルキルオリゴグリコシド、
(b2)4〜10重量%の、グリセロールと鎖長C12-22の飽和または不飽和脂肪酸とのエステル、
(b3)5〜30重量%の油成分、および
(b4)100重量%までの残りの水、および
(c)全組成物を基準に0.05〜1重量%の、polyquaternium-7、polyquaternium-10および陽イオン性グアール誘導体からなる群から選択される陽イオン性ポリマー。
【0039】
さらに本発明は、化粧品調製物の製造方法であって、
(a)陰イオン性、双性イオン性または両性界面活性剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤、
(b)ミクロエマルジョン、および
(c)少なくとも1つの陽イオン性ポリマー、
をさらなる化粧品ベース物質と一緒に撹拌することによる方法を提供する。
【実施例】
【0040】
初めに、以下の組成を有するミクロエマルジョンを、各成分を混合することによって製造した(表1および表2):
【表1】


【表2】

【0041】
以下の表3および表4は、本発明に従う組成を有する様々なシャンプー配合物を挙げるものである。実施例1〜3、9および11は、比較として働く。
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
シャンプーのコンディショニング特性に関する研究を、湿潤くし通し仕事を測定するための自動システムにおいて、それぞれ10本の毛髪トレス(房)において行った。
IHIPからの毛髪トレス(12cm/1g)の前処理を、自動毛髪処理システムにおいて、次のように行った:
・6%のラウリルエーテル硫酸ナトリウム(pH6.5)で30分間洗浄し、次いで毛髪を徹底的に濯ぐ;
・5%過酸化水素溶液(pH9.4;水酸化アンモニウム溶液で調節)で20分間漂白し、次いで毛髪を徹底的に濯ぐ;
・68℃の空気流中で30分間乾燥する。
【0044】
ゼロ測定の直前に、毛髪を水中で30分間膨潤させ、次いで自動湿潤くし通し装置を用いて1分間濯いだ。湿潤および乾燥くし通し仕事を測定するための自動システムにおいて、20回のくし通し中のくし通し力を測定し、くし通し仕事を、測定した力-置換曲線を積分することによって算出した。ゼロ測定に続いて、直ちに毛髪を、配合物で処理した(0.25g/毛髪g)。5分間の接触時間の後、自動湿潤くし通し装置を用いて標準条件(38℃、1L/分)下に濯ぎを行った。
【0045】
処理とその後の濯ぎを2回目に繰り返した。次いで、比較測定(ゼロ測定のため)を行った。測定を、天然ゴムくしの微細なくし側面を用いて行った。残留くし通し仕事を、次のようにトレスあたりに算出した:
残留くし通し仕事=生成物処理後のくし通し仕事/生成物処理前のくし通し仕事。
次いで、平均値および標準偏差を、全10トレスの商により決定した。
実施例は、ポリマーとミクロエマルジョンの相乗的な相互作用を見事に示す。これは、残留くし通し仕事に対する非常に低い値から明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)陰イオン性、双性イオン性または両性界面活性剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤、
(b)ミクロエマルジョン、および
(c)少なくとも1つの陽イオン性ポリマー、
を含有する化粧品調製物。
【請求項2】
陽イオン性ポリマー(c)が、polyquaternium-7、polyquaternium-10および陽イオン性グアール誘導体からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の調製物。
【請求項3】
アルキルエーテルスルフェートおよびコカミドプロピルベタインの混合物を、成分(a)として使用することを特徴とする請求項1または2に記載の調製物。
【請求項4】
アルキルポリグリコシドに基づくミクロエマルジョンを、成分(b)として使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調製物。
【請求項5】
化粧品調製物の製造方法であって、
(a)陰イオン性、双性イオン性または両性界面活性剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤、
(b)ミクロエマルジョン、および
(c)少なくとも1つの陽イオン性ポリマー、
をさらなる化粧品ベース物質と一緒に撹拌することによる方法。

【公表番号】特表2010−530392(P2010−530392A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512580(P2010−512580)
【出願日】平成20年6月14日(2008.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004801
【国際公開番号】WO2008/155073
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】