説明

改善されたプライマー接着促進剤、プライマー接着組成物及びプライマー接着方法

基板に接合するための組成物及び方法。一般には、実質的に透明な基板に対して、チオホスファートを含む少なくとも1つのイソシアナートと、アミノ−シラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せとの反応によって調製される反応生成物を含むプライマー組成物が適用される。

【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本出願は仮特許出願第60/913,706号(2007年4月24日出願)の出願日の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は基板の接合に関し、より具体的には、自動車車両適用における基板の接合、例えば、実質的に透明な基板、硬化したポリウレタン接着剤、封入パネル、静電被覆基板又は塗装基板などの1つ又はそれ以上などを接合することに関する。
【背景技術】
【0003】
適正に調製されるとき、ガラス基板は、1層又はそれ以上のプライマーを、焼成されたセラミックエナメルの層を覆ってガラス基板に塗布すること、接着剤を、プライマーと、車両構造体との間に塗布すること、及び、ガラス基板を開口部内に設置することによって自動車車両構造体における開口部に装着される。
【0004】
広範囲に及ぶ適用性を有する優れたプライマー(例えば、Betaprime(商標)5500及び同5404、これらは、Dow Chemical Companyから入手可能である)が市販されているにもかかわらず、そのようなプライマーの好適性をさらなる適用のために拡大することが依然として望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書中に述べられるように、本発明は、下記の工程を含む、第1の基板を第2の基板に接合するための方法に関する。(a)チオホスファート基を含む少なくとも1つの芳香族ポリイソシアナート化合物(例えば、トリ官能性化合物)と、有機官能性シラン(例えば、アミノシラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せ)の活性水素部分との反応によって調製される付加物である接着促進剤を含むプライマー組成物をこれらの基板の一方又は両方に塗布する工程;(b)接着剤をこれらの基板の少なくとも1つに塗布する工程;及び(c)これら2つの基板を組み立てる工程。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の別の態様が、ケイ素に結合する複数のアルコキシ基を含むアミノシランのアミノ基と少なくとも部分的に反応させられる、遊離イソシアナート含有量を有するポリマー状プレポリマー(より具体的には、(少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアナートと、ポリオールとの反応に由来する)少なくとも1つのプレポリマー)を含む、プライマー組成物に配合することができる接着促進剤に関する。用いられるとき、本発明の接着促進剤は、接着促進剤が加えられるプライマーが様々な基板に接合できることを高め、特に、金属表面、ガラス表面、ポリマー表面、それらにおける任意の被覆、又は、他のものに対する接着を改善する。例えば、数多くの基板のいずれかを用いることができる(例えば、ガラス、エナメル、硬化ポリウレタン、ガラス封入物、e−被覆、電気的亜鉛被覆、アルミニウム、スチール、ペンキ、プラスチック、硬い被覆された有機グレージング、又は、それらの任意の組合せなど)。本発明ではまた、本明細書中に記載されるプライマーと、少なくとも1つの接着剤とを含むキットが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特に示されない限り(例えば、重量比として特に示されない限り)、本明細書中で使用される場合、すべての重量部は、示された組成物の100重量部に基づく。得られる組成物の場合には、このことは、各重量が、得られる組成物全体の100重量部に基づくことを意味する。本明細書中に列挙される量の濃縮物又は希釈物が用いられ得ることが理解される。一般に、列挙される成分の相対的割合は同じままである。従って、例として、教示により、30重量部の成分A及び10重量部の成分Bが要求されるならば、当業者は、そのような教示はまた、成分A及び成分Bを3:1の相対的比率で使用することの教示となることを認識する。
【0008】
一般には、本明細書中における組成物は、接着促進剤を、少なくとも1つのポリイソシアナート及び少なくとも1つのポリオールの反応に由来する少なくとも1つのプレポリマー(具体的には、遊離イソシアナート含有量を有するプレポリマー)を含むベースプライマーと組み合わせることに基づいて予測される。より具体的な態様において、ベースプライマーは、脂肪族ポリイソシアナート及びポリオールの反応に由来するイソシアナート官能性プレポリマーを含む。1つの非常に具体的な実施形態において、ベースプライマーは、脂肪族ポリイソシアナート及びポリオールの反応に由来するイソシアナート官能性プレポリマーを含み、かつ、シランのアミノ基と少なくとも部分的に反応させられ、具体的には、ケイ素に結合する複数のアルコキシ基(例えば、ケイ素に結合する2つ又は3つのメトキシ基、ケイ素に結合する2つ又は3つのエトキシ基、あるいは、それらの組合せなど)を含むアミノシラン(例えば、第二級アミノシラン)と少なくとも部分的に反応させられる。接着促進剤に加えることができる市販されているプライマーの例には、限定されないが、Betaprime(商標)5500及びBetaprime(商標)5404(これらは、The Dow Chemical Companyから入手可能である)が含まれる。
【0009】
理論によってとらわれることを意図しないが、本明細書中における接着促進剤では、分子の少なくとも一部分がケイ素を含み(例えば、分子の少なくとも一部分がシラン化され)、かつ、分子の一部分が、例えば、ベースプライマーの分子的網状構造を介するなどしてベースプライマーと連結することができる官能性(例えば、イソシアナート官能性など)を含む特定の分子構造が有利に用いられると考えられる。
【0010】
1つの具体的な態様において、本発明では、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアナートと、ポリオールとの反応に由来し、かつ、有機官能性シランの活性水素と少なくとも部分的に反応させられるプレポリマーを含む組成物を用いることが意図される。このプレポリマーをベースプライマー組成物の一部とすることができる。
【0011】
いずれかのそのようなベースプライマー組成物がそのようなポリマーを含むことは必ずしも必要ない。むしろ、より一般には、本明細書中における組成物は、イソシアナート及びイソシアナート反応性化合物の反応生成物を含むことが意図される。
【0012】
本明細書中において有用であるイソシアナートは、ジイソシアナート、トリイソシアナート又はそれらの任意の組合せから選択することができる。好適なイソシアナートには、脂肪族イソシアナート、脂環式イソシアナート、アル脂肪族(araliphatic)イソシアナート、複素環式イソシアナート、芳香族イソシアナート又はそれらの任意の組合せが含まれ得る。具体的な例には、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、メチレンジフェニル−4,4’−ジイソシアナート(MDI)又はそれらの任意の組合せから選択されるイソシアナートが含まれ得るが、一層より具体的には、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、メチレンジフェニル−4,4’−ジイソシアナート(MDI)、トルエンジイソシアナート(TDI)又はそれらの任意の組合せから選択されるイソシアナートが含まれ得る。記されるように、これらのイソシアナートのいずれかのポリマー状誘導体もまた意図される。
【0013】
イソシアナートは典型的には約25%までのパーセントNCO含有量を有することができ、より具体的には約15%までのパーセントNCO含有量を有することができ、一層より具体的には約10%までのパーセントNCO含有量を有することができる。例えば、パーセントNCOは約1%から約10%にまで及ぶ場合があり、より具体的には約3%から約8%にまで及ぶ場合がある。好ましくは、使用されるポリイソシアナートは、平均イソシアナート官能性が少なくとも約2.0であり、当量重量が少なくとも約80である。好ましくは、ポリイソシアナートのイソシアナート官能性は少なくとも約2.0であり、より好ましくは少なくとも約2.2であり、最も好ましくは少なくとも約2.4であり、また、好ましくは最大でも約4.0であり、より好ましくは最大でも約3.5であり、最も好ましくは最大でも約3.0である。より大きい官能性もまた使用することができるが、より大きい官能性は、過度な架橋を引き起こすことがあり、また、硬化したプリラマーが脆くなりすぎることの原因となり得る。好ましくは、ポリイソシアナートの当量重量は少なくとも約100であり、より好ましくは少なくとも約110であり、最も好ましくは少なくとも約120であり、また、好ましくは最大でも約300であり、より好ましくは最大でも約250であり、最も好ましくは最大でも約200である。
【0014】
例示的なイソシアナート反応性化合物として、少なくとも2つのイソシアナート反応性部分を有する有機化合物を挙げることができ、例えば、活性水素部分を含有する化合物、又は、イミノ官能性化合物などを挙げることができる。本発明の目的のために、「活性水素」含有部分は、分子におけるその位置のために、Wohlerによって、the Journal of the American Chemical Society、Vol. 49、p. 3181 (1927)に記載されるZerewitnoff試験に従って著しい活性を呈する水素原子を含有する部分を示す。そのような活性水素部分の例示が、−COOH、−OH、−NH、−NH−、−CONH、−SH及び−CONH−である。好ましい活性水素含有化合物には、ポリオール、ポリアミン、ポリメルカプタン及びポリ酸が含まれる。
【0015】
好適なポリオールには、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(アルキレンカルボナート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオール及びそれらの混合物が含まれ得る。ポリエーテルポリオールには、例えば、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシプロピレンエーテル、ポリオキシブチレンエーテル及び/又はポリテトラメチレンエーテルに基づく1つ又はそれ以上のジオール、トリオール又はテトロール(tetrol)が含まれ得る。一般には、様々なポリエーテルポリオールが、アルキレンオキシドを活性水素含有開始剤化合物の存在下で重合することによって調製される。しかしながら、最も好ましいものが、アルキレンオキシドによりキャップ化されたポリオールである。
【0016】
好ましくは、イソシアナート反応性化合物は官能性が少なくとも約1.5であり、より好ましくは少なくとも約1.8であり、最も好ましくは少なくとも約2.0であり、また、好ましくは最大でも約4.0であり、より好ましくは最大でも約3.5であり、最も好ましくは最大でも約3.0である。好ましくは、イソシアナート反応性化合物の当量重量は少なくとも約200であり、より好ましくは少なくとも約500であり、最も好ましくは少なくとも約1,000であり、また、好ましくは最大でも約5,000であり、より好ましくは最大でも約3,000であり、最も好ましくは最大でも約2,500である。1つの具体的な例では、約100〜約1500の当量重量を有するポリオール系のイソシアナート反応性化合物が用いられ、より具体的には約300〜約1000の当量重量を有するポリオール系のイソシアナート反応性化合物が用いられる。
【0017】
イソシアナート及びイソシアナート反応性化合物は好適な触媒の存在下で反応させることができる。本明細書中における使用のための触媒には、例えば、金属錯体(例えば、第一スズ化合物又は第二スズ化合物など)が含まれ得る。例には、カルボン酸の第一スズ塩(例えば、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、酢酸第一スズ及びラウリン酸第一スズ)、トリアルキルスズオキシド、ジアルキルスズジカルボキシラート(例えば、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、ジエチルスズジアセタート及びジヘキシルスズジアセタート)、ジアルキルスズジハリド、又は、ジアルキルスズオキシド(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスズオキシド又はジオクチルスズジオキシドなど)、第三級アミン、又は、スズメルカプチドが含まれる。他の触媒もまた使用することができる。例えば、第三級アミン触媒には、トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン)、複素環式アミン(例えば、N−アルキルモルホリン(例えば、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジメチルジアミノジエチルエーテルなど)、1,4−ジメチルピペラジンなど)、トリエチレンジアミンなどが含まれる。脂肪族ポリアミン(例えば、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミンなど)もまた、触媒として使用することができる。1つの非常に好ましい触媒はジブチルスズ化合物を含み、より具体的には、1つの非常に好ましい触媒はジブチルスズジラウラートを含むか、又は、ジブチルスズジラウラートから本質的になる。
【0018】
イソシアナート及びイソシアナート反応性化合物は、ケイ素をベースプライマーに導入するために、好適なシラン(例えば、アミノシラン)の存在下でもまた反応させることができる。
【0019】
本明細書中における得られる組成物は1つ又はそれ以上の他の成分を含むことができ、例えば、溶媒、安定剤、薄膜形成剤、着色剤(例えば、カーボンブラック、例えば、Raven420)、フィラー、紫外線保護剤又はそれらの任意の組合せなどを含むことができる。
【0020】
例として、プライマー組成物の溶媒成分は一般には揮発性であり、好ましくは、約−10℃〜約100℃の範囲における温度で成分を溶解及び/又は分散する溶媒であり、より好ましくは約0℃〜約40℃の範囲における温度で成分を溶解及び/又は分散する溶媒である。溶媒は好ましくは、イソシアナートが水と早まって反応しないことを助けるために無水である。そのような溶媒の例には、キシレン、エチルベンゼン、トルエン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、エタノール、ブトキシル、2−ブトキシエタノール、3−メトキシブチルアセタート、NMP、n−ヘプタン、石油、酢酸ブチル、アセトン及びメチルエチルケトン、又は、それらの任意の組合せが含まれ、好ましくは、ブトキシル、メチルエチルケトン又はそれらの混合物が挙げられる。溶媒は、得られる組成物又は中間組成物のいずれかにおける残り部分を構成し、プライマー組成物全体の重量に基づいて、好ましくは少なくとも約50パーセントの量で使用され、より好ましくは少なくとも約55パーセントの量で使用され、最も好ましくは少なくとも約60パーセントの量で使用され、また、好ましくは最大でも約90パーセントであり、より好ましくは最大でも約85パーセントであり、最も好ましくは約80パーセントである。
【0021】
本明細書中における組成物は、重合することができる1つ又はそれ以上の部分を含有する1つ又はそれ以上の薄膜形成樹脂を含むことができ、これにより、硬化して、多くの環境力に対して抵抗性である連続被膜を形成することができる。1つの好ましい実施形態において、好ましくは、薄膜形成樹脂は、遊離ラジカル又はカチオン性反応条件にさらされたときに重合する。1つの具体的な態様において、薄膜形成樹脂は、放射線(例えば、UV放射線又は電子ビームなど)にさらされることによって硬化可能な樹脂である。薄膜形成樹脂は、遊離ラジカルにさらされたときに重合する官能基(例えば、ビニル含有部分、アクリラート含有部分、スチレン系含有部分、ジエン含有部分、メタクリラート含有部分、アリル含有部分、チオレン含有部分、ビニルエーテル含有部分、不飽和エステル含有部分、イミド含有部分、N−ビニル含有部分、アクリアミド含有部分又はそれらの混合など)を含有することができる。1つのより好ましい実施形態において、薄膜形成樹脂における官能基はアクリル酸系部分及び/又はメタクリル酸系部分である。多くの実施形態において、薄膜形成樹脂は、記載された官能性部分を有するオリゴマー又はプレポリマーである。好ましいタイプのオリゴマー及びプレポリマーには、ウレタンアクリラート(例えば、脂肪族及び芳香族のウレタンアクリラートなど)、エポキシアクリラート、メラミンアクリラート、ポリエステルアクリラート、ポリエーテルアクリラート、シリコーンアクリラート、樹枝状アクリラート、ポリブタジエンアクリラート、アミンアクリラート、アクリル酸系アクリラート、アミドエステル及びスピロオルトカルボナートエステル、又は、それらの混合物がある。1つの具体的なクラスのオリゴマー及びプレポリマーには、脂肪族ウレタンアクリラートが含まれる。
【0022】
1つの好適な市販されている薄膜形成剤の一例がParaloid(登録商標)B48Nであり、これは、The Rohm and Haas Companyから入手可能である。
【0023】
薄膜形成樹脂を任意の好適な量で存在させることができる。例えば、薄膜形成樹脂を、プライマー組成物の重量に基づいて約0.1重量部の量で存在させることができ、又は、約1重量部の量で存在させることができ、又は、約5重量部の量で存在させることができ、又は、約10重量部以上の量でさえ存在させることができる。好ましくは、薄膜形成樹脂は、プライマー組成物の重量に基づいて、プライマー組成物の約70重量部以下の量で組成物に存在し、より好ましくは約60重量部以下の量で存在し、より好ましくは約50重量部以下の量で存在し、最も好ましくは40重量部以下の量で存在する。
【0024】
本明細書中における組成物は1つ又はそれ以上の他の成分を必要な場合には含むことができ、例えば、接着剤組成物を水分から保護し、それにより、接着剤配合物におけるイソシアナートの増進した架橋を阻害すること、及び、接着性配合物におけるイソシアナートの早まった架橋を防止することを助けるための1つ又はそれ以上の安定剤などを必要な場合には含むことができる。水分硬化性接着剤のために当業者に公知である安定剤を本明細書中において好ましく使用することができる。そのような安定剤には、ジエチルマロナート、アルキルフェノールアルキラート、パラトルエンスルホニックイソシアナート、ベンゾイルクロリド、オルトアルキルホルマート、又は、それらの任意の組合せが含まれる。そのような安定剤は、好ましくは、中間組成物又は得られる組成物の総重量に基づいて約0.1重量部以上の量で使用され、より好ましくは約0.5重量部以上の量で使用され、より好ましくは約0.8重量部以上の量で使用される。そのような安定剤は、中間組成物又は得られる組成物の総重量に基づいて約5.0重量部以下の量で使用され、より好ましくは、中間組成物又は得られる組成物の約2.0重量部以下の量で使用され、最も好ましくは、中間組成物又は得られる組成物の約1.4重量部以下の量で使用される。例えば、1つの選択肢が、ジエチルマロナートを約2重量部までの量で用いることであり、より具体的には約0.1重量部〜約1重量部の量(例えば、約0.1重量部〜約0.3重量部の量)で用いることである。必要な場合には、好適な酸(例えば、リン酸など)を、例えば、約0.2重量部までの量で、より具体的には約0.1重量部までの量(例えば、約0.01重量部〜約0.05重量部の量)で用いることもまた可能である。
【0025】
1つの実施形態において、接着促進剤の1つの成分はアミノ−シランを含むことができ、より具体的には、第二級アミノ−シランを含むことができる。1つの注目されるシランは、少なくとも2つのシリル基、メトキシシランエステル、ヒンダード第二級アミノ基、又は、それらの任意の組合せを含む。1つのそのような市販されているアミノ−シランの一例がビス−(トリメトキシシリルプロピル)−アミンであり、例えば、GE Advanced Materials−Siliconesから得られるSilquest A−1170などである。接着促進剤として使用される好適なシラン物質に関するさらなる情報が米国特許第4,374,237号(これは本明細書により参照により組み込まれる)に見出される。シランの他の例には、限定されないが、単独で、又は、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)−アミンとの組合せで、ヒドロキシ官能性又はメルカプト官能性又は両方を有するシランが含まれ、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリスメトキシ−エトキシエトキシシラン、3−アミノプロピル−メチル−ジエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチル−ジメトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)メチルジ−エトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)トリメトキシシラン、N−エチル−アミノイソブチルトリメトキシシラン、4−アミノ3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、又は、それらの任意の組合せが含まれる。
【0026】
示されたように、本発明では、一般には有機官能性シラン及びイソシアナートの反応生成物である接着促進剤が特に使用される。より具体的には、述べられるように、接着促進剤では、少なくとも1つの芳香族ポリイソシナートを含む接着促進剤が使用され、より具体的には、リンを含む少なくとも1つの芳香族ポリイソシナートを含む接着促進剤が使用される。
【0027】
1つの実施形態において、接着促進剤の1つの成分はアミノ−シランを含むことができ、より具体的には、第二級アミノ−シランを含むことができる。1つの注目されるシランは、3つのメトキシ基がシランのそれぞれに結合する少なくとも2つのシリル基、ヒンダード第二級アミノ基、又は、それらの任意の組合せを含む。1つのそのような市販されているアミノ−シランの一例がビス−(トリメトキシシリルプロピル)−アミンであり、例えば、GE Advanced Materials−Siliconesから得られるSilquest A−1170などである。接着促進剤として使用される好適なシラン物質に関するさらなる情報が米国特許第4,374,237号(これは本明細書により参照により組み込まれる)に見出される。シランの他の例には、限定されないが、単独で、又は、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)−アミンとの組合せで、ヒドロキシ官能性又はメルカプト官能性又は両方を有するシランが含まれ、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリスメトキシ−エトキシエトキシシラン、3−アミノプロピル−メチル−ジエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチル−ジメトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)メチルジ−エトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)トリメトキシシラン、N−エチル−アミノイソブチルトリメトキシシラン、4−アミノ3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、又は、それらの任意の組合せが含まれる。
【0028】
接着促進剤はまた、その成分の1つとして、芳香族イソシアナートを含み、具体的には三官能性イソシアナートを含む。1つの具体的な好ましい実施形態において、接着促進剤は、リンを含む少なくとも1つのイソシアナートを含む。1つのそのようなイソシアナートの一例が、一般には米国特許第6,974,500号(これは参照により組み込まれる)において記載され、下記の一般式1によって表される。
【化1】

【0029】
1つの可能なイソシアナートがトリス(p−イソシアナト)チオホスファンである。1つの特に好ましいイソシアナートが、イソシアナート基を有するチオホスファートであり、例えば、DESMODUR RFEの商品名で販売され、Bayer Corporation(Pittsburgh、Pa.)から市販されている、酢酸エチルにおけるトリス(p−イソシアナート−フェニル)−チオホスファートの溶液などである。単独で、又は、トリス(p−イソシアナート−フェニル)−チオホスファートとの組合せで用いることができる、可能なイソシアナートの他の例には、芳香族又は脂肪族であり得る三官能性イソシアナートが含まれる(例えば、HDIに基づく脂肪族ポリイソシアナートで、イソシアナート含有量がおそらくは約15パーセント〜約25パーセントであるもの)。好適な三官能性イソシアナートの例には、Desmodur N100、Desmodur N3300、又は、Tolonate HDTの名称で市販されている三官能性イソシアナートが含まれる。
【0030】
一般には、接着促進剤は、シランをイソシアナートと混合することによって調製され、具体的には、約1モル〜約3モルのシラン、例えば、アミノ−シラン又はメルカプトシラン又はそれらの組合せに関して約1モルのイソシアナートの量で、シランをイソシアナートと混合することによって調製され、より具体的には、約2モルのシラン、例えば、アミノ−シラン又はメルカプトシラン又はそれらの組合せに関して約1モルのイソシアナートの量で、シランをイソシアナートと混合することによって調製される。
【0031】
接着促進剤を作製するための1つの具体的な方法が、約2よりも大きい官能性を有する芳香族ポリイソシアナートを、ケイ素に結合する複数のアルコキシ基(例えば、ケイ素に結合する2つ又は3つのメトキシ基、ケイ素に結合する2つ又は3つのエトキシ基、又は、それらの組合せなど)を含むシラン(例えば、アミノ−シラン(例えば、第二級アミノ官能性シランなど)、メルカプトシラン又はそれらの組合せ)と少なくとも部分的に反応することである。
【0032】
典型的には、接着促進剤は組成物全体の約0.5重量%〜約20重量%の量で用いられ、より具体的には約2重量%〜約15重量%の量で用いられ、一層より具体的には約5重量%〜約12重量%の量で用いられる。
【0033】
本明細書中におけるプライマー組成物は数多くの適用のいずれかにおいて用いることができる。1つの具体的な方法が、プライマー組成物を(例えば、一液型組成物として)、当分野において開示される技術を使用して、自動車車両、フロントガラス、バックライト、側窓、サンルーフ/ムーンルーフ、建築用窓、明かり取り、舷窓、ドア開口部、陳列ケース、レンズ又はその他において使用される基板に適用することである。別の有用な適用が、標識、包装、容器(例えば、飲料物ビン)又はその他であるならば、印刷のためである。1つの好ましい適用が、実質的に透明なパネルの組立体を作製するための、本明細書中におけるプライマー組成物の使用である。本明細書中におけるそのような組立体は、構造体への一時的又は永続的な取り付けのために適合化することができる。組立体は、例えば、滑らせることによって、又は、関節式で連結することによって、又は、旋回することによって、又は、折り畳むことによって、又は、それらの任意の組合せによって、開けること、閉じること、又は、そうでない場合には平行移動することのために適合化することができる。従って、組立体を1つ又はそれ以上の適用において用いることができ、例えば、自動車車両のバックライト、側窓、サンルーフ/ムーンルーフ、建築用窓、明かり取り、舷窓、ドア開口部、陳列ケース又はその他などにおいて用いることができる。本明細書中における組成物及び方法はまた、予備的に塗布された接着剤システムとの組合せで用いられるときに特に有用である。
【0034】
典型的には、基板は実質的に平坦であるか、又は、例えば、湾曲した表面を規定するために形状化される。基板は一般には、表面積の少なくとも約25%にわたって、より具体的には大部分にわたって(例えば、表面積の少なくとも約60%、75%、又は、90%までも)、少なくとも1つの表面を通して、具体的には両方の向き合う表面を通して透明であるパネルである。本明細書中における基板は一般には、実質的に非晶質の材料から作製され、具体的には、非晶質セラミックス(例えば、ガラスなど)、プラスチック又はそれらの組合せから作製される。限定されないが、好適な基板材料の例には、ポリ(メタ)アクリラート、ポリカーボナート、ビニル樹脂(例えば、ポリビニルクロリド)、ポリエステル(例えば、配向ポリエステル)、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリアミド、ガラス、それらの任意の組合せ(例えば、積層ガラス)又はその他が含まれる。具体的な一例において、基板は、ガラス、ポリ(メタ)アクリラート、ポリカーボナート又はそれらの任意の組合せから選択される材料を含むか、あるいは、ガラス、ポリ(メタ)アクリラート、ポリカーボナート又はそれらの任意の組合せから選択される材料から本質的になる場合さえある。基板は、積層化層、色合い又はそれらの任意の組合せを有することができる。基板はまた、反応射出成形プラスチックである場合がある。パネル(例えば、実質的に透明なパネルなど)を封入する反応射出成形部品を含む組立体を、本明細書中における教示に従って接合することができる。封入パネルを製造するための1つの可能な方法の一例が、米国特許出願第60/870,643号(発明の名称「封入パネル組立体及びその製造方法」、これは参照により組み込まれる)に開示される。本明細書中における組成物はまた、ピンチウェルド(pinchweld)組立体の表面を接合するために用いることができる。
【0035】
いくつかの適用では、基板の実質的に表面全体を本明細書中における組成物により被覆することが要求されるかもしれないが、通常、組成物は、所定のパターンに従って(例えば、実質的には基板の端部分に沿って、又は、基板の周辺部の周りに、又は、他の様式で)選択的に基板に適用される。例えば、1つの方法が、組成物を、約2cm、5cm、8cm又は12cm以上までもの幅で基板の端から中央部分に向かって内側に適用することである。組成物が、一定又は変化する幅、高さ、長さ又は他の大きさのセグメントを含む1つ又はそれ以上の線、曲線、点又は他の幾何学的形態を規定するために適用されることもまた可能である。
【0036】
当分野において開示される様々なパターンのいずれかを適用することができる。プライマー組成物を、当分野において開示されるいずれかの手段を使用して、例えば、ブラシ、ローラー、表面への噴霧、インクジェット印刷及びスクリーン印刷などを使用して、基板(例えば、ガラス又は被覆されたプラスチック)に適用することができる。プライマー組成物を、当分野において開示されるロボット適用デバイス(例えば、少なくとも2つの運動軸を有するロボット適用デバイス)を使用して適用することができる。組成物を基板の表面に塗布した後、組成物は重合条件にさらされる。
【0037】
本明細書中における基板は典型的には、組成物が塗布される少なくとも1つの表面を含む。表面は、必要な場合には、例えば、プライマー、溶射、コロナ処理、プラズマ処理、又は、何らかの他の表面処理によって、基板に対する組成物の接着強さを改善するために処理することができる。しかしながら、1つの具体的な例において、外側表面は何らかの表面処理を実質的に有しない。従って、塗布されたとき、組成物は基板と直接に密着しており、具体的には、何らかの中間境界層の実質的な非存在下で基板と直接に密着している。当然のことではあるが、組成物を基板に塗布した後、組成物及び基板の一方又は両方の一部又は全体にわたって、さらなる層(例えば、保護用の上塗りを実現するためのシリコーン、アクリル樹脂、ポリウレタン又はその他)を適用することもまた可能である。本明細書中における組成物が、無機フリット又は有機フリット(例えば、Baikerikarらによって2006年6月20日に出願された(参照により組み込まれる)同時係属中の特許出願第11/472,119号(これは2005年6月20日出願の特許出願第60/692,318号の優先権を有する)において教示されるタイプのフリット)の上に、及び/又は、そのようなフリットの下に、及び/又は、そのようなフリットに隣接して用いられ得ることもまた可能である。
【0038】
適用されるとき、本明細書中における組成物は一般には約250ミクロン又はそれ以上までの厚さを有する。より一般的には、厚さは約150ミクロン未満であるか、又は、約100ミクロン未満であるか、又は、約50ミクロン未満でさえある(例えば、約5ミクロン〜約25ミクロン、又は、それ以下)。
【0039】
本発明のプライマー組成物との組合せで使用される好適な接着剤又はシーラントの例には、限定されないが、一液型又は二液型のウレタン組成物(これは結果的には水分硬化性であってもよい)が含まれる。特に好ましいウレタンが、MDI、HMDI又はそれらの組合せに基づく。市販されている接着剤の例には、限定されないが、The Dow Chemical CompanyからBETASEAL(商標)の名称で入手可能な接着剤(例えば、規格品番号1759、同1841、同1843、同1965、同2002又は同2002LVRPの1つ又はそれ以上など)が含まれる。
【0040】
本発明ではまた、接着剤組成物又はシーラント組成物と、1つ又はそれ以上のプライマー組成物とを含むキットが意図される。例えば、そのようなキットは、本発明による1つ又はそれ以上のプライマー組成物を、接着剤組成物又はシーラント組成物(例えば、一液型ウレタン接着剤又は二液型ウレタン接着剤)とともに、あるいは、接着剤組成物又はシーラント組成物を伴うことなく含んでもよい。キットはまた、1つ又はそれ以上のクリーナー、アプリケーター、テープ、ツール又はそれらの任意の組合せを含むことができる。本明細書中における組成物は、カートリッジ、ホイルパック又は両方で提供することができる。
【0041】
本明細書中における組成物は、一般には硬い耐摩耗性の被覆を提供する。本明細書中における組成物は、優れた接着性能及び耐候性を示すこともまた予想される。本明細書中における教示に従って新たに調製される得られたプライマー物質はまた、良好な貯蔵安定性を有する。例えば、得られたプライマー物質は、約10〜約14の粘度(DIN52311 Cup(2mm)、秒)を示すことが予想され、また、一般には、約90日の期間にわたって貯蔵安定性である。約40℃で約3ヶ月の後、粘度は、わずかに増大することが予想される(例えば、1ヶ月あたり約1秒)。
【0042】
得られるサンプルは、室温での7日間の経時処理の後で、より好ましくは、水中浸漬にさらされるさらに7日間の経時処理の後でもまた、さらにより好ましくは、90℃でのさらに7日間の経時処理の後でもまた、なお一層さらにより好ましくは、さらに7日間のカタプラスマ(cataplasma)サイクル処理の後でもまた、100%の凝集破壊を明らかにすることが予想される。本明細書中における組成物は、それにもかかわらず、さらに14日のカタプラスマサイクル処理の後で100%の凝集破壊を明らかにすることもまた可能である。
【0043】
一般に、カタプラスマサイクル処理のために、サンプルは、70℃、100%の相対湿度での気候チャンバに7日間、そのまま貯蔵されるか、又は、十分な水で湿らされた脱脂綿に包まれ、ポリエチレン袋に密封されて、その後、70℃でのオーブンに7日間保持される。次いで、サンプルは、−20℃で16時間、冷凍庫に置かれ、その後、サンプルは室温で2時間放置される。このサイクルが多数回繰り返され、その後、サンプルは袋から取り出され、迅速ナイフ接着試験に供される。望ましくは、プライマー層の膨れが認められず、破壊がシーラント層において凝集的である。
【0044】
下記の実施例により、本明細書中における教示が例示される。類似する結果が、各成分の量が、示された量の約10パーセント以内で変化するか、又は、示された量の約25パーセント以内でさえ変化する組成物について可能であると考えられる。従って、実施例はまた、そのような変化の範囲内に含まれる濃度範囲を教示する。
【実施例】
【0045】
接着促進剤が、1モルのDesmodur(登録商標)RFEを2モルのSilquest(登録商標)A1170と室温で反応することによって調製される。反応生成物をDow Betaprime(商標)プライマー(規格5500(ガラス基板用)及び規格5404(プラスチック基板用))と混合する。下記のプライマーAは約95重量パーセントのBetaprime(商標)5500及び約5重量パーセントの反応生成物を含む。下記のプライマーBは約88重量パーセントのBetaseal(商標)5404及び約12重量パーセントの反応生成物を含む。
【0046】
得られる物質は一般には、約90日の期間にわたって貯蔵安定性である。その新たに調製された状態において、プライマーは、粘度(DIN52311 Cup(2mm)、秒)が約11.8(プライマーA)及び約12.0(プライマーB)であることが予想される。約40℃の温度での経時処理を行ったとき、粘度は、わずかに増大することが予想され(例えば、約1ヶ月あたり約1秒)、その結果、3ヶ月後、プライマーAは約14.9の粘度を有することが予想され、プライマーBは約15.4の粘度を有することが予想される。
【0047】
接着剥離試験が行われる。この試験によって、高さが約10mm〜約15mmで、長さが約100mm〜150mmである接着剤のビードが、プライマー塗布の約3分以内に、プライマー塗布基板(具体的には、フェルトアプリケーターを使用して、本明細書中における得られたプライマー組成物によりプライマー塗布されたフロートガラス)に適用される。接着剤はスパチュラで約4mm〜6mmの高さに平らにされ、その後、気候チャンバにおいて約7日間、約23℃及び約50%の相対湿度で経時処理される。組立体が、所望の条件のもとで特定の時間にわたって硬化させられる。その後、ビードを、先のとがったノーズプライヤーを使用して剥がす。この場合、ノーズプライヤーにより、ビードが掴まれ、約90°の角度で回しながら引っ張られる。その後、硬化したビードを約1cmの間隔での切断によりプライマー塗布表面までカミソリの刃で切断する。破壊モードが離層表面において調べられ、特徴づけられる。凝集破壊の面積を、分析された全面積のパーセントに基づいて推定する。接着の程度を接着剤破壊及び/又は凝集破壊として評価する。接着剤破壊の場合には、硬化したビードをプライマー塗布表面から分離することができ、一方、凝集破壊では、分離が、切断及び引張りの結果としてシーラントビードの内部で生じる。破壊モードを観察する際には、境界表面積のどのくらいについて、破壊モードが観察されるかが注目される。プライマーがプライマー塗布基板(例えば、ガラス)から離層するならば、プライマーの破壊が生じていたと見なされる。
【0048】
プライマーAについて、用いられた接着剤は、Betaseal(商標)の規格品1759、同1841、同NC−1及び同1843である。それぞれについて、サンプルは、室温での7日間の経時処理の後で;水中浸漬にさらされるさらに7日間の経時処理の後で;90℃でのさらに7日間の経時処理の後で;さらに7日間のカタプラスマサイクル処理の後で、100%の凝集破壊を明らかにすることが予想される。
【0049】
プライマーBについて、用いられた接着剤は、Betaseal(商標)の規格品2002、同1841及び同2002VLRPである。それぞれについて、記載されるような剥離試験によって、サンプルは、室温での7日間の経時処理の後で;水中浸漬にさらされるさらに7日間の経時処理の後で;90℃でのさらに7日間の経時処理の後で;また、さらに7日間のカタプラスマサイクル処理の後で、100%の凝集破壊を明らかにすることが予想される。
【0050】
プライマーA及びプライマーBの両方については、プライマーの破壊が観測されないことが予想される。
【0051】
本明細書中に示される説明及び例示は、本発明、その原理及びその実用的適用を当業者に熟知させるために意図される。当業者は、特定の使用の要件に最も良く適し得るように、本発明をその数多くの形態で適合化及び適用することができる。従って、示されるような本発明の具体的な実施形態は、網羅的であるとして、又は、本発明の限定であるとして意図されない。従って、本発明の範囲は、上記の記載を参照して決定してはならず、代わりに、添付された請求項を参照して、そのような請求項が資格を有する均等物の完全な範囲と一緒に決定されなければならない。特許出願及び特許公報を含めて、すべての論文及び参考文献の開示はすべての目的のために参照により組み込まれる。アクリル樹脂(an acrylic)又は(メタ)アクリル樹脂(a (meth)acrylic)(あるいは、派生用語、例えば、「アクリラート(acrylate)」など)に対する参照は各種のメタアクリル樹脂(methacrylics)及びアクリル樹脂(acrylics)(ならびに、対応する派生用語)を意図する。本明細書中で議論された成分は、得られる組成物の一部を形成することができる。しかしながら、本明細書中で議論された成分はまた、接着促進剤の一部を形成することができる。例えば、接着促進剤が、成分を、得られる組成物を形成するために混合物に送達するためのビヒクルであることが可能である。特に述べられる場合を除いて、「接着剤」又は「シーラント」に対する参照は交換可能である。従って、特定の組成の接着剤の言及はそのような組成のシーラントを包含する。
【0052】
1工程プライマー組成物における使用に関連して一般的に本明細書中に開示されるが、本明細書中における接着促進剤はそのように限定されない。接着促進剤はまた、多数の成分を含むプライマーシステムの一部として用いることができ、また、成分のいずれか又はすべてに加えることができる。例えば、接着促進剤が、ウレタン系活性化剤組成物、フリット調製組成物、フリットプライマー組成物、PVCプライマー、ピンチウェルドプライマー又はその他(例えば、U−413、U−555、U−4000、U−401又はU−402などの名称で販売されている、The Dow Chemical Companyから得られる1つ又はそれ以上の製造物など)に配合されてもよい。
【0053】
本明細書中における教示は、同時係属中の特許出願第60/913,700号(2007年4月24日出願)(「オキサゾリジンを含む一成分ガラスプライマー」)、又は、同時係属中の特許出願第60/913,703号(2007年4月24日出願)(「万能プライマー組成物及び方法」)(これらはともに参照により本明細書中に組み込まれる)の一方又は両方との組合せにおいて好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板を第2の基板に接合するための方法であって、
a.チオホスファート基を含む少なくとも1つの芳香族ポリイソシアナート化合物と、有機官能性シランの活性水素との反応によって調製される付加物である接着促進剤を含むプライマー組成物を前記基板の一方又は両方に塗布する工程、
b.接着剤を前記基板の少なくとも1つに塗布する工程、及び
c.前記2つの基板を組み立てる工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記有機官能性シランがアミノシラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機官能性シランが、少なくとも1つのケイ素原子のそれぞれに結合する2つ又は3つのメトキシ基又はエトキシ基又は両方の基を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの芳香族ポリイソシアナートが三官能性である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの芳香族ポリイソシアナートがトリス(p−イソシアナト−フェニル)チオホスファートを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応工程が、約1モルの前記少なくとも1つのポリイソシアナートを約1モル〜約3モルのアミノ−シラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せと反応することを含み、ただし、イソシアナート基に対する水素活性基のモル比が1未満である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記アミノシランが第二級アミノシランである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載される方法に従って製造される組立体。
【請求項9】
プライマー組成物及び少なくとも1つの接着剤を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載される方法における使用のためのキット。
【請求項10】
チオホスファート基を含む少なくとも1つの芳香族ポリイソシアナート化合物と、アミノ−シラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せから選択されるシランとの反応生成物を含む、プライマー組成物のための接着促進剤。
【請求項11】
前記反応生成物が、約1モルの前記ポリイソシアナート化合物を約1モル〜約3モルのアミノ−シラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せと反応することの結果物であり、ただし、イソシアナート基に対する活性水素基のモル比が1未満である、請求項10に記載の接着促進剤。
【請求項12】
前記反応生成物が、約1モルの芳香族トリイソシアナート化合物を約2モルのアミノ−シラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せと反応することの結果物である、請求項11に記載の接着促進剤。
【請求項13】
前記少なくとも1つの芳香族ポリイソシアナートがトリス(p−イソシアナト−フェニル)チオホスファートを含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の接着促進剤。
【請求項14】
前記シランが、少なくとも2つのメトキシ基又はエトキシ基にそれぞれが結合する少なくとも2つのシリル基を含む第二級アミノ−シランである、請求項11から13のいずれか一項に記載の接着促進剤。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか一項に記載される接着促進剤をプライマー組成物と混合して、得られるプライマー組成物を形成する工程を含む、プライマー組成物の性能を改善する方法。
【請求項16】
前記接着促進剤が約99重量部〜約80重量部の前記プライマー組成物に対して約1重量部〜約20重量部の量で混合される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プライマーが、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアナートとポリエーテルポリオールとの反応に由来し、アミノシランのアミノ基と部分的に反応した少なくとも1つのプレポリマーを含み、前記アミノシランは、その1つ又は2つのケイ素原子のそれぞれに結合する2つ又は3つのアルコキシ基を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
基板を前記得られるプライマー組成物と接触させることをさらに含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記基板が、ガラス、金属、プラスチック、被覆基板又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2010−526889(P2010−526889A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506345(P2010−506345)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/054274
【国際公開番号】WO2008/134111
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】