改善された光学的及び電気的性能を有する多層電極を備えたタッチセンス装置
タッチセンサは、1つ以上の多層電極を含み、前記電極は、透明又は半透明介在層によって分離される少なくとも2つの透明又は半透明導電層を含む。介在層は、導電フィルム又は電極を組み込んだ装置の特定の層間で生ずる界面反射を低減させるために第1の導電層と第2の導電層との間に導電経路を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年8月13日に出願された、米国特許出願第12/540394号、「Conducting Film or Electrode with Improved Optical and Electrical Performance for Display and Lighting Devices and Solar Cells」、及び2008年6月18日に出願された、米国特許出願第12/141544号、「Conducting Film or Electrode with Improved Optical and Electrical Performance」に関連する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンは、しばしば、ディスプレイ上にオーバーレイされる透明のタッチセンサに触れて指令を送ることによる、ユーザーがコンピューティング装置とやりとりする単純で直感的な方法を提供する。タッチセンサは、典型的には、透明の導電性酸化物から形成される単層電極から構成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明と一致する1つ以上の導電性多層電極を有するタッチセンサは、基材と、多層電極のそれぞれについて、透明又は半透明の介在層によって分離される、透明又は半透明の2つの導電層と、を含む。介在層はこの電極が組み込まれた装置で生じる不要な界面反射を低減させるものであり、2つの導電層の間に導電経路を有している。介在層は、屈曲及び曲げ条件下における導電層の耐久性も改善する。導電層間に介在層及び導電経路を使用することにより、個々の導電層をより薄くすることができる。個々の導電層がより薄いと、組み合わされたのと同じ厚さの単一の導電層よりも柔軟性がある。単一の厚い導電層を屈曲させると、2つの薄い導電層が無傷で耐える条件下で亀裂が起こる。2つの導電層間の導電経路はまた、余分の電気経路を提供するため、1つの導電層で亀裂が起こっても全体的な導電性損失をもたらさない。単一の厚い導電層において、亀裂は開回路及び早期の装置故障をもたらし得る。介在層は、導電フィルムの全体的柔軟性を最適化するように選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付図面は本明細書の一部に組み込まれ、並びにそれを構成するものであって、本発明の利点と原則を、その記述と共に説明する。これらの図面では、
【図1】タッチセンス装置及び電子機器の概略図。
【図2】代表的なタッチセンス装置において使用されるタッチパネルの一部の断面。
【図3】代表的なタッチセンス装置において使用されるタッチパネルの一部の断面。
【図4】導電経路を伴う介在層を有する多層電極の図。
【図5】介在導電層を有する多層電極の図。
【図6】導電性粒子が結合剤中に分散された介在層を有する多層電極の図。
【図7】複数の介在層を有する多層電極の図。
【図8A】複数の介在層を有する多層電極の図。
【図8B】複数の介在層を有するX軸多層電極及び複数の介在層を有するY軸多層電極を示す、ノードにおけるマトリックス型タッチスクリーンの断面図。
【図9A】多層電極が具現され得る種々のパターン。
【図9B】多層電極が具現され得る種々のパターン。
【図9C】多層電極が具現され得る種々のパターン。
【図10】マトリックス型タッチスクリーンの原型における多層電極パターンの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の実施形態は、改善された電気及び光学特性を伴う多層電極を有するタッチセンサに関する。本電極は、例えば、層間で起こる反射が装置性能に有害である任意のセンサ又はディスプレイ内で使用され得る。センサは、ガラス又はPET等の任意の好適な基材上に配置され得る。多層電極は、透明でないタッチセンサの中にも組み込まれ得る。多層電極パターンは、棒状、三角形、ハニカム、又は任意の他の好適なパターンを具現し得る。センサは、電極間又は対接地静電容量の電極の変化を検出し、それによって、タッチ又はニアタッチの座標を決定する電子部品に連結され得る。
【0006】
多層電極は、異なる屈折率及び導電経路を有する介在導電層又は絶縁層を伴う、特定の屈折率を有する2つ以上の導電層を含む。導電層及び介在層のそれぞれが透明又は半透明である。電極積層体内の、個々の層の厚さ及び個々の層の光学屈折率は、これらの基材がタッチセンサ内に組み込まれる時に、望ましくないフレネル反射を最小化するように調節される。一実施形態では、多層電極の導電層は対称的であり、つまり、それらが同一の厚さを有することを意味する。他の実施形態では、導電層は異なる厚さを有する。
【0007】
この多層電極構造は、ディスプレイの、黒レベル、色彩度、及び故にコントラストを、著しく改善する。更に、介在層によって電極の導電層間の電気的接触が得られる。その結果、多層電極の導電率は積層体内の個々の導電層の導電率よりも高くなる。タッチセンサの寸法が電極のシート抵抗によって限定され得るため、多層電極は、より大きいタッチセンサの製作を可能にする。多層電極を用いて製作されるセンサは、単層電極を有する装置と比較して、著しく改善された電気的及び光学的性能を呈する。
【0008】
図1では、代表的なタッチ装置110が示される。装置110は、電子回路(簡略化のために114と表示される1つの概略的なボックスにまとめられ、総じて制御装置と呼ばれる)に接続されたタッチパネル112を含む。タッチパネル112は、簡略化のために5×5マトリックスの列電極116a〜e及び行電極118a〜eを有するとして示されるが、他の電極数及び他のマトリックス寸法、並びに表面型静電容量方式のタッチセンサにおいて使用されるような単一の非パターン化層等の非マトリックス型パターンを含む他の電極パターンが使用されてもよい。本明細書に記載の多層電極は、いくつかの実施形態では、低下した抵抗及び増加した信号対ノイズ比の理由から、非常に大きい静電容量に基づくマルチタッチセンサを可能にし得る。
【0009】
パネル112上の多層電極は、改善された電気及び光学特性をもたらす本明細書に開示の構造を有する。パネル112は、ユーザーが、コンピュータの画素化ディスプレイ、テレビ、携帯型装置、携帯電話、又は他の周辺装置等の物体を、パネル112を通して見ることができるように、典型的には、実質的に透明である。境界120は、パネル112の表示領域、またかかるディスプレイを使用する場合は好ましくはその表示領域を表す。多層電極116a〜e、118a〜eは、平面図の視点から、表示領域120上に空間的に分布される。図解を簡略化するために、多層電極は、広く突出して示されているが、実際には、比較的狭く、ユーザーの注意を引かない可能性もある。更に、電極間のフリンジフィールドを増大させて、それにより電極間の容量結合におけるタッチの影響を増大させるために、電極は、可変幅、例えば、マトリックスのノード付近でダイヤモンド又はその他の形状のパッドに拡大した幅を有するように設計され得る。深さの視点から、列電極と行電極との間に有意なオーミック接触が起こらないように、かつ所与の列電極と所与の行電極との間の有意な電気的結合のみが静電容量結合であるように、列電極は、行電極とは異なる平面にあり得る(図1の視点から、列多層電極116a〜eは、行多層電極118a〜eの下にある)。多層電極のマトリックスは、電極がユーザーの指又は他のタッチ関連器具との直接的な物理的接触から保護されるように、典型的には、カバーガラス、プラスチックフィルム等の下にある。かかるカバーガラス、フィルムなどの露出面は、タッチ面と呼ばれる場合がある。本明細書に記載の多層電極を用いてのマトリックス以外のタッチセンス装置の構成も可能である。例えば、2つの電極を備える静電容量ボタンは、静電容量結合を有するように、ボタンの領域内で相互に十分に接近するように表面上に配置される。(1つ又は両方が多層電極である)これらの2つの電極は、同一の平面上にあり、相互に同一の層内に形成され得る。また、(複数の電極からなる)マトリックスというより、単一シート型電極等の他の構成も可能である。そのようなシート型電極は、表面型静電容量方式のセンサにおいて使用されることもあり、電極は、全体のタッチ面を実質的に被覆する非パターン化コーティングである。概して、本明細書に記載の多層電極を用いて、最も既知の電極構成が可能となる。
【0010】
代表的な実施形態では、多層電極(116a〜e、118a〜e)のうちのいくつか又は全ては、特定の屈折率を有する2つ以上の導電層並びに異なる屈折率及び導電経路を有する介在導電層から構成され得る。
【0011】
所与の列電極と行電極との間の容量結合は、電極が互いに最も近接している領域内の電極の形状と主に相関する。このような領域は、電極マトリックスの「ノード」に対応し、このノードのいくつかが図1に示されている。例えば、列多層電極116aと行多層電極118dとの間の静電容量結合が主にノード122で起こり、列多層電極116bと行多層電極118eとの静電容量結合が主にノード124で起こる。図1の5×5マトリックスは、25個のそのようなノードを有し、それらのうちの何れか1つは、それぞれの列多層電極116a〜eを制御装置と個別に連結させる制御線126のうちの1つの適切な選択、及びそれぞれの行多層電極118a〜eを制御装置と個別に連結させる制御線128のうちの1つの適切な選択を介して、制御装置114によって対処され得る。
【0012】
相互静電容量型システムにおいて、タッチ位置131で示されるように、ユーザーの指130又は他のタッチ用具が装置110のタッチ面と接触するか、あるいは接触しそうな時、指は、電極マトリックスと静電容量的に結合する。指は、マトリックス、特にタッチ位置の最も近くにある電極から電荷を引き出し、そうすることで、最も近くのノードに対応する電極間の結合静電容量を変化させる。例えば、タッチ位置131でのタッチは、多層電極116c/118bに対応するノードの最も近くにある。好ましくは、制御装置は、容量の変化がある場合には、マトリックスのノードの全ての静電容量の変化を迅速に検出するように構成され、ノード間にあるタッチ位置を補間によって正確に判定するために、隣接するノードの静電容量変化の大きさを分析することが可能である。更に、制御装置114は、タッチ装置の異なる部分に、同時に又は重複する時間で加えられた複数の異なるタッチを検出するように有利に設計される。したがって、例えば、指130のタッチと同時に別の指132が装置110のタッチ面のタッチ位置133をタッチする場合、又は、それぞれのタッチが少なくとも時間的に重複している場合、制御装置は、好ましくは両方のかかるタッチの位置131、133を検出し、かかる位置をタッチ出力114aに提供することが可能である。
【0013】
多くの考えられる駆動及び検出ルーチンが可能であり、当該技術分野において既知である。静電容量対接地型システムは、電極間の静電容量というよりはむしろ、電極マトリックスのノード付近で起こる接地に対する静電容量の変化を測定する。
【0014】
次に図2では、図1の装置110等のタッチ装置で使用するための多層タッチセンサ210の一部の概略的側面図を参照する。タッチセンサ210は、ガラス、PET、又は耐久性のあるコーティングであり得る、(ユーザーに対して最も近い層であり、その上面212aがタッチセンサのタッチ領域を画定する)上層212を含む。上電極層214は、第1の一式の多層電極を備える。誘電体層216は、上電極層を下電極層218から分離し、一式の多層電極218a〜eも備え、一実施形態において、第1の一式の電極に直交する。他の実施形態では、上電極及び下電極は、相互に直交しない。下層220は、上層のように、ガラス、PET、又は他の材料であり得る。上層212の露出面212a又は下層220の露出面220aは、タッチセンサ210のタッチ面であり得るか、あるいはタッチセンサ210のタッチ面を含む。これは、タッチセンサを構成する積層体の簡略図であり、より多い又はより少ない層及び他の介在層が可能である。
【0015】
次に図3では、センサ積層体10の、図1の装置110等のタッチ装置で使用するための多層タッチセンサ210の一部の概略三次元図を参照する。図3の断面は、例えば、図1のノード122又は124で見られる断面に対応し、上層212、電極214、誘電体層216、電極218、及び下層220を含む。電極によって反射される光は、反射24、反射26、反射27、及び反射28で表される屈折率ミスマッチの理由から、層界面のそれぞれでの平面反射及び望ましくないフレネル反射を含む。フレネル反射光は通常広帯域であり、したがってディスプレイの色飽和度を低下させる。電極によって反射される光は、散乱及び界面フレネル反射を含む。これらの反射は、内在するディスプレイの黒レベル、故にコントラスト比を低下させる。それらはまた、特にディスプレイがオフであるか、あるいはディスプレイが電極を超える領域において単色に設定される時に、センサ内の電極をユーザーの目に留まりやすくすることができる。
【0016】
フレネル反射の大きさは、界面における屈折率の比よって決まる。垂直な入射光ではフレネル反射の大きさは下式:
【0017】
【数1】
【0018】
(式中、nは屈折率がn2、n1の2つの媒質の屈折率である)によって求められる。フレネル反射は屈折率が最も高い界面において最も強くなる。図3に示されるセンサ積層体10の種々の層の屈折率は、以下の通りである:電極についてn=2.0、及び基材についてn=1.65。したがって、センサ積層体10において、最も高い屈折率のステップは、高い屈折率の酸化インジウムスズ(ITO)とポリエチレンテレフタレート(PET)基材との間の界面で起こる。センサ積層体10は、2つのITO/PET界面を含む。照明に応じて、これらの界面は、入射光の有意な部分を反射し、電極をユーザーの目にかなり留まりやすくすることができる。
【0019】
比較すると、本発明の実施形態の多層電極設計は、良好な光学的及び電気的性能の両方をもたらす。多層電極設計における介在誘電体層は、2つの導電層間の電気的接触を可能にする導電経路を有する透明又は半透明の層である。この経路は介在層の、厚さ及び成膜条件を制御することによって自然に形成され得る。隣接する層間の電気的接触を可能とするよう介在層が不連続となるように介在層の濡れ性を変化させることによって基板に最も近い第1の導電層の化学的及び物理的性質を調節することによって、こうした経路を形成することもできる。また、レーザアブレーション、イオン照射法、又はウェット/ドライエッチング法などの方法を用いて形成することもできる。
【0020】
介在層は、スパッタリング、電子ビーム法、熱蒸発法などの蒸着方法を用いて形成することができる。介在層は、ポリマー(ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリエポキシド、ポリエーテルなどのコポリマーを含む)、並びに金属酸化物、窒化物、炭化物、及びこれらの混合物などの無機材料を含むことができる。好ましい非導電性の介在層は、ポリアクリレート及びシリコン酸化物を含む。介在層は、溶液コーティングを用いて形成されてもよい。モノマーを基板上で蒸発させ、その場で硬化させるウルトラバリアフィルム法を使用することもできる。ウルトラバリアフィルムとしては、例えば何れも参照により全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる、米国特許第5,440,446、同第5,877,895号、及び同第6,010,751号に述べられるような、ガラス又は他の適当な基板上に2種類の無機誘電体材料を多数の層として順次、真空蒸着することによって形成される多層フィルム、又は無機材料と有機ポリマーとの交互の層が挙げられる。
【0021】
一実施形態が、図4の積層体40として示される。多層電極は、電極42及び電極50に接続するために透明の層46中の開口48を通って延在する導電性リンク44を備える導電経路を有する、低屈曲率の透明又は半透明の層46によって分離される透明の導電性酸化物(TCO)又は半透明の導電性酸化物の2つの高屈曲率の導電層42及び導電層50を含む。基材52は、電極に支持体を提供する。各層は、概念を説明するために引き離されている。各層は概念を説明するために分離して描かれている。
【0022】
別の実施形態では、介在層は、図5の積層体54に示されるように、何れか一方の側面上の導電層よりも低い屈折率を有する透明又は半透明の導電体である。積層体54に含まれる多層電極において、介在導電層58は、TCO又は半透明の導電性酸化物の2つの隣接した導電層56と導電層60との間に連続した導電経路を提供し得る。基材62は、多層電極に支持体を提供する。介在層58は、溶液コーティング又は電着された導電性ポリマーからなるものを用いることができる。介在層58は蒸着された透明導電層であってもよい。導電性ポリマーとしては例えば以下の材料、すなわちポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン及びPEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸)が挙げられる。各導電層を合わせた厚さがシート抵抗の必要条件によって制限されるのに対して、個々の層の厚さは所望の光学的特性に対して最適化される。
【0023】
更に別の実施形態では、介在層は、図6の積層体64に示されるように、結合剤中に分散される導電性粒子を備える。結合剤68中の導電性粒子70は、TCO又は半透明の導電性酸化物の導電層66と導電層72との間に導電経路を提供し、したがって、多層電極を形成する。基材74は、積層体に支持体を提供する。結合剤は、導電性のものであっても絶縁性のものであってもよい。導電性粒子は、有機、無機、又は金属からなるものであってよい。導電性粒子はまた、金属コーティングされた粒子を含む。介在層の屈折率は、結合剤と導電性粒子との体積比率を変えることによって調節することができる。
【0024】
多層電極のマトリックス及び埋め込まれた導電性ナノ粒子は、以下を含むことができる。マトリクスとしては、任意の透明又は半透明(導電性又は絶縁性)のポリマー(例えばアクリレート、メタクリレート、又は上記に示した導電性ポリマー)、導電性(上記に示したTCOなど)又は絶縁性(SiO2、窒化ケイ素(SixNy)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、又はフッ化マグネシウム(MgF2)など)のうちの何れか一方の透明又は半透明の無機材料が含まれる。導電性ナノ粒子には、上で列記されるポリマー等の導電性ポリマー、金属(例えば、銀、金、ニッケル、クロム)、又は金属被覆された粒子が含まれ得る。マトリクスが導電性のものである場合、ナノ粒子は絶縁性、特に上記に示した絶縁性材料(例えばSiO2、窒化ケイ素、酸化亜鉛、又は他の絶縁性材料)からなるナノ粒子であってよい。
【0025】
多層電極を使用する装置の基板は、ディスプレイ又は電子装置の作製に使用する任意のタイプの基板材料を含むことができる。基板は、例えばガラス又はその他の材料を使用することによって、剛性にすることができる。また基材は、例えばプラスチック又はその他の物質を使用することによって、曲線状又は可撓性にすることもできる。基材は、以下の代表的な材料:ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、多環式オレフィン(PCO)、セルローストリアセテート(TAC)、及びポリウレタン(PU)、を使用して作製され得る。
【0026】
基材に好適な他の材料には、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデンコポリマー(CTFE/VDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ペルフルオロアルキル−テトラフルオロエチレンコポリマー(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、フッ化ポリビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(TFE/HFP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデンターポリマー(THV)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデンコポリマー(HFP/VDF)、テトラフルオロエチレン−プロピレンコポリマー(TFE/P)及びテトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルエーテルコポリマー(TFE/PFMe)が含まれる。
【0027】
その他の好適な基板には、バリアフィルム及びウルトラバリアフィルムが挙げられる。バリアフィルムの例が、米国特許第7,468,211号に記載されており、これは参照により全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。ウルトラバリアフィルムとしては、例えば何れも参照により全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる、米国特許第5,440,446、同第5,877,895号、及び同第6,010,751号に述べられるような、ガラス又は他の適当な基板上に2種類の無機誘電体材料を多数の層として順次、真空蒸着することによって形成される多層フィルム、又は無機材料と有機ポリマーとの交互の層が挙げられる。
【0028】
多層電極のTCOには、以下の代表的な材料が挙げられる:ITO;酸化スズ;酸化カドミウム(CdSn2O4、CdGa2O4、CdIn2O4、CdSb2O6、CdGeO4);酸化インジウム(In2O3、Ga、GaInO3(Sn、Ge)、(GaIn)2O3);酸化亜鉛(ZnO(Al)、ZnO(Ga)、ZnSnO3、Zn2SnO4、Zn2In2O5、Zn3In2O6);及び酸化マグネシウム(MgIn2O4、MgIn2O4−−Zn2In2O5)。
【0029】
上記に述べた各実施形態は介在層によって分離された2つの透明又は半透明の導電層を有するものであるが、図7及び8Aに示されるように、所望の光学的及び電気的特性に応じて更なる透明又は半透明の導電層及び介在層を追加することができる。図7及び図8Aに示される積層体76及び積層体90は、基材88並びに単一電極として機能する以下の層:複数の透明又は半透明の導電層78、導電層82、及び導電層86、導電層間の透明又は半透明の介在層80及び介在層84を含む。特定の装置に対して最適化又は調整された任意の数の層を電極が有するように導電層及び介在層の更なる層を追加することもできる。センサをディスプレイ積層体上に組み込むことも可能であり、ディスプレイ積層体に接触する層は、図7に示される導電層78又は図8Aに示される絶縁層92(光学的に透明の接着剤等)に関して示されるように、必要に応じて、導電性又は絶縁性であり得る。更に、多層電極は、所望の最終用途のために、異なる光学特性に「調節」され得る。例えば、介在層の材料及び層の厚さは、ディスプレイがオフ状態での反射の減少等の所望の用途又は特性のために変えられ得る。
【0030】
図7及び図8Aが3つの導電層(及び2つの介在層)を有する多層電極を示す一方で、図8Bは、X電極及びY電極を有するマトリックス型タッチスクリーン上のノードの断面からの積層体91を示し、電極のそれぞれは、3つの導電層積層体を有する。介在層80及び介在層84と連結する導電層78、導電層82、及び導電層86は、例えば、X軸電極を備える。好適な光学的に透明の接着剤であり得る絶縁層92又はPETの層は、X軸電極をY軸電極から分離し、それは、介在層80b及び介在層84bと連結する導電層78b、導電層82b、及び導電層86bからなる。この構造が1つの電極につき3つの導電層である一方で、所与の電極には3つの導電層、及び別の電極には3つより多い又は3つ未満の導電層等の他の配置が可能である。
【0031】
多層電極は、電気泳動装置(Bridgestoneのパウダーの使用を含む)、ポリマー分散液晶(PDLC)装置、並びに無機電界発光(IEL)ディスプレイ及び照明装置等の、他のディスプレイ装置と共に使用され得る。電気泳動装置、PDLC装置、及びIEL装置の例は、それぞれ米国特許第7,365,900号、同第5,629,783号、及び同第7,538,483号に記載されており、これらは何れも参照により全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。Bridgestoneのパウダーは、Bridgestone Corporationの「Quick Response−Liquid Powder Display(QR−LPD)」と題された公表文献及び更に米国特許第7,495,820号に記載されており、これらは参照により全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0032】
図9a〜9cは、多層電極の種々の構成を示す。図9aは、配線リード900が角部のそれぞれに接続された状態のシート型の非パターン化多層電極901を示す。図9bは、棒状として構成される多層電極902を示し、図9cは、繰り返しのダイヤモンド形として構成される多層電極903を示す。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
図4に示される3層電極設計を有する電極基材を、図9cに示されるような複数の平行ダイヤモンド形の電極で製作した。3層電極は、1ロールの0.005インチ(125マイクロメートル)の厚さのPET上でスパッタリングしたITO(20nm)/SiAlOx(42nm)/ITO(20nm)で構成された。
【0034】
これらの試料のシート抵抗を測定して、約123オーム/スクエアにした。AC抵抗測定を以下の手順に従って測定した。水平及び垂直距離を、以下の表1に示されるように、水平に起動する10個のセンサバー及び垂直に起動する10個のセンサバー上で測定した。次に、以下の表2に示されるように、垂直のセンサシートの下部で、非パターン化ITOの矩形について測定した。電極基材上の測定を、Optical Gaging Products Inc.of Rochester,New York,USAのAvant 600 ZIPを用いて行った。Fluke 77 Series II Multi−Meter(Fluke Corporation,Everett,Washington,USA)を用いて、ITOバー及びITO面積の抵抗測定を行った。ITOの抵抗を正確に測定するために、一切れの銅テープを両方の末端に接続させた。この一切れの銅テープは、ITO面積の全幅を被覆し、高抵抗ITOに低抵抗経路を提供する。オーム/スクエアを求めるために、抵抗値を、幅で、又はダイヤモンドパターンの場合は平均幅で割った。700オーム測定は、銅テープに接続するz軸接着剤の抵抗、並びにプローブの接続点が小さいことから、保守的な測定である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
対角19インチ(48.3cm)のコンピュータモニタディスプレイの正面上での使用に好適なタッチセンサを、以下のように製作した:電極基材の2つの区分をロールから切断し、登録時、光学的に透明の接着剤(OCA)を用いてガラス基材上で相互の上に直角に積層し、X軸多層電極906及びY軸多層電極905を示す図10に示される形態のマトリックス電極センサを形成した。次に、センサ構造層は、以下:(典型的には、タッチ面としての役割を果たし、内在するディスプレイから最も遠い)ガラス、OCA、PET電極基材、OCA、及び交差したPET電極基材である。電気的試験の大部分を、ガラスから外方に向くPET表面上にITO電極を有する原型上で行い、最も外側のITO電極を保護するために、交差した電極基材の上にOCA及び未修正のPETの別の層を必要とした。ITO電極をガラスから外方に向かせることで、原型試験において、電極層へのより容易な接続が可能になった。
【0038】
(多層電極を有する)我々の原型センサ及び同様に設計された業者供給センサ(部品番号98−0003−3367−8、3M Touch Systems,Methuen,Massachusetts,USAから入手可能)の光透過率は、両方とも90%であった(89.8〜90.1%光透過(%T)の測定)。これらを、白色光を用いて明所視測定を提供するBYK Gardner haze−gard plus machines(カタログ番号4725、BYK−Gardner USA,Columbia,Maryland,USAから入手可能)上で測定し、全体の可視的な波長を平均化した。反射率(%R)も測定した。結果を表3に示す。
【0039】
【表3−1】
【0040】
【表3−2】
【0041】
【表3−3】
【0042】
3層電極設計は、良好な光学的性能と連結して、低いシート抵抗を可能にする。低屈折率の介在層のそれぞれが、隣接する透明の導電層間の電気的接触を可能とする。その結果、多層電極の導電率は全ての導電層を合わせた厚さによって決定される。上述の対角19インチ(48.3cm)のタッチセンサは、業者調達の400オーム/スクエア以下のITO電極と本質的に同一の(90%以下)透過を有したが、例示的なセンサは、125オーム/スクエア以下のみのシート抵抗を有し、優れたセンサ信号の均一性を可能にした。
【0043】
上述のセンサを、2009年11月16日に出願された、同一出願人による及び同時係属特許出願米国第12/618874号、Touch Sensitive Device Using Threshold Voltage Signalに記載されるように、2組の直交電極を、タッチセンサ制御装置及び信号処理電子機器に取り付けることによって試験した。タッチセンサを、ガラス側を上にしてフォームパッド上に設置した。ガラス上で少なくとも10回の同時に起こる指タッチを、センサで正確に位置付けし、関連電子機器で表示した。
【0044】
(実施例2)
2組の直交多層ITO/SiAlOx/ITO積層体で作製される19インチ(48.3cm)(対角)タッチセンサを、実施例1で用いた方法と同一の方法でPETフィルム上に製作した。センサを、2009年5月29日に出願された、同一出願人による及び同時係属特許出願米国第61/182366号、High−speed Multi−touch Touch Device and Controller Thereforに記載されるように、2組の直交電極を、タッチセンサ制御装置及び信号処理電子機器に取り付けることによって試験した。ガラス上で少なくとも10回の同時に起こる指タッチを、センサで正確に位置付けし、関連電子機器で表示した。
【0045】
原型センサが、上記の実施例1における光学測定によって示される光透過率と同一の光透過率を維持しながら、増加した導電率及び改善された信号対ノイズを提供することができることが見出された。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年8月13日に出願された、米国特許出願第12/540394号、「Conducting Film or Electrode with Improved Optical and Electrical Performance for Display and Lighting Devices and Solar Cells」、及び2008年6月18日に出願された、米国特許出願第12/141544号、「Conducting Film or Electrode with Improved Optical and Electrical Performance」に関連する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンは、しばしば、ディスプレイ上にオーバーレイされる透明のタッチセンサに触れて指令を送ることによる、ユーザーがコンピューティング装置とやりとりする単純で直感的な方法を提供する。タッチセンサは、典型的には、透明の導電性酸化物から形成される単層電極から構成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明と一致する1つ以上の導電性多層電極を有するタッチセンサは、基材と、多層電極のそれぞれについて、透明又は半透明の介在層によって分離される、透明又は半透明の2つの導電層と、を含む。介在層はこの電極が組み込まれた装置で生じる不要な界面反射を低減させるものであり、2つの導電層の間に導電経路を有している。介在層は、屈曲及び曲げ条件下における導電層の耐久性も改善する。導電層間に介在層及び導電経路を使用することにより、個々の導電層をより薄くすることができる。個々の導電層がより薄いと、組み合わされたのと同じ厚さの単一の導電層よりも柔軟性がある。単一の厚い導電層を屈曲させると、2つの薄い導電層が無傷で耐える条件下で亀裂が起こる。2つの導電層間の導電経路はまた、余分の電気経路を提供するため、1つの導電層で亀裂が起こっても全体的な導電性損失をもたらさない。単一の厚い導電層において、亀裂は開回路及び早期の装置故障をもたらし得る。介在層は、導電フィルムの全体的柔軟性を最適化するように選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付図面は本明細書の一部に組み込まれ、並びにそれを構成するものであって、本発明の利点と原則を、その記述と共に説明する。これらの図面では、
【図1】タッチセンス装置及び電子機器の概略図。
【図2】代表的なタッチセンス装置において使用されるタッチパネルの一部の断面。
【図3】代表的なタッチセンス装置において使用されるタッチパネルの一部の断面。
【図4】導電経路を伴う介在層を有する多層電極の図。
【図5】介在導電層を有する多層電極の図。
【図6】導電性粒子が結合剤中に分散された介在層を有する多層電極の図。
【図7】複数の介在層を有する多層電極の図。
【図8A】複数の介在層を有する多層電極の図。
【図8B】複数の介在層を有するX軸多層電極及び複数の介在層を有するY軸多層電極を示す、ノードにおけるマトリックス型タッチスクリーンの断面図。
【図9A】多層電極が具現され得る種々のパターン。
【図9B】多層電極が具現され得る種々のパターン。
【図9C】多層電極が具現され得る種々のパターン。
【図10】マトリックス型タッチスクリーンの原型における多層電極パターンの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の実施形態は、改善された電気及び光学特性を伴う多層電極を有するタッチセンサに関する。本電極は、例えば、層間で起こる反射が装置性能に有害である任意のセンサ又はディスプレイ内で使用され得る。センサは、ガラス又はPET等の任意の好適な基材上に配置され得る。多層電極は、透明でないタッチセンサの中にも組み込まれ得る。多層電極パターンは、棒状、三角形、ハニカム、又は任意の他の好適なパターンを具現し得る。センサは、電極間又は対接地静電容量の電極の変化を検出し、それによって、タッチ又はニアタッチの座標を決定する電子部品に連結され得る。
【0006】
多層電極は、異なる屈折率及び導電経路を有する介在導電層又は絶縁層を伴う、特定の屈折率を有する2つ以上の導電層を含む。導電層及び介在層のそれぞれが透明又は半透明である。電極積層体内の、個々の層の厚さ及び個々の層の光学屈折率は、これらの基材がタッチセンサ内に組み込まれる時に、望ましくないフレネル反射を最小化するように調節される。一実施形態では、多層電極の導電層は対称的であり、つまり、それらが同一の厚さを有することを意味する。他の実施形態では、導電層は異なる厚さを有する。
【0007】
この多層電極構造は、ディスプレイの、黒レベル、色彩度、及び故にコントラストを、著しく改善する。更に、介在層によって電極の導電層間の電気的接触が得られる。その結果、多層電極の導電率は積層体内の個々の導電層の導電率よりも高くなる。タッチセンサの寸法が電極のシート抵抗によって限定され得るため、多層電極は、より大きいタッチセンサの製作を可能にする。多層電極を用いて製作されるセンサは、単層電極を有する装置と比較して、著しく改善された電気的及び光学的性能を呈する。
【0008】
図1では、代表的なタッチ装置110が示される。装置110は、電子回路(簡略化のために114と表示される1つの概略的なボックスにまとめられ、総じて制御装置と呼ばれる)に接続されたタッチパネル112を含む。タッチパネル112は、簡略化のために5×5マトリックスの列電極116a〜e及び行電極118a〜eを有するとして示されるが、他の電極数及び他のマトリックス寸法、並びに表面型静電容量方式のタッチセンサにおいて使用されるような単一の非パターン化層等の非マトリックス型パターンを含む他の電極パターンが使用されてもよい。本明細書に記載の多層電極は、いくつかの実施形態では、低下した抵抗及び増加した信号対ノイズ比の理由から、非常に大きい静電容量に基づくマルチタッチセンサを可能にし得る。
【0009】
パネル112上の多層電極は、改善された電気及び光学特性をもたらす本明細書に開示の構造を有する。パネル112は、ユーザーが、コンピュータの画素化ディスプレイ、テレビ、携帯型装置、携帯電話、又は他の周辺装置等の物体を、パネル112を通して見ることができるように、典型的には、実質的に透明である。境界120は、パネル112の表示領域、またかかるディスプレイを使用する場合は好ましくはその表示領域を表す。多層電極116a〜e、118a〜eは、平面図の視点から、表示領域120上に空間的に分布される。図解を簡略化するために、多層電極は、広く突出して示されているが、実際には、比較的狭く、ユーザーの注意を引かない可能性もある。更に、電極間のフリンジフィールドを増大させて、それにより電極間の容量結合におけるタッチの影響を増大させるために、電極は、可変幅、例えば、マトリックスのノード付近でダイヤモンド又はその他の形状のパッドに拡大した幅を有するように設計され得る。深さの視点から、列電極と行電極との間に有意なオーミック接触が起こらないように、かつ所与の列電極と所与の行電極との間の有意な電気的結合のみが静電容量結合であるように、列電極は、行電極とは異なる平面にあり得る(図1の視点から、列多層電極116a〜eは、行多層電極118a〜eの下にある)。多層電極のマトリックスは、電極がユーザーの指又は他のタッチ関連器具との直接的な物理的接触から保護されるように、典型的には、カバーガラス、プラスチックフィルム等の下にある。かかるカバーガラス、フィルムなどの露出面は、タッチ面と呼ばれる場合がある。本明細書に記載の多層電極を用いてのマトリックス以外のタッチセンス装置の構成も可能である。例えば、2つの電極を備える静電容量ボタンは、静電容量結合を有するように、ボタンの領域内で相互に十分に接近するように表面上に配置される。(1つ又は両方が多層電極である)これらの2つの電極は、同一の平面上にあり、相互に同一の層内に形成され得る。また、(複数の電極からなる)マトリックスというより、単一シート型電極等の他の構成も可能である。そのようなシート型電極は、表面型静電容量方式のセンサにおいて使用されることもあり、電極は、全体のタッチ面を実質的に被覆する非パターン化コーティングである。概して、本明細書に記載の多層電極を用いて、最も既知の電極構成が可能となる。
【0010】
代表的な実施形態では、多層電極(116a〜e、118a〜e)のうちのいくつか又は全ては、特定の屈折率を有する2つ以上の導電層並びに異なる屈折率及び導電経路を有する介在導電層から構成され得る。
【0011】
所与の列電極と行電極との間の容量結合は、電極が互いに最も近接している領域内の電極の形状と主に相関する。このような領域は、電極マトリックスの「ノード」に対応し、このノードのいくつかが図1に示されている。例えば、列多層電極116aと行多層電極118dとの間の静電容量結合が主にノード122で起こり、列多層電極116bと行多層電極118eとの静電容量結合が主にノード124で起こる。図1の5×5マトリックスは、25個のそのようなノードを有し、それらのうちの何れか1つは、それぞれの列多層電極116a〜eを制御装置と個別に連結させる制御線126のうちの1つの適切な選択、及びそれぞれの行多層電極118a〜eを制御装置と個別に連結させる制御線128のうちの1つの適切な選択を介して、制御装置114によって対処され得る。
【0012】
相互静電容量型システムにおいて、タッチ位置131で示されるように、ユーザーの指130又は他のタッチ用具が装置110のタッチ面と接触するか、あるいは接触しそうな時、指は、電極マトリックスと静電容量的に結合する。指は、マトリックス、特にタッチ位置の最も近くにある電極から電荷を引き出し、そうすることで、最も近くのノードに対応する電極間の結合静電容量を変化させる。例えば、タッチ位置131でのタッチは、多層電極116c/118bに対応するノードの最も近くにある。好ましくは、制御装置は、容量の変化がある場合には、マトリックスのノードの全ての静電容量の変化を迅速に検出するように構成され、ノード間にあるタッチ位置を補間によって正確に判定するために、隣接するノードの静電容量変化の大きさを分析することが可能である。更に、制御装置114は、タッチ装置の異なる部分に、同時に又は重複する時間で加えられた複数の異なるタッチを検出するように有利に設計される。したがって、例えば、指130のタッチと同時に別の指132が装置110のタッチ面のタッチ位置133をタッチする場合、又は、それぞれのタッチが少なくとも時間的に重複している場合、制御装置は、好ましくは両方のかかるタッチの位置131、133を検出し、かかる位置をタッチ出力114aに提供することが可能である。
【0013】
多くの考えられる駆動及び検出ルーチンが可能であり、当該技術分野において既知である。静電容量対接地型システムは、電極間の静電容量というよりはむしろ、電極マトリックスのノード付近で起こる接地に対する静電容量の変化を測定する。
【0014】
次に図2では、図1の装置110等のタッチ装置で使用するための多層タッチセンサ210の一部の概略的側面図を参照する。タッチセンサ210は、ガラス、PET、又は耐久性のあるコーティングであり得る、(ユーザーに対して最も近い層であり、その上面212aがタッチセンサのタッチ領域を画定する)上層212を含む。上電極層214は、第1の一式の多層電極を備える。誘電体層216は、上電極層を下電極層218から分離し、一式の多層電極218a〜eも備え、一実施形態において、第1の一式の電極に直交する。他の実施形態では、上電極及び下電極は、相互に直交しない。下層220は、上層のように、ガラス、PET、又は他の材料であり得る。上層212の露出面212a又は下層220の露出面220aは、タッチセンサ210のタッチ面であり得るか、あるいはタッチセンサ210のタッチ面を含む。これは、タッチセンサを構成する積層体の簡略図であり、より多い又はより少ない層及び他の介在層が可能である。
【0015】
次に図3では、センサ積層体10の、図1の装置110等のタッチ装置で使用するための多層タッチセンサ210の一部の概略三次元図を参照する。図3の断面は、例えば、図1のノード122又は124で見られる断面に対応し、上層212、電極214、誘電体層216、電極218、及び下層220を含む。電極によって反射される光は、反射24、反射26、反射27、及び反射28で表される屈折率ミスマッチの理由から、層界面のそれぞれでの平面反射及び望ましくないフレネル反射を含む。フレネル反射光は通常広帯域であり、したがってディスプレイの色飽和度を低下させる。電極によって反射される光は、散乱及び界面フレネル反射を含む。これらの反射は、内在するディスプレイの黒レベル、故にコントラスト比を低下させる。それらはまた、特にディスプレイがオフであるか、あるいはディスプレイが電極を超える領域において単色に設定される時に、センサ内の電極をユーザーの目に留まりやすくすることができる。
【0016】
フレネル反射の大きさは、界面における屈折率の比よって決まる。垂直な入射光ではフレネル反射の大きさは下式:
【0017】
【数1】
【0018】
(式中、nは屈折率がn2、n1の2つの媒質の屈折率である)によって求められる。フレネル反射は屈折率が最も高い界面において最も強くなる。図3に示されるセンサ積層体10の種々の層の屈折率は、以下の通りである:電極についてn=2.0、及び基材についてn=1.65。したがって、センサ積層体10において、最も高い屈折率のステップは、高い屈折率の酸化インジウムスズ(ITO)とポリエチレンテレフタレート(PET)基材との間の界面で起こる。センサ積層体10は、2つのITO/PET界面を含む。照明に応じて、これらの界面は、入射光の有意な部分を反射し、電極をユーザーの目にかなり留まりやすくすることができる。
【0019】
比較すると、本発明の実施形態の多層電極設計は、良好な光学的及び電気的性能の両方をもたらす。多層電極設計における介在誘電体層は、2つの導電層間の電気的接触を可能にする導電経路を有する透明又は半透明の層である。この経路は介在層の、厚さ及び成膜条件を制御することによって自然に形成され得る。隣接する層間の電気的接触を可能とするよう介在層が不連続となるように介在層の濡れ性を変化させることによって基板に最も近い第1の導電層の化学的及び物理的性質を調節することによって、こうした経路を形成することもできる。また、レーザアブレーション、イオン照射法、又はウェット/ドライエッチング法などの方法を用いて形成することもできる。
【0020】
介在層は、スパッタリング、電子ビーム法、熱蒸発法などの蒸着方法を用いて形成することができる。介在層は、ポリマー(ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリエポキシド、ポリエーテルなどのコポリマーを含む)、並びに金属酸化物、窒化物、炭化物、及びこれらの混合物などの無機材料を含むことができる。好ましい非導電性の介在層は、ポリアクリレート及びシリコン酸化物を含む。介在層は、溶液コーティングを用いて形成されてもよい。モノマーを基板上で蒸発させ、その場で硬化させるウルトラバリアフィルム法を使用することもできる。ウルトラバリアフィルムとしては、例えば何れも参照により全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる、米国特許第5,440,446、同第5,877,895号、及び同第6,010,751号に述べられるような、ガラス又は他の適当な基板上に2種類の無機誘電体材料を多数の層として順次、真空蒸着することによって形成される多層フィルム、又は無機材料と有機ポリマーとの交互の層が挙げられる。
【0021】
一実施形態が、図4の積層体40として示される。多層電極は、電極42及び電極50に接続するために透明の層46中の開口48を通って延在する導電性リンク44を備える導電経路を有する、低屈曲率の透明又は半透明の層46によって分離される透明の導電性酸化物(TCO)又は半透明の導電性酸化物の2つの高屈曲率の導電層42及び導電層50を含む。基材52は、電極に支持体を提供する。各層は、概念を説明するために引き離されている。各層は概念を説明するために分離して描かれている。
【0022】
別の実施形態では、介在層は、図5の積層体54に示されるように、何れか一方の側面上の導電層よりも低い屈折率を有する透明又は半透明の導電体である。積層体54に含まれる多層電極において、介在導電層58は、TCO又は半透明の導電性酸化物の2つの隣接した導電層56と導電層60との間に連続した導電経路を提供し得る。基材62は、多層電極に支持体を提供する。介在層58は、溶液コーティング又は電着された導電性ポリマーからなるものを用いることができる。介在層58は蒸着された透明導電層であってもよい。導電性ポリマーとしては例えば以下の材料、すなわちポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン及びPEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸)が挙げられる。各導電層を合わせた厚さがシート抵抗の必要条件によって制限されるのに対して、個々の層の厚さは所望の光学的特性に対して最適化される。
【0023】
更に別の実施形態では、介在層は、図6の積層体64に示されるように、結合剤中に分散される導電性粒子を備える。結合剤68中の導電性粒子70は、TCO又は半透明の導電性酸化物の導電層66と導電層72との間に導電経路を提供し、したがって、多層電極を形成する。基材74は、積層体に支持体を提供する。結合剤は、導電性のものであっても絶縁性のものであってもよい。導電性粒子は、有機、無機、又は金属からなるものであってよい。導電性粒子はまた、金属コーティングされた粒子を含む。介在層の屈折率は、結合剤と導電性粒子との体積比率を変えることによって調節することができる。
【0024】
多層電極のマトリックス及び埋め込まれた導電性ナノ粒子は、以下を含むことができる。マトリクスとしては、任意の透明又は半透明(導電性又は絶縁性)のポリマー(例えばアクリレート、メタクリレート、又は上記に示した導電性ポリマー)、導電性(上記に示したTCOなど)又は絶縁性(SiO2、窒化ケイ素(SixNy)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、又はフッ化マグネシウム(MgF2)など)のうちの何れか一方の透明又は半透明の無機材料が含まれる。導電性ナノ粒子には、上で列記されるポリマー等の導電性ポリマー、金属(例えば、銀、金、ニッケル、クロム)、又は金属被覆された粒子が含まれ得る。マトリクスが導電性のものである場合、ナノ粒子は絶縁性、特に上記に示した絶縁性材料(例えばSiO2、窒化ケイ素、酸化亜鉛、又は他の絶縁性材料)からなるナノ粒子であってよい。
【0025】
多層電極を使用する装置の基板は、ディスプレイ又は電子装置の作製に使用する任意のタイプの基板材料を含むことができる。基板は、例えばガラス又はその他の材料を使用することによって、剛性にすることができる。また基材は、例えばプラスチック又はその他の物質を使用することによって、曲線状又は可撓性にすることもできる。基材は、以下の代表的な材料:ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、多環式オレフィン(PCO)、セルローストリアセテート(TAC)、及びポリウレタン(PU)、を使用して作製され得る。
【0026】
基材に好適な他の材料には、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデンコポリマー(CTFE/VDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ペルフルオロアルキル−テトラフルオロエチレンコポリマー(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、フッ化ポリビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(TFE/HFP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデンターポリマー(THV)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデンコポリマー(HFP/VDF)、テトラフルオロエチレン−プロピレンコポリマー(TFE/P)及びテトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルエーテルコポリマー(TFE/PFMe)が含まれる。
【0027】
その他の好適な基板には、バリアフィルム及びウルトラバリアフィルムが挙げられる。バリアフィルムの例が、米国特許第7,468,211号に記載されており、これは参照により全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。ウルトラバリアフィルムとしては、例えば何れも参照により全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる、米国特許第5,440,446、同第5,877,895号、及び同第6,010,751号に述べられるような、ガラス又は他の適当な基板上に2種類の無機誘電体材料を多数の層として順次、真空蒸着することによって形成される多層フィルム、又は無機材料と有機ポリマーとの交互の層が挙げられる。
【0028】
多層電極のTCOには、以下の代表的な材料が挙げられる:ITO;酸化スズ;酸化カドミウム(CdSn2O4、CdGa2O4、CdIn2O4、CdSb2O6、CdGeO4);酸化インジウム(In2O3、Ga、GaInO3(Sn、Ge)、(GaIn)2O3);酸化亜鉛(ZnO(Al)、ZnO(Ga)、ZnSnO3、Zn2SnO4、Zn2In2O5、Zn3In2O6);及び酸化マグネシウム(MgIn2O4、MgIn2O4−−Zn2In2O5)。
【0029】
上記に述べた各実施形態は介在層によって分離された2つの透明又は半透明の導電層を有するものであるが、図7及び8Aに示されるように、所望の光学的及び電気的特性に応じて更なる透明又は半透明の導電層及び介在層を追加することができる。図7及び図8Aに示される積層体76及び積層体90は、基材88並びに単一電極として機能する以下の層:複数の透明又は半透明の導電層78、導電層82、及び導電層86、導電層間の透明又は半透明の介在層80及び介在層84を含む。特定の装置に対して最適化又は調整された任意の数の層を電極が有するように導電層及び介在層の更なる層を追加することもできる。センサをディスプレイ積層体上に組み込むことも可能であり、ディスプレイ積層体に接触する層は、図7に示される導電層78又は図8Aに示される絶縁層92(光学的に透明の接着剤等)に関して示されるように、必要に応じて、導電性又は絶縁性であり得る。更に、多層電極は、所望の最終用途のために、異なる光学特性に「調節」され得る。例えば、介在層の材料及び層の厚さは、ディスプレイがオフ状態での反射の減少等の所望の用途又は特性のために変えられ得る。
【0030】
図7及び図8Aが3つの導電層(及び2つの介在層)を有する多層電極を示す一方で、図8Bは、X電極及びY電極を有するマトリックス型タッチスクリーン上のノードの断面からの積層体91を示し、電極のそれぞれは、3つの導電層積層体を有する。介在層80及び介在層84と連結する導電層78、導電層82、及び導電層86は、例えば、X軸電極を備える。好適な光学的に透明の接着剤であり得る絶縁層92又はPETの層は、X軸電極をY軸電極から分離し、それは、介在層80b及び介在層84bと連結する導電層78b、導電層82b、及び導電層86bからなる。この構造が1つの電極につき3つの導電層である一方で、所与の電極には3つの導電層、及び別の電極には3つより多い又は3つ未満の導電層等の他の配置が可能である。
【0031】
多層電極は、電気泳動装置(Bridgestoneのパウダーの使用を含む)、ポリマー分散液晶(PDLC)装置、並びに無機電界発光(IEL)ディスプレイ及び照明装置等の、他のディスプレイ装置と共に使用され得る。電気泳動装置、PDLC装置、及びIEL装置の例は、それぞれ米国特許第7,365,900号、同第5,629,783号、及び同第7,538,483号に記載されており、これらは何れも参照により全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。Bridgestoneのパウダーは、Bridgestone Corporationの「Quick Response−Liquid Powder Display(QR−LPD)」と題された公表文献及び更に米国特許第7,495,820号に記載されており、これらは参照により全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0032】
図9a〜9cは、多層電極の種々の構成を示す。図9aは、配線リード900が角部のそれぞれに接続された状態のシート型の非パターン化多層電極901を示す。図9bは、棒状として構成される多層電極902を示し、図9cは、繰り返しのダイヤモンド形として構成される多層電極903を示す。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
図4に示される3層電極設計を有する電極基材を、図9cに示されるような複数の平行ダイヤモンド形の電極で製作した。3層電極は、1ロールの0.005インチ(125マイクロメートル)の厚さのPET上でスパッタリングしたITO(20nm)/SiAlOx(42nm)/ITO(20nm)で構成された。
【0034】
これらの試料のシート抵抗を測定して、約123オーム/スクエアにした。AC抵抗測定を以下の手順に従って測定した。水平及び垂直距離を、以下の表1に示されるように、水平に起動する10個のセンサバー及び垂直に起動する10個のセンサバー上で測定した。次に、以下の表2に示されるように、垂直のセンサシートの下部で、非パターン化ITOの矩形について測定した。電極基材上の測定を、Optical Gaging Products Inc.of Rochester,New York,USAのAvant 600 ZIPを用いて行った。Fluke 77 Series II Multi−Meter(Fluke Corporation,Everett,Washington,USA)を用いて、ITOバー及びITO面積の抵抗測定を行った。ITOの抵抗を正確に測定するために、一切れの銅テープを両方の末端に接続させた。この一切れの銅テープは、ITO面積の全幅を被覆し、高抵抗ITOに低抵抗経路を提供する。オーム/スクエアを求めるために、抵抗値を、幅で、又はダイヤモンドパターンの場合は平均幅で割った。700オーム測定は、銅テープに接続するz軸接着剤の抵抗、並びにプローブの接続点が小さいことから、保守的な測定である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
対角19インチ(48.3cm)のコンピュータモニタディスプレイの正面上での使用に好適なタッチセンサを、以下のように製作した:電極基材の2つの区分をロールから切断し、登録時、光学的に透明の接着剤(OCA)を用いてガラス基材上で相互の上に直角に積層し、X軸多層電極906及びY軸多層電極905を示す図10に示される形態のマトリックス電極センサを形成した。次に、センサ構造層は、以下:(典型的には、タッチ面としての役割を果たし、内在するディスプレイから最も遠い)ガラス、OCA、PET電極基材、OCA、及び交差したPET電極基材である。電気的試験の大部分を、ガラスから外方に向くPET表面上にITO電極を有する原型上で行い、最も外側のITO電極を保護するために、交差した電極基材の上にOCA及び未修正のPETの別の層を必要とした。ITO電極をガラスから外方に向かせることで、原型試験において、電極層へのより容易な接続が可能になった。
【0038】
(多層電極を有する)我々の原型センサ及び同様に設計された業者供給センサ(部品番号98−0003−3367−8、3M Touch Systems,Methuen,Massachusetts,USAから入手可能)の光透過率は、両方とも90%であった(89.8〜90.1%光透過(%T)の測定)。これらを、白色光を用いて明所視測定を提供するBYK Gardner haze−gard plus machines(カタログ番号4725、BYK−Gardner USA,Columbia,Maryland,USAから入手可能)上で測定し、全体の可視的な波長を平均化した。反射率(%R)も測定した。結果を表3に示す。
【0039】
【表3−1】
【0040】
【表3−2】
【0041】
【表3−3】
【0042】
3層電極設計は、良好な光学的性能と連結して、低いシート抵抗を可能にする。低屈折率の介在層のそれぞれが、隣接する透明の導電層間の電気的接触を可能とする。その結果、多層電極の導電率は全ての導電層を合わせた厚さによって決定される。上述の対角19インチ(48.3cm)のタッチセンサは、業者調達の400オーム/スクエア以下のITO電極と本質的に同一の(90%以下)透過を有したが、例示的なセンサは、125オーム/スクエア以下のみのシート抵抗を有し、優れたセンサ信号の均一性を可能にした。
【0043】
上述のセンサを、2009年11月16日に出願された、同一出願人による及び同時係属特許出願米国第12/618874号、Touch Sensitive Device Using Threshold Voltage Signalに記載されるように、2組の直交電極を、タッチセンサ制御装置及び信号処理電子機器に取り付けることによって試験した。タッチセンサを、ガラス側を上にしてフォームパッド上に設置した。ガラス上で少なくとも10回の同時に起こる指タッチを、センサで正確に位置付けし、関連電子機器で表示した。
【0044】
(実施例2)
2組の直交多層ITO/SiAlOx/ITO積層体で作製される19インチ(48.3cm)(対角)タッチセンサを、実施例1で用いた方法と同一の方法でPETフィルム上に製作した。センサを、2009年5月29日に出願された、同一出願人による及び同時係属特許出願米国第61/182366号、High−speed Multi−touch Touch Device and Controller Thereforに記載されるように、2組の直交電極を、タッチセンサ制御装置及び信号処理電子機器に取り付けることによって試験した。ガラス上で少なくとも10回の同時に起こる指タッチを、センサで正確に位置付けし、関連電子機器で表示した。
【0045】
原型センサが、上記の実施例1における光学測定によって示される光透過率と同一の光透過率を維持しながら、増加した導電率及び改善された信号対ノイズを提供することができることが見出された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンス装置で使用するためのセンサであって、前記センサが、基材上に配置される1つ以上の電極を備え、前記電極のうちの少なくとも1つ以上が、
透明又は半透明の第1の導電層と、
透明又は半透明の第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に位置付けられる透明又は半透明の介在層であって、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に導電経路を含む、介在層と、
を備える、センサ。
【請求項2】
前記第1の導電層及び前記第2の導電層がそれぞれ、透明又は半透明の導電性酸化物を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記1つ以上の電極が、単一の非パターン化電極を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記1つ以上の電極が、マトリックスを形成するために、前記基材上に配置されるパターン化電極を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記1つ以上の電極が、同一の層上に配置される、第1の電極及び第2の電極を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記介在層が、誘電体ポリマー又は無機誘電体材料を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記介在層が、前記第1の導電層及び前記第2の導電層の屈折率と異なる屈折率を有する導電層を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記導電経路が、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の開口を通って延在する導電性リンクを備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記介在層が結合剤を備え、前記導電経路が、前記結合剤中に懸濁されて前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に延在する導電性粒子を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項10】
前記第1の導電層の厚さが、前記第2の導電層の厚さと実質的に同一である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項11】
前記基材が、ポリエチレンテレフタレートを備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項12】
オーバーレイ層を更に備え、前記電極が、前記基材と前記オーバーレイ層との間に配置される、請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
前記オーバーレイ層が、ポリエチレンテレフタレート又はガラスを備える、請求項12に記載のセンサ。
【請求項14】
前記電極が、ハニカムパターンで配置される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項15】
前記電極が、電極マトリックスを形成するように、前記基材上に配置される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項16】
ディスプレイを更に備え、前記ディスプレイの表示スクリーン上に現れる要素が前記センサを通して見られ得るように、前記センサが、前記ディスプレイ上に配置される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項17】
タッチセンス装置であって、
センサであって、
複数の電極を有する第1の層と、
複数の電極を有する第2の層と、
前記第1の層と前記第2の層との間に配置される誘電体層と、
を備え、前記第1の層及び前記第2の層が、電極マトリックスを形成するように、相互に関連して位置しており、前記第1の層又は前記第2の層のうちの何れか一方に前記電極のうちの少なくともいくつかが、
透明又は半透明の第1の導電層と、
透明又は半透明の第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に位置付けられる透明又は半透明の介在層であって、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に導電経路を含む、介在層と、を備える、センサと、
前記センサの前記電極に通信可能に連結され、前記電極のうちの少なくともいくつかから信号を受信し、これらの信号に基づいて、前記タッチセンサ上のタッチ又はニアタッチの座標を決定するように構成される、電子機器と、を備える、タッチセンス装置。
【請求項18】
前記第1の導電層及び前記第2の導電層のそれぞれが、透明又は半透明の導電性酸化物を備える、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項19】
前記介在層が、誘電体ポリマー又は無機誘電体材料を備える、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項20】
前記介在層が、前記第1の導電層及び前記第2の導電層の屈折率と異なる屈折率を有する導電層を備える、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項21】
前記導電経路が、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の開口を通って延在する導電性リンクを備える、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項22】
前記介在層が結合剤を備え、前記導電経路が、前記結合剤中に懸濁されて前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に延在する導電性粒子を備える、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項23】
前記第1の導電層の厚さが、前記第2の導電層の厚さと実質的に同一である、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項24】
オーバーレイ層及び基材を更に備え、前記電極が、前記基材と前記オーバーレイ層との間に配置される、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項25】
前記オーバーレイ層又は基材が、ポリエチレンテレフタレート又はガラスを備える、請求項24に記載のタッチセンス装置。
【請求項26】
前記電極が、ハニカムパターンで配置される、請求項25に記載のセンサ。
【請求項27】
ディスプレイを更に備え、前記ディスプレイの表示スクリーン上に現れる要素が前記センサを通して見られ得るように、前記センサが、前記ディスプレイ上に配置される、請求項17に記載のセンサ。
【請求項1】
タッチセンス装置で使用するためのセンサであって、前記センサが、基材上に配置される1つ以上の電極を備え、前記電極のうちの少なくとも1つ以上が、
透明又は半透明の第1の導電層と、
透明又は半透明の第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に位置付けられる透明又は半透明の介在層であって、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に導電経路を含む、介在層と、
を備える、センサ。
【請求項2】
前記第1の導電層及び前記第2の導電層がそれぞれ、透明又は半透明の導電性酸化物を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記1つ以上の電極が、単一の非パターン化電極を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記1つ以上の電極が、マトリックスを形成するために、前記基材上に配置されるパターン化電極を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記1つ以上の電極が、同一の層上に配置される、第1の電極及び第2の電極を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記介在層が、誘電体ポリマー又は無機誘電体材料を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記介在層が、前記第1の導電層及び前記第2の導電層の屈折率と異なる屈折率を有する導電層を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記導電経路が、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の開口を通って延在する導電性リンクを備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記介在層が結合剤を備え、前記導電経路が、前記結合剤中に懸濁されて前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に延在する導電性粒子を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項10】
前記第1の導電層の厚さが、前記第2の導電層の厚さと実質的に同一である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項11】
前記基材が、ポリエチレンテレフタレートを備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項12】
オーバーレイ層を更に備え、前記電極が、前記基材と前記オーバーレイ層との間に配置される、請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
前記オーバーレイ層が、ポリエチレンテレフタレート又はガラスを備える、請求項12に記載のセンサ。
【請求項14】
前記電極が、ハニカムパターンで配置される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項15】
前記電極が、電極マトリックスを形成するように、前記基材上に配置される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項16】
ディスプレイを更に備え、前記ディスプレイの表示スクリーン上に現れる要素が前記センサを通して見られ得るように、前記センサが、前記ディスプレイ上に配置される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項17】
タッチセンス装置であって、
センサであって、
複数の電極を有する第1の層と、
複数の電極を有する第2の層と、
前記第1の層と前記第2の層との間に配置される誘電体層と、
を備え、前記第1の層及び前記第2の層が、電極マトリックスを形成するように、相互に関連して位置しており、前記第1の層又は前記第2の層のうちの何れか一方に前記電極のうちの少なくともいくつかが、
透明又は半透明の第1の導電層と、
透明又は半透明の第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に位置付けられる透明又は半透明の介在層であって、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に導電経路を含む、介在層と、を備える、センサと、
前記センサの前記電極に通信可能に連結され、前記電極のうちの少なくともいくつかから信号を受信し、これらの信号に基づいて、前記タッチセンサ上のタッチ又はニアタッチの座標を決定するように構成される、電子機器と、を備える、タッチセンス装置。
【請求項18】
前記第1の導電層及び前記第2の導電層のそれぞれが、透明又は半透明の導電性酸化物を備える、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項19】
前記介在層が、誘電体ポリマー又は無機誘電体材料を備える、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項20】
前記介在層が、前記第1の導電層及び前記第2の導電層の屈折率と異なる屈折率を有する導電層を備える、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項21】
前記導電経路が、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の開口を通って延在する導電性リンクを備える、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項22】
前記介在層が結合剤を備え、前記導電経路が、前記結合剤中に懸濁されて前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に延在する導電性粒子を備える、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項23】
前記第1の導電層の厚さが、前記第2の導電層の厚さと実質的に同一である、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項24】
オーバーレイ層及び基材を更に備え、前記電極が、前記基材と前記オーバーレイ層との間に配置される、請求項17に記載のタッチセンス装置。
【請求項25】
前記オーバーレイ層又は基材が、ポリエチレンテレフタレート又はガラスを備える、請求項24に記載のタッチセンス装置。
【請求項26】
前記電極が、ハニカムパターンで配置される、請求項25に記載のセンサ。
【請求項27】
ディスプレイを更に備え、前記ディスプレイの表示スクリーン上に現れる要素が前記センサを通して見られ得るように、前記センサが、前記ディスプレイ上に配置される、請求項17に記載のセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【公表番号】特表2013−514589(P2013−514589A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544562(P2012−544562)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/058183
【国際公開番号】WO2011/084261
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/058183
【国際公開番号】WO2011/084261
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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