説明

改善された外観を有する被覆金属バンドを製造する方法

本発明の主題は、金属腐食防止コーティングを有する金属ストリップを製造する方法であって、
−金属ストリップを、
・0.2重量%以上4重量%未満のアルミニウム含有量に対して0.1から8重量%のマグネシウム、または、
・4重量%以上8重量%以下のアルミニウム含有量に対して5重量%より多く8重量%以下のマグネシウムの含有量、
の割合で、0.2から8重量%のアルミニウムおよびマグネシウムを含み、0.3重量%以下の添加元素を含み、残部は、亜鉛および不可避の不純物である溶融金属浴に通すステップと、
−被覆金属ストリップを、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低い酸化力を有するガスを金属ストリップの両面に噴霧するノズルによってワイピングするステップと、
・ワイピングラインおよび前記ワイピングノズルの上側外面によって底面で、
・前記ノズルの真上で金属ストリップの両面に設置され、ワイピングラインに関して少なくとも10cmの高さを有する2つの閉じ込めボックスの上部によって上端で、
・前記閉じ込めボックスの側方部によって側面で、
−金属ストリップを上記で境界された閉じ込めゾーンに通すステップと、
を含み、
前記閉じ込めゾーン内の雰囲気は、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低く、0.15体積%の酸素および99.85体積%の窒素からなる雰囲気より高い酸化力を有する、方法である。
本発明の他の主題は、この方法によって得られることができる金属ストリップ、およびこのストリップを変形することによって得られた金属部品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観が改善された金属ストリップを製造する方法に関し、より詳細には、陸用自動車用のシェル部品の製造のために使用されることを目的とする金属ストリップを製造する方法に関するが、それに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
陸用自動車用部品の製造を対象とした鋼板は、一般的に、腐食防止のために亜鉛系金属層で被覆されており、亜鉛系金属層は、亜鉛系流体浴中での溶融めっきによって、または亜鉛イオンを含む電気メッキ槽中での電着によって付着される。
【0003】
シェル部品の製造を対象とする亜鉛鋼板は、次いで成形操作を受け、ホワイトボディを成形するように組み立てられ、次いで少なくとも1つの塗装のコートで被覆され、それによってより大きな腐食防止および魅力的な表面外観をもたらす。
【0004】
この目的のために、従来、自動車メーカーは、まず、ホワイトボディに電気泳動コーティングを適用し、続いて、プライマー塗装コート、ベース塗装コート、および任意にワニスコートを行う。満足な塗装された表面外観を得るために、90から120μmの全体塗装厚みが一般的に適用され、例えば、20から30μmの厚みの電気泳動コーティング、40から50μmの厚みのプライマー塗装コート、および30から40μmの厚みのベース塗装コートから構成されている。
【0005】
ある自動車メーカーは、塗装系の厚さを90μm未満に低減するために、電気泳動ステップを省略する、または生産性を向上させるために塗装コートの数を低減することを提案している。しかし、現在のところ、この塗装系の厚みの低減は、常に、部品の最終塗装された表面外観にとって不利となり、工業生産において実行されていない。
【0006】
これは、ベース基材としての役割をする亜鉛系コーティングの表面が、いわゆる「うねり」を有するからであり、それらは、現在、いわゆる「オレンジピール」の外観を有する不利な条件で塗装の厚いコートによってのみ補われることができ、「オレンジピール」はボディ部品には容認できない。
【0007】
表面のうねりWは、短波長(<0.8mm)の幾何学的な凹凸に相当する、粗さRと区別される、かなり長波長(0.8から10mm)の僅かに疑似周期的で、幾何学的な凹凸である。
【0008】
本発明では、うねりプロファイルの算術平均Waは、μmで表されて、板の表面うねりを特徴づけるために使用され、うねりは、0.8mmのカットオフしきい値で測定され、Wa0.8で示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、腐食防止コーティングで被覆された金属ストリップを製造する方法を提供し、そのうねりWa0.8は、先行技術の金属ストリップよりも小さく、このようにして、先行技術の部品と比較して、より小さい全体塗装厚みを必要とする塗装金属部品を製造することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明の第1の主題は、金属腐食防止コーティングを有する金属ストリップを製造する方法からなり、方法は:
−金属ストリップを、
・2重量%以上4重量%未満のアルミニウム含有量に対して0.1から8重量%のマグネシウム、または、
・4重量%以上8重量%以下のアルミニウム含有量に対して5重量%より多く8重量%以下のマグネシウムの含有量
の割合で、0.2から8重量%のアルミニウムおよびマグネシウムを含み、0.3重量%以下の添加元素を含み、残部は、亜鉛および不可避の不純物である溶融金属浴に通すステップと、
−被覆金属ストリップを、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低い酸化力を有するガスを金属ストリップの両面に噴霧するノズルによってワイピングするステップと、次いで、
・ワイピングラインおよび前記ワイピングノズルの上側外面によって底面で、
・前記ノズルの真上で金属ストリップの両面に設置され、ワイピングラインに関して少なくとも10cmの高さを有する2つの閉じ込めボックスの上部によって上端で、
・前記閉じ込めボックスの側方部によって側面で、
−金属ストリップを上記で境界された閉じ込めゾーンに通すステップと、
を含み、
前記閉じ込めゾーン内の雰囲気は、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低く、0.15体積%の酸素および99.85体積%の窒素からなる雰囲気より高い酸化力を有する、方法によって成形される。
【0011】
実施の好ましい方法では、本発明による方法は、さらに、個々にまたは組み合わせて取られる次の特徴を含んでいてもよい:
−閉じ込めボックスは、高さが、ワイピングラインに関して、少なくとも15cm、さらには20cmであり、より詳細には、少なくとも30cmであることが好ましい。
−閉じ込めボックスには、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低く、好ましくは、0.15体積%の酸素および99.85体積%の窒素からなる雰囲気より高い酸化力を有するガスが供給される。
−ストリップは、さらに、ワイピングラインの前に設置された閉じ込めゾーンに通される、
−ワイピングの前に設置された閉じ込めゾーンは、溶融金属浴の出口をスタートし、ワイピングラインの下で終了する、
−ワイピングガスは、窒素からなる、
−金属ストリップは、鋼ストリップである。
【0012】
本発明の主題は、また、本発明の方法によって得られることができる溶融メッキ被覆非調質冷延金属ストリップであって、
その金属コーティングは、0.70μm以下、好ましくは0.65μm以下のうねりWa0.8を有し、
・0.2重量%以上2重量%未満のアルミニウム含有量に対して0.1から8重量%のマグネシウム、または、
・2重量%以上8重量%以下のアルミニウム含有量に対して5重量%より多く8重量%以下のマグネシウムの含有量、
の割合で、0.2から8重量%のアルミニウムおよびマグネシウムを含み、
0.3重量%以下の添加元素を含み、残部は、亜鉛および不可避の不純物である、溶融メッキ被覆非調質冷延金属ストリップである。
【0013】
好ましい実施形態では、本発明による金属ストリップは鋼からなる。
【0014】
本発明の主題は、また、本発明による金属ストリップを変形することによって得られた金属部品であり、そのコーティングは、0.65μm以下、好ましくは0.60μm以下のうねりWa0.8を有する。
【0015】
本発明のさらに他の主題は、さらに、変形前に調質操作を受け、そのコーティングは、0.70μm以下、好ましくは0.60μm以下、またはさらに0.55μm以下のうねりWa0.8を有する、本発明による金属ストリップを変形することによって得られた金属部品である。
【0016】
本発明の特徴および利点は次の説明にわたってよりはっきりと明らかになり、その説明は限定しない実施例によって付与される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、本発明による方法の第1のステップは、鋼ストリップなどの金属ストリップBをタンク3に含まれた溶融金属を含むコーティング浴2に連続的を通す。金属ストリップは、このコーティング浴2に浸漬される前に、一般的に、特に表面を下処理するために、炉1内で焼きなまし操作を受ける。
【0019】
工業ライン上のストリップの走行速度は、一般的に、例えば、40m/分から200m/分、好ましくは120m/分より速いことが好ましく、さらには150m/分より速い。
【0020】
本発明による方法で使用されるコーティング浴の組成は、亜鉛系であり、最初に0.2から8重量%のアルミニウムを含む。この元素は、一方では、金属ストリップへのコーティングの接着性を改善することが可能であり、他方では、腐食からストリップを保護することが可能である。
【0021】
0.2%未満の含有量では、接着性に対する影響は観察されず、一方、8%より多い含有量は、続いて適用される塗装が剥離するので、問題を引き起こす。
【0022】
浴は、また、マグネシウムを含み、亜鉛めっきコーティングの耐食性、特に、その耐赤さび性を改善する。マグネシウムは、以下の割合で存在する:
・0.2重量%以上4重量%未満のアルミニウム含有量に対して0.1から8重量%のマグネシウム、または、
・4重量%以上8重量%以下のアルミニウム含有量に対して5重量%より多く8重量%以下のマグネシウムの含有量。
【0023】
好ましい実施形態では、マグネシウムは、次の割合で存在する:
・0.2重量%以上2重量%未満のアルミニウム含有量に対して0.1から8重量%のマグネシウム、
・2重量%以上8重量%以下のアルミニウム含有量に対して5重量%より多く8重量%以下のマグネシウムの含有量。
【0024】
他の好ましい実施形態では、マグネシウムは、次の割合で存在する:
・0.2重量%以上1.5重量%未満のアルミニウム含有量に対して0.1から8重量%のマグネシウム、または、
・1.5重量%以上8重量%以下のアルミニウム含有量に対して5重量%より多く8重量%以下のマグネシウムの含有量。
【0025】
耐食性に対するかなりの効果を得るために、少なくとも0.1重量%のマグネシウム、またはさらに、0.2重量%のマグネシウムを添加することが好ましい。得られたコーティングが、後の成形、特に延伸操作中に厳しい亀裂の問題を有することがあり得るので、その浴中の最大含有量は、8重量%に限定される。ストリップが、この組成範囲において本発明による閉じ込めワイピング方法を受ける場合には、肉眼で見ることができる視覚的欠陥の形成が観察されるので、0.1から5重量%のマグネシウムおよび4から8重量%の範囲のアルミニウムが除去される。
【0026】
コーティング浴の組成は、また、Si、Sb、Pb、Ti、Ca、Mn、Sn、La、Ce、Cr、Ni、ZrまたはBiなどの任意の添加元素を、0.3重量%以下の量で含んでいてもよい。これらの様々な元素は、特に、例えば、コーティングの耐食性またはその脆性またはその接着性を改善することを可能にする。当業者は、コーティングの特性に対するそれら元素の影響が分かり、所望のさらなる目的に応じて、それら元素を使用する。これらの元素は、本発明による方法によって得られるうねりを妨げないことも確認された。しかし、ある状況では、チタン含有量を0.01%未満に、または0.005%未満に限定することが好ましく、この元素が、自動車メーカーによって使用される脱脂浴およびリン酸処理浴内で汚染の問題を引き起こす可能性があるからである。
【0027】
最後に、コーティング浴は、タンクに供給されたインゴットに起因する、またはコーティング浴を通るストリップに起因する不可避の不純物を含んでいてもよい。このように、これらコーティング浴は、特に、鉄などを含んでいてもよい。
【0028】
コーティング浴は、液相の温度+10℃と700℃との間の温度で維持され、液相の温度は、その組成に応じて変化する。したがって、本発明で使用されるコーティングの範囲については、この温度は、350から700℃にある。液相温度は、合金が完全に溶融状態である温度より高い温度であることが想起される。
【0029】
タンク3を通った後、金属ストリップBは、その両面が被覆され、次いで、ストリップBの両面に設置されるノズル4によってワイピング操作を施され、ノズルは、ストリップBの表面上に、ワイピングガスを噴霧する。この慣例の操作は、当業者に知られており、コーティングの厚みが正確に調節されることを可能にし、その間にコーティングは未だ凝固しない。
【0030】
本発明による方法の本質的特徴のうちの1つは、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低い酸化力を有するワイピングガスを選択することにある。特に、純窒素または純アルゴン、あるいは窒素またはアルゴンと、例えば酸素、CO/CO混合物またはH/HO混合物などの酸化ガスとの混合物を使用することが可能である。不活性ガスの添加なしで、CO/CO混合物またはH/HO混合物を使用することも可能である。
【0031】
ワイピングステップ後、本発明による方法の他の本質的特徴は:
−ワイピングラインおよびワイピングノズル4の上側外面によって底面で、
−ノズル4の真上で金属ストリップの両面に設置され、ワイピングラインに関して少なくとも10cmの高さを有する2つの閉じ込めボックス5の上部によって上端で、
−閉じ込めボックス5の側方部によって側面で境界された閉じ込めゾーンの通過であり、閉じ込めゾーン内の雰囲気は、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低く、0.15体積%の酸素および99.85体積%の窒素からなる雰囲気より高い酸化力を有する。
【0032】
ストリップを囲む雰囲気の酸化力を決定するために、平衡でのその等価酸素分圧が評価される。
【0033】
存在する唯一の酸化ガスが、Oであり、不活性ガス(窒素またはアルゴン)と混合される場合には、この圧力は、Oの体積含有量に等しく、Oの体積含有量は、適切なセンサーによってリアルタイムで測定されることができる。
【0034】
OまたはCOなどの他の酸化ガスが存在し、例えば、HまたはCOなどの還元ガスと混合される場合には、等価酸素分圧は、当該ガス温度で質量作用の法則によって計算される。
【0035】
例えば、H/HO対については、反応は以下のように表される:
+1/2O←→H
熱力学平衡では、ガスの分圧は、次の式に従う:
【数1】

ここで、Rは理想気体定数であり、Tはケルヴィンでのガス温度であり、ΔGは反応に関連する自由エネルギーの変化であり、それは、熱力学表において、定数Rに関して取られた値に応じて、カロリー/モルまたはジュール/モルで確認することができる。
【0036】
当該ガス混合物について、pOの値、つまり平衡での等価酸素分圧は、前記の式から得られる。
【0037】
本発明の状況では、pOは、閉じ込めボックス5内で0.0015から0.04である必要がある。
【0038】
本発明者らは、本発明によるワイピングガスを使用し、ストリップをそのような閉じ込めゾーンに通すことによって、驚くべきことに、先行技術の被覆ストリップより小さなうねりを有するコーティングが得られることを実際に発見した。
【0039】
本出願の状況では、用語「ワイピングライン」は、図1の文字Lによって示されるように、ノズルとストリップを接続する最短部分を意味し、次にワイピングガスが通る最小経路に対応することが理解される。
【0040】
本発明による方法で使用される閉じ込めボックス5は、低い酸化力を有するガス、あるいは不活性ガスが供給されてもよく、または、それらは、ノズルから抜けるワイピングガスの流れによって単に供給されてもよい。
【0041】
ワイピングガスおよび閉じ込め雰囲気の酸化力は、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる混合物の酸化力に限定され、この酸化度を超えると、コーティングのうねりが、先行技術よりも改善されないからである。
【0042】
その一方、閉じ込め雰囲気の酸化力のための下限値が付与され、0.15体積%の酸素および99.85体積%の窒素からなる混合物の酸化力に設定されており、この閉じ込め雰囲気が十分に酸化していなければ、その使用は未凝固コーティングからの亜鉛気化を促進するからであり、蒸気は、次いで、閉じ込めボックスを汚し、および/または、ストリップ上に再付着される可能性があり、したがって、受け入れ難い可視欠陥を生成する。
【0043】
ワイピング前に酸化を限定するために、必須ではないが、閉じ込めボックスを、浴の表面に至るまで、または浴とワイピングラインとの間の中間位置まで延在することが望ましく、好ましくは、ワイピングラインの下10cm、またはさらに15cmの距離に設置される。これは、金属板の表面が自由大気に露出される場合に、そのような層が系統的に生ずるが、通常、ワイピングジェットの影響下でコーティング浴に移動され、戻されるからである。したがって、そのような閉じ込めは、走行するストリップによって取り込まれ、このように受け入れ難い欠陥を生成する可能性がある浴中の酸化物の量を低減することを可能にする。しかし、それは、ここで再び、浴からまたは液体コーティングからの亜鉛の気化を促進する欠点を有し、したがって、0.15体積%の酸素および99.85体積%の窒素を含む雰囲気より高い酸化力を有することがこれらのさらなる閉じ込めボックス内の雰囲気には好ましい。
【0044】
すべての種類のワイピングノズルが、本発明による方法を実行するために使用されてもよいが、ブレード形の出口オリフィスを有するノズルを選択することが特に好ましく、その幅は、被覆されるストリップの幅を超え、この種のノズルが、ワイピングゾーンの底部が適切に閉じ込められることができるからである。三角形の断面のノズルが、図1に概略的に示されており、有利に使用されてもよい。これらのノズルは、浴の表面より上に30あるいは40cmに一般的に設置される。
【0045】
これらの設定を留意することによって、以下に示されるテストが実証するように、当該コーティングのうねりの驚くべき著しい低減が観察される。
【0046】
被覆ストリップが完全に冷却される場合、被覆ストリップは調質操作を受けてもよく、その後の成形操作を容易にする組織が付与されることを可能にする。これは、調質操作は、成形される前に、ストリップに適用された油の良好な保持を促進することによって、適切に成形操作が実行されるために十分なストリップの表面に粗さを付与するからである。
【0047】
この調質操作は、陸用自動車用ボディ部品の製造を対象とした金属板に一般的に実行される。本発明による金属板が、例えば、家庭用電気器具の製造を対象とする場合、このさらなる操作は実行されない。
【0048】
板は、次いで、調質されていてもされていなくても、例えば、次いで塗装されることができる部品を成形するために、延伸、曲げ、またはプロファイリング、好ましくは延伸によって成形操作を受ける。家庭用電気器具用部品の場合には、この塗装コートは、また、それ自体知られている物理的手段および/または化学的手段によって任意にベークされてもよい。この目的のために、塗装された部品は、熱風炉または誘導炉を通される、またはUVランプ下もしくは電子ビーム装置下を通されることができる。
【0049】
自動車部品の製造については、板は、電気泳動浴に浸漬され、プライマー塗装コート、ベース塗装コート、および任意にワニストップコートが、連続して適用される。
【0050】
電気泳動コーティングを部品に適用する前に、部品は、前記コーティングが接着することを確実にするために、予め脱脂され、次いで、リン酸で処理される。電気泳動コーティングは、部品にさらなる腐食防止をもたらす。プライマー塗装コートは、スプレーコーティングによって一般的に適用され、部品の最終外観をもたらし、砂利およびUV放射から部品を保護する。ベース塗装コートは、部品にその色およびその最終外観を付与する。ワニスコートは、部品の表面に良好な機械的強度、攻撃的化学薬品に対する良好な抵抗性および魅力的な表面外観を付与する。
【0051】
亜鉛めっきされた部品を保護し、最適な表面外観を確保するために使用される塗装コート(または塗装系)は、例えば、10から20μmの厚みの電気泳動コーティング、30μm未満の厚みのプライマー塗装コート、および40μm未満の厚みのベース塗装コートを有する。
【0052】
塗装系がさらにワニスコートを含む場合には、様々な塗装コートの厚さは一般的に以下である:
−電気泳動コーティング:10から20μm未満、
−プライマー塗装コート:20μm未満、
−ベース塗装コート:20μm未満、有利には10μm未満、
−ワニスコート:好ましくは30μm未満。
【0053】
また、塗装系は、電気泳動コーティングを含まなくてもよく、プライマー塗装コート、ベース塗装コート、および任意にワニスコートのみを含んでいてもよい。
【0054】
試験
試験は、IF−Ti鋼からなる冷延金属ストリップ上で実行され、それは、可変比率のアルミニウムおよびマグネシウムを含む亜鉛系金属浴を含むタンクを通された。浴は組成の液相の温度より上の温度70℃で保持された。
【0055】
浴を出ると、得られたコーティングは、約7μmのコーティング厚みを得るために、2つの従来のノズルによって窒素でワイプされた。
【0056】
コーティング浴の出口とポストワイピングゾーンとの間の鋼ストリップの経路は、4つのゾーンに分割された:
−浴の出口からワイピングラインの下10cmの距離までのゾーン1、
−ゾーン1の端からワイピングラインまでのゾーン2、
−ゾーン2の端からワイピングラインの上10cmの距離までのゾーン3、
−ゾーン3の端から金属コーティングの凝固点までのゾーン4。
【0057】
様々な窒素系雰囲気が、次の表に示される体積分率の酸素を含む、あるいは空気からなる閉じ込めボックスがこれらの各ゾーンに設置された。特定センサーがボックス内の酸素含有量を検査するために使用された。
【0058】
板が被覆された時点で、板から3組の試料が得られた。第1の組はさらなる変形を受けず、第2の組は、3.5%等二軸(マーシニャク)変形モードで延伸され、一方、第3の組は、まず、1.5%伸長で調質操作を受け、次いで、第2の組と同様に延伸された。
【0059】
試験が進むとともに、うねりWa0.8が測定された。この測定は、圧延方向に対して45°で測定された、長さが50mmである板のプロファイルを決定するために、スライドなしで、機械的プローブを使用することにある。5次多項式によるその一般的形態の近似値が、得られた信号から決定された。うねりWaは、次いで、0.8mmのカットオフしきい値で、ガウスフィルタによって粗さRaから分離された。得られた結果は、次の表に付与される:
【表1】

【0060】
試験1を検討すると、あまりに高すぎる酸化力は、ボディ部品の製造に適合するうねりを備えた製品を得ることができないことを意味することが分かる。
【0061】
試験5、7、9、10は、コーティングのワイピングが制御されないなら、先行技術によるうねり値が得られることを示し、これらは、本発明によって達成されることができるもののはるか上である。
【0062】
試験4は、得られたコーティングのうねりが、ボディ部品の製品のための受け入れ難い外観を有すると判断された点欠陥のために、評価されることができなかった(ドロスエントレインメント、ジェットライン)。
【0063】
最後に、本発明による試験2、3、6、8、11から13は、従来入手可能でないうねりレベルを得ることを実際に可能にすることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属腐食防止コーティングを有する金属ストリップを製造する方法であって、
−金属ストリップを、
・0.2重量%以上4重量%未満のアルミニウム含有量に対して0.1から8重量%のマグネシウム、または、
・4重量%以上8重量%以下のアルミニウム含有量に対して5重量%より多く8重量%以下のマグネシウムの含有量
の割合で0.2から8重量%のアルミニウムおよびマグネシウムを含み、0.3重量%以下の添加元素を含み、残部は、亜鉛および不可避の不純物である溶融金属浴に通すステップと、
−被覆金属ストリップを、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低い酸化力を有するガスを金属ストリップの両面に噴霧するノズルによってワイピングするステップと、次いで、
・ワイピングラインおよび前記ワイピングノズルの上側外面によって底面で、
・前記ノズルの真上で金属ストリップの両面に設置され、ワイピングラインに関して少なくとも10cmの高さを有する2つの閉じ込めボックスの上部によって上端で、
・前記閉じ込めボックスの側方部によって側面で、
−金属ストリップを上記で境界された閉じ込めゾーンを通すステップと、
を含み、
前記閉じ込めゾーン内の雰囲気が、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低く、0.15体積%の酸素および99.85体積%の窒素からなる雰囲気より高い酸化力を有する、方法。
【請求項2】
前記閉じ込めボックスが、ワイピングラインに関して少なくとも15cmの高さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記閉じ込めボックスには、4体積%の酸素および96体積%の窒素からなる雰囲気より低い酸化力を有するガスが供給される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ストリップが、さらに、ワイピングラインの前に設置された閉じ込めゾーンに通される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ワイピングの前に設置された前記閉じ込めゾーンが、溶融金属浴の出口をスタートし、ワイピングラインの下で終了する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ワイピングガスが窒素からなる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
金属ストリップが鋼ストリップである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法によって得られることができる溶融メッキ被覆非調質冷延金属ストリップであって、
その金属コーティングが、0.70μm以上のうねりWa0.8を有し、
・0.2重量%以上2重量%未満のアルミニウム含有量に対して0.1から8重量%のマグネシウム、または、
・2重量%以上8重量%以下のアルミニウム含有量に対して5重量%より多く8重量%以下のマグネシウムの含有量、
の割合で、0.2から8重量%のアルミニウムおよびマグネシウムを含み、
0.3重量%以下の添加元素を含み、残部が、亜鉛および不可避の不純物である、溶融メッキ被覆非調質冷延金属ストリップ。
【請求項9】
鋼からなることを特徴とする請求項8に記載の金属ストリップ。
【請求項10】
コーティングが0.65μm以上のうねりWa0.8を有する、請求項8または9に記載の金属ストリップを変形することによって得られた金属部品。
【請求項11】
更に、変形前に調質操作を受け、そのコーティングが、0.70μm以上のうねりWa0.8を有する、請求項8または9に記載の金属ストリップを変形することによって得られた金属部品。

【図1】
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【公表番号】特表2012−526915(P2012−526915A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510327(P2012−510327)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000357
【国際公開番号】WO2010/130890
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(510215651)
【Fターム(参考)】