説明

改良されたシーリング組成物

液体キャリヤー、1ないし複数の増粘沈殿防止剤、1ないし複数の充填剤およびシーラント、ならびに1ないし複数のポリアクリレートを含む、パンクしたタイヤのシーリング用シーラント組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、損傷した膨張式物品の(修理などで)シーリングに用いる改良された組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、例えばパンクなどにより損傷した車両のタイヤの修理などでシーリングに用いる改良された組成物に関するが、これに限定されるものではない。本発明はまた、そのような組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、本出願人のPCT国際出願第PCT/AU2007/001222号明細書の主題であるシーラント組成物の改良または変更に関する。
【0003】
パンクは、タイヤなどの膨張式貨物運搬物品の使用に関連して重大な危険となりうるものであり、それが自動車、トラック、オートバイ、自転車などであろうと変わらない。パンクが、例えば自動車で起きた場合、これまでの慣例方法は、損傷/パンクしたタイヤを予備品と交換することであった。そのような予備品は、限られた時間および限られた距離のみ車両を使用できるようにする、つまり、損傷したタイヤを修理して車両に元通り取り付けることができる場所へ運転手が移動できるようにするか、あるいはまた、交換用タイヤまたは修理したタイヤを固定して装着できるまでの時間、車両を問題なく運転できるようにすることを意図している。
【0004】
第1に、パンクしたタイヤの取り外しに関連した問題、そして第2に、予備品または交換用タイヤの車両上の置き場所に関連した問題がありうる。これらの問題には、損傷したタイヤを取り外してそれを予備品と交換するのに必要な工具類が入手できないこと、およびそのような作業に関連した現実的な身体的骨折り、また言うまでもなくそのような作業を行う人が負うかもしれない危険/損傷が含まれうる。さらに、適正かつ安全に使用できるように予備タイヤを十分に膨らませることができない状況が生じることも知られている。
【0005】
先行技術の慣例の方法にしたがって、シーリング組成物をパンクしたタイヤに注入する目的で、任意の好適な種類の液化ガスを圧力源として収容するシーリング組成物用加圧型容器で構成される装置が使用されてきた。そのような容器は、その内容物を分注する目的で、容器全体をタイヤバルブに接続できるようにするアダプターを連結もしくは連結できるようにしたバルブなどを含む。そのようなアダプターは、ねじ式タイプのものであるか、または知られている他のどんなタイプのものであってもよい。そのような構成により、シーリング組成物はタイヤバルブを通じてタイヤ内にスプレーされる。そうするとタイヤは噴射剤ガスによって再び膨張し、車は動くことが可能になる。
【0006】
知られている別の構成では、シーリング組成物を圧縮性フラスコ(compressible flask)内に収容している。圧縮性フラスコは、知られている任意のタイプのアダプターを介してタイヤバルブに接続されるが、バルブのインサートまたはコアは最初それから取り外されている。そのような構成の場合、圧縮性フラスコに圧力を加えることにより、シーリング組成物をタイヤ内にスプレーする。バルブコアまたはインサートを元に戻した後、任意の好適な手段および方法を用いて、所望に応じてタイヤを再び膨張させることができる。この方法および構成では、実行するためには、バルブコアまたはインサートをタイヤバルブ自体から物理的に取り外す必要があるという難点がある。
【0007】
公知技術にしたがって、損傷したタイヤに注入することを意図して、そのようなタイヤのトレッド部分の刺し傷の緊急の(そしてほとんど定期的に)一時的修理に役立つ過去のシーラント組成物が使用されてきた。そうした組成物は、従来、その主要構成成分としてラテックス(またはそれと同等のもの)を含んでいた。組成物は、(所定の位置にバルブコアがあるかどうかにかかわりなく)タイヤバルブを通じてタイヤに注入することを意図している。
【0008】
しかしながら、ラテックス(またはその同等のもの)の使用は、「粘着」性を有しているため、問題を生じてきた。第1に、ラテックスを使用すると、粘着性のある汚い残留物がタイヤバルブ自体の中に残ることになり、そのバルブを再使用できるようにするためには、大抵はそれを除去/きれいにすることが必要になるであろう。第2に、ラテックスをベースにした組成物を容器から分注することは、そのような容器が再使用には適さないものとなりうることを意味するであろう。これも、任意のノズルまたはそれに連結している同様の分注手段、および/または容器からタイヤへのシーリング組成物の通路としての任意の管またはホースが、残留するかまたは分注されなかった組成物によって、恐らく閉塞またはシールされることにさえなる程べとべとになるという事実のためである。
【0009】
さらに、ラテックスをベースにした組成物を使用する場合、パンク穴を介してタイヤから空気がさらに逃げ出しているとき、タイヤの穴部を通ってラテックス組成物が(圧力下で)漏れ出るならば、空気によりラテックスはタイヤのゴムと相互に影響して結合するという状況になる。最後には、パンク穴はシールされうるが、実際のパンク部位は、実際に不可能ではないとしても、特定するのが極めて困難になるという結果になる。修理されたパンク部位を識別できないというこのことは、それ自体が問題を生み出す。法規に従えば、また実際に常識的に考えれば、タイヤがパンクしていることを知っているのであれば、そのパンクがそのようなラテックスをベースにした組成物を用いて、一時的に修理されている場合であっても、タイヤをきちんと恒久的に修理してもらう必要が依然としてある。その部位を特定できない場合、恒久的な修理を行うことができない。そうであれば、パンクしたときにタイヤを物理的に交換するのが代替手段であるが、それは確かに費用のかかる作業である。
【0010】
ラテックスに関係した、また一時的なタイヤ修理の目的でラテックスをベースにした組成物を使用することに関係した環境上の問題があり、それは以下のように要約できる。
(1) ラテックスの寿命または使用限界(age limit)は普通、5年である;
(2) 穿刺物体(puncturing object)がタイヤ内に残らない場合、穿刺箇所の特定、検査およびタイヤの恒久的修理を行って安全法規・基準を満たすのは実質的に不可能であり、その場合、タイヤを廃棄しなければならない;
(3) ラテックスが下水/地表水または地下水に入り込むのを許してはならない;
(4) 硬化ラテックスで汚れた使用済みパッケージはどれもきれいにして再利用することはできないので、その物質と共に廃棄しなければならない;
(5) ラテックスを使用してのタイヤの掃除および洗浄は問題となる;タイヤは、布/ぼろきれで液体を吸収し、それらを廃棄物処理用の容器に入れることによってのみきれいにすることができる;
(6) ラテックス乳化剤は、強いアンモニア蒸気を発生し、それゆえにこの不快な臭気のせいでタイヤ修理店などでは好まれない;
(7) ラテックス乳化剤はpH値が10であり、接触した場合、目、皮膚または粘膜を刺激する恐れがある;
(8) ラテックスをこぼした場合、通常無理であるが、過剰のラテックスをすぐに取り除き、反応が起こる前に衣服を完全に洗浄しなければ、衣類または作業服はいつまでも汚れたままである;
(9) ラテックスシーラントは、理想としては、ラテックスに対する酸素の相互作用を最小限に抑えるために、窒素層の下で瓶に充填すべきである。また酸化がいくらかでも起こるなら、ラテックスのシーリング能力にとって好ましくなく、ざらざらした粒子がタイヤバルブ中に残る可能性が高くなる。ホース中で圧縮空気(など)によってラテックスの小さな滴が時々運ばれるだけも、ホース中に「膜の形成」が開始されうるし、また結局バルブ域に塊が生じることもある;さらに
(10) ラテックスが含有する揮発性有機組成物は、飲み込んだ場合に健康に有害でありうるし、酸火傷を引き起こし、皮膚接触によって感作を引き起こす恐れがあり、水性生物にとって非常に有毒である。
【0011】
上に略述した先行技術に関連した問題は別にして、最近は、スペア・ホイールを付属していない車両が製造販売されているというのが車両設計の傾向である。このことは、実際的かつ実用的な修理用キットを用意する必要があることを意味し、そのようなキットは、操作が簡単で、好ましくは繰り返し使用でき、余分な粘着性のあるシーリング化合物(例えば、ラテックスなどのようなもの)をきれいにする必要のないものであるように意図されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明では、パンクしたタイヤを再シーリングなどにより現場で容易に修理できるようにする組成物および装置を提供し、それによって(少なくとも一時的に)タイヤを交換しなくてもよいようにすることにより、先行技術の慣例の方法に関連した問題および難しさを克服しようとするものである。
【0013】
本発明の組成物および装置を用いれば、タイヤバルブからバルブコアまたはインサートを取り外す必要がない。さらに重要な点として、本発明の組成物は、ラテックス(または同等のもの)を含んでいないので、何らかの修理を完了した後に不要な残留物質(ラテックス)を除去して処分する必要がない。
【0014】
こうしたタイプの組成物で効果的にシールすることのできるパンク穴は、例えば、釘、ねじ、針金片などによる車およびトラックのタイヤのパンク穴など、実質的にほとんどの場合、普通に使用している間に車両のホイールに起きるパンク穴であることが、この技術分野に詳しい当業者ならば理解するであろう。
【0015】
ポリアクリレートおよび他の類似の合成エラストマー、さらに詳細には、ポリアクリル酸ナトリウムを、周知のシーラント組成物および周知のシーラント組成物の構成成分に添加すると、シーリング性が(例えば、本出願人の前述の国際出願に記載のものと比較した場合に)著しく向上した全体組成物(overall composition)となることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって本発明によれば、パンクしたタイヤを現場でシールするための改良された組成物が提供され、その組成物は、タイヤの中にそのタイヤバルブを経由して注入することができ、その際に、最初にバルブコアまたはインサートを取り外す必要がなく、しかもタイヤバルブ自体および関連しているいずれかの管で何らかの閉塞が生じることがなく、組成物全体がバルブ内に存在する、限られた通路を通過することができる。
【0017】
本発明の一態様によれば、パンクしたタイヤをシールするためのシーラント組成物であって、液体キャリヤー、1ないし複数の増粘沈殿防止剤、1ないし複数の充填剤およびシーラント、および1ないし複数のポリアクリレートを含む、シーラント組成物が提供される。
【0018】
好ましい態様によれば、本発明によるシーラント組成物は、主要構成成分として、プロピレングリコール、エチレングリコール、水および1ないし複数のポリアクリレート、さらに詳細には、ポリアクリル酸ナトリウム、ガムロジンを含み、好ましくはアンモニアが添加される。
【0019】
前記液体キャリヤーは、水、水とプロピレングリコールとの混合物、水とエチレングリコールとの混合物、水とプロピレングリコールとエチレングリコールとの混合物、およびプロピレングリコールとエチレングリコールとの混合物からなる群から選択される。
【0020】
前記1ないし複数の増粘沈殿防止剤は、多糖ガム、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒュームドシリカおよびオオバコ殻皮粉末からなる群から選択される。
【0021】
1ないし複数の充填剤およびシーラントは、粉末化された樹皮粉末、粉末化されたピーナッツ殻、粉末化された繊維材料、粉末化されたセルロース系材料、微粉化されたゴム粉末、微粉化された低密度ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、スチレンおよびポリエチルテトラヒドロフタレート(polyethyltetrahydrophtalate)から選択される粉砕化されたプラスチック、粉末のスギナ(Equisetum arvense)、茶粉末、パセリ粉末、珪藻土、ベントナイト、ガム樹脂、ケイ酸ナトリウムおよび二酸化チタンからなる群から選択される。
【0022】
1ないし複数の腐食防止剤をシーラント組成物に添加してよい。前記1ないし複数の腐食防止剤は、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウムおよびホウ酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0023】
本発明の別の態様によれば、以下を含有する、空気タイヤのパンク穴をシールするための組成物が提供される。
a. プロピレングリコール、プロピレングリコール−エチレングリコールブレンド、および水のうちの1つまたは複数(それぞれ組成物の10〜90重量%の範囲である);
b. キサンタンガム(0.01〜1.5重量%)、メチルヒドロキシエチルセルロース(0.01〜1.5重量%)、カルボキシメチルセルロース(0.01〜1.5重量%)、ヒュームドシリカ(0.05〜3.0重量%)、オオバコ殻皮粉末(0.01〜1.5重量%)から選択される1ないし複数の増粘沈殿防止剤;
c. ふるいにかけられて60ミクロン未満(<60ミクロン)に微粉化されたゴム粉末(0.01〜1.5重量%)、ふるいにかけられて150ミクロンに微粉化された低密度ポリエチレン(0.01〜2.5重量%)、ナイロン、ポリプロピレン、スチレンおよびポリエチルテトラヒドロフタレートから選択される粉砕化されたプラスチック(0.01〜2.5重量%)、直径が60ミクロン未満(<60ミクロン)である珪藻土(0.5〜5.0重量%)、ベントナイト(0.01〜1.5重量%)、直径が60ミクロン未満(<60ミクロン)であるガム樹脂(0.01〜1.5重量%)、溶解樹脂(dissolved resin)(0.05〜1.5重量%)、およびケイ酸ナトリウム(0.1〜2.0重量%)から選択される1ないし複数の充填剤およびシーリング粒子;
d. 重炭酸アンモニウム(0.05〜1.5重量%)、重炭酸ナトリウム(0.05〜1.5重量%)、およびホウ酸ナトリウム(0.1〜2.5重量%)から選択される1ないし複数の腐食防止剤;
e. ポリアクリレートタイプである1ないし複数の合成エラストマー(構成成分(a)〜(d)の0.05〜2.0重量%を含む);
f. 防腐剤(組成物の残りを構成する)。
【0024】
1ないし複数の合成エラストマーはポリアクリル酸ナトリウムであってよい。
【0025】
本発明のさらに別の態様によれば、以下を含有する、空気タイヤのパンク穴をシールするための組成物が提供される:
(a) 組成物の10〜90重量パーセントを構成するプロピレングリコール、組成物の10〜90重量パーセントを構成するプロピレングリコール−エチレングリコールブレンド、および組成物の10〜90重量パーセントを構成する水からなる群のうちの1つまたは複数;
(b) 0.05〜1.5重量パーセントのキサンタンガム、0.01〜1.5重量パーセントのメチルヒドロキシエチルセルロース、0.01〜1.5重量パーセントのカルボキシメチルセルロース、0.05〜3.0重量パーセントのヒュームドシリカ、および0.01〜1.5重量パーセントのオオバコ殻皮粉末からなる群から選択される1ないし複数の増粘沈殿防止剤;
(c) 0.01〜1.5重量パーセントのふるいにかけて60ミクロン未満(<60ミクロン)に微粉化されたゴム粉末、0.01〜2.5重量パーセントのふるいにかけて150ミクロン未満(<150ミクロン)に微粉化された低密度ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、スチレンおよびポリエチルテトラヒドロフタレート群からなる0.01〜2.5重量パーセントの粉砕化されたプラスチック、直径が60ミクロン未満(<60ミクロン)の0.5〜5.0重量パーセントの珪藻土、0.01〜1.5重量パーセントのベントナイト、直径が60ミクロン未満(<60ミクロン)の0.01〜1.5重量パーセントのガム樹脂、0.05〜1.5重量パーセントの溶解樹脂、0.1〜2.0重量パーセントのケイ酸ナトリウムからなる群から選択される1ないし複数の充填剤およびシーリング粒子;
(d) 0.5〜1.5重量パーセントの重炭酸アンモニウム、0.05〜1.5重量パーセントの重炭酸ナトリウム、および0.1〜2.5重量パーセントのホウ酸ナトリウムからなる群から選択される1ないし複数の腐食防止剤;および
(e) 0.05〜2.0重量パーセントの量の1ないし複数のポリアクリレート;および
(f) 組成物の残りを構成する防腐剤。
【0026】
本発明の別の態様によれば、水および/またはプロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール−エチレングリコールブレンドで構成される、90重量パーセントまでの量の液体キャリヤー;キサンタンガム、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒュームドシリカおよび/またはオオバコ殻皮粉末を含む群から選択される1ないし複数の増粘沈殿防止剤;粉砕化されたゴム粉末、ポリエチレン、樹皮粉末、ピーナッツ殻または同様の繊維材料、粉砕化されたプラスチック、珪藻土、ベントナイト、ガム樹脂および/またはケイ酸ナトリウムを含む群から選択される1ないし複数の充填剤およびシーリング粒子、1ないし複数のポリアクリレート;ならびに重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウムおよび/またはホウ酸ナトリウムを含む群から選択される1ないし複数の腐食防止剤を含む、損傷した膨張式物品のシーリング用組成物が提供される。
【0027】
本発明のさらに別の態様によれば、
20〜80重量パーセントの水;
20〜80重量パーセントのプロピレングリコール;
0.1〜0.3重量パーセントの多糖ガム;
例えば、カルボキシメチルセルロースなどの0.01〜0.3重量パーセントのセルロースポリマー;
0.1〜0.5重量パーセントのコロイド状ヒュームドシリカ;
0.1〜1重量パーセントの重炭酸アンモニウム;
0.1〜2重量パーセントのホウ砂;
1.0〜5.0重量パーセントの珪藻土(30ミクロン未満);
0.01〜0.5重量パーセントの低密度ポリエチレン(LDPE)(100ミクロン未満);
0.1〜1.0重量パーセントのベントナイト(40ミクロン未満);
0.05〜0.5重量パーセントのガム樹脂(30ミクロン未満);
0.05〜2.0パーセントの量の1ないし複数のポリアクリレート;および
0.1〜0.5重量パーセントの防腐剤;
を含む、損傷した膨張式物品のシーリング用組成物が提供される。
【0028】
本発明のさらに別の態様によれば、パンクした車両タイヤのシーリング用組成物であって、以下の構成成分(量はすべて重量パーセント)を含有する組成物が提供される:
最終組成物の10.5パーセントを構成し、かつ以下の構成成分からなるホットメルトプレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント)
疎水性の粘着付与樹脂 12.5
米糠 4.0
炭酸マグネシウム 2.0
エチレングリコール 81.5;
最終組成物の12.5パーセントを構成し、かつ以下の構成成分からなるガム樹脂プレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント)
ガム樹脂 12.5
米糠 4.0
炭酸マグネシウム 2.0
エチレングリコール 81.5;
最終組成物の4.25パーセントを構成し、かつ以下の構成成分からなるカゼインプレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント):
カゼイン 15.0
米糠 1.0
炭酸マグネシウム 0.5
エチレングリコール 83.5
グリセリン 3.0
スキムミルク粉末 0.75;
最終組成物の9パーセントを構成し、かつ以下の構成成分からなる樹脂可溶性溶液プレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント)
エチレングリコール 18.0
プロピレングリコール 50.0
水 15.8
アンモニア(20パーセント) 3.5
エチルアルコール 3.5
ホルマリン 0.2
ガム樹脂 9.0
炭酸マグネシウム 0.5;
最終組成物の57.25パーセントを構成し、かつ以下の構成成分からなる希釈溶液プレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント)
プロピレングリコール 2.1
グリセリン 1.0
エチレングリコール 36.0
水 60.0
アンモニア 0.3
ホルマリン 0.3
乳白剤(PVA) 0.15
フルオレセイン 0.02
グリセリン 3.0
スキムミルク粉末 0.75
炭酸マグネシウム 0.05
水 2.5;および
0.05〜2.0パーセントの量の1ないし複数のポリアクリレート。
【0029】
1ないし複数のポリアクリレートはポリアクリル酸ナトリウムであってよい。
【0030】
本発明の別の態様によれば、上述したホットメルト樹脂プレミックス、ガム樹脂プレミックスおよびカゼインプレミックスを別々にブレンドし、温度を−20℃まで下げ、別々に粉砕しておよそ150〜200ミクロンの粒径にし;ガム樹脂をプロピレングリコールの半分に添加してから完全に溶融するまで80℃に加熱することによって上述した樹脂可溶性溶液プレミックスを調製し、プロピレングリコールの残りをプレミックスの残りの成分と混合し、その後、攪拌しながら樹脂グリコール混合物の高温相をゆっくり添加し;次いで、最終組成物の全構成成分を一緒に添加し、−30℃まで冷却し、コロイドミル中を通過させて130ミクロン以下の粒径を有するコロイド懸濁液を形成する、上述した組成物の調製方法が提供される。
【0031】
本発明の別の態様によれば、以下のステップを含む、空気タイヤのパンクのシーリング用組成物の製造方法が提供される。
A.ロジン(最終組成物の0.5〜5.0重量%を構成する)およびプロピレングリコール(最終組成物の0.5〜5.0重量%を構成する)をスチームジャケット付き容器に加え、ロジンがプロピレングリコール中で完全に溶融するまで約100℃の温度に加熱し、その後、約50℃の温度に達するまで攪拌しながら冷却し、次いで、攪拌を続けながらエチルアルコール(最終組成物の0.3〜5.0重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.15〜1.5重量%を構成する)、水(最終組成物の0.0〜5.0重量%を構成する)、ポリエチレン粉末(サイズがl0μm〜180μm)(最終組成物の0.15〜5.0重量%を構成する)、珪藻土(最終組成物の0.15〜3.0重量%を構成する)を添加することによって、高温相プレミックスを形成するステップ;
B.約25℃の温度で攪拌しながらポリアクリル酸ナトリウム(最終組成物の0.2〜1.5重量%を構成する)を水(最終組成物の10〜20重量%を構成する)に添加し、最高で15分間攪拌を継続し、次いで、攪拌しながらプロピレングリコール(最終組成物の0.0〜10重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.01〜0.3重量%を構成する)およびステップAで形成された高温相プレミックスの一部(最終組成物の0.2〜5.0重量%を構成する)を添加することにより、別個の容器中にゲル相プレミックスを形成するステップ;
C.もう1つの別個の容器中で、水(最終組成物の20〜80重量%を構成する)、プロピレングリコール(最終組成物の10〜50重量%を構成する)、エチレングリコール(最終組成物の0〜30重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.2〜1.5重量%を構成する)、高温相プレミックスの残り(全高温相プレミックスは最終的に最終組成物の3.0〜20.0重量%を構成する)、ゲル相プレミックス(粉砕機を通過させて粒径を50μm〜2000μmの間にした後)(最終組成物の5.0〜20重量%を構成する)を添加し、攪拌混合し;
次いで、得られた組成物を最高24時間にわたって継続的に攪拌し、周囲温度に達するようにするステップ。
【0032】
本発明の別の態様によれば、上記の方法の1つによって調製された空気タイヤのパンクのシーリング用組成物が提供される。
【0033】
本発明の別の態様によれば、パンクした車両タイヤのシーリング用組成物であって、以下の構成成分を含有する組成物も提供される(量はすべて重量パーセント):
以下の構成成分からなる希釈溶液プレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント)
プロピレングリコール 2.1
グリセリン 1.0
エチレングリコール 36.0
水 60.0
アンモニア 0.3
ホルマリン 0.3
乳白剤(PVA) 0.15
フルオレセイン 0.02
これには、プレミックスの0.05〜2.0重量パーセントの量のポリアクリレートが添加され、続いて高剪断混合が行われてポリアクリレート粒子が小さく粉砕されて150ミクロン未満にされている。
【0034】
本発明による組成物は、他の微粒子とブレンドされたコロイド分散系をベースにしている/コロイド分散系の形態であるため、ラテックスをベースにした先行技術組成物と比べて、その効果が達成される。コロイド分散系は、タイヤバルブのバルブコアによって制限されている通路を、閉塞することなく通過することができ、しかも、それと同時にパンクの修理を可能にするのに十分なシーリング性を保つ。液体に80kphで遠心力が加えられたときに、タイヤチャンバー(tyre chamber)内での成分の分離が最小限しか起こらないという点も重要である。
【0035】
バルブコアで利用可能な通路が制限されているため、液体中に保持されるシーリング粒子が妨げられることなくバルブを自由に通過して、いずれの場所でも凝集せず、閉塞が起こる可能性が避けられるように、液体を配合しなければならない。
【0036】
液体キャリヤーは、10〜90重量パーセントの量の水であってよい。あるいはまた、同じく10〜90重量パーセントの量の水とプロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールとの混合物を使用してもよい。さらに別の代替物として、液体キャリヤーは、同じく10〜90重量パーセントの量のプロピレングリコールとエチレングリコールとの混合物であってよい。液体キャリヤーの主な要件は、全体組成物の他の構成成分との反応の点で実質的に不活性であることである。特に好ましい実施態様では、液体キャリヤーは、30重量パーセントまでの水と30重量パーセントまでのプロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールとの混合物であろう。
【0037】
増粘沈殿防止剤に関する限り、以下のいずれか1つまたは複数を使用してよい:
(a) 0.05〜1.0重量パーセント、より好ましくは約0.25重量パーセントの量の多糖ガム、一例としては、キサンタンガム;
(b) 0.01〜1.0、より好ましくは約0.05、重量パーセントの量のカルボキシメチルセルロースおよび/またはメチルヒドロキシエチルセルロース;および/または
(c) 0.01〜1.0、より好ましくは約0.05、重量パーセントの量のヒュームドシリカ(とりわけ、AEROSIL R972という名称/商標で入手可能なもの)。
【0038】
好ましい懸濁媒体は、0.15〜0.2パーセントのキサンタンガムと0.05〜0.075パーセントのメチルヒドロキシエチルセルロースとの組合せである。自動車中に長期間(8年間もの間)保存できるようにするために、配合物中の全固体粒子は、摂氏80度に曝して試験している間、12時間の間実質的に懸濁液中に留まらなければならず、また振ると容易に再分散させることができるものである。
【0039】
パンク穴をシールする機能を有する組成物中の充填剤または粒子は、以下のいずれか1つまたは複数を含むことができる:
(a) 粒径が150ミクロン未満で、0.01〜1.0、より好ましくは約0.075、重量パーセントの量の粉末化された樹皮粉末および/または粉末化されたピーナッツ殻、または同様の繊維またはセルロース系材料;
(b) 粒径が150ミクロン未満で、0.01〜1.0、より好ましくは約0.06、重量パーセントの量の粉末のスギナ(Equisetum Arvense)(一般的には、「ツクシ」と呼ばれる);
(c) 粒径が150ミクロン未満で、0.01〜1.0、より好ましくは約0.05、重量パーセントの量の茶粉末;
(d) 粒径が150ミクロン未満で、0.01〜1.0、より好ましくは約0.05、重量パーセントの量のパセリ粉末;
(e) 粒径が30ミクロン未満で、0.05〜5.0、より好ましくは約1.5、重量パーセントの量の珪藻土;
(f) 粒径が40ミクロン未満で、0.15〜5.0、より好ましくは約0.75、重量パーセントの量のベントナイト;
(g) 粒径が30ミクロン未満で、0.05〜1.5、より好ましくは約0.2、重量パーセントの量のガムロジン;および/または
(h) 0.01〜1.0、より好ましくは約0.10、重量パーセントの量の二酸化チタン。
【0040】
任意の好適な腐食防止剤を使用してよい。好ましくは、そうしたものは、以下の1つまたは複数の組合せであってよい:
(a) 0.01〜1.0、より好ましくは約0.06、重量パーセントの量の炭酸アンモニウム;
(b) 0.1〜1.0、より好ましくは約0.06、重量パーセントの量の重炭酸ナトリウム;および/または
(c) 0.02〜2.0、より好ましくは約0.12、重量パーセントの量のホウ酸ナトリウム。
【0041】
経験/実験により、タイヤの内部に、腐食性の成分/要素が存在しうること、および/または形成されうることが明らかになった。単なる例としてだが、極微量(少量)の硫酸がタイヤから漏れるのが見出されうる。さらに、腐食性の成分/要素、例えば、静電気(例えば、タイヤ・ビードとそれに関連したホイール/リムとの間の)によって発生する微量のオゾンのようなものが、タイヤチャンバー自体の内部に生成/形成されうる。
【0042】
そのような腐食性成分は、時間がたつにつれて、ホイール/リムのどんな露出金属に対しても有害作用を及ぼしうる。そうした理由で、特に好ましい実施態様では、本発明による組成物は、1ないし複数の腐食防止剤(corrosive inhibitors)がその中に含まれることになる。そうしたものは、好ましくは重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウムおよび/またはホウ酸ナトリウムを含む群からのものであろう。重炭酸アンモニウムおよび/または重炭酸ナトリウムは、0.01〜1.0重量パーセント、もっとも好ましくは0.06重量パーセントの量だけ含まれていてよい。ホウ酸ナトリウムは、0.02〜2.0重量パーセント、もっとも好ましくは0.12重量パーセントの量だけ含まれていてよい。
【0043】
ポリアクリレートなどの合成エラストマーを添加すると、実質的に沈降が減少し、微粒子の懸濁が向上し、シーリング組成物のシーリング性能がいっそう向上することが見出された。ポリアクリレート(または、類似の合成エラストマー)の好ましい添加の割合は、全体組成物の0.05重量パーセント〜2.0重量パーセントの間である。添加のパーセンテージは、ポリマーのタイプによって異なる。ポリアクリレートのパーセンテージが高くなると、粘度が増大し、タイヤチャンバー内でのシーラントの易流動性がひどく制限されることが分かるであろう。
【0044】
ポリアクリレートは、エチレングリコール/プロピレングリコール/水の溶液に添加すると、それ自体がシーラントとして働くことになることも見出された。この態様に従った好ましいシーリング組成物は、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、水、アンモニア、ホルマリン、乳白剤、およびフルオレセインを含み、これにポリアクリレート(または他の任意の合成エラストマー)が0.05重量パーセント〜2.0重量パーセントの間の割合で添加され、その後、小さく粉砕されて150ミクロン未満にされる。この組成物は、シーラントとして効果的に働き、かつバルブコアを通り抜けることができる。ポリアクリレートを他の構成成分に添加して、高剪断ミキサーに通す。結果として、組成物全体に合成ポリマーが細かく分散し、それは沈殿防止剤とシーリング剤を兼ねる。この特定範囲の組成物は申し分のないシーリング性を示すが、組成物の耐用年数は予測できない。
【0045】
上記から分かるように、本発明によるシーリング組成物は、1ないし複数の固体微粒子材料の安定した水性懸濁液の形態であって、微粒子材料は好ましくは全体組成物の少量である。水、あるいは水とプロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールとを組み合わせたものなどのキャリヤー液、および少量の1ないし複数の固体微粒子材料(これは、組成物の液体構成成分に実質的に不溶である)は、それを入れることを意図したタイヤのゴム組成物に対して不活性である。
【0046】
組成物の「固体」構成成分を構成する微粒子材料としては、バーミキュライト、珪藻土および他の滴虫土、様々な形態の雲母ならびに他の微粉固体などの材料を挙げることができる。
【0047】
本発明によるシーラントまたはシーラント組成物は、現在用いられているラテックスをベースにした組成物の改良であり、空気タイヤのパンクを(少なくとも一時的に)修理するための手段を構成し、組成物は、圧縮空気またはガス噴射剤によって損傷したタイヤ中に容易に注入することができる。
【0048】
この構成は、先行技術のラテックスをベースにした組成物とは異なり、粒子をベースにしたシーラント組成物を、バルブコアまたはインサートが所定の位置にある状態で、タイヤバルブを介して損傷タイヤへ注入できるようになっている。
【0049】
非ラテックス系のシーラント組成物の環境保護上の利点として次のものがある:
(1) パッケージされた製品の使用期限が実質的に延びる;
(2) タイヤをきれいにした後、パンク部位を特定して検査し、タイヤを修理して、タイヤが廃棄されないようにすることができる;
(3) 粒子をベースにしたシーラントは、下水網に入り込んでも構わない;
(4) パッケージは、再使用および/または再利用のために容易にきれいにすることができる;
(5) 清掃用のぼろ切れは、何度も洗って再使用でき、それらがごみとして捨てられる必要はない;
(6) 非ラテックス系のシーラントには不快な臭気がない;
(7) 製品のpHはほぼ中性であり、また内容物のエチレングリコールは別として、刺激性があるとは見なされない;
(8) 衣類または備品にこぼれたりはねかかったりしても、容易に拭き取られるかまたは洗い流される;さらに
(9) キャリヤー液中の粒子のサイズが制御されるので、タイヤを処理した後にバルブには最小限の汚れしか残らない。
【0050】
自動車産業での必要によれば、シーラント組成物が車両用として(または車両で用いられる場合に)許可されるためには、特定の要件を満足し、特定の要素を満たさなければならない。例を挙げれば、シーラント組成物は、−40℃〜+80℃の温度範囲内で効力があることが求められる。そのような要件の場合、性能の面での問題が、例えば、本出願人の国際特許出願第PCT/AU2007/001222号明細書に記載および例示された組成物で確認された。単なる例としてだが、前記国際出願で述べられているキサンタンガム、米糠などの物質は、タイヤチャンバー内で液体の流れを制限することが見出された。それゆえに、それらはパンク穴をシールする能力の面で効果的ではない。そのような物質は、温度が−30℃まで下がっても申し分なく機能することが見出されたが、もっと低い温度では、それらの粘度が、タイヤバルブのバルブコアなどの狭まった空間を同じように滑らかに通って流れることができない程度まで増大し、そのようなバルブで閉塞が起こる可能性が高くなることが見出された。
【0051】
最適な結果を実現し、前述の必要を満たすために、また好ましくは全体組成物が簡単な配合となるようにするために、−40℃という低い温度でも依然として自由に流れる組成物を利用することが望ましい。この点に関して、タイヤの「足跡」のたわみの大きな部分でのシーリングを実現するために、ある程度の柔軟性が、パンクの部位でのシールを意図した粒子に本来備わっている必要がある。本発明によれば、このことは、微粉化されたゴム、低密度ポリエチレン、ポリアクリル酸ナトリウムなどの弾性材料/エラストマー材料を含ませることによって達成されうる。
【0052】
エラストマーなどの構成成分からのものである、ある程度の柔軟性を示す充填剤および粒子を、前記国際特許出願第PCT/AU2007/001222号明細書で述べられている実質的に可撓性を有さないシーリング粒子に代えて用いることができる。
【0053】
ポリアクリル酸ナトリウム顆粒は水中に分散すると、急速に軟らかくなり膨潤する。微粉化されたポリアクリレートは、粒径に応じて、擬似粘着性ゲル状特性も示しうる。この現象により、好ましくはl0μm〜300μmの範囲の軟らかくなったポリアクリル酸ナトリウム粒子は、限られたタイヤバルブコアの通路を確実にくぐりぬけることができる。ポリアクリル酸ナトリウムの物理的性質により、タイヤバルブコアの非常に限られた通路を通って粒子が送り届けられて、可能な最大粒径(200μmまで)の固体粒子の輸送が楽に行われる。
【0054】
飽和状態まで膨潤した(swollen saturated)ポリアクリル酸ナトリウムのエラストマーゼリー状構造により、ポリエチレン粉末(180μm以下)、粉末化された樹皮、茶、スギナ(Equisetum)などの固体粒子を軟らかくなったポリアクリル酸ナトリウム中に物理的に留めることも可能である。ポリアクリル酸ナトリウムの非常に大きな粒子(300μmまで)は二重の機能を有しており、固体粒子を誘導するだけでなく、タイヤバルブコアの仕組みの中に閉じ込められるかもしれないどんな粒子でも絶えず取り除くのを助ける清掃体(sweeper)として働く。部分カプセル化に似た方法により、組成物内の固体粒子の制御された均一な分散が行えるようになり、その方法は、タイヤバルブコア内での閉塞のリスクを限られたものにする効果的な手法である。シーラント組成物を6〜8バールの空気圧/ガス圧で加圧してタイヤバルブコアを通過させた場合、その結果としてタイヤバルブコアを通過するシーラント組成物の速度は高速(約20ml/秒に等しい)となり、それは固体粒子が凝集してコアをふさぐ傾向を打ち負かす。タイヤバルブコアを通過する流量が約2〜3ml/秒まで低下すると、バルブコアは即時に、または非常に速く閉塞することになる。高速度と、ポリアクリル酸ナトリウム中への固体粒子の部分的な充填またはポリアクリル酸ナトリウムによる固体粒子の部分的包囲とが組み合わされなければ、タイヤバルブコアの閉塞が即時にまたは非常に速く起こるであろう。
【0055】
バルブを通過する、粒子をベースにしたシーラント組成物を用いて、タイヤのパンク穴を物理的にシールする方法は、流量に依存する。およそ2バールの空気圧でタイヤのパンク部位の領域を通って逃げる空気の速度が比較的遅い(これは約0.1mlから3ml/秒の間に等しい)結果として、その速度の減少により、固体粒子は凝集し、パンク穴を効果的に閉塞して即座にまたは非常に速くシールするが、一方でタイヤバルブコアを介してシーラント組成物を導入している間に、粒子の速い速度によって閉塞効果が妨げられる。
【0056】
車両を運転している間、パンク部位では一定供給が維持されるので、タイヤの頂部のパンク穴をシールするのは比較的簡単である。パンクがこの領域の外側に位置しており、いちばん端の肩部にある場合、車両の速度が3kmhより速い間は、パンク部位にシーラント組成物が流れていっておおう見込みはごくわずかである。穿刺物体の直径が5mmより大きく、6.25mmまでであり、パンク部位が肩部にある場合、タイヤの空気圧が低下する可能性がある。すべてのタイヤシーラントの場合と同様に、課題となるのは長時間の休みなしの運転の間ずっと肩部のシールの耐久性を確保することである。通常、推奨される最高運転速度は90kmhに制限される。これにより、一時的に修理したタイヤの圧力が突然抜けた場合でも、運転者が車両を安全に制御できるようにしている。直径が6.25mmの穿刺物体によって生じる肩部のパンクのせいでタイヤの空気圧が抜けている間も、車両を絶えず運転する場合、タイヤの推奨タイヤ空気圧の約半分が失われたなら、空気の減少は止まるものである。タイヤの空気圧が減少するにつれて、タイヤの接地部(footprint area)は増大し、側面から接地部までの間隔は減少する。これにより、タイヤ内部の液体シーラント組成物の流れのパターンの変動の仕方(dynamics)に変化が生じる。接地部が増大するにつれて、その部分のシーラント組成物の被覆範囲(coverage)の幅も増大する。半径方向の変動のせいで、液体シーラント組成物は平らな接地部で左右にゆれ、それにより、タイヤが回転するごとに、シーラント組成物をいちばん端の側面にまで侵入させてしまう。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明をより明確に理解し、実際的な効果がもたらされるようにするために、本発明によるシーリング組成物の好ましい実施態様をこれから詳細に記述する。
【0058】
実施例1
本発明によるシーラント組成物は、懸濁状態にある好適なエラストマー、とりわけ、ポリアクリル酸ナトリウム、を含む。そのような懸濁状態にあるとき、微粒子形態のポリアクリル酸ナトリウムは、つまることなくタイヤバルブを通過することになる。
【0059】
組成物は、以下に説明するように、以降それぞれプレミックスガムロジン溶液(A)および微粒子溶液(B)と呼ぶ2つの部分を調製してから、一緒にする。
【0060】
プレミックスガムロジン溶液(A)は以下を含む(量は重量パーセントで示してある):
(1) エチレングリコール − 18;
(2) プロピレングリコール − 24;
(3) 水 − 15.8;
(4) アンモニア(20%) − 4.0;
(5) アルコール − 4.0;
(6) ホルマリン − 0.2;
(7) プロピレングリコール − 24.0、および
(8) ガムロジン − 10.0。
【0061】
この溶液(A)は、以下に説明するようにして作られる。
【0062】
最初に成分(1)〜(6)を、好ましくは攪拌しながら、上から下の順に混ぜ合わせる。ガムロジン(7)は別個に残りのプロピレングリコールに加え、ガムロジンが完全に溶融するまで、その混合物をおよそ80℃に加熱する。次いで、ガムロジンおよびプロピレングリコールのその加熱混合物を、攪拌しながら成分(1)〜(6)の混合物に加える。
【0063】
微粒子溶液に関しては、好ましくはそうしたものは以下のものから作る:
(9) ポリアクリル酸ナトリウム − 0.75;
(10) 水 − 41.0;
(11) プロピレングリコール − 5.9;
(12) エチレングリコール − 42.0;
(13) アンモニア(20%) − 0.2;
(14) ホルマリン − 0.15;
10重量%程度の残量がガムロジン溶液(A)で構成される。
【0064】
ガムロジン溶液は、微粒子溶液(B)に加えた場合、ポリアクリル酸ナトリウムがゲル化するのを防ぐことが見出された。微粒子溶液(B)は高剪断混合または粉砕されるが、そのような工程の間にゲル化が起こらないことが重要である。
【0065】
実際に、溶液(B)はホモジェナイザーで高剪断混合し、かつ/または液体粉砕機に通して、ポリアクリル酸ナトリウムの最初の形状の微粉化を行う。そのような処理は、懸濁液が滑らかになるまで続ける。その後、好ましくは懸濁液を−20℃程度の温度まで冷却してから、生成物をコロイドミル(または似たような粉砕機)中に通して、微粒子サイズが130ミクロン以下になるようにする。
【0066】
実験により、0.05〜3.0、より好ましくは約0.75、重量パーセント程度の量のポリアクリレートが、まずまずのシーリング効果を得るのに必要であることが示された。そうした実験により、ガムロジンが存在しない場合、組成物は、特におよそ−40℃の温度では使用可能ではないことも示された。そのような温度では、全体組成物は、ガムロジンがない場合、粘着性がありすぎるし、ある程度の脆性さえ示すことがある。事実、そのくらいの温度では、弾性の度合いの低下は、組成物内にあってパンク穴をシールすることを意図した粒子が、きちんとシールしなくなり、例えばタイヤの運動によって引き起こされる振動などのせいで、パンク穴から分離する傾向を示すことを意味する。
【0067】
ガムロジンを使用すると、溶液全体の粘度、特にパンクをシールする目的で用いられるポリアクリレート微粒子材料の粘度を調節および管理できることが見出された。ロジン溶液を使用すると、その結果として、許容できるレベルに組成物の全体的な粘度を維持することが可能であり、組成物は容器からバルブを通じてタイヤ内に入ってパンク部位に容易に到達することができる。
【0068】
実施例で示したようにポリアクリル酸ナトリウムを使用するが、本発明によれば、弾性樹脂類に属する任意の物質を使用してもよいことが解るはずである。その中には、National StarchのElotekシリーズから入手可能なもので、FX 4130およびFL 1212などがある。
【0069】
タイヤの肩部でパンクが起きた場合、配合物は、並外れたシーリング能力を示すものでなければならない。車両が3〜4キロメートル/時より速く動いたなら、液体は肩部のパンク部位に実質的に流れることができないので、このことは極めて重要である。液体は、遠心力のせいでタイヤチャンバー内部の内側の頂部に閉じ込められることになる。それゆえに、パンク部位とは無関係に申し分なく組成物が機能できるようにするために、選択した成分の正しい組合せを正しい比率で混合することが重要である。好ましくは、組成物は、例えば直径が約6.25mmまでの大くぎによって生じたパンク穴をシールできるべきである。
【0070】
実施例2
別の好ましい実施態様は、以下のステップを含む、空気タイヤのパンク穴のシーリング用組成物の製造方法に関する:
A.ロジン(最終組成物の1.5重量%を構成する)およびプロピレングリコール(最終組成物の1.5重量%を構成する)をスチームジャケット付き容器に加え、ロジンがプロピレングリコール中で完全に溶融するまで約100℃の温度に加熱し、次いで約50℃の温度になるまで攪拌しながら冷却し、その後、攪拌を続けながら、エチルアルコール(最終組成物の1.0重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.4重量%を構成する)、水(最終組成物の0.7重量%を構成する)、ポリエチレン粉末(サイズがl0μm〜180μm)(最終組成物の1.0重量%を構成する)、珪藻土(最終組成物の0.8重量%を構成する)、およびステアリン酸亜鉛(最終組成物の0.2重量%を構成する)を添加することにより、高温相プレミックスを形成するステップ;
B.約25℃の温度で攪拌しながら、ポリアクリル酸ナトリウム(最終組成物の0.2重量%を構成する)を水(最終組成物の11.43重量%を構成する)に添加し、最高で15分間攪拌を継続し、次いで、攪拌しながらプロピレングリコール(最終組成物の3.5重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.07重量%を構成する)、およびステップAで形成された高温相プレミックスの一部(最終組成物の0.8重量%を構成する)を添加することにより、別個の容器中にゲル相プレミックスを形成するステップ;
C.もう1つの別個の容器中に、水(最終組成物の33.2重量%を構成する)、プロピレングリコール(最終組成物の33重量%を構成する)、エチレングリコール(最終組成物の10重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.35重量%を構成する)、高温相プレミックスの残り(全高温相プレミックスは最終的に最終組成物の7.1重量%を構成する)、ゲル相プレミックス(粉砕機に通して50μm〜2000μmの間の粒径にした後)(最終組成物の16重量%を構成する)を添加し、攪拌混合し;
次いで、得られた組成物を最高で24時間にわたって継続的に攪拌して周囲温度に達するようにする、ステップ。
【0071】
ホルマリン(最終組成物の0.15重量%を構成する)は、ステップCの間に添加することができる。さらに、乳白剤および/またはPVA/MAも、ステップCの間に添加することができる。乳白剤および/またはPVA/MAを添加することは好ましいが、そうしたものは不可欠な構成成分ではない。この構成成分の主な役割は組成物が不透明になるようにすることである。とはいえ、これは組成物のシーリング機能の手助けもする。
【0072】
高温相プレミックス中のエチルアルコールはそのプレミックスの貯蔵に役立ち、ポリエチレン粉末は結合剤として働く。珪藻土はシーラーとして機能する。20%アンモニアは、高温相プレミックスおよびゲル相プレミックスの両方でロジンを溶液状態に維持する働きをする。
【0073】
実施例3
パンクした車両タイヤのシーリング用組成物であって、以下の構成成分を含有する組成物(量はすべて最終組成物における重量パーセント):
(1) プロピレングリコール 81.0
(2) グリセリン 1.0
(3) キサンタンガム 0.11
(4) オオバコ殻皮粉末 0.012
(5) カルボキシメチルセルロース 0.03
(6) 珪藻土 0.25
(7) ガム樹脂粉末 1.35
(8) 炭酸マグネシウム 0.135
(9) もみ殻粉末 0.3
(10) 二酸化チタン 0.075
(11) コルク粉末 0.15
(12) 樹皮粉末(乾燥) 0.1
(13) スギナ(Equisetum)粉末 0.1
(14) ポリエチレン粉末 0.2
(15) 水 13.176
(16) 重炭酸ナトリウム 0.05
(17) 炭酸アンモニウム 0.05
(18) ホウ酸ナトリウム 1.0
(19) ホルマリン 0.2
(20) フルオレセイン 0.012、および
(21) 0.05〜2.0重量パーセントの量の
1ないし複数のポリアクリレート

【0074】
実施例4
パンクした車両タイヤのシーリング用組成物であって、以下の構成成分を含有する組成物(量はすべて最終組成物における重量パーセント):
(1) プロピレングリコール 82.0まで
(2) グリセリン 0.5
(3) キサンタンガム 0.11
(4) オオバコ殻皮粉末 0.012
(5) カルボキシメチルセルロース 0.03
(6) 珪藻土 0.25
(7) ガム樹脂粉末 1.75
(8) 二酸化チタン 0.05
(9) 米糠粉末 0.45
(10) コルク粉末 0.15
(11) 樹皮粉末(乾燥) 0.10
(12) スギナ(Equisetum)粉末 0.10
(13) ポリエチレン粉末 0.25
(14) 水 13.8936まで
(15) 重炭酸ナトリウム 0.05
(16) 炭酸アンモニウム 0.05
(17) ホウ酸ナトリウム 0.10
(18) ホルマリン 0.20
(19) フルオレセイン 0.12、および
(20) 0.05〜2.0パーセントの量の
1ないし複数のポリアクリレート

【0075】
実施例5
パンクした車両タイヤのシーリング用組成物であって、以下の構成成分を含有する組成物(量はすべて最終組成物における重量パーセント):
(1) エチレングリコール 50.0まで
(2) プロピレングリコール 12.56まで
(3) グリセリン 1.0
(4) アルテア根(marsh mallow root )粉末 2.5
(5) オオバコ殻皮粉末 0.35
(6) キサンタンガム 0.02
(7) カルボキシメチルセルロース 0.01
(8) Aerosil R2 0.05
(9) 炭酸マグネシウム 0.25
(10) 水 30.0
(11) 重炭酸アンモニウム 30.0
(12) 重炭酸ナトリウム 0.15
(13) ホウ酸ナトリウム 0.15
(14) ホルマリン 0.30
(15) フルオレセイン 0.15
(16) ガム樹脂 1.50
(17) エチルアルコール 1.0、および
(18) 0.05〜2.0パーセントの量の
1ないし複数のポリアクリレート

【0076】
最後に、前述の説明は単に本発明の好ましい実施態様に関係したものであり、本発明の趣旨および範囲から逸脱しない範囲でそれらの変形形態および変更形態が可能であることを理解すべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体キャリヤーと、
1ないし複数の増粘沈殿防止剤と、
1ないし複数の充填剤およびシーラントと、
1ないし複数のポリアクリレートと
を含む、パンクしたタイヤをシールするためのシーラント組成物。
【請求項2】
前記1ないし複数のポリアクリレートがポリアクリル酸ナトリウムである、請求項1に記載のシーリング組成物。
【請求項3】
1ないし複数の腐食防止剤をさらに含む、請求項1または2に記載のシーリング組成物。
【請求項4】
前記液体キャリヤーが、水、水とプロピレングリコールとの混合物、水とエチレングリコールとの混合物、水とプロピレングリコールとエチレングリコールとの混合物、ならびにプロピレングリコールとエチレングリコールとの混合物からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシーリング組成物。
【請求項5】
前記1ないし複数の増粘沈殿防止剤が、多糖ガム、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒュームドシリカおよびオオバコ殻皮粉末からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシーリング組成物。
【請求項6】
1ないし複数の充填剤およびシーラントが、粉末化された樹皮粉末、粉末化されたピーナッツ殻、粉末化された繊維材料、粉末化されたセルロース系材料、微粉化されたゴム粉末、微粉化された低密度ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、スチレンおよびポリエチルテトラヒドロフタレートから選択される粉砕化されたプラスチック、粉末のスギナ(Equisetum arvense)、茶粉末、パセリ粉末、珪藻土、ベントナイト、ガム樹脂、ケイ酸ナトリウムおよび二酸化チタンからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシーリング組成物。
【請求項7】
前記1ないし複数の腐食防止剤が、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウムおよびホウ酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項3〜6のいずれか一項に記載のシーリング組成物。
【請求項8】
a. プロピレングリコール、プロピレングリコール−エチレングリコールブレンド、および水のうちの1つまたは複数(それぞれ前記組成物の10〜90重量%の範囲である)と;
b. キサンタンガム(0.01〜1.5重量%)、メチルヒドロキシエチルセルロース(0.01〜1.5重量%)、カルボキシメチルセルロース(0.01〜1.5重量%)、ヒュームドシリカ(0.05〜3.0重量%)、オオバコ殻皮粉末(0.01〜1.5重量%)から選択される1ないし複数の増粘沈殿防止剤と;
c. ふるいにかけられて60ミクロン未満(<60ミクロン)にされた微粉化されたゴム粉末(0.01〜1.5重量%)、ふるいにかけられて150ミクロンにされた微粉化された低密度ポリエチレン(0.01〜2.5重量%)、ナイロン、ポリプロピレン、スチレンおよびポリエチルテトラヒドロフタレートから選択される粉砕化されたプラスチック(0.01〜2.5重量%)、直径が60ミクロン未満(<60ミクロン)である珪藻土(0.5〜5.0重量%)、ベントナイト(0.01〜1.5重量%)、直径が60ミクロン未満(<60ミクロン)であるガム樹脂(0.01〜1.5重量%)、溶解樹脂(0.05〜1.5重量%)、およびケイ酸ナトリウム(0.1〜2.0重量%)から選択される1ないし複数の充填剤およびシーリング粒子と;
d. 重炭酸アンモニウム(0.05〜1.5重量%)、重炭酸ナトリウム(0.05〜1.5重量%)、およびホウ酸ナトリウム(0.1〜2.5重量%)から選択される1ないし複数の腐食防止剤と;
e. ポリアクリレートタイプである1ないし複数の合成エラストマー(構成成分(a)〜(d)の0.05〜2.0重量%を構成する)と;
f. 防腐剤(前記組成物の残りを構成する)と
を含む、空気タイヤのパンク穴のシーリング用組成物。
【請求項9】
前記1ないし複数の合成エラストマーがポリアクリル酸ナトリウムを含む、請求項7に記載の空気タイヤのパンク穴のシーリング用組成物。
【請求項10】
(a) 前記組成物の10〜90重量パーセントを構成するプロピレングリコール、前記組成物の10〜90重量パーセントを構成するプロピレングリコール−エチレングリコールブレンド、および前記組成物の10〜90重量パーセントを構成する水からなる群のうちの1つまたは複数;
(b) 0.05〜1.5重量パーセントのキサンタンガム、0.01〜1.5重量パーセントのメチルヒドロキシエチルセルロース、0.01〜1.5重量パーセントのカルボキシメチルセルロース、0.05〜3.0重量パーセントのヒュームドシリカ、および0.01〜1.5重量パーセントのオオバコ殻皮粉末からなる群から選択される1ないし複数の増粘沈殿防止剤;
(c) 0.01〜1.5重量パーセントのふるいにかけて60ミクロン未満(<60ミクロン)に微粉化されたゴム粉末、0.01〜2.5重量パーセントのふるいにかけて150ミクロン未満(<150ミクロン)に微粉化された低密度ポリエチレン、0.01〜2.5重量パーセントのナイロン、ポリプロピレン、スチレンおよびポリエチルテトラヒドロフタレート群からなる粉砕化されたプラスチック、0.5〜5.0重量パーセントの直径が60ミクロン未満(<60ミクロン)の珪藻土、0.01〜1.5重量パーセントのベントナイト、0.01〜1.5重量パーセントの直径が60ミクロン未満(<60ミクロン)のガム樹脂、0.05〜1.5重量パーセントの溶解樹脂、0.1〜2.0重量パーセントのケイ酸ナトリウムからなる群から選択される1ないし複数の充填剤およびシーリング粒子;
(d) 0.5〜1.5重量パーセントの重炭酸アンモニウム、0.05〜1.5重量パーセントの重炭酸ナトリウム、および0.1〜2.5重量パーセントのホウ酸ナトリウムからなる群から選択される1ないし複数の腐食防止剤;および
(e) 0.05〜2.0重量パーセントの量の1ないし複数のポリアクリレート;および
(f) 前記組成物の残りを構成する防腐剤;
を含む、空気タイヤのパンク穴のシーリング用組成物。
【請求項11】
水および/またはプロピレングリコールおよび/またはエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール−エチレングリコールブレンドで構成される、90重量パーセントまでの量の液体キャリヤー;キサンタンガム、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒュームドシリカおよび/またはオオバコ殻皮粉末を含む群から選択される1ないし複数の増粘沈殿防止剤;粉砕化されたゴム粉末、ポリエチレン、樹皮粉末、ピーナッツ殻または同様の繊維材料、粉砕化されたプラスチック、珪藻土、ベントナイト、ガム樹脂および/またはケイ酸ナトリウムを含む群から選択される1ないし複数の充填剤およびシーリング粒子、1ないし複数のポリアクリレート;および重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウムおよび/またはホウ酸ナトリウムを含む群から選択される1ないし複数の腐食防止剤を含む、損傷した膨張式物品のシーリング用組成物。
【請求項12】
20〜80重量パーセントの水;
20〜80重量パーセントのプロピレングリコール;
0.1〜0.3重量パーセントの多糖ガム;
0.01〜0.3重量パーセントの、例えば、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースポリマー;
0.1〜0.5重量パーセントのコロイド状ヒュームドシリカ;
0.1〜1重量パーセントの重炭酸アンモニウム;
0.1〜2重量パーセントのホウ砂;
1.0〜5.0重量パーセントの珪藻土(30ミクロン未満);
0.01〜0.5重量パーセントの低密度ポリエチレン(LDPE)(100ミクロン未満);
0.1〜1.0重量パーセントのベントナイト(40ミクロン未満);
0.05〜0.5重量パーセントのガム樹脂(30ミクロン未満);
0.05〜2.0パーセントの量の1ないし複数のポリアクリレート;および
0.1〜0.5重量パーセントの防腐剤
を含む、損傷した膨張式物品のシーリング用組成物。
【請求項13】
パンクした車両タイヤのシーリング用組成物であって、
以下の構成成分(量はすべて最終組成物における重量パーセント):
(1) プロピレングリコール 81.0
(2) グリセリン 1.0
(3) キサンタンガム 0.11
(4) オオバコ殻皮粉末 0.012
(5) カルボキシメチルセルロース 0.03
(6) 珪藻土 0.25
(7) ガム樹脂粉末 1.35
(8) 炭酸マグネシウム 0.135
(9) もみ殻粉末 0.3
(10) 二酸化チタン 0.075
(11) コルク粉末 0.15
(12) 樹皮粉末(乾燥) 0.1
(13) スギナ粉末 0.1
(14) ポリエチレン粉末 0.2
(15) 水 13.176
(16) 重炭酸ナトリウム 0.05
(17) 炭酸アンモニウム 0.05
(18) ホウ酸ナトリウム 1.0
(19) ホルマリン 0.2
(20) フルオレセイン 0.012、および
(21) 0.05〜2.0重量パーセントの量の
1ないし複数のポリアクリレート、
を含有する、パンクした車両タイヤのシーリング用組成物。
【請求項14】
パンクした車両タイヤのシーリング用組成物であって、以下の構成成分(量はすべて最終組成物における重量パーセント):
(1) プロピレングリコール 82.0まで
(2) グリセリン 0.5
(3) キサンタンガム 0.11
(4) オオバコ殻皮粉末 0.012
(5) カルボキシメチルセルロース 0.03
(6) 珪藻土 0.25
(7) ガム樹脂粉末 1.75
(8) 二酸化チタン 0.05
(9) 米糠粉末 0.45
(10) コルク粉末 0.15
(11) 樹皮粉末(乾燥) 0.10
(12) スギナ粉末 0.10
(13) ポリエチレン粉末 0.25
(14) 水 13.8936まで
(15) 重炭酸ナトリウム 0.05
(16) 炭酸アンモニウム 0.05
(17) ホウ酸ナトリウム 0.10
(18) ホルマリン 0.20
(19) フルオレセイン 0.12、および
(20) 0.05〜2.0パーセントの量の
1ないし複数のポリアクリレート、
を含有する、パンクした車両タイヤのシーリング用組成物。
【請求項15】
パンクした車両タイヤのシーリング用組成物であって、以下の構成成分(量はすべて最終組成物における重量パーセント):
(1) エチレングリコール 50.0まで
(2) プロピレングリコール 12.56まで
(3) グリセリン 1.0
(4) アルテア根粉末 2.5
(5) オオバコ殻皮粉末 0.35
(6) キサンタンガム 0.02
(7) カルボキシメチルセルロース 0.01
(8) Aerosil R2 0.05
(9) 炭酸マグネシウム 0.25
(10) 水 30.0
(11) 重炭酸アンモニウム 30.0
(12) 重炭酸ナトリウム 0.15
(13) ホウ酸ナトリウム 0.15
(14) ホルマリン 0.30
(15) フルオレセイン 0.15
(16) ガム樹脂 1.50
(17) エチルアルコール 1.0、および
(18) 0.05〜2.0パーセントの量の
1ないし複数のポリアクリレート、
を含有する、パンクした車両タイヤのシーリング用組成物。
【請求項16】
パンクした車両タイヤのシーリング用組成物であって、以下の構成成分(量はすべて重量パーセント)、すなわち、
最終組成物の10.5パーセントを構成し、かつ以下の構成成分からなるホットメルトプレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント)
疎水性の粘着付与樹脂 12.5
米糠 4.0
炭酸マグネシウム 2.0
エチレングリコール 81.5;
最終組成物の12.5パーセントを構成し、かつ以下の構成成分からなるガム樹脂プレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント)
ガム樹脂 12.5
米糠 4.0
炭酸マグネシウム 2.0
エチレングリコール 81.5;
最終組成物の4.25パーセントを構成し、かつ以下の構成成分からなるカゼインプレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント):
カゼイン 15.0
米糠 1.0
炭酸マグネシウム 0.5
エチレングリコール 83.5
グリセリン 3.0
スキムミルク粉末 0.75;
最終組成物の9パーセントを構成し、かつ以下の構成成分からなる樹脂可溶性溶液プレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント)
エチレングリコール 18.0
プロピレングリコール 50.0
水 15.8
アンモニア(20パーセント) 3.5
エチルアルコール 3.5
ホルマリン 0.2
ガム樹脂 9.0
炭酸マグネシウム 0.5;
最終組成物の57.25パーセントを構成し、かつ以下の構成成分からなる希釈溶液プレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント)
プロピレングリコール 2.1
グリセリン 1.0
エチレングリコール 36.0
水 60.0
アンモニア 0.3
ホルマリン 0.3
乳白剤(PVA) 0.15
フルオレセイン 0.02
グリセリン 3.0
スキムミルク粉末 0.75
炭酸マグネシウム 0.05
水 2.5;および
0.05〜2.0パーセントの量の1ないし複数のポリアクリレート、
を含有する、パンクした車両タイヤのシーリング用組成物。
【請求項17】
請求項16に記載した前記ホットメルト樹脂プレミックス、ガム樹脂プレミックスおよびカゼインプレミックスを別々にブレンドし、温度を−20℃まで下げ、別々に粉砕しておよそ150〜200ミクロンの粒径にし;請求項16に記載したガム樹脂を前記プロピレングリコールの半分に添加してから完全に溶融するまで80℃に加熱することによって請求項16に記載した樹脂可溶性溶液プレミックスを調製し、前記プロピレングリコールの残りを前記プレミックスの残りの成分と混合し、その後、攪拌しながら前記樹脂グリコール混合物の高温相をゆっくり添加し;次いで、最終組成物の全構成成分を一緒に添加し、−30℃まで冷却し、コロイドミル中に通して130ミクロン以下の粒径を有するコロイド懸濁液を形成する、請求項16に記載の組成物の調製方法。
【請求項18】
前記組成物が、以下の構成成分(量はすべて重量パーセント)、すなわち、以下の構成成分からなる希釈溶液プレミックス(量はすべてプレミックスにおける重量パーセント)を含有し、
プロピレングリコール 2.1
グリセリン 1.0
エチレングリコール 36.0
水 60.0
アンモニア 0.3
ホルマリン 0.3
乳白剤(PVA) 0.15
フルオレセイン 0.02
これには、前記プレミックスの0.05重量パーセント〜2.0重量パーセントの量のポリアクリレートが添加され、その後、高剪断混合が行われて前記ポリアクリレート粒子が粉砕されて150ミクロン未満にされている、パンクした車両タイヤのシーリング用組成物。
【請求項19】
以下それぞれにプレミックスガムロジン溶液(A)および微粒子懸濁液(B)と呼ぶ2つの部分で調製されるシーラント組成物であって、前記プレミックスガムロジン溶液(A)が、以下(量は重量パーセントで示す):
(1) エチレングリコール − 18;
(2) プロピレングリコール − 24;
(3) 水 − 15.8;
(4) アンモニア(20%) − 4.0;
(5) アルコール − 4.0;
(6) ホルマリン − 0.2;
(7) プロピレングリコール − 24.0および
(8) ガムロジン − 10.0、
を含み、さらに前記微粒子懸濁液(B)が、
(9) ポリアクリル酸ナトリウム − 0.75;
(10) 水 − 41.0;
(11) プロピレングリコール − 5.9;
(12) エチレングリコール − 42.0;
(13) アンモニア(20%)−0.2;
(14) ホルマリン − 0.15;
を含み、10重量%程度の残量がプレミックスガムロジン溶液(A)で構成されるシーラント組成物。
【請求項20】
前記プレミックスガムロジン溶液(A)の成分(1)〜(6)を攪拌しながら上から下の順に最初に混ぜ合わせ、前記ガムロジン(7)を前記残りのプロピレングリコールに添加し、その混合物を前記ガムロジンが完全に溶融するまでおよそ80℃に加熱し、その後で、ガムロジンおよびプロピレングリコールの加熱混合物を成分(1)〜(6)の混合物に攪拌しながら添加し、その後で、前記プレミックスガムロジン溶液(A)を前記微粒子懸濁液(B)の成分(9)〜(14)に添加する、請求項19に記載の組成物の製造方法。
【請求項21】
空気タイヤのパンク穴のシーリング用組成物の製造方法であって、
A.ロジン(最終組成物の0.5〜5.0重量%を構成する)およびプロピレングリコール(最終組成物の0.5〜5.0重量%を構成する)をスチームジャケット付き容器に加え、前記ロジンが前記プロピレングリコール中で完全に溶融するまで約100℃の温度に加熱し、その後、約50℃の温度に達するまで攪拌しながら冷却し、次いで、攪拌を続けながらエチルアルコール(最終組成物の0.3〜5.0重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.15〜1.5重量%を構成する)、水(最終組成物の0.0〜5.0重量%を構成する)、ポリエチレン粉末(サイズがl0μm〜180μm)(最終組成物の0.15〜5.0重量%を構成する)、珪藻土(最終組成物の0.15〜3.0重量%を構成する)を添加することによって、高温相プレミックスを形成するステップと;
B.約25℃の温度で攪拌しながらポリアクリル酸ナトリウム(最終組成物の0.2〜1.5重量%を構成する)を水(最終組成物の10〜20重量%を構成する)に添加し、最高で15分間攪拌を継続し、次いで、攪拌しながらプロピレングリコール(最終組成物の0.0〜10重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.01〜0.3重量%を構成する)およびステップAで形成された高温相プレミックスの一部(最終組成物の0.2〜5.0重量%を構成する)を添加することにより、別個の容器中にゲル相プレミックスを形成するステップと;
C.もう1つの別個の容器中で、水(最終組成物の20〜80重量%を構成する)、プロピレングリコール(最終組成物の10〜50重量%を構成する)、エチレングリコール(最終組成物の0〜30重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.2〜1.5重量%を構成する)、高温相プレミックスの残り(全高温相プレミックスは最終的に最終組成物の3.0〜20.0重量%を構成する)、ゲル相プレミックス(粉砕機に通して粒径を小さくして50μm〜2000μmの間にした後)(最終組成物の5.0〜20重量%を構成する)を添加し、攪拌混合するステップ;
を含み、次いで、得られた組成物を最高24時間にわたって継続的に攪拌し、周囲温度に達するようにした空気タイヤのパンク穴のシーリング用組成物の製造方法。
【請求項22】
ステアリン酸亜鉛(最終組成物の0.1〜1.0重量%を構成する)を前記高温相プレミックス中に含める、請求項22に記載の方法。
【請求項23】
乳白剤および/またはPVA/MA(最終組成物の0.1〜10.0重量%を構成する)をステップCの間に添加する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項24】
空気タイヤのパンク穴のシーリング用組成物の製造方法であって、
A.ロジン(最終組成物の1.5重量%を構成する)およびプロピレングリコール(最終組成物の1.5重量%を構成する)をスチームジャケット付き容器に加え、前記ロジンが前記プロピレングリコール中で完全に溶融するまで約100℃の温度に加熱し、次いで約50℃の温度に達するまで攪拌しながら冷却し、次いで、攪拌を続けながら、エチルアルコール(最終組成物の1.0重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.4重量%を構成する)、水(最終組成物の0.7重量%を構成する)、ポリエチレン粉末(サイズが10μm〜180μm)(最終組成物の1.0重量%を構成する)、珪藻土(最終組成物の0.8重量%を構成する)、およびステアリン酸亜鉛(最終組成物の0.2重量%を構成する)を添加することにより、高温相プレミックスを形成するステップと;
B.約25℃の温度で攪拌しながら、ポリアクリル酸ナトリウム(最終組成物の0.2重量%を構成する)を水(最終組成物の11.43重量%を構成する)に添加し、最高で15分間攪拌を継続し、次いで、攪拌しながらプロピレングリコール(最終組成物の3.5重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.07重量%を構成する)、およびステップAで形成された高温相プレミックスの一部(最終組成物の0.8重量%を構成する)を添加することにより、別個の容器中にゲル相プレミックスを形成するステップと;
C.もう1つの別個の容器中に、水(最終組成物の33.2重量%を構成する)、プロピレングリコール(最終組成物の33重量%を構成する)、エチレングリコール(最終組成物の10重量%を構成する)、20%アンモニア(最終組成物の0.35重量%を構成する)、前記高温相プレミックスの残り(全高温相プレミックスは最終的に最終組成物の7.1重量%を構成する)、前記ゲル相プレミックス(粉砕機に通して粒径を小さくして50μm〜2000μmの間にした後)(最終組成物の16重量%を構成する)を添加し、攪拌混合するステップと;
を含み、次いで、得られた組成物を最高で24時間にわたって継続的に攪拌して周囲温度に達するようにした空気タイヤのパンク穴のシーリング用組成物の製造方法。
【請求項25】
ホルマリン(最終組成物の0.15重量%を構成する)をステップCの間に添加する、請求項25に記載の方法。
【請求項26】
乳白剤および/またはPVA/MAをステップCの間に添加する、請求項25または26に記載の方法。
【請求項27】
請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法で調製される、空気タイヤのパンク穴のシーリング用組成物。


【公表番号】特表2010−540760(P2010−540760A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528243(P2010−528243)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001499
【国際公開番号】WO2009/046496
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(506068748)トライデル リサーチ ピーティーワイ エルティーディー (3)
【Fターム(参考)】