改良された活性領域を備える発光デバイス
【課題】発光デバイスにおいて、多重量子井戸での発熱を抑制する。
【解決手段】発光デバイスは、n型層と、p型層と、活性領域と、基板とを含む。n型層は、活性領域に横方向で電子を注入するために、活性領域に実質的に垂直な第1の接触領域で活性領域と接している。基板は、GaN、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、石英、酸化亜鉛、ガラスおよびガリウムヒ素を含むグループから選択される材料からなる。
【解決手段】発光デバイスは、n型層と、p型層と、活性領域と、基板とを含む。n型層は、活性領域に横方向で電子を注入するために、活性領域に実質的に垂直な第1の接触領域で活性領域と接している。基板は、GaN、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、石英、酸化亜鉛、ガラスおよびガリウムヒ素を含むグループから選択される材料からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、汎用の発光デバイス、特にキャリア注入を向上させ、発熱および光吸収を低減する発光デバイスを提供する。
【背景技術】
【0002】
発光素子において、電子注入層(n型層)と正孔注入層(p型層)のほかに、最も重要なのは、n型層とp型層の間に挟まれる活性層である。非平衡状態の電子と正孔は、活性層に注入されて再結合し、結果として発光する。注入されたキャリア(電子および正孔)は、極性が反対のキャリアの吸引及び極性が同じキャリアの反発力を受けることがあるが、電子正孔対の形成を助け、再結合確率を促進するのは、極性が反対の吸引なので、比較的高い発光効率を持つためには、注入されたキャリアを一定の領域/容積に限定することが非常に望ましい。
【0003】
過去数十年間、活性領域は、既に三次元(3D)から二次元(2D)に進歩し、更には一次元(1D)およびゼロ次元(0D)まで進歩している。3D活性領域は、量子閉じ込め効果がない、ある体積を持つ材料から構成されており、キャリアが三次元的に拡散することができ、電子−正孔(e−h)の再結合確率が比較的低い。2D活性領域は普通、キャリアが注入された方向に量子閉じ込めがあるが、よく利用されているのは、多重量子井戸(MQW)構造である。1Dと0D活性領域は、その他の方向で余分の量子ゲージを採用するが、量子細線と量子ドットはその代表となる。
【0004】
3D活性領域と比べ、2D多重量子井戸活性領域は、製造が複雑にならないにもかかわらず、比較的高い電子正孔再結合確率を有する。したがって、多重量子井戸活性領域は現在、発光デバイスに最も多く採用されている構造である。
【0005】
多重量子井戸構造には、交互に積層された複数の量子障壁(以下、単に障壁ともいう)および量子井戸(以下、単に井戸ともいう)が含まれるが、量子障壁は、比較的大きなバンドギャップエネルギーを持つので、量子井戸の両側に挟まれると、注入されたキャリアを量子井戸の中に閉じ込めて、非常に高い発光再結合効率を得ることができる。図1には、典型的なGaN/InGaN多重量子井戸LEDのバンド構造の例が示されている。図に示すように、GaN障壁およびInGaN井戸は、価電子帯と同様、伝導帯もバンド不連続を有している。通常、伝導帯のバンド不連続は、より強く、井戸中の電子に対してポテンシャル障壁を形成する。不連続の価電子帯は、ポテンシャル障壁を形成して井戸中に正孔を閉じ込める。したがって、井戸に注入された非平衡状態電子と正孔は、従来技術の発光デバイスにおけるキャリア注入方向と一致する方向である、注入方向と垂直な方向で井戸の中に閉じ込められる。このような閉じ込めは、電子正孔の振動強度を大きく増加させ、電子正孔の再結合確率を増加させることができる。
【0006】
しかし、本発明者らは、多重量子井戸を活性領域に使用した従来技術における欠陥を指摘する。図1(正孔を中空円で表示する)を参照すると、キャリアが量子障壁から量子井戸に注入されると、キャリアの位置エネルギーの損失が生じる。この損失した分の位置エネルギーはまず、キャリアの運動エネルギーに変換され、それからフォノンの放射により全て熱に変換される。伝導帯の不連続性が比較的大きいので、電子の注入において熱の発生は特に著しい。
【0007】
例えば、商用の青色または緑色用LEDにおいて、GaNおよびInGaNが、それぞれ多重量子井戸構造における量子障壁と量子井戸の材料に使用されているが、量子障壁と量子井戸との間のバンド不連続は、0.5〜0.8eVに達している。本発明者らは、一般照明に使用されるこの種のLEDは、1Aの駆動電流において、多重量子井戸に垂直なキャリアの注入及びこの方向におけるバンドギャップ不連続性のため、多重量子井戸の活性領域で0.5〜0.8ワットの熱量を発生することを見出した。バンドギャップ不連続と関連し、発光領域の内部で発生する熱は、電気光変換効率に不利な影響を与える。特に大電流が注入された場合に、この種の熱は、よくある効率低下の根本的な原因(効率低下は、米国特許出願公開第2009/0050924号公報に記載されており、ここに、その全ての内容が引用される)である可能性がある。
【0008】
従来技術の多重量子井戸構造のもう一つの欠陥は、最遠端の量子井戸に到達するために、キャリアが量子井戸から量子障壁に繰り返してポンプアップされることである。図1を参照すると、まずQW1(第1量子井戸)に注入された電子は、さらなる量子障壁にポンプアップされて、QW2(第2量子井戸)及びQW3(第3量子井戸)に到達させられるが、このことは、デバイスの抵抗を増加させ、したがってデバイスの順方向電圧を増加させてしまう。Ni等(Reduction of efficiency droop in InGaN light
emitting diodes by coupled quantum wells, Appl. Phys. Lett. 93, 171113(2008))は、キャリアのトンネル伝送を促進するために、薄い量子障壁を採用することを報告しているが、トンネル障壁は、必然的に量子閉じ込め効果を低下させ、発光再結合効率を低下低下させる。
【0009】
米国特許7,611,917号明細書(ここに、その全ての内容を、引用によって組み込む)は、エピ層にピットを成長させる方法を開示し、発光活性領域がこれらのピット領域に延び、正孔の注入を向上させることを期待している。同様に、米国特許出願公開第2009/0191658号公報(ここに、その全ての内容を、引用によって組み込む)も、成長ピットを通じて正孔注入を向上する方法を提案し、さらに当該文献は、成長の後、活性領域を貫くp型領域を形成するアプローチとしてイオン注入および拡散を示唆し、同時に、活性領域を選択的にエッチングし、かつp型層を再成長させて、エッチングされた活性領域を埋めることを述べている。これらのアプローチは、普通、正孔の注入を改善できるが、ピットの成長は、デバイス構造の品質を低下させることがあり、かつ成長後の処理も活性領域にダメージを与えることがある。したがって、上記の2項の文献にて提案されたアプローチは、例えば、比較的大きなリーク電流、比較的低い逆方向耐電圧及び低い静電放電能力とった、デバイス性能の低下をもたらすことがある。
【0010】
現在、発光デバイスは、ヘテロ構造を採用して発光効率を大いに向上させているが、ヘテロ構造に付随するバンドギャップ不連続性は、必然的に、ヘテロ構造インターフェース(ヘテロインターフェース)と垂直な方向でキャリアの注入に対し障害を発生させることがある。このキャリア注入に対する障害は、キャリアが比較的大きな有効質量を持つワイドバンドギャップ半導体に対して特に深刻である。そして、キャリアがワイドバンドギャップ層からナローバンドギャップ層に注入されるとき、キャリアは、フォノンの放射により位置エネルギーを損失することがあり、この種のキャリア格子の相互作用プロセスは、特に、デバイスが一般照明用に大電流注入で駆動される場合には、熱を発生して、発光効率を低下させることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、多重量子井戸での発熱を減少しまたは防止し、バンドギャップ連続性による、余分な順方向電圧の増加を低減または除去するための新しいキャリア注入の仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、n型層と、p型層と、活性領域とを有し、n型層が、活性領域への横方向注入電子のための、活性領域と実質的に垂直な第1の接触領域で活性領域と接触する発光デバイスを提供する。
【0013】
好ましくは、p型層も、活性領域への横方向注入正孔のための、活性領域と実質的に垂直な第2の接触領域で活性領域と接触している。好ましくは、活性領域は、複数の障壁層および井戸層で作製される。いくつかの実施態様では、活性領域は、20〜25対の井戸層および障壁層を含む。
【0014】
いくつかの実施態様では、活性領域の全体の厚さは、400nmから1000nmの範囲内である。各障壁層の厚さは、10nmから300nmの範囲内である。いくつかの実施態様では、少なくとも2つの井戸層が、少なくとも10nm異なるピーク波長を有する異なる波長の発光を放射する。
【0015】
n型層、p型層および活性領域に適合する基板は、GaN、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、酸化亜鉛、石英、ガラスおよびガリウムヒ素を含むグループから選択することができる。
【0016】
本発明の他の態様は、n型層と、p型層と、n型層とp型層の間に挟まれ、垂直に位置がずれた活性領域とを有する発光デバイスを提供する。活性領域は、上面、底面及び側壁でそれぞれが規定される複数の容積ユニットを含んでおり、隣接する容積ユニットは、垂直にずれており、その結果、それらの上面が同じ平面にないか、または底面が同じ平面にない。これらの容積ユニットの側壁は、2つの組に分けられており、第1の組の側壁は、n型層から横方向に注入された電子を受け入れるためにn型層に露出し、第2の組の側壁は、p型層から横方向に注入された電子を受け入れるためにp型層に隣接している。側壁のそれぞれの組は、2つ以上の量子井戸層を露出している。
【0017】
いくつかの実施態様では、容積ユニットの上面は、それぞれ垂直にずれている2つの平面の間に位置しているか、または垂直にずれている3つ以上の平面の間に位置する。
【0018】
いくつかの実施態様では、全ての容積ユニットは、同じ数の量子井戸層及び実質的に同じ高さを有しており、隣接するユニットは、垂直方向に重なり合って少なくとも1つの量子井戸層を含む部分を共有している。
【0019】
一部の実施例において、活性領域は、バンド幅が異なった複数の量子井戸層を含む。
【0020】
いくつかの実施態様では、n型層と容積ユニットの第1の組の側壁との間の接触面積に対するp型層と容積ユニットの第2の組の側壁との間の接触面積の比は、0.5〜2である。
【0021】
本発明の他の態様は、n型層と、p型層と、n型層とp型層の間に挟まれた活性領域とを有し、活性領域は、一種のn型層に向かって突出した複数の第1の突出部を有し、これら第1の突出部の側壁は、n型層に露出しており、n型層から横方向に注入された電子を受け入れることができる発光デバイスを提供する。
【0022】
いくつかの実施態様では、活性領域は、p型層に向かって突出した複数の第2の突起部をさらに含み、これら第2の突起部の側壁は、p型層に露出しており、p型層から横方向に注入された正孔を受け入れることができる。
【0023】
活性領域について、好ましくは複数の量子井戸層と量子障壁層を有し、第1の突出部の側壁は、2つ以上の量子井戸層を露出する。
【0024】
いくつかの実施態様では、第1の突出部は、互いに離れた突出部を有しており、別のいくつかの実施態様では、第1の突出部は、互いにつながって連続構造を構成する突出部を有している。
【0025】
本発明の他の態様は、複数の第1の突出部を含むn型層と、p型層と、n型層とp型層の間に挟まれた複数の量子井戸層と量子障壁層を持つ活性領域とを有する発光デバイスを提供する。活性領域は、n型層の第1の突出部と対応し、それぞれ第1の突出部の1つに適合する複数の第1の凹部を含んでいる。これら第1の凹部の側壁は、2つ以上の量子井戸層を露出しており、n型層の第1の突出部から横方向に注入された電子を受け入れる。
【0026】
いくつかの実施態様では、活性領域は、複数の第2の凹部も含み、p型層は、それぞれが第2の突出部の1つに適合する複数の第2の凹部を含む。これら第2の凹部の側壁は、2つ以上の量子井戸層を露出しており、p型層の第2の突出部から横方向に注入された正孔を受け入れることができる。
【0027】
いくつかの実施態様では、第1の凹部は、活性領域全体を貫いており、p型材料及びp型材料を第1の突出部から隔離する絶縁材料でそれぞれ一部分が充填されており、p型材料はp型層と繋がっている。
【0028】
いくつかの実施態様では、第1の突出部は、互いに離れた突出部を有しており、別のいくつかの実施態様では、第1の突出部は、互いにつながって連続構造を構成する突出部を有している。
【0029】
いくつかの実施態様では、第2の凹部は、活性領域全体を貫いており、第2の突出部をn型層から隔離するように、それぞれ一部分が絶縁材料で充填されている。いくつかの実施態様では、第1の凹部は、活性領域全体を貫いており、第1の突出部をp型層からするようにそれぞれ一部分が他の絶縁材料で充填されている。
【0030】
本発明の他の態様は、発光デバイスの製造方法を提供する。当該方法は、基板上に堆積したn型層を用意することと、n型層をパターニングして、第1の組の表面、及び第1の組の表面と垂直にずれている第2の組の表面を規定する複数の凹部を形成することと、n型層の表面の上に、かつそれに倣って活性領域を堆積することであって、活性領域の第1部分が、第1の組の表面に形成され、活性領域の第2部分が、第2の組の表面に形成され、活性領域の第1部分が活性領域の第2部分と垂直にずれるようにすることと、活性領域の上に、かつそれに倣ってp型層を堆積することとを含む。
【0031】
活性領域を堆積するステップは、好ましくは、複数の量子井戸層と量子障壁層を交互に堆積することを含む。n型層と接触する活性領域の第1の部分の側壁は、少なくとも1つの量子井戸層を露出し、p型層と接触する活性領域の第2の部分の側壁は、少なくとも1つの量子井戸層を露出する。
【0032】
いくつかの実施態様では、製造方法は、活性領域を堆積する前に、n型層の上に、n型層の第1の組の表面および第2の組の表面を覆う回復n型層をさらに堆積することを含む。
【0033】
いくつかの実施態様では、製造方法は、活性領域を堆積する前に、n型層の上に、n型層の第1の組の表面と第2の組の表面を覆うが、第1の組の表面と第2の組の表面を連接する側壁を覆わない絶縁層をさらに堆積することを含む。
【0034】
本発明の他の態様は、発光デバイスの製造方法を提供する。当該方法は、
基板上に堆積したn型層を提供し、n型層上に絶縁層を形成することと、
絶縁層をパターニングして、絶縁層の露出した部分、及び絶縁層の露出した部分の下のn型層の一部分を除去し、残存絶縁層の第1の組の表面、及び第1の組の表面と垂直にずれている、残存n型層の第2の組の表面を得ることと、
活性領域を堆積し、その結果、活性領域の第1の部分が、第1の組の表面上に形成され、活性領域の第2の部分が第2の組の表面に形成されるようにすることと、
活性領域の第1の部分を除去して、残存絶縁層を露出することと、
活性領域の上に、活性領域の上面を覆うp型層を堆積し、活性層の除去された第1の部分が占めていた空間をp型層の一部で満たし、複数の正孔注入プラグというを形成することと、
p型層をパターニングおよびエッチングして、正孔注入プラグの一部及びその下の残存絶縁層を、複数の電子注入ホールを形成するようにn型層が露出するまで除去することと、
複数の電子注入ホールの中に別のn型層を堆積して、複数の電子注入プラグを形成することと、
複数の電子注入プラグの上に別の絶縁層を堆積して、複数の電子注入プラグをp型層から絶縁することと、を含む。
【0035】
活性領域を堆積するステップは、好ましくは、多重量子井戸層と量子障壁層を交互に堆積することを含む。正孔注入プラグは、少なくとも1つの量子井戸層と接触しており、かつ電子注入プラグも少なくとも1つの量子井戸層と接触している。
【0036】
いくつかの実施態様では、製造方法は、活性領域を堆積する前に、n型層の上に、n型層の第1の組の表面および第2の組の表面を覆う回復n型層をさらに堆積する。
【0037】
本発明の他の態様は、発光デバイスの製造方法を提供する。当該方法は、基板上に堆積されたn型層、絶縁層及びp型層を用意することと、
p型層および絶縁層を、n型層が露出するまでパターニングおよびエッチングし、p型層および絶縁層の残存部分を含む突出部が形成されるようにすることと、
複数の量子井戸および量子障壁を持つ活性層を、基板を覆って堆積して、突出部が活性層を貫き、かつp型層の残存部分が2つ以上の量子井戸層に露出するようにすることと、を含む。
【0038】
いくつかの実施態様では、p型層および絶縁層をパターニングおよびエッチングするステップは、n型層を所定の深さまでエッチングする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ゼロバイアスにおいて計算されたGaN/InGaN多重量子井戸LEDのバンド構造を示す。
【図2A】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図2B】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図2C】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図2D】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図3A】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図3B】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図3C】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図4A】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図4B】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図4C】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図4D】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図4E】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5A】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5B】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5C】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5D】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5E】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5F】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5G】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5H】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5I】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5J】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図6】二次元のエッチングパターンの例である、方形グリッドパターンを示す。
【図7】二次元のエッチングパターンの例である、円の方形格子パターンを示す。
【図8】二次元のエッチングパターンの例である、チェスボードパターンを示す
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の更なる理解のために提供され、本出願の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示し、明細書とともに本発明の原理を説明する。図中の同様の参照番号は同様の要素を参照し、層は、同じ機能に関連する1組の層を参照する。
【0041】
本発明の原理は、本明細書の教示に基づく技術に熟練した者によりLEDやレーザダイオードなどの発光デバイスに応用することができ、また、光検出器ダイオードにも応用することができる。簡明のために、本発明者らは、GaNベースのLEDを例として本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、GaNベースのLEDに制限されないことを理解されたい。
【0042】
本発明の一形態によれば、多重量子井戸(MQW)層と平行な方向に正孔を注入し、または量子井戸層に横方向に正孔を注入することができる発光デバイス、またはLEDが提供される。ここに、そのような発光デバイスの構造および製造工程を説明する。製造工程は、
基板の上に堆積されたn型半導体層、n型層の上に堆積された絶縁半導体層及び絶縁層の上に堆積されたp型半導体層を含むテンプレートを用意することと、
テンプレート上にマスクを形成すること、マスクされていない領域をn型層までエッチングして、2組の垂直に位置がずれた表面を形成すること、及びマスクを除去することを含んで、テンプレートを成形することと、
薄いn型層を堆積して上記表面を回復すること、回復した表面の上に多重量子井戸活性領域を堆積すること、および活性領域の上にp型層を堆積することを含んで、成形したテンプレートの上にLED成長を再開することと、とを含む。
【0043】
本発明の他の形態によれば、横方向に正孔および電子を注入できるLEDが提供される。その製造方法は、
基板の上に堆積された厚いn型半導体層を含むテンプレートを用意することと、
それから当該テンプレートをパターン化するが、テンプレート上にマスクを形成すること、マスクされていない領域をエッチングして、2組の垂直に位置がずれた表面を形成すること、及びマスクを除去することを含んで、テンプレートを成形することと、
薄いn型層を堆積して上記表面を回復すること、回復した表面の上に多重量子井戸活性領域を堆積すること、および活性領域の上にp型層を堆積することを含んで、成形されたテンプレートの上にLED成長を再開すること、とを含む。
【0044】
本発明のさらに他の形態によれば、横方向に電子を注入できるLEDが提供される。その製造方法は、
基板の上に堆積された厚いn型半導体層及びn型層の上に堆積された絶縁半導体層を含むテンプレートを用意することと、
テンプレート上にマスクを形成すること、マスクされていない領域をn型層までエッチングして、2組の垂直に位置がずれた表面を形成すること、及びマスクを除去することを含んで、テンプレートを成形することと、
薄いn型層または絶縁層を堆積して上記表面を回復すること、回復した表面の上に多重量子井戸活性領域を堆積すること、及び活性領域の上にp型層を堆積することを含んで、成形されたテンプレートの上にLED成長を再開することと、を含む。
【0045】
本発明のさらに他の形態によれば、同じ多重量子井戸活性領域に同時に横方向に電子および正孔を注入できるLEDが提供される。その製造方法は、
基板の上に堆積された厚いn型半導体層およびn型層の上に堆積された絶縁半導体層を含むテンプレートを用意することと、
それから当該テンプレートをパターン化するが、テンプレート上にマスクを形成すること、マスクされていない領域をn型層までエッチングして、2組の垂直に位置がずれた表面を形成すること、及びマスクを除去することを含んで、テンプレートを成形することと、
薄いn型層または絶縁層を堆積して上記表面を回復すること、及び回復した表面の上に多重量子井戸活性領域を堆積することを含んで、成形されたテンプレートの上にエピタキシャル成長を再開することと、
再度マスクを形成して、凹んだ多重量子井戸領域を覆い/保護することと、
再度エッチングして、マスクされていない多重量子井戸領域を除去することと、
再度マスクを除去して、p型層の成長を再開することと、
三回目のマスクを形成して、n型層までエッチングすることと、
基板上の底部のn型層に接触するように先にn型層を成長して、n型層および絶縁層のエピタキシャル成長を再開することと、を含む。
【0046】
図2A〜図2Dは、多重量子井戸活性領域に横方向での正孔注入を可能とするLEDの実施形態の構造および製造工程を示す。図2Aを参照すると、n型層10が、基板10の上に堆積される。当該n型層20は、基板10と同じ材料でも異なった材料でもよく、つまりn型層20は、基板10上にホモエピタキシャル成長されることもできるし、ヘテロエピタキシャル成長されることもできる。ヘテロエピタキシャル成長の場合、n型層20と基板10との間の格子不整合を緩和するためのバッファ層など、n型層20と基板10との間に他の層が存在してもよい。GaNベースのLEDにおいて、n型層20は、SiドープGaN、SiドープAlGaNまたはSiドープInGaN層で作製することができる。基板10は、GaN、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、石英、酸化亜鉛、ガラスおよびガリウムヒ素など、関係分野で使用される材料で作製することができる。n型層20の上面には絶縁層30が形成され、それからp型層40が形成される。絶縁層30は、何もドープされていないGaN、鉄ドープGaN、高補償ドープGaN層などの絶縁性GaN、または絶縁性のAlGaNまたはAlN層であることができる。絶縁層30は、電気的遮蔽に使用されるので、その抵抗率は高いことが望まれており、好ましくは100W.cmよりも高く、より好ましくは、1000W.cmよりも高い。p型層40は、マグネシウムドープのGaN、InGaNまたはAlGaNなどのp型窒化物であることができる。
【0047】
図2Aおよび図2Bを参照すると、マスク15は、エッチングパターンを規定するのに使用される。エッチング深さは、絶縁層30の厚さd3とp型層40の厚さd4の和以上とし、n型層20を露出して、後で成長される活性領域によって、n型層20と十分な電気的アクセスを可能とさせる。絶縁層30の厚さd3は、好ましくは0.1〜0.5μmであり、p型層40の厚さd4は、好ましくは0.2〜0.6μmであるが、d3およびd4は、上記の範囲に限られない。
【0048】
エッチングの後、マスク15を除去して、残存p型層40'の上面401及びn型層20の一部の上面201を露出させる。2組の上面401および201は、以降のLED構造成長のために、図2Bに示すように垂直にずれており、LED構造成長は、多重量子井戸活性領域の成長のために、エッチングされたn型層20の表面を回復/リフレッシュする回復n型層22を任意に堆積することから始まる。回復n型層22は、GaN、InGaNまたはAlGaN層であることができ、その厚さは、0.1〜数μm(例えば3μm)であり、好ましくは、0.1〜0.5μmの範囲である。図2Cを参照すると、n型修復層22は、それぞれ表面201および401を回復する2つの部分である層221および222を含む。層221の厚さは、残存絶縁層30’の厚さとn型層20にエッチングされた厚さの和よりも小さく、その結果、層221は、残存p型層40’と直接接触しない。次に、多重量子井戸活性領域50(層221上に形成された活性領域501及び層222上に形成された活性領域502を含む)は、回復n型層221および222の上に、層毎に堆積される。多重量子井戸活性領域50は通常、交互に積層されたAlInGaN量子井戸およびAlInGaN量子障壁から作製されており、特別な場合、GaNまたはInGaN障壁およびInGaN井戸から作製される。最後に、厚いp型層60が活性領域50の上に成長されて、構造が完成される。エッチング深さおよび再成長厚さに応じて、層60は、平坦な表面(図2C)または不平坦な表面(図2D)を持つことができる。層60の表面が不平坦な場合、異なった屈折率を持つ材料で充填して、不平坦な表面を平坦にすることができる。図2Dに示すように、層60の不平坦な表面は、材料70が充填されて平坦にされる。材料70は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電体、またはITOなどの透明導電酸化物であることができる。
【0049】
図2Cおよび図2Dに示すような構造では、多重量子井戸活性領域501に横方向に正孔を注入することを実現できる。図2Cおよび図2Dでは、正孔電流および電子電流が、それぞれ白抜き矢印および中実矢印で表示されており、図によると、従来の垂直正孔注入のほか、残存p型層40’の側壁から多重量子井戸活性領域501への実質的な横方向正孔注入もある。多重量子井戸活性領域501は、残存絶縁層30’の側壁及び残存p型層40’の側壁に跨っているので、正孔は、多重量子井戸活性領域501の側壁へ横方向から注入され、同時に、残存p型層40’から回復n型層221までのリークパスは排除される。
【0050】
任意で、p型層60の堆積前に、多重量子井戸活性領域502及び/または回復n型層222を除去することができ、任意で、p型層60と多重量子井戸活性領域501との間、バンドギャップエネルギーがp型層60より大きい他のp型層を形成することもできる。
【0051】
マスク15で規定されたエッチングパターンに応じて、横方向に注入される正孔電流成分を調整できる。エッチングパターンは、一次元または二次元とすることができ、簡単な一次元パターンは、1組の平行な帯状部であり、簡単な二次元パターンは、互いに交差する2組の平行な帯状部であっても良い。例えば、図6は、上記のような二次元パターンである、互いに直交する2組の平行な帯状部から構成された方形グリッドである。図2Bおよび図6を参照すると、図6を、図2Bに例示する構造の平面図と見なすと、上方へ突出する帯状部は、残存p型層40’、残存絶縁層30’及びある厚さを持つ任意のn型層20(p型層40及び絶縁層30をエッチングするとき、n型層20が部分的にエッチングされた場合)の、上面401を有する積層部から構成される。帯状部に囲まれた方形の凹部は、n型層20の表面201であり、そこに回復n型層221を受け入れ、または直接、活性領域501を成長させる。凹部の形状は、三角形、多辺形、円形または種々の形状の組合せなど、他の規則的または不規則的な形状で代替されることができる。
【0052】
この場合、横方向に注入された正孔電流成分は2d×a/(a2+2d×a)に比例し(残存p型層40’による追加の抵抗を考慮しない)、ここで、dおよびaは、それぞれ帯状部(または側壁)の幅および方形凹部の辺長である。いくつかの実施形態では、帯状部の幅dは1〜10μmで、方形部の辺長aは5〜50μmである。残存p型層40’の上面に成長された多重量子井戸活性領域502は、発光に寄与しないので、dは広すぎるのは好ましくない。一方、横方向に注入される正孔電流はdとほぼ比例するので、dは十分に広い必要がある。
【0053】
もう1つの方形格子を持つ二次元パターンを図7に示す。図7は、図2Bのもう1つの例示構造の平面図と見なすことができ、直径がdの円は、上方へ突出する横方向正孔注入柱状体を表わし、ここで、dはa/2よりも小さく、例えばa/4またはa/8よりも小さく、aは、二次元格子定数である。この場合、上方へ突出する横方向正孔注入柱状体は、残存p型層40’、残存絶縁層30’及びある厚さを持つ任意のn型層20(p型層40及び絶縁層30をエッチングするとき、n型層が部分的にエッチングされた場合)の、上面401を有する積層部から構成される。上方へ突出する横方向正孔注入柱状体以外の凹部の表面は回復n型層221を受け入れる、または直接、活性領域501を成長させるn型層20の表面201である。この場合、横方向に注入された正孔電流は(d/a)2に比例し、上方へ突出する横方向正孔注入柱状体の断面は、円形を除く、その他の規則的または不規則的な形状であってよい。
【0054】
その他の適当な一次元または二次元パターンもこれらの実施形態に使用することができる。
【0055】
任意で、p型層60と多重量子井戸活性領域501との間に薄い絶縁層を体積させることができ(図2Cおよび図2Dには示さない)、例えば、多重量子井戸活性領域501と直接接触させれば、多重量子井戸活性領域501への垂直正孔注入が防止され、横方向注入のパスのみがオープンされているので、完全な横方向正孔注入を実現できる。所望であれば、p型層60を多重量子井戸活性領域501と部分的に接触させ、つまり、薄い絶縁層が多重量子井戸活性領域501の一部みをカバーし、活性領域501の他の部分がp型層60に露出するようにする。上記のように、横方向正孔注入は、多重量子井戸活性領域、特に不連続価電子帯に関連する多重量子井戸活性領域の、発熱を減少させて、結果的に、活性領域での正孔分布がより均一になる。
【0056】
図3A〜図3Cは、本発明の他の実施形態による活性領域、特に多重量子井戸活性領域に横方向で電子を注入できるLEDの構造および製造工程を示す。横方向電子注入は、多重量子井戸活性領域におけるホットエレクトロンと電子のオーバーフローの可能性を最小限にすることができるので、横方向正孔注入と同様に重要である。バンドギャップ不連続性は主に伝導帯に分布している(60〜80%を占める)ので、多重量子井戸活性領域での熱の低減の観点から、横方向電子注入は、より重要な役割を果たすはずである。図3Aに示すように、n型層20は、基板10上に堆積されるが、当該n型層20は、基板10上にホモエピタキシャル成長またはヘテロエピタキシャル成長されることができる。ヘテロエピタキシャル成長の場合、n型層20は、バッファ用の他の層を含んでもよく、n型層20と基板10との間の格子不整合を緩和することができる。GaNベースのLEDにおいて、n型層20は、SiドープGaNで作製することができ、また、n型層20は、この分野で従来使用されている任意の適切なn型層であることもできる。基板10は、GaN、サファイア、シリコンカーバイド及びガリウムヒ素など、この分野で使用される材料であることができる。n型層20の上面には絶縁層30が形成される。絶縁層30は、何もドープされていないGaN、鉄ドープGaN及び高補償ドープGaN層など絶縁性のGaN、または絶縁性のAlGaNまたはAlN層であることができる。絶縁層30は、電気的遮蔽に使用されるので、抵抗率が高いことが望ましく、好ましくは100W.cmよりも高く、より好ましくは、1000W.cmよりも高い。絶縁層の厚さは、0.1μmよりも大きく、好ましくは0.2〜0.5μmである。
【0057】
マスク15は、所望の一次元、二次元または不規則なエッチングパターンを規定するのに使用される。エッチング深さは、多重量子井戸活性領域501を残存n型層20’の凹部で部分的に埋め込むことができるのに十分な深さである(図3Bおよび図3C)。図3Cを参照すると、絶縁層30とn型層20の合計のエッチング深さは、好ましくは0.3〜1.0μmである。次いで、多重量子井戸活性領域501および502は、残存n型層20’の露出した上面201及び残存絶縁層30’の上面301の上に、層ごとに同時に堆積される。多重量子井戸活性領域501は普通、交互に積層されたAlInGaN量子井戸および障壁から構成されるが、特別な場合は、GaNまたはInGaN障壁およびInGaN井戸から構成される。最後に、多重量子井戸活性領域501および502の上に厚いp型層60を成長させて全体の構造が完成する。エッチング深さおよび再生長厚さに応じて、p型層60は、平坦な表面(図3C)または不平坦な表面(表示されていない)を持つことができる。p型層60の表面が不平坦な場合、図2Dに示す充填材70のように、異なる屈折率を持つ他の材料で充填してp型層60の表面を平坦にすることができる。
【0058】
デバイスに順方向バイアスを引加すると、正孔電流と電子電流は、図3Cにそれぞれ白抜き矢印および中実矢印で示されるように、多重量子井戸活性領域501に入る。多重量子井戸活性領域501は、残存n型層20’の突出部の側壁及び残存絶縁層30’の側壁に跨跨る配置なので、多重量子井戸活性領域501を迂回するリーク電流が防止される。
【0059】
また、図3Cを参照すると、回復層221および222は、図2A〜2Dに関連して説明した回復n型層22と同様に形成することができる。この実施形態における回復層221および222は、n型層であってもよく、絶縁層であってもよい。回復層221がn型層である場合、横方向で注入される電子電流は、残存n型層20’の突出部の側壁と、回復層221に覆われた、残存n型層20’の凹部の表面との断面積比によって決定される。回復層221が絶縁層である場合、多重量子井戸活性領域501への垂直電子注入が防止され、横方向注入パスのみがオープンされるので、完全な横方向電子注入を実現できる。回復層221が絶縁層である場合、所望であれば、絶縁層221は、残存n型層20’の凹部の表面領域の一部のみを覆って作製することができ、多重量子井戸活性領域501への縦方向電子の部分的な注入を可能とする。
【0060】
残存絶縁層30’は、残存n型層20’をp型層60から絶縁する働きをする。この目的を達成することができる限り、残存絶縁層30'の、活性領域501に埋め込まれている部分は、残存n型層20’の突出部と活性領域501がより多くの接触面積をもち、残存n型層20’から活性領域501への、より多くの横方向電子注入が可能となるように、できるだけ薄いことが好ましい。好ましくは、活性領域501は、厚さの50%よりも多くが、残存n型層20’の凹部に埋め込まれ、例えば多重量子井戸活性領域501の厚さの60%、70%または80%よりも多くが、残存n型層20'の凹部に埋め込まれる。
【0061】
注意すべきなのは、図3A〜図3Cの実施形態における各層は、図2A〜図2Dの実施形態における対応の層と同じまたは類似しており、図2A〜図2Dと同じまたは類似の工程で製造することができる。
【0062】
残存絶縁層30’及びその下の残存n型層20’の対応する突出部は、図6および7に示すような、任意の適当な一次元または二次元のパターン、または任意の適当な規則的/不規則的パターン、またはそれらを組み合わせたパターンを有していてもよい。例えば、図6は、図3Bの例示構造の平面図として見なすと、上方へ突出する帯状部は、残存絶縁層30’、及び上面301を有するある厚さの残存n型層20’の積層によって形成されている。帯状部に囲まれた方形の凹部は、回復n型層221を受け入れ、または活性領域501が直接エピタキシャル成長される、残存n型層20’の上面201を露出する。凹部は、三角形、多辺形、円形または異なった形状の組合せなど、他の規則的または不規則的な形状で置き換えることができる。この実施形態においては、帯状部の寸法は、上記と同じであるが、例えば、ある実施形態では、帯状部の幅dは、3μmまたは6μmなど、1〜10μmの範囲である。方形の辺長aは、10μm、20μm、30μmまたは40μmなど、5〜50μmの範囲である。
【0063】
図7は、図3Bのもう1つの例示構造の平面図として見なすことができ、直径dの円は、上方へ突出する横方向電子注入柱状体を表し、ここで、dはa/2よりも小さく、例えばa/4またはa/8よりも小さく、aは、二次元格子定数である。この場合、上方へ突出する横方向電子注入柱状体は、残存絶縁層30’及びある厚さを持つ残存n型層20’の、上面301を有する積層部で構成される。上方へ突出する横方向電子注入柱状体以外の凹部は、回復n型層221を受け入れ、または活性領域501を直接エピタキシャル成長させることのできる、残存n型層20’の上面201を露出する。この場合、横方向で注入された電子電流は(d/a)2に比例し、上方へ突出する横方向電子注入柱状体は、円形を除く他の規則的または不規則的な形状であってもよい。
【0064】
図4A〜図4Dは、もう1つの実施形態を示す。図4Aに示すように、基板10の上にn型層20が堆積される。n型層20は、基板10にホモエピタキシャル成長またはヘテロエピタキシャル成長されることができる。ヘテロエピタキシャル成長の場合、n型層20は、バッファ層として用いられる他の層を含み、n型層20と基板10との間の格子不整合を緩和してもよい。GaNベースのLEDの場合、n型層20は、SiドープGaNで作製することができる、n型層20は、この分野で従来使用されている任意の適当なn型層であることができる。基板10は、GaN、サファイア、シリコンカーバイド及びガリウムヒ素など、この分野で使用される材料であることができる。マスク15は、n型層20上に形成されて、エッチングパターンを規定する。所定の深さまでエッチングした後、実質的に垂直な側壁をを持つ複数の凹部が、残存n型層20'に形成され、それにより、垂直に位置がずれ、距離dだけ離れた2組の表面201および202が得られる。距離d2は、好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。発光デバイスの構造によっては、距離d2は0.1μmよりも小さく、または0.3μmよりも大きくてもよい。次に、任意であるが、回復n型層22が、残存n型層20'上に堆積され、当該回復n型層22は、表面201に形成された回復n型層221と、表面202に形成された回復n型層222とを含む。次に、回復n型層22の上に、活性領域、例えば多重量子井戸活性領域50が堆積され、当該多重量子井戸活性領域50は、回復n型層221上に形成された多重量子井戸活性領域501と、回復n型層222上に形成された多重量子井戸活性領域502とを含む。多重量子井戸活性領域501および502の上にp型層60が堆積される。図4Cおよび図4Dに示すように、多重量子井戸活性領域501および502は、多重量子井戸活性領域50を迂回するリーク電流パスを防止する、垂直方向に重なり合っている部分がある。重なり合っている部分は、少なくとも1つの、好ましくは2〜6つの量子井戸層を含む。多重量子井戸活性領域501および502が垂直にずれていることは、多重量子井戸活性領域501および502の界面で、少なくとも一部の量子井戸が途切れていることを意味する。言い換えれば、少なくとも一部の量子井戸層の端面が、多重量子井戸活性領域501および502の側壁に暴露されており、その結果、電子および正孔は、暴露した端面を通じて、横方向で量子井戸層に注入される。
【0065】
図4C〜4Dの実施形態では、多重量子井戸活性領域501および502の側壁は実質的に垂直である。しかし、少なくとも一部の量子井戸層の端面が、キャリアの横方向注入を受け入れるために暴露していれば、垂直でない側壁、即ち傾斜した側壁または他の形状の側壁も本発明に適用できる。
【0066】
図4C〜図4Dの実施形態では、p型層60とn型層20’はそれぞれ単層であるが、p型層60は、同じまたは異なった組成を持つ複数のp型層を含むことができ、n型層20’も、同じまたは異なった組成を持つ複数のn型層を含むことができる。
【0067】
図4A〜図4Bの実施形態では、表面201の組は、いずれも同じ水平面にありかつ平面であり、表面202の組も、いずれも同じ水平面にありかつ平面であり、表面201および202の側壁は、いずれも実質的に垂直である。しかし、別々の201の表面が異なる高さにおいて異なる水平面に位置したり、非平担であったりすることもでき、別々の202の表面が異なる高さにおいて異なる水平面に位置したり、非平担であっったりすることもでき、そして、表面201と表面202との間の側壁は、非垂直、傾斜、またはその他の形状であってもよい。従って、多重量子井戸活性領域502の上面は異なる高さで異なる水平面にあってもよく、上面は非平担であってもよい。多重量子井戸活性領域502の底面は異なる高さで異なる水平面にあってもよく、底面は非平担であってもよい。同様に、多重量子井戸活性領域501の上面は異なる高さで異なる水平面にあってもよく、上面は非平担であってもよい。多重量子井戸活性領域501の底面は異なる高さで異なる水平面にあってもよく、底面は非平担であってもよい。図4Eは、上面202、結果的に多重量子井戸活性領域502が、異なる表面にあることを示す例である。
【0068】
本実施形態では、横方向で電子および正孔を注入することができる。正孔は、横方向で多重量子井戸活性領域502に注入され、電子は、横方向で活性領域501に注入される。多重量子井戸活性領域501および502はいずれも発光に寄与するので、エッチングパターンは、突出した領域と凹んだ領域とが同じ面積を持つように設計されるのが好ましい。任意の適切な一次元または二次元パターンを適用でき、二次元パターンの例として、図4Bの一例の構造の平面図である図8に、将棋盤状構造を示す。図示のように、上方へ突出する方形部は、上面202を有しており、その長さa2は、例えば、10μm、20μm、30μmまたは40μmである、5〜50μmの範囲にある。突出した方形部と交互に配列された凹んだ方形部は、底面201を有しており、その長さa1は、例えば、10μm、20μm、30μmまたは40μmである、5〜50μmの範囲にある。上面202及び底面201は、それぞれ回復n型層222及び221を受け入れ、またはそれぞれ活性領域501及び502が直接エピタキシャル成長される。上方に突出した方形部および凹んだ方形部は、三角形、多辺形、円形または種々の形状の組み合わせなど、他の規則的または不規則的な形状で置き換えることができる。突出部の面積は、凹部の面積と等しいか、それよりも大きくすることができる。図8の実施形態では、突出部の面積は凹部の面積と同じである(a1=a2)。
【0069】
図6は、図4Bのもう1つの例の構造の平面図とみなすことができ、上方へ突出する帯状部は、上面202を持つ、残存n型層20’の突出部によって形成される。帯状部で囲まれた凹んだ方形部は、残存n型層20'の表面を露出する。この場合、凹んだ方形部は、三角形、多辺形、円形または種々の形状の組み合わせなど、他の規則的または不規則的な形状で置き換えられてもよい。本実施形態の、図2A〜2D及び3A〜3Cに示す構造との1つの大きな違いは、本実施形態においては、隣接する活性領域501および502は、垂直に重なり合っている部分を共用して、多重量子井戸活性領域50を迂回するリーク電流パスを防止する働きをし、また、少なくとも1つ、好ましくは2〜6つの量子井戸層を含むことである。いくつかの実施形態では、隣接する活性領域501および502の垂直に重なり合っている部分は、6つよりも多い量子井戸層を含む。
【0070】
図7は、図4Bのさらに他の例の平面図とみなすことができる。直径dを持つ円は、上方へ突出する横方向電子注入柱状体を示しており、ここで、dはa/2よりも小さく、例えばa/4よりも小さい。aは、二次元格子定数である。この場合、上方へ突出する横方向電子注入柱状体は、上面202を持つ、残存n型層20’の突出部で形成される。柱状体以外の凹部は、残存n型層20’の表面201を露出する。表面202及び201は、それぞれ回復n型層222及び221を受け入れ、またはそれぞれ活性領域501及び502が直接エピタキシャル成長される。この場合、横方向で注入された電子電流は(d/a)2に比例し、上方へ突出する横方向電子注入柱状体は、円形以外の他の規則的または不規則的な断面形状を有していてもよい。
【0071】
更に図4C〜図4Dを参照すると、活性領域50は、上面5001、底面5002および側壁5003によって定められた複数の容積ユニットを含んでいるということができる。各容積ユニットは、複数の連続的な量子井戸層及び量子障壁層を含む。隣接する容積ユニットは、垂直にずれており、隣接する容積ユニットの上面が同じ平面にないか、または底面が同じ平面にない。容積ユニットの側壁は、2つの組に分けられており、一方の組は、n型層に接してn型層から横方向で注入された電子を受け入れ、他方の組は、p型層に接してp型層から横方向で注入された正孔を受け入れる。図4C〜図4Dの実施形態では、活性領域501は、n型層に接する側壁の組を含み、活性領域502は、p型層に接する側壁の組を含んでいる。好ましくは、各側壁は複数の井戸層に接し、より好ましくは、井戸層の総数の半分よりも多くと接する。活性領域501および502の相対サイズを調節することで、残存n型層20’と活性領域501の側壁との接触面積の、p型層60と活性領域502の側壁との接触面積に対する比率を、例えば0.5〜2、好ましくは、0.8〜1.5に調節できる。いくつかの実施形態では、この比率は、約1であり、別の実施形態では、当該比率は0.5よりも小さいか、または1.5よりも大きい。
【0072】
更に図4Bと図6〜図8を参照すると、図8に示す実施形態では、各突出した方形部202及び各凹んだ方形部201は、1つの容積ユニットに対応するように構成されている。図6の実施形態では、底面201を有する画凹んだ方形部は、1つの容積ユニットに対応し、凹んだ方形部を囲む上面202を有する帯状部は、帯状部の形状に一致した1つの連続する容積ユニットに対応する。図7の実施形態では、上面202を有する上方へ突出する横方向電子注入柱状体のそれぞれは、1つの容積ユニットに対応し、上方に突出する横方向電子注入柱状体を囲む表面201を有する凹部は、1つの連続する容積ユニットに対応する。
【0073】
図4C〜図4Dの実施形態では、全ての容積ユニットは、同じ数の井戸層および障壁層を持っており、また、実質的に同じ高さを持っている。容積ユニットの上面はそれぞれ垂直にずれている2つの平面に位置し、容積ユニットの底面もそれぞれ垂直にずれている2つの平面に位置している。しかし、本発明は、上記の構造に限られず、例えば、図4Eに示すように、容積ユニットの上面は、それぞれ垂直にずれている3つまたは3つ以上の平面に位置し、容積ユニットの底面もそれぞれ垂直にずれている3つまたは3つ以上の平面に位置してもよい。全ての容積ユニットが異なる数の井戸層および障壁層を有していたり、異なる高さをを有していたりすることも可能である。容積ユニットの側壁は、少なくとも一部の井戸層の端面が、横方向で注入されたキャリアを受け入れる側壁に接している限り、垂直、傾斜、またはその他の形状であってもよい。
【0074】
本実施形態では、層221および222が絶縁層であれば、多重量子井戸活性領域501は、発光に寄与する、横方向で注入された電子を十分に有しているが、活性領域502は、p型層60とn型層20'とが多重量子井戸活性領域501を介して電気的に接続されているため、発光への貢献はより少ない。
【0075】
また、エッチング深さおよび再成長厚さに応じて、p型層60は、平坦な表面(図4C)または不平坦な表面(図4D)を持つことができる。p型層60の表面が不平坦な場合、異なる屈折率を持つ他の材料で充填してそれを平坦な表面とすることができる。図4Dに示すように、p型層60の不平坦な表面は材料70の充填によって平坦にすることができる。材料70は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電体、またはITOなどの透明導電酸化物であることができる。材料70を適当に選択すれば、LEDの発光効率を向上させることができる。
【0076】
図4C〜図4Dに示したのは、活性領域501及び502の両方を覆うp型層60であるが、任意に、p型層60と活性領域501及502との間に薄い絶縁層を体積させてもよい(不図示)。例えば、絶縁層を活性領域501及び502に直接接触させれば、正孔を縦方向で活性領域501および502に注入することができなくなり、横方向の正孔注入のみが可能となる。所望であれば、p型層60の一部を活性領域501及び502と接触させることができ、例えば、薄い絶縁層で活性領域501及び502の一部のみを覆い、活性領域501及び502の残りの部分をp型層60に対して露出させてもよい。所望であれば、p型層60と活性領域501及び502との間に他の層、例えばエネルギーバンドがp型層60より広いp型層を形成してもよい。
【0077】
図多重量子井戸活性領域への正孔および電子の横方向注入は、さらに他の実施形態でも達成することができる。図5A〜5Jに示すように、基板10上にn型層20が堆積される。n型層20は、基板10上にホモエピタキシャル成長またはヘテロエピタキシャル成長されることができる。ヘテロエピタキシャル成長の場合、n型層20は、n型層20と基板10との間の格子不整合を緩和するバッファ層として用いられる他の層を含むことができる。GaNベースのLEDの場合、n型層20は、SiドープGaNで作製することができる。また、n型層は、この分野で従来使用される任意の適切なn型層であることができる。基板10は、GaN、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、石英、酸化亜鉛、ガラスおよびガリウムヒ素など、この分野で使用される材料であることができる。n型層20上に絶縁層30が堆積される。絶縁層30上には、エッチングパターンを規定する第1のマスク15が形成される。エッチング後、第1のマスク15が除去されて、残存絶縁層30’の上面301及び残存n型層20’の一部の上面201を露出させる。2組の表面301および201は、図5Bに示すように後続のLED構造の成長用に、垂直にずれている。そのLED構造の成長は、後の多重量子井戸活性領域の成長用に、エッチングされたn型層20の表面の回復/リフレッシュのための、任意の回復n型層22の成長から始まる。任意の回復n型層22は、残存n型層20’の表面201上に形成された回復n型層221と、残存絶縁層30’の表面上に形成された回復n型層222とを含む。次いで、回復n型層22の上に、多重量子井戸活性領域50などの、回復n型層221上に形成された多重量子井戸活性領域501および回復n型層222上に形成された多重量子井戸活性領域502を含む活性領域が堆積される。第2のマスク152が、多重量子井戸活性領域501を覆い、かつ多重量子井戸活性領域502を露出させて形成される。それから、エッチングによって、表面301上または回復n型層222上に堆積された多重量子井戸活性領域502の一部まだは全部を除去して、多重量子井戸活性領域501の側壁を露出させる(図5D〜図5E)。第2のマスク152が除去され、次いで、p型層60を成長させる(図5F)。図5Fは、活性領域501の上面および側壁の両方を覆っているp型層60を示す。任意で、p型層60と多重量子井戸活性領域501の上面との間に薄い絶縁層(不図示)を堆積させることができる。例えば、薄い絶縁層を多重量子井戸活性領域501と直接接触させれば、正孔を縦方向で活性領域501に注入することが妨げられ、横方向の注入パスのみが開くので、完全な横方向注入を実現できる。所望であれば、p型層60の一部を多重量子井戸活性領域501と接触させることができ、その場合、例えば、薄い絶縁層が多重量子井戸活性領域501の一部のみを覆い、多重量子井戸活性領域501の残りの部分をp型層60に対して露出させてよい。所望であれば、p型層60と多重量子井戸活性領域501との間に他の層、例えばエネルギーバンドがp型層60より広いp型層を形成することもできる。任意で、ある厚さを持つ活性領域502をエッチングせず、その一方で、活性領域501の側壁をp型層60に暴露してもよい。
【0078】
第3のマスク153が、前に除去された活性領域502の領域と一致する部分を露出させてp型層60上に堆積され、残存n型層20’及びその上の多重量子井戸活性領域501の側壁が露出するまでエッチングする(図5G〜図5H)。第3のマスク153が配置された状態で、露出した残存n型層20’の上に、n型層223が、活性領域501の露出した側壁と接触させて堆積される。n型層223上に絶縁層302を形成して、n型層223とp型層60を隔離する(図5I)。不平坦な領域(存在すれば)を光学材料70で充填する。最後に、第3のマスク153及びその上のすべての堆積物を除去して、図5Jに示された最終構造が得られる。
【0079】
横方向での正孔と電子の注入比を調節するために、n型層223と絶縁層302によって形成された電子注入プラグの数、及び多重量子井戸活性領域501の側壁の間に形成されたp型層60によって形成された正孔注入プラグの数を調節してもよい。例えば、電子注入プラグの数の、正孔注入プラグの数に対する比は、0.1〜2とすることができ、好ましくは0.5〜1である。または、電子注入プラグと多重量子井戸活性領域501の側壁との接触面積の、正孔注入プラグと多重量子井戸活性領域501の側壁との接触面積に対する比を調節することもでき、その値は、例えば、0.1〜2の範囲、好ましくは、0.5〜1の範囲である。
【0080】
図5Jに概略的に示すように、正孔と電子は、多重量子井戸活性領域501の同じ領域に横方向で注入されることができる。また、絶縁層でn型層221を置き換えれば、電子の完全な横方向注入を実現できる。一方、p型層60と活性領域501の上面との間に薄い絶縁層(図5F〜図5Jには不図示)を、例えば直接接触させて堆積させれば、正孔を縦方向で活性領域501に注入することができなくなり、横方向の注入パスのみが開くるので、正孔の完全な横方向注入を実現できる。絶縁層221と、p型層60と多重量子井戸活性領域501の上面との間に堆積された薄い絶縁層との存在により、同じ多重量子井戸活性領域501への電子および正孔の完全な横方向注入が達成される。このことは、多重量子井戸での発熱を最小限に抑制し、多重量子井戸における最も均一なキャリア分布をもたらす。所望であれば、p型層60と多重量子井戸活性領域501の上面との間に他の層、例えばエネルギーバンドがp型層60より広いp型層を形成してもよい。
【0081】
また、上記の実施形態では、本発明の原理は、基板側にn型層を堆積させているが、p型層を基板側に堆積させたLEDにも同じ原理適用できることが理解される。例えば、図4A〜4Dにおいて、層20(20’)および22(221と222)は、p型層であってもよく、層60は、n型層であってもよい。この場合、垂直に位置がずれた多重量子井戸構造を持つので、正孔と電子は、横方向で多重量子井戸に注入される。
【0082】
図1を参照すると、横方向でのキャリア注入は、ヘテロ接合のエネルギーバンドの不連続性に伴う多重量子井戸での発熱を低減または防止でき、これによりLEDの内部量子効率が向上することを期待できる。また、本発明によれば、横方向でのキャリア注入は、多重量子井戸における全ての量子井戸層または少なくとも一部の量子井戸層が電気的に並列に接続されていることを意味する。従来のLEDでは、多重量子井戸での量子井戸層は、電気的に直列に接続されている。並列接続は、直列接続よりも抵抗がずっと小さく、これは、LEDにとって好ましい。そして、図1に示すように、c平面窒化物ベースのLEDでは、多重量子井戸の分極場は垂直方向にあり、かつキャリアが多重量子井戸と垂直に注入される場合、分極場とキャリアの注入方向が反対である。本発明においては、横方向のキャリア注入は、分極場に逆らって注入されないので、発熱がより低減される結果となるであろう。
【0083】
本発明に使用される多重量子井戸は、単色光を発光できるが、多色光を発光するように構成することもできる。多色光を発光させるために、多重量子井戸内の量子井戸は、異なるバンドギャップ、つまり異なる組成を有していてもよい。従来のLEDでは、多重量子井戸の成長方向で非平衡電子/正孔の均一な分布を得るのが困難であったため、実際に多色光LEDを実現するのは非常に困難であった。しかし、本発明は、縦方向注入に替えて、または縦方向注入に追加して、位置がずれた多重量子井戸構造を用いて電子/正孔の横方向注入を可能としたので、多重量子井戸活性領域全体での、注入されたキャリアの均一的な分布を実現し、多色光LEDを製造することができる。多色光LEDの一例は、赤、緑及び青の光を発光して、高品質の白光を合成することができるLEDである。
【0084】
この、位置がずれた活性領域の設計は、非常にハイパワーの発光デバイス用に、非常に厚い活性領域を可能にする。従来技術では、増加する順方向電圧及び光の自己吸収のため、20を超える井戸/障壁の対を有する多重量子井戸活性領域など、厚い活性領域を実現するのは困難であった。本発明によれば、活性領域は位置がずれており、この配置は、一方では、活性領域における光の自己吸収を大幅に減少させることができ、他方では、すべての量子井戸でのキャリアの均一な分布のための、キャリアの横方向注入を可能にする。活性領域が厚くなれば、露出した側壁も大きくなり、よって、横方向での電流注入も多くなる。このことにより、活性領域におけるキャリアの分布をより均一にでき、より大きな発光量が可能となる。本発明は、20を超える多重量子井戸の対、好ましくは、50を超える、例えば100を超える多重量子井戸の対を可能とする。100対の多重量子井戸を持つ活性領域の場合、凹んだ多重量子井戸502及び突出した多重量子井戸501の位置をずらすためのエッチング深さ(例えば、図4Bにおけるd2)は、好ましくは、2μmよりも大きい。
【0085】
本発明は、非常に厚い障壁を持つ量子井戸も可能とする。従来技術では、注入された少数キャリアの拡散長により、量子障壁の厚さは、100nm未満に制限されている。本発明の一形態によれば、電子注入層および正孔注入層は、活性領域と横方向で接触できる。このことは、キャリアが直接、量子井戸層に注入され、量子障壁層を通る必要がないことを意味する。従って、本発明によるLEDの実施形態では、非常に厚い障壁層を採用できる。本発明による各量子障壁層の厚さは、5〜1000nmの範囲、例えば、10〜500nm、10〜300nmまたは100〜200nmとすることができる。
【0086】
本発明によれば、各量子井戸層の厚さは1〜5nmとすることができる。活性領域全体の厚さは200nm〜5000nm、例えば、400nm〜1000nm、または500nm〜900nmとすることができる。多重量子井戸活性領域は、2〜200対の井戸層および障壁層を含むことができ、例えば、10〜100対、または20〜50対である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの量子井戸層は、ピーク波長の差が少なくとも10nm、または少なくとも20nm、または少なくとも50nmである、異なる波長の光を発する。
【0087】
明細書に添付した図面は、基板からn型層の成長を開始しているが、本発明の原理は、p型層の成長から開始する構造にも適用できる。
【0088】
本発明を典型的な実施形態で説明したが、本発明の範囲は、上記の実施形態に限られないことが理解される。一方、種々の変更および類似の構造または等価物に及ぶことを意図しているので、特許請求の範囲は、そのようなすべての変更および類似の構造または等価物を包含するように最も広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0089】
10 基板
15 マスク
20 n型層
30 絶縁層
40 p型層
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、汎用の発光デバイス、特にキャリア注入を向上させ、発熱および光吸収を低減する発光デバイスを提供する。
【背景技術】
【0002】
発光素子において、電子注入層(n型層)と正孔注入層(p型層)のほかに、最も重要なのは、n型層とp型層の間に挟まれる活性層である。非平衡状態の電子と正孔は、活性層に注入されて再結合し、結果として発光する。注入されたキャリア(電子および正孔)は、極性が反対のキャリアの吸引及び極性が同じキャリアの反発力を受けることがあるが、電子正孔対の形成を助け、再結合確率を促進するのは、極性が反対の吸引なので、比較的高い発光効率を持つためには、注入されたキャリアを一定の領域/容積に限定することが非常に望ましい。
【0003】
過去数十年間、活性領域は、既に三次元(3D)から二次元(2D)に進歩し、更には一次元(1D)およびゼロ次元(0D)まで進歩している。3D活性領域は、量子閉じ込め効果がない、ある体積を持つ材料から構成されており、キャリアが三次元的に拡散することができ、電子−正孔(e−h)の再結合確率が比較的低い。2D活性領域は普通、キャリアが注入された方向に量子閉じ込めがあるが、よく利用されているのは、多重量子井戸(MQW)構造である。1Dと0D活性領域は、その他の方向で余分の量子ゲージを採用するが、量子細線と量子ドットはその代表となる。
【0004】
3D活性領域と比べ、2D多重量子井戸活性領域は、製造が複雑にならないにもかかわらず、比較的高い電子正孔再結合確率を有する。したがって、多重量子井戸活性領域は現在、発光デバイスに最も多く採用されている構造である。
【0005】
多重量子井戸構造には、交互に積層された複数の量子障壁(以下、単に障壁ともいう)および量子井戸(以下、単に井戸ともいう)が含まれるが、量子障壁は、比較的大きなバンドギャップエネルギーを持つので、量子井戸の両側に挟まれると、注入されたキャリアを量子井戸の中に閉じ込めて、非常に高い発光再結合効率を得ることができる。図1には、典型的なGaN/InGaN多重量子井戸LEDのバンド構造の例が示されている。図に示すように、GaN障壁およびInGaN井戸は、価電子帯と同様、伝導帯もバンド不連続を有している。通常、伝導帯のバンド不連続は、より強く、井戸中の電子に対してポテンシャル障壁を形成する。不連続の価電子帯は、ポテンシャル障壁を形成して井戸中に正孔を閉じ込める。したがって、井戸に注入された非平衡状態電子と正孔は、従来技術の発光デバイスにおけるキャリア注入方向と一致する方向である、注入方向と垂直な方向で井戸の中に閉じ込められる。このような閉じ込めは、電子正孔の振動強度を大きく増加させ、電子正孔の再結合確率を増加させることができる。
【0006】
しかし、本発明者らは、多重量子井戸を活性領域に使用した従来技術における欠陥を指摘する。図1(正孔を中空円で表示する)を参照すると、キャリアが量子障壁から量子井戸に注入されると、キャリアの位置エネルギーの損失が生じる。この損失した分の位置エネルギーはまず、キャリアの運動エネルギーに変換され、それからフォノンの放射により全て熱に変換される。伝導帯の不連続性が比較的大きいので、電子の注入において熱の発生は特に著しい。
【0007】
例えば、商用の青色または緑色用LEDにおいて、GaNおよびInGaNが、それぞれ多重量子井戸構造における量子障壁と量子井戸の材料に使用されているが、量子障壁と量子井戸との間のバンド不連続は、0.5〜0.8eVに達している。本発明者らは、一般照明に使用されるこの種のLEDは、1Aの駆動電流において、多重量子井戸に垂直なキャリアの注入及びこの方向におけるバンドギャップ不連続性のため、多重量子井戸の活性領域で0.5〜0.8ワットの熱量を発生することを見出した。バンドギャップ不連続と関連し、発光領域の内部で発生する熱は、電気光変換効率に不利な影響を与える。特に大電流が注入された場合に、この種の熱は、よくある効率低下の根本的な原因(効率低下は、米国特許出願公開第2009/0050924号公報に記載されており、ここに、その全ての内容が引用される)である可能性がある。
【0008】
従来技術の多重量子井戸構造のもう一つの欠陥は、最遠端の量子井戸に到達するために、キャリアが量子井戸から量子障壁に繰り返してポンプアップされることである。図1を参照すると、まずQW1(第1量子井戸)に注入された電子は、さらなる量子障壁にポンプアップされて、QW2(第2量子井戸)及びQW3(第3量子井戸)に到達させられるが、このことは、デバイスの抵抗を増加させ、したがってデバイスの順方向電圧を増加させてしまう。Ni等(Reduction of efficiency droop in InGaN light
emitting diodes by coupled quantum wells, Appl. Phys. Lett. 93, 171113(2008))は、キャリアのトンネル伝送を促進するために、薄い量子障壁を採用することを報告しているが、トンネル障壁は、必然的に量子閉じ込め効果を低下させ、発光再結合効率を低下低下させる。
【0009】
米国特許7,611,917号明細書(ここに、その全ての内容を、引用によって組み込む)は、エピ層にピットを成長させる方法を開示し、発光活性領域がこれらのピット領域に延び、正孔の注入を向上させることを期待している。同様に、米国特許出願公開第2009/0191658号公報(ここに、その全ての内容を、引用によって組み込む)も、成長ピットを通じて正孔注入を向上する方法を提案し、さらに当該文献は、成長の後、活性領域を貫くp型領域を形成するアプローチとしてイオン注入および拡散を示唆し、同時に、活性領域を選択的にエッチングし、かつp型層を再成長させて、エッチングされた活性領域を埋めることを述べている。これらのアプローチは、普通、正孔の注入を改善できるが、ピットの成長は、デバイス構造の品質を低下させることがあり、かつ成長後の処理も活性領域にダメージを与えることがある。したがって、上記の2項の文献にて提案されたアプローチは、例えば、比較的大きなリーク電流、比較的低い逆方向耐電圧及び低い静電放電能力とった、デバイス性能の低下をもたらすことがある。
【0010】
現在、発光デバイスは、ヘテロ構造を採用して発光効率を大いに向上させているが、ヘテロ構造に付随するバンドギャップ不連続性は、必然的に、ヘテロ構造インターフェース(ヘテロインターフェース)と垂直な方向でキャリアの注入に対し障害を発生させることがある。このキャリア注入に対する障害は、キャリアが比較的大きな有効質量を持つワイドバンドギャップ半導体に対して特に深刻である。そして、キャリアがワイドバンドギャップ層からナローバンドギャップ層に注入されるとき、キャリアは、フォノンの放射により位置エネルギーを損失することがあり、この種のキャリア格子の相互作用プロセスは、特に、デバイスが一般照明用に大電流注入で駆動される場合には、熱を発生して、発光効率を低下させることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、多重量子井戸での発熱を減少しまたは防止し、バンドギャップ連続性による、余分な順方向電圧の増加を低減または除去するための新しいキャリア注入の仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、n型層と、p型層と、活性領域とを有し、n型層が、活性領域への横方向注入電子のための、活性領域と実質的に垂直な第1の接触領域で活性領域と接触する発光デバイスを提供する。
【0013】
好ましくは、p型層も、活性領域への横方向注入正孔のための、活性領域と実質的に垂直な第2の接触領域で活性領域と接触している。好ましくは、活性領域は、複数の障壁層および井戸層で作製される。いくつかの実施態様では、活性領域は、20〜25対の井戸層および障壁層を含む。
【0014】
いくつかの実施態様では、活性領域の全体の厚さは、400nmから1000nmの範囲内である。各障壁層の厚さは、10nmから300nmの範囲内である。いくつかの実施態様では、少なくとも2つの井戸層が、少なくとも10nm異なるピーク波長を有する異なる波長の発光を放射する。
【0015】
n型層、p型層および活性領域に適合する基板は、GaN、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、酸化亜鉛、石英、ガラスおよびガリウムヒ素を含むグループから選択することができる。
【0016】
本発明の他の態様は、n型層と、p型層と、n型層とp型層の間に挟まれ、垂直に位置がずれた活性領域とを有する発光デバイスを提供する。活性領域は、上面、底面及び側壁でそれぞれが規定される複数の容積ユニットを含んでおり、隣接する容積ユニットは、垂直にずれており、その結果、それらの上面が同じ平面にないか、または底面が同じ平面にない。これらの容積ユニットの側壁は、2つの組に分けられており、第1の組の側壁は、n型層から横方向に注入された電子を受け入れるためにn型層に露出し、第2の組の側壁は、p型層から横方向に注入された電子を受け入れるためにp型層に隣接している。側壁のそれぞれの組は、2つ以上の量子井戸層を露出している。
【0017】
いくつかの実施態様では、容積ユニットの上面は、それぞれ垂直にずれている2つの平面の間に位置しているか、または垂直にずれている3つ以上の平面の間に位置する。
【0018】
いくつかの実施態様では、全ての容積ユニットは、同じ数の量子井戸層及び実質的に同じ高さを有しており、隣接するユニットは、垂直方向に重なり合って少なくとも1つの量子井戸層を含む部分を共有している。
【0019】
一部の実施例において、活性領域は、バンド幅が異なった複数の量子井戸層を含む。
【0020】
いくつかの実施態様では、n型層と容積ユニットの第1の組の側壁との間の接触面積に対するp型層と容積ユニットの第2の組の側壁との間の接触面積の比は、0.5〜2である。
【0021】
本発明の他の態様は、n型層と、p型層と、n型層とp型層の間に挟まれた活性領域とを有し、活性領域は、一種のn型層に向かって突出した複数の第1の突出部を有し、これら第1の突出部の側壁は、n型層に露出しており、n型層から横方向に注入された電子を受け入れることができる発光デバイスを提供する。
【0022】
いくつかの実施態様では、活性領域は、p型層に向かって突出した複数の第2の突起部をさらに含み、これら第2の突起部の側壁は、p型層に露出しており、p型層から横方向に注入された正孔を受け入れることができる。
【0023】
活性領域について、好ましくは複数の量子井戸層と量子障壁層を有し、第1の突出部の側壁は、2つ以上の量子井戸層を露出する。
【0024】
いくつかの実施態様では、第1の突出部は、互いに離れた突出部を有しており、別のいくつかの実施態様では、第1の突出部は、互いにつながって連続構造を構成する突出部を有している。
【0025】
本発明の他の態様は、複数の第1の突出部を含むn型層と、p型層と、n型層とp型層の間に挟まれた複数の量子井戸層と量子障壁層を持つ活性領域とを有する発光デバイスを提供する。活性領域は、n型層の第1の突出部と対応し、それぞれ第1の突出部の1つに適合する複数の第1の凹部を含んでいる。これら第1の凹部の側壁は、2つ以上の量子井戸層を露出しており、n型層の第1の突出部から横方向に注入された電子を受け入れる。
【0026】
いくつかの実施態様では、活性領域は、複数の第2の凹部も含み、p型層は、それぞれが第2の突出部の1つに適合する複数の第2の凹部を含む。これら第2の凹部の側壁は、2つ以上の量子井戸層を露出しており、p型層の第2の突出部から横方向に注入された正孔を受け入れることができる。
【0027】
いくつかの実施態様では、第1の凹部は、活性領域全体を貫いており、p型材料及びp型材料を第1の突出部から隔離する絶縁材料でそれぞれ一部分が充填されており、p型材料はp型層と繋がっている。
【0028】
いくつかの実施態様では、第1の突出部は、互いに離れた突出部を有しており、別のいくつかの実施態様では、第1の突出部は、互いにつながって連続構造を構成する突出部を有している。
【0029】
いくつかの実施態様では、第2の凹部は、活性領域全体を貫いており、第2の突出部をn型層から隔離するように、それぞれ一部分が絶縁材料で充填されている。いくつかの実施態様では、第1の凹部は、活性領域全体を貫いており、第1の突出部をp型層からするようにそれぞれ一部分が他の絶縁材料で充填されている。
【0030】
本発明の他の態様は、発光デバイスの製造方法を提供する。当該方法は、基板上に堆積したn型層を用意することと、n型層をパターニングして、第1の組の表面、及び第1の組の表面と垂直にずれている第2の組の表面を規定する複数の凹部を形成することと、n型層の表面の上に、かつそれに倣って活性領域を堆積することであって、活性領域の第1部分が、第1の組の表面に形成され、活性領域の第2部分が、第2の組の表面に形成され、活性領域の第1部分が活性領域の第2部分と垂直にずれるようにすることと、活性領域の上に、かつそれに倣ってp型層を堆積することとを含む。
【0031】
活性領域を堆積するステップは、好ましくは、複数の量子井戸層と量子障壁層を交互に堆積することを含む。n型層と接触する活性領域の第1の部分の側壁は、少なくとも1つの量子井戸層を露出し、p型層と接触する活性領域の第2の部分の側壁は、少なくとも1つの量子井戸層を露出する。
【0032】
いくつかの実施態様では、製造方法は、活性領域を堆積する前に、n型層の上に、n型層の第1の組の表面および第2の組の表面を覆う回復n型層をさらに堆積することを含む。
【0033】
いくつかの実施態様では、製造方法は、活性領域を堆積する前に、n型層の上に、n型層の第1の組の表面と第2の組の表面を覆うが、第1の組の表面と第2の組の表面を連接する側壁を覆わない絶縁層をさらに堆積することを含む。
【0034】
本発明の他の態様は、発光デバイスの製造方法を提供する。当該方法は、
基板上に堆積したn型層を提供し、n型層上に絶縁層を形成することと、
絶縁層をパターニングして、絶縁層の露出した部分、及び絶縁層の露出した部分の下のn型層の一部分を除去し、残存絶縁層の第1の組の表面、及び第1の組の表面と垂直にずれている、残存n型層の第2の組の表面を得ることと、
活性領域を堆積し、その結果、活性領域の第1の部分が、第1の組の表面上に形成され、活性領域の第2の部分が第2の組の表面に形成されるようにすることと、
活性領域の第1の部分を除去して、残存絶縁層を露出することと、
活性領域の上に、活性領域の上面を覆うp型層を堆積し、活性層の除去された第1の部分が占めていた空間をp型層の一部で満たし、複数の正孔注入プラグというを形成することと、
p型層をパターニングおよびエッチングして、正孔注入プラグの一部及びその下の残存絶縁層を、複数の電子注入ホールを形成するようにn型層が露出するまで除去することと、
複数の電子注入ホールの中に別のn型層を堆積して、複数の電子注入プラグを形成することと、
複数の電子注入プラグの上に別の絶縁層を堆積して、複数の電子注入プラグをp型層から絶縁することと、を含む。
【0035】
活性領域を堆積するステップは、好ましくは、多重量子井戸層と量子障壁層を交互に堆積することを含む。正孔注入プラグは、少なくとも1つの量子井戸層と接触しており、かつ電子注入プラグも少なくとも1つの量子井戸層と接触している。
【0036】
いくつかの実施態様では、製造方法は、活性領域を堆積する前に、n型層の上に、n型層の第1の組の表面および第2の組の表面を覆う回復n型層をさらに堆積する。
【0037】
本発明の他の態様は、発光デバイスの製造方法を提供する。当該方法は、基板上に堆積されたn型層、絶縁層及びp型層を用意することと、
p型層および絶縁層を、n型層が露出するまでパターニングおよびエッチングし、p型層および絶縁層の残存部分を含む突出部が形成されるようにすることと、
複数の量子井戸および量子障壁を持つ活性層を、基板を覆って堆積して、突出部が活性層を貫き、かつp型層の残存部分が2つ以上の量子井戸層に露出するようにすることと、を含む。
【0038】
いくつかの実施態様では、p型層および絶縁層をパターニングおよびエッチングするステップは、n型層を所定の深さまでエッチングする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ゼロバイアスにおいて計算されたGaN/InGaN多重量子井戸LEDのバンド構造を示す。
【図2A】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図2B】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図2C】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図2D】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図3A】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図3B】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図3C】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図4A】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図4B】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図4C】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図4D】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図4E】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5A】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5B】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5C】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5D】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5E】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5F】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5G】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5H】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5I】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図5J】本発明による一実施形態の構造および製造プロセスの流れを示す。
【図6】二次元のエッチングパターンの例である、方形グリッドパターンを示す。
【図7】二次元のエッチングパターンの例である、円の方形格子パターンを示す。
【図8】二次元のエッチングパターンの例である、チェスボードパターンを示す
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の更なる理解のために提供され、本出願の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示し、明細書とともに本発明の原理を説明する。図中の同様の参照番号は同様の要素を参照し、層は、同じ機能に関連する1組の層を参照する。
【0041】
本発明の原理は、本明細書の教示に基づく技術に熟練した者によりLEDやレーザダイオードなどの発光デバイスに応用することができ、また、光検出器ダイオードにも応用することができる。簡明のために、本発明者らは、GaNベースのLEDを例として本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、GaNベースのLEDに制限されないことを理解されたい。
【0042】
本発明の一形態によれば、多重量子井戸(MQW)層と平行な方向に正孔を注入し、または量子井戸層に横方向に正孔を注入することができる発光デバイス、またはLEDが提供される。ここに、そのような発光デバイスの構造および製造工程を説明する。製造工程は、
基板の上に堆積されたn型半導体層、n型層の上に堆積された絶縁半導体層及び絶縁層の上に堆積されたp型半導体層を含むテンプレートを用意することと、
テンプレート上にマスクを形成すること、マスクされていない領域をn型層までエッチングして、2組の垂直に位置がずれた表面を形成すること、及びマスクを除去することを含んで、テンプレートを成形することと、
薄いn型層を堆積して上記表面を回復すること、回復した表面の上に多重量子井戸活性領域を堆積すること、および活性領域の上にp型層を堆積することを含んで、成形したテンプレートの上にLED成長を再開することと、とを含む。
【0043】
本発明の他の形態によれば、横方向に正孔および電子を注入できるLEDが提供される。その製造方法は、
基板の上に堆積された厚いn型半導体層を含むテンプレートを用意することと、
それから当該テンプレートをパターン化するが、テンプレート上にマスクを形成すること、マスクされていない領域をエッチングして、2組の垂直に位置がずれた表面を形成すること、及びマスクを除去することを含んで、テンプレートを成形することと、
薄いn型層を堆積して上記表面を回復すること、回復した表面の上に多重量子井戸活性領域を堆積すること、および活性領域の上にp型層を堆積することを含んで、成形されたテンプレートの上にLED成長を再開すること、とを含む。
【0044】
本発明のさらに他の形態によれば、横方向に電子を注入できるLEDが提供される。その製造方法は、
基板の上に堆積された厚いn型半導体層及びn型層の上に堆積された絶縁半導体層を含むテンプレートを用意することと、
テンプレート上にマスクを形成すること、マスクされていない領域をn型層までエッチングして、2組の垂直に位置がずれた表面を形成すること、及びマスクを除去することを含んで、テンプレートを成形することと、
薄いn型層または絶縁層を堆積して上記表面を回復すること、回復した表面の上に多重量子井戸活性領域を堆積すること、及び活性領域の上にp型層を堆積することを含んで、成形されたテンプレートの上にLED成長を再開することと、を含む。
【0045】
本発明のさらに他の形態によれば、同じ多重量子井戸活性領域に同時に横方向に電子および正孔を注入できるLEDが提供される。その製造方法は、
基板の上に堆積された厚いn型半導体層およびn型層の上に堆積された絶縁半導体層を含むテンプレートを用意することと、
それから当該テンプレートをパターン化するが、テンプレート上にマスクを形成すること、マスクされていない領域をn型層までエッチングして、2組の垂直に位置がずれた表面を形成すること、及びマスクを除去することを含んで、テンプレートを成形することと、
薄いn型層または絶縁層を堆積して上記表面を回復すること、及び回復した表面の上に多重量子井戸活性領域を堆積することを含んで、成形されたテンプレートの上にエピタキシャル成長を再開することと、
再度マスクを形成して、凹んだ多重量子井戸領域を覆い/保護することと、
再度エッチングして、マスクされていない多重量子井戸領域を除去することと、
再度マスクを除去して、p型層の成長を再開することと、
三回目のマスクを形成して、n型層までエッチングすることと、
基板上の底部のn型層に接触するように先にn型層を成長して、n型層および絶縁層のエピタキシャル成長を再開することと、を含む。
【0046】
図2A〜図2Dは、多重量子井戸活性領域に横方向での正孔注入を可能とするLEDの実施形態の構造および製造工程を示す。図2Aを参照すると、n型層10が、基板10の上に堆積される。当該n型層20は、基板10と同じ材料でも異なった材料でもよく、つまりn型層20は、基板10上にホモエピタキシャル成長されることもできるし、ヘテロエピタキシャル成長されることもできる。ヘテロエピタキシャル成長の場合、n型層20と基板10との間の格子不整合を緩和するためのバッファ層など、n型層20と基板10との間に他の層が存在してもよい。GaNベースのLEDにおいて、n型層20は、SiドープGaN、SiドープAlGaNまたはSiドープInGaN層で作製することができる。基板10は、GaN、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、石英、酸化亜鉛、ガラスおよびガリウムヒ素など、関係分野で使用される材料で作製することができる。n型層20の上面には絶縁層30が形成され、それからp型層40が形成される。絶縁層30は、何もドープされていないGaN、鉄ドープGaN、高補償ドープGaN層などの絶縁性GaN、または絶縁性のAlGaNまたはAlN層であることができる。絶縁層30は、電気的遮蔽に使用されるので、その抵抗率は高いことが望まれており、好ましくは100W.cmよりも高く、より好ましくは、1000W.cmよりも高い。p型層40は、マグネシウムドープのGaN、InGaNまたはAlGaNなどのp型窒化物であることができる。
【0047】
図2Aおよび図2Bを参照すると、マスク15は、エッチングパターンを規定するのに使用される。エッチング深さは、絶縁層30の厚さd3とp型層40の厚さd4の和以上とし、n型層20を露出して、後で成長される活性領域によって、n型層20と十分な電気的アクセスを可能とさせる。絶縁層30の厚さd3は、好ましくは0.1〜0.5μmであり、p型層40の厚さd4は、好ましくは0.2〜0.6μmであるが、d3およびd4は、上記の範囲に限られない。
【0048】
エッチングの後、マスク15を除去して、残存p型層40'の上面401及びn型層20の一部の上面201を露出させる。2組の上面401および201は、以降のLED構造成長のために、図2Bに示すように垂直にずれており、LED構造成長は、多重量子井戸活性領域の成長のために、エッチングされたn型層20の表面を回復/リフレッシュする回復n型層22を任意に堆積することから始まる。回復n型層22は、GaN、InGaNまたはAlGaN層であることができ、その厚さは、0.1〜数μm(例えば3μm)であり、好ましくは、0.1〜0.5μmの範囲である。図2Cを参照すると、n型修復層22は、それぞれ表面201および401を回復する2つの部分である層221および222を含む。層221の厚さは、残存絶縁層30’の厚さとn型層20にエッチングされた厚さの和よりも小さく、その結果、層221は、残存p型層40’と直接接触しない。次に、多重量子井戸活性領域50(層221上に形成された活性領域501及び層222上に形成された活性領域502を含む)は、回復n型層221および222の上に、層毎に堆積される。多重量子井戸活性領域50は通常、交互に積層されたAlInGaN量子井戸およびAlInGaN量子障壁から作製されており、特別な場合、GaNまたはInGaN障壁およびInGaN井戸から作製される。最後に、厚いp型層60が活性領域50の上に成長されて、構造が完成される。エッチング深さおよび再成長厚さに応じて、層60は、平坦な表面(図2C)または不平坦な表面(図2D)を持つことができる。層60の表面が不平坦な場合、異なった屈折率を持つ材料で充填して、不平坦な表面を平坦にすることができる。図2Dに示すように、層60の不平坦な表面は、材料70が充填されて平坦にされる。材料70は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電体、またはITOなどの透明導電酸化物であることができる。
【0049】
図2Cおよび図2Dに示すような構造では、多重量子井戸活性領域501に横方向に正孔を注入することを実現できる。図2Cおよび図2Dでは、正孔電流および電子電流が、それぞれ白抜き矢印および中実矢印で表示されており、図によると、従来の垂直正孔注入のほか、残存p型層40’の側壁から多重量子井戸活性領域501への実質的な横方向正孔注入もある。多重量子井戸活性領域501は、残存絶縁層30’の側壁及び残存p型層40’の側壁に跨っているので、正孔は、多重量子井戸活性領域501の側壁へ横方向から注入され、同時に、残存p型層40’から回復n型層221までのリークパスは排除される。
【0050】
任意で、p型層60の堆積前に、多重量子井戸活性領域502及び/または回復n型層222を除去することができ、任意で、p型層60と多重量子井戸活性領域501との間、バンドギャップエネルギーがp型層60より大きい他のp型層を形成することもできる。
【0051】
マスク15で規定されたエッチングパターンに応じて、横方向に注入される正孔電流成分を調整できる。エッチングパターンは、一次元または二次元とすることができ、簡単な一次元パターンは、1組の平行な帯状部であり、簡単な二次元パターンは、互いに交差する2組の平行な帯状部であっても良い。例えば、図6は、上記のような二次元パターンである、互いに直交する2組の平行な帯状部から構成された方形グリッドである。図2Bおよび図6を参照すると、図6を、図2Bに例示する構造の平面図と見なすと、上方へ突出する帯状部は、残存p型層40’、残存絶縁層30’及びある厚さを持つ任意のn型層20(p型層40及び絶縁層30をエッチングするとき、n型層20が部分的にエッチングされた場合)の、上面401を有する積層部から構成される。帯状部に囲まれた方形の凹部は、n型層20の表面201であり、そこに回復n型層221を受け入れ、または直接、活性領域501を成長させる。凹部の形状は、三角形、多辺形、円形または種々の形状の組合せなど、他の規則的または不規則的な形状で代替されることができる。
【0052】
この場合、横方向に注入された正孔電流成分は2d×a/(a2+2d×a)に比例し(残存p型層40’による追加の抵抗を考慮しない)、ここで、dおよびaは、それぞれ帯状部(または側壁)の幅および方形凹部の辺長である。いくつかの実施形態では、帯状部の幅dは1〜10μmで、方形部の辺長aは5〜50μmである。残存p型層40’の上面に成長された多重量子井戸活性領域502は、発光に寄与しないので、dは広すぎるのは好ましくない。一方、横方向に注入される正孔電流はdとほぼ比例するので、dは十分に広い必要がある。
【0053】
もう1つの方形格子を持つ二次元パターンを図7に示す。図7は、図2Bのもう1つの例示構造の平面図と見なすことができ、直径がdの円は、上方へ突出する横方向正孔注入柱状体を表わし、ここで、dはa/2よりも小さく、例えばa/4またはa/8よりも小さく、aは、二次元格子定数である。この場合、上方へ突出する横方向正孔注入柱状体は、残存p型層40’、残存絶縁層30’及びある厚さを持つ任意のn型層20(p型層40及び絶縁層30をエッチングするとき、n型層が部分的にエッチングされた場合)の、上面401を有する積層部から構成される。上方へ突出する横方向正孔注入柱状体以外の凹部の表面は回復n型層221を受け入れる、または直接、活性領域501を成長させるn型層20の表面201である。この場合、横方向に注入された正孔電流は(d/a)2に比例し、上方へ突出する横方向正孔注入柱状体の断面は、円形を除く、その他の規則的または不規則的な形状であってよい。
【0054】
その他の適当な一次元または二次元パターンもこれらの実施形態に使用することができる。
【0055】
任意で、p型層60と多重量子井戸活性領域501との間に薄い絶縁層を体積させることができ(図2Cおよび図2Dには示さない)、例えば、多重量子井戸活性領域501と直接接触させれば、多重量子井戸活性領域501への垂直正孔注入が防止され、横方向注入のパスのみがオープンされているので、完全な横方向正孔注入を実現できる。所望であれば、p型層60を多重量子井戸活性領域501と部分的に接触させ、つまり、薄い絶縁層が多重量子井戸活性領域501の一部みをカバーし、活性領域501の他の部分がp型層60に露出するようにする。上記のように、横方向正孔注入は、多重量子井戸活性領域、特に不連続価電子帯に関連する多重量子井戸活性領域の、発熱を減少させて、結果的に、活性領域での正孔分布がより均一になる。
【0056】
図3A〜図3Cは、本発明の他の実施形態による活性領域、特に多重量子井戸活性領域に横方向で電子を注入できるLEDの構造および製造工程を示す。横方向電子注入は、多重量子井戸活性領域におけるホットエレクトロンと電子のオーバーフローの可能性を最小限にすることができるので、横方向正孔注入と同様に重要である。バンドギャップ不連続性は主に伝導帯に分布している(60〜80%を占める)ので、多重量子井戸活性領域での熱の低減の観点から、横方向電子注入は、より重要な役割を果たすはずである。図3Aに示すように、n型層20は、基板10上に堆積されるが、当該n型層20は、基板10上にホモエピタキシャル成長またはヘテロエピタキシャル成長されることができる。ヘテロエピタキシャル成長の場合、n型層20は、バッファ用の他の層を含んでもよく、n型層20と基板10との間の格子不整合を緩和することができる。GaNベースのLEDにおいて、n型層20は、SiドープGaNで作製することができ、また、n型層20は、この分野で従来使用されている任意の適切なn型層であることもできる。基板10は、GaN、サファイア、シリコンカーバイド及びガリウムヒ素など、この分野で使用される材料であることができる。n型層20の上面には絶縁層30が形成される。絶縁層30は、何もドープされていないGaN、鉄ドープGaN及び高補償ドープGaN層など絶縁性のGaN、または絶縁性のAlGaNまたはAlN層であることができる。絶縁層30は、電気的遮蔽に使用されるので、抵抗率が高いことが望ましく、好ましくは100W.cmよりも高く、より好ましくは、1000W.cmよりも高い。絶縁層の厚さは、0.1μmよりも大きく、好ましくは0.2〜0.5μmである。
【0057】
マスク15は、所望の一次元、二次元または不規則なエッチングパターンを規定するのに使用される。エッチング深さは、多重量子井戸活性領域501を残存n型層20’の凹部で部分的に埋め込むことができるのに十分な深さである(図3Bおよび図3C)。図3Cを参照すると、絶縁層30とn型層20の合計のエッチング深さは、好ましくは0.3〜1.0μmである。次いで、多重量子井戸活性領域501および502は、残存n型層20’の露出した上面201及び残存絶縁層30’の上面301の上に、層ごとに同時に堆積される。多重量子井戸活性領域501は普通、交互に積層されたAlInGaN量子井戸および障壁から構成されるが、特別な場合は、GaNまたはInGaN障壁およびInGaN井戸から構成される。最後に、多重量子井戸活性領域501および502の上に厚いp型層60を成長させて全体の構造が完成する。エッチング深さおよび再生長厚さに応じて、p型層60は、平坦な表面(図3C)または不平坦な表面(表示されていない)を持つことができる。p型層60の表面が不平坦な場合、図2Dに示す充填材70のように、異なる屈折率を持つ他の材料で充填してp型層60の表面を平坦にすることができる。
【0058】
デバイスに順方向バイアスを引加すると、正孔電流と電子電流は、図3Cにそれぞれ白抜き矢印および中実矢印で示されるように、多重量子井戸活性領域501に入る。多重量子井戸活性領域501は、残存n型層20’の突出部の側壁及び残存絶縁層30’の側壁に跨跨る配置なので、多重量子井戸活性領域501を迂回するリーク電流が防止される。
【0059】
また、図3Cを参照すると、回復層221および222は、図2A〜2Dに関連して説明した回復n型層22と同様に形成することができる。この実施形態における回復層221および222は、n型層であってもよく、絶縁層であってもよい。回復層221がn型層である場合、横方向で注入される電子電流は、残存n型層20’の突出部の側壁と、回復層221に覆われた、残存n型層20’の凹部の表面との断面積比によって決定される。回復層221が絶縁層である場合、多重量子井戸活性領域501への垂直電子注入が防止され、横方向注入パスのみがオープンされるので、完全な横方向電子注入を実現できる。回復層221が絶縁層である場合、所望であれば、絶縁層221は、残存n型層20’の凹部の表面領域の一部のみを覆って作製することができ、多重量子井戸活性領域501への縦方向電子の部分的な注入を可能とする。
【0060】
残存絶縁層30’は、残存n型層20’をp型層60から絶縁する働きをする。この目的を達成することができる限り、残存絶縁層30'の、活性領域501に埋め込まれている部分は、残存n型層20’の突出部と活性領域501がより多くの接触面積をもち、残存n型層20’から活性領域501への、より多くの横方向電子注入が可能となるように、できるだけ薄いことが好ましい。好ましくは、活性領域501は、厚さの50%よりも多くが、残存n型層20’の凹部に埋め込まれ、例えば多重量子井戸活性領域501の厚さの60%、70%または80%よりも多くが、残存n型層20'の凹部に埋め込まれる。
【0061】
注意すべきなのは、図3A〜図3Cの実施形態における各層は、図2A〜図2Dの実施形態における対応の層と同じまたは類似しており、図2A〜図2Dと同じまたは類似の工程で製造することができる。
【0062】
残存絶縁層30’及びその下の残存n型層20’の対応する突出部は、図6および7に示すような、任意の適当な一次元または二次元のパターン、または任意の適当な規則的/不規則的パターン、またはそれらを組み合わせたパターンを有していてもよい。例えば、図6は、図3Bの例示構造の平面図として見なすと、上方へ突出する帯状部は、残存絶縁層30’、及び上面301を有するある厚さの残存n型層20’の積層によって形成されている。帯状部に囲まれた方形の凹部は、回復n型層221を受け入れ、または活性領域501が直接エピタキシャル成長される、残存n型層20’の上面201を露出する。凹部は、三角形、多辺形、円形または異なった形状の組合せなど、他の規則的または不規則的な形状で置き換えることができる。この実施形態においては、帯状部の寸法は、上記と同じであるが、例えば、ある実施形態では、帯状部の幅dは、3μmまたは6μmなど、1〜10μmの範囲である。方形の辺長aは、10μm、20μm、30μmまたは40μmなど、5〜50μmの範囲である。
【0063】
図7は、図3Bのもう1つの例示構造の平面図として見なすことができ、直径dの円は、上方へ突出する横方向電子注入柱状体を表し、ここで、dはa/2よりも小さく、例えばa/4またはa/8よりも小さく、aは、二次元格子定数である。この場合、上方へ突出する横方向電子注入柱状体は、残存絶縁層30’及びある厚さを持つ残存n型層20’の、上面301を有する積層部で構成される。上方へ突出する横方向電子注入柱状体以外の凹部は、回復n型層221を受け入れ、または活性領域501を直接エピタキシャル成長させることのできる、残存n型層20’の上面201を露出する。この場合、横方向で注入された電子電流は(d/a)2に比例し、上方へ突出する横方向電子注入柱状体は、円形を除く他の規則的または不規則的な形状であってもよい。
【0064】
図4A〜図4Dは、もう1つの実施形態を示す。図4Aに示すように、基板10の上にn型層20が堆積される。n型層20は、基板10にホモエピタキシャル成長またはヘテロエピタキシャル成長されることができる。ヘテロエピタキシャル成長の場合、n型層20は、バッファ層として用いられる他の層を含み、n型層20と基板10との間の格子不整合を緩和してもよい。GaNベースのLEDの場合、n型層20は、SiドープGaNで作製することができる、n型層20は、この分野で従来使用されている任意の適当なn型層であることができる。基板10は、GaN、サファイア、シリコンカーバイド及びガリウムヒ素など、この分野で使用される材料であることができる。マスク15は、n型層20上に形成されて、エッチングパターンを規定する。所定の深さまでエッチングした後、実質的に垂直な側壁をを持つ複数の凹部が、残存n型層20'に形成され、それにより、垂直に位置がずれ、距離dだけ離れた2組の表面201および202が得られる。距離d2は、好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。発光デバイスの構造によっては、距離d2は0.1μmよりも小さく、または0.3μmよりも大きくてもよい。次に、任意であるが、回復n型層22が、残存n型層20'上に堆積され、当該回復n型層22は、表面201に形成された回復n型層221と、表面202に形成された回復n型層222とを含む。次に、回復n型層22の上に、活性領域、例えば多重量子井戸活性領域50が堆積され、当該多重量子井戸活性領域50は、回復n型層221上に形成された多重量子井戸活性領域501と、回復n型層222上に形成された多重量子井戸活性領域502とを含む。多重量子井戸活性領域501および502の上にp型層60が堆積される。図4Cおよび図4Dに示すように、多重量子井戸活性領域501および502は、多重量子井戸活性領域50を迂回するリーク電流パスを防止する、垂直方向に重なり合っている部分がある。重なり合っている部分は、少なくとも1つの、好ましくは2〜6つの量子井戸層を含む。多重量子井戸活性領域501および502が垂直にずれていることは、多重量子井戸活性領域501および502の界面で、少なくとも一部の量子井戸が途切れていることを意味する。言い換えれば、少なくとも一部の量子井戸層の端面が、多重量子井戸活性領域501および502の側壁に暴露されており、その結果、電子および正孔は、暴露した端面を通じて、横方向で量子井戸層に注入される。
【0065】
図4C〜4Dの実施形態では、多重量子井戸活性領域501および502の側壁は実質的に垂直である。しかし、少なくとも一部の量子井戸層の端面が、キャリアの横方向注入を受け入れるために暴露していれば、垂直でない側壁、即ち傾斜した側壁または他の形状の側壁も本発明に適用できる。
【0066】
図4C〜図4Dの実施形態では、p型層60とn型層20’はそれぞれ単層であるが、p型層60は、同じまたは異なった組成を持つ複数のp型層を含むことができ、n型層20’も、同じまたは異なった組成を持つ複数のn型層を含むことができる。
【0067】
図4A〜図4Bの実施形態では、表面201の組は、いずれも同じ水平面にありかつ平面であり、表面202の組も、いずれも同じ水平面にありかつ平面であり、表面201および202の側壁は、いずれも実質的に垂直である。しかし、別々の201の表面が異なる高さにおいて異なる水平面に位置したり、非平担であったりすることもでき、別々の202の表面が異なる高さにおいて異なる水平面に位置したり、非平担であっったりすることもでき、そして、表面201と表面202との間の側壁は、非垂直、傾斜、またはその他の形状であってもよい。従って、多重量子井戸活性領域502の上面は異なる高さで異なる水平面にあってもよく、上面は非平担であってもよい。多重量子井戸活性領域502の底面は異なる高さで異なる水平面にあってもよく、底面は非平担であってもよい。同様に、多重量子井戸活性領域501の上面は異なる高さで異なる水平面にあってもよく、上面は非平担であってもよい。多重量子井戸活性領域501の底面は異なる高さで異なる水平面にあってもよく、底面は非平担であってもよい。図4Eは、上面202、結果的に多重量子井戸活性領域502が、異なる表面にあることを示す例である。
【0068】
本実施形態では、横方向で電子および正孔を注入することができる。正孔は、横方向で多重量子井戸活性領域502に注入され、電子は、横方向で活性領域501に注入される。多重量子井戸活性領域501および502はいずれも発光に寄与するので、エッチングパターンは、突出した領域と凹んだ領域とが同じ面積を持つように設計されるのが好ましい。任意の適切な一次元または二次元パターンを適用でき、二次元パターンの例として、図4Bの一例の構造の平面図である図8に、将棋盤状構造を示す。図示のように、上方へ突出する方形部は、上面202を有しており、その長さa2は、例えば、10μm、20μm、30μmまたは40μmである、5〜50μmの範囲にある。突出した方形部と交互に配列された凹んだ方形部は、底面201を有しており、その長さa1は、例えば、10μm、20μm、30μmまたは40μmである、5〜50μmの範囲にある。上面202及び底面201は、それぞれ回復n型層222及び221を受け入れ、またはそれぞれ活性領域501及び502が直接エピタキシャル成長される。上方に突出した方形部および凹んだ方形部は、三角形、多辺形、円形または種々の形状の組み合わせなど、他の規則的または不規則的な形状で置き換えることができる。突出部の面積は、凹部の面積と等しいか、それよりも大きくすることができる。図8の実施形態では、突出部の面積は凹部の面積と同じである(a1=a2)。
【0069】
図6は、図4Bのもう1つの例の構造の平面図とみなすことができ、上方へ突出する帯状部は、上面202を持つ、残存n型層20’の突出部によって形成される。帯状部で囲まれた凹んだ方形部は、残存n型層20'の表面を露出する。この場合、凹んだ方形部は、三角形、多辺形、円形または種々の形状の組み合わせなど、他の規則的または不規則的な形状で置き換えられてもよい。本実施形態の、図2A〜2D及び3A〜3Cに示す構造との1つの大きな違いは、本実施形態においては、隣接する活性領域501および502は、垂直に重なり合っている部分を共用して、多重量子井戸活性領域50を迂回するリーク電流パスを防止する働きをし、また、少なくとも1つ、好ましくは2〜6つの量子井戸層を含むことである。いくつかの実施形態では、隣接する活性領域501および502の垂直に重なり合っている部分は、6つよりも多い量子井戸層を含む。
【0070】
図7は、図4Bのさらに他の例の平面図とみなすことができる。直径dを持つ円は、上方へ突出する横方向電子注入柱状体を示しており、ここで、dはa/2よりも小さく、例えばa/4よりも小さい。aは、二次元格子定数である。この場合、上方へ突出する横方向電子注入柱状体は、上面202を持つ、残存n型層20’の突出部で形成される。柱状体以外の凹部は、残存n型層20’の表面201を露出する。表面202及び201は、それぞれ回復n型層222及び221を受け入れ、またはそれぞれ活性領域501及び502が直接エピタキシャル成長される。この場合、横方向で注入された電子電流は(d/a)2に比例し、上方へ突出する横方向電子注入柱状体は、円形以外の他の規則的または不規則的な断面形状を有していてもよい。
【0071】
更に図4C〜図4Dを参照すると、活性領域50は、上面5001、底面5002および側壁5003によって定められた複数の容積ユニットを含んでいるということができる。各容積ユニットは、複数の連続的な量子井戸層及び量子障壁層を含む。隣接する容積ユニットは、垂直にずれており、隣接する容積ユニットの上面が同じ平面にないか、または底面が同じ平面にない。容積ユニットの側壁は、2つの組に分けられており、一方の組は、n型層に接してn型層から横方向で注入された電子を受け入れ、他方の組は、p型層に接してp型層から横方向で注入された正孔を受け入れる。図4C〜図4Dの実施形態では、活性領域501は、n型層に接する側壁の組を含み、活性領域502は、p型層に接する側壁の組を含んでいる。好ましくは、各側壁は複数の井戸層に接し、より好ましくは、井戸層の総数の半分よりも多くと接する。活性領域501および502の相対サイズを調節することで、残存n型層20’と活性領域501の側壁との接触面積の、p型層60と活性領域502の側壁との接触面積に対する比率を、例えば0.5〜2、好ましくは、0.8〜1.5に調節できる。いくつかの実施形態では、この比率は、約1であり、別の実施形態では、当該比率は0.5よりも小さいか、または1.5よりも大きい。
【0072】
更に図4Bと図6〜図8を参照すると、図8に示す実施形態では、各突出した方形部202及び各凹んだ方形部201は、1つの容積ユニットに対応するように構成されている。図6の実施形態では、底面201を有する画凹んだ方形部は、1つの容積ユニットに対応し、凹んだ方形部を囲む上面202を有する帯状部は、帯状部の形状に一致した1つの連続する容積ユニットに対応する。図7の実施形態では、上面202を有する上方へ突出する横方向電子注入柱状体のそれぞれは、1つの容積ユニットに対応し、上方に突出する横方向電子注入柱状体を囲む表面201を有する凹部は、1つの連続する容積ユニットに対応する。
【0073】
図4C〜図4Dの実施形態では、全ての容積ユニットは、同じ数の井戸層および障壁層を持っており、また、実質的に同じ高さを持っている。容積ユニットの上面はそれぞれ垂直にずれている2つの平面に位置し、容積ユニットの底面もそれぞれ垂直にずれている2つの平面に位置している。しかし、本発明は、上記の構造に限られず、例えば、図4Eに示すように、容積ユニットの上面は、それぞれ垂直にずれている3つまたは3つ以上の平面に位置し、容積ユニットの底面もそれぞれ垂直にずれている3つまたは3つ以上の平面に位置してもよい。全ての容積ユニットが異なる数の井戸層および障壁層を有していたり、異なる高さをを有していたりすることも可能である。容積ユニットの側壁は、少なくとも一部の井戸層の端面が、横方向で注入されたキャリアを受け入れる側壁に接している限り、垂直、傾斜、またはその他の形状であってもよい。
【0074】
本実施形態では、層221および222が絶縁層であれば、多重量子井戸活性領域501は、発光に寄与する、横方向で注入された電子を十分に有しているが、活性領域502は、p型層60とn型層20'とが多重量子井戸活性領域501を介して電気的に接続されているため、発光への貢献はより少ない。
【0075】
また、エッチング深さおよび再成長厚さに応じて、p型層60は、平坦な表面(図4C)または不平坦な表面(図4D)を持つことができる。p型層60の表面が不平坦な場合、異なる屈折率を持つ他の材料で充填してそれを平坦な表面とすることができる。図4Dに示すように、p型層60の不平坦な表面は材料70の充填によって平坦にすることができる。材料70は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などの誘電体、またはITOなどの透明導電酸化物であることができる。材料70を適当に選択すれば、LEDの発光効率を向上させることができる。
【0076】
図4C〜図4Dに示したのは、活性領域501及び502の両方を覆うp型層60であるが、任意に、p型層60と活性領域501及502との間に薄い絶縁層を体積させてもよい(不図示)。例えば、絶縁層を活性領域501及び502に直接接触させれば、正孔を縦方向で活性領域501および502に注入することができなくなり、横方向の正孔注入のみが可能となる。所望であれば、p型層60の一部を活性領域501及び502と接触させることができ、例えば、薄い絶縁層で活性領域501及び502の一部のみを覆い、活性領域501及び502の残りの部分をp型層60に対して露出させてもよい。所望であれば、p型層60と活性領域501及び502との間に他の層、例えばエネルギーバンドがp型層60より広いp型層を形成してもよい。
【0077】
図多重量子井戸活性領域への正孔および電子の横方向注入は、さらに他の実施形態でも達成することができる。図5A〜5Jに示すように、基板10上にn型層20が堆積される。n型層20は、基板10上にホモエピタキシャル成長またはヘテロエピタキシャル成長されることができる。ヘテロエピタキシャル成長の場合、n型層20は、n型層20と基板10との間の格子不整合を緩和するバッファ層として用いられる他の層を含むことができる。GaNベースのLEDの場合、n型層20は、SiドープGaNで作製することができる。また、n型層は、この分野で従来使用される任意の適切なn型層であることができる。基板10は、GaN、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、石英、酸化亜鉛、ガラスおよびガリウムヒ素など、この分野で使用される材料であることができる。n型層20上に絶縁層30が堆積される。絶縁層30上には、エッチングパターンを規定する第1のマスク15が形成される。エッチング後、第1のマスク15が除去されて、残存絶縁層30’の上面301及び残存n型層20’の一部の上面201を露出させる。2組の表面301および201は、図5Bに示すように後続のLED構造の成長用に、垂直にずれている。そのLED構造の成長は、後の多重量子井戸活性領域の成長用に、エッチングされたn型層20の表面の回復/リフレッシュのための、任意の回復n型層22の成長から始まる。任意の回復n型層22は、残存n型層20’の表面201上に形成された回復n型層221と、残存絶縁層30’の表面上に形成された回復n型層222とを含む。次いで、回復n型層22の上に、多重量子井戸活性領域50などの、回復n型層221上に形成された多重量子井戸活性領域501および回復n型層222上に形成された多重量子井戸活性領域502を含む活性領域が堆積される。第2のマスク152が、多重量子井戸活性領域501を覆い、かつ多重量子井戸活性領域502を露出させて形成される。それから、エッチングによって、表面301上または回復n型層222上に堆積された多重量子井戸活性領域502の一部まだは全部を除去して、多重量子井戸活性領域501の側壁を露出させる(図5D〜図5E)。第2のマスク152が除去され、次いで、p型層60を成長させる(図5F)。図5Fは、活性領域501の上面および側壁の両方を覆っているp型層60を示す。任意で、p型層60と多重量子井戸活性領域501の上面との間に薄い絶縁層(不図示)を堆積させることができる。例えば、薄い絶縁層を多重量子井戸活性領域501と直接接触させれば、正孔を縦方向で活性領域501に注入することが妨げられ、横方向の注入パスのみが開くので、完全な横方向注入を実現できる。所望であれば、p型層60の一部を多重量子井戸活性領域501と接触させることができ、その場合、例えば、薄い絶縁層が多重量子井戸活性領域501の一部のみを覆い、多重量子井戸活性領域501の残りの部分をp型層60に対して露出させてよい。所望であれば、p型層60と多重量子井戸活性領域501との間に他の層、例えばエネルギーバンドがp型層60より広いp型層を形成することもできる。任意で、ある厚さを持つ活性領域502をエッチングせず、その一方で、活性領域501の側壁をp型層60に暴露してもよい。
【0078】
第3のマスク153が、前に除去された活性領域502の領域と一致する部分を露出させてp型層60上に堆積され、残存n型層20’及びその上の多重量子井戸活性領域501の側壁が露出するまでエッチングする(図5G〜図5H)。第3のマスク153が配置された状態で、露出した残存n型層20’の上に、n型層223が、活性領域501の露出した側壁と接触させて堆積される。n型層223上に絶縁層302を形成して、n型層223とp型層60を隔離する(図5I)。不平坦な領域(存在すれば)を光学材料70で充填する。最後に、第3のマスク153及びその上のすべての堆積物を除去して、図5Jに示された最終構造が得られる。
【0079】
横方向での正孔と電子の注入比を調節するために、n型層223と絶縁層302によって形成された電子注入プラグの数、及び多重量子井戸活性領域501の側壁の間に形成されたp型層60によって形成された正孔注入プラグの数を調節してもよい。例えば、電子注入プラグの数の、正孔注入プラグの数に対する比は、0.1〜2とすることができ、好ましくは0.5〜1である。または、電子注入プラグと多重量子井戸活性領域501の側壁との接触面積の、正孔注入プラグと多重量子井戸活性領域501の側壁との接触面積に対する比を調節することもでき、その値は、例えば、0.1〜2の範囲、好ましくは、0.5〜1の範囲である。
【0080】
図5Jに概略的に示すように、正孔と電子は、多重量子井戸活性領域501の同じ領域に横方向で注入されることができる。また、絶縁層でn型層221を置き換えれば、電子の完全な横方向注入を実現できる。一方、p型層60と活性領域501の上面との間に薄い絶縁層(図5F〜図5Jには不図示)を、例えば直接接触させて堆積させれば、正孔を縦方向で活性領域501に注入することができなくなり、横方向の注入パスのみが開くるので、正孔の完全な横方向注入を実現できる。絶縁層221と、p型層60と多重量子井戸活性領域501の上面との間に堆積された薄い絶縁層との存在により、同じ多重量子井戸活性領域501への電子および正孔の完全な横方向注入が達成される。このことは、多重量子井戸での発熱を最小限に抑制し、多重量子井戸における最も均一なキャリア分布をもたらす。所望であれば、p型層60と多重量子井戸活性領域501の上面との間に他の層、例えばエネルギーバンドがp型層60より広いp型層を形成してもよい。
【0081】
また、上記の実施形態では、本発明の原理は、基板側にn型層を堆積させているが、p型層を基板側に堆積させたLEDにも同じ原理適用できることが理解される。例えば、図4A〜4Dにおいて、層20(20’)および22(221と222)は、p型層であってもよく、層60は、n型層であってもよい。この場合、垂直に位置がずれた多重量子井戸構造を持つので、正孔と電子は、横方向で多重量子井戸に注入される。
【0082】
図1を参照すると、横方向でのキャリア注入は、ヘテロ接合のエネルギーバンドの不連続性に伴う多重量子井戸での発熱を低減または防止でき、これによりLEDの内部量子効率が向上することを期待できる。また、本発明によれば、横方向でのキャリア注入は、多重量子井戸における全ての量子井戸層または少なくとも一部の量子井戸層が電気的に並列に接続されていることを意味する。従来のLEDでは、多重量子井戸での量子井戸層は、電気的に直列に接続されている。並列接続は、直列接続よりも抵抗がずっと小さく、これは、LEDにとって好ましい。そして、図1に示すように、c平面窒化物ベースのLEDでは、多重量子井戸の分極場は垂直方向にあり、かつキャリアが多重量子井戸と垂直に注入される場合、分極場とキャリアの注入方向が反対である。本発明においては、横方向のキャリア注入は、分極場に逆らって注入されないので、発熱がより低減される結果となるであろう。
【0083】
本発明に使用される多重量子井戸は、単色光を発光できるが、多色光を発光するように構成することもできる。多色光を発光させるために、多重量子井戸内の量子井戸は、異なるバンドギャップ、つまり異なる組成を有していてもよい。従来のLEDでは、多重量子井戸の成長方向で非平衡電子/正孔の均一な分布を得るのが困難であったため、実際に多色光LEDを実現するのは非常に困難であった。しかし、本発明は、縦方向注入に替えて、または縦方向注入に追加して、位置がずれた多重量子井戸構造を用いて電子/正孔の横方向注入を可能としたので、多重量子井戸活性領域全体での、注入されたキャリアの均一的な分布を実現し、多色光LEDを製造することができる。多色光LEDの一例は、赤、緑及び青の光を発光して、高品質の白光を合成することができるLEDである。
【0084】
この、位置がずれた活性領域の設計は、非常にハイパワーの発光デバイス用に、非常に厚い活性領域を可能にする。従来技術では、増加する順方向電圧及び光の自己吸収のため、20を超える井戸/障壁の対を有する多重量子井戸活性領域など、厚い活性領域を実現するのは困難であった。本発明によれば、活性領域は位置がずれており、この配置は、一方では、活性領域における光の自己吸収を大幅に減少させることができ、他方では、すべての量子井戸でのキャリアの均一な分布のための、キャリアの横方向注入を可能にする。活性領域が厚くなれば、露出した側壁も大きくなり、よって、横方向での電流注入も多くなる。このことにより、活性領域におけるキャリアの分布をより均一にでき、より大きな発光量が可能となる。本発明は、20を超える多重量子井戸の対、好ましくは、50を超える、例えば100を超える多重量子井戸の対を可能とする。100対の多重量子井戸を持つ活性領域の場合、凹んだ多重量子井戸502及び突出した多重量子井戸501の位置をずらすためのエッチング深さ(例えば、図4Bにおけるd2)は、好ましくは、2μmよりも大きい。
【0085】
本発明は、非常に厚い障壁を持つ量子井戸も可能とする。従来技術では、注入された少数キャリアの拡散長により、量子障壁の厚さは、100nm未満に制限されている。本発明の一形態によれば、電子注入層および正孔注入層は、活性領域と横方向で接触できる。このことは、キャリアが直接、量子井戸層に注入され、量子障壁層を通る必要がないことを意味する。従って、本発明によるLEDの実施形態では、非常に厚い障壁層を採用できる。本発明による各量子障壁層の厚さは、5〜1000nmの範囲、例えば、10〜500nm、10〜300nmまたは100〜200nmとすることができる。
【0086】
本発明によれば、各量子井戸層の厚さは1〜5nmとすることができる。活性領域全体の厚さは200nm〜5000nm、例えば、400nm〜1000nm、または500nm〜900nmとすることができる。多重量子井戸活性領域は、2〜200対の井戸層および障壁層を含むことができ、例えば、10〜100対、または20〜50対である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの量子井戸層は、ピーク波長の差が少なくとも10nm、または少なくとも20nm、または少なくとも50nmである、異なる波長の光を発する。
【0087】
明細書に添付した図面は、基板からn型層の成長を開始しているが、本発明の原理は、p型層の成長から開始する構造にも適用できる。
【0088】
本発明を典型的な実施形態で説明したが、本発明の範囲は、上記の実施形態に限られないことが理解される。一方、種々の変更および類似の構造または等価物に及ぶことを意図しているので、特許請求の範囲は、そのようなすべての変更および類似の構造または等価物を包含するように最も広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0089】
10 基板
15 マスク
20 n型層
30 絶縁層
40 p型層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型層と、
p型層と、
活性領域と、
前記n型層、p型層および活性領域を用意するための基板と、を有し、
前記n型層は、電子を横方向で前記活性領域に注入するために、活前記性領域と実質的に垂直な第1の接触領域で前記活性領域と接しており、
前記基板は、GaN、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、石英、酸化亜鉛、ガラスおよびガリウムヒ素を含むグループから選択される材料からなる基板と、を有することを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
正孔を横方向で前記活性領域に注入するために、前記p型層が、前記活性領域と実質的に垂直な第2の接触領域で前記活性領域と接触していることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
少なくとも2つの量子井戸層がピーク波長の差が少なくとも10nmである、異なる波長の光を発することを特徴とする請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
n型層と、
p型層と、
前記n型層と前記p型層との間に挟まれた、垂直に位置がずれた活性領域と、を有し、
前記活性領域は、それぞれが上面、底面及び側壁によって規定される複数の容積ユニットを含んでおり、隣接する前記容積ユニットは、隣接する前記容積ユニットの上面または底面が同じ平面にないように垂直にずれており、前記容積ユニットの側壁は2つの組に分けられ、前記側壁の第1の組は、前記n型層から横方向で注入された電子を受け入れるように前記n型層に露出し、前記側壁の第2の組は、前記p型層から横方向で注入された正孔を受け入れるように前記p型層に露出し、前記側壁の各々は、1つよりも多い量子井戸層に露出していることを特徴とする発光デバイス。
【請求項5】
前記容積ユニットの上面は、それぞれ垂直に離れている2つの平面の間に位置していることを特徴とする請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記容積ユニットの上面は、それぞれ垂直に離れている3つ以上の平面の間に位置していることを特徴とする請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項7】
隣接する前記容積ユニットは、垂直に重なり合っている、少なくとも1つの井戸層を含む部分を共用していることを特徴とする請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記n型層と第1の組の前記側壁との接触面積の、前記p型層と第2の組の前記側壁との接触面積に対する比は0.5〜2であることを特徴とする請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記活性領域は、複数の量子井戸層および量子障壁層から構成され、20〜50対の量子井戸層および量子障壁層を含むことを特徴とする請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項10】
少なくとも2つの前記量子井戸層は、ピーク波長の差が少なくとも10nmである異なる波長の光を発することを特徴とする請求項9に記載の発光デバイス。
【請求項11】
n型層と、
p型層と、
前記n型層と前記p型層との間に挟まれた活性領域と、を含み、
前記活性領域は、前記n型層に向かって突出する複数の第1の突出部を含んでおり、前記第1の突出部の側壁は、前記n型層に露出して、前記n型層から横方向で注入された電子を受け入れることが可能であることを特徴とする発光デバイス。
【請求項12】
前記活性領域は、前記p型層に向かって延びる複数の第2の突出部をさらに含んでおり、前記第2の突出部の側壁は、前記p型層に露出して、前記p型から横方向で注入された正孔を受け入れることが可能であることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記活性領域は、複数の井戸層および障壁層を含んでおり、第1の突出部の側壁は2つ以上の井戸層に接していることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項14】
前記第1の突出部は互いに離れている突出部を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項15】
前記第1の突出部は、互いにつながって連続構造を構成している突出部を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項16】
第1の突出部を含むn型層と、
p型層と、
前記n型層と前記p型層との間に挟まれた、複数の井戸層および障壁層を含む活性領域と、を含み、
前記活性領域は、前記第1の突出部と対応する第1の凹部を含んでおり、前記第1の凹部のそれぞれは、前記第1の突出部の1つを提供し、前記第1の凹部の側壁は、2つ以上の井戸層に接して、前記n型層の第1の突出部から横方向で注入された電子を受け入れることができることを特徴とする発光デバイス。
【請求項17】
前記活性領域は複数の第2の凹部を含んでおり、前記p型層は複数の第2の突出部を含んでおり、前記第2の凹部のそれぞれは、前記第2の突出部の1つを提供し、前記第2の凹部の側壁は、2つ以上の井戸層に接して、前記p型層の第2の突出部から横方向で注入された正孔を受け入れることができることを特徴とする請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項18】
前記第1の凹部は、前記活性領域全体を貫き、かつ、p型材料及び前記p型材料を前記第1の突出部から隔離する絶縁材料で一部分が充填されており、前記p型材料が前記p型層と繋がっていることを特徴とする請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項19】
前記第1の突出部は、互いに離れている突出部を含んでいることを特徴とする請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項20】
前記第1の突出部は、互いに繋がって連続構造を構成している突出部を含んでいることを特徴とする請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項21】
前記第2の凹部は、前記活性領域全体を貫き、かつ、前記第2の突出部を前記n型層から隔離するように、一部分が絶縁材料で充填されていることを特徴とする請求項17に記載の発光デバイス。
【請求項22】
前記第1の凹部は、前記活性領域全体を貫き、かつ、前記第1の突出部を前記p型層から隔離するように、一部分が他の絶縁材料で充填されていることを特徴とする請求項21に記載の発光デバイス。
【請求項23】
基板の上にn型層を堆積することと、
前記n型層をパターニングして、第1の組の表面及びそれと垂直に位置がずれた第2の組の表面を規定する複数の凹部を形成することと、
前記n型層の上に前記n型層の表面に従って活性領域を堆積し、それによって、前記活性領域の第1の部分が前記第1の組の表面に形成され、前記活性領域の第2の部分が前記第2の組の表面に形成され、前記活性領域の第1の部分が前記活性領域の第2の部分と垂直にずれるようにすることと、
前記活性領域の上に、前記活性領域の表面に従ってp型層を堆積することと、を含むことを特徴とする発光デバイスの製造方法。
【請求項24】
前記活性領域を堆積するステップは、複数の量子井戸層および量子障壁層を交互に堆積して、前記n型層と接する前記活性領域の第1の部分の側壁に少なくとも1つの井戸層を露出させ、前記p型層と接する前記活性領域の第2の部分の側壁に少なくとも1つの井戸層を露出させることを含むことを特徴とする請求項23に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項25】
前記活性領域を堆積する前に、前記n型層上に、前記n型層の第1の組の表面および第2の組の表面を覆う回復n型層をさらに堆積することを特徴とする請求項23に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項26】
前記活性領域を堆積する前に、前記n型層上に、前記n型層の第1の組の表面および第2の組の表面を覆うが、第1の組の表面と第2の組の表面とを繋ぐ側壁は覆わない絶縁層をさらに堆積することを特徴とする請求項23に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項27】
基板の上に堆積されたn型層を用意することと、
前記n型層上に絶縁層を形成することと、
前記絶縁層をパターニングして、前記絶縁層の露出した一部分及びその下の前記n型層の一部分を除去して、残存絶縁層の第1の組の表面及びそれと垂直に位置がずれた残存n型層の第2の組の表面とすることと、
活性領域を堆積し、それによって、前記活性領域の第1の部分が前記表面の第1の組に形成され、前記活性領域の第2の部分が前記表面の第2の組に形成されるようにすることと、
前記活性領域の第1の部分を除去して、前記残存絶縁層を露出させることと、
前記活性領域の上にp型層を堆積して前記活性領域の上面を覆い、前記p型層の一部分が、前記活性領域の第1の部分が除去された空間に充填されて正孔注入プラグを形成することと、
複数の電子注入ホールを形成するように、前記p型層をパターニングおよびエッチングして、前記n型層が露出するまで一部の前記正孔注入プラグ及びその下の前記残存絶縁層を除去することと、
前記複数の電子注入ホールの中に他のn型層を堆積して複数の電子注入プラグを形成することと、
前記複数の電子注入プラグ上に他の絶縁層を堆積して、前記複数の電子注入プラグを前記p型層から絶縁することと、を含むことを特徴とする発光デバイスの製造方法。
【請求項28】
前記活性領域を堆積するステップは、複数の量子井戸層および量子障壁層を交互に堆積することを含み、前記正孔注入プラグは少なくとも1つの井戸層と接触し、前記電子注入プラグは少なくとも1つの井戸層と接触することを特徴とする請求項27に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項29】
前記活性領域を成長させる前に、前記n型層上に、前記第1の組の表面および前記第2の組の表面を覆う回復n型層をさらに堆積することを特徴とする請求項27に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項30】
基板の上に堆積した、p型層、絶縁層及びn型層を用意することと、
前記n型層が露出するまで前記p型層および前記絶縁層をパターニングおよびエッチングして、前記p型層の残存部分および前記絶縁層の残存部分を含む複数の突出部を形成することと、
前記基板の上に、複数の量子井戸および量子障壁を含む活性領域を堆積して、前記突出部が前記活性領域を貫き、かつ、前記p型層の残存部分が2つ以上の井戸層と接するようにすることを特徴とする発光デバイスの製造方法。
【請求項1】
n型層と、
p型層と、
活性領域と、
前記n型層、p型層および活性領域を用意するための基板と、を有し、
前記n型層は、電子を横方向で前記活性領域に注入するために、活前記性領域と実質的に垂直な第1の接触領域で前記活性領域と接しており、
前記基板は、GaN、サファイア、シリコン、シリコンカーバイド、石英、酸化亜鉛、ガラスおよびガリウムヒ素を含むグループから選択される材料からなる基板と、を有することを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
正孔を横方向で前記活性領域に注入するために、前記p型層が、前記活性領域と実質的に垂直な第2の接触領域で前記活性領域と接触していることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
少なくとも2つの量子井戸層がピーク波長の差が少なくとも10nmである、異なる波長の光を発することを特徴とする請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
n型層と、
p型層と、
前記n型層と前記p型層との間に挟まれた、垂直に位置がずれた活性領域と、を有し、
前記活性領域は、それぞれが上面、底面及び側壁によって規定される複数の容積ユニットを含んでおり、隣接する前記容積ユニットは、隣接する前記容積ユニットの上面または底面が同じ平面にないように垂直にずれており、前記容積ユニットの側壁は2つの組に分けられ、前記側壁の第1の組は、前記n型層から横方向で注入された電子を受け入れるように前記n型層に露出し、前記側壁の第2の組は、前記p型層から横方向で注入された正孔を受け入れるように前記p型層に露出し、前記側壁の各々は、1つよりも多い量子井戸層に露出していることを特徴とする発光デバイス。
【請求項5】
前記容積ユニットの上面は、それぞれ垂直に離れている2つの平面の間に位置していることを特徴とする請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記容積ユニットの上面は、それぞれ垂直に離れている3つ以上の平面の間に位置していることを特徴とする請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項7】
隣接する前記容積ユニットは、垂直に重なり合っている、少なくとも1つの井戸層を含む部分を共用していることを特徴とする請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記n型層と第1の組の前記側壁との接触面積の、前記p型層と第2の組の前記側壁との接触面積に対する比は0.5〜2であることを特徴とする請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記活性領域は、複数の量子井戸層および量子障壁層から構成され、20〜50対の量子井戸層および量子障壁層を含むことを特徴とする請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項10】
少なくとも2つの前記量子井戸層は、ピーク波長の差が少なくとも10nmである異なる波長の光を発することを特徴とする請求項9に記載の発光デバイス。
【請求項11】
n型層と、
p型層と、
前記n型層と前記p型層との間に挟まれた活性領域と、を含み、
前記活性領域は、前記n型層に向かって突出する複数の第1の突出部を含んでおり、前記第1の突出部の側壁は、前記n型層に露出して、前記n型層から横方向で注入された電子を受け入れることが可能であることを特徴とする発光デバイス。
【請求項12】
前記活性領域は、前記p型層に向かって延びる複数の第2の突出部をさらに含んでおり、前記第2の突出部の側壁は、前記p型層に露出して、前記p型から横方向で注入された正孔を受け入れることが可能であることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記活性領域は、複数の井戸層および障壁層を含んでおり、第1の突出部の側壁は2つ以上の井戸層に接していることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項14】
前記第1の突出部は互いに離れている突出部を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項15】
前記第1の突出部は、互いにつながって連続構造を構成している突出部を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項16】
第1の突出部を含むn型層と、
p型層と、
前記n型層と前記p型層との間に挟まれた、複数の井戸層および障壁層を含む活性領域と、を含み、
前記活性領域は、前記第1の突出部と対応する第1の凹部を含んでおり、前記第1の凹部のそれぞれは、前記第1の突出部の1つを提供し、前記第1の凹部の側壁は、2つ以上の井戸層に接して、前記n型層の第1の突出部から横方向で注入された電子を受け入れることができることを特徴とする発光デバイス。
【請求項17】
前記活性領域は複数の第2の凹部を含んでおり、前記p型層は複数の第2の突出部を含んでおり、前記第2の凹部のそれぞれは、前記第2の突出部の1つを提供し、前記第2の凹部の側壁は、2つ以上の井戸層に接して、前記p型層の第2の突出部から横方向で注入された正孔を受け入れることができることを特徴とする請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項18】
前記第1の凹部は、前記活性領域全体を貫き、かつ、p型材料及び前記p型材料を前記第1の突出部から隔離する絶縁材料で一部分が充填されており、前記p型材料が前記p型層と繋がっていることを特徴とする請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項19】
前記第1の突出部は、互いに離れている突出部を含んでいることを特徴とする請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項20】
前記第1の突出部は、互いに繋がって連続構造を構成している突出部を含んでいることを特徴とする請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項21】
前記第2の凹部は、前記活性領域全体を貫き、かつ、前記第2の突出部を前記n型層から隔離するように、一部分が絶縁材料で充填されていることを特徴とする請求項17に記載の発光デバイス。
【請求項22】
前記第1の凹部は、前記活性領域全体を貫き、かつ、前記第1の突出部を前記p型層から隔離するように、一部分が他の絶縁材料で充填されていることを特徴とする請求項21に記載の発光デバイス。
【請求項23】
基板の上にn型層を堆積することと、
前記n型層をパターニングして、第1の組の表面及びそれと垂直に位置がずれた第2の組の表面を規定する複数の凹部を形成することと、
前記n型層の上に前記n型層の表面に従って活性領域を堆積し、それによって、前記活性領域の第1の部分が前記第1の組の表面に形成され、前記活性領域の第2の部分が前記第2の組の表面に形成され、前記活性領域の第1の部分が前記活性領域の第2の部分と垂直にずれるようにすることと、
前記活性領域の上に、前記活性領域の表面に従ってp型層を堆積することと、を含むことを特徴とする発光デバイスの製造方法。
【請求項24】
前記活性領域を堆積するステップは、複数の量子井戸層および量子障壁層を交互に堆積して、前記n型層と接する前記活性領域の第1の部分の側壁に少なくとも1つの井戸層を露出させ、前記p型層と接する前記活性領域の第2の部分の側壁に少なくとも1つの井戸層を露出させることを含むことを特徴とする請求項23に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項25】
前記活性領域を堆積する前に、前記n型層上に、前記n型層の第1の組の表面および第2の組の表面を覆う回復n型層をさらに堆積することを特徴とする請求項23に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項26】
前記活性領域を堆積する前に、前記n型層上に、前記n型層の第1の組の表面および第2の組の表面を覆うが、第1の組の表面と第2の組の表面とを繋ぐ側壁は覆わない絶縁層をさらに堆積することを特徴とする請求項23に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項27】
基板の上に堆積されたn型層を用意することと、
前記n型層上に絶縁層を形成することと、
前記絶縁層をパターニングして、前記絶縁層の露出した一部分及びその下の前記n型層の一部分を除去して、残存絶縁層の第1の組の表面及びそれと垂直に位置がずれた残存n型層の第2の組の表面とすることと、
活性領域を堆積し、それによって、前記活性領域の第1の部分が前記表面の第1の組に形成され、前記活性領域の第2の部分が前記表面の第2の組に形成されるようにすることと、
前記活性領域の第1の部分を除去して、前記残存絶縁層を露出させることと、
前記活性領域の上にp型層を堆積して前記活性領域の上面を覆い、前記p型層の一部分が、前記活性領域の第1の部分が除去された空間に充填されて正孔注入プラグを形成することと、
複数の電子注入ホールを形成するように、前記p型層をパターニングおよびエッチングして、前記n型層が露出するまで一部の前記正孔注入プラグ及びその下の前記残存絶縁層を除去することと、
前記複数の電子注入ホールの中に他のn型層を堆積して複数の電子注入プラグを形成することと、
前記複数の電子注入プラグ上に他の絶縁層を堆積して、前記複数の電子注入プラグを前記p型層から絶縁することと、を含むことを特徴とする発光デバイスの製造方法。
【請求項28】
前記活性領域を堆積するステップは、複数の量子井戸層および量子障壁層を交互に堆積することを含み、前記正孔注入プラグは少なくとも1つの井戸層と接触し、前記電子注入プラグは少なくとも1つの井戸層と接触することを特徴とする請求項27に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項29】
前記活性領域を成長させる前に、前記n型層上に、前記第1の組の表面および前記第2の組の表面を覆う回復n型層をさらに堆積することを特徴とする請求項27に記載の発光デバイスの製造方法。
【請求項30】
基板の上に堆積した、p型層、絶縁層及びn型層を用意することと、
前記n型層が露出するまで前記p型層および前記絶縁層をパターニングおよびエッチングして、前記p型層の残存部分および前記絶縁層の残存部分を含む複数の突出部を形成することと、
前記基板の上に、複数の量子井戸および量子障壁を含む活性領域を堆積して、前記突出部が前記活性領域を貫き、かつ、前記p型層の残存部分が2つ以上の井戸層と接するようにすることを特徴とする発光デバイスの製造方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−9810(P2012−9810A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21158(P2011−21158)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(511029660)インベンルクス コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(511029660)インベンルクス コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】
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