説明

改質天然ゴムの製造方法

【課題】天然ゴムの粘度を低減し成形加工性を向上すると共に、ヒステリシスロスを小さくするようにした改質天然ゴムの製造方法を提供する。
【解決手段】天然ゴムラテックスに、加熱、マイクロ波照射、紫外線照射から選ばれる少なくとも1つの処理を行なうことにより、前記天然ゴムラテックス中のゴム粒子からタンパク質を遊離させ、その遊離したタンパク質を含むように乾燥することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質天然ゴムの製造方法に関し、さらに詳しくは、天然ゴムの粘度を低減し成形加工性を向上すると共に、ヒステリシスロスを小さくするようにした改質天然ゴムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ゴムは、機械的特性が優れるため空気入りタイヤ、ベルト、接着剤などの工業製品に広く使用されている。しかし、空気入りタイヤのトレッドゴムには、機械的特性が優れることに加え、ヒステリシスロスを小さくすることにより燃費性能を向上させたり、粘度を低減することにより成形加工性を向上させることが求められており、従来の天然ゴムはこれらの特性が必ずしも十分ではなかった。
【0003】
一方、天然ゴムに新たな特性を付与するための改質手段としては、天然ゴムへのエポキシ化や有機化合物のグラフト共重合、脱タンパク質処理などが知られている。例えば、特許文献1は、天然ゴムラテックスにタンパク質変成剤を添加し、ラテックス中のタンパク質を変成し、遠心分離によりタンパク質を除去することを提案している。
【0004】
しかし、このような改質手段により得られた改質天然ゴムにおいても、低粘度化による成形加工性の向上やヒステリシスロスの低減という要求性能を達成することはできなかった。
【特許文献1】特開2004−99696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、天然ゴムの粘度を低減し成形加工性を向上すると共に、ヒステリシスロスを小さくするようにした改質天然ゴムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の改質天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックスに、加熱、マイクロ波照射、紫外線照射から選ばれる少なくとも1つの処理を行なうことにより、前記天然ゴムラテックス中のゴム粒子からタンパク質を遊離させ、その遊離したタンパク質を含むように乾燥することを特徴とする。
【0007】
前記天然ゴムラテックスは、パルス燃焼による衝撃波の雰囲気中に噴射して乾燥するとよい。前記天然ゴムラテックスを加熱処理するときは、60℃以上90℃以下の温度で加熱することにより前記タンパク質を遊離させるとよい。マイクロ波照射するときは、80℃を超えないように5秒から5分間マイクロ波を照射することにより前記天然ゴムラテックス中のタンパク質を遊離させるとよい。また、紫外線照射するときは、波長が10〜400nmの紫外線を5分から2時間照射することにより前記タンパク質を遊離させるとよい。前記天然ゴムラテックスは、フィールドラテックス及び/又は濃縮ラテックスにするとよい。
【0008】
本発明の製造方法により得られた改質天然ゴムは、ヒステリシスロスを小さくすると共に、粘度を低減し成形加工性を向上することができる。この改質天然ゴムを含むジエン系ゴムに、カーボンブラック、シリカから選ばれる少なくとも1つを配合することによりゴム組成物にすることができる。このゴム組成物は、空気入りタイヤの構成部材、特にトレッド部を構成するのに好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の改質天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックスに、加熱、マイクロ波照射、紫外線照射から選ばれる少なくとも1つの処理を行なうことにより、天然ゴムラテックス中のゴム粒子からタンパク質を遊離させ、その遊離したタンパク質を含むように乾燥するようにしたので、天然ゴムラテックスの乾燥操作及び乾燥後の天然ゴムの混合操作を通じてゴム粒子に付着したタンパク質の影響を小さくすることができる。また、天然ゴムラテックス中の遊離したタンパク質を除去せずに乾燥したため、改質天然ゴムの粘度を低減させ成形加工性が向上すると共に、ヒステリシスロスを小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の製造方法において、天然ゴムラテックスとしては、ゴムの木から採取しろ過されたフィールドラテックス又はこれを処理した濃縮天然ゴムラテックスを使用することができる。これらのラテックスはいずれか一方又は両方を使用してもよい。天然ゴムラテックス中の固形成分の量は、特に制限されるものではないが、好ましくは10〜70重量%にするとよい。なお、天然ゴムラテックス中の固形成分とは、水分(しょう液)及びこれに溶解した成分を除いたすべての固形成分とする。
【0011】
本発明の改質天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックスに加熱、マイクロ波照射、紫外線照射から選ばれる少なくとも1つの処理を行なうことにより、天然ゴムラテックス中のゴム粒子に付着したタンパク質を遊離させるものである。このようにタンパク質をゴム粒子から遊離させることにより改質天然ゴムの製造時にタンパク質の影響を可及的に小さくする。また、遊離したタンパク質を除去せずに含有させた状態で、天然ゴムラテックスを乾燥するようにしたため、得られた改質天然ゴムは粘度が低減し成形加工性が向上すると共に、ヒステリシスロスを小さくすることができる。
【0012】
本発明の製造方法において、天然ゴムラテックスを加熱してタンパク質を遊離させる処理条件は、好ましくは温度60〜90℃で0.1〜2.0時間混合・撹拌するとよい。加熱温度が60℃未満の場合、ゴム粒子からタンパク質を十分に遊離させることができない。また、混合温度が90℃を超えると、天然ゴムラテックスが熱劣化したり、ゲル化する虞がある。混合時間が0.1時間未満の場合、タンパク質の遊離が不十分になる。また、混合時間が2.0時間を超えても、タンパク質の遊離が頭打ちになり生産性が低下する。
【0013】
本発明の製造方法において、天然ゴムラテックスにマイクロ波照射してタンパク質を遊離させる処理条件は、好ましくは80℃を超えないように5秒から5分間マイクロ波を照射するとよい。特に、80℃を超えないように5分間マイクロ波を照射するとよい。マイクロ波を照射する時間が5秒未満の場合、タンパク質の遊離が不十分になる。また、マイクロ波を照射する時間が5分を超えると、生産性が悪くなる。また、マイクロ波を照射するときは、急激に温度が上がりやすいため処理温度は80℃を超えないようにするとよい。
【0014】
本発明の製造方法において、天然ゴムラテックスに紫外線照射してタンパク質を遊離させる処理条件は、好ましくは波長が10〜400nmで紫外線強度が0.1〜6000mW/cmの紫外線を5分から2時間照射するとよい。特に、波長が100〜300nmで紫外線強度が1〜3000mW/cmである紫外線を5〜60分間照射するとよい。紫外線を照射する時間が5分未満の場合や紫外線強度が0.1mW/cm未満の場合には、タンパク質の遊離が不十分になる。また、紫外線を照射する時間が2時間を超えると、生産性が悪くなる。紫外線強度が6000mW/cmを超えると、ゴムの劣化(架橋や切断)が起きやすくなる。
【0015】
本発明の改質天然ゴムの製造方法は、天然ゴムラテックスに加熱、マイクロ波照射、紫外線照射から選ばれる処理を行なうことにより、ゴム粒子からタンパク質を遊離させ、その遊離したタンパク質を天然ゴムラテックスから分離・除去しないようにする。これは、天然ゴムラテックス中の遊離したタンパク質を遠心分離機などにより分離・除去し脱蛋白した場合、この脱蛋白した天然ゴムは、ヒステリシスロスを小さくすることができないからである。また、脱蛋白した天然ゴムは、スコーチが悪化しゴム焼けを起こしやすくなるという問題がある。これらの理由は明らかでないが、遊離したタンパク質を分離・除去せずに改質天然ゴムの中に分散させるようにした方が、低ヒステリシスロス及び低粘度が優れた改質天然ゴムを得ることができる。
【0016】
本発明で用いる乾燥方法としては、天然ゴムラテックスをパルス燃焼衝撃波乾燥法により乾燥する方法が好ましい。パルス燃焼衝撃波乾燥法は、天然ゴムラテックスを、パルス燃焼による衝撃波の雰囲気中に噴射して行なう乾燥方法であり、遊離したタンパク質が、水分と共に除去されないようにしながら乾燥することができる。また、天然ゴムラテックス中のゴム粒子に過剰の熱をかけずに低温で乾燥するので天然ゴムの熱劣化やゲル化を防止することができる。このため、低ヒステリシスロスで低粘度の改質天然ゴムを製造するのに適した乾燥方法である。一方、天然ゴムラテックス中の天然ゴムを凝固させ、その固形成分を固液分離して乾燥した場合には、水分と共に遊離したタンパク質の一部が除去されるため、低ヒステリシスロス及び低粘度が優れた改質天然ゴムを得ることができない。
【0017】
パルス燃焼衝撃波乾燥は、市販のパルス燃焼衝撃波乾燥装置(例えばパルテック社製ハイパルコン)を使用して行なうことができる。乾燥条件は、パルス燃焼の周波数が好ましくは50〜1200Hz、より好ましくは250〜1000Hz、天然ゴムラテックスを噴射する乾燥室の温度を好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜70℃にするとよい。パルス燃焼衝撃波乾燥の条件を上述した範囲内にすることにより、天然ゴムの熱劣化やゲル化を防止することができる。
【0018】
また、天然ゴムラテックスには界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を配合することにより、天然ゴムラテックス中のゴム粒子の分散を安定化することができる。このため天然ゴムラテックスが酸性になった場合でもゴム粒子の分散が不安定になるのを抑制し、生産ラインの配管の詰まり等の不具合を防止することができる。
【0019】
本発明の製造方法により得られた改質天然ゴムは、ヒステリシスロスを小さくすると共に、粘度を低減し成形加工性を向上することができる。この改質天然ゴムを含むゴム組成物は、粘度が低いため成形加工性に優れると共にヒステリシスロスが小さいという特性を有する。ゴム組成物としては、改質天然ゴムを含むジエン系ゴムに、カーボンブラック及び/又はシリカを配合するとよい。改質天然ゴム以外のジエン系ゴムは、必要に応じて配合すればよい。ジエン系ゴムとしては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、各種ブタジエンゴム、各種スチレンブタジエンゴム、各種アクリロニトリル−ブタジエンゴム、各種ブチルゴムを例示することができる。これらのジエン系ゴムは単独又は複数の種類を配合してもよい。また、カーボンブラックはゴム組成物の耐摩耗性を高くする作用を行なうと共に、シリカはゴム組成物のヒステリシスロスを一層小さくする作用を行なう。
【0020】
本発明のゴム組成物は、改質天然ゴム100重量部に対し、カーボンブラック及びシリカから選ばれる少なくとも1種を好ましくは20〜150重量部、より好ましくは30〜100重量部配合するとよい。カーボンブラック及びシリカの配合量が20重量部未満であると、ゴム組成物を十分に補強することができない。また、カーボンブラック及びシリカの配合量が150重量部を超えると、ゴム組成物の粘度が高くなり成形加工性が悪化する。カーボンブラック及びシリカは、それぞれ単独で配合してもよい。また、カーボンブラック及びシリカを共に配合してもよい。カーボンブラック及びシリカを併用する場合には、カーボンブラック及びシリカの合計量に占めるシリカの配合割合を、10〜97重量%にするとよい。
【0021】
本発明において、ゴム組成物にシリカを配合する場合には、シランカップリング剤をシリカ重量に対して好ましくは3〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%配合するとよい。シランカップリング剤の配合により、シリカの分散性を向上し、ヒステリシスロスを一層小さくすることができる。シランカップリング剤がシリカ重量の3重量%未満の場合、シリカの分散の向上効果は期待することができない。また、シランカップリング剤が15重量%を超える場合、シランカップリング剤同士が縮合してしまい、所望の効果を得ることができなくなる。
【0022】
シランカップリング剤は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであればよいが、なかでも硫黄含有シランカップリング剤が好ましく、例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等を例示することができる。
【0023】
本発明のゴム組成物には、カーボンブラック及びシリカ以外にゴム組成物に通常用いられる充填剤や添加剤などの配合剤を添加することができる。充填剤としては、例えばクレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等を必要に応じて配合することができる。添加剤としては、例えば、加硫剤又は架橋剤、加硫促進剤、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、滑剤、着色剤、粘着付与剤、カップリング剤などを例示することができる。これらの充填剤及び添加剤の配合量は、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0024】
上記により得られたゴム組成物は、空気入りタイヤの少なくとも1部材を構成するのに好適である。空気入りタイヤの構成部材としては、トレッド部、サイドウォール部、ビード部や各種補強コードの被覆ゴムなどが例示される。とりわけ、本発明のゴム組成物は、キャップトレッド部、サイドトレッド部、アンダートレッド部、ベルトエッジクッション部、ビードフィラー部、リムクッション部、カーカスコートゴム及びベルトコートゴムからなる群から選ばれる少なくとも一つの部材に使用するとよい。なかでもトレッド部に使用するのが好ましい。本発明のゴム組成物を使用したタイヤトレッドは、天然ゴムの特性が効率的に引き出されると共に、成形加工性に優れ安定的に加工成形されるので、高い品質を安定的に発揮することができる。同時に、ヒステリシスロスが小さいためタイヤの燃費性能を向上することができる。
【0025】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0026】
改質天然ゴムの製造
下記の製造方法により、5種類の改質天然ゴム(実施例1〜3、比較例1,2)を製造した。
【0027】
実施例1
天然ゴムラテックスとして濃縮天然ゴムラテックス(固形成分60重量%)を使用し、この天然ゴムラテックスを80℃で2時間、撹拌しながら加熱処理を行なった。加熱処理した天然ゴムラテックスを、パルス燃焼衝撃波乾燥装置(パルテック社製ハイパルコン小型ラボ用乾燥機)を使用して、パルス燃焼による衝撃波の雰囲気(周波数1000Hz、温度60℃)下に2L/時の流量で噴射して乾燥し、改質天然ゴムを製造した。
【0028】
実施例2
実施例1の加熱処理の代わりに、実施例1と同じ天然ゴムラテックスを1分間で80℃まで昇温する設定で、80℃を超えないように1分間、マイクロ波照射処理を行なったことを除き、実施例1と同様にして改質天然ゴムを製造した。
【0029】
実施例3
実施例1の加熱処理の代わりに、実施例1と同じ天然ゴムラテックスを超高圧水銀ランプを備えた紫外線照射装置で波長250〜390nm、強度2.0mW/cmの紫外線を1時間照射処理を行なったたことを除き、実施例1と同様にして改質天然ゴムを製造した。
【0030】
比較例1
実施例1と同じ天然ゴムラテックスを、パルス燃焼衝撃波乾燥装置(パルテック社製ハイパルコン小型ラボ用乾燥機)を使用して、パルス燃焼による衝撃波の雰囲気(周波数1000Hz、温度60℃)中に2L/時の流量で噴射して乾燥し、比較例1の改質天然ゴムを製造した。
【0031】
比較例2
比較例2の改質天然ゴムは、実施例1において天然ゴムラテックスに同一条件で加熱処理を行ないタンパク質を遊離させた後、その遊離したタンパク質を遠心分離機を用いて除去してから乾燥したことを除き、実施例1と同様にして改質天然ゴムを製造した。
【0032】
改質天然ゴムの評価
得られた5種類の改質天然ゴム(実施例1〜3、比較例1,2)を使用し、表1に示す配合でそれぞれ加硫促進剤と硫黄を除く配合成分を秤量し、0.6Lのバンバリーミキサーで4分間混練し、130〜140℃で混練物を放出して室温まで冷却した。この混練物に加硫促進剤と硫黄を加え電熱ロールを用いて混合し7種類のゴム組成物(実施例4〜7、比較例3〜5)を製造した。
【0033】
得られた7種類のゴム組成物のムーニー粘度を下記の方法で測定した。また、得られたゴム組成物をそれぞれ所定形状の金型中で、160℃、15分間加硫して試験片を作製し、下記に示す方法によりヒステリシスロス(tanδ)を測定した。
【0034】
ムーニー粘度(ML1+4
得られたゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4)をJIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計にてL型ロータ(38.1mm径、5.5mm厚)を使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、100℃、2rpmの条件で測定し、得られた結果を表1に示した。ムーニー粘度が小さいほど粘度が低く成形加工性に優れることを意味する。
【0035】
ヒステリシスロス(tanδ)
得られた試験片のtanδを、岩本製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、伸長変形歪率10%±2%、周波数20Hzの条件で、温度60℃におけるtanδを測定し、得られた結果を表1に示した。tanδ(60℃)が小さいほどヒステリシスロスが小さく燃費性能が優れることを意味する。
【0036】
【表1】

【0037】
なお、表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
シリカ:日本シリカ社製ニップシールAQ
カーボンブラック:昭和キャボット社製ショウブラックN339
シランカップリング剤:デグッサ社製Si69
老化防止剤:大内新興化学工業社製ノクラック 6C
ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
亜鉛華:正同化学工業社製酸化亜鉛3号
アロマオイル:昭和シェル石油社製デソレックス3号
加硫促進剤1:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
加硫促進剤2:大内新興化学工業社製ノクセラーD
硫黄:鶴見化学工業社製微粉硫黄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴムラテックスに、加熱、マイクロ波照射、紫外線照射から選ばれる少なくとも1つの処理を行なうことにより、前記天然ゴムラテックス中のゴム粒子からタンパク質を遊離させ、その遊離したタンパク質を含むように乾燥する改質天然ゴムの製造方法。
【請求項2】
前記天然ゴムラテックスを、パルス燃焼による衝撃波の雰囲気中に噴射して乾燥する請求項1に記載の改質天然ゴムの製造方法。
【請求項3】
前記天然ゴムラテックスを、60℃以上90℃以下の温度で加熱することにより、前記タンパク質を遊離させる請求項1又は2に記載の改質天然ゴムの製造方法。
【請求項4】
前記天然ゴムラテックスを、80℃を超えないように5秒から5分間マイクロ波を照射することにより、前記タンパク質を遊離させる請求項1,2又は3に記載の改質天然ゴムの製造方法。
【請求項5】
前記天然ゴムラテックスを、波長が10〜400nmの紫外線を5分から2時間照射することにより、前記タンパク質を遊離させる請求項1〜4のいずれかに記載の改質天然ゴムの製造方法。
【請求項6】
前記天然ゴムラテックスが、フィールドラテックス及び濃縮ラテックスから選ばれる少なくとも1つである請求項1〜5のいずれかに記載の改質天然ゴムの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られた改質天然ゴム。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られた改質天然ゴムを含むジエン系ゴムにカーボンブラック、シリカから選ばれる少なくとも1つを配合したゴム組成物。
【請求項9】
請求項8に記載のゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
【請求項10】
請求項8に記載のゴム組成物によりトレッド部を構成した空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2010−111724(P2010−111724A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283680(P2008−283680)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】