説明

放射器に対する機械構成部品の近接度を測定するセンサアセンブリおよび方法

【課題】機械構成品の近接度を測定するアセンブリおよび方法の提供。
【解決手段】マイクロ波センサアセンブリ110は、少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成するように構成された放射器206を含む少なくとも1つのプローブ202を含む。また、この放射器は、電磁場内に位置している物体によって放射器内に誘導された負荷を表す少なくとも1つの負荷信号を生成するように構成されている。さらに、マイクロ波センサアセンブリは、少なくとも1つのプローブに結合された信号処理デバイス200を含む。この信号処理デバイスは、少なくとも1つの負荷信号に基づいて実質的に線形の出力信号を生成するように構成されたリニアライザ222を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して動力システムに関し、より詳細には、放射器に対する機械構成部品の近接度を測定するセンサアセンブリおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の機械は、動作中に振動および/または他の異常動作を示すことがある。そのような動作を測定および/または監視して、例えば、機械駆動シャフトに見られる振動の量、機械駆動シャフトの回転速度、および/または、動作中の機械もしくはモータの任意の他の動作特性を求めるために、1つまたは複数のセンサを用いることができる。多くの場合、このようなセンサは、複数のモニタを含む機械監視システムに結合されている。この監視システムは、1つまたは複数のセンサから信号を受信し、その信号に対して少なくとも1つの処理ステップを実行し、修正した信号を診断プラットフォームに送信し、そこでユーザに測定値を表示する。
【0003】
公知の少なくとも一部の機械は、渦電流センサを使用し、機械構成部品の振動および/または位置を測定する。しかし、公知の渦電流センサの使用は、このようなセンサの検出距離が渦電流検知素子の幅のほぼ半分しかないために制限される場合がある。公知の他の機械は、光センサを使用し、機械構成部品の振動および/または位置を測定する。しかし、公知の光センサは、汚濁物で汚れて不正確な測定値をもたらすことがあるため、産業環境には適さない場合がある。さらに、公知の光センサは、液体媒体、および/または、粒子を含む媒体を通じて機械構成部品の振動および/または位置を検出することに適さない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0211334号明細書
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成するように構成された放射器を含む少なくとも1つのプローブを含むマイクロ波センサアセンブリが提供される。また、この放射器は、電磁場内に位置している物体によって放射器内に誘導された負荷を表す少なくとも1つの負荷信号を生成するように構成されている。さらに、マイクロ波センサアセンブリは、少なくとも1つのプローブに結合された信号処理デバイスを含む。この信号処理デバイスは、少なくとも1つの負荷信号に基づいて実質的に線形の出力信号を生成するように構成されたリニアライザ(linearizer)を含む。
【0006】
別の実施形態では、機械と、その機械の近傍に配置されたマイクロ波センサアセンブリとを含む動力システムが提供される。マイクロ波センサアセンブリは、少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成するように構成された放射器を含む少なくとも1つのプローブを含み、機械の少なくとも1つの構成部品が電磁場内に位置するとき放射器内に負荷が誘導される。また、この放射器は、誘導負荷を表す少なくとも1つの負荷信号を生成するように構成されている。さらに、マイクロ波信号アセンブリは、少なくとも1つのプローブに結合された信号処理デバイスを含む。この信号処理デバイスは、少なくとも1つの負荷信号に基づいて実質的に線形の出力信号を生成するように構成されたリニアライザを含む。
【0007】
さらに別の実施形態では、放射器に対する機械構成部品の近接度を測定するための方法が提供される。この方法は、放射器に送信された少なくとも1つのマイクロ波信号に基づいて電磁場を生成すること、および電磁場と機械構成部品の相互作用によって放射器内に誘導された負荷を表す少なくとも1つの負荷信号を生成することを含む。放射器に対する機械構成部品の実質的に線形の近接度測定値は、少なくとも1つの負荷信号に基づいてもたらされ、その近接度測定値はユーザに出力される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的動力システムのブロック図である。
【図2】図1に示されている動力システムで用いることができる例示的センサアセンブリのブロック図である。
【図3】図2に示されているセンサアセンブリで用いることができる例示的信号処理デバイスの一部分のブロック図である。
【図4】図2に示されているセンサアセンブリで用いることができる代替の信号処理デバイスの一部分のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、機械102を含む例示的動力システム100を示す。例示的実施形態では、機械102は、風力タービン、水力発電タービン、ガスタービン、蒸気タービン、電気エンジン、またはコンプレッサでもよいが、これらだけに限定されない。あるいは、機械102は、動力システムで用いられる任意の他の機械でもよい。例示的実施形態では、機械102は、発電機などの負荷106に結合された駆動シャフト104を回転させる。
【0010】
例示的実施形態では、駆動シャフト104は、機械102および/または負荷106の中に実装されている1つまたは複数のベアリング(図示せず)によって少なくとも部分的に支えられている。代替的または付加的に、ベアリングは、ギアボックスなどの別の支持構造体108の中、または、動力システム100が本明細書で説明するように機能することを可能にする任意の他の構造体もしくは構成部品の中に実装することができる。
【0011】
例示的実施形態では、動力システム100は、機械102、駆動シャフト104、負荷106、および/または、動力システム100が本明細書で説明するように機能することを可能にする動力システム100の任意の他の構成部品のうちの少なくとも1つの動作状態を測定および/または監視する少なくとも1つのセンサアセンブリ110を含む。より具体的には、例示的実施形態では、センサアセンブリ110は、駆動シャフト104とセンサアセンブリ110の間で定められる(図1には示されていない)距離を測定および/または監視するために、駆動シャフト104の至近距離に配置された近接度センサアセンブリ110である。さらに、例示的実施形態では、センサアセンブリ110は、マイクロ波信号を使用し、センサアセンブリ110に対する動力システム100の構成部品の近接度を測定する。本明細書で用いるとき、「マイクロ波」という用語は、信号、または、約300メガヘルツ(MHz)と約300ギガヘルツ(GHz)の間の1つまたは複数の周波数を有する信号を受信および/または送信する構成部品を指す。あるいは、センサアセンブリ110は、動力システム100の任意の他の構成部品を測定および/または監視することもでき、かつ/または、動力システム100が本明細書で説明するように機能することを可能にする任意の他のセンサアセンブリもしくはトランスデューサアセンブリでもよい。例示的実施形態では、各センサアセンブリ110は、動力システム100内の任意の位置に配置される。さらに、例示的実施形態では、少なくとも1つのセンサアセンブリ110は、センサアセンブリ110によって生成される1つまたは複数の信号を処理および/または分析する際に用いる診断システム112に結合されている。
【0012】
例示的実施形態では、動作中に、機械102の動作が、駆動シャフト104などの動力システム100の1つまたは複数の構成部品の位置を、少なくとも1つのセンサアセンブリ110に対して変化させることがある。例えば、構成部品内に振動が誘導される場合があり、かつ/または、動力システム100の動作温度が変化するにつれて、構成部品が膨張または収縮する場合がある。例示的実施形態では、センサアセンブリ110は、それぞれのセンサアセンブリ110に対する構成部品の近接度、位置、および/または、振動の量を測定および/または監視し、その構成部品について測定した近接度、位置、および/または、振動の量を表す信号(以降では「近接度測定信号」と呼ぶ)を、処理および/または分析のために診断システム112に送信する。
【0013】
図2は、(図1に示されている)動力システム100で用いることができる例示的センサアセンブリ110の概略図である。例示的実施形態では、センサアセンブリ110は、信号処理デバイス200と、データ線管(data conduit)204を介して信号処理デバイス200に結合されているプローブ202とを含む。さらに、例示的実施形態では、プローブ202は、プローブハウジング208に結合された、かつ/または、プローブハウジング208の中に配置された放射器206を含む。より具体的には、例示的実施形態では、プローブ202は、マイクロ波放射器206を含むマイクロ波センサプローブ202である。このようなものとして、例示的実施形態では、放射器206は、マイクロ波周波数範囲内の少なくとも1つの共振周波数を有する。
【0014】
例示的実施形態では、信号処理デバイス200は、送信電力検出器212と、受信電力検出器214と、信号調整デバイス216とに結合された方向性結合デバイス210を含む。さらに、例示的実施形態では、信号調整デバイス216は、信号発生器218、減算器220、およびリニアライザ222を含む。放射器206は、マイクロ波信号が放射器206を通じて送信されたとき、電磁場224を放射する。
【0015】
例示的実施形態では、動作中に、信号発生器218は、放射器206の少なくとも1つの共振周波数に等しいか、または、ほぼ等しいマイクロ波周波数を有する少なくとも1つの電気信号(以降では「マイクロ波信号」と呼ぶ)を生成する。信号発生器218は、マイクロ波信号を方向性結合デバイス210に送信する。方向性結合デバイス210は、マイクロ波信号の一部を放射器206に送信し、マイクロ波信号の残りの部分を送信電力検出器212に送信する。マイクロ波信号が放射器206を通じて送信されたとき、放射器206からプローブハウジング208の外へ電磁場224が放射される。駆動シャフト104、または、(図1に示されている)機械102および/もしくは動力システム100の別の構成部品などの物体が電磁場224の中に入り、かつ/または、電磁場224における相対的位置を変えると、その物体と電磁場224の間に電磁結合が起こり得る。より具体的には、電磁場224内の物体の存在、および/または、そのような物体の動きによって、例えば、電磁場224の少なくとも一部を電流および/または電荷として誘導的および/または容量的にその物体に結合させ得る、物体内に誘導される誘導効果および/または容量性効果により、電磁場224が乱される場合がある。このような場合には、放射器206は離調され(すなわち、放射器206の共振周波数が低下および/または変化し)、放射器206内に負荷が誘導される。放射器206内に誘導された負荷によって、データ線管204を通じて方向性結合デバイス210に送信されることになる、マイクロ波信号の少なくとも1つの反射(以降では「離調負荷信号」と呼ぶ)が生じる。例示的実施形態では、この離調負荷信号は、マイクロ波信号の電力振幅および/または位相に比べて、低い電力振幅および/または異なる位相を有する。さらに、例示的実施形態では、離調負荷信号の電力振幅は、放射器206に対する物体の近接度に依存する。方向性結合デバイス210は、離調負荷信号を受信電力検出器214に送信する。
【0016】
例示的実施形態では、受信電力検出器214は、離調負荷信号に基づく電力の量、および/または、離調負荷信号に含まれる電力の量を求め、離調負荷信号電力を表す信号を信号調整デバイス216に送信する。さらに、送信電力検出器212は、マイクロ波信号に基づく電力の量、および/または、マイクロ波信号に含まれる電力の量を求め、マイクロ波信号電力を表す信号を信号調整デバイス216に送信する。例示的実施形態では、減算器220は、マイクロ波信号電力および離調負荷信号電力を受信し、マイクロ波信号電力と離調負荷信号電力の差を算出する。減算器220は、算出された差を表す信号(以降では「電力差信号」と呼ぶ)をリニアライザ222に送信する。例示的実施形態では、電力差信号の振幅は、電磁場224内の駆動シャフト104などの物体と、プローブ202および/または放射器206との間で定められる距離226に、例えば、逆比例または指数関数的に比例している(すなわち、距離226が物体の近接度として知られている)。電力差信号の振幅は、例えば放射器206の幾何形状など放射器206の特性に応じて、物体の近接度に対して非線形の関係を少なくとも部分的に示す場合がある。
【0017】
例示的実施形態では、リニアライザ222は、電力差信号を電圧出力信号(すなわち、「近接度測定信号」)に変換し、この電圧出力信号は、物体の近接度と、近接度測定信号の振幅との間の実質的に線形の関係を示す。さらに、例示的実施形態では、リニアライザ222は、近接度測定信号を、診断システム112における処理および/または分析に適した目盛係数と共に(図1に示されている)診断システム112に送信する。例示的実施形態では、近接度測定信号は、ボルト毎ミリメートルの目盛係数を有する。あるいは、近接度測定信号は、診断システム112および/または動力システム100が本明細書で説明するように機能することを可能にする任意の他の目盛係数を有することもできる。
【0018】
図3は、(図2に示されている)センサアセンブリ110で用いることができる例示的信号処理デバイス200の一部分のブロック図である。図3に示されている実施形態では、信号処理デバイス200は、本明細書でさらに十分に説明するように、複数の演算増幅器などの、複数のアナログ構成部品を含む。あるいは、信号処理デバイス200は、信号処理デバイス200が本明細書で説明するように機能することを可能にする任意の他の構成部品を含むこともできる。例示的実施形態では、図2を参照して上記で説明したように、送信電力検出器212は、マイクロ波信号に基づく電力の量、および/または、マイクロ波信号に含まれる電力の量を求め、マイクロ波信号電力を表す信号を減算器220に送信する。さらに、例示的実施形態では、図2を参照して上記で説明したように、受信電力検出器214は、離調負荷信号に基づく電力の量、および/または、離調負荷信号に含まれる電力の量を求め、離調負荷信号電力を表す信号を減算器220に送信する。
【0019】
例示的実施形態では、減算器220は、マイクロ波信号電力から離調負荷信号電力を減じる差動増幅器300を含み、電力差信号をリニアライザ222に送信する。代替実施形態では、減算器220は、マイクロ波信号電力と離調負荷信号電力の差を求める任意の他のデバイスを含むこともできる。例示的実施形態では、電力差信号は、(図1に示されている)駆動シャフト104などの物体と、(共に図2に示されている)プローブ202および/または放射器206との間で定められる(図2に示されている)距離226に、指数関数的、対数関数的、および/または反比例している。
【0020】
例示的実施形態では、リニアライザ222は、差動増幅器300に結合されているループ増幅器302と、ループ増幅器302に結合されているスケーリング増幅器304とを含む。例示的実施形態では、差動増幅器300、ループ増幅器302、およびスケーリング増幅器304は、演算増幅器である。あるいは、リニアライザ222は、リニアライザ222が本明細書で説明するように機能することを可能にする、任意の他の1つまたは複数のデバイスを含む。ループ増幅器302は、差動増幅器300から電力差信号を受信し、この電力差信号に基づいて実質的に線形の出力信号を生成する。より具体的には、ループ増幅器302の出力は、伝達関数デバイス306に送信される。例示的実施形態では、伝達関数デバイス306は、入力信号の変換に対応する出力信号を生成する(すなわち、出力信号は入力信号を変換したものである)。一実施形態では、入力信号の変換には、入力信号のシフト、オフセット処理、および/または反転が含まれる。このようなものとして、伝達関数デバイス306は、伝達関数帰還ループが設けられるように、ループ増幅器302の信号出力を変換したものである出力信号をループ増幅器302に送信する。ループ増幅器302は、電力差信号から変換後信号を減じて、算出された差を表す電圧出力を生成する。ループ増幅器302のこのような伝達関数帰還ループによって、ループ増幅器302が電力差信号を電圧出力信号(すなわち、「近接度測定信号」)に変換することが可能となり、この電圧出力信号は、物体の近接度と、近接度測定信号の振幅との間の実質的に線形の関係を示す。
【0021】
ループ増幅器302は、近接度測定信号の振幅を調整するために、近接度測定信号をスケーリング増幅器304に送信する。例示的実施形態では、スケーリング増幅器304は、近接度測定信号の振幅を、診断システム112における処理および/または分析に適した振幅に増加させる。例示的実施形態では、近接度測定信号は、ボルト毎ミリメートルの目盛係数を有する。あるいは、近接度測定信号は、診断システム112および/または動力システム100が本明細書で説明するように機能することを可能にする任意の他の目盛係数を有することもできる。増幅された近接度測定信号は、ユーザに出力もしくは表示するために、かつ/または、さらなる処理および/もしくは分析のために、診断システム112および/または任意の他のデバイスもしくはシステムに送信することができる。
【0022】
図4は、(図2に示されている)センサアセンブリ110で用いることができる、代替の信号処理デバイス200の一部分のブロック図である。図4に示されている実施形態では、信号処理デバイス200は、本明細書で十分に説明するように、プロセッサなどの少なくとも1つのデジタル構成部品を含む。あるいは、信号処理デバイス200は、信号処理デバイス200が本明細書で説明するように機能することを可能にする任意の他の構成部品を含むこともできる。例示的実施形態では、送信電力検出器212は、マイクロ波信号に基づく電力の量、および/または、マイクロ波信号に含まれる電力の量を求め、マイクロ波信号電力を表す信号をアナログ−デジタル(A−D)変換器400に送信する。さらに、例示的実施形態では、受信電力検出器214は、離調負荷信号に基づく電力の量、および/または、離調負荷信号に含まれる電力の量を求め、離調負荷信号電力を表す信号をA−D変換器400に送信する。
【0023】
例示的実施形態では、A−D変換器400は、マイクロ波信号電力を表すアナログ信号を、マイクロ波信号電力を表すデジタル信号(以降では「デジタルマイクロ波電力信号」と呼ぶ)に変換する。A−D変換器400は、離調負荷信号電力を表すアナログ信号を、離調負荷信号電力を表すデジタル信号(以降では「デジタル負荷電力信号」と呼ぶ)に変換する。A−D変換器400は、デジタルマイクロ波電力信号およびデジタル負荷電力信号をプロセッサ402に送信する。
【0024】
プロセッサ402は、1つまたは複数のシステムおよびマイクロコントローラを含み得る任意の好適なプログラマブル回路、マイクロプロセッサ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック回路(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ならびに、本明細書で説明する機能を実行することができる任意の他の回路を含む。上記の例は例示に過ぎず、したがって「プロセッサ」という用語の定義および/または意味をいかなる方法においても制限することは意図されていない。
【0025】
プロセッサ402は、減算器404およびリニアライザ406に関してプログラムされる(すなわち、減算器404およびリニアライザ406は、プロセッサ402の中に組み込まれている)。減算器404は、デジタルマイクロ波電力信号とデジタル負荷電力信号の差を算出し、その結果得られる電力差信号を生成する。減算器404は、電力差信号をリニアライザ406に送信する。例示的実施形態では、電力差信号は、(図1に示されている)駆動シャフト104などの物体と、(共に図2に示されている)プローブ202および/または放射器206との間で定められる(図2に示されている)距離226に、指数関数的、対数関数的、および/または反比例している。
【0026】
例示的実施形態では、リニアライザ406は、プロセッサ402内にプログラムされた伝達関数を含む。プロセッサ402は、この伝達関数を実行して、電力差信号を、物体の近接度と出力信号の振幅との間の実質的に線形の関係を示す出力信号(すなわち、「近接度測定信号」)に変換する。より具体的には、例示的実施形態では、伝達関数は、電力差信号と電力差信号の変換とを用いて、実質的に線形の近接度測定信号を生成する。一実施形態では、電力差信号の変換には、電力差信号のシフト、オフセット処理、および/または反転が含まれる。このような実施形態では、伝達関数は、電力差信号から電力差信号が変換されたものを減じて、実質的に線形の近接度測定信号を生成する。リニアライザ406は、近接度測定信号をデジタル−アナログ(「D−A」)変換器408に送信する。
【0027】
例示的実施形態では、D−A変換器408は、デジタル近接度測定信号をアナログ近接度測定信号に変換する。さらに、D−A変換器408は、図3を参照して上記で説明したのと同様の方法で、アナログ近接度測定信号の振幅を好適なレベルに調整することができる。D−A変換器408は、アナログ近接度測定信号を、ユーザに表示するために、かつ/または、さらなる処理および/もしくは分析のために、診断システム112および/または任意の他のデバイスもしくはシステムに送信する。あるいは、信号処理デバイス200がD−A変換器408を含まず、近接度測定信号は、デジタル信号として、診断システム112、および/または、任意の他のデバイスもしくはシステムに送信される。
【0028】
代替実施形態では、送信電力検出器212および/または受信電力検出器214が省かれ、プロセッサ402が、マイクロ波信号および離調負荷信号に含まれる電力、または、マイクロ波信号および離調負荷信号に基づく電力を算出することができる。このような実施形態では、A−D変換器400は、マイクロ波信号および離調負荷信号をそれぞれのデジタル信号に変換し、プロセッサ402は、本明細書で説明した計算をそれらのデジタル信号に対して実行する。
【0029】
本明細書で説明したシステムおよび方法の技術的効果には、(a)放射器に送信された少なくとも1つのマイクロ波信号に基づいて電磁場を生成すること、(b)電磁場と機械構成部品の相互作用によって放射器内に誘導された負荷を表す少なくとも1つの負荷信号を生成すること、(c)少なくとも1つの負荷信号に基づいて放射器に対する機械構成部品の実質的に線形の近接度測定値をもたらすこと、(d)近接度測定値をユーザに出力することのうちの少なくとも1つが含まれる。
【0030】
上記の実施形態によって、機械構成部品の近接度を測定する際に用いる効率的で対費用効果の高いセンサアセンブリが提供される。このセンサアセンブリは、マイクロ波信号で放射器をドライブして電磁場を生成する。この電磁場内に機械構成部品などの物体が位置していると、その物体によって電磁場が乱される。この乱れは放射器を離調させ、放射器内に誘導された負荷を表す負荷信号が発生し、言いかえれば、負荷信号がマイクロ波信号からデータ線管を通じて信号処理デバイスに反射する。信号処理デバイスは、アナログベースまたはデジタルベースの伝達関数を含むリニアライザを用いて、負荷信号から実質的に線形の近接度測定値をもたらす。
【0031】
放射器に対する機械構成部品の近接度を測定するセンサアセンブリ、動力システム、および方法についての例示的実施形態が、上記で詳細に説明されている。このセンサアセンブリ、動力システム、および方法は、本明細書で説明されている特定の実施形態に限定されず、むしろ、センサアセンブリおよび/もしくは動力システムの構成部品、ならびに/または本方法のステップは、本明細書で説明した他の構成部品および/または他のステップと独立して別々に利用することができる。例えば、センサアセンブリは、他の計測システムおよび他の計測方法と組み合わせて使用することもでき、本明細書で説明した動力システムだけに関して実施することに限定されない。むしろ、例示的実施形態は、他の多くの測定用途および/または監視用途に関連して実施および利用することができる。
【0032】
本発明の様々な実施形態の具体的な特徴が一部の図に示され他の図には示されていない場合があるが、これは便宜上のために過ぎない。本発明の原理によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照および/または特許請求され得る。
【0033】
本書では、最良の形態を含めて本発明を開示するために、また、任意のデバイスまたはシステムの製造および使用ならびに取り入れられた任意の方法の実行を含めて、当業者が本発明を実施することができるようにするために、例が用いられている。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、当業者には思い浮かぶ他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの文言と異なることのない構造上の要素を有している場合、または、特許請求の範囲の文字通りの文言とわずかに異なる均等の構造上の要素を含む場合には、本特許請求の範囲内であることが意図されている。
【符号の説明】
【0034】
100 動力システム
102 機械
104 駆動シャフト
106 負荷
108 支持構造体
110 センサアセンブリ
112 診断システム
200 信号処理デバイス
202 プローブ
204 データ線管
206 放射器
208 プローブハウジング
210 方向性結合デバイス
212 送信電力検出器
214 受信電力検出器
216 信号調整デバイス
218 信号発生器
220 減算器
222 リニアライザ
224 電磁場
226 距離
300 差動増幅器
302 ループ増幅器
304 スケーリング増幅器
306 伝達関数デバイス
400 A−D変換器
402 プロセッサ
404 減算器
406 リニアライザ
408 D−A変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射器(206)を含む少なくとも1つのプローブ(202)であって、前記放射器(206)が、少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成するように、また前記電磁場内に位置している物体によって前記放射器内に誘導された負荷を表す少なくとも1つの負荷信号を生成するように構成されている、少なくとも1つのプローブ(202)と、
前記少なくとも1つのプローブに結合された信号処理デバイス(200)であって、前記少なくとも1つの負荷信号に基づいて実質的に線形の出力信号を生成するように構成されたリニアライザ(222)を含む信号処理デバイス(200)と
を含むマイクロ波センサアセンブリ(110)。
【請求項2】
前記信号処理デバイス(200)が、前記少なくとも1つのマイクロ波信号によって前記放射器が励振されたとき、前記放射器(206)に対する前記物体の近接度を表す実質的に線形の出力を生成するように構成されている、請求項1記載のマイクロ波センサアセンブリ(110)。
【請求項3】
前記リニアライザ(222)が、プロセッサ(402)内にプログラムされた伝達関数を含む、請求項1記載のマイクロ波センサアセンブリ(110)。
【請求項4】
前記リニアライザ(222)が、少なくとも1つの演算増幅器(300)を含む、請求項1記載のマイクロ波センサアセンブリ(110)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのマイクロ波信号に含まれる電力の量を検出する第1の電力検出器(212)をさらに含む、請求項1記載のマイクロ波センサアセンブリ(110)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの負荷信号に含まれる電力の量を検出する第2の電力検出器(214)をさらに含む、請求項5記載のマイクロ波センサアセンブリ(110)。
【請求項7】
前記信号処理デバイス(200)が、前記少なくとも1つのマイクロ波信号に含まれる電力の量と、前記少なくとも1つの負荷信号に含まれる電力の量との差に基づいて、前記放射器(206)に対する前記物体の近接度を算出するように構成されている、請求項1記載のマイクロ波センサアセンブリ(110)。
【請求項8】
機械(102)と、前記機械の近傍に配置されたマイクロ波センサアセンブリ(110)とを含み、前記マイクロ波センサアセンブリ(110)が、
放射器(206)を含む少なくとも1つのプローブ(202)であって、前記放射器(206)が、少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成するように構成され、前記機械の少なくとも1つの構成部品が前記電磁場内に位置するとき前記放射器内に前記負荷が誘導され、また前記放射器(206)が、誘導負荷を表す少なくとも1つの負荷信号を生成するように構成されている、少なくとも1つのプローブ(202)と、
前記少なくとも1つのプローブに結合された信号処理デバイス(200)であって、前記少なくとも1つの負荷信号に基づいて実質的に線形の出力信号を生成するように構成されたリニアライザ(222)を含む信号処理デバイス(200)と
を含む、動力システム(100)。
【請求項9】
前記信号処理デバイス(200)が、前記少なくとも1つのマイクロ波信号によって前記放射器が励起されたとき、前記放射器(206)に対する前記少なくとも1つの構成部品の近接度を表す実質的に線形の出力を生成するように構成されている、請求項8記載の動力システム(100)。
【請求項10】
前記信号処理デバイス(200)がプロセッサ(402)を含み、前記リニアライザ(222)が前記プロセッサ内にプログラムされた伝達関数を含む、請求項8記載の動力システム(100)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−127962(P2012−127962A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272890(P2011−272890)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】