説明

放射性ガスモニタ

【課題】高精度で応答の速い放射性ガスモニタを得る。
【解決手段】サンプルガスを電離箱3内に取り込み、電離箱3の出力信号から放射線測定値を求める放射性ガスモニタにおいて、電離箱3から出力される電離電流を電圧信号に変換する電流/電圧変換回路4と、前記電圧信号に重畳されるパルス状の変化をアナログパルスとして抽出し、前記アナログパルスの波高値を測定する波高測定回路6と、電流/電圧変換回路4の電圧信号出力に基づき放射線測定値を求める測定値算出回路71と、測定値算出回路71の測定値に対して波高測定回路6からの波高値データに基づきα線の影響を補償する測定値補償回路72とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射性ガスモニタ、特に、測定点からサンプルガスをサンプリングにより収集して通気式電離箱に導入し、この電離箱でサンプルガスに含まれるガス状放射性核種から放射される放射線を検出して出力される微小な電流信号を電圧信号に変換し、放射線量または放射能量を測定する放射性ガスモニタに関し、バックグラウンド核種のラドン・トロンの影響を抑制し、測定対象の放射線を高感度かつ高精度で測定するための放射性ガスモニタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所,核燃料再処理施設,粒子線利用施設等の放射性ガスモニタは、通常の放射線レベルから事故を想定した放射線レベルまで広い測定範囲をカバーするため、放射線検出器として通気式電離箱を搭載したものが使用されている。
この種の放射性ガスモニタの測定対象放射線はβ線で、バックグラウンド放射線は天然放射性核種としてサンプルガス中に存在するラドン・トロンから放射されるα線および環境γ線である。特にラドン・トロンから放射されるα線はエネルギーが数MeVと大きく、測定対象のβ線の平均的エネルギーより1桁以上大きい。測定対象のβ線を高感度で測定するために、従来の放射性ガスモニタは、電離箱から出力される微小な電流信号に重畳されるラドン・トロンのα線に起因するパルス状の電流成分をパルス信号として抽出し、このパルス信号を計数するα線計数手段と、電離箱の出力信号に基づく放射線測定値を補正する補正手段を備え、ラドン・トロンの影響を補償した電離箱式放射性ガスモニタが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−116844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の放射性ガスモニタは、上記のような構成で個々のα線が電離箱の出力に与える影響を一定とみなしてα線計数に基づき電離箱出力の補償を行っているが、実際のラドン・トロンのα線のエネルギーは、ラドンが5.49MeVに対してトロンが6.29MeVと異なり、パルスの波高値に違いがある。更に、電離箱内で崩壊する場所によりパルス波高値がばらつくため、正確な補償を行おうとすると長時間にわたりラドン・トロンを計数して補償値を平均化する必要があり、リアルタイムの補償が課題であった。
【0005】
この発明は、高精度で応答の速い放射性ガスモニタを得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る放射性ガスモニタは、サンプルガスを電離箱内に取り込み、電離箱の出力信号から放射線測定値を求める放射性ガスモニタにおいて、前記電離箱から出力される電離電流を電圧信号に変換する電流/電圧変換手段と、前記電圧信号に重畳されるパルス状の変化をアナログパルスとして抽出し、前記アナログパルスの波高値を測定する波高値測定手段とを備え、前記波高値測定手段からの波高値データに基づき前記電離箱の出力信号による放射線測定値に対してα線の影響を補償する測定値補償手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、高精度で応答の速い放射性ガスモニタを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1における放射性ガスモニタを図1および図2に基づいて説明する。図1は実施の形態1における放射性ガスモニタの構成を示すブロック図である。図2は実施の形態1における放射性ガスモニタの動作を示す線図である。
【0009】
図1において、ポンプ1は、測定点(図示せず)からサンプルガスをサンプリングにより収集し、サンプルガス中のダストをダストフィルタ2で除去してから電離箱3に導入する。電離箱3は、サンプルガスが流れる容器31と、この容器31の中心に配置された集電極32と、この集電極32を容器31に絶縁固定する絶縁体33で構成される。
高電位(HV)を印加された容器31と零電位(0V)部位に接続された集電極32の間にサンプルガスが導入されると、サンプルガスに含まれる放射性核種から放射される放射線によりサンプルガスが電離してイオン対が生成され、電離電流iが出力される。電流/電圧変換回路4は、電離箱3からの電離電流iを入力し、オペアンプ41に接続された抵抗値Rの負帰還抵抗42により、(1)式のように電離電流iに比例した電圧信号Vに変換する。
V=iR…(1)式
【0010】
微分回路5は、電流/電圧変換回路4からの電圧信号Vを入力して微分することにより、この電圧信号Vに重畳されるラドン・トロンのα線に起因するパルス状の変化を抽出してアナログパルスを出力する。波高値測定回路6は、微分回路5からのアナログパルスを入力してその波高値Hを測定する。
【0011】
測定ユニット7は、電流/電圧変換回路4からの電圧信号Vおよび波高値測定回路6からの波高値データHを入力し、所定の測定時間Tについて、この電圧信号Vの平均値Vavを求めるとともにこの波高値データHの積算値ΣHを求める。
電圧信号平均値Vavに含まれるラドン・トロンのα線寄与分は、波高値データ積算値ΣHに所定の定数kを掛け算して求めることができるので、正味の電圧信号平均値Vav(正味)は(2)式により求めることができる。
従って、正味の放射線測定値M(正味)は、(3)式のように正味の電圧信号平均値Vav(正味)に校正定数kを掛け算して求めることができ、ラドン・トロンの影響を補償した正味の放射線測定値M(正味)を出力するとともに表示する。なお、kは実験的に定数として求めることができ、kは線源校正により求めることができる。
av(正味)=Vav−k×ΣH…(2)式
M(正味)=k×Vav(正味)…(3)式
【0012】
測定ユニット7に設けられた測定値算出回路71は、電流/電圧変換回路4からの電圧信号Vにより、所定の測定時間Tについて、電圧信号Vの平均値Vavを求める。
測定ユニット7に設けられた測定値補償回路72は、波高値測定回路6からの波高値データHにより、所定の測定時間Tについて、波高値データHの積算値ΣHを求める。この測定値補償回路72は、波高値データHの積算値ΣHに所定の定数kを乗算し電圧信号平均値Vavに含まれるラドン・トロンのα線寄与分に相当する補償出力k×ΣHとして、測定値算出回路71に入力する。
測定値算出回路71は、電圧信号Vの平均値Vavと測定値補償回路72からの補償出力k×ΣHに基づき、前記(2)式にしたがって電圧信号平均値Vav(正味)を算出し、この電圧信号平均値Vav(正味)に校正定数kを乗算し前記(3)式にしたがって正味の放射線測定値M(正味)を算出する。この放射線測定値M(正味)は、測定値算出回路71の出力すなわち測定ユニット7の測定出力として導出される。
【0013】
図2は、この発明の実施の形態1に係わる放射性ガスモニタの動作を概念的に説明するもので、(a)は電離箱3から出力される電離電流、(b)は電流/電圧変換回路4から出力される電圧信号、(c)は微分回路5から出力されるアナログパルス、(d)は測定ユニット7から出力される正味の放射線測定値M(正味)を示す。(d)に示す正味の放射線測定値M(正味)では、電離電流および電圧信号で見られるラドン・トロンのα線の影響が補償されている。
【0014】
電離箱3の内部でラドン・トロンが崩壊してα線が放射されると、通常の10−14Aオーダのバックグラウンド電流に加算されてα線に起因するパルス状の電流が、1×10cmの容積を有する電離箱の場合、通常は1分に4パルス程度の頻度で重畳され、換気停止または降雨等でサンプリング点のラドン・トロンが増加すると、重畳頻度は数倍に増加する。このパルス電流は、電流/電圧変換器4で電圧信号に重畳したパルスに変換され、微分回路5で抽出されて例えば1V程度のアナログパルスに変換され、このアナログパルスの波高値に基づき放射線測定値は補償される。従来は、検出感度を1桁以上改善し、補償精度5%を以下とするのに、測定時間は5分程度必要としたが、αパルスの波高値データに基づき放射線測定値を補償することにより、従来と同等の検出感度および補償精度を維持し、リアルタイムでラドン・トロン補償が可能となる。
【0015】
以上のように、この実施の形態1では、電離箱3から出力される微小な電流信号に重畳されるラドン・トロンのα線に起因するパルス状の電流成分をアナログパルス信号として抽出し、このアナログパルス信号の波高値を測定し、この波高値に基づきラドン・トロンによる影響を推定して電離箱3の出力信号に基づく放射線測定値を補償するようにしたので、リアルタイムの補償が可能となり、高精度で応答の速い放射性ガスモニタが実現できる。
【0016】
(1A)この発明による実施の形態1によれば、サンプルガスを電離箱3内に取り込み、電離箱3の出力信号から放射線測定値を求める放射性ガスモニタにおいて、前記電離箱3から出力される電離電流を電圧信号に変換する電流/電圧変換回路4からなる電流/電圧変換手段と、前記電流/電圧変換手段によって変換された前記電圧信号に重畳されるパルス状の変化を微分回路5によりアナログパルスとして抽出し、前記アナログパルスの波高値を測定する波高値測定回路6からなる波高値測定手段と、前記電流/電圧変換回路4からなる電流/電圧変換手段の電圧信号出力に基づき放射線測定値を求める測定値算出回路71からなる測定値算出手段と、前記波高値測定回路6からなる波高値測定手段からの波高値データに基づき前記測定値算出回路71からなる測定値算出手段の測定値に対してα線の影響を補償する測定値補償回路72からなる測定値補償手段と、を備えたので、電流/電圧変換手段の電圧信号出力による測定値算出手段の測定値に対して波高値測定手段からの波高値データに基づきα線の影響を補償することにより、高精度で応答の速い放射性ガスモニタを得ることができる。
すなわち、電流/電圧変換手段の電圧信号出力による測定値算出手段の測定値に対して電離箱3から出力される微小な電流信号に重畳されるラドン・トロンのα線に起因するパルス状の電流成分をアナログパルス信号として抽出し、このアナログパルス信号の波高値を測定し、この波高値に基づきラドン・トロンによる影響を補償するようにしたので、リアルタイムの補償が可能となり、高精度で応答の速い放射性ガスモニタが実現できる。
【0017】
(1B)この発明による実施の形態1によれば、前記(1A)項における構成において、 前記電流/電圧変換手段として、前記電離箱から出力される電離電流を電流に比例した電圧に変換する電流/電圧変換回路4を備えたので、波高値測定手段からの波高値データに基づき電離箱から出力される電離電流を電流に比例した電圧に変換する電流/電圧変換回路4を用いた電流/電圧変換手段の電圧信号出力による測定値算出手段の測定値に対してα線の影響を補償することにより、高精度で応答の速い放射性ガスモニタを得ることができる。
すなわち、電離箱3から出力される微小な電流信号に重畳されるラドン・トロンのα線に起因するパルス状の電流成分をアナログパルス信号として抽出し、このアナログパルス信号の波高値を測定し、この波高値に基づき電離箱から出力される電離電流を電流に比例した電圧に変換する電流/電圧変換回路4を用いた電流/電圧変換手段の電圧信号出力による測定値算出手段の測定値に対してラドン・トロンによる影響を補償するようにしたので、リアルタイムの補償が可能となり、高精度で応答の速い放射性ガスモニタが実現できる。
【0018】
実施の形態2.
この発明による実施の形態2における放射性ガスモニタを図3に基づいて説明する。図3は実施の形態2における放射性ガスモニタの構成を示すブロック図である。
この実施の形態2において、ここで説明する特有の構成以外の構成につていは、先に説明した実施の形態1における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0019】
上記した実施の形態1では、電離箱3からの電離電流を電流/電圧変換回路4に入力して電流に比例した電圧信号に変換したが、この実施の形態2では、図3に示すように上記電流/電圧変換回路4の代わりに振動容量型電流/電圧変換回路8を備え、振動容量81は上記電離箱3から出力される電離電流を入力し、制御回路82が定周期で振動容量81の静電容量を変化させることにより、電流に比例した振幅の交流電圧を出力し、整流回路83はこの交流電圧を増幅し、整流して電圧信号を出力するようにしたので、入力インピーダンスが1015Ω以上ときわめて高い振動容量型電流/電圧変換器8により、実施の形態1よりも1桁程度低い10−15A以下のバックグラウンド電流の変化を測定できるため、高精度かつ高感度で応答の速い放射性ガスモニタが実現できる。
【0020】
(2A)この発明による実施の形態2によれば、実施の形態1の前記(1B)項における構成において、前記電流/電圧変換手段として、前記電離箱3から出力される電離電流を入力し、定周期などの所定の周期で静電容量を変化させて電流に比例した振幅の正弦波電圧に変換し、この正弦波を整流して電流に比例した電圧を出力する振動容量型電流/電圧変換回路8を備えたので、高精度かつ高感度で応答の速い放射性ガスモニタを得ることができる。
すなわち、電離箱から出力される微小な電流信号に重畳されるラドン・トロンのα線に起因するパルス状の電流成分を振動容量型電流/電圧変換回路8を用いてアナログパルス信号として抽出し、このアナログパルス信号の波高値を測定し、この波高値に基づきラドン・トロンによる影響を補償するようにしたので、リアルタイムの補償が可能となり、高精度かつ高感度で応答の速い放射性ガスモニタが実現できる。
【0021】
実施の形態3.
この発明による実施の形態3における放射性ガスモニタを図4および図5に基づいて説明する。図4は実施の形態3における放射性ガスモニタの構成を示すブロック図である。図5は実施の形態3における放射性ガスモニタの動作を示す線図である。
この実施の形態3において、ここで説明する特有の構成以外の構成につていは、先に説明した実施の形態1における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0022】
上記の実施の形態1では、電離箱3からの電離電流iを電流/電圧変換回路4に入力して電離電流iに比例した電圧信号Vに変換したが、この実施の形態3では、図4に示すように上記電流/電圧変換回路4の代わりに電荷積分回路9と比較回路10を備え、上記電荷積分回路9は、上記電離箱3から出力される電離電流iを入力し、オペアンプ91に接続された静電容量Cの積分コンデンサ92で積分して電荷の形態で蓄積し、(4)式のように蓄積された電荷量Qに比例した電圧信号Vに変換する。
V=Q/C…(4)式
【0023】
上記比較回路10は、上記電荷積分回路9からの電圧信号Vを入力し、コンパレータ101はこの電圧信号Vが所定の値に到達するとワンショットパルスを出力するとともにリレーコイル102を動作させ、上記電荷積分回路9の積分コンデンサ92に蓄積された電荷を接点103で放電してリセットする。微分回路5は、電荷積分回路9からの電圧信号Vを入力して微分することにより、この電圧信号Vに重畳されるパルス状の変化を抽出してアナログパルスを出力する。波高値測定回路6は、微分回路5からのアナログパルスを入力してその波高値Hを測定する。
【0024】
測定ユニット7は、比較回路10からのワンショットパルスおよび波高値測定回路6からの波高値データHを入力し、所定の測定時間Tについて、このワンショットパルスの計数率nを求めるとともにこの波高値データの積算値ΣHを求める。当該計数率nに含まれるラドン・トロンのα線寄与分は、上記波高値データの積算値ΣHに所定の定数kを掛け算して求めることができ、正味の計数率n(正味)は(5)式により求めることができる。従って、正味の放射線測定値M(正味)は、(6)式のように正味の計数率n(正味)に校正定数kを掛け算して求めることができ、ラドン・トロンの影響を補償した正味の放射線測定値M(正味)を出力するとともに表示する。なお、kは実験的に定数として求めることができ、kは線源校正により求めることができる。
n(正味)=n−k×ΣH…(5)式
M=k×n(正味)…(6)式
【0025】
測定ユニット7に設けられた測定値算出回路71は、比較回路10からのワンショットパルスにより、所定の測定時間Tについて、このワンショットパルスの計数率nを求める。
測定ユニット7に設けられた測定値補償回路72は、波高値測定回路6からの波高値データHにより、所定の測定時間Tについて、波高値データHの積算値ΣHを求める。この測定値補償回路72は、波高値データHの積算値ΣHに所定の定数kを乗算しワンショットパルスの計数率nに含まれるラドン・トロンのα線寄与分に相当する補償出力k×ΣHとして、測定値算出回路71に入力する。
測定値算出回路71は、ワンショットパルスの計数率nと測定値補償回路72からの補償出力k×ΣHに基づき、前記(5)式にしたがって計数率n(正味)を算出し、この計数率n(正味)に校正定数kを乗算し前記(6)式にしたがって正味の放射線測定値M(正味)を算出する。この放射線測定値M(正味)は、測定値算出回路71の出力すなわち測定ユニット7の測定出力として導出される。
【0026】
図5は、この発明の実施の形態3に係わる放射性ガスモニタの動作を概念的に説明するもので、(d)は電離箱3から出力される電離電流、(e)は電荷積分回路9から出力される電圧信号、(f)は微分回路5から出力されるアナログパルス、(g)は比較回路10から出力されるワンショットパルス、(h)は測定ユニット7から出力される正味の放射線測定値M(正味)を示す。正味の放射線測定値M(正味)では、電離電流および電圧信号で見られるラドン・トロンのα線の影響が補償されている。
電荷積分回路9と比較回路10を備えて、電離箱3から出力される電離電流を電荷の形態で蓄積して電圧信号に変換することにより、実施の形態1よりも1桁程度低い10−15A以下のバックグラウンド電流の変化を測定できるようにし、更に、電圧信号をワンショットパルス列に変換して計数率として測定できるようにしたので、高精度かつ高感度かつワイドレンジで応答の速い放射性ガスモニタが実現できる。
【0027】
(3A)この発明による実施の形態3によれば、実施の形態1の前記(1A)項における構成において、前記電流/電圧変換手段として、前記電離箱3から出力される電離電流を積分して電荷の形態で蓄積し、蓄積された電荷量に比例した電圧信号に変換する電荷積分回路9を備えるとともに、前記測定値算出手段として、前記電荷積分回路からの電圧信号が所定の値に到達するとワンショットパルスを出力し前記電荷積分回路9に蓄積された電荷を放電してリセットする比較回路10からのワンショットパルスの計数率により放射線測定値を求める測定値算出回路71を備えたので、高精度かつ高感度でありしかもワイドレンジで応答の速い放射性ガスモニタを得ることができる。
すなわち、電離箱3から出力される微小な電流信号に重畳されるラドン・トロンのα線に起因するパルス状の電流成分を電荷積分回路9と微分回路5とを用いてアナログパルス信号として抽出し、このアナログパルス信号の波高値を測定し、この波高値に基づきラドン・トロンによる影響を補償するようにしたので、リアルタイムの補償が可能となり、高精度かつ高感度でありしかもワイドレンジで応答の速い放射性ガスモニタが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明による実施の形態1に係わる放射性ガスモニタの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明による実施の形態1に係わる放射性ガスモニタの動作を説明する線図である。
【図3】この発明による実施の形態2に係わる放射性ガスモニタの構成を示すブロック図である。
【図4】この発明による実施の形態3に係わる放射性ガスモニタの構成を示すブロック図である。
【図5】この発明による実施の形態3に係わる放射性ガスモニタの動作を説明する線図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ポンプ、2 ダストフィルタ、3 電離箱、31 容器、32 集電極、33 絶縁体、4 電流/電圧変換回路、41 オペアンプ、42 負帰還抵抗、5 微分回路、6 波高測定回路、7 測定ユニット、71 測定値算出回路、72 測定値補償回路、8 振動容量型電流/電圧変換回路、81 振動容量、82 制御回路、83 整流回路、9 電荷積分回路、91 オペアンプ、92 積分コンデンサ、10 比較回路、101 コンパレータ、102 リレーコイル、103 接点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルガスを電離箱内に取り込み、電離箱の出力信号から放射線測定値を求める放射性ガスモニタにおいて、前記電離箱から出力される電離電流を電圧信号に変換する電流/電圧変換手段と、前記電圧信号に重畳されるパルス状の変化をアナログパルスとして抽出し、前記アナログパルスの波高値を測定する波高値測定手段とを備え、前記電離箱の出力信号による放射線測定値に対して前記波高値測定手段からの波高値データに基づきα線の影響を補償する測定値補償手段を設けたことを特徴とする放射性ガスモニタ。
【請求項2】
前記電離箱から出力される電離電流を電圧信号に変換する電流/電圧変換手段と、前記電圧信号に重畳されるパルス状の変化をアナログパルスとして抽出し、前記アナログパルスの波高値を測定する波高値測定手段と、前記電流/電圧変換手段の電圧信号出力に基づき放射線測定値を求める測定値算出手段と、前記測定値算出手段の測定値に対して前記波高値測定手段からの波高値データに基づきα線の影響を補償する測定値補償手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の放射性ガスモニタ。
【請求項3】
前記電流/電圧変換手段として、前記電離箱から出力される電離電流を電流に比例した電圧に変換する電流/電圧変換回路を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射性ガスモニタ。
【請求項4】
前記電流/電圧変換手段として、前記電離箱から出力される電離電流を入力し、所定の周期で静電容量を変化させて電流に比例した振幅の正弦波電圧に変換し、前記正弦波を整流して電流に比例した電圧を出力する振動容量型電流/電圧変換回路を備えたことを特徴とする請求項3に記載の放射性ガスモニタ。
【請求項5】
前記電流/電圧変換手段として、前記電離箱から出力される電離電流を積分して電荷の形態で蓄積し、蓄積された電荷量に比例した電圧信号に変換する電荷積分回路を備えるとともに、前記測定値算出手段として、前記電荷積分回路からの電圧信号が所定の値に到達するとワンショットパルスを出力し前記電荷積分回路に蓄積された電荷を放電してリセットする比較回路から出力されるワンショットパルスの計数率によって放射線測定値を求める測定値算出回路を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射性ガスモニタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−225416(P2007−225416A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46336(P2006−46336)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】