説明

放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システム

【課題】装置自体で放射線の照射開始を検出する場合に、装置に加わる振動や圧力変動による放射線の照射開始の誤検出を的確に防止することが可能な放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置1は、装置に加わる圧力を検出する圧力センサー42や装置に加わる振動を検出する振動センサー43を備えており、制御手段22は、放射線画像撮影前に、走査駆動手段15から各走査線5にオフ電圧を印加して各スイッチ手段8をオフ状態とした状態で各スイッチ手段8を介して各放射線検出素子7からリークした電荷qをリークデータdleakに変換するリークデータdleakの読み出し処理を行わせるとともに、読み出したリークデータdleakと、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動や振動の大きさSに基づいて、放射線の照射が開始されたか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムに係り、特に、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを検出して放射線画像撮影を行う放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレーター等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号(すなわち画像データ)に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台と一体的に形成された、いわゆる専用機型として構成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等を筐体内に収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
このような放射線画像撮影装置では、例えば後述する図7等に示すように、通常、複数の放射線検出素子7が、検出部P上に二次元状(マトリクス状)に配列され、各放射線検出素子7にそれぞれ薄膜トランジスター(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8で形成されたスイッチ手段が接続されて構成される。
【0005】
そして、通常、放射線画像撮影は、放射線発生装置の放射線源から放射線画像撮影装置に対して、被験者の身体等の所定の撮影部位(すなわち胸部正面や腰椎側面等)を介した状態で放射線が照射されて行われる。
【0006】
その際、放射線画像撮影装置の走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して全てのTFT8をオフ状態とした状態で放射線を照射することで、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷が、各放射線検出素子7内に的確に蓄積される。
【0007】
そして、放射線画像撮影の後、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各TFT8を順次オン状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生して蓄積された電荷を各信号線6に順次放出させて、各読み出し回路17で画像データDとしてそれぞれ読み出すように構成される。
【0008】
ところで、上記のように、放射線画像撮影が的確に行われるためには、放射線画像撮影装置に放射線が照射される際に、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxに適切にオフ電圧が印加され、スイッチ手段である各TFT8がオフ状態になることが必要となる。
【0009】
そこで、例えば従来の専用機型の放射線画像撮影装置等では、放射線発生装置との間でインターフェースを構築し、互いに信号等をやり取りして、放射線画像撮影装置が走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して電荷蓄積状態になったことを確認したうえで、放射線画像撮影装置が放射線源から放射線を照射させるように構成される場合が多い。
【0010】
しかし、例えば、放射線画像撮影装置と放射線発生装置との製造メーカーが異なっているような場合には、両者の間でインターフェースを構築することが必ずしも容易でない場合があり、或いは、インターフェースを構築できない場合もある。
【0011】
このように放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間でインターフェースが構築されない場合、放射線画像撮影装置側から見ると、放射線源からどのようなタイミングで放射線が照射されるかが分からない。そのため、放射線源から放射線が照射されたことを、放射線画像撮影装置が自ら検出しなければならなくなる。
【0012】
そこで、近年、このような放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間のインターフェースによらずに、放射線が照射されたことを自ら検出するように構成された放射線画像撮影装置が種々開発されている。
【0013】
例えば、特許文献4や特許文献5に記載の発明では、放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始されて各放射線検出素子7内に電荷が発生すると、各放射線検出素子7から、各放射線検出素子7に接続されているバイアス線9(後述する図7等参照)に電荷が流れ出してバイアス線9を流れる電流が増加することを利用して、バイアス線9に電流検出手段を設けてバイアス線9内を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に基づいて放射線の照射の開始等を検出することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】米国特許第7211803号明細書
【特許文献5】特開2009−219538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、本発明者らの研究で、上記の手法は、バイアス線9が各放射線検出素子7の電極に接続されているため、電流検出手段で発生したノイズがバイアス線9を介して各放射線検出素子7に伝わり、放射線検出素子7から読み出される画像データDにノイズとして重畳される場合があるなど、必ずしも解決が容易でない問題があることが分かってきた。
【0016】
そして、本発明者らは、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを検出する別の手法について種々研究を重ねた結果、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを的確に検出することが可能ないくつかの手法を見出すことができた。
【0017】
後述するように、本発明者らが見出した新たな放射線の照射開始の検出方法では、放射線画像撮影前に、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから全ての走査線5にオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で読み出し回路17に読み出し動作を行わせ、TFT8を介して放射線検出素子7からリークした電荷q(後述する図15参照)をリークデータdleakに変換するリークデータdleakの読み出し処理を行うように構成される。
【0018】
また、本発明者らが見出した別の新たな放射線の照射開始の検出方法では、放射線画像撮影前に、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して画像データdの読み出し処理を行う。なお、以下では、撮影直後に行われる本画像としての画像データDと区別して、この放射線画像撮影前に放射線の照射開始の検出のために読み出される画像データを、照射開始検出用の画像データdという。
【0019】
そして、上記のいずれの場合も、放射線画像撮影装置に放射線が照射されると、読み出されるリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdの値が上昇するため、それを利用して、読み出されたリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdの値に基づいて放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始されたことを検出するように構成される。
【0020】
ところで、本発明者らがさらに研究を重ねたところ、放射線画像撮影装置が患者の身体や何らかの物体にぶつかる等して衝撃や振動(以下、まとめて振動という。)が加わったり患者の身体等によって圧力が加わったりすると、読み出されるリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdが振動や圧力変動等により大きく変動する場合があることが分かってきた。
【0021】
そして、このように振動や圧力変動等によりリークデータdleak等が大きく変動するようになると、読み出されたリークデータdleak等が大きくなった時点で閾値dleak_th等を越える等してしまい、放射線が照射されていないにもかかわらず、放射線の照射が開始されたと放射線画像撮影装置が誤検出してしまう虞れがある。
【0022】
そして、放射線画像撮影装置が、放射線の照射開始を検出すると自動的に本画像としての画像データDの読み出し処理等に移行するように構成されている場合には、上記のように、放射線の照射開始を誤検出すると、何も撮影されていない画像データDが読み出されてしまい、読み出し処理が無駄に行われることになる。また、放射線画像撮影装置がバッテリー内蔵型である場合には、そのためにバッテリーの電力が無駄に消費されてしまう可能性がある。
【0023】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、放射線画像撮影装置自体で放射線の照射開始を検出する場合に、装置に加わる振動や圧力変動による放射線の照射開始の誤検出を的確に防止することが可能な放射線画像撮影装置およびそれを用いた放射線画像撮影システムを提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路が内蔵された読み出しICと、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
さらに、装置に加わる圧力を検出する圧力センサーまたは装置に加わる振動を検出する振動センサーの少なくとも一方を備えており、
前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記各スイッチ手段を介して前記各放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータの読み出し処理を行わせるとともに、
読み出した前記リークデータと、前記圧力センサーおよび/または前記振動センサーが検出した前記圧力の変動および/または前記振動の大きさに基づいて、放射線の照射が開始されたか否かを判断することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路が内蔵された読み出しICと、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
さらに、装置に加わる圧力を検出する圧力センサーまたは装置に加わる振動を検出する振動センサーの少なくとも一方を備えており、
前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して照射開始検出用の画像データの読み出し処理を行わせるとともに、
読み出した前記照射開始検出用の画像データと、前記圧力センサーおよび/または前記振動センサーが検出した前記圧力の変動および/または前記振動の大きさに基づいて、放射線の照射が開始されたか否かを判断することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の放射線画像撮影システムは、
外部装置との間で通信可能な通信手段を備える上記の本発明の放射線画像撮影装置と、
警告手段を備え、前記放射線画像撮影装置と通信可能なコンソールと、
を備え、
前記放射線画像撮影装置は、前記圧力センサーおよび/または前記振動センサーが検出した前記圧力の変動および/または前記振動の大きさが所定値を越えた場合に、前記コンソールに信号を送信し、
前記コンソールは、前記放射線画像撮影装置からの前記信号を受信すると、前記警告手段により、前記放射線画像撮影装置に大きな圧力または振動が加わった旨を警告することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明のような方式の放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムによれば、放射線画像撮影装置の制御手段は、放射線画像撮影前に読み出したリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdの値だけでなく、圧力センサーや振動センサーにより検出された放射線画像撮影装置に加わる圧力の変動や振動の大きさに基づいて、放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始されたか否かを判断する。
【0028】
そのため、放射線画像撮影装置に振動が加わったり、放射線画像撮影装置に加わった圧力が変動したりすることで、読み出されるリークデータdleak等が大きくなったのか、放射線画像撮影装置に放射線が照射されたことによって読み出されるリークデータdleak等が大きくなったのかを明確に区別することが可能となる。
【0029】
そのため、放射線画像撮影装置に放射線が照射された場合には、それを的確に検出することが可能となるとともに、放射線画像撮影装置に加わる振動や圧力変動による放射線の照射開始の誤検出を的確に防止することが可能となる。そして、例えば放射線画像撮影装置がバッテリー内蔵型である場合には、誤検出により検出処理後の各処理が行われてしまうことによってバッテリーの電力が無駄に消費されてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置のコネクターにケーブルのコネクターを接続した状態を表す斜視図である。
【図4】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図6】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】各放射線検出素子のリセット処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図10】画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図11】撮影室等に構築された本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図12】回診車上に構築された本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図13】TFTを介して各放射線検出素子からリークした各電荷がリークデータとして読み出されることを説明する図である。
【図14】リークデータの読み出し処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図15】放射線画像撮影前にリークデータの読み出し処理と各放射線検出素子のリセット処理を交互に行うように構成した場合の電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図16】検出方法1において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図17】読み出されるリークデータの時間的推移の例を表すグラフである。
【図18】検出方法2において放射線画像撮影前に照射開始検出用の画像データの読み出し処理が繰り返し行われる際の各走査線にオン電圧を順次印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図19】放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データの読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングおよびオン時間ΔTを表すタイミングチャートである。
【図20】検出方法2において各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【図21】検出部が4つの領域に分割され、各領域に読み出しICがそれぞれ割り当てられた状態を表す図である。
【図22】複数の圧力センサーを各読み出しICに対応するようにセンサーパネル上に配置した状態を表す図である。
【図23】振動センサーが放射線画像撮影装置の筐体の内側の角隅部やセンサーパネルの角隅部に配置されることを説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレーター等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0033】
また、本発明は、本実施形態で説明する、いわゆる可搬型の放射線画像撮影装置のみならず、例えば支持台等と一体的に形成された専用機型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
【0034】
[放射線画像撮影装置]
以下、まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の構成等について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレーター3や基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されている。
【0035】
本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状の筐体本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、筐体本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、バッテリー状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。
【0036】
本実施形態では、コネクター39は、例えば図3に示すように、ケーブルCaの先端に設けられたコネクターCが接続されることにより、例えば外部のコンソール58(後述する図11や図12参照)等の装置との間でケーブルCaを介して信号等を送受信したり画像データD等を送信したりする際の有線方式の通信手段として機能するようになっている。
【0037】
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置41(後述する図7参照)が例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられており、本実施形態では、このアンテナ装置41が、放射線画像撮影装置1とコンソール58等との間で信号等の無線方式で送受信する場合の通信手段として機能するようになっている。
【0038】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリー24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレーター3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。また、本実施形態では、センサーパネルSPと筐体2の側面との間に緩衝材35が設けられている。
【0039】
なお、図2や後述する図7に記載されている圧力センサー42や振動センサー43については、後で説明する。
【0040】
シンチレーター3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレーター3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0041】
また、本実施形態では、基板4は、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレーター3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。また、基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0042】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域rの全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0043】
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレーター3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレーター3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するようになっている。
【0044】
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスター等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0045】
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
【0046】
本実施形態では、図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0047】
図4に示すように、本実施形態では、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。
【0048】
各入出力端子11には、図6に示すように、後述する読み出しIC16や走査駆動手段15のゲートドライバー15bを構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0049】
そして、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPが形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0050】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0051】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれ逆バイアス電圧(すなわち放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧)を印加するようになっている。
【0052】
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバー15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバー15bとを備えている。本実施形態では、ゲートドライバー15bは、複数の前述したゲートIC15c(図6参照)が並設されて構成されている。
【0053】
図7や図8に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサー21は省略されている。
【0054】
本実施形態では、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサー18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続され、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dを備えたチャージアンプ回路で構成されている。また、増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位Vが印加されるようになっている。
【0055】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられており、スイッチ18eは、電荷リセット用スイッチ18cがオン/オフ動作と連動してオフ/オン動作するようになっている。
【0056】
放射線画像撮影装置1で、各放射線検出素子7内に残存する電荷を除去するための各放射線検出素子7のリセット処理を行う際には、図9に示すように、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態(およびスイッチ18eがオフ状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
【0057】
そして、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを通過して、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出す。このようにして、各放射線検出素子7のリセット処理が行われるようになっている。
【0058】
一方、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理の際には、図10に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(およびスイッチ18eがオン状態)とされた状態で、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出されると、電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積される。
【0059】
増幅回路18では、コンデンサー18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっており、増幅回路18により、各放射線検出素子7から流出した電荷が電荷電圧変換されるようになっている。
【0060】
そして、増幅回路18の出力側に設けられた相関二重サンプリング回路(CDS)19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前に制御手段22からパルス信号Sp1(図10参照)が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持し、上記のように各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサー18bに蓄積された後で、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0061】
そして、相関二重サンプリング回路19は、それらの電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データDとして下流側に出力するようになっている。そして、相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データDは、アナログマルチプレクサー21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0062】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図7等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。
【0063】
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリー24が接続されている。また、バッテリー24には、図示しない充電装置からバッテリー24に電力を供給してバッテリー24を充電する際の接続端子25が取り付けられている。
【0064】
さらに、本実施形態では、制御手段22には、圧力センサー42や振動センサー43が接続されているが、これらについては後で説明する。
【0065】
前述したように、制御手段22は、走査駆動手段15や読み出し回路17等を制御して画像データDの読み出し処理や各放射線検出素子7のリセット処理等を行わせるなど、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
【0066】
なお、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、装置自体で放射線の照射開始を検出するようになっているが、そのための制御構成等については、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成等を説明した後で説明する。
【0067】
[放射線画像撮影システム]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50について説明する。図11は、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の構成例を示す図である。図11では、放射線画像撮影システム50が撮影室R1内等に構築されている場合が示されている。
【0068】
撮影室R1には、ブッキー装置51が設置されており、ブッキー装置51は、そのカセッテ保持部(カセッテホルダともいう。)51aに上記の放射線画像撮影装置1を装填して用いることができるようになっている。なお、図11では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されているが、例えば一方のブッキー装置51のみが設けられていてもよい。
【0069】
図11に示すように、撮影室R1には、被写体を介してブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線源52Aが少なくとも1つ設けられている。本実施形態では、放射線源52Aの位置を移動させたり、放射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bのいずれにも放射線を照射することができるようになっている。
【0070】
撮影室R1には、撮影室R1内の各装置等や撮影室R1外の各装置等の間の通信等を中継するための中継器(基地局等ともいう。)54が設けられている。なお、本実施形態では、中継器54には、放射線画像撮影装置1が無線方式で画像データDや信号等の送受信を行うことができるように、無線アンテナ(アクセスポイントともいう。)53が設けられている。
【0071】
また、中継器54は、放射線発生装置55やコンソール58と接続されており、中継器54には、放射線画像撮影装置1やコンソール58等から放射線発生装置55に送信するLAN(Local Area Network)通信用の信号等を放射線発生装置55用の信号等に変換し、また、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。
【0072】
前室(操作室等ともいう。)R2には、本実施形態では、放射線発生装置55の操作卓57が設けられており、操作卓57には、放射線技師等の操作者が操作して放射線発生装置55に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56が設けられている。
【0073】
放射線発生装置55は、放射線源52を所定の位置に移動させたり、その放射方向を調整したり、放射線画像撮影装置1の所定の領域内に放射線が照射されるように図示しない絞りやコリメーター等を調整したり、或いは、適切な線量の放射線が照射されるように放射線源52を調整する等の種々の制御を行うようになっている。
【0074】
図11に示すように、本実施形態では、コンピューター等で構成されたコンソール58が前室R2に設けられている。なお、コンソール58を撮影室R1や前室R2の外側や別室等に設けるように構成することも可能であり、適宜の場所に設置される。
【0075】
また、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される表示部58aが設けられており、また、図示しないマウスやキーボード等の入力手段を備えている。また、コンソール58には、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段59が接続され、或いは内蔵されている。
【0076】
一方、放射線画像撮影装置1は、図12に示すように、ブッキー装置51には装填されずに、いわば単独の状態で用いることもできるようになっている。例えば、患者Hが病室R3のベッドBから起き上がれず、撮影室R1に行くことができないような場合には、図12に示すように、放射線画像撮影装置1を病室R3内に持ち込み、ベッドBと患者の身体との間に差し込んだり患者の身体にあてがったりして用いることができる。
【0077】
また、放射線画像撮影装置1を病室R3等で用いる場合、前述した撮影室R1に据え付けられた放射線発生装置55に代えて、図12に示すように、いわゆるポータブルの放射線発生装置55が例えば回診車71に搭載される等して病室R3に持ち込まれる。
【0078】
この場合、ポータブルの放射線発生装置55の放射線52Pは、任意の方向に放射線を照射できるように構成されており、ベッドBと患者の身体との間に差し込まれたり患者の身体にあてがわれたりした放射線画像撮影装置1に対して、適切な距離や方向から放射線を照射することができるようになっている。
【0079】
また、この場合、無線アンテナ53が設けられた中継器54が放射線発生装置55内に内蔵されており、上記と同様に、中継器54が放射線発生装置55とコンソール58との間の通信や、放射線画像撮影装置1とコンソール58との間の通信や画像データDの送信等を中継するようになっている。
【0080】
なお、図11に示したように、放射線画像撮影装置1を、撮影室R1の臥位撮影用のブッキー装置51B上に横臥した患者の身体と臥位撮影用のブッキー装置51Bとの間に差し込んだり、臥位撮影用のブッキー装置51B上で患者の身体にあてがったりして用いることも可能であり、その場合は、ポータブルの放射線52Pや、撮影室R1に据え付けられた放射線源52Aのいずれを用いることも可能である。
【0081】
本実施形態では、コンソール58は、放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用のデータが送信されてくると、それに基づいてプレビュー画像を生成して表示部58a上に表示させるようになっている。そして、放射線技師はこのプレビュー画像を確認することで、被写体が正常な位置に撮影されているか否かや再撮影の要否等を判断するようになっている。
【0082】
また、本実施形態では、コンソール58は画像処理装置としても機能するようになっており、放射線画像撮影装置1から画像データD等が送信されてくると、画像データD等に基づいて真の画像データDを算出し、算出した真の画像データDに対してゲイン補正処理や欠陥画素補正、撮影部位に応じた階調処理等の精密な画像処理を行って、最終的な放射線画像Iを生成するようになっている。
【0083】
[放射線画像撮影装置における放射線の照射開始の検出の制御構成について]
次に、上記のように構成された放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理の制御構成について説明する。
【0084】
本実施形態では、前述したように、放射線画像撮影装置1自体で、放射線発生装置55の放射線源52(図11や図12参照)から放射線が照射されたことを検出するようになっている。以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1で行われる放射線の照射開始の検出の仕方について説明する。
【0085】
なお、以下の検出方法は、本発明者らの研究により新たに見出された検出方法であり、例えば、下記の2つの検出方法のいずれかを採用することが可能である。
【0086】
[検出方法1]
例えば、放射線画像撮影において放射線画像撮影装置1に放射線が照射される前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。ここで、リークデータdleakとは、図13に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの信号線6ごとの合計値に相当するデータである。
【0087】
そして、リークデータdleakの読み出し処理では、図9に示した各放射線検出素子7のリセット処理や図10に示した画像データDの読み出し処理の場合と異なり、図14に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、制御手段22から各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19(図7や図8のCDS参照)にパルス信号Sp1、Sp2を送信するようになっている。
【0088】
相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からパルス信号Sp1が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。そして、増幅回路18のコンデンサー18bに各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが蓄積されて増幅回路18から出力される電圧値が上昇し、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0089】
そして、相関二重サンプリング回路19が電圧値の差分Vfi−Vinを算出して出力した値が、リークデータdleakとなる。リークデータdleakが、その後、A/D変換器20でデジタル値に変換されることは、前述した画像データDの読み出し処理の場合と同様である。
【0090】
ところで、リークデータdleakの読み出し処理のみを繰り返し行うように構成すると、各TFT8がオフ状態のままとなってしまい、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になってしまう。
【0091】
そのため、上記のように、放射線画像撮影前に、リークデータdleakの読み出し処理を繰り返し行うように構成する場合には、図15に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータdleakの読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成することが望ましい。なお、図15や後述する図16等のTやτ、Tacについては後で説明する。
【0092】
このように放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行うように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、シンチレーター3(図2参照)で放射線から変換された電磁波が、各TFT8に照射される。そして、それにより、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷q(図15参照)がそれぞれ増加することが本発明者らの研究で分かった。
【0093】
そして、例えば図16に示すように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返して行う場合、図17に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された時点(時刻t1参照)で読み出されたリークデータdleakが、それ以前に読み出されたリークデータdleakよりも格段に大きな値になる。
【0094】
なお、図16および図17では、図16で走査線5のラインL4にオン電圧が印加されてリセット処理が行われた後の4回目の読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが、図17の時刻t1におけるリークデータdleakに対応する。また、図16において「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表し、「L」はリークデータdleakの読み出し処理を表す。
【0095】
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを監視するように構成し、読み出されたリークデータdleakが、例えば設定された所定の閾値dleak_th(図17参照)を越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。
【0096】
[検出方法2]
また、上記の検出方法1のように、放射線画像撮影前にリークデータdleakの読み出し処理を行うように構成する代わりに、放射線画像撮影前に、図18に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの画像データdの読み出し処理を繰り返し行うように構成することも可能である。
【0097】
なお、前述したように、放射線の照射後に行われる上記の本画像としての画像データDと区別して、以下、この放射線画像撮影前に放射線の照射開始の検出用に読み出される画像データを、照射開始検出用の画像データd(或いは単に画像データd)という。
【0098】
また、照射開始検出用の画像データdの読み出し処理における読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフや、相関二重サンプリング回路19へのパルス信号Sp1、Sp2の送信等は、図19に示すように、図10に示した画像データDの読み出し処理における処理と同様に行われる。なお、図19等におけるTやΔTについては後で説明する。
【0099】
上記のように放射線画像撮影前に照射開始検出用の画像データdの読み出し処理を行うように構成した場合、図20に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、その時点で読み出された画像データd(図20では走査線5のラインLnにオン電圧が印加されて読み出された画像データd)が、前述した図17に示したリークデータdleakの場合と同様に、それ以前に読み出された画像データdよりも格段に大きな値になる。
【0100】
そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22で、放射線画像撮影前の読み出し処理で読み出された画像データdを監視するように構成し、読み出された画像データdが設定された所定の閾値dthを越えた時点で、放射線の照射が開始されたことを検出するように構成することができる。なお、図20中のΔTやτ、Tacについては以下で説明する。
【0101】
[検出感度を向上させるための処理について]
また、上記の検出方法1において、放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理で、ある走査線5に対するオン電圧の印加を開始してから次の走査線5に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期τ(図15や図16等参照)を長くして、リークデータdleakの読み出し処理において制御手段22から送信する2回のパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔Tを長くすると、1回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの値が大きくなる。そのため、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度が向上する。
【0102】
また、上記の検出方法2において、放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理において、各TFT8をオン状態とする時間ΔT(図19や図20参照)、すなわち走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5にオン電圧を印加してからオフ電圧に切り替えるまでの時間ΔT(以下、オン時間ΔTという。)を長くすると、1回の画像データdの読み出し処理で読み出される画像データdの値が大きくなる。そのため、やはり放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度が向上する。
【0103】
なお、この場合も、ある走査線5に対するオン電圧の印加を開始してから次の走査線5に対するオン電圧の印加を開始するまでの周期τ(図20参照)や、制御手段22から送信する2回のパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔T(図19参照)が長くなる。
【0104】
このように、上記の検出方法1や検出方法2を採用する場合には、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出感度を向上させるために、放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理や照射開始検出用の画像データdの読み出し処理における上記の周期τや、制御手段22から送信する2回のパルス信号Sp1、Sp2の送信間隔T、或いはオン時間ΔTを長くする等の処理が適宜行われる。
【0105】
なお、図21に示すように、例えば、検出部P(図4や図7等参照)が4つの領域Pa〜Pdに分割されるなど、検出部Pが複数の領域に分割されるように構成される場合がある。このような場合、検出部Pの各領域Pa〜Pdごとに、上記の検出方法1や検出方法2を用いて放射線の照射開始を検出するように構成することが可能である。
【0106】
そして、このように構成すれば、例えば、放射線が放射線画像撮影装置1に対して照射野が狭められて照射され、検出部Pの複数の領域Pa〜Pdのうち1つ或いはいくつかの領域のみに放射線が照射される状態になる場合があるが、そのような場合でも、放射線の照射開始を的確に検出することが可能となる。
【0107】
なお、本実施形態における上記の検出方法1や検出方法2をさらに改良して、より的確に或いはより効率的に放射線の照射開始を検出するように構成することが可能である。
【0108】
例えば、放射線画像撮影装置1の検出部P(図4や図7等参照)には、通常、数千本から数万本の信号線6が配線されており、各信号線6にそれぞれ読み出し回路17が設けられている。そのため、上記の検出方法1や検出方法2を採用すると、1回の読み出し処理で読み出されるリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdの数は、数千個から数万個になる。
【0109】
そして、それらの全てのリークデータdleak等について、上記のように閾値dleak_th等を越えたか否かを判断する処理を各読み出し処理ごとに行うように構成すると、検出処理が非常に重くなる。
【0110】
そこで、例えば、1個の読み出しIC16(図7や図21参照)内に例えば128個や256個の読み出し回路17が形成されている(すなわち1個の読み出しIC16に128本や256本等の信号線6が接続されている)ことを利用して、1回の読み出し処理で、1個の読み出しIC16で読み出される128個や256個のリークデータdleak等の平均値や最大値等を算出し、それらの値が閾値dleak_th等を越えたか否かを判断するように構成することが可能である。
【0111】
このように構成すれば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、1回の読み出し処理で読み出される数千個から数万個のリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdが閾値dleak_thや閾値dthを越えたか否かを判断する代わりに、例えば32個(図21参照)の読み出しIC16についてそれぞれリークデータdleak等の平均値や最大値等を算出し、それらの32個の平均値や最大値等が閾値dleak_th等を越えたか否かを判断すればよいことになる。
【0112】
そのため、検出処理が非常に軽くなり、検出処理をより効率的かつ迅速に行うことが可能となる等のメリットがある。このように、本実施形態における上記の検出方法1や検出方法2をさらに改良して、より的確に、迅速に、或いは効率的に放射線の照射開始を検出するように構成することが可能である。
【0113】
[放射線の照射開始検出後の各処理について]
次に、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のようにして、放射線の照射が開始されたことを検出すると、図16(検出方法1の場合)や図20(検出方法2の場合)に示したように、放射線の照射開始を検出した時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止して、ゲートドライバー15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にする。
【0114】
このように、各TFT8がオフ状態とされると、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されることにより各放射線検出素子7内で発生した電荷が、各放射線検出素子7内に蓄積される状態になる。放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線の照射開始を検出すると、このようにして、電荷蓄積状態に移行させるようになっている。
【0115】
そして、例えば放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した時点で、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、画像データDの読み出し処理を行わせるようになっている。
【0116】
本実施形態では、制御手段22は、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点の直前のリセット処理でオン電圧が印加された走査線5(図16の場合は走査線5のラインL4)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図16の場合は走査線5のラインL5)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、画像データDの読み出し処理を行うようになっている。
【0117】
また、検出方法2の場合も同様に、図20に示すように、制御手段22は、放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過すると、放射線画像撮影前の照射開始検出用の画像データdの読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点でオン電圧が印加されていた走査線5(図20の場合は走査線5のラインLn)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(図20の場合は走査線5のラインLn+1)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、画像データDの読み出し処理を行うようになっている。
【0118】
なお、本実施形態では、画像データDの読み出し処理の際に、ゲートドライバー15bから各走査線5にオン電圧を印加する周期が、放射線画像撮影前のリークデータdleakの読み出し処理と交互に行われる各放射線検出素子7のリセット処理(検出方法1の場合。図16等参照)や照射開始検出用の画像データdの読み出し処理(検出方法2の場合。図20参照)における周期τと同じ周期になるように、各走査線5にオン電圧を順次印加するようになっている。
【0119】
このように構成すると、画像データDの読み出し処理前の電荷蓄積状態への移行前に走査線5に印加したオン電圧をオフ電圧に切り替えてから、電荷蓄積状態を経て画像データDの読み出し処理で当該走査線5に印加したオン電圧をオフ電圧に切り替えるまでの時間Tac(図16や図20参照)が、各走査線5で同じ時間になる等のメリットがある。
【0120】
上記のようにして本画像としての画像データDの読み出し処理が行われると、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、前述したように、アンテナ装置41等の通信手段を介してコンソール58にプレビュー画像用のデータを送信するようになっている。そして、コンソール58では、送信されてきたプレビュー画像用のデータに基づいてプレビュー画像を生成して表示部58a上に表示させるようになっているが、この点については説明を省略する。
【0121】
そして、図示を省略するが、本実施形態では、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、その後、オフセットデータOの読み出し処理を行わせるようになっている。
【0122】
前述したように、各放射線検出素子7内では、各放射線検出素子7自体の熱(温度)による熱励起等により、いわゆる暗電荷(暗電流等ともいう。)が常時発生している。そして、上記の画像データDの読み出し処理の際に読み出される画像データDには、それ以前にTFT8がオフ状態とされている間(すなわち上記の時間Tacの間)に発生し蓄積された暗電荷に起因するオフセット分が重畳されている。
【0123】
そこで、この暗電荷に起因するオフセット分をオフセットデータOとして読み出すオフセットデータOの読み出し処理が、通常、画像データDの読み出し処理の前や後に行われるのである。本実施形態では、図16や図20に示した画像データDの読み出し処理までの処理シーケンスと同じ処理シーケンスを繰り返して、オフセットデータOの読み出し処理を行うようになっている。なお、オフセットデータOの読み出し処理では、放射線画像撮影装置1には放射線は照射されない。
【0124】
放射線画像撮影装置1の制御手段22は、このようにしてオフセットデータOの読み出し処理を終了すると、各画像データDと各オフセットデータOとをコンソール58に送信するようになっている。
【0125】
[放射線画像撮影装置に加わる振動や圧力による誤検出防止のための構成等について]
ところで、上記のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、放射線画像撮影前にリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdの読み出し処理を行い、読み出されたリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdの値に基づいて放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されたことを検出するように構成される。
【0126】
しかし、放射線画像撮影装置1をこのように構成すると、放射線画像撮影装置1が患者の身体や何らかの物体にぶつかる等して振動が加わったり、患者の身体等によって圧力が加わったりした場合に、読み出されるリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdが振動や圧力変動により大きく変動する場合がある。
【0127】
本発明者らの研究では、放射線画像撮影装置1に振動や圧力変動が加わった場合に、読み出されるリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdが大きく変動する理由は、放射線画像撮影装置1に振動等が加わることによりPCB基板33上の電子部品32(図2等参照)やフレキシブル回路基板12(図6参照)上の電子機器等に歪みが生じたり、基板4とガラス基板34(図2参照)等の間の静電容量が変化する等の各種の要因によると考えられている。
【0128】
そして、例えば、放射線画像撮影装置1に振動が加わった場合には、振動が加わった瞬間やその直後に、読み出されるリークデータdleak等が大きく変動する場合がある。
【0129】
また、放射線画像撮影装置1に圧力が加わる場合、放射線画像撮影装置1に同じ圧力が継続的に加わっている際には、読み出されるリークデータdleak等に変動は生じないが、放射線画像撮影装置1に加わる圧力が変動する場合、すなわち放射線画像撮影装置1に加わる圧力が大きくなったり、加わっていた圧力が小さくなるように、圧力に変動があった瞬間やその直後に読み出されるリークデータdleak等が大きく変動する場合があることが分かってきた。
【0130】
そして、読み出されたリークデータdleak等が変動して大きくなり、閾値dleak_th等を越えてしまうと、放射線が照射されていないにもかかわらず、放射線の照射が開始されたと放射線画像撮影装置1の制御手段22が誤検出してしまうのである。
【0131】
以下、このような放射線画像撮影装置1に加わる振動や圧力による放射線画像撮影装置1等における誤検出防止のための構成等について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1や放射線画像撮影システム50の作用についてもあわせて説明する。
【0132】
[放射線画像撮影装置に配置される圧力センサーや振動センサーについて]
本実施形態では、放射線画像撮影装置1に加わる振動や圧力を検出するために、放射線画像撮影装置1に、装置に加わる圧力を検出する圧力センサーや、装置に加わる振動を検出する振動センサーが設けられている。以下、具体的に説明する。
【0133】
圧力センサーとしては、例えば、歪ゲージ抵抗式、半導体ピエゾ抵抗式、静電容量式等の公知のセンサーを用いることが可能である。そして、圧力センサーは、制御手段22に対して、検出した圧力値、或いは圧力の時間微分値等の圧力の変動を出力するようになっている。
【0134】
また、振動センサーとしては、例えば、機械式や光学式、或いは静電容量型や半導体ピエゾ抵抗型等の半導体式の加速度センサーや衝撃センサー等の公知のセンサーを用いることが可能である。そして、振動センサーは、制御手段22に対して、検出した振動の値を出力するようになっている。
【0135】
一方、圧力センサー42や振動センサー43は、例えば、前述した図2の断面図に例示するように、放射線画像撮影装置1の筐体2内に配置されている。
【0136】
そして、圧力センサー42は、放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSP上、すなわちセンサーパネルSPの、放射線画像撮影装置1の放射線入射面R側の面(以下、表面という。図2ではセンサーパネルSPの上側の面に相当する。)上に配置されていることが好ましい。センサーパネルSPに加わる圧力は、通常、被写体である患者の身体から放射線画像撮影装置1に加わる圧力であり、センサーパネルSpの放射線入射面R側から加わるからである。
【0137】
なお、圧力センサー42を、センサーパネルSPの表面上に配置する代わりに、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rの内側(すなわちセンサーパネルSPに対向する面上)に配置するように構成することも可能である。
【0138】
また、圧力センサー42をセンサーパネルSPの放射線入射面R側の面上に設けたり、放射線入射面Rの内側に設けると、放射線入射面Rを介して入射する放射線が、センサーパネルSPに到達する前に圧力センサー42に到達する状態になる。しかし、通常、放射線は圧力センサー42を透過するため、圧力センサー42が放射線画像撮影の邪魔になることはない。
【0139】
なお、圧力センサー42を構成する部材の中に放射線を吸収するような部材が用いられている場合や、圧力センサー42により放射線の散乱等が懸念されるような場合には、圧力センサー42を、例えば、センサーパネルSPの表面とは反対側の面(以下、裏面という。)側に設けることも可能である。
【0140】
一方、前述した[検出感度を向上させるための処理について]の中で、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理の際、放射線画像撮影前のリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdの読み出し処理において、1回の読み出し処理で1個の読み出しIC16で読み出される128個や256個のリークデータdleak等の平均値や最大値等を算出し、読み出しIC16ごとの平均値等が閾値dleak_th等を越えたか否かを判断するように構成することが可能であることについて説明した。
【0141】
また、放射線画像撮影装置1に加わる圧力が放射線画像撮影装置1に全体的に均等に加わり、センサーパネルSPに全体的に均等に加わる場合もあるが、圧力が放射線画像撮影装置1やセンサーパネルSPに局所的に加わる場合も少なくない。
【0142】
このような場合に、例えば上記のように読み出しIC16ごとのリークデータdleak等の平均値等に基づいて放射線の照射開始を検出するように構成するような場合、読み出しIC16ごとの平均値等に対する圧力の影響を的確に把握することができるようにするために、例えば図22に示すように、圧力センサー42を、読み出しIC16ごとにそれぞれ対応するように複数個設けることが可能である。
【0143】
図22は、図21に示したようにセンサーパネルSPの検出部P(図4や図7等参照)を4つの領域Pa〜Pdに分割した場合に設けられる圧力センサー42の例であるが、例えば、各読み出しIC16にそれぞれ接続されている各信号線6上に圧力センサー42をそれぞれ配置するように構成することが可能である。
【0144】
この場合、図22に示すように、1個の読み出しIC16に1個の圧力センサー42が対応するように配置することも可能であり、また、図示を省略するが、2個や4個等の所定個数の読み出しIC16ごとに1個の割合で圧力センサー42を対応させるように配置することも可能である。また、例えば、検出部Pの各領域Pa〜Pdごとに圧力センサー42を設けるように構成することも可能である。
【0145】
なお、図22では、1個の読み出しIC16に1本の信号線6が接続されているように記載されているが、実際には、前述したように、1個の読み出しIC16には、128本や256本の信号線6が接続されている。また、図21や図22は、センサーパネルSPに対する各読み出しIC16の位置を示すために、各読み出しIC16がセンサーパネルSPの上下に記載されているが、本実施形態では、実際には、各読み出しIC16は、前述したように、センサーパネルSPに取り付けられるフレキシブル回路基板12上に組み込まれている(図6参照)。
【0146】
また、圧力センサー42は、センサーパネルSPに加わる圧力を確実に検出することができるようにするために、例えば図22に示したように、センサーパネルSPの8割程度以上の範囲をカバーするように配置されることが望ましい。
【0147】
振動センサー43は、図2に示したように、例えば、放射線画像撮影装置1の筐体2の内面側に配置することが可能である。また、センサーパネルSP上に配置することも可能である。近年、IC型とされた振動センサー43も開発されており、そのような振動センサー43を、例えば、電子部品32等が配設されたPCB基板33(図2参照)上に配置することも可能である。
【0148】
前述したように、放射線画像撮影装置1に圧力が加わる際に、圧力が放射線画像撮影装置1やセンサーパネルSPに局所的に加わる場合があるが、このような場合、局所的に加わった圧力がセンサーパネルSP全体に伝播することはない。しかし、放射線画像撮影装置1に振動が加わる際には、放射線画像撮影装置1やセンサーパネルSPに局所的に加わった振動が、センサーパネルSP全体に伝搬するといった特徴がある。
【0149】
そのため、振動センサー43は、図22に示した圧力センサー42の場合とは異なり、例えば図23に示すように、放射線画像撮影装置1の略直方体状の筐体2の内側の角隅部や、略矩形状のセンサーパネルSPの角隅部に配置すれば、放射線画像撮影装置1に加わった振動を的確に検出することができる。また、図示を省略するが、振動センサー43を、センサーパネルSP等の中央部等に配置することも可能である。
【0150】
振動センサー43を、放射線画像撮影装置1の筐体2の内側の角隅部やセンサーパネルSPの角隅部に配置する場合、放射線画像撮影装置1の一方側のみ(例えば図23の上側のみ或いは右側のみ)に配置すると、放射線画像撮影装置1に他方側(例えば図23の下側或いは左側)から振動が加わった場合に、振動センサー43で、放射線画像撮影装置1に加わった振動を的確に検出できない虞れがある。
【0151】
そこで、上記の場合には、複数の振動センサー43を、略直方体状の筐体2や略矩形状のセンサーパネルSPにおける少なくとも対角線上の位置に配置することが望ましい。この対角線上の位置には、例えば図23に示したように、筐体2やセンサーパネルSPの四隅にそれぞれ振動センサー43を配置する場合も含まれる。
【0152】
[振動や圧力による誤検出防止のための制御構成等について]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始の検出処理について、具体的に説明する。
【0153】
本実施形態では、制御手段22は、上記のように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始の検出処理においては、基本的には、放射線画像撮影前に読み出したリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdが閾値dleak_thや閾値dthを越えた場合に放射線の照射が開始されたことを検出するが、それだけでなく、さらに、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動や振動の大きさをも判断の対象として、放射線の照射が開始されたか否かを判断するように構成されている。
【0154】
なお、前述したように、放射線画像撮影装置1に同じ圧力が継続的に加わっている際には、読み出されるリークデータdleak等に変動は生じないが、放射線画像撮影装置1に加わる圧力が変動する場合、すなわち放射線画像撮影装置1に加わる圧力が大きくなったり、加わっていた圧力が小さくなるように、圧力に変動があった瞬間やその直後に読み出されるリークデータdleak等が大きくなる場合があることが分かっている。
【0155】
そこで、本実施形態では、圧力センサー42が圧力の時間微分値等の圧力の変動を検出して出力するタイプのセンサーである場合には、制御手段22は、圧力センサー42からの出力値をそのまま用い、圧力センサー42が、加わった圧力を検出して出力する場合には、圧力センサー42からの出力値である圧力を時間微分した値を判断の対象として用いるように構成される。なお、以下では、単に、圧力センサー42が検出した圧力の変動等をいう。
【0156】
例えば、下記の判断手法1、2等の仕方で、放射線画像撮影前に読み出したリークデータdleak等と、圧力センサー42や振動センサー43が検出して出力した圧力の変動や振動の大きさとに基づいて放射線画像撮影装置1に対して放射線の照射が開始されたか否かを判断するように構成することが可能である。なお、圧力センサー42と振動センサー43とを両方とも設けることも可能であり、また、一方のみを設けるように構成することも可能である。
【0157】
[判断手法1]
制御手段22は、例えば、下記(1)式や(2)式に従って、放射線画像撮影前に読み出したリークデータdleakや照射開始検出用の画像データd(なお、上記のように読み出しIC16ごとに算出されるリークデータdleak等の平均値等を含む。以下同じ。)から、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動や振動の大きさ(各式ではまとめてSで表す。)を所定倍(α倍)した値を減算した減算値Aを算出する。
A=dleak−αS …(1)
A=d−αS …(2)
【0158】
なお、上記の値Sは、例えば、圧力センサー42から出力される圧力の変動Saを所定倍した値と、振動センサー43から出力される振動の大きさSbを所定倍した値との和として算出するように構成することが可能である。
【0159】
また、例えば、図22に示したように読み出しIC16と圧力センサー42が1対1に対応するように構成されている場合や、2個や4個等の所定個数の読み出しIC16ごとに1個の割合で圧力センサー42を対応させるように配置されている場合、或いは圧力センサー42が検出部Pの各領域Pa〜Pdごとに設けられているような場合に、ある読み出しIC16について上記の減算値Aを算出する際には、当該読み出しIC16に対応する圧力センサー42が検出した圧力の変動Saや、当該読み出しIC16の最も近傍の振動センサー43が検出した振動の大きさSbを用いるように構成される。
【0160】
上記の判断手法1のように構成すると、放射線画像撮影装置1に圧力や振動が加わったことにより、読み出されるリークデータdleak等の値が大きくなった場合には、上記(1)式や(2)式において、dleakやdが大きくなるとともに値S、すなわち圧力センサー42が検出した圧力の変動Saや振動センサー43が検出した振動の大きさSbも大きくなる。そのため、減算値Aは、さほど大きくならない。
【0161】
それに対し、放射線画像撮影装置1に圧力や振動が加わらずに、放射線画像撮影装置1に対して放射線の照射が開始されたためにリークデータdleak等の値が大きくなった場合には、上記(1)式や(2)式において、dleakやdは大きくなるが、値Sは大きくならない。そのため、減算値Aは、リークデータdleak等の増加に伴って大きくなる。
【0162】
そこで、この判断手法1のように構成する場合には、上記の減算値Aに対して閾値Athを設定しておき、制御手段22は、上記のようにして算出した減算値Aが閾値Athを越えたか否かを判断するように構成することが可能である。
【0163】
このように構成すれば、上記のように、放射線画像撮影装置1に圧力や振動が加わったことにより読み出されるリークデータdleak等の値が大きくなった場合には、上記(1)式や(2)式に従って算出される減算値Aがさほど大きくならず、閾値Athを越えないため、放射線の照射が開始されたと誤検出することを防止することが可能となる。
【0164】
また、放射線画像撮影装置1に放射線が照射された場合には、上記(1)式や(2)式において、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動Saや振動の大きさSbに基づいて算出される値Sは大きくならず、読み出されるリークデータdleak等のみが大きくなるため、減算値Aは確実に閾値Athを越えるようになる。そのため、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始を的確に検出することが可能となる。
【0165】
[判断手法2]
上記の判断手法1では、放射線画像撮影前に読み出したリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdから、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動Saや振動の大きさSbから算出される値Sを所定倍した値αSを予め減算して、減算値Aを判断材料とした。
【0166】
しかし、制御手段22で、例えば、放射線画像撮影前に読み出したリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdと、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動Saや振動の大きさSb(或いはそれらから算出される上記の値S。以下同じ。)とをそれぞれ別個に監視するように構成することも可能である。
【0167】
この場合、制御手段22は、放射線画像撮影前に読み出したリークデータdleak等については、上記と同様にして、リークデータdleak等が設定された閾値dleak_th(図17参照)等を越えたか否かを判断する。また、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動Saや振動の大きさSbに対して閾値Sath,Sbthを設定しておき(或いはそれらから算出される上記の値Sに対して閾値Sthを設定する。以下同じ。)、制御手段22は、検出した圧力の変動Saや振動の大きさSbが閾値Sath、Sbthを越えたか否かを判断する。
【0168】
そして、読み出したリークデータdleak等が閾値dleak_th等を越えたが、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動Saや振動の大きさSbが閾値Sath、Sbthを越えていない場合に、放射線の照射が開始されたと判断するように構成することが可能である。
【0169】
その際、上記以外の場合、すなわち、リークデータdleak等が閾値dleak_th等を越えたが圧力の変動Saや振動の大きさSbも閾値Sath、Sbthを越えた場合や、リークデータdleak等は閾値dleak_th等を越えず、圧力の変動Saや振動の大きさSbのみが閾値Sath、Sbthを越えた場合、或いはリークデータdleak等も圧力の変動Saや振動の大きさSbもいずれも閾値dleak_th等や閾値Sath、Sbthを越えない場合には、放射線の照射は開始されていないと判断するように構成される。
【0170】
このように構成すれば、リークデータdleak等の値が大きくなって閾値dleak_th等を越えても、上記の圧力の変動Saや振動の大きさSbも大きくなって閾値Sath、Sbthを越えている場合には、放射線画像撮影装置1に圧力や振動が加わったことにより読み出されるリークデータdleak等の値が大きくなったと考えられる。そのため、そのような場合に放射線の照射は開始されていないと判断することで、放射線画像撮影装置1に対して放射線の照射が開始されたと誤検出することを的確に防止することが可能となる。
【0171】
また、上記の圧力の変動Saや振動の大きさSbが閾値Sath、Sbthを越えていないが、リークデータdleak等の値が大きくなって閾値dleak_th等を越えた場合には、リークデータdleak等の増加が放射線画像撮影装置1に加わった振動や圧力によるものではなく、放射線の照射によるものであると考えられる。そのため、そのような場合に放射線の照射は開始されたと判断することで、放射線画像撮影装置1に対して放射線の照射が開始されたことを的確に検出することが可能となる。
【0172】
なお、上記の判断手法1、2において、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されて読み出したリークデータdleak等が大きくなったが、それと同時に、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動Saや振動の大きさSbも大きくなったために、放射線の照射開始を検出できない場合がある。
【0173】
しかし、放射線画像撮影装置1に加わる圧力の変動Saや振動の大きさSbは比較的速やかに減衰して小さな値になるが、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が続いている限り、読み出されるリークデータdleak等の値は大きな値のままである。そのため、上記のように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された直後に照射開始が検出できなくても、その後の読み出し処理で読み出された大きな値のリークデータdleak等に基づいて、放射線の照射が開始されたことを検出することができる。
【0174】
その際、撮影された被写体が動いたために、放射線画像中に被写体が適切に撮影されていない可能性があるが、それは、その後にコンソール58の表示部58a上に表示されるプレビュー画像を見ることで確認することができる。そして、それを含めて、放射線技師が再撮影の要否等を判断することになる。
【0175】
なお、上記の判断手法1、2のいずれかを採用することも可能であり、また、両者の判断処理を同時並行で行うように構成することも可能である。また、放射線画像撮影前に読み出したリークデータdleak等と、圧力センサー42や振動センサー43が検出して出力した圧力の変動や振動の大きさとに基づいて放射線画像撮影装置1に対して放射線の照射が開始されたか否かを判断する判断手法は、上記の判断手法1、2に限定されるものではない。
【0176】
[放射線画像撮影装置に圧力や振動が加わったことを警告するための構成等について]
一方、上記のように判断処理を行っても、放射線画像撮影装置1に圧力や振動が加わったことによる放射線の照射開始の誤検出を必ずしも完全に防止できるとは言い切れない。そこで、放射線技師に対して、放射線画像撮影装置1に大きな圧力や振動が加わったことを警告するように構成することが可能である。
【0177】
例えば、図示を省略するが、放射線画像撮影装置1に、音声で警告するブザー等や警告を表示する表示画面等の警告手段を設けておき、制御手段22は、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動Saや振動の大きさSbが設定された所定値を越えた場合に、警告手段により放射線画像撮影装置1に大きな圧力や振動が加わった旨を警告させるように構成することが可能である。この場合の所定値は、上記の閾値Sath、Sbthと同じ値であってもよく、異なる値に設定されてもよい。
【0178】
また、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、圧力センサー42や振動センサー43が検出した圧力の変動Saや振動の大きさSbが設定された上記の所定値を越えた場合に、放射線画像撮影装置1からコンソール58(図11や図12参照)に信号を送信する。そして、コンソール58の表示部58a上に、上記の警告を行う警告表示を表示させたり、或いは、コンソール58の図示しないスピーカーから警告の音声を発声させるように構成することも可能である。この場合、コンソール58の表示部58aやスピーカーが警告手段として機能する。
【0179】
このように構成すれば、放射線技師が、放射線画像撮影装置1に大きな圧力や振動が加わったことを的確に認識することが可能となる。そして、上記のように、放射線画像撮影装置1では、放射線の照射開始を検出(この場合は誤検出)すると、電荷蓄積状態に移行した後、画像データDの読み出し処理等が行われるが、放射線技師は、放射線画像撮影装置1で誤検出によりそれらの処理が開始されてしまっている場合には、それらの処理を停止させて、放射線画像撮影装置1を、放射線の照射開始の検出処理(すなわち上記の検出方法1や検出方法2の処理)を行う状態に戻すことが可能となる。
【0180】
そのため、圧力や振動が加わることにより、仮に放射線画像撮影装置1で誤検出が生じてしまった場合でも、画像データDの読み出し処理等が無駄に行われることを的確に防止することが可能となる。また、そのため、本実施形態のように、放射線画像撮影装置1がバッテリー24(図2や図7等参照)を内蔵するタイプの装置である場合には、バッテリー24の電力が無駄に消費されてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0181】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1や放射線画像撮影システム50によれば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影前に読み出したリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdの値だけでなく、圧力センサー42や振動センサー43により検出された放射線画像撮影装置1に加わる圧力の変動Saや振動の大きさSbに基づいて、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されたか否かを判断する。
【0182】
そのため、放射線画像撮影装置1に振動が加わったり、放射線画像撮影装置1に加わった圧力が変動したりすることで、読み出されるリークデータdleak等が大きくなったのか、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されたことによって読み出されるリークデータdleak等が大きくなったのかを明確に区別することが可能となる。
【0183】
そのため、放射線画像撮影装置1に放射線が照射された場合には、それを的確に検出することが可能となるとともに、放射線画像撮影装置1に加わる振動や圧力変動による放射線の照射開始の誤検出を的確に防止することが可能となる。そして、例えば、放射線画像撮影装置1がバッテリー内蔵型である場合には、誤検出により検出処理後の各処理が行われてしまうことによってバッテリー24の電力が無駄に消費されてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0184】
なお、本実施形態のように放射線画像撮影装置1に加わる圧力の変動Saや振動の大きさSbを考慮せず、読み出したリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdの値のみに基づいて放射線の照射開始を検出しようとする場合には、リークデータdleak等の閾値dleak_th等を予め大きな値に設定しておく等の処置が取られる場合がある。
【0185】
しかし、本実施形態のように、放射線画像撮影装置1に圧力センサー42や振動センサー43を設け、放射線画像撮影装置1に加わる圧力の変動Saや振動の大きさSbを考慮して放射線の照射開始を検出するように構成する場合には、リークデータdleakや照射開始検出用の画像データdの閾値dleak_th、dthをより小さな値に設定することが可能となる。
【0186】
そして、放射線画像撮影装置1に対して放射線源52(図11や図12参照)から弱い放射線(すなわち線量率が小さな放射線)を照射して放射線画像撮影を行うような場合には、読み出されるリークデータdleak等がより小さい値になるが、そのような場合であっても、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、より小さな値に設定された閾値dleak_th等に基づいて的確に放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出することが可能となるといったメリットもある。
【0187】
また、本実施形態に係る圧力センサー42や振動センサー43を用いて、画像データDの読み出し処理の際にも、放射線画像撮影装置1に振動が加わったり、放射線画像撮影装置1に加わった圧力が変動したか否かを検出するように構成することも可能である。
【0188】
そして、画像データDの読み出し処理の最中に振動が加わったり圧力変動があった場合には、例えば、コンソール58の表示部58上に、画像データDの読み出し処理中に振動が加わったり圧力変動が生じたため画像データDが異常になっている可能性がある旨を警告する表示を表示させたり、或いは音声で警告するように構成することが可能である。
【0189】
また、放射線画像撮影装置1で、装置に振動が加わったり装置に加わった圧力が変動した時点で読み出し処理が行われた走査線5(すなわちその際にオン電圧が印加されていた走査線5)を割り出す等して、画像データDに異常が生じている可能性がある各放射線検出素子7(或いは走査線5)の情報を、コンソール58に伝えるように構成することも可能である。この場合、コンソール58は、その情報に基づいて、異常が生じている可能性がある画像データDを特定して補正する等の処理を行うように構成される。
【0190】
一方、本実施形態では、上記のように、検出方法1や検出方法2或いはそれらをさらに改良した検出方法を用い、放射線画像撮影前に読み出したリークデータdleakや照射開始検出用の画像データdに基づいて放射線の照射開始を検出するように構成されている場合について説明した。
【0191】
しかし、このように構成する代わりに、例えば、前述したように、バイアス線9(図7等参照)中を流れる電流の増加に基づいて放射線の照射開始を検出するように構成されている放射線画像撮影装置(前述した特許文献4、5等参照)に対して、本実施形態のような放射線画像撮影装置に加わる圧力の変動Saや振動の大きさSbを考慮する技術を適用することも可能である。
【0192】
この場合、前述したように、電流検出手段で発生したノイズがバイアス線9を介して各放射線検出素子7に伝わり、放射線検出素子7から読み出される画像データDにノイズとして重畳される場合があるなど、必ずしも解決が容易でない問題があるが、少なくとも、放射線の照射開始の検出処理においては、放射線画像撮影装置に振動が加わったり圧力が変動したりすることにより放射線の照射開始の誤検出が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0193】
なお、本発明が上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0194】
1 放射線画像撮影装置
2 筐体
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段)
15 走査駆動手段
16 読み出しIC
17 読み出し回路
22 制御手段
39 コネクター(通信手段)
41 アンテナ装置(通信手段)
42 圧力センサー
43 振動センサー
50 放射線画像撮影システム
58 コンソール
58a 表示部(警告手段)
A 減算値
Ath 閾値
D 画像データ
d 照射開始検出用の画像データ
dleak リークデータ
dleak_th 閾値
dth 閾値
q 電荷
r 小領域
Sa 圧力の変動
Sb 振動の大きさ
SP センサーパネル
Sth 閾値
α 所定倍

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路が内蔵された読み出しICと、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
さらに、装置に加わる圧力を検出する圧力センサーまたは装置に加わる振動を検出する振動センサーの少なくとも一方を備えており、
前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記各スイッチ手段を介して前記各放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータの読み出し処理を行わせるとともに、
読み出した前記リークデータと、前記圧力センサーおよび/または前記振動センサーが検出した前記圧力の変動および/または前記振動の大きさに基づいて、放射線の照射が開始されたか否かを判断することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備えるセンサーパネルと、
前記各走査線に対して印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替える走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路が内蔵された読み出しICと、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
を備え、
さらに、装置に加わる圧力を検出する圧力センサーまたは装置に加わる振動を検出する振動センサーの少なくとも一方を備えており、
前記制御手段は、
放射線画像撮影前に、前記走査駆動手段から前記各走査線にオン電圧を順次印加して照射開始検出用の画像データの読み出し処理を行わせるとともに、
読み出した前記照射開始検出用の画像データと、前記圧力センサーおよび/または前記振動センサーが検出した前記圧力の変動および/または前記振動の大きさに基づいて、放射線の照射が開始されたか否かを判断することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、読み出した前記リークデータまたは前記照射開始検出用の画像データから、前記圧力センサーおよび/または前記振動センサーが検出した前記圧力の変動および/または前記振動の大きさを所定倍した値を減算した減算値が、設定された閾値を越えたか否かを判断することにより、放射線の照射が開始されたか否かを判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、読み出した前記リークデータまたは前記照射開始検出用の画像データが設定された閾値を越えたが、前記圧力センサーおよび/または前記振動センサーが検出した前記圧力の変動および/または前記振動の大きさは設定された閾値を越えていない場合に、放射線の照射が開始されたと判断し、それ以外の場合には、放射線の照射は開始されていないと判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記圧力センサーは、前記センサーパネル上に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記読み出しICを複数個備え、
前記圧力センサーは、前記読み出しICにそれぞれ対応するように複数個設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記振動センサーは、前記センサーパネル上および/または前記センサーパネルを収納する筐体の内面側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記振動センサーは、略矩形状の前記センサーパネルの角隅部および/または略直方体状の前記筐体の内側の角隅部に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
前記振動センサーは、複数個設けられており、略矩形状の前記センサーパネルおよび/または略直方体状の前記筐体における対角線上の位置に配置されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
さらに、警告手段を備え、
前記制御手段は、前記圧力センサーおよび/または前記振動センサーが検出した前記圧力の変動および/または前記振動の大きさが所定値を越えた場合に、前記警告手段により、前記放射線画像撮影装置に大きな圧力または振動が加わった旨を警告させることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項11】
外部装置との間で通信可能な通信手段を備える請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置と、
警告手段を備え、前記放射線画像撮影装置と通信可能なコンソールと、
を備え、
前記放射線画像撮影装置は、前記圧力センサーおよび/または前記振動センサーが検出した前記圧力の変動および/または前記振動の大きさが所定値を越えた場合に、前記コンソールに信号を送信し、
前記コンソールは、前記放射線画像撮影装置からの前記信号を受信すると、前記警告手段により、前記放射線画像撮影装置に大きな圧力または振動が加わった旨を警告することを特徴とする放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−88410(P2013−88410A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232375(P2011−232375)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】